ロリ天使「お兄さん、善行を積みませんか?」 (134)

ロリ悪魔「おにーさん、悪いことしない?」
ロリ悪魔「おにーさん、悪いことしない?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1456724667/)

の続編です(-ω-)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1458409875

愛する存在との長い別れの期間を設けられた僕にとって、この日々生活している場所はもはや地獄のようだった。

何をやっても力が入らない。集中できない。
気がつけば、ぼーっとしていた。

数ヶ月前の契約者による犯罪を止めることに燃えていた日々が嘘のようだった。

別れ際は強がって涙も流さず彼女を送り出してやったが、別れたあとに自分が思ってたより数倍も彼女に依存していたことに気がついた。

悪魔の力を得るには彼女に触れることが必要不可欠だったためそれに気がつかなかった。

何度も自殺しようかとも考えたが、そんなことをしてあいつが喜ぶのかどうかを考えるとそれもできなかった。

彼女の温もりを思い出すとそれがたまらなく恋しくなる。その思いは大きくなると稀に日常生活の発言に影響を与えた。

男「ただいま」

男「ってはぁ…また言っちゃったよ」

男(もうこの部屋には僕以外にはいないんだって!しっかりしろ僕!)

「おかえりなさい」

男「は?」

男(ついに幻聴まで聞こえてきたか?でも声があいつの声じゃなかった…よな…)

男(はは…寂しさのあまりついに誰でもよくなったか?)

あまりにも突然の出来事に色んな思考が僕の中でぐるぐる回ったが、その思考のループも目の前に現れた謎の存在によって途切れた。

ロリ天使「おかえりなさい。お兄さん」

男「……」

目の前にいたのは白鳥のような純白の翼に鮮やかな茶髪の低めにくくったツインテール、そしてあいつと対の存在かとも思わせるような白いワンピースを着た小柄な少女だった。

男「誰だよ、あんた」

ロリ天使「ふふっ…思ったより冷静なんですね。お兄さん」

男(こいつ、もしかして僕を知っている?)

男「まるで僕が前にも同じようなことがあったのを知ってるような口ぶりだな」

ロリ天使「ええ。まぁ、ここに来たのもそのことが関係していますから」

男「あんたも悪魔の関係者なのか?」

ロリ天使「直接的な関係者ではありませんよ。私は天国から来た下級天使ですから。ロリ天使とお呼びください」

男「で、天国から来た天使様がいったい僕に何の用だ?」

男「生憎僕は地獄行きが決定しているらしいんだ。あんたたち天使とは無縁だと思うんだけど」

ロリ天使「それは分かってますよ。お兄さんが地獄の後継者争いを勝ち抜いたことももちろん知っています。お兄さんたち人間には見えませんがあなたの手の甲には地獄行きの印が焼き付いています」

ロリ天使「その地獄行きが決定している方たちを天国に送るために私たち天使が人間界に降りてきたんですよ」

男「天国に送る?」

ロリ天使「そうです」

ロリ天使「お兄さん。善行を積みませんか?」

男「善行を積む?今さらか?」

ロリ天使「はい、簡単な話です。後継者争いの中で犯罪に手を染めたことによって地獄行きを決定付けられたあなたたちが善行を積むことによって今度は天国に行けるようにしようというわけです」

ロリ天使「それには私たちとの契約が必要でして…」

男「遠慮しとくよ、別に僕は地獄に行ったって構わないし」

ロリ天使「いえ、そういうわけにはいきません。お兄さんにはまだ幸せになる権利があります」

ロリ天使「よく考えてもみてください。お兄さんは巻き込まれただけなんです。自分たちの全く関係のない後継者争いにその身を投じられ終わった後にお兄さんに残ったのは地獄行きの印だけです」

ロリ天使「こんなことがあっていいはずありません」

男「その巻き込まれた僕がそれでいいって言ってるんだぞ」

ロリ天使「では、この契約のメリットをお伝えしましょう」

男「メリット?」

ロリ天使「積んだ善行がある一定になると可能な限りですがあなたの願いを一つ叶えてさしあげましょう」

ロリ天使「積む善行は些細なことでも構いません。身近な人助けやボランティア、お兄さんの意思で起こした行動ならなんでも良いのです」

ロリ天使「一応願いの内容は契約時に聞くこととしますが別に後で変えることも了承しましょう」

男「結局は自分のために積む善行か。そんなの偽善じゃないか」

ロリ天使「『情けは人のためならず』とはこの世界の言葉ですよね」

男「それがどうしたっていうんだ」

ロリ天使「偽善も善の一つのあり方なんですよ」

ロリ天使「そもそも他人の行動の善し悪しなんて決めるのは結局周りですからね」

ロリ天使「愛した人が自分も愛してくれているのに、それでもそれは周りにはタブー扱いされる愛の形だった…」

ロリ天使「なんて話もあるらしいですし。ね?お兄さん?」

男(…どこまで僕のことを知ってるんだ?)

ロリ天使「さぁ、契約する気になってくれましたか?」

男「なら…地獄に行きたい」

ロリ天使「え?」

男「それが僕のたった一つの願いだ」

ロリ天使「それは…」

男「それができないなら契約は無しだ。今すぐ天国に帰れ」

ロリ天使はしばらく考えるそぶりを見せたがやがて妥協したかのように一人で目をつぶり頷くと返答した。

ロリ天使「…良いでしょう」

男「本当なんだろうな」

ロリ天使「はい、しかし契約内容には続きがありまして善行の逆、つまり世の中で悪行とされることなどを行うと目標は遠ざかってしまいます」

ロリ天使「一応もちろん目標達成後、私たちがいなくなった後でも悪行を働くと地獄行きの印が復活してしまいます。まぁ地獄行きを願うあなたには関係のない話かもしれませんが」

男(つまり今後犯罪はするなってことだな)

男「分かった」

ロリ天使「お兄さんの善行が目標に達したとき、地獄への門が開かれるでしょう。手を出してください」

男「天国と地獄って正反対だと思ってたから無理だと思ってたけど、案外頼んでみるもんだな」

ロリ天使「私たちからしてみれば近所みたいなものですよ。だからこうして近所が起こした問題を解決しに来てるわけです」

僕が手の甲を突き出すとロリ天使はその手を両手で握り何やら呪文を唱え出すと僕の手が光りだした。

男「うわ…」

やがて光が収まるとロリ天使は笑顔でこう言った。

ロリ天使「契約、完了ですね。これからよろしくお願いしますね。お兄さん!」

男「うん…よろしく…」

見た目に反した冷静な口調のロリ天使の最初のイメージとは裏腹にその無邪気な笑顔は、何だかあいつを思い出しそうになってしまうほど、綺麗だった。

男(見た目からして歳もあいつくらいなのかな?)

とりあえずここまで。

またすぐ投下しに来ると思います。

たぶん。

…………

ロリ天使「あの…」

「あっ…ロリ天使ちゃん…わざわざ天界から遊びに来てくれたの?」

ロリ天使「はい!」

「たはは…ごめんね。今日も女王の仕事が忙しくてさ、ちょっと無理、かも…」

ロリ天使「そう…ですか…」

「いや、あんまり休んじゃったら新しい大臣に怒られちゃうしね。ほんとごめん!」

「はぁ〜あ…」

ロリ天使「どうしたんですか?」

「いや、また私を女王様にしてくれた人のこと考えてたの」

ロリ天使「またですか?もうその人の話は耳にタコができるほど聞きましたが…」

「うん。でもね、すごく会いたいの…大好きだったから…」

ロリ天使「あなたはその人のことばっかりですね…私が来てもその人のことばっかり」

「ロリ天使ちゃん?」

ロリ天使「やはりもう昔のように一緒に遊ぶことはできないんですね。それでは…失礼します」

「ああ!まって!ロリ天使ちゃん!」

「まって!!!」

…………

ロリ天使「はっ!」バサッ

ロリ天使(嫌な夢を見ました…)

男「大丈夫か?ずいぶん険しい顔してたけど…うなされてたの?」

ロリ天使「あっ…おはようございます…お兄さん…」

男「朝飯できてるぞ」

ロリ天使「あっはい。ありがとうございます」

ロリ天使(昨日はお言葉に甘えてベッドを使わせていただきましたが…お兄さんは本当に床で寝てたんですね…寒くはなかったのでしょうか)

ロリ天使「これはお兄さんが作ったですか?」

男「まあね」

ロリ天使「いつも一人のときはカップ麺を食べていると聞いていたのですが…」ボソッ

男「え?」

ロリ天使「い、いえなんでもありません…」

ロリ天使「おいしい…」もぐもぐ

男「それはよかった。そういえば他の誰かに手料理をふるまうなんて初めてだな」

男「じゃあ僕は大学に行ってくるよ」

ロリ天使「ちょっとまってください!私もついて行きますから!」

男「え?なんで?」

ロリ天使「その、これからしばらくは一緒なわけですし…知りたいんです。お兄さんのこと。だめでしょうか」

男(まぁ、あいつよりうるさくなさそうだし)

男「いいよ」

ロリ天使「ありがとうございます!」

男(……)

時節見せる笑顔はやはり天使のものというのにふさわしい笑顔だと再確認した。

男「どうせ周りには見えないようになってるんだろ?」

ロリ天使「見えるようにもできますが?」

男「あ、いや見えないままで頼む…」

男(そっか。見えないのが普通だと思ってたけど契約前から見えてるってことはあいつらからは見える人間と見えない人間を選ぶことだってできるってわけか)

男「あのさ、契約の善行って初めてやったことで決まるの?」

ロリ天使「初めてやったこととは?」

男「悪魔との契約がそうだったからさ」

ロリ天使「この契約にはそのようなものはありません。どんな善行も積めば積むほど目標に近づきます」

男「ふうん」

取り巻き「あっ、男じゃん」

男「あっ取り巻き君おはよう」

取り巻きとは先輩との一件以来友人となった。
ロリ天使の言う通り後継者争いが集結した後は喪失感しかないと思っていたが、友人が一人増えたことは数少ない救いの一つだろう。

取り巻き「いつもより元気だな、お前」

自販機に百円玉を入れながら取り巻きがそんなことを言った。

男「そうかな?」

取り巻き「うんうん全然違う」

取り巻き「あっ、やべ!十円足りねーや。ちぇー俺の毎日の些細な楽しみの一つであるミルクセーキを飲めないとは…」

男「まったく、どんだけギリギリな生活してんの?」

取り巻き「昨日パチ屋で全部すっちまった」

男「はぁ…はい十円」

取り巻き「おっ!マジ!?サンキュー!今度返すわ」

男「いいよ十円くらい。あげるって」

取り巻き「ヒュ〜いい器だねぇ。じゃな!ありがとよ!」

男「じゃあね…ってん?」

僕が取り巻きに向かって振った手が不自然に白く光ってるように見えた。

ロリ天使「善行を積んだと判断されたら天使の力がたまり白く光るんです」

男(なるほど、黒い靄と同じか)

その日は隣にロリ天使がいた状態で講義を受けたが全く気にはならなかった。
誰かさんとは大違いだ。

男「ほい晩飯」

ロリ天使「わぁ、朝ごはんに続けてわざわざありがとうございます」

ロリ天使「ん〜!おいひいでふっ!」もぐもぐ

ロリ天使「ごほっ!ごほっ!」

男「おいおい大丈夫かよ。ほいお茶」

ロリ天使「すっ、すみません。何もかもお世話になってしまって」

男「いいんだよ…一応契約した仲だしな」

男「それにさ…やっぱ一人で食べるよりも誰かと食べる方がずっと料理も旨いんだ」

男「なんだかあいつと食べてた頃を思い出すよ」

ロリ天使「……誰のことですか?」

男「ん、ああ以前契約してた悪魔のこと」

ロリ天使「お兄さんも、なんですね」

男「何が?」

ロリ天使「いえいえ、こちらの話です」

ロリ天使「……」

男「?」

ロリ天使「それよりお兄さん!今日から同じベッドで寝ませんか?床は寒いでしょう?」

男「…なんてことを言い出すんだお前は。僕の目標を遠ざける気か?」

ロリ天使「ああ、そのことなら大丈夫です!私任意のセーフティをかけておきますよ」

男「はぁ…」

結局押し切られて一緒のベッドで寝ることになってしまった。

ロリ天使「ふぅ…やはり二人だと暖かいですね」

男「あのだな…僕としてはやっぱり少し抵抗があるというかなんというか」

ロリ天使「なぜですか?」

ロリ天使「別に今は地獄からは何も見えていませんよ…」ボソッ

男「〜ッ!?」

ロリ天使「とにかく、お兄さんが何を考えているかは知りませんが」

ロリ天使「今お兄さんの目の前にいるのは私です。これだけは忘れないでください」

男「う…」

ロリ天使「ではおやすみなさい。お兄さん?」

ロリ天使はそう言って微笑むとわざとらしく僕にくっつき足を絡ませ、僕の胸に顔を埋めた。

男「あっ、おい!」

男(こいつ一体何考えてんだ?)

男(そういえば僕は地獄に行きたいとは言ったがなぜ地獄に行きたがるのかはこいつに聞かれたことがないな)

男「なぁ…やっぱりお前ってあいつのことについてなんか知ってるのか?」

ロリ天使「ん…すぅ…すぅ…」

男(さすがにこんなに近くにいるなら分かる。こいつ絶対まだ起きてる…)

今日新しく分かったことがある。確かにこいつは天使だ…だがそれ以上に…

男(誰かさんよりよっぽど悪魔っぽいな…)

友「おはよう男!」

男「おはよう友」

友「ん〜?」

友が僕の顔を覗き込むようにして下から上にすぅっと眼を動かした。

男「…何?」

友「ここ最近のお前ってなんつーかその、魂が抜けたみたいな顔してたからな」

友「そう、まるでこの世の終わりみたいな顔」

男「それが今はどうだって?」

友「前までの半分ニヤけてた顔に戻ってる」

男「は、はぁ!?」

友「まぁここら辺も最近物騒なことが多かったしな。先輩のこととか殺人鬼のこととかさ」

友「実際のとこは知らねーがお前あの事件に何かしら関わってたのか?」

男「どこでその話を?」

友「いきなり三日も講義休むんだもんな。サボるようなやつじゃないし心配にもなるだろ?そしたら周りは先輩がいなくなったこともあってもう噂だらけよ」

男「そうだったんだな、初めて知ったよ」

友「マジ?お前結構後ろ指さされてこそこそ噂されてたぞ?気にしてると思って言わなかったけどさ」

友「それくらい魂が抜けてたってこったな。まぁそれがキモいニヤけ顔に戻ったんだから友人としても安心したわ」

男「ああ…」

そのキモいは余計だが、いやもっと言うとニヤけ顔というのも認めたくないが、結局のところ事件に関してはどういう風に僕が関係してたのかとか深く追求してこなかったところには友の優しさに感謝した。

ロリ天使「お兄さん、いいお友達がいるんですね」

男(元の顔に戻った、か…)

男(近いうちにあいつに会えるかもしれないっていう希望が出てきたからか?)

男(それとも…)

ロリ天使「?」

男(求めてた刺激、非日常が戻ってきたからか?)

ロリ天使「お兄さん?…その、あまりじっと見つめられると…恥ずかしいです」

男「えっ、ああごめん」

友「男?どうした?」

男「なんでもない」

男(まぁいいか、僕は目標に向かって善行を積むのみ)

コロッ

友「あっ…」

友(消しゴム落としちゃったぜ。拾うの面倒くせぇ)

男「はい友」

友「おお!拾ってくれてありがとな」

その日の帰り

おばさん(ここの信号ひっかかったら長いのよねぇ。今日は特売でいろいろ買っちゃったせいで重いわぁ…)

男(…この人もしかして)

男「おばさん、お持ちしましょうか?」

おばさん「え?ああ!もしかしてあのとき引っ手繰りから荷物を取り返してくれた方!?」

男「そうですそうです。あのときは僕の荷物を持っていただいたので」

おばさん「あんなの荷物を取り返してもらったことを考えれば気にしなくてもいいのに…でもまぁお言葉に甘えちゃおうかしら」

男「いえいえ。よいしょっと…」

善行を積むコツ?みたいなのも掴み始めこんな調子で二週間ほどたった。

男「ただいまっと」

ロリ天使「お兄さん今日もかなり善行を積みましたね」

ロリ天使「一日一善ではなかなか目標までは遠いですが、このペースなら早いかもしれませんね!」

男「そうか。ならもっと頑張らなくちゃな」

ロリ天使(ほんと…これもあの子のためなのでしょうね。このままのペースならちょっとあの子に嫉妬しちゃうくらいです)

ロリ天使「それではお兄さん、今日もお疲れ様でした」

ロリ天使「おやすみなさいです」ギュッ

男「なぁ、あったかいのは分かるけどそれやめないか?」

ロリ天使「だめなんですか?」

男「だめっていうか…なんか言い表せない罪悪感がこみ上げてくる…」

ロリ天使「いいじゃないですか…別に今はセーフティが働いてますのでお兄さんから私に触っても良いんですよ?」

男「そっか…そうだけど…うーん…」

それでもやってはいけない気もしたが僕はロリ天使の頭の上に手を置くとゆっくりと綺麗な髪の毛にそうように撫でた。

ロリ天使「…お兄さん?」

男「正直なところ僕はお前に感謝してるんだ」

ロリ天使「と言いますと?」

男「友から言われて気づいたんだ。多分僕はお前がここに来てくれてから多少なりとも救われたんだと思う」

ロリ天使「…それは私が過去にお兄さんと契約していた悪魔の代わりになっているということですか?」

ロリ天使「どうせ私はその悪魔の代わりにはなれません。誰のことかは分かりませんが私は恐らくその悪魔よりも身分が低いと思います」

ロリ天使「お兄さんにとって私はその悪魔の劣化コピーといったところでしょうか…いたっ!」

僕はロリ天使に軽くデコピンした。

ロリ天使「な、何するんですか!痛いじゃないですか!」

男「今僕の目の前にいるのは…ロリ天使、お前なんだろ?そう釘を刺すように言ったのはお前自身じゃないか」

男「お前が何に悩んでるかは知らないけど、心配しなくても僕はお前はお前として見てるよ」

ロリ天使「おっ…お兄さん…」

男「それに契約してた悪魔なんかよりいいとこも沢山あるしな!お前の方が物静かで鬱陶しくないし、機嫌悪くしないし」

ロリ天使「あ、ありがとうございます」

男「変に甘えん坊でもないし…」

ロリ天使「それは違いますよ?」

男「え?」

ロリ天使「これからはもっと甘えていきますので、そのつもりで」ギュ〜

男「まいったな…」

ロリ天使(お兄さん…私もなんだか救われたような気がします。ありがとうございます…)

男「んあ〜、もう朝か」

男「ん〜…そっか…今日は休日取ってたんだった」

ロリ天使「そうですか」

男「なぁ、善行を積むついでに今日はちょっと一緒に出かけないか」

ロリ天使「デートのお誘いというわけですね。お兄さんは見かけによらず大胆なんですね」

男「おいおい変なこと言うなよ…」

男「前にちょっと後悔したことがあったんだ」

男「お前とも期間限定の契約者?いや違うそうじゃない。何?その、あれだ!友人!契約した以上もう普通の他人じゃないだろ?」

男「友人なんだからさ。いつ別れることになるか分からない友人とはできるだけ思い出を残しておくってのは当然だろ?」

あいつとももっと思い出を作っておけばよかったって今でもすごく後悔していた。

ロリ天使「…むっ」

男「そうと決まったら準備して出発だな」

ロリ天使「それでは今日は周りにも見えるように姿に補正をかけておきましょう。その方が便利でしょうし」

男「…翼は出すなよ?」

ロリ天使「はい。もちろんです」

男「あと、その髪の色は何かと目立つから…僕のだからちょっと大きいけどこのパーカーでも着といて」ポスッ

ロリ天使「あふっ…すんすん…お兄さんの匂いがします…」

男「やめろ!」

とりあえずここまでです。

ロリ天使ちゃんから求めればそれは善行になるんですか。

連投すまん
俺を許すという善行してくだされ

>>48

なります

>>53

僕も草を生やす力が欲しいので善行を積みます


許しまふ!

男「ここのコンビニのソフトクリームがすごくおいしそうなんだよ」

ロリ天使「私も甘いものは好きですよ」

店長「あれ?男くん今日は休日とってたよね?」

男「あ〜、そうなんですけどちょっとあのソフトクリームが食べたくなって」

店長「はは、男くんは本当にあれが好きだね」

店長「で?そっちのお嬢さんは?」

男(やばっ。知り合いに会ったときのこと考えてなかった…我ながらアホだな)

男「えっとその、今ちょうど実家から妹が帰ってきてまして…」

店長「妹?にしては外人さんみたいな真っ白肌で…えっと前髪も茶髪ようだけど…ませてるんだねぇ」

ロリ天使「お兄さんの彼女ですっ!」

ロリ天使がにっこりとした笑顔でとんでもないことを口走ったため、ただでさえいろいろ考えてた頭の中が一瞬真っ白になった。

男「え、ちょっ、お前何馬鹿なこといって…」

バイト「店長〜!万引き犯らしき客を呼び止めたら走っていきました!」

バイトだが純粋に普段店員として働いている身として万引きを許せないため、反射的に身体が走り出していた。

これを機に爆弾発言によって少し固まった空気からも抜け出せた。

男「万引き犯!?またかよ!」ダッ

ロリ天使「あっ!お兄さん!」

店長「いや〜男くんにはまた助けられちゃったね」

なんとか万引き犯を捕まえに行くことによってその場の空気を切り抜けられたし結果的に善行も積めた。

万引きがあったのにこんなことを言うのはどうかと思うが…。ツイている。

男「はぁ…はは、じゃあ僕はこれで…ほら、行くぞ!」

ロリ天使「もう行ってしまうんですか?」

店長「彼女さんにしては小さすぎるような…」ボソボソ

バイト「万引きがあったばかりですがあれもあれで犯罪臭すらしますよ店長…」ボソボソ

男「はいソフトクリーム」

ロリ天使「ありがとうございます」

男「…なんであんなこと言ったんだ?」

ロリ天使「妹ではありませんので」

ソフトクリームを舐めながら真顔で放った一言だった。

男(こいつ…得意気にきっぱりと言いやがる)

ロリ天使「ソフトクリーム、分けてあげますので許してくださいな」

男「それ、僕が金だして買ったんだけどな」

そう言いながら差し出されたソフトクリームを口にした。

ロリ天使「ふふ…間接キスですね」

男「ぶっ…」

やはりこいつの言動にはどこか悪魔的なものを感じる。

ロリ天使「ここは?とても騒がしいところですが」

男「ゲームセンターだよ。高校生や大学生の間じゃあ代表的な娯楽の一つだよ」

ロリ天使「…かわいい」

ロリ天使は僕の説明が終わる前にまるで見た目相応の子どものようにクレーンゲームに張り付いてぬいぐるみを見ていた。

男「なんだ?そのぬいぐるみが欲しいのか?じゃあ取ってあげるよ」

ロリ天使「良いんですか?」

男「取れるかどうかわからないけどね…その代わり取ったらこれからは変なこと言うなよ?」

ロリ天使「その契約は承諾しかねますね」

男「じゃあ取るだけ無駄か」

ロリ天使「お兄さんがいればぬいぐるみなんて要りませんからね。お兄さんはぬいぐるみなんかよりよっぽどおもしろい方です」

男「は?それは困るから僕の代わりを用意するために僕はこいつを取ろう」

ロリ天使「お兄さんもお兄さんの代わりなんていませんよ…今、ここにいるあなただけ…」

男「……」

男「あーもう!このぬいぐるみをお前にあげて善行を積むんだよ。これは僕のためでもあるんだ」

急に見た目相応の子どもになったかと思えばまたどこか暗い表情を見せながら大人びた意味深な発言をする。

そんなロリ天使を見ているのがなんだか嫌だった。
なぜかよく分からないが僕は彼女にはさっきみたいな子どものような無邪気で明るい顔をしていて欲しいようだ。

男「あ〜もう!あとちょっとだったのに!」

ロリ天使「あの…それもう何回目ですか?」

男「いいからお前はそこで黙って見てろ。絶対取ってやる」

ロリ天使「ふふ…このキャラクターはすごく愛らしいデザインですね」

男「結構かかちゃったな…」

男(でも手も光ってるし良しとするか…ギリギリ金も残ってくれて良かった)

男「最後は、お前の新しい服を買いに行くぞ」

ロリ天使「へ?」

男「これからもこうやって二人で出かける日があったときにそのダボダボパーカーじゃ嫌だろ?だから次のときのために服を買っておくんだよ」

ロリ天使「そんな…悪いですよ…」

男「なんだかんだで世話にもなってるから感謝の印にってことだよ。いいから行くぞ」

ロリ天使「ああっ!自分で歩けますから引っ張らないでくださいよぉ!」

その後はロリ天使に服を選ばせてその服を買った。自分でも『なんでわざわざこんなことをしたのだろう』と疑問にも思った。別にダボダボパーカーでもいいんじゃないかって。

でも買った服を渡したときの彼女のちょっと申し訳なさそうだけど嬉しそうな笑顔を見たら、なんだかんだで僕も今日という日を楽しんでいたんだなという答えが出た。

ロリ天使「ここまでしてもらって、本当に良かったんですか?さすがに生活に影響がでるんじゃ…」

男「はは、二人分の食費にこんなこともしたらそりゃ今月は辛いだろうけど貯金もまったくないわけじゃないしなんとかなるよ。結局地獄に行けば関係ないし。それにさ…」

男「お前が嬉しそうだからそれでいいよ」

ロリ天使「っ!」

ロリ天使「…分かったように言いますけど私が嬉しいなんて私が言わなきゃ分からないじゃないですか」

男「何今さら見栄張ってんだよ?分かるよ、この手が白く光ってるんだから」

ロリ天使「あっ…」

男「本当に心の底から迷惑だなんて思われてたら光るわけがないからな。そうだろ?」

ロリ天使「お兄さんはずるい人です…」

男「何がずるいのか知らないけど今日はお前のせいで大変な場面があったからな。許してくれよ」

ロリ天使「むぅ」

男「さっ、今日はもう帰るか」

帰ってきてロリ天使と一緒に晩御飯を済ませたあと僕はシャワーで一日の疲れと汗を流していた。

男「今日は歩き回ったからいつもよりシャワーも気持ちいいな」

ロリ天使「お兄さん?」

男「あっ、もしかしてタオル取り忘れちゃった?そこ置いといて」

男「って、は?」

後ろを向くとタオル一枚のロリ天使がいつもの天使らしい微笑みでそこに立っていた。

ロリ天使「お背中流しますよ」

男「ちょちょちょちょっと待て」

ロリ天使「いいじゃないですか…セーフティがあれば何も怖いものはありません」

ロリ天使「お兄さんはただ前を向いていればそれでいいんです」

男(ああ、まぁいいか。確かに変な意識しなければなんの問題もない、そう、何の問題もない。何の問題も……)

だが所詮視線を逸らしているだけでの『無意識の意識』などなんの意味もない。

感覚や感触を無視するのはやはり難しかった。

ロリ天使「お兄さんの背中…おっきぃ…」

そのことを彼女の柔らかい感触によって思い知らされた。

男「おいおいおいくっつくな!」

ロリ天使「ベッドではこれくらいいつものことじゃないですか」

男「変な言い方するな!」

ロリ天使「ただ服があるかないかの差ですよ」

まぁそう言ってしまえばそうなのだが…

ロリ天使「これは私からのせめてもの善行です。受け取ってください」

ロリ天使「ね?」

耳もとで色っぽく囁かれるその一言一言が僕の脳内を何度も揺さぶったが僕はそれに耐えた。耐え続けた。
しかしそれはまだ前触れに過ぎなかった。

ロリ天使「はいできました!」

男「じゃあ適当に身体流したら僕は出て行くから…」

ロリ天使「何を言ってるんですか?次は私の背中を流してくださいよ」

男「何いってんだよ」

ロリ天使「これも善行の一つだと思えば」

男「いやそれでもだな…」

ロリ天使「ではお兄さんの前も洗いましょうか?」

男「お背中流させていただきます」

羽も真っ白だったが羽を引っ込めたその背中もまた、白い高級な陶磁器かのような白さと繊細さを感じた。僕なんかが触れれば傷ついてしまうのではないかと思うほどに。

そっと、そっと指先で彼女の背中に触れた。壊さないように。傷つけないように。

ロリ天使「んっ…」

ロリ天使「お兄さん何やってるんですか?中途半端に指先で触られてはもどかしいです」

男「い、いやそのあまりにも綺麗だったから…つい」

ロリ天使「なっ!何を言ってるんですか!?」

男「あーもうしょうがないだろ!僕だって女の子の背中を流すなんて初めてなんだから」

ロリ天使「初めてなんですか?」

男「そ、そうだよ当たり前だろ?」

ロリ天使「ふふ…」

男「なんだよ。馬鹿にしてるのか?」

ロリ天使「いえ、ちょっと嬉しくて」

男(やっぱりどこか馬鹿にされているような気がする)

男(こいつ…ちょっとお仕置きしてやるか)

僕は指先のひらをロリ天使の背中にくっつけるとゆっくりと上から下に背筋をなぞるように指先を下ろした。

男「ほらっ!」

ロリ天使「ふぁああああ!」

ロリ天使「にゃっ!にゃにするんですか!?くすぐったいじゃないですか!」

男「なるほどお前はこれが効くんだな?いいことを知った」

ロリ天使「もう!早く洗ってくださいよぉ!」

男「いやなんかこれ楽しいわ」ゾゾゾゾ〜

ロリ天使「ひゃん!もぉ〜!!」

最初の緊張感はもはやなくなっており、途中からは僕たちは本当の兄妹のように風呂場で戯れていた。

その後風呂場から上がると昼の疲れと柄にもなく遊び疲れたせいか僕はベッドに行くとすぐ眠ってしまった。

ロリ天使「もう、あれだけ私をおもちゃみたいに扱ってこれなんですから」

男「んぁ…すぅ…むにゃ…」

ロリ天使「お兄さん、もう天使の力がかなりたまっていますね」

ロリ天使「もうお兄さんとのお別れも近くなっているんですね」

ロリ天使「それが寂しい…なんて感じてしまう私は…」

ロリ天使「私は…いったい何がしたかったんでしょうか…」

ロリ天使「お兄さん…」ギュッ

とりあえずここまでで。

またすぐ投下すると思います。


たぶん。

男「んー…」

男「んぁ?なんだこれ」

男(手が黄色に発光している?)

男「おいロリ天使起きろ!これはどういうことだ?」

ロリ天使「むにゅ。ああ、それはお兄さんの天使の力の段階が一つ上がった証拠です」

ロリ天使「あと半分くらいでしょうか」

男「これだけやって半分なのか。あ、発光が止まった」

男「まぁもうちょっとであいつに会えるってことか」

男「あっ、そうそう」

男「なんというか、昨日のロリ天使を見てるとさ、もし僕に妹がいたらこんな感じなのかなって思ったんだ」

ロリ天使「そう、ですか」

男「それだけお前が僕の生活に馴染んできてるってことだよ。あと半分だけどこれからもよろしくな」

ロリ天使「はい。私もできる限りサポートします…」

男「?」

男「なんだ?元気ないな」

ロリ天使「いえ、大丈夫ですので気になさらないでください」

その日を境に僕は今まで以上に善行を積むことを意識しだした。

電車の中

男「あの、僕立つんで席の方にどうぞ」

老人「ありがとう、すみませんねぇ」

最初は顔見知りの人しか助けられなかったけどいつしか知らない人でも困ってる人がいると助けていた。

通行人「あの、ここいらにこのような店があると聞いたのですが」

男「ああ、それならここを真っ直ぐ進んで次の突き当たりで右に曲がったところにありますよ」

後継者争いのときみたいに派手な力は使えなかったけど、それでも充実した日々だった。
最初は目標のためだったけど、今や自然と体が動いていた。
多分他の天使との契約者もきっと同じ気持ちなのだろう。

目標達成後も犯罪を起こせば地獄行きの印が復活するとは聞いたが、きっと目標達成後は犯罪なんて起こす気がなくなるくらい心が透き通るのだろう。
これも天使の力なのか?

男「天使ってすごいんだな」

ロリ天使「いきなり何の話でしょうか?」

男「いやごめん。こっちの話」

ロリ天使ともあれからたくさん出かけて回った。


ロリ天使「さっきの映画はすごく感動的でしたね。最後に結ばれた二人がキスするシーンなんか私ドキドキしちゃいましたよ!」

ロリ天使「お兄さんもドキドキしませんでしたか?」

男「ごめん後半ほとんど寝てた…」

ロリ天使「はぁ…あなたって人は…」

男「休日じゃなくて普通に大学の帰りだしな。眠い…」


男「あー、でもあれ、主演の女優さん。やっぱり今話題の人ってだけあってやっぱ綺麗な人だよな前半から演技もすごかったし」

ロリ天使「お兄さんは意外とあーいう大人っぽい女性も好きなんですか?」

男「『意外と』ってなんだよ…」

ロリ天使「お兄さんはずっと年下の方が好きだと思っていましたから」

男(今だに自分がロリコンの気があるなんてあまり認めたくないけどあいつのことを考えるとそうなのかもしれないよな…)

男「…そうかもな」





ロリ天使「ふ〜ん。では、お兄さんから見た私はどうですか?」

ロリ天使がニヤニヤしながらなかなかはっきりとは答えずらい質問をしてきた。

男「どういう意味だよその質問は」

ロリ天使「いちいち突っ込んできますね…単純に好きか嫌いかの質問ですよ!さぁ、どっちなんですか?あっ!それ以外は無しですよ?」

ここまで一緒にいて、一緒の食卓で食べて、一緒の寝床で寝て、一緒に遊んで…好きか嫌いかの二択で嫌いなわけがない。それはこいつも分かっているはずだ。

男(それをわざわざ僕の口から言わせるのか?)

悪趣味というかやはり悪魔っぽいというか。

男「そんなの…その、好きに決まってるだろ?」

やはり誰が相手だろうと、それがどういう意味だろうと面と向かってこんなことを言うのはやはり照れる。僕はその言葉を口にしたあと急いでロリ天使から目を逸らした。

ロリ天使「ふふ…そうですか。ありがとうございます」

ロリ天使(お兄さんがそう言ってくれるって分かってて、お兄さんに甘えてこんな質問をするなんて…)

ロリ天使(それでも予想通りの回答に喜びが隠しきれていない)






『私って嫌な子だなと』つくづく思った。






それからさらに二週間が経ったある日の夜のことだった。僕は自分の手を見て驚愕していた。

男「ロリ天使!すごいぞこれ!手が!手が!」

ロリ天使「とうとう金色に光ってますね。もうあと一、二回善行を積めば目標達成といったところでしょうか」

男「じゃあ、明日で全部終わりか」

ロリ天使「なんだかすごく楽しそうですね。お兄さん」

男「当たり前だろ?ここ一ヶ月と数日くらいずっと目標のために突っ走ってきたんだからさ!それがもう明日には手の届くところまできてるんだ」

ロリ天使「ほんと力をためるペースを落とすどころかどんどん上げちゃうんですから。欲望に忠実というか、なんといいますか」

男「ロリ天使」

ロリ天使「はい?」

男「僕はきっとお前と一緒だったからここまで来れたんだと思うんだ」

男「本当に、ありがとな」

僕は心からの感謝の思いを込めてロリ天使の頭をわしゃわしゃと撫でた。

ロリ天使「……」

しかし彼女は何一つ反応もなくうつむいたまんまだった。

男「ロリ天使?」

彼女は僕の声に反応し、やっと頭を上げたかと思ったら信じられないことを口にした。

ロリ天使「お兄さん?実は今…セーフティを解いてるんです」

とりあえずここまでにしておきます。

男「…は?」

セーフティの解除。それがどういうことなのか、一瞬理解できなかったがその意味を分かりきる前にロリ天使から手を離した。

さっきまで今にも願いを叶えんとする黄金に輝く手はここ二週間で見慣れた黄色の光に変わった。

男「お、おいこれ…どういうことだよ…って、うむぅっ」

状況の説明を求めるために自分の手からロリ天使に視線を移したときにはもう彼女の顔が今までにないくらい近くにあり、そのまま僕の唇は強引に彼女の唇によって防がれた。

男「んっ、んんっ!」

横目で手に目をやると黄色の光がどんどん薄くなっていくのが分かった。

男(何が起こってる!?一体何が…)

全力でロリ天使を突き放した。
押し出されたロリ天使の身体は、背中からベッドに放り出される。

男「これは、どういう…ことだよ…なんで、なんでこんなことしたんだ!!」

僕は困惑の中でこみ上げて爆発した怒りにまかせてロリ天使を怒鳴りつけていた。

ロリ天使「……」

ベッドでこちらを虚ろな目で見つめて横たわるロリ天使はただただ無言ですすり泣き声を出すこともなく、涙を流していた。

分からない、なんで彼女がいきなりこんなことをしたのか。
分からない、なぜ彼女が泣いているのか。
分からない、泣きたいのは今までの努力の一部を踏みにじられたこっちだっていうのに。
分からない、そもそも僕はこの契約によって本当に地獄に行けたのか。
それすらも分からなくなってきた。
分からない分からない分からない分からない。

男「ッ!!」

そんなごちゃごちゃになった思考回路の中にある一つの狂った結論を出した僕は台所へ走っていた。

ロリ天使「お兄さん!」

僕は台所の包丁を取り出すとそれを自分の喉の方に向けた。

そうだ、最初からこうすればよかったんだ。
なぜ今までこうしなかった?
あいつが悲しむ?
なぜそんなはずがある?
再会できるのに?
契約なんていらない。
僕は死ねば地獄に行ける。
それは変わらない。
きっと。きっと。きっとそうだ。

そうだったんだ。

ロリ天使「お兄さん!」

男「んだよ…なんだよぉ!」

ロリ天使「本当は怖かったんじゃないですか?私に出会うまでは、そんなことをしたって本当に地獄に行けるのか不安だったんじゃないですか?」

めちゃくちゃでもなんでもいいからとにかく自分を落ち着かせたいがために生み出した狂った結論。
なぜ自分がこの結論に今まで手を出さなかったのかをロリ天使に一瞬で見抜かれた。

それどころか


ロリ天使「いえ、私に出会ってからもそう。例え地獄に行ったってお兄さんの求めてる方に会えるかどうか心配だったんじゃないですか?違いますか?」

これもまた、図星だった。
そもそも今考えてみればなぜ、僕は最初からあいつに直接会いたいことを目標にしていなかった。

地獄に行くことを目標にしたのはなぜか。

ロリ天使は最初に『可能な限りですが』と言った。
なんとなく、自分の中であいつに会うことはもう『不可能』な気がしていたのか?

男「だったら、だったらどうなんだよ!少ししか希望がなくたって、あいつに会う方法は僕が地獄に行くしかないんだ!それしかないんだ!」

まるで包丁に言ってるかのようにロリ天使の顔も見ずに怒鳴った。
怖かった。今の自分がどんな顔をしているか分からなかったし、どんな顔をしてロリ天使を見ればいいのかも分からなかったから。

ロリ天使「最初に言いました。あなたには幸せになる権利があります。あなたの幸せはあの子、ロリ悪魔ちゃんに会うことなんですか?」

分かってはいたけどやっぱりロリ天使は全部知ってたんだなとそこで確信した。

男「そうだ…僕はあいつに、ロリ悪魔に会うために…ここまでずっと…」

ロリ天使「あの子は今ここにはいません。それに何度も言いますが、あなたが地獄に行ったところで本当にあなたがあの子に会えるとは思えません。」

ロリ天使「あの子はもう女王なんです。地獄に堕ちた普通の人間がお目にかかれるほどの方ではないのですよ?」

男「何が言いたい」

ロリ天使「私とロリ悪魔ちゃんは天使と悪魔でありながらも友人同士でした。あの子は自分が王の娘である身分だったのにこんな私みたいな普通の下級天使と友達になってくれたんです」

ロリ天使「でも分かっていました。いつかはあの子が王の後継者となり、女王になることは」

ロリ天使「しかし王は後継者を争いの結果によって決めることを発表しました。争いが行われるというのにこのとき私は心底安心しました。天使失格です」

ロリ天使「嬉しかったんです。あの子がまだ手の届く場所にいてくれると、そう思ったんです」

ロリ天使「しかしお兄さん、あなたがあの子を女王にしてしまいました」

男「……」

ロリ天使「それはもう恨みましたよ。しかもあの子はあの争い以降私が彼女を訪ねてやっと話すことを許されたと思いきや口を開けばあなたのことばかり」

ロリ天使「だから私は天国でこの話が出たときに決めたんです。お兄さんを天国に連れて行ってお兄さんとロリ悪魔ちゃんを引き離そうって。まるで悪魔のような発想です」

男「そんな……」

ロリ天使「でもお兄さんは天国へ行く意思が感じられなかったので次は私のものにしちゃえば引き・がせるんじゃないかと考え始めました」

ロリ天使「ですが…」

ロリ天使「ですが、私はいつしかお兄さんのことが本当に好きになってしまってたんです」

男「!!」

ロリ天使「この気持ちに気がついたときはもうどうしたらいいか分かりませんでした」

ロリ天使「でも、それでも、愛しているんです!どうしようもないくらい!お兄さんを!」

男「ロリ天使…」

ロリ天使「あなたが地獄に行ってもあの子に会えるかは分かりませんが私はここにいます。今確かに、この場所にいます」

ロリ天使「私ならあなたを幸せにできる保証があります!願いを、目標を考え直してくれませんか!?」

ロリ天使「至らないところはこれから頑張ります!あの子みたいに手料理ができる子がいいならできるようになります!」

ロリ天使「毎日背中を流して差し上げます!そ、その…望むのでしたら夜伽の相手だって…だから、だから、うっ、うぅっ、うぇっ、」

そう叫ぶように僕に思いを伝えるロリ天使はもう半泣きだった。顔に精一杯の力を入れてやっとの思いでこらえている。そんな感じだった。

男「ごめんな…」

ロリ天使の言葉を遮るために彼女の頭の上に手を置いた。

ロリ天使「!」

男「もう、痛いほど伝わった…でもな、その思いには答えられない…僕は例え会うことが無理でも多分少しでもあいつの近くにいたいんだ。それでいいんだ。それに今気がつけた。ありがとうロリ天使」

男「目標を変えるつもりはないけどまたいくらか善行を積み直しになっちゃったからそれまでは一緒にいてやれる。それじゃあだめか?」

ロリ天使「…抱きしめてください」

男「はぁ…セーフティ、かけてくれるか?」

ロリ天使「はい…」

男「辛い思いさせて、ごめんな。本当にごめん」

ロリ天使への今まで抱いた感謝と謝罪と、あと、親愛を込めて彼女を抱きしめた。
こんなことしかできなかったがこれが僕にできる彼女への全力の行動だった。

ロリ天使「ふぇっ…ふぁぁ…」グスッ、グシュ

ロリ天使「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

ロリ天使は抱えきれなくなった溢れた思いの数と同じ量涙の流した。
確証はないがそんな気がした。

嬉しさの証は手の光で分かるけど、今はもうそんなものがなくとも僕はロリ天使の気持ちが分かるだろう。

そう思う程度には僕もまた彼女のことを慕っていたのかもしれない。

どれくらいの時間がたっただろう…
やっとロリ天使が落ち着いた頃だった。

男「まぁ何はともあれ、これからもよろしく頼… 「もう、その必要はありませんよ」

男「?何言って…え?」

突如僕の手は今までにないくらいの輝きで光だし、失ったはずの黄金の輝きを取り戻していた。

男「なんでまた…」

そしてその輝きは弾けると僕の背後に大きな禍々しい黒い門を作り出した。

男「こ、これってもしかして…でもなんで!?僕は確かに善行の一部を失ったはずだろ!?」

僕がまだその門の登場を疑問に思っているのをよそに門はひとりでに重い音をたてながら開きだす。

ロリ天使「ふふ、さっきの間に私の中の天使の力を直接お兄さんに分けちゃいました」

男「は?それって禁じ手のはずだろ!」

ロリ天使「ええ、きっと私は天界を追放されるでしょう。でもいいんです…もう思い残すこともありませんから!」

男「おい!ロリ天使!?」

ロリ天使「私にここまでさせたんですからしっかりロリ悪魔ちゃんと再会してくださいね!」

男「おい!ちょっと待て!」

ロリ天使に説明を要求するも何も答えてくれることもなくロリ天使は僕の胸をトン、と小さな手のひらでめいいっぱい押した。

男「うわあああああ!」

ロリ天使「さて、まだ先回りして地獄でやるべきことがありますね」

ロリ天使「勝手に嫉妬して勝手に好きになって最後には勝手に地獄に突き堕とすなんて…」

ロリ天使「私は本当に悪魔のようですね。まぁその悪魔にも天使にもなりきれない私なんて…」




ロリ天使「堕天使で十分です」

一目でこの世のものではないと分かる空間に落とされた。住んでいた場所、生きていた世界が遠ざかる。
これを望んでいたはずの僕の手はなぜか閉じていく門に手を伸ばしていた。
さっきまでは、未練の欠片もなかった癖に…

ギィィィ………

男「馬鹿野郎!おい!引き上げろ!門を開けろ!こんなの!こんなのって!」

彼女が口を動かして何を言っているのかは聞こえなかったが、最後にこちらを向いた笑顔は…


この一ヶ月間と数日で最も輝いていた天使のそれだった。

男「ロリ天使ー!!
バタンッ!!!

閉まる寸前の門の隙間に滑り込むように入ってきた羽根は、僕の知っている純白ではなく、薄暗い灰色をしていた。


………………

新大臣「あの、女王陛下。どうしてもあなたに会いたいとうるさい人間がおりまして」

「?」

新大臣「なんでも自分は特別待遇なんだなんぞと変なことをほざいてまして」

「!!」

「…通して」

新大臣「いや、しかしですね陛下はこれから会議が…」

「いいから通して!」

新大臣「は、はいぃぃ」

新大臣(今までは陛下といえど年齢のこともわきまえて控えめでしたのに今日は珍しく強情ですな)

新大臣「こっちだ」

男「ついにここまで来れた…元気だったか?」

男(どこかで見てるか?ロリ天使。僕はちゃんとここまで来れたよ)

男「ロリ悪魔!」

ロリ悪魔「おにーさぁぁぁん!」ダッ

ロリ悪魔は僕の懐に飛び込むと僕の服が破けるんじゃないかと思うくらい全身を食い込ませて抱きついてきた。

ロリ悪魔「待ってた…もっと長くなると思ってた…」

男「僕も、ずっと会いたかったよ」

ロリ悪魔「新大臣!」

新大臣「はっ!?」

ロリ悪魔「今からおにーさんと二人っきりでたっくさんお話するんだから出て行って!」

新大臣「えぇ…」

ロリ悪魔「出て行って!」

新大臣「か、かしこまりました」ガチャバタン

新大臣(まったく、急に困ったお方ですね)

ガチャガチャ

新大臣「鍵まで!?」

ロリ悪魔「これでよし…っと」

男「いいのかよそんなことして。それって権力濫用じゃないのか?」

ロリ悪魔「いいの!いいの!仕事は後でその分頑張ればいいだけなんだから!」

ロリ悪魔「それにね、さっき大好きな友達から手紙が来たの『身分に縛られて大事なものを我慢しないで』ってね」

男(ロリ天使……)

男「僕には幸せになる権利があったらしい」

ロリ悪魔「え?」

男「僕は今すごく幸せだ。幸せ者だ」

今度は僕からロリ悪魔を抱きしめた。誰かにもう二度とそれを手放してはいけない、手放すなと言われているような気分になったから。

ロリ悪魔「おにーさん?」

ロリ悪魔「あはは、おにーさん力強すぎ…ちょっと痛いよ」

男「ごめん」グスッ

ロリ悪魔「もしかして嬉しすぎて泣いてるの?」

それが何に対する涙だったのか、理解できないししたくなかったからとりあえずそこは肯定しておくことにした。

男「まぁ、な」

ロリ悪魔「幸せなら泣いちゃだめだよ!幸せが逃げていっちゃうでしょ?泣く必要はないよ」

ロリ悪魔「だって」


「「今、私はここにいておにいさんもここにいるんだから」」


男「!!」

男「…そうだな。そうだよな!」

ロリ悪魔「ねぇおにーさん!会えなかった分、今夜は沢山埋めてよね!」

男「あっ、あのなぁ、一国の女王様をそんな貸し切りみたいにしていいのか?他の悪魔から見れば僕なんかただの地獄に堕ちた人間だし」

ロリ悪魔「おにーさんは『特別待遇』なんだからいーの!」

男「でもそれってさっきの様子だと他の悪魔は知らないんだろう?」

ロリ悪魔「ん〜?」

ロリ悪魔「そんなのキセージジツ?さえ作ればみんなおにーさんを見る目が変わるよ!」

男「」

男(とんでもないことを言い出したなこいつ)

ロリ悪魔「それも特別待遇の特権ってわけ。私にならおにーさんは何やっても私が許してあげる!だからさ、ね?」






ロリ悪魔「おにーさん、悪いことしない?」





おわり

これにておしまいです。

前作から引き続き読んでくださった方、本当にありがとうございます。

(-ω-)

基本シリアス(?)な話は書くのが苦手な方なのでですが楽しんでいただけたのでしたら幸いです
ノリが180°違いますが息抜き程度にサクッと読めると思うので良かったらこのシリーズもどうぞ(宣伝)


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