女提督「甘すぎる…」 (1000)

いつもの

女提督「甘えさせたり甘えたり」
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1422373331

女提督「甘えてもいいんだよ?」
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1429869385

女提督「甘い時間は溶けるように」
https://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1447160420

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1458901091

青葉「………よし、と…準備オッケーです」

提督「準備オッケーって言われても…」

加賀「何をするの?」

青葉「えー、お二人にはこれから質問をします」

提督「質問?」

青葉「はい、いわゆる100の質問ってやつですね」

加賀「私も答えなきゃいけないのかしら」

青葉「もちろん!」

提督「……ろくなことにならない気がするんだけど」

青葉「そ、そんなことないですよ!」

加賀「どうだか…」

提督「ねー…」

青葉(なんなのこの信頼の無さは…)

青葉「と、というわけで!一つめの質問です!」

提督「ええ…やるの?」

青葉「青葉広報には載せませんし撮影もしていませんから!ただの興味本位です!」

提督「…どう?」

加賀「私は構わないけれど…」

提督「じゃあいいよ」

青葉「は、はぁ…」

青葉「おほん…では改めまして、一つめです。あなたの名前を教えてください」

加賀「加賀よ」

提督「狭霧風花、です…」

青葉「さぎり………外のことはあまり知りませんけど、聞かない名字ですねえ」

提督「あー…そうだね、かなり珍しい名字らしいけど…」

青葉「ふんふん…なるほど」カキカキ

提督「…今さらこんなこと聞く必要あったのかな?」

加賀「さあ…」

青葉「では次、年齢を教えてください」

提督「…………」

加賀「年齢と言われても…よく分からないわ」

青葉「まあ加賀さんは仕方ないとして、司令官は?」

提督「…黙秘権を行使します」

青葉「言わなくてもすでに割れてるんですけどね。二十七でしょう?」カキカキ

提督「!??」

青葉「前にお酒の席で言ってましたよ、自分で」

提督「うそぉ!?」

加賀「そんなことを言ったの?」

青葉「加賀さんも居ましたよ。覚えてませんか?」

加賀「…記憶にないわ」

提督「私も全然覚えてないんだけど…」

青葉(この二人、案外お酒飲ませたらダメなタイプなんじゃ…)

青葉「ふむふむ…お二人の性別をどうぞ」

提督「女」

加賀「女」

青葉「今さらですが、女同士の恋愛に違和感は?」

加賀「普通ではないの?」

提督「そういうのはよくわかんないや」

青葉「そうですか…」

青葉「次、あなたの性格は?」

提督「性格……」

加賀「そうね……」

青葉「……………」

提督「……………」ウーン

加賀「……………」ムムム

青葉「……………」

提督「……………」ウーン

加賀「……………」ムムム

青葉(司令官:思慮深い、優柔不断…加賀さん:思慮深い、激情家…と)カキカキ

青葉「次行きましょう、相手の性格は?」

提督「相手の性格?って、加賀のこと?」

青葉「はい、カップル向けの質問ですから」

提督「ああ、なるほど」

青葉「ちなみに結構オトナの質問もありますよ」

提督「えっ」

加賀「……………」

青葉「興味本位で聞くだけですって!ほんとですから!」

加賀「……まあいいわ、この前の写真のお礼ということにしましょう」

青葉「やーりぃ♪」

提督(なんの写真だろう…)

青葉「では改めまして、回答をどうぞ」

提督「そうだなぁ…加賀は弱ツンデレって感じ」

青葉「と言いますと?」

提督「みんなの前じゃ名前で呼んでくれないんだけど、二人っきりになると風花って呼ぶようになるし、スキンシップも増えるんだよ」

青葉「ほー…具体的には?」

提督「んー…手を握ってきたり、頭を撫でてくれたり…他には髪を触ったり唇に触れてきたり…あとは首筋を甘噛みしてくるとか?ちょっとくすぐったいんだけどね」

加賀「…………」

青葉(司令官、気付いてあげてください……それはいわゆるセックスアピールです…気付いてあげてください…)カキカキ

青葉「今度は加賀さんに聞いてみましょうか。司令官はどんな性格ですか?」

加賀「浮気性」

青葉「あー……」カキカキ

提督「ちょっと!?納得するの早くない!?」

加賀「事実だから」

青葉「ですよねぇ…」

提督「そ、そんなことないよ!」

加賀「なら神に誓って言えるの?」

提督「え………」

加賀「……………」

提督「………私、無宗教だから」

青葉「加賀さんも苦労してますねえ…」

加賀「ええ…」

提督「えぇー!?」

青葉「次、お二人の出会いはどこですか?」

加賀「建造ドック」

提督「そう考えると夢もへったくれもないね」

青葉「言われてみればそうですね…じゃあ、もしもう一度出会いをやり直せるならどこがいいですか?」

提督「あー……そうだね、学校がいいなあ」

青葉「学校……その理由は?」

提督「やっぱり、学生の頃から知り合ってたらもっと早く仲良しになれたかもしれないなーって」

青葉「ほうほう、なるほど…加賀さんは?」カキカキ

加賀「建造ドック」

青葉「…理由は?」

加賀「あの場所以外にどう生まれてきてるか想像できないから」

青葉「そうですか…」

提督「夢もへったくれもないね…」

青葉「はい次、相手の第一印象はどうでしたか?」

提督「第一印象かぁ……」

加賀「頼りなさそうと思ったわね。今も変わらないけれど」

提督「え、ちょ、ひどくない?」

加賀「優しそう、とも思ったわ」

提督「あ、ど、どうも…」

青葉「なるほど…司令官は?」

提督「えっと………その、なんだかすごく懐かしい気持ちになったかなぁ」

青葉「懐かしい?」

提督「うん…加賀の仏頂面と髪の結い方、私のお母さんと似ててさ」

青葉「ふむふむ」

加賀(仏頂面…)

提督「それで、ずっとお母さんに憧れてたっていうか、大好きだったから…たぶんその頃から加賀のことは気になってたんだと思う」

青葉「ほぉ…なんだか、割と意外なきっかけですねえ」

提督「こんなこと言うとマザコンだと思われそうだけどね…」クス

青葉「いえいえ、家族想いでいい人だと思いますよ。加賀さんが司令官を好きになったきっかけは?」

加賀「…それは質問のひとつなのかしら」

青葉「え?いえ、違いますが…」

加賀「なら答えない」

青葉(わー、失敗したなぁ…)

提督(そういえば聞いたことなかったっけ…ちょっと残念)

青葉「えー、次で八つ目ですね。相手のどんなところが好きですか?」

提督「ん?うーん……」

加賀「…世話焼きで優しいところね」

青葉「ほう、たとえば?」

加賀「何か困ったことがあれば助けてくれたり、疲れている時は甘いものを出してくれたり…とにかく、気が利くところかしら」

青葉「あー、確かに」

加賀「誰にでもそうして、自覚なしに惹きつけるから欠点でもあるけど…そんなところが好きなの」

青葉「あはは…言えてます」

提督「う〜ん……」

青葉「さて、司令官は?」

提督「んーと……ちょっと待ってね…」

青葉「おや…好きなところ、見つからないんですか?」

加賀「…………」

提督「あ、いや、そうじゃなくて…」

青葉「はい」

提督「好きなところが多すぎて…どれにしようか迷っちゃって」

青葉「あーーー………」

加賀「」ブッ

青葉(砂糖吐きそう…)シラー

提督「…あ、あれ?変なこと言った?」

青葉「いえ、気にしなくていいですよ。次行きましょうか」

提督「え、う、うん…加賀?なんで顔覆ってるの?加賀?」ユサユサ

加賀「」プルプル

青葉「では逆に相手のどんなところが嫌いですか?」

加賀「寝起きの機嫌が最悪なところ」

提督「夏場一緒に寝ると暑いところ」

青葉「どうして二人とも嫌いなところはすぐに出てくるんですか」

提督「だってほんとに暑いんだもん、体温高いし抱き付いてくるし…」

加賀「いつも先に抱き付いてくるのはあなたでしょうに」

提督「違うよ!寝てる時は加賀が抱き付いてくるの!しかも寝相悪いからそのあと蹴ってくるし!」

加賀「そんなことを言ったらあなただってこの前寝ぼけて私の枕を投げ飛ばしていたでしょう」

提督「ね、寝てる時のことなんて覚えてないもん」

加賀「寝返りをうったら布団を持っていく上に、それを離そうとしないのはやめなさい」

提督「そ、そんなこと言ったら加賀だって!」

ギャーギャー

青葉(仲良しですねぇ…)カキカキ

青葉「まあまあお二人とも、落ち着いて…あなたと相手の相性はいいと思いますか?」

提督「思う」

加賀「思わなかったら指輪なんて受け取らないわ」

青葉「ですよねー…はい次、相手のことをなんて呼んでますか?」

提督「加賀」

加賀「提督」

青葉「まあ普通ですね。次、相手になんて呼ばれたいですか?」

提督「私のことならなんでもいいかな」

加賀「加賀以外にないわ」

青葉(ラブラブだなぁ…)カキカキ

青葉「えーでは、相手を動物に例えるとなんになりますか?」

提督「動物ねえ…」

加賀「猫ね」

青葉「ネコの間違いでは?」

加賀「そうでもあるわ」

青葉「あはは、やっぱり」

提督「うーん……」

青葉「まだ決まりませんか?」

提督「いや……加賀は犬じゃないかなあ…結構積極的だし」

青葉(やっぱりネコだなあこの人…)

青葉「相手にプレゼントをあげるとしたら、何を渡しますか?」

提督「プレゼント……かぁ…」

加賀「日頃の感謝を込めて花束を贈ってあげたいわね」

青葉「ふむふむ、花束…と」

加賀「言葉で意思を伝えるのが苦手だから…こうでもしないと伝わらないと思って」

青葉「まあ、加賀さんって口下手なところありますもんねえ」カキカキ

加賀「ええ…」

提督「プレゼントねー……やっぱり、温泉旅行とかに連れて行ってあげたいな」

青葉「温泉旅行かあ…いいですねえ」

提督「ほら、戦闘とかしてたら疲れも溜まるだろうし…それを癒してあげられたらなって」

青葉「なるほどぉ、戦闘の疲れを銭湯で癒すわけですね」

提督「つまんな」

青葉「…………」

加賀「ふっ…くくく…」

青葉「き、気をとり直して。プレゼントをもらうとしたらどんなものが欲しいですか?」

提督「今度はもらう側か…」

加賀「……多くを求めるつもりはないわ」

青葉「そ、そうですか。司令官は?」

提督「うーん……私も、かまってくれるだけでいいかなー」

青葉(無欲ッ!)

青葉「んー…じゃあ次の質問も聞く意味がなさそうですねー」

提督「どんなの?」

青葉「いえ、お互いに不満に思うことはあるのかと」

提督「ある?」

加賀「ないわ。あなたは?」

提督「私もない」

青葉「ですよねー」

青葉「そんなにないものですかねえ?」

提督「ないって言ったら嘘になるけど……自論なんだけどさ、恋人同士の間にあるものって友情の延長線だと思うんだ」

青葉「はいはい」

提督「恋人だからって変な考えを持ちすぎずに、友達と同じように接していれば不満なところなんてなくなるよ。そんなところも好きになっちゃうし、嫌いなところよりも好きなところの方が多く見えてくるようになるの」

青葉「あー、なるほど」

加賀「そうね、友情の延長線ならずっと仲良くいられるものね」

青葉「…二人ともその考えなら、どこを見ても仲良しなのも頷けますね」

提督「自論だけどね」

青葉(入る隙間もなさそうだなぁ…)

青葉「えーと…では、あなたの癖をお聞かせください」

提督「癖?癖……癖かぁ…」

加賀「そう言われてみると、自分ではなかなか分からないものね…」

青葉「思い当たるものでいいので、なにか」

提督「うーん……あー、暇になるとすぐ寝ようとしちゃうところかなあ…」

青葉「司令官、どこでも寝ますもんねえ。この前なんて堤防で寝てましたよ」

提督「あれは…海を眺めてたらなんだか眠くなっちゃって…」

青葉「それにしても普通外で寝ませんよ…」

提督「陽射しが気持ちよかったから…」

青葉「まあ確かにそんな時期ですけど…」

加賀「……そうね、考え事をする時は口元に手を当てる癖があるわ」

青葉「ふむふむ、やっぱり無意識的にやってることなんですかね?」

加賀「ええ、その方が落ち着くから」

青葉「確かにそうですね、青葉もよくペンを口に当てて考え事します」

提督「前に本で読んだんだけど、そういう人って甘えたがりらしいよ」

青葉「へー、じゃあ加賀さんも甘えたがりなんですねえ」カキカキ

提督「割とね。青葉もでしょ」

青葉「どうでしょうかねえ、えへへ」

青葉「では今度は相手の癖をお聞きしましょうか」

提督「加賀の癖……結構あるなー」

青葉「ほう、たとえば?」

提督「髪が気になるのか、サイドテールの先っぽをいじったりとか…」

青葉「はい」カキカキ

提督「あと、退屈な時に足をぱたぱたさせるとか」

青葉「意外と可愛らしいですね」カキカキ

提督「でしょ?普段メジェドみたいな顔してるから分からないけど、よく見てみると可愛いところもいっぱいあるんだよね」

加賀(メジェド…)

青葉「では加賀さん、司令官の癖はどうですか?」

加賀「………本を読んでいると、よく変なやり方で眼鏡をかけ直しているわ」

青葉「変な…とは?」

加賀「手の甲で…こんな風に、涙を拭うように眼鏡を押し上げるの」

青葉「へぇえー…珍しいですねえ」

提督「指紋が付くのが嫌だから…治そうとは思ってるんだけど、昔っからの癖でなかなか治らなくて…」

加賀「私は別にいいと思うけれど」

提督「…まあ加賀がそう言うなら…」

青葉「時にお二人、初めてのデートはどこでしたか?」

提督「デート…どこだっけ?」

加賀「覚えていないの?」

提督「うん」

加賀「確か……」

提督「うん」

加賀「…………」

青葉「……確か?」

加賀「………どこだったかしら」

青葉「」

提督「というか、私たちって二人で出かけたことあったっけ?」

加賀「……ないわね」

青葉「えぇー…そりゃ覚えてないわけですよ…」

提督「行こう行こうとは思ってたんだけど、なかなか暇がなくて…」

加賀「また今度改めて予定を組みましょう」

提督「そだね、どこに行きたいか決めておいてね」

加賀「ええ」

青葉(結果オーライ、かな…)

青葉「うーん、ならこの先の質問がいくつかつぶれちゃいましたね」

提督「どんな質問だったの?」

青葉「その時の雰囲気はどうだったーとか、そのデートでどこまで進んだのかーとか」

提督「あー、なるほど」

青葉「仕方ないですし、次の質問いきますね。告白はどちらからでした?」

提督「私」

加賀「私」

青葉「?」

提督「え?」

加賀「ん?」

提督「ちょっと待って」

加賀「なに?」

提督「告白したのって私だよね?」

加賀「いえ、私よ」

提督「……あれぇ?」

青葉「え?ど、どっちなんですか?」

提督「私のはずなんだけど…え?違うの?」

加賀「違うでしょう、私からしたのを覚えているわ」

提督「???」

青葉「???」

加賀「???」

提督「えーと……一応聞くけど、どこで告白した?」

加賀「堤防」

提督「中庭じゃなかったっけ」

加賀「堤防。昼に」

提督「私の記憶だと夜なんだけど…」

加賀「あなたが『私のことどう思ってる?』と聞いてきたから好きよと答えたのだけど」

提督「あの時の!?告白だったの!?」

加賀「そうよ」

提督「えっ…じゃあ加賀からしたらあの時からもう私たちはカップルになってたってこと?」

加賀「ええ」

提督「……私、全然自覚なかったんだけど……」

青葉(うわあ、天然ジゴロの本領発揮だ…)

提督「じゃ、じゃあ私が勘違いしてたあの夜までその関係についてはどう思ってたの?」

加賀「かなり初心な恋仲だと思ってたわ。性交渉どころか接吻もしないなんて」

提督「あの夜のことは?」

加賀「改めて何を言い出すのかしらこの子はと思ったわ」

提督「えっと……なんていうか、本当にすみませんでした…」

青葉「な、なんか…色々あったんですね…」

加賀「正直私もかなり驚いてる」

提督「私も、そんな齟齬があったなんて」

青葉(色々とズレたカップルだなぁ…)

青葉「えー…では、浮気を許せますか?」

加賀「それを私に聞くの?」

青葉「まあ、質問ですから…」

加賀「許せなかったら私たちはとっくに終わっているわ」

提督「そ、そうだね…」

青葉「ですよねー…」

加賀「けど、さすがに駆逐艦の子に手を出した話を聞いた時は頭を抱えたわ」

提督「うっ」

青葉「加賀さん、ほんとに苦労してますね…」

青葉「じゃあ、司令官はどうですか?」

提督「私も浮気してる身だから人のことは言えないけどさ……できればしてほしくはないかなあ」

青葉「それは傲慢すぎませんかねえ」

提督「わ、分かってるけど!でも、やっぱり浮気はダメっていうか…ほら、ケッコンもしてるんだし…」

青葉「どう思いますか加賀さん」

加賀「クズね」

提督「クズ!?」

提督「わ、私は他の子の愛に応えてるだけであって決して浮気してるとかそういうつもりは…」

青葉「夫や恋人のような人がいながらそういうことをするのを一般的に浮気って言うんですよ」

加賀「少しは自分の行動を悔い改めなさい」

提督「……はい…」

青葉「でもまあ、司令官の愛されぶりを見てると浮気するのも仕方ないとは思えますがねえ」

加賀「は?」

青葉「どうですか司令官、青葉に浮気してみませんか?」

提督「青葉かあ…青葉も可愛いね」

青葉「でへへ、照れますよぉ」

加賀「おい」

二人「「ひぃっ」」

青葉「じゃあ……もし死ぬなら先か後、どちらがいいですか?」

提督「えぇー…そんな難しい質問する…?」

青葉「お二人の愛を計りたくて」

加賀「悪趣味ね…」

青葉「う、すみません」

加賀「まあ、いいけど…そうね、先に逝ってこの子を悲しませるのも嫌だし、私一人で残されても苦しいだけよ」

提督「私もそうかなぁ、置いて行かれるのも嫌だし先に一人で逝くのもやだ」

青葉「はあ…でも、それだとどちらにしても悲しむことになるのでは?」

提督「心中すればいいでしょ」

加賀「心中すればいいんじゃないかしら」

青葉(真顔で何言ってんだこいつら)

提督「まあまあ、心中なんて絶対ないでしょ!あははは!」

加賀「そうね、ふふ」

青葉「ですよねー!あっはっはっは!」

提督「……………」

加賀「……………」

青葉「……………」

提督「………なんか頭痛くなってきた」

加賀「ええ…」

青葉「……もうやめましょうか、この話」

提督「だね…」

青葉「えーでは、初Hはどこでしたか?」

提督「」ブッ

加賀「いきなりね…」

提督「そ、そ、そんなの聞いてなんになるの?」

青葉「だから興味本位だって言ってるじゃないですか」

提督「で、でも…こういうのはプライベートに関することっていうか…」

青葉「加賀さん、どこでしましたか?」

加賀「……この子の部屋のベッドで」

青葉「ほぉー、なるほどぉー」

提督「ちょっと!?」

加賀「なに?」

提督「な、なんでそんなに素直に答えるの!?お金でももらったの!?」

加賀「別に聞かれて困るものでもないでしょう」

提督「困るよ!恥ずかしいでしょ!?」

加賀「私は別に…」

提督「えぇ!?なんで!?」

青葉「今さら聞くことでもないですが、どちらが攻めでしたか?」

加賀「私」

青葉「ですよね。司令官、どんな反応でしたか?」

加賀「何をしても可愛い声で啼いていたわ」

青葉「なるほどぉ…」カキカキ

提督(今すぐにこの場を去りたい……)/////

青葉「初夜の朝、目覚めた時の最初の一言はなんでしたか?」

提督「……なんて言ってたっけ」

加賀「眼鏡とって、と」

提督「そんなこと言ったっけ」

加賀「寝ぼけてたから」

青葉「司令官らしいですねえ」

加賀「その後自分が裸なのに気付いて慌てていたわ」

青葉「あー、それも司令官らしいですねえ…」

提督「あぁー!!思い出しちゃったぁー!!」

青葉「えー…では、普段どういう内容のプレイをしていますか?」

加賀「………言ってもいいの?」

提督「いいよもう…今さら何聞かれても恥ずかしくないし…」

加賀「そうね…いわゆるSMというやつかしら」

青葉「SMゥ!?」

加賀「ええ、軽めのものだけど」

青葉「え、じゃあやっぱりその…鞭?とか使うんですか?」

加賀「たまにね」

青葉「はええ…」

青葉「え、痛くないんですか?」

提督「そりゃ痛いよ…」

青葉「ならなんでするんですか?」

加賀「愉しいから」

提督「痛いのが気持ちいいんだもん…///」

青葉「…………」

提督「そ、そんな目で見ないでよ!変な趣味だってことは分かってるけどさ…」

青葉「はあ〜…つまり司令官はマゾなんですねえ」

提督「う…」

青葉「でも、やっぱりこういうのって痕とか残るんじゃないんですか?」

加賀「そうね、二日ほどは残るみたいね」

青葉「あっ、そんなもんなんですね。でも他の子に見られたりしないんでしょうか」

加賀「その見えるか見えないかのところに痕を付けるのが愉しいのよ」

青葉「あー、なるほど!楽しそうですねえ」

提督(この二人絶対ドSだ…)

青葉「えーと…では、割と大事な質問をしましょうか。もしも親友が『今夜だけ寂しいから』と求めてきたら受け入れますか?」

加賀「……難しい話ね」

提督「うーん…」

加賀「そうね…恋人がいなければ受け入れられるかもしれないけれど、今の私には無理ね」

青葉「おー、カッコいい答えですね。司令官はどうですか?」

提督「え……」

青葉「…………」

加賀「…………」

青葉「どうなんですか?」

提督「うっ…」

提督「そりゃあ、恋人がいる身でそういうことをするのはダメだって分かってるけどさ……でも、親友だって大切な人なのに変わりはないし…もし突き放して嫌われるようなことがあったら嫌だし…」

青葉「うわあ…」

加賀「チッ…」

提督「なんで!?真面目に答えたでしょ!?」

青葉「あーあー、これ以上ないメンヘラレズビッチ発言が飛び出しましたよ。どう思いますか加賀さん」

提督「メン……」

加賀「こんな考えをしているのなら浮気するのも頷けるわ」

青葉「ねー、とんだ尻軽ですねー」

提督(好き放題言われてる…)

提督「はぁ……なんでかな、すごい疲れてきた…」

青葉「まだ半分も終わってませんよ?」

提督「えぇ…お腹空いた…」

青葉「まあまあ、お昼には少し早い時間ですから最後まで頑張りましょう」

提督「はあ…」

〜〜〜

青葉「……はい、これで全部ですね」

提督「あぁーやっと終わった…加賀、ご飯食べに行こう」ガタ

加賀「ええ」

青葉「あ、ちょっと待ってください!」

提督「うぇ、なに?」

青葉「最後に一つだけ、相手に一言どうぞ」

提督「一言?えーと…」

加賀「…いつもありがとう、くらいでいいかしら」

青葉「照れてます?」

加賀「割とね」

提督「あ…そうだ、一言といえばさ」

加賀「?」

提督「加賀、洗濯する時洗濯機に水入れてるでしょ?あれはやらなくていいことだからね?」

加賀「え…そうなの?」

提督「今の洗濯機は自動で水も入れてくれるから、洗濯物放り込んで洗剤と柔軟剤入れたらスイッチ押すだけ、わかった?」

加賀「ええ…」

提督「あと私のパソコン使う時に許可なしに海外のサイトとか行かないこと、この前変なソフトとか勝手にインストールされてたの忘れたの?」

加賀「いや、それは…」

提督「それと、タオルは洗濯バサミでちゃんと止めて干すこと。風が強い日に何枚も飛んで行って大変だったんだからね」

加賀「ごめんなさい…」

提督「次から気をつけてくれればいいけど…あ、あと…」

加賀「え、ええ…」

青葉(どっちが尻に敷かれてるのか分からないな…)

100の質問(大嘘)おわり
ダークソウル3が楽しくてあんまり更新してませんが許してくださいなんでも許してください


最初のスレから見てきて思ったんだが…
>>1、ちょっと耳を…

(この鎮守府に扶桑姉様達はいないんですか!?)ヒソヒソ

>>74
(出てないだけで)い、居ますよ…
話の構成的になかなか出す機会がなくて…

提督「……はっ、くしゅん!…うぅ」

バサ

グラーフ「大丈夫か?」

提督「あ、グラーフ…うん、ありがとう」

グラーフ「そろそろ冷えてくる時期だからな…風邪には気を付けてくれ」

提督「うん…グラーフは平気?」

グラーフ「私なら心配ない、母国の冬に比べたらここはまだ暖かいさ」

提督「へー…そうなんだ」

グラーフ「…上着だけでは足りないな。コーヒーを淹れてくる」

提督「あ、うん」

コト

グラーフ「ほら、Admiralの分だ」

提督「ああ、ありがとう」

ズズ…

提督「ふぅ……」

グラーフ「どうだ?」

提督「うん、美味しいよ」

グラーフ「フフ、ならよかった」

提督「私、実はコーヒーって苦手な方なんだけど…グラーフのは甘くて好きだなぁ」

グラーフ「そうなのか…なら、私はAdmiralの特別になれたということだな」クス

提督「ふふ、そうだね」

明石「ということがあったんですよ!!」ガァン

整備士「はあ」

明石「おかしくないですか!?」ガンガン

整備士「そうっすね、とりあえずあんまり艤装叩いちゃダメっすよ」

明石「はーい…」

整備士「まあおかしいってのは分かるっすけどねえ」

明石「ですよね、つい最近来た新入りなのに落ちるの早すぎじゃないですか」

整備士「んー…まああの人モテるみたいだしいいんじゃないっすか?」

明石「それにしたってモテすぎですよ」

整備士「そうっすかねえ、高校生の頃からあんな感じっすけど」

明石「え、そうなの?」

整備士「そうっすよ」

整備士「あたしは学年違ったんであんまり見てないんすけど、帰るときに教室行ったら割と色んな子に話しかけられたりしてたっす」

明石「へー、そうなんだ」

整備士「あと何回か女の子にも告白されたって聞きましたねえ。実際、あたしも先輩の下駄箱に恋文入ってるの見ましたし」

明石「同性からの?」

整備士「男の人からも何通か入ってたことがあるらしいっすよ」

明石「性別問わずモテるんだ…」

整備士「そりゃまああんだけ美人で人当たりも面倒見もよかったらモテるんじゃないっすかね、男の人からの恋文は全部雪さんが破いて捨ててたっすけど」

明石「雪さんって雪菜さん?」

整備士「そうっす」

明石「こわっ」

明石「はぁー、そんなにモテる人だったんですか」

整備士「そりゃまあ…特に男の人は、あの大きいものに釘付けっすから…」

明石「ああ…」

整備士「…ちなみにあたしは先輩がいたせいでまったくと言っていいほど注目されなかったっすけどね…」

明石「ああ……」

整備士「ないわけじゃないんすけどね…やっぱ近くに大きい人がいたら相対的に小さく見えるもんなんすね…」ズーン

明石(わ、話題変えなきゃ…)

明石「あー…えっと、提督って昔からそんなに大きかったんですか?」

整備士「あー、そっすねえ。知り合ったのが高校生の頃だったもんであんまり昔のことは知らないんすけど、雪さんに聞いてみたら中3の頃からはもう一目見て分かるくらいには成長し始めてたそうっすよ」

明石「へー…いいなー」

整備士「本人は重いし運動するときに邪魔だって言ってたっすけど、やっぱり女としては羨ましい限りっすよねえ」

明石「ねー…ああ、一度でいいから鷲掴みにしてみたい…」

整備士「あたしそれやったことあるんすよ」

明石「えっ、うそ!?どうだった!?」

整備士「すんげえ柔らかかったっす、女の子の重みを感じたっす」

明石「えぇーいいなぁー…私もやりたい…」

整備士「そのあと背負い投げされたんすけどね」

明石「……やっぱり遠慮しようかな…」

ガチャ

提督「明石ー、葵ちゃーん、ご飯だよー」

明石「あ、提督」

整備士「うぃーっす、これ終わらせたら行くっすー」

提督「温かいうちに食べてほしいから早めにねー」

整備士「あーい」

バタン

整備士「……やっぱナチュラルにああいうこと言えるのが天然たらしの所以じゃないっすかね」

明石「そうですね、無自覚に口説いてるみたいなものですしね」

整備士「あたしもそのクチっす」

明石「あ、私もです」

整備士「……お互い苦労してるっすね…」

明石「そうですね……」

どこから出てきた整備士と明石の愚痴おわり
一年くらい前に整備士の葵ちゃんは仕事やめてニートしてたのを整備士として雇われた後輩です

そういえば巷では死んだふりドッキリが流行っているそうで…(ゲス顔)

金剛「どうぞ、テイトクのcupネー!」カチャ

提督「ああ、ありがとう」

金剛「〜♪」

提督「楽しそうだね、金剛」

金剛「イエース、テイトクと二人っきりでTea timeなんて滅多にありませんからネー」

提督「…そうだね」

金剛「……?どうしマシタ?元気がないみたいデース」

提督「え…そ、そう?」

金剛「ハイ、少し暗い顔ネ」

金剛「もしかして悩みでもありマスカ?」

提督「あ……いや、えっと…」

金剛「テイトクがそう言う時はいつも何かある時ネー、話だけでも聞かせてクダサイ」

提督「…………」

金剛「…そんなにheavyな話デスカ?それとも、ワタシには言えない話?」

提督「……ううん。金剛にも、言っておかなきゃいけないね」

金剛「………?」

提督「落ち着いて聞いてね」

金剛「は、ハイ」

提督「私、あと3ヶ月しか生きられないの」

金剛「………はっ?」

提督「ガン…だって。もう手遅れ」

金剛「あ、え…なん、で…そんな…」

提督「前々から兆候はあったんだけどね……職業柄、検査に行く暇がなくてね、あはは」

金剛「……どうして…笑っていられるんデスカ…」

提督「…なんでだろうね。覚悟ができちゃってるのかも」

金剛「嘘だって…言ってクダサイ…」

提督「………ごめん」

金剛「っ……!!」

金剛「本当…なんですネー…」

提督「うん…だから、こうして金剛と一緒にお茶を楽しめるのもあと少しだけ」

金剛「……っ……」ウルッ

提督「…悲しいなら泣いてもいいんだよ」

金剛「No…」グスッ

提督「え?」

金剛「テイトクに涙を見せるなんてワタシらしくないデース!ほら、テイトクもsmile!」ニコ

提督「……うん」

金剛「っ、ふ……」ゴシゴシ

提督「…………」

金剛「…では改めて、紅茶を淹れマース!」

提督「うん……うっ!?」グラッ

金剛「ッ!?て、テイトク!?」

提督「ぐ、ぁ……金…剛……」バタン

金剛「テイトク!テイトク!!」ユサユサ

提督「……………」

金剛「テイトク…No……ワタシ、まだ…っ…!」

提督「……………」

金剛「うっ…うっ、うう……」ポロポロ

提督「……金剛」ポン

金剛「え……?」

提督「い、いぇーい…」つ【ドッキリ大成功!】

蒼龍「いぇーい!」

飛龍「ドッキリ大成功ー!」

金剛「………………」

提督「…………」ダラダラ

蒼龍(あっこれヤバイやつだ)

飛龍(やばっ)

金剛「……Joke?」

提督「い、いえす」

金剛「………………」




\バッチィイイイイイン/

金剛「ワタシ、本気でangryネ」

提督「はい」ヒリヒリ

飛龍(…す、すごかったね…)ヒソヒソ

蒼龍(ね…ビンタで身体吹っ飛ぶとは思わなかったよ…)ヒソヒソ

金剛「…でも、本気で安心してマース」

提督「はい…ん?」

金剛「テイトクがいなくならなくて…よかっ、だあああああん!!」ガバッ

提督「ふぎゃ!?」

金剛「テートクゥゥウウウウウウ!!!」ギュゥゥゥゥゥゥ

提督「ぐぎゃあああぁ!!?」メキメキ

蒼龍「うわぁ!?ほ、ほんとに死んじゃう!」

飛龍「ダメー!」

提督「というわけで、色んな子にこんな感じのドッキリを仕掛けたいと…こ、金剛…」

金剛「ン〜♪テートクゥ〜♪」ムギュー

提督「そろそろ離れてもらっても…」

金剛「No!」

提督「だよね…」

金剛「ところでテイトクー、このPlanを考えたのは誰デスカー?」

提督「え?そこの二人だけど…」

金剛「へえ……」チラッ

蒼飛龍「」ビクッ

金剛「あとで覚悟しておくネー」

蒼飛龍「」ガタガタ

提督「で……これ、まだ続けるの…?」

飛龍「もっちろん!!」

提督「なんていうか、すでに胸が痛いんだけど…」

蒼龍「大丈夫大丈夫、責任は取るから!」

提督「そういう問題じゃないんだけど…ほら、金剛からも何か言ってあげてよ」

金剛「ンー?ワタシはいいと思いマース」

提督「えっ」

金剛「自分で見る分には楽しそうネ」ニヤ

提督「……………」

飛龍「ほらほら、少数派は提督だよ?どーするの?」

提督「……ああもう!わかったよ、やればいいんでしょやれば!その代わりあとで罰は受けてもらうからね!」

飛龍「はーい!」

蒼龍「やったぁ!」

蒼龍「さっきはどちらかというと宣告ドッキリだったから、次は本格的に死んでみよっか!」

提督「本格的に死ぬってなに!?」

飛龍「まあまあ、ただ死んだふりするってだけだから安心して」

提督「えぇ…私、そんなのできないんだけど…」

蒼龍「一応血のりとかも準備してあるんだけどなー」スッ

飛龍「なんならほら、明石さんが配合した仮死薬もあるし」スッ

提督「なんでそんなに用意周到なの…いいよ、血のりだけでなんとかするから…」

蒼龍「おっ、じゃあ期待してるね!」

飛龍「それじゃ執務室で死んだふり、よろしく!」

提督「はーい…」

ガチャ

蒼龍「さてさて、私たちは別室のモニターで様子を見てようか」

金剛「Wow…Cameraが付いてるんデスカ?」

飛龍「そうそう、この日のために大淀ちゃんに執務室と提督の私室周りに小型の隠しカメラを付けておいてって言ったの」

蒼龍「目的を言ったらドン引きされたけどね」

金剛「そりゃそうデース」

蒼龍「それじゃ提督の様子を……」ポチッ

飛龍「うわあ…すごい、血の海が広がってる…」

蒼龍「ドッキリとは分かっててもリアルすぎてちょっと怖いね…」

蒼龍「えっと、確か回線は…これかな」

ポチッ

蒼龍「提督、聞こえる?」

『え?……ああ、このマイクね。うん、聞こえてるよ』

蒼龍「今モニターから見てるんだけど、ほんとに死んでるみたいだよ」

『そ、そうなんだ…なんか複雑な気分…』

蒼龍「これならさすがに入ってきた子も騙せるんじゃない?すごいリアルだし」

『うん…ところでさ』

蒼龍「なに?」

『軍服の替え…あるんだよね?』

蒼龍「あるある、心配しないで」

『そっか、よかった…』

飛龍「あ、誰か来た!」

蒼龍「…みたいだから、こっちの音声は切るね。あ、そっちは点けたままでよろしく!」

『う、うん』

カチ

蒼龍「これでよし、と…」

金剛「来たのは誰デスカー?」

飛龍「えーと…この赤髪に水着は……」

蒼龍「…あっ……」



168『…………』



三人(((ヤバイ)))

蒼龍「これ、下手したら大変なことになるんじゃ…」

飛龍「す、すぐに出られるように準備しておいた方がいいね…」


ーーーーー

提督(机の裏でもたれかかるようにして…近くにナイフを置いて…後は温めた血のりを…)

提督(…これでよし…さてと、誰が来るんだろう…)

コンコン

「司令官、いる?」

提督(この声はイムヤ…まあ、イムヤなら大丈夫なはず…)

「……入るわよー?」

ガチャ

168「司令官、いないの?」

提督(いますよー…)

シーン…

168「……むぅ…せっかくお昼に誘おうと思ったのに…」

提督(気持ちはありがたいけど、またカレーだろうなあ…美味しいけどさすがに飽きるというか…)

168「………?…なにかしら、この赤いの…」

提督(あ、気付いた…?)

スタスタ

168「…ひッ!?」



蒼龍『うわあ、いい反応…』

飛龍『一気に表情が変わったね…』

168「司令官!?どうしたの司令官、ねえ!」ヒシッ

提督「う……イム、ヤ…」ググ

168「司令官…!何があったの!?誰がこんなこと…」

提督「分から、ない…いきなり……ごほっ!」

ポタポタ

168「……!!喋らないで、すぐ人を呼んでくるから!」

提督「ううん…私、もう…ダメみたい、だから…」

168「っ…!そんなことない!司令官が死ぬなんて、そんなの…」

提督「最期の……お願いだか…ら…そばにいて…」スッ

168「司令…官…」グイ ギュ



金剛『ものすごい演技力ネー…』

蒼龍『ね、提督ってほんと変なところまでスペック高いよね…』

提督「ごめん……ね…私が、不甲斐ない…せいで…」フルフル

168「ううん…悪いのは司令官にこんなことをしたヤツなんだから…司令官は…」ギュウ…

提督「さい、ご…に、そばにいてくれるのが……イムヤで、よかっ…た…」

168「司令官……!」ブワッ

提督「あり……が、と………う……」

スル…

トサッ

168「司令……官…?」

提督「……………」

168「司令官……司令官…!いやあっ…!いやよ、司令官…!」ポロポロ




蒼龍『うわ…こっちまで泣きそう…』

飛龍『…そろそろ行く?』

蒼龍『だね…』

金剛『Wait!まだ何かしてるネ…』

蒼龍『え?』




168「……………」

168「………司令官………」

スッ

168「……そっか……このナイフか…」

168「これだけ血が出てたら……無理よね…」

168「司令官………一人で…痛かったんだよね…」

168「……………」スッ

グッ

スパッ



三人『『『!!??』』』

ポタ…ポタ…

168「……痛い…」

168「……………」

168「でも…司令官は、もっと痛かった……」

168「痛かったんだよね……司令官…」スッ

クチャ

168「ごめんね……私もすぐに追いつくから…」カチャ



蒼龍『うわぁ!?さ、さすがにこれはまずい!』

飛龍『と、止めに行かないと!』ガタッ

168「……………」プツッ ツー

バンッ

蒼龍「ま、待ったー!!」

168「え…?」

飛龍「ど、ドッキリ!ドッキリだから!ほら、提督も起きて!」

提督「う、うん…」ムク

168「…………??」

蒼龍「と、とりあえず止血が先!早く向こうの部屋に行こう!」

〜〜〜

168「…………」ムスッ

提督「い、イムヤ…そろそろ機嫌直して…」

168「イヤ」プイ

提督「あぅ…」

168「司令官なんて…大っ嫌いなんだから…」ツーン

飛龍「ま、まあまあ…イムヤちゃん、そろそろ許してあげても…」

168「企画した人が言うことじゃないわよね」

飛龍「うっ…」

蒼龍「て、提督…なんとかしてよ…」ヒソヒソ

提督「そう言われても…悪いのは私たちだし…」ヒソヒソ

蒼龍「そりゃそうだけどさぁ…」ヒソヒソ

提督「うー…い、イムヤ…」

168「…………」

提督「そのぉ…こんなドッキリ、悪いとは思ってるんだけど…あの、イムヤがあそこまでしてくれたのは正直…嬉しいかなって」

168「…………」ピクッ

提督「だからってわけじゃないけど…イムヤに嫌われるのも嫌だし、許して欲しいな…」

168「…………」

提督「なんなら、一つだけイムヤの言うことなんでも聞くから…」

168「………なんでも?」チラッ

提督「うん、なんでも」

168「なんでもするの?」

提督「イムヤが言うならなんでもするよ」

蒼龍(これ下手したらまずいやつじゃ…)

168「……じゃあ、これ」シュル

提督「え?ガーゼと包帯、外して大丈夫なの?」

168「ううん、まだ血も止まってない」

提督「……??なら、なんで…」

168「首…司令官のせいで切っちゃった」

提督「う、うん」

168「舐めて?」

提督「えっ」

168「なんでもするんでしょ?」

提督「え、そ、そうだけど」

168「じゃあほら、ここ」クイ

提督「う、うん…」

提督「じゃあ…いくよ…」スッ

168「うん」

提督「……………」

チロ…

168「っ……」

提督「……痛くない?」

168「ええ…続けて」

提督「ん…」

ペロ

168「あっ……はぁ……///」ゾクゾク

飛龍(……なにこれ)

蒼龍(なんだろうこれ…)

提督「…………」ペロ…

168「あぁ…はぁ…///」

提督(血の味…やっぱり、美味しいとは思えないけど…なんだか変な感じ…)レロ…

168「んっ、あ…噛んで…」グイ

提督「はむ…」カプ

168「んんっ…///」ゾクゾク

提督(すごい反応してる…気持ちいいのかな)チュ ペロッ

168「ぅあ…はぁ、はぁ…」ギュ

提督(いつまで続ければいいんだろう…)チュウ

蒼龍(いつまでやってるんだろう…)

飛龍(いつまで続くんだろう…)

金剛(絵面がヤバすぎるネー…)

提督「あむ……」アグ

168「んっ…ふぅ…もう大丈夫、満足したから」

提督「ん…わかった」スッ

蒼龍(うわ…糸引いてる…)

168「ふふふ…司令官の証、付けてもらっちゃった」サスサス

提督「えーっと…これで許してもらえたかな…」

168「うん、司令官を嫌いになんてならないわ」

提督「そっか…よかった」

168「ねえ、また今度もしてくれる?気持ちよかったから」

提督「え?うん、いいけど」

168「ふふ、約束ね…それじゃ」

提督「うん」

バタン

提督「やー、許してくれたみたいでよかったね」

蒼龍「そ、そうだね…」

飛龍(一歩間違えたら大変なことになってると思うんだけど…)

金剛(あれ絶対ヤバイタイプのメンヘラデース…)

提督「で…これ、まだ続けるの?もうそろそろ胃が痛いんだけど…」

飛龍「確かに、思ったより大変なことになりそうでリスクが…」

蒼龍「…次あたりで終わりにしようか」

飛龍「だね…」

提督「すぐ終わるんじゃないんだ…」

蒼龍「せっかくだし最後までやりたいでしょ!」

提督「いや、私は…」

蒼龍「ねっ!!」

提督「……そうだね……」

蒼龍「それじゃ、あらかじめ次のシチュエーションを考えておこうか」

飛龍「だね、どんなのがいい?」

金剛「他殺はやりましたからネー、自殺はどうデスカ?」

蒼龍「自殺ねえ…いいかもしれないけど、ちょっとインパクトが弱くない?すぐバレるかもしれないし」

金剛「むぅ…確かに」

提督(ドッキリとはいえ、目の前で自分が死ぬ時のシチュエーションを議論されるって複雑な気分…)

飛龍「……あ!いいのが思い浮かんだ!」

蒼龍「どんなの?」

飛龍「まずはね………」

〜〜〜

提督「……………」

加賀「……ねえ」

提督「……………」

加賀「…聞こえてる?」

提督「………え?あ、ああ…どうしたの?」

加賀「最近はいつもこうね」

提督「え…な、なにが?」

加賀「何をしていても上の空、といった調子だけど」

提督「そ、そうかな…」

加賀「悩み事でもあるの?」

提督「……いや…」

加賀「…………」

加賀「私に言えないようなこと?」

提督「……!」

加賀「言いたくなければ、言わなくてもいいけれど…できることなら力になりたいわ」

提督「…………」

加賀「駄目?」

提督「……加賀…」

加賀「ええ」

提督「私……私…」

加賀「…………」

提督「っ……ごめん…やっぱり、言えそうにない…」

加賀「…そう」

提督「………ちょっと、頭冷やしてくるね」ガタ

加賀「ええ」

バタン

加賀「……………」

加賀「はぁ……」

飛龍「? 加賀さん、どうしたんですか?」

加賀「……どうもしてないわ…」

飛龍「机に突っ伏しながら言われても説得力ないですよ」

加賀「…………」

飛龍「相談なら乗りますよ?」

加賀「………あの子がね…」

飛龍「提督ですか?」

加賀「ええ…」

飛龍「ふんふん。で、提督がどうしたんですか?」

加賀「最近、ぼーっとしていることが多くて…」

飛龍「いつも通りじゃないですか」

加賀「そう言えばそうなのだけれど…いつものとは様子が違うような気がして…」

飛龍「はあ」

飛龍「聞いてみたらいいじゃないですか」

加賀「それが、私にも話してくれなくて…」

飛龍「あら、珍しい」

加賀「私、嫌われたのかしら…」ズーン

飛龍「ど、どうですかね…それはないと思いますけど…」

加賀「死にたい…」

飛龍「提督が加賀さんを嫌うなんてありえないですよ…なんなら無理やりにでも聞き出せばいいじゃないですか」

加賀「……それもそうね。もし本気の浮気とかだったらきっちり分からせてやるわ」ガタ

飛龍「あはは、その意気ですよ」

加賀(まったく、あの子は…人に心配をかけさせて…)

パァン

加賀「………!?」

加賀「銃声…?執務室から…!?」

ダッ

バンッ

加賀「提督!」

赤城「あ………」

提督「」ドクドク

加賀「……え……?」

加賀「赤城……さん…」

赤城「ちが…ちがうん、です…これ、は…」

加賀「まさか………あなたがやったの…?」

赤城「……!!」

加賀「っ」ギリッ

赤城「ま…待ってください!」

加賀「何…?」ピクッ

赤城「提督が……殺してほしい、って…」

加賀「は……??」

赤城「私だって、なにがなんだか…提督が…私を殺してって、この銃を…私に…」

加賀「殺して、ほしい…?」フルフル

加賀「どうして、こんなこと……」

赤城「加賀さんが来たら…これを渡せと提督が…」スッ

加賀「…手紙…」

ピラッ

加賀へ
これを読んでいるということは、もう私は鎮守府の誰かに頼んで殺されてるんだろうね。けど、決して私を殺した子を恨まないでほしい。だってこれは、私が頼んだことだから。
短く書けば、私が死のうと思ったのは例の深海の子の存在が海軍部にバレてしまったから。 反逆を起こしかねない人間だと言われて、すぐに殺されることになる。誰かに相談すれば、その子だって巻き添えになるかもしれない。本当は加賀にだって言いたかったけど…ごめん。
だから、せめてみんなには迷惑をかけずに死にたかったんだ。けど、私には自分を殺す勇気がなかった。だから、決心がついたとき誰かに頼んで私を殺してもらおうと思ってる。
その子には罪悪感を背負わせちゃうけど…きっと加賀が上手くやってくれるって信じてる。最期まで迷惑をかけて、ごめん。いつも苦労させて、ごめん。責任を負わせて、ごめん。
最後になるけど…愛してる、加賀



加賀「ッ……!!」

加賀「どうして…言ってくれなかったの…」ストン

加賀「私……あなたを守って死ねるのなら、本望だったのに…こんなことなら…」

加賀「ずっと、あなたのそばにいるべきだった…」ポロポロ

赤城「……………」

加賀「うっ……うっ、う…っ……」

赤城「加賀さん……」ポン

加賀「…………?」クル



赤城・蒼龍・飛龍「いぇーい」つ【ドッキリ大成功】

加賀「……………」

提督「うぅ…ごめんね、加賀…」

加賀「……………」

ギュ

提督「ふぎゃ!?」

加賀「よかった……無事でよかった…」ギュウウウウ

提督「折れるぅううう!!??」メキメキ

蒼龍(あれ、なんか見たことあるこれ…)

加賀「……………」ギュウ モフモフ

提督「あのー、加賀…くすぐったいんだけど、そろそろ離してもらっても…」

加賀「嫌」ムギュ

提督「ですよねー…」

赤城「いやー、しかし泣いてる加賀さん可愛かったですねえ」

蒼龍「ですねー、滅多に泣かないからちょっと得した気分かも」

加賀「やめなさい」

飛龍「それにしても、赤城さんが提督を殺してる現場を見たときの加賀さん怖かったね」

赤城「はい、本気で殺されると思いました」

加賀「あのときは…自分でも何を考えていたのか…」

提督「ほんとごめんね…加賀を残して死んだりなんてしないからね…」スリ

加賀「ええ…」ポン

提督「……あ、そうだ。蒼龍、飛龍」

蒼飛龍「「?」」

提督「お仕置きの件、忘れてないよね?」

飛龍「あっ…」

蒼龍「やばっ…」

加賀「お仕置き?」

提督「このドッキリの発案者、この二人なんだよ」

加賀「……ほう」

蒼龍「えっ…あ、あの…か、加賀さんも…」

加賀「当然、やるわ」

飛龍「ひいっ!!」

蒼龍「お、お手柔らかにね!ね!?」

提督「できません」

蒼飛龍「「ひぃー!?」」

蒼龍「はーっ、はーっ」

飛龍「ひい…ひい…」

ドドドド

蒼龍「ぎゃーっ!?」

飛龍「ひいぃー!?」

提督「ほらほら、早く走らないと加賀に爆撃されるよー」ピッピッ

蒼龍「わーん!やだやだやだぁー!」

飛龍「お、お助けぇー!」

提督「あと10周!これが終わったら腕立て腹筋スクワット300回ずつだよ!」

蒼龍「し、死ぬ…」

飛龍「スパルタすぎる…」

加賀「……………」(ゲス顔)

ドッキリおわり
その後二度と二人はドッキリの悪だくみをしなくなったそうな

「うわぁー!?ちょ、ちょっとぉ!?」

飛龍「今の声って…」

木曾「提督のだな…外からか」

蒼龍「行ってみよう!」

タタタ…

ガチャ

ヲ級「…………」スタスタ

提督「ちょちょちょ、この体勢は頭に血が昇るって!せめて逆にして!」バタバタ

木曾「あ!お前、何をしているんだ!」

ヲ級「………?」クル

提督「あ、木曾!と飛龍に蒼龍!」

飛龍「まさか…提督を連れ去る気!?」

蒼龍「やっぱり敵だったの…!?」

提督「あ、違うよ!そうじゃなくて」

木曾「なんでお前がそれを言うんだ」

提督「ほら、これ!」サッ

木曾「…なんだその食材」

提督「あとフライパンとガスコンロもあるよ!」

木曾「…それで?」

提督「これでヲ級ちゃんの仲間たちがいる海底洞窟でご飯を作ってあげるの!」

ヲ級「ソウイウコトダ」

木曾「馬鹿じゃないのか」

蒼龍「そ、そうだよ!その子は友好的かもしれないけど、敵のいる場所に自分から入っていくなんて自殺行為だよ!?」

飛龍「そ、そうだよ!危険だって!」

ヲ級「……私モ同胞タチモ、ナニモシナイト約束シタ…」

提督「だってさ、信じてあげようよ」

飛龍「えぇ…」

ヲ級「……ナンナラ、護衛ヲツケテモイイ…」

飛龍「護衛か…まあ、それなら一応安心はできるけど…」

蒼龍「でも、海底洞窟って潜らなきゃ行けないんじゃないの?」

木曾「俺たちに潜水能力はないしな…」

提督「…じゃあ、潜水艦?」

飛龍「それだ!」

蒼龍「じゃあ、私あの子達呼んでくる!」パタパタ

木曾「…しかし、なんでずっとお米様抱っこなんだ?」

提督「さあ…」プラーン

168「…で、私たちが呼ばれたと」

蒼龍「そういうこと。提督の護衛、よろしくね」

19「この子は攻撃なんてしてこないのね」

飛龍「それでも一応、だから。魚雷は持ってきた?」

58「はっちゃんが持ってるでち」

8「この本に全員分」

飛龍「よし。それじゃ準備はできたかな」

提督「…あれ?ところで、私はどうやって海底洞窟に行くの?」

ヲ級「ソノコトナラ心配ハイラナイ…用意ハシテアルカラナ」

提督「あ、そうなんだ。で、それはどこにあるの?」

ヲ級「アレ…」サッ

提督「アレ?」チラッ

浮遊要塞「…………」プカプカ

提督「……………」

提督「一応聞くけどさ」

ヲ級「?」

提督「アレ?」

浮遊要塞「……………」

ヲ級「アレ」

提督「……他の手段は?」

ヲ級「ナイ…」

提督「………あっ、私ちょっと用事を思い出しちゃったから帰るね」

ヲ級「ダメ」ポイッ

提督「ぎゃー!??」

浮遊要塞「」バクン

168「司令官!」

ヲ級「大丈夫……水モ入ッテコナイカラ…」

「うわ、意外と居心地がいい…」

19「……大丈夫そうなのね」

ヲ級「ソロソロ行コウ…ツイテキテクレ」

168「それじゃ、行ってくるわね」

飛龍「一応気を付けてね?」

58「はーい」

木曾「何かあったらすぐ通信を寄越すんだぞ」

19「分かってるのね」

ヲ級「オ前モ…ツイテコイ」ピョンッ

ザブン

浮遊要塞「…………」ゴロン

ザブン

飛龍「……大丈夫かなあ」

蒼龍「さあ…」

ドボンッ

提督「!」

ゴポポ…

提督「……もう潜ってる、のかな…なんとなく水の中にいるみたいな感覚だし…」

提督「というか、さっきヲ級ちゃんがこの子に話しかけてたけど…この子にも意識はあるのかな…」

提督「口の中だし、叩いてみたら何か反応するかも…」

提督「…………」ワクワク

提督「……えいっ」コン

ベロン

提督「ひょわあっ!?」

「食ベチャダメダゾ…」

「その子も生きてるの?」

「一応ナ…」

提督「…食べるとか聞こえたけど…き、気のせいだよね…」

〜〜〜

提督「……………」

提督「…ふあぁ……」

提督「はぁ…」

提督(今どのあたりなんだろ…ゆらゆら揺れるし、いい感じにあったかいし…眠くなってきちゃった…)

提督「……………」ウトウト

「提督!生きてる?」ガンガン

提督「うわっ」ビク

「アマリ叩クト、コノ子ガ怒ル…」

「司令官、ついたわよ!今開けるから」

ギギギ

提督「う……」

8「眩しいですか?ゆっくり目を開けてください」

提督「…………」パチ

58「どお?慣れてきた?」

提督「……わぁ……綺麗…」

168「光が差してるということは、地上のどこかと繋がってるの?」

ヲ級「ン…多分、剥キ出シニナッタ岩場カラ光ガ届イテル…」

19「ところどころ水が出てるのはそういうことなのね」

ヲ級「コッチ…同胞タチガ待ッテル…」スタスタ

提督「あ、うん。この子はここに置いていっていいの?」

ヲ級「帰リモソレヲ使ウカラ、ソノママデイイ…」

提督「そっか、わかった」

提督「……………」キョロキョロ

ヲ級「…ドウシタ?」

提督「え?ああ…綺麗な場所だなって…」

ヲ級「ソウカ…?」

提督「うん、この鍾乳石だって…水が伝って、光ってるみたい…」

168「普段潜ってる私たちからしたら、そんなに珍しいものでもないのよね」

8「ええ、割とよく見る光景ですね」

提督「それでも、ただの人間の私には滅多に見られるものじゃないから…ふふふ、嬉しいかな」ニコ

168「あぁーー………」

19(ほんと無意識にこういうこと言うのくっそ可愛いのね)

8(ぶち犯したい…)

提督(色んなところに貯水されてる場所がある…あれは、駆逐イ級?普段見るのより小さい気がするけど…)

提督(幼体は水中でしか活動できなかったりするのかなあ…)

提督(だとしたら…深海棲艦って両生類?カエルと同じ…?ヲ級ちゃんが外は暑いって言ってたし、陸上生活が可能としても水辺での環境に依存してるってことはやっぱりその線が濃厚になる…)

提督「………ん?」

「……………」ヒョコ

提督(…あれって…駆逐棲姫?だっけ)

提督(こっちの様子を伺ってる…のかな)

提督「……………」

提督(…近付いてみようかな)スタスタ

駆逐棲姫「……!」

168「あれ?司令官、どこに行くの?」

提督「ん、ちょっとね」

駆逐棲姫「……………」アセアセ

ドサッ

提督「あ…」

駆逐棲姫「……………」キッ

提督「そっか…君、足がないんだっけ」スッ

駆逐棲姫「!」ビク

提督「大丈夫だよ、酷いことなんてしないから…」

駆逐棲姫「……………」

駆逐棲姫「……アナタハ…」

提督「!」

駆逐棲姫「アナタハ…敵ジャ、ナイ…ノ…?」

提督「うん、君たちからしたら憎い敵かもしれないけど…私は君たちと仲良くしたいと思ってここに来たの」

駆逐棲姫「……………」

ヲ級「テイトク、何ヲシテル?」

駆逐棲姫「ア…」

ヲ級「ム…」

駆逐棲姫「……コノ人ヲ連レテキタノハアナタ?」

ヲ級「アア…」

駆逐棲姫「ソウ……ナラ、信ジテミル…」

提督(よかった…)

提督「これから君の仲間と一緒にご飯を食べるんだけど…君も一緒にどう?」

駆逐棲姫「テイトク…ハッ」

提督「?」

駆逐棲姫「アナタガ、今度ゴ飯ヲ作リニキテクレルト話シテタ人…」

提督「あ、伝わってたんだ」

駆逐棲姫「……アナタノ料理、スゴク美味シイ…ソウ聞イテイル」

提督「えへへ、そうみたいだね」

駆逐棲姫「…私モ、イイ…?」

提督「もちろん!ほら、私が運んであげる」ギュ グイッ

駆逐棲姫「ワッ…ア、アノ…」

提督「どうしたの?」

駆逐棲姫「……イ、イエ…///」プイ

ヲ級「……………」

駆逐棲姫「……………」ジー

提督「……?私の顔に何かついてる?」

駆逐棲姫「イエ…」フッ

提督「??」

駆逐棲姫(ドウシテ…コノ人ニ抱カレテイルト、安心スル…)

提督「……………」

提督(それにしてもこの子…帽子といい髪型といい脚のバンドといい…春雨に似てるような…)ジー

提督(……気のせいかなあ……)

ヲ級「……………」ギュム

提督「いたた!?な、なんでつねるの!?」

ヲ級「…テイトクノ馬鹿…」

提督「え?え??」

58(クッソ無自覚でち)

168(そりゃあお姫様抱っこなんてしたら嫉妬されるでしょうに…)

ヲ級「コノ奥ニ、同胞タチガイル…」

提督「もうみんな集まってるの?」

ヲ級「一応言ッテキタカラ、多分…」

ザッ

港湾棲姫「! オ前…」

提督「あ…えっと、港湾棲姫?だっけ」

港湾棲姫「…港湾デイイ。来テクレタノカ」

提督「うん、ほぼ無理やりだけど…」

港湾棲姫「ソウカ…オ前、アマリ手荒ナコトハスルンジャナイゾ…」

ヲ級「アア…」

港湾棲姫「サテ……ソノ道具ガ、料理ニ必要ナモノカ?」

提督「え?ああ、うん」

港湾棲姫「重イダロウ、私ガ持ッテヤル」スッ

提督「あ…ありがとう、ふふ」

港湾棲姫「…ナゼ笑ウ?」

提督「優しいなーって思って」

港湾棲姫「……今ハオ前ガ必要ナダケダ」

提督「あはは、確かに」

ザワザワ…

提督「ん…騒がしくなってきた…」

港湾棲姫「…一応私ノ後ロニ居ロ、何カアッタラマズイカラナ」

提督「うん…」

19「じゃあイク達も提督の周りにいるのね」ギュー

提督「それ、ただ抱き着きたいだけじゃ…」

ザッ

港湾棲姫「戻ッタゾ」

ヲ級「タダイマ…」

港湾水鬼「ソノ挨拶ハヤメロト……ム」

提督(あ、気付かれた…)

港湾水鬼「…ソウカ。貴様ガアノ泊地ノ司令官カ」ギロ

提督「う…」

ヲ級「大丈夫…手ハ出サセナイカラ…」サッ

港湾水鬼「敵デアル私タチノ根城ニノコノコ来ルトハ…馬鹿ナヤツダ…」

提督「…………」

港湾棲姫「ソウ構エルナ…今ハ争イニ来タンジャナイ」

港湾水鬼「…オ前ガ呼ンダノカ」

ヲ級「アア…」

港湾水鬼「……行ケ」

提督「え…いいの?」

港湾水鬼「マダ貴様ヲ信用シタ訳デハナイ…シバラクハ付キ合ッテヤル」

提督「…う、うん」

ヲ級「行コウ…」ギュ

提督「あ、ちょっ」

168「攻撃してこないとは分かっていても、こうも周りに敵しかいないと緊張するわね…」

8「ここだと魚雷も撃てませんし、襲われたらひとたまりもないですね」

スタスタ…

港湾水鬼「……………」

港湾棲姫「……オ前、アノ提督ヲ撃トウトシタナ」

港湾水鬼「…敵ヲ殺ソウトシテ何ガ悪イ?」

港湾棲姫「違ウ…彼女ハ敵ジャナイ…」

港湾水鬼「……ハッ、ドウダカ…」

駆逐棲姫「……アノ…」

提督「ん…どうしたの?」

駆逐棲姫「水鬼サマハ…人間ヲ憎ンデイルカラアナタニハアンナコトヲ言ッタケド、本当ハ優シイ方ナノ…」

提督「……うん。またあとで、お話しないとね」

駆逐棲姫「ハイ…」

ヲ級「ゴ飯…ドコデ作ル?」

提督「あー…この広場でいいんじゃないかな?机になりそうな岩もあるし、砂場だから座りやすいでしょ」

ヲ級「ソウダナ…」

提督「ヲ級ちゃんも手伝ってね、いっぱい作るから」

ヲ級「オムライスモ作ル…?」

提督「うん、もちろん」

ヲ級「ヨシ…ナラ頑張ル…」

港湾棲姫「道具ハココニ置イテイイノカ?」

提督「あ、うん。お願い」

ガチャン

提督「よいしょっと……待っててね、美味しいご飯作ってあげるから」

駆逐棲姫「ハイ…」

168「こんな敵の拠点まで来て料理なんて、司令官も変なこと考えるのね」

提督「ヲ級ちゃんに誘われたんだから仕方ないでしょ…せっかくの機会なんだし。ほら、野菜切って」

19「イクも手伝うのね!」

8「はっちゃん、パンが食べたいんだけどなあ…」

58「そう言わずに、手伝うでち」

港湾棲姫「……コッチガ食材カ…」ゴソ

提督「あ、卵も入ってるから割らないように気を付けてね」

港湾棲姫「タマゴ…?」

提督「そうそう……この白いのが卵ね」

コンコン パキッ

港湾棲姫「ア…割レタ…」

提督「こんな風に割れやすいから、取り扱いには気を付けないといけないの。やってみる?」

港湾棲姫「ン……ヤッテミヨウ…」

バキッ

港湾棲姫「アッ…」

提督「あはは!やっぱり初めてだと上手くいかないね」

港湾棲姫「本当ニスグ割レルンダナ…」

提督「まあ、それだけ手が大きいと力加減も難しいよね…」

港湾棲姫「…コレハ邪魔ニナルナ」スポッ ガシャン

提督「それ外せたの!?」

ヲ級「テイトクノオムライスハナ、最高ニ美味シインダゾ…卵ガフックラシテテ、米ノ味モシッカリシテテ…」

駆逐棲姫「オムライス…ナ、ナルホド…」ゴクリ

戦艦棲姫「賑ヤカネ…何ヲシテイルノ?」

港湾棲姫「ン…料理ダ」

戦艦棲姫「アラ、アナタ…確カアノ泊地ノ司令官…」

提督「あ、覚えてくれてたんだ」

戦艦棲姫「モチロン。初メテ見タ時カラ可愛イ子ダッテ思ッテタンダカラ」

提督「へ?」

戦艦棲姫「フフフ…近クデ見テモヤッパリ可愛イワ…」ピト

提督「え、えーっと…」

スパァン

戦艦棲姫「痛ァイ!??」

ヲ級「暇ガアルナラ手伝エ…」ヒュンヒュン

戦艦棲姫「ショウガナイワネェ…」

スタスタ

提督「……し、深海にも変わった子はいるんだね…」

港湾棲姫「ソ、ソウダナ…」

提督「こう、一度ヒビを入れて…」パキッ

港湾棲姫「コウカ…?」パキッ

提督「そうそう、そのヒビから指を入れて両側に開くように…」

港湾棲姫「……………」パカッ

提督「おー、上手上手!」

港湾棲姫「ナルホド…フフ、コツヲ掴メバ簡単ナモノダナ…」

「てーとくー!これどうやるのー!?」

提督「あー…ちょっと行ってくるから、卵割っててくれるかな」

港湾棲姫「アア、任セロ…」

提督「それじゃ、よろしく」

パタパタ…

港湾棲姫「サテ……ン?」

北方棲姫「…………」ヒョコ ジー

港湾棲姫「……オ前モヤルカ?」

北方棲姫「!」パタパタ

提督「はいはい、呼んだ?」

戦艦棲姫「アラ、来テクレタノネ…」

19「呼んだのはイクなのね!」

提督「う、うん…で?」

19「これ、どうやって使うの?」

提督「あ、飯盒かぁ…ちょっと待って」

ゴソゴソ

提督「はいこれ、とりあえず火を点けられるように木を並べて」

19「はーい」ガラガラ

戦艦棲姫「……?コレハ何ヲスル道具ナノ?」

提督「この中にお米を入れて炊くんだよ」

戦艦棲姫「オコメ…?タク……??」

提督「あー……まあ、やってみた方が早いかな。イクたちみたいに木を並べておいて」

戦艦棲姫「エエ」

168「あー…だから、ニンジンとジャガイモはもっと細かく…」

ネ級「………??」

空母水鬼「コレデモ大キイ、ノカ…?」

提督「イムヤー、どうしたの?」

168「ん、司令官…大鍋があったからカレーを作ろうと思ってるんだけど、みんな思いの外料理の腕がね…」

提督「まあ、初めてだろうし仕方ないよ…で、何が困ってるの?」

空母水鬼「ニンジントジャガイモガ大キイッテ…」

提督「あぁ……これはちょっと大きすぎるね…たぶん切り方が悪いんだと思うよ」

空母水鬼「ドウスレバイイ…?」

提督「ちょっと後ろ失礼するね」スッ

ギュ

空母水鬼「ンッ」

提督「こう、切るものをしっかり押さえて…手首の先に力を入れて、ざくっと」クイ

ザク

空母水鬼「オオ…」

提督「ね、簡単でしょ?綺麗に切れるし」

空母水鬼「ナルホド…オ前、優シイ…」ポンポン

提督「あはは、くすぐったいよ」

168「…………」ムスッ

駆逐棲姫「ア、アノッ……ワ、私モ…」

提督「はいはい、教えてあげるね」

ギュ

駆逐棲姫「…………!!」

提督「指、切ったら危ないから丸めて…ほら、猫みたいに」クイ

駆逐棲姫「ハ、ハイ…」

提督「で、そのままざくっと…そうそう」

駆逐棲姫「ア……デキタ…」

提督「なかなか上手だよ、この調子でよろしくね」

駆逐棲姫「ハ、ハイ……アノ…」

提督「?」

駆逐棲姫「ア……アリガ、トウ…」

提督「……うん、どういたしまして」ナデナデ

駆逐棲姫「//////」ポッ

168「〜〜〜〜〜!!」ギリギリ

提督「ふぅ、野菜はこれで大丈夫そうかなー」

レ級「………??」ヒョイ パク

58「あー!?」

レ級「〜!」キラキラ ヒョイパク

提督「こ、こら!そのまま食べちゃダメ!」

レ級「〜〜〜♪」ピョンッ スタタ

168「あ、逃げた!」

提督「だ、誰か捕まえて!」

19「ふー、あとは火を点けてお米を入れるだけなのね」

ヲ級「火……ドウヤッテ点ケル…?」

8「ライターを持ってきているので、お米を出しておいてください」

戦艦棲姫「オ米ッテ、コレ?」

19「それなのね」

ヒョイッ

戦艦棲姫「?」

レ級「〜〜〜♪」パタパタ

19「あー!?お米取られたのー!!」

戦艦棲姫「マア…アノ子ッタラ元気ネ…」

19「のん気なこと言ってないで捕まえるのね!」

レ級「〜〜♪」ゴソゴソ ボリボリ

提督「こらー!」バッ

レ級「!?」

ドサッ

提督「捕まえた!ほら、野菜とお米返しなさい!」ガシッ

レ級「〜!?〜〜!!」バタバタ

提督「こら、暴れないの!ああっ、もう!」

レ級「ア……!」

提督「これは生で食べちゃダメなの!もう少し待てば美味しいご飯ができるから、それまでじっとしてなさい!」

レ級「ゴ……ハ、ン…?」

提督「そう、ご飯」

レ級「ゴハン…ゴハン!ゴハン!」ピョンピョン

提督「はいはい…向こうで座って待ってようね」

提督「はぁ……いやーごめんね、ちょっと手間取っちゃった」

港湾棲姫「ン…戻ッタカ」

北方棲姫「!?」ササッ

提督「ん?」

北方棲姫「…………」チラッ ジー

提督「その子…」

港湾棲姫「アア…北方、隠レナクテモイイゾ…彼女ハ怖イ人ジャナイ…」

北方棲姫「……ホント…?」

提督「怖くないよー、ふふ」

北方棲姫「…………」ソーッ

提督「………えーい!」ガバッ

ギュー

北方棲姫「ギャーッ!?」バタバタ

提督「あははは!あったかーい!」

バッ

北方棲姫「カッ、カエレ!カエレ!」

提督「ふふふふ、怖くないよー、おいでー」

港湾棲姫「オ前…」

アハハハ

キャッキャ

港湾水鬼「フン…人間ナドト仲良クシオッテ…」

駆逐棲姫「デモ…アノ人ハ、悪イ人デハナイト思イマス…」

港湾水鬼「ダカラト言ッテ心マデ売リ渡スノカ?」

駆逐棲姫「ソレハ……」

港湾水鬼「ヤツラハ敵…私タチノ敵ダ、ソレヲ忘レルナ」

駆逐棲姫「……ハイ…」

〜〜〜

提督「ほいっと……あとは大皿に盛って、あがり!」

レ級「ゴハン!ゴハン!」チンチン

提督「こら、食器をチンチン鳴らすのはお行儀が悪いからやめなさい」

8(チンチン……録音しておけばよかった…)

レ級「オギョーギ??」

提督「あー……まあ、それはまた今度でいいか…」

168「おかずも並べておくわよー?」

提督「うん、ありがと…はい、お箸」

戦艦棲姫「……??コレハ何ヲスル道具ナノ?」

提督「あ、それは…こうして持って…」ギュ

戦艦棲姫「コレデ食ベルノ?不便ネ…」

提督「手に持って食べると熱いから…まあ、慣れないとは思うけど頑張って」

ヲ級「……………」ジー

提督(そういえば、ヲ級ちゃんもお箸使うの初めてだっけ…教えてあげた方がいいかな)

ヲ級「……………」カチャ…

提督「……あれ?ヲ級ちゃん、お箸使えるの?」

ヲ級「ア…テイトク…」

提督「…うん、握り方もちゃんとしてる。もしかして、誰かに教えてもらったりした?」

ヲ級「誰カ、ニ…?誰……?アレハ…カガ…?」

提督「加賀?加賀に教えてもらったの?」

ヲ級「カガ…教エテモラッタ…?イヤ、違ウ……?私ハ…誰カニ、教エテイタ……」

提督「………??」

ヲ級「…………私、ハ……?」

「ギャーッ!??」

提督「!」

19「あー!だからちゃんと冷まさないとダメだって言ったのね!」

レ級「ハヘッ、ヒーッ」

提督「あ、レ級ちゃん!まだいただきますって言ってないでしょ!」

パタパタ…

ヲ級「………………」

提督「食べる前はちゃんと、いただきますって」

レ級「イタダキマス!!」

戦艦棲姫「イタダキマス?」

提督「はい、もう食べても…ってレ級ちゃん、それだとまた火傷するよ」

レ級「ゴハン!」

提督「……そ、そうだね。こう、ふーっ、ふーって」

レ級「フーッ、フーッ」

提督「そうそう、それくらいならいい感じじゃない?」

レ級「イタダキマス!」

パクッ

レ級「〜〜〜〜!!!!!」キラキラ ギュルル ボスボス

提督「う、うん…美味しいのは分かったけど、尻尾巻きつけて叩くのはちょっと痛いかな…」

戦艦棲姫「ソンナニ美味シイノネ…ジャア、私モ」

駆逐・港湾・北方「「「イタダキマス」」」

パク

港湾棲姫「……!コレハ……」スッ パクパク

駆逐棲姫「オムライス…美味シイ…」モグモグ

北方棲姫「……!カレーモ、美味シイッ…!」キラキラ

提督「ふふ、お口に合ったみたいでよかった。ほら、他の子たちの分もあるからみんなたくさん食べてね!」

ガヤガヤ…

港湾水鬼「………人間ノ食べ物ナドデ喜ビオッテ…」

ツンツン

港湾水鬼「…………?」

ヲ級「…………」スッ

港湾水鬼「………ナンダ、ソレハ…」

ヲ級「オムライス…」

港湾水鬼「イラン……」プイ

ヲ級「ドウシテ…?」

港湾水鬼「人間ノ食べ物ナド私ニハ不要ダ」

ヲ級「美味シイノニ…」

港湾水鬼「…………」

ヲ級「…………」

港湾水鬼「………不味カッタラスグニ捨テルカラナ」カチャ

ヲ級「……!」

港湾水鬼「全ク…揃イモ揃ッテコンナモノデ…」パク

ヲ級「…………」

港湾水鬼「…………」モグモグ

ヲ級「…………」

港湾水鬼「…………」モグ…

ヲ級「…………」

港湾水鬼「……マア、悪クハナイナ…悪クハ…」パク モグモグ

ヲ級「…………」フッ

〜〜〜

ヲ級「ゲフ……」

戦艦棲姫「フー…人間ノ食べ物ッテコンナニ美味シイノネ…」

提督「すごい…あんなにいっぱいあったのに全部食べちゃった…」

レ級「ゴハン〜」ユサユサ

提督「え、ま、まだ足りないの?えーと…あ、グミがあった…」

レ級「ゴハン!」パタパタ

港湾棲姫「美味シカッタカ?」

北方棲姫「美味シカッタ!」

港湾棲姫「…ソウイウコトダ。感謝スル」

提督「あ、ううん。こちらこそ、ありがとう」

港湾水鬼「……オイ」

提督「は、はい!」

港湾水鬼「…貴様ト話ガシタイ。他ノ者ハ下ガレ」

駆逐棲姫「ハイ…」

ゾロゾロ

提督「……………」

港湾水鬼「サテ……マズハ、同胞タチニ食事ヲ振ル舞ッテクレタコトニ感謝シヨウ」

提督「あ、うん…どうも」

港湾水鬼「ダガ、貴様ハ敵ダ。私タチガ殺ソウトシテイル、ナ」

提督「…それは、分かってる…」

港湾水鬼「分カッテイテココニ来ルトハ…気デモ狂ッテイルノカ?」

提督「…確かに、端から見たらそうかもしれない」

港湾水鬼「ホウ」

提督「けど、私は敵じゃない。あなたたちと話をしに来たの」

港湾水鬼「話…?」

提督「そう。人間と深海棲艦が、手を取り合える未来を作るために」

港湾水鬼「……和平交渉、トイウコトカ…」

提督「…………」コク

港湾水鬼「…………」

港湾水鬼「…フフフ……」

提督「…………?」

港湾水鬼「……ソンナモノハ、夢物語ダナ」

提督「!」

港湾水鬼「ツイ先日マデ戦ッテイタ敵ト仲良クシロ、ダト?貴様ガ私ノ立場ナラドウ考エル?」

提督「それは…」

港湾水鬼「貴様ラ人間ノ都合デ…沈ンデ行ッタ同胞タチノ憎シミヲ無クセルモノカ!」

ガッ

提督「うぐっ……!?」

港湾水鬼「フフ……カ弱イナ…」ギリギリ

提督「ぐ…あ、っ…」

168「司令官!」ダッ

戦艦棲姫「……………」ガシャン

駆逐棲姫「……………」ガシャン

8「なっ…!?ど、どうして…!」

港湾水鬼「動クナ。動ケバコイツノ首ヲ折ル」

19「くっ…」

港湾水鬼「今、ソイツラノ意識ハ私ノ支配下ダ…貴様ラノ言葉ナド届キモシナイ」

ヲ級「」

提督(ヲ級ちゃんも…)

港湾水鬼「コノ腕ノ艤装ダケデモ、貴様ヲ殺スコトナド造作モナイ…」ググ

提督「あ…がっ…」

港湾水鬼「和平ダト?笑ワセルナ…直接手ヲ下サマイトモ、貴様ノ指示デ多クノ同胞タチガ沈ンデ行ッタ!」ギリッ

提督「かはっ…」

港湾水鬼「ソノ憎シミガ貴様ニ分カルカ!コノ憎シミノ炎ガ消エヌ限リ、人間ハ永遠ニ私タチノ敵ダ!!」

提督「っ…か、らない…」

港湾水鬼「……?」

提督「分から、ないよ…そんな、こと…」

港湾水鬼「……!ダッタラ……」

提督「けど!!」

港湾水鬼「!」

提督「げほっ…憎しみなんて、分からないよ!けど、大切なものを失って、悲しむ気持ちなら私だって知ってる!」

港湾水鬼「悲シム…?ソンナ心、私ハ持チ合ワセテイナイ!」

提督「違う!仲間を沈められて憎いと思うのは、その子たちを愛していたからでしょう!?」

港湾水鬼「………!!」

提督「あなたの言いたいことだって分かる…けど、もうこの憎しみの連環を断ち切りたいの」

港湾水鬼「…………」

提督「だから、私はあなた達と戦いたくない……でも、もしそれも気に入らないなら…ここで私を殺してくれてもいい」

港湾水鬼「……………」

スッ

提督「!」ストン

港湾水鬼「……少シダケ、時間ヲヤル」

提督「それって…」

港湾水鬼「マダ、貴様ノ全テヲ信用シタ訳ジャナイガ……貴様ノ言葉ヲ、信ジテミタクナッタ…」

提督「……ありがとう」

港湾水鬼「……マタ、ココニ来イ。ソノ時ハ歓迎シテヤル」

提督「…うん」

パタパタ

168「司令官!大丈夫!?」

提督「あ、イムヤ…うん、心配ないよ」

シュル

ヲ級「…別状ハナイ、ミタイ…」

19「あーよかった、提督が殺されるかと思ったの」

提督「あはは…結構危なかったね…」

ーーーーー
ーーー

提督「それじゃ、片付けも済んだしそろそろ帰ろうかな」

戦艦棲姫「エェ、モウ帰ルノ?」

提督「うん、みんなが心配してるかもしれないから」

戦艦棲姫「残念ネ…マタ会イニ来テネ?ウフフ」ピト

提督「う、うん…ち、近いんだけど…」

168「はいはいはいはい!早く帰るんでしょ!ほら、乗って!」

ヲ級「ジャア…送ッテクル」

港湾棲姫「浸水サセナイヨウニナ」

駆逐棲姫「ア、アノ…」

提督「ん?」

駆逐棲姫「ソノ…今度ハ、私ガソッチニ行ッテモ…」

提督「うん、いいよ。美味しいご飯、作って待ってるから」

駆逐棲姫「……! ハ、ハイ…!」

ヲ級「テイトク、乗ッテ」

提督「あ、うん。それじゃ、またあとで」

ガコン

ヲ級「ヨシ…行コウ」

19「はーい!」

ドボン

港湾水鬼「……………」

駆逐棲姫「…ヨカッタノデスカ?」

港湾水鬼「…私ニモ、心ガアル…ソレヲ思イ出サセテクレタ…ダカラ、ソノ恩ヲ返スダケダ…」

駆逐棲姫「……ソウデスカ」クス

ブクブク…

提督「……………」

提督(暗くて、あったかい…)

提督(母さんのお腹にいた時も、こんな感じだったのかな…赤ちゃんの頃は、さすがに覚えてないや…)

提督(でも……なんだろう、この懐かしい感じ…)

提督(私、どこかでこの中に入ったことがある…)

提督(どこだろう……)

提督「……………」

和平交渉おわり
深海勢は駆逐棲姫ちゃんとヲ級ちゃんが好きです

そうですね、誰がトップとかそういうのは特に決めていないけどまとめられるような子がいないので水鬼さんが近海の指揮を執ってる、という感じですね

文月「きゃ〜!」パタパタ

卯月「逃げるっぴょ〜ん!」パタパタ

提督「うへへへ、早く逃げないと捕まえちゃうぞ〜!」

キャーキャー



蒼龍「……あれ、なにやってるの?」

飛龍「ん?あー、なんか提督が駆逐艦の子達の遊びに付き合ってあげてるんだって」

蒼龍「ふーん…提督が一番楽しそうに見えるんだけど…」

飛龍「…それは言わないでおいてあげて」

蒼龍「そ、そうだね…」

提督「そぉーれぇ!」ガバッ

皐月「ひゃあ!?」

ギュー

提督「ぐへへへ」ゴソゴソ

皐月「ふわっ!?ひゃっ、あははは!し、司令官!くすぐったいってばぁ!」バタバタ

提督「ふぅ………」

皐月「はー、はー…」

提督「……次は皐月が鬼ね!10秒数えてからスタート!はい!」

パタパタ

皐月「よーっし、負けないぞー!」



蒼龍「…今服の中に手入れてなかった?」

飛龍「き、気のせいでしょ…」

最上「へーい!パスパース!」

三隈「えいっ!」ポーン

鈴谷「あー!強く蹴りすぎぃ!」

三隈「はっ!や、やってしまいましたわ…」

最上「うわ!?すごい向こうまで飛んでる!」パタパタ

熊野「最上、大変そうですの…」

鈴谷「早めに戻ってきてよー!」

最上「くっそー!」パタパタ

ヒュー…

最上「もー!三隈ったら、どんな脚力してるのさ!」パタパタ



卯月「待てぇ〜い!ふーちゃん、逃がさないっぴょーん!」パタパタ

提督「あはは!ほらほら、こっちこっち!」パタパタ

最上「ぜぇ、ぜぇ…」パタパタ

提督「鬼さんこちらー!」パタパタ

卯月「あ!」

提督「え?」クル



ゴチンッ☆

最上「あいったぁ!?」

提督「〜〜〜!」クラッ

ドサッ

卯月「あー!?ふーちゃん!?」

最上「いたた…!あ、提督!?大丈夫!?」

提督「」キュウ

卯月「き、気絶してるぴょん!」

最上「あわわ、い、医務室に運ばないと…!」

蒼龍「どうしたの!?」

飛龍「提督、気絶してるの!?だ、誰か担架持ってきてー!」

〜〜〜

飛龍「……で、提督は無事なの?」

明石「はい、気を失っているだけです。すぐに目覚めますよ」

最上「よかったー…いやー、ほんと申し訳ないや…」

三隈「もう、もがみんったら焦りすぎでしてよ?」

最上「元はと言えば三隈が遠くにボールを蹴ったからじゃないか」

三隈「まあ…それもそうですわね…」

蒼龍「提督、早く起きないかなあ」ツンツン

提督「ん……う…」

飛龍「あ、起きそう」

提督「うぅ…」パチ

蒼龍「あー!よかった、起きた!」

提督「……ここは…」

飛龍「医務室だよ、わかる?」

最上「あ、提督!ごめんね、ボクがよそ見してたせいでこんなことになって…」

明石「提督、気分はどうですか?吐き気とかはありませんか?」

提督「え、ええ…」

明石「そうですか…なら、別状はないみたいですね」ホッ

提督「あ、あの……」

蒼龍「? どうかしたの?」



提督「……どちら様でしょうか…?」


一同「えっ?」





「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!???」

飛龍「ちょ、ちょちょちょちょっと!!」

提督「は、はい?」

飛龍「ほんとに覚えてないの!?私のことも分からない!?」

提督「えぇと…すみません…」

飛龍「嘘でしょお……」ガクッ

蒼龍「て、提督…私のことは分かるよね…?ね?」

提督「ごめんなさい、本当になにも…」

蒼龍「」ズシャアアア

最上「そ、蒼龍さんが!」

提督「あの…と、ところでその、ていとく?というのは私のことなのでしょうか…」

三隈「はい、提督は提督です」

提督「そうですか…私の名前は提督と言うんですか…」

明石「ちょ、ちょっと待った!まずは状況の整理をさせてください!」

〜〜〜

明石「えー…あなたの名前は、狭霧風花です」

提督「狭霧、風花…私の名前…」

明石「それ以外のことは何も思い出せませんか?」

提督「……はい、すみません…」

明石「いえ、提督が悪いわけではありません」

提督「ところであの…あなた方のお名前は何と言うのでしょうか…?」

最上「あ、ボクは最上だよ」

提督「最上さん、ですね。下の名前は?」

最上「ん?いや、最上だけだけど…」

提督「え?」

飛龍「私は飛龍ね!」

提督「ひ、飛龍さん…ですか」

蒼龍「私が蒼龍!」

提督「蒼龍……はい」

三隈「三隈と申します」

明石「あ、私は明石って言います」

提督「は、はあ…」

提督(変わった名前ばかり…もしかして、何かの団体だったりするのかな…?)

明石「……ということがあって、私たち艦娘をあなたが率いているわけです」

提督「はあ…」

明石「まだ状況が飲み込めませんか?」

提督「正直…」

提督(危ない宗教か何かじゃないよね…)

明石「まあ、仕方のないことですよね…」

提督「あの…前の私がどうだったかは覚えていませんが、私、相当あなた方に懐かれていたようで…心配をかけてすみません」

蒼龍「ま、まあまあ…そんなに気にしないで」

飛龍「そうそう…で、もう加賀さんには伝えたの?」

明石「これから伝える予定です。提督、経過を見守るためにも安静にしていてくださいね。何かあったら呼んでください」

提督「あ、はい」

〜〜〜

加賀「はぁ……」

加賀(記憶を失くしたって…どこまでのことなのかしら…)

加賀(いや…それより、どう説明すれば…)

加賀(困ったものね……)

加賀「……はぁ……」

提督(知らない部屋に、知らない人たち…何も思い出せない…)

提督(それにしても、この服…本当に軍の人が使ってそうな階級章があるし、嘘を吐かれてるわけじゃなさそう…)

提督(……これからどうするんだろう…)

コンコン

「失礼します」

提督「あ、はい!」

ガチャ

加賀「あ…その…」

加賀(なんと言えばいいのか…)

提督「あ、えっ!?ど、どうも!////」パアアッ

加賀(あ、この子私のこと好きね…)

提督「あ、と、とりあえずお掛けください」

加賀「え、ええ…」

提督「…………」ソワソワ

加賀「ああ…その、まず何から言えばいいのか…」

提督「……?その指輪は…」

加賀「え?あ、これは…」

提督「………ご結婚、なされてたんですね…」ズーン

加賀「い、いえ!そうではなくて…詳しい説明は省くけれど、これはあなたがくれたもので…」

提督「……え?」

提督「えーと…つまり、あなたは…」

加賀「そうね…恋人に当たる、ということね」

提督「あ、婚約者じゃないんですね…」

加賀「いえ、この指輪は…あなたがエンゲージリングの意味もあると言ってくれたのよ」

提督「はあ…じゃあ、私たちは将来を約束した仲だったと…」

加賀「そういうことになるわね」

提督「…あ、あの…不束者ですが、よろしくお願いします…」ペコリ

加賀「え、ええ…」

加賀「…なんとなく、わだかまりがなくなった気がするわ…ありがとう」

提督「い、いえ!そんな、めっそうもない…」

加賀「それじゃ、私はこれで…」

提督「あ…もう行かれるのですか…」

加賀「……また見舞いに来るわ」スッ

チュッ

提督「ひゃっ」

加賀「またね」

提督「は、はい…///」ポー

バタン

提督「……ふふ、えへへへ…」

提督「そっか…私、あの人とお付き合いしてたんだ…」

コンコン

提督(…?よく人が来るなぁ…)

提督「どうぞー」

ガチャ

武蔵「よう、安静にしていろと言われたのにすまないな」

提督「あ、いえ…お気になさらず…」

提督(な、なんだろうこの人…これ、服なの…?というか、肌も黒いし…日本人なの…?)

武蔵「さて…相棒、記憶喪失になったそうだな」

提督「あ、はい…そうみたいで…」

提督(相棒…?)

武蔵「私のことも思い出せないか?」

提督「……すみません、何も…」

武蔵「そうか…まあいい、私の名は武蔵だ。見知りおきをな」

提督「はい、武蔵さん」

武蔵「で、だ…相棒に言わなければならないことなあってな」

提督「……? は、はい」

武蔵「貴様はここに住む百人以上の人間に慕われていてな…好意を持たれていると言った方がいいか」

提督「はあ」

武蔵「私もその一人で、相棒のことを愛している」

提督「そ、それはどうも…//」

武蔵「ただ…その中から一人、相棒が恋人としての関係に選んだのがいるんだ…」

提督「はい…」

武蔵「それがこの武蔵だ」ドン

提督「!!?」

提督「そ、それは本当なのですか?」

武蔵「ああ…悪いな、覚えてもいないことを押し付けがましく言って」

提督「あ、い、いえ…大丈夫、です…」

提督(え…じゃ、じゃあ私って…加賀さんだけじゃなくて、武蔵さんとも恋人の関係を結んでいたということ…?)

提督(でも、指輪はしていないみたいだし……だとしたら、愛人…!?)

提督「……あ、あの…」

武蔵「どうした?」

提督「その…それは、本当に、本当なのでしょうか…」

武蔵「…信じられないか?」

提督「……はい」

武蔵「……そうか」

武蔵「……なら、こうするとどうだ?」

提督「え?……あ」

チュッ

提督「ん……!?」

武蔵「…………」スル ギュ

提督「んんっ……ん…」

武蔵「……ぷはっ」スッ

提督「あ…はぁ…」

武蔵「信じてもらえたか?」

提督「は、はい…///」

武蔵「そうか、ならよかった。…また、時間をおいてから私たちの思い出について話そう」

提督「はい…」

バタン




武蔵「やったぜ。」

提督「…………」

提督(加賀さんだけじゃなくて、武蔵さんとも…)

提督(以前の私は、そんなに浮気性な人間だったんだ…)

バンッ

金剛「テートクゥーー!!!」ドドド

提督「ひゃあっ!??」ビクゥ

ガバッ

金剛「テートクゥ、memoryが消えたってホントデスカー!?」ギュー

提督「え、あ、ええ、そうみたいですが…」

金剛「No!ワタシとの思い出も忘れるなんてイヤデース!」

提督「は、はあ…」

提督「…………」

金剛「ンー…でも、テイトクとの思い出はまた作ればいいデース」

提督「そう、ですね…」

金剛「テイトクぅ〜♪」スリスリ

提督「…あ、あの」

金剛「?」

提督「その…スキンシップが激しいというか…あの、近い…です」

金剛「No problem!ワタシとテイトクはcoupleデスからネー!」

提督「!??」

提督「……………」

金剛「テイトク?」

提督「いえ……なんだか、頭が痛くなってきて…」

金剛「Oh!?大丈夫デスカ?」

提督「一応…」

金剛「頭を打った痛みがまだ残ってるみたいネー、安静にしてるデース」

提督「はい…」

金剛「それじゃ、bye!」

チュッ

提督「!」

パタパタ バタン

提督(嘘じゃなさそう…)ズーン

提督「はぁ……」

提督(まさか…二人も浮気してたなんて…)

提督(私、最低の人間なんじゃ…)

提督(…まさか…)

提督(まさか、この場所にいる艦娘さんたち全員と関係を結んでいるんじゃ…!!)

提督(あり得る…あの様子を見ているとあり得る…!)

ガチャ

雷「司令官、入るわよ!」

電「お見舞いに来たのです」

暁「司令官、記憶が消えたってホント!?」

響「司令官、おっぱいは消えてないよね?」

提督「うわあああああああああああああああああああああああああああ!!!????」

四人「「「「!!??」」」」

雷「し、司令官、どうs」

提督「違うんです!違うんですうぅぅ!!私はこんな小さい子供に手を出すような大人じゃないんですうううう!!」バッ

暁「ちょっ!?司令官、どこに行くの!?」

バリーン!!

提督「あああああああああああ!!!」

電「飛び降りた!?」

雷「ちょっ、ここ2階よ!?」

「わあああああ!!浮気なんてしてないんですうううううう!!」

響「元気みたいだね」

暁「そういう問題じゃないでしょ!」

飛龍「……で、治せるの?」

明石「はい、すぐに手を打ちました。これです」

蒼龍「なにこれ?」

明石「記憶回復薬……その名もメモリンZです!!」

蒼龍「へぇー、すごーい!」

飛龍(絶対提督に借りたリンダキューブやってたでしょこの人…)

明石「まあ詳しい説明は省きますが、ショックによって一時的に眠ってしまった記憶を再構築する薬ですね。効果は保証しますよ」

バタバタ…

バンッ

最上「た、大変だよ!提督が病室から逃げたって!」

飛龍「えっ!?」

蒼龍「は、早く捕まえないと!」

提督「わああああん!!」バタバタ

雷「こらー!待ちなさい、司令官!」

電「ぜぇ…ぜぇ…」

暁「な、なんであんなに足速いの…」

提督「私は潔白なんですううう!!」ダダダ

ボインッ

提督「ふぎゃ!?」ドサ

雲龍「あら…」

提督「あ、あっ…」

雲龍「ごめんなさい、よそ見をしていたわ…大丈夫?」スッ

提督「ひえぇ!?ち、違うんです!浮気なんてしていません!私はあなたを愛していません!!」ブンブン

雲龍「!?」ガーン

雷「雲龍さーん!司令官捕まえてー!」パタパタ

雲龍「え?ええ…」

スッ

提督「とあぁー!!」グイ ポーン

雲龍「!?」

ドシャアア

暁「雲龍さーん!?」

響「見事な巴投げだ」

雷「冷静に観察してる場合じゃないでしょ!」



提督「この罪は!死を以って償いますからあああ!!」

明石「えーい」ドーン

バラッ

提督「いやーっ!?」

バサッ

提督「な、なんですかこれ!?網!?」

明石「ふー、捕獲完了っと」

提督「ち、ちぎれない…!」

明石「暴れちゃダメですよー、艦娘でも千切れないくらい強度があるんですから」

雷「あ!明石さん!」

明石「あらあなたたち、提督を追ってくれてたのね」

電「いきなり2階から飛び出して…大変だったのです」

明石「そ、そうなの…とりあえず、提督を運ぶの手伝ってくれない?」

電「あ、はい!」

提督「出してえぇー!!」

〜〜〜

提督「は、外してください!お願いです!」ガチャガチャ

明石「嫌ですよ。外したら逃げるじゃないですか」

提督「私は死ななければならないんです!」

明石「そんなヒイロみたいなこと言わなくても…」

提督「死ぬほど痛いもので罪を償いますからぁ!」

明石「あーはいはい、少し静かにしておいてくださいねー」シュル キュッ

提督「んー!?」モゴモゴ

明石「ふう、それでは説明をしましょうか」

飛龍(雑だなあ…)

明石「まあ説明とは言っても、簡単なものですけどね」

飛龍「えーっと…そのメモリンZ、だっけ?はどう使うの?」

明石「普通に水で飲ませるだけですよ」

三隈「座薬ではないんですの?」

明石「そっちでもいいと思ったんですけど、提督の尊厳を考えて普通に飲むタイプにしました」

三隈「カプセルだから期待してしまいましたわ…」

蒼龍(もしかしてこの子って変態なんじゃ…)

明石「さてと、それじゃ飲ませてあげましょうか。あまり騒ぎを大きくさせたくありませんし」スッ

提督「〜!?」ビク

ヒイロもどこかで言ってませんでしたかね…なんせ最後に見たのが3年ほど前だったのでかなりうろ覚えですね…

明石「はーい、お薬の時間ですよー」

提督「!? 〜っ!!」ガチャガチャ

明石「はいはい、怖くないですからね〜」

提督「………っ…」フルフル

明石「……………」

明石(あれ?もしかしなくてもこの絵面、犯罪なのでは?)

明石(怯えに潤んだ瞳…吊り上げられた細い腕…自分を守るために折り畳まれた白い足…)

明石(背景を車の中に補完してみよう…)

明石「……………」

提督「…………?」

明石(…あっ完全に犯罪だこれ、完全にハイエースだ)

明石(いやいや、さすがにこんなところでやるのはダメよ明石…やろうと思えばいつでもできるんだから、今は提督に薬を飲ませてあげないと)

明石「よいしょっと」シュル

提督「っは…な、なんですかそれ…まさか浮気薬!?」

明石「浮気薬ってなんですか…」

バタン

加賀「提督!」

武蔵「相棒、ここにいたか!」

金剛「テートクゥー!会いに来たデース!」

提督「ひいぃ!?」

加賀「……何をしているの?」

明石「ああ、今から提督に薬を飲ませようとしているんです」

加賀「この拘束は?」

明石「暴れられると困るので」

加賀「なるほど…無事だったみたいね」

提督「ひぃっ!」

加賀「どうしてそんなに怯えているの?」

提督「ち、違うんです加賀さん!私は浮気なんてしていないんです!」ブンブン

加賀「は?浮気?何のことを言っているの?」

提督「え?だ、だって、そこの二人が提督と私はお付き合いしていたって…」チラッ

武蔵「げっ」

金剛「Shit…」

加賀「…………ほう」

加賀「もう これで終わってもいい」ズズ

武蔵「ま、まずい」

加賀「だから」

金剛「に、逃げっ…」ダッ

加賀「ありったけを」グッ









武蔵「」

ドザッ

武蔵「げはっーー」

金剛「ヒィッ!!」

加賀「さい しょは グー」ギリギリギリ

金剛「へ、help

ズオッ

ゴッ

金剛「ーーーーー」

ゴシャアッッッ

ドンガラガッシャーン

金剛「」ピクピク

武蔵「」ピクピク

加賀「ふぅ」

提督(あ…サイドテールが元の長さに戻った…)

明石「提督、こっち向いてください」

提督「え?あ」

グイ

提督「むぐ!?」

ゴクッ

明石「これでよし、と」

提督「なに……を………」

コテン

提督「すー……すー……」

飛龍「……寝ちゃったけど、これでいいの?」

明石「はい、記憶の整理は眠っているうちにされますから。提督のお部屋に運びましょうか」

〜〜〜

提督「………ん…」パチ

明石「あ…」

提督「…あれ…私…」

明石「提督、私のこと分かりますか?」

提督「……明石…?なんで私の部屋に…」

明石「!」

加賀「よかった…!」ガバッ ギュウ

提督「うわっ!?か、加賀…!?いきなりなに?」

武蔵「相棒、元に戻ったか」ボッコボコ

金剛「テイトクー!元気そうで何よりデース!」

提督「う、うん…?」

提督(なんで二人とも顔が腫れてるんだろう…)

明石「………ということがあって、提督は記憶を失っていたんですよ」

提督「そ、そうだったんだ…」

明石「どうですか?その時のこと、思い出せそうですか?」

提督「えっと…確か……駆逐艦の子達と鬼ごっこしてたような…」

飛龍「合ってる合ってる」

最上「そこでボクとぶつかっちゃったんだよね…ホント、申し訳ないや」

提督「あ、ううん、大丈夫だよ。こうして元に戻ったんだし、気にしないで」

最上「うん…」

提督「いたたっ!?」

明石「あ。そういえば足の治療がまだでしたね」

提督「うう…な、なんでこんなに傷だらけなの…」

明石「裸足で走るからですよ、もう」

提督「ああ…そういえば、そんなこともしてたような…」

明石「まあ消毒はしましたし、とりあえず食堂でお昼をいただきながら詳しい話でもしましょうか」

提督「うん、そうだね」

加賀「立てる?」クイ

提督「ああ、ありが……とぉっ!?」ズルッ

加賀「っ…!?」グラッ

ゴチンッ☆

明石「うわっ!?」

提督「いたた……あ!ご、ごめん、加賀!大丈夫!?」

加賀「……………」

提督「………加賀?」

加賀「………どちら様ですか?」

提督「えっ」

一同「えっ」





「「「「ええええええええええええええええええええええええええええ!!!!????」」」」

記憶喪失おわり
すぐにメモリンZを飲んだので治りましたとさ

提督「……………」

カン カン カン

提督「…………?」クル

嵐「よっ」

提督「嵐…」

嵐「司令、こんなところで何してるんだ?」

提督「見張り」

嵐「夜間哨戒か?」

提督「うん」

嵐「へー…」

嵐「しかし、なんでまた司令が見張りなんてやってるんだ?」

提督「普段は大淀がレーダーを見てくれるんだけどね。大淀だってずっと起きてられるわけじゃないし、レーダーのメンテナンスも兼ねて時々こうして見張り台で見てるんだ」

嵐「なるほど、それで今日の当番は司令ってわけか」

提督「そういうこと。で、嵐こそどうしたの?」

嵐「ん?俺は昼寝しすぎたから眠れないだけ」

提督「そうなんだ…とりあえず、入る?」バサ

嵐「いいのか?」

提督「うん。眠れないんでしょ?」

嵐「…そうだな。お言葉に甘えるよ」ゴソゴソ

嵐「はーっ…司令、あったかいなあ」

提督「んー…眠いからね…」

嵐「大丈夫か?まだ丑満時だぞ?」

提督「大丈夫大丈夫…食べる?」スッ

嵐「何これ?」

提督「黄金糖」

嵐「ふーん…いただくよ」ヒョイ パク

提督「ふあぁ…」

嵐(あ、美味い…)

嵐「というか、まだ見張りって必要なんだな」

提督「まだ、って?」

嵐「いや、この前司令が深海棲艦の棲家に行ってなんか和解したとか言ってただろ?」

提督「ああ、うん」

嵐「なら深海棲艦は攻めて来ないんじゃないのか?」

提督「あー…そのことなんだけど…」

嵐「ああ」

提督「深海棲艦って、基本的に自我はあるんだけど…それだと的確な指示ができないから、ある程度の下っ端は姫か鬼クラスの深海棲艦が脳波みたいなもので統制してるんだって」

嵐「へー、そうだったのか」

提督「で、この前行った時に意識のリンクは切ったみたいなんだけど、一度出した命令は解除できないんだってさ。なんでも、出せる脳波にも限界はあるらしくて」

嵐「なるほどなぁ…じゃあ後は残党狩りってことか」

提督「そういうことだね」

嵐「なら、これからも気合い入れて行かないとな」

提督「……………」

嵐「…ん?どうした?」

提督「いや、嵐はかっこいいなって思って」

嵐「きゅ、急になんだよ?」

提督「かっこいいっていうか…美形、だね…整った顔立ちだから、真面目な表情だとすごく凛々しく見えるよ」

嵐「あ、ああ…へ、変な司令だな…」

提督「ふふふ」

嵐「…調子狂うなあ」

嵐「……あの、さ」

提督「うん?」

嵐「司令は俺のことかっこいいって言ったけどさ…かわいい、とは思ったりしない…のか?」

提督「…突然どうしたの」

嵐「い、いや、ほら…こんなんだけど、俺だって女の子だからさ…//」ポリポリ

提督「はあ、なるほど…」

嵐「で…ど、どう思う?」ソワソワ

提督「んー……確かに嵐はかっこいいし、女の子らしくないかもしれないけど…」

嵐「う、うん」

提督「そういう風に気にしたりするのは、すごく女の子らしくてかわいいと思うよ」

嵐「!! そ、そっか…そっか、へへへ…///」ドキドキ

提督(あ、黄金糖なくなった…)

嵐「じゃ、じゃあさ…」

提督「うん」

嵐「かっこいい俺と、かわいいっていうか…女の子らしい俺、どっちがいいと思う?」

提督「…難しいこと聞くね」

嵐「なんかわかんないけど司令には答えてもらいたいんだよぉ…なっ、頼むよ」

提督「そうだなぁ…」

嵐「……………」

提督「……………」

嵐「……………」

提督「……………」

嵐「………そ、そんなにどっちもダメか?」

提督「…あ、いや…そうじゃなくて…」

嵐「じゃなくて?」

提督「私はどっちの嵐も好きだし、ありのままの嵐が大好きだよ」

嵐「〜〜〜〜〜!!!///////」バタバタバタバタ

提督「照れてるのかどうかは知らないけど、あんまり毛布の中で暴れないでね」

嵐「……はぁ〜〜司令が司令でよかった……」

提督「…どうも」

嵐「陽炎姉がさ、司令は天然ジゴロだから気を付けろって言ってたんだよ」

提督「う、うん」

提督(天然ジゴロ…?)

嵐「その言葉の意味が今分かったよ!あっはっは!」

提督(……まあ嵐が楽しそうだしなんでもいいや…)

提督「というか、私に聞かなくても萩風や野分に聞けばいいのに」

嵐「やー…萩にものわっちにも聞いたんだけどさ、なんかイマイチピンと来なくて…やっぱり、司令は特別っていうか…他のやつらとは違うっていうか…」

提督「はあ」

嵐「まあ、司令はみんなに好かれてるみたいだし俺のことなんてどうでもいいかもしれないけど…」

提督「そんなことないよ、私だって誰にでもこういうことするわけじゃないんだから」

嵐「そうなのか?」

提督「うん、好きな人にしかしないよ」

嵐「…信頼してる人にしか、だろ?」

提督「ん?まあ、言い換えればそうなるけど…それがどうしたの?」

嵐(これで何人も勘違いさせてきたんだな…なるほど、天然ジゴロと評されるわけだ…)

提督「それにしても…あれだね」

嵐「?」

提督「こうして一つの毛布に包まってると……私たち、なんだか…」

嵐「え…」ドキッ



提督「見張り中のパズーとシータみたいだね」

嵐「……………」

提督「嵐?」

嵐「……司令のバーカ」

提督「えっ」

嵐「なあ、司令」

提督「ん?」

嵐「まだ会ってそんなに経ってないかもしれないけどさ…俺、司令のこと一番信じてるぜ」

提督「そっか。ありがとう」

嵐「司令はどうだ?」

提督「ん?うん、私も嵐のことは信じてるよ」

嵐「へへへ、そっかそっか」

提督「今日はよく喋るね」

嵐「そりゃな、せっかく司令と二人っきりだからな」

提督「そう…」

提督(眠いんだけどなあ…)

嵐「……………」

提督「……………」

嵐「………静かだな」

提督「そうだね…」

嵐「…そういやさ、司令」

提督「ん?」

嵐「今は何もないからいいけどさ、もし敵襲があったらどうするんだ?」

提督「内線電話で大淀に連絡すれば鎮守府から誰か出てきてくれるよ」

嵐「でも結構時間かかるだろ?それまではどうする?」

提督「一応護身用の拳銃はあるけど…」カチャ

嵐「…効くのか?」

提督「効かないと思う」

嵐「なら他に対抗手段なんてないんじゃ…」

提督「そうだね、下手したら死ぬかも」

嵐「だよな…」

提督「……そんな心配そうな顔しなくても」

嵐「だって…司令が死ぬなんて嫌だし…」

提督「大丈夫だよ、そう簡単に死にはしないって」

嵐「………だよな。俺も、司令を守らなきゃな」グッ

提督(ほんとカッコいいなぁ、嵐…)

提督「守ってくれるのはいいけど、夜は怖くないの?」

嵐「え?そりゃあ…まだ、怖いけどさ…」

提督「なら無理はしなくても…」

嵐「けど、それ以上に大切な人を失うのが怖いからさ。司令を助けるためなら何も怖くないぜ」

提督「……………///」ポッ

嵐「…ん?どうした?」

提督「あ…嵐って、結構そういうこと素で言えるタイプなんだね…」ソッ

嵐(……あれ?もしかして俺、相当恥ずかしいこと言ったんじゃ…)///

提督「でも…気持ちは嬉しいよ。ありがとう」ニコ

嵐「おっ、おう…///」

HP900ってなんだよ…(半ギレ)

嵐「なあ、もうちょっとそっち寄ってもいいか?」

提督「ん?うん、いいよ」

嵐「へへへ」ゴソゴソ

提督「どうしたの、変な笑い方して」

嵐「いや、こうしてると心の距離も縮まったみたいだなって思ってさ」

提督「…そうだね、ふふ」

嵐「もう冷えてきたからなー…風邪引くなよ?」

提督「うん、大丈夫だよ」

嵐「風邪引いたら萩が心配しすぎて死んじまうかもな、ははは」

提督「それはさすがにないでしょ…」

嵐「は〜…そろそろ俺も眠くなってきた…」コテン

提督「部屋で寝ないと風邪引くよ?」

嵐「司令がいるから平気だって…」ウトウト

提督「そういう問題なのかなあ…」

嵐「……zzz」

提督「あー…」

嵐「くー……」

提督(起こすのも悪いし…自分で目を覚ますまで待っておこうかな)

提督「…………」ジー

提督(しかし、こうして見ると…まだあどけなさが残る顔だなぁ…)

ツン

嵐「んぐ…んん〜…」

提督「ふふ…かわいい…」ナデナデ

嵐「ん…へへ…」

翌日


嵐「ぐうぅ…ふあ〜…」

萩風「嵐、眠そうだけど…大丈夫?」

嵐「ん?おう…ちょっと昼寝してくるよ」

萩風「そういえば、昨日の夜どこかに行ってたみたいだけどもしかしてそのせい?」

嵐「まあそんなところかなー…」

萩風「どこに行ってたの?」

嵐「ん?司令と寝てた」

萩風「……!!???」

嵐「んじゃ、またあとでなー」

スタスタ

萩風「あ…嵐が、司令と…!??」

萩風「た、大変…もし加賀さんに知られたら…」

ポン

加賀「萩風、どうかしたの?」

萩風「はあああぁぁ!!!???」

密会おわり
萩風の勘違いで大騒動になる5秒前でした

提督「ひゃっほーーーう!!」

五月雨「きゃー!」

涼風「わはは!捕まえてみやがれってんだい!」

時津風「ぎゃー!!しれぇに捕まったら蝋人形にされるぞー!!」

提督「ぐへへへ、お前も蝋人形にしてやろうかー!!」

パタパタ

飛龍「またやってるよ…」

蒼龍「ほんとあの人駆逐艦大好きだなぁ…」

提督「ぐへへ…駆逐艦の子達はかわいいなぁ…」

「相変わらずですねぇ、提督さん♪」

シュル

提督「え?ぐぇ!?」

グイ ガサガサ

時津風「……あれ?しれぇどこ行った?」

涼風「腰痛めて戻ったんじゃないかい?」

時津風「なら人集めてボールでも蹴りますかー!」

涼風「おー!」

ドサッ

提督「いたた…うー、誰がこんなこと…」ムク

「お久しぶりですね、狭霧中将?」

提督「え?あ、憲兵さん!」

憲兵「うふふ、覚えていてくれたんですね。光栄です」

提督「まあ…そりゃあ、憲兵さんのインパクトすごいし…」

憲兵「それはさておき、私がここに来た理由…お分かりですよね?」

提督「うーん……?何か事件でもあったの?」

憲兵「実はここ最近、駆逐艦の子達に手を出そうとする不貞な提督がいるそうなので注意喚起をと思いまして」

提督「えー!?何それ、そんなことする人絶対許せないよ!」

憲兵「……………」

憲兵「……何か、そういった方に心当たりはお有りですか?」

提督「ん?うーん、あいにくだけど何も知らないや」

憲兵「………はぁ……」

提督「どうしたの?」

憲兵「いえ…あなた様がここまで鈍い方とは思いませんでした」

提督「??」

憲兵「まあ、いいでしょう…」

提督「そ、そう…?」

提督「ところで憲兵さん」

憲兵「はい、どうしました?」

提督「なんで私は拘束されてるの?」ギチッ

憲兵「うふふ、小さい子に手を出そうとする悪いオオカミさんにはお仕置きをしてあげなければいけませんからね」

提督「へ?」

グイッ

提督「ふぎゃ!?」

憲兵「ふ、ふふふ…ここなら見つかる心配もない…」

提督「あ、あの〜…目が怖いですよ〜…」

スパァン!!

提督「ひぎゃあっ!?」

憲兵「うふふ……可愛い声で啼きますねぇ」サスサス

提督「い、痛ぁ…!ど、どうしたの、憲兵さん…」

憲兵「お仕置きです。反省しましたか?」

提督「は、反省って何を

ベチーン!!

提督「きゃあんっ!?」

憲兵「あぁ〜…ほんと、いい反応…///」ウットリ

提督「な、なんでこんな…

バチーン!!

提督「にゃあぁ!!」

憲兵「///」

憲兵「反省しましたか?」スパーン

提督「ひぐうっ!?は、反省ってなんの話なの!?」

憲兵「反省しましたかと聞いているんです!」スパーン

提督「うきゃあ!?し、してます!してます!」

憲兵「私のお嫁さんになりますかぁ!?」スパーン

提督「なりまっ……えぇ!?」

憲兵「反省しましたかぁ!?」スパーン

提督「ふぎゃあ!?してますってばぁ!」

憲兵「お嫁さんになりますかぁ!?」スパーン

提督「なり…ならない!それはならないから!」

憲兵「反省しなさーい!!」スパーン

提督「なんなのこれぇー!!?」

提督「うっ、うっ…叩かれた…恥ずかしいところいっぱい見られた…もうお嫁に行けない…」シクシク

憲兵「私がもらってあげますよ」

提督「お尻を叩きまくる人はいやです…」

ガコン ギギギ

憲兵「ん?」

加賀「久方ぶりね、憲兵さん?」

憲兵「げっ!!」

提督「あ、加賀…」

加賀「乱暴されたの?」

提督「あ、うん…お尻がヒリヒリする…」

加賀「そう…」

憲兵「…………」コソコソ

加賀「おい」

憲兵「ひっ!?」

加賀「人の女に手を出そうとする不貞な憲兵にはお仕置きが必要……よねえ?」ニヤァ メキキ…

憲兵「あ…ま、待ってください…て、提督さん、お助け…!」

提督「えっと…ご愁傷様」

加賀「覚悟を決めろ」




「アッーーーーーーー!!!!!」

憲兵さんおわり
憲兵さんが変態なら提督のロリコン趣味も中和されるということを世に示しました

「え……ほ、ほんとに……のまま…」

「ええ…今日一日……れたま…で」

コンコン

ガチャ

雷「司令官、入るわよ!」

提督「!」ビクッ

加賀「あら…」

雷「あれ?もしかしてお取り込み中?」

加賀「いえ、構わないわ。それじゃあね」スタスタ

提督「あ…ちょ、ま、待ってよ!」

バタン

提督「う…」

雷「?」

提督「あ…ご、ごめんね雷。どうかしたの?」

雷「はい、これ。頼まれてた書類よ」

提督「あっ、ありがとう…」

雷「ところで司令官、ベルトが緩んでるわよ?」

提督「えっ!?あ、ほ、ほんとだ!き、気付かなかったよ、あははは!」アセアセ

雷「………?」

提督「ふー……い、雷」

雷「なに?」

提督「執務室に入るときは私が許可するまで入らないこと、いい?」

雷「え?ええ」

提督「ん…なら、いいけど…」

雷「…司令官、どうしたの?」

提督「え?」

雷「普段の司令官ならわざわざそんなこと気にしないし、さっきから顔が赤いし…もしかして熱があるの?」

提督「へっ…い、いや、ちが…んんんっ!!?」ビクン

雷「!?」

提督「う……く…///」プルプル

雷「し、司令官!?どうしたの!?苦しいの!?」

提督「だ…大丈夫、だから…」

雷「でも、顔が赤いし…」

提督「ほ、ほんとに大丈夫だから!心配しないで!」

雷「……司令官がそこまで言うなら…でも何かあったら言ってね?絶対よ?」

提督「う、ん…わかった」

雷「それじゃ行くけど…無理しないでね?」

提督「うん…」

バタン

提督「……は、ぁ…」ガク

提督「はぁ…どうしよう…」

提督「今日一日このままなんて…」

提督「今はおさまってるけど…たぶん、どこかで…また…」

提督「…………/////」カァッ

提督「も…もし、みんなにバレたら…まずい…よね…」

提督「……極力外には出ないようにしよう…」

提督「……うー…」ソワソワ

提督「落ち着かない…すごい、異物感が…」

提督「これじゃ本も読めないし…」

提督「…どうしよう…」

コンコン

提督「……!」

「司令官!ボクだよ!皐月だよ!」

提督「あ…さ、皐月?どうしたの?」

「とりあえず入るよ!いいよね!?」

提督「えっ!?」

ガチャ

皐月「へへへ〜」

提督(ま、まずい…)

皐月「司令官、聞いて聞いて!あのね、ボクね!」

提督「う、うん…」

皐月「さっきの出撃でMVP取ったんだ!!軽巡にも負けないんだよ!!」

提督「そ、そっか…っ…!///」ビク

提督(ど、どう…しよう…また、きた…)

提督(うう…でも、振動は弱いし…皐月の自慢話を聞くだけなら、なんとか…)

皐月「すごかったんだよ!爆雷がさ!」ピョンピョン

提督「さ、皐月!」

皐月「?」

提督「た、立ったままじゃなんだし…ほら、座ってお話しよっか」ストン

皐月「あ、うん!」

皐月「んしょっと」チョコン

提督「え…ひ、膝の上に座るの?」

皐月「え?ダメなの?」キョトン

提督「い、いや…いいよ…」

皐月「そっか、ならよかった!」

提督(うう…だ、大丈夫かな…もしかして振動とか伝わるんじゃ…)

提督(脚のホルダーも…これだとすぐ気付かれるかも…)

提督「…………///」カァ

皐月「司令官?」

提督「え?あ、ご、ごめん。話を続けようか」

皐月「…でね、ボクがその砲弾を避けて…」

提督「…………///」ブルッ

皐月「…司令官?聞いてる?」

提督「え?あ、ああ、うん、聞いてるよ…あはは」

皐月「ほんと?さっきからぼーっとしてるけど」

提督「だ、大丈夫だよ。潜水艦を仕留めっんああぅ!!?/////」ビクッ

皐月「!?」ビク

提督「ぁ……は、あっ…」フルフル

皐月「し、司令官!?どうしたの!?」

提督「な…なんでも、ない…よ…///」

皐月「なんでもないわけないでしょ!?お腹!?お腹が痛いの!?」サスサス

提督「あっ…ま、待って…そこ、触っ……んうぅ…!」ビク

皐月「あれ…?なにこれ、お腹のあたりで何か震えてる…?」

提督「………!!」ギクッ

バッ

皐月「あっ」

提督「き、気のせいじゃないかな!?あは、あははは!」

皐月「そこまで慌ててると逆に怪しいんだけど…疲れてるの?」

提督「あ、あー……じ、実はちょっと体調が悪くて……っふ」ピク

皐月「あ、そうなんだ…ごめんね、変な時にきちゃって」

提督「ううん、いいよ…んっ」

皐月「ならまた今度にしようかな。安静にしてなきゃダメだよ?」

提督「うん…」

皐月「それじゃあね!」

バタン

提督「……………」ストン

提督「はぁ…う……」フルフル

提督「これ…思った以上に、刺激が強すぎ……ああっ!?」ビクン

提督「う、動っ…!やっ、止まっ…てぇ…///」ガクガク

ドサ

提督「はぁ、はぁ、はぁ…っ、う…」ビクッ…フル…

提督「よかった…お、おさまった…」

ゴソ

提督「ん……」ヌル…

提督「あぁ…もう、びしょびしょになってる…//」

提督「染みもできてるし…いったん着替えよう…」フラフラ

〜〜〜

提督「…………」

提督「……お腹空いたなぁ…朝も何も食べてなかったし…」

提督「でもみんなのいる前に行くわけにもいかないし…」

提督「どうしよう…」

提督「…………」

コンコン

提督「」ビクッ

「提督ぅー、いるかーい?」

提督「い、いるよー」

「あたし達今から間宮さんとこ行くんだけどさー、提督も一緒にどう?」

「奢るわよー」

提督「あ、あー…」

提督(隼鷹たちの好意を無下にするのも悪いし…うう…)

「…行かないのー?」

「体調でも悪いの?無理強いはしないけど…」

提督「あ…そ、そんなことないよ!すぐ行く!」

「ん、おお」

提督(ああ…断れなかった…)

提督(…が、我慢すれば…大丈夫、なはず…)

ガチャ

提督「お、お待たせ…」

飛鷹「あら、早いわね」

隼鷹「お?スカートなんて珍しいじゃん、どっか行くの?」

提督「え?あ、いや、た、たまにはいいかなーって」

隼鷹「ふーん」

ナニをどこにどうしてるか詳しく明言したわけでもないのになんだこの団結感は…たまげたなあ

隼鷹「かーっ!やっぱ発泡酒はいいねえ!」

飛鷹「また昼からビール飲んで…肝臓いわすわよ?」

提督(さすがにご飯の時は何もこないか…まあ、火傷したら危ないもんね…)モグモグ

隼鷹「提督ぅ、やけに静かだけどなんかあったの?」

提督「……へっ?な、なに?」

隼鷹「ありゃ、なんも聞いてないや」

飛鷹「ご飯は静かに食べるもんでしょ、あんたみたいに酒飲んでるわけじゃないんだから」

隼鷹「まーそれもそっか!あはははは!」

提督(ダメだ…何も集中できない…)

提督(はぁ…このまま何事もなく夜まで過ごせればいいんだけどなあ…異物感もすごいし…)

隼鷹「だかるぁー、あたしだって正規空母に負けないようにすぁー」

飛鷹「提督、ちょっと一味取ってくれない?」

提督「ん?うん」ヒョイ

飛鷹「ありがと」

隼鷹「んぉ?ぉー…無視ですかそうですか…」

飛鷹「酔っぱらいの相手なんて誰もしないわよ」

隼鷹「にゃんだとぉー!?」

飛鷹「はいはい」

提督「あはは…」

提督(とりあえず何事もなく終わった…)

提督(うん…慣れないけど、スカートなら染みにもならないから声は我慢すればバレないし、保険のハンカチも持ってる…)

提督(これなら乗り切れる…はず)

提督「…っ……!」ピクッ

提督「…だ、大丈夫大丈夫…この程度なら耐えられる…」

提督「あとは部屋でおとなしくしていれば…」

ガチャ

龍田「うふふ、お邪魔します〜」

提督「…………」

提督「……………」フイ

龍田「……………」ススス

提督「……………」スス

龍田「……………」ススス

提督「……………」ススス

龍田「どうして逃げるの?」

提督「き、気のせいじゃないかな」

龍田「そうかしらぁ」ススス

提督「そうだと思うよ」ススス

龍田「……………」ニコニコ

提督「……………」

提督「……………」

龍田「……………」

ダッ

提督「ぎゃー!?」

龍田「うふふ、捕まえた♪」ガッシリ

提督「な、なんで捕まえるのぉ!?」

龍田「だって、逃げられたら追いかけたくなっちゃうでしょ〜?」

提督「そんな肉食動物みたいな…ひうっ!?」ビク

龍田「あら?」

提督「ま、待っ……今は…だ、めぇ…!」ガクガク

龍田「あら〜」

提督「んあぁ…!」ブルッ

龍田「……うふふ」

ピト

提督「ひっ!?」

龍田「あら〜、どうしてお腹のあたりが震えているのかな〜?」

提督「さっ、さあ…!?な、なんでだろ…うひぃっ!?」

龍田「それに、顔が真っ赤なのはどうしてかしら〜?」ニコニコ

提督「ちょ、ちょっと暑いかなー…な、なんて…んぅっ!」ビク

龍田「うふふ」

提督「あ、あはは…」

ガバッ

提督「ふぎゃー!?」

提督「ふーっ……ふーっ…////」ガタガタ

龍田「うふふ、よく似合ってるわ」ニコニコ

提督「こ…こんなの、どこに隠し持って…」

グリッ

提督「やあぁっ!?」ビクビク

龍田「尻尾を掴んでも怒らないなんてお利口さんな犬ねえ〜」

提督「うぁ…あぅ…」クタ

龍田「ふふ、前も後ろも塞がっちゃったわね?」

提督「りょ、両方なんて無理…だよぉ…お、お願いだから……これ、抜い…てぇ…」フルフル

龍田「んー…」

龍田「別に抜いてあげてもいいけど、他の子にバラしちゃおうかしら」

提督「えっ」

龍田「うふふ、どうする?」

提督「……きょ、今日一日は…このままで…」

龍田「ん、了解♪」

提督「と、というかこれ…どういう原理でスカートの外から…」

龍田「一時的に服の繊維と結合部を同化させてるだけよ?私たちの艤装と同じ原理ね」

提督「だからその詳しい原理を…」

ギュ

提督「きゃん!?」ビクン

龍田「うふふふふ、早く行かないともっと揺らすわよ〜?」

提督「ひい!い、行きます行きます!」

ガチャ

バタン

提督「はあぁ…早く部屋に戻らないと…こ、こんなの見られたらどう言い訳……」

卯月「……………」キラキラ

時津風「……………」キラキラ

提督「……………」

ダッ

時津風「しれぇー!!しれぇー!!なんで逃げるのー!!??」ドドドド

卯月「なになになに!?その尻尾はなにっぴょーん!??」ドドドド

提督「いやあああああああ!!!」ドドドドド

提督(あ、あった!青葉の秘密通路、あれを使えば…)

提督「くひぃっ!?」ビクン

ドザアッ

提督「ぁ…!こ、こんなとき…にぃ…」ガクガク

卯月「ふっふっふ、ふーちゃん観念するっぴょん!」ニヤリ

時津風「うおー!!?なにこれ、すごー!!犬の尻尾が生えてる!!」ギュッ

提督「ひゃあ!?」

卯月「ふんふん、本物みたいっぴょん」ニギニギ

時津風「ん?これどうやってスカート貫通してんの?」グリグリ

グププ…

提督「んうぅ゛……!??/////」ピクピク

卯月「あれ?ふーちゃんどうしたぴょん?」

提督「そ…それ、動かすの……ダメ…」

時津風「これ?」グイ

提督「ふぅぅ…!そ、そう…」

時津風「なんでー?」

提督「ち、力…入らな…」

時津風「ならもっといたずらしちゃいますかー!」グイグイ

卯月「しちゃうぴょーん!」コチョコチョ

提督「ふあぁ!?はひゃっ、う、卯月!やめっあははは!はは、んぁあ!!動か、んんん!!?」ビクン ガタガタ

スタスタ

「うっ、うあ…ああ…」

加賀「…………?」スッ



提督「はーっ…はーっ…////」

時津風「うひひ。しれぇ、涎垂れてるよ?」

卯月「ふーちゃーん、聞こえてるー?」



加賀「あぁ…」

加賀「ちょっといいかしら」

時津風「ん?んお、加賀さん」

提督「あ…か、加賀…」

加賀「見ないうちに変なものがついたのね」

提督「ち、ちが…これは龍田に…」

加賀「可愛いわ」カチカチ

提督「んうううぅ!!?ひゃあああっ!!」ビクビク

卯月「!?」

加賀「ちゃんと入っているわね」カチ

提督「ひっ、あ、ああ…も、やだぁ…///」ピクッ…ピクン

時津風「???」

加賀「色々あったみたいね」

提督「ありました…もう、疲れました…」

加賀「そう…なら、少し早いけど休みましょうか」

提督「うん…」

加賀「立てる?」

提督「無理…」

ギュ ヒョイ

加賀「何回?」

提督「……三回、ぐらい…」

加賀「そう、刺激が強すぎたかしら」

提督「かなり…戻ったら抜いてね…」

加賀「ええ」

スタスタ

時津風「……なんだったんだろ?」

卯月「さあ…?」

提督の受難おわり
なにがどこに入ってたんですかねえ?(ゲス顔)

「司令官、司令官!」

提督「ん?ああはいはい暁、どうしたの?」

暁「んっ!」スッ

提督「? これは…」

暁「サンタさんにお手紙よ!届けておいてくれるんでしょ?」

提督「あー…うん、もらっておくね」ゴソ

暁「えへへ…楽しみね」

提督「そうだね、暁はいい子にしてたからきっとプレゼントもらえるよ」

暁「ふふん、当然よ!」フンス

提督「それじゃ、もう今日は遅いしそろそろ寝た方がいいよ」

暁「うん。おやすみ、司令官!」

提督「おやすみ」

パタパタ

バタン

提督「そうか、もうそんな時期か…」

提督「確か加賀が駆逐艦の子達にもらったリストをまとめてくれてたっけ…」ゴソゴソ

提督「……あ、あった。どれどれ…」

提督「……ふんふん……」

提督「…やっぱりゲーム機とかが多いなあ…姉妹でするのも楽しいだろうし、買ってあげなきゃ…」

提督「………んっ?」



サンタさんへ
わたしはプレゼントにあいぼうのくすりゆびがほしいです

               むさし



提督「………………」

提督「…………」ゴシゴシ

提督「………………」ジッ

提督「………………」

提督「あっ見間違いじゃないや。シュレッダーさんお願いします」

ガガガガガガ

提督「さーて、私もそろそろ寝ようっと…」ググ

提督「はぁ…」

ボフッ

提督(また飾り付けとかしなきゃ…)

〜〜クリスマス当日〜〜



蒼龍「わぁお、クリスマスぅ♪」

飛龍「おー…ツリーも綺麗だし、キラキラしてるし、七面鳥もあるしケーキもある!やー、いい雰囲気だねえ!」

瑞鶴「……………」

翔鶴「瑞鶴?そんなに険しい顔をしてどうしたの?」

瑞鶴「その七面鳥って呼び方、いい気がしないわ」

飛龍「えー、でも間違ってないでしょ」

瑞鶴「他にも呼び方くらいあるでしょ!」

飛龍「例えば?」

瑞鶴「チキンなんて日本生まれの私たちには合わないわ、焼き鳥でいいのよ焼き鳥で!」

加賀「……………」

翔鶴「あっ…」

ガッ

瑞鶴「うわああああなになに加賀さんなに!!?痛い痛い割れる割れるぎゃああああ!!」

加賀「……………」メキメキ

飛龍「あー、楽しそうだねー」

翔鶴「そうですねえ」モグモグ

蒼龍「ねえねえ提督、提督はサンタ服着ないの?」

提督「着ないよ…そもそもそんなものないでしょ」

明石「ありますよ」

提督「えっ」

明石「提督用の」

提督「」

明石「着ます?」スッ

蒼龍「着る着る!」

提督「なんで蒼龍が答えるのさ!私は着ないからね!」

飛龍「えー、真っ赤でフリフリで可愛らしいのに」

提督「だってほら、スカートだってこんなに短いし。ちょっと動いただけで見えるよ」

蒼龍「そう?」

飛龍「そんなに短くないでしょ」

提督「短いよ!だいたいねえ、みんなのスカートの丈はおかしいの!」

飛龍「おかしくないって!提督が時代遅れなだけだよ!」

提督「違いますぅー!女の子がそんなに肌を見せるものじゃないんですぅー!!」

ギャーギャー

明石「あー…どうします?」

加賀「私に聞かれても」メキメキ

瑞鶴「あぎぎぎぎ」

提督「とにかく、私は着ないからね!」

飛龍「ふーん…じゃああれを見てもそんなこと言えるんだー?」

提督「あれ?」



鳳翔(サンタ服)「うう…み、短い…///」モジモジ



提督「!!???」

飛龍「あぁー、鳳翔さんが着てくれてるのになー」チラッ

蒼龍「一人だけ恥ずかしそうだなーかわいそうだなー」チラッ

提督「ひ、卑怯な…」

バサッ

提督「着替えました…///」

飛龍「おー!似合ってる似合ってるぅ♪」

翔鶴「わあ…提督、とても可愛らしいですよ」

提督「ど、どうも…」

加賀「あら、結局仮装はするのね」

提督「うっ…か、加賀…」ササッ

赤城「お?どうしました?」

加賀「? どうして隠れるの?」

瑞鶴「恥ずかしいんでしょ、ホント女のくせに女心が分かってないわねー」

加賀「また顔に手形を付けてあげましょうか?」

瑞鶴「ひい!」

加賀「可愛いと思うわ」

提督「っ……あ…ありが、とう…///」

蒼龍「あー、照れてる」

飛龍「帽子ない時はすーぐ髪で顔隠すもんねー」

提督「や、やめてよ…もう…」

雷「あー!司令官がサンタさんになってる!」

暁「プレゼントちょーだい!」パタパタ

提督「うわ!?こ、こら!私は持ってないから!寝てる時に本物のサンタさんが持ってきてくれるから待ちなさい!」

響「司令官!私には司令官のおっぱい枕をふべぇっ!?」

電「セクハラはよくないのです」ニッコリ

吹雪「あっ、司令官!こっち来てください、ケーキもありますよ!ほら!」

提督「あ、ああ…ありがとう」

深雪「うお!?司令官、またコスプレしてんの!?」

提督「あ、うん…なんだか私、行事ごとに毎回させられてる気がするんだけど…」

深雪「でもなんだかんだで楽しんでるじゃん」

提督「そりゃあ…まあ、みんな喜んでくれるし…」

叢雲「はー、クリスマスだからって浮かれすぎよ」

提督「…………」スッ

叢雲「…………」パク

提督「ケーキおいしい?」

叢雲「……おいしい」

提督「…………」

叢雲「…な、なによ」

提督「いや、なにも?」

叢雲「なんなのよ!?」

武蔵「おや?こんなところにサンタさんがいるじゃないか」

提督「げっ、武蔵…」

武蔵「なんだその反応は…それより、サンタさんなら渡すものがあるんじゃないか?ん?」フンス

提督「いや、今は何も…あ、シャンパンぐらいしかないや」スッ

武蔵「ん?そうか…まあ一応もらっておくとするかな」

提督「あんまり飲みすぎちゃダメだよ?」

武蔵「承知している。で、本物のサンタさんはいつくるんだ?」

提督「え?ね、寝てる時だけど」

武蔵「そうか、楽しみだな。私もいい子にしていたからプレゼントはもらえるはずだ…ふふふ」

提督(本気で言ってるのかなこれ…)

飛龍「シャンパン開けるよー!」

瑞鶴「おー!待ってましたー!」

飛龍「ふんぐぐぐ……ぬおおおお!!」グググ

蒼龍「っちょ、ちゃんと上に向けて開けてよね!」

飛龍「波紋ッ!!」キュポッ

バヒューン

翔鶴「えっ」

スコーン!!

瑞鶴「あぁー!?翔鶴姉ー!?」

翔鶴「あうう…」ピヨピヨ

飛龍「ありゃ…やっちゃった」

瑞鶴「だから上に向けてって言ったでしょーが!もう!」

飛龍「てへ☆」

金剛「ヘーイテイトクゥー!メッrrrrリィィーーークリスマーーーース!楽しんでマスカー!?」

提督「あ、金剛」

金剛「…What!?そ、そのcostumeは…ワタシにpresentをくれるということデスカー!?」

提督「え、いや、ちが

金剛「ありがたくテイトクをいただきマース!さあ、熱いhugを交わすネー!」バッ

提督「ひぃ!?ご、誤解ですうぅぅ!!」バタバタ



翔鶴「うーん、提督はいつも引っ張りだこねえ」

瑞鶴「あれは追いかけられてると思うんだけど…」

飛龍「まあまあ、みんな楽しんでるみたいだしいいんじゃない?ほら、加賀さんだってさ」

加賀「しゃんぱんおいしい///」ポー

瑞鶴「うわっ、もう出来上がってる…」

蒼龍「ぎぃ〜んんのりゅ〜うのぉ〜背にぃ〜のーってぇー!!」

瑞鶴「こっちも出来上がってる…」

飛龍「み、みんな楽しんでるみたいだね…」

隼鷹「ヒャッハー!!新鮮なシャンパンだァー!!」

提督「いやーっ!?なんで脱いでるのおお!??」

隼鷹「脱いでない脱いでない!あっはっはっは!!」ゲラゲラ

提督「いや脱いでるでしょ!完全に下着姿だから!」

隼鷹「ヒャハハ!蜂蜜だぁ!!」

提督「もう!ちゃんと服着なさいってば!」

隼鷹「いーじゃんいーじゃん、固いこと言うなよぉ!提督も脱ごうぜ!」

提督「脱がない!着なさい!」

隼鷹「衣笠!?」

提督「言ってない!なんでそうなったの!?」

隼鷹「浮気かぁ!?許さないぞぉ!」

提督「あぁーもぉー!!」

〜〜〜

ワハハハ

ギャーギャー

提督「はぁ…ちょっとはしゃぎすぎちゃった…」

提督「……ん…ベランダにいるのって…」

パタパタ

ガチャ

提督「ヲ級ちゃーん」

ヲ級「ン……テイトク」

提督「こんなところでどうしたの?」

ヲ級「アア…少シ、静カナトコロニ居タクテ…」

提督「ふーん…そっか」

提督「ヲ級ちゃん、もうケーキは食べた?」

ヲ級「アノ白イノカ?」

提督「そうそう」

ヲ級「アア、食ベタ。アイスミタイデ冷タクテ、フワフワシテテ、甘クテ美味シカッタ」

提督「そっか、ならよかった」

ヲ級「……デモ、多分…食ベルノハ初メテジャナイ」

提督「え?」

ヲ級「私モ、昔…コンナ騒ガシイ宴ヲ楽シンデイタ…ハッキリトハ思イ出セナイケド、記憶ガアル…」

提督「……はあ」

ヲ級「……………」

提督(…ヲ級ちゃんって、たまによく分からないことを言うなぁ…)

ヲ級「テイトク、寒クナイカ」

提督「え?あ、ヲ級ちゃんこそ。寒くないの?」

ヲ級「冷タイノニハ慣レテイル…ソレヨリ、テイトクガ心配…」

提督「ふふふ、私は大丈夫だよ。ちょっと寒いけど」

ヲ級「…ヤッパリ寒インジャナイカ」シュル グイ

提督「わっ!?」

ヲ級「コレデモ、マフラーノ代ワリニナルダロウ?」

提督「う、うん」

ヲ級「ソレニ、コウシテイレバ私モテイトクモ…暖カイカラナ…」ニコ

提督(ち、近い…)///

提督「……そうだ、ヲ級ちゃん」

ヲ級「?」

提督「クリスマスプレゼント、何が欲しい?」

ヲ級「クリスマス…プレゼント…?」

提督「そう、なんでもいいよ」

ヲ級「プレ……ゼント…」

提督「…って、いきなり聞かれても困るか。決められないようならすぐに言わなくても大丈夫だからね」

ヲ級「……………」

ヲ級「……………」

提督「なにがいいか、決まったら教えてね」

ヲ級「……妹タチ……」

提督「え?」

ヲ級「妹たちニ…会いたイ……」

提督「妹…?深海棲艦にも姉妹があるの?」

ヲ級「え?」

提督「ん??」

ヲ級「………?私、今ナニヲ言ッタ…?」

提督「へっ?い、妹たちに会いたいとかどうとか…」

ヲ級「…妹?ソンナモノ、私ニハイナイガ…」

提督「ええぇ???」

ヲ級「……………」

提督(うぅん…?よく分からないけど、混乱してる…のかな?)

提督(それに、なんだろ…ヲ級ちゃんといると、たまに妙な違和感があるというか…でも、変じゃなくて…むしろ安心するみたいな……)

提督(なんなんだろう…)

ヲ級「……ソロソロ寒クナッテキタダロウ。中ニ戻ロウ」

提督「あ…うん」

ヲ級「…プレゼント…テイトクガクレルノナラ、ナンデモ嬉シイカラ…」

提督「…そっか、わかった。また今度何か買ってくるね」

ヲ級「アア…」ニコ

提督(ヲ級ちゃん、よく笑うようになったなあ…)

提督(相変わらず読めないところはあるけど、かなり仲良くなれたかな…)

ヲ級「ソウイエバ…クリスマスハ、大切ナ人ト過ゴス行事ダト聞イタ」

提督「あー、確かにそうだね。家族とか恋人とか…みんなで聖なる夜を祝うの」

ヲ級「セイナルヨル…?」

提督「そう。キリストっていう人が生まれた日」

ヲ級「ソウカ…誕生日ヲ祝ウノダナ…」

提督「うん、そういう認識でいいよ」

ヲ級「シカシ…ソノ、キリストトイウ人間ハコンナニ多クノ人ニ祝福サレテ幸セ者ダナ…」

提督「あー…そ、そうだね…」

提督(キリストの誕生日を祝うって認識でクリスマスを迎えてる人なんていないと思うけどね…)

ヲ級「大切ナ人…カ…」

ヲ級「クリスマス…私モ、暖カイ気持チニナッタ気ガスル…」

提督「あはは、それはよかった」

ヲ級「大切ナ人ト、共ニコノ夜ヲ過ゴシテイルカラカモナ…フフ…」

提督「そ、そうかもね…///」ドキドキ

ヲ級「テイトクハ私ノコトヲ大切ダト思ッテクレテイルカ?」

提督「え?う、うん、もちろん」

ヲ級「ソウカ…ナラ、私モ幸セダ…」クス

提督(こ、この子、いつからこんなこと言うようになったの…)/////

飛龍「やー、しっかしみんな浮かれてるねえー」

蒼龍「ね、駆逐艦の子達は特にね」

赤城「サンタさんとやらがプレゼントを届けてくれるそうですからね」

瑞鶴「まあ、正体は提督さんなんだけど」

飛龍「子供は純粋だなあ…」

蒼龍「私たちは夢も希望もない大人に育ってしまった…」

瑞鶴「育つもなにも、生まれた時から大人でしょうが」

飛龍「提督もやっぱり子供の頃はサンタさん信じてた?」

提督「まあね」

蒼龍「いくつぐらいまで?」

提督「あー……ほら、私は8歳くらいですぐサンタさんがいなくなったから…」

蒼龍「え?…あっ。ご、ごめん」

提督「いいよ、気にしないで」

飛龍「そっか、提督にとってクリスマスは楽しめるものでもなかったんだ…」

提督「そんなに深く考えなくてもいいよ、今はみんながいるから楽しいし」

蒼龍「…うん、私も提督が一緒なら楽しいよ♪」ギュ

提督「ふふふ、急にどうしたの?」

飛龍「そんな提督に……」ゴソゴソ

提督「?」

飛龍「はいっ、これ!」スッ

提督「これは…?」

蒼龍「ふふ、いいから開けてみて」

提督「ん…」

パカ

提督「……!これ、ネックレス…」

飛龍「ふふっ、私たちから提督にクリスマスプレゼント!だよっ!」

提督「綺麗……いいの?こんな高そうなの…」

飛龍「いいよいいよ、普段私たちのために頑張ってくれてる提督に感謝の気持ちだよ」

提督「そっか…ありがとう、大切にするよ」

飛龍「お礼なら加賀さんに言ってあげて、贈り物をしようって言い出したのは加賀さんだから」

提督「加賀が…」

蒼龍「そうそう、一週間ぐらいずっと何を贈ろうか悩んでたんだよ」

提督「そう…そうなんだ。ふふっ」

瑞鶴「あら、ずいぶん嬉しそうね」

提督「うん、みんなもお金出してくれてありがとう。加賀には酔いが醒めてからまた改めてお礼をするよ」

蒼龍「だね、今日はパーティーを楽しもう!」

〜〜〜

提督「んん…うぁ…」ムク

提督「……1時半…そろそろみんな寝たかな…」ポリポリ

提督「ふあぁ…」ゴソ

グイ

提督「ん…?」

加賀「すぅ……」ギュウ

提督「……すぐ戻ってくるからね」パッ

スタスタ

ガチャ

バタン

提督「ふあぁ…」

飛龍「おっ、いい大あくびだねえ」

提督「ぁっ!?ひ、飛龍!?」

飛龍「そんなにおっきい声出したら加賀さんが起きるよ?」

提督「あ、そ、そっか…で、どうしてここにいるの?」

飛龍「子供たちに夢を届けるんでしょ?私も手伝ってあげようかなって」

提督「そうなんだ…蒼龍は?」

飛龍「酔い潰れて寝てる」

提督「そ、そう…」

提督「それじゃ、とりあえず倉庫にプレゼントを入れた袋があるからそれを取りに行こうか」

飛龍「はーい」

スタスタ

提督「しかしあれだね…これだけ静かってことは駆逐艦どころかもう戦艦や空母も寝てるのかなあ」

飛龍「ねー、なんだか私たち二人だけの世界みたいね♪」ギュ

提督「歩きづらいんだけど…」

飛龍「私だってたまにはいいでしょ、ねっ!」

提督「まあいいけどさ…」

飛龍「でも、こう静かだと何か出そうな雰囲気でもあるねえ…」

提督「何かって?」

飛龍「幽霊とか…わーって!!」ガオー

提督「静かにしなよ、寝てる子起こしちゃかわいそうでしょ」

飛龍「ちえっ、提督ったらちっとも驚かないもん。つまんないの」

提督「幽霊なんて非科学的だよ、だいたい存在するかも分からないものが怖いって意思が薄弱すぎると思うんだよね。未知の恐怖に打ち勝つくらいの気概がないと」

「そうですね〜」

飛龍「あー出た出た!眼鏡キャラにありがちなよく分からない理論振りかざすやつ!」

提督「ん?今そうですね〜って言ったの誰?」

飛龍「へ?何が?」

提督「……………」

飛龍「……………」

飛龍「きゅ、急に変なこと言わないでよ!?」

提督「いや、でもさっきそうですね〜って聞こえたような」

飛龍「聞こえてない聞こえてない!!私たちしかいないのに聞こえるわけないでしょ!?」

提督「えー、私は聞こえたんだけど」

飛龍「ないない絶対ない!おかしいって!!」

「あの〜」

飛龍「うわああああああああああああああ!!??」ダッ

提督「あっ、飛龍!?ちょっ、待ってってばー!」

パタパタ…

飛龍「ぜえ…ぜえ…悪霊退散…悪霊退散…」スリスリ

提督「そんなに逃げなくても…」

飛龍「いや逃げるでしょ!?なんなのあの声!?」

提督「やっぱり聞こえてたんじゃない」

飛龍「はー…もうやだぁ…」

提督「まあまあ、まだ何か悪さをしたわけじゃないんだし…」

飛龍「幽霊なんて絶対ろくなものじゃないもん…」

提督「あー…とりあえず倉庫からプレゼント取り出してこようか」

飛龍「ふぁい…」

ガチャ

提督「あったあった…よいしょっと」

飛龍「うわあ…すごいおっきいね」

提督「まあ駆逐艦の子達ほぼ全員分だからねー」

飛龍「なんか…その白い袋担いでるとほんとにサンタさんみたい」

提督「言われてみれば確かに…」

飛龍「パーティーの時のサンタ服のままだったら完璧だったんだけどな〜」

提督「う…あれはもう着ません」

飛龍「ちえっ、せっかく似合ってたのに」

提督「さてさて…プレゼント、配っていきますか」

飛龍「誰に何を配るか決まってるの?」

提督「うん、名札を付けてるから。それじゃまずは暁型の部屋から…」

飛龍「はーい」

カチャ…

提督「飛龍はここで待ってて、私はプレゼントだけ置いてくるから」

飛龍「うん」

提督「…………」コソッ

提督(……よし、みんな寝てる…)

提督(枕元に置いて…と…)ソッ

響「………ん……」パチッ

提督(あっ…)

響「……しれいかん…?」ボー

提督(ま、まずい…)

(考察してくれるのウレシイ…ウレシイ…)

提督「ひ…響…」

響「……ああ、そうか…サンタさんが…司令官を届けてくれたのか…」

提督「へっ?」

響「おっぱい……」ギュム

提督「!?」

響「………zzz」

提督「…………あ、あれ…?」

響「ぐぅ……」

提督「……寝た…」

パタン

提督「はぁ…」

飛龍「おっ、無事に届けられた?」

提督「危うく子供の夢を壊すところだったよ…」

飛龍「え?なにかあったの?」

提督「うん、まあ…」

飛龍「なに?」

提督「……………」

飛龍「……………」

提督「えーと、次は睦月型の部屋か」スタスタ

飛龍「ちょっと!?」

〜〜〜

提督「ふぅ…これで全部かな」

飛龍「私の分はないの?」

提督「いい大人がなに言ってるのさ…」

飛龍「えー、私だってプレゼントもらったら嬉しいもん」

提督「とは言っても何もないし…」

飛龍「じゃあちゅーでいいよ?……なんちゃっt

提督「いいの?」

飛龍「え?」

チュッ

提督「はい、これでいいんでしょ?」

飛龍「……………」

飛龍「……………」

飛龍「……………」

飛龍「//////」ボッ

飛龍「はあぁぁぁぁ〜〜〜〜………////」

提督「どうしたの、急にうずくまって」

飛龍「…最高のプレゼントでした…ありがとうございました…」

提督「う、うん…それはいいけど、もう遅いから寝なきゃダメだよ?」

飛龍「はい…」

提督「それじゃ、私は先に戻るからね」

飛龍「はい…」

スタスタ…

飛龍「……はぁ……」

飛龍(来年は口同士でお願いしよう……)サスサス

ダーク♂クリスマスおわり
そういえば変態やらドMやら眼鏡やらレズビッチやら、愛されてるのかそうでないのか…
いいぞもっとやれ(豹変)

「……………」

いつもとは違うベッドに寝転んでいるのに、安心感は変わらないものだった。小さい頃から見慣れた天井は昔と同じで、シミもついたままだ。

そう、私は今自分の部屋にいた。
毎年年末になると、休みを利用して実家に帰ってくるのが習慣になっていて、妹たちも同じ時期に帰ってくる。
自室にいたのはなんとなく…というか、無意識に安心を求めていたのかもしれない。子供の頃からこうして寝転びながらぼーっとするのが好きで、何もすることがなければ今でもこうしてぼーっとしている。

「お姉ちゃーん!ご飯できたよー!」

遠くから聞こえる私を呼ぶ声。あの甲高い声は…次女の風音だ。身体を起こしてる間にもう慌ただしく階段を駆け上る音が響く。

「お姉ちゃん寝てるのー!?ご飯ー!!」

「起きてるよ…」

寝てはいないからいいものの、寝てると思った人の部屋に勢いよく入るのはどうなんだろう。元気いっぱいで頭より先に身体が動くところは昔から変わらない。

「ご飯できてるよ!先に下行ってるね!!」

そう告げると首あたりまで伸ばした黒髪を翻し、また慌ただしく足を踏み鳴らして階段を駆け下りていった。ご飯ができたの、三回くらい聞かされたような…
まあそれはいいとして、お腹も空いてるし私も降りよう。部屋に持ち込んだカップを手に部屋を出ると、一番下の妹である風美と顔が合った。

「あ、姉さん…」

風美の部屋のドアノブを後ろ手に持っていたところを見ると、どうやら風美も居間に降りるらしい。

「風美、部屋の片付けした?」

「はい、と言っても風姉の私物ばかりでしたが…」

どうでもいいことだけど、風美は風音のことを『かざねえ』と呼ぶ。私の名前に入っている風の読みが『ふう』なのと風音の『かざ』を分けた呼び方なのだろう。一括りに姉さんと呼ばないあたり、育ちの良さが伺える。とは言っても、生まれは同じだけど…

「そっか…また風音に自分でやりなさいって言っておかないとね」

「はい…」

風美が家族に対してもどこかよそよそしい敬語なのは、父さんの教育らしい。目上の人には丁寧な言葉を使いなさい、というのを曲解した結果だそうだけど…まあ、私に対してはある感情の裏返しみたいだから特には気にならない。

風美を後ろに、居間へと向かう。
開け放しにされたドアを抜けると、机に並べられた五人分の料理と風音が待っていた。こっちこっちと言わんばかりに座布団を叩く風音に従って、隣に腰を下ろす。

「…風姉、どうして真ん中に座るんですか」

「えー、ここが一番落ち着くんだもん」

意見こそ食い違っているが、風美は私の隣に座りたいのだろう。テーブルを中心に端っこに私が座っていると、真ん中にいる風音が邪魔になる。

「邪魔です、退いてください」

相変わらず口調がキツい。言葉遣いこそ丁寧だが、風美は仲のいい人にはこうして遠慮なく毒を吐き出すことがある。風音はぷーっと頬を膨らませながらも右端の座布団に腰を落とした。

「結局こうなるんだ…」

私が真ん中で、その周りに妹二人が座る。小さい頃もそうだったし、離れ離れになった後も変わらない。普段無表情な風美も笑みをこぼしていた。

「揃ったみたいね」

母さんが座って、父さんも座る。誰が決めたわけでもないのに、いただきますをするのは家族全員が居間に集まってからだった。
我が家の食事は基本的に味が薄い。白米に豆腐や魚、野菜がほとんどで肉が出ることは珍しい。私も風美も出されたものに文句は言わないし、昔からそれが当たり前だったから苦ではないしむしろ好きな方だ。

「おかーさん、ふりかけあるー?」

「自分で取りなさい」

ただ、一番に家を出て自由な暮らしを始めた風音はそういった薄い味付けが苦手になったらしい。そのせいかいつも買い置きしたふりかけや明太子などを白飯と一緒につまんでいる。三姉妹の中でもかなり気ままな性格の方だ。

「……ところであなたたち」

箸を置き、母さんが口を開いた。父さんを除いた視線は母さんに集中する。

「男性とのお付き合いはないの?」

「ない」

「ないなー」

「必要ありません」

否定の三連星。風美に至っては拒否なんだけど、必要ありませんってなんだろう。我が親が頭を抱えています。

ため息をひとつ、母さんが口を開いた。

「…まあ、いいでしょう。どんな人生を歩もうともあなたたちの自由ね」

母さんにしては珍しく放任的だ。
うちの親は両方とも頭が固くて、一度喧嘩するとなかなか仲直りしない。あの時もそれが原因で離れ離れになったんだろうけど、それを教訓にして少し考えを改めたみたい。

「…姉さん以外に心を売り渡すなんて…考えられない…」

右隣から不穏な台詞が聞こえた気がするけど、まあ触れないでおこう。長い髪も相まってちょっとホラーじみてる。
それはそうと、私たち三姉妹は全員母さんと同じように髪が真っ黒だ。別に髪色を染めるのが禁止されているわけではないけど、私はそういったファッションの類には疎い節がある。それに、昔から母さんも雪菜も長い方が似合ってるって言ってくれたから。
あと、私と同じくらいの長さに切り揃えているのが風美。理由を聞けば私へのリスペクトらしく、姉さんと同じになって嬉しいとのこと。自由人の風音は邪魔にならない程度に切っているそうだ。

風美と私は基本的には似ているけど、少し違うところがあるとすれば目元と身長くらいかな。私は垂れ目気味だけど、風美は母さんに似て目つきがキリッとしてる。その鋭い目つきは初対面の人間にしばしば悪い印象を与えるらしく、友達の数も少ないみたい。
まあ、その友達とはどれも仲がいいらしいから大丈夫だとは思うけど…やっぱりお姉ちゃん的には少し心配かも。

「ふーっ、ごちそうさまー」

いつも風音は真っ先にご飯を食べ終える。何にでもせっかちで休む時間は寝てる時、と本人が豪語するぐらい。
少し遅れて風美と私が終わりの手を合わせて食器を洗う。私がやると言っても聞かないのもいつも通りだ。

「風音、お風呂が沸いているから先に入りなさい」

「はーい!」

ばたばたと忙しない足音が廊下の奥に消えて、またすぐに戻ってくる。

「おかーさん私のパジャマどこー!?」

「洗面所のカゴに入れているから」

「わーおさすがおかーさん!!」

……やかましい。足音もそうだし声も大きい。慣れたものだからいいけど、あれだと男の人が寄り付かないのも頷ける。代わりに友達は多いみたいだけど…
…足音が戻ってきた。

「お姉ちゃんも一緒に入ろー!」

「はぁ…」

22にもなって何を言っているんだか…

「まだお皿洗ってるから、一人で入ってきなさい」

うん、実にお姉ちゃんらしい。楽しい時間を共有したい欲求は分かるけど、私にはやることがあるのだ、ふはは。

「姉さん、お皿は私が洗っておきますから…風姉と入ってきてください」

わ、私にはやることが…

「おぉ!?さすが風美、話が分かるぅ!」

「叩かないでください」

あの…

「さっ、お姉ちゃん!入ろ入ろ!」

あぁ…

「楽しんできてください」
みたいな顔して手振ってるし…風美はどっちの味方なのさ…

「んふふ」

寝巻きを見繕っていると、後ろからクスクスと漏れる笑い声。パジャマを拾い上げて振り返ると、風音が上半身を楽しそうに揺らしている。

「おねーちゃんの部屋、いい匂いだねー」

そう言いながら鼻を鳴らす姿はまるで犬のよう。自分の匂いを嗅がれるのは少し恥ずかしいけど…

「準備できた?なら早く入ろ!」

「はいはい…」

我が家は、所謂富裕層というものに属しているらしい。詳しい年収を聞いたことはないけど、地元ではかなり立派な家を構えている。だから家族五人で暮らすには十分すぎるほどに広いし、これから入ろうとしているお風呂だって大きい。
とはいえ、大人二人が入るとなるとやっぱり狭いものは狭くなってしまう。

「えへへ〜」

……いくら狭いと言っても、身体が密着するほどではない。どうしてさっきから私たちは隣合っているのか。

「お姉ちゃん、相変わらずお風呂でも眼鏡かけてるの?」

「これは私の身体の一部だよ」

「あはは!まあお姉ちゃん眼鏡外したら誰か分からなくなるもんね!」

…無言でお湯をかけた。わぴゃっ、という可愛らしい悲鳴が挙がる。ははは、姉の実力を思い知ったか。

「……………」

しかし、こうしてみると風音もずいぶん大きく成長したみたい。背は私と同じくらいだし。精神と身体の一部分は……まあ、うん。牛乳を勧めておこう。

「ふー、そろそろ背中流してもらおっかな〜」

私がすることは確定しているのか…甘えたがりなのも相変わらずだ。ばしゃっと勢いよく湯船から上がる反動でお湯が跳ねる。が、眼鏡に阻まれたそれは私の目に入ることはなかった。…ふふ、ちょっと優越感。

「はい、これ」

手渡されたタオルにボディソープを付け、手で擦って泡を立てる。

「んふふ、変なところ触っちゃダメだからね?」

…そんなニヤついた顔で言われてもフリにしか聞こえないんだけど。試しにわき腹をくすぐってみよう。

「わひゃっ、あははははは!く、くすぐったいってば!お姉ちゃ、あははは!」

まんざらでもなさそう。うんうん、姉妹のスキンシップは大切大切。

「流すよー」

「はーい」

桶からお湯を流すと、あぁ〜という声が漏れた。…すごい年寄りくさい、私より若いのに。いや、まだ私も若いけど…若いよね?うん、若い若い。

「ふー…よーし、じゃあ次は私がお姉ちゃんの背中流してあげる!」

鼻息を吹かして張り切ってくれるのはいいけど、私は自分でやるので大丈夫です。まだ介護されるような歳ではないです。

「遠慮しなくていいから!ほらほら!」

大丈夫じゃなかった。言い終わる前に背後に回り込んでるってどういうすばしっこさなんだろう…

「痒いところありませんか〜?」

「…ないです」

まあ、断るのも悪いし…ここは可愛い妹のためにも身を任せておこう。うわ、今の私すごいお姉ちゃんっぽい。

二次創作に文句を言うとはたまげたなあ

「やー、しかしほんとお姉ちゃんっておっぱい大きいよねー。去年より育ってるんじゃない?」

それは事実だけど、胸を鷲掴みにして言うのはどうなのか。いくら女同士とはいえこれはセクハラですよセクハラ!胸なら自分のを揉めばいいのに…全くないわけじゃないんだから。

「うーん、私もこれぐらいあればなあ…羨ましい限りだよ!きーっ!」

そんな怒り方をする人間がどこにいるものか。というか、なんだか手つきが怪しくなってきた…

「んっ」

「お?お?なんだ今の反応は?ん?もしかして妹に揉まれてコーフンしちゃったのかなぁ?」

「してない!もう十分触ったでしょ、そろそろやめなさい!」

「いやだぁー!ナイチチガールの恨みを思い知れぇー!!」

「もー!!」

…とは言いつつもなんだかんだで楽しい。やっぱり姉妹でじゃれ合うって家族愛を感じられる。

「……風姉?」

「ひっ!?」

驚くほど冷たい声に風音の動きが止まった。ガラス戸の向こうには一人分の影がある。
…風美だ。いったいいつから聴いていたんだろう…事と次第によっては風音がただじゃ済まないかも。

「あまり姉さんに変なことをしていると…承知しませんからね…」

「は、はい…」

……風美は風音の何を握っているんだろう。秘密の弱点でも知っているのかな…?

「…タオル、カゴの中に入れておきますから。使ってください」

…足音が遠くなっていく。どうやら居間に戻ったみたいだ。あとで謝っとこ…という独り言は、聞かなかったことにしよう。

マヌケもなにも知っててやってるんですがそれは…

すみませんでした、少し暑さで気が立ってしまってたみたいです
今後軽率なことを言わないように反省します

お風呂を出た私は、部屋に戻る風音を見送って縁側に腰掛けていた。ここに来た理由は、なんとなくとしか言いようがない。少し寒いけど、火照った身体を冷やすのにはちょうどいい。

「風花……ここにいたのね」

「あ、母さん…」

隣に腰を下ろしたのは母さんだった。私に似た真っ黒な髪を横で結わえて、穂先のように垂らしている。

「どうしたの?湯冷めするわよ」

「うん…すぐ戻るよ」

「そう…」

「…………」

……会話が続かない。あの一件以来、母さんとの会話はほとんどなくなってしまった。もともと多くを話すタイプではなかったけど、日々のことを話し合う程度には会話はあったはずなのに。春先にある程度仲は戻ったのにこのぎこちない関係は今だ戻らない。

「……風花は」

「え?」

「風花は、人類の敵と戦っているのよね」

「あ、うん…私が直接戦場に出るわけじゃないけど…」

「それでも危ないことには変わりないんでしょう?」

「……うん、まあ…」

母さんが私の仕事について言及するなんて、初めてだ。…もしかしてそんな危ないこと、やめろって言われる?そうだとしたら私はどう言えばいいんだろう。

「…その…」

「……?」

「……あまり、無理はしないでね」

「………!」

「あなたが怪我なんてしたら、私…きっと、耐えられなくなるわ…」

「母さん…」

「でも、あなたはそこで大切なものを見つけたんでしょう?なら…それを誇りに、頑張りなさい」

……涙が出そう。いつも遠くから見守るだけだった母さんが、応援してくれるなんて。ほんとに不器用だ…不器用だけど、私、愛されてるんだなぁ。

「それと…何か辛いことがあったら、いつでも帰ってきていいから。あなたの家はここよ」

「……うん」

「…大人ならこんなことで泣かないの」

「今だけ子供がいい…」

「……困った子ね」

「母さん……」

「よしよし…」

ひとしきり母さんの温もりを味わったあと、居間の方に戻る廊下を歩いていると風美とすれ違った。寝巻きを持っているということはこれからお風呂のようだ。特に話すこともないしそのまま通り過ぎようとした瞬間

「姉さん!?」

「うわっ!?」

思いっきり掴みかかられた。鼻先が触れ合うくらい近いし私の反応が追いつかなかったせいで押し倒されそうになってる。つま先立ちになったままの踵を引いて、一歩後ずさり。

「ど、どうしたんですかそれは!?」

「それって…な、なにが?」

「涙痕が残っているじゃないですか!嫌なことでもありましたか?まさか、誰かになにかされたとか…!?」

「う、うん、とりあえず落ち着こうか」

鼻息を荒くしてまくし立てる風美を宥める。三姉妹の中でも一番冷静で落ち着いた性格の風美だけど、私のこととなると人が変わったように食らいついてくるのが玉に瑕。もし恋人がいるってバレたら……

……うん、やめておこう。

「ええと、これは…母さんと話してて…」

「母さんが……!?」

「う、うん」

「どんな嫌味を言われたんですか!?姉さんを泣かせるなんて…!」

「いや、そういうのじゃなくて」

「許せない…さあ、教えてください!私が母さんに問い詰めてきますから!」

…頭が痛くなってきた。状況はどんどん悪くなる一方だし、打開策が見当たらないし。どうにかしてこの誤解を解かないとさらに面倒なことになる。
……いっそのこと少女漫画みたいに唇を塞いでみようか?
いやいや、何を考えてるの私。いくらこの子が私に心酔してるとはいえ、さすがに妹にそんなことをするわけには…ねえ?とにかく何か考えないと…何か…

「二人とも、何をしているの?」

あ。母さん、ちょうどいいところに…この子の誤解を解いてくれると嬉しいんだけど…

「母さん……姉さんを泣かせたと聞きましたが、本当なのですか」

「え?ええ、そうなってしまったわね」

「そうですか……」

うわ、なんか、空気がざわざわしてきた。母さん、どうにか…いや、これはもう逃げた方がいいのでは…

「風花、涙の痕が残ってるわ。拭いてあげるから向こうに行きましょう」

「え?あ、うん」

「え…ね、姉さん…?」

まさかのスルー…!?
そ、そうだ、お爺ちゃんが言ってたっけ…母さんは昔から鈍感だって…ま、まあ風美は固まってるし、このまま離脱できるなら結果オーライ…かな?

「……………」

自室に戻ったのは10時ほど。
寝る支度をして、テーブルランプだけを点けて本を読んでいた。
下から持ちだした一杯の水を飲み干した時、扉の向こうから二回ノックが響く。返事をする間もなく風美が部屋に入ってきた。

「姉さん…」

「風美?どうしたの?」

「いえ…その、先ほどはすみませんでした…」

そう言いながら深々と頭を下げる。先ほどといえば…私が泣いてたことかな?

「母さんから事情は聞きました…私の早とちりで姉さんに迷惑をかけて、本当に…」

「いいよいいよ、ちゃんと説明しなかった私が悪いんだから」

「ですが…」

「そうやって謝られる方が困るんだけどね」

「……はい」

ふふ、やっぱり私の言うことには聞き分けがいい。今度恥ずかしい命令でもしてみようか…なんて。

「……で、姉さん…その…」

「なに?」

「………一緒に寝ても、いい…ですか…」

顔を真っ赤にして言うあたり、甘え下手なのは解消されたいないらしい。でも、胸の前で手を組んでしきりに身体を揺らしてるのは可愛らしい。
布団を退けてぽんぽんとベッドを叩くと、花が咲いたような笑顔で隣に潜り込んできた。

「……ふふ、えへへ…あったかい…」

「風美、くすぐったいよ」

「お姉ちゃん、いい匂い…」

首筋に鼻先を埋めて身体を密着させてくる。枕が一つしかないから必然的に頭の位置が近くなる。肩を抱くように腕を回し、脚も絡まされた。そう、風美は私と二人きりになると素を見せて甘えてくる。普段の敬語はその余りある感情の裏返し、らしい。

「お姉ちゃんの匂い、好き…」

「そう?」

「うん…すごく安心する…」

他の人がいるときの敬語も姉さん呼びも消え失せ、ありのままの姿で甘えられるのはたまらないほど庇護欲を刺激される。ああ、可愛い…愛おしい…そばにいることで妹が安心してくれるなんて、お姉ちゃんは幸せです…

提督は親が大喧嘩してるところ見たり大好きだった妹たちが父に連れられて家を出たり母が親戚にDVされてるの見てそれ刺したり子供の頃に色々あって百合に目覚めました…(小声)

一応提督がロリコンなのには、幼い頃に同じ時間を過ごせなかった妹たちの影を無意識に追っているからという裏設定がありますがまあどうでもいいことですね
メンヘラになったのは親、レズになったのは幼馴染、レズビッチになったのはんまあそう、よくわかんなかったです(適当)

「んう……」

手櫛で髪を梳いてあげると、気持ち良さそうに目を細める。胸に顔を埋めて、まるで子供みたい。小さい頃も一緒に寝た時はずっとこうして、離してくれなかったっけ。

「…………」

普段あんなにきりっとした目つきがもうぼーっとしてきてる。ギャップに思わず微笑をこぼしながらも、テーブルランプの紐を引いて睡眠の妨げをなくす。
…すぐそばで小さな寝息が聞こえた。もう寝ちゃったみたい。入ってくる時に捲れた布団を掛け直し、私も瞼を閉じる。

……ああ、温かい…。暖房がなくても、こうして人の温もりを感じられるとすごく安心する…

〜〜〜

「んん……」

目が覚めたのは、日付の変わる頃だった。暗闇に慣れた目で見た時計の短針は12と1の間を指している。いい入眠だったのにも関わらずこうして起きてしまったのは、その、なんというか…催した。
たぶん、寝る前のあの一杯が原因だろう。

「…………」

……風美に捕まって動けない。加賀みたいに腕に抱き付いてくるんじゃなくて、腋の下まで腕を回して全身を抱き締めてきてる。起こさないようにそーっと手を抜いて、続けて足を抜いて…知恵の輪か何か?無意識に手を握られたけど、お姉ちゃんはそれどころじゃない。許せ妹よ…

そんなこんなで布団を抜け出して、部屋を出る。…寒い、寒すぎる…冬の夜はさすがに冷える…廊下が暗いのもあって、幽霊でも出てきそうな雰囲気だ。まあ、そんなもの信じてないし仮に出てきても塩を握り締めて殴るけど。

……ふぅ、スッキリした。足が冷えると眠れなくなるし、すぐ部屋に戻……ん?

「…………?」

下に明かりが点いてる…?居間に誰かいるのか、それとも電気の消し忘れかな…?
その光に誘われるように一階に降り、廊下から居間を覗くと温かい空気が顔に触れる。視線の先には───父さんがいた。

「ん…?」

「あ」

父さんがこちらに気付いた。足音は立てないようにしたつもりだったけど、床の軋む音に反応して振り返ったみたい。

「風花…起きてたのか」

「起きてたっていうか…目が覚めただけなんだけどね」

「そうか…」

机に並べられたラジオとお酒と、狭霧晴矢と書かれた名刺。こんな時間まで仕事のことを考えていたのか、その隣には書類が散らばっている。

「……飲むか?」

そう言いながら琥珀色の液体が入ったビンに目を向ける。日本酒じゃないなら、今は飲むべきじゃない。

「ごめん、洋酒はダメなの」

「そうだったか…」

残念そうな表情。仕事人間の父さんは、お酒を一つの楽しみにしているらしい。一人にするのも気が悪いし、なんとなく隣に腰を下ろした。

クリスマスのあとの話なのでただの里帰りでござる
父親くらいなら男出しても許されるやろ…(慢心)

私が隣に座ると、父さんは書類と名刺を片し始める。仕事の話を娘に聞かせたくない、という心遣いからだろう。
しかし、もう50半ばだというのに父さんは本当に若々しい。最近白髪が増えたと愚痴をこぼしていたけど、端から見ても全く気にならない程度にしか生えていない。
…よく見ると頬が少しだけ赤みがかっている。すでに結構な量を飲んだのかな?いつもの無口に拍車がかかって、無言でラジオを聴いてる。

「…なあ、風花」

「なに?」

「父さんのこと、嫌いか?」

「え?」

音量のレバーをつまみながら口にした一言。視線は私の方を見ていなかった。

「父さん、全部聞いたんだ。父さんが風音達を連れて家を出た後、色々あったって」

「ああ…」

「あの時父さんが家に居てやれば…母さんも風花も、辛い思いをしなかっただろうに…許されることではないかもしれないが…本当に、すまなかった……」

「……………」

…無責任だ。意地を張って、大人の都合で勝手に家を出て、家族を捨てたのにこんなことが言えるなんて。

「……ううん。そんなことないよ」

けど、父さんの申し訳なさそうな表情を見ているとそれを責める気になんてとてもなれなかった。不器用なりに私を支えてくれていたのも知ってるし、高校生になって再会した時誰よりも私の成長を喜んでくれてたのも知っている。…それに、大好きな家族を嫌いになんてなるもんか。

「…そうか。優しいな、風花は」

急に小っ恥ずかしくなったのか、グラスに残った少量のお酒を飲み干した。心なしか憑き物が落ちたような、清々しい表情に見える。なんだろう、今日一日でずっと残ってた母さんと父さんとのわだかまりがなくなったような…そんな気がした。

「風花は…なんの仕事をしているんだ?」

「あ、えーと…軍事関係の…」

「軍…?深海棲艦、とやらのことか?」

「まあ、そんなところ」

「そうか…大変な仕事なんだな…」

「…うん。でも、なんとかして戦いを止められそうなの」

「そうなのか…思えば、風花とこうして話すなんて初めてかもしれないな」

「言われてみれば、そうかも…」

「よかったら聞かせてくれないか、仕事のことも、友達のことも」

「……うん!」

〜〜〜

「よいしょっと……ふぅ、これで準備万端かな…」

「えー、おねーちゃんもう帰るのー?」

「うん、色々やることがあるから」

「大変なのね…無理はしちゃダメよ」

「分かってる」

「もうちょっと一緒にいたかったんだけどなー」

「あまり姉さんを困らせるのは…」

「あはは…まあ、暇な時にでもきてくれたら歓迎するよ」

「ほんと!?やったー!」

「…私もいいですか」

「うん、もちろん」

「……よし…ふ、ふふ…」

「風花」

「ん?」

「敵と…深海棲艦と、和解したいんだな」

「…うん」

「簡単なことじゃないかもしれない…険しい道だろうが…父さん達は応援してるからな。諦めるんじゃないぞ」

「……! うん」

「風花、こっちに来なさい」

「……?」



「わぷっ!?」

「母さんもあなたを信じてるわ…もし助けが欲しくなったら、うちに帰って来なさい」

「母さん…苦しいよ…」

「わかった?」

「……うん、えへへ」

「それじゃ、行ってくるね」

「ええ」

「……………」



「……風花!」

「!」


「気を付けて…元気でね」


「………うん…!」

里帰りおわり
提督の決意が固まりました
そろそろこの話もおわりが見えてきましたね

ところで次はR-18を書こうと思ってたんですけど板変えられるとかなんとかで最後あたりにするか迷ってるんですけどどうですかね

まあどちらにしてもそれで迷ってたから書き溜めしてなくて最後に書くんですけども()
ほんとこういう変なことに力入れる割に荒らしスレ乱立させてる在日になんの対応もないのって運営何やってんですかね…

嵐「やっ…やあ、司令……き、奇遇だな…」

提督「う、うん。奇遇もなにも嵐から部屋に入ってきたんじゃ…」

嵐「こ、ここっ、これ、あ、あげるよ…た、大したもんじゃないからさ!ああ、あんまり気にするなよ!」カチコチ

提督「はあ…」

嵐「そっ、それじゃあな!」ピューッ

バタン!

提督「……今日はこんなのばかりだなぁ…」

ガサ…

提督「………やっぱりチョコか…」

提督「はぁ…」

青葉「どうしたんですか、ため息なんてついて」ヒョコ

提督「うわぁ!?あ、青葉!?どこから出てきたの!?」

青葉「まあまあそれはいいとして、青葉からも。はい、どうぞ」スッ

提督「ああ…ありがとう…」

青葉「…あんまり嬉しそうじゃないですね」

提督「いや…毎年こうなるたびに思うんだけどさ」

青葉「はい」

提督「甘すぎる…」

青葉「はい?」

提督「私、実はチョコってあんまり好きじゃなくて…」

青葉「へええ、珍しいですね。どうしてですか?」

提督「いや、さっきも言ったけど甘すぎるんだよ。ビターチョコとかなら普通に食べられるんだけど、ミルクチョコになると途端に食べられなくなって」

青葉「ホワイトチョコは?」

提督「以ての外だね」

青葉「へー、意外と甘いものは苦手なんですね」

提督「うん…」

提督「学生の頃もよく友達とかにもらってたんだけどさ」

青葉「女の子ですか?」

提督「え?うん、バレンタインは女の子がチョコを渡す日でしょ?」

青葉「愚問でしたね、あはははは」

提督「で…貰うのはいいけどほら、やっぱりチョコって言ったらミルクチョコが一般的だからさ…」

青葉「あー…食べられなかったと」

提督「そう、ある程度好みを把握してくれてる人なら苦めにしてくれるからよかったんだけど…ほとんど顔も知らない下級生とかはね…」

青葉「まあ、しょうがないことですよねえ…で、その食べられなかったチョコはどうしたんですか?」

提督「少しは食べてたけど、食べ切れない分はお母さんにあげてた」

青葉(ほとんど本命だったろうに…ご愁傷様ですねえ)

提督「だから今日は憂鬱でさ…みんなチョコ渡してくるから…」

青葉「あー…青葉のもいりませんか?」

提督「…ううん、もらっとく」

青葉「そんな、無理しなくてもいいんですよ?」

提督「いや、せっかく色んな想いを込めて作ってくれたのを突っぱねるのも申し訳ないからさ…ちゃんと青葉の気持ちもいただくよ」

青葉「あー、出た出た」

提督「出たって、なにが?」

青葉「なにがじゃないでしょうこのスケコマシ」

提督「スケコマシ!?」

青葉(まあ、嬉しいですけど)

青葉「……ところで司令官」

提督「なに?」

青葉「さっきもらったそのチョコ、食べた方がいいんじゃないですか?」

提督「え?でも、5分くらい前にも食べたんだけど…」

青葉「いいから、ほら」チラッ

提督「え?」



嵐「…………」ヒョコ ジー



青葉「ね?」

提督「ああ…」

提督「じゃあ…いただこうかな…」ガサ パリ

青葉「あら、可愛らしいハート型ですねえ」

提督「だね、一口サイズに揃えてくれてるのも食べやすくていいかも」

パク

青葉「…どうですか?」

提督「んー…あ、中からなにか…なんだろこれ、ココアソースかな?すごいいい香り」

青葉「へー、器用ですねえ」

提督「洋食とか洋菓子は苦手らしいんだけどね。この日のために練習してくれたのかな」パク ポリポリ

青葉「女の子らしいところあるじゃないですか、ねえ。可愛いですねえ」

提督「あはは、そうだね、可愛いね」

青葉(青葉が誘導したとはいえここまで露骨に聞こえるように言いますか)



嵐「ッ……!ッ………!!/////」ブンブン

提督「ふぅ、美味しかった」

青葉「よかったですねえ、真摯な想いを見せてくれる子で」

提督「まだ三ヶ月くらいしか経ってないけど、もうかなり仲良しになったよ」

青葉「…仲良し?」

提督「? うん、仲良しだよ」

青葉(あれ…?これ、下手したらあの子のチョコが本命だって思われてないんじゃ…)

青葉「司令官、このハート型のチョコって…どういう意味かわかってます?」

提督「え?親愛の証みたいなものでしょ?」

青葉(あぁーやっぱり…この人の場合周りがそうだったから気付かないんだー…)

青葉(ん?じゃあ青葉の想いも伝わってないんじゃ…)

青葉「…司令官」

提督「ん?」

青葉「青葉の気持ち、わかってます?」

提督「へ?」

青葉「青葉は…本気ですよ…?」

提督「…あ、青葉…?その、近いんだけど…」

青葉「チョコレートよりも甘い…乙女の純情をあげちゃいます…」

チュッ

青葉「……みたいなことをできればいいんですがねえ…」

提督「どうしたの、急にため息なんてついて」

青葉「いえ…自分のヘタレ具合に呆れてただけですよ…」

提督「は、はあ」

青葉「…どうせ退屈ですし、今日はここで司令官のモテっぷりを拝見させてもらいますか」

提督「えー…別にいいけど…」

青葉「ぐひひ、楽しませてもらいますよお」

ガチャ

響「やあ、司令官」

提督「響、入るときはノックしなさい」

響「次から気をつけるよ」

提督「それ何回目なの…」

響「まあまあ。はい、これ」コト

提督「これは…チョコだよね」

響「そう。ちょっと特別だけど」

青葉「どのあたりが特別なんです?」

響「中にウィスキーが入ってる」

提督「ボンボンかぁ…」

響「司令官にウィスキーをそのまま勧めても飲んでくれないからね」

提督「いや、だって…悪酔いしちゃいけないし…」

青葉「響ちゃんは大人ですねえ」

提督「響ぐらいの子がお酒飲んでると心配になるんだけどなぁ…」

響「大丈夫さ、私は艦娘だ」

提督「そうだけど…ちゃんと成長できなくなるかもしれないよ?」

響「おっぱいなら司令官のを触らせてもらうから問題ない」

提督「そういう話をしてるんじゃなくて」

提督「それにしてもこれ…市販のやつじゃないよね?響が作ったの?」

響「ああ。一人で作った」

提督「へえぇ…よく頑張ったね…」

響「司令官のことを思えばこそだよ」

提督「はいはい…」

響「本心で言ってるんだけどな…」

提督「私も嬉しいと思ってるよ。食べていい?」

響「酔わないの?」

提督「さすがに一個くらいなら大丈夫だよ」パク

提督「……うん、大人の味…」

響「おいしい?」

提督「おいしい」

青葉「青葉も一ついいですか?」

響「うん」

青葉「ふふ、ありがとうございます……おお、これはなかなか…」モグモグ

響「好評みたいでよかったよ」

提督「響も食べてよ、はい」

響「あーん」

パク

響「…美味しい」

提督「自画自賛?」

響「司令官の手から食べさせてもらうと三割増しで美味しい」

提督「また調子いいこと言って…」

響「これ、冷蔵庫で冷やしておくともっと美味しいと思うから。それじゃ」

提督「うん、ホワイトデーのお返しは楽しみにしててね」

響「期待しておくよ」スタスタ

バタン

提督「響以外の暁型は普通のチョコだったんだけど…響は大人だなぁ」

青葉「司令官、酔ってます?」

提督「え?いや、そんなことはないと思うけど」

青葉「でも、もう顔が赤くなってますよ」

提督「そ、そう?一つしか食べてないし量だって少ないはずなんだけど…」

青葉「司令官、ほんと洋酒はダメですね」

提督「うー…やっぱり控えるべきなのかなあ…」

青葉「そういえば、司令官が洋酒を飲まない理由ってなんなんです?やっぱり酔うからですか?」

提督「もう見られたから正直に言うけど…私、酔ったらなにするか分からないからさ…」

青葉「隼鷹さんもいつも酔ってるじゃないですか」

提督「いや…ちょっと思い出したくないことがあって…」

青葉「はあ」

提督「私が二十歳になった時の話なんだけどさ…大学の友達とお酒を飲みに行ったんだ」

青葉「はい」

提督「最初のうちはまあまあ美味しいなーって思って飲んでたんだけど…」

提督「なんか…途中からだんだん意識が遠ざかっていって…」

青葉「はい」

提督「次起きたら、服の乱れた友達が私に抱き付きながら寝てて…首筋に変な赤い痕がついてるし、周りの子はきゃーきゃー冷やかしてくるし…」

青葉「うわあ…」

提督「それからはお酒は控えようと思いました…」

青葉「あー…まあ、そっちの方がいいですね、ええ…」

コンコン

「わ、私だ。グラーフだ」

提督「ん、入っていいよー」

ガチャ

グラーフ「し、失礼する…む、アオバもいるのか…」

青葉「ん?お邪魔ですか?」

グラーフ「いや、いい。それより、あ、Admiral…わ…渡したいものがあるのだが…」

提督「ん?もしかしてチョコ?」

グラーフ「いや、違う…もっと特別なものだ…」ソワソワ

提督(あれ、意外)

グラーフ「こ、これを受け取ってくれ!///」サッ

提督「え?わっ、花束?こんなに綺麗なの、いいの?」

グラーフ「わ、私の気持ちだ…大切にしてくれると…その、嬉しい…な…」

提督「うん、大切にするよ。花瓶に挿しておくね」

グラーフ「あ、ああ…!ありがとう」

提督「ふふ、こちらこそありがとう」

グラーフ「そ、それではな。私はこれで」イソイソ

バタン

提督「わー…こんなにたくさん…」

青葉「しかし、どうしてまた花束なんて贈ってくれたんですかね?」

提督「言われてみれば確かに…」

青葉「それにチョコも持ってきていなかったみたいですし…」

提督「ね、マックスもチョコじゃなくてお花をくれたけど…」

青葉「……ん?マックスちゃんも?」

提督「え?うん、さっきもらったよ」

青葉「…………」

青葉「あ、ひょっとして日本のバレンタインとは文化が違うんじゃないですかね?」

提督「ああ、なるほど…」

青葉「ちょっと調べてみましょうか」ゴソゴソ スッ

提督「あれ、スマホ?いつの間に買ったの?」

青葉「この前衣笠と街に出たときに」

提督「へー…知らなかった」

青葉「司令官もそろそろ携帯変えたらどうです?」

提督「んー…そうだね、そろそろバッテリーも持たなくなってきたしいい時期かも…」

青葉「それがいいですよ…お、出ました」

青葉「なになに…ほお」

提督「なんて書いてある?」

青葉「ドイツのバレンタインは、チョコじゃなくて花束を渡すそうです」

提督「なるほど…だからマックスもお花をくれたんだ」

青葉「で…義理では渡さないそうですよ、司令官」ニヤニヤ

提督「えーと…つまり、本命ということ…?」

青葉「そうなりますね、モテモテじゃないですか」

提督「えへへ、なんだか嬉しいな」

青葉「あ、でも女性からではなく、男性から女性に贈るものらしいですよ。私たちみんな女性ですけど」

提督「じゃあ男の人の目線で贈ってくれたってこと?」

青葉「そうなるんじゃないですか」

提督「…つまり?」

青葉「つまり、恋愛感情持っているということでいいんじゃないですかね」

提督「…………/////」ボッ

青葉(やっと気付いたのかこのたらし…)

提督「ま、まさか。ただ向こうの国の慣習に従ってるだけだよ」

青葉「ほーん…じゃあ義理では渡さないっていうのはどうなるんです?」

提督「それはほら…あれだよ、その部分はこっちの国に合わせてくれてるんだよ…」

青葉「そうですか…ならもう何も言いません…」

青葉(ほんと、ポテンシャルの割に自己評価の低い人ですね…)

提督「あはは…とりあえず花瓶に生けておこう…」ガタ

青葉(そのくせ積極的に絡んで人をその気にさせてくるからタチが悪い…)

一応注釈というか弁明をしておくと、提督がここまで人に恋愛感情を抱かれていないと思い込んでるのは例の幼馴染ちゃんに告白した時断られたからでございます
だから告白まがいのことをされても相手が自分にどこまでの気持ちを持ってるのか分からなくなるというレズの悪循環

ガチャ

武蔵「よう」

提督「ノック…」

武蔵「これでいいか?」コンコン

提督「はぁ…」

武蔵「そう呆れるなよ、相棒に渡したいものがあるんだ」

提督「…チョコ?」

武蔵「そう。私の手作りだぞ、ふふふ」

提督「わーうれしいなぁ」

武蔵「なんだその反応は…」

武蔵「まあいい、ほれ」スッ

提督「ん、ありが…

ヒョイ

提督「えっ?」

武蔵「と思ったが、そのまま渡すのではつまらないな」

提督「…また良からぬこと考えてるでしょ」

武蔵「ふふふ、どうかな」ビリビリ

提督「え、もう開けちゃうの?」

武蔵「ああ」

パク

武蔵「ん。いいぞ」

提督「いいぞって……」

武蔵「食べないのか?」ニヤニヤ

提督「いや…食べるけどさ…普通に食べたいんだけど…」

武蔵「武蔵お腹空いてきちゃったー」カリッ

提督「あーわかったわかった食べるから!」スッ

青葉「……………」スッ

提督「んー…ちょっと屈んで…」

武蔵「はいはい」

武蔵「ほら、もっと足を伸ばさないと取れないぞ?」

提督「んー…!」

青葉(背伸びしてキスしようとしてるみたいで可愛い)

サワサワ

提督「ひゃっ!」

武蔵「くくく、隙だらけだな」

提督「もう!変なところ触らないでよ!」

パク

武蔵「おっと」

提督「すぐ意地悪するんだから…」モグモグ

武蔵「好きな子には意地悪をしたくなるというものさ」

提督「そうですか…」

青葉(あ、赤くなってる)

武蔵「お、これは間接キスというものだな。なあ相棒」

提督「そうだね」ツーン

武蔵「…青葉、最近相棒が冷たいんだ。どうすればいい?」

青葉「倦怠期ってやつですかね」

武蔵「私は相棒のことをこんなにも愛しているのにな」

青葉「一度熱い夜を過ごせばお互いの気持ちを分かり合えるかもしれませんよ」

武蔵「なるほど…」

提督「なにあることないこと言ってるのさ」

武蔵「だがなあ相棒、これでも私は真剣に悩んでいるんだぞ?」

提督「武蔵が変なことばっかりするからでしょ…」

武蔵「そんなにか」

青葉「割と過剰なスキンシップだと思いますけどね」

武蔵「そうか…なら、少し控えるべきか…」

提督「……嫌とは言ってないよ」

武蔵「ん?」

提督「まあ…ホワイトデーは、楽しみにしてて」

武蔵「……おお」

青葉「おやぁ?ツンデレさんですかぁ?」

提督「茶化すな!」ガッ

青葉「ぎゃああああ!!」メキメキ

〜〜〜

提督「うー…やっとチョコの波がおさまった…」ドサ

青葉「ほんとにみなさん来ましたねえ。食べきれるんですか?」

提督「…これからしばらくはチョコ生活かなぁ…」

青葉「うわあ、想像しただけで鼻血が出そう…」

提督「はぁ…まあいいや、とりあえずお風呂入ろう…」

青葉「おっ、青葉もお供しましょう」

提督「……それはいいけど、もし撮ったら…」

青葉「あーはいはい、分かってまーす」

提督「ほんとに分かってるの…?」

提督「………ん?」

青葉「どうしました?」

提督「いや、普段はこの時間だと他の子はいないはずなんだけど…これ」

青葉「…?ああ、金剛さんの服…ですかね?」

提督「みたいだね。珍しいなぁ…」スル バサッ

青葉「…ん?あれ!?司令官、いつの間に脱いだんですか!?」

提督「青葉が見てない時」

青葉「なんで!?」

提督「どうせ私が着替えてるところ見たら変なこと言うでしょ」

青葉「い、言いませんよ!失敬な!」

提督「はいはい、早くタオル巻いてね」

青葉「あっ、もう!待ってくださいよー!」

パタパタ

ガララ

提督「……!?」

青葉「うわ…なんですか、このチョコの匂いは…」

提督「知らないよ…」

「ヘーイテートクゥー!」

提督「その声は…」

金剛(全身チョコ塗れ)「やっと来たネー!」ブンブン

提督「……………」

青葉「チョコ風呂だ……」ドンビキ

金剛「フフフ……テイトクにワタシをpresentしたくて特別にチョコbathを作ってもらいマシター!」

青葉「うわあ…ほんとにチョコが溜まってる…」

提督「食べ物で……」ボソッ

青葉「え?」

金剛「さあ!テイトク!!Burning loveなワタシを受け取ってクダサーイ!!」ドドドド ピョーン

ガッ

提督「食べ物で遊ぶとは何事かあぁぁーーーー!!!」ポーイ

金剛「ノォーーーーーー!??」

ズシャアアア

青葉「ナイス巴投げ…」

提督「だいたいねえ、チョコを全身にまぶすなんてそんな行為バカだよバカ!お百姓さんが見たら怒るよ!?」ガミガミ

金剛「ハイ…」

青葉「お風呂で説教ってなんだろうこの絵面…」

ザバァ

「ウフッ…ウフフフフ…」ドロォ…

青葉「のわぁ!?だ、誰!?」

早霜「フフフ…早霜です…」

青葉「あっ、ああ…顔までチョコ塗れだから分かりませんでした…」

早霜「司令官の……声がしたわ……」

青葉「えっ」

早霜「……フフッ。フフフ……」

ベチャ…ベチャ…

青葉「…………」ゾー

早霜「司令官……」ベチャ

提督「ん?その声は早霜?ダメだよ早霜、こんなことしちゃ。ほら金剛、大人がこういうことをするから子供が真似するんだよ!」ビッ

金剛「!?」ガーン

早霜「……………」

提督「とにかく早霜も、早くシャワー浴び

ガッ

提督「てっ!?」

早霜「司令官」

提督「は、はい!」

早霜「バレンタインチョコです」

提督「えっ」

早霜「受け取ってください」

提督「い、いや、あの」

早霜「受け取ってください」

提督「ぉっ……」

青葉(司令官がたじろいでいる…!!)

提督「えっ…えっと…う、受け取れって言われてもどうすればいいのか…」

早霜「食べてください」

提督「……チョコをだよね?」

早霜「はい」

提督「………いや、

早霜「食べてください」

提督「………はい」

青葉(司令官の目から光が消えた…!?)

金剛(あれ?なんだかいつの間にかエアーになっているような気が…)

提督「…ちなみにどのあたりがオススメですか」

早霜「このあたり…でしょうか」トントン

提督「む、胸元ね……よーし…」

ペロッ

早霜「んっ…」

提督「わーおいしい…」

青葉(超棒読みだ…)

早霜「違います、司令官……もっと下…」グイ

提督「し、下?」

早霜「この……先っぽなんて、特にオススメです………食べやすそうで……///」ハァハァ

提督「えっ…」

早霜「…………」

提督「さ…さすがにそれは

早霜「……ウフフッ」

提督「いただきます……」

金剛(smileが消えたネー…)

提督「…………」パク

早霜「あんっ……!」ビクン

提督「…………」ペロ

早霜「おっ…おい、しっ……ですか、ぁ…」ピクッ…

提督「おいひい」ジュルル

早霜「ああぁ……っ、はぁ……/////」ゾクゾク

提督(気のせいか前にもこんな展開があったような…)

青葉(司令官の目がどこを見ているのか分からない…)

スッ

提督「あ、あー。美味しかったよ、あはは」

早霜「……まだ残っています」

提督「いやいや、もう十分堪能したよ……」

早霜「私は満足していません」

提督「はっ?」

早霜「なら私から食べさせてあげましょう」ドロォ ベタベタ パク

提督「え?いやあの、近

チュッ

提督「むぐぅ!!?」

早霜「んっ、んんん……食べ…てぇ……」ジュルル

青葉(……そっとしておこう)

グイ ドサッ

提督「うぎゃ!?」

早霜「フフッ、ウフフフフフ////」ハァハァ

提督「ちょちょちょ、なにその笑い方!?完全にまずいやつでしょこれ!青葉ー!!」

早霜「フフ、フフフフ、邪魔者は消えましたよ……さあ、二人っきりで楽しみましょう……/////」ガシッ

提督「あれっ青葉いない!?ちょっと青葉ー!!?というかなんでそんなに力強いの!?」グググ

早霜「愛の力です…んっ///」スリスリ

提督「ちょっ、どこ擦り付け……なんかヌルヌルするんだけど!?誰かあああああああ!!!!」



金剛「…………」

金剛「…………」

金剛「………シャワー浴びよ」

大井「…………」ジャー

青葉「おっ…こんな時間にいるなんて珍しい」

大井「……チョコが」

青葉「へ?」

大井「チョコが…なかなか落ちないんですよ…」

青葉「…まさか、チョコ風呂に?」

大井「ええ…提督に食べてもらおうとして、さっきまで潜ってました…」

青葉「へ、へえ…」

大井「けど、金剛さんが怒られてるのを密かに見てて…怒られたくないので洗い流そうかなと…」

青葉「はぁ…意外と分別はあるんですね」

大井「いや、だって…一度提督が本気で怒ったのを見てましたから…」

青葉「そうですか…」

早霜「ふぅ………///」ツヤツヤ

提督「うっ…うぅ…吸われた…絡まされた…弄ばれた…」シクシク

早霜「お嫁にならもらってあげますよ…♪」ピト

提督「そこまで言ってないです…」

早霜「フフ……私はずっと…見ています……」

提督「はぁ……」

提督(……いや、でも…よく考えてみると……)ジーッ

早霜「………?…そんなに見つめられると……困ります……///」ポッ

提督(早霜ってまだ身長も低いし…膨らみも少ないし子供体型で………美味しそうに見えるかも……)

早霜「ウフフ……そんなに私のことが気になりますか……?」

提督(……って何考えてるの私、相手は子供…相手は子供…)

早霜「ああ…まだ物足りなかったんですね……なら、この身体を…どうぞ……」

提督「言ってまーせーんー!」ギュムム

早霜「あふぁあ…」

ガララ

提督「はぁ、ひどい目に遭った…」

早霜「フフフ……私、今日のことは忘れません……ずっと…ずっと……」ペロッ

提督「はいはい、じっとしてようね」ゴシゴシ

早霜「んんぅ」

青葉「司令官、青葉も拭いてください」

金剛「ワタシも拭いてほしいネー!」

提督「もうそんな年頃じゃないでしょ、自分で拭きなさい」ポイッ ポイッ

青葉「わっぷ」

金剛「Oh」

〜〜〜

早霜「……………」ウトウト

提督「ほら早霜ー、部屋までもうすぐだよー」

早霜「はい……」

提督「もう…こんな時間まで起きてるから…」

金剛「テイトクゥ、今日は一緒にsleepしませんカー?」ピト

提督「一人で寝ます」グイ

金剛「むー、いけずネー…」

早霜「…………」カクン

提督「あー…限界みたい…」

青葉「抱っこしてあげますか?」

提督「うん、布団まで運んでくる」

バタン

青葉「寝ました?」

提督「うん、ぐっすり」

金剛「ンー…ワタシもそろそろsleepyデース…」ゴシゴシ

提督「金剛も早いとこ寝なよ、明日に響くし」

金剛「Yes…あ、テイトク」

提督「ん?」

チュッ

金剛「Good night!」

パタパタ

提督「………内心恥ずかしがってるだろうなあ」

青葉「どうして分かるんです?」

提督「ああ見えて奥手だからね」

青葉「へー、意外ですね」

提督「青葉もそろそろ寝た方がいいんじゃない?」

青葉「そうですね、執務室にカメラを置き忘れたのでそれを取ってからにします」

提督「私も戸締りしないといけないから一緒に行くよ」

ガチャ

皐月「.........」

青葉「わっ」

提督「あれ、皐月?どうしたの、こんな時間...って...この包み紙、もしかして!」

皐月「......ふぇ?しれぇかん...?」ポー

提督「皐月、ここに置いてあったチョコを食べた?」

皐月「あぁ...えへへ...ちょっぴり大人味だったけど、おいしかったよぉ...///」ニヘー

提督「ああ、やっぱり...」

青葉「あちゃー…これ、出来上がってますかねえ」

提督「皐月、これ何本に見える?」ピッ

皐月「………あむ」カプ

青葉「確定みたいですね…」

提督「ちゃんと冷蔵庫に戻しておけばよかった…」

皐月「あぐあぐ」ペロペロ

青葉「どうします?」

提督「うーん…いいや、今日はこのまま寝ることにするよ。青葉も部屋に戻ってて」

青葉「はい…まあ、司令官なら安心ですよね」

提督「皐月、私の部屋で寝るよー」

皐月「ふぁーい…」

バタン

提督「ふぅ…皐月、先に布団入ってていいよ」

皐月「しれーかんは?」

提督「私はちょっと本を読んでから寝ようかな」

皐月「えー!しれーかんと一緒にねるぅ!」グイグイ

提督「わっ、こ、こら!そんなに引っ張ったらダメだって!」

皐月「ねーるぅー!ねーるーのぉー!!」グイグイ

提督「わかった、わかったから!はいはい、もう寝ようね!」

ボフ

皐月「えへへぇ、しれ~か~ん♪」ギュー

提督「はぁ…電気消すよー」

皐月「はーい♪」

パチン

「…………」

「………ふっ」

「…………」

「……ふっ、ふふふ、ふふふふふ」

「……寝なさい」

「…………んふ」

「…皐月……」

「……ふーーーーーーーー」

パチン

提督「静かにしなさい!」

皐月「あっはっはっはっは!!」ケラケラ

皐月「しれーかんっ♪」ピコピコ

提督「もう…早く寝ないと明日に響くよ…」

皐月「ほら!チョコあげる!」スッ

提督「これ、響の?どこに隠し持ってたの…」

皐月「せっかくおいしいんだからしれーかんにも食べてもらわないとね!」ビリビリ パクッ

提督「へ?」

皐月「ん!」スッ

提督「…このまま食べるの?」

皐月「んー」

提督「……はぁ」

提督「…あむ」パク

皐月「んふっ」

チュッ

提督「!!??」ビクゥ

皐月「はむ…んっ」ジュル…

提督(なななななななにこれ!?チョコ越しに皐月の舌の動きが伝わってくる!?)

皐月「ちゃんと…ん、溶けるまで……」ガシッ

提督(わああああああ!!!??)ドキドキドキドキ

皐月「ふふっ……甘ぁい……」チュル…

提督(まずいまずい落ち着いてまずいこれはまずい舌がチョコ越しに私の舌に触れてる相手は子供なのにこんな大人のキスみたいなのでドキドキしちゃってるなんでなにこれまずい)ドキドキドキドキドキドキドキドキ

提督「お……おっ、お、おっ……」プルプル

皐月「んんぅ…」

提督(これ、は……ま、まずい……)

ガバッ

皐月「ふぎゃ!」

提督「はー…はー…さ、皐月……」

皐月「…しれーかん…?」ボー

提督「………っ!!」

ギュウウ

皐月「あぅ」

提督(収まれ収まれ収まれ収まれ収まれ収まれ……!)

皐月「…………」ボー

提督(我慢我慢我慢我慢我慢………)モンモン

皐月「……すぅ」

提督「……さ、皐月?」

皐月「すー……すー……」

提督「…………はあぁぁ……」ドサ

翌日



提督「……………」ズーン

加賀「……元気がないみたいね」

提督「まあ……昨日、色々あって……」

加賀「……?ああ、そうそう…」

提督「なにー…?」ムク

加賀「一日遅れたけれど………こ、これ。私から、チョコ…」スッ

提督「ひぃ!?」ガタッ

加賀「!?」

提督「もうチョコはやだああああああ!!!!」バッ ダダダダ

加賀「」ガーン

最高に健全なバレンタイン編おわり
このあとめちゃくちゃ加賀に食べさせられた

吹雪「………んん…」ムク

吹雪(……今何時だろ…)ゴソゴソ スッ

吹雪「……………」

吹雪(……7時前…まだちょっとだけ寝てよう…)

吹雪「……………」

吹雪「…………!?」

吹雪「え…!?な…なに、これ…!?」ゴソゴソ

叢雲「むうぅ……なにごそごそしてんのよ…」ムクリ ボー

吹雪「あ、む、叢雲ちゃん…な、なんでもないの…」

叢雲「はぁ……目、覚めちゃったじゃない…顔洗ってくるわ…」ゴソゴソ

吹雪「ご、ごめん」

叢雲「別に怒ってないからいいわよ…」

スタスタ

吹雪「……………」チラッ

コンコン

提督「入っていいよー」

ガチャ

吹雪「し、失礼します」

提督「吹雪…?珍しいね、こんなに朝早くから」

バタン

吹雪「い、いえ…ちょっと、聞きたいことがありまして…」

提督「はあ。朝ご飯の時間は大丈夫なの?」

吹雪「あ、はい!今日はお昼から演習があるだけなので」

提督「そっか…で、聞きたいことって?」

吹雪「えっと…あの、その……」

提督「?」

吹雪「……………」キョロキョロ

吹雪「司令官、耳を貸してください」

提督「ん?こう?」

吹雪「はい……」

スッ

吹雪「実は………」ゴニョゴニョ

提督「うん…うん、うん……」

吹雪「……………」ゴニョゴニョ

提督「……うん。………あー……」

吹雪「私、もしかして病気なんじゃないでしょうか…」

提督「いや……うんまあ、とりあえず病気ではないから安心していいよ。むしろ成長してる証と言っていいかな」

吹雪「ほ、ほんとですか!?よかったぁ…」

提督「吹雪、今時間いい?少し説明しておきたいんだけど」

吹雪「あ、はい!お願いします!」

~~~

提督「……というわけ。だからそれは病気なんかじゃなくて、身体が大人になり始めてる証拠だよ」

吹雪「なるほど…司令官に相談してよかったです」

提督「それはどうも…というか、こういう話って座学でしてなかったっけ?」

吹雪「えーっと…たぶん、してたと思うんですけど…私、その時は寝てたんじゃないかと…」

提督「寝てた?」ジト

吹雪「う…は、はい…遠征の後だったので、少し疲れてて…」

提督「まあ…なら仕方ないか…」

吹雪「すみません…これからは気を付けます」

提督「いや無理はしなくていいよ。なんなら同じ内容をもう一回やればいいだけだし」

吹雪「そうですね…」

提督「というか、結構意外だなぁ」

吹雪「何がですか?」

提督「いや、吹雪って真面目だからさ。そういうことも知ってるのかと思って」

吹雪「あはは…実はこういったことは、ちょっと恥ずかしくて…」

提督「うーん…まあ年頃だから仕方ないのかもねえ…」

吹雪「やっぱり、他の子はみんな知ってるものなんでしょうか」

提督「…さあ?どうだろう…」

吹雪「深雪ちゃんとかは知らなさそうですよね…いつも寝てるし」

提督「………ん?もしかしてこれって…女の子の成長にとって由々しき問題なんじゃ…!」ガタッ

吹雪「え?」

提督「吹雪、今度その科目のテストがあったよね?」

吹雪「は、はい。確か…二日後だったはずです」

提督「むう……その後補講を開かないといけないかも…」

吹雪「…………?」ポカーン

数日後……



深雪「ん?おー、吹雪も呼ばれたんだなー」

吹雪「あ、深雪ちゃん…うん、なんだろうね…机が置いてあるけど」

深雪「さあなー」

加古「」zzz

龍田「うふふふ、なにが始まるのかしらね~」

青葉「さあ、なんでしょうねぇ」

ガラッ

提督「ん、みんな集まってるね」

吹雪「あ、司令官」

提督「名札が置いてあるから、自分の名前の席に着いて」

ガタガタ

提督「えー…今日ここに集まってもらったのは、先日の座学のテストが関係しています」

深雪「あー、10点ぐらいしか取れなかったあれかー!」

提督「はい、欠点の人が集められました。その補講を今から行いますが…ちなみに、欠点を取った理由は自分で分かりますか?」

深雪「寝てた!」

吹雪「う…勉強不足ですね…」

加古「」zzz

龍田「私も勉強不足かしら~」

青葉「んー、青葉も勉強不足ですね」

提督「……え?ちょっと待って、龍田と青葉って普段成績いいのになんで今回に限って」

龍田「さあ?」

青葉「どうしてでしょうね?」

提督「………まあそれはいいとして。加古、ちゃんと聞きなさい」ポン

加古「んぉ…?おぉ…あとで古鷹から聞いとくよ…」

提督「古鷹はいませんー」グニー

加古「うがぁ…」

提督「えー…科目は知っての通りだとは思いますが、保健体育です」

吹雪「前に言ってた補講ってこのことですか?」

提督「そう。しっかりと学んでおかないと女の子としての成長に弊害が出るかもしれませんのでみなさん集中して聞いてくださいね」

深雪「えー、めんどくせー」

提督「ゲーム禁止にするよ?」

深雪「頑張ってまいりましょう!」ビシィ

提督「さて、気を取り直して…手元にプリントがありますので、そちらをどうぞ」

吹雪「これですか?」ピラッ

提督「はい、それです」

提督「見てもらえれば分かると思いますが、内容はテストの範囲と同じ女性の身体のうごきに関することです」

深雪「あたしらの身体ってオトコとは違うの?」

提督「はい、胸が膨らんでもいなければ性器の形も違います」

深雪「セーキ?」

提督「後々説明しますので、少し聞いていてください」

深雪「はーい」

提督「男性と女性の身体の差ですが、幼少期…つまり子供のうちは基本的に大きな差異はありません」

青葉「それほど意識するものではない、ということですか?」

提督「はい。この時点では性別以外にほとんど見た目の違いもありませんが、ある時期を境に心境や身体の変化が訪れます」

提督「思春期の少女に表れるもの…吹雪、なんだか分かる?」

吹雪「はい!月経です!」

提督「その通り。生理や月のものとも言います」

深雪「へー…初めて知った」

提督「ありがとね、吹雪。座っていいよ」

吹雪「は、はい。えへへ」

提督「この現象は成熟した女性全員に見られます。吹雪はつい最近だったけど、龍田と青葉はもう来てるんじゃないかな?」

龍田「そうね、というか生まれた時からそうだったわ~」

青葉「青葉もです」

深雪「げっ、来てないのあたしだけ?」

提督「さっきも言った通りそのうち来るから大丈夫、安心していいよ」

深雪「そ、そうなのか…」

深雪「でもせんせー、なんでそんなことが起こるんですかー?」

提督「いい質問ですね。月経は名の通り月に一度来るものですが、なぜそのようなことが起こるのかというと女性の身体は赤ちゃんを産む準備をするんですね」

深雪「えっ、月一で赤ちゃん産むの!?」

吹雪「いやいやいや…そんな簡単に子供産んでたら大変なことになるよ…」

提督「吹雪の言う通り、月一で赤ちゃんを産むようなことはありません。あくまでその準備が行われるだけです」

深雪「じゃあ本番は別にあるんだ?」

提督「え?ええ、そうなります」

青葉「はいはいはい!!せんせー!その本番はどうやってやるんですかー!!?」

提督「えっ」

龍田「私も気になります~」

青葉「ほら早く教えてくださいよぉ!!さあ!!」

提督「い、いや…あの…」

青葉「本番!!本番!!」

龍田「本番♪本番♪」チャッチャッ

提督「うるさーーい!!あとで説明するから静かにしなさーい!!」

青葉「あとで?」

龍田「説明するって言ったわよねえ?」

提督「うっ……」

提督「こほん…気を取り直して説明に戻ります。その準備というのは、お腹の中で行われます」サスサス

深雪「胃?」

提督「惜しい。吹雪、どこかわかる?」

吹雪「子宮、です!」

提督「正解。女性には子宮という赤ちゃんを育てる器官があります」

深雪「へぇー…艦娘にもついてんの?」

提督「最近の研究であることが判明しましたね」

青葉「司令官にもついてるんですかー?」

提督「そりゃあそうでしょ…」

提督「そして月経の間はその子宮内に色々な分泌物の膜ができるんです」

深雪「膜?」

提督「そう。詳しい説明は後にして、その膜は赤ちゃんを作るために必要なものです」

龍田(意外と知らないことばかりね…)

提督「月経が終わるとこの膜は崩れ落ちて体外に出ます。それがいわゆるおりものというやつですね」

青葉「へえぇ…そうだったんですか」

提督「こういった話題は避けられる傾向にありますから、間違った認識のまま大人になるということもよく見られます。しっかりと勉強しておきましょうね」

「「「「はーい」」」」

加古「zzz……」

提督「加古、聞いてた?」

加古「んぁ…聞いてた聞いてた…」

提督「じゃあさっき私はどういう話をしてた?」

加古「……あれでしょ…なんかお腹の中でできたものが崩れて出てくるんでしょ…」

提督「うわ、意外と聞いてる…」

吹雪「睡眠学習ってやつですかね…」

提督「そんなに聞こえてるならどうしてテストの結果が悪かったんだろう…」

龍田「テストもずっと寝てたからじゃないの~?」

提督「ああ、なるほど…」

青葉「……で、司令官。テスト範囲はここだけじゃないですよねぇ?」

提督「う…」

青葉「さあ早く!教えてくださいよォ!!子供の作り方をォ!!」

龍田「私も気になるわ~」ニコニコ

提督「あ、あれー、そんなこと言ったかなー」

青葉「…………」カチッ

『あとで説明するから静かにしなさーい!!』

提督「なんでそんなの録音してるのおおお!??」

青葉「さあ言い逃れはできませんよ、ぐひひひ」

提督「うぐぐ…」

提督(い、いや…どうせいつかは知ることだし…そう、これは教育…ただの教育だから、何も恥ずかしいことはない…)

提督「…いいよ、教えてあげる」

青葉「ひゃっほおおおおお!!!」

提督「こほん…えー、次は妊娠の仕組みについて説明します」

深雪「ニンジン?」

提督「ニンシン。子供ができること」

深雪「へー、いらないよじゃないんだ」

提督「その話はまた今度しようね。ちなみにこれも月経と関わりのあることなのでしっかりと聞くように」

吹雪「はい!」

深雪「はーい」

提督「まず私から質問です。子供はどうすればできますか?深雪、わかる?」

深雪「え?えーっと、安定した収入と互いの愛があって」

提督「そういう概念的なものじゃなくて!行為!」

深雪「あ、行為?キスしたらできるんじゃないの?」

提督「ブブー、違います」

龍田「そうよぉ、キスで子供ができるなら今頃提督と加賀さんは子だくさんになってるでしょ~?」

深雪「そっかー!」

提督「余計なこと言わなくていいから!!」

提督「はいはいお静かに!話を聞きなさい!」

青葉「絶対照れ隠しですよ」

深雪「なー、司令官乙女だもんな」

提督「…………」ブンッ

青葉「ぐえぇ!?」スコーン

提督「話を聞こうね?」

青葉「は、はいぃ!」

深雪(あんな正確なチョーク投げ初めて見た…)

提督「まず女性の体内では、卵子という子供ができる材料の一つが作られています」

吹雪「卵みたいに大きいわけではないんですよね?」

提督「はい、とても小さいものです。その卵子は月に一度卵管という器官に排出されます」

深雪「なんか難しい話だなー…」

提督「これがいわゆる排卵というものです。それからしばらく経つとその物質は黄体という組織に変化します」

吹雪「…………」カキカキ

提督「それからさらにしばらく経ち、黄体から出されるホルモンの影響で柔らかくなった子宮内膜が血液と共に体外に排出されます。これが卵胞期から月経期の終わりまで、です」

深雪「あれ?子供は?」

提督「それもこれから説明します」

提督「すぅーー……ふぅーー……」

龍田「…………」

青葉「…………」

提督「……えー、どうすれば子供ができるかですが、これは簡単なことではありません」

深雪「安定した収入と互いの」

提督「それもあるけど!深雪、ちょっと静かになさい!」

深雪「うひひ、ごめんごめん」

提督「…で、先ほど話した卵子が卵管に排出される時期ですが、これを排卵期と呼びます」

龍田「…………」

青葉「…………」

提督「卵子の寿命はだいたい一日程度と言われています。その間に……」

深雪「……その間に?」

提督「……………」

青葉「…………」

龍田「…………」

吹雪「…………」

加古「」zzz

提督(前にヲ級ちゃんにも説明してたでしょ私!恥ずかしがることなんてないって!!)

深雪「………??」

提督「…せ……」

深雪「せ?」

提督「せ………精子と…卵子が結び付いて…子宮内膜に、着床することで、子供がつくられ始めます……」

深雪「………へー」

吹雪「なるほどぉ……」

提督(い……言えた……)///

青葉「はい!!先生!!」ガタッ

龍田「先生!!」ガタタッ

提督「!?」ビクッ

青葉「質問です!!」

提督「え…な、なんでしょうか…」

青葉「その精子というのはどこから出てくるんですか!!」

提督「………!?」

深雪「………?」

提督「え……あ、え…そ、その…///」カァアア

青葉「早く答えてくださいよォ!教育になりませんよォ!?」バンバン

龍田「不思議ね~、知りたいものね~」

提督(し、知っててやってるくせにぃ…!)プルプル

提督「……図!図を見てください!プリントの裏側です!」

深雪「ん?おお」ペラッ

吹雪「……うわぁ…//」

提督(こ、これでひとまずは安心…)

青葉「…………」

龍田「チッ……」

提督(舌打ち!?)

深雪「せんせー、説明はー?」

提督「え、あ、ああ、はい…」

提督(そう、恥ずかしがることなんてないんだ…そもそももういい歳なのに何をいつまでも思春期の少女のように…)

提督「…えー、その精子という物質ですが…これは尿のような生理現象で出るものではありません」

深雪「なんかしなきゃいけないってこと?」

提督「そうです。えー、男性器…陰茎は刺激を受けると海綿体という組織に血が集まり、勃起という現象が起きます」

龍田(急に迷いがなくなったわね…)

青葉(このままじゃ面白くないなあ…)

提督「その状態で刺激を続けると快感と共に精子が排出されます。分かりましたか?」

深雪「ふーん、なるほどねえ…要はこのインケーってやつをこん中に挿れるってことか」ポンポン

吹雪「み、深雪ちゃん…//」

提督「そういうことですね」

青葉「はいはいはい!!せんせー!!」

提督(またか…)

提督「はい、なんでしょうか」

青葉「その刺激というのは例えばどんな風にすればいいんですかー!?」

提督「え?えぇと……」

青葉「」ワクワク

龍田「」ワクワク

提督「………んっと…」

深雪(ヒマだなー…)

吹雪(これも勉強…)

提督「……な…撫でたり…とか??」

青葉「は?」

提督「ご、ごめん。私そういう経験なくて…あはは、よくわかんないや」ポリポリ

青葉龍田「」ズコー

青葉「はいはいはい!続けて質問です!」

提督「ろくなこと言わないでしょ青葉…」

青葉「無視するなら着替え写真バラ撒きますよ!?」

提督「な、なんでそんなもの持ってるの!?」

青葉「それでも答えませんか?」ニヤ

提督「はぁ……分かったよ…で?なんの質問?」

青葉「それはですねえ…男性器の!他の名称を答えてもらいましょうか!」

提督「………!??」

龍田「…………」グッ

青葉「さあ早く!答えてください!」

提督「ぺ……ぺに…す、とか……///」カァッ

青葉「もっと身近な名称でぇ!!!」

龍田「チームワークでぇ!!!」

提督「ぇ…あ…あ、そっ、その……お…おっ………///////」カアアア

青葉「ほら早く!大きな声で!!はいっ!!お◯ん◯ん!」

龍田「お◯ん◯ん!お◯ん◯ん!」

深雪「お◯ん◯ん!お◯ん◯ん!」

提督「//////」ボッ

吹雪(あーもうめちゃくちゃだよ…)

提督「あーーーーっもう!!お◯ん◯んお◯ん◯んお◯ん◯ん!!ほらっ、これで満足!?////」

青葉「イェーイ!!バッチリ録音しましたよ!!」

龍田「あら~、でかしたわ~」

深雪「マジで!?あとでループ再生しようぜ!」

吹雪「司令官……」

加古「……さすがに連呼はどうかと思う…」ムク

提督「はっ………」

提督「……………」

提督「…………………」

提督「……死ぬ……」トボトボ

吹雪「わーっ!!は、早まらないでくださいぃ~!」グイグイ

~~~

提督「………ってことが……あったんだよ………」

鳳翔「そ、それは災難でしたね…」

提督「………死にたい……」

鳳翔「ま、まあまあ…そう仰らずに、お酒でも飲んで忘れましょう?」

提督「うう……ありがとぉ…」ゴク

鳳翔「…………」



提督「ふにゃぁ……///」ポー

鳳翔「計画通り」

性教育おわり
この後めちゃくちゃ実技された

海底洞窟




港湾棲姫「……デ、ダ。私達ハ人間ノ負ノ感情ヲ昇華サセテ生マレタ存在トイウコトニナル」

提督「えぇと……つまり…ど、どういうこと?」

港湾棲姫「アー…ナンテ説明スレバイインダ…?」

駆逐棲姫「ツマリ、憎シミヤ悲シミ、無念ナドノ感情カラ私達ガ生マレルノ…」

提督「ああ、そういうこと…じゃあ人類と戦ってるのもその憎しみが残ってるからなの?」

駆逐棲姫「イエ…ソレハ人間ガ私達ニ攻撃ヲ仕掛ケテキタカラダト思ウ…人間ヲベースニ造ラレルカラ、記憶ガ少シ残ッテル子モイルミタイダケド…」

提督「そうなんだ…じゃあ艦娘との容姿が似てる子がいるのは?」

港湾棲姫「…恐ラク、海ニ漂ウ思念ノヨウナモノモ一緒ニ取リ込ンデイルカラダロウ。沈ンデイッタ艦娘タチノ負ノ感情モベースニナルカラナ」

提督「なるほどね…そういう関係だったんだ…」

提督「色々教えてくれてありがとうね」ナデナデ

駆逐棲姫「ッ……イ、イエ…///」

港湾棲姫「……ソレニシテモオ前、一人デ来テヨカッタノカ?」

提督「え?うん、もう攻撃なんてしてこないし…大丈夫だと思うけど」

港湾棲姫「アア、ソレハソウダガ…別ノ意味デナ…」

提督「別?」

戦艦棲姫「コンナ風ニアナタヲ狙ッテル子モイルカモシレナイワヨォ?」ピト

提督「ひっ!?」サッ

戦艦棲姫「ウフフ、可愛イ…」クスクス

提督「……こ、今度は誰かと来ようかな…」

港湾棲姫「ソ、ソウダナ…」

集積地「ン…?オ前ハ…」

提督「…?新しい子?」

港湾棲姫「イヤ、前ニ来タ時ハ別ノ拠点ニ居タハズダ…ナ?」

集積地「アア、ソウダ」

提督「へー…じゃあ、初めましてになるね。よろしく」

集積地「……イヤ、私ハ…オ前ト会ッタコトガアル」

提督「え?」

港湾棲姫「…ソウナノカ?」

提督「えっと…ごめん、どこで会ったっけ…?」

集積地「………思イ出セナイ…タダ、カナリ古イ記憶トイウコトダケワカル…」

提督「古い?私、ちょっと前に初めてここに来たんだけど…」

集積地「ナニ…?ジャア気ノセイカ…?」

港湾棲姫「…ベースノ記憶ト混同シテルンジャナイノカ?」

集積地「アア…多分ソウダ。スマナイ、忘レテクレ」

提督「う、うん」

ヲ級「話ハ終ワッタカ…?」

提督「あ、うん。じゃあそろそろ帰ろうか」

駆逐棲姫「モウ帰ルノ…?」

提督「ごめんね、今日はあんまり時間がなくて…みんなが心配してるだろうし、もう帰らなきゃいけないの」

駆逐棲姫「……ハイ…」

港湾棲姫「……今度来ル時ハ、ユックリ話ガデキルヨウニ美味イ魚デモ用意シテオク…」

提督「うん、ありがとう。それじゃ、また来るね」ナデ

駆逐棲姫「…ハ、ハイ……///」ポッ

ヲ級「テイトク、行コウ」グイ

提督「わっ、たっ…じゃ、じゃあねー!」

北方棲姫「…………」フリフリ

港湾棲姫「オッ…イ、イタノカ…」

ヲ級「…………」スタスタ

提督「…あれ?こっち、来た道と違わない?」

ヲ級「見セタイモノガアル…ツイテキテクレ」

提督「う、うん…」

スタスタ

提督(やっぱり洞窟だけあって、光が射さないところは暗いなあ…)

ツルッ

提督「わひゃっ!?」

ヲ級「!」

ガシッ

ヲ級「…大丈夫カ?」

提督「あ…ありが、と…」

ヲ級「ココハ滑ル…足元ニ気ヲツケテクレ」

提督「うん…」

提督「ここ…どうしてこんなに濡れてるの?」

ヲ級「コノ道ハ潮ガ引イタ時ニシカ通レナイ…水デイッパイニナルカラナ」

提督「へえ、そうなんだ…って、私が長い間潜れないからだよね…ご、ごめん」

ヲ級「気ニシナクテイイ……ムシロ、私ハ……」

提督「………?」

ヲ級「……ナンデモナイ。行コウ」ギュ

提督「あ…う、うん…//」

スタスタ

提督(それにしても、どこまで歩くんだろう…)

提督(分かれ道も何度も通ったし、今自分がどこにいるのかも分からなくなってきた…まあ、この子がいれば大丈夫だろうけど…)

ヲ級「コッチ…」グイ

提督「わっ、とと……うわぁ……」

ヲ級「……ドウダ?」

提督「すごい……綺麗…」

提督(半分だけになった船の残骸と、船首に降り注ぐ光……なんだか、幻想的……)

ヲ級「コレヲ見セタカッタンダ…」スタスタ

提督「こんな場所があったなんて…ヲ級ちゃんが見つけたの?」

ヲ級「アア…私トアナタノ他ハ、誰モ知ラナイ…」ニコ

提督「そ、そっか…な、なんていうか…ロマンチック…だね//」ドキドキ

ヲ級「……連レテキテヨカッタ」

提督「え?」

ヲ級「…少シ、話シタイコトガアル…」

ヲ級「コッチニ来テクレ…」

提督「うん」

パタパタ

ギュ

提督「わ、ちょ…ヲ、ヲ級ちゃん…?」

ヲ級「………少シ、コウシテイタイ…」ギュウウ…

提督「…うん」ナデナデ

ヲ級「……アリガトウ…」

提督(自分の腕で抱き付いてくるなんて、珍しいなー…)

ヲ級「……………」

ヲ級「…………」スッ

提督「ん…もういいの?」

ヲ級「アア…」

提督「そっか」

ヲ級「…………」ペタ

提督「…どうしたの?」

ヲ級「……コノ子ハ、船ダ」

提督「え?う、うん」

ヲ級「ソシテ……テイトクハ、人…」

提督「そう…だけど」

ヲ級「…ナラ、私ハナンダ…?」

提督「え?」

ヲ級「コノ子ハ船トシテ役目ヲ果タシタ…デモ、私ハ…」

ヲ級「…テイトクタチトノ戦イガナクナッテ、平和ニナッタ。ケド、私達ハ戦ウタメニ生マレテ来タンジャナイノカ…?ダッタラ、私ノ役目ハドウナル?私ハ…今ノ私ハ、一体ナンナンダ…?」

提督「……難しい話だね」

ヲ級「……スマナイ…急ニコンナコトヲ…」

提督「うーん……確かに深海棲艦とは言えど…根幹にあるものは人間と変わらないんじゃないかな」

ヲ級「エ?」

提督「ヲ級ちゃんだけじゃない、他の子たちだって。ご飯を食べて美味しいって騒いでたのも、みんなで遊んで楽しいってはしゃいでたのも全部…とっても、人間らしかったよ」

ヲ級「………!」

提督「人間は役目なんかじゃなくて、誰かが必要としてくれるならそこに存在価値を見出せる…そういうものだと思うよ」

ヲ級「私ハ……人間ニナレル…?」

提督「もちろん。むしろそうやって悩むのは人間だけの特権だよ」ニコ

ヲ級「ソウカ……フフ、ソウナノカ…」

ヲ級「……テイトクニ話シテヨカッタ。ヤッパリテイトクハ、私ニ色ンナコトヲ教エテクレル」

提督「ええ?そうでもないよ、私は私なりの考えを言っただけ」

ヲ級「ソレデモ、ダ。テイトクノコトヲ知レルノハ嬉シイ」

提督「そっか…ふふ、ありがとう」

ヲ級「…コレカラモモット…テイトクヲ知リタイ…」

提督「あはは、そうだね。またお話しよっか」

ヲ級「アア…」

ピチャッ

提督「ん…うわっ!?な、なんでこんなところに水が…」

ヲ級「潮ガ満チテキタミタイ…」

提督「満ちてきたって…えぇ!?ここまでくるの!?」

ヲ級「…確カ、ジキニココモ水没スルト思ウ…」

提督「うわ…ほ、ほんとだ…上にまでフジツボが…」

提督「ど、どうしよう…このままじゃ溺れちゃう…」

ヲ級「…アソコカラミンナノイル場所ニ戻レル」

提督「あそこって…水が張ってるけど…」

ヲ級「潜ッテ行ク…」

提督「も、潜る…?その、何秒くらい…?」

ヲ級「……イップンモアレバ」

提督「い、一分か…た、たぶん大丈夫…」ゴクリ

ヲ級「…大丈夫?」

提督「う、うん…すー…はー…よしっ、行こう」

シュル ギュ

ヲ級「離レナイデネ…」

提督「…………」コクコク

ヲ級「…ヲッ」

ドボーン

ゴポポ…

提督(うわ…意外と海流が強い…流されたらたぶん、死ぬ……よね…)ギュウ…

ヲ級「…………」

提督(うう…手、握り締めてるのバレてるかな…は、恥ずかしい…)

提督(…ちょっとだけ目開けてみようかな…)パチ

ウツボ「」スー

提督「~~~~!!?」ガボボ

ヲ級「テイトク…!?」

提督(や、やばっ…息が…!)

ヲ級「…………ッ!」ガシ

チュッ

提督「んんぅ……!?」

ヲ級「…………」フスー

提督(あ……酸素が…)

ザバッ

提督「ぷはぁっ!!はぁー、はぁー、はあぁー!」ゼェゼェ

ヲ級「大丈夫、カ…?」

提督「し、死ぬかと思った…ごめん、あんなところにウツボがいるとは思わなくて…ありがとね、その…じ、人工呼吸、してくれなかったら危なかったかも…」

ヲ級「ン……息ガ荒イ…マダ、イルカ…?」クイ

提督「い、いやいやいや!いい!も、もう大丈夫だから!」バッ

ヲ級「……?ソウカ…」

提督(はぁ…無知って罪だなぁ…)///

ヲ級「テイトク?」ズイ

提督「あー…あのね、ヲ級ちゃん…」

ヲ級「?」

提督(一応教えておいた方がいいよね…)

提督「その…さっきは仕方なかったとはいえ、ああやって唇同士を重ねるのは…大切な人とする行為なの」

ヲ級「…ソウナノカ…スマナイ…」シュン

提督「あ、お、怒ってるわけじゃないんだよ?だからその、ええと…まあ、無闇にすることじゃないっていうか…うん、特別な関係になってからするものっていうか…」

ヲ級「特別……」

提督「あ、あー…もちろんヲ級ちゃんのことは大切だと思ってるよ?けどその大切は色々と違う大切っていうか…ああ、ううん…なんて言えばいいんだろう…」

ヲ級「……テイトクハ…」

提督「ん?」

ヲ級「………イヤ、イイ…モウアノ泊地ニ帰ロウ?ミンナガ、待ッテルダロウカラ…」スタスタ

提督「え?う、うん…」

ヲ級(……大切ナ…人…)

R-18のフラグ建ておわり
なんていうかこう…人の文化に疎い人外がだんだん人間に近付いていくのって尊いですよね…

提督「んしょ、っと……それじゃあ、行ってくるね」

鳳翔「お帰りはいつ頃になられるのですか?」

提督「んー…買い物だけだから夜には帰ってくるよ」

鳳翔「そうですか。では、お気を付けて」

提督「うん、ありがと」

ガチャ

バタン

鳳翔「……はい、行ったみたいですよ」

飛龍「聞いた?」

蒼龍「聞いた!」

加賀「出掛けるそうね」

金剛「ムムム…怪しいデース…」

鳳翔「は、はあ…」

鳳翔「怪しいだなんてそんな…ただの買い物だと仰ってましたし、そんなに気にするようなことではないと思いますが…」

飛龍「いやいや、あの提督が一人で外に出掛けるなんてあり得ないよ」

鳳翔「買い出しの時はよく一人で行かれているようですが…」

蒼龍「その買い出しはつい最近行ったばっかだけど?」

鳳翔「…言われてみればそうですね」

加賀「なら出掛けるのは他の用事…私たちの知らない何かということになるわ」

鳳翔「ですが、提督にだって欲しいものくらい…」

金剛「Fashionにもhairstyleにも疎いテイトクがデスカー?」

鳳翔「むむ…確かに…」

加賀「…浮気の可能性があるわ」

鳳翔「まさか、提督に限ってそんな…」

加賀「どの口が言えたことなんですか」

鳳翔「!?」

加賀「百歩譲ってここにいる子達はいいとして、問題はどこの馬の骨とも知れない人間と浮気しているかよ」

飛龍「どうします?」

蒼龍「後をつける?」

金剛「Yes、テイトクを守るためにもワタシたちが行かなければなりマセン」

鳳翔「えぇ…考えすぎでは…」

加賀「何かあってからでは遅いんです!」クワッ

鳳翔「は、はあ…」

加賀「…そうと決まれば行動開始よ。着替えなさい」スタスタ

蒼飛龍「「はい!」」

金剛「OK!」

鳳翔「ええと…まあ、程々にしてくださいね…」

飛龍「んー、手袋どれにする?」

蒼龍「お揃いにする?えへへ」

加賀「早くしなさい…」

木曾「ん?そんなに集まってどうしたんだ?」

金剛「これからテイトクをsneakしマース」

木曾「え…は?はあ…それはまた、どうして?」

飛龍「浮気の可能性があるんだって」

木曾「なんだ、いつも通りじゃないか」

蒼龍「それはそうだけど、知らない人としてるかもしれないんだよ?」

木曾「む……それは嫌だな」

加賀「でしょう?だから尾行することに決めたの」

木曾「そういうことか…なら俺も同行しよう」

加賀「なら早く着替えることね」

木曾「ああ」パタパタ

~~~

加賀「準備はできた?」

飛龍「バッチリです!」

木曾「ああ、俺もだ」

金剛「それではLet's goネー!」

蒼龍「でも、どうやって追いかけるんですか?出掛けてそんなに時間は経ってないとはいえどこに行ったのかは分かりませんし」

加賀「心配ないわ。飛龍」

飛龍「はい!」

スンスン スンスン…

飛龍「ついてきてください」スンスン

木曾「犬か」

パタパタ…

蒼龍「……あ、いた!」

木曾「おっと…ここからは距離をとって尾けよう」

加賀「ええ」



提督「~♪」テクテク



金剛「…今のところは一人ネー」

飛龍「たぶん待ち合わせしてるんじゃないかな」



ピリリリ

提督「ん…」ピッ



加賀「電話みたいね」

蒼龍「もしかしてこれから会う人からかな」

提督「もしもし? ……うん、私だよ。ついさっき出たところ」

提督「…えぇ!?そ、そうなんだ…あ、いや!ゆっくりでいいよ、どうせ鎮守府からだとしばらく歩くし」

提督「……うん。ちゃんと顔は洗って来なよ、あはは」

提督「それじゃ、またあとでね」

ピッ




飛龍「またあとで…ってことは、電話の相手はやっぱりこれから会う人ですかね」

加賀「そう考えるのが妥当ね」

蒼龍「それにしても、ずいぶん親しげな感じでしたね…」

加賀「そうね」

金剛「…angry?」

加賀「別に」

提督「~♪」スタスタ



木曾「もうずいぶん歩いたな…」

飛龍「うん、予想はしてたけど市街の方まで来たね」

蒼龍「あー…あのクレープ美味しそう…」

金剛「…むっ、テイトクがsitしマシター」

加賀「丸ベンチ…待ち合わせにはうってつけね」

飛龍「…というか私たち、バレてませんかね?」

加賀「さあ…でも気付いていたら向こうから話しかけてくるはずよ」

飛龍「それもそうですね…」

木曾「何はともあれ、もう少し離れた方がいいんじゃないか?ここだと少し周りを見られただけで気付かれる」

加賀「そうね…移動しましょうか」

飛龍「ほら蒼龍、行くよー」グイ

蒼龍「わっ、とっ、クレープがぁ…!」

提督「…………」パタパタ



飛龍「足パタパタさせてる…」

蒼龍「あれで27」

飛龍「そういうこと言わないの!」

木曾「でもあれだよな、かぼたん的な可愛さを感じるよな」

蒼龍「え?」

飛龍「かぼたん??」

木曾「い、いや。なんでもない」

加賀「…一人でいるとナンパにでも遭いそうで怖いわね」

金剛「もしそんな男がいたらヴァルハラに送ってやるネー…」ゴゴ

加賀「ええ、形も残してやらないわ」ゴゴゴ

木曾(これがラブ勢の恐ろしさか…)

提督「ふあぁ……」



加賀「…退屈そうね。あくびをしているわ」

金剛「テイトクを待たせるとは…不届き者デース…」

飛龍「……ん?あ、誰か走って来る!」

蒼龍「うそ!?か、隠れて!」

木曾「え?いや、別にここでも…」

蒼龍「いいから!ほら、加賀さんも!」グイ

加賀「うっ」

提督「……あ!風美、おはよー!」ブンブン

風美「はぁっ、はぁ……お、おはようございます、姉さん…」ゼェゼェ

提督「もしかしてここまで走ってきたの?大丈夫?」

風美「だっ…大丈夫、です…姉さんを、待たせてはいけないと、思って…」

提督「ゆっくりでいいって言ったのに…ほら、汗拭いてあげるからこっち向いて」グイ

風美「え、あ、は、はい…あ、ありがとう、ございます…///」カァ

提督「それにしても寝坊なんて、相変わらずだねー」クス

風美「す、すみません…朝はどうしても弱くて…」

提督「まあ二度寝は気持ちいいよね…」フキフキ

飛龍「……あれ、誰?」

蒼龍「さあ…」

加賀「どこの女かしら…」ビキビキ

金剛「どういうrelationネー…」ギリギリ

木曾「誰も知らないみたいだな…」

飛龍「あ、なにか話してる」



「……はようございます……さん」

「……大丈…?」



蒼龍「……ここだとよく聞こえない…」

加賀「さん付けで呼んでいるということはそれほど親しくない関係かしら」フフン

木曾「なんだそのドヤ顔は…」

「こっち向いて…」



飛龍「!?」

蒼龍「!?」

加賀「!?」

木曾「!?」

金剛「!??!???」

飛龍「あっ、あ、あ、あれって…きっ、き、き…」

蒼龍「キス……!?///」

加賀「」

金剛「」

木曾「ま、まさか…この角度からじゃそう見えるだけだろ…そ、そうに決まってるだろ…」

フキフキ

グゥゥ

風美「………!」

提督「お腹空いてるの?」

風美「ち、違うんです!い、今のは…!」バッ

提督「あはは、寝坊してきたってことはご飯も食べてないんでしょ?」

風美「う…は、はい…」

提督「それじゃ、ちょっと早いけどお昼にしよっか。どこで食べる?」

風美「い、いえ!姉さんが食べたいタイミングで構いませんので…」

提督「じゃあ私もお腹空いた。ほら、行こう?」ギュ グイ

風美(て、手が…!姉さんの手が…!!)ドキドキ

「今のは…!」



加賀「」

金剛「」

飛龍「うぇ…な、なに…?急に離れたってことは…」

蒼龍「提督からしたってこと…?」

木曾「馬鹿な……」フルフル

飛龍「い、いや…まだ勘違いの可能性もあるよ!ねっ!」

蒼龍「あ……手、繋いでる…そこまで行ってるんだ…」

木曾「…………」

飛龍「ど、どこか行くみたい!お、追いかけよう!」

加賀「」

金剛「」

提督「ふー…何頼む?」

風美「ええと…少し待ってください」

提督「うん」

風美「…むむ」

提督(相変わらず優柔不断だなぁ…)クス

風美「……? 私の顔に何か…?」

提督「ん?ああ、昔からそういうところは変わらないなって思って」

風美「え…す、すみません、すぐに決めますので…」

提督「ゆっくりでいいよゆっくりで」

風美「はい…」

提督(鎮守府のみんな、どうしてるかなぁ…特に金剛とか、日中いなかっただけで自棄酒するくらいぶん回るから心配かも…)

「昔から………変わらないなぁって」



金剛「なにを食べマスカー?」キラキラ

加賀「そうね…どれも美味しそうね」キラキラ

木曾「飯を前にして切り替え早すぎだろ…」

飛龍「昔から変わらないって言ってたよね?」

蒼龍「ということは、よく知り合った仲なの?」

飛龍「さあ…でもあの人敬語で喋ってるみたいだし、よくわかんないや」

蒼龍「いや、でも…うーん…やっぱりあれはキスしてたのかなあ…」

金剛「ヘーイ二人トモ、orderは?」

飛龍「え?あ、見せてください」

蒼龍「私も私も!」

風美「…では、私は…ボロネーゼを」

提督「オムライスじゃなくていいの?」

風美「そ、そんな子供っぽいものは食べません」

提督「えー、でも私のは好きって言ってくれるじゃない」

風美「姉さんのは別です…そもそも姉さんの料理ならなんでも好きですから」

提督「あはは、ありがと」

風美「そ、それより姉さんも決めてください」スッ

提督「ん、はいはい」

風美(…姉さん、よく笑うようになったな…)

「私の……好きって…言って……」

「………さん………なら……好きですから」



加賀「こんなところで堂々と愛の告白とは…」

金剛「あのwoman、なかなか大胆ネー…」

蒼龍「それだけ気の知れた仲ってことなのかなぁ…」

木曾「だとしたら、風花が鎮守府に来る前から付き合いがあったということか…俺たちじゃ勝ち目なんてないんじゃないか…」

加賀「私とは遊びだったということ…?」

「お待たせいたしましたー」

飛龍「おっ、きたきた」

加賀「美味しそうね」

金剛「いただきますデース!」

木曾「……………」

~~~

提督「ふー…」

風美「姉さん、食後のコーヒーは…飲めませんよね」

提督「ん?あー…一応頼もうかな、砂糖とミルク入れれば大丈夫だし」

風美「そうですか……あ、すみません」

「はい、ご注文でしょうか?」

風美「ええ、コーヒーを二つ、ホットで」

「かしこまりました、少々お待ちください」

提督「風美ってブラックで飲めるんだっけ?」

風美「はい、苦いのもあって目が冴えるんです」

提督「大人だねぇ…」

風美「そう言う姉さんはココアの方が好きみたいですね」クス

提督「あはは、子供っぽいかな」

風美「いえ…可愛らしいですよ」

提督「ふふふ、ありがと」

風美(……やはりそう簡単には口説けないみたいね…)

提督「ところで…最近、どう?あのー…」

風美「どう、とは…?」

提督「その、母さんのこと。元気にしてる?」

風美「ああ、母さんですか。今年もいつも通り風邪なんて引かずに元気でやっていますよ」

提督「そっか…よかった」

風美「姉さんは家にいませんし、心配なのは分かりますが…自分で聞いた方がいいのでは?」

提督「それはまあ、そうなんだけど…ほら、母さんってなんだか私を避けてるみたいだし…聞いても自分の身を心配しなさいって言うからさ…」

風美「…それは好意の裏返しだと思いますよ。母さんのことより自分のことを大事にして欲しいからこそその言葉が出たんでしょう」

提督「そうかなぁ…」

風美「それに、あの人はいつも姉さんのことを気にかけるようなことを言ってますから…避けられているように思うのも不器用なところがあるだけで、本当は姉さんのことも心配しているんですよ」

提督「……そっか…そうなんだ…へぇ~…えへへへ…」

風美「……………」

風美(言えない……)

風美(この純粋な笑顔を守るためには…)

風美(母さんが姉さんの布団で枕を抱き締めながらごろごろしていたことなんて…)

風美(……絶対に言えない……)

提督「さてと…お腹もいっぱいになったし、そろそろ出ようか」

風美「あ、はい」

提督「先に出てていいよ、払っとくから」

風美「いえ、ここは私が…」

提督「え?いやいや、いいよ」

風美「そんな、姉さんはこれから買うものがあるのにお金を使わせるわけにはいきません」

提督「別にいいよ、気にしないで」

風美「いえいえ…」

提督「いやいや…」

提督「…………」

風美「…………」

提督「お姉ちゃんとしての威厳、見せたいんだけどなぁ…」

風美「そんなもの、昔から何度も近くで見ています」

提督「…ダメぇ?」

風美「ぐっ……!!」

提督「可愛い妹のためだよ、ねっ?」

風美「そ……そういうのは、ずるい…です…」プルプル

提督「あはは、それじゃあ払ってくるね」

スタスタ

風美「はぁ…」

風美(やっぱり、姉さんには敵わないわ…)

風美(…それとも私が姉さんに弱すぎるだけかしら…いえ、それはないわ…それだけは…)

木曾「はー、食った食った」

蒼龍「あ、あの二人ももう出るみたい」

飛龍「そういえばここの支払い、誰が持つの?」

加賀「あ。財布、持ってきてないわ」

飛龍「えっ」

金剛「ワタシもデース」

蒼龍「えっ」

木曾「そもそも財布自体持ってないぞ俺」

飛龍「……………」

蒼龍「……………」

飛龍「さいしょはグー!」

蒼龍「じゃんけんぽん!」(チョキ)

飛龍「……………」(パー)

蒼龍「それじゃ、よろしくね♪」

飛龍「くっそおおぉーーーーー!!!」

提督「さてと…どこに行こうか?欲しいものとかある?」

風美「え、そんな…さっきの店も出してくれたのに物をねだるなんてできません」

提督「いいのいいの、私が取り付けた約束なんだから。なんでも好きなものを買ってあげるよ」

風美「な、なんでも…ですか…」

提督「うん、さすがに車とかは手持ちがないから厳しいけど…」

風美「…で、では…」

提督「うん」

風美「ね、姉さんが欲しいです!」


ーーーーー

風美(なんて、言えないし…)ハァ…

提督「?」

風美「…遠慮しますと言っても聞きませんよね」

提督「ふふ、お姉ちゃん命令だよ」

風美「…そうですね…では…」

~~~

提督「…ほんとにこんなのでいいの?」

風美「ええ、最近暇がなくて買えなかったので…」

提督「それにしても…漫画、好きだねえ…」

風美「まあ、趣味のひとつでもありますから…」

提督「へえ、他にも趣味があったの?」

風美「内緒ですけどね」

提督「そっか」

提督(……ところでさっきからこのジャンルのコーナーをうろうろしてるけど、姉妹百合?ってなんだろう…)

飛龍「わー…こんなのもあるんだ…」

蒼龍「ねー、美味しそう…」

金剛「今度テイトクに作ってもらうネー」

木曾「なんでグルメ本なんて読んでるんだ…見てなくていいのか?」

加賀「怪しい行動がないか見張っておいて」

木曾「はぁ…」

木曾(……それにしてもあの女…やたら距離が近いな…やっぱり隠れて付き合ってるとかなんじゃないのか…?)

木曾(…髪の長さは同じぐらいか…朝潮が大人になったらあんな感じになりそうだな…)

提督(…私も何か見てみようかな)ペラッ

提督「…………」

風美「…姉さん?」

提督「…………」

風美(あ、集中モードね…そっとしておいてあげましょう…)スタスタ

提督「…………」



風美(どうしようかしら…私も少しは料理を学んだ方が…いえ、でも…姉さんが作ってくれなくなるかもしれないし…)

木曾「すまない、ちょっといいか?」

風美「え?ああ、はい。どうしました?」

風美(眼帯…?女の子、よね…?)

木曾「その、参考書はどこに置いてあるか分かるか?」

風美「ええ、確か向こうの方に…よければ案内しましょうか?」

木曾「いや、そこまではいい。ありがとう、助かるよ」

風美「はい」

スタスタ…

風美(参考書ってことは学生かしら……最近はああいうファッションが流行っているの…?)



木曾(なんだ、悪いやつではないらしいな…とりあえずは確認したが、まだまだ観察の余地はあるな…)

提督「…………」

風美「姉さん」

提督「…………」

風美「…………」フーッ

提督「ひょわぁあ!?なっ、なに!?あっ、か、風美?ど、どうしたの?」

風美「もう目的のものは見つけましたので、お会計を済ませましょう」

提督「あ、う、うん」パタン

風美「…小説ですか?」

提督「うん、ちょっとね」

風美「相変わらず好きですね」

提督「あはは…まあ、昔から読んでるから…」

風美(…ひょわぁあ、って…姉さんったら本当にくすぐったがりなんだから…)

風美(あの反応も本当に可愛いわ………ふ、ふふふ…)

~~~

提督「さて…次はどこに行こうか?」

風美「そうですね…目的のものを買うのもいいですが、まだまだ時間はありますし…」

提督「じゃあ服でも見に行く?色々見繕ってあげる」

風美「…いえ、私はいいです。むしろ私が姉さんのを選びます」

提督「え、私は」

風美「いいですね」

提督「い、いや」

風美「いいですね?」ズイ

提督「は、はい…」

提督「……ふふ」

風美「? …どうしたんですか?」

提督「いや、こうしてるとなんだかデートみたいだなって」

風美「でっ……!!??」

提督「風美みたいな子だったら男の子も喜ぶだろうなー」

風美(い…言われてみれば…約束をして、待ち合わせして、二人で買い物をして街を歩いて…!こっ、ここ、こ、これはデート…!?!ね、ね、姉さんとデート……!!)プルプル

提督「あー…でも風美、初デートの時に相手の子が緊張しすぎて結局一言も話さずに帰ってきたんだっけ」

風美「ち、違います!あれはただ…私の目付きが悪かったせいでその、不機嫌だと思われたらしくて…そもそもあれはデートじゃなくて買い物に行こうって誘われただけですから!」アセアセ

提督「それをデートって言うんじゃないかな…」

風美「いいえ、気持ちの通じていない相手との買い物なんてデートとは認めません」プイ

提督(この子、昔からモテるのに無自覚だからなぁ…女の子にも告白されたらしいけど気付いてなかったみたいだし…)

提督(ほんと、無知は罪だなぁ…)

木曾「それにしてもあの二人、本当に仲が良さそうだな…」

蒼龍「ただの友達って線は?」

木曾「それもあるかもしれないが…どうだろうな」

飛龍「もし恋人だったらどうする?」

金剛「ゴーモンにかけるネー…」

木曾「そ、そこまでしなくても…」

金剛「Jokeデース」

飛龍(冗談には聞こえなかったんだけど…)

加賀「…それでも、あの子の幸せを奪うわけにはいかないわ。しっかりと肩を叩いてあの子を託すと言って…」

木曾「ああ、そうするべきだよな…」

加賀「油断させてから殴るわ」

木曾「殴るのかよ」

提督「むむ……」カチャ

風美「…………」

提督「…こっちもいい感じなんだけどなあ…」カチャ

風美「……あの、姉さん」

提督「んー…?何か欲しいの見つかった?」

風美「いえ、そうではなくて…そろそろ私が姉さんの服を選んであげようかと…」

提督「えぇ、私はいいよ」

風美「ダメです、そもそも元を辿れば私が姉さんのを見繕うという話でした」

提督「でも…」

風美「はぁ…本当に世話焼きというか、お節介というか…人に尽くさないと死んでしまう病気か何かなんですか」

提督「私だって誰にでもこんなことするわけじゃないよ?」

風美「っ゛ぁ……ふ、不意打ちでそんなことを言うのはやめてください///」

提督「う、うん…?」

風美「と、とにかく!せっかく元が良いんですから、もっとお洒落にも気を使うべきです!ほらっ、これなんてどうですか!」サッ

提督「…な、なかなか大胆なネグリジェだね…//」カァ

風美「わあああぁぁ!!?すす、すみません!!間違えました!!」ババッ

バタバタ

提督「あ、か、風美…」

「す、すぐに選んできます!!」

提督(……楽しそうでよかった…)クス

風美「と、とりあえずこういうのでどうでしょうか?」ゼェゼェ

提督「わあ、かわいい…けどこれ、私にはちょっと遅すぎるんじゃ…」

風美「大丈夫です、姉さんは年齢よりも若々しいというか十代と言っても絶対通用します。私が保証します」

提督「そ、そう?」

風美「ええ、とても二十後半とは思えnあがぎぎぎ」

提督「それは言わなくていいから、ね?」グニーッ

風美「ふぁ、ふぁい…」

提督「まあ、そこまで言うのなら…ちょっと着てみようかな」

風美「ええ、いいと思いますよ」

提督「それじゃ試着してくるから…帽子、預かっておいて」ポン

風美「あ、はい」

風美「……ふぅ」

風美(姉さんももう少し自分のことを気にかけてほしいものね…まあ、あの頃のことが原因でもあるんでしょうけど…)

風美(…私も何か見ておこうかしら)キョロキョロ

風美「………?」



木曾「……げっ」



風美(あの人…さっき書店にいた眼帯の…?)

風美(あ……逃げていった…)

風美(……偶然かしら…いえ、あの慌てよう……何か裏がある…?)

風美(…怪しいわ)

風美(まさか…ストーカー?私に……ではないはず、もしそうなら話しかけてくるはずもないし目の届く範囲にいない…)

風美(……だとしたら、姉さんを狙ってる……!?)

風美(これは由々しき事態ね…すぐにこの場を離れなければ…)グッ

風美(…待って、姉さんは今着替えてる途中…終わるまで待つ方が………ん?)

風美(姉さんが……着替えてる……)

シュルッ パサ…

風美「………!!??」

風美(き、衣擦れの音が、が……)ドキドキ

風美(つ……つつ、つまり、姉さんは今、下着一枚だけの姿…!!)ドキドキドキドキ

風美(そ、それって…か、か、完全に事後ッ…いや事前とも取れる…な、なんであれすごく…すごい…!!)ハァハァ

風美「ふ…フフフ、ウフフフ……」ハァハァ

店員(なんなのあの人…)

シャッ

提督「お待たせー……っうわ!?か、風美!?どうしたの、鼻血出てるよ!?」アセアセ

風美「あー……」ボタボタ

提督「と、とりあえず服に付く前に拭かないと…う、動かないでね」ゴソゴソ スッ

フキフキ

風美(ねえさんやさしい)

提督「だ、大丈夫なの?気分が悪くなったとか?ど、どこかで休む?おぶろうか?」

風美(こんな私を心配してくれるなんて…)

風美「天使か……」ポロポロ

提督「うええぇなんで泣き出すの!?なな、悩みでもあったの!?私がいるから、ね!?なんでも相談していいんだよ!」ワタワタ

店員(なんなのあの人達…)

風美「……って、こんなことをしてる場合じゃない…姉さん、似合っていますよ」

提督「えへへ、そう?」

風美「もう少し見ていたいですが…着替えてください、この店を出ましょう」

提督「え、もう出るの?」

風美「…はい、別の店のも見ておきたいので」

提督「ん……そっか。ちょっと待ってて」

風美「ええ」

シャッ

風美(……まだいるのかしら…とにかく姉さんのことは少しでも相手に知られないようにしないと…この帽子も…)

風美(……ん…?帽子……姉さんの……?)

風美「……………」

風美「…………………」

風美「……………」スンスン

艦これ改のムック表紙の女提督が長髪巨乳だから、風花さんもこれにメガネって感じなのだろうか?

>>785
そうですね、これをもう少し大人しめにして眼鏡と黒軍服を装備させれば風花さんになります
あと下をスカートじゃなくする感じで

提督「…風美?」

風美「っ!!?」ビクッ

提督「その帽子…もしかして変な匂いする?」

風美「い、いえ!全然そんなことは!」

提督「そう?ならいいけど…あ、もしかしてかぶってみたかったとか?いいよ、ほら」ポン

風美「ぴっ!?///」ドキッ

提督「…うん、似合ってる似合ってる。可愛いよ」ニコ

風美(まずいまずいまずいまずい姉さんかわいい天使か女神か大好き愛してる結婚してくださいというか頭に姉さんを感じるハアハアハアハアハア姉さん姉さん姉さん姉さん)ドキドキドキドキ

提督「さてと…それじゃ出ようか」

風美「」プシュ-…

提督「ほら、ぼーっとしてないで行くよー?」ギュ グイ

風美「尊い………」

提督「え?」

風美「いえ、行きましょうか」キリッ

提督「う、うん」

スタスタ…

風美「…………」チラ



木曾「…………」

金剛「…………」

加賀「…………」

飛龍「…………」

蒼龍「…………」



風美(……まだ付いてくる…しかも何人も…)

風美(まさか集団ストーカー…?……姉さんは私が守らないと…)グッ

提督「…風美?」

風美「……え?は、はい…どうかしましたか?」

提督「どうかしたのは風美だよ、さっきからずっと黙りこくって…そんなに深刻な悩みだったの?」

風美「え?あ、い、いえ」

提督「遠慮しちゃダメだよ、ちゃんと相談しなきゃ。誰かに打ち明けた方がいいこともあるんだよ?お姉ちゃんが力になるよ?ね?」キュ

風美「くぅ…!?ま…待ってください、私はそんな…」

ギュッ

風美「ぴっ!??」

提督「大丈夫だよ、私がいるから…怖いものなんて何もないからね…」ギュウ ナデナデ

風美(ふおああああああああああああああああああああああああああああああ姉さああああぁぁぁぁぁぁぁんんんんんおおおおおおおぐうあああああああ大好きぃいいいいいい!!!!!!)ビクンビクン



金剛「」

加賀「」

木曾「こんなことが…あってたまるか…」ズーン

風美「あっ…あひっ………ひっ……」ビクン ガクガク

提督「風美、大丈夫?」

風美「はっ……!い、いえ…ご心配なく…」

提督「そう…?ほんとに辛いならすぐに言うんだよ?私が力になるから」ナデナデ

風美(私は今天国にいるのかしら…姉さんの胸は天国だった…?)

風美(……とはいえ、職場でのこともあるし…ストレスがあるのも事実ね…)

風美(…でも、姉さんの胸……大きくて、柔らかくて…安心する…)

風美(………少しくらい触ってもバレないかしら)ゲヘヘ

フニ

提督「ふっ…?」

風美(ぐへへ…姉さんっぱい…)ムニムニ

提督「……風美?それ、楽しい?」

風美「はっ!?」ドキッ

風美(ば、バレた…!?そんなバカな、私の計画に狂いは…!いえ、落ち着くのよ…そう、なんとかこの場を切り抜けるには……!)

風美「………姉さん、よく聞いてください」キリッ

提督「う、うん?」

風美「女性の胸を揉むことによるリラクゼーション効果を知っていますか」

提督「え?そ、そんなのあるの?」

風美「はい、現に私は猛烈な勢いで癒されています。ストレスが消えていくのを実感できます」

提督「そ、そうなんだ…知らなかった…」

風美「…揉んでも?」

提督「う、うん、いいけど」

風美(ヒャアアアアアアア合意だあああァァァ!!!)モミモミモミモミ

提督(風美が嘘なんて吐くはずはないし…たぶん本当だよね…)





加賀「#^ω^)……」

金剛「#^ω^)……」

飛龍「や、やばいよ…額に青筋浮かんでるよ…」

蒼龍「本気で怒ってるかも…」

加賀「飛龍、飛行甲板は持ってきてないの?」

飛龍「あるわけないじゃないですか…さすがに洒落になりませんよ」

加賀「こっちはすでに洒落になってないのよ」ビキビキ

飛龍「ああはいはい、そうですね」

加賀「あなた最近私への対応が雑じゃない?」

飛龍「全然そんなことないですよ、はい」

加賀「…………」

金剛「アハハハー、テイトクダー」

蒼龍「やばい、現実に耐えられなくなって別の世界に旅立った…」

木曾「愛が重すぎるのも考えものだな…」

風美「ふぅ…………」

提督「落ち着いた?」

風美「はい、ありがとうございます」

提督「えーと…ほんと、悩み事なら相談していいんだよ?遠慮なんてしなくていいから」

風美「う…」

風美(そうだった…問題はこれだ…今さら悩みがないとは言えないし……何か、ごまかせるような…)

提督「……あ、もしかして好きな人でもできたとか!?」

風美「え?」

提督「風美くらいの年頃なら恋の一つや二つあるでしょ?恋愛経験がないから色々迷ってるとかじゃない?」

風美「あ、え、ええ…そんなところです…」

風美(間違ってはいないわね…間違っては…)

提督「ふふふ…ならば私が恋愛相談に乗ってあげましょうか」

風美「は、はあ……」

風美「…ところで姉さん、姉さん自身の恋愛経験は…」

提督「……おほん。で、どういう関係の人?」

風美「え!? い、いえ…割と親しい仲…だと思います」チラッ

提督「ふむふむ…」

提督(なら友達とかかな…?)

提督「一応聞くけど、もう告白はした?」

風美「……したつもりなんですが、上手く伝わっていないようで」

提督「はあ、それは難儀だねえ」

風美「えぇ……本当に。……はぁ……」

提督「?」

提督「うーん…その人は風美のことをどう見てるの?」

風美「どう、ですか……恐らくは…」

提督「うん」

風美「………恋愛対象としては見られていない、ですね」

提督「あー…なるほどねえ…」

風美「それこそ…そう、妹のように思われているとしか…」

提督「妹かぁ…なら長男だったりするのかな」

風美「いえ、長女です」

提督「長女……あ、女の子なの!?」

風美「はい」

提督「そ、そうなんだ……」

風美「…やっぱり気持ち悪い、ですか」

提督「え?いや、そんなことないよ。愛の形は人それぞれだと思うし」

風美「そうですか…」

提督「そっか、女の子か…むむむ」

風美「…………」

提督「ええと…その子はどんな人なの?」

風美「どんな、とは?」

提督「歳とか、見た目とか性格とか…」

風美「…歳上とだけ」

提督「ふんふん…じゃあ見た目は?」

風美「…肩甲骨のあたりまで伸ばした黒髪が鮮やかで」

提督「うん」

風美「普段は頼りないような表情なんですが、真面目な時はすごく凛々しい顔に変わって」

提督「うん」

風美「けど、笑うと可愛くて」

提督「うんうん」

風美「眼鏡が似合う、素敵で優しくて暖かい鈍感な人です」

提督「ふーむ……よかった、いい人そうじゃない!」パアア

風美「……そうですね……」

提督「…風美?どうしたの、急に頭抱えて」

風美「いえ…この恋が実ることはあるのかと…」

提督「ふふ、大丈夫だよ。きっと想いは伝わるから」ポンポン

風美「そうだと良いんですがね…」

提督「言っても伝わらないのなら、一切はぐらかさずにストレートに言ってみればいいんじゃない?鈍感な人ならその方がいいと思うよ」

風美「ストレート……ですか…」

提督「うん、恥ずかしいだろうけど…もしかしたらそれで見る目を変えてくれるかもしれないし!」

風美「………なるほど」

提督「どう?」

風美「…ありがとうございます、姉さん。おかげで勇気が湧いてきました」

提督「えへへ、役に立てたみたいでよかった」

風美(そうよ…勇気を出すのよ……でも今じゃない…もっと…そう、二人きりになってから……)

風美「さてと……それでは、そろそろ姉さんの買い物を済ませましょうか」

提督「あ、うん」

スタスタ

提督「…………」クス

提督(風美…ふっ切れたみたいで良かった…)

提督(恋、叶うといいな…)

提督(……でも、可愛い妹が他の誰かのところに行くなんて……ちょっぴり嫌、かも…なんて)

提督(…ううん、これはあの子のことなんだから。姉として応援してあげるべきだよね)

風美「……姉さん?」クル

提督「ん、ごめんごめん」

パタパタ…

~~~

提督「うーん…どんなのがいいかな…やっぱりクッキーとかチョコとかの方が…あまり高いものは買えないし…」

風美「ゆっくり決めていいですよ、待ってますから」

提督「うん…ねえ、風美はもらうとしたらどんなのがいい?」

風美「指輪…」

提督「え?」

風美「あ、いえ。気持ちのこもったものならなんでも嬉しいと思います」

提督「そっか……なら詰め合わせを何箱か買って行こうかな」

風美「自分では作らないんですか?」

提督「あー…うん、私お菓子作りはあんまり…」

風美「そうでしたね…でも、しっかりとお礼をすることに意味があると思いますよ」

提督「うん、そうだよね」

風美「さて、会計を済ませましょうか」

飛龍「……?何か買ったみたい」

蒼龍「ラッピングされてるってことは…プレゼントかなにか?」

金剛「あの女以外の誰に渡すつもりネー……」

木曾「まさか、何股もしてるのか……」

飛龍「そんなことあるわけ…」

加賀「鎮守府のみんなに好かれているあの子が?」

飛龍「…………」

加賀「他に女を作ってないと言い切れるの?」

飛龍「いや……うん…なんか、すごい説得力ですね…」

加賀「あ……あの子ならあり得るわ…きっとこの街だけじゃない……日本中にも…いや世界中にも!女を作っているのよ!!」クワッ

蒼龍「うわあ、心労に耐えかねて加賀さんが壊れた…」

ビシ

加賀「うっ」フラッ

ガシ

木曾「よっと…これでいいか?」

飛龍「ああうん…ありがとう」

バタン

提督「ふぅー……すっかり夜だねー」

風美「ええ…寒くないですか?」

提督「ふふ、そう言う風美は?」

風美「寒いと言ったら抱き締めてくれるようなロマンチストがいるといいんですがね…」

提督「それって誰のこと?」

風美「さあ…いつもは遠くにいるけど、実は案外近くにいるのかもしれません」

提督「??」

風美「ふふ、行きましょうか」

提督「う、うん?」

風美「これからどうします?目的のものも買いましたし…」

提督「うーん……ずっと歩いててちょっと疲れちゃったかも…」

風美「ん…確かに」

提督「どこかで休めるといいんだけど…」

風美「そうでs………ん?」

風美(こ…これは、お誘いなのでは……!!??)

風美(い、いや落ち着くのよ風美……さすがにそんなことは…いやでも、奥手な姉さんが直接言ってくるとは思えない…!!)

~~~

提督「どこかで休めるといいんだけど…なぁ…♪」チラッ

~~~

風美(おおああああああ!!?ビンゴじゃないのおおお!!)

風美(や……やるしかない…これはヤるしかないわ…!)

風美「……姉さん」キリッ

提督「え、な、なに?」ドキッ

提督(たまにすごくカッコよく見えるのはなんなんだろ…)

風美「いい場所を知っているんです。私が案内してあげましょう」ギュ クイ

提督「う、うん///」

提督(やだ、紳士的…)

木曾「あの二人、なんでこんな人気のないところに来たんだ…飯じゃないのか?」

飛龍「だと思うんだけど…」

蒼龍「あ、止まった」

加賀「……?何か渋っているみたいね」

飛龍「…!?? あ、あの建物って…!!」

木曾「どうかしたのか?」

蒼龍「へ?なになに?」

飛龍「い、いや……ちょっと…これは…」

木曾「?」

蒼龍「??」

加賀「???」

金剛「????」

飛龍「うっ…!」

飛龍(ま、まずい…これ、知ってるのは私だけのパターンだ…!でも止めないとあのまま入ってしまいそうだし…ああもう、どうしよう…!?)

スタスタ

提督「……なんだか薄暗いところだね…ちょっと不気味かも」

風美「えっええ…そそ、そうですね…」

提督「大丈夫だよ、何かあったら私が守ってあげるからね」ギュ

風美「………あ!ね、姉さん、あれです!あそこに入りましょう!」ビッ

提督「え?でもあれ、ホテルみたいだけど…夕飯にはちょっと高すぎるんじゃ…」

風美「だだ大丈夫です、わ、私がエスコート……いえ、リードしますから!任せてください!」

提督「う、うん…?そういうことなら任せるけど…」

風美(勝った!)

「待ったあああぁーーー!!!」

風美「!?」

提督「!?」

飛龍「だ、ダメ!提督!」ゼェゼェ

風美「なっ…!?あ、あなたは…ストーカーの…!」キッ

提督「あれ、飛龍?どうしたの、こんなところで」

風美「え…?し、知り合い……ってちょっと待ってください、飛龍って、名前…?」

飛龍「そう…だけど、とりあえず詳しい説明は省いて!提督、その建物に入っちゃダメ!そこラブホテルだよ!?」

風美「ちッ……!」

木曾(ラブホテルってなんだ…)

蒼龍(ラブホテルってなんだろう…)

金剛(Love hotelってなんデース…)

加賀(ラブホテルとは何かしら…)

提督(ラブホテルってなんだっけ…)

風美「……あら、そのような施設だったとは。知りませんでした」シレッ

飛龍(白々しいわ!)

蒼龍「ねえ飛龍、ラブホテルってなに?」

飛龍「え」

木曾「ああ、俺も気になる。説明してくれないか?」

飛龍「い、いや…あの…///」



提督「みんな揃ってるなんて…お出かけでもしてたの?」

加賀「ええ、そんなところよ。それよりそちらの方……名乗っていただこうかしら」

風美「はあ…姉さんの知り合いだったんですか。狭霧風美です、お見知りおきを」ペコリ

金剛「姉さん……え?サギリ?え?」

加賀「え…?もしかして、姉妹…?」

提督「え?うん、そうだけど」

加賀「…………」

金剛「…………」

加賀「はぁ…そういうことだったのね…」

金剛「全部早とちりネー…」

風美「……ああ、なるほど。そういうことですか」

提督「う、うん…?よく分からないけど、いいのかな?」

風美「そうそう、一応言っておきますが…私と姉さんが同じ名字なのは姉妹だからではありません、夫婦だからです」ドヤァ

提督「何を言ってるの?」

加賀「何を言ってるの?」

金剛「アーユークレイジー?」

提督「まあいいや、とりあえず…はい、これ。金剛も」スッ

加賀「……?これは…?」

提督「バレンタインのお返し。一日早いけどホワイトデーでしょ?」

金剛「Oh!?いいんデスカー!?」

提督「うん、飛龍と蒼龍と、あと木曾にも渡してあげて」

風美「…姉さん、この人達からもチョコをもらったんですか」

提督「え?そうだけど」

風美(…要注意ね…)

加賀「あ、その………なんて言えば、いいのか…」

提督「いいよいいよ、これでおあいこでしょ?それよりほら、みんなもお腹空いてるだろうしどこかに食べに行こうよ」

加賀「…ええ、そうね」クス

提督「飛龍たちも行くよー!」

飛龍「あ、うん!」

蒼龍「ねえ、結局ラブホテルってなんなの?ねえー!」

飛龍「帰ってからパソコンで調べればいいでしょ!知らないもん!」

木曾「どうしてそんなにシラを切るんだ!教えてくれてもいいだろう!」

加賀「…色々と迷惑を掛けたみたいで申し訳ないわね」

風美「いえ…私も早とちりが過ぎました。警戒するような真似をしてすみません」

加賀「それはそうと……ずいぶんあの子とのスキンシップが過剰なようね」

風美「はあ?姉妹なら別段おかしくはないはずですが?」

加賀「…………」ビキッ

風美「…………」ギロッ

提督「…?二人とも、どうしたの?具合でも悪い?」

加賀「え?い、いえ、気にしないで」

風美「だ、大丈夫です。はい」

飛龍(あの二人、尻に敷かれてるなあ…)

ホワイトデー(真夏)おわり
このあとなんだかんだで仲良くなったけど提督のこととなると話は別になるようです
イベントは甲甲丙丙で終わりました(クソザコ並感)

提督「……あれ、吹雪?今試製砲って誰が積んでたっけ?」

吹雪「35.6cm砲ですか?」

提督「そうそう」

吹雪「ええっと……確か長門さんだったと思います」

提督「そっか、ありがとう。ちょっと行ってくるね」ガタ

吹雪「あ、はい。書類まとめておきますね」

提督「うん、私が戻ってきたら間宮さんのところでお菓子でも食べよう?」

吹雪「本当ですか?お待ちしてますね!」

提督「じゃ、任せるね」

吹雪「はい!」

バタン

コンコン

提督「…………あれ?」

シーン…

提督「長門ー?いないのー?」コンコン ガチャ

提督「むむ…鍵もかかってるし、どこか行ってるのかな…」

大和「あら、提督?」

提督「ん?あ、大和。長門がどこに行ったか知らない?」

大和「長門さんならさっき、武蔵と一緒に出かけましたが…」

提督「陸奥も?」

大和「はい、何やら『会議がある』とかで……」

提督「会議?……まさか……」

大和「?」

その頃、鎮守府某所………



ガチャ

「うわ、暗っ…」

「来たな。座ってもらおう」

「座るってどこに…あ、これ?椅子ですか?」

「ああ」

「痛い!?ちょっと、今私の足踏んだの誰!?」

「わ、私じゃないですよ!?」

「というかなんで真っ暗なのよ!電気点けなさい電気!」

パチッ

長門「集まったようだな」

陸奥「集まったようだなじゃないでしょうが!!」スパァン

長門「痛い!?」

陸奥「なんでわざわざ部屋を真っ暗にするのよ!普通に危ないでしょ!」

長門「いや、そうした方が雰囲気がだな…」

陸奥「そのゲンドウポーズをやめなさい!!」メキメキ

長門「ぐわあああああ!!お、折れる!折れる!!」

武蔵「その辺でいいか、二人とも」

明石「で…これ、なんの集まりなんです?」

武蔵「ああ、何も知らせていなかったな。すまない」

長門「提督にしたいことやされたいこと…つまりあの子に関する趣味を語る場だな」

明石「はあ…つまり私は変態と認定されたんですか」

長門「そういうことになる」

明石「まあそれはいいですけど、その情報って誰が流したとかあるんですか?」

青葉「大体は青葉のリークですかねえ」

明石「じゃあとで工廠裏来てくださいね、青葉さん」

青葉「!?」

長門「じゃあ、まあ…とりあえずしたいことでも聞いておこうか」

明石「したいことですか……うーん、特にないんですよねえ…」

長門「なに?」

明石「あ、ごめんなさい、さすがに嘘です。というかなんでもできるから何かしたいって欲望が湧いてこないんですよ」

長門「なんでもできる、とは…?」

明石「そりゃあ、惚れ薬飲ませたりとか…」

武蔵「作れるのか!?」

明石「人間を幼児化させる薬が作れたんですから何ら不思議ではないですよ」

長門「そ、そうか…それはすごいな…」

明石「他にも洗脳や快楽堕ちさせる薬とかも…まあなんでもござれって感じです」

武蔵「そこまでできるのならなぜ実行に移さないんだ?」

明石「やったら艦隊指揮に影響が出るからに決まってるじゃないですか。戦争中なんですから常識で考えてください」

武蔵「」グサッ

長門「なら、逆にされたいことはあるのか?」

明石「んー、そうですねえ……どちらかというと私も受け気質なところもあるんで一発間違いを犯して欲しいんですけど…」

陸奥「そうね、自分から手出しさせるって駆逐艦でもない限り無理だものね」

明石「それなんですよね、薬盛って襲わせるのはできるんですけど…そんなの本物の愛とは言えませんし…」

武蔵「そ、そうだな…」

明石「……やっぱり、多くは求めませんよ。時々工廠に来て笑顔を見せてくれるだけで満足です」

長門「ここに来る者とは思えないほどピュアだな」

陸奥「ええ、綺麗すぎて泣けてくるわ」

明石「聞こえてますよ」

長門「す、すまん……ところでだな、明石…」

明石「なんですか?」

長門「……例の幼児化させる薬…あれはまた作れないのか?」

明石「へ?作れますけど…どうしてですか?」

長門「いやな、前に提督が小さくなったことがあっただろう?」

明石「ああ、ありましたね」

長門「その時8歳くらいになった提督を見て思ったんだ…あれは私に愛でられるための存在だと」

武蔵「は?」

陸奥「は?」

明石「は?」

長門「起伏のない身体!慎ましくそれでいて柔らかい肢体!浮いた肋!!猫のようにぱっちりと開かれた美しい目!細い腕!!語りたいことは山ほどあるがどれを取っても幼女にしかない可能性を彼女は秘めていた!!ああ、あれを抱き締めたい!愛でたい!舐め回したいいいいいぃぃぃ!!!!!!」ガタガタ

明石「憲兵さん呼んだ方がいいんじゃないですか?」

武蔵「お前の姉だろう、なんとかしろ」

陸奥「手遅れよ」

武蔵「…一理ある」

長門「…すまない、つい熱くなってしまった。だが、皆の賛同を得られたことは明白だと思う」

陸奥「…………」

武蔵「ついに頭がおかしくなったか」

明石「お薬出しておきますねー」

長門「…大井、どう思う?」

大井「確かにあれは素晴らしかったですね、背中に乗られた時は自分があの人の道具にされてるのを実感して嬉しさのあまり漏らすかと思いましたよ」モグモグ

武蔵(小型犬かこいつ…)

長門「なかなか話のわかるやつだな……ところでさっきから口に含んでいるそれはなんだ?」

大井「提督が使ってたハンカチです」モグモグ

一同「…………」

大井「あ、ブラもありますよ」モグモグ

一同「………………」

大井「どっちも未洗濯です」モグモグ

一同「」

大井「あっそうそう、この前提督が汗を拭いたタオルから塩を抽出してそれをご飯にかけて食べたんですよ。そうすると全身に提督が広がったみたいでまるで提督に染め上げられるような快感が………」ペラペラ

武蔵「いや、どう考えてもガブスレイだろう」

長門「だから!なんで素直にガンダムタイプが好きだと言えないんだ!?デスサイズもノワールもカッコいいだろう!?」

明石「どっちも厨二病ご用達じゃないですか」

長門「違う!厨二病はフリーダムやエンドレスワルツのゼロを好んでいる!そういうお前は何が好きなんだ!」

明石「私はZ系列の可変機とか好きですけどね、あとブルーディスティニー一号機とか」

長門「裏切り者がああぁぁ!!」

陸奥「相変わらず男の子っぽいのが好きね…」

あきつ丸「自分はヒルドルブが…」

長門「うるさい!戦車は呼んでいない!」

速吸「まあまあ…」

武蔵「そういうお前は?」

速吸「えーと…ダークハウンド…」

大井「え、無視…?」

陸奥「ガンダムなんてどれも同じでしょ、なんでもいいから早く次に進めてちょうだい」

武蔵「ザクを見てこれがガンダムかと聞いてきた鳳翔さんのようなことを言うな…」

長門「話が脱線したな…じゃあ陸軍、お前は何かしたいことはあるのか?」

あきつ丸「…自分にも言えることですが、黒い服には赤い縄が映えるであります」

武蔵「拘束か?」

あきつ丸「その通り。被虐趣味がある彼女を縛らない手立てはないであります」

長門「ほう、なかなかいい趣味をしてるな」

陸奥「ああ…あの時は悦んでたわね」

長門「え?」

あきつ丸「…ほう?経験がお有りで?」ジロ

陸奥「さあ?どうかしら」

あきつ丸「…………」ピキ…

陸奥「…………」フフン

長門(私を挟んで睨み合わないでくれ…)

速吸「ま、まあまあ!喧嘩は良くないですよ、ねっ!」

あきつ丸「部外者は黙っててもらいたいでありますな」

速吸「……提督のとっておきの話、あるんだけどなぁ…」

あきつ丸「…詳しく聞かせてもらいたい」

速吸(ほんと、提督のこととなると甘いなあこの人達…)

速吸「速吸個人の話になるんですけどね。提督さんってインドア派に見えて結構外で遊んでるじゃないですか」

明石「駆逐艦の子達と遊びたいだけだと思いますけどね」

長門「全くだ、ろりこんというものはけしからんな」

武蔵「…………」

速吸「で…補給艦である速吸にはマネージャー的な一面もあって、艦娘の皆さんへの補給だけではなく提督にもよく汗を拭くタオルやスポドリを渡したりもするんです」

武蔵「ほう、そうだったのか」

速吸「それでですね…普段はジャージに着替えてから来るんですが、急かされたのかたまに上着を脱いでシャツだけで来ることがあるんですよ」

長門「ふむ」

速吸「するとどうなるか…分かりますよね」

武蔵「……汗で透けるのか!?」

速吸「ええ……あれは目の保養になりますよ…」キラキラ

大井「そのまま下着を見るのとはまた違った情緒があるわよね…」

速吸「しかも髪もそのままで走りながらこちらに向かってくるので、揺れるんですよ…色々と」

陸奥「むう…これは知らなかったわ…」

速吸「駆逐艦の子達は気にしないし誰も言わないから本人も気付かないんでしょうね。汗ですら綺麗に見えるほど艶めかしく肌を光らせて笑いかけてくるんですよ…!」

速吸「その笑顔の眩しさと確かな色気を感じさせる二つのモノ!どちらも見えて一石二鳥と言いたいところなんですが、背徳感が……でもこれが気持ちいい…はぁ、提督さんの胸……」

長門「これが役得か…」

速吸「指摘したら真っ赤になるんでしょうね……でもそれっきりになってしまうのが怖くて言い出せない…」

大井「分かりますその気持ち…」

武蔵「お前は今まで数多くの変態発言を繰り返してきただろう…」

大井「失礼な!提督の前で言ったことはありません!」

速吸「……はぁ…提督さん……絶対押しに弱いよね…いっそのこと壁に追い詰めて、逃がさないように手を付いて、唇から直接補給……ふふ…ふふふ…」ブツブツ

陸奥「あら、ずいぶん具体的ね?」

速吸「汗だく提督さん…首元に顔を押し付けていっぱいいっぱい提督さんの匂いを吸い込んで…湿った身体を速吸が拭いてあげますね……ふふっ、逃げちゃダメです…ちゃんと、身体の隅々まで……」ブツブツ

陸奥「………手強いわ」

長門「私に言うな」

武蔵「妄想モードに入ったからしばらくそっとしておこう。それより……さっきからずっと黙っているが、貴様はどうなんだ?グラーフ」

グラーフ「……む、すまない。ここは語りの場だったな…」

青葉「別に聴き専でもいいと思いますけどね、青葉もそうですし」

グラーフ「しかし…そうだな、せっかく来たからには何か話しておきたい」

明石「無理はしなくていいと思いますよ、青葉さんにメモ取られますし」

青葉「と、取ってませんよ!」

グラーフ「…Admiralは日々艦隊のために尽力して支えてくれている。ましてや百を超える数を一人でだ」

長門「急に真面目な話になったな」

グラーフ「そんな彼女に無理を言うなど、私にはできない。不器用な私だが…少しでも労ってやりたいんだ」

武蔵(なんだこの優等生…)

長門「まあ…彼女を大切に想う気持ちは分かるな。誰一人欠けることなく、これだけ平和に不自由なく暮らせるのは提督のおかげでもある」

武蔵「それは確かに…あれだけ他の者に尽くせる人間がどれほどいることか…」

明石「…なんか、すごいしんみりした空気になりましたね」

長門「思えば…私達はされるばかりで彼女に何もしてやれなかったのかもな…」

陸奥「……少しくらいは提督に楽させてあげられないかしら」

グラーフ「…………」

グラーフ(…私もそう思っているさ…)

グラーフ(それはそれとして…こうでも言っておけば私の嗜好はバレないだろう)

グラーフ(偶然だったが、話し掛けようと彼女の背中を叩いた時…服の上から下着が外れてしまったことがあった)

グラーフ(その時の慌てぶりと表情…見られて困る箇所などどこにもないのに胸を押さえて座り込むAdmiralの様子は、もう……)モンモン

グラーフ「ああ……」

長門「まあそれはそれ、これはこれ、だな。ここはそんな場ではない、話を続けよう」キリッ

グラーフ(そして私は会得した…服の上から下着を外す技術を…)

グラーフ(無敵だ…私は無敵だ……偶然を装って彼女の恥じらう表情を愉しむことができる…)

グラーフ(これは私にだけできること……)

グラーフ「…………」ニヤ

青葉「おや?どうして笑っているんですか?」

グラーフ「いや、いんたーねっとというもので見た猫の画像を思い出してな」

青葉「へえ、そうなんですか」

青葉(意外と可愛らしいところもあるんですねえ…)

グラーフ「アオバ、猫の写真は撮っていないのか?」

青葉「へ?ええと、あることにはありますけど…手帳、見ます?」

グラーフ「どれ……む、この黒猫は…鎮守府に住み着いてる子か」

青葉「えへへ、可愛いですよね。こっちはですね……」

長門「あの二人、なんだか和やかな雰囲気になってるな…」

長門「じゃあ次、誰か」

瑞鶴「はいはいはい!!」バッ

長門「お前か…」

瑞鶴「何その反応…まあいいけど」

武蔵「で?相棒にしたいことはなんなんだ?」

瑞鶴「あ、私はされたい側」

武蔵「ほう」

瑞鶴「もうね…なんていうか、とにかくめちゃくちゃにされたいわ」

長門「ああ、そういう…」

瑞鶴「泣いて許しを請うてもひたすら甚振られたり失神するまでイかされたりとか…あんなに可愛い顔して責めてくるとか興奮するわ…///」ハァハァ

武蔵「色んな意味で危ないな…」

瑞鶴「首絞めとか良さそうじゃない?」

長門「私に振るな」

武蔵「…しかし、相棒が襲う側か…」

陸奥「想像もできないわね…」

明石「まあ、提督の性格からしてどう考えても…」

一同「「「「ネコ」」」」

長門「だな」

明石「ですよね」

武蔵「ここまで一致するとはな」

瑞鶴「それなのよね…土下座して頼んでも良心の呵責とかで本気になってくれそうもないし…」

伊良湖「あ、あの」

速吸「というかあれなんですね、提督さんに抱かれたいって人もいるものなんですね」

瑞鶴「え?結構多いわよ?」

長門「そうなのか?」

瑞鶴「ええ、提督って可愛いイメージが強いけど割と美形じゃない」

陸奥「…言われてみればそうね」

瑞鶴「実際、男装させた時は黄色い声が上がるほどハンサムだったわ。写真あるわよね?」

青葉「ええ、こちらです」ピラッ

武蔵「……ふむ。これは確かに」

陸奥「何かに目覚めそうになるくらい決まってるわね…」

大井(………あ。やばい、濡れてきた)

明石「こうまでとは言わないですけど、優しい顔をして抱いてくれるのはいいかもしれませんね」

瑞鶴「でしょ?だから私は抱かれたい派」

武蔵「しかし彼女が責める側となると、問題はあるな」

長門「問題?」

瑞鶴「ええ…大きく分けるなら二つ。ヘタレ攻めにならないか、それと責めるのが下手かどうか」

陸奥「なるほど…確かにあの子の場合、仮にやる気になってもいちいち『だ、大丈夫?』とか聞いてきそうだものね」

武蔵「そしてそれがなかったとしても、上手じゃないとイマイチ燃え切れないかもしれない」

瑞鶴「そういうことね…やっぱり不安だわ…」

伊良湖「あの…」

明石「せんせー、伊良湖さんが何か言いたいみたいでーす」

長門「誰が先生だ!……まあいい、言ってみろ」

伊良湖「は、はい」

伊良湖「その…提督さん、お酒を飲ませれば襲ってくれます、よ…?///」

武蔵「酔わせるということか?」

瑞鶴「それは本当なの!?」

伊良湖「は、はい…」

明石「確証は?」

伊良湖「い、伊良湖が保証します…」

長門「……ん?」

陸奥「ちょっと待って、どういうこと?」

伊良湖「…………//////」カアアッ

一同「「「「………えっ」」」」

瑞鶴「え?なに?襲われたことあるの?」

大井「どうやったんですか!?まさか…誘い受け!?卑怯な!!」キ-ッ

伊良湖「ち、違うんです!普段酔わない提督さんが洋酒を飲むと酔うって聞いて、興味本位で…お仕事が終わったあと、お招きしたんです」

武蔵「ふむ…」

伊良湖「最初は遠慮していたんですけど、勧めていくと『じゃあちょっとだけ…』と言って飲み始めて…ワインを二杯目くらいでもうできあがっちゃって、カウンターに突っ伏したまま動かなくなっちゃったんです」

伊良湖「で…心配して隣に座ったら急に腰に手を回してきて、甘えた声で何回も『伊良湖ちゃーん…♪』って呼んでくるものでしたから…ちょっと、ドキドキしちゃって…」

明石(羨ましい…)

伊良湖「でも、酔っ払ってるから冗談だと思って…適当に流そうとしてたのにあの人ったら……真面目な顔して『本気だよ?』って……///」テレテレ

陸奥(あの人て)

伊良湖「お酒も入ってたので…そこまで言われて、断れないじゃないですか…で、ホントにホントなのか確かめたくて、キスしてくださいって……言っちゃったんです…///」モジモジ

伊良湖「そしたら…ぎゅって抱き寄せられて…ほんと、少女漫画みたいに顎を持ち上げられてキス、されちゃいました……///」

陸奥「……なんていうか、アレね…」

長門「ああ…人の惚気話は面白くないな…」

明石「まあまあ、まだ話の途中ですし」

伊良湖「初めて、だったんですよ……でも、提督さんでよかった…それはそうと、いつもみたいな可愛い表情じゃなくて、なんていうか……そう、とっても凛々しい顔をしてて、言いにくいんですけど…その、ぬ、濡れてきちゃって…///」ポッ

伊良湖「何も言わずにいたら察してくれたのか、『座敷の方行こっか』って、お姫様抱っこで連れて行ってくれて…乙女心がキュンキュンしちゃいました…」

伊良湖「それからは提督さんにいっぱい、いっぱい愛してもらって……初めてだったのに終始リードしてくれて、なでなでやキスもたくさんしてくれたので…はい…し、幸せ…でした…///」

瑞鶴「………酔わせればいいのね…よし……よし………」

青葉「…あ」

長門「どうした?」

青葉「い、いえ。なんでも」

青葉(あー…司令官が『なんだか伊良湖ちゃんがよそよそしいんだけど…』ってお悩み相談を持ちかけてきたのってこのことだったんだ…)

青葉(……司令官、覚えてないんだろうなぁ…)

瑞鶴「で…上手だったの?」

伊良湖「はい…全身がその、性感帯になったみたいで…どこを触られても暖かくて、キスマークもいっぱい付けてもらって…翌日隠せないところにもあったんですけど、う、嬉しかった……です///」

瑞鶴「……頼めば首とか絞めてくれるかしら…」

伊良湖「ええと…抱き締めてほしいって言ったらぎゅーってしてくれたのでたぶんしてくれると思いますよ」

瑞鶴「よし……」グッ

武蔵「で…伊良湖、貴様の要望はあるのか?」

伊良湖「え?ええ、い、一応…」

長門「言ってみろ」

伊良湖「…わ、笑わないでくださいね?」

武蔵「なに、ここにいる時点で似た者同士だ」

明石(一緒にしないでいただきたい)

大井(一緒にしないでもらいたいわ)

伊良湖「そ、その……はしたないかもしれないですけど……あの、む、胸…とか、に、クリームを塗って…食べて、もらいたいです…///」ポッ

長門「お前も割と受け気質だな…」

伊良湖「め、目覚めちゃったんです」

青葉「はぁ…司令官がエッチな自撮りとか送ってきてくれませんかねぇ…」

陸奥「ウブなあの子が?」

青葉「…まあ、そんなのあるわけないでしょうけど…」

速吸「そもそも提督さんってガラケーでしたよね?」

青葉「それなんですよねぇ、青葉でもスマホ買ってるんだから司令官もそろそろ買い換えればいいのに」

武蔵「まあやつは機械オンチだからな」

長門「…買い換えた暁には色々とレクチャーしてやらねばならんな」

明石「はあ…なんか、冷めてきちゃいましたね」

長門「だな。今回はこのあたりでお開きとしようか」ガタ

明石「あー、次は呼ばなくていいですからね」ガタ

武蔵「まあまあ…面白い話も聞けるかもしれんぞ」スタスタ

ガチャ

提督「」ニコニコ

一同「「「「」」」」

長門「やっ、や、やあ…こここんなところできき、奇遇だな…」

提督「ふふっ、みんなこんなところに集まって何の話かな?」

長門「え!?い、いや…なあ?ハハハ…」

陸奥「さあ、なんのこと?私は偶然居合わせただけだから知らないわ」シレッ

長門「おい!?」

提督「ねえ?こんなところで、コソコソと、何の話?」

武蔵『ど、どうする…!?まずいぞ…!』

長門『こ、こうなったら力ずくで連れ込むしか…!』グッ サッ

パシッ

長門「!?」

武蔵「!?」

提督「ねえ…この連合は解体って言ったよね?次やったらお仕置きだって、何回も言ったよね?」

長門「…………」サ-ッ

提督「加賀にばかり任せてると申し訳ないからね……ふっふふ、久々に腕が鳴るなぁ…」ゴキキ パキッ

陸奥「さてと、私はお茶でも飲んで来ようかしら」

明石「あ、私も」

速吸「お、お先に失礼します…」

グラーフ「私は呼ばれただけなのでな。何の責任もないだろう」

スタスタ

長門「お、おい!?」

提督「さて……」

長門武蔵「」ビクッ

大井「」ドキドキ

瑞鶴「」ドキドキ

提督「お仕置き……しよっか♪」

「や、やめっ」



「「「「アッーーーーーーーー!!!!!」」」」

久々の会合おわり
青葉とあきつ丸はお仕置き回避のために秘密通路から逃げ出してたそうな
その後石を抱えさせられた四人が見られたそうな

ヲ級「…………」スタスタ

ヲ級(…テイトクガ仕事ヲシテル部屋…)

ガチャ…

ヲ級「テイト……」



アイオワ「Wow!ユーがこの艦隊のAdmiralなの?prettyね!」

提督「うん、女の提督は珍しいと思うけど…これからよろしくね」スッ

アイオワ「ヨロシク!」ガバッ ムギュ-

提督「ふぎゃ!?」

金剛「ノォーーーー!!??」

提督「お、落ち着いて金剛…これはきっとアメリカの文化だよ//」

アイオワ「That's right!向こうではこれがusuallyよ?」

金剛「嘘デース!Americaでも仲の良い間柄でしかしないはずネー!!」

提督「あれ、そ、そうなの?」

アイオワ「さあ?何のこと?」ギュムム

提督「むぐぅっ…」

提督(む、胸が…)

金剛「キィーーーッ!!!」プンスカ


ヲ級「…………」

バタン

提督「あ、あれ…?今誰か部屋に…」

アイオワ「せっかくなんだからお近付きの印にkissもしましょう♪」ン-

金剛「挨拶でそこまでしねえだろ!!」

提督「こ、金剛…言葉遣いが…」

金剛「Oh、sorry」シレッ

提督「…………」

アイオワ「フフフ、admiralったら本当にカワイイわ…これがヤマトナデシコって言うのかしら」

提督「へ?」

アイオワ「……I love at first sight///」ポッ

金剛「」ブチッ

提督「え?な、なに?どういうこと?」

金剛「てめえちょっとツラ貸すデース」ビキビキ

アイオワ「あら、乱暴なescortは嫌われるわよ?」フフン

金剛「(#^ω^)」

提督(け、険悪な雰囲気…)

指摘ありがとうございます
クソザコ脳みそおじさんなので翻訳に頼りますえ…(京美人)

ギャーギャー

バタン

提督「ふぅ…なんとか抜け出せた…」

春風「あら、司令官様…ごきげんよう」ペコリ

提督「あ、春風。もうここには慣れた?」

春風「ええ、とても良いところです。艦隊の雰囲気も和やかで設備も整っていて…何より、指揮官である司令官様がとても…」ニコ

提督「あはは、それは良かった。…ところでさっきこの辺を誰かが通らなかった?」

春風「この辺り、ですか?確か……深海の空母級とすれ違いましたが…」

提督「あ、それ!ヲ級ちゃん、どこに行った?」

春風「堤防の方に…それより、なぜ深海棲艦が鎮守府に?」

提督「あー…それはまたあとで説明させてもらうね」

春風「は、はあ…」

提督「教えてくれてありがとね、それじゃ!」ダッ

春風「あ、司令官様」

提督「ん、なに?」キキッ

春風「…見かけによらず、いけずですのね…」クス

提督「へ??」

ー海底洞窟ー



ヲ級「…………」

ザッ

ヲ級「!」ピク

港湾水鬼「ヤハリココカ…」

ヲ級「……ドウシテコノ場所ヲ…」

港湾水鬼「イツモ何処カニ行ッテイルノニ姿ガ見当タラナイカラナ…悪イガ、少シ調ベサセテモラッタ」

ヲ級「………ソウカ」

港湾水鬼「他言ハシナイ」

ヲ級「イヤ…気ニシナクテモイイ」

港湾水鬼「ソウカ…デ、ココデ何ヲシテイタンダ?何カアルワケデモナサソウダガ…」

ヲ級「……少シ…考エ事ヲシテイタ…」

港湾水鬼「考エ事…」

港湾水鬼「……アノ人間ノコトカ?」

ヲ級「………!」

港湾水鬼「フッ…分カリヤスイヤツダ」

ヲ級「…最近、ズットダ…気付ケバテイトクノコトヲ考エテル…」

港湾水鬼「ホウ…ソレデ?」

ヲ級「……苦シインダ」

港湾水鬼「何?」

ヲ級「アノ人ヲ想ッテイルト、胸ガ締メ付ケラレルヨウニ痛クナル…今マデ、コンナコトハナカッタノニ…」

港湾水鬼「……オ前、変ワッタナ…」

ヲ級「エ?」

港湾水鬼「…人間ラシクナッタ」

ヲ級「………深海棲艦デアル私ガ、カ?」

港湾水鬼「私達ガ人間ヲベースニ生マレテイルノヲ考エレバ不思議デハナイダロウ?」

ヲ級「…ジャア、オ前ガ人間ラシクナッタノモテイトクノコトヲ考エテタカラ…」

港湾水鬼「…ワ、私ハ違ウ」

ヲ級「…………」

港湾水鬼「ナンダソノ目ハ!」

ヲ級「……アノ人ト出逢ッテカラ、ボンヤリト浮カンデイタ記憶ガアッタンダ…」

港湾水鬼「記憶?」

ヲ級「アア…最近マデ無意識ニ思イ出スコトはアッタんだガ…ヤット、全部思い出したの…」スゥ…

港湾水鬼「……?」

ヲ級「元々、私達はひとツだった…ソレがあの日の夜、離れ離れになって…私が生まれた…」

港湾水鬼「…ソコマデ覚エテイルトハ、珍シイナ…」

ヲ級「…ううん。みんな思い出せないだけで、きっと頭のどこかに記憶は眠ってるの。きっかけがあれば思い出せるけど」

港湾水鬼「ソウ…ナノカ」

ヲ級「器は違うけど同じ心のまま、ずっと向き合えると思ってた……けど、私の中にもうひとつ…心ができたのに気付いてしまったの」

港湾水鬼「………」

ヲ級「私は…あの人のことが…提督のことが、好き。それが私の、心」

港湾水鬼「……………」

ポーラ「うぇえひっひっひ…てぇとくも飲みましょうよぉ…」グイグイ

提督「えーと…夜なら付き合ってあげるから…とりあえず今は急いでるの」

ザラ「ほらポーラ、そういうことだから。離してあげなさい」

ポーラ「う~…?ん~……なら仕方ないですねぇ…」パッ

提督「あ、ありが…」

ポーラ「おぉ…?」フラフラ

提督「!」

ガシッ

提督「ふー…あ、危ない危ない…大丈夫?」

ポーラ「……あ、はい。ありがとうございます…」

ザラ「…………」

ポーラ「ん…?おぉ…おお~…やわらか枕…」フニュフニュ

ザラ「ポーラ!!」

提督「あははは…」

~~~

港湾水鬼「……ナルホド。アノ時ノ…」

ヲ級「私ガ生マレタノモ、心ヲ知ルコトガデキタノモ…アノ人ノオカゲ」

港湾水鬼「………」

ヲ級「ダカラ、セメテモノ恩返シ…私ハ、戦イヲ終ワラセタイ」

港湾水鬼「……ソウカ。ソレガオ前ノ望ミカ」

ヲ級「アア…」

港湾水鬼「…ナラ、私モ協力シヨウ」

ヲ級「本当カ?」

港湾水鬼「勘違イスルナヨ、コレ以上同胞ガ傷付クノヲ見タクナイダケダ」

ヲ級「…素直ジャナイナ、オ前」

港湾水鬼「ウ、ウルサイ!」

ガコン

駆逐棲姫「着イタ…」

提督「よいしょっと…ありがとね、助かったよ」

駆逐棲姫「ウウン、私モ……ア、アナタニ会イタイト思ッテタカラ…」

提督「そう?じゃあ、とりあえず奥に行こうか」

駆逐棲姫「ア…マ、待ッテ…」ゴソゴソ

提督「うん?」

ガシャン

駆逐棲姫「コレ……艤装ヲ組ミ立テテ、義足ニシテミタノ…ド、ドウ…?」

提督「おぉ…お洒落なブーツみたいだね!可愛いよ」

駆逐棲姫「ッ………///」ポッ ドキドキ

駆逐棲姫「コ、コレ…ソノ……ア、アナタト一緒ニ歩キタクテ…作ッタノ…//」チラ

提督「私と?そっか…」

ポン

駆逐棲姫「!」

提督「よく頑張ったね、私も嬉しいよ。ふふ」ナデナデ

駆逐棲姫「ア……ァ……//////」カアァッ

提督「さてと、それじゃ行こうか」

駆逐棲姫「ウン……」ザッ

グラッ

駆逐棲姫「ッ!?」

提督「うわっ、と!」ガシッ

駆逐棲姫「ア………」

提督「ふぅ…大丈夫?」

駆逐棲姫「ウ、ウン…アリガトウ……///」

提督(…さっきもこんなことしたような…)

駆逐棲姫(顔…近イ……)///

ギュ

駆逐棲姫「!」

提督「まだ慣れてなかったんだね…ゆっくりでいいから、手繋いで歩こう?」

駆逐棲姫「……ウン///」ポッ

提督「ふー…お邪魔しまーす」

港湾棲姫「ン…オオ、来テイタノカ」

提督「うん、ヲ級ちゃんが戻って来てるかなと思って。あと少し話したいことがあるの」

港湾棲姫「アノ子ナラ今他ノ者ト話シテイル。ソレニ、私カラモ話シテオキタイコトガアルカラナ。好都合ダ」

提督「そうなの?」

港湾棲姫「アア。掛ケテクレ」

ストン

駆逐棲姫「……アノ異端ノ子ニ会イニ来タノ?」

提督「んー、一応ね」

駆逐棲姫「……ソウ…」プイッ

提督「あ、あれ…?」

港湾棲姫「フフフ…オ前モ罪ナ奴ダナ…」

提督「それ、色んな人に言われるよ…」

港湾棲姫(…ナノニナゼ治ラナインダ…)

提督「それで…話って?」

港湾棲姫「アア……オ前ニトッテハ聞キタクナイカモシレナイガ…ドウスル?」

提督「…聞く」

港湾棲姫「ソウ言ッテクレルト、信ジテイタ…」

駆逐棲姫「…………」

港湾棲姫「…オ前ガ初メテココニ来タ時…歓迎コソシテイタガ、私達ハ、オ前ヲ殺ソウトシテイタ」

提督「!」

港湾棲姫「敵ノ指揮官ガワザワザココマデ乗リ込ンデクルナンテ、願ッテモナイ好機ダ。私ハ…ソノ場デ何モ言エナカッタガ…」

提督「…………」

港湾棲姫「戦イガナクナレバ、モウ同胞タチモ傷付カズニ済ム。ダガ、モシ交渉ガ決裂スレバオ前ノ仲間タチガ同胞ヲマタ攻撃スル。水鬼ガオ前ヲ殺スト話シタ時、私ハ迷ッテイタ…」

港湾棲姫「ケド…オ前ガアイツヲ説得スルノヲ見テ、皆ノ疑問ガ確信ニ変ワッタンダ。オ前ナラ戦争ヲ終ワラセラレル、ト」

提督「そう……だったんだ」

港湾棲姫「急ニ済マナイ…コンナ話ヲ……デモ、オ前トノ間ニモウ嘘ハ吐キタクナイ。ソウ思ッタンダ」

提督「そっか…私を信じるために話してくれたんだ」

港湾棲姫「アア…幻滅シタカ?」

提督「ううん、私もずっといつか殺されるんじゃないかって思ってたけど…心から信頼できるよ」ニコ

港湾棲姫「ソウカ…フフ」

レ級「キェー!!」ガバッ

提督「わはぁっ!?」

港湾棲姫「フフ、遊ビ相手ガ来テ喜ンデルゾ」

提督「こんのぉ…やったな~!」ガシッ コチョコチョ

レ級「ヒャッ!?キャハハハハ!!」ケラケラ バタバタ

提督「私に勝てると思ったかー!わはは!」ギュムム グリグリ

レ級「参ッタ!参リマシター!」バタバタ

提督「ふー…聞き分けのいい子は好kうぎゃ!?」

レ級「ナーンチャッテ!アハハ!」

提督「こ、こら!尻尾はずるいでしょ尻尾は!正々堂々戦いなさい!」プンスカ

駆逐棲姫「モウ!テイトクハ私トユックリスルノ!早ク下ロシテアゲナサイ!」

港湾棲姫「賑ヤカダナ…」

ヲ級「ン……テイトク…?」

提督「あ、ヲ級ちゃん!と水鬼ちゃんも!」

港湾水鬼「チャン付ケハヤメロト…」

ヲ級「…迎エニ来テクレタノ?」

提督「うん、何も言わずに戻ったから心配しちゃって」

ヲ級「ソウカ…済マナイ」

提督「ううん、気にしないで」

港湾棲姫「ソウイエバ…オ前ガ話シタイト言ッテタノハナンナンダ?」

提督「ああ、うん…ええっと、意識を切った子達を殲滅するの…ほんとにいいの?」

港湾棲姫「…アア、構ワナイ。ソノ方ガ上ノ人間タチノ目眩シニモナルダロウカラナ」

提督「そう…だよね」

港湾棲姫「ソレニ…アイツラモ平和ヲ願ッテイルハズダ。人間ガ生キテイル限リ私達ハ何度デモ生マレ変ワレル…ドウカアイツラヲ、楽ニシテヤッテクレ」

提督「……うん。覚悟、決めたよ」スッ

港湾棲姫「…ソレデコソ、ダ」コツン

提督「さてと…それじゃあ、そろそろ私は戻ろうかな」

ヲ級「ン…私モ戻ル」

提督「あ、じゃあ戻ったらご飯でも食べようか」

ヲ級「! テイトクノオムライス、食ベタイ…!」キラキラ

提督「あはは、たくさん作ってあげるからね」

港湾棲姫「マタナ…イツデモ待ッテルゾ」

提督「うん、色々ありがとね」

駆逐棲姫「マタ、歩ケルヨウニナッタラソッチニ行ッテモイイ…?」

提督「もちろん!待ってるよ」ポンポン

駆逐棲姫「…エヘヘ///」

北方棲姫「…………」ソッ フリフリ

提督「ふふ、またね」フリフリ

ヲ級「テイトク、準備ガデキタ」

提督「はーい」

パタパタ…

港湾棲姫「……戻ル、カ…マルデ、自分ノ家ミタイダナ…」

数日後………




提督「ふー…これで今日の分は終わり、と…」

コンコン

「提督、少しよろしいでしょうか?」

提督「大淀?うん、大丈夫だよ」

ガチャ

大淀「提督、こちらの書類を」スタスタ

提督「え、追加でお仕事?」

大淀「いえ…機密とのことなので内容は不明ですが…目を通しておいてください」

提督「機密…?まあ、とりあえずありがとう。今日はもう休んでいいよ」

大淀「はい、お疲れ様です」ペコリ

提督「うん、おやすみ」

バタン

提督「………機密、ね…」ピリッ

スッ

提督「どれどれ…」

提督「…………」

提督「……………!!」



提督「……まずい…思ったよりも、時間が……」

提督「…………」

つづく(W並感)
たぶん次スレで最終章になると思います」

提督「うーん……」

大井(ええと、資材関係の書類は……これだったかしら)

ゴソゴソ

大井「提督、ありました」サッ

提督「ん、ああ…ありがとう」

大井「…あの、どうかしました?」

提督「え?」

大井「さっきからずっと上の空といった感じですが…何か?」

提督「私としては大井の方がいつもと違って違和感がすごいんだけどね…」

大井「なっ、わ、私だって仕事くらいちゃんとします!」

提督「あはは…そ、そうだよね…」

大井「それで、そわそわしているのは…?」

提督「あー…そんなに気にするほどでもないよ」

大井「そ、そうですか…でも、私が気になるんですが…」

提督「ん?とは言っても面白いものでもないよ」

大井「はあ」

提督「いやー、実は今日履いてなくてさ」

大井「はあ」








大井「!!!?!???!!!?!?!!!!!!????」

提督「やー…やっぱり違和感があって落ち着かなくて…」

大井「え、あ、あっ、ああ、そ、そそ、そう、ですね…」

大井(は、ははは履いてない!?つ、つつつまり提督は今のっ、のっ、ノーパン……!!?)

大井「……………」チラッ

提督「?」

大井「」ブバッ

大井(ま、まずいわ……想像しただけでインパクトが強すぎる…あんなにガードが硬そうな提督が……///)ダラダラ

提督(連日の雨のせいで靴下が乾いてなくて……とうとう替えがなくなって代わりにストッキングを履いてるけど、普段履いてない分違和感がすごい…)サスサス

大井「あ、あの、だ、大丈夫なんですか?」ポタポタ

提督「そっちが大丈夫なの!?鼻血出てるよ!?」

大井「え?ああ、いつものことなので気にしないでください、うふふ」フキフキ

提督「えぇ…」

提督「それにしても、なんだか懐かしいなあ」

大井「へ?懐かしい、とは…?」

提督「いや、高校生の頃の冬場はよくしてたなーって」

大井「」ブシュッ

提督「うわ!?だだ大丈夫!?」

大井「お気になさらず」フキフキ

提督「気にするなって方が無理だと思うけど…」

大井「そ、それより…高校生の頃はよくしてたって、ほ、本当ですか?」

提督「え?うん、私以外の子もほとんど」

大井(変態しかいない…!??)

大井「そ、そうなんですか…なんていうか、昔はずいぶん大胆だったんですね…」

提督「…むしろ隠してると思うけど」

大井「確かに隠れてますけど…」

大井(見えるかもしれないというスリルで興奮するのかしら…若い頃の提督って…)

最近ほとんど更新できてなくて申し訳ないです
でもあのペルソナとかいうゲームが面白いのが悪いんです(ゲス)

大井「昔はおおっぴらな時代だったんですね…」

提督「そう?今の方がやってる子は多いと思うけどね。ほら、叢雲とかもそうじゃない」

大井「そうなんですか!??」

提督「え、う、うん。見たら分かると思うけど…」

大井「提督はエスパーか何かですか…」

提督「へ??」

大井「??」

提督「…ええと、一応言っておくけどあれは古鷹や伊勢みたいなインナーじゃないよ?」

大井「………?」

提督「………?」

提督「なんて言えばいいんだろ……大井は普段そういうの履いたりしないから分からないだろうけど、ストッキングと全身インナーは別物だよ」

大井「……はあ」

大井(どうして急にストッキングが出てきたのかしら)

提督「あ…もしかして大井もこの時期、寒かったりする?私のでよければストッキング貸そうか?」

大井「…て、提督のですか?」

提督「新品はないんだけど…あ、インナーなら新しいのはあるよ」

大井「ストッキングでお願いします!!」クワッ

提督「う、うん…ずいぶん元気だね…」

大井「……ん?」ピタ

提督「?」

大井「………提督、今……パンツ履いてます?」

提督「え…い、いきなり何さ、セクハラおじさんみたいな…」

大井「いいから答えてください、できれば色も」

提督「いや、履いてるけど…なんで?」

大井「…靴下は?」

提督「へ?履いてないけど…代わりにストッキングなら」

大井「ああぁーーーーやっぱり!!!」

提督「」ビクッ

大井「ああああぁぁ……私ったら、また変な勘違いを…」ガクッ

提督「ちょ、ちょっとちょっと、分かるように説明して?」

大井「はい……」

大井「………ということで…」

提督「はあ……あのさ、言いたいことがあるんだけどさ…」

大井「はい」

提督「大井って普段からそういうことばっかり考えてるわけ?」

大井「い、いえ…提督にだけですよ?」チラッ

提督「ふぅん…」シラー

大井(うわっ、心底興味なさそうな顔…)

提督「まあいいや、とりあえず座って」

大井「え?は、はい…でも、椅子は提督の分しか…」

提督「椅子?何言ってるの?」

大井「はい?」

提督「床にだよ」

大井「」

大井「………あ、あの」

提督「誰が喋って良いって言ったの?」

大井「い、いや…でもこれ、足が痛くて…」

提督「だ、れ、が、喋って良いって、言ったの?」

大井「も、申し訳有りません…」

提督「……で?普段から私にそういう邪な気持ちを抱いてるんだ」

大井「そ、そのようなことは決して…」

提督「今さら言い逃れするの?」

大井「うっ…」グサッ

提督「私、知ってるんだけど。大井が私の部屋のタンス漁って下着でクルージングしてたの」

大井「」グサグサッ

提督「あのさ、率直に言うけどさ」






提督「気持ち悪いよ」

大井「ぐあああああああぁぁーーーーーーッ!!!!!」ブシャアアアア

大井「ぐっ……けはっ、うごごごぉ……」ピクピク

大井(な、なんて破壊力…罪悪感と背徳感と被虐心の悦びが混ざり合ってどうかしそうだわ……)プルプル

提督「はぁ……」

大井(しかもストッキング履いて足組んでるおかげでドSオーラが溢れてて…ああ、私…雌犬になった気分…)ハァハァ

提督「…もしかして発情してるの?」

大井「えっ!?え、ええ、えへへへ」

提督「……………」

大井(あああああああ!!!蔑むような目線が!!ゴミを見るような視線が!!!提督がこんなマゾ魂を刺激する目をできたなんてえええええ!!!!!)ビクンビクン

提督「私、欲望の対象としか見られてないのかなぁ…」

大井「へっ?」

提督「だってさ、大井っていつも私に対して変態行為しかしないじゃない」

大井「そ、そんなことは…」

提督「いきなりお尻触ったり転んだふりして胸に飛び込んできたり所構わずハアハアするののどこが変態じゃないって言うの?」

大井「返す言葉もございません…」

提督「そんなことばかりされてたら欲求を満たすためだけにやってると思われても当然でしょ?それなら私じゃなくても良くない?」

大井「ま、待ってください!」

提督「はあ、何?」

大井「私、これでも提督には感謝してるんです!」

提督「…ふぅん?」

大井「は、初めは頼りなさそうな人だと思ってましたけど…指揮は優秀だし、帰投したあとのケアもバッチリだし適度な休暇も与えてくれるしコミュニケーションも取ってくれるしご飯も美味しいし優しいし…」

提督(ベタ褒めされてる…)

大井「しかも……ら、雷巡になってからいっぱい毒も吐いたのに、それも真摯に向き合ってくれたし…」

提督「ああそうそう、どうしてあんなにトゲトゲしてたの?」

大井「……は、恥ずかしかったんです!///」

提督「恥ずかしかった?」

大井「そ、そうですよ!あれだけ反発しても困ったみたいに笑って、戦果を挙げたら褒めてくれて!気にならない方がおかしいですよこんなの!」

提督「は、はあ…」

大井「それで…あなたのことが好きだって、気付いてしまったんですよ…///」カアア

提督「…なるほど」

大井「…北上さん以外にこんなこと思ったの、提督だけなんですから。責任取ってくださいよ」

提督「なんの?」

大井(…この人が天然たらしってこと忘れてたわ…)

大井「まあ、そういうことなので……提督のことは純粋にす、好きですよ?」

提督「純粋……?」

大井「…………」

提督「それはそうと、正座させられてハアハアしてたのは?ただの趣味?」

大井「え、それ聞くんですか…」

提督「上官命令って言おうか?」

大井「うぐ……ず、ずるいですよ…」

提督「ふふ、答えて?」

大井「……趣味というか、目覚めたの方が正しいですかね…」

提督「へえ……蔑まれて興奮しちゃう変態さんなんだ」

大井「」ビクッ

提督「まあ否定はしないけどね。大井が純粋に好きだって言ってくれたし、そういうのが好きなら付き合ってあげるし」

大井「…ずいぶんこじれた関係じゃないですか?」

提督「そう?」

大井(やっぱりたらしだわこの人…)

提督「もう立っていいよ、聞きたいことは終わったし」

大井「あ、はい」スッ

提督「それよりちょっと、こっちおいで」

大井「…?はあ」

スタスタ

提督「うりゃ」ワシャ

大井「きゃあ!?」

提督「よしよし」ワシャワシャ

大井「ちょっ、い、いきなりなんですか!?」

提督「いきなりって、前はよくこうしてたでしょ」

大井「そ、それはそうですけど…」

提督「せっかく想いが通じ合ったんだから久しぶりに、ね?」ナデ

大井「…もう…少しだけですからね」クス

提督「うん♪」

大井と長い間過ごした…(ペ並感)
あと70レス何を書きますかね…

提督「えーと、好きなものは…静かなところ、苦手なものは苦い食べ物…趣味は……んー、読書…かな?特技……特技…?なんだろ、特技…」

電「司令官さん、前に片手で逆立ちができるって言ってたのです」

神風「へぇ、それはすごいわね」

親潮「それは…一度見てみたいものですね」キラキラ

提督「ん、なんならここでも見せてあげようか?」

春風「まあ、良いのですか?」

提督「うん、せっかく自己紹介の場だからね…ほっ!」スッ

ポーラ「おぉ~」

親潮「すごい…本当に片手で…」

神風「だ、大丈夫なの?痛かったりとかしない?」

提督「これくらいなら全然平気だよ、えへへ」

アイオワ「確かにすごいけど…」ススス

提督「?」

アイオワ「Cuteなお腹、丸見えよ?」サワサワサワサワ

提督「ひぃやあああぁ!!?」

ドスンッ



蒼龍「うわ、すごい音…」

飛龍「…むう」

蒼龍「…飛龍?どしたの?」

飛龍「退屈だよね」

蒼龍「え?」

飛龍「いや、さ。最近めっきり出撃数も減ったし演習もほとんどないじゃん?」

蒼龍「…言われてみれば確かに」

飛龍「休みは嬉しいけど、ずっとやるべきことがないとさすがに暇になるでしょ?」

蒼龍「うーん……平和なのはいいけどまあそれには同意するかな」

飛龍「それでさ、ドッキリをしてみようと思うの」

蒼龍「また?」

飛龍「違う違う、今度は提督をターゲットにするの」

蒼龍「はあ」

飛龍「たまにはいいでしょ?」

蒼龍「……うんうん!」

蒼龍「それで、ドッキリの内容は?」

飛龍「んー、まだ特に考えてないんだけど…どうする?」

蒼龍「……提督を怒らせてみる、とか?」

飛龍「いいねー…けど、本気?本気で怒らせるとしたらやばくない?」

蒼龍「なんで?」

飛龍「いや、提督がまじおこしたら大変なことになるって噂があるからさ」

蒼龍「噂は噂でしょ?」

飛龍「普段おとなしい人が怒ったら死ぬほど恐ろしいってよく言うじゃん」

蒼龍「それを確かめるんだよ!」

飛龍「…………」

蒼龍「どう?」

飛龍「乗った!」ガチンッ

蒼龍「そうこなくっちゃ!」ガチンッ



「で、どうする?」

「まずは他に興味がある人を募って…」

~~~

提督「ふぅ……これでひと段落、と…」

ガチャ

飛龍「やっ提督、お疲れ様!」

提督「ん…飛龍もお疲れ様」

飛龍「息抜きにコーヒー淹れたんだけど、どう?飲む?ミルクと砂糖もあるよ?」

提督「あー…じゃあ一杯だけいただこうかな」

飛龍「うん、了解」スッ

ツルッ

飛龍「あっ」

提督「!?」

バシャ

提督「ああっ!?しょ、書類が…」

飛龍「ご、ごめん!もしかして大切な…」

提督「あ、ううん。内容なら頭に入ってるしすぐ作り直せるから大丈夫…それより、火傷してない?大丈夫?」アセアセ

飛龍「え?あ、ああ、うん。問題ないよ」

提督「そっか、よかったぁ…」

飛龍「…………」

バタン

飛龍「はー…」

蒼龍「どうだった?」

飛龍「大失敗…コーヒーに塩を入れようとしたんだけど緊張してこぼしちゃったし…」

蒼龍「それで怒られはしなかったの?」

飛龍「それどころか逆に心配されちゃった、火傷してないかって」

蒼龍「オゥ…お人好しが発揮されてる…」

飛龍「……なんか、早くも良心が痛み始めてきた…」

蒼龍「ちょ、そ、そんなこと言わないでよ…私まで申し訳なくなるじゃない」

飛龍「…ううん、最後までやろう」

蒼龍「だ、だよね。それにしても、この程度じゃ怒りすらしないか…」

飛龍「うーん…作戦を新しく練り直す必要があるね…」

提督「…ん?あ、あれ…?」ゴソゴソ

深雪「んお?しれーかん、どしたー?」

提督「冷蔵庫にプリンをしまってたはずなんだけど…もっと奥だったかなぁ…」ゴソ

深雪(きた!)

深雪「え、えーと…もしかして、クリームが乗ってたやつ?」

提督「そうそう、一応名前も書いてたんだけど」

深雪「……っごめん!」パン

提督「え?もしかして…」

深雪「………食べちった」

提督「あちゃー…」

深雪「ほんっと、ごめん!疲れてて…」

提督「あー…まあ、それなら仕方ないか」

深雪「…お、怒んないの?」

提督「いやいや…さすがにこれくらいじゃ怒らないよ。また買って来ればいいし」

深雪「そ、そっか…」

提督「それより、甘いものが食べたいなら私に言えばいいのに」

深雪「へ?なんで?」

提督「間宮さんのところなら私が出すよ、お金なら持ってるから」

深雪「いや、さすがにそれは遠慮するし…」

提督「子供が遠慮なんて言わないの!」ガシッ

深雪「ぐへっ!?」

提督「ほら、私も休憩したいから一緒に行こう?なんでも奢るよ?」

深雪「お、おお…」

深雪(作戦失敗どころか逆に奢られた…)

深雪「ってわけで失敗、だなー」

飛龍「そっか、残念」

蒼龍「えー、いいなー、間宮さん奢ってもらったんでしょ?」

深雪「うん、これも持って帰っていいって」サッ

飛龍「これは…うわ、ケーキ!?いいの?」

深雪「みんなで食べて、ってさ」

蒼龍「うーんさすが提督…」

金剛「Oh、cakeデスカー?紅茶を淹れてきマース!」

飛龍「お、ありがと!」

蒼龍「それにしてもあれだね…怒るどころかここまでしてくれるとさすがに罪悪感が湧いてくるね…」

飛龍「薄々感じてはいたけど…それはわかる」

深雪「やめといた方がいいんじゃない?司令官が怒ったらめっちゃ怖いらしいし」

飛龍「でもねー、怖いもの見たさってのがあるのよねー」

蒼龍「ねー」

飛龍「さて……次はどういう手で責めようかな」グフフ

深雪(こんな大人にはなりたくないなぁ…)

~~~

衣笠「ひとりじゃない~♪君が~夢にぃー変わって行く~♪」

提督「ご機嫌だね」

衣笠「んふふー、久々に提督と二人っきりだもん」

提督「秘書艦、だけどね?」

衣笠「それでも嬉しいよ?」

提督「そう…まあとりあえず、書類片付けちゃおう?」

衣笠「はーい!」

ガサガサ

衣笠「向かいかーぜもはーばたけるー♪」

提督「…………」クス

提督(おおっと、仕事仕事…まずは交戦記録から…)ゴソゴソ

衣笠「笑っていておくれー♪」

衣笠「一つになろう♪」サワッ

提督「っひぃ!!?」ビクッ

衣笠「うーん、小ぶりだけど形のいいお尻」ワキワキ

提督「いっ、いきなり何!?」

衣笠「日々の運動の賜物ってやつかなあ?」

提督「人の話を聞きなさい!」

衣笠「いやぁ、触りがいのありそうなお尻がふりふりしていたものでつい」エヘヘ

提督「……びっくりするからやめてよね」

衣笠「いきなりじゃなかったらいいの?」モミモミ

提督「ひぃやああぁ!?だ、ダメだってば!」バッ

衣笠「あら、残念」

提督「……………///」ジロ

衣笠(さすがに怒るかな…?)

提督「………欲求不満?」

衣笠「へ?」

提督「衣笠が何もなしにこんなことするなんて珍しいでしょ」

衣笠「そう?」

提督「そう。何か不満があるならできる範囲で応えるけど…」

衣笠(……やば、慈愛の女神モードに入っちゃった)

提督「…悩み事?それとも遊びたい?」

衣笠(ここから怒らせるってどうすればいいんだろ…)

提督「衣笠?」

衣笠「え、えーと…もっとお触りしたいかな?」

提督「お触り…って、さっきみたいの?」

衣笠「う、うん。なんなら衣笠さんのも触っていいよ?」

提督「そ、それは別にいいけど…ほんとに触るだけ?」

衣笠「だけ?それ以上もしていいの?」

提督「………ご、ごめん!それはちょっと…」

衣笠(さすがにダメかー…まあ、眼中にないよね…)

提督「その…こ、心の準備がいるから、ね?」

衣笠「……………」

衣笠(………どうしよう、怒らせるどころじゃなくなってきた)

衣笠「…じゃあ、触ってもいい?」

提督「う、うん…あんまり痛くしないでね?」

衣笠「はいはい」サワサワ

提督「……ねえ」

衣笠「はい?」

提督「その、触りたいっていうのは…ただの興味?それともこう…なんていうか、変な反応とか期待してる…?」

衣笠「…半々かな」モミ

提督「はー…部下からのセクハラって問題になるのかな…」

衣笠「え、もしかして私解体される?」

提督「さすがにそこまではしないよ…大切な仲間なんだから」

衣笠「そ、そう?えへへ、照れるなぁ~///」

提督「それにセクハラももう慣れたものだしね、いきなりだとびっくりするけど」ナデナデ

衣笠「おっ…久しぶりのなでなで」

提督「ふふ、もっとする?」

衣笠「犬みたいに可愛がっていいよ!」

提督「よーしよし」ワシャワシャ

衣笠「~♪」

衣笠(あぁ、この人が本気で怒るのすら疑わしくなってきた…)

飛龍「…で、ダメだったと」

衣笠「あはは、ごめんね」

蒼龍「ふーむ、セクハラされても懐柔にまで持ち込むなんて…」

飛龍「本格的にどうすればいいのか分かんなくなってきたね」

衣笠「前球磨型が怒られた時って、二徹の後寝ようとした提督の隣の部屋で大騒ぎしてたんだっけ」

蒼龍「そうらしいけど、最近提督が徹夜することなんてないしねえ」

飛龍「困った困った…」

蒼龍「……他に案、ある?」

衣笠「…暴言?」

飛龍「さすがにそれはダメでしょ…」

蒼龍「やりすぎだよねえ」

衣笠「じゃあどうする?」

飛龍「……この辺でお開き?」

蒼龍「それもいいかもね…」

飛龍「んまあ、一応策は考えてみるけど…」

~~~

榛名「……そういえば、提督が本気で怒ったところは見たことがありませんね」

提督「そうだっけ…?」

霧島「ええ、いつも笑っているように見えます」

提督「いや、うーん…何回かあるよ。榛名にも怒ったし」

榛名「本当ですか?」

提督「うん、一年くらい前だけど…大規模作戦があったじゃない」

霧島「…ああ、ありましたね」

提督「作戦の達成のために私の指示を無視して榛名が一人で突っ走ってさあ、ボロボロの状態だったのに死に物狂いで敵に食らいついてたものだから…」クスクス

榛名「あ、あの時は…なんとか突破口を開こうと…」

霧島「帰投してから、珍しく大声をあげていましたね」

提督「覚えてないかもしれないけど、平手打ちまで出ちゃったから…ごめんね」

榛名「いえ、榛名もあの一発で目が覚めました。なんて大変なことをしてしまったんだろうと…」

霧島「…でも、こうして誰一人欠けることなく生きていけるのは司令のおかげです。ほんと、感謝していますよ」

提督「あはは、照れるよ」

霧島「素面だと言えないことですから。今くらい言わせてください」

提督「…うん」

霧島「さあ、今日は飲み明かしましょう?朝まで付き合ってもらいますよ?」

提督「ふふ、お手柔らかにね」

榛名「……という話があるのですが」

飛龍「はあ…つまり、本気で怒るのは誰も死なせたくないからと…」

霧島「それ以外で怒らせるなんて不可能なんじゃないかしら」

蒼龍「うーん企画倒れもいいとこだなぁ」

飛龍「…そうだ、加賀さんに聞いてみるのは?」

蒼龍「なるほど、恋人なら見たことあるかもね」

榛名「あの」

蒼龍「なに?」

榛名「恋人って言わないでください」

蒼龍「え?」

榛名「そういうの聞きたくないです」

蒼龍「」

榛名「認めたくないです」

飛龍「」

蒼龍「」

榛名「言わないでください」

霧島(目から光が消えてる…)

加賀「…あの子が本気で怒ったところ?」

飛龍「はい、加賀さんなら知ってるかなと思って」

加賀「……直接見たことはないけれど、あの子の友達に聞いたことはあるわ」

蒼龍「ほんとですか!?」

加賀「ええ」

飛龍「聞いても?」

加賀「…そんなに興味があるの?」

飛龍「ええ、なんとかして見ようと思うくらい」

加賀「……話してあげる代わりに、悪いことは言わないからやめておきなさい」

蒼龍「え?」

加賀「冗談では済まなくなるわ。本当に危険だから」

飛龍「危険、って…どういうことですか?」

~~~

飛龍「そ…そんなことがあったんですか…」

加賀「ここまで聞いたらさすがにやろうとは思えないでしょう?」

飛龍「……私たちが馬鹿でした…」

蒼龍「しかもそれで怒るとしたら身内の誰かを傷付けないといけなくなるし…どうしようもないね…」

加賀「普段優しい人が怒ると怖いのではなくて、優しい人を怒らせるほどのことをするのがまずいのよ」

飛龍「肝に銘じておきます…」

蒼龍「…それはそうと、案に挙がってた暴言…あれだとどうなるんだろうね」

加賀「さあね…そこまでは知らないわ」

飛龍「もしそんなことがあったとすれば聞いてみたいんだけどなぁ…」

提督「ふふっ…」

大井「…?どうかしました?」

提督「いや、こうして大井とお茶をするのは久しぶりだなぁって思って」

大井「そうですか?」

提督「うん、だって最近は変態だったしそれ以前はツンツンしてたんだもん」

大井「……言われてみれば確かに」

提督「あはは、あの頃は嫌われたんじゃないかって心配しちゃった」

大井「う…ご、ごめんなさい…」

提督「もう気にしてないよ、だから大井も気にしないで」

大井「いえ…まだ謝れていないことがあるんです」

提督「?」

大井「あの時、ちょっと言いすぎたことがあって…ほら、提督が大変なことになったのがあったじゃないですか」

提督「…ええと…そんなことあったっけ…」

大井「え?」

提督「私が大変なことになった…?」

大井「…もしかして、覚えてないんですか?」

提督「記憶にないね…」

大井「え、ああ…なら、あまり蒸し返す必要もないですね…」

大井(……あの時…)

ーーーーー

提督「はっ……はっ…はっ…」タタタ

ガチャッ

提督「大井!北上!」

北上「んお、ふーちゃん」

大井「………」

提督「二人とも、大丈夫?怪我は…」

大井「…私は軽傷ですよ。けど、北上さんは…」

北上「ちょっちやばいかもねー、腕の感覚無くなってきた」スッ…

提督「………!」ビク

北上「あ…ごめん、見せない方がよかったか」

提督「ち、違うの……わ、私のせいで、こんな…」

北上「あー…まあ、そんなに気にしなくていいよ。あたしも気にしてないから」

提督「…そ、そう…なら…」

大井「…そんなわけないでしょう」

提督「え……」

大井「北上さんがこんなことになったのは完全に作戦が悪いのよ。つまり提督のせい」

提督「…………」ピク

大井「自分は悪くないとでも思ってるの?指示を出したのはあなたよ!?」バンッ

提督「っ……」ドクン

大井「あんな突貫なんてさせなくてももっと安全な手があったわ!そうすれば北上さんが大破することもなかった!この大規模作戦を断念することにもならなかったんじゃないの!?」

提督「ひ……」

北上「ちょっと、大井っち…」

大井「北上さんは黙っててください…少し提督とお話がありますから」ジロ

提督「ぁ…」ビクッ

大井「私、あの指示には賛成しなかったわよね?それでも仲間より自分の腕を信じたのはどういうことなの?」

提督「ち、ちが……」

大井「…提督の指揮なんてなくても、こんな程度の海域なら楽勝だったはず。それを逃したのは…他でもない、あなたよ」

提督「………!!!」

大井「はぁ……ほんっと、なんでこんなところで躓かなきゃいけないのかしら…」

北上「あ、あー…ほ、ほら…大井っち、最近力を持て余しててイライラしてるから…提督は悪くないよ、ね…」

提督「はっ……は、はぁっ…う……」カタカタ

北上「提督…?」

大井「…私たちだけでも上手くやれたのに…!あなたなんて……あなたなんて、最初っからいらなかったのよ!!」

提督「ーーーーっ」

パァン

大井「つっ!」

北上「ちょっと、さすがに言い過ぎでしょ!?ふーちゃんだってやりたくてやったわけじゃ…」

大井「っ……え、ええ…ごめんなさい…」

北上「あたしじゃなくてふーちゃんに…」

提督「あ……あ、ぁ、ぁぁああ…!!」ガタガタ

大井「て、提督…?」

提督「あああああぁっ!?いやあああぁぁ!!」ブンブン

北上「ちょっ、風花!?お、落ち着いて!」

提督「うううううぅぅぅ……!!ごめんなさい…!ごめんなさい…!ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……!!いい子にしてるから…お願いだから…!」フルフル

北上「いつっ…お、大井っち!誰か呼んで!」

大井「あ……は、はいっ!」

提督「嫌、嫌、いや……!嫌いにならないで…!」ブツブツ

~~~

提督「…いじょうぶ…誰も、見捨てない……誰も私を…見捨てない…大丈夫……そばに居てくれる……大丈夫…」ブツブツ

北上「ねえ、風花は…」

明石「ひどく混乱していますね…恐らくパニックみたいなものかと…」

大井「…ごめんなさい…私が言いすぎたせいで…」

明石「あ…もしかして大井さんが言ったんですか?何を言いました?」

大井「……暴言を…いらない、とまで…」

明石「ああ…やっぱり…」

大井「やっぱり、って…?」

明石「いえ…提督がこんなことになるのは前にもあったんです」

大井「そ、そうなんですか…?」

明石「ええ、曙ちゃんが似たようなことを言って大変なことになったのが過去にもありまして」

大井「あの、どう見ても普通の様子じゃないですよね…これって何か特別な理由とかは…」

明石「あー…専門的なことまでは分からないんですが、多分…過去のトラウマか精神的な問題を抱えてるんだと思います」

北上「それがなんかでスイッチが入っちゃうとああなるってこと?」

明石「ええ、あくまで推測ですが。…と言ってもほぼ100%それしかないと思います」

提督「……ねえ、大井……」

大井「!」ビクッ

提督「私のこと…嫌いになってないよね…?」

大井「え…」

大井(な、何…この、真っ黒な瞳…)

提督「…大井…」

大井「は、はい…嫌いなんかじゃ……む、むしろ好きですが…」

提督「……そう…なら、よかった……」フラッ

ドサッ

大井「提督!?」

明石「…大丈夫です、眠っただけみたいです」

大井「良かった…」

明石「まあとにかく…みなさんに知らせていなかった私も悪いですし、このことはあまり気に病まないでください」

大井「はあ…」

北上「あとでちゃんと謝らなきゃダメだからね?」

大井「はい…」

大井(……今思うとやっぱりあれは異常よね…それも昔のことも覚えてないみたいだし、よほど嫌なことと認識してるのかしら…)

提督「ねえ、大井?」

大井「え、は、はい?」

提督「私のこと、嫌いになってないよね?」

大井「…………」ゾク

大井(あの時と同じ目…)

提督「…ねえ?」

大井「…ええ、大丈夫ですよ。ここに提督を嫌う人なんていませんから」

提督「そ、そこまで言われると照れるな…えへへ」

大井(……メンヘラって面倒な生き物ね…)

大井(………でも、提督が依存してくるのも…悪くない、かも…)ゾクゾク

怒らせるドッキリってなんだったんですかねおわり
そういえば黒百合の更新忘れてましたね…(痴呆)許してください提督がなんでも

長門「駆逐艦は可愛いな…」

陸奥「いきなり何?」

提督「わかる…」

陸奥(増えた…)

長門「なぜ女児はああも心惹かれるものがあるのだろうか…」

提督「大人になると見られなくなる…夕焼けを美しいと思うように、一瞬しか見られないからこその魅力だよ」

長門「なるほど…良いことを言うな…」

提督「未熟ゆえの純真さ…そして節々から元気いっぱいということを認識できる動作ひとつひとつ全てが眩しい…あれは光以外の何物でもない…」

長門「ああ…あの子達の笑顔だけで日々の疲れが吹き飛ぶな…」

陸奥(提督がいるのに帰りたくなってきた…)

長門「もうな、駆逐艦に付き合って早起きしてプリキュアを見るのが当たり前になったんだ」

提督「あー、睦月型とかが見てるよね」

長門「前にやってた初代の一挙放送を見たが、本格的に視聴を考えるレベルで面白いなあれ」

提督「まあ女の子が見るドラゴンボールってコンセプトらしいし…」

長門「私もプリキュアになれないだろうか…」

陸奥「いや無理でしょ…」

提督「女の子の夢だから仕方ないよ」

陸奥「提督もそうだったの?」

提督「私?プリキュア放送した当時ってもう私は中学生だったから…」

陸奥「へえ…もう10年以上前のアニメなのね」

提督「ううっ……10年以上も…あれからもう10年…」

陸奥(…ジェネレーションギャップに苦しんでいる…)

長門「ところで提督…もう一度子供に戻ってみたくはないか?」

提督「え、子供?うーん…子供の頃……」

提督「……」

提督「…………」

提督「………………」

陸奥「…その質問、地雷よ?」

長門「ああっ!?ちち、違うんだ!そういうことじゃなくて、なんだ、その…あれだ、明石が作った薬があっただろう?あれを使ってまた子供に戻ってみないかという相談だ」

提督「それ…私にメリットある?」

長門「あるとも!」

提督「例えば?」

長門「私が全身全霊をかけて愛でてやろう!」

提督「却下」

長門「」ガーン

陸奥「まあ、そうなるでしょうね」

提督「でも女児が愛くるしい気持ちは分かるよ。だからこそ私も愛でる側でいたい」

長門「そういうことか…なら、強くは言うまい…」

提督「…でもまあ、気が向いたら付き合ってあげようかな」

長門「それは本当か?」

提督「ふふ、ほんとに気が向いたらね」

長門「ああ、気長に待っているさ」

陸奥「…何かいい話みたいに締めようとしてるけど、ただのロリコンよね?」

提督「え?」

長門「え?」

陸奥「…………」

提督「ロリコンじゃないよね?」

長門「まさか。不純な動機など一切ないのにそれと同列で語られるのは困るな」

陸奥(なんなのこの人達…)

陸奥「…じゃあ駆逐艦の子にロリコンって言われたらどうするの?それに反応するようならロリコンでしょ?」

提督「さすがにそれはないんじゃないかな」

長門「そもそも女児がロリコンなどという言葉を知っているはずがない」

陸奥「いや、想像でいいから…ちょっと考えてみて?」

提督「……………」ホワンホワン

長門「……………」ホワンホワン

~~~

脳内霞「このクズ!ロリコン!!変態!!」

脳内曙「アンタ、ロリコンだったの!?…キモっ、近寄らないでよ!このクソロリコン提督!!」

脳内満潮「はぁ!?こんな小さい子が好みなの!?幻滅したわ…二度と話しかけないでよね性犯罪者」

~~~

提督「…ふへ、えへへへへぇ……///」ドキドキハァハァ

長門「…むふ…ふふふふ……///」ニコォ-

陸奥(手遅れだったわ…)

提督が駆逐艦に反応を示すのはあくまで性を感じさせる瞬間にドキッとしちゃう時だけなんです信じてください
電と体を洗いっこした時やけに入念に手で洗ってたなんてエピソードはないんです本当なんです
たまに女児への情熱が暴走してしまうだけで普段は優しくて真面目でちょっとメンヘラだけどいい人なんです

9割事実です、今回も長い間閲覧ありがとうございました

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