優花里「廃校じゃ無くなったのはいいけど……」 (12)

生徒「恋人になってくれとは言いません!まずは文通友達からでもいいんです!」

優花里「ご、ごめんなさい」

生徒「そ、そんな……」ダッ




優花里「ふぅ……」





みほ「…………」

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優花里「あ、西住殿」

みほ「あ、はい。優花里さん」

優花里「見られたんですね、ちょっと恥ずかしいです…あれ?その手紙、もしかして西住殿も?」

優花里「優勝してからもちょくちょくこういうのってありましたけど大学選抜チームに勝ってから急に増えましたよね」

みほ「実際に艦に降りるところまで行ったから実感がわいたのかも」

優花里「会長殿なんてこの知名度を利用していつか学園艦でラーメン屋でも開こうかな~とおっしゃってましたよ」

みほ「あはは、行列出来そうだね」

優花里「でも結局私の実家みたいになりそうだからやめておくって笑ってました」

みほ「優花里さんの家のお店、興味本位で来る人で行列出来たんだっけ」

優花里「はい……あまりに来すぎて放送流れましたね」

優花里「要約すると『他の店が潰れるから普段行ってる床屋に行ってください』みたいな感じで……」

優花里「すごく恥ずかしかったですよアレ……」

みほ「あはは……」

優花里「それにしてもこんな生活いつまで続くんでしょうね……」

みほ「すぐ収まるかなって思ってたんだけど結構小出しに来るよね」

優花里「好意を向けてくれるのは嬉しいんですが断るたびに罪悪感が……」

優花里「うう……どうにか止める方法はないんですかね……」

みほ「……」

みほ「一応、あるにはあるけど……」

優花里「ほ、本当ですか?」

みほ「誰とも付き合ってないフリーの状態だから告白されちゃうわけだから誰かと付き合っているフリをして噂になれば、って作戦なんだけど」

優花里「な、なるほど」

みほ「……優花里さんさえ良ければ恋人役頼みたいんだけどいいかな?」

優花里「は、はいいいっ!?え、あの、ちょっと、その、えええと」

優花里「は、はい!不肖秋山優花里!西住殿の恋人を務めさせて頂きます!」

みほ「よかったー、じゃあ早速恋人らしいことしよっか」

優花里「こ、恋人らしいことと言われても、急に……」モジモジ

みほ「ほら、手を絡めて……」

優花里「あっ……」ゾクゾク

みほ「?」

優花里「な、なんでもないですっ!」

みほ「後はこれで歩き回るだけだね」

優花里「う、うううううう。考えてみればそうですよね。噂を立てるにはこれぐらいやらないと……」

みほ「」ニコニコ

一週間後

優花里「う、噂されてますよぉ……噂されるのがこんなに恥ずかしいなんて」

みほ「まあじきに噂は別の話題に移ると思うから……」

優花里「も、もう手を繋ぐのはやめにしませんか!?恥ずかしすぎますよぉ……」

みほ「それがね……」

優花里「あ、その手紙、ラブレター貰ったんですね……」

みほ「しかも付き合ってないって看破されてたんだ。他にも何通か」

優花里「わ、私の元には来ていないのに…西住殿のファンは賢いんでしょうか」

みほ「きっと次の噂は急に付き合い始めた私達を疑う内容だと思う」

優花里「ええええええ」

みほ「多分、手を繋いでるだけで他にそれっぽいことやってなかったから疑われたんだと思う」

みほ「だからこの状況を打開するにはもっと過激な事をやるしかないと思う」

優花里「と、というと?」

みほ「優花里さんを完全に恋人扱いにするよ」

優花里「ふぇっ?」

優花里「に、西住殿~」

みほ「みほって呼んでほしいな」ワシャワシャ

優花里「み、みほ殿~」

みほ「うん、何かな?」ワシャワシャ

優花里「あ、あの頭わしゃわしゃーってして貰うのはいいんですがっ」

みほ「うん」

優花里「時々耳をなぞったりする動きが入るのをやめてほしいというか、ぅんっ」

みほ「そうなんだごめんね」ボソッ

みほ「私優花里さんのこと何にもわかってなかったんだね、てっきり満更じゃないのかな~って」ボソッ

優花里「さ、囁くのもやめて、頂きたいですぅ……」

みほ「感じちゃうんだね」ボソッ

優花里「」ゾクゾクゾク

優花里「そ、そもそも、ここでイチャつく意味がないじゃないですか。ここには事情を話しておいてる戦車道関係者しかいないじゃないですか」

みほ「しっー、それが間違いだったんだよ。ほら、これ読んでみて」

優花里「手紙?」

優花里「……あっ、これは……」

みほ「疑念だったのが確信に変わってる。戦車道のみんながバラしたのか偶然聞いたのかはわからないんだけど」

みほ「こうなったら付き合うフリをしていたらその気になって実際に付き合ってしまったっていう体にするしかないよ」

優花里「な、なるほど」

みほ「しばらくは戦車道のみんなにも見せつけて行こう」

みほ「ところで今度の土曜日、夜だけでもいいから空いてる?」

優花里「は、はい。その日は一日空いてますね」

みほ「よかった~、じゃあ日中遊んだ後に私の家に来ない?もちろん泊りで」

優花里「ええと、一応親に聞いておきますね」

麻子「私の元にはもうラブレターなんて届かないんだが西住さんは人気だな……」

カリカリ

麻子「お前はまた交換日記書いてるのか……何冊あるんだそれ?」

沙織「麻子~!代筆して~!」

麻子「それは人としてどうかしてると思う」

沙織「わかってるよ~、どうしてこんなことになったんだろー」

麻子「安請け合いするからだ」

沙織「だって~、あんな言い方されたら断れないよー」

麻子「ちょっと前まであんこうチームのみんなが告白されるところ見た、というか話しているところをそう遠くないところに連れていかれて見えるだけだが」

麻子「お前の時だけやたら粘られている気がするぞ……」

沙織「ええっ」

麻子「お前なら粘れば交換日記ぐらいならいけると思われているんだろうな」

沙織「えええええ、複雑……」

麻子「まあ頑張れ」

麻子「…………」



終わり

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