ロリ悪魔「おにーさん、悪いことするの?」Devil (116)

ロリ悪魔「おにーさん、悪いことするの?」
ロリ悪魔「おにーさん、悪いことするの?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1460711018/)

のもう一つの終わり方です


過去作全部読んでないとさっぱりだと思います

(-ω-)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1462192825

すみませんGWに書けると思ってたらいろいろ用事が入ってくたばってました。

ぼちぼち更新します(-ω-)

ロリ悪魔「絶対ここに帰ってくること!…勿論、ロリ天使ちゃんも一緒にね」

男「女王様からの命令か…それは従わないわけにはいかないな」

ロリ悪魔「それが約束できるならいいよ」

男「ありがとうロリ悪魔…愛してる」

ロリ悪魔「もぅ!ずるいよ!堂々と二股かけてるくせに平気でそんなこと言うなんて…相手がロリ天使ちゃんじゃなかったら絶対怒ってるんだから!」

男「ご、ごめん…」

ロリ悪魔「はぁ…」

ロリ悪魔「手、出して…」

ロリ悪魔が手の甲を表に僕の前に差し出した。

僕も、ロリ悪魔の前に手を差し出した。

ロリ悪魔「いくよ…おにーさん…」

ロリ悪魔が目を閉じてそのまま真っ直ぐと手のひらを前に伸ばす。

その手に合わせようと僕も手のひらをゆっくりと前に伸ばそうとした。

男「……あ、ああ」

心臓の高鳴りが止まらない。
僕は今、禁忌に触れようとしている。

その境地を前にして手が震える。

僕らの手のひらが合わさろうとしたときだった。

新大臣「そこまでですっ!」

ロリ悪魔「新大臣!?」

男「……」

新大臣「やはり良からぬことを考えていましたね。男さん」

新大臣「好き勝手に陛下を振り回してあわよくば禁忌に利用するとは…」

男「こうするしかなかったんです!新大臣さんもロリ悪魔の気持ちが分からないわけじゃないでしょう!?」

新大臣「それとこれとでは話が別です!今すぐ陛下から離れなさい!」

ロリ悪魔「おにーさんのこと悪く言っちゃダメぇ!」

新大臣「陛下も離れてください」

ロリ悪魔「止めないでよ新大臣!これは命令よ!」

新大臣「なっ!!さすがに権力濫用も甚だしいですよ陛下!」

新大臣「それに…陛下は男さんがどうなっても良いとおっしゃるのですか?」

ロリ悪魔「え…」

男「僕はどうなっても構いません!」

新大臣「あなたは黙っててください!」

新大臣「私がこの場を目撃したからにはここを突き通すなら、よりにもよって女王を悪用した男さんの処置には陛下の独断では手に余ります」

新大臣「男さんが無限幽閉所に閉じ込められるようなことになっても陛下はよろしいのですかと聞いているのです」

ロリ悪魔「!!」

ロリ悪魔「そ、それは…嫌…」

男「ロリ悪魔!」

ロリ悪魔「うぅ…」

男(これはまずいぞ…ロリ悪魔が力を渡すことを躊躇し始めてしまっている)

男「僕ならどうなってもいいって言って…」

ロリ悪魔「おっ、おにーさぁん…やっぱりこんなのダメだよ…おにーさんだけどうなってもいいなんて…間違ってるよぉ…」

優しい女王様は、僕を見捨てる決心をつけることができなかった。

新大臣「決まりですね」

男「くっ…」

ロリ悪魔「ごめんね…おにーさん…」

新大臣「ですが…」

男「?」

新大臣「男さんの言うように私も陛下の気持ちが分からないわけではありませんし、陛下の哀しむ顔はできるだけ拝みたくありません」

新大臣「そこで私にも少し考えがあります」

男「!」

新大臣「禁忌に触れることは変わりませんし危ないのであまり提案したくなかったのですが…どうしてもと言うのなら…」

男「なんでもいいんです!少しでも可能性があるなら教えてください!」

新大臣「もうすでに禁忌を逸脱した者から力を受け取るという方法です」

新大臣「しかし、男さんは人間ですので人間が付け焼刃で手に入れた力で天獄の天使兵に対抗するならば陛下とまではいかずとも、それより一回り小さいくらいの力は必要となります」

男「一体どこにそんな悪魔が…」

ロリ悪魔「まさか…!」

新大臣「そうです陛下。私は殺人鬼悪魔の無限幽閉所の一時的な解放許可を求めます!」

男「殺人鬼悪魔!?」

ロリ悪魔「あいつはパパの仇だけど…いいよ。おにーさんに力を貸して!」

新大臣「ありがとうございます陛下。それでは男さんはこちらへ」

新大臣さんはロリ悪魔に深く一礼すると扉の前まで歩き、僕にそう言った。

新大臣「陛下は危ないのでここで待っていてください」

ロリ悪魔「うん…」

新大臣「では行きましょう」

新大臣さんが部屋を出た。
後に続き僕も部屋から出ようとする。

ロリ悪魔「……」

ロリ悪魔「おにーさん!」

男「なんだ?」

ロリ悪魔「気をつけてね…!絶対に帰ってきて!絶対!絶対だよ!?」

男「…ああ」

『絶対』が多い送り出し。

その一つ一つの『絶対』を女王様の命令なのだと重く受け止め、僕は部屋を後にした。

新大臣「こちらが無限幽閉所になります」

男「……」

いくつもの真っ赤な巨塔がそびえ立つその場所は殺人鬼悪魔のように大罪を犯した悪魔と悪魔でも手に負えないような人間の犯罪者を永遠に閉じ込める場所らしい。


男(散々暴れ回ってる殺人鬼ですらここに連れてこれられてないってことはここに入ってる人間はよっぽどだな…どんだけ恐ろしい連中なんだよ…)

黒い溶岩の上を歩く新大臣さんについて行きながら、周りを見渡すとその景色は『絶望』を題名に描いた絵画のようだった。

新大臣「ここです」

新大臣さんが数ある巨塔の中の一つの前で止まった。

男「ここですか?」

新大臣「はい。ここに私の兄はいます。今からここを開きます。開いた瞬間飛び込んでください」

男「飛び込む…?」

新大臣「はい。あと囚魔の脱走のことを考えるとずっとここを開けるわけにはいきません。しかし塔の外にいなければならない私からでは中の状況が分かりません」

新大臣「制限時間を設けます。一時間後にもう一度ここを開いて男さんを連れ出します。時間内に兄と交渉して力の一部を受け取ってください」

男「もしそれができなかったら…」

新大臣「ロリ天使さんのことは諦めてもらいます」

男「…分かりました」

新大臣「それでは…」

新大臣さんが塔に触れると何もなかった筈の塔に入り口が開き、中の真っ黒な何も見えない空間が覗き出した。


新大臣「さぁ!早く!」

男「え、あ…はい!」

急かされて入り口の前まで来て下を見るも下も真っ黒な闇で底が見えずどうなっているのかも分からない。

男「は…?ちょっ…ちょっとこれ…中は一体どうなって…」

新大臣「あーもう!飛び込んでくださいと言ったじゃないですか!」

じれったいなと言いたそうな新大臣さんに背中をドンと思いきり押された。

僕の身体は真っ黒な空間に放り出される。

男「うわあああああああ!!!!」

空中で身体を捻り上を向くと急いで入り口を閉める新大臣さんが見えたがそれは一瞬で、ついに僕の視界も光一つない闇を映すだけとなった。

だがまだ身体は落下し続けている。

男「ぼ、僕はどうなっちゃうんだ!?底はあるのか!?」

「底なんてねーよ」

男「…え?」

落下し続けていた僕の身体は急に落下を止め宙をふわふわと浮き出した。

何が起こったのかと全身を見回すと闇に溶け込んで殆ど目には見えないが微かに黒い靄の力を感じた。

男(僕は今悪魔の力で浮いてるのか…?ということは…!)

「イヒッ!消滅を選ばなくて正解だったぜ」

背筋を這うような悪魔の声に反応して咄嗟に後ろを向いた。
そこにいたのは…旧悪魔神、ロリ悪魔の父親を殺し王の座を我が物としようとした張本人。殺人鬼悪魔だった。

殺人鬼悪魔「オラの勘が告げてたんだよナァ〜一回はまだ何かオラにとって面白いことが起きるってナァ」

殺人鬼悪魔「んで…お前は一体オラに何の用だ?」

ニヤニヤしながら要件を聞く殺人鬼悪魔を前に何となく腹が立つ。

やはり一度はロリ悪魔を悲しませた奴だ。
そんな奴に協力を求めるなど本当はしたくないのだが…

こうでもしないとロリ天使を連れ出せないのなら仕方ない。

男「…お前の力を分けて欲しい」

殺人鬼悪魔「……」

男「…?」

ニヤけ顔だった殺人鬼悪魔の顔が僕の要件を聞いた瞬間真顔に変わった。

殺人鬼悪魔「それだけか…?」

男「あ、ああ…」

殺人鬼悪魔「オラから力を受け取って何するつもりか知らねーが…つまんねーな。思ったより数億倍つまんねー要件だったぜ」

男(禁忌がつまらないって一体こいつは何を期待していたんだ…?)

殺人鬼悪魔「まっ、…オラの頼みごとも聞いてくれるならいいぜ?」

男「頼み事?お前の野望なんかに協力するわけがないだろ」

殺人鬼悪魔「あ?」

男「ッ!」ビクッ

男(雰囲気が変わった…?まるで怒りに任せて殺人鬼に力を押し付けたときみたいな…)

殺人鬼悪魔「そりゃあねぇだろ。お前はオラ…俺の言うことを聞くくらいはしてもいいんじゃねぇのかぁ?」

殺人鬼悪魔「お前は俺のおかげでいい思いしてんだぜ?」

殺人鬼悪魔はまたニヤつき始め意味深な発言を言った。

男「…何の話だよ。今の僕とお前に何の関係があるっていうんだ!?」

男(だってそうだろ…こいつは旧悪魔神を殺してその罪でここに閉じ込められた。それだけだ。僕に関係なんて…)

殺人鬼悪魔「お前、あの後継者争いの中で俺のモンにするつもりだった姫を横取りしてイイ感じになってたんだろ?あんなもん見せつけやがって。クソッ!思い出しただけで気分が悪いぜ」

男「それがどうしたんだ…」

殺人鬼悪魔「まだ分かんねぇのか?後継者争いがなけりゃお前と姫は出会ってねぇってことだよ」

男「!!」

殺人鬼悪魔「そしてその後継者争い勃発の原因を作ったのはこの俺。もう何が言いたいか分かるだろ?」

殺人鬼悪魔「俺に頼み事する前に感謝込めて恩返ししろっつてんだよアホ」

男「…要件はなんだ」

殺人鬼悪魔「俺の野望は変わらずただ一つ。悪魔神になることよ」

男「そんなの無理に決まってるだろ」

殺人鬼悪魔「じゃあお前は俺に大人しく言うことを聞いてこれから先もずっとこの底なしの闇の中に閉じ込められてろっつーわけだな?」

男「……そういうことになるな」

このままでは話は進まないし、交渉は成立しない。それは分かっていたがこいつを外に逃がして王にするのは流石に無理だ。

ロリ悪魔も親友のためとはいえ簡単にそんなことを許すはずがないだろう。

男(どうする…もうかなり時間が経ってる気がするぞ…どうすれば…)


殺人鬼悪魔「よっ、と…うぇっぷ」

男(な…なんだ?)

そういいながら殺人鬼悪魔は何処にしまっていたのか、腹をトンと軽く叩いてから口から何やら液体の入った小瓶を取り出した。

殺人鬼悪魔「消えるか…」

そして小瓶の蓋を開けようとする。

男「お、おい!お前何をするつもりなんだ!」

殺人鬼悪魔「ん〜?ここからもう出れそうにないなら作った毒で消滅しようかなってナァ。身体の中に忍ばせてまでここに持ってきた甲斐があったぜ」

殺人鬼悪魔はまた先ほどまでの雰囲気を取り戻したかと思ったらちゃぶ台をひっくり返すような発言をした。

男(やばい!そんなことされたらもう交渉どころじゃないぞ!?)

男(…ここはハッタリしてでも先に力を受け取るしかないか!?)

男「分かった。お前を王にしてやる。だからここは僕に力を貸せ!後で新大臣さんやロリ悪魔にも相談してみるから!」

これから先のことも、そもそも上手くいくかも考えていない。
全くもって締まりのない作戦だった。

だがこんなのでも何もしないよりかマシだ。

何もしないでロリ天使を永遠に失ったままにするよりかは…

もう僕も必死だった。


殺人鬼悪魔「ほーん。ようやく分かったか」

殺人鬼悪魔はニヤリと微笑し、僕の顔に片手で鷲掴みにした。

男「んがっ…!」

殺人鬼悪魔「だが嘘はいけねぇ。本当に政府の奴らに相談するつもりかどうかは知らねぇがオラを王にするなんてことを上の奴らが許すわけねぇだろ。ばーか」

男「じゃあ…んぐぅ…僕に…ど、どうすればいいって言うんだ!」

殺人鬼悪魔「お前には悪魔になってもらう」

男「僕が…悪魔に…?」

意味が分からない。

男(こいつは何を言っているんだ?)

殺人鬼悪魔はまた声を低くして詳細を語る。

殺人鬼悪魔「今からお前に俺の力を全て託す。悪魔から100パーセントの力を受けっとたお前は人間ではなく悪魔そのものとなり、当然力を全て失う俺は自我を保てなくなり消滅する。が、お前には…」





「俺の力を持って悪魔神に君臨してもらう」





男「!!」

殺人鬼悪魔「じゃあ行くぜ。耐えろよ?」

僕の顔を鷲掴みにした手のひらから大量の黒い靄が放たれる。

男「ぐああああああああああ!!!」

黒い靄が脳に直接響くようにして染み渡る。

黒い靄が身体を蝕んでいくのが分かる。

男「ぐあああ…ごぶっ…うぁあ…ああ…がああ…」

自分が人では無くなっていくのも…分かる…。


分かってしまう…。


男「あぁ…あっ…んがぁ…」

意識が遠のいて行く…

意識がなくなる前に最後に見たのは、消滅しながらも僕を勝ち誇ったにやけ面で笑う殺人鬼悪魔の顔だった。

…………

…………

…さ

…さん

…男さん

「男さん!」

男「っは!」

目覚めるとそこは殺人鬼悪魔のいた巨塔の前、新大臣さんの膝の上だった。

身体を起こすと感じる違和感。
まるで自分が自分じゃないような…
そんな感じ。

さっきまで僕の名前を呼んでいたはずの新大臣さんは目をパチクリさせて変なことを聞いてきた。

新大臣「…あなたは本当に男さんなのですか?」

男「…へ。いや、そうですけど」

新大臣「……」スッ

無言で手鏡を差し出された。

どういうことか分からずそれを受け取り覗き込む。

男「!?」

手鏡に映る僕の顔はあまり変化は無かったが、黒目がカラーコンタクトでも入れたかのように真っ赤なものとなっていた。

男「僕…本当に悪魔に…」

男(あれは夢じゃなかったんだな…)

なら…僕はあいつの頼みを聞き入れるべきだろう。

確かにロリ悪魔の父親を殺したことは許されることではないが…
あいつがいなければロリ悪魔と僕がこんな関係になることなどなかったこともまた事実だ。

僕は決意を新たに新大臣さんに手鏡を返した。

男「ありがとうございました…」

新大臣「え、あ、はい。はい…」

男「新大臣さん。勝手に現悪魔神様を利用するような真似をしてすみませんでした!」

新大臣「どうしていきなり…じゃなくて!本当ですよ!これからは…」

男「権力を持たない者が好き勝手できないのなら…僕自身が悪魔神になるしかない…」

新大臣「…は?」

男「では、僕は天獄へ向かいます」

男(悪魔になったなら印とか関係なく門も自由に開けるよな)

男「開け!天界の門!」

僕が適当に唱えると光に包まれた純白の門が僕の目の前に創られる。

男「すげ…適当にやったのにできた…上級悪魔だからか?」

新大臣「どういうことですか!?」

男「僕、ハメられてデタラメな契約結ばされちゃったんです」

「「どうせ悪魔神になるなら、少しくらい強欲で自分勝手な方がさまになるかなって…」」

新大臣「…!!」

新大臣(今一瞬…妙な影が…)


新大臣「ちょっ!男さんちょっと待ってください!」

男「待ってろよ!ロリ天使!」

新大臣さんの何か言ってる声を耳に入れずに門に飛び込んだ。

僕の両親は僕に用だけ伝えて僕の声を全く耳に入れてくれない人たちだったが…僕もそれを不満に思いながら同じことをしてしまった。

やはり蛙の子は蛙ということか。

新大臣「あの!一体中で何があったのか説明を…ああ…行ってしまわれました…」

新大臣「にしてもあの影は…気のせい…ですよね」

新大臣「ああ!こんな所にいつまでも立ち尽くしている場合じゃありません!大変なことになってしまいました!早く陛下にこのことを知らせなくては!!」

依然として曇天の空。

どっちつかずの灰色の雲は堕天使の羽根の色の…

そして多分、ロリ天使の心の色。


天使兵「ん?またあのちびっ子に客か…お前は…この前の…でもあいつは人間だったよな…まぁいい。こっちだ、ついてこい」

僕のせいで白にも戻れず、黒にもなりきれないのなら…

せめて僕の手で黒に染めてやろう。

天使兵「ここだ。入れ」

天使兵「…どうした?入らないのか?」

男(流石に悪魔ともなると入るまでは監視されるのか…見えなくなるまで待とうかと思ったけど…どうせ逃げるなら関係ないか)

結界に触れる。

だが結界に浮かび上がるのは波紋ではなく。

天使兵「なっ…!」

禍々しく走る黒いヒビだった。

バシュ…!

天使兵「お前!何をしてっ…!ぐふっ!」

天使兵「ぐっ…ぅっ…」

天使兵「……」

男「すみません。少し眠っててください」

ガシャンと割れる音をたてて崩れ去る結界の向こう側に、突然の出来事に呆然とするロリ天使が見えた。


ロリ天使「へ…?え…?お兄さん…ですか?」

男「今からお前を連れ去る。…よっと」

ロリ天使「ひゃっ…」

男(お姫様だっこって初めてやったけどあんまりしんどくないな。悪魔の力のお陰が?)

ロリ天使「えぇっと…そのぅ…私はこれからどうなるんでしょうか…」

男「その辺はあんまり考えてないや。まぁでもとりあえず今日からお前は女神様の所有物はやめてもらうよ」

ロリ天使「はぇ…?」

男「僕のものにしたいってこと!」

ロリ天使「えっ…しょっ…しょんないきなり…」

男「う〜ん…」ポリポリ

言ってから恥ずかしくなった。

天使兵2「何事だ!?」

天使兵3「上級悪魔が暴れている!取り押さえろ!」

男「どけっ!」

天使兵2「ぐぇっ!」

男「通せ!」

天使兵3「かはっ!」

目の前に迫ってくる天使兵を足と体当たりでくぐり抜ける。

男(翼が生えてるってのは便利なもんだな)

力を全て使い果たしたときは死ぬときだ。

悪魔となった身体は限界を知らない。

天使兵4「で…それで…はい。はい。今すぐ天獄へ…お願いしますっ!」

男「……」

天使兵4「うわぁ!止まれ止まれ!」

男「ふんっ!」

天使兵4「ごぁっ!」

天獄の中を抜け門を地獄への門を創り出す…

ロリ天使「お兄さん…本当に悪魔に…」

男「話は帰ってからでいいか?とにかく今は先を急ぐぞ!」

まだまだ追ってくる天使兵も必死に振り払い、ついに門の目の前まで駆けつけた。

地獄の門に飛び込もうとしたそのときだった。

男「!?」

ロリ天使「きゃっ!」

手と足が光の鎖で縛られて動けなくなってしまった。

抱えていたロリ天使は地面に落ちる。

男「くそっ!なんだこれ!」

悪魔の力で鎖を破壊しようとするもそれができそうにない。

鎖の出元を目で追うとそこにはロリ天使と同じくらいの背の3対の大きな翼を持つ女の子がそこにいた。

「どこの上級悪魔か知らんがおいたはそこまでじゃ」

ロリ天使「女神様…!」

男「あんたが女神様か…」

女神「残念じゃな。見た目な中々好みの悪魔なのじゃが、どうも我の庭で勝手に暴れ回って所有物に手を出すとはいただけないのう」

男「天国から追放して放置してるだけのくせに何が庭だ!何が所有物だ!」

女神「うるさいぞ。ずいぶんと生意気な口をきく悪魔じゃな。お主何者じゃ?ただの上級悪魔なら許しはせんぞ?」

ロリ天使「お兄さん。やっぱりこんなのもう止めましょうよ…このままではお兄さんの身が危険です!」

女神「何者じゃと聞いておる」

男「僕は…」

喉を通り、口にまで来た言葉…
これは本当に出していい言葉か?

無茶苦茶だぞ?

自分勝手だぞ?

いや…

だからこそ相応しい。

思いきれ。胸を張れ。

(これはお前と俺の契約だ)

男「!!」

影が見えた。ムカつく気分の悪くなるような気持ち悪いにやけた影が。

男(自我は消滅するんだろ?音声付きの幻覚までみせるか…しつこい奴…)

男「僕は…」

オ オ
ラ レ






「「 『新悪魔神』だ 」」





ロリ天使「!?」

女神「!?」


女神「何を寝ぼけたことをいうておる!これ以上ふざけると言うのなら本当に浄化してやっても構わんのじゃぞ!」

ロリ天使「そうですよお兄さん!だって今の悪魔神は…」

「おにーさんだよ」

ロリ天使「ロリ悪魔ちゃん!?いつの間に!?」

ロリ悪魔「えへへ。久しぶり。さっき新大臣に話は聞いたよ」

男「あれは…」

ロリ悪魔の手にはひらひらとした契約書のようなものがある。
僕の無茶振りが通って、正式に新悪魔神として認められたということだろうか。

新大臣「ああ…どうしてこんなことに…」

新大臣さんはなんてことにと頭を抱えていた。

よく分からないがこのままの流れなら上手くいきそうだ。

男「ど、どうだ!?本当だったろう!?」

女神「むぅ…奴の父親の『王族以外を王にする後継者争い』に続き、地獄の連中はいつも無茶苦茶じゃな…」

女神「しかし…悪魔神を語る男はそうでなければならんのかもな…」

光の鎖が解かれた。

男「うぉぉっと…」

女神「にしし…面白い」

女神「おいお主!本当に悪魔神を背負う覚悟があるか?」

男「ああ…こうなってしまったからにはそのつもりだ」

女神「悪魔神とは全悪魔をまとめ、崇められる存在でなければならぬ。それでもか?」

男「ああ!」

女神「悪魔神とは我と対の存在となる。我と並び立つほどの器がお主にはあるか?」

男「えっと…それはこれから女神様やみんなに認められるように頑張るから!」

女神「ふっ…そうか」

女神「よく言った!その覚悟と新悪魔神誕生を祝してそこの堕天使は我からの贈り物じゃ。お主らにくれてやろう」

ロリ悪魔「本当!?やった!これでずっと一緒に居られるね!ロリ天使ちゃん!」

ロリ悪魔がロリ天使に抱きつく。

ロリ天使「ふにゅ!本当ですか!わ、私…嬉し過ぎて…もぅ…うぅ…」

男「あ、ありがとうございます!女神様!」

女神「あーあーもうしまいじゃしまい。突然呼び出されてせっかくの茶が冷めてしもうたではないか」

女神「じゃがお主が天使兵や天獄に迷惑をかけたことには変わりない。後日改めて謝罪に来い!よいな!」

男「は、はい…」

女神「その…来たら茶くらいは出してやる」

男「え…」

ロリ悪魔「あ〜!女神様!おにーさんに手出しちゃダメだよ!」

男「こら!せっかくとりあえずは許してもらったんだから変なこというなよ!」

女神「にしし、どうじゃろうな」

男「女神様も悪ノリしないでくれよ!」

ロリ天使「お兄さん…いつの間にそんな方に…」

男「誤解だ誤解!」

ロリ悪魔「堂々とロリ天使ちゃんのことも好きって二股宣言してたからもう信用ならないよ」

ロリ天使「えっ…お兄さんそれ本当にですか…?」

ロリ天使が顔を赤くしてもじもじと俯いてるのを見ていると僕も気まずくなってきた。

これからどんな顔してこいつと話せばいいんだ。

新大臣「あーもう皆さん帰りますよ!特に男さんにはお伝えしなければならないことが沢山あるんですから!」

こうして天獄への乗り込みはなんとか平和な形で幕を閉じ、僕たちはロリ天使を連れて地獄へ帰っていった。

次の日…

おっさん悪魔「休憩!休憩〜!」

男「ふぅ…」

殺人鬼「んぁ?お前、まだこんな所にいたのか?王になったんだろ?」

男「まぁ明日から新悪魔神の挨拶をして正式に地獄のみんなにも認めてもらうまではってことでね…」

男「あ…あとさ…お前の相棒に会ってきた」

殺人鬼「知ってたぜ。なんとなくお前からは相棒に似た狂気を感じるからな」

男(え…なんだそれ。僕からそんなものが感じられるなんて普通に嫌なんだけど)

殺人鬼「お前が悪魔になったのも相棒のせいだろ?」

男「まぁ…ね」

殺人鬼「お前はすげーよ。女王どころか相棒までも手中に収めちまうなんてな」

男「いや、殺人鬼悪魔に関しては僕がいいように利用されたって感じもするけど…」

殺人鬼「でもな。俺今すっげ〜ゾクゾクきてるぜ」

男「なんでだ?」

殺人鬼「いひひひひ!だってお前が悪魔になったってことはお前を殺せるってことだろ?」

男「は!?」

殺人鬼「しかも元々相棒の力ってことはお前を殺せば相棒にも勝ったことになるっつっても過言じゃねーだろ!こんな最高なことねぇよナァ!」

殺人鬼「礼を言うぜ男!俺にここでの新たな生活の目標を与えてくれてよぉ!」

男「いいっ!?」

おっさん悪魔「休憩終了!働け!働け〜!」

殺人鬼「相棒はもういねぇが、俺は俺なりに別の悪魔の殺し方を見つけてやるぜ!覚悟しとけよ!男!いひひひひ!」

殺人鬼はすごく機嫌よさそうに鼻歌を歌いながら持ち場に戻った。

男「あはは…悪魔の力の使い方、もっと練習しないとな。冗談抜きでいつか殺されそうだ」

と、苦笑いを浮かべる僕だったが…

この後しばらくは足の震えが止まらなかった。

僕に安心して一人で眠れる夜は来そうにないことに軽く絶望した。

海外のお偉いさん方もこんな気持ちなのだろうか。

新大臣「みなさん本日は城前にお集まりいただきありがとうございます」

ロリ悪魔「みんな!今日から私に変わって新しい悪魔神になる男さんだよ!」

ロリ悪魔「ほら!おにーさん挨拶!」

ロリ悪魔に背中を押されて前にでる。

目の前には大勢の悪魔や地獄の住民。
当然今までにこんな大勢の前で話したことがないのですごい緊張感で心臓が張り裂けそうだ。

昨日一晩中挨拶を考えていたがろくなのが思いつかなかったので何を言ったらいいのやら…

男「え、えと…新しく悪魔神になりました。男です。こ、これからも新大臣さんたちと一緒に地獄をもっと良くしていきたいとおもっています…い、以上…」

3秒ほど静かなシーンとした空気になった。

男(やっぱり今のじゃ駄目だったよなぁ!?なんだよ『地獄を良くしていく』って…意味わかんねぇよ!『住みやすい場所にしていく』のが良かったかなぁ!?でも地獄なのに住みやすいって…あーもうなんて言えばよかったんだ?)

ロリ悪魔「うん!頑張ろうね!おにーさん!」パチパチパチ

男「あっ…」

ロリ悪魔の元気で明るい声が、僕が作ってしまった変な空気を壊してくれた。

ロリ天使「もっと大きく出てもいいんですよ?お兄さん…」パチパチパチ

男「そ、そうかな…そうだよな」

ロリ天使の優しい笑顔が僕の緊張を解してくれた。

新大臣「…はぁ」パチパチパチ

新大臣も情けない僕に呆れながらも拍手してくれた。

パチ…

パチパチパ…

男「え…」

パチパチパチパチパチパチ!!!!

男「!!」

大勢の人たちの拍手を前に、初めて自分が悪魔神になったという実感を持った。

おっさん悪魔「やるじゃねぇか!特別待遇!」パチパチパチ

先輩悪魔「小僧…あそこまで成り上がるとはなら……」パチパチパチ

先輩「チッ!気にくわねぇ…あんな奴が王なんてよ」

罪人「やっぱそうっすよね。先輩さん。あいつマジ許せねぇっすよ」

トン…

罪人「ああ!?今機嫌わりぃんだよこっちは!なれなれしく肩叩いてんじゃ…げっ!」

先輩「お前は…!」

殺人鬼「おい…。お前らあいつに何か文句があんのか?」

殺人鬼「悪いがあいつを殺すのはこの俺だ。あいつに文句があるならまずは俺を超えてもらうぜ?」

殺人鬼「いつでもかかってこいよ…いくらでも…何回でも殺してやるからナァ…いひひひひひひ!!!!」

罪人「ヒィ!」

先輩「クソッ!行くぞ!」

罪人「行くってどこにすかぁ!」

先輩「こんな胸糞悪い場所さっさと移動しようぜ」

罪人「はひぃ…」

殺人鬼「いひひひひ…待ってるぜぇ〜」

殺人鬼「……」チラッ

パチパチパチ

ワーワー ワーワー…

ロリ悪魔「おにーさん人気者だね!」

男「あはは…」


殺人鬼「せいぜい頑張れよ…」

殺人鬼「まぁいつかは絶対殺してやるけどな!いひひひひ!」

…………

新大臣「これはこうですよ。ロリコン陛下…」

男「だからその呼び方いい加減やめてくださいよ!」

新大臣「本当のことではありませんか。昨晩も部屋の方から…」

男「あーやめて!やめて!恥ずかしいから!ってかいくらなんでも耳良すぎでしょ!?絶対聞き耳立ててますよね!?」

ロリ天使「ご主人様〜、差し入れですよ」

ロリ天使が廊下から部屋の扉を叩く。

男「あっ、いいよ。入ってきてくれ」

ロリ天使「失礼します」

ロリ天使がお菓子とコーヒーを乗せたトレーをふわふわと灰色の翼で飛びながら持ってきた。

ロリ天使「今日はロリ悪魔ちゃんと一緒にクッキー焼いたんですよ?」

男「すごい美味そう」

新大臣「これが終わってからにしましょうねロリコン陛下」

男「は〜い…」

男「あっ、あとロリ天使、その格好すごく似合ってるよ」

ロリ天使には今、僕の身の回りのお世話をしてもらうメイドをしてもらっている。

もともと落ち着きのある外見と性格のためかメイド服姿はすごく似合っていた。

ロリ天使「ふふっ。ありがとうござます。ご主人様…」

男「あー…呼び方は今までのまんまでいいよ」

ロリ天使「そうですか?こちらの方がお兄さんの所有物という感じがして良いような気がするんですが…」

男「なんだよそれ…」

ロリ天使「私はもうお兄さんのものなんですからもっと私を好きに使ってもいいんですよ?」

ロリ天使「あのぅ…だから…今晩は私と…」

男「あわわわわわ!そういう話はこういう場所でしないでくれよ!」

慌ててロリ天使の身体を抱き寄せ、口を塞ぐ。

ロリ天使「あんっ…そんないきなり…いけませんご主人様…」

男(くそう…こいつ楽しんでんな…)

新大臣「…ごほん。早くしないとせっかくのコーヒーが冷めてしまいますよ」

男「す、すみません」

ロリ天使「もうどちらが上の方なのか分かりませんね…」

…………

男「はぁ〜やっと終わった。ロリ悪魔は本当に毎日こんな大変なことやってたのか?あいつの軽いノリからは想像もできない…」

ため息を吐きながら自室のドアノブに手をかけて部屋を開けた。

ロリ悪魔「おにーさんおつかれさまぁ〜」

ロリ天使「待ってましたよ。お兄さん」

部屋に入ったらベッドに倒れこむつもりだったのにもうすでに先客が二人もいた。

男「…どういう状況だこれ。三人でトランプでもすんの?」

ロリ悪魔「まぁ、それでもいいんだけどね」

ロリ天使「その…さっきの話…」ギュッ

ロリ天使に真正面から抱きつかれる。

ロリ悪魔「あっ!ロリ天使ちゃんずるーい!」

ロリ悪魔にも背中に張り付かれる。

男「はいはい…どうしたどうした…」

両手を使って二人の頭を撫でてやる。

ロリ天使「んっ…ロリ悪魔ちゃんがしたいことがあるらしいですよ?」

ロリ悪魔「ふにゃ…あのね?今日は三人で一緒に寝よ?みんな一緒になれたらしたかったことの一つだったの!」

男「全く…性格は全然違うけど、二人とも甘えん坊な所は変わらないな…」

三人で一緒のベッドに寝転ぶ。
温かくて優しい幸せがそこにはあった。

ロリ天使「ふふっ、お兄さん…」

ロリ悪魔「ロリ天使ちゃんお兄さんにくっつき過ぎだよぉ!」

ロリ天使「そうですか?人間界にいたときはこれくらいが普通だったんですが」

ロリ悪魔「それ本当なの!?むぅ〜!!許せないかも…」

ロリ天使「ね、なんでしたらもっと私とくっついても…」

男「ちょっと近いって…」

男(あっ…すごくいい匂いする…)

ロリ悪魔「あ…今日は一緒に寝るだけなんだからそうやっておにーさんのこと誘惑するのダメだよぅ…」

ロリ天使「随分と引き腰ですね?…そんな様ではお兄さんは私だけのご主人様にしちゃいますよ?」

ロリ悪魔「わわわっ!だめぇ!」

男「あ!もうベッドの上で暴れるなよ!ってか二人ともくっつき過ぎ!暑い!」

ロリ悪魔「うぅ〜!だって〜!」

男「あっはは…喧嘩すんなよ…」

男(僕はきっとこんな楽しい時間がくるのを望んでいたんだよな)

ああ、僕は幸せ者だ。

こんなにも愛しい悪魔と天使に囲まれてるのだから。



ここが僕の、地獄(てんごく)だ。



おわり

最初からここまでわざわざ読んでくださったみなさん。

本当にありがとうございました。



(-ω-)





おまけ



男「その、あの件はご迷惑をおかけしてすみませんでした…」

僕はこの日、改めて謝罪をするために天国の女神様を訪ねていた。

女神「…とのことじゃ、許してやってくれるか?」

天使兵「は、はぁ…女神様がそうおっしゃるのなら…」

女神「うむ。では退がれ」

天使兵「はっ!」

天使兵の皆さんがぞろぞろと女神様の部屋を出ていく。

天使兵たちが出て行ったのを確認してから僕も仕事があるのでそろそろ地獄に帰ることにした。

男「それでは…僕もそろそろ…」

女神「まぁ待たんか。茶ぐらい出すと言ったであろう?」

女神「少しくらいゆっくりしていかんか。悪魔神よ」

男「いや、でも…」

女神「ここには人間の寿命では一生かけても知りえぬほどの娯楽がある!ちと我と遊ぼうではないか!」

明るく小さな歯を見せながら『にしし』と笑う女神様はもう完全に幼い子どもだ。

男「じゃあ…少しだけなら…」

こうして僕は女神様と一緒に遊んでいくこととなった………

が、

男「か、勝てねぇ…」

女神「おいおい弱すぎるぞお主。これで我の10連勝じゃぞ」

ひたすらゲームで蹂躙される僕はもはや一緒に遊んでいると言えるのだろうか…

男「もう満足してくれましたか?」

女神「むぅ…我はぜんぜん満足しておらんぞ。むしろ張り合いがなくて少し不満なくらいじゃ」

男「その理由だと僕じゃ女神様を満足させることはできませんよ…」

女神「まぁそう言うな。遊びだけが娯楽ではないぞ?」

女神「次は…そうじゃな〜…」

女神様は人差し指を顎に立てて考え込む。
そんなに考えるくらいならもう僕なんか帰せばいいのに…

女神「そうじゃ!共に風呂に入らぬか?」

男「へ…」

…………

男「すごいな…風呂と言うより温泉だ…」

女神「すごかろう?すごかろう?」

女神「わー!」

ザッバーン

男「……」

女神様は品の欠片もなく銭湯ではしゃぐ子どものように湯船に飛び込んだ。

女神「どうした?お主もはよう入らんか」

男「いいんですか?」

女神「はよう!」

男「いやでもやっぱり…」

女神「はよう!」

女神様の手から突如光の鎖がジャラジャラと現れ、僕の足首に絡みついた。

女神「はーよーう!」

そのままそれを引きずられる。

男「いだっ!」

片足を取られバランスを崩し、こける。

しかし女神様は容赦がない。

女神「自分の足で来んならひっぱるぞ」

男「いだだだだだだ!いだい!いだい!いだい!」

悪魔の力で鎖の破壊を試みるもできない。
僕と女神様では力に差がありすぎる。

男「自分で入りますから!自分で入りますから!」

女神「最初からそうすればよいのじゃ」

悪魔神らしからぬ情けない懇願により光の鎖は消えた。

男「熱い…」

女神「こんなので熱がるとは…お主本当に風呂に入ったことがあるのか?」

男「そりゃあありますよ!」

女神「ほーん…」

女神「ふぅ〜。やはりここは最高じゃのぅ」

女神「ん?」

女神「…なぜそんなに距離をとる。もっと近う寄らんか」


男(女神様に恥はないのか…?)

男「一応女神様も女の子ですので…」

女神「!」

女神「そ、それは我が女神だからと遠慮しとるというわけではないということか?」

男「確かにそれもありますげど…」

女神「そ、そうか…いや、我を女として見てくれる者など久しぶりでの…」

男「そうなんですか?」

女神「こんなちんちくりんの身体ではな…我は幼きころから膨大な力を持っておったが、そのせいか身体はずっとここから成長してないのじゃ…それでどの天使も我を敬う一方で我を子ども扱いして…」

男(まあ、あんな湯船の入り方見たらみんな子ども扱いするわな…)

女神「そ、そのせいで…我に興味を示す者もおらず後継もできず…うっ、うっ…」

男(なんか急に独身女性がのリアルな悩みみたいになってきたな…)

哀愁漂う姿にさすがに慰めてあげた方がいいのかなと思ってしまった。

男「それはみんなきっと遠慮してるんですよ」

女神「へ?そうなのかの?」

男「そうですよ。女神様は高嶺の花だと…だから女神様の方からもっと男性に近づいてはどうですか?そうすればきっとすぐにでもお相手は見つかりますよ」

女神「そうかの。じゃあ、さっそく…」

男「?」

女神様は僕に寄りかかった。

女神「お主は…遠慮するな…」

男「…そうですか」

寄りかかる女神様の頭に手を置く。

ロリ悪魔に出会ってからというもの、どうも小さい女の子の頭を見ると手を置きたくなる。

女神「んっ…くるしゅうないぞ。悪魔神…」

少しだけ、女神様と対の存在になれる器に近づいたような気がした。

その後も女神様といろんな話をしていたが…

男(あーやば…頭くらくらしてきた…)

男「ぅあ…」クラッ

バシャン

女神「お、おい!大丈夫かの!?」

元々熱いと思っていた湯に浸かっていたため、さすがにのぼせた。

男「うっ…んん…」

女神「なっさけないの〜我と対の存在なら我とともに長風呂を楽しむくらいはできぬと話にならんぞ?」

男「あっ!やば!僕は一体いつまで寝てたんだ
!?」

女神「もう今日は遅いぞ。なんなら泊まっていくとよい」

男「いや、門開けばすぐ帰れるし新大臣さんにも迷惑かけるし…」

ジャラ…

男「あれ?な、なんでまた鎖で縛られてるんですか…」

女神「まさかこのまま我に何及ばぬまま帰るつもりかの?」

男「まだ何かするんですか?さすがにもういいんじゃ…」

女神「力も駄目、遊戯も駄目、長風呂もできぬと…」

そういいながら女神様は僕の寝ていたベッドに深々と腰をかけた。

女神「悪魔神よ、寝床の上くらい我から勝利を掴みとって見せんか」

男「何言って…」

淡く赤面した顔を徐々に僕の顔に近づける。

男「え、ちょっと!さすがにこういうのは!」

目をギュッと瞑って大声で抵抗すると、さすがに顔を止めてくれた。

女神「駄目なのか…?」

女神様は顔を離すと少し、しゅんとしてしまった。

その様子が少しかわいいと思ってしまったが、邪念は直ぐに振り払った。

女神「我と…そういう関係になるのは…嫌か?」

男「い、嫌というか…駄目というか…さすがにまずいといいますか…」

女神「…もうよい」

光の鎖は消滅し、女神様は後ろを向いてベッドから降りてしまった。

後ろからじゃ見えないけど、きっとすごくがっかりした顔をしてるに違いない。

女神「やはりお主も我が女神じゃから遠慮するのじゃな…」

男「!!」

何をやってるんだ僕は。さっきそのことで悩んでいると相談されたばかりじゃないか。

僕は上部だけの慰めで、結局自分も同じことをしようとしてる。

そんなこと…したらいけないだろ…。

男「女神様…」

女神様を後ろから抱きしめた。

女神「ふぇ…?」

男「少なくとも僕は、女神様のこと女の子としてすごく可愛らしい方だと思っていますよ?」

女神「嘘をつくな。またそうやって我の機嫌取りだけして…」

男「本当にいいんですか?僕、そのままにしてしまいますと…」

女神様の上半身の側面からするすると下半身の側面の方に指を流れるように移動させる。

女神「ひゃっ…」

男「結構調子にのってしまうタイプなので…」

女神「やっ…」

小さく心臓の鼓動が聞こえる…
だがこれは僕のではない。女神様のだ。

男(もしかして…結構ツンツンしてるように見えて押しに弱いタイプなのか?)

耳に舌を這わせ、軽く舐める。

女神「んぁっ…らめっ…」

男(いかん…これくらいにしておこう…)

男「なんちゃって…」

女神「んっ…んっ…へ?」

男「少しは悪魔神らしいところ見せられましたかね?」

女神「むっ…むぅ…不意打ちとは卑怯な奴め…」

男「…僕にはあの二人もいるんで、こういうことはあまりできませんが。また暇になるのでしたら呼んでくれればできるだけ出向きますので…」

女神「そ、そうか。我もお主の気持ちをあまり深く考えておらんかった。すまぬ」

男「では、もう僕は帰りますね」

女神「次呼ぶときは遊戯くらいは我に勝てるようにしておけ、良い練習相手がそちらにもおるじゃろう」

男(ロリ天使のことか…?あいつも強いのか…)

男「は、はい。努力します」

女神「またの」

男「また…」

僕は女神様のいた城の外を出ると門を開き、地獄へと帰った。

女神「…まだ少し心臓の高鳴りがするの」

女神「こんな気持ちは初めてじゃ…」

女神「悪魔神…」

女神「にしし…ますます興味が湧いてきたのう」





おまけ おわり

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