いろは「ベッドから出られない」 (78)

八幡「………」

八幡(そろそろ昼休みも終わるな………教室戻るか)スタッ

八幡「………ん?」カツッ

八幡(………足元に何か………ランプ?)ヒョイッ

八幡「………拭いたら魔神が………なーんつって」キュッキュッ



ボフン



魔神「願いを三つ叶えてやる」

八幡「マジすか」



いろは×八幡の俺ガイルSSです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1463060474

八幡「………えー、え?何で?」

魔神「ワシは人の願いを叶えるのが好きなのだ」

八幡「マジすか」

魔神「願いを叶える事が人間にとって幸か不幸かは、そいつ次第だがな」

八幡「え、それは猿の手的な………」

魔神「そういう物でもない。ワシは人間に力を貸し、そいつがどんな願い事をするのか。暇潰し程度に楽しんどる」

八幡「はぁ」

魔神「とりあえずお前はこの町の一人目だ。ほら、何か願え。できれば面白い感じの」

八幡(………『この町の一人目』?)

八幡「俺以外の奴の願いも叶えるのか?」

魔神「あぁ、お前以外にも何人か、できればこの学校でな。願いを叶えた奴は一ヶ所に集まっている方が楽しいからな」

八幡「じゃあ、決めたぜ。願い事」

魔神「お、とりあえず一つ目だな」

八幡「他の誰かの願いを無効化する能力をくれ」

魔神「………………はぁ?」

八幡「知らねぇ奴の願い事で俺や小町や戸塚に危害が及ぶかも知れないからな。そういうのを無くす能力」

魔神「ハハ、ハハハ。中々面白いなお前」

八幡「叶えてくれるか?」

魔神「しかし、その願いは俺の目的と相反するなぁ………よし。『完全無効化』じゃなく『部分無効化』ならよしとしよう。ほいっ」シャランラ

八幡(何やら怪しげな光が)

魔神「一つ目の願い。叶えたぜ。それじゃあ次は………」

八幡「いや、遠慮しとくよ。もうすぐ昼休みも終わっちまうしな」

魔神「………………ハハ、ハハハ。無欲。とはまた違うみたいだが………やっぱり面白い奴だなぁ。願いが一つしか聞けなくて残念だ」

八幡「じゃあな」

魔神「じゃあな」

放課後。



八幡(………………………)テクテク

八幡(よく考えたら何だあれ)テクテク

八幡(………まぁ、ほっといてもいいか。あいつの言う通りなら、俺の周辺に強い危害が及ぶことは無さそうだしな)テクテク



魔神(いやぁ、さっきみたいな奴は久しぶりだったなぁ。やはり次の暇潰しにここを選んだのは正解かもしれん)

魔神(あいつ以外にも面白い奴が居るといいなぁ)

いろは「うぅー………生徒会の資料重いぃー………」プルプル

いろは(先輩に手伝って貰おうと思ったのに先帰っちゃうし)

いろは(………なーんか最近、先輩と話せてない気がするなぁー………)

いろは(このまま、何もできないまま終わっちゃうのかな………)

いろは(………今考えることじゃないや)

いろは「はぁー………やっと終わったぁー」カツッ

いろは(………?足に何か当たった………なんだろ。ランプ?)ヒョイッ

いろは「………拭いたら魔神が………なーんちゃって」キュッキュッ



ボフン



魔神「願いを三つ叶えてやる」

いろは「あばば」

いろは「………………うわー。すご」

魔神(………リアクションは普通の奴だな。ハズレか?)

魔神「ほら、早く願い事を言え」

いろは「先輩の部屋に行きたいです」

魔神(………なんだこいつ)

いろは「あ、先輩っていうのは………」

魔神「あー、言わんでも解る。魔神だからな。お前の言う『先輩の部屋』はここだろ?」シャランラ

いろは(怪しげな光が………)

いろは「………………知らない天井だ」

魔神「どうだ」

いろは「えいっ」ベッドガバーッ

魔神「!?」

いろは「あ“あ“あ“あ“あ“あ“!」ゴロゴロゴロゴロ

魔神「!?………!?」

いろは「………この匂い。すごい!本当に先輩の部屋だ!」

魔神(やべぇなこいつ)

魔神「おい。小娘」

いろは「………なんですかぁ?邪魔しないでくれますぅ?」

魔神「いや、そんなに暴れてると家の奴にバレると思うんだが………」

いろは「あぁー………妹さんが居るんだっけ」

魔神「二つ目の願いでバレないようにするか?なーんて」ニヤニヤ

いろは「じゃあそれで」

魔神「そんな勿体無い真似………は?」

いろは「早くしてくださいよ。私は安心して先輩のベッドを楽しみたいんです」

魔神「………………了解した」シャランラ

いろは「あぁぁぁ先輩の匂いぃぃぃ」ゴロゴロゴロゴロ

魔神「こいつやべぇ」

いろは(はぁ………枕、敷布団、掛布団。全方位から包み込むような先輩の匂いぃ………気持ちいぃ………)

魔神(………一時間ずっと布団にくるまってる………全然三つ目の願い言わねぇ………帰りてぇ………)

いろは「あぁ………もうベッドから出たくない………」

魔神「!!い、今の!」

いろは「ふぇ?」

魔神「三つ目の願いだな!そうだな!」

いろは「ふぇ?」

魔神「おらっ」シャランラ

いろは「ふぇ?ふぇ?」

魔神「じゃあな!」ヒューン

いろは「えっ、ちょっ、あ、あれ?」モゾモゾグイグイ

いろは「ベ………」



いろは「ベッドから出られない」

いろは「ベッドから出られない」



いろは「や、やばいやばいやばい。流石にこれはまずい」グイッグイッ

いろは「ビクともしない………」

いろは(頭もろくに出せないし………息するのもちょっと辛い………)



いろは(………………やばい興奮してきた)

八幡「………」ガチャッ

いろは「あっ」

八幡「………?」

八幡(俺のベッドが盛り上がっている………小町か?)バサッ



いろは「あっ」

八幡「………!?」



八幡「ど、どうして一色がここに」

いろは「あっ、えーと、そのランプの………」

八幡「………二人目はお前だったか………」

いろは「え?知ってるんですか?」

八幡「今はお前の話だ………何を願った?」

いろは「一つ目は………先輩の部屋に行きたいって………」

八幡「は、はぁ?」

いろは「あ、いや違いますよ!?男の人の部屋に興味有ったっていうか!本当それだけで他意は」

八幡「………二つ目は?」

いろは「………えっと不法侵入がバレないように………」

八幡「………み、三つ目は?」

いろは「………あー、いや………」

八幡「はぁー………一旦ベッドから出ろお前」

いろは「あ、いや、それがですね」

八幡「………どうした」

いろは「………ベッドから出たくないと………お願いしました………」

八幡「………はぁ?」

いろは「あ、いやちょっとうたた寝しちゃって!他意はないんです本当に!」

八幡「………他人の、しかも異性のベッドで寝るか普通………ビッチめ!」

いろは「ビ、ビッチじゃないですもん!」

八幡「鏡見てみお前。あ、見れないか」

いろは「むぅー!」



小町「お兄ちゃーん。誰と話してるのー?」ガチャッ

いろは「!!」

八幡「!!」

八幡「ち、違うんだ小町。これには訳が………」

小町「はぁ?何が?」

いろは「………?」

小町「………で、誰と話してたの?携帯は持ってないみたいだけど」

八幡「………小町、もしかして見えないのか?」

小町「え?何が?何かのアニメの話?」

八幡「あ、いや、なんでもない。ただの独り言だ。気にするな」

小町「ふーん?まぁ、いいや。あんまり大きな声出さないでね?」

八幡「あ、あぁ………」



バタン



八幡「………なんなんだ?どういう………」

いろは「………………」



魔神『二つ目の願いでバレないようにするか?』



いろは「………あ」

八幡「………二つ目の願い。か」

いろは「………あれ?じゃあなんで先輩は私の事見えてるんですか?それに、さっきまでは掛布団をめくることすらできなかったのに………」

八幡「………あぁ、俺の願いは『他人の願いの無効化』だからな」

いろは「なんですかそれ!解決じゃないですか!早速私をここから出してくださいよ!」

八幡「こいつ………!まぁいい。手出せ」

いろは「あ、はい………」

いろは(先輩の手………!)ギュッ

八幡「よっ………!」ギュッ

いろは「おぉぉぉ………お?」ズルズルズルピタッ

八幡「………?なんだ?」グイッグイッ

いろは「ちょっ、先輩!引っ張り過ぎです!痛いです!」

八幡「動かねぇ………これ以上は出れねぇみたいだな………」

いろは「えぇーっ!?まだ体の半分くらいしか抜け出てませんよ!?」

八幡「………悪い。厳密には『部分無効化』なんだよ」

いろは「えぇーっ!?なんですかそれ!」

八幡「だから二つ目の願いが小町に適用されたままなんだろう………多分、お前が見えてるのは俺だけだ」

いろは「じゃ、じゃあ一つ目の願いを無効化すれば、そもそもこの部屋には………」

八幡「やってみてもいいかもしれんが………やっぱり『部分無効化』だからな。場合によっちゃあ『体の半分』は俺の部屋に残されたり………」

いろは「ぴぎゃあーっ!なしです!それなしです!」

八幡「………俺もてけてけは見たくない」

いろは「………あれ?じゃあ、私どうなるんです?」

八幡「俺の部屋に監禁されたまま………」

いろは「………私を見れるのは先輩だけ………」

八幡「………………」

いろは「せ、先輩!先輩先輩先輩!わ、私!」



小町「お兄ちゃーん!ご飯だよー!」



八幡「………飯食ってくる」

いろは「先輩ぃぃぃぃ!」

八幡「ただいまー」

いろは「おっ、遅いです先輩!ご飯に時間かかり過ぎですよ!」

八幡「あぁー………コンビニ行ってたからな」

いろは「なっ!こんな状況で何買ってきたんです!?」

八幡「………ほれ」ポイッ

いろは「わっ、おにぎり、お茶………なんですかこれ。先輩まだ食べるんですか?」

八幡「………お前のだよ」

いろは「えっ」

八幡「このままだとお前飢え死にするだろ」

いろは「あっ、あ、ありがとうございます!」

八幡「それから………これもだ」スッ

いろは「………?除菌消臭スプレー?」

八幡「………その、俺の匂い残ってんの、嫌だろ」

いろは「えっ」

いろは(むしろ最高なんですけど………)

八幡「………」

いろは「………」

八幡「………使えよ」

いろは「えっ、いや、本人を前にやるのはちょっと………」

八幡「んじゃ、一旦部屋出るわ」スタスタガチャ

いろは「………あ、はい」

いろは「………」

いろは「………」



八幡「………ん、やったか?」ガチャ

いろは「………え、ええ………」

いろは(もちろんやってないけど)

八幡「んじゃ、飯食えよ」

いろは「………お腹減ってないです」

八幡「いや嘘つけよ。この時間だぞ?」

いろは「いや、本当に減ってないんです!………なんでかは解りませんけど」

八幡「………『布団から出たくない』ってのは、そういう行動の必要性の排除も兼ねてるのかもな」

いろは「え、えと、つまり?」

八幡「飯とかが要らん体になったんじゃねーの?」

いろは「はぁ。まぁ、助かりましたね」

八幡(多分トイレとかも要らんだろう………良かった。本当に良かった)

八幡「………じゃあ、もう寝るか」パチ

いろは「あ、はい!」

いろは(先輩と同じ布団で………!)コテン

八幡「………お休み」ゴロン

いろは「なんで床なんですかぁ!」ガバッ

八幡「………仕方ねーだろ。下のソファー使ってると小町が怪しむだろうし」

いろは「先輩のベッドがあるじゃないですか!」バンバン

八幡「お前が使ってるだろうが」

いろは「一緒に使えばいいじゃないですか!」バンバンバンバン

八幡「………ビッチめ」

いろは「んなっ!」

八幡「………お前はただでさえ眠れねー状況だろ。更に隣に俺なんか居たら余計眠れねーだろ」

いろは(むしろ安眠できそうなんですが………)

八幡「………俺も落ち着いて寝るのは難しそうだしな」

いろは「………なんでですか?」

八幡「………察しろ」

いろは「なんでですか?ねぇねぇ先輩なんでですかぁ?」

八幡「うるせぇさっさと寝ろ!」

いろは「あ、先輩先輩」

八幡「さっさと寝ろっつってんだろ………」

いろは「あの、これ………」ゴソ

八幡「俺の枕………」

いろは「その、掛布団はめくれないから無理ですけど………枕だけでも」

八幡「………おう」

いろは「それじゃあ………おやすみです」

八幡「………お休み」

いろは(先輩は優しいなぁ………こんな異常事態でも私のこと気遣ってくれて………)

いろは(しかしこのベッド私のベッドより遥かにリラックスできるんだけど。安眠効果すごいんだけど)

いろは(先輩に包まれて………)



八幡(あんな風に振る舞っちゃいるが………内心怖くてたまらないだろう。俺の部屋から動けなくて、頼れるのも異性の俺一人だけなんだから)

八幡(先輩として、少しでも労ってやらなきゃな………)

八幡(しかし、この枕………)

八幡(よくあんな状況で俺のこと気遣えたもんだな)

八幡(やっぱり、根は良いんだよな………)

八幡「なぁ、一色………」

いろは「ぐぅ」

八幡(寝とる)

八幡(………………)

朝。



いろは「ぐぅ」

八幡「起きろ一色」

いろは「ぐぅ………むにゃ?」

八幡(寝ててもあざといのかこいつは)

いろは「ん」ムクッ

いろは「んぅー………………」ボーッ

八幡「起きたか」

いろは「………」

いろは「ぎゃあぁぁぁぁっ!?」ガバーッグイッ

八幡「………」

いろは「な、なんで先輩が!なんで!なんで!ていうか掛布団!なにこれ!」グイッグイッ

八幡「………やっぱまだ治ってないか。まぁ、落ち着け」

いろは「え?え!?………………あ」

八幡「思い出したか?」

いろは「思い出しました………」

いろは(恥ずかしいぃ………)

八幡「まぁ、混乱するのは解るが………朝からその大声はキツいな」

いろは「うぅ………すみません」

八幡(ただでさえ寝不足なんだがなぁ………悶々としていたから)

いろは「先輩、いつもより隈が………」

いろは(………私が馬鹿なお願いしたせいで………)

八幡「………いや、元からこんなもんだよ俺の目は。気にすんな」

いろは「うそです。明らかにいつもより隈の量が多いじゃないですか」

八幡「………よく解るな」

いろは「そりゃあ、いつも先輩のこと見てますから………」

八幡「………………え」

いろは「あ!い、いや!今のは!」

八幡「………はいはい、あざといあざとい」

いろは「なぁーっ!?」

八幡(危ねぇ………もうすぐでトゥンクしちゃう所だったぜ)

八幡(というか、事態がイレギュラー過ぎる。吊り橋効果に近い何か生まれているな………かなりの効力で)

八幡「じゃあ、俺学校行くから」

いろは「えっ、もうそんな時間………」

八幡「こんな時間までぐぅぐぅ寝てたお前にビックリだよ。やっぱ男の部屋で寝るのなんて日常茶飯事だったか?」

いろは「だ、だから!私はそんなんじゃないですもん!」

八幡「はいはい。後これ。何かあったらこっから俺の携帯にメールしろ」スッ

いろは「あ、ありがとうございます」

八幡「それから、体鈍らないように軽く体動かしとけ。あと暇だったら本棚勝手に漁っていいから」

いろは「あ、はい」

八幡「そんじゃ」スッ

いろは「あ、あう、先輩!」

八幡「ん?」ピタッ

いろは「い、いってらっしゃい。です」

八幡「………いってきます」ガチャッ

八幡「………」スタスタ

八幡(今の夫婦っぽいな………)

八幡(………………何を考えてるんだ俺は)



いろは(………『いってらっしゃい』………)

いろは(………『いってきます』………)

いろは「うへへ」

午後。



いろは(………)ワシャワシャワシャワシャ

いろは(『体動かす』って具体的にどうしたらいいんだろう)ワシャワシャ

いろは(ベッドから出られないからラジオ体操もできないし………とにかくワシャワシャしてるけど………さながら夏の甲虫)ワシャワシャ

いろは(あぁ………何か良い汗出てきた。これぐらいやれば十分だよね?)

いろは(汗………さっきの動きで私の匂いが先輩のベッドに染み付いちゃったり………)

いろは「………………悪くない」

いろは(いやいやいやいやどう考えても悪いよ。変態だよ。汗の匂いなんて恥ずかしくて嗅がせられない)

いろは(そうだ。ちゃんと着替えて汗も………)



いろは(………………着替どうしよ………………)

いろは(まぁ、先輩に買ってきて貰うしかないよね………私の下着を買いに行く先輩………うん。悪くない)

いろは(いやいやいやいやどう考えても悪いよ。変態だよ………けど、これは不可抗力だしね?ね?)

いろは「着替え………を………」ポチポチ

いろは(………いや、ちょっと待って)

いろは(私今、すごく図々しくない?)

いろは(ただでさえすごく迷惑かけてるのに、更に下着買って来いって………)

いろは(うぅ………駄目だよね………)ポチ

いろは「あ」

いろは(そ、送信しちゃった!)

八幡「zzz………」スヤスヤ

八幡「………ん」ピローン

八幡(寝たフリのつもりがいつの間にか本当に寝てしまった………あんまり寝られなかったからな………自分の部屋にあんな可愛い奴が居て寝られるかっつーの。男子高校生だぞ俺)

八幡(そんでメール………やっぱ一色からか)



一色『着替えを』



八幡(あぁー………やっべ)

八幡(小町から借りれば………いや理由なく貸してくれるはずがない。やっぱり俺が買いに行くしかないか………)

八幡(にしてもなんか淡白なメールだな………四文字て)ピローン

八幡(ん?もう一通………?)



いろは『今のは誤送信です』



八幡(遠慮………してるのか)

八幡(いや、どう考えても遠慮する場面じゃないと思うんだが………こういう所あるよなあいつ)



八幡『帰りに買って来てやるから待ってろ』

いろは『すいません。お願いします』

放課後。



いろは(………買っていただけるらしい)

いろは(時間的に今頃お店かな)

いろは(先輩………どんな下着買って来るかな。どういうのが好みかな)ピローン

いろは(あ、先輩からメール)ポチ



八幡『サイズ教えてくれ』



いろは(………やばい。興奮してきた)

いろは(じゃなくて。身長は………前に計った時は160弱だったかな?それから胸のカップは………)

いろは(………)



いろは『身長は160弱。胸はEです』

いろは『身長は160弱。胸はEです』

八幡『嘘つけ』

いろは『本当に160弱ですよ?』

八幡『そっちじゃない。本当のサイズ教えてもらわないと買えないんだが』

いろは『割とコンプレックスなんですよ』

八幡『別に気にすることじゃないだろう。人それぞれ好みがあるし』

いろは『先輩はどうですか?』

八幡『別にいいだろ俺のことは』

いろは『私も恥ずかしいんですから先輩も辱しめを受けてください』



八幡「………くっ」

八幡(こいつは全く………)

八幡(しかし、あいつもあいつで極限状態なんだろうし、世話役として精神状態を同じにするというのも、安心に繋がるかも知れない………)



八幡『小さい方が好きだ』

いろは『Aです』

八幡「………帰ったぞー」

いろは「あっ、先輩おかえりなさいです!」

八幡「………ただいま」

八幡(夫婦っぽいな………デジャヴ)

いろは(ぐへへ)

八幡「………ほら着替え、これでいいか?」

いろは「あっ、はい!ありがとうございます!」

いろは(パジャマと下着が2セット………)

いろは「………先輩はこういう感じが好きなんですねー」

八幡「お前な………」

八幡(こいつもしかして全然余裕あるんじゃね?俺よりあるんじゃね?)

八幡「着替える時は言ってくれ。部屋出るから」

いろは「あ、はい、じゃあ早速お願いします」

いろは(見てくれてもいいんだけどな。ちゃんと胸ちっちゃいし)

八幡「おう。後これ」

いろは「………ウェットティッシュ?」

八幡「………その、さすがに風呂は用意できねぇからな。濡れタオルの方がいいなら、用意するが」

いろは「あ、あい。わ、解りました」

八幡「………んじゃ」

いろは「………んっ」モゾモゾ

いろは(やっぱりベッドに入ったまんまじゃ脱ぎ辛いな………)

いろは(………………先輩のベッドで全裸………………)

いろは(あ、これやばいほんとやばい今度こそやばい)

いろは(更にウェットティッシュで全身を………っ!)



八幡「………終わったかー?」コンコン

いろは「………………はい。大丈夫です」

いろは(危なかった。本当にあと一歩でやばかった)

八幡「………入るぞ」ガチャ

いろは「どうぞー」

八幡「………………」

八幡(さっきまで一色がここで………!)

八幡「その、どうだ。今日一日。不都合とかなかったか」

いろは「あ………その、えっとですね」

八幡「………次はなんだ」

いろは「その、着替えたはいいんですけど………元から着てた制服はどうしましょうか」

八幡「………洗う、だろ。そりゃあ」

いろは「いえ、ですから、どうやって洗いましょうか………っていう」

八幡「コインランドリーが有るだろ」

いろは「で、ですから。誰がコインランドリーまで制服を運んで、誰が取り込んでくれるんでしょうか………っていう」

八幡「………俺がやるしかねぇだろ」

いろは「下着も有りますよ………?」

八幡「………………俺がやるしかねぇだろ」

いろは「で、では、お、おおお願いします………」スッ

八幡「………おう」スッ

八幡(一色の………一色の………一色の………一色の………)

いろは「………その、結構汗かいちゃったので、あんまり触らないでください………」

八幡(結構汗かいちゃった一色の………!)

八幡「………………行ってくる」ガチャ

いろは「………はい」

八幡「ただいまー」

いろは「おかえりなさいです」

八幡(あー危なかった)

八幡「………もう寝る。電気消すぞ」

いろは「あ、はい」



翌日。



いろは「ぐぅ」

八幡(またろくに寝れんかった………)

いろは「ぐぅ」

八幡「………気持ち良さそうに寝やがって」

八幡(思ったより強かだこいつ………心配して損したな………)

八幡(というか、俺の方がグロッキー。さっさと解決方法を見つけなきゃな………)

八幡(こいつもいつまでも俺の部屋に居るべきじゃないだろう)

八幡(こいつはちゃんと青春することができる奴なんだから)

八幡(………俺と違って)

いろは「ぐぅ」

いろは「ぐぅ」

八幡「おい一色………」

八幡(いや、わざわざ起こす必要もないか)

八幡(あいつの『いってらっしゃい』は、俺なんかがあんまり聞いちゃ駄目な気がする)

八幡「いってきまーす」ガチャ

小町「いってらっしゃーい」

いろは「ぐぅ」



いろは「………ん、んぅ………」

いろは「あれ?先輩?」

いろは「うわっもうこんな時間。先輩もう学校行っちゃっただろうな………」

いろは(『いってらっしゃい』って言いたかったな………)

いろは「………」

いろは「………運動しよ」ワシャワシャモゾモゾ

放課後。奉仕部。



八幡「………」

結衣「………」ポチポチ

雪乃「………」ペラッ

八幡(一色をベッドから解放する方法………やはり発端である、あの魔神にもう一度会うしかないだろう)

八幡(魔神の言葉が確かなら、まだこの学校でターゲットを待ち受けているはずだ)

八幡(そう思い、裏庭を探してみたものの、あのランプは見つからなかった)

八幡(あれからまだ2日。この学校から去ったとは考え辛い………)

八幡(きっと裏庭だけでは偏りが出ると思い、待ち受ける場所を変えたのだろう)

八幡(で、どこに変えたが問題な訳だが………)

八幡(………解らん)

八幡「………なぁ、由比ヶ浜」

結衣「なに?」

八幡「ランプの魔神の噂とか………知らないか」

雪乃「………ランプの魔神?」

八幡「有名な奴だよ。ランプを拭いたら願いを三つ叶えてくれる奴」

雪乃「比企谷くん………いくらなんでも腐りすぎよあなた」

八幡「変な勘違いをするな………それで、どうだ由比ヶ浜」

結衣「うーん。知らないや」

八幡「………そうか」

八幡(あのリア充グループメンバーでも知らないなら………叶えた人数がまだ少ないのか、噂が広まらないようになんらかの工作が行われているか………)



結衣「いろはちゃんはどう?」



八幡「!?」

八幡「!?」

結衣「………………うーん。いろはちゃんも知らないかぁ」

雪乃「………………いえ、あなた達でも知らないならそんなに有名な噂ではないのでしょう」

結衣「………………あははっ。いろはちゃん言い過ぎだよー」

八幡「………待て、お前ら。誰と話してるんだ」

結衣「………?誰、って、いろはちゃんだけど」

八幡「………?」

雪乃「比企谷くん。あなたがどんな仕打ちを受けたかは知らないけれど、だからって関係のない人にやり返すのは良くないわ」

八幡(………!まさか!)



八幡「………………見えた」スッ

イロハ「もー。さっきからなんなんですかぁ?」

八幡(………どうやら『部分無効化』してたらしいな)

八幡(一色いろはの二つ目の願い………『バレないように』………なるほど。アリバイ工作もされてる訳だ)

八幡(考えてみればおかしい。生徒が一人行方不明になっても何の連絡もないなんて)

八幡(この二日間………この偽一色が本物の一色として生活してたってことか………気持ち悪い話だな)

イロハ「?」キョトン

八幡(飯とかが要らないのも、こいつが代わりにやってるってことか?)

材木座「はぽん!」ガラッ

結衣「あ、中2だ。またラノベ?」

材木座「いかにも!」

雪乃「………というか、今のは挨拶なのかしら?」

八幡(面倒くせぇの来たなぁ)

八幡「帰れ」

材木座「ふふん。そんな強気でいれるのも今の内よ………」

八幡「いやもう本当帰れお前」

材木座「ま、待ってくれ!今回こそは本当に自信作なのだ!最初の3ページだけでも読んでくれ!」

八幡「はぁ………わーったよ。二つ寄越せ」

雪乃「私は読むとは言ってないのだけれど………まぁ、いいわ。何やら自信作の様だし」

八幡(さっさと読んでさっさとダメ出しして帰っていただこう)

材木座「………ふふん」

八幡(いつにもまして根拠のない自信が凄いな………………内容はやっぱりいつも通りつまらないんだが)

八幡「はい3ページ読んだ。つまらん」

材木座「なぬぅ!?そ、そんなはずが」

八幡「そんなはずがあるんだよ。まず主人公の右手が無効化の能力で左手で超電磁砲が撃てるって設定が論外だ」

材木座「バ、バかな!あの時ちゃんと………」

八幡「お前に何があったか知らんがつまらんもんはつまらん。雪ノ下も何か言ってやれ」

材木座「………ひぃっ」

雪乃「………………面白いわ」

八幡「ほら………………え?」

雪乃「まだ、途中までしか読んでいないのだけれど………とても面白いわ。文体や文法が治った訳ではないのに………何故か」

結衣「うっ、うそ!ちょっと貸して!」バッ

イロハ「私にもお願いしますっ!」バッ

八幡「うおっ」

結衣「………………面白い!私あんまり本読んだりしないけど、これ面白いと思う!」

イロハ「確かに面白いですねー。こういうジャンルは初めてですけど、面白いと思いますよ?」

八幡「………………なっ!?」

材木座「ふふん。ふふふん。そうであろうそうであろう。何故なら!我こそが!大剣豪にして大文豪!材木座義輝なのだからぁっ!」

八幡「………な、なんだと………!?」

材木座「ふっ、八幡よ。先程の酷評。どうやら嫉妬による物だったのかなぁ?」

雪乃「比企谷くん………確かに、認めるのは癪だけれど………認めるべき物は認めるべきよ」

八幡(な、なんなんだ………?『また』『俺だけ』………!)

八幡「………おい材木座ちょっと廊下出ろ」

材木座「なんだなんだぁ?お前も我の編集になりたいのかぁ?」

八幡「いいから出ろ………!」

材木座「………ふ、ふふん。よ、良かろう」

雪乃「………?」



八幡「単刀直入に聞く。どこでランプ拾った………!」

材木座「ランプ………!まさか貴様も!」

八幡「いいから答えろ………!」

材木座「………か、河原だ………橋の下にポツンと………」

八幡「あそこか………っと、材木座。他の願いは?」タッタッ

材木座「アニメ化と声優との結婚」

八幡「どっちも無効化しておく」ポンポン

材木座「なっ!?まさか!貴様の願いとは!ずっ、ずるいぞ!我もそれがいい!っていうか無効化しないで!」

八幡「じゃあな!」ダダッ

八幡(部分無効化だからな………精々、声がいい人と結婚ぐらいになるだろう………平塚先生か)

八幡「………着いた………」

八幡(材木座は橋の下と言っていたが………ん?橋の下から誰か出てきた………?)



戸部「ふぅー………」

八幡「戸部っ!?」

戸部「お、どしたんヒキタニくん?」スタスタ

八幡「こっちの台詞だ戸部………!お前、さっきあそこで何してた?」

戸部「おぅ?いや………ヒキタニくんどーせ信じないっつーか?」

八幡「いいから!」

戸部「さっきさぁ、あそこでランプ拾ったんよ。そしたら願いを叶えてくれる魔神?がさぁ」ピッ

八幡「やっぱりか………それで、ランプはどうした?」

戸部「俺は迷ったね。もち海老名さんのことな?」

八幡「………『ランプ』はどうした?」

戸部「このまま魔神に頼めば海老名さんは一生俺を愛してくれるようになるだろう………それが俺の一番の願いだった。それさえ叶えば他は何も要らなかった」

八幡「キャラ変わってんぞお前」

戸部「だが………だからこそ悩んだ。そんな浅はかな欲にまみれた物が俺の願いなのか?………と。だから、断った。人によれば、願いを伝えなかったことこそ浅はかだと言う者も居るだろう。俺を惜しいことをした奴だと思う者も居るだろう」

八幡「………もっかい聞くぞ。ランプはどうした?」

戸部「………だがな。俺の心は今、驚く程清々しい。まるで今まで迷路に閉じ込められていたような気分だ。それが、まっすぐな一本道になった………俺は初めて自分の『誠実』に触れられた気がする………」

八幡「ランプ」

戸部「………俺、一回海老名さんの所行ってくるわ。今すぐ告白………って訳にはいかないだろうけど、今は無性に海老名さんの声が聞きたいんだ………笑顔が、見たいんだ」

八幡「ランプはどうしたぁ!」

戸部「河に捨てた」

八幡「………クソッ!」ダダッ

八幡「良かった………まだ木の枝にひっかかってる………」

八幡(どうする?ランプから反応はない………こちらから行くしかないが、石とか投げつけたらそのまま流れて行きそうだ)

八幡「………渡るしかねぇな」ザプッ

八幡「クソッ、結構深いな………」ザブザブ

八幡「はぁ………はぁ」キュッキュッ



ボフン



魔神「願いを三つ………なんだまたお前か」

八幡「………また会ったな」

魔神「いやー、助かったぞ。さっきのあいつがワシを河に投げ捨てたせいでもうこの街に居るのは無理かと思った。ワシから動くのはルール違反だからな………それで、どうした?残り二つの願いが惜しくなったか?」

八幡「ちげぇよ………逆だ。願いを消してくれ」

魔神「………お前には既に『部分無効化』の力を与えただろう」

八幡「それだけじゃあ意味ないんだよ………」

魔神「………?」

八幡「二日前………亜麻色の髪をした女子をベッドの中に閉じ込めただろう………」

魔神「………!そうか!あの部屋はお前の部屋か!ははは!面白い!こういう小さなドラマが楽しくて仕方ない!」

八幡「こちとら笑えねぇよ………いや、まだ今なら笑い事で済む。が、このまま何年も俺の部屋に居たら………あいつの高校生活も、下手したら人生まで終わっちまう………なぁ、お願いだ。あいつの願いは消してくれ………」

魔神「………最初に言ったはずだ『願いを叶える事が人間にとって幸か不幸かは、そいつ次第だ』………願いを叶えたのはワシだが………願ったのはあくまであいつだ。ならばワシはこれ以上何もしない。それがルールだ」

八幡「………………っ!」

魔神「………………なーんてな。今のは嘘だ。願ったのはあいつではない。三つ目の願いだけに関してはな」

八幡「………!?」

魔神「あれはワシが無理矢理叶えたような物だからな………あれだけは例外だ。あいつが『ベッドから出たい』と願えば、すぐ様出れる」

八幡「じゃあなんで………」

魔神「 だから『ベッドから出たい』と願っていないのだろうよ 」

八幡「………?」

魔神「言っておくがワシは嘘は吐いていないぞ。隠し事もしない。それもルールだ」

八幡「………?………?」

魔神「………じゃあな」ドヒュン

八幡「………うっ、うおっ」バシャンッ

八幡(自分から動くのはルール違反じゃねぇのかよ………)ザパァッ

八幡「………あー、寒っ」

八幡「ただいまー………」ガチャッ

いろは(あ、先輩帰って来た)

いろは(部屋まで来たらおかえりなさいって言うぞー言うぞー)

小町「おかえりー………って!お兄ちゃんビショビショじゃん!」

いろは(!?)

八幡「あー………」

小町「早くお風呂入って!体温めなさい!」グイグイ

八幡「おー、小町は優しいなぁー」

小町「今そういうのいい!」

いろは(先輩………何があったんだろう………)

小町「大丈夫?吐き気とかしない?」ガチャッ

八幡「大丈夫だっつってんだろうが………部屋にまでついて来なくても………」

いろは(あ、来た)

小町「いい?今日はちゃんと体を温めて………ん?なんで枕が床に有るの?」

八幡(やべっ)

小町「はぁ………しっかりしてよね」ポイッ

いろは「いたっ」

小町「ほらっ、さっさと布団入って」

いろは(えっ)

八幡「あっ、いやお前が部屋出たらすぐ入るから」

小町「いいから!」グイグイ

八幡「うおっ」ドサッバサッ

いろは(きゃあぁぁぁぁっ!)

小町「おやすみー………お大事にね」バタン

いろは「………」

八幡「………」

いろは「………いい妹さんですね」

八幡「………悪い、すぐ出る」

いろは「駄目です」ギュッ

八幡「!?」

いろは「………先輩のこと、ずっと床で寝させてしまいましたし………それに、先輩の体、まだ少し冷たいですから………私が温めてあげます」スリ

八幡「………あざといってレベルじゃねーぞ………」

いろは(まぁ、私が個人的に抱き着きたいっていうのもあるんだけどね。ぐへへ)

いろは「それで………なんで濡れて帰って来たんですか?」

八幡「………もっかいあの魔神と会ってきた」

いろは「!………そ、そうですか………それで、どうでした?」



魔神『言っておくがワシは嘘は吐いていないぞ。隠し事もしない。それもルールだ』



八幡(あの魔神の言う通りなら………何故、一色は………)

八幡「………三つ目の願いは………ほとんど無理矢理だったらしいな」

いろは「え、あぁ、はい」

八幡「………だからあの願いは例外らしい」

いろは「………え」

八幡「お前が出たければ、すぐにでも出れると言っていた」

いろは「………でも」

八幡「………『出たければ』………な」

いろは「………すみません」

八幡「なんで謝………」

いろは「すみませんっ!」ギュウッ

八幡「!?」

いろは「先輩が三年生になって、本格的に忙しくなって………先輩が、遠くに行ってしまうような………そんな気がしてたんです。もし、このベッドから出てしまえば、もう先輩に会えない気がしました」

八幡「………」

いろは「私………先輩が好きです」

八幡「………いつから」

いろは「葉山先輩にフられて………慰めて貰った時、でしょうか」

八幡「………マジか」

いろは「自分でもチョロいと思います………でも、嬉しかったんです。あの時一緒に居てくれて。それからも、一緒に居てくれて」

八幡「………」

いろは「………私、嫌な子ですね。すみませんでした。もう、出て行きますね」スッ

八幡(掛布団が………)

いろは「………ありがとう、ござい、ました」

八幡「待て」ギュッ

いろは「!?」

八幡「好きだ。一色。俺と付き合ってくれ」

いろは「えっ、え、あ、はい」

八幡「………おう」ギュ

いろは「………へぇ?」

八幡「変な声出てんぞ」

いろは「え、いや、わ、わーい………」

八幡「………」

いろは「わーい。わーい!やった!わーい!」

八幡「………子供か」

いろは「い、いつから!いつからですか!?」

八幡「ディスティニーランドの、帰り………」

いろは「私と一緒じゃないですか!私、あの時他の人にフられたばっかですよ!?」

八幡「………仕方ねぇだろ。泣いてるお前見てたら、なんか、そばに居たくなった」

いろは「………なんか恥ずかしいですね」ニヨニヨ

八幡「………なら聞くな」

いろは「これからも、そばに居てくれますか?」

八幡「………あぁ、ベッドから出ても、ずっと」

いろは「………………はい」

翌日。



八幡(あれから、深夜に一色を家に帰した)

八幡(きっと一色が俺の部屋か家を出た時点で、二つ目の願いが解除され、偽一色も消えていたはずだ)

八幡(一色の家族の目の前で消えたりするのは危ないからな………)

八幡(深夜にお出掛けしたせいで、寝不足は今日もやっぱり解消されなかったが、些細なことだろう)

八幡(さて、学校でどんな顔したらいいのかね………)



ボフン



魔神「よう」

八幡「うおっ」

魔神「いやー、おめでとう。良かったな。無事あの小娘と付き合えて」

八幡「………え?」

魔神「願いを辿るは幸か不幸か。最後まで見届けるのもまたルールよ」

八幡「見てたのかよ………っていうかいつまでこの街に居るんだ。はよ出てけ」

魔神「あぁ………次の奴で最後の予定さ………そうだ!」

八幡「………どうした?」

魔神「最後の奴もお前にしよう!」

八幡「はぁ?」

魔神「最初はお前、最後もお前。面白いじゃないか」

八幡「つっても願いなんて………」

魔神「じゃあ、こうだ」シャランラ

八幡「………!?」



いろは「ただいまー」ガチャッ

いろはは「おかえりー」

いろは(今日、先輩なんでか学校来てなかったなー。思いっきりイチャついてやろうと思ったのになー)トテトテ

いろは「まぁ、いいや。まだ明日が………あれ。なんだろ、ベッドが妙な形に………」



             ー終わりー

『おまけ1』



いろは「これからも、そばに居てくれますか?」

八幡「………あぁ、ベッドから出ても、ずっと」

いろは「………………はい」

いろは「いやー、でもそんなこと聞くと余計ベッドから出たくなくなりますねー。ずっとこうしてたくなります」スリスリ

八幡「なら連れ出してやるよ。いろんな所に」

いろは「本当ですか!?」

八幡「おう、ららぽとか………ららぽとか、ららぽとか」

いろは「全部ららぽじゃないですか!」

八幡「いや、他にも、映画館とか本屋とかゲーセンとか」

いろは「全部ららぽじゃないですか!」



             ー終わりー

『おまけ2』



八幡「そういやお前、ベッドでどんな風に体動かしてたんだ」

いろは「こんな感じです」ワシャワシャモゾモゾ

八幡「………」

いろは「………」ワシャワシャモゾモゾ

八幡「………なんかエロいな」

いろは「えっ」



このあとめちゃくちゃワシャワシャモゾモゾした。



          ー本当に終わりー

以上になります。



今だ!奴らがいろはすssを読んでる間にめぐりんをめでるんだ!



そんな気持ちで書きました。楽しんでいただけたなら幸いです。



ここまで読んで下さった方々。
ありがとうございました。

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