カズマ「とある一日の」めぐみん「エクスプロージョン!」 (51)

めぐみん短編
かなり軽めなお話
色々おかしいのは何時もの事
脳内補完お願いします


一応前作めぐみん「カズマは私達どっちを選ぶんですか」カズマ「魔王を倒した後にも祝福を!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1460586875/)の続きだけど読まなくても問題ないです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1461288074



ズドンっと大きな音が鳴り響いた

その直後にツンとした煙の匂いと共に熱風が俺の髪を揺らしている

「80点だな」

俺がドヤ顔でそう言っていると隣のめぐみんがワナワナと手を宙にあげ口をポカンと開けている

「な、な、な、な、な!何でカズマが爆裂魔法を覚えているのですか!」

「……ふ。我が名はカズマ!爆裂魔法を操りし者であり魔王を討伐せし者なり!」

「おかしいのです!おかしいのですよ!」

それは、昼下がりの陽気な午後、アイリスの一件が終わってからの事だ

今日も今日とて一日一爆裂

……というか、あの一件以来めぐみんは毎日俺を爆裂に付き合わせている

その前まではゆんゆんと行っていたはずなのだが……

アイリスとの一件以来すっかり俺を連れ回してくる

今回は寝ている俺を叩き起こしてくれやがったのでちょっと復讐代わりにと……めぐみんが大事に部屋に置いているバックからマナタイトを一つ掻っ攫っておいたのだ

そして、めぐみんが大岩を狙う前にこっそりと持ってきたマナタイトを使い俺は爆裂魔法を使ってその目標を打ち砕いたのだ

最高級のマナタイトのお陰でスキルレベル1の俺の爆裂魔法でもめぐみんのソレと変わらなぬ威力を誇ったのだ

「カズマは中級魔法だけでなく我が爆裂魔法まで使ってしまうと言うのですか!それは私の役目なのです!取っちゃだめなのですよ!そもそも一度は拒否していたじゃないですか!」

ユサユサと俺を涙目で力いっぱい揺さぶるめぐみん

うむ、この顔が見たかったのだ

この前の仕返し的な意味でもな?


「まぁ落ち着け。ちょっとした悪戯心だ」

「ちょっとで我が人生を捧げた爆裂魔法を使うなんてとんでもないですよ!私の存在価値を取らないでください!」

「さらに言うと俺はそのうちウィズやゆんゆんから上級魔法を教わるぞ。初級から上級、さらには最上級の爆裂魔法までのハイスペックカズマさんの誕生だ」

「んなぁ!?」

あまりに面白い反応を返してくるので追い打ちをかけてしまいたくなった

何せ魔王倒したお陰でレベルが一気に上がったのでスキルポイントが異常に残ってしまっている

……というか、爆裂魔法でダンジョンごと吹き飛ばしたせいでダンジョンに生息していたモンスターまで纏めて討伐した事になったらしくちょっと洒落にならない勢いでレベルが上がった

……具体的に言うと80の後半までレベルは上がっていた。正直自分の目を疑ってしまったが事実である

ダクネスやめぐみん、アクアの倍以上だ

まぁこの事はまだ誰にも言ってないけど

アクア辺りに知られるとチーターカズマさんとか騒がれるに違いない

当然ステータスも伸びているので本当は爆裂魔法もレベル1の状態ならマナタイト無しでもギリギリ撃てるぐらいにはなっている……と思う。多分

試してないので自信はないが流石にめぐみんの倍以上のレベルなのに撃てないなんてなったら泣くぞ

……大丈夫だよね?

謎の心配をしている間もめぐみんは黙り込んでいて不思議になりその顔を見る……と……

「……修行です」

涙目のめぐみんが何か不穏な一言をポツリと呟きやがりました

「……はい?」

「修行なのです!このままではカズマにイイ様に使われ最後にはポイっと屋敷から放り出されてしまいます!やっぱりあそこで修行しておくべきだったのです!」

「ちょっと待て!人聞きの悪い!俺が何時そんな事しようとした!というかお前が何かやろうとするとロクでも無いことになる気がするからやめてくれ!つうかあそこって何処だよ!?」

「私は暫くゆんゆんの宿に下宿しますので!あ!でも私がいないからってダクネスと夜な夜な変な事をしたりしたら屋敷に爆裂魔法を叩き込みますからね!」

「やめろ!それだけはマジでやめろ!?お前の爆裂魔法の範囲もうとっくに俺達の屋敷より広くなってるんだからな!」


そんな爆弾を叩き込まれたらまた貧乏生活に戻ってしまうのが目に見えている

何せこの世界だぞ!

どうにかしてこの暴走爆裂ロリっ子娘を止めなければまた何かロクでもない事が起きるに決まっている

「おい、今何を考えているか教えてもらおうか。まだ私の爆裂魔法は残っている……これがどういう意味かわかるな?」

お前はどこの帝王だ!

いかん。このままでは本当に爆裂される!

俺は必死に頭を巡らせそして……

「……めぐみん可愛いよめぐみん!」

「そうですか!ありがとうございます!それではご期待に答えましょうか!」

「ちょ!まじでヤバイから!ドレインタッチ!」

「甘いですよ、そう何度も同じ手はああああああああああああ」

ニヤリと笑っためぐみんの顔が一瞬で歪み大声を上げる

俺は口でドレインタッチと唱えたが実際にはフリーズの魔法を発生させてめぐみんに軽く冷気を与えたのだ

ドレインタッチだと思い距離を取っただけで無防備だっためぐみんはあっという間に凍えて……ちょ!?何か威力上がってる!めぐみんが凍る!?

「カズマ!カズマ!ごめんなさい!冷たいです!死んでしまいます!」

「わ、悪い!ティンダー!」

慌ててティンダーを発動させめぐみんを熱で温めようとするが

「あああー!ローブがぁああああ!」

「うわわわわ。なんだこれ!ナンダコレ!」

普段と同じように出したはずのティンダーが今までの10倍以上の炎の塊として出てきてしまいめぐみんのローブを軽く焦がしてしまった

急にどうしてしまったんだ俺は


今まで通りに魔力を込めて発動したのにも関わらず威力がおかしい事になってしまっている

まさかレベルか!レベルが上がって魔力も上がってそれでこんな事になったのか!

ついに異世界に来て初めての俺TUEEE展開が出来るようになったのか!?

これから何だかんだ覚醒イベントが起きて魔力制御が出来るようになっていくのだろうか

そして後々は魔王戦でやった「ふ、今のはエクスプロージョンではない。ティンダーだ」が出来るようになるってことかぁあああ!?

何それいいじゃん、カッコイイじゃん。これだよこれ!

ついに俺も異世界転生チート持ちか!

いやぁ……魔王討伐してから冒険なんて行ってないし使ったスキルもめぐみんへのドレインタッチぐらいだったから全然気がつかなかったぜ!

なんて事を考えていると身体を冷気で震わせながらめぐみんが俺に近づいてくる

「カ……カズマ……ちょっとカードを見せてください!」

「あ、ちょ!服に手を突っ込むな変態!そういうのはダクネスの得意技だろ!」

「ええい!暴れないでください!……な!何ですかこのレベル!!ステータスは……あれ?私より低いですね」

「……おい、ステータスについて詳しく」

倍以上のレベルなのにめぐみんより低い……だと?

もうやだ。これからはまさかの俺TUEEで楽になる展開が来ると思ったのに

さっきまでの盛り上がりはなんだったのか一瞬で現実に戻された

そうだよ。ちーっともうまくいかないんだよ。こんなもんですよね。知ってたよ畜生!

はぁぁ……

「でも一体どうしたんですかこのレベルは……いくら魔王を倒したからといってもこれは……」

「いや、まぁ……何と言いますか」

……早速バレちゃったよ

しょうがないから1から顛末を教えることにした

本当はこれは喋りたくないのだ

魔王倒すためにダンジョンごとエクスプロージョンで吹き飛ばして相討ちにしたなんて

それを知ったらめぐみんやダクネスは絶対怒る

それこそ屋敷を追い出されるんじゃないだろうか


「……カズマ」

……なんて思ってたら何かめぐみんに抱きつかれました

……え?何で?

「ごめんなさい……また一人で辛い思いをさせてしまって。私達は何時も最後にカズマを頼ってしまいます。だからカズマが……」

めぐみんが背中に腕を回し、顔を俺の胸に埋めながらそんな事を言ってくる

……いかん、予想外だった

まさかこんな甘い展開になるとは

……ど、どうする

どうしよう!?

これってめぐみんの頭を撫でるべきなのか?

いやでも前ダクネスの頭撫でたらセットが崩れるとか怒られたし

女の子は頭撫でられるのが好きだと思っていたが違うらしいし……

ここは抱き返すのがベストなのか?

いやでもそれも俺が思っているだけで本当はよろしくないのでは?

……どうすればいいんだああああ

「クスクス……カズマ、腕の動きが怪しいのですよ」

顔を埋めていためぐみんが笑いながら俺を見上げてくる

「……どうすればいいのかわかんないんだよ」

「本当、肝心な所でヘタレですよね」

ニヤニヤと俺に言うめぐみんに俺は反論するために顔をめぐみんの方に向ける

「お前らにやっていい境界線がわからないからだよ。、肝心なところでヘタレるの……は……」

……そう、反論していたのだ

していたのだが……途中でめぐみんが俺を引っ張った

そして俺の頭の位置が少し下に降りた

そして、めぐみんが

「……こんな時はこうすればいいのですよ」

俺の唇に軽く自分のそれを重ねてきた


「……ちゃんと帰ってきてくれてありがとう。カズマ」

「……あ、ああ」

そしてパッと離れためぐみんが笑顔で俺にそんな事を言い出すのだ

……ずるいよなぁ……女って

一瞬でこっちの心臓ドキドキさせてくるんだもん

正直今の不意打ちはかなり来た

何が来たってそりゃあれだよ

もう限界なんだよ色々とさ!?

こんなチュッチュされてさぁー

毎晩ダクネスとかも誘ってくるしさー

そりゃサキュバスのお姉さんのお世話になる回数も増えるってもんだよ

よし!もういいよな!いいよね!ルート決めちゃうよ!

そんな俺の決意を他所にとうのめぐみんは杖を高く上げ爆裂魔法を打とうとして……詠唱を始めようとしている

……おい

「エクスプローーージョン!」

俺が吹き飛ばした岩のさらに奥のもう一回り大きいやつを狙ったのだろう

めぐみんが放った爆裂魔法はその岩を木っ端微塵に吹き飛ばした

流石本職、マナタイトでドーピングされた俺の爆裂魔法より遠距離に、そして威力も高めだ

点数をつけるとしたら95点だな

過去2回のあれよりは及ばない

……別に不貞腐れて辛口な訳じゃないからな?

ドサリと地面に倒れためぐみんは俺を見上げて

「……ふっ。これで真の爆裂魔法の使い手がどちらかはハッキリしましたね」

ドヤ顔と共にそんな事を言った

……俺は強化されたクリエイトウォーターでめぐみんをビショビショにするのだった

何度も言うが別に不貞腐れたわけじゃない

……違うからね?


びしょ濡れになっためぐみんを担いで屋敷に帰り扉を開ける

「……何やってんだダクネス」

……屋敷に入った俺を出迎えたのは鎧を着込んで剣を構えるダクネスだった

俺は何もしてないぞ……少なくとも斬られるような事はなにもしていない

「ああ、お帰りカズマ。いや、少し貴族の連中がしつこくてな……さっきもそこまで押しかけてきてたので警戒してたのだ」

「お前も大変だな……勲章貰ってから更に増えたんだろ?」

「そうなのだ!何なのだワラワラワラワラと!ゴキブリじゃあるまいし!そのうち片っ端らから叩き切ってやろうか」

うちのクルセイダーはどうやら相当頭にきているようです

言葉使いが悪いのはきっと鎧のせいだよね?

……うん、元からだった気もする

そのうちこいつの鎧はどっかに隠そう

これを着ているとさっき叫んでいたことを本当にやりかねない

大切にしてくれるのは悪い気分じゃないがもうそんなに戦う事もないのだ

だったら物騒なモノを着る必要もないだろう

「ところで、めぐみんは一体どうしたんだ。びしょ濡れじゃないか」

「鬼畜なカズマに全身を濡らされたのですよ……でもその後人肌で温めて貰いました」

「何!全身を濡らしただと!?一体どんなプレイだ!というかひ、人肌だと!?か、カカカカズマ!めぐみんに何をした!」

「落ち着け変態クルセイダー。俺は何もしてない、つうかめぐみんも変な表現するなよ……ただおんぶしただけだろうが」

「こうして水で服をぴっちりとさせた後おんぶする事によってカズマは私の全身をしっかりと確認していたのです。きっとこの後食べられてしまうのです」

変な言いがかりはよして貰おうかぁ!?じゃないとそこのダクネスさんがすっごい目で俺を睨んでいるからさ!

あ、待って!待ってダクネス!その手を下ろして!俺は無実だから下ろして!

やめて!アイアンクロー痛いの!本当に痛いの!

どこかの女神の真似をしながら駄々をこねる

「遅いわよーカズマーお腹空いたんですけどーご飯作ってよー」

ひょこっと奥から出てきたアクアに自分で作れと言い返したいがここは助け舟だ


「おう。ちょっと待ってろ……いや、そうだな。折角だし今日は外で食べないか?めぐみんが風呂入ってからさ」

「えー外ー?その……私はカズマさんのご飯がいいんだけど」

チラチラっとこっちを上目遣いにみてくるアクア

こいつの場合は外に出るのが面倒なだけだろう

「……その台詞。可愛い女の子ならドキっとするんだけどなぁ……」

「ちょっと!私女の子!女神なのよ!美しい女の子なのよ!」

ギャアギャアと涙目で叫んでくるアクアを余所にめぐみんはノソノソと屋敷に入る

きっと風呂に入るのだ

……俺も入るか?

別に裸の付き合いが初めてって訳じゃないし

そう、これは仕方ないのだ

めぐみん背負って俺も濡れてる

そう!これは不可抗力!ああ!仕方ないとも!だって冷たいし!?見たいし!?

ああ!仕方ないなぁ!

「カズマさん、流石にその顔はちょっと弁解できないから控えたほうがいいと思うの」

「カズマ!お前ってやつは!こら!服を脱ごうとするんじゃない!」

「ええい離せダクネス!俺も濡れているんだ!風邪を引く前に風呂に入らなければならんのだ!」

一瞬で俺の考えを察したらしいアクアとダクネスからの非難の声を受ける

しかし、しかしだなぁ!止まらん!止まらんぞ!

奥に引っ込むめぐみんが振り返り俺に微笑む

「カズマにその気があるなら、私はいいのですよ?」

……その微笑みは普段のそれとは全く違うものであり

何と言いますか……年上のお姉さんがクスリと笑ってるような、背筋がゾクリとするような微笑みでした

普段の子供らしい笑顔と対照的すぎて俺は一瞬固まってしまう

「駄目だぞめぐみん!この獣を挑発するんじゃない!」

「何かカズマが見惚れててむかつくから抑えるわ!今のうちに行って!めぐみん!早く行って!押さえとくから!」

その一瞬を逃してくれないようでダクネスとアクアに取り押さえられてしまう

だが……舐めるなよ!

毎度毎度おいしいイベントを逃してたまるか!

さっきあいつは俺にヘタレだとも言っていた

だからさっきの発言をしたのかもしれない

……やってやる!俺が毎回毎回ヘタれると思うなよ?むしろ理由があれば俺は何でもやれる男だ

俺は行くのだ!

「うおおおおおお!離せえええ」

全力で俺はダクネスとアクアに抵抗を始めるのだった


「いい湯でした。やはりカズマは肝心なところでヘタレたようですが……あの、何ですか。これ」

目の前に広がる阿鼻叫喚な部屋に思わず呟いてしまう

その呟きに気がついたのかアクアがこっちを振り向いてくる

「はぁ……はぁ……!め、めぐみん!ハハハハハ!見なさいカズマ!あんたの負けよ!めぐみんはこうしてお風呂から上がってきたわ!さぁ謝って!ダクネスと私に酷い事してごめんなさいって謝って!」

「この駄目神!お前ってやつは何時も良い所で邪魔しやがって!くらえ!バインド!」

「そんなへなちょこ魔法効ダクネスにしか効かないわよ!ちょっとダクネス!起きて!早く起きて!ブレイクスペル!」

「か、身体が痺れて動けないんだが」

「一体何があったんですかこれは」

部屋の隅でバインドに捕まって転がっているダクネスに近づき聞いてみる

「め、めぐみん!早くカズマを止めてくれ!今回はかなり本気で怒ってるようなんだ!」

「怒ってるカズマに突っかかるのは自殺行為なので嫌なのですが……」

本当に嫌だ

何せカズマは怒ると本当に容赦がないのだ

まぁ心の底から怒るのが私やダクネスやアクア

そういった仲間を思っての事が多いからちょっと嬉しいのですが

……しかし

「クリエイトアース!」

「甘いわカズマ!そんな見え見えの目潰し……あぁ!?ちょっと!ゴーレム作るのは反則じゃない!部屋が汚れるんですけど!掃除して!掃除してよね!……ちょ!?カズマさん!カズマさんってばぁ!」

流石に爆弾を投下した私にも責任があるだろうし……

でも実際カズマがあのまま付いてきても私的には良かったのですが


「しょうがないですねぇ……」

彼がよく呟く言葉を真似る

そう、私は……いや、私達はこの言葉に今まで何度も助けられてきたのだ

「ふふふふふふ!捕まえたぞこの不法侵入女神が!」

「んなぁ!ふ、不法侵入なんてしてないわよ!してないわよ!?」

「何言ってやがる!俺がチート特典で選んだのはエリス様であってお前じゃねえ!」

「うわああああああ。カズマが言ったらいけない事言ったぁあああ。私の事迎えに来てくれるって言ったのにいいいい」

「やかましい!今からお前をあの場所に連れて行ってエリス様と交換してきてやる!」

「やだやだやだ!ごめんなさいカズマ!調子に乗ったのは謝るからぁ!」


「そのぐらいにするのですよ。カズマ」

「いいや、駄目だめぐみん!こいつには一度きついお灸を据えなければいけないんだ!」

「カズマとはまた今度二人っきりでお風呂に入りますから。ね?」

「「「……え?」」」

3箇所から同時に同じ言葉が出た

「そのうち一度紅魔の里に行きたいので、その時にでもゆっくりしましょう。勿論二人でです」

固まる3人がワアワアと騒ぎ立てるが気にしない

こうやって皆でワイワイするのは大好きだ

ちょっとの事で小言を言い合い騒ぎ合う

こんなかけがえのない時間が大好きだ

だけど

……やっぱり好きな人と二人になる時間だって欲しいと思っても仕方ないのですよ


……何て思ってたんですが


「そこで俺が機転を利かせて魔王の幹部の後ろを取ったってわけよ!」

「おおおおおお!」

騒ぎ立てるお店の中心にいるカズマを見て少しため息を吐いてしまう


勲章を貰ってからのカズマはハッキリ言ってモテていた

正式に魔王を討伐した人物として認められ、このアクセルの住人からは勿論、遠方からわざわざカズマを見に来る人物もいる

今回もそれに近い

私達の希望で一般人が限りなく少ないギルドでの食事なのにこれだ

今だってカズマの周りには女の子が……随分と近くないですか?あれ

ちょっと、カズマも何を鼻を伸ばしているのですか。撃ちますよ?

……後で問い詰めなければ

「シュワシュワ追加です!」

「こらめぐみん、あまりやけになるな」

「あのニヤけ顔を見ると何だかムカついてくるのですよ」

「だ、だからと言って私の髪を掴むのはやめるんだ……」

「むー……カズマってば私達と食事に来たのに他の人と楽しそうにしてる」

アクアがぐぬぬといった感じで言っている

不満と少しの寂しさを顔に浮かべている

……最近何となく彼女の言動が変わってきている

きっと無意識なんでしょうが

多分ダクネスも気が付いていないでしょう

当然カズマもです

というかカズマに至っては言うまでもないですね。自分で鈍感じゃないとか言ってますがまだまだです

……本人に教えて余計な勢力を増やす気はありませんが


「よし!私ちょっと文句言ってくるわ!」

「おいアクア!」

「アクアは仕方ないですよ」

「……めぐみんは随分と落ち着いているな?」

「今日はちょっとだけいい事がありましたから」

「う」

言葉に詰まるダクネス

……きっと色々な考えを巡らせているのだと思う

ダクネスは自分の立場や私達の関係をきっと気にしているから

だから最後の一歩が出ない

押し止めようとしているのがわかる

「……前にも言いましたが」

「?」

「私はカズマが誰を選んでも文句は言いませんよ」

「め、めぐみん?」

「むしろ私達の誰かなら嬉しいとさえ思います。勿論譲る気もありませんが、それでもよくわからない人に取られるぐらいならば……と思うぐらいにはそう思ってます」

「……」

ダクネスは無言になる

私の言葉の意味を掴もうとしているのかもしれない

しょうがないのでこの親友にもう少し後押しをする事にする

「……カズマには内緒ですが私は最悪それが一人に向かなくてもいいと思っていますよ」

そう言ってから目の前に置かれたシュワシュワをダクネスに向けて軽く持ち上げる

「その発言は相当にマズイな……とてもカズマには聞かせられない」

ダクネスもまた自分のグラスを軽く持ち上げる

「そこで私が女神の力を使い!魔王を弱体化させたって訳よ!」

「「「へー凄いですね」」」

「何で誰も信じてくれないのよ!?」

騒々しい騒ぎを後ろにカツンっとグラスが小気味良く鳴るのだった

そしてダクネスは笑う

きっと私も笑っていると思う


「よーし!パパ。ハーレム作っちゃうぞー!」


そんな、馬鹿な発言を聞くまでは



「カズマさん!カズマさん!本当に何考えてるのよ!馬鹿なの?一夫多妻とか私認めてないわよ?」

「そうだぞカズマ!お前ってやつは少し魔王を討伐したぐらいで」

「全くです!少し考えられないのですよ!私の気持ちを返してください!好きですけど!」

「ああああうるせええ!悪かったってば!ちょっと口走っただけだろ!?というかめぐみん何て!?」

ギャアギャアと騒ぎながら帰路に付く

私含めて先ほどのカズマの発言に対して文句ぶうぶうである

私も別に一人じゃなくても言いといったけどハーレムなんて許容した覚えはないのです

「もうあんなバカな事言わない?」

アクアが念を押すかのようにカズマに問いかける

そのカズマは俯いていた顔を持ち上げると……


「テレポート!」


「「「あっ!」」」


何処かにテレポートしていったのである


「……めぐみん!ダクネス!屋敷を徹底的に占拠するわよ!」

「いや、しかしそれだとまた……」

「覚えてなさいあのクソニート!ほら行くわよ!二人共!」

「ちょっ!だから髪の毛を引っ張るのは!」


ダクネスもアクアも多分見れてなかったと思う

だけど背の小さい私は見れた

俯いていたカズマの顔が困ったような、それでいて悪いと思って反省している顔が

流石にずっとパーティを組んでいたので何となくわかる


「仕方ないですねぇ」

もう一度、その言葉を呟く

「めぐみーん!早く!早くー!」

「わかっていますー!」

前方で怒っているはずなのに楽しそうに笑っているアクアに向かって走り出す

……本当に仕方ないですね

どうにかしてアクアの怒りを鎮めておきましょう

それも出来た嫁の勤めというやつでしょう

……それでもハーレム発言したカズマにはお灸を据えなければいけませんがね

一人じゃなくても良いとは言いましたがそれは私達の話に限定されてますから

その代償として今夜はゆっくりとカズマと話させて貰おう

ベッドに潜んで……彼の慌てる顔を見ながら楽しもうと思ってます


……その後帰ってきたカズマによって泣かせられるアクアと喧嘩のとばっちりを受けるダクネス

さらに夜カズマの部屋に忍び込んだ先にダクネスが居て言い合いになったのは、言うまでもない

「ほんっとダクネスのアイアンクローは洒落にならんって」

「……頭撫でましょうか?」

「……あれ?めぐみん帰ったんじゃなかったのか」

「そんな訳ないじゃないですか夜這いですよ?」

「お、おう……いや、しかしこのパターンは……」

直後バァンと扉が吹き飛びさっき出て行ったばかりのダクネスが入ってくる

「やっぱり!?というか俺の部屋の扉なんですけど!?ちょっと!?」

「めぐみん!早く部屋に帰るぞ!」

「……仕方ないですねぇ。残念ですけど今夜はここまでですね。お休みなさい。カズマ」

「あ……おい!扉ぁ!ダクネスが直せよ!?折角の相瀬まで邪魔してさぁ!?どうしてくれんのこれぇ!」

凄く残念そうな顔をしたと思えば扉を吹き飛ばされた事に怒るカズマ

その百面相っぷりに思わず笑ってしまう

「何よー、夜中にさっきから叫んでー……皆して何?何か秘密の相談でもしてたの?あれ?私何でのけ者なの!?ねぇなんで!?」

そしてワイワイとしていたらアクアが乱入してきて更にややこしくなる

こうなってくると何時ものようにカズマが大声をあげるのだ

この何時も通りっぷりを見ていると、やっぱりもう少しだけは……今はこのままでも良いのかもしれないと


-----そう思ってしまうのでした







End

お疲れ様でした
メモ帳吹き飛んでかなり短くなっためぐみん短編終了となります
後はアクアとダクネス短編書いたら長編書くかもです。需要あればですけど

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