男「意識を分離する機械?」(26)
男「意識を分離する機械?」
?「そう、その名も分離機」
?「人間の意識を肉体から分離させる事から我がそう名付けた」
男「それを使って何が出来るんだ?」
?「電脳世界に理想の世界を生み出してそこに意識を飛ばせる」
男「それ、理想の世界じゃないと思うが」
男「いや、2次元の世界の住民になれるって考えると理想かもしれん」
?「そうだろう、どうだ行ってみたいと思わないか」
男「気になるけどなんで俺なんだ、つか君は誰?」
?「何、科学者だぞ、お前の美少女クラスメイトの」
男「いや、俺この学校に来てまだ1週間だし」
男「つか美少女って」
科学者「容姿には自身があるからだ」
科学者「それで理由だがな、それは簡単だ」
科学者「お前がこの分離機を使うに値する理由があるからだ」
科学者「後は分離機の最終テストもしたいし」
男「実験体かよ!誰がやるかそんなもん」
科学者「まあ、そう言うだろうな、使いたくなったら放課後にここに来るがいい」
男「多分もう来ないぞ」
科学者「いや、お前は来るよ、きっとな」
保護者「おかえりなさい、貴方の幼馴染が来てるわよ」
男「ただいま、また来てるのか」
保護者「心配なんでしょ、貴方が」
男「俺は赤子か、まったく」
幼馴染「おかえり、怪我してない?」
男「してない、するわけないだろ」
?「当然だな、お前だけの体じゃないしな」
男「...友人よ、何故ここにいる」
友人「親友と呼んで欲しいんだが」
男「すまんな、それは無理だ」
幼馴染「その話、私も混ぜてくれないの?」
友人「無理だな、俺とお前のこいつに対する思いが違うからな」
友人「という事で帰る、親友になるのを待ってるぞ」
男「そんなに俺が嫌いか、あいつは」
幼馴染「そんな事言わないであげて、彼だって」
男「わかってる、でもお前も心配しなくていいんだぞ?」
幼馴染「それでも私は貴方の世話がしたいの、駄目?」
男「いや、俺からは駄目とは言えない」
幼馴染「ならいいでしょ」
男「よくないと思うんだがな」
友人「で、どうだ、何かあったか?」
男「学校で会うなりそれか、何もない」
友人「そうか、ならいいや」
友人「何かあったら俺は何か覚醒してしまうかもしれんからな」
男「何かって何だよ、つか覚醒するのか」
友人「何たってあの超絶美人で気立ての良い娘」
友人「お前が世話されるという状況すら俺は許せん」
友人「だが何も無かったなら問題ない、今後も頑張ってくれ」
男「行ってしまった、本当にそれしかないのか」
男「とは幼馴染と何かあるわけがないのにな」
男「そういえばあの科学者、教室にいないな」
科学者「ん、それで我に会いに来たのか」
男「いや、分離機の説明が聞きたくなっただけだ」
男「それを使えば本当に俺でも電脳世界にいけるのか?」
科学者「やはり気になっていたか、答えは多分だ」
男「多分かよ、とはいえ誘うからにはそれなりに確証はあるんだよな」
科学者「勿論だ、現状での成功率はほぼ100%だ」
科学者「ただ問題は一つある」
男「何だよ問題って」
科学者「帰ってこれない」
男「欠陥品かよ!」
科学者「貴様に問題あるか?」
幼馴染「もしも理想の世界にいけるなら?」
男「あぁ、まあ実際は電脳で作った世界だけどな」
幼馴染「もしあったとしても私は今を生きるよ」
男「...強いのか弱いのかわからないな」
幼馴染「弱いよ、だから今貴方とこういう関係なの」
男「こういう関係?」
幼馴染「お世話する人とされる関係」
男「確かに、強かったらきっと違う関係だろうな」
幼馴染「...それで彼とはちゃんと話したの?」
男「自称親友とか?」
幼馴染「そ、彼、貴方の身体の事をいつも心配してるのよ」
男「なんか言葉だけ聞くとちょっとホモっぽいな」
幼馴染「彼、本当に心配してるんだから怒るわよ?」
男「出会って2週間の男に心配されても」
幼馴染「・・・」
男「悪い、でも」
幼馴染「それ、彼に言っちゃ駄目よ」
男「ごめん」
男「そうだよな、それを言うなら幼馴染であるお前もそうだしな」
男「と、言えるわけがないよな」
科学者「それで我に相談か、我に相談するとは友達いないのか?」
男「いっぱいいるよ、いっつも俺の事心配してくれる」
男「俺が大丈夫だと言ってもな」
科学者「それはそうだろう、俺が言っても意味はないからな」
男「お前、知っていたのか?」
科学者「君の友人達が君を心配する理由をかい?」
科学者「当然だ、だからこそ我は君を選んだ」
科学者「私と同じくこの分離機を使うに値する君を」
科学者「誰でもなく君を選んだのだ、周りと違い君をな」
男「...ありがとうな」
男「それで、お前もこの機械を使うのか?」
科学者「むしろこの機械は元々我用だ」
科学者「ただ失敗出来ないから実験がしたいのだ」
男「それで俺に実験させたいってわけか」
科学者「そうだ、この分離機は既に完成している」
科学者「後は確証だけあればいい、分離できるという確証が」
男「そういうものか」
男「そういえば、俺、お前を教室で見かけた事ないんだが」
科学者「教室は我のいる場所ではないからな」
男「変わった奴」
科学者「君ほどではない」
科学者「幼馴染、あんな娘と家族公認の仲なのに手を出さないとは」
男「出せるわけないだろ、公認だからこそ」
科学者「律儀だな、男なら据え膳食うものだと」
男「俺を何だと思ってるんだ」
科学者「ますます君はこの分離機を使うべきだな」
科学者「誰もが君に好意的で誰もが君を心配する」
科学者「だが誰1人として君を求めてない」
科学者「この世界は君には厳しすぎるだろ」
男「...否定はしない」
男「でも俺は生きていたいからな」
科学者「だからこそ君はこの分離機を使うべきだと思うがね」
科学者「我は君に死ねと言っているわけではない」
男「でも帰ってこれないだろ」
科学者「ただそれだけだ、住む場所が代わるだけだ」
男「俺は、俺はここで生きていたいんだ!」
男「なんで誰も俺を認めない!」
科学者「認めているからこそ勧めるのだが」
科学者「まあいい、だが本当に危なくなったらここに来るといい」
科学者「何せ君は」
科学者「何だ、もう行ってしまったのか、最後まで聞けばよいものを」
科学者「何故なら君は、我と同じ幻なのだからな」
男「なんであいつにあんな事言われなきゃならないんだ」
男「あいつなら、俺を」
男「家の鍵が開いてる、今日は誰もいない筈だが」
男「俺の部屋から音がするな、誰かいるのか?」
?「...寂しいよぉ、寂しいよぉ」
幼馴染「xx」
男「僕は...」
男「!?、俺は、俺は!」
男「...一旦、家を出るか」
男「あいつのあんな顔を見たらもう、」
男「明日、あいつに頼むか」
友人「誰か探しているのか、教室に来てからずっときょろきょろしてるが」
友人「あまり女漁りとかしないでくれるかい、君は」
男「俺だけのものじゃないって言うんだろ?」
男「クラスメイトの1人に用事があるだけだ、あ、いた」
男「よお、今日の放課後も屋上にいるのか」
科学者「放課後の屋上、という事は貴方が」
男「何だ、いつもと話し方が違うな」
科学者?「それはそうですよ、貴方と会っていたのは」
科学者?「それより今日の放課後ですね、ちゃんと聞いてると思いますよ」
男「お前、何言ってるんだ?」
科学者?「そういえば貴方は知らないんでしたね、何せ」
科学者?「親友の彼が貴方の事を睨んでいますが大丈夫なのですか?」
男「俺の親友じゃない」
科学者?「そうですね、貴方の親友じゃありません」
男「...」
科学者?「それでは放課後に、きっと私の事も教えますよ」
友人「お前、あの娘と何かあるのか」
男「少しな、お前の心配する事はないから安心しろ」
科学者「ふむ、待ったかな?」
男「お前、別に一緒に屋上に行けばいいじゃないか」
科学者「他人から見て君と恋人同士に見えるのは問題がある」
科学者「我と君が恋人であるのには問題ないが」
男「問題ないのかよ...」
科学者「我となら問題ない、我とならな」
男「お前、もしかして」
科学者「察したのか?それは凄いな」
科学者「で、我に何か聞きたい事でもあるのか、それとも」
男「分離機を使いたい」
科学者「...いいのか、もうここでは生きれないぞ?」
男「電脳の世界で生きれるんだろ、それに俺はもう」
男「僕を思い出しそうなんだよ」
科学者「記憶が、戻りそうなのか」
男「そうだ、そして俺は僕に上書きされると思う」
男「所詮俺は、2週間前に生まれた存在なんだから」
2週間前、僕は事故にあった。理由は事故車両から幼馴染を守って、らしい
というのも俺の記憶は事故から目覚めてからしかないのだから
幼馴染である彼女は記憶を失くした事に悲しんだ、でも俺の世話をする事を決めた
幼馴染「お願い、少しでも、少しでも、一緒にいたいの、貴方が彼じゃなくても」
そう言われては俺に断ることなど出来なかった、俺の身体は僕のものだから
俺の友人は僕の親友だ、だからこそ僕が戻ってくると信じている
僕を失くして俺に依存する幼馴染には共感は出来ないのだろう
僕の親友にとって俺は望まれてない、だから俺を監視する
学校の友人は僕の心配をしている、ただ誰も俺を見てはいなかった
だからこそ俺を見てくれるあいつを俺は友人と思っている
男「正直このままでもいいと思った」
男「いつかはあいつも俺を見てくれるのではないかとそう思ったから」
男「でもあいつは、幼馴染のあいつにはやっぱり僕が必要だ」
男「昨日聞いてしまったから、僕の名前を呼ぶ彼女を」
男「だからこそ俺はここで生きてちゃいけない」
男「この身体を僕に返す必要があるからだ」
科学者「それでこの分離機で俺を電脳世界に、か」
科学者「でもこの分離機で僕まで電脳世界に行ったらどうするのだ?」
男「この機械の名前、それと教室のお前とここでのお前を見てふと思った」
男「お前がこの機械を使う理由ってもしかして」
科学者「そう、我は二重人格だ、正しくは私が、だが」
科学者「だから我はこの機械を作った、幸いに我には才能があったからな」
男「そしてお前も」
科学者「我も消える、もう我もこの放課後の少しの時間しかいられないからな」
科学者「だが我は死にたくない、だからこそ分離機を作った」
科学者「さあ、どうする?ここまで聞いてもまだ使いたいか?」
男「決意は変わらない、彼女のためにも俺はここで生きてちゃいけない」
科学者「そうかなら少し待て、我にも準備がある、それに」
男「なんだ?」
科学者「おい、そこにいるのはわかっているぞ」
男「いたのか」
幼馴染「ごめんね、気になって」
男「話、聞いてたのか?」
幼馴染「私のせいなの?」
男「お前のためだ、気にするな」
幼馴染「...ごめんなさい」
男「気にするな、仕方ない事だ」
男「すぐに僕は帰ってくる」
幼馴染「違うの!私は今、うr」
男「言ったろ、気にするなって」
男「出会って2週間の奴より長年の幼馴染の方が大切なのは当然なんだからさ」
幼馴染「...うん、ありがとう」
科学者「という事で準備完了だ、では早速実行だ」
科学者「ではまたな、その時には名前を教えて貰おう」
男「また?、う!?」
男「電脳世界に来て数日、確かにある意味で理想の世界だな」
男「とりあえず色々な事をしてみたが大体が実現出来たな」
?「それなら十分じゃないか」
男「お前の再現だけは出来なかったな」
科学者「当然だ、我もこちらに行くと行ったではないか」
男「それもそうか、同じ人間が2人いたら困るか」
科学者「それでだ、聞かせてもらおうか」
男「それはいいが、お前の名前も教えてもらおうか」
科学者「ん?何故だ」
男「傍にいてほしいから、寂しすぎる」
科学者「我を選ぶとは、というよりも我しかいないか」
男「で、返事は?」
科学者「言ったろ、恋人でも問題ないと」
男「恋人か、それならまずは自己紹介からだな」
科学者「いいだろう、では」
男「俺の名は」科学者「我の名は」
これにて終了です、書き溜めなので一瞬で終わりです
何か性格変わってね?と思うかもしれませんがそこは許して下さい
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません