男「これより自宅警備を開始する、どうぞ」妹「了解、どうぞ」 (21)


男「本日は依頼人である母上が留守のため我々がこの家を警備する、どうぞ」

妹「今日の昼ご飯が気になります、どうぞ」

男「確かカップめんがあるはずだ、どうぞ」

妹「了解、どうぞ」

男「どうぞ、ってめんどくさくね?」

妹「……」

男「どうぞ」

妹「同意であります、どうぞ」

男「よし、では今後は必要に応じて対応」

妹「イエッサー」


男「任務を確認する。俺はベランダからの侵入者を阻止、お前は玄関だ」

妹「兄者」

男「今は兄者ではない。大佐と呼べ」


妹「たいさ、玄関は寒いので変わって欲しいであります」

男「侵入者がわざわざ玄関から入るとは考えにくい。危険なベランダは年配の俺の管轄だ」

妹「!」

妹「失礼しました」

男「うむ」


男「それでは指定の位置に就け。通話を切った後もこのままSkypeは接続していろ」

妹「了解」

男「動きがあれば連絡を」カチャツーツー


***


男「午前10時24分、警備開始1時間経過。特に異常なし」


男「……」

バサバサ!


男「!」

鳩「クルックー」

男「(こいつは……ッ!昼にやってくるという白の鳥獣……!)」


男「侵入者!侵入者!」プルルルプルルル

妹『兄者!何かありましたか!?』カチャ

男「大佐、と呼べ!」


男「ベランダに鳥獣の襲来!警戒体勢!」


妹『(こんなにも早く侵入者が……ッ!)』


妹『了解!』

男「持ち場は離れるな!警戒を怠るなよ!」

妹『し、しかし……』

妹『兄……たいさはどうなさるのですか!?』

男「少し様子を見るが立ち去らないようであれば……」


男「実力行使も厭わない」ゴゴゴゴ

妹『……ッ!』


男「念のため対鳥獣用・聖槍Carpet beaterを用意しておけ」

妹『カーペットビーター……?』

男「……そうか、お前は現場入りして日が浅かったな。我らの一族に伝わる神具の一つ」

妹『神の……具……』

男「具?」

妹『職場でのセクハラは社会問題です』

男「いや、そういうアレじゃなくてその」

妹『……』

男「Carpet beater……またの名を”ふとんたたき”」


妹『…”ふとん”……”たたき”…ッ!』


男「もしもの時はそれを使え」

妹『し、しかしたいさは!』


男「……フッ」


男「鍛えてますから」ニッコリ


男「……この時のために俺は腹筋してきた」

妹『スレタイに釣られてたのかと思ってました……ッ!』


男「ふっ、まあ見ていろ」ガラガラッ



男「我が名は男ッ!キュアブラックを師とする聖拳突き師範代!荒れ狂う鳥獣よ、俺が相手だッ!」


鳩「」バサバサッ

男「……」


男「……」

妹『大佐、どうしましたッ!?』

男「……どうやら俺のオーラに呑まれて立ち去ったらしい」

妹『す、すごい……』

男「あるいは……」

妹『え?』

男「(やつは偵察兵で……本当の目的は……)」

男「いや……なんでもない」


 かくして自宅警備員両名は鳥獣を追い払うことに成功したのであった。


***


妹「11時10分、異常なし」

ピンポーン


妹「ッッ!」プルルルプルルル

妹「外部からのモールス信号!指示を!」

男『これは……物資の輸送か!?』

妹「わかりませんッ!」

男『慎重に対応せよ!』

妹「む、無理です!おつかいにも行ったことがない私には……」

男『大丈夫だ。お前はこれまで何度も成長してきた……苦しかったあの日々……』

男『タダでNEETを名乗っているわけではないのだからッ!』

妹「苦しかったあの日々……」


***

妹「……」

妹「(なんだか最近みんなが冷たいような……)」

クラスメートA「あんたさあ……」

妹「えっ?!な、何!?」

B「ちょっと可愛いからって調子のり過ぎじゃない?」

妹「え?私何かしたかな?」

A「ゆうたくんは私を好きになるのよ!」げしっ

妹「痛いっ!」

B「ちょっとwやめなってw先生きちゃうよーw」

妹「どうして……私は何もしてないのに……」

***

妹「ッ!」

男『憎しみは糧にするんだ。……俺にもできた。お前にできないはずはないさ』



ムリデス!ダイジョウブダ!
配達員「何やってるんだろ……」


男『お前はこのNEET生活の中でいろんなものを培ってきた……』

男『それはきっとお前を助けるものであるはずだろ!?』

妹「おにいちゃん……」

***

妹「あれ?……くつどこ……?」

クラスメートA「くすくす」

B「ちょっとwばれるってw」

妹「……」
***

妹「今日は学校休む」

母「ダメよ!」

妹「お兄ちゃんはいいのに?」

母「……」

***

妹「学校休んでマリオカート楽しいいいいいいいいいいいい」

男「おい!」

妹「っ!な、なによ!お兄ちゃんだってお仕事やってn」

男「ハンドル勢の俺を混ぜろ」

***

男『大丈夫か?』

妹「うん!つらかった日々……力に変えるよ!」


ピンポーン


妹「」ゴクリ



逃げたり諦めることは 誰でも



妹「は、はひぃ」



一瞬あればできるから 歩き続けよう



配達員「宅配です」

妹「ええと、お母さんいなくてあの」



君しかできないことがある 青い星に光が無くせぬように



配達員「ここに判子かサインをいただければ」

妹「わがりまいたし!」

配達員「(?)」


掴め!描いた夢を 守れ!大事な友を




妹「サインえっと……」カキカキボキッ

妹「あ」




たくましい自分になれるさ




配達員「鉛筆の芯、折れちゃいましたね」

妹「はんごどってきます!」




知らないパワーが宿る ハートに火が付いたら




妹「とってきました……、ではっ!」ぽん

配達員「はい、確かに」




どんな願いも 嘘じゃない きっとかなうから




妹「ありがとうございました」

配達員「はいありがとうございますー」







show me your brave heart...




妹「……で」


妹「できた……」



妹「……」


男「妹よ、よくやった」


妹「……うっ」ポロポロ

男「本当に……お前は我が家の誇りだよ」ナデナデ

妹「おにいちゃああぁぁぁぁぁん!」


ニート兄妹はいつまでもなかよく引きこもりました
おわり

ネタがなくなったので終わり

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