真・ミッコ「こいつら本当に仲いいな……」 (19)
*同名タイトル(無印)の焼き直しです。
読み返すにつれ、どーにもミカのキャラクターに違和感を覚える様になってしいまい、納得がいかず。
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車庫の片隅のベンチに、三人で腰かけながら。
ミッコは目をつむって、うたた寝半分。
ミカ「アキ。君はよく夢を見るかい?」
アキ「え……? そうだね、たくさん見る方かな」
ミカ「最近はどんな夢を見たのかな?」
アキ「そうだねぇ……大学にいっても、社会人になっても、みんなで一緒に戦車道できたらな~って」
ミッコ(……ん? ミカが聞いてるのはそーいう意味の『夢』とは違くない?)
ミカ「……」
(ぽろろろ~ん♪)
ミカ「ふふ、アキと私はどうやら同じ夢をみているようだね」
アキ「……えへへ、ミカにもちゃんと夢があるんだ」
ミカ「夢のない人生なんて空しいだけさ」
アキ「そうだね……えへへ」
ミッコ(……ほんと仲いいなこいつら)
アキ「『夢』と言えばさぁ」
ミカ「なんだい?」
アキ「眠てる時にみる『夢』って、あるじゃない?」
ミカ「うん」
ミッコ(って言うか、ミカはじめからそっちの『夢』の話だったろ)
アキ「ミカもそういう夢、見る?」
ミカ「ふふ、もちろんさ」
アキ「最近はどんな夢をみたの? ……って、あ!」
ミカ「?」
アキ「やだ……もしかしてさっきミカが私に聞いたのって……こっちの意味の『夢』?」
ミカ「……」
ミカ(ぽろろろーん♪)
ミカ「『夢』についてミカと一緒に話せた。私にとってはそれで十分」
アキ「や、やだもー、言ってよ、恥ずかしいじゃない!」バシバシバシ!
ミカ「ふふ、痛いよ」
ミッコ(……ほんと仲いいなこいつら)
アキ「ところで『夢』ってさ」
ミカ「うん」
アキ「その人のしんそー心理が現れるんだってね」
ミカ「そうらしいね」
アキ「じゃあさ、ミカって、どんな夢みるのっ?」
ミカ「私の夢に、そんなに興味があるのかい?」
アキ「そりゃあるよー。だって、ミカって変わってるもの」
ミカ「在るがままに、在るだけさ」
アキ「そういうミカのしんそー心理、気になるなぁ」
ミッコ(私も気になる)
ミカ「単純化されたパターンに当てはめて、それで他者を理解したつもりになる……」
ミカ「もちろん、二人はそんな愚かじゃない」
アキ「あたりまえじゃん。それで? どんな夢?」
ミカ「聞いてもらう価値はあるかもね。実は近頃、何度か同じ夢をみるのだけれど……」
ミカ「……」
(ぽろろろ~ん♪)
ミカ「……なんだかちょっぴり、やっぱり恥ずかしくなってきたかもね?」
アキ「もぉ! はやくおしえてよ~」
ミカ「フンフーン♪」
ミッコ(はやくおしえろよー)
ミカ「私の見た夢はね、戦車に乗って、どこかの学校と試合をしている夢なんだ」
アキ「うん」
ミカ「ふと気が付くと、アキがどこにもいない」
アキ「そうなんだ」
ミカ「それで私はすごく困ってしまう」
アキ「私がどこへいったのかは、分からないの?」
ミカ「うん。私は全体の指揮を行いながら、装填砲撃もしなくちゃいけなくなった」
アキ「無理だよぉ」
ミカ「しかもね……しばらくすると今度はミッコまでいなくなってしまうんだ」
ミッコ(お手上げじゃん)
アキ「それでミカどうしたの?」
ミカ「困った私は、このカンテレに操縦席を頼むのさ」
アキ「どういう事?」
ミカ「とっさにこう、操縦席にカンテレをおいて」
アキ「えー」
ミカ「車内はすごく揺れるだろう?」
アキ「まぁ、当然」
ミカ「だからこう、落ちないようにしっかりと」
アキ「意味あるのかな……まあいいや、それで?」
ミカ「するとね……とても操縦がうまいんだ」
アキ「えー……」
ミカ「これならいけると思って、もう一個のカンテレには砲手を任せるんだ」
アキ「カンテレ、二個あったんだね」
ミカ「なぜか、そうみたいだね」
アキ「いかにも夢っって感じだねー。で、もちろんカンテレは砲撃も……?」
ミカ「すごくうまかったよ」
ミッコ「ぶふっ!」
アキ「!?」
ミッコ(あ……やべ。笑っちゃった)
アキ「……」
ミカ「……」
アキ「ミッコ、起きてたね」
ミカ「ミッコはタヌキさんだね」
アキ「タヌキ……どっちかっていうとはレッサーパンダっぽいかも」
ミカ「赤毛の感じ?」
アキ「うん」
ミッコ(ハムスターさんがいいなぁ)
アキ「あ、寝たふり続けるんだ……まぁいっか。ミカ、夢の続きは?」
ミカ「うん。何とかカンテレ達が踏ん張ってはくれるのだけれど」
アキ「すごいねーカンテレ」
ミカ「だけど今度は、おトイレに行きたくなって」
アキ「あー……じっさい、けっこう困っちゃうよね」
ミカ「しかもそういう時に限って試合が佳境にはいる」
アキ「あるねー……」
ミカ「それで、私はずっとこらえ続けて」
アキ「うんうん」
ミカ「こらえてこらえて」
アキ「それで……?」
ミカ「もう無理かもしれない、と追いつめられたところで……ハッと夢から目が覚めた」
アキ「あ、それってもしかして」
ミカ「その通り。起き上がって、すぐにトイレへいったよ」
アキ「あれって、ちょっぴり不思議だよね」
ミカ「夢の世界に現実の感覚が入り込んでくる」
アキ「私一度、夢の中で、我慢できずにおしっこしちゃった事があるんだけど……」
ミカ「……乙女の尊厳は、守れたかい?」
アキ「うん、なんとか。ちょっとドキドキしたけどね、えへへ」
ミカ「確認するまで、怖いものね」
アキ「そうそう……」
ミッコ(……アキ、人前で「おしっこ」って言えちゃう娘だったんだ……)
アキ「それで、ミカは、今みたいな夢を、何度もみてるの?」
ミカ「時々、ね。戦車の中で一人ぼっちになってしまって、少し困る」
アキ「ふぅーん……。なんでそんな夢を見るのかな?」
ミカ「……アキは、今の夢をどう思う? 分析を聞かせてほしい」
アキ「んー……」
ミカ「……(ぽろろろーん♪)」
アキ「……頼りになる、カンテレだよね」
ミッコ(そこを分析するのか……)
ミカ「ふふ、そうだね」
アキ「私とミッコがいなくなっても、カンテレだけは残ってる。しかも二つ?」
ミカ「うん」
アキ「ミカ、肌身離さず、いつも大切にしてるもんね、カンテレ」
ミカ「この子は無上の喜びを与えてくれる。音楽という喜びをね」
(ぽろろろーん♪)
アキ「ふーん。……あのさぁ」
ミカ「ん?」
アキ「触ってみていい? カンテレ」
アキ「触ってみていい? カンテレ」
ミカ「かまわないよ。膝にのせてごらん」
アキ「うん。あ、けっこう軽い」
ミカ「普段、持ち歩いているくらいだからね」
アキ「そっか。えっと……こうかな」
(ろーん♪)
アキ「……えへー、音、きれいだよね」
ミカ「大切にちゃんと手入れしているからね」
アキ「ど・れ・み・ふぁ・そ~♪ って、あはは、ぜんぜん違った」
ミカ「指だけじゃなく、手首も使うといいよ。このあたりに力を……。あ……」
アキ「……? ミカ?」
ミカ「手荒れ、少し酷くなった?」
アキ「あーまぁね……しかたないよ。私は弾ゴメしなきゃだし、手袋をしてても、やっぱりね」
ミカ「クリーム、塗ってる?」
アキ「うん。だけど、なかなかね」
ミカ「アキの指、すらっとしていて、少し長めで……楽器に似合う指なのにね」
アキ「ね、ねぇミカ? そんなにジッとみないでよ……なんだか恥ずかいよ……」
ミカ「……。これ、アキにあげる。まだ少ししか、使っていない」
アキ「……ハンドクリーム? わ、なんだか高そう」
ミカ「グロリアーナのお嬢様からね。よう効くそうだよ。紅茶の代わにくれた」
アキ「紅茶の代わり?」
ミカ「彼女は贈り物をせずにはいられないのさ」
アキ「良く分からないけど……いいの? ミカがもらったのに」
ミカ「いいのさ。私一人ではもらえなかったと思うよ」
アキ「??」
ミッコ(私もそれほしいなー)
明日の真昼間に続きを投稿し、おそらくそれで完結するかと思います。
アキ「えへへ、ありがとうミカ」
ミカ「アキの「手」にはお世話になっているからね」
アキ「えー「手」だけぇ?」
ミカ「……♪」(ぽろろろーん♪)
アキ「もー」
ミッコ(……ミカが誰かをからかうのって、ほんと、アキに対してぐらいだなぁー……)
アキ「ねぇミカ? 自分では、その夢をどう解釈してるの?」
ミカ「そうだね……夢は、大切なことを教えてくれた」
ミッコ(……『仲間がどうこう』とかいうのかね)
アキ「へぇ、なあに?」
ミカ「もしも本当に、アキやミッコがいなくなってしまったら……」
アキ「うんうん」
ミッコ(なんか恥ずいなぁ……ほんとに寝ちゃえ)
ミカ「そんな時にどうすべきか、私は考えておかなきゃいけないってことさ」
アキ「……うん?」
ミッコ(……うん?)
ミカ「だって、ありえる状況だろう? 試合の前日に、何らかの理由で、二人がいなくなってしまう」
アキ「『なんらか』って、なによ」
ミカ「理由は重要じゃない。実際にそういう状況になったっていう仮定、それが重要なんだよ」
アキ「……ふうん」
ミッコ(あ、……これアキがおもしろくない時の声だ)
ミカ「そういう局面を隊長としてどう判断するか、考えておかなきゃ」
アキ「ふーん、大変だね、隊長サマは」
ミカ「『想定外』は言い訳にならないからね」
アキ「あっそ」
ミカ「つまりは夢は、私にそういう事を改め教えてくれたのさ」
アキ「……ふーん」
ミッコ(ミカ、絶対わかっててやってるだろ……)
アキ「ちぇ……おもしろくないなぁ」
ミカ「何がだい?」
アキ「今のはミカの、ココの声でしょー?」
ミカ「アキ、頭をつつかないでほしいな」
アキ「私が聞きたいのはぁー……ミカのここの声ー」
ミカ「っぅひぁ!?」
ミッコ(なに今の!? シャックリみたいなの、ミカの声!?)
ミカ「……アキ、女性の胸を指でつくのは、どうかと思うよ」
アキ「いいでしょ、ミカのはおっきんだから」
ミカ「アキの言う事はメチャクチャ」
アキ「ふんだ。じゃあ今度はまともな事を言ってあげる」
ミカ「うん?」
アキ「ミカは私とミッコがいなくなっちゃう夢を見る。……何度も何度も!」
ミカ「そうだね」
アキ「夢はその人のしんそー心理を表します」
ミカ「うん」
アキ「その人が日ごろ考えている事が夢にもあらわれるそーです」
ミカ「うん」
アキ「つまりミカはー……ミッコと私がいなくなってしまったらどうしよう!って心の底では不安なわけだよ!」
ミカ「……」
ミカ(ぽろろろーん♪)
ミカ「あくまでアキの想像ではあるけれど、一定の説得力はあったかもね。面白かったよ」
アキ「……もー! ミカの捻くれ者っ。たまにはここでしゃべりなよー、ほらほらほらっ」
ミカ「っ! ……やぁっ……私の想像だと、アキの深層心理には、私の胸に対する妬みが見受けられる」
アキ「なっ、ひっどーい!」
ミッコ(……ほんと、仲いいなぁ……だけどうるさい……)
ミッコ「……あのさぁミカ」
ミカ「やぁ、おはようミッコ」
アキ「ミッコ、きいてたでしょ!? ミカが胸のことをバカにするんだよっ」
ミッコ「どっちもどっちじゃん……ねぇミカ、今の夢、おとついの朝にも見たんでしょ」
ミカ「……さぁ? どうだったろうね」
アキ「ミッコ、どういう事?」
ミッコ「おとついさ、朝っぱらにミカからLINEしてきたじゃん。3人のグループラインで」
アキ「そうだっけ?」
ミッコ「一言『おはよう』って、6時前にミカからきてたよ。アキの既読は、なぜかずっとつかなかったけどね」
アキ「おとつい……あー、その日は私、寝坊して……あんまり携帯みてられなかった」
ミッコ「だからか」
アキ「あ、だけど、そういえば……」
ミッコ「?」
アキ「あの日、私がぎりぎりの時間に教室に飛び込んだら……」
ミッコ「どうしたの?」
アキ「なぜかミカが私の教室にいて、しかも私の席に座ってた」
ミッコ「ほほう」
アキ「で、私の顔を見たら、『おはよう』って言って、さっさと自分の教室にいっちゃたけど」
ミッコ「……あからさまだなぁ」
アキ「何だったのかなぁーって思ってたけど……」
ミッコ「……まぁ、つまりだから、そういうことでしょ」
アキ「そういうことって……」
ミカ「……」
アキ「……」
ミカ「……」
アキ「……ふぅ~ん?」
ミカ「……アキ、なんだい?」
アキ「べつに?」
ミカ「……」
アキ「……」
アキ「……あ~あ、今日は天気がいいなぁ」
ミカ「……秋晴れだね」
(ぽろろろーん♪)
ミッコ「……。」
ミッコ(……さ、寝よ)
END
お読みいただきありがとうございます。
全体的には前のよりましになったように思いますが、今度はミカのキャラクターがちょいと変になってしまったような。
難しいです。
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