前川みく「首をなが~くして待ってるモォォォ」 (32)

あったかもしれない、キリンアイドルみくにゃんの可能性を探るお話です

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――事務所ロビー

みく「あっ、いた! そこのアナタ!」

P「えっと、俺のこと?」

みく「そうそう! あなたがこの事務所のプロデューサーさんかにゃ?」

P「そうだけど」

みく「評判は聞いてるよ! そんなあなたの腕を見込んでお願いがあるの。このみくのことをプロデュースしてほしいにゃ! 真面目に頑張るし、それに猫耳も可愛いでしょ~? ということで、お願いにゃ☆」

P「いや、そんなこと急に言われても。というか、どこかの事務所に所属してるんじゃないの?」

みく「それは、そうなんだけど……。今の事務所じゃ全然芽が出ないし、プロデュース方針もなんだか適当、っていうか、変っていうか」

P「そうなの? もしかしてその猫キャラもいやいや――」

みく「これは違うにゃ! っていうかキャラじゃなくて、みくは可愛いねこチャンなの!」

みく「……なんだけど、今の事務所は『猫は古い!』って言って、『これからはキリンアイドルだー』って」

P「お、おう」

P(キリンアイドル……)

みく「みく、キャラは立ってるし、お仕事は真面目にするもん! でも、今の事務所じゃもうだめにゃ」

P(キリン、キリン……)

みく「ね、お願いにゃ。この事務所、まだ出来たばっかりなんでしょ? 一応みくには活動実績もあるし、力になれるはずにゃ!」

P(麒麟? KI○IN?)

みく「あなたの腕でみくを可愛くプロデュースしてほしいにゃ☆」

P(キリンアイドル……)

みく「……って、ちょっと! 聞いてる~?」

P「あ、ああ」

みく「で、お返事は? もちろんもちろん~?」

P「あー、確かに君は可愛いし、所属してくれるならありがたい、かな」

みく「うんうん!」

P「でも、その前に一つだけいいかな?」

みく「うん」



P「キリンアイドルって、なに?」


みく「……」

P「いや、もうそれが気になって気になって、途中から上の空でさ」

みく「……」

P「す、すみましぇん」

みく「……わかったにゃ。あんまこの話はしたくないけど」

みく「そのかわり、この話を聞いたからにはみくをプロデュースしてもらうにゃ! これでどうにゃ!」

P「う、う~ん……。わかった、その話、のるよ」

みく「やったにゃ♪」

P「ということで、早くキリンアイドルについて教えてくれ」

みく「アッハイ。実は――」

――数日前・前事務所

コンコン

社長「入ってー」

みく「失礼します。呼び出されたけど、何の用かにゃ?」

社長「前川くん、最近は猫アイドルで売ってるそうじゃない」

みく「みくなりに色々考えた結果だにゃ。その、やっぱり、キャラが立ってるのは大事だと思うし」

社長「いやー結構結構。動物アイドルはね、鉄板だよ、鉄板。ただねぇ……」

みく「?」

社長「猫は古いよー、猫は」

みく(むっ)

みく「そ、そうかにゃ? 最近少しずつ人気も――」

社長「出てないでしょ、あんまり? そこでさ、動物は動物でもキリンアイドルやってほしいわけ」

みく「え? キリン? はっ? えっ?」

社長「そ、キリン。あの首が長ーいやつね。絶対来るって、これから。ということで、明日うちの社員に練ったキャラ見せてあげてね。ヨロシク~」

みく「え、ええ……」

――みく自室

みく「キリンアイドル……」

みく「いやいや、な、何を押し出せばいいの? キリン?」

みく「……事務所からキリン耳とキリン尻尾は支給されたけど、う~ん」

みく「まあ、みくもプロだし? ちょっと頑張って調べてみるかにゃ!……っと、しばらくはねこチャンはお休みだっけ。むぅ……」

みく「何事も頑張れば次につながるはずキリン!……いや、これは違うのかな」

みく「えっと……キリン、キリンっと――」

――前事務所

社員「じゃ、前川さん昨日の今日で大変だろうけどよろしくね。一緒にキリンアイドル、練っていきましょう!」

社員「じゃ、まずは挨拶からどうぞ」

みく「はい! 前川みくだモォォォ」

社員「……ん?」

みく「前川みくだモ――」

社員「いやいやいやいや。えっと、なに? ウシアイドル?」

みく「どこからどう見てもみくはキリンちゃんだモォォォ」

社員「え、ええ……」

社員「っていうか、鳴き声そんななんですか!?」

みく「動画を見るモォォォ!」

社員「うわぁ、ほんとだ。前川さん無駄にリアルですね」

みく「たくさん練習したモォォォ」

社員「ま、真面目なんですね……」

社員(鳴き声に可愛さのかけらもない)

社員「えっと、プロフも少し変えたんですよね。……趣味のキリンカフェ巡りってなんですか、これ?」

みく「やっべ」

社員「ん?」

みく「いやいや、何も言ってないモォォォ。キリンと触れ合えるカフェに行くことだモォォォ」

社員「そんなのあるんですか!?」

みく「え、ないのモォォォ!?」

社員「ないでしょ……」

みく「あー、えっと、カフェでKIR○Nさんが提供しているドリンクを飲むことが、す、好きだモォォォ」

社員(さすがに無理があるでしょ……)

みく「ど、どこでもキリンちゃんと一緒にいたいんだモォォォ!」

社員「えっと、具体的には○IRINさんのどのドリンクが好きなんですか?」

みく「午○の紅茶カムカムレモンティー、だモォォォ」

社員「美味しかったですね、あれ。なくなったの残念だったなぁ」

みく「ほんとだモォォォ」

みく・社員(なんだこのやり取り)

社員「キリンってことは、草しか食べられない? 食べない? 感じですか? 食レポとか無理そうですね」

みく「そ、そんなことはないモォォォ! キリンちゃんもたんぱく質を摂るためにハトなんかも食べるんだモォォォ! だからみくも何でも食べるモォォォ!」

社員「え、ハトを食べてくれるんですか!?」

みく「違うモォォォ! っていうかお茶の間大惨事でしょ、それ!!」

社員「ま、まあ、確かに。えっと、食レポはオッケーですね」

社員「あ、仮に食レポやるとして食べ物は高い位置で、とかお願いする感じですか?」

みく「……考えさせてください」

社員「あー、ダンス、ダンスとかでキリンらしさって出せませんか?」

みく「もちろんだモォォォ! キリンちゃんといえば首! 首をたくさん動かすモォォォ!」

社員「……目立つほどの動かし方出来るんですかね?」

みく「な、なんとか伸ばすモォォォ!」

社員「首を!? どうやって!?!? むしろそれろくろ首アイドルじゃないですか!?!?!?!」

みく「……」

社員「え、えっと、別のアピール探しましょう、ね? ね?」

社員「じゃ、じゃあ、キャッチコピー! キャッチコピーとか考えましたか!?」

みく「! それならお任せだモォォォ」

みく「ん゛んっ」

みく「あなたに会えるのを首をながーーーーーくして待ってるモォォォ♪」

社員「……」

みく「……えっと、どうでしょうかモォォォ?」

社員「あ、まあ、いいんじゃないですかね、はい」

社員(安直すぎるっ! あとその語尾の付け方はおかしい!!)

社員「あと、普段の振る舞いでキリンっぽさを出すとか?」

みく「それも考えてあるモォォォ! 例えば……」

みく「あー、寝てないモォォォ、2時間も寝てないモォォォ、横になって寝た時間なんてほぼないモォォォ」

社員(うぜぇ……)

みく「どうですかモォォォ? キリンちゃんは余り寝ないんだモォォォ!」

社員「そ、そうなんですか、初めて知りました。でも、それは封印しましょう、めっちゃイラッとします」

みく「……キリンちゃんについて調べていてほんとに昨晩はこんな感じだモォォォ」

社員「アッハイ」

社員(酷く濁った眼をしている……)

社員「えっと、さっきから気になってたんですけど……」

みく「なんだモォォォ?」

社員「なんで竹馬があるんですか?」

みく「ふっふっふ、これはキリンちゃんの足の長さを再現するためだモォォォ!」

社員「でも竹"馬"ですよね?」

みく「……き、キリンちゃんはウマの仲――」

社員「あ、ウシの仲間みたいですね」

みく「んもぉぉぉぉおおお!!!」

社員「あ、脚を伸ばす小道具ですもんね、ええ、ええ、大丈夫です! 竹キリン、竹キリン、ね? ね?」

社員(いかんいかん、さっきから前川さんが必死で考えたアイディアに水を差してばかりだ)

社員「! 前川さん、私もキリンについて知ってることがありました!」

みく「ほんとですかモォォォ!?」

社員「あの、なんかバシーンバシーンって首をぶつけるやつ! 喧嘩ですかね? あれやりましょうよ!」

みく「おお! ってなるかーい!!」

みく「誰と首を交えればいいんだモォォォ!? あと、あれはメスを奪い合うための儀礼的な争いらしいモォォォ」

社員「なるほど、百合営業ですね!」

みく「あ゛あ゛ん?」

社員「な、なしの方向ですね……」

社員「ほかには、えっと、えっと……」

社員「あっ、なんかキリンってめっちゃ血圧高いみたいですよ! これでいきま――」

みく「キリンキック!!」

社員「あふんっ!?」

社員(竹馬で殴られた、あ、竹キリンか)

みく「なんでこの年でそんな売り出し方しなきゃいけないんだモォォォ!?」

社員「すいません、何とか力になろうと」

みく(このプロダクションやっぱりやばい……)

社員「ちなみに、今のキリンキックとは?」

みく「キリンちゃんは脚力が強くて、ライオンとかに襲われたときこのキックをお見舞いすることもあるんだモォォォ」

社員「お、ようやく使えそうなキャラクターじゃないですか!」

みく「時にはライオンの頭をかち割るほどの威力だモォォォ」

社員「子どもにはみせられませんね……」

みく「……」

社員「……えっと、話は変わりますけど、調べてみたら、キリンそんな鳴かないみたいですね」

みく「こんの水差し野郎!!」

社員「ま、まあ、私たちも協力するんで頑張りましょう! 社長は絶対キリンアイドルが来るって、言ってましたし! あの社長が言うことですし!」

みく(その社長が言うことだからなぁ)

社員「……あ、この画像、キリンの水飲み姿! 四肢を広げて首を下げて飲むんですね、これやりません?」

みく「や・り・ま・せ・ん!」

みく「……気分転換にテレビでもつけるモォォォ」

社員(なんだかんだキリンキャラを貫いている……)



テレビ『キリンさんが好きです。でもゾウさんのほうがもーっと好きです!』




みく「モォォォォオオオオオオオオオオ!!!」

みく「」バターン!!

社員「あー! そんなにキリンが人気でもないことにショックを受けて、昨晩ほとんど寝てないうえにそこまで興味のないキリンになりきることにストレスを溜めていた前川さんがあああああああ!!!」

――現在・事務所ロビー

みく「ついに睡眠不足とストレスに耐え切れず、そこでぶっ倒れたのにゃ」

P(うわぁ……)

みく「で、キリンアイドルはやりません! って社長に文句言って今に至るにゃ」

P「ちなみにその社長さんはなんて?」

みく「『すまなかった。でも、くやしさを笑顔に』って」

P「そんな、KIRI○さんの『おいしさを笑顔に』みたいな」

みく「あと、『次にキリン替えて(切り替えて)いこう! 悩みだしたらキリン(きり)がないぞ! はっはっは』って」

P「みくにゃんさんッ!!」

みく「……というわけで、あそこを飛び出して噂のプロデューサーさんの元に来たのにゃ! 約束通り、プロデュースしてね☆」

P「……わかった。約束したしな。何よりガッツもありそうだし、こっちとしても嬉しいよ」

P「前川みくさん、いや、みくにゃん。一緒に前の社長をキャッと(cat)言わせてやろうじゃないか!」

みく「……」

P「……あれ?」

みく「えっと、考えさせてください」

P「なんで!?」

おまけ1

千夏「みくちゃん、ちょっといいかしら?」

みく「千夏チャン? みくに用なんて珍しいにゃ」

千夏「今度のお仕事が動物をモチーフにした衣装なの。それでみくちゃんにアドバイスをもらいたいのよ」

みく「おお、それはぴったりな人選にゃ! それで、なんの動物なのかにゃ?」

千夏「キリンよ」

みく「」バターン

千夏「みくちゃん!?!?!?!?」

おまけ2

P「首が伸ばせなくてキリンのキャラクターが出せないー、とかって話あったじゃん」

みく「えー、その頃のことはあんま思い出したくないんだけど……」

みく「で、なに? 首なんて伸ばせっこないし、キリンアイドルはもうこりごりにゃ! みくは自分を曲げないよ!」

P「……でもさ、うちのアイドルなら首伸ばしてくれたりしそうじゃない?」

みく「は? 何言って……まぁ、否定しきれないのが怖いにゃ」

P「実はな、みくにさっき渡したドリンク、志希が合成したあと芳乃が清めて、そのうえ茄子が持ってきたやつなんだよ」

みく「……え?」

P「新しいみくにゃんを、いや、ジラフ前川を見せに行こうな!!」

みく「え? え? ……うわ、めっちゃ首が伸び始めてる!? って鏡に映る姿キモッ!?!?」

P「ドアで頭ぶつけそうになるのがネックかな? 首だけに」

みく「んもうぉぉおお! Pチャンの首飛ばしてやるからにゃああああ!!」

ガバッ!!

みく「……ゆ、夢か」

終わりです。キリンアイドルって何するんでしょうね?
キリンについて詳しい訳ではないので、間違い等あったらすいません。
これからも可愛いねこチャンの前川みくを応援してあげてください。断じてキリンアイドルではない

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