男「雨の降るなかで」 (19)

―とある神社―

ザァァァァァ

男「うわぁ……随分降ってきたなぁ……」

男「家までは遠いし、雨宿りさせてもらうか」

男「……そういやここ、前に一度来たことがあったな」

男「古めかしい感じにしては随分と小綺麗だし」

男「巫女さんやら神主さんやらが掃除してるのかな……」

少女「あ、こんにちは。参拝されにこられたのですか?」

男「え、あ。すいません、ちょっと雨宿りを……」

少女「そうですか。では、雨が上がるまでお話しません?」

男「は、はぁ……(獣耳?)」

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少女「男さん、ですか」

男「おう。それでさ、気に事があんだけど……」

少女「?」

男「……その耳、アクセサリーなの?」

少女「!あ、いや、そのこれはっ、その……」

男「人前でつけて恥ずかしがるんならつけない方がいいんじゃないの?」ハハ

少女「……気を付けます」

少女「そういえば男さんのご自宅はどの辺りに?」

男「うーん。あの辺り」

少女「結構近いんですね。雨宿りせずに走って帰った方が良かったのでは?」

男「俺、あんまり雨にうたれたくなくてさ」

少女「そのわりにはもう随分と濡れられてますが……」

男「まぁ、気分的にもかな」

男「そういえば、君はどうしてここに?」

少女「私ですか?……まぁ私もなんとなく、と言っておきましょう」

男「ふーん」

少女「……そういえば男さんって随分前にここにきたことがあられますか?」

男「小さい時に一度だけ、かな」

少女「……ということは、男さんはやっぱり……」

男「どうかした?」

少女「いえ、なんでもありませんよ」

男「そうか?なにか考え事してたように見えたけど」

少女「こちらのことですから、お気になさらず」

男「あ、雨上がったな」

少女「そうですね。私はもう少しここに居ますが、男さんは?」

男「俺?もう帰るよ。洗濯物とかも外に出しちゃってたし」

少女「わかりました。ではまたお会いできますように」ニコ


男「あ、そういえば名前聞くの忘れてたな……」

男「明日もまた行ってみるか」

男「それじゃ飯作ってっと……」

男(……そういえば)

男(昔、あの神社で遊んだ人とよく似てる)

男(あの時もまた会うって約束してたっけ)

男「懐かしいなぁ……」

男(あれ?そういやなんであの子は俺が昔神社にきたことがあるって知ってるんだ?)

男(まさかあの時の人……いや、それはないか。結構年も建ってるし)

男(……そういやあの人が俺の初恋だったんだよな)

男「……おっといけね。焦げちまうとこだった」


男「飯も食ったし、そろそろ寝るかぁ」

男「……そういや明日は午前中授業だったし、ちょっと早くから行ってみっかな」

男「あ、でもあの子も学校とかがあるか」

男「……まぁいいや。あっこでちょっと探検でもしながら待とっと」

男「……明日がちょっと楽しみだ」

男「……」


―――――――――――

―――――――

―――


?「あなたは……」

?「私の……」

?「……です!」


ピピピピッ


男「……」ガバッ

男「なんだ夢か……。最近疲れてたしな」

男「最後何て言おうとしてたんだろ……。気になるな」

男「……とりあえず、身支度するか」

―とある高校―

男「おっ、友おはよう」

友「おー、男の方が早く学校に着いてるって珍しいな」

男「たまには早く起きることもあんだよ」

友「なにかいい事でもあったのか?」

男「別に」

友「つれないなぁ……。いいじゃん教えてくれたって」

男「教えるほどの事じゃないから」

友「それが気になるんだろうがー」

男「兎も角、特段いいことがあったわけじゃない」

友「あ、いいことがあったのは否定しないのね」

男「……いいこと……なんか違うなぁ」


男「うおぉぉ……授業だるい寝みい……」

友「起きろって。英語のあの教師、怒らすと面倒だからさ」

男「五分だけシャットダウン……」zzZ

友「どうなっても知らねえぞ……」



教師「男。君は私の授業中何をしていたのかね?」

男「ノート取ってました」

教師「嘘をつけ。寝ていただろうが」

男「じゃあ証拠見せます」スッ

教師「ふん。どうせまっさらな白紙なんだろう……が」

男「何か問題でも?」

教師「……すまない。私の見間違いだったようだ」

男「これからは気をつけて下さいね」

友「いつの間にノート取ったんだ?」

男「途中で何回か起きてるんだよ」

友「よくそんな器用な事ができるな……」

男「中学校で身につけたスキルだからな」

友「普段の使い道あんのかよ……」


男「だはー。やっと授業終わりか」

友「学食食いに行こうぜ!」

男「ごめん用事が」

友「男に用事?珍しいな」

友「あ、もしかしてさっきのいい事の件か?」

男「うーん。まぁそんなところかな」

友「女でも出来たのか?」

男「出来ないと分かってて言ってるんだろ……」

友「はっはっは。すまんすまん」

男「まぁいいけどさ。それじゃまた明日な」

友「おう」


男「思ったより早くついたな……」

男「時間はまだ1時か。そいじゃさっそく歩き回ってみっか」

男「……お供えものが置いてあらないんだな」

男「ここって狐の神様が住んでるんだっけ?」

男「明日に油揚げでもお供えしてみるか」

男「……そういえばここ、静かだな」

男「虫の鳴き声とかが全然きこえねえし、まるで違う世界にきたみたいな……?」

男「……尻尾?なんだろう……」

男「狐……?こんな山にも住んでるのか……。あっ、逃げた」

男「暇だし、追っかけてみるかな」


男「なんか随分奥まで入っちまったなぁ……」

男「迷子になりそうだし、そろそろ帰るか」

男「ん……?あれは……少女?」

少女「……、……。」

男「なんであんなところにいるんだろ……。おーい」

少女「!?……あぁ、男さんですか」

男「なんでそんなとこにいるんだ?危なくないか?」

少女「……そうですね。向こうでお話しましょうか」


少女「えと、今日も来てくださってありがとうございます」

男「ん?あー、いやいや、君と話たかったから来ただけだよ」

男「あ、そういえば君の名前は?」

少女「私、ですか?……」

男「うん」

少女「えーっと絶対言わないとダメですかね?」

男「いや、別にそんなことはないけど……」

少女「それじゃあ然るべき時がきたら言わせてもらいますね」

男「お、おう」

少女「そういえば男さん、今日は随分と早くからいらしてたようですが……」

男「あー、今日は午前中で授業が終わりだったんだよ」

男「そういえば、君は学校に行ってないの?」

少女「行ってませんよ。私、これでも高校生くらいなんですから」

男「そうなのか。でさ、君は毎日ここにきてるの?」

少女「……あ、はい。そんな感じです」

男「?そういえば君、結局耳とってないんだね。触ってもいい?」ジー

少女「い、いやですっ!」

男「えっ……。そこまで嫌そうな顔しなくても……」ガーン

少女「いやな事はいやなんです!」

男(女の子って難しいなぁ……)


男「でさ、君はここになんで毎日来てるわけ?」

少女「……落ち着くからですかね?」

男「なんで疑問形?」

少女「なぜでしょうね~」

少女「そういう男さんはなんでまたここに?」

男「う~ん……。君と喋りたいからかな?」

少女「男さんっておかしな人ですね」クスッ

男(あ、笑った……。可愛い顔してるな)

少女「?どうかされましたか?」

男「なんでもねえよ」


少女「では、男さん。またきて下さいね」

男「おう」

少女「あ、あの……」

男「なに?」

少女「できれば、お供えものも持ってきてくれると嬉しいです!」

男「お供えもの?……分かった。ってか明日そうするつもりだったし」

少女「ありがとうございます♪では、また明日!」

男「また明日な~……。って何持ってけばいいんだろう……」

男「やっぱろ狐の神様なんだし、油揚げとかがいいのかな」

男「うーん……。また婆ちゃんにでも聞いてみるか」


男「たっだいまぁ~……。って誰もいないか」

男「さて、と。今日の飯は……。余り物で作れそうだな」

男「よし、じゃあさっさとつくっちま……友からラインか」

男(明日遊びに行こうぜ?……急な誘いだな)

男(まぁ一応okっと……。既読はやっ)

男「そういやなーんか忘れてる気がするけど、別にいーよな」

―翌日―

男「……んぁ」

男「なんかいつもよりさみぃな……」ヘブシッ

男「……早く学校いこっと」ズズッ


友「うぃー。男おっはー」

男「おはよう友。今日遊びにいくっつってたが、何処に行くんだ?」

友「あーそれはな……実は考えてなかったんだ」

男「えっ。じゃあなんで俺に言ったし」

友「いやぁ、最近友達と遊んでなくて暇だったからつい、な」

男「はぁ……。そういうのは別の奴に送ってくれよな」

友「わりぃわりぃ。あ、だけどお前も今日暇なんだろ?」

男「暇だた……。それがどうかしたか?」

友「どっか買い物にでも行かねえか?」

男「いいよ。最近食料もつきかけてたとこだし」

友「おっ。じゃあ午後授業終わったらいこうか」

男「うぃ」

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