扶桑「不等辺三角形」 (482)

「提督、起きてください」

「う…んぅ……や…扶桑か?」

「……はい」

「…!今何時だ!?」

「1600です」

「寝過ごした!仕事!」

「残りはほとんどやっておきました。提督はお疲れだったようなので」

「え?……本当だ…ありがとう」

「むしろ普段は提督が秘書艦の分もやってしまうので些か物足りないのですが」

「えっ、いや…そんなつもりは」

「……ふふっ、冗談ですよ」

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・不定期更新(予定)
・嫉妬する娘が書きたくて立てました

「それにしても随分とお疲れだったのですね」

「え?全然元気だったけど……」

「軽い昼寝と言いつつ、あれほどぐっすり寝て……否定するおつもりですか?」

「…まぁ、知らないうちに疲れが溜まっていたのか……?」

「なら、本日は早めにお休みになられてはいかがでしょうか」

「でも、仕事までやってもらってそれは…」

「たまにはゆっくりしていただかないと、いざというとき困るのは私たちもです。これは私…私たちの為だと思って」

「…………なら早めに床に就かせてもらおうかな」

「ええ、是非ともそうなさって下さい」

「……となると、俺の仕事は全部無くなってしまったわけだが」

「……あ、なら他の娘達の演習などを見て回っては?彼女たちも火がつきますよ」

「……そういえば久しくやってないな」

「ええ」

「ありがとう。助言通りぶらぶら歩き回ってみようかな……そうだ、何か欲しいものは無いか?」

「欲しいもの……ですか?」

「今日のことは勿論、今まで扶桑には色々お世話になっていることだしな。何でも言ってくれ……まぁ俺のできる範囲でだが」

「…………そうですね…なら、お茶を用意していただけますか?」

「……遠慮しなくてもいいんだぞ?」

「普通に喉が渇いてしまっているので。お願いできます?」

「そんなこといくらでも聞いてやる」

「でしたら…えっと…」

「今すぐにとは言わないけどな」

「はい、ありがとうございます」

「ひとまず俺はお茶を用意して来るよ」

「お願いします」

「…………ふぁ…あ」

「…………提督」

「ん?お!山城じゃないか」

「姉様は何処ですか?」

「あー……執務室」

「……まさか姉様が断れないのをいいことに仕事を押し付けて――」

「違う……と、言いたいが…結果的に見たらそうなるのか?」

「なっ!……提督、見損ないました」

「うっ……いや、あの……」

「……見損なった…いえ、もともと高くなかったのが落ちただけですから、変わりませんね」

「それもキツいな……」

「それで、姉様に仕事を押し付けたクズはいったい何をするんですか?」

「ク……扶桑にお茶を用意しようと」

「そんなことで姉様が……許しそうですが、私が許すとでも?」

「……ならどうすれば許してもらえるんだ?」

「そうですね……お茶なんてものじゃなくて、もっとこう…夜景が見える所で夜食…みたいなのを用意していただけたら」

「それくらいなら……もう1つくらいなら聞いてやる」

「!…さらに姉様と私に、同時に休暇を下さい!」

「…………わかったよ」

「えっ……言ってみるものですね」

「おう、だから遠慮せずにどんどん言えよ?」

「では……姉様とご一緒したいので、私の分のお茶も用意して下さい」

「はいよ」

「開けてくれー」

「提督、ただいま――」

「私が開けます!」

「――山城?」

「姉様!」

「途中でばったり会ってな。山城も連れてきた」

「そうだったのですか……」

「姉様!この山城、姉様の休日を確保することに成功しました!」

「あら……いいんですか?」

「調度君らに休暇をあげようかと思っていたところだったんだ」

「えっ」

「わが鎮守府のツートップとはいえ……だからこそ、休暇は欲しいだろ?」

「それは……ありがとうございます」

「……提督。今の話、本当ですか?」

「本当だよ」

「…………」

「……山城、どうかしたの?」

「……損してしまいましたね」

「……確かに」

「損?」

「あぁ、こっちの話だよ」

「……そうですか」

「座りたいんですけど、提督どいてくれませんか?」

「えぇ……ここ俺の特等席なんだけど」

「我儘言っては駄目よ?ここは提督の仕事場なんだから」

「ですが、姉様の隣が……提督はいつも姉様の隣なんですから、たまには譲って下さい」

「い!いつもだなんて……そんな」

「…………そうだな」

「えっ……?」

「よく考えたら、俺は休憩は十分取ったんだ」

「…………提督?」

「よし、たまには山城に譲ってやるよ」

「ありがとうございま……違うわね。ここは元々私のものだったんだから…当然ね」

「山城!……提督はどちらへ?」

「おいおい、お前が提案してくれたんじゃないか」

「あっ…そう……でしたね」

「ここは山城と姉様で満員ですので、さっさとどこか行ってください」

「こら、山城!」

「……本来は俺のための部屋なんだが…まぁいい」

「姉さんに仕事を押し付けていた罰ですよ」

「山城…提督、すみません……」

「いやいや。気にしてないから……じゃあ、いろいろ見てくるよ」

「はい、いってらっしゃいませ」

今日はここまで

書き溜めが尽きるのが先か、完結するのが先か

これは病みますね……
あと病んだ大井っちはまだですか

>>11大正義純愛大井っちスレが乱立してる今、そこにヤンデレっちを投下なんて……おそれ多いです
あと、これがヤンデレスレだと決めつけるのは良くないですよ?(否定はしない)

「……あれだな、いろいろと見て回ったが、いくつか問題点…というか改善点があったな」

「そうですか……はい、お茶です」

「ありがとう…まず、教官が怖い」

「そうでしょうか?鹿島さんは皆さんから慕われていると思いますけど」

「そうなのか。まぁ、今日は神通だったが」

「あ……そうでしたか」

「特別講師だかなんだかで、まぁ所謂抜き打ちテストだな」

「駆逐艦たちは災難でしたね……」

「まったくだ……だが、それに見事に応える動きだった」

「提督が見ていると知って、気合いが入ったのでしょう」

「俺よりも神通が、と言った方が正しいだろう。それと、卯月が脱走した」

「な…なるほど」

「もっとも、鬼教官に捕まっていたが。まずは戦意からも整えていった方がよさそうだ…………ところで」

「はい?」

「山城は?」

「えっ……山城は提督が帰ってこられる数分前に出ていきましたよ」

「そうか……」

「……あの」

「ん?」

「…………いえ、なんでもありません」

「え?…そう?」

「…………」

「なら、俺からもうひとつ聞いても良いか?」

「え、えぇ…構いませんけど」

「扶桑の、モチベーションってなんだ?」

「もちべぇしょん……ですか?」

「あぁ……卯月を見て思ったんだ。やる気を促すのは技術面で指導する教官ではなく、精神面で支える俺の仕事ではないのか……ってな」

「それで私のもちべぇしょんを参考に?」

「あぁ。いつも何を思って戦場に臨んでいるだとか、特に意気込みを入れるときにしてることとか」

「そうですね………………」

「……そ、そんなに深く考えなくても」

「あ、いえ!有るには有るのですが…」

「……もしかして、あまり言えないような?」

「そういうことも……その…………ぃ…」

「ん?」

「…っ…て!提督の!こと…です……」

「……俺?」

「いつもここで私たちの帰りを待ってくださっている提督が、私のもちべぇしょんです!」

「…………」

「…………」

「……なるほど、上官がモチベーション…ねぇ」

「っ……はい…」

「…………扶桑」

「はい……!」

「お前はいい子だな」

「……えっ?」

「普通ならやれ最中やらアイスやら……そういうのだったりするんじゃないのか?」

「そ、それもございますが…私は提督の方が――」

「もう少し、自分の欲しいものとか言って良いんだぞ?」

「ですから……」

「いや……そんなものじゃなくて、もっと我儘になっても良いんだぞ?」

「我儘……」

「例えば……そうだな……」

「…………」

「………ま…まぁ…どんな些細なことでも良いから、どんどん言ってくれ」

「はぁ…!でしたら、美味しい夜食にでも連れていってもらえませんか?」

「…………扶桑」

「もしかして……駄目…でした?」

「いや!むしろグッジョブ!」

「ぐっじょぶ…?ですか」

「あぁ。今後もどんどん我儘いってくれよ?」

「了解しました」

「…………そういえば、山城も同じこと言ってたな」

「えっ……………」

「よし、3人で行こうか」

「………………」

「……扶桑?」

「……実は、山城が前々から行きたいと言ってたので、後から誘うつもりでした」

「あ、そうだったの?……だが、それじゃあお前の我儘というよりも山城のためのお願いじゃないか」

「……すみません…こういうのしか思い浮かばなくて」

「いや、扶桑らしくていいと思うよ。いいお姉さんだ」

「……ありがとうございます」

「早速だが、明日の夜はどうだ?」

「明日……おそらく山城も大丈夫です」

「なら、後で伝えておいてくれるか?」

「了解しました」

「…………お陰さまでやることも無いし、早いが部屋に戻ってもらってもかまわないよ」

「………………提督は?」

「えっ…と……夕飯まで本でも読んでおくかな」

「……そうですか。では、私は山城に明日の件を伝えに戻ります」

「頼んだ」

「では…」

麗しいのは扶桑
可愛いのは山城
女神は大井

異論は認める

山城が姉のサポートをしているつもりなのか、妨害しているのか気になるな
実際病んだら山城みたいなのが一番危ないと思う
すべて綿密に計算され尽くされた行動を、実に自然に取れそうで

つまり古鷹は天使ってことだな!

「提督!」

「うおっ!?……山城か」

「明日の夜、姉様と超豪華な食事って本当ですか!?」

「超とは言わなかったが……まぁ、もとよりそのつもりだったけど」

「ありがとうございます!」

「…………やけに素直だな」

「当然です。姉様と豪華な食事なんて…夢のよう……」

「…………それ、俺も行くのわかってる?」

「え?それは勿論。財布を持っていかないで行けるはずがありませんよ」

「…………」

「……じ、冗談ですよ…」

「……まぁ、予定は空いてそうだな」

「…………ところで、提督は何を?」

「ん?あぁ…明日の分の仕事だよ。今のうちに減らしておかないと行けないと思ってな」

「………………それ」

「ん?」

「…少しだけ…私も手伝います」

「…………えっ」

「…その目はなんですか」

「いや、意外だったもんで…すまん」

「これを終わらせないと明日の姉様との高級料理店も無くなりそうですし、何より提督が姉様に押し付けることを避けたいんですよ」

「…………ありがとうな」

「そう思うなら私のためにも手を動かして下さい」

ラブリーマイエンジェルぼのたんなんだよなぁ

>>20どうして山城が病むという発想が出てくるんですかねぇ……

>>21-22(堕)天使だって?書かなくちゃ(使命感)

>>24このクソ提督!とか言いつつ内心では凄い信頼していて、素直になれないギャップから妄想が人一倍して、いつのまにか自分がケッコンしているという設定が日常にも影響してくる……

ふぅ

娘にしたいのは敷波

「ただいま戻りました」

「……山城。少し遅かったわね」

「そ、そうですか?……あぁ、色々愚痴ったからかと思います」

「…………そう」

「それにしても明日は楽しみです」

「えぇ……」

「……本当は二人で行きたかったんですけど」

「二人で………そうね」

「姉様も思います?」

「私も……欲を言えば二人っきりの方が良かったかしら…」

「やっぱり邪魔ですね!ね!」

「………………そう…ね」

「やっぱり置いていこうかしら……」

「それは駄目よ……可哀想だわ」

「でも、何だかんだ許してくれるのでは…?」

「…………そうだとしても、私は楽しめないわ」

「それは……そうですね」

「だから、そんなこと言っては駄目よ?」

「姉様がそうおっしゃるのなら…」

「…………どうしてこんな娘を…」

「?何か仰いました?」

「いえ、何も言ってないわよ?」

「そうですか……?」

「……そろそろ夕飯の時間だから、提督を呼びに行ってくるわ。先に行っても良いわよ」

「そんな!この山城、姉様を置いて――」

「行っても良いわ」

「で、ですが…」

「……山城、先に行って席を取っておいてもらえるかしら」

「そういうことでしたら、わかりました」

「先に食べておきなさい?」

「いえ!なるべく待ちます」

「…………そう」

>>29-30兄弟揃って見てくださりありがとうございます

「失礼します」

「……扶桑?どうした?」

「そろそろ夕飯の時間ですのでお呼びしに来たのですけれど……提督は何を?」

「えっ…あ、いや!これは」

「…明日の分の仕事……ですか」

「先にしておかないとさ……な?」

「…………良いですか?提督はもう少し私を頼ってくださっても良いんですよ?」

「でも、俺は闘えないから…適材適所ってやつだよ」

「…………先程も言いましたけど、提督が倒れでもしたら、私は生きていけません」

「生きてって……指揮官が倒れてもどうであろうと乗りきって欲しいんだけどなぁ」

「…………はぁ」

「えっ」

「何でもありませんよ……私も手伝いますから、半分ほど分けて下さい」

「昼もやってもらって、流石に……」

「なら、以前から提督に頼っていた私の分です」

「それは日頃から海に出てくれて――」

「私がやりたいんです。ね?」

「……ありがとうな。じゃあ後で」

「いえ、今からゆっくりやりましょうか」

「え?夕飯は?」

「間に合わなければ私が用意しますよ。それよりもこっちが優先です」

「そうか……?」

「……結局、2時間ほどかかったな」

「すみません…私が遅かったばかりに」

「いや、別に責めてるわけじゃないよ。ただ珍しいと思ってな……もしかして、扶桑こそ疲れてる?」

「そんな!提督のためならもっと働きけますよ?」

「その気持ちだけで十分だよ」

「提督……」

「それに、山城もある程度は手伝ってくれてたし」

「……え?」

「礼を言ってくれたときにな。俺も手伝ってもらえるとは思ってなかったから驚いたよ」

「……………………」

「扶桑?」

「……提督。1つ聞いてもよろしいでしょうか」

「ん?」

「夕方に、私と山城を鎮守府のつぅとっぷと仰いましたよね?」

「言ったな」

「……私と山城。どちらが上ですか?」

「それは……山城だな」

「っ……」

「いや、扶桑もしっかりしてくれてるよ?でも、あいつもなんやかんやで戦果が一番だから」

「…………わかってます。……えぇ…大丈夫…」

「……?」

神風かわいい
髪の毛舐めたい

「まだ食堂は開いてるだろうか」

「作るにも食堂ですし、行きましょうか」

「そうだな……扶桑は料理が上手そうだな」

「そんなことはありませんよ。人並みです」

「山城も上手なのか?」

「………………」

「……ん?」

「山城は……正直言うとあまり…」

「あー…そうか」

「山城よりも私の方が上手かと」

「へぇ……ん?」

「どうなさいました?」

「いや……もしかして、閉めてしまったかな?」

「確かに……静かで人がいるように思えませんね」

「なら悪いが、扶桑に作って貰おうかな」

「ふふっ……了解しま――」


「姉様!」

「…………山城」

「遅いです!いったい何をなさってたのですか?」

「え?待ち合わせしてたのか?それは悪いことをしたな」

「……いえ、私も忘れていたので」

「姉様!?」

「ごめんなさいね、山城」

「うっ……まぁ…姉様なら許します」

「ありがとう……ところで、山城は食べ終えたのかしら?」

「……実は待っている途中で寝てしまって…起きたのはついさっきなんです」

「……食べてなかったのね」

「…………見たところ、厨房は誰もいなさそうだな」

「間宮さん……私に気づかずに片付けてしまったんですね」

「……俺たちも今から食事なんだが、一緒にするか?と言っても、作るのは扶桑なんだが」

「っ……」

「よろしいのですか!?」

「…………えぇ、良いわよ」

「ありがとうございます!」

「……というわけで、悪いが 3人分頼めるか?」

「…………かしこまりました」

「……それにしても、こんな目立つ席にいたのに…不幸だわ」

「……そうね…本当に不幸だわ」

どうして俺が書くと皆疑心暗鬼になるの……?

その酉に聞いてみるんやで(ニッコリ)

「……俺もなにか手伝おうか?」

「いえ、提督は座って待っていてください」

「でしたらこの山城、姉様を手伝います!」

「おいおい、大丈夫か?」

「は?なに心配してるんですか?私も料理できますからね」

「え?」

「っ……そう…かしら?」

「……確かに、姉様と比べたら劣りますけど」

「ふふっ……ありがとう」

「事実を言っただけです」

「なんだ。てっきりできないのかと」

「何か勘違いしてたのかもしれませんが、姉様に劣るだけで提督の何百倍も上手いですから」

「俺だってある程度は作れるぞ?」

「どーだか。ちゃんとしたものが作れるんですか?」

「それはこっちのセリフだ。よし、今度食戟だ」

「いいですよ?何を賭けましょうか。アイス?最中?」

「……………………」

「好きにしろ。安い方を選んでおくのが身の為だぞ?」

「それはこっちのセリフです。後で泣いてもしりませんよ?」

「……………………」

「……っと、すまん扶桑。邪魔してしまったな」

「……い、いえ!気にしてません」

「姉様、こんな馬鹿放っておいて、二人で楽しく作りましょう?」

「俺を馬鹿呼ばわりするなよ…」

「そうよ。提督が優しくて許してくれるとしても、私が怒るわよ?」

「ですが、喧嘩を吹っ掛けてきたのは向こうからですし……」

「…………なら、先に食べて部屋に戻ってたら良かったじゃない…」

「姉様?」

「!……なんでもないわ。さっさと作りましょうか」

「おまちどうさま」

「おお…!」

「冷蔵庫の中の余り物で作ったのでそこまで凝ってはいませんが…」

「いやいや、十分だ!」

「そうです。提督は姉様の手料理にケチつけるほど愚かでは無いですよ」

「ははは……まぁ、とにかくいただこうかな」

「えぇ、どうぞ」

「…………うん、美味い!」

「そうですか…?」

「この煮物の味付けとか、俺好みだ」

「ありがとうございます」

「このお浸しも……」

「あっ」

「それは……」

>>44-45なんでや!ちゃんとしたラブコメも書いたやろ!

正直……扶桑型はどっちも地雷女だと思う

「……ん、美味いなぁ!」

「っ………………」

「……え?どうした?」

「それは……山城が」

「へぇ……かなり上手じゃねぇか」

「…………姉様に比べたら劣りますけどね」

「いやいや!山城のも卑下することもないほど遜色つかない美味さだ!」

「…………ぁ」

「ん?」

「ありがとう……ございます…」

「いやいや」

「…………………………」

>>50-51邪推ってレベルじゃねぇぞ!

>>53だが、それがいい

うわ、自分に安価飛ばしてる……半年ROMります

「ごちそうさまでした」

「お粗末様でした」

「二人とも、美味しかったぞ」

「でしたら、またお作りしますね。今度は私一人で」

「扶桑の本領発揮か?楽しみだなぁ」

「でしたら、私も姉様の手伝いとして」

「いえ、大丈夫よ」

「姉様だけに作らせるわけには――」

「私が作りたいの。一人で」

「そ、そうですか……?」

「……そろそろ戻るか」

「いえ、食器を片付けなくては」

「おお、そうか…いつもやってもらってるばかりで気が回らなかった」

「それなら私が」

「あら山城、いいの?」

「え……えぇ!任せてください!」

「山城、よろしくな」

「提督のだけよしておこうかしら……」

「いや、頼むぞ……?」

「そんな意地悪なこと言わずに、お願いね?」

「……提督、姉様に救われましたね」

「本当においておくつもりだったのか…」

「では、私は先に部屋に戻ろうかしら」

「あー……扶桑」

「どうしました?」

「このあと……少しいいか?」

「えっ……」

「提督!姉様に何を!?」

「いや、明日の仕事について少しな……」

「まだ終わらせてなかったんですか?私が手伝ったというのに……」

「さ、さすがに1日分の仕事を短期間をあんな時間で終わらせるのは厳しいだろ?」

「……了解しました。今すぐですか?」

「あぁ。ありがとう」

「じゃあ山城、そういうことだから」

「わかりました……提督、姉様に変なことしたら即砲撃ですからね」

「怖いな……大丈夫だよ」

「姉様、くれぐれもお気をつけて」

「大丈夫よ山城。心配要らないわ」

「扶桑もそんなこと言わないでくれ……」

「では、行きましょうか。二人で」

「ん?……おう」

「……それで、いったい何の話でしょうか。わざわざ終わった仕事を理由につけてまで」

「……いや…お茶、飲むか?」

「……………………本題を」

「そ、そうだな……」

「…………」

「……実は、山城のことなんだ」

「っ………や…山城が……何か?」

「そういうのじゃなくて……その……」

「…………」

山城をお浸しにすればいいんですね?

「いやほら!あいつ、うちで一番練度が高いだろ?」

「っ!…………そう…ですね」

「それで、もうすぐ上限になりそうだろ…?」

「…………はい」

「で……先日うちにも大本営から指輪が届いたろ?」

「…………届きましたね」

「……それを、あいつに渡そうと思うんだ…」

「……」

「…………どうやったら受け取ってくれるだろうか…?」

「…………お言葉ですが」

「ん?」

「そんな軽い理由なら、山城は怒ると思います」

「…………わかった。正直に言おう」

「っ……」

「俺は、山城が好きだ」

「…………知ってました」

「えっ」

「提督、いつも山城を見てますよね?」

「……マジ?」

「えぇ……3人でいるとき、提督は私と目があったことが有りますか?」

「さすがにあるよ……な?」

「…私の記憶にはありませんよ?ずっと見てたのに……提督は酷い人です」

「……なんか自信なくなってきた」

「自信も何も、提督は山城しか見てませんもの……」

「そっか……バレてたか」

「…………それで、ご用件は?」

「つまり、サポート的なことを頼みたいんだ……やってくれるか?」

「…………承知しました」

「おお!あり――」

「但し」

「が……え?」

「但し、話し合いの場は毎晩この時間帯で。流石に日中にするのは仕事に支障が出ると思いますので」

「あ、あぁ…そうだな……え、毎晩?」

「えぇ。私と提督だけの秘密の会議です」

「そうか……ありがとうな」

「くれぐれも山城にはもちろん、誰一人として知られるわけにはいきません」

「わかった」

「……………………ふふっ」

「どうした」

「いえ、なんでもありません……互いに頑張りましょう?」

「おう!……互いに?」

「言葉の綾です」

今明かされる驚愕の事実ッ!!

>>66閃いた

(そこまで深く考えてなかったなんて言えない)

俺は山城や摩耶みたいな遠慮なく会話出来るタイプとは一緒にいて楽しい
ケッコン後の山城可愛すぎる

「ただいま」

「……姉様?」

「あら、起こしちゃったかしら」

「そんな!むしろ姉様に会えて嬉しいです!」

「そう…?ならいいけれど……ところで山城」

「なんですか?」

「実はね……私、提督のことが好きなの」

「へぇーそうですか…………そうなんですか!?」

「……少しうるさいわ」

「は!…すみません……本当ですか?」

「えぇ……それで、お願いがあるの」

「提督…姉様に好かれるなんて羨ましい……」

「山城?」

「今度なんかおごってもらおうかしら……」

「……山城」

「へ?……あ、すみません!」

「いえ、いいわよ…むしろ安心したわ」

「安心……ですか?」

「独り言よ……それでお願いなんだけど、私と提督が上手くくっつくように色々手伝ってほしいの」

「姉様の頼み……でも、上手くいけば姉様が…」

「山城……お願い。これは貴女にしか頼めないの」

「んん……わかりました!」

「山城…」

「この山城、姉様の望みとあらばなんでもします!」

「…………ありがとう」

「そんな、当然のことです!……ところで、具体的には何をすればいいんでしょうか」

「そうね……まず、あまり執務室に近寄らないでほしいわ」

「成る程……」

「……それと、これも少し似てるのだけれど、提督になるべく近寄らない」

「公私関係なく……ということですね」

「話が早くて助かるわ……それと」

「まだ何か?」

「えぇ……提督に嫌われるように動いてほしいわ」

「えっ……つ、つまり、提督によく思われないように……ってことですか?」

「そうよ」

「……あ」

「どうしたの?」

「先程のあれ、お邪魔でした……?」

「……そうね」

「すみません!」

「もう過ぎたことだから怒ってないわ」

「以後気を付けますね……」

「よろしくね」

「……なら、明日の夜食は…」

「出来たら来てほしくないけれど……それは提督も心配するでしょうし…仕方ないわ」

「…え………」

「……どうしたの?」

「いえ!……ただ、姉様がそんな風にばっさり言うとは思ってなかったので」

「……それほど本気ってことよ。山城も頼むわよ?」

「わかりました!」

「じゃあ、もう寝ましょうか」

「そうですね。姉様、おやすみなさい」

「おやすみ、山城」

>>88-89デレが尋常じゃないですね。あれは山城提督が増える(ステマ)

あと、ハンバーグ(意味深)やお浸し(意味深)は予定にないです


提督から段々嫌われだしたら山城も病むんだろうか…?
今の所、姉が喜ぶなら何やっても平気そうだが

>>96当たってるかどうかはともかく、ネタ潰しはよくないと思うんだ

角が増えれば増えるほど丸に近くなる(=円満になる)からドンドン落とそう

「おはようございます」

「あぁ、おはよう……山城は?」

「……昨夜あまり寝付けなかったようで…」

「……まぁ、今日は朝からは何も無かったからいいか」

「……朝食、ご一緒しても?」

「いいぞ」

「昨夜は間宮さんの料理がいただけませんでしたから、いつも以上に楽しみですね」

「そうだな…並んでいるだけでお腹が空いてきたよ」

「朝起きたばかりなんですから当然ですよ」

「確かにそうだな……受け取ったらあの奥の席に座ろう」

「はい」

「やっぱり朝は和食だな」

「えぇ、落ち着きます……ところで」

「うん?」

「提督は、山城のどんな部分が気に入ったのでしょうか」

「い!いきなりなんだ!?」

「お言葉ですが、山城は基本提督にキツく当たってますよね?」

「まぁ…そうだよな」

「どうして山城に?」

「……あいつ、やることがいちいち可愛いんだ」

「……可愛い、ですか」

「えぇ…っと……あいつ、終始不機嫌そうな顔だろ?」

「えぇ」

「でも、扶桑と話してるときはめちゃくちゃ笑って、とても可愛いんだよ……」

「………………」

「他にもあるが……まぁ…要するにギャップ……かな?」

「…………ぎゃっぷ…ですか」

「あぁ……駄目だ。とてつもなく恥ずかしい」

「……提督は、笑う山城が好きになった……そういうことですね?」

「ん……まぁ、そうなるな」

「わかりました」

「ご馳走さまでした」

「ご馳走さま……俺は部屋に戻るが、扶桑はどうする?」

「山城を起こしに戻ります」

「えっ。まだ寝てるのか……?」

「……案外だらしない子なので、ありえます」

「そうなのか……なぁ、俺も見に行っていい?」

「…………提督は遠征の指揮や諸々の仕事が残ってますよね?」

「いや、少しだけ……」

「それに、寝ている女性の部屋に行くのはあまり良くないかと」

「そうだな……配慮に欠けてた」

「では、山城の支度を終えたら向かいます」

「ん、了解」

「山城…」

「あっ、姉様。終わりましたか?」

「えぇ……ごめんね、待ってもらって」

「いえ、いいんです!これも姉様のためですから!」

「ありがとう」

「……じゃあ、そろそろ食堂へ行こうかしら」

「えぇ、いってらっしゃい。私は提督と執務室にいるわ。くれぐれも――」

「大丈夫です、近寄りませんって」

「わかってくれて助かるわ」

「今朝、何十回も聞きましたから…」

「お願いね……それと」

「はい?」

「提督の前で笑顔を見せるのは止めなさい」

>>109艦娘全員がヤンデレになるssはつい最近あったろ!いい加減にしろ!

親潮とU-511を探す旅に出ます。探さないで下さい

今さらですが、今後更に扶桑姉様のキャラ崩壊が進行します
扶桑姉様大好きな皆さん方、このスレの姉様は見るに耐えないものかもしれませんがどうかご了承下さい

「えっ……」

「そうしたら提督は山城と話したくなくなるでしょう?それで私だけと話すのよ」

「…………姉様?」

「どうしたの?」

「その……なんと言いますか」

「………………」

「上手くは言えないんですけど……何か間違ってると思うんです…」

「………………山城?」

「姉様の手伝いは当然やります!ですけど……その…」

「手伝ってくれるのよね?」

「え…?」

「私のためならなんでもするって言ったわよね……?」

「えっ……確かに言いましたけど…」

「ならよろしく頼むわ。私はそろそろ仕事に戻るわ」

「あっ……」

「また今夜会いましょう」

「…………姉様…」

「失礼します」

「扶桑か」

「ただいま戻りました」

「そうか……なぁ」

「なんでしょう」

「山城……寝てた?」

「……山城のことが心配ですか?」

「いや、心配ってことでも無いんだが…」

「…………そうですね。単に寝てただけです」

「……そうか」

「……だらしないですよね?」

「へ?」

「こんな時間まで寝て……軍人のはしくれとして、これはよくないと思うんです」

「あ、あぁ……確かにそうかもしれんな」

「そうですよね」

「でも、今日あいつは実質非番だからなぁ……万が一のことがあっても別のやつが率先して行くんだし」

「でも、良くはないですよね?」

「まぁ、そうなんだけど……どうした?」

「どうした、とは?」

「いや、なんか山城をとても悪く言ってるから…喧嘩でもしたのか?」

「………………ここで少し厳しくしておくのが、山城の為だと思いまして。つい」

「あー…いや、責めたわけじゃないし、理由があるならいいんだ」

「私も山城のことは好きですからね……とってもいい子ですもの」

「そりゃそうだ……さて、そろそろ遠征部隊が来るかな」

「送り出したら、提督は何をするおつもりですか?」

「そうだなぁ……またブラブラ回るかな」

「……私もご一緒してもよろしいですか?」

「おう、いいぞ」

「では、二人で散歩しましょう」

皆さんイベントお疲れさまでした
私は無事神風とアイオワとポーラを迎えることができました


旅は徒労に終わったのか…

ママ潮とユーちゃんを探して旅に出た>>1は、テト……じゃなくて春風ちゃんとは会えたのだろうか?

「おい……」

「なんでしょうか」

「こう……腕を組んで歩く必要はあるか?」

「勿論ですよ。これは牽制です」

「牽制?」

「えぇ。提督を好いている者が見れば、諦めるでしょう?」

「そうか……いやいや!」

「どうかしました?」

「そんな奴いないだろ!しかもこれ、山城に見られたら逆効果だし……デメリットしかないぞ!」

「大丈夫ですよ。山城には会いません」

「え?なんで?」

「……今日は、どこかへ遊びに行くみたいで」

「え?そんなこと聞いてないぞ?」

「あらやだ。あの子、提督に連絡してなかったんですか?」

「えぇ……マジかよ」

「……悪い子ですね」

「……確かに擁護できないな」

「やっぱり一度、お灸を――」


「あ……」

「ん?山城じゃないか」

「……………………」

「……ね、姉様」

「……………………」

「山城、お前今日は外出するって本当か?」

「え?…外出……ですか?」

「え?そうだって扶桑が――」

「山城」

「!……ね、姉様」

「ちょっといらっしゃい」

「へ?な、なんでです――」

「山城」

「っ……」

「………………提督、少し山城と話してきます」

「え?わざわざどっか行くのか?」

「お言葉ですが、提督の前では少し……」

「え、えっと……そうか」

「申し訳ございませんが、しばらく待っていただいてもかまいませんか?」

「お、おう……」

「では山城」

「っ!……」

「行きましょう?」

今夜はこれだけです。不定期更新って断わってるし少なくても問題ないな

>>129レ、レベルが上がったから……

>>133え?春風は攻略中にやって来る娘ですよね?(煽り)

「…………ね、姉様……?」

「………………ねぇ」

「な、なんでしょう…?」

「どうしてここにいるの?」

「えっ、あ……その……」

「会わないようにって言ったわよね……?」

「そうですけど……でも、まさか執務室から出てきていたなんて――」

「提督と私は、昨日のうちに今日の仕事を終わらせたのよ?」

「あ……で!ですがこれは偶然で――」

「何を言ってるの?」

「へ?」

「貴女が部屋から出なければ良かったんじゃない」

「そんな……!」

「これが一番の安全策じゃない。どうして食堂からすぐに戻らなかったの?」

「し……時雨に呼ばれて…」

「……そう」

「…………姉様。おかしくありませんか?」

「……何がかしら?」

「こんなやり方ですよ!まるで私が邪魔みたいな……普通こういうのって、自分を磨いたりするものじゃないんですか!?」

「…………」

「……姉様やめてください…私、そんな姉様見たくありません…」

「……………………」

「そもそも、提督の近くには秘書艦の姉様が常にいらっしゃるんですから、姉様が一番有利ですよね?」

「……………………」

「それに、もしかしたら既に提督も姉様のことが好きかも――」

くぅ疲

「山城…それはわざとなの?」

「えっ……」

「私を手伝う振りを装って、あわよくば自分が提督と結ばれよう…そんなこと考えてないでしょうね……?」

「そ、そんなこと!」

「…………」

「……もしかして、姉様は私が提督のことを好きだと思っているんですか?」

「……………………あり得なくはないわね」

「あり得ません!私は姉様一筋ですよ!?」

「……本当に?」

「この気持ちは揺らぎません!」

「………………」

「えぇ!……ほ、本当です…」

「……山城。手を出しなさい」

「えっ……こ、こうですか?」

「…………嘘ついたら針千本飲ーます」

「っ!」

「指切った……ふふっ」

「…………」

「……本気よ?」

「っ!……わかりました」

「……ん、戻ってきたか」

「申し訳ございません…少々話し込んでしまって」

「……すみません提督、私が連絡するの忘れてました」

「そうか。次から気を付けてくれよ?」

「はい……それで今晩のことですけど、何時までに戻っていればいいですか?」

「えーっと…1730頃には戻ってきてほしいけど……そんなに外出するのか」

「えっ……まぁ」

「…………興味本意なんだが、なんの用事が――」

「提督、そこまで詮索するのは少し野暮かと」

「っ」

「あ……すまん」

「……でも、山城もそんなに怒らなくてもいいでしょ?」

「えっ……」

「ねぇ?……山城?」

「っ!……提督。そこまで詮索して…男として……最低ですね」

「………ごめんな」

「っ…………この分は今夜までキッチリ覚えておきますから。ではまた」

「いってらっしゃい、山城」

「………姉様…いってきます」

「……扶桑、山城怒ってた?」

「えぇ……もしかしたら今晩来ないかもしれませんね」

「えっ…いや、さすがにそれは無いんじゃないか?」

「……冗談ですよ」

「だよな……でも、怒らせちまった?……のは事実だし、今晩で汚名返上したいなぁ」

「……でしたらプレゼントなどいかがでしょう」

「ありっちゃありなんだが…何が良いだろうか」

「そうですね……後で間宮に行って何か買いましょうか」

「……まぁ、それが無難か」

「では…散歩の続き、しましょうか」

「そうだな」

朝潮育ててくる

次回作は朝潮ちゃんですね

よっしゃ!山城から言質取ったな!
扶桑姉さんがハッピーエンドに向けてまた前進したぞ

「皆頑張ってますね」

「…………」

「…提督?」

「……え?…あ、すまん」

「……何か考え事でも?」

「…………山城のことだよ」

「……確かに怒ってましたけど、過ぎたことです。間宮もまだ先ですし考えなくとも――」

「いや、そうじゃないんだ」

「違うのですか?」

「今思えば……あまり怒ってなかったような気がするんだ」

「……それは提督の願望ではないでしょうか」

「そうかもしれないが……ほら、あいつって機嫌が悪くなったら物凄い罵倒を浴びせてくるだろ?」

「っ!……」

「でもさっきのは……形だけ怒ったみたいな、そこまで気持ちが籠ってないように感じたんだ」

「皆頑張ってますね」

「…………」

「…提督?」

「……え?…あ、すまん」

「……何か考え事でも?」

「…………山城のことだよ」

「……確かに怒ってましたけど、過ぎたことです。間宮もまだ先ですし考えなくとも――」

「いや、そうじゃないんだ」

「違うのですか?」

「今思えば……あまり怒ってなかったような気がするんだ」

「……それは提督の願望ではないでしょうか」

「そうかもしれないが……ほら、あいつって機嫌が悪くなったら物凄い罵倒を浴びせてくるだろ?」

「っ!……」

「でもさっきのは……形だけ怒ったみたいな、そこまで気持ちが籠ってないように感じたんだ」

「…………私にはそうは見えませんでした。おそらく急いでいたからそう写ったのでは?」

「そうか……?まぁ、山城のことは扶桑の方がよくわかってるよな」

「……おそらくそうでしょう」

「うーん……山城のことをわかったつもりでいたが、まだまだだな」

「……そのために私がいるのでしょう?頑張りましょう」

「改めてよろしくな……ん?」

「……何やら騒がしいですね」

「……また卯月がいない」

「あ、あら…」

「神通は遠征に出ちゃってるし…俺も探してくる」

「……なら私も手伝います」

「ありがとう」

「ったく……案の定間宮でサボってたな」

「……提督って、叱ると意外に怖いんですね」

「えっ…まぁ、締める所は締めないと」

「…………ふふっ」

「どうした?」

「いえ……卯月ちゃんを見てると、なんだか私たちが家族みたいに感じて…」

「……わからなくもない」

「それがなんだか……その…楽しくて、つい…」

「……それでいくと、俺は義理の妹に不倫しようとしてるのか…」

「…………そうなりますね。悪い提督だこと」

「おいおい、やめてくれよ。俺は不倫なんてする気は更々無いぞ?」

「…………ふふっ」

「ん?」

「いえ…やはり提督は素晴らしい方です……………山城には勿体ないくらいに」

「え?今なんて?」

「独り言です。提督にそこまで思われて山城が羨ましいなと」

「そ、そういわれると照れるな……」

私の計算では、この投下速度だと明日で書き溜めが尽きます
台本形式だったらもっとスムーズに進むと思ったんですけどね…

>>153書くとしてもその前に間宮不知火大井っちがあってだな……

>>155お、おう…

「ついでに間宮で買ってしまおうか」

「…………」

「……どれがいいと思う?」

「そうですね……単純にこの羊羹はいかがでしょう」

「羊羹?」

「えぇ。真空パックで保管すれば、高い糖度と製作中に水分が抜けるお陰で常温でもかなり長持ちします。消費期限を気にしなくて大丈夫ですので、丸々一本という選択肢もあります」

「お、おう」

「それに、山城も好きですし」

「確かに山城は甘いもの好きだが……謝りながら羊羹渡すのか…」

「…………やめましょうか」

「そうだな」

「かといって、何か良いものがあるわけでも……」

「……これはいかがでしょう」

「……き○ちゃうキャンディーか」

「飴の色で占いができるらしいですよ?」

「いや…占いって……わざとだろ」

「……少し魔が差しました」

「最近は持ちネタみたいに扱ってる節があるけど、一応コンプレックスだから。……そういえば扶桑もじゃないのか?」

「私は慣れたので…」

「え…そ、そうか……」

「うーん……なんかしっくり来ないなぁ…」

「……でしたら、謝罪だけで――」

「よし、晩飯食べたあとに山城に選んでもらうか!」

「…………そうですね」

「……山城、何してるんだろうなぁ」

「もう……先ほどそれで機嫌を損ねたじゃないですか」

「だって、いつも扶桑といる山城が一人で長い間外出だぞ?」

「……そんなに気になります?」

「好きってのもあるんだろうけどさ。扶桑と違ってなんか危なっかしくて、目が離せないんだよなぁ」

「………………なるほど」

「姉としてわかる?」

「えぇ……もしかして、提督は妹を見るような目になっているのでは?」

「初めはそんな感じだったんだけどな」

「…………今は違いますか…?」

「そうだなぁ…」

大井っちに梅雨グラ下さい!なんでもしまry

それより「ものの弾みで提督に重傷を負わせちゃって孤立する大井っち」SSの構想を練るんだ!
こっちと同時進行だが、君なら大丈夫だろう。

どいつもこいつも山城山城山城!
姉より優れた妹など存在しねぇ!

奥様は扶桑姉妹

「……提督。今は山城のことは忘れて下さい」

「え?」

「メリハリです。今はあの娘のことを考える必要も意味も無いじゃないですか」

「……そう言われてもなぁ…」

「…………どこまで邪魔をするの…」

「ん?なんか言ったか?」

「……いえ。とにかく、なるべく考えるのはやめましょう」

「…………扶桑は、誰かを好きになったことはあるか?」

「…………ええ、あります」

「ならわかると思うんだが、程度はどうであれ頭からその人が完全に消えることはないんだ」

「…………たしかにそうですね」

「だろ?」

「視界に入らなくとも意識は常にすべてその方のこと。思考の大半は愛する方のことで埋め尽くされています」

「お、おう」

「今は何をしていらっしゃるのか。どこを向いて何を考えていらっしゃるのか。今の季節は寒くないか暑くないか。何が聞こえているのか……ついそのようなことを考えてしまいます」

「……ま、まぁ…そんな感じだ」

「……たしかに、忘れろというのは無理かもしれませんね」

>>165なにそれ興奮する

>>166ごめんなさい僕もどちらかと言えば山城派です

>>169あぁいうハーレム(から次第に仲違いして険悪な空気になるの)も好きです

山城全然興味なかったけどアーケードやったら可愛すぎて死んだ

扶桑型やそれ関連は…良いものだ…ハイライトさん居なくなりやすくてとても良い

「……ですが、あまりに近づきすぎるのもどうでしょう」

「え?」

「押しては駄目なら引いてみる……よくある作戦ですが、悪くないと思いますよ?特にあの娘に関しては」

「なるほど……って、今山城いないんだから関係ないじゃないか」

「練習ですよ。面と向かったときに、いかに自然な振る舞いで距離を取れるか。ここで怪しまれては本末転倒ですから」

「そういうことか……それならそうと先に言ってくれよ。逆のことをしてるみたいで少し疑ったぞ」

「…疑った…………ですか?」

「あぁ……まるでわざと嫌われるようなことをしてるのかってな。意味があったんならそういってくれよ?」

「すみません…てっきり伝わっていると解釈してました……私たちの仲ですから」

「ん?まぁ…たしかにわかることもあるけど、一応言ってくれないと疑っちまうからさ」

「…………そうですね」

「……そうだ。扶桑も羊羹が好きだろ?」

「はい…どうかしました?」

「扶桑と一緒に食べようかと思ってな…いろいろとお世話になっていることだし」

「良いのでしょうか?」

「いいのいいの。昨日も話したけど、君らには感謝しきれないほど助けてもらってるから」

「……ありがとうございます」

「じゃあさっきの羊羹を買おうか」

「では、私の部屋でいただきましょう。お茶もお入れします」

「それは楽しみだ……」

「いつもよりも気合いを入れて準備しますね」

>>172アーケードはやりたいんですけど、周囲の目(ニタニタしながら大井っちつついても変な目で見られたりしないか)が怖くて……あと並ぶ時間も厳しいですし

>>175ハイライトさんは仕事をしない方が喜ばれる。あると思います

あと最上ちゃんかわいい

「お邪魔しまーす」

「汚いですがどうぞあがってください」

「……そう言うわりには散らかってないけど」

「それならいいんですけど……お茶をお持ちしますね」

「よろしく」

「…………いいですね」

「ん?」

「この時間がです。提督と二人、ゆっくりと時間が流れて……平和をゆっくりと噛み締めているような、温かい気持ちになります」

「あー……」

「この時間が続けばいいのに……そう思いませんか?」

「そうだなぁ…」

「二人でゆっくりと過ごすんです……きっとこの世で一番幸せな時間ですね」

「……そのためにも、一刻も早く終わらせないとな」

「…………私に任せて下さい。提督の為ならどんな敵も殲滅させますから」

「頼りにしてるぞ」

投下しよと思ったけど、熱いんで寝ます
また後で


どんな敵もかー なんか髪型ショートカットとかしてそう

おかしいな…「眠いんで寝ます」って打ったつもりだったんだが……まぁいいか

「粗茶ですが」

「どうもありがとう……ん、美味い」

「羊羹も切りました」

「これは扶桑の分だろ?」

「私に丸々一棹は多すぎますよ。提督と半分こです」

「別に山城と分けても――」

「提督と食べたいんです」

「え……あ、そうか…ならいただこうかな」

「どうぞ……といっても、提督が買ってくださった物ですけど」

「でもお茶は扶桑の用意してくれたものだろ?このお茶がいいんだ。後味の無いさっと引く仄かな苦味が、包み込むような甘い羊羹を引き立てているんだよ」

「饒舌ですね」

「それほど美味しいってことだ」

「ふふっ……提督に買って頂いたこの羊羹。とても美味しいです」

「いやいや、扶桑のお茶があるからだよ」

「もう……譲りませんね」

「これは譲らんぞ?」

「…………そんなに」

「ん?」

「そんなに私の茶がお好きですか?」

「あぁ。毎日でも飲んでいたいな」

「ま、毎日……」

「おう…あ!別に変な意味じゃ――」

「そこまで言っていただけるなんて嬉しいです!ありがとうございます」

「……そ、そっか」

「生涯私が用意したお茶を飲みたいと言ってもらえて、とても幸せです……」

「い、いや……生涯とは…」

「ふふっ……」

「そ……そうだ!どうせなら非番の子たちを集めてなにかしようか!」

「…………ここにですか?」

「駄目か?なら俺の部屋で――」

「提督。そんなことしてどうなりますか?」

「…………え?別にどうって…強いて言えば、仲良くなれる……か?」

「…………私は?」

「勿論扶桑も来るといい」

「いえ……今」

「ん?」

「私と二人っきりでいるこの状態が嫌なのですか?」

「は!?い、いやいや!そんなことは――」

「なら!何故他の子の所へ!?私ではいけないのでしょうか!」

「え!?扶桑――」

「提督はそんなに私から離れたいのですか!?」

「……落ち着け…な?」

「!……はい」

「な、何に怒ってるのかは正直わからないけど…俺は扶桑のことも大事に思ってるから…」

「すみません……少し取り乱しました」

「い、いや……大丈夫だ」

「…………少し、喉が渇きましたね」

「え?あ、まぁ……」

「お茶を用意しますね」

「え……た、頼んだ」

「提督のために、とっても美味しいお茶を用意します……提督のために」

「お……おう」

「…………あれ?」

「あ、目が覚めましたか」

「扶桑……え?俺は…」

「…………どうかしました?」

「えっ…と……なんか頭がフラフラして……」

「…………」

「たしか…一緒にお茶を飲んだんだよな」

「えぇ。とても誉めていただきました」

「そうそう…で………なんだっけな」

「そのあと、提督は私の布団でお休みになられました。とても眠たそうにしていらっしゃったので」

「そう……だったか?それは悪いことをしたな…」

他の艦娘の視点は無いのかな?

今日はここまで
ほのぼのパートは必要だと思うの

>>185ショートの深海棲艦っていましたっけ…?

>>194すまんな。話に必要ない娘はあまり書かない主義(意訳:そこまで手が回らない)なんだ
気が向いたら書くけど

これは事後ですねぇ間違いない

「……提督の寝顔、とっても格好よくて素敵でしたよ」

「え、見たの?」

「ずっと。膝枕ですとそれくらいしかやることがなくて」

「もしかして、ずっとしてくれていたのか?」

「そうですね……迷惑でした?」

「そんな滅相もない!むしろ嬉しいな……あ、へんな意味じゃな――」

「それは私も嬉しいです……私も幸せでした」

「え?」

「提督と二人でゆっくりと過ごせて……とても幸せでした」

「そ、それはよかった……」

「ところで、今何時だ?」

「1700になろうとしています」

「え!?そんなに寝てたのか!」

「えぇ……やはり、お疲れですか?」

「うーん……そんな感じは無いんだけどなぁ…」

「もっと私に頼ってくださいね?」

「……このやり取り、昨日もしたな」

「ふふっ…そうでしたね」

「しっかし…そんなに疲れが溜まってるのかぁ?」

「ですから、ここは私に…」

「……明日に病院に行くかな」

「………………」

「大袈裟かもしれんが、念のためだ……ん?どうかしたか?」

「…………少し目眩が…」

「えっ!大丈夫か?すぐ退くよ」

「もう少し……」

「え?」

「もう少しだけ、休みませんか?」

「……まぁ、いいけど」

「……実は、足が痺れてしまって…」

「あ、悪い!なら今すぐ――」

「待って!」

「どうした?」

「いきなり血流が良くなると、更に辛くなると思うんです」

「あ、あぁ…だが、だからといってこのままというのも……」

「申し訳ありませんが、ゆっくりと頭を上げていってもらえませんか?」

「え……まぁ…わかった」

「…………ふふっ」

「く、くすぐったかったか?」

「いえ。提督が私を気遣ってとてもゆっくりと動いてくださるから…嬉しくて」

「そんな、もんなのか…?」

「私にとって、提督が私を思ってしてくださること全てに嬉しさを感じてしまうんです」

「っ……そ、そうか」

「……ふふっ――」




「姉様、帰宅しました……!」

「…………………………」

>>199ここは花も恥じらう少女たちの健全なラブコメスレですので、そのようなことは今後一切起こりません

ラブコメ読んで背筋がゾッとしたの初めてだな

病ましてBADだといつもと変わらんから山城展開に持って行った方が新鮮かもねん

「ん、帰ってきたか」

「は、はい………」

「………………」

「ね…姉様……」

「おかえりなさい、山城」

「っ…はい……」

「どうかしたの?そこで立ち止まってたら廊下を通る皆の迷惑にもなるわ」

「そ、そうですね!」

「ふふっ……気を付けなさい?」

「わかりました…………と、ところで提督は何を…?」

「ん、これは…なんと言ったらいいんだろうか」

「提督が私から離れたくないと」

「えっ」

「そ…そうなんですか」

「いやいや、扶桑の冗談だよ!」

「………………えぇ。冗談よ」

「へ、へぇ…」

「……なぁ」

「は、はい!なんですか!?」

「えっとだな……さっきはごめんな」

「さっき……?」

「あの、しつこく聞いたことだよ」

「あ……い、いえ!気にしてませんよ」

「それで、お詫びとして何か渡したいんだが……」

「えっ……お気持ちは嬉しいんですけど…」

「……山城、どうして私を見るの?今提督はあなたに話しているのよ?」

「そ、そうですね……」

「失礼だわ」

「す、すみません……」

「え?…まぁたしかに、失礼じゃないと言えば嘘だけど……そこまで気にしてないから」

「……山城」

「っ!」

「よかったわね。提督が許してくださって」

「え…えぇ」

「だからそこまで……まぁいいか。これでお咎めなし。いいだろ?扶桑」

「………………提督がそうおっしゃるのなら」

「ほっ……」

「……ところで扶桑。そろそろ足は大丈夫か?」

「…………えぇ。お陰さまで痺れがとれました」

「なら起きるぞ……っと」

「……………………」

「よし、じゃあ俺も財布やら用意してくる。扶桑は…時間、かかるよな」

「……えぇ」

「……山城は今街から帰ってきたばかりだが、かかるか?」

「あ……」

「ん?」

「あ、いえ!このまますぐにでも行けます!」

「そうか…じゃあ山城と一緒に門前で待っておくか」

「……………………そう、ですか」

「っ!……あ、あの…」

「あ、もしかしてダメだった?」

「その……なんと言いますか…」

「先に行ってらっしゃい」

「……よろしいんですか?」

「えぇ。むしろ何を心配しているの?」

「えっ……いえ、なんでもありません」

「……よくわからないが、山城は良いのか?」

「だ、大丈夫です」

「そうか…なら先に行っておくからな」

「……そうだわ」

「どうかしたか?」

「そういえば山城に言わなければいけないことがありました」

「っ」

「少し時間がかかりますので、提督お一人で先に門で待っていていただけませんか?」

「そういうことなら」

「じゃあ、山城」

「……はい」

「……提督は行ったようね」

「あ、あの……」

「山城」

「っ!」

「あなた空気も読めないの?」

「えっ、その、えっと……」

「事の重大さがわかってるの?」

「わ、私は帰ってきたばかりで――」

「あなたはとことん私の邪魔をするのね」

「ですがわざとじゃ……」

「そういう問題ではないの。邪魔をした。それが問題なのよ」

「そんな…」

「いい?あなたは提督に嫌われなければならないの」

「………………」

「……これ以上長く話していたら私が変に見られるわ。あとは自分で考えて行動なさい」

「……………………わかりました」

書き溜めは使い果たすもの

>>210胸がキュンキュンの派生だからセーフ

>>211まるで私の書くものはすべてエンディングが似ているみたいな言い方はやめてもらおうか(否定はしない)

>>

ただのイジメみたい
やっぱりこれは山城も病んでくれたほうが面白いわ

ヤンデレへの対抗策は自分自身もヤンデレになることだってじーちゃんが言ってた

この場合山城は扶桑姉様にヤンデレるんだろ?
わくわくしてくるな

「っ………姉様…」

「あ、山城」

「提督!?」

「そんなに驚くか…?」

「い、いえ。もう少し先に行ってると思っていたので」

「あー……少し遅めに歩いたからな」

「……提督は」

「ん?」

「…………姉様を、どう思っているんですか?」

「扶桑?……気が利くし、強い芯が通った娘だな」

「そういうのではなくて…その……かわいいとか…」

「…………まぁ、綺麗だよな。でも」

「……でも?」

「扶桑は美人であって、可愛いとは違うんだよ」

「は、はぁ……あの、そういう話では――」

「どちらかというと、可愛いのは山城で――」

「……えっ」

「あっ」

「…………」

「ああああああ!いや!これは……違うんだ!」

「……私は提督から見て…可愛いん、ですか…」

「えぇっと……その………はい」

「…………」

「べ、別に下心があったわけじゃなくて…ついポロっと……」

「…………っ。どこがですか?」

「えっ」

「……私みたいな不幸戦艦が可愛いだなんて…具体的には?」

「えっ…それ言わないと駄目?」

「セクハラで憲兵に通報しますよ」

「…………庇護欲がそそられるっていうか、優しくしてあげたくなるというか…」

「っ!……へぇ…」

「へ、変な意味は無いからな!」

「守りたくなる……提督はそういうのがお好きなのですか?」

「……そうかもしれないな」

「……提督は私を守ってくれるんですよね」

>>222自覚はあるんですけど、これくらいしないと山城が扶桑から離れる気がしないんです(偏見)

>>223今上映中の某ホラー映画を思い出した

>>225それも候補の1つですね

>>231
「呪われたけど人間の力じゃ化物を倒せないンゴ……せや!化物には化物をぶつけて共倒れさせたろ!」ってかんじ
なお、ゴテンクスになる模様

「…………どうした?苛められてるのか?」

「っ!………………そ…そんなわけないじゃないですか!」

「そ、そうだよな!」

「…………提督、1つお願いしてもいいですか?」

「ん?」

「…………こう……頭を…」

「頭?」

「その……よ、よしよしーって」

「よしよし?」

「な……撫でて下さい…!」

「…………」

「……優しくですよ」

「………………はい?」

「な…なんですかっ!」

「えっ……へ?」

「なんでも言うこと聞いてくれるんじゃなかったんですか!」

「な、何かあったのか!?」

「特に意味はありません!その…気分です!」

「……そうか。いやでも…」

「な、何か問題が?通報はしませんよ」

「そういうんじゃなくて…今人通りが少ないとは言え、廊下でいきなり――」

「……お願いします」

「っ!……わ、わかった…」

「―――ぁ」

「……こんな感じか?」

「~~~っ!」

「うおっ!い!いきなり抱きつくな!」

「…………っ…」

「…………泣いてるのか?」

「…そんなわけ……」

「……実は今日、泣ける映画を観に行ってたんです」

「へぇ……えっ、それで?」

「……悪いですか?」

「そんなことはないけど……映画観に行ってたのか」

「はい」

「今泣けるやつやってたかな……なんてタイトルだ?」

「……忘れました」

「えっ…そ、そうか……」

「…………あの」

「ん?」

「もう結構ですから……腕を退けてもらえませんか?」

「あ、すまん!」

「……ぁりがとうございました」

「……元気は出たか?」

「……少しは」

余裕があれば夜に

>>232おい…まさかそれ、ネタバレじゃ……

「……扶桑はいろいろと溜め込んじゃうタイプだけど、山城もか」

「あ、あれは映画を観たからで…」

「……とにかく、辛いことがあれば俺に言ってくれよ?」

「…………わかりました。あれば、ですけど」

「そうか…」

「……ふんっ、そんなに人の弱味を握りたいんですか?」

「今さら強がったって、虚しいだけだぞ?」

「あれは関係ありませんから!」

「……ふっ」

「な、なんですか?」

「いいのか?……さっきの山城の恥ずかしい姿を扶桑に報告――」

「本当にやめてください!」

「えっ」

「それだけは!お願いです……本当に…ダメなんです……」

「…………そ、そんなに?」

「とても……恥ずかしいです…」

「そ、そうか……まぁ冗談だけど」

「……本当ですか?」

「そこまでいやがるとは思わなかった」

「……よかった…」

「そんなに恥ずかしいのか……」

「……あの」

「ど、どうした?」

「……姉様って、美人じゃないですか」

「え?おう…」

「……その、好…」

「え?」

「好きに……なったり…しませんか?」

「そうだな…あー…っと……」

「…………」

「……実は、別に好きなやつがいるんだ…」

「えっ……ほ、本当ですか…?」

「ま、まぁな…」

「そのことは姉様はご存じで!?」

「え、あ…おう……」

「………………なるほど。なら…」

「……あの、山城?」

「………なんでもありません」

「…………そ、それにしても姉様遅いですね」

「そうだな……ん?」

「どうかしました?」

「いや……山城って部屋のドア開けっぱなしで来た?」

「いえ……」

「じゃああの扉、なんで開いてるんだ?」

「っ!」

「扶桑か?……トイレにでも行ったのかな」

「………………」

「……まぁ、ここで待ってたら来るか」

「…………え、えぇ…」

「お待たせしました」

「お、来たか」

「待たせてしまってすみません…」

「いやいや、女性の準備は念入りなもんだってしってるし」

「ありがとうございます……あと山城」

「っ!」

「………………わかってる?」

「っ……はい…」

「わかってるって?」

「……あまり食べ過ぎないように、ということです」

「あぁ、健康のために…か」

「そうですね」

「…………っ!ね、姉様!」

「どうかしたの?」

「こ…今夜話があります!」

「……そう。わかったわ」

「…………じゃあ、そろそろ行こうか」

今日はここまで
……やっぱりまだ山城を虐めたりない気がしてきた

「うわ……おっきい…」

「ここの11階だ」

「提督のエスコート、楽しみです」

「えっ……そ、そこはあまり期待しないでくれ」

「そ…そうですよ!この人にエスコートなんて………」

「…ん?」

「なんでもありません……」

「…………なぁ山城」

「っ!」

「何を心配してるのかわからないけど、そんなに気を使わなくていいぞ?」

「えっ…」

「お前もディナー食べたかったんだろ?もっと普段通り気楽にしてていいからさ」

「…………提督。覚悟してくださいね」

「え?」

「破産するまで食べますから」

「えっ…それはちょっと……」

「さぁ、行きましょう!」

「4人テーブルですか。中途半端ですね」

「むしろ3人用なんか無いんじゃないかな…で、どう座る?」

「そうですね…宜しければ提督の――」

「ね、姉様は提督の向かい。私は 姉様の隣でどうですか?」

「………………山城?」

「そうするか…ちょっとトイレ行ってくるわ」

「……わかりました」



「……山城、どういうこと?何故私を提督の隣にしなかったの?」

「ね、姉様誤解です!」

「…………」

「丸い机ならともかく、こういう四角い机は隣だと顔が見えないんですよ!」

「…………なるほど。ちゃんと考えていてくれていたのね」

「当然です!」

「疑ってごめんなさいね」

「いえ!私こそ…」

少ないけれどここまで
あと意中の相手とテーブルに着くときは斜め向かいが良い位置らしいです。是非活用してください

>>258
相手と飲み物を飲むタイミングをさりげなく合わせるとかすると親近感を与えられるらしいっすよ
あとは自分のコップを相手のコップの近くに置けるほど気を許してる証拠になるんだとか

「……うん、美味い」

「提督は、よくここへいらっしゃるのですか?」

「まさか!そんな贅沢できるわけないだろ?」

「では…そうですね……軍の忘年会などの会場だったとかでしょうか?」

「…鋭いな……去年の新年会の会場だ。ここはなかなかに値段が張るから、滅多に来れないぞ?」

「ふふっ…そんな場所を用意していただきありがとうございます」

「いやいや!日頃の扶桑らの活躍からしたら……山城?」

「はい!?……なんですか?」

「いや……なんか静かだったからさ」

「そそれはですね……そう!美味しすぎて…」

「そうか?ならいいんだが…」

「私はあまり気にせずに…どうぞ」

「どうぞって…」

「ごちそうさまでした」

「いやいや……やっぱあそこの店は美味いなぁ…」

「えぇ、また行きいです…」

「さすがに頻繁には無理だぞ?」

「わかっていますよ」

「通うぐらいになると、内職もしないといけなくなるからな……山城?」

「……なんでしょうか」

「いや……なんか歩くの遅いなーって。体調悪い?」

「大丈夫です。むしろあんな美味しいものいただいたので、いつもより元気いっぱいです!」

「……なんか元気がないように見えるんだけど」

「……本当はもっと食べたかったんですけど、財布からすとっぷがかかってしまいましたからね…」

「えっ…だってあんなに食べるとは思ってなかったから…」

「まぁ、姉様が仰ったからやめて差し上げましたけども」

「……なんだ。元気じゃないか」

「だから元気って何度も……」

「そうか、すまん……っと」

「それでは私たちはこれで」

「あぁ。また明日な」

「お休みなさい」

「おやすみ……山城も、おやすみ」

「…………お休みなさい」

「…………さて」

「っ……」

「話って何かしら?」

「えっ…と……姉様が外出の準備中に提督と話してたんです」

「えぇ、知ってるわよ?」

「それで……提督には姉様以外の好きな人がいるっていうことも、聞きました」

「…………そう」

「……姉様。この山城にとって大切なのは姉様なんです!」

「…………」

「提督にその……す、好かれていて、悪い気は…まぁ……しませんが…………」

「………………」

「あああ!えーっと!悪い気がしないってだけで、別に好きだとかはありませんから!」

「………………」

「誓って本当です!」

「……わかったわ」

「姉様……」

「……それで、話って何かしら?」

「っ!」

「まさか提督に好かれていることを自慢したかっただけなの?」

「い、いえ!…それで、本題なんですが………私は姉様のため一生懸命頑張ります。ですから……私を目の敵にするのはやめていただけませんか……?」

「…………」

「…………っ…」

「山城」

「っ!ごめんなさい!出すぎたことを!」

「何を言ってるの?」

「へ……?」

「別に山城を嫌いになったわけじゃないのよ?ついどうしようもない怒りが溜まって……ごめんなさい」

「姉様……安心してください!」

「山城…」

「この山城、提督のことなんか好きになりません!」

「……提督のことなんか…」

「あっ、いえ!今のは言葉のあやで……」

「……信じるわよ?」

「お任せください!必ずや提督と姉様をくっつけてみせます!」

「頼りにしてるわ…ありがとう」

「山城」

「な、なんでしょうか…」

「何度も言うけれど、ごめんなさいね……私が声をかけるだけで怯えて…」

「そ、そんなこと……」

「……わかったわ。あなたに色々強いるのが間違いだったのね」

「姉様!」

「だから、部屋から出ること少しだけ許すわ」

「……えっ」

「そうね……1…2時間は許します」

「ね…姉様……?」

「確かにそそくさと部屋に帰るというのも却って怪しいわよね…ごめんなさい」

「…………あ…あの……」

「どうかしたの?」

「あ……いえ、なんでも――」

「山城!」

「っ!」

「何か言いたいことがあるなら言いなさい!」

「あっ、その……もう少し…」

「もう少し何?」

「……もう少しだけ…外に出てもいいんじゃ…………」

「………………山城?」

「ひっ!……すみません!」

「私はあなたを信用しているのよ?だけど、提督に好かれていることは変わらないの。わかるかしら?」

「は、はい!」

「でも、あなたは協力してくれるのよね?」

「勿論します!執務室にも近づきません!」

「それは当然よ…それでもね?今日みたいに提督と散歩も楽しみたいの」

「大丈夫です!わかります!」

「ならあなたが外に出なければいい……でもあなたは私のために頑張ってくれる……そこに免じて2時間も余裕をあげたの」

「わかりました!ごめんなさい!」

「……そう、わかってくれたの」

「はいわかりました!ですので、そ…その主砲はおろして下さい…!」

「……わかってくれて嬉しいわ」

「………………」

「明日も早いから、そろそろ寝る支度を始めましょうか」

「…………はぃ…っ」

今日はここまで

いくつかあった候補からようやくエンディングを決めたので今後の投下がスムーズになるかと思われ

>>259コップを近づけ過ぎて山城のコップを倒しちゃう扶桑姉様

「………………姉様?」

「………………」

「……寝て…ますか?」

「………………」

「…………っ…」



「………………はぁ……」

「おっ、山城」

「提督!?」

「な、なんだよ…そんなに大声出さなくても」

「あ、すみません…」

「こんな時間に食堂の電気がついてたから寄ってみたんだが…喉が乾いたのか?」

「え、えぇ……」

「…………なぁ山城。お前、やっぱり無理してないか?」

「っ!」

「俺の勘違いだったらいいんだが…」

「………………提督は」

「え?」

「その……とても疲れたときって、どうしてますか?」

「……昨日みたいに早く寝る」

「えっと…精神的に、です」

「精神的に?そうだなぁ……」

「…………」

「誰かに頼るかなぁ。まぁ、大抵が山城や扶桑なんだけど」

「……頼る、ですか」

「やっぱり助けあってこそ楽ができるんだよ」

「…………提督は姉様に頼りすぎです」

「うっ……まぁ…そうかもしれないけど」

「…………」

「扶桑とかどうだ?どんな悩みでも聞いてくれそうだけど」

「っ!……そ、そうですね…」

「……も、もし」

「……」

「前も言ったけど……もしも扶桑に気軽に相談できなかったりするのなら、俺でもいいぞ?」

「!…………ふふっ」

「えっ…な、何笑ってんだ…」

「いえ……そうですね。最悪の場合の最終手段に、頭の片隅に留めておきますね」

「……どうだ?また頭撫でてやろうか?」

「訴えますよ」

「えっ」

「……お気遣いだけ受け取っておきます」

「そ、そうか……」

「じゃあ、私はそろそろ寝ます」

「ん、おやすみ」

「…………提督」

「ん?」

「その……あ、ありがとう…ございました」

「えっ」

「ぉ…おやすみなさい!」




「……………………」

今日はここまで

飴か鞭かで言えば今回は飴


飴というか山城が「いなくなる」カウントダウンにしか見えないんですが…

もう提督を煽った後に山城にこっぴどく振らせてから傷心状態を慰めたほうがいい気がする

「……山城」

「……ん…おはようございます」

「おはよう山城……よく眠れたかしら?」

「へ?……はい、ぐっすりと」

「そうよね……当然だわ」

「?あの……話があまり…」

「……ねぇ山城。あなたは私と提督をくっつけるために頑張ってくれるのよね?」

「え、えぇ……そのつもりですけど…」

「なら……この新聞は何かしら?」

「この新聞?」


『提督。深夜の食堂で逢い引きか!?エースと指揮官の裏事情』

「…………はい!?」

「こ、これは……?」

「青葉さんの今朝の新聞よ……そんなことより、この写真と見出しは本当なの?」

「いえそんな!あれは偶然で!」

「……あのあと、私が寝た頃に真っ暗な食堂へ行って、偶然提督にあったのね?」

「え、えぇ!本当なんです!」

「……偶然だから何?」

「っ!」

「昨日話したばかりよね?」

「あ、その……」

「何度も言うけれど、私を手伝ってくれるのなら提督と鉢合わせすることを無くしてくれないかしら」

「で、ですがあのときは喉が渇いて……」

「……あなたは今日は風邪ね」

「えっ…?」

「他の人に移してはいけないから、一日中部屋で寝ておきなさい。いい?」

「えっ!?し、食事やトイレは?」

「食事は私が運ぶわ…トイレは……いいけれど、なるべく外に出ないこと。勿論それ以外で出てはダメ」

「そんな!」

「何?文句があるの?」

「ひっ!」

「本当に療養が必要な状態にしてもいいのよ?」

「わ、わかりました!」

「……というわけで、山城は部屋で寝込んでます」

「風邪か……昨日から元気なかったもんな…」

「…………」

「悪いことしたなぁ」

「……そうご自分を責めないで下さい。体調管理ができなかった山城の責任です」

「そうは言っても……よし」

「どうしました?」

「仕事が一段落ついたら、見舞いに行こうか」

「……それはお止めください」

「え?」

「提督はここの最重要人物。万が一風邪がうつってしまうと、鎮守府が回らなくなります」

「うーん…でもなぁ…」

「何より、私たちは提督よりも体は丈夫なんです。山城が倒れるほどの熱では提督は大変危険です」

「………………わかった。山城によろしく伝えておいてくれ」

「はい」

今日はここまで

>>277異動かな?

>>280扶桑は山城を信じきっていないから押さえ込もうとしている。あとはわかるな?

時雨が上手くかき回してくれそう
ドロドロにww

山城たん虐めたい

「それと……話は変わるのですが」

「ん?」

「今朝、青葉さんの新聞を見ました」

「あー……あれか」

「あれは?」

「単に喉が渇いたから食堂へ行ったら鉢合わせただけだよ」

「……そうですか」

「さすがにコソコソと逢い引きなんかしないって」

「…わかりました」

「青葉には俺が言っておくよ」

「………姉様はどうしてあんなことになったのかしら……」

「以前からピリピリしていたけれど、それをこれほどまで…」

「……何もかも提督のせいよっ!」

「提督が私を心配して、姉様がそれを見て不機嫌になって……不幸だわ…」

「そもそも今朝も……あれは提督は悪くないわね」

「悪いのは……」

「…………今はまだ仕事のはず…」

「……よし」

「この部屋ね…………ねぇ!」

「はいはーい!少々お待ちくださーい……」

「…………」

「はい!お待たせしました!青葉で……あ」

「ちょっと今朝の新聞について聞きたいんだけれど、いい?」

「や、山城さん!」

「ちょっと、声が大きいわ」

「どうしました?……あ、新聞読んでいただけたんですね!」

「……なんであんな記事作ったのよ」

「へ?」

「へ?って……そのせいで迷惑してるの」

「え、そ、そうなんですか?」

「……そうなんですかって…当然じゃない。あんな奴と逢い引きだなんて」

「……え?」

「えって……」

「……あの、司令官のこと、嫌いなんですか?」

「当然!きら……」

「……きら?」

「…………好きではないわ」

「ほほう…?」

「な、なによ…」

「いえ、お気になさらず!」

「と、とにかく!あぁいう記事はやめてちょうだい!」

「んー……」

「人が嫌がることをしてまで新聞書きたいの?」

「……そんなに司令官が嫌いなんですか」

「え、えぇ…」

「それは悪いことをしてしまいましたねぇー……謝罪として号外を――」

「そ、そういうのもいいから!」

「あ、そうですか…」

「私が言いたかったのは、あんなスキャンダルみたいな書き方をやめてってこと!いい!?」

「はいはーい!了解しました!」

「…………わかったのかしら」

「とーぜんです!こう見えて締めるところはしっかりしてますから!」

「ならいいけど……」

「……ところで山城さん」

「何?……私体調よくないからもう帰りたいんだけど」

「昨夜は司令官と何をしていたのですか?」

「っ!もう帰ります!」

「わー!待って下さい!冗談です!冗談!」

「…………なに」

「最近扶桑さんがピリピリしてるって、本当でしょうか?」

「っ!……さぁ、わからないわ」

「うーん…そうですか……」

「もう話は終わり?」

「あ、はい!ご迷惑をお掛けしました」

「……ああいう記事は、書くならその人に許可を貰ってからにしなさい」

「お幸せに~あ、間違えた。お大事に~」



「………違うわよ…提督はいい人だけど」

「きら…いではないけれど………好きじゃない。そう、そうよね…」

「…………部屋に戻らないと…」

「…………提督はいい人なだけであって、姉様が一番!……?」

「姉様…が?」

「…………ううん、そうよ。今の姉様は少し余裕がないだけで……」

「提督なんかよりずっと素晴らしい……」

「………………もう寝ましょうか」

今日はここまで

>>286今後時雨は出ません。時雨好きの皆さん、すみません

>>288個人的には泣かせたい娘上位に食い込んでます

「やっぱりメリハリは大事だな。昨日の今日で物凄く集中できる」

「そうですね…」

「……っと」

「あら、もう終わりに?」

「全部じゃないけど、一段落ってところかな」

「……そろそろお昼にしましょうか。よろしければ作りましょうか?」

「……いや、食堂で食べようと思う」

「そうですか……ご一緒しても?」

「勿論」

「……なぁ、やっぱり山城――」

「駄目です」

「そ、そっか…」

「……この時間はやっぱり混んでるな」

「少し待つことになりそうですね」

「まぁ休憩時間が延びると思えばありがたいな」

「ふふっ…そうですね」

「先に席取っておくか……あそこ空いてるな」

「隣は……青葉さんですね」

「ちょうどいい。少し注意しておくか」

「……おい」

「あ、司令官!」

「隣空いてるか?」

「どうぞどうぞ!……そのかわり、少しお話いいですか?」

「奇遇だな。俺も話があるんだ。小言だがな」

「えっ」

「……今朝の新聞はなんだ?」

「え、あ…またですか……」

「また?他の奴にも言われたのか?」

「えぇ。つい1時間ほど前に」

「……誰に言われたのかしら?」

「山城さんですよ」

「……山城?」

「ええ。今後は相手のプライバシーを気にかけろーって言われました」

「なんだ?あいつ動けるのか?」

「あ、いえ。それを言ったらすぐに帰っていきましたよ」

「それ言うためにわざわざって…それほど嫌だったのか……」

「…………………………」

「まぁ、山城から言われたんならわかってると思うが――」

「あーはいはい。りょーかいでーす」

「…………まぁ、いいか」

「ねぇ、青葉さん」

「どうしました?」

「山城は辛そうだったかしら」

「そーですねぇ……気分は良くなさげでしたね」

「…………そう。提督」

「ん?」

「食事が終わったら、少しだけ暇をいただけないでしょうか」

「……あー。山城の」

「はい。食事を持っていくと約束したのは私ですから、待たせ過ぎては悪化してしまうかもしれません……たとえ出歩ける力があったとしても」

「そうだな」

「あ!でしたらその間だけ青葉が秘書艦代理なんてどうですか?」

「えー……青葉が?」

「………………」

「その目はなんですかぁ?青葉もちゃんとできるんですよ?」

「…………うーん…たしかにある程度終わってるし、扶桑の休憩と考えたら――」

「青葉さん」

「扶桑さん、どうですか?たまには他の人に譲ってみたり――」

「ありがたい申し出だけれど、断らせてもらいます」

「……へ?」

「たしかに私以外の方も慣れておく必要があるやもしれません」

「なら――」

「ですが」

「っ!」

「私の方ができますから」

「……え」

「お、おい…その言い方は…」

「……誤解させてしまってすみません。私が言いたかったのは、適材適所、ということです」

「…………ほほぅ?」

「……たしかにそうですね。青葉が下手に弄るよりは確実ですし」

「……なら」

「ですけど、どーしても司令官の部屋が見たいんですよ!」

「…………」

「仕事には手をつけず、扶桑さんが戻ってくるまででいいですから!」

「それ俺が得しねぇけど…」

「いーじゃないですか!青葉は提督の部屋に興味があるんですから!」

「おい」

「……わかったわ」

「ありがとうございますー!では、お二人が食事を終えるまで待っておきますね~」

「……ごちそうさま」

「それでは私は山城の元へ昼食を持っていきますね」

「そうか」

「なら青葉が司令官を見張っておきますね!」

「…………変なことはやめてくださいね」

「りょーかいしました!」

「……じゃあ、行ってきます」

「おう」



「…………司令官。ひとつ気になるんですが、山城さんはそれほど重症なんですか?」

「ん?すっごい熱が出てるらしいけど」

「…………そーですかぁ…あ!ちょっと用事を思い出しました!少し出掛けてきます!」

「えっ」

「…………ぃとく…」

「山城」

「ん…ふぁ……ふぁい…!」

「寝てたようね」

「!姉様!?」

「何を驚いているの?約束通り昼食を持ってきたわよ」

「え?…あ。は、はい」

「……ごめんなさいね、山城。ぐっすり眠ってたみたいで」

「そ、そうですね」

「…………あれから、ずっと寝てたのかしら?」

「は、はい!」

「……………………そう」

「ええ!それはぐっすりと――」

「嘘をつくのね」

「ひゃい!?」

「青葉さんから聞いたわ。少し前に会ってたそうじゃない」

「え、えっと……その…」

「山城。なんのために嘘をついたの?」

「その……」

「………………わかったわ。あなたは私の邪魔をするのね」

「っ!ち、違うんです!」

「何が違うの?約束したこともすぐ破り、おめおめと外に出て……」

「ごめんなさい!ごめんなさいぃ!」

「邪魔するのならあなたを沈めてもいいのよ?」

「ひっ!」

「でも、練度の高いあなたが沈むのは怪しまれるわ。だから……」

「ま!…まっ、て……待って下さい!」

「もう十分許してあげたけど、これは少し罰が必要よ…そう思わないかしら」

「もうしません!ちゃんと大人しくします!ですから――」

「…………本当?」

「へ…?」

「本当の本当に、私の邪魔をしない?」

「は、はい!勿論です!」

「……山城。私も好きでこんなことしてるわけじゃないのよ」

「は、はい……」

「………次は無いわよ。どんな状況でも、即座に撃つわ」

「わ…わかりました……」



「こ、これは……大変なものを見ちゃいました…」

今日はここまで
扶桑姉様がかわいそうになってきたから扶桑姉様のいちゃいちゃを書きたい(書くとは言ってない)

たぶんあと二日回の投下で終わるかと

青葉の溺死体ががが…

あああああああ山城泣かせたいよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

「……遅れてすみません」

「お、扶桑!よかった……」

「……青葉さんは?」

「それがさ…どっか行っちゃって、結局手伝いもなにもしてくれなかったんだ。助かったよ」

「………………そうですか」



「…………はぁ…」

「……や、山城さぁん」

「!……青葉さん?」

「そうです……その…」

「……見てたのね」

「……はい…」

「…………お願い、この事は誰にも――」

「わかりました……」

「…………姉様は、提督が私のことを好いているから私に当たるの」

「な、なるほど…でも、あれは――」

「そうね。少し度が過ぎている気がするわ」

「気がするって…!物凄く過ぎてますよ!」

「……でも、私は提督に興味なんて無いの…」

「なら、それを言ってみては……」

「その都度タイミング悪く提督に出くわすの…それを姉様は私が故意に会ってるんじゃないかって」

「そ、それは…」

「不幸だわ……」

「……あっ!」

「な!なに!?」

「あ、別に驚かせたかったわけではなかったんです…」

「びっくりしたじゃない……」

「すみません……それで、ひとつ思い付いたんですけど…山城さんが提督をフればいいんじゃないですか?」

「……どういうこと?」

「ですから……提督を呼び出して『気持ちには薄々気づいていましたが、ごめんなさい』みたいなかんじで…」

「…………それは盲点だったわ」

「では!」

「……でも、それでも姉様に変に見られそうで…」

「えー……山城さんは扶桑さんに臆病すぎるんです!」

「で、でも……」

「わかりました!では先程の扶桑さんと山城さんのやり取り。これを司令官に見せましょう!」

「えっ!?それは……」

「誠実な司令官なら打破してくれるはず!山城さん寄りの司令官ならなおさらです!」

「でも、姉様が……」

「そんなあまっちょろいこと言ってる場合ですか!脅迫ですよ!脅迫!」

「っ!」

「これが一番です!白日の元に晒しましょう!扶桑さんのためにもなるんです!」

「……そう、よね…」

「えぇ!このままではいけません!」

「……青葉、ありがとう」

「いえいえ!こちらもこんなスキャンダルが……あ、失礼しました…………ところで!本当に司令官に何の感情も無いんですか?」

「っ!?な、なんで……」

「あの写真を見て確信したんですよ!やはりこの二人はデキてるって!……違うんですか?」

「だから何度も違うって……」

「うーん…そうですかぁ……」

「…………当然だけど、ここで話したことは他言無用よ」

「司令官以外には…ですよね」

「…………扶桑姉様には、真っ直ぐなままでいてほしかったの…」

「早めに対処すれば……このデータ、すぐ渡しに行きますね!」

「!なら私が――」

「それはダメです!あくまで第三者に見られた。その体でいくのがもっとも安全なんです!」

「…………お願いするわ」

「はい!では!」

「やっぱり扶桑がいたら捗るよ……それにしても、青葉どこ行ったんだ…?」

「青葉さんは気まぐれで動いてますからね……」

「って言ってもなぁ……」

「……提督」

「ん?」

「……少し離れてもよろしいでしょうか?そろそろ山城の食器を片付けないといけないので」

「あ、そうだな。行っておいで」

「失礼します」



「…………山城」

「っ!……ね、姉様…?」

「食器を片付けに来たわ……ちゃんと食べてるわね」

「は、はい…」

「…………ところで、青葉さんを見なかった?」

「っ!」

「私の代わりに秘書艦を一時的…ほんの少しだけ任せたら、すぐに何処か行ってしまったらしくて……知らない?」

「……し、知りません」

「……………………本当に?」

「は、はい…」

「………………………………本当に?」

「っ!はいっ…!」

「…………わかったわ。ゆっくり寝てなさい……それじゃあまた夜に」

「は、はい……………………青葉…」

「…ただいま戻りました……提督?」

「ふぅ……」

「えっ?何処か行ってたんですか?」

「ギリギリセーフだな」

「……着替えたんですか」

「トイレでな。いやぁ、あまりにも暑かったから思わず……間に合ってよかった」

「では、仕事の続きを――」

「いや、それも……いよっし!今日の分終わり!」

「……お疲れ様でした」

「ところで、山城はどうだった……?」

「………………」

「ん?扶桑?」

「……順調に回復していると思います」

「それはよかった…」

「…………提督。ひとつよろしいでしょうか」

「なんだ?」

「……私と山城。似ていると思いませんか?」

「え?あ、あぁ…はじめの頃はよく間違えてたよな」

「服装も顔も声も…笑顔も」

「ま、まぁ姉妹だしな…」

「そして、私は山城よりも提督のことを理解している……」

「?……たしかに、君は俺の良き理解者だよ」

「……なら…」

「…………?」

「……いえ、なんでもありません…」

「そ、そうか…」

今日はここまで

>>313-315君達発想が怖い

>>316わかる。

すみません
>>311の4行目は無かったことにしてください

「……あ!」

「どうかしました?」

「夕食の時間過ぎてるじゃないか!」

「え?……あ、本当ですね」

「……なんか俺たち、飯と仕事しかしてないな」

「大規模作戦に向けて力を温存しているので当然なのでは?」

「そうなんだけど……まぁいいか…って山城の分!」

「あら」

「どうするんだ?」

「……山城が寝てるか確認してきます。寝てたらそっとしておきましょう」

「そうか」

「……よろしければ、私が腕によりをかけてお作りいたしますよ?」

「お!それは嬉しいな」

「ふふっ……いつでも私に言ってくださいね」

「流石にいつでもってのは気が引けるけど……」

「いいですよ?提督のためならいつでもすぐにご用意します」

「あ、ありがとう…」

「先に向かってください。私は山城を見に行きます」

「ん、そうか」

「…………青葉、大丈夫かしら…」

「何が大丈夫なのかしら?」

「それは……姉様!?」

「……元気そうね」

「な、なんでしょうか…」

「夕食を用意するべきか確認したかったのよ……食堂は閉まってるし」

「あ……そうですね」

「…………それで、青葉さんがどうかしたの?」

「っ!あ、いえ!……さっき姉様が言っていたことを思い出してただけです」

「………………本当?」

「……っ…はい」

「……………………」

「………………」

「…………わかったわ」

「……はい…」

「じゃあ、あなたの分の料理も用意するわね」

「よ、よろしくお願いします…」

「任せなさい。とっても美味しい料理を用意してあげるから」

「…はい」

「……それと、今のうちに風呂に入りなさい」

「え……はい…」

「あと食堂には近づかないこと……いいわね?」

「やっぱり閉まるの早いよなぁ……もう少し延ばしてもらおうかな?」

「……私の手料理は嫌ですか?」

「いや!そういう意味じゃないって!」

「冗談ですよ」

「質の悪い冗談はやめてくれ……」

「ふふっ…」

「それで、今日は何を作ってくれるんだ?」

「そうですね……昨夜は洋食を御馳走になりましたし、今夜は和食でいかがでしょう」

「一昨日のをみた限り、扶桑は和風の方が得意なのか?」

「ある程度なら満遍なくできるように頑張ってますけど、やはりそうですね」

「ふーん……あ、豆腐の味噌汁とか欲しいな」

「はい。了解しました」

「ふぅ……やっぱり扶桑の手料理は最高だな」

「ありがとうございます」

「さっきはあんなこと言ったけど、本当に毎日でも……うん、ありだ」

「ま、毎日ですか……それなら――」

「あ、へんな意味じゃないからな!」

「…………わかってます」

「じゃあ俺は、今日こそ食器を洗っておくよ」

「それも私が…」

「大丈夫。任せてくれ」

「ですが……」

「それよりも、山城に夕食を届けてやってくれ」

「…………山城が心配ですか?」

「そりゃあな……どうかしたか?」

「……なんでもありません」

「…………!」

「山城…いるわね」

「と、当然です……」

「……そうね。食べ終わったらそこに置いておきなさい」

「はい…………あの…」

「なにかしら?」

「あ…青葉さんは?」

「さぁ、知らないわ」

「そ、そうですか……」

「……………………どうしたの?」

「へ……?」

「えらく青葉さんを心配するのね……特に仲が良かったわけでもないでしょ?」

「べ、別に……ただ話すことがなかっただけで」

「………………あなた」

「な、なんですか…?」

「あの新聞が嬉しくて仲良くなったのかしら?」

「ご、誤解です!」

「……青葉さんは見ていないわ」

「そうですか…」

「……話は終わり?提督が待ってるから戻るわ。早く寝なさい」

「……はい」

「…じゃあ――」

「山城ー大丈夫か?」

「提督!?」

「…………」

「………」

「お、中々元気じゃないか」

「お、お陰さまで……」

「いやー良かったなー」

「……提督、あの食器は?」

「もう終わったよ」

「……そうですか」

「流石にあれくらいはちゃちゃっとしないとな」

「…………提督、まだ病み上がりで近づくのは――」

「……提督」

「どうした?」

「…………せっかく提督を見ないで一日を過ごせると思ったのに、最後に会ってしまいましたね…姉様しかいなかったのに……不幸だわ」

「……俺はお前に会えて嬉しいけどな」

「っ!な、なんですか!」

「……………………」

「やっぱり山城と話せないのは寂しかったぞ」

「そ!……そんな…こと……」

「……………………提督、そろそろ」

「え。もう?」

「山城も今から食事ですし、そっとしてあげて下さい」

「そうか……流石に長居するのは辛いか」

「あっ……」

「……行きましょう」

「そうだな。じゃあ、また明日」

「は、はい……お休みなさい…」



「…………はぁ…」

「……提督のあの感じ、青葉はまだなのね…」

「……まさかバレた…?」

「………そ、そんなわけ…」

「…………そうね…今夜辺りにきっと…」

「じゃないとまた明日も……っ」

「……扶桑」

「どうかしました?」

「…本当に山城は体調が悪かったのか?」

「……今思えば、大したことなかったのかもしれません」

「俺もそんな気がするな……まぁ、しばらく出番は無いだろうから別にいいけど」

「…………」

「ん?どうかしたか?」

「……いえ」

「……あと話は変わるけど、前にも言った通り大規模作戦の前に君達に休暇を与えたいんだ」

「…………」

「それで、いつがいい?流石に明日すぐってのはあれだけど」

「…………提督は、お休みをとられないのですか?」

「俺?……考えたこともなかった」

「……できればなんですけど、一緒に休みをとりたいと…」

「…………そうか」

「ですので、提督の都合に合わせ――」

「ごめんな」

「っ…」

「気持ちは嬉しいんだけど、やっぱりこのタイミングでは厳しいかな…」

「…………!でしたら私も休むわけにはいきません」

「え?」

「提督にだけ仕事を押し付けて、悠々と休暇を楽しむことはできかねます」

「えー…でも山城は楽しみにしてたぞ?」

「……でしたら、山城だけ休暇を与えるのはいかがでしょうか」

「うーん……それもありだが、あいつが喜ぶか?」

「喜びますよ……絶対」

「……まぁ、一応聞いておくか」

「えぇ。是非」

「でも、休暇か……欲しいな…」

「……次の作戦が終わったら、二人で行きましょう?」

「……まぁ、それくらいなら」

「!ありがとうございます」

「とにかく、まだ先のことだ。それよりも来る大規模作戦に向けて色々頑張らないとな」

「えぇ……では、私はこれで…」

「そうか。おやすみ」

「はい。お休みなさい」

「………………はぁ…」

「山城」

「っ!ね、姉様…食器、ありがとうございます」

「いいのよ。途中で破ったとはいえ、約束を守って提督を避けてくれたんですもの」

「あ……はい…」

「……明日は一時間自由時間をあげるわ」

「っ……わかりました…」

「……それともうひとつお願いがあるの」

「っ…なんでしょうか……?」

「提督が休暇をくれるそうよ」

「そうですね……」

「それを、貴方は満喫しなさい」

「……はい?」

「要するに留守にしなさい」

「あ……そういうことですか…」

「徐々に提督から離れていくの。そうすれば……」

「……ね、姉様!」

「……………………なに?」

「私、思うんです…提督が好きだったら、やはり打ち明けるべきだと」

「…………それは、提督にフラれろということ?」

「いえ!違います!……姉様のお気持ち痛いほどわかります…」

「…………」

「昨夜の写真は本当に偶然です!私は姉様を応援しているんです!」

「…………」

「…私に考えがあります」

「……話してみなさい」

「……私が提督をふるんです」

「…………」

「そうすれば提督も私を諦めるでしょうし、姉様は傷心の提督に近づくことができます」

「…………それで私を騙して提督と付き合う…そういう算段かしら?」

「違います!……でしたら、ドアの隙間から監視していたらどうでしょうか」

「………」

「私が済ませてしまえば姉様の心配するようなことはすべて無くなるんです……どうでしょうか?」

「………………わかったわ」

「では!」

「……そうね。明日の朝に実行しなさい」

「あ、朝ですか…」

「えぇ。傷心の提督と長くいたいの……一緒に過ごせば過ごすほど、提督は私を頼ってくれる…」

「そ、そうですか……」

「ただし、私を裏切ったら……問答無用で頭を撃ち抜くわ」

「っ!え…」

「いいわね?」

「…………わかりました」

「大丈夫…………青葉が今夜中に…」

「山城、なにか言った?」

「……いいえ。独り言です」

「そう……おやすみ、山城」

「お休みなさい……姉様」

「……山城」

「………ん…」

「…………山城」

「……ふぁ…あ……姉様…?」

「そろそろ起きなさい」

「……今、何時ですか?」

「0600…私は提督を起こしに行くわ。あなたは0700の朝食に間に合うよう席をとっておきなさい」

「ふぁい……わかりました……」

「…………じゃあ、頼むわね」

「はぁ~い……」

「…………わかってるの?」

「っ!はい!わかりました!」

「……ならいいわ」

「…………提督?」

「扶桑か…おはよう」

「……珍しいですね。提督がもう起きているなんて」

「流石に扶桑が起こしてくれるとはいえ、頼りっぱなしってのものな……というより、別に辞めてもいいんだぞ?」

「いえ。私が自分で言い出したことですから……それに、嫌ではありません」

「それならいいんだが……そうだ。山城はどうだ?」

「…………一応治ったようです」

「ん。よかった…」

「……では早速着替えてしまいましょう」

「そうだな……」

「…………」

「…………あの」

「どうしました?」

「いつも言ってると思うけど、扶桑がいると着替えにくいんだ…」

「…………わかりました。では廊下でお待ちしています」

「よし、準備できたぞ……でも、混んでないかな…」

「先に山城が席を取っているはずです」

「え」

「?どうかしました?」

「あ、いや…昨日まで風邪で倒れてた山城に頼んだのか?」

「っ!……まさか。山城が自ら率先して言い出したんです。迷惑をかけたからと」

「あ、なるほど……やっぱりいい娘だなぁ」

「っ…………そう、ですね」

「…………」

「おっ、山城」

「っ!提督!」

「お、おぉ……元気だな」

「え…はい…」

「ん?どうした?」

「…………て、提督。あの、なにか聞いてませんか?」

「え?何か?」

「あ、その…青葉から……」

「青葉?……あれ。そういえば」

「なにかあるんですか!?」

「い、いや……無いなーって」

「……へ?」

「青葉新聞。あれ日刊だろ?今日は出てないんだな」

「…………っ!?」

今日はここまで
……台本形式って地の文よりも難しいですね
台本形式で書く人を尊敬します

また書き溜めがたまった頃に
ではお休みなさい

ビクビクする山城かわいい

「そういえばそうですね……」

「……え?」

「いつも部屋に放り込まれてるから気にしたこと無かったけど、やっぱり無いと少し物寂し――」

「青葉は!?」

「へ!?山城?」

「提督!青葉を見てないんですか!?」

「お、おぅ……」

「いつからですか!?」

「え……昨日のあれから…か」

「っ!」

「……どっか行くにしても俺に連絡してくれないと困るんだけどな…」

「何処行ってしまったんでしょうか……」

「…………まさか…」

「山城は何か心当たりがあるのか?」

「…っ……いえ…」

「……心配ね…山城?」

「っ!……そう…ですね」

「……ひとまず青葉の捜索をしなければいけないな…」

「…………そうですね…」

「…………」

「……さっさと食べ終えて捜索開始だ」

「…………提督、その前に1つよろしいでしょうか。山城が話したいことがあるそうで」

「へ?」

「もしかして何か知っているのか?」

「え、あの……姉様?」

「どうしたの?話したいことがあったのでしょう?」

「で、ですがそれよりも青葉を……」

「…………もしかしたら放っておけばそのうちひょっこり出てくるかも知れないわよ?」

「え!?…そ、そんなこと!」

「とりあえず先に蟠りは無くしておくべきじゃないかしら?」

「ね…姉様……」

「…………よくわからんが、話さないといけないことがあるのか?」

「えぇ……そうよね?山城」

「…………」

「山城?」

「……っ…はい……ですので、少しだけお時間を、いただけないでしょうか…」

「……早急に頼むぞ」

「……それで、話って?」

「……その…提督は、好きな人とか…いますか?」

「……え?」

「ふざけたようなタイミングなのは十分わかってるんです!…少しの間でいいので付き合ってもらえないでしょうか」

「………いないことはない…な」

「…………わかっているんです」

「……何?」

「提督は…私のことが…その……そ、そうなんでしょ!?」

「そうって……」

「……申し訳ございませんが、それにはお答えできません…」

「!」

「私は提督と特別な関係になるつもりは毛頭ありません」

「…………」

「ですから――」

「そうか……わかった」

「っ……」

「…………色々とすまない」

「…………いえ」

「だが1つ言わせてくれ」

「なんですか?……きゃっ!」

「山城……」

「だ!抱き…~~~っ!」

「お前がなんと言おうと俺はお前の味方だ」

「……へ?」

「困ったら俺を頼れ」

「……!」

「辛いこと悲しいこと苦しいこと……お前が何か抱え込んでいるのはわかるんだ」

「…………」

「俺は、お前の味方だ……なんでも言ってくれ」

「提…とく……」

「…………話は終わりだ」

「あっ……」

「…じゃあ扶桑を呼んできてくれ。早速青葉を捜索する」

「……て、提督…」

「どうした?話は終わりだ…話し足りないならいつでも俺を呼べ」

「!……ありがとう、ございます」




「…………………っ!」

今日はここまで

扶桑姉妹の水着可愛い

>>355ビクンビクンする山城?

「…………提督。話は終わりましたか?」

「っ!」

「扶桑…ちょうど呼ぼうと思っていたんだ」

「…………そう、ですか」

「………………」

「これから青葉を探そうと思う……とは言え彼女の性格からして無断で外に出た可能性も否定できない…そこで、君達の手を借りたい」

「…………私達だけですか?」

「あぁ…大人数で探せば解決も早くなるだろう……だが、その分彼女達に不安を募らせてしまう。だから、今日は俺達だけで探し、万が一見つからなければ彼女達を頼る……」

「………………それが、いいかもしれませんね」

「というわけで、俺は鎮守府の西側を探す」

「でしたら私も――」

「いや、それは俺だけで十分だ…悪いが東側を頼めるか?」

「………………そうですか」

「………………」

「……山城。行きましょうか」

「………………っ…はい」

「見つけたら互いに即連絡。いいな?」

「了解しました」

「……了解しました」

「…………山城。私の言いたいこと、わかってるでしょう?」

「………………」

「私は、提督が諦めるまで断れ…そういうつもりで言ったのよ?」

「………………」

「あんな形だけのものなんて意味無いのよ」

「………………」

「……聞いてるの?」

「…………姉様は、心配ではないんですか?」

「……青葉さんのことかしら?そんなことよりさっきの――」

「姉様……変わってしまったのですね」

「…………なんのこと?」

「っ!……私の知っている姉様は、仲間が失踪したことを『そんなこと』なんて言いません!」

「…………そう」

「…1つ聞いてもいいですか?」

「……何かしら」

「……提督にバレるのが嫌で、隠れて録っていた青葉を消したんですか?」











「……青葉…やっぱり、私の勘は正しかったのね」

「っ!」

「昨日から青葉さんとやけに仲良くなっていたから少し気になっていたのよ……やっぱり私のことを知っていたのね」

「…………執務室に戻ります」

「…………どういうこと?」

「……提督は、私に味方してくださるんです…昔の姉様のように強く優しく…」

「…………自慢かしら」

「…………それはあたたかくって、私は守られている…そんな風に思えるんです」

「っ……」

「…………姉様は今、我を忘れてしまっているんです」

「……恋は盲目、ね」

「……私は、正しいと思ったことをします」

「?……どういう――」

「全て…」

「……!」

「提督に、全て話します」

「私を裏切るの!?」

「私は…本当の姉様を取り戻したいんです!」

「それならあなたが──」

「こんな姉様……見たくない」

「!」

「恐らく……提督も薄々気づいているんだと思います」

「…………嘘よ。そうやって提督を奪うつもりなのでしょう?えぇ。そうとしか考えられないわ」

「…………っ」

「本当のことを言いなさい。私を騙しているつもりなのでしょうけど、生憎私の目は誤魔化せないわ」

「姉様……」

「……何も言わないってことは、そういうことなのね。やっぱり想像通り、山城は私を裏切って提督と繋がっているんでしょう?」

「…………っ!人のの悪口はやめてください!姉様はそんなこと言いません!」

「ほら。やっぱり提督の方につく…山城は私を裏切った……裏切ったわね!」

「そんなつもりは!……私は今の姉様を見たくないだけなんです」

「……もう我慢ならないわ…」

「っ……姉様。ここには他の娘もたくさんいます。そんなもの持ち出さないで──」

「ここは駆逐艦たちの部屋よ。今頃外で訓練してるんじゃない?」

「っ……」

「いつまでいい子ぶるつもりかしら?だいたい、私には提督以外要らないの。あの人さえいてくれれば私は他なんて知らないわ」

「あ……暴れている姉様を見たら、提督はさぞ悲しむでしょうね…」

「!………」

「それに、姉様が私を撃ったら……提督はどう思うでしょう」

「…………」

「…………砲を向けるのをやめてください」

「…………ふふっ」

「!な、何ですか?」

「それは脅しのつもりかしら?……悪いけれど、そんなものには屈しないわ」

「っ……ほ、本当にそうでしょうか?発砲音がすれば他の人も集まってきますよ?隠すことなんて──」

「うるさい!」

「っ!」

「提督に気を使われたからっていい気になってるの?あなたがいなくなったあと、信頼を取り戻せばいいのよ!」

「!…ほ、本当にそう思っているのですか……?」

「こんなことで嘘はつかないわ」

「ず、ずっと許してもらえないかも……」

「私はあなたがいなくなったあと、何十年……いえ、提督が私を許してくれて、好きになってくれるまでずっと待つわ」

「な、何十年って……」

「……片時も離れないようにして、あの人が望むことをなんでもする。私たちは年を取らないから、ずっと一緒にいれるの。寝るときも起きるときも死ぬときも」

「し……!?」

「一緒に逝くのよ。同じ日同じ時分に、その瞬間に私も死ぬの。勿論提督の手を握って、提督の前で、提督の目を見て、最期の最期まで、ごめんなさいって」

「ひっ……」

「そこまでして提督はわかってくれるの…………提督を本当に思っているのは誰なのか」

「そ、そんなこと…………」

「そんなこと……?嫌われないように、許してもらえるまで謝るのは当然のことでしょう?」

「で、ですが……それでも許してもらえないかも……」

「?……そんなことはあり得ないわ」

「えっ」

「万が一そんなことがあれば……それは私のせいではないわ。他の誰かの……おそらく私と提督が結ばれることを良しとしない奴ね」

「……………………」

続きは私の鎮守府に26が来てくれた時に

アキラはいいのか?

もう来ないのかぁ……
面白かっただけに残念

「…っ!………姉様!」

「いい?私は提督のためならなんだってするわ。提督を困らせる奴は殺すし提督が怒れば何をしてでも許してもらう……あなたはそんなこと考えもしないでしょう?その時点であなたの敗けなのよ」

「ま、敗けとかそういうのではなく……私は提督なんて──」

「……なんて?今提督なんてって言ったの?」

「こ、言葉の綾で……」

「提督に好かれているだけの分際で……!」

「っ…………と、とにかく落ち着いてください!」

「落ち着いているわ。その証拠に……ほら、手は震えないでずぅっとあなたに砲口を向けることができている」

「…………っ!わ!私も……!」

「あら……」

「お!下ろさないと、撃ちますよ!?」

「私にそんなもの向けるの?」

「ね、姉様だって……!向けているじゃないですか!」

「手が震えているわよ」

「なんでこんなことになったんですか……!」

「私の台詞よ。前まで私のことを慕ってくれていたいい妹だったのに」

「……違う。あんたなんか姉様じゃない!偽物よ!」

「偽物……ふふっ、おかしなことを言うわね」

「こんなの私が好きな姉様じゃない……姉様はもっと優しくて……私と好きな姉様と姿がそっくりなだけよ!」

「山城の考えはどうでも良いわ。提督なら私を認めてくれる。それで十分よ」

「……わ、私が提督に言えば、提督は私を信じます……姉様より私を信じてくれているんだから……!」

「っ…………撃てば?それこそ提督に嫌われるでしょうけど」

「撃ちますよ!?」

「ふふっ……できるならやってごらんなさい」

「……提督は、私を信じてくれる」

「っ!」

「…私は悪くない……!」

「………………さよならね。山城」

「あ、あんたなんか…………っ!」




「二人ともやめろ!」

「…………ぁ」

「…………」

「何があったかはわからないが、とりあえず下ろせ…」

「提督!」

「……………………」

「……いきなり山城が砲口を向けてきたんです」

「!違います!姉様が……いえ!その前から姉様は私に──」

「…………扶桑」

「はい……」

「……悪いが、今さっきのやり取りを録らせてもらっていた」

「!」

「提督……!」

「…………ちがうんです」

「何がだ?」

「違うんです……これは山城が私を誑かして──」

「扶桑!」

「っ……」

「………………お前には後で処罰を言い渡す。それまで部屋に──」

「提督」

「……なんだ?」

「申し訳ございませんでした。ですが私もしたくてやったことではないのです」

「なっ──」

「どういうことだ?」

「山城が私を誑かした……これは些か間違いではないんですよ」

「………………」

「……私は、提督のことをお慕いしています」

「!」

「…………」

「ですが提督は先日、私ではなく山城のことを好いていると……おっしゃいましたよね?」

「…………そうだな」

「山城はそれを知って、私を挑発するように提督にあたっくしていました」

「わ!私はそんなこと──」

「黙って!」

「っ……」

「…………万が一、山城にそんな気が無かったとしても私にはそうとしか見えませんでした」

「………………それで?」

「それで、つい頭に血が上って……」

「……………………つまり?」

「結果的に悪いのは私です。ですが!その罪は山城のせいでもあるんです!」

「……………………」

「………………」

「だってそうでしょう!?山城があんなことしなければ私は妹に砲を向けるなんてしませんから!」

>>382,384-388ニムなんて皆持ってるだろ
>>381海外空母ならグラ子で事足りてるから(震え声)

「…………そう、か……」

「わかっていただけましたか?」

「あ、あぁ……」

「ありがとうございます!」

「………………」

「山城聞いたかしら?提督は信じてくれたわ。あなたじゃなくて私をよ」

「………………」

「落ち込んでいるのかしら?でもごめんなさいね。提督と強い絆で結ばれていたのは私だったってこと。これが事実なの」

「……とりあえず、扶桑は部屋で待機だ」

「はい…やっぱり提督は、私のことを慕ってくれていたんですね……!」

「…………あー……私は山城に罰を与えておく。早く戻りなさい」

「………………」

「ふふっ……そうですか。変な気を起こさないよう、しっかりとお願いしますね」

「あぁ……」

「……………………その、なんといったら良いのかわからないが……」

「……私も同じです」

「…正直、うすら寒いものを感じた。いつもの扶桑はもっと……うん」

「…………提督。少しいいですか?」

「……なんだ?」

「提督は、姉様のことを信じてませんよね?」

「え。ま、まぁ……」

「……私の話、聞いてもらえませんか?」

「……それは、扶桑絡みの?」

「はい……」

「そうか…………さっき見たようなことをされていたのか?」

「っ……はい…」

「そうか…………山城」

「っ!?な!なん──」

「よく堪えたな」

「──!」

「…………や、やっぱり抱きついたのは不味かったか?」

「え!?あ、いえ!そ、そんなことは……」

「いや、すまな──」

「待って!」

「…………」

「も、もう少しだけ……このままで」

「…………そうか」

「…………提督」

「……」

「ありがとう……ございます」

「流石にな……」

「…………っ……」

「…………もう大丈夫か?」

「もう少し……もっと…」

「え、お…おう……」

「…………私、提督と離れたくない」

「…………え」

「え?」

「い、今なんて?」

「………………!?違います!つい口が滑って……違います!」

「え、いや……え?」

「違!……っ~~~~~!!」

「お、落ち着け……な?」

「待ってください!」

「一旦深呼吸!な!」

「………………ふぅ…」

「…………いいか?」

「…………は、はぃ」

「…………本当か?」

「えっ!?な、何がですか?」

「その……今言ったことだ」

「その…………はい…」

「………………」

「………………っ……」

「……………………そ、それはともかく……扶桑について教えてくれないか?」

「えっ……!そ、そうですよね!…………まず前提として、姉様は提督のことが好きでした……いえ、好きです」

「…………」

「それで、その……提督が…私を…す……よく思ってくださったことに苛立っていたんだと思います…………」

「…………なるほど。それでお前を…」

「…………はい」

「……痴情の縺れか……渦中の中心の俺が言えたことじゃないが、それは辛かったな」

「………………」

「でも、だからといって青葉を殺すのはいけないな」

「……………………」

「今さらになって言うのもたらればなんだが……扶桑がもう少し落ち着いていれば……な」

「……………………」

「…………山城」

「っ!」

「お前はどうしたい?」

「……わかりません」

「…………」

「…………私は今の姉様が怖いです……でも、提督を譲るつもりも…」

「…………」

「っ……わ、私はどうすればいいんでしょう…………」



「…………俺に良い考えがある」

「……え」













「扶桑を殺すんだ」

「────────!」

今日はここまで

「勿論直接的にじゃない」

「え…………え?」

「扶桑は今精神疾患を持っている」

「ころ…………え?」

「だから自殺に追い込めば良いんだ」

「……ま……待ってください」

「まずは──」

「待ってくださいっ!」

「…………」

「い、いきなりどうしたんですか!?」

「なにがだ?」

「なにがって……そ、そんなふざけた話──」

「俺は真面目だよ」

「なっ!」

「…………いいか?山城。お前は麻痺しているかも知れないが、殺されてもおかしくない状況に何度も陥ってたんだ」

「……」

「お前は立派な被害者だ。やり返さなければ……お前はいつか死んでしまうぞ?」

「!そ、そんな…………」

「否定できるか?」

「……っ………………」

「……これはお前の為を思って言ってるんだ」

「……私、の…為……?」

「ああ!俺はお前に死んでほしくない!究極の二者択一だが、扶桑か山城なら……お前を選ぶ」

「!」

「良いか山城!これは正当防衛。悪いのはどう考えても向こうだ!」

「………だとしてもそんなこと……」

「妹を自分の物のようにぞんざいに扱って、少しでも背くようなことをすれば脅す」

「っ!」

「しかも場所を問わずだ。自室、食堂……しかも笑うなとまで言う始末」

「あ、あの……」

「山城!」

「は、はいっ?」

「よく考えろ……何度も言うがお前のためなんだ」

「えっと……」

「……」

「…………考えさせて……ください」

「……そうか…………なら、扶桑を呼んできてくれ」

「え?」

「扶桑からも話を聞きたい……あぁ、山城は部屋に戻っていてくれ。扶桑はこっちに来るんだから、危険ではないだろう」

「……わかりました」

「今夜。ここで待っている」

「っ…………わかりました」

「……………………あら山城」

「……………………」

「……かわいそうに。余程きつい罰を与えられたのね」

「………………姉様は」

「なにかしら?」

「……私のこと……好き…ですか?」

「…………何言ってるの」

「っ……」

「当たり前じゃない」

「……え」

「自分の妹よ?確かに憎らしく思うこともあるわ」

「っ!」

「でも、それは気の迷いだったの」

「………………」

「こんな私のことを思ってくれて、一生懸命な可愛い妹」

「姉様……!」

「なにより──」









「私の言うことを聞いてくれる良い娘なんですもの」

「………………え」

「姉様は、私を…………」

「どうしたの?」

「………いえ…………姉様。提督が呼んでいました」

「そう……わかったわ」

「……………………」

「じゃあ行ってくるわね」

「……はい」

「ふふっ…………」

「……………………………………」










「…………………………提督なら──」

「………夜分遅くに失礼します」

「……山城。決まったか?」

「…………姉様は、私を駒としか見ていないんです」

「…………」

「…………あの姉様は、私が好きだった姉様とは違う……」

「……………………」

「提督は、私を愛してくれるんですよね?」

「ああ」

「…………私が好きなのは……提督だけです」

「…ありがとう」

今日はここまで。

別の書き溜めに力入れすぎてました。近いうちに完走させますんで……

「…………はぁ」

鉄格子の向こうから射し込む光で瞼を開く。

『司令官おはよう!』

それと同時に聞こえる元気な声。
彼が目覚める数時間前からスタンバイしていたのだ。

「……おはよう」

スピーカーを通して返す挨拶にも慣れてきた事実に呆れつつ、提督はゆっくりと体を起こした。

「………………」

目の前にはポスター。
50cm四方に伸ばされた真っ暗な笑顔をした伊168が壁を埋め尽くしている。

「…………そろそろ──」

『駄目。他の娘見ちゃうでしょ』

「…………」

ルーチンワークとなりつつある会話。
それを続けるのは抜け出したいという一心なのか、はたまた惰性なのか。それすらも曖昧になっていた。

『すぐご飯持っていくから、待っててね!』

プツリと途切れる放送。あと一分もすれば朝食を運んできてくれるだろう。

「………………はぁ」

本日2度目の溜め息がもれる。ベッドから立ち上がったと同時に鍵の開く音がした。

「お待たせ!」

「……ありがとう」

そう呟いてから提督は気付く。こんな事態になっている原因に礼を言うのはおかしいと。

「いいの!イムヤが司令官のお嫁さんなんだから!」

しかし伊168は気にする様子もなく笑って応える。

「…………俺が選んだのはゴーヤだ」

「顔も思い出せないのに?」

「っ!……」

伊168はしたり顔で朝食を並べ始める。

「…………一目見たら思い出すんだ……」

自分が好きになった相手の名前は覚えている。

逆に言えば、名前しか思い出せない。
愛した記憶は有るが、その相手の顔も声も、別のものに上書きされていた。

「頼む。せめて声だけでも……」

「…………また後でね」

「待ってくれ!」

無情に閉められる扉。すぐさま掛けられる鍵。

『司令官、慣れてくれた?「イムヤ」だよ』

「………………」

もう放送室に戻ったのか、いつも通り洗脳の呪文がスピーカーから流れ出す。

『イムヤの声聞きたかったの……?』

「……違う…」

否定するも、脳裏にこびりついた声は反響して囁き続ける。

上下左右前後どこを見ても彼女の顔。終始流れているのは彼女の声。

提督の世界には彼女しかいなかった。


【上書き】

すみません
誤爆しました

「…………それで、お前に頼みたいことはひとつだけだ」

「なんですか?」

「明日……いや、今日から俺に甘えてくれ」

「あ、甘えるですか……少し恥ずかしいですけど…」

「できるだけ扶桑の目に留まるようにな」

「でしたら!私が秘書艦に──」

「いや、それは行きすぎ。もっとゆっくり追いつめるんだ」

「……はい」

「ちょくちょく執務室に顔を見せてくれたら良い」

「……………………」

「……それで、肝心なのはここからだ」

「っ……」

「…………お前は常にこれを装備しておけ」

「…!…これは」

「応急修理女神。これをやる」

「っ……あの、これはつまり…………」

「襲われる可能性が高いからな。逆に言えば、向こうから仕掛けてくるまで待つ」

「…………あ、あの……」

「どうした?」

「…………これ、ちゃんと発動しますよね?」

「え?なんで?」

「い、いえ!……その、やはり抵抗が…………」

「………………山城」

「っ!ご、ごめんなさい!わかりました!やります!」

「…………ごめんな」

「…………ぁ……」

「……辛い思いをさせるだろう。でも、これはお前が好きだからなんだ」

「…………」

「何度も言うが、お前のためを思っているからこそなんだ……」

「…………私の、為」

「あぁ」

「…………がんばります」

「ありがとう」

「はい!」

「………………………………」

「山城」

「っ!姉様………」

「こんな夜中に……どこに行ってたの?」

「これは、その……トイレに」

「…………そう。ふと目が覚めたら貴女がいなくて心配したわ」

「……すみません」

「………………………………右」

「へ?」

「…………トイレはここから出て右に曲がるのよ」

「そ、そうですね……」

「…………山城」

「なんですか?」

「……提督と話していたでしょう?」

「………………まぁ、そうですね」

「……何を話してたのかしら…?」

「…………姉様についてです」

「……私?」

「えぇ。提督から相談を受けたんです」

「相談…!……ふふっ」

「どうしました?」

「いえ…………山城。立場が逆になったわね」

「…………そうですね」

「……疑ってごめんなさいね。この話は止めましょうか」

「はい……お休みなさい」

「お休み、山城……」

「……………………」

誤爆を弄られる←わかる

続きを急かされる←わかる

26の生き霊にとりつかれる←……ん?

「おはようございます」

「…………ん。扶桑?」

「はい。もう朝ですよ。起きてください」

「…………」

「どうかしたんですか?」

「…………いや、幸せそうに笑うものだから」

「…………ふふっ。そう見えました?」

「ま、まぁ…山城は?」

「まだ寝ているだけです」

「……仲良くするんだぞ?」

「優しいのですね……」

「夜遅くまで起こしてたのは俺のせいだしな」

「……ふふっ」

「どうした?」

「頑張っている旦那様と支える妻みたいな……そんなことを思ってしまってつい」

「…………そうだな」

「………………私、幸せです…」

「俺もだ……さぁ、着替えて食堂に行くかな」

「はい」

「まずは席を取っておかないとな」

「そうですね。では──」

「提督ー!姉様も!」

「…山城が呼んでるな」

「………………」

「こっちですよ!」

「あそこにするか」

「…………はい」

「しかし、わざわざ待ってくれてるとは……山城は優しいな」

「…………………………」

「…どうした?」

「…………提督は、私が好きなんですよね?」

「当たり前だ。信じられないのか?」

「……いえ。なんでもありません」

「提督。おはようございます」

「おはよう……朝から元気だな」

「ありがとうございます」

「………………」

「姉様もおはようございます」

「…………………………」

「姉様?」

「……いえ…おはよう山城。席を用意してくれてありがとう」

「提督と姉様の為ですから!」

「……………………」

「…………あー…席も確保できたし、早速受け取りに行こうか」

「はい!」

「……………………」

「……山城」

「なんですか?」

「…………あなた、何をしているのかわかっているの?」

「提督の隣に座っているんですけど?」

「……喧嘩は良くないぞ?扶桑も落ち着け」

「………………そこは、私に譲るべきじゃないかしら」

「良いじゃないですか少しくらい。だいたい、姉様は秘書艦なんですから、ずっと独り占めできるんですよ?」

「……………………山城」

「……提督は、このまま行けば家族になるんですから」

「っ?おい!」

「……!…そうね」

「家族ならこのくらい良いですよね?」

「………………あなたは義妹(イモウト)よ」

「?当たり前じゃないですか」

「……………………せっかく間宮が作ってくれた食事なんだ。そんなピリピリせずに。な?」

「ですが…………」

「……ご馳走さまでした。私は部屋に帰りますので、姉様はどうぞこちらに」

「え…………」

「え?」

「い、いえ……なんでもないわ」

「では姉様、提督。お先に失礼します」

「おう。今日は何も無いが、万一に備えておいてくれ」

「わかってますよ……では」

「…………」

「……どうかしたか?」

「……いえ」

「…………」

「…提督は、山城よりも私を選んでくださったんですよね……?」

「そうだが……どうかしたか?」

「………………いえ、なんでもありません」

「………………そうか」

「…………あの」

「ん?」

「…………手、繋いでも良いですか…?」

「駄目だ」

「っ?」

「待て待て!嫌ってことじゃない。行儀が悪いってことだ」

「あ……す、すみません…」

「…………じゃあ、執務室まで繋いで行くか」

「!はい……」

「……っと。すまん、ちょっとトイレに行ってくる。ここで待っててくれ」

「わかりました」

「…………山城」

「なんですか?」

「扶桑からは見えていないだろうが、食堂の扉からチラチラ覗くな」

「…………ふふっ」

「なんだ?」

「いえ、提督はそんな私を気にして来てくれたんでしょう?」

「バレたら厄介だからな」

「隠さなくて良いんですから…ね?」

「………………」

「あ、でも提督が本当は私の方が好きってことは隠しておいてくださいね♪」

「…………そうだな」

「では、また後で執務室に行きますね」

「……そうだな。よろしく頼む」

「私の……いえ、提督の為ですから」

次はE-1突破した頃に

まあマジレスすると他のスレは普通に投下してるから飽きたのかめんどくさくなっただけでしょ

「……………………」

「ただいま……どうした?そんな思い詰めたような顔をして」

「…………山城が」

「え?」

「……なんでもありません」

「…………扶桑。お前が俺のために頑張ってくれていたことを知っている」

「…………」

「……そんなお前だから、俺は好きになったんだ」

「…………山城よりも、ですか?」

「勿論だ」

「!…………ふふっ」

「元気になったか?」

「……ありがとうございます」

「……………ただ」

「……どうしました?」

「…………ここだけの話なんだが」

「…………」

「昨日から、山城がお前を敵視しているみたいなんだ」

「……………………」

「…………勿論俺は釘を指しておいたが…大丈夫か?」

「…提督は優しいですね。山城は今になって嫉妬してるんです……ふふっ」

「……………………でも、そういう風に空回りするアイツも放っておけないというかなんというか……目を離せないな」

「…え?」

「……さて、そろそろ仕事始めるか。扶桑」

「えっ…………はい」

「まずはこの資料からかな」

「私はこちらを終わらせますね」

「…………」

「…………」

「……静かだ」

「……お嫌いですか?」

「まさか。落ち着いてて好きだぞ」

「私もです。こうして提督と二人でいると、とても心が和らぎます」

「……まあ、扶桑の膝枕には敵わないが」

「……そうですか?」

「あぁ……今度またやってくれないか」

「…………でしたら後で──」

「失礼します!」

「ん?」

「提督!」

「山城か。どうした?」

「…………………………」

「近くに来たものですから、お邪魔でした?」

「そんなことはないぞ?なぁ?」

「………………っ……えぇ、勿論よ」

「………………姉様、どうかしました?疲れているように見えますけど」

「…………少し、ね」

「それは大変ですねぇ……でしたら、私が代わりましょうか?秘書艦」

「っ!」

「……………………あぁ言ってるが……どうする?」

「…………山城、気遣ってくれてありがとう」

「いえ!姉様の為ですから!それでは──」

「でも、遠慮しておくわ」

「………………本当に大丈夫ですか?1日……は、疲れが取れないでしょうし…1ヶ月程なら引き受けますよ?」

「……………………山城」

「なんですか?」

「……それは、私を気遣っているのよね?」

「勿論ですよ!それ以外に理由が有りますか?」

「……………………」

「姉様、顔が少し怖いですよ?」

「……山城、あなた…………」

「もしかして、私が怖いんですか?」

「っ…………怖いって?」

「私が提督を盗らないか…心配なんですよね?」

「……………………」

「安心してください!第一、提督は姉様を選んでいたんですよ?」

「……そう…………そうよね…」

「えぇ!むしろそんなこと考えるなんて、提督を疑っていることになりますよ」

「!あ……違…」

「…………山城、そろそろ止めておけ」

「………………提督が言うのなら」

「まったく……扶桑。わかってると思うが、今のは山城のちょっとしたいたずらだ」

「…………わかっています。えぇ。大丈夫です……提督は私を選んでくれたんですもの」

「そうだな」

「…………………………」

>>460さんのおっしゃる通りですね。殺伐としたスレに対して食傷気味になってました。申し訳ない

スレじゃなくssですね

ここまで放置しておいて言うのもあれですが、最期まで書ききりますんで温かい目で見守って頂けたらと思います

「……まぁ、秘書艦は扶桑だ」

「…………………冗談ですから。気にしてませんよ」

「ごめんなさい、私じゃないといけないって言って下さったの。提督が」

「………………ですから、冗談ですって」

「そうね……私も少し向きになってしまったわ。ほんの冗談なのに」

「………………」

「………………」

「……それで、用事は?」

「えっと、提督に会いに来たんですけど……いつもみたいに楽しくおしゃべりしたいなぁ、って」

「…………………………」

「……すまないが今仕事が立て込んでいてな。今は無理だ」

「えっ…」

「そうなの。悪いけどまた後でにしてもらえるかしら」

「…………わかりました」

「本当にすまない。また後で話を聞きに行くよ」

「…………提督。この仕事の量ですし、そう安請け合いするのは…」

「なに、必ず終わらせて会いに行くから」

「……………………約束ですよ?」

「あぁ」

「……………………話はおしまいよ。戻りなさい」

「……安心してくださいよ。すぐ出ていきますから…では提督。また後で」

「っ!早く戻りなさい!!」

「……では」

「…………………………」

「……扶桑」

「……ふふっ提督。今の見ました?」

「見たって…何をだ?」

「顔です。優位に立ったと錯覚して笑っていたのに、最後は恨めしさを隠して作り笑いで出ていきましたよね?」

「……そうだったな」

「惨めですね…………ふふっ」

「…………そうだな」

「提督はあんな醜態をさらすようなのが好きだったんですね……失望したでしょう?」

「…………」

「……まさか、あんなのが良いんですか?あの道化が?」

「いやまて」

「違いますよね?もしそうなら、やめといた方が良いですよ?だってあんな──」

「扶桑っ!」

「っ………………」

「昨日話したこと、覚えているか?」

「ええ。当然です」

「なら、今俺が言いたいこともわからないか?」

「……………………そう、ですね」

「俺はお前が一番なんだ。だから……な?」

「……………………」

「確かに俺はお前のことが好きで、何があってもそれは揺るがない……だからこそ、妹の悪口を言うお前は見たくないんだ」

「…………失礼しました」

「……じゃあ仕事の続きをやるか」

「そうですね」

「……と、言いたいところだが。少しトイレに行ってくる。すまないが少しの間任せる」

「……わかりました」

「……あっ、提督!」

「山城……」

「逃げてきたんですね!」

「……トイレと言って来ただけだ」

「そんな嘘つかなくても良いじゃないですか!あの女も薄々気づいてますよ?自分には提督が不釣り合いだって」

「……それはさておき、けんか腰すぎやしないか?」

「えっ……」

「確かに俺はあいつの精神をぐらつかせるように言ったが、初日からあれは飛ばしすぎだ」

「そ、そうですか?まだまだ足りませんよ。あいつの伸びきった鼻をへし折るには全然足りません」

「………………だろうか」

「それより提督!見ましたか?」

「………………何を?」

「あいつの顔です!今の位置に慢心している憐れなしたり顔。馬鹿そのものじゃないですか。本当のことは何も知らないで……」

「……………………変わったな」

「変えてくださったのは提督です」

「……そうだったな」

「さぁ次はどうします?いっそ青葉のことを大本営に言うのはどうですか?」

「……何?」

「確かに提督にご迷惑がかかるのは承知しています。ですけど、すべてあいつが悪いんですから」

「…………青葉のことは隠しておこう」

「え?」

「今告発してどうなる?」

「え、えっと……罰として解体されますね」

「それだけじゃない。おそらく俺はここから追い出される」

「ほ、本当ですか?」

「これはほぼ確定だ。つまり、お前とは永遠に離ればなれに──」

「駄目ですっ!」

「だろ?だから今じゃなく、そうだな……とにかくすべてが落ち着いてから、そうしよう」

「………………提督は、姉様を庇ってるわけではないんですよね?」

「当然だ。なんだ?やっぱり俺の言うことが信じられないか?」

「っ!ち、違うんですよ!?ただ確認というかなんというか、その……私は信じてますから…ですから嫌いには……」

「……冗談だよ」

「……!」

「好きな人を疑うなんて、できるはずもない。当然だよな?」

「え、えぇ!その通りです!」

「……っと、そろそろ戻らないといけないな。怪しまれてしまう」

「えっ……そんな…………」

「次は……昼前に来てくれ。ちょうど昼食を誘うようにな」

「……はい」

今さらなんですけど、26の呪いって具体的にどんなことが起こるんでしょう

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年07月14日 (木) 18:18:00   ID: w2ePW896

こっちも好きだけど安価の方も進めてほしいです

2 :  SS好きの774さん   2016年07月24日 (日) 00:31:26   ID: PM_WghSr

こういう感じの、
私は好きよおおおお

3 :  SS好きの774さん   2016年08月02日 (火) 02:41:09   ID: -S_WC6qj

扶桑落とそうからの山城パターン2回目

4 :  SS好きの774さん   2016年08月24日 (水) 06:25:44   ID: -09Q4H5j

5 :  SS好きの774さん   2016年08月25日 (木) 04:56:37   ID: 9zyKR5cA

ニムがくるまで・・・次の更新は来年くらいかな

6 :  SS好きの774さん   2016年10月31日 (月) 05:08:50   ID: XP6Kd199

狂っていたのは山城ではなくて提督だったのか…
恋は盲目で愛した人を守るという大義名分が人を変えてしまうのね

7 :  SS好きの774さん   2022年05月19日 (木) 23:26:36   ID: S:_KQxo2

久々だけどやっぱ良いね

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