とある聖杯と生贄の魂 (16)

遥か昔。


とある大陸では、様々な供物を代償に発動させる『魔法』というものが存在していた。

その供物とは、自然界に存在する力を帯びたものであり
何らかの要因によって『念』を宿したものであったり
自らの肉体を犠牲にするものであったり。

特に命あるものを犠牲にした供物……いや……




『生贄』として発動させた魔法には、凄まじい力があった。
それは、人の身でありながら、神にも手が届く程に。




それ故、生贄を代償として魔法を操る『魔法使い』と呼ばれる者達は、人々から忌み嫌われる存在であった。
魔法使い達は闇に隠れ、ある者は正義の為に。
ある者は、正邪問わず、己の信念の為に。
そしてある者は、ただただ己の欲望の為に、魔法を使い続けていた。


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ここに、古い。
とても古い魔道書がある。



それは、どんな人間でも読むことの出来る魔道書。









2人の魔法使いと呼ばれる人間がいた。

1人は『マーリン』と記録されている。
そしてもう1人は、マーリンの相棒として共に旅をしていた者。

その相棒については、一切詳細は描かれていない。
ただ、確実にマーリンの側には、その相棒とされる魔法使いがいつもいたと言う事は間違いない。




2人はあるモノを探し、世界を旅していた。


『聖杯』


それは願いを叶えるもの。
願う者の『何か』を代償に。



マーリンが。
そしてその相棒が何を望んで聖杯を探していたのかはまだわからない。


聖杯を見つけたのか。


何を聖杯に願ったのか。




『聖杯に何を捧げたのか』




魔道書は自分を読み解く者に語りかける。
















『ここからは、お前の物語だ』














とある魔術の禁書目録とソウルサクリファイスのクロスSSです。

>>1の気まぐれ更新です。適当な時にお読みください。

微妙にグロが、いつか出てくるのかもしれません。猟奇的なモノではないですが、念の為。

まんまソウルサクリファイスにはなりません。
むしろソウル繋がりで別のゲームの要素も出したいです。なんたらソウルだとかなんたらボーンだとか。

敵の異常なインフレの恐れがあります。ご注意ください。

上条「えーと、使えそうな参考書はっと……」キョロキョロ



人口230万人の大半が学生。
数十年先の科学力を持つ。
超能力の開発が行われている。


そんな日本国内にありながら、独立した未来都市である学園都市の第七学区と呼ばれる地域のちょっと怪しげな古本屋にて。


とある事情で高校生ながら、常に貧乏生活を強いられる少年、上条当麻は、もうすぐ行われるテストという学力を無理やり点数付けられ、基準値に満たない者は補習という、人間を無理やり拘束し、望みもしない知識を無理やり頭に詰め込まれるという拷問を回避する為の手段として、参考書を探していた。


お金がないから、古本屋で。
お金が全くないから、今にも潰れそうな古本屋で格安の参考書を探していた。


店主は眼帯をつけた、年老いた老婆であり、愛想の悪さも相まって、店は繁盛しているようには見えなかった。
今も客は上条1人だ。

上条「お、あれ結構使えそうだな。よっと……」


本棚の一番上に並べられた参考書を見つけ、上条は背伸びをして腕を伸ばす。


言い忘れたがこの男、あらゆる異能をかき消す『幻想殺し』という中2めいた力を、右手に宿しており、主にこの力のお陰で今の貧乏生活を強いられているといっても過言ではない。


何故ならそれは、幸運や神の加護といった類のモノまでかき消してしまうという代物。


つまり


ズルッ!!

上条「あ、やべ」


バサバサバサァァァアアアッ!!!!!!!!


肩に掛けていた通学カバンがズレてバランスが崩れ、本棚から大量に本が頭上から落ちてくる事など、最早お約束のようなモノである。

上条「いてて……うわーやっちまったなー……不幸だ……」


床に散らばった大量の本を見る。
自分が落としてしまったからには直さねばなるまい。

ハァッ……と息を吐き、1冊ずつ本を重ねていくと、ふと1冊の本に目がいった。


上条「ん?……何だ?この本。やけに不気味な……」


それは1冊の分厚い赤い本だった。

不気味な装丁が施された赤い本。まるで人の皮のような。

それに気のせいか、本自体が生きてるように、脈動しているように見える。
剥き出しになった牙のようなモノが見える。
恐る恐る上条が右手でその本に触れようとしたその瞬間






















『おい!!痛ってぇじゃねーかバカ野郎!!本は大事に扱えって母ちゃんに教わらなかったのか!?』

上条「いぃッ!!?」ビクゥッ!!


その不気味な本に血走ったような鋭く大きな目が現れ、獰猛な肉食獣のような鋭い牙を持った口が開き、上条へと悪態をついた。

上条は驚き、咄嗟に右手を素早く引っ込める。






「坊や、ちゃんと本を本棚に戻しといてね……脚立そこにあるから」ジロリ

上条「は!はいぃ!!!」ビクゥッ!!

背後から、不意に声を掛けられる。すかさず上条は背後へと振り向く。
この古本屋の老いた店主が、迷惑そうな顔でこっちを見ていた。

そして、思い出したかのように、再びあの赤い本へと視線を戻すと


上条「……あれ?あれ!?どこ行ったあの本!!」キョロキョロッ!!

あの赤い本は、ものの数秒の間に消えていた。

上条「……アレは何だったんだ?本だったらインデックスに聞けばわかるかな?」

狐につままれたような感覚に囚われながら、上条は古本屋を後にする。




一方、古本屋の中では、上条が片付けた本棚を年老いた店主が見つめていた。


「……そうかい。見つけたのかい。やっとあの『聖杯』を殺してくれる人を見つけたんだねぇ……『 』……」


本棚には、あったハズの赤い本が消えている。

店主は嬉しそうに、悲しそうに微笑んでいた。
それは遠い過去を思い返しているのだろう。


あの苦難に満ちつつも、最も充実していた旅を。


「さて……あたしも動くとするかねぇ……何百年ぶりだろうか」ギィィイッ……

店主は古い洋服タンスを開ける。
その中には、赤いずきんが大切に保管されていた。

投下終了です。
ソウルサクリファイスをやった事がある人はわかると思いますが、追体験を行う事で現実の上条さんやらなんやらが力を手に入れていく感じで進めていきます。
知らない方は、何とかわかるように書いていきたいです。ヒマがあれば調べてみるのもあり。魔物の物語は普通に読み物として面白いので。

追体験ではソウルサクリファイスの魔物。
現実では、それに加えてオリジナルの魔物を出していく予定です。
なんせ現代では出なさそうな魔物のいますので。


それではまた。

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