カズマ「予防接種だと!?」 (27)

かなみ「うん。水守さんたちが、インフルエンザに対してのワクチンを取引できたからって」

カズマ「ハッ、いらねえよ。知ってるか、かなみ?馬鹿は風邪をひかねえんだぜ」

かなみ「そんなこといって、前のことを忘れたの?」

カズマ「前のこと?」



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回想

カズマ「予防接種だと?」

かなみ「うん。そろそろインフルエンザがはやるかもしれないからって、君島さんの知り合いのお医者(CV.島田)さんが打ってくれるんだって」

カズマ「今まで無かっただろ、そんなこと」

かなみ「今まではあまり手に入らなかったけど、市街の人がやっと取引してくれたって」

カズマ「ふーん...ま、俺には関係ないね。金も勿体ねえから、俺はパスな」

かなみ「えー?病気になってもしらないよ」

カズマ「上等!馬鹿は風邪なんざひかねえっての!」


三日後

君島「それで?そんな啖呵きったカズマ先生は、俺とあの人(CV.島田)がようやくゲットしたワクチンを打たずに、挙句の果てには見事にインフルで苦しんでるってのか?」

カズマ「...苦しんでなんかねえよ」ゲホッ ゲホッ

君島「ほぉ~?一日中咳は止まらず、42度の高熱になり、飯もロクに喰えない。しまいにゃ上からも下からも色んなもの垂れ流して、ほとんどトイレに籠りっぱなしの状況を苦しんでる以外のなんて言えばいいんでしょうかねえ?」

カズマ「...スンマセン」

君島「謝んのかよ!謝るくらいなら最初から打っとけよ!」

カズマ「俺には金がねえ!」

君島「それはお前の金銭管理の悪さのせいだろ!それに、あのワクチンは赤字覚悟で提供してたっつーの!」

カズマ「打つ分を生活費にまわした方がいいに決まってるだろ!?」

君島「いつもは恵まれない子供に分け与えてるってのに...ん?お前が頑なにワクチンを打つのを拒んでる理由ってまさか」「ゲホッ!ゲホホッ!!」

カズマ「...なんか言ったか、君島?」ゲホッ

君島「はぁ~...わかったわかった。これから一週間はジッと自宅待機して窓でも見つめながら、君がどれだけイタ~イ人間かを噛みしめていなさい」

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カズマ「あったか?そんなこと」

かなみ「あったよ。忘れちゃったの?」

カズマ「忘れちまったなぁ。ま、そんだけ大したことじゃなかったって話だな」

かなみ「ふ~ん...」ジトー

カズマ「な、なんだよ。その目は」

かなみ「...怖いんだ」

カズマ「なにが?」

かなみ「お注射」

カズマ「...いやいや、そんなことはねえよ。あんなもん、針がチクッと刺さるだけじゃねえか」

かなみ「じゃあ、打ちに行くよね?」

カズマ「ノゥ!」

かなみ「イエスと言って!」

カズマ「絶対にノゥ!」

カズマ「...かなみ、わかってんのか?俺は反逆者(トリーズナー)だぜ?NOとしか言わない男さ!その病気という壁に反逆して...」

かなみ「じゃあ、打たない代わりにこれから一か月はずっと牧場の手伝いね。喧嘩もアルターも禁止だよ」

カズマ「うっ...それは勘弁してくれ」

かなみ「明日に予約いれておくから、それでいい?」

カズマ「...イエス」


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翌日

カズマ「ふぁぁ...よく寝たぜ」

カズマ「さて、かなみの奴は...」コソコソ

かなみ「くー...くー...」

カズマ「...寝てやがるな」

カズマ「ま、かなみが起きるまでその辺りを散歩でもするか」

カズマ「..逃げるわけじゃねえからな」ガチャリ

クーガー「グッモーニン、カズヤッ!いい夢は見れたか!?」

カズマ「」

クーガー「どうした?鳩が豆鉄砲くらったような顔して」

カズマ「...なんであんたがいるんだよ」

クーガー「ちょっと野暮用でな」

カズマ「まあいいさ。俺はこれから散歩に行くんだ。ついてくんじゃねえ」

クーガー「まだ午前3時だぞ?」

カズマ「...細けえことはいいんだよ。そこをどきな、クーガー」

クーガー「断る...と言ったら?」

カズマ「突き崩す!たとえあんたが相手だとしても!」バァン

クーガー「そうかい!ラディカルグッドスピード脚部限定!」バァン

カズマ「へっ!そういや、あんたとガチでやり合うのは久しぶりだな!」

クーガー「腕は鈍っちゃいねえだろうな、カズヤ!」

カズマ「カズマだ!まあいいや、こんな機会は滅多にないんだ。存分に楽しませてもらうぜ!」


「「衝撃の...ファーストブリットォォォォォ!!!」」




かなみ「おはようございます」

クーガー「よう、おはようお嬢ちゃん」

かなみ「カズくんは?」

クーガー「ごらんの通りだ」

カズマ「」チーン

かなみ「はぁ...やっぱりカズくん、逃げ出そうとしてたんだね」

クーガー「ハハッ。まあ仕方ないさ。治安が悪かったころのロストグラウンドじゃあ、注射といえば麻薬と相場は決まってたからな。かくいう俺も慣れるのにはだいぶかかった」

かなみ「そうなんですか?」

クーガー「ああ。必死の思いで買った薬が実は麻薬だったなんてことはザラだった。だから、注射と聞くとつい警戒しちまうんだ」

かなみ「......」

クーガー「けど、今回とそれとは全くの別問題だ。そろそろこいつも昔の癖を克服する必要がある。そういうわけで、こいつは遠慮なく連れて行ってくれ」

かなみ「わかりました。あっ、そういえば報酬を払うのを忘れていました。ハイ、クーガーさん」

クーガー「ありがとよ。こいつはありがたく使わせて貰うとしよう。待っててくださいね、みのりさぁ~ん!」スタタタ

かなみ「カズくん、準備できた?」

カズマ「へーい...」

かなみ「そんなにクーガーさんに負けたのが悔しいの?」

カズマ「そーね...それもあるかもしれないね...」

かなみ「そんなにお注射が嫌?」

カズマ「ち、ちげーよ!んなもん怖くなんか」

かなみ「じゃあ、早く行くよ」

カズマ「...へーい」

水守の病院

かなみ「けっこう混んでるね」

カズマ「おいおい、こんなにも待たなきゃいけねえのか?これじゃ日が暮れちまうぜ」

かなみ「予約してあるから大丈夫だよ」

カズマ「...そうですか」

「60番と61番の方、こちらにおかけください~」

カズマ「...はぁ」

ドンッ

カズマ「おっと、すまねえ」

「いえ、お構いなく...ッ!?」

カズマ「劉鳳!?」

劉鳳「カズマ!?」

かなみ「こんにちわ、劉鳳さん」

劉鳳「あ、ああ。こんにちわ、かなみ」

かなみ(劉鳳さんは59番。カズくんが60番で私が61番なので、その番号順に並んで座っています)

カズマ「......」

劉鳳「......」

カズマ(厄介な奴と遭っちまった)

劉鳳(せめてかなみだけならまだよかった。百歩、いや千歩譲ってクーガー達ならばマシだった。だが、なぜよりにもよってこの男と)

カズマ(こいつにだけは弱みを知られたくねえ)

劉鳳(なるべく平静を装わなければ)

カズマ劉鳳『いい歳こいて注射が苦手なんて絶対に知られたくねえ(ない)!!』

カズマ「......」ソワソワ

劉鳳「...どうした?なにやら落ち着きがないようだが」

カズマ「なんのことだよ」

劉鳳「先程から、何度も足を組み替えているじゃないか」

カズマ「これは...アレだ。椅子がワリーんだ」

劉鳳「さっき俺が座っていた時は異常がなかったが?」

カズマ「......」

劉鳳「......」ソワソワ ペラ

カズマ「珍しいじゃねえか。あんたがマンガなんてよ」

劉鳳「たまには読書をしろと、クーガーに薦められてな。馴染みやすいマンガ雑誌を押し付けられた」

カズマ「面白いか?」

劉鳳「...それなりにな。暇つぶしにはちょうどいい」

カズマ「逆さで読むのも暇つぶしか?」

劉鳳「なっ!?」クルッ

カズマ「嘘だ」

劉鳳「......」

カズマ「...あんた、ひょっとして注射が」

劉鳳「バカを言うな!俺が注射を恐れているだと!?そう言う全く落ち着きがない貴様こそ、注射を恐れてかなみに無理矢理つれてこられたのではないか!?」

カズマ「バッ、んなわけねーだろ!俺がこいつの付添いだ!てめえと一緒にすんな!」

かなみ「あ、あの、ここは病院だから...」

カズマ「本が逆さかどうかもわからねえほどビビってるのはてめえだろうが!」

劉鳳「貴様...言わせておけば!」

かなみ「ふたりとも、他の人に迷惑が...!」

劉鳳「そもそも、自分が恐れているから他の者も恐れているなどという考えが浮かぶんじゃないのか!?」

カズマ「どういう根拠だそりゃあ!?」

かなみ「......」スッ

劉鳳「やはりお前とは相容れん!」

カズマ「上等だ!病気で潰れる前に俺が潰して...」

スパパン

劉鳳「ぐっ!?」

カズマ「ってて...は、ハリセン?」

かなみ「ふたりとも...」

「「!!」」ザワッ



かなみ「少し、頭冷やそうか」

橘「えっ?劉鳳は注射が大の苦手?」

水守「ええ。だから大変だったのよ。ここまで連れてくるの」

橘「意外ですね。彼にそんな弱点があったなんて」

水守「正直、驚いたわ。まさかそんなところまで変わっていなかったなんて」

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回想 幼少期

劉鳳「うわあああああん!注射いやだよおおおお!」

看護師「あ、暴れないでください」

水守「大丈夫。私がついてるから」

劉鳳「でも、僕怖いよぉぉ!」

水守「ほら、こうすれば見えないから大丈夫」メカクシ

劉鳳「でも...でも...」

水守「終わったら、一緒にプリン食べましょ?」

劉鳳「!が、がんばるよ...!」

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水守「本当に懐かしいわね。あの時は可愛かったわ」

橘「...ぷっ。くくっ...あ、あの劉鳳が...」プルプル

水守「あら、噂をすれば次は劉鳳の番よ。それに、カズマさんとかなみちゃんも」

水守「劉鳳、さっきは騒いでたみたいだけど、なにかあったの?」

劉鳳「なんでもないぞ。なあ、カズマ」

カズマ「ああ。なんもなかったぜ」

水守「いや、でも...」

カズマ「いやほんとなんもねーから、早く済ませちまおうぜ。なあ、劉鳳」

劉鳳「そうだな。後ろも詰まっていることだしな」

橘(なんか今日の二人は気持ち悪いな...)

それから、二人は意外にもあっさりと注射を受けてくれました。

橘さんが劉鳳さんをからかって断罪されていましたが、それ以外は特に喧嘩をすることもなく、その日は至って普通に別れました。

注射を打ってもらったカズくんは、注射を克服できたらしく

カズマ「インフルでもなんでも来やがれ!」

と、息を巻いていましたが、かかった時に看病するのは私だということはわかっているのでしょうか?

そして、迎えた流行シーズン。

カズくんは...

カズマ「へぶしっ!」

かなみ「お水だよ、カズくん」

カズマ「ちくしょー...注射打ったのになんで...」

かなみ「いくらワクチンでも風邪には効かないよ」

カズマ「うぅ...」

カズマ(もう予防接種なんて信用しねー...)



終わり

これで終わりです。読んでくれた方はありがとうございました。インフルエンザの予防はお早めに

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