ロリ悪魔「おにーさん、悪いことするの?」 (138)

ロリ天使「お兄さん、善行を積みませんか?」
ロリ天使「お兄さん、善行を積みませんか?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1458409875/)

の続きです


(-ω-)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1460711018

親愛なる女王陛下へ

『どうかその玉座に鎮座するあまり、あなたの大切なものを見失うことのないようお願い申し上げます。』

それは僕が地獄に来てから数ヶ月程くらいだろう経ったある日のことだった。

ロリ悪魔「…はぁ」

ロリ悪魔は城のバルコニーで手紙を見つめながらどこか哀しそうな顔でため息をついた。

男「どうした?」

ロリ悪魔「あのね、最近友達からの連絡が来ないの…私その子におにーさんのこと沢山話してたからおにーさんのことも紹介したいのに…」

男「……」

ロリ悪魔「この手紙が来てからはここに来るどころか新しい手紙すら無いんだよ?あっちでのお仕事が大変なのかな?」

男「なぁ、もしかしてその友達って」

ロリ悪魔「?」

男「ロリ天使のことか?」

ロリ悪魔「!!」

ロリ悪魔「どうしておにーさんがロリ天使ちゃんのこと知ってるの!?」

男「実はあいつは僕が地獄にこんなにも早く来れたのと関係しているんだ」

ロリ悪魔「詳しく聞かせてよ。もしかしておにーさんの手の甲にある天国行きの印と何か関係があるの?」

男「天国行きの印?」

ロリ悪魔「そうだよ。おにーさんには見えてないかもしれないけどさ」

ロリ悪魔「私も不思議に思ってたの。おにーさんには今、地獄と天国。二つの場所に行く権利があるってことだよ」

男(天国行きの印があるのに地獄行きの印がまだ残っているのは分かる。それは僕が本来の善行契約に矛盾した願いを叶えてもらったから)

男(でも天国行きの印がまだ残っているのは謎だ。これはタブーを起こせば消えて無くなる代物と聞いた。…一応こいつと再会してからもいろいろあったし)

男「天国行きの印はその、悪行といったら聞こえが悪いな……そうそう、お前の言うところの『悪いこと』をすると消えるはずなんだが」

ロリ悪魔「おにーさんここに来てから何かしちゃったの?」

男「い、言わせるのか!?あれだよ…なんだ…その…お前といろいろしちゃってるし…」

自然とどんどん小声になっていく。
さすがに平時にこんな会話をするのは恥ずかしい。

ロリ悪魔「ああ、それだけなら大丈夫だよ。おにーさんと私には契約があるでしょ?」

僕と比べてロリ悪魔の反応はドライだった。
まるでもう本当の許嫁のような風格すらある。

男「契約?それって『特別待遇』のことか?」

ロリ悪魔「言ったでしょ?『私にならおにーさんは何やっても私が許してあげる』って」

男「え、あれってそういう意味だったのか」

男(女王権限で無罪というわけか…)

特別待遇はあまりにも万能だった。

ロリ悪魔「で、いったいロリ天使ちゃんとおにーさんはどんな関係なの?」

男「実は……」

僕はロリ天使と過ごした日々をロリ悪魔に語った。
ロリ天使と契約して一緒に善行を積んだこと、願いを叶えてもらったこと…

そして最後は…彼女が結局どうなったか分からなくなってしまったこと。

ロリ悪魔「ロリ天使ちゃん…」

ロリ悪魔「ロリ天使ちゃんもきっとおにーさんのこと大好きだったんだ…おにーさんのために禁じ手まで使うなんて…」

ロリ悪魔「禁じ手を使ったってことは、今頃ロリ天使ちゃんは…」

それからロリ悪魔は俯いて暗い顔になってしまった。
今にも泣き出しそうだった。

こいつは禁忌を犯した天使の行方を知ってるのか?

男「ロリ悪魔…その…」

ロリ悪魔「ごめん…しばらく一人にして…」

ロリ天使の行方を聞こうとしたが今の彼女にはそれを答えるのが辛そうだった。

男「…分かった」

僕が部屋を出て扉を閉めきると、微かだが彼女がすすり泣く声が聞こえた。
やはりショックだったのだろう。


とりあえずここまで(-ω-)

なんか続きを期待してくれていた人もいるようなので正直嬉しいです。

m(-ω-)m

男(僕に何かできることはないのかな…)

ロリ悪魔の部屋を出た僕は自分の部屋に戻ろうとした。
僕の今の自室は僕が地獄に来た次の日からロリ悪魔が僕のために貸してくれたものだ。

するとロリ悪魔の部屋のすぐ隣の部屋から新大臣さんが出てきた。
新大臣さんは黒髪ストレートに眼鏡と本の似合う真面目で誠実そうなお姉さんといった見た目の悪魔だ。

男「あっ…こんばんは…」

新大臣「男さん。あなた女王陛下に何を言ったんですか?」

男「あっ…いえ僕は特に何も…」

新大臣「特に何も?それは嘘ですね」

男「へ?」

新大臣「陛下のすすり泣き声が聞こえたんです!」

男(え…隣の部屋からでも聞こえるのか…そんなに壁が薄いような気はしないんだけど)

常に隣の部屋に聞き耳を立てている新大臣さんを想像すると若干引いてしまった。

男「えぇ…」

新大臣「なっ、何を想像しているかは知りませんが一部の悪魔は地獄耳と言って良く聞こえる耳なんですっ!」

男(なるほど)

人間界とは少し意味が違う気もするが納得してしまった。

男「えっと、すみませんちょっと質問してもいいですか?」

新大臣「今質問しているのは私なのですが…まあいいでしょう。なんですか?」

男「禁忌を犯した天使はどうなるんですか?」

新大臣「禁忌を犯した天使?堕天使のことですね」

男(禁忌を犯した天使は堕天使になってしまうのか…)

新大臣「堕天使…もしかしてあなた、ロリ天使さんのことを陛下に話してしまったのですか?ロリ天使さんとあなたがどのような関係かは知りませんが…」

男「あいつについて何か知ってるんですか!?」

新大臣「それはこっちの台詞ですよ。彼女と陛下は幼馴染ですので。陛下が小さなころから私は陛下を見守ってきたのですから…」

男「そうなんですか」

新大臣「はい。もともと私共の家系は代々陛下の側近のような立場ですので。私には年の離れた兄がいたのですがその兄が大罪を犯し無限幽閉所に囚われ…」

新大臣「今は妹の私がその穴埋めをしている感じでしょうか」

男「それってもしかして…」

新大臣「はい。殺人鬼悪魔は私の兄です…兄のせいで女王陛下は旧悪魔神様を失ってしまい…」

駄目だ。このままじゃこっちも暗い雰囲気になってしまう

男「すみません…この話はもう置いときましょう…」

新大臣「いえ、こちらこそ少し感傷的になってしまい申し訳ありませんでした…」

新大臣「まぁそういうわけで私はロリ天使さんを存じてるんです。しかし前手紙を受け取ったときにはもう…羽根が灰色に染まっておりましたので…」

男「なんで…直接会わせてあげなかったんですか?」

新大臣「それはいくら幼馴染だといっても身分の関係がありまして…」

男「幼馴染なんですよね。それこそ特別待遇でしょう!?」

新大臣「何か勘違いしておりませんか?」

男「?」

新大臣「彼女は天使なのです。地獄ではなく天国、天界の女神様の所有物なのです。それを地獄の者が好き勝手できるわけがないでしょう?」

男「くっ…」

男「…あいつが今何処にいるのかは知りませんか?」

新大臣「天界に天獄と呼ばれる堕天使を収容している施設があります。しかし同じ天界とは言っても天国とは似て非になるものです。事実上の天界の追放者達を集めた場所…といったところでしょうか」

新大臣「これを知ってどうするつもりですか?」

男「一度あの馬鹿に会いに行きたいんです。お願いしますっ!僕を天獄へ連れて行ってくださいっ!」

新大臣「……ふむ」

新大臣「会ってどうこうなるとは到底思えませんが、まぁいいでしょう。どうやらあなたにとっても彼女は大切な存在だったようですし」

新大臣「ただし、私が連れて行くのは一度きりですよ?せめて後悔のないように…」

男「はい」

僕と新大臣さんは城の外へ出た。

『行って何なる?』確かにそうだった。

ただ、一言あいつに文句を言いたかった。『何であんなことしたんだ』って…
しかも善行を削がれたあとだぞ?
善行を削がれたときも同じような質問をした気がする。

あいつの行動には納得がいかないことが多すぎる。

新大臣「では行きますよ。はぁっ!」

新大臣さんの詠唱と同時に眩い光を放つ白い門が登場した。
その光の中へと僕たちは入り込んでいった。

とりあえずここまでにしときます

(-ω-)

間違えて書き溜めファイル削除してしまったのでやばいっす

ちょっと更新遅れ気味になってしまいます

(-ω-)

またゼロから書き直しになっちゃったけど…

ゆるしてくだされっ!

(>ω<)

曇天の空の下、重金属の要塞が道を閉ざすようにそびえ立っていた。

男「ここが…天獄…」

新大臣「では、私はここで待っておりますので」

男「はい。ありがとうございます」

僕は新大臣さんに一礼してから天獄の入り口へと入って行った。

男「ここ本当に天界かよ…まぁ『似て非になるもの』ってそういうことか」

天獄の中は薄暗く、まるで消えかけの蛍光灯だけで部屋を照らしているみたいだ。

天使兵「人間が何の用だ?」

周りを見渡していると、如何にも天界の精鋭といった見た目の兵士に声をかけられた。

男「あの…ある天使に会いたくてここに来たんですが」

天使兵「ほう、人間の面会者とは珍しい。で、誰に用なんだ?」

男「ロリ天使ってやつなんですけど」

天使兵「ああ、最近新しく入ってきた変な人形持ったちびっ子か」

天使兵「一応こいつは危険堕天使に登録されていないから直接部屋で話すこともできるが…どうする?」

男「そんなことできるんですか!?じゃあ、お願いします」

丁度壁越しに問い詰めたり、『馬鹿野郎』と言うだけでは飽き足らないと思っていたところだった。
直接会えるならそれに越したことはない。

天使兵「いいだろう。ついて来い」

天使兵についていき僕は0213と数字が振られた白い壁の前に連れてこられた。

天使兵「ここだ」

男「この壁の向こう…ですか?」

天使兵「人間にはただの壁に見えるかもしれんがこれは結界だ。外側からは結界に触れれば誰でも入れるようになっているが内側からは一人では出られないようになっている」

天使兵「時間になったらお前を天使の力で外に転移する。あと、こいつは危険堕天使ではないが何かあったときには結界内の呼び鈴を鳴らせ。すぐに駆けつける。ではな」

僕にそう伝えると天使兵は持ち場へ戻って行った。
僕はその後ろ姿を見送ってから白い結界に手のひらで触れた。

結界はまるで水面のような波紋を一瞬作った。

男「そういえばまだ最初の一言とか考えてないや」

少し考えたが考えながらも身体は動いていた。

頭ではまだ心の準備ができていなくとも、身体はもうロリ天使に会いたがっていた。

目を閉じて前進すると身体が少しずつ結界にのめり込む。

中に入ってゆっくりと目を開けるとそこにはあまり生活感の感じられない真っ白な空間があった。

男「ロリ天使は…あれか?」

隅っこのベッドにぬいぐるみを抱きしめて眠る小さな堕天使がそこにいた。

男「寝てんのかよ。天使兵のやつ…面会の連絡くらい入れてくれよ」

ロリ天使のすぐ横に立つ。
近くに椅子があったのでそれを取って座った。

ロリ(堕)天使「ん…にゃ…すぅ、すぅ」

男「かわいい寝顔で呑気に寝やがって…随分と余裕なのな。お前の親友、泣いてたんだぞ」

ロリ天使の頬に軽く触れた。
羽根は灰色になってしまったが肌は相変わらず繊細で優しい色をしていた。

自分が人間界にいたときまではすぐ隣にあった温もりがそこにはあった。
久しぶりにその温もりを感じるとると、自分がどれだけそれを大切に思っていたか。
どれだけそれを欲していたのかが分かった。

やっぱり僕は…こいつのことも…

男「お前さ、なんであんなことしたんだよばーか」

男「ロリ悪魔だけじゃない…僕だって…」

男「くっ、うっ、うぅっ…」

男「お前のこと、結構好きだったんだぞ…」

ロリ天使がもう自分の隣にいてくれることは二度とないのかと思うと大粒の真珠のような涙がボロボロと情けなく涙腺から溢れた。

その涙がロリ天使の顔に落ちて弾ける。

ロリ天使「んっ…」

唐突な冷たさを感じたせいかロリ天使が目を覚ました。

ロリ天使「あれ…?また、お兄さんの夢…。まったく…あなたは何度私の夢に出てくるんですか?というか何で泣いて…あいたっ!」

ロリ天使の額を軽く小突いた。

男「夢じゃねえよ馬鹿。僕も、お前も」

ロリ天使「もぅっ!いきなり何するんですかぁ痛いじゃないですかあ…って、え?」

ロリ天使「そ、そんな…嘘…本当にお兄さんなんですか?」

男「そうだよ。いい加減目覚ませよ」

強引にロリ天使の身体を持ち上げて抱きしめた。

ロリ天使「へ!?しょ、しょんな…お兄さん…なんで、なんで…」

ロリ天使「なんでここに来ちゃったんですかぁ!ううっ、うぁ、うああああん」

男「僕がなんでここに来たも何も、そもそもなんでお前はこんなところに入っちゃったんだよ」

ロリ天使「うっうぇ、ここに来れば…ここで一生を過ごせば…わずれられるどおもっだんですっ」

ロリ天使「諦められるとおもっだんですっ!ロリ悪魔ちゃんのことも!お兄さんのこともっ!」

男「わざわざそのぬいぐるみ人間界から持って帰ってか?それ、僕が取ってやったやつだろ?」

ロリ天使「そ、ぞれは…んっ、うぇ、」

ロリ天使「やっばり無理だっだんです…私…忘れるごとも諦めるごともできなかったんでず」

ロリ天使「自分のやっだこど…後悔しでるんです…お兄さんの言う通りです…私ったら、馬鹿ですよ…」

ロリ天使「本当は…ロリ悪魔ちゃんにも会いだくでっ…」

ロリ天使「もうどうしたらいいが分がらないんですっ!うぅ…うっ…んんっ、」グスッグスッ

その後、暫くしてもロリ天使が泣き止むことはなかった。
僕はその間ただただ彼女を抱きしめて、撫でてやることしかできなかった。

僕の大好きだった彼女の天使の笑顔が、彼女の涙や鼻水やらで覆い隠されていく…

堕天使になったら、笑顔までも失ってしまうのか?

そう思ってしまう程に今の彼女をそのままにしてしまったら、もう彼女から笑顔は一生帰ってこない気がした。

なんでもいい…誰か彼女の涙を『今』止めてくれ…

『今』止めなきゃ駄目なんだ。

なんでもいいんだっ!
なんでも…
なんでも…


気がつけば僕はとんでもないことを口にしていた。

男「僕が…」

男「僕がいつかお前をここから出してやる…」

ロリ天使「え?…どうやって…」

無論、方法など考えているわけがない。

男「ほ、ほら。ここの結界って外側からは脆そうだろ?だから僕が全力で殴って結界を破ってさ!…なんて。はは…」

我ながらかなり適当なことを言った。

ロリ天使「ぷっ…なんですかそれ」

ロリ天使が少し笑った…

ロリ天使「普通の人間が全力で結界を殴ったところで透けるだけですよ。それに、それで外に出たって天使兵さんたちが許してくれませんよ」

ロリ天使「…でも。冗談でも嬉しかったですよ」

彼女の微笑む顔が見れた。
つられてと僕も顔がほころぶ。

でも、それだけでは僕は満足できなかった。

男「うぉ!?なんだこれっ!?いきなり体が透けて…」

ロリ天使「もう、時間なんですね。今日はわざわざこんなところにまで会いに来てくださってありがとうございました」

男(そういえば天使兵のやつ具体的な時間も教えてくれなかったな。せめて時間は教えてくれよ!…まぁ聞かなかった僕も悪いか)

男「…あ、れ?」

そう言ったときにはもう目の前の光景が変わっていた。

男(言い切れなかったか…)

男「やっぱり…絶対にいつか連れ出してやる…」

天使兵「おい」

男「おわぁっ!?い、いたのかよ!?…じゃなかった。いたんですか…」

天使兵「なんの話をしていたのかはあまり深く追求するつもりはないが…」

天使兵「次からここでの会話の内容には気をつけろ。さぁ、今日はもう帰れ」

男(聞かれてたのか…?まぁ収容所だし何らかの方法で監視しているんだろうが…)

男「は、はい…ではまたの機会に…」

僕は天獄内を後にした。

おまたせです

またすぐ投下すると思います

たぶん

(-ω-)

男「すみません。お待たせしました」

新大臣「いえ。で、彼女の様子は?」

男「…ロリ悪魔に会いたがっていました」

新大臣「そうですか…。でも仕方ありませんね。これも、彼女の選んだ一つの結末ですから」

男「新大臣さん…あいつがここから出られる方法はないんですか!?」

新大臣「そんなものはありません。私は言ったはずですよ?『後悔のないように』と」

男(はぁ…そうだよな。そんな簡単に出られるならあいつもあんなに涙を流す必要はない)

聞いてから新大臣さんに迷惑なことを聞いてしまったと気がついた。

男「ロリ天使…」

新大臣「……」

男「あの、僕変なこと聞いてしまってすみませ…へ?」

新大臣さんに謝罪のしようと視線を合わせたら、新大臣さんは今にも怒鳴りそうな顔で僕を見ていた。

新大臣「あなたは一体なんなんですか!?」

そして怒鳴られた。

新大臣「陛下という者がありながら他の女に鼻の下を伸ばすのようなことをしてっ!」

新大臣「大体私は前々からあなたのことが気に食わなかったんですよ!」

新大臣「普通の人間風情がいきなり『特別待遇』だとかなんだとか言って陛下に近づいて…」

新大臣「本当は陛下には悪魔の殿方が必要なんです」

新大臣「陛下はご存じないようですが人間と悪魔では子孫を残せないんですよ…それをいいことに旧悪魔神様には人間の愛人が何人かいたという噂もありますが…」

男(えっ…そうなのか…あいつ既成事実云々言ってたくせに何も知らなかったのかよ…)

新大臣「…まぁそもそも陛下はまだそこまで成長しきっていないのですが」

男(そこからかよ…)

新大臣「とにかく!ここ暫くは陛下が悪魔神ですが、もし陛下に何かあったときに後継者がいないと困るんです!」

新大臣「前の件で血族以外の者から後継者を選ぶと良からぬことを企む者が現れるということが分かってしまいましたし」

新大臣「陛下があなた一途では困るんですよ…」

新大臣さんは本当に困っているようだった。

新大臣「なのにあなたは他の女にデレデレと…」

新大臣「もぅ…何故あなたが悪魔ではないのですか?」ボソッ

男「え?僕が悪魔……?」

新大臣「な、なんでもありません!用も済んだようですし帰りますよっ!」

新大臣さんは不機嫌そうに黒い門を開いた。こいつを見るのは二回目だ。

僕たちは城へと帰宅した。

城の自室に帰った僕は一人ベッドに寝転んだ。

僕の心の中にはロリ天使や新大臣さんの言葉が引っかかっていた。

『普通の人間が全力で結界を殴ったところで透けるだけですよ』

『普通の人間風情が』

男「僕が普通の人間じゃなかったらあいつも連れ出せるし、新大臣さんにも僕のことを認めてもらえるのかな…」

男「でもどうしろって言うんだ」

自分の非力さが嫌になった。

そんなときだった。

部屋の外からコンコンと扉を叩く音が聞こえた。

男「…?どうぞ」

僕がそう言うと扉が少し開かれ、その隙間からパジャマ姿のロリ悪魔がそっと覗き込むようにこちらを見ていた。

ロリ悪魔「おにーさん…入っていい?」

男「いいよ、おいで…少しは落ち着いた?」

ロリ悪魔はとてとてと小走りで僕の隣に来てベッドに腰掛けながら頷いた。

ロリ悪魔「うん」

男「どうしたんだ?こんな遅くに」

ロリ悪魔「えっとね?おにーさんは…ロリ天使ちゃんみたいにどこにも行っちゃったりしないよね?」

男「…当たり前だろ?僕はずっとお前の側にいるよ」

ロリ悪魔「良かったぁ…分かってたけど、ちゃんとおにーさんの言葉から聞くと安心する…」

ロリ悪魔が軽く僕にもたれかかる。
きっと親友が目の前から消えてしまった思ったら不安になったのだろう。

僕も少しロリ悪魔の頭を撫でてやる。

ロリ悪魔「んっ、えへへ〜」

撫でていると新大臣さんの言ってたことを思い出してしまった。

男「…むしろ心配なのは僕の方だよ」

ロリ悪魔「え?どうしたの?」

言おうとした言葉は口に出る前に行動となった。

ロリ悪魔を強く抱きしめる。

ロリ悪魔「お、おにーさん?」

男「僕、お前が他の男に取られるなんて考えたくないよ」

ロリ悪魔「そんなの絶対ありえないよ。私はおにーさん一筋だもん」

男「そっか…」

その言葉はとても嬉しくて、自分も望んでいたもののはずだったのに。

『陛下があなた一途では困るんですよ…』

男「……」

どこか心が痛んだ。

ロリ悪魔「でもね〜?もしおにーさんが心配なんだったらぁ…」

ロリ悪魔がもじもじとしながらもこちらに顔を近づけてきた。そして…

ロリ悪魔「えぃ!」

彼女の唇は僕の唇をとらえた。

ロリ悪魔「んむぅ…ちゅっ…ちゅる…ん〜」

ロリ悪魔「ぷはぁっ…」

ロリ悪魔「私をもぉっとおにーしゃんのものにして?」

ロリ悪魔「ね?」

こうスイッチが入ってしまうとこいつはもう止まらなくなる。
それが最近わかった。

男「おいおい、僕明日労働の日なんだけど…」

ロリ悪魔「え〜、いいでしょ〜?」

そう言ってロリ悪魔は上から三つほどパジャマのボタンを外すと勝手にベッドのど真ん中に仰向けで寝転んだ。

ロリ悪魔「ねぇいつもみたいにシてよぉ…」

ベッドの上のこいつはどことなく受け身だ。
初めての日に少しいじり過ぎたか?

男「……」チラッ

視線を下に落とすと、自らの欲望の塊は素直だった。

男「はぁ…もう知らね」

ロリ悪魔「えへへ…だーいすき…」

次の日。僕は火山の近くで炭鉱仕事をしていた。
マグマ煮えたぎる大きな火山は地獄らしい風景だ。

男「身体がダルい…」

おっさん悪魔「おい!そこのお前!しっかりせんか!女王様の特別だかなんだか知らんがここでは平等に扱うからな!」

男「は、はい…。すみません」


罪人「はーだりぃー」カーンカーン

おっさん悪魔「おい!お前ももっと力いれろぉ!」


男「……はは」

僕は地獄とは針山を登らされたり、血の沼に沈められたりする場所だとばかり思っていた。

しかし地獄は思ったよりも現実的だった。

体感8〜12時間の労働作業。
これを毎日ひたすら繰り返すだけ。
休憩時間こそあるが最近までは休日すらなかったらしい。

人間界でも毎日工場で魂の抜けたように同じ作業をするだけの日々を地獄だと感じている人もいるだろう。
それを毎日無給でだ。確かにこれを地獄と言わずになんと言おう。

最近できた休日というのはロリ悪魔が悪魔神に就いてからできたものらしい。

ロリ悪魔曰く

ロリ悪魔『みんなも大好きな人と一緒にいられる時間が少しでもあったほうがいいと思うの。私もお仕事ばっかりは嫌だしぃ〜…へへ〜』

とのこと。彼女らしい提案だ。

彼女の発言から察するに地獄でも堕ちた者同士友人やら恋人やら作って楽しんでいる奴らもいるようだ。

僕は本当はロリ悪魔から『おにーさんは特別待遇だからそんなことしなくていい』と言われていたが、僕は王族の仕事があるわけでもないし一応地獄に来た人間ということで僕の方からロリ悪魔にお願いして二日に一回のペースで参加させてもらうことにした。

おっさん悪魔「おーい!男!ちょっとそこの一輪車運んでくれ!」

男「はい!」

男「おんもっ…積みすぎだろこれ…」

「いひひひ…手伝ってやるからしっかりしろよナァ」

誰かに後ろから持ち手を支えてもらった。

男(この声…どっかで聞いたような…)

どこかで聞いたことあるような声に疑問を持ちながらも礼を言おうと後ろに振り向いた。

男「あっ、ありがとうございます…ってお前!」

男「殺人鬼!?」

殺人鬼「いひひひ、久しぶりだナァ。お前がこっちに来るのはもうちょい後だと思ってたんだがな。どした?自殺でもしたか?」

男「自殺じゃないけど…自分からここに来た」

殺人鬼「いひひひひ!なんだそりゃ?おもしれぇ!わざわざこの俺に殺されに来たってか?お前を殺すことができなかったってのは俺の人間界の未練の一つだったんだぜぇ?」

男「ヒッ!こ、怖いこというなよ…」

殺人鬼「いひひ…まぁそうビビんなよ。半分は冗談だよ」

男(むしろ半分は本気なのかよ!?)

殺人鬼「こんなところで人間を殺したって面白くねぇってことに気がついちまったからナァ…」

男「…?」

男(なんだ?こいつにも何かあったのか?)

殺人鬼「とりあえずこれ運ぶぞ」

男「あ、ああ」

殺人鬼「よいしょっと…」

おっさん悪魔「休憩!休憩〜!」

殺人鬼「おっ…ちょうど良かった」

殺人鬼「ナァ、ちょっと付き合えよ」

男「いや、遠慮しとくよ…」

男(ついて行ったら殺されそうだし)

殺人鬼「あぁ?殺すぞ?」

男「ついて行かなくても同じかよ…」ボソッ

殺人鬼「あ?なんか言ったか?」

男「い、いや、ついて行くから殺すのだけは勘弁な」

殺人鬼「ビビりすぎだろ…」

こうして僕と殺人鬼は二人で休憩所へ向かった。

再会したばかりのときは本気で殺されると思っていたが、彼の言うとおり僕は少々ビビり過ぎていたようだ。

殺人鬼はどこか丸くなっていた。

男「なんというか…丸くなったな、お前」

殺人鬼「いひひ、まぁお前から見たらそう見えるかもナァ」

殺人鬼「俺もここに来たばかりのときは暴れ回っていたさ、でも俺たち人間は一度死んだ身だ。これ以上老いもしなけりゃ死んでもすぐ生き返っちまう」

殺人鬼「しっかし、ご丁寧に痛覚だけは働いてやがるからナァ。殺した奴らの恨みはしっかり買う」

殺人鬼「人間界じゃ殺した奴らとは一期一会だ。殺された奴らがどれだけ俺に恨みを持とうと関係ねぇ」

殺人鬼「でも地獄ではそうはいかねぇ。殺したら殺しただけ俺の敵はしっかり増えていく」

殺人鬼「途方もない時間ここにいる連中とこれからも過ごすんだ。俺に恨みを持った連中ばかりになると俺もめんどくせぇ。で、俺もさすがにクソみたいな仲良しこよしを選んだってわけよ」

男「お前もいろいろ考えてるんだな」

こんな狂人も環境しだいで簡単に丸くなってしまうとは…
地獄恐るべし…

殺人鬼「だがこの程度じゃ俺の欲求は完全には抑えられねぇ」

男「え…」

殺人鬼「人間がダメなら悪魔を殺そうって寸法よ!」

男「は?」

前言撤回。やはり狂人は狂人だった。

殺人鬼「知ってると思うが悪魔ってのは死ぬんだよ。いや、正確には消滅か?」

確かに殺人鬼悪魔の手によって旧悪魔神は殺された。
悪魔が死ぬというのは僕もしっている。

殺人鬼「奴らの中には俺らが一時操れた黒い靄の力がある。あれはあいつらの命そのものだ。あれがゼロになるとあいつらの自我は消滅する」

殺人鬼「っつーわけで俺も何回か悪魔に襲いかかってみたんだが、いっつもあとちょっとのところで黒い靄に拘束されて下級悪魔すら満足に殺せねぇ」

男(やっぱりこいつは正気じゃない…)

彼の狂気は静まるどころか、ほぼ『死』の存在しない体を手に入れたことにより恐怖が消えてさらに悪化していた。

殺人鬼「しかもあいつら一眠りすれば靄の力がほぼほぼ全回復するんだぜ?不公平だよナァ?」

男(こっちは死なないんだしそこまで不公平でもないような…いや、そもそも不公平ってなんだよ。襲われる悪魔はたまったもんじゃないだろう…)

殺人鬼「老いとともに一日に回復できる靄の量がじわじわと少なくなっていって最終的には消滅するらしいんだが、まぁそれが悪魔の寿命ってやつだな。ただそれは俺らの知ってる時間感覚だと何千億年とか何兆年とかの話らしい。いや、もっとかもしれねぇ」

男「何千億!?何兆!?悪魔や天使ってそんな長生きなのか?」

殺人鬼「ああ、その代わり成長速度も人間と比べたらめちゃくちゃ遅せぇらしいがナァ」

男「え?でも女王陛下は12歳と言っていたが年相応の見た目だったぞ?」

殺人鬼「馬鹿か?俺らの知ってる時間ってのは地球を基準にしたもんだ。ここが地球じゃねぇどこか異世界ってことは分かるだろ?」

殺人鬼「雲の上には天国があって地面の下には地獄がある?違うだろ。雲の上には宇宙があって地面の下には地球のど真ん中だ。少し考えたら分かることだろ」

殺人鬼「その12歳ってのもここでの時間基準にそったら12歳ってだけだ。地球の時間基準じゃ女王さんは俺らなんかよりずっと年上だよ」

男「マジかよ…」

実はあいつが僕なんかよりずっと年上と考えるとなんだかヘコんだ。

殺人鬼「まぁそう思い詰めるなよ。精神的には俺らの知ってる12歳だ。年下と変わらねぇよ」

男(まさかこいつに励まされる日が来るとは…)

殺人鬼「話が逸れちまったナァ」

男「なんかお前いろいろ知ってるんだな」

殺人鬼「全部相棒の受け売りだ」

殺人鬼「相棒はその黒い靄の力を急激に減退させる毒を作ったらしい。ちっ、毒の作り方も教えて貰うんだったぜ」

殺人鬼「相棒は無限幽閉所で今頃なにしてるんだろうナァ…俺も相棒に会いたいぜ」

おっさん悪魔「休憩終了!働け!働け〜!」

殺人鬼「話し相手になってくれてありがとよ。じゃあまたな」

男「お、おう…」

男「……」

男「あー疲れた…」

労働を終え自室のベッドに横になる。

殺人鬼との会話で黒い靄の力のことを思い出した。

今日殺人鬼の話を聞いて確信した。
殺人鬼ほど戦闘慣れしてる人間でも悪魔や天使には生身では勝てない。

つまり僕のような普通の人間が天獄に単身で乗り込んでも天使兵に取り押さえられるのがオチだろう。

男(でも、あの黒い靄の…悪魔の力があれば、ロリ天使を天獄から連れ出すことができるか?)

男「あの力をなんとかしてもう一度手に入れる方法を探そう」

男「城の中に大きな書庫があったよな。明日からいろいろ調べてみるか…」

次の日から僕は時間があれば書庫に籠ることが多くなった。

分厚い本と睨み合う毎日。

男「うーんこの本にも大したことは載ってなかったな…」

男「次はこれを読んでみるか…」

男「……」

男「ふーん、人間と悪魔じゃ無理だけど天使と悪魔だったら子孫を残せるんだな…」

男「ってこんなこと知ってどうするんだ。この本にも書いてそうにないな…次行こう次…」

男「ふぁあ〜…くそっ…眠い…」

男「一冊一冊が厚いから読むのに時間がかかるし労働が終わった後だとすぐ眠くなっちゃうし…」

男「でもこんなところで躓いてられないよな」

男(待ってろよ…ロリ天使…)

…………

「どうして私のためにそこまでしてくれるんですか?」

男「そんなのお前がいないとロリ悪魔が寂しがるから…」

男「ってのはさ…実はたった半分なんだ」

男「もう半分は…僕もお前が必要だから」

男「今の僕はロリ悪魔とお前、どちらかを選べって言われたら多分選べないと思う」

男「やっぱり格好悪いよな。こんな優柔不断な奴…それでも…「そんなことないと思いますよ」

男「え?」

「私は貪欲に目標を全力で追いかける方は素敵だと思いますよ」

「ロリ悪魔ちゃんに会うのために善行を積み続けたあの日々のお兄さんのように……」

…………

男「はっ!」

男「書庫で寝ちゃってたか…ってやば!大切な書物に涎でもつけてたら大変だ!…ついて、ないよな…うんうん」

本に異常がないことを確認して少し冷静になると本を読んでいたときには無かったはずの布の感触に気がついた。

男(あれ…毛布?一体誰が…)

新大臣「目が覚めましたか?何をしていたかは知りませんがこんなところで寝ていては風邪を引いてしまいますよ?」

男「あっ、新大臣さん来てたんですか。もしかしてこの毛布を掛けてくれたのって」

新大臣「はい。私ですが」

男「あはは…すみません」

新大臣「で、一体何の調べ物を?」

男「悪魔の力を手に入れる方法を探していたんです…」

新大臣「ふむ。そんな物を手に入れてどうするつもりなんですか?」

男「えっ、あ、えーっと…」

男(さすがに新大臣さんに天獄に乗り込むつもりとか言ったら怒られるよな…)

男「前僕が普通の人間なのが気にくわないって言ってましたよね?だから、少しでも悪魔に近づけたらな〜…とか考えたり…」

新大臣「はぁ、呆れました」

新大臣さんはやれやれと頭を抱えた。

男(さ、さすがに理由に無理があったか?)

新大臣「単刀直入に言わせてもらいますと、人間が悪魔の力を手に入れる方法は人間界で悪魔と契約するか、悪魔から直接力を受け取るかしかありません」

新大臣「前者は一度人間界を離れたあなたには不可能。後者は禁忌です」

新大臣「つまりあなたが悪魔の力を手に入れることはできません。これが分かったら諦めてください」

男「え、そんな…」

男(じゃあ、僕がここ最近ずっとしていたことは無意味だったってことかよ…)

男「…失礼します。毛布、わざわざありがとうございました」

無駄と分かればもう書庫に用はない。

僕はきっと今とても絶望した顔をしているだろう。
自分に見えていなくてもそれが分かった。



バタン…



新大臣「何か良からぬことを考えてないといいのですが…」

結局、僕にできることなんて無かった。
自分が情けなくてたまらない。

男「くそっ!くそっ!」

悔しさで何度も自室のベッドに拳を沈めた。

おっさん悪魔「休憩!休憩〜!」

殺人鬼「なんだ?浮かねぇ顔してんナァ」

男「…なぁ、悪魔を何とかする方法、なんか思いついたか?」

殺人鬼「うぉ!お前が悪魔殺しに興味があるなんて意外だな!」

男(別に殺そうってわけじゃないけど…)

殺人鬼「でもざーんねん。俺は新しい方法を思いついたときはソッコー試してるからナァ!今はそんなそんなもんはねーよ」

男「そうか…」

殺人鬼「俺にも相棒以外に仲のいい悪魔がいたらそいつに力を分けてもらうんだけどナァ〜」

男「それ禁忌だぞ…」

殺人鬼「いひひ、禁忌とかそんなん関係ねーよ」

男「!!」

殺人鬼「大事なのはどれくらい本気なのかだ。俺は本気で悪魔を殺したいと思ってる」

殺人鬼「俺の人間界への未練の一つに相棒の本気を受け止めてやれなかったってことがある」

殺人鬼「あのとき相棒は本気でお前を殺そうとした。だから俺に直接悪魔の力を貸した。でもあのときはそんな相棒の魂の叫びを俺は受け止めてやることができずに暴走しちまった」

男「……」

殺人鬼「今ならどんな強大な力でも受け止める覚悟が俺にはある。いひひ…まっ、仲のいい悪魔なんかいてもその悪魔も快く禁忌に協力してくれるのか?つったらまた別の話だけどナァ」

殺人鬼「とりあえず俺がお前なら女王さんに頼んでみるけどナァ?悪魔神の血族ともなるとやっぱり相棒よりもやべー力なのかね?とにかく俺はお前がうらやましいぜ」

おっさん悪魔「休憩終わり!働け!働け〜!」

男(大事なのはどれだけ本気か…か…)

あのときロリ天使が僕に天使の力を分けたのも本気で僕のことを想ってくれてたからなのだろうか。

僕はどうなんだ?僕も本気だ。

僕も本気であいつを天獄から連れ出したいと思っている。

なら……!

ロリ悪魔「あっ、おにーさんお疲れ様!わざわざ私の部屋まで来てどうしたの?」

ロリ悪魔「もしかしてそんなに私が恋しかったの?…なんちゃって」

男「なぁ、お前になら僕は何をしてもお前は許してくれるんだよな?」

僕の只ならぬ発言にさすがにロリ悪魔の顔つきも変わった。

ロリ悪魔「…そうだけど」

ロリ悪魔「どうしたの?」




ロリ悪魔「おにーさん、悪いことするの?」





男「ロリ悪魔、お前の力を分けてくれ」



男「僕はロリ天使を連れ出すために天獄へ行く。お前は門を開いてくれ」

ロリ悪魔「天獄!?」

ロリ悪魔「そんなの危ないよ!それなら私も一緒に…」

男「それは駄目だ。女王陛下に何かあったら大変だ。それにもしも何かあったとき僕は全ての罰を自分で被るつもりだ。お前も一緒に乗り込んだらそれができなくなるだろ?」

男「我がままかもしれないけど僕の頼みを聞いてくれ!もう…お前が寂しそうにしてる顔を見たくないんだ…」

ロリ悪魔「……」

ロリ悪魔「…意味ないよ」

ロリ悪魔「それでもしロリ天使ちゃんとまた会えたとしても!おにーさんに何かあったら意味ないよ!」

男「ロリ悪魔…」

ロリ天使…僕はお前から親友を奪った。

こいつはこのままじゃもう二度とお前に会えないかもしれないっていうのに、それでも僕の心配をしてくれている。

でも、それと同時に…

『ロリ天使ちゃんもきっとおにーさんのこと大好きだったんだ…おにーさんのために禁じ手まで使うなんて…』

『私やっぱりお兄さんのこと忘れません。いや、忘れられませんよ』

ロリ悪魔からもお前を奪ってしまった気がする。

返さないと…こいつらをお互いの所へ…

ロリ悪魔の両肩に両手を置き、膝をついて頭を下げた。

男「お願いだ!行かせてくれ!頼むっ!」

男「僕も…あいつとまた一緒にいたいんだ…」

ロリ悪魔「…おにーさん、本気なんだね」

男「ああ、本気だ!」

ロリ悪魔「じゃあ、女王命令!」

男「なんだ?」

ロリ悪魔「絶対ここに帰ってくること!…もちろん、ロリ天使ちゃんも一緒にね」

「女王様からの命令か…それは従わないわけにはいかないな」

ロリ悪魔「それが約束できるならいいよ」

男「ありがとうロリ悪魔…愛してる」

ロリ悪魔「もぅ!ずるいよ!堂々と二股かけてるくせに平気でそんなこと言うなんて…相手がロリ天使ちゃんじゃなかったら絶対怒ってるんだから!」

男「ご、ごめん…」

ロリ悪魔「はぁ…」

ロリ悪魔「手、出して…」

ロリ悪魔が自分の手を僕の前に差し出した。




1.僕もロリ悪魔の前に手を差し出した。

2.僕は、そのロリ悪魔の手を強く握った。



最速選択で。



物語の結末が変わります。

僕は、そのロリ悪魔の手を強く握った。

ロリ悪魔「あはは…躊躇ないね」

ロリ悪魔「最初に『悪いこと』誘ったのは私だったけど…本当、悪い人なんだから…」

握った手を伝って黒い靄が僕の中に入りこんでくるのが分かる。

ロリ悪魔「はい、終わり。これ以上はおにーさんの身体に影響が出ちゃうかもしれないから…」

ロリ悪魔「さっ!早く城の外に出よ?今はまだ私しかこのことを知らないから印がまだ残ってるけど、新大臣とか他の城内の悪魔に見つかってバレちゃったら印が消えて天界に行けなくなっちゃうからね」

男「それって結構難しいな…」

ロリ悪魔「やるって決めたんでしょ?」

男「ああ!」

静かに扉を開けて二人で廊下へ出た。

そこから壁に隠れながら廊下の様子を見て、誰もいなければ廊下を進む。

それを繰り返した。

ロリ悪魔「おにーさん!速く速く!」

男「おいっ!ちょっと待ってくれよ!お前は飛べるからいいけど僕は歩かないと足音立てちゃうだろ!?」

ロリ悪魔「もうちょっと外に出れるんだから急ごうよぉ」

男「まだ油断できないだろ…」

ロリ悪魔「あっ!やばっ!」

目の前の曲がり角から新大臣さんが本を読みながらこちらへ来ていた。

素早く真横にあった部屋の扉を開けて入り込んだ。

男「ほら、だから油断できないって言ったろ?」

男「なんだここ…倉庫か?まぁとにかく空き部屋で良かった…」

扉の隙間から新大臣さんが通り過ぎて行くのを見る。

ロリ悪魔「なんかこういうのってドキドキするよね」

男「何ちょっと楽しんでんだよ…」

新大臣さんはずっと本に視線を落としていたのでこちらには気づかなかった。

男「ふぅ、危ない危ない…」

そう言いながらもまだ新大臣の姿が見えなくなるまで後ろ姿を見届けていた。

するとロリ悪魔が僕の背中にぴったりとくっついてきた。

ロリ悪魔「もしここにロリ天使ちゃんが来たらあの子もおにーさんと一緒にいたがるでしょ?」

ロリ悪魔「そうしたらおにーさんと二人きりになれる時間も減っちゃうし、おにーさんを独り占めできるのは今だけかなって…」

男「親友相手だから寛大なのかと思ってたけど、お前って結構独占欲強いのな」

ロリ悪魔「もう!乙女心が分かってないなぁ…」

ロリ悪魔「でもねでもね?三人でしたいこともいっぱいあるんだよ?」

ロリ悪魔「一緒にお話ししたり、ごはん食べたり、遊んだり…」

男「はは、そりゃ楽しそうだな」

ロリ悪魔「あと三人で寝るのも楽しそう!」

男「ぶっ!」

ロリ悪魔「あ〜…おにーさん今ヘンなこと考えてたでしょ?」

男「…考えてねーよ」

ロリ悪魔「まぁ、おにーさんがそういうことシたいなら考えてあげなくもないけどぉ…」

男「はいはい。もう大丈夫みたいだから行くぞ」

そんな会話をしながらも僕らはなんとか誰にも見つからずに城の外に出ることに成功した。

ロリ悪魔「じゃあ、行くよ!」

ロリ悪魔「開いてっ!」

ロリ悪魔が白い門を開いた。
門から放たれる眩い光に目を細める。
その希望にも見える光の中へと僕らは飛び込んだ。

男「じゃあ、行ってくる」

ロリ悪魔「気をつけてね。おにーさん」

男「さすがに女王様がいたら目立つからお前はその辺に隠れててくれ」

ロリ悪魔「分かった」

天使兵「ん?またお前か」

男「どうも」

天使兵「またあのちびっ子に用事か?お前も好きだな」

男「あの、また寝てるといけないので事前に連絡入れてくれませんか?」

天使兵「分かった。おーい連絡頼む!」

天使兵2「了解しました!」

天使兵「よし。ついて来い」

こうしてまた僕は白い結界の前に立った。

天使兵「また時間になったら転移する。ではな」

男「……」

天使兵が見えなくなったところで拳に黒い靄をためる。

男「うおおおおおお!」

固めた拳を結界に衝突させると、拳は結界を突き抜けることはなく。
結界には水面の波紋ではなく、地割れのような
ヒビが入りガラスの割れるような音と共に崩れ去った。

その割れた結界の内側から、両手と尻もちを着いて目を丸くするロリ天使の姿が見えた。

ロリ天使「お、お兄、さん…?」

男「行くぞ」

両腕でロリ天使を抱きかかえて天獄の廊下を駆け抜ける。

天使兵「何をしているっ!?くそっ!人間だからと油断していたが…あの男一体何者だ!?」

ロリ天使「ちょっと待ってくださいよ!行くって一体どこに行くんですか!?」

男「地獄だよ!外でロリ悪魔が待ってる!あいつに門を開いてもらう!」

天使兵「止まれ!」

天使兵2「通すか!」

男「あんたらに恨みはないけど…通せええええ!」

全身に黒い靄を纏い体当たりで天使兵たちを吹き飛ばす。

天使兵「グァッ」

天使兵2「うぉあ!」

ロリ天使「地獄に行ったあとはどうするんですかぁ!」

男「知らねーよ!僕は何も考えてないけど…あいつは…いろいろやりたいことあるらしい…」

男「ぜっ!」

悪魔の力でさらに加速する。

天使兵3「ぐっ!なんて力だっ!」

天使兵4「なぜ普通の人間があのような上級悪魔の力をっ…!」

そのまま強行突破でなんとか外まで出てこれた。

ロリ悪魔「二人とも!こっち!」

ロリ天使「ロリ悪魔ちゃん!?本当だったですね…」

あと少し…あと少しだ…。

男「ロリ悪魔!門を開け!」

ロリ悪魔「う、うん!」

天使兵2「させんぞおおお!」

男「くっ!?」

天使兵の一人に足を掴まれた。

バランスを崩した身体が前に倒れかける。

ロリ悪魔が門を開いたことを確認する間もなく抱えていたロリ天使を前に投げつけるように押し出した。

男「いっけえええええ!」

ロリ天使「きゃっ!」

ロリ悪魔「うわぁ!」

ロリ天使はそのまま目の前のロリ悪魔とぶつかり、その勢いでちょうど開いた地獄の門の中へと二人で落ちる。

ロリ悪魔「おにーさん早く!門しまっちゃうよぉ!」

門の中から二人が僕を呼ぶ声が聞こえる。

天使兵「取り押さえろ!」

天使兵3「拘束しろ!」

男「くそっ!離せっ!離せっ!」

悪魔の力を振り絞り、黒い靄で天使兵たちを吹き飛ばそうと試みる…が…

男「ッ!」

男(…ガス欠か!)

門が徐々に閉まっていく。

男(ここまで…なのか…?)

ロリ悪魔「おにーさああああああん!!!」

男(くっ…そ…)

門は閉ざされ崩れさり、風に舞う灰のように消滅した。

ロリ悪魔「ふにゃっ!」

ロリ天使「あうっ!」

ロリ悪魔「た、大変!早くもう一度門を開かないと!」

新大臣「陛下!どこにもいないので探しましたよ!こんな所で一体何を…」

ロリ天使「うぅっ…」

新大臣「!?」

新大臣「何故ロリ天使さんがここに!?陛下!何があったのか説明してください!」

ロリ悪魔「そんな暇ないよ!早くおにーさんを助けに行かないと!」

新大臣「陛下…もしかして取り返しのつかないことをしてしまったのでは?」

ロリ悪魔「……」

ロリ天使「ごめんなさいっ…!ごめんなさいっ…!」グスッグスッ

ロリ悪魔「ひっ、ひら…」

新大臣「なりませんっ!状況の説明を!」ガバッ

ロリ悪魔「ひらっ…けぇ…離して…離してよぉ!」

ロリ悪魔「…おにーさん絶対帰ってくるって約束したじゃん」

ロリ悪魔「なのに、なのにこんなのって…こんなのってないよぉ…」

ロリ悪魔「うっ、うぇぇ…うああああん!」

男「う、ううん…ここは…?そうか。確か僕は天使兵に捕まって…」

「目覚めたようじゃの」

男「あなたは…?」

女神「我は天界の女王にして、大天使をつとめておる。女神じゃ」

男「女神様か…」

男(意外と小さいんだな…これじゃああいつらとさほど変わらないな)

女神「なんじゃその子供を見るような目は…まぁよい。いや、良くないが…まぁ…よい」

女神「おぬし、随分と勝手なことをしてくれたのう。なんでも上級悪魔の力を振るっておったそうじゃが…その力どこで手に入れた…禁忌にでも触れたか?」

女神「とにかくこのことが公になればおぬし地獄に戻っても恐らくいいようにはならんぞ?」

男「元からこうなったときはどんな罰でも受けるつもりでした…」

女神「そうか…まぁ唯一の救いはまだお主が天界におる限りは天国行きの印が消えんということか」

女神「禁忌を犯してもすぐにそれが消えなかった辺りおぬしさては悪魔神の眷属か何かか?」

女神「とにかくその印があるということはおぬしはまだ天国の住民でもあるということじゃ。つまり我にもおぬしを裁く権利がある」

男「で、罰の方は…」

女神「ふむ…我も女神じゃ、一度善行を積んでここに来る権利を得た者に対してはそこまで鬼ではない」

女神「しかし野放しにもできん…」

女神「ここでは希望する者には転生する権利を与えておるのじゃが…」

女神「今回は強制転生ということで手を打とう」

男「強制転生…?」

女神「そうじゃ。感謝せえよ?逃してやっとるのと変わりないからの」

女神「ではの…来世は面倒ごとに巻き込まれんといいのう」

女神様が何やら唱えると見たことのない門が僕の下に現れた。

男(これは…人間界への門か?)


男(ロリ悪魔、ごめん。約束守れなかったな)

男(ロリ天使、ロリ悪魔を頼んだぞ…)

男「…あれ?」

最悪どうなることも覚悟していたはずなのに、何故か今になって涙がこみ上げてきた。

男「なんだよ僕…ダサすぎだろ…」

来世が始まれば前世のことなんて全部忘れるんだろうけど、何か希望を持って転生しないと…このままじゃ来世も躓く。そんな気がした。

男(そういえば悪魔や天使の寿命ってすごく長いんだっけ?)

男(あいつらの何千億年、何兆年の中じゃ僕の来世の一生なんて一瞬だろう)


そうだ、また地獄に来ることができたら…



またあいつらに会えるかもな……



おわり



(-ω-)

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