男「アメリカに留学してた妹が帰ってくるだって!?」 (92)

空港――

男「ハハハ、久しぶりだなぁ。あいつ、大人しくて気弱だから心配だったんだよなぁ」

妹『おにいちゃん…不安だけど…頑張って行ってきますね…』グスン

男「なぁんて言ってたなぁ」シミジミ

男「でも、留学して少しは快活になってるかもな。
よし、頑張った可愛い可愛い妹の為だ。何か美味いモンでもご馳走してやるか!
…って兄バカが過ぎるか…?ハハハ、まぁいいか!」

??「HEY!んなとこにいつまでも突っ立ってると根っこが生えちまうぜ」

男「あぁ…すみません…ん?」

妹「WHY!?オイオイこいつは驚きだな!なんだよ兄弟、迎えにきたってんならそう言えよな!」HAHAHAHA!

男「」


男「え、え、えぇえええええええぇええええええぇえええええ!?!?」

妹「ハトが5.56ミリ弾食らったような顔してどうしたんだい?ハーハン?」

男「いやぁぁああああああぁあああああああああ!!!!」

男「うそ…うそうそうそ…妹はもっとお淑やか…あんな笑い方しない…
サングラスかけてないし肩にタトゥー入れてないし迷彩ズボンとか穿かない…」

男「夢だ夢だ…目を閉じて開ければそこには控えめに微笑む落ち着いた服装の妹が…!」チラッ

妹「落ち着けよ兄弟。吸うかい?」プカー

男「妹は葉巻とか吸わない!!!」

妹「どうしたってんだ兄弟…」

男「お前がどうしたんだよ!!変わりすぎだろ!!」

妹「いきなりどうしたんだとは御挨拶だな。兄貴じゃなきゃドテッ腹に風穴空いてるところだぜ」HAHAHA

男「その口調だよッ!!戻してよ!」

妹「……」

男「これは夢…夢なんだ…次に喋るとき妹は大人しいいつもの喋り方に…」チラッ

妹「平気かい?顔色が真っ青だ。ジョンのママの作るケーキより青いぜ」

男「いやぁあああああああああああああああああああああああああああ!!!」

男「……」

妹「HEY、HEY!兄弟、お疲れのようだな」クッチャクッチャ グビグビ

男「妹はピザとかコーラとかジャンクフードは食べない」

妹「しょうがねぇな。オーケー、分かった。こうしよう。
私がクルマを運転する。兄貴は後ろで休む。冴えたやり方だろ?」

男「…もう勝手にして」

妹「決まりだ」

ブロロロロ!

ドガンッ!!!

妹「SHIT!」

男「右車線走ってんじゃねぇよ!!」

プスプス…

妹「!…おっと、こいつはマズイな」

男「どうしたの…」

妹「兄弟、出るぞ…伏せろ!」

――ドガァアアアアン!!!

男「俺の車が!?」

妹「間一髪…だな」

男「どうしてくれんだよぉ…」

妹「…Sorry、いつかとっておきのをプレゼントしてやる。
だが、今は生憎と持ち合わせがないんだ。ディナー奢るから勘弁してくれ」

男「いや…車ないしどうやって帰るんだよ…」

妹「オイオイ、その足は飾りかい?」

パチパチ…

男「…迷ったな」

妹「今晩は野宿だな。まったく、大した歓迎ぶりだよ」

男「…腹へったな」

妹「干し肉ならあるぜ?」MOGUMOGU

男「…」

妹「キャシーのじいさんから習った。キツくスモークしてある。
だから日保ちがいいし、味もいい。だが、歯応えときたら頑固でじいさんそっくりだぜ!」HAHAHAHA!

男「辛いけど美味い」ガジガジ

妹「そいつはどうも。兄上のお口に合ったようで何よりだ」

男「…つうか、なんでアウトドア熟れてんの?」

妹「色々あってね。…こうして火に当たってると昔を思い出す」クピッ…

男「妹はスキットルで酒を呷りながら遠い目なんてしない」

妹「オニオンのピクルスもどうだい」

男「それもお前が作ったの?」

妹「あぁ、簡単だからな。目を瞑ったって出来る」


ホーホー…

男「はぁ…熊とか出たらどうするんだよ」

妹「安心しな。シンプルな解決方法がある」スチャッ…

男「妹はバカデカいモデルガンなんて持ち歩かない」

妹「私の相棒をオモチャ呼ばわりときたか!」HAHAHAHA

男「…でもそれカッコいいな」

妹「……おい、返せ。そいつはジャジャ馬なんだ。扱いを誤るとすぐ機嫌を損ねっちまう」

男「なんだよ、エアガンだろこれ」ハハハ

妹「…オーケー、分かった。愛車を爆発させたのは謝る。
辛いよな、本当。私だって身を切られてピクルスになっちまうように辛い。
悪かったからそいつを私に向けないでくれ。実の妹をミートパイにしたくはないだろ?」

男「え?」

妹「よーし…いい子だ…そのまま、下ろせ…!そのまま…オーケーいい子だ…」

男「…ほら、返すよ…(妹はこんなイタイ子じゃない…)」

妹「そこで私がボブの奴に言ってやったんだ。『HEYボブ、お前のガキの頃のアルバムにもビスケットのカスが挟まってるだろうぜ』って…お兄ちゃん?」

男「…ん?どうした」

妹「腕、見せてみな」グビグビ

男「ん…あー擦りむいてるな…車から急いで出たときかな」

妹「ブゥウウッ!!」

男「酒吹き掛けないで!妹はそんなことしない!!」

妹「生憎と包帯はないからな。これで我慢してくれよ」ビリビリー

男「妹はシャツの裾引き裂かない!!」

妹「腕、出してみな」ムキムキ

男「妹の腹筋はそんなバルクアップしてない!!」

妹「やれやれ、困った子猫ちゃんだ」フッ

男「妹はニヒルな笑みを浮かべながら肩をすくめたりなんかしない!!」

my own home――

男「ただいま…」

母「あら、お帰りー」

妹「よう、ママン。こんなとこで奇遇だな!」HAHAHA!

母「あら、妹ちゃん?雰囲気変わったわねー」

妹「妹は強くないと生きられない。だが、妹は優しくないと生きる価値がないってね」

男「…母さんも何か言ってやってくれよ」

母「逞しくなって母さん嬉しいわ」

妹「毎朝山盛りのシリアルを二杯。嫌でも逞しくなるさ」

父「おぉ、妹…?雰囲気変わったなー」

妹「YEHA!パパは相変わらずビール腹だな!
そんなんじゃ、今にヘソを探すのに世界地図がいるようになっちまうぜ!」

父「ははは!明るくなって父さん嬉しいぞ」

男「いや明るいというか…」

父「あっちじゃどんなことを勉強したんだ?」

妹「チークタイムでの口説き文句と銃の撃ち方だな!」HAHAHA!

父「はっはっは!元気があってよろしい!」

男「…」

ガチャ!

妹友「おはようございまーす!妹が帰ってきたって聞いて…!」

男「あぁ…隣の家の妹友ちゃん…」

妹友「お兄さん、妹帰ってきたんでしょ?いやー、心配しましたよ本当。
昔っからあたしが守ってきた妹がアメリカだなんて…」

男「…妹なら筋トレしてるよ」

妹友「え…?」

妹「ンンンンン…!!!」

ガシャーン!!!

妹「ふぅ…最高に広背筋がホットだぜ。次は肩だな」

妹友「妹!?え!?え!?」

妹『妹友ちゃーん…私、妹友ちゃんに頼ってばっかりだから…少しでも強くなって帰ってくるからね…』

妹友「(いや…いやそんなこと言ってたけどさ…ッッ)」

妹「兄弟!補助頼むぜ!」

男「はいはい…」

妹「ンアアアアア!!!」ガシャーン!!!

妹友「(ショルダープレスで体重の3倍以上挙げることないじゃんッッッ……)」

妹「GOKUGOKU…プハァー!やっぱりプロテインと少年誌はチャンピオンに限るね!」

妹友「妹はプロテイン飲んだりしない!…本当に妹?」

妹「まいったね。何度も言ってるだろう?それとも今からベッドの上で確かめ合うかい?」

妹友「た、確かに顔は妹だけど…」

妹「そんなことより、学校行かないと…だろ?」

妹友「あぁ!いっけない!ていうかなんで妹は落ち着いてるのよ!」

妹「目の前にステキなレディがいるんだ。慌てるのは他の奴に任せとくさ」

妹友「バカいってないで準備!」

男「ほれ、ピザ」

妹「モガモガ…やれやれ」

妹友「走るわよ!」

妹「どうにか事件解決の糸口を探そうとしてるってときに、ボブの奴ときたら何て言ったと思う?
『ハンバーガーショップに行かないか?』だとよ!
両手にハンバーガーのつまった包みを抱えながらな!」

「あはは!」

「それでそれでー!?」

妹「ボブの奴に言ってやったね。『おいボブ、今ハンバーガー食ってるだろ?』
するとボブはこうだ。『おいおい妹、レタスがこんなに入ってるんだからこれは野菜だぜ』ってな。
どうもアイツの中じゃ、パンと肉が分厚くなけりゃハンバーガーじゃないらしい。まったく!笑っちまうよな!」

\ははははははは!/

妹友「な、なによ妹ったら…あんなに変わって…」イライラ

妹「……事件は無事、解決。ハッピーエンドだ。
…後にはただ、あいつの好きだったクリスマスローズの花が咲いていた…」

「うぅ…!」

「作り話でも、泣けるー」グスン

「面白かったー」

妹「別れ際、ボブの奴にはこう言ってやったけどな。
『きっとお前の前世は分厚いパンと肉に挟まったトマトだったんだろうぜ』ってな」

\HAHAHAHAHA!/

妹友「(ふん…友達がいっぱい出来て…あんな変な作り話して…本当に変わったのね)」

妹友「あたし、気分悪いから帰る」

妹「なんてこった、妹友が帰るってんなら私も帰るぜ」

妹友「!…いい!こないで!」

妹友「はぁ…最低だ…あたし。妹に友達がたくさん出来て明るくなって…いいことじゃん」

妹友「なのに、なんでこんなイライラしるんだろう…寂しいんだろう…」

妹友「妹…」グスン

ゾロゾロ…

DQN1「カーノジョ」

DQN2「何泣いてんの?」

DQN3「俺らと一緒に遊ばない?嫌なことなら忘れさせてあげるからさー」

妹友「!…なんですか貴方たち!いや、離して!」

DQN1「へぇ、結構可愛いじゃん」

妹友「ひ、ひぃ…」

DQN2「退屈させないからさー」


??「そいつはいい。ちょうど退屈してたところだ」

DQN達「!?」

妹友「い、妹ぉ…!」

妹「――彼女を離しな。さもないと私の靴にkissすることになるぜ」

妹「ウォーター臭いぜ相棒。一人で帰っちまうなんて」

妹友「そ、それより何で声かけたの!?逃げて!」

DQN1「は、はは、女じゃねえか」

DQN1「邪魔するなら容赦しねえぞ!」

妹「躾のなってないボーイだ」

バキィ!!!

DQN1「救命阿ッッ」ガラガラガッシャーン

妹友「す、凄いハイキック!?」

妹「言ったろ?私の靴にkissするってな」

DQN2「ひ、ひぃい!に、逃げるぞ!」

DQN3「あ、あぁ!」

妹「退屈させないんじゃなかったのかい」フワァー

妹友「(あたし…妹が遠くにいったような気がしてた…)」

妹「大丈夫か?ケガはないな」

妹友「(妹は変わって、もうあたしなんか必要ないんじゃないかって…)」

妹「…ようやく、君を守れたな」ニコッ

妹友「(でも、違った…!妹は優しいまんま…!)」

ギュッ

妹友「妹ぉぉお!さっきはごめ゙ん…ありがとう…!」

妹「おいおい…大袈裟だな。私は好きなようにやってるだけさ」ナデナデ

my room――

妹友「…」

妹「落ち着いたかい?ほら、コーヒーだ」

妹友「……苦っ。動物の死骸みたいな味だわ」

妹「当たり前さ。今朝ヒいたばかりだからな」

妹友「ふふ…」

妹「HAHAHAHA!」

妹友「味覚まで変わっちゃったんだね」

妹「まぁな」

妹友「けど…一番奥底の一番大事なモノは変わってない…
戸惑ってるみたいだけどお兄さんもすぐ分かってくれる」

妹「さて、な。…そいつはどうだろうな」プカー

テレビ《続いてのニュースは――!…た、ただいま入りました情報によると〇〇大学をテロリストが占拠し…》

妹「!…おい!いまなんて言った!?」

テレビ《テロリストの目的は…》

妹「違う!その前だ!」

妹友「妹!?テレビだから!落ち着いて!」

妹友「そ、そ、そんな…!!日本でテロリストなんて…!!」

妹「SIHT!なんてこった!あぁ、なんてこった!」

妹友「妹…ハッ、〇〇大学って…!!」

妹「兄貴の通う大学さ…!」

妹友「!」

妹「クソッ…私のせいだ…」

妹友「な、何言ってんの!?妹のせいなわけないじゃない!」

妹「こうしちゃいられねぇ!」

ポチッ

妹友「壁から突き出てるシカの剥製の鼻を押した…?
え…壁がシャッターみたいに上へ上がって…!?」

ウィーン…ガシャン!

ズラァァァアアア!

妹友「じゅ、銃!?手榴弾!?何これ本物なの!?」

妹「当たり前田のクレイモアさ」

妹友「う、うっそー…妹のこのデカイ拳銃もエアガンでしょ?どうせ」スチャッ

妹「おい止せ!」

バキュンッ!!!!!ガッシャーン!

妹友「!?!?!?」

妹「ファック!ほら見ろ、私の可愛いクマちゃんとシーバスリーガルの22年モノが!!」

妹友「ご、ごめん…ほ、本物なんだ…」

妹「当たり前田のカラシニコフさ!」

campus――

ざわざわ…

警官隊「な、なんだ君は…危ないから近寄らないで!」

妹「どきねィ」

警官隊「い、いや…テロ組織が中に…」

妹「おうご存知だよ」プカー

??「き、君は妹!?」

妹「ん?誰かと思えば、インターポールの!HAHAHAHAHA!」

壮年「君にまた会うとはな…」

妹友「アメリカで何があったのよ…」

壮年「とにかく、動くな。この場は好きにさせん!
君のスタンドプレーでまたどれだけの被害が出るか分かったもんじゃない!」

妹「腕ずくでやってみな」

ガシッ

壮年「!」

グググググ…!!!

壮年「くっ…」

妹「ICPOのデスクワークはよっぽど退屈と見える。鈍ってるぜ?」

壮年「ぐぅ…」

妹「……」ズカズカ

壮年「と、とめろ!とめろ!!」

警官「お嬢ちゃん危ないから…がはっ!」バタンキュー

妹「……」ズカズカ

壮年「くっ…民間人が行った!」

エリート警官「お任せください」

妹「何を任されたって?」ゲシッ

エリート警官「救命阿ッッ」ガラガラガッシャーン

壮年「あ、あんのバカ娘…」

妹「ったく…!なんで着いてきたんだ、妹友」

妹友「い、妹を一人で行かせられないわ」

妹「足手まといなんだけどな。…その愛らしい頭を下げな」

妹友「え――」

パラララララ!!

テロリストs「」

妹「よし行こう」

妹友「ホント何があったのよ…」

妹「(しかし敵が少ないしバカに静かだ…やはり…)」

妹「屋上か…!」

ボス「また会ったなぁ…妹」

妹「やっぱりテメェか。その汚い顔をまた拝むハメになるとはな。
あーあ、猫のゲロに頭から突っ込んだ気分だ」

ボス「ツレナイこと言うなよ。お前に俺らの仕事を邪魔された恨み、一日たりとも忘れたこたねぇんだぜ」

妹「…兵器の密輸なんかするからだ」

ボス「俺達は資本主義だぜ。より良い買い手がいればそっちに付くさ」

妹「売国奴め。今度こそブタ箱…いや、地獄への片道切符を眉間にお見舞いしてやるぜ」カチャッ

ボス「まぁ待て。私に銃を向けるのはいいが…こいつがどうなってもいいのか?」

殺し屋「……」スチャッ

男「い、妹!」

妹「お兄ちゃんっ!」


妹「くっ…来いよ、ボス!人質なんて捨ててかかってこい!」

ボス「ハハハ!安い挑発だな…銃を捨てろ」

妹「ちっ…」ポイッ ガチャン

ボス「おいおい…お前が一挺しか持ってないなんてあるはずないだろう?」

妹「…」シャキン…ポイッ

ガチャ…ポイッ

スッ…ポイッ

チラッ…ポイッ

ガチャンガチャンガチャンガチャン!

ボス「ナイフにサブマシンガンに手榴弾…フゥ、スカートの中にもう一挺か。
ハハハ、全くあんたにゃかなわねぇよ」

男「俺の妹がこんなに武器を持っているはずがない!」

妹「…お兄ちゃんを解放してもらおうか」


バキュンッ!!

妹「がっ…!」

ボス「あぁ。テメェを殺してからな」

男「妹ォォオオオー!!!」


妹「」

ボス「ハハハ!ついに、ついにだ!タフな妹も胸にぶちこんでやりゃオシマイだな」

男「テメェ…!」

殺し屋「!…暴れるな」スチャッ

男「くっ…」

バキュン――

殺し屋「え…?」ポタ…ポタ…

妹「I'm Back」スチャッ…

ボス「な…!」

男「妹…!」

妹「出掛けるときの必需品だ」ヌギッ

ボス「防弾チョッキ!?バカな…まったく気付かなかった…!」

妹「私はかなりスレンダーだからな」

男「(そういやそこは全然変わってなかった)」

妹「!」バキュン!バキュン!Bang!

ボス「ちっ…!」

男「あいつ…逃げやがった!」

妹「外したか…!SIHT、アバラがイってなきゃ9回は殺せてたってのに…」ガクン

男「妹!だ、大丈夫かよ!」

妹「さすがに防弾チョッキ着てても、な。
首に下げたコイツがなきゃまだ気絶してたろう…危なかった」キラリ…

男「ロケット…?綺麗な金髪の女の子の写真が入ってるな…」

妹「ローザ…全部終わったら、またお前にクリスマスローズの花を…」

男「お兄ちゃん認めないからなッ!!」

殺し屋「ひっ…ひひっ…」

男「!」

妹「下がってろ、お兄ちゃん」

殺し屋「ひひひ…俺の任務達成率は…100%…なんだ!」

妹「マズイ…あれは… !跳ぶぞ兄弟!」

男「は!?いや、ここ四階建ての屋上」

妹「自爆する気だ!」

男「マジかよ!」

殺し屋「ハハハ…終わりだ!」カチッ

BOOOOOOOMッッッッ!!!!!!

…ザバァ!!

妹「ハァ…!ハァ…!無事か、お兄ちゃんっ!」

男「プールにダイブなんて…し、死ぬかと思った…!」

妹「HAHAHAHA!これくらいで死んでたら私は週に一回ペースで死神のご厄介になってるぜ」

男「妹はそんな不死身じゃない!!…お前アメリカで何があったの…週一でこんな目にあってなんで生きてるの…」

妹「地獄ってヤツととことん反りが合わなくてね」

妹「ん…FUCK、葉巻が濡れちまった!上等なヤツなのに!
おまけに、どうしたもんか。あいつを放っとくわけにはいかないがアシがない!」

男「妹はFUCKとか言わない!!」

パババパババ!!!

男「え!?」

妹「!…あのヘリは!?」

シュタッ

ジョン「よーうやっぱり生きてやがったか!」

妹「ジョーン!」

ハグ!

男「誰だよ!!」

妹「マイアミはどうだった?」

ジョン「退屈なもんさ!どこ行ったって女の尻追い回す、やることは代わり映えしないからな!」

妹「違いない!」HAHAHA

ボブ「HEY、妹!相変わらず1ドル紙幣みたいに薄い胸だな!」ハグッ

妹「ボーブお前も相変わらずレディーに優しいな。
ケツに日本国旗ブチ込まれてさざれ石の巌となりて苔のむすまでヨガりたくなきゃお喋りな口は黙らせとくんだな」

\HAHAHAHAHA!/

妹友「……」

キャシー「彼ら、いつもあんなんだから」

男・妹友「俺(あたし)の妹がこんなにファッキンアメリカンなわけがない!」

妹「キャシィィィィー!君も来てたのか!」

キャシー「ウフフ、久しぶりね」

ハグッ

妹「あぁっ、キャシー。君がまた私に会いに来てくれるなんてな。
あとで部屋においで。いいシャンペンがある…良い酒は良い女と分かち合う為にあるんだからな」

キャシーのじいさん「サバイバルと銃器の扱いは仕込んだが、女の口説き方を教えた覚えはないぞ」

妹「キャシーのじいさんじゃないか!!」

ハグッ!!

キャシーのじいさん「はっはっは…変わりはないようだな」

妹「元デルタフォースのアンタまで!第3次世界大戦にはまだ早いぜ!?」

キャシーのじいさん「ははは…なに、気紛れだ。
それよりお前、オレの孫娘を口説いてなかったか?」ユラァ

「「「ッッ!?」」」

妹「ふええー…わたし何を言ってるのか分かんないです…お兄ちゃん助けて…」ガタガタ

キャシー「はいはい、バカなやりとりは終わりにして。仕事にかかりましょう」

ジョン「そうだな。とっとと終わらせちまおう」

ボブ「腕がなるぜ」

妹「待ってくれ!まだ大学には奴等の仲間が…」

男「あ、あぁ」

キャシー「私達に任せて」

キャシーのじいさん「お前らはヘリでボスを追え。…決着を着けてこい」

妹「!…オーケー、任せたぜ!」

BRRRRRRRRRRRRRRRRRRRR!!!

ボス「クソッタレ!あんの小娘……まぁいい、まだ大学内には何十人もの手下がいる。
目の前で死ぬ瞬間を見られないのは残念だが、いくら奴でも生きてはいまい」

バババババババ…!

ボス「!」

bangッ! bangッ!

ボス「ちぃいい!」 SCREECH!BUMPッ!

ボス「クソッ…!」

シュタ!

妹「――よっと。Hi、こんなところで奇遇だな」

ボス「!?…ふ、不死身か」

妹「悪運だけは強いんでね」

ボス「くっ!」スチャッ

妹「!」スチャッ

―― Bangッッッ!!

ボス「がっ…ク、クソが…」ドサッ

妹「…あー…しまったな…」

ガクン

妹「時差ボケ…まだ治ってなかったみたいだ」ダクダク…

バババババババ!!!

ジョン「!…い、妹の奴撃たれたみたいだ!」

男「な、なんだって!?」

ボブ「なんてこった、すぐに下ろせ!!」

ジョン「あぁ!」

…BOOOOOOOOOOOOOOOOOMッッッッ!!!!!!!!!

ジョン「うおっ!?」

ボブ「FUCK!!」

男「そ、そんな…また大爆発かよ!何なんだよ!!」

ジョン「恐らくは車に爆薬か何か…」

ボブ「チクショウ…ッッ」

男「妹は…妹は…!」

男「妹は全然お淑やかじゃない!妹は気弱じゃない!妹は大人しくもない…妹は落ち着きもない!!おまけに品もない!!!」

男「サイコーにタフでクールでホットでイカシてて!!」

男「そんな妹はこんなんじゃ死なない!!
妹は撃たれても死なない!妹は爆発しても死なない!
妹は強くて無敵で…アメリカンな妹は何があっても絶対に死なない!」

??「……もうしばらく爆発はゴメンだ」

男「!…み、みろ」

ジョン&ボブ「!…Yahooooooooo!!」

\U.S.Aッ!/ \U.S.Aッ!/ \U.S.Aッ!/

妹「……HEY、GUYS…葬式の最中みてぇなか顔して愉快なことでもあったのかい……」ヨロヨロ

男「ハ、ハハ…」

ジョン「…何でもねぇよ」ニッ

ボブ「とことんタフな奴だぜ…」ニカッ

妹「はぁー、入院なんざ退屈なだけだぜ。…酒と葉巻はお兄ちゃんに取り上げられっちまうし」

キャシーのじいさん「…今回ばかりはさすがに安静にしとくんだな」

妹「分かってるさ。病院生活も悪いことばかりじゃない…ステキなナースさんとお喋り出来るしな」

キャシーのじいさん「ところで、妹」

妹「なんだい?カラテの稽古ならまた今度にしてくれよ」

キャシーのじいさん「部隊に入るつもりはないか?」

妹「私が…」

キャシーのじいさん「以前も言ったな。お前なら適任だと」

妹「まだ進路なんて分からないさ。…これでも私は小学校の先生になりたいんだ」

キャシーのじいさん「そうか。危険な仕事だ、無理強いはせん。
だが…戦いや事件がお前を放っとくとは思えんがな」ニヤリ

妹「同感だね」

キャシーのじいさん「ではまたな、養生しろよ。…あぁ、そうそう。さっきな、懐かしい顔を見たぞ」スタスタ

妹「?」


??「あの…303号室は…」

男「あ、あぁ…そこの角曲がって右側の部屋だけど…(うっわ、スゲェ綺麗な女の子…)」

??「ありがとうございます」ペコリ

男「どっかで見たような…ん?303号室って!?」

コンコン

妹「ん?お兄ちゃんかい?まさかキャシー…それとも、ナースの千代ちゃんか?食事にはまだ早…」

ローザ「妹…お久し振りですわ」ニコッ

妹「!」パァ

妹「ローザ!意識が戻ったんだな!あぁっ、また君の笑顔が見れるなんて!」ダキッ

ローザ「お陰様で。貴女が大怪我したって聞いたからステーツから飛んできましたの。…妹…?」

妹「…良かった…!ホントに…あれから毎晩うなされたんだ…
私が君を守りきれなかったばっかりに…ホントに良かった…!」

ローザ「もう…今私が生きていられるのは貴女のお陰ですわ。…それより、妹…」

妹「なんだい…ローザ」


ローザ「キャシーとか千代って誰ですの!?」スチャッ!

妹「WHY!?許してくれよハニー!私には君だけさ!
だからその物騒なレミントンちゃんを下ろしてくれ!」

ローザ「黙りねィですわッ!!」

妹「勘弁してくれよローザ!」

ローザ「懺悔は教会で聞きますわ!」

妹「じゃ、じゃあ今から教会へ行こう。そして、式を挙げるんだ。
もちろん、私の隣には…ローザ、そう、君さ」

Baaaangッ!!!

妹「Aw Shucks!!!普通撃つか!?」

ローザ「次は当てますわッ!」ジャコン!

妹「Oopsッ!どうも綺麗な薔薇には刺どころかC4爆弾満載らしい!」

ローザ「お黙りねィ!ファッキンジャップが!」

妹「銃を構えてる君も素敵だよハニー」

ローザ「地獄へ堕ちなさい!このファッキン最愛の人!」 Baaaangッ!!!

ナース「あ、あの…病院での発砲は他の入院患者さんの御迷惑となりますので」

\お待ち下さい!蜂の巣にしないと気が済みませんわよ!/ \sorry!許してくれよハニー!/

男「妹のヤツ何を騒いでんだか…」

ジョン「HAHAHAHA!いつものことさ」

ボブ「お取り込み中のようだし、少ししてから見舞いに行くか。
ハンバーガーショップでも行こうぜ」

my own home――

男「色々会ったけど…無事、退院出来て良かったな」

妹「あぁ、五体満足でなんとか退院できたよ。
あそこまで命の危機を感じたのはジョンのママの作るオートミールを食べて以来だね」プカー

男「ハハハ…いつもの調子だな、妹」

妹「おっと『妹は葉巻なんか吸わない!』じゃないのかい?」

男「いや、いい加減慣れたよ。それに…どうなったって、お前は俺の大事な妹…それは変わりないさ」

男「助けてくれて、ありがとな」ナデナデ

妹「お兄ちゃん…当然のことをしたまでですっ」HAHAHAHA!

母「男ー、今日妹たちがみんな帰って来るみたいなんだけど…」

妹「WHY、そいつはまた唐突だな」

男「迎え?」

母「えぇ、迎えもだけど…なんか、空港でモメてるみたいで…」

男「えぇ…インドに旅行しに行った妹2とアフリカにボランティア活動しに行った妹3とイタリアにホームステイしに行った妹4とフィンランドに家出した妹5と中国に修行に行った妹6が…」

母「妹2は腕が伸びたり火を吹いたりして、妹3は槍と盾持ってピョンピョン跳び跳ねて、
妹4は麻薬と拳銃が見つかった上に身体からパスタの茹で汁が検知されて、おまけに機内でパスタを茹でたみたい…
あ、妹5はソリで直接帰ってくるから心配いらないそうよ」

男「俺の妹達がこんなに問題児なわけがない」

妹「とんだシスター達だぜ!妹6は?」

母「爆発してるそうよ」

妹「ジーザス!」HAHAHA!

男「はぁ…やれやれ、賑やかになるだろうな」

妹「HEY、HEY、疲れた顔だな!私達のお兄ちゃんがそんなんじゃいけないぜ!
そうだ、こうしよう。私がクルマを運転する。お兄ちゃんは休んどく」

男「別にいいけど」

妹「決まりだ」

ブロロロロロ!!

男「あ、やっぱり待て俺が運転する!」

ドガン!

妹「SIHTッ!!」

男「やると思った!」

男「はぁ…やれやれ、賑やかになるだろうな」

妹「HEY、HEY、疲れた顔だな!私達のお兄ちゃんがそんなんじゃいけないぜ!
そうだ、こうしよう。私がクルマを運転する。お兄ちゃんは休んどく」

男「別にいいけど」

妹「決まりだ」

ブロロロロロ!!

男「あ、やっぱり待て俺が運転する!」

ドガン!

妹「SHITッ!!」

男「やると思った!」

プスプス…

妹「マズイな、お決まりの展開だ!逃げるぞ、お兄ちゃん!」タタタッ

男「はいはい分かったよもう!」タタタッ

BOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!!

男「FUCK!なんてこった、また車が!あぁ、もう――」

妹「HAHAHAHAHA!」

男「――俺の妹がこんなにアメリカンなわけがない!」

―FIN―

見てくれてありがとうッ!したらな!

見てくれてありがとう!したらな!またどこかで!

サイコーにゴキゲンなボブ外伝近所の幼女「かけっこ早くなりたい!」男「オーケー!トレーニングといこうぜ!」 - SSまとめ速報
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