【ミリマス】765学園物語 √HW (700)

カーテンの隙間から日の光が差し込む

その眩しさに思わず顔をしかめる

P「眩しい…」

気持ち良く眠っていたのに目が覚めてしまった

P「もうちょい寝ていたかったな」

そうぼやきながらベッドから抜け出し着替えを始めた

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1460556596

朝食を済ませ家を出る

学園にたどり着き、張り出されたクラス表を確認した後、クラスへ向かった

P「うーん、代わり映えしないな」

冬馬「なんだよいきなり」

そう呟いた俺に反応する冬馬

P「いや、お前に翔太に海美…もう何年も変わんねーなと思ってな」

冬馬「今更だな」

海美「私は変わっても良いかなーって思うよ!」

翔太「まあずっと変化がないのもつまんないよねー」

冬馬「まあな、だが俺は変わらなくても良いものってあると思うんだよな」

P「変わらなくても良いものか…」

冬馬「何も急に全てが変化しなきゃならないなんて決まりがあるわけでもねーからな」

P「…それでも」

冬馬「あん?」

P「何か変わりそうな予感がするんだよな、今年は」

翔太「Pくんがそう言うのって珍しいね」

P「そうか?」

翔太「うん」

話をしていると先生が入ってきた

簡単な自己紹介と連絡を済ませ、体育館に向かう

学園長や他の教師陣の話を聞き、思っていたよりも早く始業式は終わった

ホームルームも終わり、海美と翔太は早々に部活に行ってしまった

P「この後どうしたもんかな」

冬馬「いつもならどっかに遊びに行きてえところだが今日は先約があるんだ、悪いな」

P「気にすんなよ、また近いうちに遊びに行こうぜ」

冬馬と別れた後トイレに行き戻ってくると、黒井先生と田中さんが話をしていた

黒井「琴葉ちゃんか、ちょうど良い」

琴葉「黒井先生、どうしたんですか?」

黒井「うむ、私の机にある資料を職員室に持って行って欲しくてな」

琴葉「資料を?」

黒井「ウィ、私は少し予定が詰まっていてな」

琴葉「わかりました」

黒井「感謝する、少し量が多いから一度に運ばなくても構わない」

琴葉「はい」

黒井「それでは私は失礼する、アデュー」

黒井先生が教室を出て行った

田中さんは机の方に向かい資料を探している

琴葉「資料…これかしら?でもこれ…」

見ると確かに結構な量で、男が持つとしても最低二回には分けないと辛いだろう

その上職員室は少し遠いので、1人でやるには面倒な仕事だ

見かねた俺は声をかけることにした

P「田中さん」

琴葉「あっ、えっと…」

P「Pだよ、同じクラスの」

琴葉「Pくん、どうしたの?」

P「いや、さっきの黒井先生の話しが聞こえててさ」

P「量も多いし職員室も遠いから大変だし手伝おうかと思ってさ」

琴葉「良いの?」

P「ああ」

琴葉「それじゃあ手伝って貰ってもいいかな?」

P「任せてくれ」

資料を半分に分けた後、そこから更に田中さんの分を半分こちらの資料に重ねる

いざ持ち上げると結構な重さがある

P「うおっ、以外と…」

琴葉「ごめんなさい、多く持って貰っちゃって」

P「気にしないでくれ、この重さは女子には無理だ」

2人並んで雑談をしながら廊下を歩く

すると突然田中さんが笑い出した

P「どうしたんだ?」

琴葉「ごめんなさい、ただPくんって恵美が言ってたとおりなんだなって」

P「恵美が?」

そういえば田中さんは恵美の親友だったか

P「恵美はなんて言ってるんだ?」

琴葉「えっと、面白くて中々頼りになるって」

P「そ、そうか」

少し照れるな

琴葉「後は鈍感だから苦労するって」

P「なんだそりゃ」

職員室に辿り着きノックをする

「どうしましたの?」

P「あ、千鶴先生」

琴葉「黒井先生に資料を届けるように言われましたので、持ってきました」

千鶴「あらご苦労様。…結構な量がありますわね、疲れたでしょう?」

琴葉「いえ、Pくんが手伝ってくれましたから」

千鶴「それなら良かったですわ、黒井先生の机はあの真っ黒な机だからそこに運んでくださる?」

P「はい」

この真っ黒な机は黒井先生の趣味なのだろうか

机の上に資料をわけておき、重しを載せて飛ばないようにしておく

千鶴「黒井先生にはわたくしから伝えておきますわ、2人ともお疲れさま」

琴葉「失礼しました」

千鶴「あ、ちょっと待ちなさい」

千鶴先生が俺達を呼び止める

千鶴「頑張ったご褒美にこれを差し上げますわ」

そういって千鶴先生がアイスクリームの無料チケットを渡してくる

P「これ、どうしたんです?」

千鶴「商店街の福引で…じゃなくて、セレブなわたくしが以前知人からいただいたものですわ」

P「はあ」

千鶴「ヴん!とにかく、頑張ってくれましたから受け取ってくださいまし」

琴葉「アイスクリーム…」

P「ありがとうございます」

千鶴先生にお礼を言い、職員室を後にした

P「はい、田中さん」

田中さんにアイスのチケットを渡す

琴葉「え?」

P「俺は手伝っただけだから、この仕事を受けたのは田中さんだし田中さんに渡すよ」

琴葉「…」

田中さんは少しの間チケットを見ていたが…

琴葉「ううん、これはPくんが持っていて」

P「田中さん?」

琴葉「Pくんは手伝ってくれたから、そのお礼、かな」

P「そう?」

琴葉「うん」

P「わかった、ありがとう」

琴葉「でも本当に手伝ってくれてありがとう」

P「どういたしまして」

琴葉「それじゃあ暗くなる前に、私は帰るわね」

P「ああ」

琴葉「恵美にも言ってるけどPくんも、あんまり遅くまで遊んでちゃ駄目よ?」

P「善処します」

琴葉「それじゃあPくん、また明日」

P「うん、また明日」

一旦ここまで
愚痴で申し訳ないけど今までプランナーでやってきたのにいきなりシナリオ補佐やれとか冗談キツい
けどSS書いてて良かったと改めて思いました

家に帰る途中、今日のことを思い出す

P「…田中さんか」

恵美からたまに名前が出たりしたが今まで同じクラスになったことはないし、ちゃんと喋ったのも今日が初めてだ

恵美の話しからは少し取っつき辛そうな印象を受けた、だが実際に話してみるとなんてことはない、ただ責任感の強い普通の子だ

P「…仲良くなれたら良いな」

もし田中さんと仲良くなれたなら、何かが変わるかも知れない

そんな予感を抱きながら帰路を進んだ

翌日の放課後、また教室に1人残っている田中さんを見つけた

P「田中さん、何してるんだ?」

琴葉「あ、Pくん」

なにやら書類を書いているようだが…

P「…プロダクション見学申請書?」

琴葉「私、プロダクションに入りたいの」

P「プロダクションってなんだっけ…」

琴葉「プロダクションって言うのはね」

琴葉「生徒による自治組織、他の学校では生徒会って呼ばれてるわ」

琴葉「役職としてはプロデューサー(生徒会長)、マネージャー(副会長)、事務員(雑務)、千川(会計)、書記で構成されているの」

P「田中さんはどれになりたいんだ?」

琴葉「私は…出来るならプロデューサーになりたい」

琴葉「私はこの学園が好きだから、だからこの学園をもっと良くしたい」

琴葉「みんなが笑顔でいられる最高の学園にしたい」

かなり短いけど一旦ここまで

P「…」

琴葉「私の力で何が出来るかはわからないけど、私はプロダクションに入りたい」

P「良いと思う」

P「田中さんならきっと良いプロデューサーになれる」

琴葉「ありがとう」

書類を書き終わった田中さんが席を立つ

その時、あることを思いついた

P「田中さん、申請書余ってないか?」

琴葉「え?一応予備はあるけど…どうして?」

P「田中さんの話を聞いてプロダクションに興味が湧いた」

何かが変わるかも知れない

P「だから俺も、プロダクション見学をしたい」

だから、新しいことを始めよう

申請書を書き上げ、田中さんと一緒に職員室に提出しに行く

P「失礼します」

このみ「あら、どうしたの?」

P「このみ姉さん」

このみ「学校では先生と呼びなさい。…で、どうしたの?」

琴葉「このみ先生、見学申請書を提出しにきました」

このみ「はい、受け取ったわ…Pの用事は?」

P「俺も同じく、プロダクション見学申請書を提出しに」

このみ「プロダクション見学申請書をあんたが…?どういう風の吹き回しかしら」

P「良いだろ別に」

このみ「まあ良いわ、こっちも受け取ったから」

P「ありがとう」

このみ「でも本当急にプロダクション見学だなんてどうしたのよ」

P「いや、進級したわけだし何か新しいことを始めてみようと思っただけだよ」

このみ「そう」

このみ姉さんがじっと俺の目を見つめる

やがて

このみ「まあ良いわ、見学するのは良いけどあんまり律子ちゃんに迷惑かけないようにしなさいね」

P「わかった」

そしてこのみ姉さんは田中さんに向き直る

このみ「琴葉ちゃん、悪いけれどPが迷惑かけないように見張ってて貰えるかしら」

琴葉「あ、はい、わかりました」

このみ「よろしくね」

P「信用ないな…」

このみ「それじゃあ私はまだやることがあるから。P、桃子ちゃんと先に食べておいて」

P「わかった」

職員室を後にした

琴葉「Pくん、このみ先生と仲良いのね」

P「姉弟だからな」

琴葉「そうなのね」

P「ああ」

もっとも血は繋がっていないから本当の姉弟ではないが…それでもこのみ姉さんはこのみ姉さんだ

琴葉「私は一人っ子だから兄妹って少し憧れるなぁ」

P「田中さんは一人っ子なのか」

琴葉「ええ、だからさっきのPくんとこのみ先生のやりとりとか楽しそうだった」

P「姉弟って良いことばかりじゃないよ、このみ姉さんは結構口うるさいし桃子…妹はいつも不機嫌だし」

琴葉「そう言いながらもPくんなんだか楽しそう」

P「…そうかな?」

琴葉「うん」

話をしながら廊下を歩いていると下駄箱が見えてきた

靴を履き、外に出る

琴葉「Pくん、プロダクション見学は明後日だから忘れないようにね」

P「ああ」

琴葉「それじゃあまた明日」

P「また明日」

田中さんと別れ帰路につく

プロダクションか…

以前はまったく興味はなかったけれど

プロダクションの事や学園の事を話す田中さんの顔はとても楽しそうで

見ているこっちも楽しくなるような素敵な笑顔だった

P「俺もあんな風に笑える事ってあったかな」

真剣に考えて努力する

記憶を思い返してみてもそんな事は一度もなかったと思う

だったら

P「少し頑張ってみるか」

俺も何かに真剣に取り組んでみるか

…そう思った

一旦ここまで
明日はいよいよ幕張ですよ、幕張!
アイルが聴きたいだけの人生だった

このみ-P 血縁関係なし
桃子-P 半分あり
桃子-このみ 血縁関係なし

ミスですごめんなさい
正しくは
このみ-P 血縁関係なし
桃子-P 半分あり
桃子-このみ 半分あり

馬場母と馬場父が死別
周防父と周防母が死別
周防家と馬場家は親友同士だったので周防母と馬場父が再婚、桃子が生まれる
物語には絡んでこないけど設定的にはこんな感じで

765学園物語 HED

After
√RRR A
√FW A
√BMC A
√Pn A
√HW A
√C A

Another
√PG
√LR
√D
√MT
√TP
√SSL

誤爆

ライブ終わり次第更新します

翌日、冬馬に声をかけられる

冬馬「週末だしよ、今日どっか遊びに行かねーか?」

P「あー、悪い今日はちょっと」

冬馬「なんかあんのか?」

P「ちょっとプロダクションの見学にな」

冬馬「プロダクション?お前プロダクションに興味あるのかよ」

P「ちょっと興味がわいてな」

冬馬「ふーん、まあ良い、頑張れよ」

P「おう、また誘ってくれ」

海美「あ、P見つけた」

P「どうした?」

海美「今日暇?」

P「暇じゃない」

海美「そっか、じゃあ放課後ちょっと陸上部に顔出して欲しいんだけど…」

P「なんでまた」

海美「ちょっと人手が足りなくて、マネージャーになってほしいなーって、一緒にいられるし!」

P「悪いが今日は本当に無理だ、放課後はプロダクション見学があるからな」

海美「プロダクション見学?Pが?」

P「ああ」

海美「そっかー、じゃあ仕方ないね!また暇になったら手伝って?」

P「わかった」

海美と別れ廊下を歩いていると、田中さんを見つけた

P「田中さん」

琴葉「Pくんちょうど良かった、一緒に事務所へ行こうと思ってたのよ」

P「そうなんだ、俺も事務所の位置がわからなかったからちょうど良かった」

琴葉「それじゃあ生きましょう」

P「ああ」

2人で廊下を歩いている時、田中さんが疑問を投げかけてくる

琴葉「そういえばPくんはプロダクションに入って何がしたいの?」

P「え?うーん…」

いきなり言われても思い付かない

琴葉「…もし、やりたいことがないままプロダクションに入ってもきっと長続きしないと思う」

P「…入るまでに時間はあるから少し考えてみるよ」

言われてみればそうだ、ただプロダクションに興味を持っただけじゃ何も変わらないよな

俺はプロダクションに入って何がしたいんだろうか

確かなのは何かが変わるかも知れないという確信めいた予感だけだ

その先の未来はまだ見えていない

琴葉「ついたわ」

田中さんの言葉に顔を上げる

表札には「765プロ」と書いてある

田中さんが扉をノックする

「どうぞー」

琴葉「失礼します」

プロダクションの事務所に入り辺りを見渡す

パイプ椅子や机など、アニメや漫画で見るような所謂テンプレートのような部屋だ

そして奥には女子生徒が1人、椅子に座ってこちらを見ていた

制服から察するに3年だろうか

「2人とも、765プロへようこそ」

眼鏡をかけた先輩が口を開く

律子「私が765プロのプロデューサー、秋月律子よ」

眠い
一旦ここまで

この人がプロデューサーなのか…

律子「ええっと、2年A組の田中琴葉と、Pね」

秋月先輩が申請書を見ながら確認する

琴葉「はい」

律子「それじゃあ早速だけど」

いよいよプロダクションの業務を見学か…

ズドン

重い物が置かれ机が揺れた

机の上にはどこから取り出したのか、書類が山積みになっていた

律子「この書類、運動部と文科系で分けてくれる?」

P「…えっ?」

律子「いやーいつも人手不足だから中々書類が減らなくて大変なのよねー」

P「あ、あの、秋月先輩」

律子「何かしら」

P「俺達、見学に来たんですけど」

律子「それで?」

P「それでって…」

律子「見学に来るくらい興味があるって事は実際に業務をやらせてみるのが一番でしょ?」

律子「それなら入ることになったときに一から教える必要もないし、見学の時点で嫌になるようなら最初からプロダクションに向いてないって事よ」

P「それは…確かに」

早めに人材育成が出来て、さらにはやる気があるかどうかが判断できて一石二鳥だ

琴葉「わかりました、では私たちは書類の仕分け作業に入ります」

律子「ありがとう、仕分け作業なら問題ないと思うけどわからないことがあったら聞いてちょうだい」

琴葉「はい」

その後黙々と作業を行い、量の割には早く終わった

琴葉「仕分け作業完了しました」

律子「ありがとう」

P「そういえば他の役員はいないんですか?」

律子「他の社員は今日は休みよ、今日は見学が来るから特別に開けてただけだもの」

琴葉「そうだったんですか…ありがとうございます」

律子「良いわよお礼なんて、こっちも手伝ってくれたおかげで別の作業も出来たわけだしむしろこっちがお礼を言いたいくらいなんだから」

律子「それで、簡単な作業だけれどプロダクションの業務を体験してみてどうかしら?まだプロダクションに興味はある?」

琴葉「それは…」

P「秋月先輩、今日仕分けた書類、あれはどうするんですか?」

律子「後で私が一枚ずつ確認して判子を押すだけよ」

P「…なるほど、わかりました」

P「なんとなく、ですがまたプロダクションの業務を手伝ってみたいと思いました」

律子「それは何故かしら?」

P「理由はわかりません、でも手伝っているうちに何か見つけられそうな気がしたんです」

律子「そう」

秋月先輩はジッと俺を見つめると

律子「ならまた手伝いをお願いさせて貰うわね」

P「はい」

律子「それで、琴葉はどう?」

琴葉「私の気持ちは変わりません、プロデューサーになって学園をより良くしたい…それだけです」

律子「それじゃあ2人とも気持ちに変化は無し、また手伝ってくれるって事で良いのかしら」

P「はい」

琴葉「はい」

律子「わかったわ、それじゃあこれからは私が申請書を出して置くから、必要になったら声をかけるから」

P「わかりました」

律子「2人とも、期待してるわよ」

琴葉「はい」

P「ところで秋月先輩」

律子「?」

P「もし俺達が書類に書いてあったことを悪用する人間だったらどうするつもりだったんですか?」

律子「愚問ね」

秋月先輩はこちらを振り返ると

律子「765学園にそんなことする生徒がいるわけないでしょ?」

そう言ってまっすぐこちらを見つめていた

一旦ここまで
√HWはあまり他√みたいに外で遊んだりは少ないのでご注意を

申し訳ないが今日は無しで

プロダクションの見学を始めてから数日後、教室で昼食を取っていたところ、校内放送で田中さん共々呼び出された

恵美「プロダクションに呼び出されるなんて、Pなんかやったの?」

P「いや、実はプロダクションの手伝いをしててさ」

恵美「あ、そうなんだ、じゃあ琴葉と一緒?」

P「ああ」

恵美「じゃあさ、琴葉の事気にかけてあげて欲しいんだよね~」

P「ほう?」

恵美「琴葉って結構自分だけで抱え込んで落ち込んじゃったりするからさ」

P「そうなのか?」

恵美「うん、だからもしそうなったら助けてあげて」

P「わかった、もっとも俺がどこまで力になれるかはわからないが」

恵美「大丈夫、琴葉って結構分かり易いからさ」

P「っと、そろそろ行かないと」

恵美「あ、引き留めちゃってごめん、じゃあいってらっしゃい」

P「ああ」




昼休みを返上してプロダクションの業務をこなす

P「松田さん、篠宮さん、そっちの資料を」

亜利沙「はい」

可憐「は、はい」

同じくプロダクション見学の松田さんと篠宮さんとコミュニケーションを取りながら作業を進める

チラリと田中さんの方を見る

恵美の話しでは色々抱え込むそうだが…あまりそうは見えない

いつもテキパキしているし

まあ付き合いの浅い俺よりも長い間親友として田中さんを見てきた恵美が言うんだ

注意しておこう

琴葉「…?Pくん、どうかした?」

視線に気付いたのか田中さんが声をかけてくる

P「あ、いや、なんでもない」

琴葉「集中しないとお昼休み終わっちゃうわよ」

P「それは困るな」

集中、集中

P「ふぅ…終わった」

なんとか昼休み中に作業を終わらせることが出来た

琴葉「プロダクションの仕事って思ってた以上に多いみたい…」

亜利沙「あ、ありさはこのまま死にます…」

可憐「こ、これが放課後ならリラックス効果のあるアロマを焚くんですけど…」

P「昼休みだからな~…」

「あらみなさん、お疲れさまです」

千川のちひろ先輩が事務所に戻ってきた

琴葉「お疲れさまです」

「作業終わったんですね、ならこれをどうぞ」

ちひろ先輩は俺達の前にドリンクを置いた

時間が足りない…一旦ここまで

ラベルを確認するとスパークドリンクと書いてあった

学園の購買で売っている人気商品の一つだ

P「ありがとうございますちひろ先輩、それで、お幾らですか?」

ちっひ「いいわよお金なんて、頑張ってくれてるみんなへ私の奢りだから」

私の奢りだから

私の奢りだから

この言葉を聞き、手からスパドリが滑り落ちた

P「そ、そんな…」

可憐「あ、あのちひろ先輩が…!」

亜利沙「見返りに何を要求されるんでしょうか…ありさ恐くなってきました」

ちっひ「ちょ、ちょっと!みんな私のこと一体何だと思ってるんですか!」

P「鬼」

亜利沙「悪魔」

ちっひ「やっぱり聞きたくない!」

ちひろ先輩がなにやら騒いでいる、元気な人だ

琴葉「ちひろ先輩」

ちっひ「琴葉ちゃん!琴葉ちゃんは私のこと…」

琴葉「大丈夫ですか?保健室、付き添いましょうか?」

ちっひ「本当にみんな私のことどう思ってるんですか!?」

琴葉「ごめんなさい、冗談です、みんなとちひろ先輩のやりとりを見ていたら少しふざけたくなって」

ちっひ「もう」

P「ちひろ先輩、ドリンクありがとうございます」

ちっひ「最初から素直にそう言ってください」

むくれているが怒ってはいないようだ

ちっひ「それよりも、もうすぐ昼休み終わっちゃいますよ」

時計を見ると予鈴まで後5分ほどだ

P「っと、そろそろ戻らないと」

琴葉「そうね、戻りましょう」

田中さん、松田さん、篠宮さんと一緒に教室に戻る

授業が始まる前にスパドリを飲もうとしたとき、ラベルが剥がれかかっていたのでラベルを剥いだ

ラベルの下にはスパドリ1/2と書いていた

GWの出来事一つだけ募集

藤まつりで考えるので一旦ここまで
√FWは割と早めにGW入ったのに√HWはもしかしたら√RRRくらいの長さになるかも

ところで藤まつりって花見みたいなものという認識でよろしい?

GWに入り休みを満喫…という訳にはいかなかった

律子「はい注目」

秋月先輩が手を叩くと皆の視線が集中する

律子「今年も藤まつりの季節がやって来たわ」

P「藤まつり?」

ちっひ「Pくんはうちの学園に藤棚があるって知ってるかしら?」

P「ええ、実際に見たことはありませんが…」

「学園の離れに立派な藤棚と池があるのです」

P「はあ」

「藤まつりの日は学園長が藤棚を一般開放するから色んなお客さんが来るのです」

ちっひ「ただ一般開放するってことはそれなりのリスクもあるのよ」

P「リスクですか」

「だから姫達が見廻りをしたり、風紀委員と協力して問題が起きないようにするのです」

P「なるほど」

律子「ま、今年はあんた達もいるし大丈夫よ」

律子「あ、プロダクション役員は当日決められた服装があるから早めに来てちょうだい」

律子「それじゃあ解散!」




P「藤まつりか…」

琴葉「先輩方に聞いてみたけれど結構忙しいみたい」

P「GWはゆっくりするつもりだったんだがなぁ」

琴葉「プロダクション役員だもの、仕方ないわ」

P「ま、自分からそうなったわけだし…仕方ない、真面目にやるとするか」

琴葉「頑張りましょう」

そして藤まつり当日

田中さんと途中で会ったので一緒に事務所へ向かった

律子「お、来たわねーじゃあ早速着替えて貰おうかしら」

そう言って秋月先輩が取り出したのは…

P「…甚平?」

律子「琴葉はこれよ」

琴葉「着物、ですか?」

律子「社長の趣味でね、藤まつりの時は毎年和服なのよ」

琴葉「でも私、着付けかたが…」

律子「それなら大丈夫よ、まつりー!」

まつり「はいなのです」

律子「琴葉の着付けお願ーい!」

まつり「はいなのですー!琴葉ちゃん、早速着替えるのです」

琴葉「はい、お願いします」

律子「それじゃあ着替えたら藤棚に集合ね」

P「はい」

甚平に着替え、藤棚に行くとまだ誰も来ていなかった

「あれ?Pじゃないか」

声をかけられたのでそちらに顔を向けると真が立っていた

P「よう真」

真「なんでここに?」

P「俺今プロダクション見学でさ、プロダクション役員の見習いをやってるんだ」

真「ああ、なるほど」

真は納得して手を叩いた

真「それじゃあ今日はよろしく」

P「おう、よろしく」

真「へへ、ボクまさかPと一緒に仕事をする日が来るなんて思わなかったよ」

P「俺もだ」

一旦ここまで
明後日は休みだから明日はちょっと多めに更新したい

律子「真、他の風紀委員を呼んできてちょうだい」

いつの間にか側に来ていた秋月先輩が指示を出す

真「了解、それじゃあP、また後で」

真は走って他の風紀委員を呼びに行った

律子「それじゃあ風紀委員きたらミーティングを始めるわよ」

P「あの、秋月先輩、他の皆は?」

律子「もうじき来るはずよ」

それから程なくして田中さん達がやって来た

まつり先輩は薄緑の着物、ちひろ先輩は…白だった、あざとい

篠宮さんは赤くて派手な、松田さんはピンクに近い赤だった

そして田中さんは…綺麗な緑だった

P「うっ…」

思わず見惚れてしまう

律子「よーし揃ったわね、真も見えてきたしそろそろ準備するわよ」

秋月先輩の声で我に返り、ミーティングの準備を始めた

秋月先輩の指示で配置につく、相方は田中さんだ

琴葉「Pくん、今日は頑張りましょう」

P「あ、ああ」

田中さんは着物がよく似合っていて、直視出来なかった

顔を逸らすと門からお客さんが入って来るのが見えた

P「…来たみたいだ」

琴葉「律子プロデューサー、門からお客さんが入り始めました、どうぞ」

耳につけた無線機で田中さんが報告する

律子『了解、こっちも茶室の準備終わったし私達も配置につくわ』

律子『それじゃあ各自、問題が起きないように頑張るわよ!』

諸用で現在熊本です
明日には帰るので明日から再開します
連絡もせずに突然更新切って申し訳ない

開園して数十分、あっという間に人で一杯になった

P「結構いるな…」

琴葉「そうね…」

時折無線機を通して指示が聞こえる

今のところは特に何も起きず、平和な物だった

琴葉「やっぱり年配の方が多いのね」

P「秋月先輩に聞いたけどほとんどが学園長の知り合いらしい」

琴葉「学園長、顔が広いのね」

テレビで見たことのある大物歌手やベテラン俳優など芸能界の大物も来ているようだ

P「学園長、本当によくわからん人だ」

顔も真っ黒だし

律子『2人とも、そろそろ人を寄越すから巡回してちょうだい』

無線機から秋月先輩の指示が聞こえた

P「わかりました」

やって来た松田さんと篠宮さんに任せ、俺達は巡回を開始した

2人で庭園を見廻る

P「しかしあれだ」

琴葉「?」

P「結構広いな」

琴葉「そうね…律子プロデューサーはこの庭園は学園の敷地の1/4くらいあるって言ってたけど…」

P「本当に広いな」

茶室もあるようで、金髪の女の子がお茶をたてていた

しばらく歩いていたがどうにも歩が遅い

P「田中さん、大丈夫か?」

琴葉「今のところは大丈夫、ありがとう」

慣れない着物と履物で動きにくいのかも知れない

P「少し休もうか?」

琴葉「私は平気だから、先に巡回を終わらせましょう」

そう言って踏み出した瞬間、田中さんは自分の足に躓いて前のめりに転びそうになる

P「危ない!」

咄嗟に田中さんの前に立ち、転びそうな田中さんを抱き止めた

P「…ふう」

琴葉「あ、ありがとう…」

抱き止めてから気付いたが顔がとても近い

P「あ、ご、ごめん」

恥ずかしくなり、思わず顔を逸らしてしまう

琴葉「わ、私こそごめんなさい」

田中さんの顔も赤くなっていた

2人の間に気まずい空気が流れる

P「と、とにかく戻ろうか」

琴葉「え、ええ」

俺達は巡回を終え、元の配置へ戻った

それからも何かが起こるわけでもなく、無事に藤まつりは終了した

秋月先輩が俺達を一カ所に集める

律子「みんなお疲れ様、特に問題はなかったみたいね」

真とマネージャーの新田先輩が頷く

律子「他に何もなかったら今日はこれで解散!って言いたいところだけど」

律子「実は学園長の計らいで食べ物や飲み物が運ばれてるのよ」

律子「今日頑張ったプロダクションと風紀委員のみんなへのお礼らしいわ」

律子「だからせっかくだし私達も藤まつり、楽しみましょう」

歓声があがる

早速みんなでブルーシートをひき、飲み食いを始めた

みんな思い思いに藤まつりを楽しんでいた

松田さんが好きなアイドルの話をしていて、篠宮さんはそれを楽しそうに聞いている

まつり先輩は金髪の女の子と一緒にお茶を飲んでいた

秋月先輩は新田先輩と一緒に学園長と話している

真はちひろ先輩からドリンクを受け取っていた

そして俺は…

少し庭園を歩く

辺りは暗くなり始めているが、照明でライトアップされているので危なくはない

池の方の藤棚の方へ歩いていると田中さんが藤を見つめていた

P「田中さん」

声をかける

琴葉「あ、Pくんお疲れ様」

P「田中さんもお疲れ様」

互いに労う

琴葉「立ちっぱなしで少し辛かったけど、やりがいあったね」

P「ああ」

琴葉「それに、今はみんな楽しそう」

田中さんが騒いでいる方向を見る

いつの間に来たのやら、莉緒さんとこのみ姉さんが学園長や千鶴先生と飲んでいた

P「…」

琴葉「私、やっぱりプロデューサーになりたいな」

琴葉「プロデューサーになって、色んなことをして」

琴葉「最期にはみんなで楽しく笑って終われるように」

琴葉「私は頑張りたい」

P「田中さんならきっと、立派なプロデューサーになれるさ」

琴葉「ありがとう」

田中さんがこちらを向く

琴葉「今はまだ先輩方の後ろを追い掛けているだけだけれど」

琴葉「頑張って並び立てるようになりたい」

琴葉「だからこれからもよろしくね」

そう言って田中さんは微笑んだ

その微笑みに思わず

P「…綺麗だ」

口から言葉が出た

瞬間田中さんの顔が真っ赤になる

琴葉「え、えええっ!?いきなり「綺麗だ」なんて!」

P「あっ、ち、違うんだ、その、ライトアップされた藤棚が綺麗だって!」

思わず言い訳をしてしまう

琴葉「藤棚が?あっ…そ、そうね!綺麗ね!」

誤魔化してみたが効果はなかったのだろう

田中さんは更に顔を赤くして頬を両手で押さえていた

その後、こちらを見つけて絡んできた莉緒さんによって有耶無耶になったが、あの時見せた田中さんの笑顔は、俺の心に残ったのだった

一旦ここまで
昨日は更新出来なくて申し訳ない

>>136
訂正
琴葉「最期にはみんなで楽しく笑って終われるように」 ×
琴葉「最後にはみんなで楽しく笑って終われるように」 ○

球技大会が始まった

いつもなら冬馬や翔太と適当に流すのだが今年はそういうわけにはいかない

プロダクション見学をしている以上プロダクションの手伝いがある

そして手伝いをしていると思っていたよりはるかに忙しかった

うちの学園は美人所が揃っているためか、男子が良いところを見せようと張り切る

結果的に怪我をして無様な姿をさらすのだが、毎年怪我をする生徒は絶えないそうだ

琴葉「Pくん、男子が2人怪我をしたって」

P「またかよ…桜庭先生、お願いします」

怪我をした男子を男子担当保健教師の桜庭先生に投げる

さっきから運営プログラムの調整や怪我人の対処ばかりで一向に動けない

P「これいつものプロダクション業務と変わらないな」

琴葉「そうね…私まだ今日ボール見てないもの」

松田さんは秋月先輩について写真を撮りながら忙しそうに走り回っている

篠宮さんは風花先生の手伝いをしていた

まつり先輩はサッカーに出ているので今はいない

ちひろ先輩は朝から姿が見えないが、噂ではどのクラスが勝つかというトトカルチョを開いているとか何とか

それから30分ほどして、ようやく手が空くようになってきた

P「だいぶマシになってきたな…」

琴葉「そうね…」

風花「2人とも」

一息ついていると風花先生が声をかけてくる

風花「落ち着いたみたいだし自分たちのクラスに戻っても大丈夫よ」

P「良いんですか?」

風花「もちろん、後は私達に任せて?」

琴葉「ありがとうございます、風花先生」

風花「ふふ、球技大会頑張ってね」

風花先生に見送られ、テントを後にした

田中さんと一緒にクラスに戻る途中、新田先輩がラクロスの試合に出ているのが見えた

P「田中さん、新田先輩がラクロスやってるみたいだしちょっと見てみない?」

琴葉「ええ」

2人で新田先輩の試合を見る

新田先輩がラケットを手にフィールド内を駆け回っている

P「ルールは良くわからないけど結構激しい競技だな」

琴葉「私も、ラクロスって名前くらいしか知らないからわからないけど…でも、少し楽しそう」

しかし走っている新田先輩を見ていると…割と揺れている

思わず目で追ってしまう

すると横から冷たい視線を感じた

P「…はっ!」

P「あ、いや、これは別に」

琴葉「何に言い訳してるのかは知らないけど…」

そう言って田中さんはジトッとした目で見てきた

琴葉「…ところでPくん、一つ聞いても良い?」

P「な、なにかな」

琴葉「やっぱり男の子って、その…胸が大きい方が良いの?」

P「…はい?」

琴葉「クラスの男子もそうだけど、雑誌とかでも男子は大きい胸が好きだって…」

P「あー、いや、人によるんじゃないかな」

琴葉「そうなの?」

P「うん、少なくとも俺は気にしないかな」

琴葉「そう…」

P「でもなんで急に?」

琴葉「えっ、だってPくんが美波マネージャーの胸をジッと見てたから…やっぱり男の子って大きい胸が好きなんだなーって」

…やっぱりバレてるよね、普通

P「ごめんなさい」

琴葉「あ、ハーフタイムかしら、一旦休憩するみたい」

P「あ、本当だ」

もう一度フィールドに目を向ける

汗をかいてそこはかとない色気を放っている新田先輩を見ていると、また隣から冷たい視線が突き刺さったので自重した

一旦ここまで
運動女子の放つ色気って良いよね

キャラ設定・ヒロイン

・高坂海美
高等部2年
Pとは赤ん坊の頃からの付き合い
とある一件以来Pに対して恋心を抱きアタックを掛け続けているがPには幼なじみとしての好きだと思われているため、ほとんど進展していない

・所恵美
高等部2年
Pとは高等部1年からの付き合い
とある一件以来何かと絡むことが多く、気が付いたら良く一緒にいる
Pに対して淡い恋心を抱いているが、海美がPの事をずっと好きなのを知っているので踏み出せないでいる
なにかと自分のこと後回しにするので、仲の良い友人達からは心配されている

・田中琴葉
高等部2年
Pとは高等部2年からの付き合い
親友の恵美から色々と話聞いていたため、Pに興味を持っていたが中々話す機会がなかった
クラス委員長を務めるほか、プロデューサーになりたいと考えており、恵美やエレナから倒れてしまわないか心配されている

・島原エレナ
高等部2年
Pとは高等部1年からの付き合い
親友の琴葉、恵美といつも一緒にいる
自分の事を後回しにする2人をいつも心配しているが、2人なら大丈夫、と信頼もしている
Pとは馬が合うのか、よく家に遊びに来る

・伊吹翼
中等部2年
Pとは高等部2年からの付き合い
気ままでまるで猫のような性格
中等部3年の星井美希に憧れており、彼女のような人生を歩みたいと思っている

・ジュリア
高等部2年
Pとは高等部2年からの付き合い
世界一のロックシンガーを目指している
時間があるときは校舎の裏でギターを弾いたり、楽器専門店でアルバイトをしながら常にロックの勉強をしている
C組に親しい友人がおり、文化祭などでは一緒にステージに立つこともある

・最上静香
中等部2年
Pとは高等部2年からの付き合い
親に決められた将来に嫌気が刺しているが、それに逆らえない自分を自己嫌悪している
ある夢を持っていて、その夢を叶えるために努力しているが上手くはいっていない

・北沢志保
中等部2年
Pとは幼稚園からの付き合い
Pの従妹だが、Pはそれを覚えていない
学園で再開した時、声をかけようと思ったが向こうは覚えていなかった上に意地っ張りな性格が災いして、Pが思い出すまで声をかけないようにしている

・天空橋朋花
中等部3年
Pとは高等部2年からの付き合い
学園の聖母として恐れられている中等部プロダクションの事務員
高等部プロダクション事務員の徳川まつりとライバル関係にあるとの噂

・七尾百合子
中等部3年
Pとはリアルでは高等部2年からの付き合い
ゲームでは高等部1年からの付き合い
本が好きで、同じく本が好きな高等部の生徒と共に図書委員を務める
本に対して雑食な上にムッツリで、高等部の生徒と一緒に感の小説を読んで顔を赤らめたりしている
図書室のPCには彼女がプレイしているオンラインゲームがインストールされている
中等部2年の望月杏奈と仲が良い

・馬場このみ
教師
Pとは幼稚園の頃からの付き合い
出張でいない両親に代わって桃子とPの面倒を見ている
幼い頃に母親を亡くしているため、人一倍母親や保護者ということに拘る

・佐竹美奈子
高等部2年
Pとは高等部2年からの付き合い
学園に通う傍ら、学園内の学食で働いている
実家は中華料理屋で、料理の種類と量が多いのが特徴
自分の特盛料理を本当に美味しそうに食べてくれる人を探しており、常に学食内に目を光らせている

どうしても志保に兄さんと呼ばせたい→でも既に妹枠は桃子に翼とカツカツ→どうしたもんかと悩んでいるときに何故か由夢ルートをプレイ→従妹なら兄さん呼びでも問題ないよね→志保を従妹に
といったところ

球技大会が無事に終わった

ジメジメした季節はプロダクションの手伝いをしているうちに過ぎ去っていった

そして七月になった

765学園では毎年一回、近所の砂浜を貸し切って学園全体での海水浴を実施している

この時持ってくる水着は特に指定されておらず、学園指定のセーラー水着でも自前の水着でも構わない

まあ毎年過激な水着を持ってくる生徒がいて問題になってるらしいけど…

そして待ちに待った海水浴の日、幸いにも梅雨は直前に明けており、元気な太陽が俺達を照らしていた

俺と田中さんは、プロダクション社員用に設置されたテントに集合していた

律子「今日は海水浴の日よ、基本的に自由に行動してもらって構わないけど、何かあれば放送で呼び出すから集合してちょうだい」

秋月先輩からプロダクション社員としての注意が告げられる

律子「ま、難しいことは言いっこなし、今日は楽しみましょう」




水着に着替えた俺は砂浜を適当に歩いていた

辺りを見渡すとみんなが楽しそうにはしゃいでいる

「な、なあ美也、アタシ指一本動かせないんだけど」

「おや~?でも砂に埋まるのは楽しそうですぞ~」

「いや、アタシも最初はそう思ったんだけど砂って思ったより重くて…」

「そうですかぁ~」

「あ、ちょっと美也!パラソルにもたれ掛かって寝たらパラソルが倒れ…熱!あっつい!」






「ロコズキャッスルの完成です!」

「わあ!ロコちゃんすごい!」

「ユキホがいっぱサンドを集めてくれたおかげです!」

「そんな、私大したことしてないよ~」

「もうちょっとブラッシュアップできそうなのでユキホ、手伝ってください!」

「うん!」

恵美「あれ、P1人?」

恵美が声をかけてくる

P「ん、ああ、冬馬は風邪で休み、翔太は気が付いたらいなかったし海美は環と遊んでる」

恵美「そっか、じゃあさ、ウチらと遊ぼうよ」

P「お、ナンパか?」

恵美「にゃはは、成功したらついてきてくれる?」

P「ま、やることもないし別に良いぞ」

恵美「もうすぐエレナと琴葉も来るからさ」

それから少しして田中さんとエレナがやってきた

エレナ「お待たせだヨー」

琴葉「ごめんなさい、ちょっと手間取って」

琴葉「あ、Pくんもいるのね」

恵美「そ、1人らしいから一緒にどうかなって」

エレナ「ワタシは別に問題ないヨ」

琴葉「私も」

恵美「それじゃあいこっか」

四人で歩き出す

恵美「そういや何に手間取ってたの?」

エレナ「ワタシの水着、上がちょっとキツくなってて…」

恵美「あれ、エレナも?アタシもちょっとキツくなってた」

エレナ「成長した証だネ!」

恵美「でもあんまり大きくなってもねー」

…俺がいるって事を忘れてないかこいつら

田中さんの方を見ると自分の胸に視線を落として上から触っていた

…微妙に負のオーラが見えた気がした

一旦ここまで
ミリオンの新ガチャを見てFで紙集めをしていた頃を思い出した

恵美「ね、磯の方いかない?」

恵美の提案で俺達は磯へ向かった

エレナ「よっ、ほっ」

恵美「エレナは身軽だね~」

琴葉「…」

P「田中さん、足場は大丈夫か?」

琴葉「ちょっとふらふらするかも」

P「手を貸そう」

琴葉「ありがとう」

田中さんの手を取りリードする

恵美「…」

エレナ「わお!見てみて!」

エレナが何かを拾い上げる

エレナ「蟹だヨ!」

キングラー「…」

恵美「わ、ホントだ、蟹がいっぱい!」

「ミルクでももらおうか」「だが俺はレアだぜ」「ダンスは…苦手だな」「俺達の満足はこれからだ!」

エレナ「食べられるかナ?」

琴葉「流石に無理だと思うわよ?」

エレナ「そっかー」

その後しばらく磯で遊んでいたが、やることが少なく、次第に飽きてくる

恵美「…そろそろ戻ろっか」

琴葉「…そうね」

エレナ「ね、ね、これって食べられるかナ?」

P「花咲ガニに毛蟹じゃねーか、今が旬で美味いぞ」

エレナ「持って帰ってミナコに料理して貰うヨー」

P「俺も呼んでくれよ」

エレナ「もちろんだヨ!」

P「しかしあれだな」

恵美「?」

P「海って思ってたよりやることないな」

恵美「そりゃ~泳がなきゃそんなもんでしょ」

恵美「そんなことより~…どう?」

P「どう?って言われても」

恵美「も~、Pは鈍いな-!目の前に水着の女の子が三人もいるんだから褒めるとかさ~」

そう言って恵美がポーズをとる

…健康的な肢体に出るところが出ているプロポーション

思わず目を逸らした

恵美「ありゃりゃ、目逸らされちゃった」

恵美「もしかして似合ってなかったかな~」

P「あ、いや、そういうわけじゃないんだ」

P「ただ…目のやり場に困るというか…」

恵美「あ~、そういうこと…アタシは気にしないから気にしなくて良いのに」

P「そういうわけにはいかんだろ」

エレナ「じゃあじゃあワタシの水着、どうかな?」

エレナを見る

運動しているだけあって適度に引き締まっており、健康的な肌の色と合わさってとても魅力的だ

P「うん、良いんじゃないか」

エレナ「えへへ~、褒められたヨ~」

女子の水着を褒めるなんて今までしたことがないだけに緊張するな

恵美「あとは~」

恵美が指をわきわきさせながら田中さんを捕捉する

琴葉「な、なに?」

恵美「琴葉も水着、ちゃーんと見て貰いなよ」

琴葉「わ、私は別に」

恵美「良いから良いから!」

田中さんが恵美に押されて俺の前までやって来た

恵美「どう?」

P「…」

恵美やエレナとはまた違うタイプの水着で、他2人がどちらかというとセクシー路線な水着に対し

田中さんは可愛い系でまとまっているように見えた

P「その…可愛いと思う」

琴葉「あ、ありがとう…」

田中さんは恥ずかしげに顔を赤くしながら顔を伏せた

あ、やばい、俺も赤くなってるのが顔の熱でわかる

恵美「…うん、良く出来ました!」

その後泳いだり、砂に埋められたりと色々遊び、少し疲れたのでパラソルの下で休憩をとることにした

P「ふう…」

まわりはまだ楽しそうに遊んでいる

目に見える範囲では特に問題も起きてないようだ

琴葉「これ、どうぞ」

P「ありがとう」

田中さんがペットボトルの水をくれる

よく冷えていて気持ち良い

P「美味い」

琴葉「こまめに水分補給しないと熱中症になっちゃうから…」

P「田中さんは周りをよく見てるな」

琴葉「…」

P「田中さん?」

琴葉「…あのね、Pくん」

琴葉「Pくんは恵美とかエレナとか、貴音さん、海美を下の名前で呼んでるでしょ?」

P「あー、言われてみれば…それが?」

琴葉「だからその…私も…」

琴葉「これからプロダクションで一緒にやっていく仲間だし、いつまでも名字だと他人行儀な気がするから…その」

P「…」

琴葉「私も…名前で呼んで欲しい…かな」

P「う、うん」

P「それじゃあ…琴葉、さん?」

琴葉「さ、さんはつけなくて良いから」

P「わ、わかった、じゃあ…」

P「…琴葉」

琴葉「…うん」

今まで全く気にしなかったが女子を下の名前で呼ぶって思ったより照れくさい

海美や恵美エレナは全く気にならかったのになんで琴葉が相手だとこんなに顔が赤くなるんだ

P「そ、それじゃあ改めて…これからもよろしく、琴葉」

琴葉「うん、よろしくお願いします」

この日、少しだけ俺達の距離が縮まった気がした

一旦ここまで

夏休みに入った

しかしプロダクションのほうは夏休みに入っても変わらず、夏休み明けのプロデューサー選挙に向けての引継ぎ作業や、残っている作業を終わらせるために出勤していた

P「暑いな~…」

亜利沙「ありさ、氷のように溶けてしまいそうです…」

可憐「あうう…」

琴葉「あ、Pくん湯呑みが空になってるわね、はい、新しいお茶」

P「ありがとう琴葉」

琴葉「どういたしまして」

可憐「…」

P「?」

なんだろう、篠宮さんがこっちを見ている

P「えーっと、篠宮さんどうしたの?俺の顔に何かついてる?」

可憐「え、えーっと…その…」

可憐「こ、琴葉さんとPさん、いつの間にか仲良くなってるみたいで…」

亜利沙「あ、それはありさも思いました、いつの間にか名前で呼んでますし」

可憐「お二人から、その…お互いに対する友好的な匂いが濃くなってたから…」

友好的な匂いって一体何なのだろうか

P「海水浴の日にちょっとな」

亜利沙「むふふー!ありさ、ちょっとそのお話気になります!」

可憐「わ、私も…」

P「話っていってもこれからも765プロでやっていくことになるだろうし改めてよろしくってだけだよ」

亜利沙「そうなんですか?」

琴葉「え、ええ、それだけよ」

可憐「…」スンスン

P「…篠宮さん?」

可憐「琴葉さん…う、嘘をついてる匂いがします」

琴葉「!?」

亜利沙「と、可憐ちゃんはおっしゃってますがどうなんです琴葉さん!?」

琴葉「え、えーっとその」

亜利沙「大丈夫です!ありさ達は口が固いので絶対に口外しません!」

なんだか急に松田さんのテンションが上がった

可憐「わ、私も…ちょ、ちょっと興味が…」

琴葉「で、でも本当に大した話しじゃないの、ただ…彼と仲良くしている子はみんな下の名前で呼ばれてるし」

琴葉「わ、私もなんだかんだで765プロの手伝いを始めてからよく一緒にいて少しは仲良くなれたと思ってるから…その」

琴葉「これからも…少なくとも大学部に進学しないとか、別の大学や学校にいくならともかく卒業までは同じ学園にいるわけだし、それなら仲良くなった方が楽しいから…」

琴葉「本当にそれだけなのよ」

亜利沙「確かに、自分だけ名字だとなんだか他人行儀っぽい感じがするのはわかります」

P「それで、少し考えていたことがあるんだよ」

可憐「考えていたこと…?」

深呼吸をする

P「…亜利沙、可憐」

可憐「!?」

P「琴葉と話していて思ったんだ、これから一緒にやっていくためにも、仲間として踏み出す第一歩として、名前で呼ぼうって」

P「だから亜利沙、可憐、これからもよろしく頼む」

一歩、踏み出す

この二人とも、もっと信頼できる仲間になれることを願った

一旦ここまで
覚醒後美奈子アカンやつでした

律子「おっかしいわね…」

夏休みのある日、律子先輩が書類を見ながら唸っていた

P「どうしたんです?」

律子「備品の量が書類と合わないのよ…物によっては丸々抜けてるし」

P「足りない物があるなら買ってきましょうか?」

律子「じゃあお願い出来る?買う物はメモにするから」

P「わかりました」

律子「それと、一人で持つには多いから誰か連れて行ってもいいわよ」

P「それなら…」

俺は琴葉と一緒に町に出ていた

P「ごめんな、付き合わせちゃって」

琴葉「気にしないで」

メモを見ながら必要な物を買っていく

琴葉「けど本当にいっぱいあるのね」

P「どうにも業者側にミスがあったらしくてさ、リストの半分も納品されてなかったらしい」

琴葉「そんなに…」

P「まあ無いものは仕方ないからさ、さっさと揃えて帰ろう」

P「今日は暑いし」

琴葉「そうね」

P「これで最後かな」

リストを確認しながら琴葉に話しかける

琴葉「だと思う」

P「本当に結構な量だな、律子先輩が誰か連れて行けって言ったのもわかる」

俺の両手は塞がっているし琴葉にも荷物を多く持って貰っている

琴葉「大丈夫?やっぱり私ももう少し…」

P「大丈夫、それに琴葉には十分持って貰ってるからさ」

琴葉「それなら良いけど…」

P「まあ買う物は買ったし、学園に戻ろうぜ」

荷物を持ちながら琴葉と町を歩いていると、琴葉が急に笑い出した

P「どうしたんだ?」

琴葉「ちょっと出会った頃を思い出して」

P「出会った頃?」

琴葉「私が黒井先生に頼まれて書類を職員室に運んだの、覚えてる?」

P「ああ…」

あの時も琴葉と一緒に大量の荷物を持ってたっけな

…そう言えばあの時千鶴先生からアイスの無料券を貰ったんだっけ

辺りを見渡すと少し先にアイスクリーム屋が見えた

P「琴葉、少し休憩しないか?」

琴葉「え?」

P「あそこにアイスクリーム屋があるみたいだからさ、そこで一休みしよう」

琴葉「アイス…」

テーブルに荷物を置く

P「琴葉は何にする?」

琴葉「えっと…」

琴葉がメニューを見て考えている

やがて

琴葉「それじゃあ私は、このイチゴソースのソフトクリームで」

P「わかった、じゃあちょっと行ってくる」




ソフトクリームを2つ手に持ち、テーブルに戻る

P「お待たせ」

琴葉「ありがとう、いくらだった?」

琴葉が財布を取り出す、が

P「お金は良いよ、タダだったし」

琴葉「え?」

P「琴葉の話で思い出したんだ、前にアイスの無料券を千鶴先生からもらっただろ?」

琴葉「そう言えば…」

P「せっかくだし使おうと思ってさ」

琴葉「そうだったんだ」

P「ああ、だから遠慮しないでくれ」

琴葉「わかったわ、それじゃあ…いただきます」

P「いただきます」

一口放り込むと冷たさと甘さが口の中に広がる

P「うん、美味い」

琴葉を見ると頬に手を当て、幸せそうな顔をしていた

その後、何口か食べていると琴葉がこちらを見ていることに気付いた

正確には俺のソフトクリームを見ているようだ

そして

琴葉「イチゴソースのソフトクリーム、とってもおいしい♪Pくんも食べてみる?」

ソフトクリームのカップを差し出してくる

琴葉「代わりに、Pくんのチョコソースのほうも、食べたいなぁ…♪」

P「わかった、じゃあ一口もらうよ」

こちらもカップを差し出す

琴葉「あーん」

P「えっ」

琴葉がスプーンをこちらに向けている

カップを差し出していたのはこぼれないようにしていただけのようだ

P「あ、あーん」

せっかくなので一口もらう、しかし味が良くわからなかった

こちらも同じくスプーンを向けると、琴葉は躊躇いなく口にした

琴葉「ん♪やっぱりチョコソースもおいしい♪」

頬に手を当て、満面の笑みを浮かべる琴葉

しかし次第にその笑顔が赤くなっていく

どうやら自分の行動の意味が分かったようだ

琴葉「…………」

P「こ、琴葉」

琴葉「と、溶ける前に食べちゃいましょう」

P「お、おう」

ソフトクリームを食べ終え、店を後にする

夕方くらいだろうか、空は少し赤い

P「えーっと」

店を出る少し前くらいから琴葉はずっと無言だった

P「琴葉?」

琴葉「また」

P「?」

琴葉「Pくんが嫌じゃないなら、また…一緒にアイス、食べたいな」

P「…そうだな、また一緒に食べに行こう」

琴葉「!ええ、また、一緒に」

夕日が照らす中、俺達は学園へ戻っていった

夏休みの出来事を一つか二つ募集

明日はちょっと早いので一旦ここまで

8月、765プロの仕事が一段落した頃、律子先輩からメールが届いた

内容は慰安旅行をするから参加するなら荷物を持って学園に集合、というものだった

P「慰安旅行か…楽しみだな」

行き先はわからないが泊まりで行くようだ、ちゃんと準備しておこう



そして当日、学園へ向かうと既に律子先輩が来ていた

P「早いですね、律子先輩」

律子「そりゃあプロデューサーだもの、皆を引率しないと駄目だから一番に来ないとね」

P「慰安旅行、どこに行くんです?」

律子「それは内緒、今教えてもつまらないでしょ?楽しみはとっときなさい」

P「まあ、たしかに」

話をしているとメンバーが次々とやって来た

律子「これで全員かしら?」

琴葉「みたいです」

律子「それじゃあ出発しましょう、全員バスに乗るわよー」



バスに揺られること数時間、目的地へ到着した俺達はバスを降りる

バスを降りると同時に鼻腔をくすぐったの独特の匂い…これは、硫黄の匂いか?

琴葉「…温泉?」

所謂温泉街だろうか?川を中心に色んな所に宿や店が並んでいる

律子「まずは宿に荷物を置きに行くからついてきてちょうだい」

律子先輩が俺達を先導し、歩き出す

しばらく歩くとある宿の前で立ち止まった

律子「さ、着いたわよ」

宿の看板を見ると「876宿」と書いてある

律子先輩は暖簾を潜ると

律子「涼-!」

誰かの名前を呼んだ

「り、律子姉ちゃんもう着いたの!?」

奥から慌てた感じで一人の女の子が出てきた

律子「大体このくらいの時間に来るって言ったでしょ?」

「そうだけど、連絡くれたら玄関で待ってたのに」

からかっている感じの律子先輩と頭を抱えている女の子

しかし、律子姉ちゃん…?

P「律子先輩、あの子は妹さんですか?」

律子「妹?違う違う、涼はいとこよ」

P「へえ…」

律子「とりあえず涼、男子を部屋へ案内してちょうだい」

涼「はい」

涼さんに連れられ部屋に向かう

涼「こちらが宿泊していただくお部屋になります」

中々に広い部屋だ、一人で使うのが勿体ないくらいだ

涼「お部屋のお掃除はいかが致しましょうか」

P「あー、女の子に部屋の掃除をさせるなんてアレだし掃除は自分でするよ」

涼「…女の子?」

P「え?」

涼「あの、もしかして僕の事ですか?」

P「そうだけど」

涼「…僕、男です」

P「」

今年一番くらいの衝撃を受けたが、それならばと涼くんに部屋を任せ、荷物を置いて浴衣に着替えた俺はエントランスに降りた

律子「降りてきたわね」

エントランスには既に女性陣が揃っていた

律子「昼食は各自自由に、夕食は宿で19時に出るようになってるからそれに間に合うように、それ以外の時間は自由行動よ」

律子「それじゃあ、解散!」




P「ああ…温泉ってのは良い物だなぁ…」

露天風呂を堪能した俺は次はどうしようかと考えながら歩いていると土産屋の店先に琴葉がいるのを見つけた

P「琴葉、何見てるんだ?」

琴葉「あ、Pくん、ちょっとお土産をね」

琴葉「エレナに恵美、あとは両親へのお土産を見てたの」

P「そうなのか」

このみ姉さんや桃子はお土産はいらないって言ってたから特に気にしてなかったな

琴葉「Pくんはこのみ先生にお土産は買わないの?」

P「うん、このみ姉さんお土産は要らないって言ってたし」

琴葉「そうなんだ」

しかし遠出してるのに何も買わないってのもなぁ…

琴葉「それなら、これとか、どうかな?」

そう言って琴葉が持ち上げたのは対になるストラップだった

琴葉「その…Pくんへのお土産というか…」

琴葉「一緒にいるPくんにお土産っていうのも変な感じだけど…どう、かな?」

P「ありがとう琴葉」

琴葉からストラップを受け取る

P「大事にする」

琴葉「…うん!」

琴葉からもらったストラップを携帯に通す

琴葉の気持ちがとても嬉しかった





宿で夕食を済まし、ちひろ先輩との賭け卓球に惨敗し、懐が寒くなったので部屋に戻り布団に入る

すると疲れていたのかすぐに眠気が襲ってきた

夜中に目が覚めた

時計を見ると12時を少し過ぎたくらいの時間だ

起き上がると寝汗をかいていたので、風呂の用意をし、宿の露天風呂へと向かった



P「貸し切りみたいだな」

露天風呂には誰もおらず、一人でゆっくりと湯船に体を沈めて目を閉じた

P「…ふう」

温泉の暖かさが体中に染み込んでいく

少しの間そうしていると、扉が開いた

誰かが入ってきたのだろう

目を開けると湯気でよく見えないがこちらに近付いているようだ

やがて輪郭が見えてくる、髪の長い、それは…

P「こ、琴葉…?」

琴葉「えっ、Pくん…?」

琴葉だった

一旦ここまで
GW明けないで

お互いに硬直し、身動きが取れなくなる

しばらくそうやって見つめ合っていると、琴葉の驚いた表情がどんどん羞恥の表情へと変わっていった

限界に達したのか、琴葉は自分の体を隠すようにしゃがみ込んだ

琴葉「な、なんでPくんが女湯に!?」

P「それはこっちの台詞だって!なんで琴葉が男湯に…!」

琴葉「わ、私はただ明かりがついてたほうに…」

P「…待てよ?琴葉、脱衣所に入るとき暖簾潜ったか?」

琴葉「暖簾?そう言えば潜ってないような…」

P「ということは何かしらの理由で片方が使えない状態なわけか」

琴葉「それで暖簾を外してるから気付かずに…」

P「だと思う」

ふと見渡すと温泉の利用規約の看板が目に入った

P「…あー」

琴葉「ど、どうしたの?」

P「この時間帯、混浴だってさ」

琴葉「えっ?」

俺は温泉利用規約の看板を指さす

琴葉「…」

P「すまない、確認しなかった俺のミスだ」

琴葉「それは私も同じだから…」

P「とりあえず俺はあがるから、後はゆっくり…」

浴場から出ようとしたところ、琴葉が俺の腕を掴んだ

P「…琴葉?」

琴葉「その、私は気にしないしPくんが先に入ってたから」

琴葉「Pくんが嫌じゃなかったら、少しだけお話がしたいなって…」

琴葉「タオルを湯船に浸けるのはマナー違反だってわかってるんだけど…」

P「仕方ないよ」

俺と琴葉は並んで湯船に浸かっていた

あまり琴葉のほうを見ないようにしているがどうしても隣にいるとそちらを向いてしまいそうになる

琴葉「…ねえPくん」

P「…ん?」

琴葉「一つお願いがあるんだけど…」

そう言うと琴葉はこちらに背を向けた

琴葉「タオルを巻きたいから…髪を結って欲しいんだけど…」

P「あ、ああ、それなら」

琴葉の髪を手に取る

さらさらしていて心地良い手触りだ

一旦ここまで
おかしい、もう少し進めるはずだったのに

何やらSSVIPが板移動がどうのこうので揉めている様子
このSSも移動した方が良いのかな?

なら問題ないか…そろそろ投下開始

P「それじゃあ、結ぶぞ」

琴葉「うん」

琴葉の髪を傷付けないように慎重に結ぶ

少しして、髪を結び終えた俺は琴葉の背中とうなじに目を奪われた

P「…ゴクッ…」

しかし琴葉は手早くタオルを巻くと姿勢を戻してしまったので見れたのは僅かな時間だけだった

P「…」

琴葉「…」

二人の間に沈黙が流れる

何を話そうか悩んでいたとき、琴葉が口を開いた

琴葉「…もうすぐだね」

P「?」

琴葉「プロデューサー選挙、夏休みが明けたらすぐだから…」

P「そうか、もうそんな時期か…」

765プロに入ってから忙しくて時間が経つのはあっという間だった

琴葉「Pくんは見つけた?」

P「何を?」

琴葉「前に言ってた、プロダクションに入ってからやりたいこと」

P「…」

P「正直まだ良くわからないかな…ぼんやりとした輪郭は見えてるんだけど」

琴葉「そっか…」

琴葉が空を見上げる

それにつられ俺も視線を空に移す

頭上には満天の星空があった

琴葉「Pくんは、辞めないよね?プロダクション…」

P「ああ、その気はないよ」

最初こそ辛い物があったけど、今では仕事も覚えて楽しくなってきた

だから辞める気なんて微塵もない

琴葉「良かった」

そう言って琴葉は微笑んだ

琴葉「…星が綺麗だね」

P「ああ」

住んでいる町でも星はよく見える方だけど、やっぱりこういう場所の星空には敵わない

そのまましばらく二人で星を見上げていたがそろそろ暑くなってきた

P「俺はそろそろあがるよ、逆上せそうだ」

琴葉「私はもう少しだけ入ってるわ」

P「了解、逆上せないようにね」

琴葉「ありがとう」

脱衣所に入る前に振り返り、琴葉に声をかけた

P「おやすみ、琴葉」

少し間があってから

琴葉「おやすみなさい、Pくん」

返事があった

とうとう夏休みが明けた

もっとも夏休みのうち半分以上は学園に来ていたので特に苦もなく登校が出来た

冬馬「よう」

P「おお、久しぶりだな」

冬馬「だな」

夏休み中はほとんどプロダクションにかかりっきりだったので冬馬達と顔を合わせる機会があまりなく、こうして直接会うのも一ヶ月ぶりくらいだ

冬馬「プロダクション、忙しいみたいだな」

P「まあな、正直ここまで忙しいとは思わなかったよ」

冬馬「ま、どうしても手が足りなくなったら言えよ?俺は暇してるから雑用くらいなら手伝うからよ」

P「ああ、その時は頼むよ」

冬馬「おうよ」

冬馬と話ながら歩いていると突然背中に衝撃が走り、俺は吹き飛んだ

P「かふっ」

そのまま前に手が回され、とてつもない力で抱きしめられ骨が砕けそうになる

というより骨が嫌な音を立てている

P「あががががが」

海美「P久しぶり!元気にしてた?」

俺を絞め殺そうとしている者の正体は声を聞くに海美のようだが衝撃と現在進行形で絞められているため返事が出来ない

冬馬「高坂、それ以上やると死んじまうぞ」

海美「あっと、ごめんね?」

P「な、ナイスだ冬馬…」

冬馬「へっ」

久しぶりに友人達再会し、始業式を終えて帰りのHRで俺と琴葉は黒井先生に呼び出されていた

黒井「呼び出された理由はわかるな?」

P「はい、プロデューサー選挙の事ですよね?」

黒井「ウィ、約一ヶ月の投票期間の後、審査を行いプロデューサーを決定する」

黒井「そこで貴様達が志望する役職を聞いておこうと思ってな」

琴葉「私はプロデューサー志望で変わりありません」

黒井「貴様は?」

P「俺は…そうですね、マネージャーを…」

黒井「ふむ、ならば私が貴様を呼んだもう一つの用件を言わせて貰おう」

黒井先生が俺を正面に見据える

黒井「貴様、プロデューサーになる気はないか?」

一旦ここまで


やはりPをプロデューサーに推薦するやつが出てきたか……
主人公とヒロインが生徒会長に立候補するのは恋チョコの東雲√みたいだなw
まぁ、あっちは立派なモノをお持ちだったが。ナニがとは言わないが…おっと誰か来たようだ。

黒井「貴様、プロデューサーにならないか?」
DIO「私と友達にならないか?」

似てるww……似てなくない?

P「俺を…プロデューサーに?」

理解が追いつかない

隣にいる琴葉も驚いた表情をしている

黒井「ウィ、この黒井崇男が貴様をプロデューサーに推薦する」

P「あの、何故俺なんです?俺はプロデューサーには向いてないと思うんですが…」

黒井「私がそう判断したからだ」

P「その判断の基準を教えて下さい、琴葉のほうが仕事も出来るし何よりプロデューサー志望です、俺よりもよっぽど…」

黒井「ノンノン、どうやら貴様は自分の仕事に対する評価が低いようだな?」

黒井「私は今のプロデューサーからプロダクションの仕事の様子を聞いているのでな」

P「だったら…」

黒井「話は最後まで聞きたまえ」

黒井「確かに琴葉ちゃんは優秀だ、間違いない」

黒井「与えられた仕事をきっちりこなすし正確だ」

黒井「しかし、それだけだ」

P「どういうことです?」

黒井「プロデューサーにとって必要なことは仕事を正確にこなすことではない」

黒井「無論正確にこなすにこしたことはないが、琴葉ちゃんにはプロデューサーに必要なものが二つほど欠けている」

琴葉「それは…?」

黒井「一つは自分の判断で動くこと」

黒井「普通の社員であるうちは構わん、だがプロデューサーになると自らの判断で動かねばならんことが多くなる」

黒井「琴葉ちゃんの仕事を見ているとどうにも指示を待つ傾向があったのでな」

琴葉「…」

黒井「一方貴様は自分の仕事が終わっても次の仕事を考え行動していたな」

P「…」

黒井「まずはそこが違う、そしてもう一つ、それは人の上に立つ資質があるかどうかだ」

P「人の上に立つ資質…?」

黒井「ウィ、カリスマとでも言うべきか」

P「そんな、俺にカリスマなんて」

黒井「貴様はなんだかんだで人が集まってくる体質だ、聞いた話では水瀬の小娘とも交流があるそうだな?」

P「水瀬の小娘って…伊織の事ですか?」

黒井「ウィ、人を寄せ付けないあの小娘が貴様とは楽しそうに話していると高木から聞いている」

P「あれは伊織が俺を奴隷扱いしてるだけですよ」

黒井「ふむ、そう思いたければそれで構わんが」

黒井「色々と言いたいことはあるが貴様には人を率いる力がある」

P「それはただ友達がいるってだけだと思うんですが…」

黒井「なら聞くが貴様はその友達に何かを頼むとき、断られることが多いか?それとも快諾されることが多いか?」

P「それは…」

黒井「私も廊下などで目にする機会が多々あるが、よく頼ってくれと言われているな」

思い返してみると冬馬や翔太、海美や恵美にはよく何かあったら頼ってくれと言われていた気がする

黒井「貴様は周りのやる気を引き出すのが上手いリーダータイプだ、それを持つ者こそプロデューサーに相応しい」

P「…」

逃げ道が塞がれていく感覚がある

このままでは琴葉のプロデューサーになるという目標を潰しかねない

P「…それでも、やっぱり俺はプロデューサーには…」

琴葉「Pくん」

しばらく黙っていた琴葉が口を開いた

琴葉「辞退しないで」

P「琴葉…」

琴葉「プロデューサーを譲られたって私は嬉しくない」

琴葉「それなら正々堂々戦って、プロデューサーを勝ち取るわ」

琴葉はまっすぐこちらを見つめていた

P「…わかった、なら俺は辞退しない、琴葉と戦う」

黒井「…決まったか?」

P「はい」

P「俺の志望は…プロデューサーです」

黒井「ウィ、ならばこの用紙を2人に渡しておく」

P「これは?」

黒井「プロデューサー選挙用のプロフィール用紙だ、完成しだい持ってくるが良い、その都度張り出していく」

P「わかりました」

黒井「それと、貴様への支援だが私と現プロデューサーが着く、何か困ったことがあれば来るが良い」

P「えっ?律子先輩も俺側なんですか?」

黒井「ウィ、守銭奴を除いた他の社員は琴葉ちゃん側だ」

プロダクションが分裂してるみたいだ…

黒井「私の話は終わりだ、プロデューサー選挙、楽しみにしているぞ」

一旦ここまで

もうちょっとだけ更新したかったけど用事が入ってしまったので今日はここまで

職員室を後にした俺達は、2人で廊下を歩いていた

P「…」

琴葉「…」

俺達の間に会話はなく、気まずい空気が流れていた

P「…琴葉」

琴葉「頑張ろうね」

P「え?」

琴葉「私は全力でPくんとプロデューサーを争うわ」

琴葉「私の目標を達成するためなら、たとえPくんが相手でも私は戦う」

琴葉「それで選挙が終わったら、新しい765プロのみんなでアイスを食べに行きましょう?」

P「琴葉…わかった、約束だ」

琴葉「ええ、約束」

小指を絡め合う

いつの間にか下駄箱まで来ていた

琴葉「それじゃあPくん、明日からは」

P「ああ、プロデューサー選挙のライバルだ」

靴に履き替え、琴葉と校門で別れた

琴葉と戦うことになるなんて思わなかった

けど琴葉は戦うことを望んでいる

だから俺は琴葉の気持ちを尊重して相手をすることにした

明日からはライバルだ

冬馬「で、プロデューサーに立候補したわけか」

P「ああ」

翔太「なるほどねー」

友達連中には昨日の夜プロデューサーに立候補したことは伝えてある

こちらに着いてくれたのは冬馬、翔太、海美、貴音だ

恵美とエレナは琴葉の側に着いている

P「とりあえず昨日渡されたプロフィール用紙は完成したから後は公約とかを考えないといけないな」

冬馬「公約か…」

翔太「出来もしないことを掲げるよりは確実に出来ることを掲げる方が良いよね」

P「その事なんだが…」

冬馬「なんだ?」

P「俺、琴葉ほどプロデューサーへのモチベーションがないんだ」

それなら最初からプロデューサーを目指している琴葉がやったほうが良いに決まっている

P「ただ琴葉が戦うのを望んでいるから戦うだけなんだよな…」

冬馬「…お前、それでいいのかよ」

P「それでいいのかって言われてもな…」

冬馬「お前がやる気がないなら田中が言ってたプロデューサーを譲ることと何ら変わりはねえだろうが」

冬馬「プロデューサーは田中が今まで一緒に仕事をしてきたお前と戦ってでもなりたいものなんだろうが」

冬馬「それを最初から負けること前提で形だけ戦うなんて相手の気持ちを踏みにじってんのと変わらねえぞ」

P「…けど、もし勝ってしまったら俺は琴葉の目標を潰してしまう、それは嫌なんだよ」

冬馬「お前、田中を信じてねえのか?」

P「えっ?」

冬馬「俺は田中のことはよく知らねえ、でもお前は知ってるだろ」

冬馬「田中は負けたくらいでへこたれてお前に恨み言をぶつけるような人間なのか?」

P「違う、琴葉は与えられた仕事を責任をもってきっちりやり遂げる子だ、だから負けて他の役職になっても不満もなにも言わないはずだ」

冬馬「それがわかってるなら正面からぶつかれよ、向こうもそれを望んでるんだろ」

P「…ああ、そうだな!こうなったらやれるだけやってやる」

P「自分自身にも琴葉にも恥ずかしくないように!」

冬馬「へっ、だったら俺達もサポートするぜ」

一旦ここまで
油断してたら余裕の出社目前に…イベントって怖いわ

小鳥さんはもうちょっとしたら出てくるかも

すまぬ、今日は無しで
茜ちゃんからの呼称をPちゃんにしたら余所と被るからどうしようか悩む

放課後、黒井先生にプロフィール用紙を提出した

黒井「ウィ、確かに受け取った」

P「よろしくお願いします」

黒井「私が支援する以上、貴様には華麗に勝利を収めてもらいたいものだ」

P「努力します」

黒井「ではプロダクションの仕事をするがいい、私はプロフィールを添削する」

P「はい」

職員室を後にし、事務所へと足を向けた

事務所には既に亜利沙、可憐の他に夏休み明けからプロダクションに入った野々原茜がいた

茜「おやおやPちゃん!茜ちゃんだよー!ナデナデしてー!」

P「はいはい」

茜の戯れ言を無視して席に着く

事務所に入ってきたときに思った疑問を口にする

P「可憐、亜利沙、琴葉を知らないか?」

亜利沙「え?一緒に出たんじゃないんですか?」

P「俺は職員室に寄ったから一緒には出てないんだよ」

可憐「あ、あの…琴葉さんなら…美波さんやまつりさんと作戦会議をするって…」

P「作戦会議…そういうことか」

亜利沙「あー、聞きましたよ?Pさんがプロデューサーに立候補したって」

P「…ああ」

亜利沙「ありさ的には仲の良かったお二人が争うのはちょっと複雑です…」

P「ごめんな、なんかプロダクションが分裂したみたいになっちまった」

茜「でもでもー、琴葉ちゃんは戦うのを望んでるんだよね?じゃあーしょーがないよね!」

茜「そんなことよりー、可憐ちゃんと亜利沙ちゃんはPちゃんと琴葉ちゃんのどっちに投票するんだニャ?」

茜の言葉に2人が固まった

P「お、おい茜」

茜「でもさー、どうせ決めないといけないなら早いほうが良いって茜ちゃんは思うんだよねー」

P「それはそうだがわざわざ人に言うことでもないだろ」

茜「ま、それもそっかー!じゃあー亜利沙ちゃん、可憐ちゃん、茜ちゃんの言ったことは忘れてくれたまえ!」

亜利沙「…」

可憐「…わ、私は…」

可憐「私は…Pさんに、と、投票します」

P「可憐!?」

亜利沙「可憐ちゃん!?」

可憐「そ、その、別に、た、大した理由じゃないんですけど…」

可憐「Pさんはこ、琴葉さんの目標を知ってたから…そ、それでも立候補するのってきっと勇気が必要だから…」

可憐「だ、だから私も…Pさんみたいに、す、少しでも勇気を出せるようにって」

P「可憐…」

亜利沙「じゃ、じゃあありさは琴葉さんに投票します!」

亜利沙「琴葉さんは皆が笑顔で楽しめる学園にするって言ってました!」

亜利沙「それはつまりありさもあんなことやこんなことをしても許されると言うこと!」

亜利沙がなにやら興奮している

その横で可憐が香水?をハンカチに染み込ませている

亜利沙「だからありさは琴葉さんを…!モガッ」

可憐が亜利沙の後ろから手を回してハンカチで口と鼻を塞いだ

すると亜利沙は気を失い、地に倒れ伏した

大人しくなった亜利沙を隅っこに置き、話を再開する

P「ところで茜ちゃん」

茜「何か用かな」

P「茜ちゃんはどっちに投票しますか」

茜「秘密」

P「そうですかありがとう、ブラックホールすごいですね」

茜「それほどでもない」



P「茜ちゃんよー」

茜「何かなPちゃん、とりあえず頭割れるから放して欲しいな!」

P「お前可憐と亜利沙に投票先聞いたくせに自分は秘密とかおかしいだろ」

茜「だってまだ決めてな…あっ!ミシミシいってる!助けて可憐ちゃん!」

コキャッ

茜が大人しくなったので可憐に向き直る

P「それで、可憐は本当に(投票先が)俺で良いのか?」

可憐「は、はい!(投票先は)Pさんが良いです!」

P「わかった、じゃあ可憐の気持ちに応えられるように頑張るよ」

可憐「はい!」

すると事務所の扉が開き、琴葉が入ってきた

琴葉「あの…お邪魔だったかな…?」

一旦ここまで
亜利沙はサンバの背景の時のジャイアント茜ちゃん人形みたいな感じで隅っこに置かれています

Pも琴葉も亜利沙も可憐も茜ちゃんもまだ正社員じゃなくて見習いの契約社員だから…

P「?お邪魔って何がだ?」

琴葉「えっ、だってPくんと可憐ちゃんは(恋人的な意味で)一緒にいるんでしょ?」

P「そりゃあな、でもそれは琴葉だって(仲間的な意味で)同じさ」

琴葉「えっ!?(二股!?)」

P「何を驚いてるんだ?とりあえず作業を進めないと帰れないぞ」

琴葉「…」

P「今は立候補者同士とかは関係ない、ただの契約社員なんだからさ」

琴葉「…そうね」

P「?」

なにやら琴葉のテンションが低いが…まあ良いか

仕事はいつも通り終わらせたが琴葉のテンションが終始低かったのが気になったので話を聞いてみることにした

P「琴葉、もしかして体調が悪いのか?」

琴葉「え?」

P「なんかいつもと違う感じがしてさ」

琴葉「私…いつもと違った?」

P「ああ、いつも見てるからな」

琴葉「えっ…」

P「だから調子が悪いなら無理しちゃダメだ」

琴葉「心配してくれてありがとう、でも大丈夫だから」

P「そうか?」

琴葉「うん、それじゃあ私は先に帰るわ」

P「ああ、お疲れさま」

私は事務所の扉を後ろ手に閉め、ため息をついた

琴葉(Pくん、可憐ちゃんと付き合ってるのかな)

そう考えると少し胸が痛んだ

もし付き合っているのならあまり一緒にいない方が良いのかもしれない

琴葉(…でも)

心配してくれて嬉しかった

胸の痛みが和らいだ気がした

琴葉(この痛み…いったいどこから?)

もしかしたらPくんの言うとおり何処か悪いのかも知れない

琴葉(恵美とエレナに相談して、判らなかったら病院行こう)

私は少し軽い足取りで廊下を歩いて行った

一旦ここまで
牛歩で申し訳ないね

黒井先生や律子先輩、その他の先生達と話し合い、選挙用のポスターが完成した

そしてそのポスターは投票箱と共に高等部の様々な場所に設置される

冬馬と廊下を歩いているとそのうちの一つが目に入った

冬馬「とうとう始まったか」

P「こうやって自分のポスターがいろんな所に貼ってあるってなんか気恥ずかしいな」

冬馬「今更だな、この後壇上に立ったりすることもあるだろうにそんなんで大丈夫かよ?」

P「大丈夫だ………多分」

冬馬「多分かよ」

「こうやって…と、これで良い感じじゃないか?」

「…良い、笑顔です」

声のした方を見ると間島と武内が俺のポスターをマジックでスマイルワールドにしていた

間島の頭を変形させた

改めてポスターを見る

琴葉のポスターは俺のポスターの隣に貼られている

二つのポスターは少し離して貼られていて、この距離が今の俺達の距離のように感じられた

P(このままこの距離を維持する気はない)

だって俺達は…

P(仲間だ)

間島(もんげ)

投票期間と言ってもプロダクションはいつもと変わらない、皆で集まって作業をするだけだ

しかし律子先輩が優秀なので、今期の仕事はほぼ終了、引き継ぎ資料も俺用のものと琴葉用のものの二つを作ってなお時間が余っていた

やることがなくなってしまったのでプロダクションの仕事はしばらく休みだと言われてしまった

P「どうしたもんかな」

あてもなくぶらぶら歩いていると購買の近くまで来ていたので立ち寄ってみることにした

「あらいらっしゃい、久しぶりね」

購買のおばちゃ「お姉さん」

購買のお姉さんの音無小鳥さん(年齢不詳)が話し掛けてきた

P「こんにちわ」

小鳥「Pくん、購買に来るの久しぶりね」

P「まあ今年は学食行ってますから」

小鳥「寂しいわー、Pくんがあたしに会いに来てくれないから」

P「そうですか」

小鳥「あら、テンション低い」

特に買うものはないが適当に商品を眺めていると小鳥さんがこちらを見ていることに気付いた

P「どうかしました?」

小鳥「うーん…Pくん、何かに悩んでるわね?」

P「え?」

小鳥「なんとなくそんな気がするのよねー」

P「悩んでる…と言うよりは気になってるって感じですけどね」

小鳥「お姉さんに話してみない?もしかしたら何か見つかるかも知れないわよ?」

P「うーん…わかりました」

俺は小鳥さんにここ最近の出来事と琴葉のことを話した

話を聞いた小鳥さんは少し考え込んだ後

小鳥「それって、Pくんが琴葉ちゃんの事が好きって事じゃないの?」

と言った

P「俺が、琴葉を?」

小鳥「話を聞く限りではあたしはそう思うけど」

P「でも琴葉はプロダクションの仲間で、友達で」

小鳥「それ、人を好きになるのに関係あるかしら?」

P「それは…」

小鳥さんの言葉に、俺は詰まる

最初は友達の友達だった

でも765プロで一緒に仕事をしていくうちにいつの間にか目で追うようになっていった

小鳥さんの言うとおり俺は…琴葉のことが…

小鳥「ま、恋の悩みは若い人の特権よ」

小鳥「だから悩むんじゃなくてそれを楽しまないと」

P「…」

小鳥「あっといけない、もうすぐ特別なお客さんが来るから準備しないといけないの」

P「わかりました、それじゃあ俺は行きます」

小鳥「ごめんね?また悩みがあったらこの恋の伝道師たるあたしを訪ねてきても良いわよー!あ、百合子ちゃん文香ちゃんいらっしゃい」

俺は購買を後にした

…新しい悩みを抱えて

一旦ここまで
ピヨは仕事では私、プライベートではあたしっぽい

琴葉「…ふう」

恵美「まーたため息ついてる」

琴葉「え?」

恵美「もう10回くらいため息ついてるよ?もしかして疲れてる?」

琴葉「…そうね、ちょっと疲れてるかも」

エレナ「疲れてるときはあったかいお風呂に浸かると良いヨ-!」

琴葉「お風呂…そうね、そうしようかな」

この日はこれで解散となった

熱い湯船に体を沈める

私はお風呂が好きだ

熱いお湯に浸かっていると心も体もほぐれるし、体を洗うと悩みは嫌なことも一緒に洗い流せる気がするから

琴葉「…はあ」

でも今は…このわからない悩みが洗い流せる気がしなかった

琴葉「なんなんだろう、この気持ち…」

心に残っているのはあの日の光景

琴葉(可憐ちゃんがPくんに告白して…それで)

思い返すと胸が痛む

琴葉(2人が付き合っているなら私はあまりPくんと関わらない方が良いのかもしれない)

そう思ったとき、胸の痛みが鋭くなる

琴葉(…胸が痛い)

口元までお湯に沈む

まだ2人には相談していない、心配をかけたくなかったから

いつも助けてくれて、今回の選挙でも力を貸してくれている2人にさらに余計な心配をかけたくなかった

けれども、誰かに聞いて貰わなければ、この痛みがなんなのかわからない気がした

琴葉「…はあ」

何度目かわからないため息をつく

琴葉(…でも、どうして私がPくんと可憐ちゃんが付き合っていることを気にするのかしら)

Pくんとはただの友達、それ以上でも、それ以下でも…

そう考えると再び胸が痛む

頭を振り考えを頭から払う

このまま考えていても埒があかない

明日、恵美とエレナに相談しよう

そう考えて、湯船から上がった

次の日の放課後、選挙の話をするために学食の一角を借りて腰をかける

琴葉「今日は2人に相談があるの」

恵美「ん?なになに?」

エレナ「聞くヨー」

琴葉「実は…」

恵美とエレナにここ最近の胸の痛みのことと事務所で聞いたこと、その時感じた気持ちのことを2人に話した

琴葉「私、もしかしたらどこか悪いのかも」

エレナ「うーん…それって…」

恵美「…………………………」

エレナは思い当たる節があるのか言葉を捻り出そうとしている

恵美は…顔を伏せていて表情が見えない

やがて恵美が口を開いた

恵美「…琴葉はさ、どうしたいの?」

恵美「その気持ちの正体を知りたい?それとも知りたくない?」

恵美「仮に知ったとしても、諦めない?」

琴葉「どういうこと?」

恵美「いいから、答えて」

琴葉「私は…」

琴葉「私は、知りたい、こんな気持ちのまま、Pくんと会いたくないし別れたくない」

恵美「…そっか」

そう言って恵美は淋しそうに笑った

恵美「琴葉」

琴葉「…」

恵美「琴葉はさ、Pの事が好きなんだと思う」

琴葉「…え?」

恵美「Pの事が好きだから、可憐に嫉妬するし自分は関係ないって思うと苦しいんだよ」

琴葉「…」

恵美「アタシはわかるよ、その気持ち」

琴葉「私が、Pくんを…」

恵美「アタシはなんとなくわかってたけどね、授業とかでもたまにPのこと見てたでしょ」

琴葉「それは…」

気付かれていたことに顔が赤くなる

琴葉「やっぱり、私は…」

Pくんの事が…好きなんだ

あの日、初めてPくんと話した

それからも色んなことがあって、そんな時いつもPくんが隣にいた、助けてくれた

あの笑顔に心が満たされた、あの大きな手に何度も暖かさを貰った

気持ちを受け入れるとすっと心に馴染んだ

琴葉「…恵美…」

恵美「アタシは応援するよ、琴葉のこと」

琴葉「でも、Pくんの気持ちが…」

それが不安だった

いくら自分が好いていても相手にその気がなければ迷惑でしかない

Pくんに拒絶される…その事がたまらなく不安だった

恵美「大丈夫」

恵美が私の手を握る

更にその上にエレナの手が重なる

エレナ「コトハなら、大丈夫だヨ」

琴葉「エレナ、恵美…」

2人の手の温もりが心に伝わってくる

不安が少しだけ和らいだ気がした

琴葉「ありがとう、2人とも」

2人に感謝の言葉を述べる

琴葉「2人にはいつも助けられてばかりね」

恵美「そんなこと、気にしなくて良いって」

エレナ「うんうん、ワタシ達だってコトハに助けられてるからネ、お互い様だヨ」

琴葉「うん、ありがとう」

本当に、この2人が友達で良かった

琴葉「プロデューサー選挙が終わったら、私の想い、伝えるわ」

恵美「…うん」

琴葉「だから今は、プロデューサー選挙に集中しようと思うの」

恵美「そだね、目の前の障害を乗り越えて」

エレナ「一気に決めちゃおうヨ!」

琴葉「ええ」

この日、私はプロデューサー選挙への気持ちとPくんへの気持ちを固めた

一旦ここまで

全員まったく別の話にしてると微妙にネタが切れてくる
もっと引き出しがほしい…

今日はちょっとなしで

選挙が始まり数日が過ぎた

放課後に投票箱を回収し、その日の票を確認する

P「…思ったより拮抗してるな」

ここ数日の結果を見ると票数は一桁しか差がない

正直黒井先生や律子先輩には悪いがボロ負けすると思っていただけに、この票差は意外だった

琴葉の標語は「学園生活をブレイズアップ!」

熱く燃え上がるような琴葉の情熱が感じられる良い標語だと思う

ただ気合が入りすぎているのか、暑苦しく感じる層もいるようで、そういった層が俺に投票しているようだ

俺の標語は「みんなに…笑顔を…」なのだが、武内が「私はあなたを支持します」と気配を消して後ろから話し掛けてきた時は心臓が飛び出るかと思った

正直当選した後の具体的な運営はまだ考えていない、だからこそ曖昧な標語にしたのだが…思ったよりも受け入れられてしまい困惑している

P「…ふう」

冬馬「どうしたんだよため息なんかついてよ」

開票の手伝いをしてくれている冬馬が聞いてくる

可憐「お、お疲れならわ、私がリラックス出来るアロマを…」

P「ああ、いや、大丈夫、ちょっと悩みがあってな」

冬馬「悩みか…どんな悩みなんだ?」

P「正直よくわからん」

冬馬「は?」

P「俺のこの気持ちがなんなのか、わかんねーんだよ…」

いたここ

冬馬に最近自分が感じていること、思っていることを話した

冬馬は少し考え込んだ後

冬馬「それ、ただ単にお前が田中の事が好きだって事じゃねえのか?」

と小鳥さんと同じことを口にした

冬馬「そもそもプロダクションの手伝いを始めてからほとんど一緒にいたわけだしフラグの一つや二つ立っててもおかしくねえしな」

P「フラグって…ゲームじゃあるまいし」

冬馬「とにかく、一緒に仕事をしていくうちに好きになったってのはおかしいことじゃねえ」

P「そんなもんなのか」

冬馬「そんなもんなんだよ」

そんなもんなのか…

P「けどまだそうと決まったわけじゃ」

冬馬「うじうじしてても仕方ねえよ、なんなら確かめてみるか?」

P「どうやって」

冬馬「例えばだ、もし俺が田中に告白しようとしたら、どんな気持ちになる?」

P「…」

冬馬が琴葉に告白か…もしそうなったら…



P「とりあえずお前を殺すかな」

冬馬「おいやめろ目が笑ってないからこえーよ」

P「冗談だよ」

冬馬「嘘つけ」

P「ただまあ…想像してみたがすごく嫌な気分になったな」

冬馬「それだ」

P「何が」

冬馬「お前が田中に対して抱いてる感情が友達や仲間といったものならそんな気持ちにはならねえよ」

P「…」

冬馬「お前は田中を誰にも取られたくない、つまり独占欲があるってことだな」

冬馬「でもそれは好きな相手が出来たら当然の感情だと思うぜ」

P「独占欲…か」

冬馬「この先告白するにせよしないにせよ、どうするかはお前が決めることだ」

冬馬「ま、相談くらいは乗ってやるからよ」

P「その時は、また頼むよ」





小鳥さんにも、冬馬にも同じ事を言われた

おそらく他の誰に相談しても同じ答えが返ってくる…そんな確信めいた予感があった

つまり俺の気持ちは…

今はまだ確信は持てない、だけどこの気持ちに向き合ってみようと思った

一旦ここまで
最近更新出来てなくて申し訳ない

プロデューサー選挙の終わりが近付いてきた

現在の票数は、同票だった

高等部の生徒総数は奇数なので、必ずどちらかが勝つようになっている

そして今、俺の手の中には有効な投票券があった

プロデューサー選挙では、立候補者であっても投票をする権利が与えられている

立候補者は基本的に自分に投票するので、その権利はあってないようなものだが

別の使い道も存在する

だから俺は、この投票券を、投票箱へ入れた

昼休み、放送が入った

最後の集計が終わり、それを高等部生徒へ発表する

律子「プロデューサー選挙の投票が終わったわ、今から新しいプロデューサーを発表するから、聞き逃さないように」

律子「今回の立候補者は二人だけだから、さっと終わらせるわよ」

律子「まずは2-AのP、382票」

律子「そして同じく2-Aの田中琴葉、383票」

律子「よって765プロの新しいプロデューサーは、2-Aの田中琴葉に決まりよ」

一旦ここまで
誰か私に時間をください

P「負けたか…」

琴葉の方を見ると恵美、エレナと抱き合っていた

冬馬「ったく、お前って奴は」

冬馬が呆れた様子で声をかけてくる

P「なんだ?」

翔太「ま、Pくんらしいけどねー」

まるでお見通し、と言わんばかりに肩をすくめる二人

冬馬「なんにせよ、お疲れさん」

P「こっからだよ、選挙はあくまでスタートラインでしかない」

翔太「それでも、選挙大変だったでしょ?飲み物くらいなら奢るから食堂行こうよ」

P「ああ、ありがとな」

俺達は食堂へ向かうのだった

黒井「へっぽこ」

放課後、事務所へ向かう途中黒井先生に呼び止められた

P「黒井先生…」

黒井「まったく、この私が支援をしてやったというのに負けるとは、恥を知れ」

P「すいません」

黒井「ふんっ」

負けたのは事実なので素直に頭を下げる

黒井「敗者となった以上貴様に出来るのは馬車馬のように働くことだけだ、せいぜい貴様が勝たせてやったプロデューサーの元で死力を尽くすが良い」

黒井先生にもバレているようだ

P「はい…あの、黒井先生」

黒井「なんだ」

P「色々と、ありがとうございました」

黒井「…ふん、貴様にその気があるなら、また何か任せてやる」

P「はい、その時はお願いします」

黒井先生は少し不機嫌そうに歩いて行った

律子「それじゃあ琴葉、後はお願いね」

琴葉「はい、任せてください」

律子先輩から琴葉へ、正式にプロデューサーの役職が移る

俺も美波先輩からマネージャーを、可憐はまつり先輩、茜はちひろ先輩、亜利沙も先輩からそれぞれ役職を受け継ぎ、正社員となった

律子「さて、役職を譲ったところで、あなたたちが最初にする仕事を説明するわ」

律子先輩がホワイトボードを持ってきた

律子「最初の仕事は後期の部活予算や編成、他にも後期に入ったからこそやらないといけないことが沢山あるわ」

律子「それに11月頭に始まる文化祭へ向けて文化祭実行委員のまとめとか、有志出展の有無も調整しないと駄目ね」

律子「正直言って契約社員の頃より遥かに忙しくなるから、頑張ってね」

ホワイトボードにびっしり書き込まれた予定を確認し、少しだけ気が遠くなった

律子先輩の言葉通り、初日は大忙しだった

全員大忙しだったが茜は特に忙しかったようで、前期の予算の大半が行き先不明の闇に飲まれて消えていたようだ

後期の予算が組みにくい状態になっており、軽口を叩く余裕もなく終わった後は机に突っ伏して煙を噴いていた

琴葉と選挙のことを労いあうことも出来ないくらい、新生765プロの初日はあっという間に終わった

通勤の準備してたら今日休みだよって連絡あったよわっほい!
もう少し寝るので一旦ここまで

しかし仕事をしている間、不思議と心は穏やかだった

久しぶりに琴葉と仕事をしているからだろうか?

琴葉が隣にいてくれるならなんだって出来る

そんな気持ちになる

やっぱり俺は琴葉の事が好きなんだろう

だけどこの気持ちを表に出す気はない

俺が琴葉の事が好きでも、琴葉が俺のことが好きだとは限らない

もちろん好きであって欲しいが、先走って告白し、フラれた場合1年間気まずくなってしまうのが目に見えている

だから琴葉が俺のことが好きだと確信出来るまで、今のままの関係を続けたい

久しぶりにPくんと仕事をしている

選挙で勝てたことも含めて私は少し舞い上がっているのだろうか

忙しいけれど、まったく苦ではなかった

律子先輩からはプロデューサーはマネージャーと二人三脚のような物だと聞いている

つまり私はPくんを支えられるしPくんは私を支えてくれる

そう考えただけで気持ちが昂ぶる

だけど私はこの気持ちを今はまだ表に出す気はない

Pくんが私のことを好きだとは限らないから

だから私はPくんが私のことを好きだと確信を持てるまで、今のままの関係を続けたい

その時が来たら、勇気を出せるかな…

一旦ここまで
目が覚めたら22時だった件
Pと琴葉が書いててこいつら面倒くせーなと思いました

プロデューサー選挙が終わってから程なく、文化祭の準備が始まった

各クラスの出し物の申請書や、文化祭実行委員のまとめ、有志出展の調整など、新しい仕事が舞い込み、目が回るような忙しさだ

P「体育館でのライブ申請は!?」

可憐「は、はい、千早さん達とジュリアさん達が申請しています」

P「了解!琴葉、これの承認を頼む!」

琴葉「わかったわ!」

亜利沙「過去の議事録です!」

P「助かる!」

ちっひ「いいですか茜ちゃん?少しずつちょろまかすことが予算を回す秘訣ですよ」

茜「なるほどなるほど、流石はちひろちゃん!これなら文化祭茜ちゃん人形が作れそうだよ!」

ちっひ「ふふ、マネジメント料は4割で良いですよ」

P「火器・危険物の申請リストだ、頼む」

琴葉「任せて」

亜利沙「C組がポエムコロシアムの申請の受理はまだかと催促してます!」

P「提出されたの三十分前だろ!気が早すぎるわ!」

可憐「ゆ、有志出展のリストです、ひゃっ、百以上申請が出てます…」

P「わかった、こっちで処理するから投げてくれ!」

可憐「は、はい!」

P「琴葉、大丈夫か?」

琴葉「ええ、まだ大丈夫よ」

P「わかった、でも無理はするなよ」

琴葉「わかってる」

それから数日、未だ忙しさの中にあった俺達は、疲労が見え始めた茜、亜利沙、可憐を早めに帰らせることにした

可憐「あ、あの…本当に良いんですか?」

P「気にしないでくれ、みんな疲労が見えてるし、今日やらなきゃいけない分くらいなら俺と琴葉だけで事足りる」

亜利沙「お二人も無理しないでくださいね?お二人に倒れられたらありさ達、申し訳なくて死んでしまいそうです」

P「大丈夫だ」

茜「Pちゃん!お礼に今度ちひろちゃんにもらったスタミナドリンクをあげるよ!」

P「や、あれ俺には効果ないから」

可憐「あ、ちょ、ちょっと待ってください」

可憐が手提げ鞄の中を漁り、何かを机の上に置いた

P「これは?」

可憐「リ、リラックス効果のあるアロマです、せ、せっかくなので使ってください」

P「ありがとう、使わせて貰うよ」

可憐「それじゃあ…」

亜利沙「ありさ達は帰ります」

P「ああ、また明日な」

茜「じゃあねー!」

可憐達は出て行った

P「さて…早速使ってみるか」

俺は可憐にもらったアロマを焚き始めた

P「…変わった匂いだな」

この匂いにリラックスさせる効果があるのだろうか

琴葉「ごめんなさい、遅くなっちゃった」

扉が開き、琴葉が事務所へやってきた

P「気にするなって、それじゃあ作業を進めよう」

琴葉「ええ」






それから、二人で黙々と作業を続けていたが、体の異変に気付き始めた

…体が熱い

体の奥底から熱がわき上がってくるような、妙な感覚があった

…風邪でも引いたか?

しかし困ったことがある

P棒が元気になってしまい、立ち上がれないのだ

P「…」

どうしようかと考えていると、琴葉が声をかけてきた

琴葉「あの…Pくん」

P「…ん?」

琴葉「お茶…飲む?」

P「じゃあ、貰うよ」

琴葉「ん…わかった」

今の変な状態のせいか、琴葉の声がとても艶っぽい

琴葉が立ち上がろうとしたその時、琴葉が椅子に躓き転びそうになる

P「琴葉!」

咄嗟に琴葉が転ばないように支えた

琴葉「あ、ありがとう」

俺に支えられた琴葉は、熱に浮かされたような表情で、顔を真っ赤にしていた

その表情を見た俺は、高鳴る胸の鼓動を抑えられずにいた

まるで熱に浮かされたように頭がくらくらして、何も考えられない

琴葉も、俺の胸に顔を埋めたまま動かない

そして…

時間は少し遡る

可憐と亜利沙は、茜と別れた後同じ道を歩いていた

可憐「あれ?」

亜利沙「どうしました、可憐ちゃん?」

可憐「せ、製作をい、依頼されてた特殊なアロマがなくて…」

亜利沙「もしかしたら事務所に忘れちゃったかもしれませんね」

可憐「も、もしかしたら最初から持ってきてなかったかもしれません」

亜利沙「ところで可憐ちゃんの作ったアロマってどんな効果なんです?」

可憐「え、えっと、ピ、ピンクアロマの効果を5倍に増幅させたちょっと危険な…」

俺は今、琴葉に馬乗りされていた

P「琴葉…」

琴葉「Pくん…私、体が熱いの」

どうやら琴葉も同じような状態のようだ

琴葉「胸が張り裂けそうで苦しい」

琴葉が胸を抑える

琴葉「私、今おかしいみたい、だから…」

言いきる前に、琴葉が俺の唇を奪った

琴葉「Pくんの美味しいとこ、残さずちょうだい…?」

その後の記憶はない

一旦ここまで
告白はもうちょい先の予定
琴葉って出来れば泣かせたいじゃん?

P「はっ!?」

飛び起きるように目が覚めた

窓の外を見るとすっかり暗くなっている

時計を確認すると18時48分、もう間もなく完全下校時刻だった

P「いつの間に眠ってたんだ」

よほど疲れていたのか、作業途中で寝てしまったようだ

しかも夢まで見るなんて…

P「…夢?」

そういえばさっき見た夢は…

P「なんつう夢を見てんだ俺は…」

琴葉と杏奈ことを…

*おおっと*

>>426
琴葉と杏奈ことを… ×
琴葉とあんなことを… ○

しかし冷静に考えれば夢で良かったのかもしれない

まだ付き合ってもいないのに、一時の感情に流されて関係を持つとお互い良くないし

ふと琴葉の方を見ると琴葉も机に突っ伏して眠っていた

最近は寒くなってきたのでこのままだと風邪を引いてしまうだろう

P「琴葉、琴葉」

琴葉の肩を叩いて呼び掛ける

琴葉「ん…」

琴葉が体勢を変えたとき、後ろ髪がハラリと横にずれ、少し汗ばんだ白いうなじがあらわになった

P「…ゴクッ…」

うなじに目を奪われ、魅入りかけるが目的を思い出し、琴葉に再度呼び掛けた

2、3回琴葉の肩を叩くと、琴葉が薄らと目を開けた

琴葉「ん…」

琴葉は頭を持ち上げると、ゆっくりと辺りを見渡し

琴葉「今…何時?」

まだ眠そうな声で聞いてきた

P「18時52分、もうすぐ完全下校時刻だよ」

琴葉「ありがとう…」

琴葉は目を擦った後、俺の顔を見た

瞬間、琴葉の顔が爆発したかのように真っ赤になった

琴葉「!?!?!?!?!?!?」

何やらパニックになっているようだ

P「こ、琴葉!大丈夫か?」

琴葉「だ、大丈夫!大丈夫だから!」

琴葉は頭を抱えて蹲ってしまった

琴葉の反応…これは一体…

P「本当に大丈夫か?恥ずかしい夢でも見たのか?」

その言葉を聞いた琴葉の肩が跳ねた

琴葉「ちちち違うの!ただ我慢できなくなっただけで…夢?」

一旦ここまで
琴葉のうなじ見たい…見たくない?

琴葉「そっか…夢…夢よね」

琴葉がなにやら呟いているがよく聞こえない

琴葉「そう、あれは夢だったのね…悪い…いや、幸せだったけど、心臓に悪い夢」

琴葉「ごめんなさい、もう大丈夫だから」

P「そうか?」

まだ顔は赤いが立ち直ったようだ

琴葉「片付けるから、帰りましょう」

P「ああ」

俺達は職員室に鍵を返して、帰路についた

風呂を済まし、ベッドに寝転がる

目を閉じると今日見た夢のことを思い出す

…あれは本当に夢だったんだろうか?

もし夢なら一体どこから?

今でもはっきり思い出せる琴葉の体の感触、匂い…

あれが夢だったとは到底思えない

けれど夢じゃなかったのなら俺達は一線を越えてしまったことになる

一線を越えたのに覚えていないのは嫌だった

しかし…

P「琴葉…エロかったな」

唇の柔らかさも、匂いも、体の感触も…思い出すだけでまたむらむらしてくる

心を無にしてベッドを転がっていたが、徐にベッドから立ち上がり

P「…トイレ行こ」

少し長いトイレをした

私は枕に顔を埋めて足をばたばたさせていた

琴葉「ゆ、夢とはいえPくんを押し倒して、き、キスをして、そのうえあんなことを…」

枕を抱えてベッドを転がる

やがてぴたりと動きを止めた

琴葉「ちょっと勿体ないかな…」

結局私は夢じゃないと彼に対して積極的になれないのかな

もしかしたら、私の抑圧された気持ちが夢になって出て来たのかもしれない

琴葉「はやく想いを伝えたいけど、Pくんの気持ちがわからないから…怖い」

夢に見るくらいに想いは高まっているのに

彼に拒絶されたくない、その気持ちが私を踏み留まらせる

琴葉「…」

想いを伝えたいのに伝えるのが怖い、矛盾した気持ちが心をざわつかせる

Pくんはよく私のことを褒めてくれるけれど、私は彼に褒められるほど強くない

彼がいなければ私は何も出来ないのだから

甘えているのはわかっている

けれども、私にとって彼はもはやなくてはならない存在になっていた

彼の胸に抱き止められたとき、それだけで私の心が満たされた

あのままずっと、胸に顔を埋めていたかった

だけどあれは夢、その後の行為も、すべて私が作り出した幻だ

でも、例えあの出来事が夢幻の産物であったとしても

私は幸せな気持ちになれた

彼に欲望をぶつけて、ぶつけられて

夢の中では欲張りになれた

琴葉「現実でも、欲張りになれたらなぁ…」

そんなことを考えながら、私は瞼を閉じた

欲張りになるために

一旦ここまで

可憐「あ、あの、昨日はどうでしたか?」

P「ききき昨日!?」

突然可憐に昨日の事を聞かれ、思わず動転してしまう

可憐「は、はい、アロマを置いていったので…こ、効果はどうでしたか?」

P「あ、ああ…アロマね…」

可憐「?」

P「中々良かったよ、リラックスしすぎて居眠りしちゃったけど」

可憐「そうですか…こ、効果があったならよ、良かったです」

可憐「あ、それと…」

P「?」

可憐「昨日、じ、事務所にもう一つアロマはありませんでしたか?」

P「もう一つ?いや、見てないな」

可憐「そうですか…うう…どこいったんだろ…」

P「何か不味いのか?」

可憐「は、はい、ちょっと、き、危険なアロマを持ってきてたんですけど…なくしちゃって…」

P「えっ、それ本気で不味くないか」

可憐「はい…」

P「ちなみにどう危険なんだ?」

可憐「その…性的欲求を刺激するアロマなんです…他の物と比べて5倍くらいの効果があって…」

可憐「事務所くらいの広さなら普通に焚くと数分で夢を見れるくらいに頭が蕩けるレベルなんです」

可憐「だから調整して焚かないと、夢と勘違いして効果が切れるまで性的欲求が刺激され続けて…」

P「」

夢を見るレベルに性的欲求が刺激されるアロマ?

ということは昨日のアレはやっぱり…

P「そ、そうなのか、危険だな?」

可憐「うう…小鳥さんに引き渡す予定だったのに…」

可憐が頭を抱えて縮こまっているのを尻目に、俺はアレが夢じゃなかったことを確信し、更に琴葉を意識するようになった

今日は無しで、申し訳ない

文化祭の方向性を決めるための会議があった

今日も今日とて実行委員会議が開かれる

しかし…

P「今日も決まらなかったな…」

琴葉「そうね…」

うちの学園生は個性が強い、そのため、意見の衝突がよくあるのだ

実行委員会議でも例外ではなく、場所取りなどで今も揉めているのだった

P「やれやれ…このままじゃ文化祭に間に合わない可能性が出て来るぞ」

琴葉「そうならないようにしないと…」

なにせ議論に夢中になるとこちらの話を聞いてくれないのだ

白熱していく議論は脱線に脱線を重ね、もはや元のレールが見えないのが当然になっていた

会議の度にそうなることもあって、琴葉の顔には濃い疲労の色が見えた

P「琴葉、大丈夫か?」

琴葉「…そうね、まだ大丈夫、かな」

P「…」

口では大丈夫と言っているが、そう遠くないうちに倒れてしまいそうだ

一度無理矢理にでも休ませた方が良いのかもしれない

そんなことを考えていたから、注意力が散漫になっていたのだろう

階段を降りていたとき、琴葉が足をひっかけた

琴葉「…え?」

まるでスローモーションのように琴葉の体が宙に浮く

琴葉が驚きに目を見開いている

P「琴葉!」

思わず飛び出し、琴葉を庇うように抱き締める

琴葉を抱き締めているので受け身が取れず、体中を階段にぶつけた後、肩から床に叩き付けられ、頭を打った

P「っ!?」

肩に激痛が走る

視界がちかちかして上手く定まらない

朦朧とする意識の中、琴葉の無事を確認する

P「こ、琴葉、大丈夫か」

琴葉「私は大丈夫、それよりもPくんが!」

琴葉が腕の中から抜け出し、狼狽している

琴葉「誰か、誰か!」

琴葉の涙声を聞きながら

P(琴葉の体、やっぱり柔らかかったなー)

と思いながら、意識を手放した

全治一ヶ月だった

一旦ここまで
片腕が使えないときに女の子に色々とお世話して貰うシチュって素晴らしいと思うんですよ
だからPには怪我をしていただきました
でも琴葉にお世話して貰えるなら腕や足の10本や20本軽いもんだよね?

闇の中にあった意識が浮上していくような感覚を覚える

ゆっくりと目を開ける

するとこちらを覗き込んでいるこのみ姉さんと目が合った

P「あ…れ…」

このみ「!?目を覚ましたのね!?桃子ちゃん!お医者さん呼んで!」

このみ姉さんが振り返って叫んだ

少ししてからバタバタと誰かが走ってくる音が聞こえてきた

入ってきた医者と話をし、現状を把握する

どうやら俺は琴葉を庇って階段から転落したさいに受け身が取れず、頭を打ち付け二日ほど気絶していたらしい

このみ「私が琴葉ちゃんの声を聞いて駆けつけたら琴葉ちゃんが見たことないくらい取り乱しててなだめるのに苦労したわ…」

P「そうか…」

このみ「それとあんた、後二三日は検査入院だから」

P「二三日!?そんなに休んだら文化祭の方針決めが」

このみ「それなら大丈夫よ」

P「え?」

このみ「方針なら決まったわ、琴葉ちゃんが、昨日まとめて提出してきたから」

P「琴葉が…」

あんなにまとめるのに苦労してたのに、一体何があったのだろうか

このみ「そういうことだから、あんたは気にせずゆっくり休みなさい、腕は折れてるし足にはひびが入ってるんだから」

P「…」

ちらりと固定された腕と足を見る

琴葉を庇ったときのダメージは頭部だけではなかった

このみ「とりあえず、今は何も気にしなくて良いわ、だからこれ以上心配させないで」

P「このみ姉さん…」

翌日、そろそろ放課後かなと考えていると突然扉が開き、誰かが病室に飛び込んできた

P「おごっ!?」

飛び込んできた誰かは俺の首に腕を回し、思いっきり絞めてきた

P「ぐががが…」

「Pくん…ごめんなさい、ごめんなさい…!」

その誰かは一心不乱に俺を抱き締めて謝罪の言葉を口にしている

P「ギブ、ギブ」

しかし聞こえていないのか、俺を抱き締めたまますすり泣く声が聞こえてくるだけだ

恵美「琴葉~、Pは怪我してるんだから」

すると息を切らせた恵美が病死へ入ってきた

琴葉「あっ…ごめんなさい」

ようやく解放される

P「ああ、いや」

苦しかったけど柔らかかったのでどきどきした

恵美「調子はどう?」

P「一日中ベッドの上にいるのは暇だ」

恵美「そっか」

エレナ「もー、二人とも走って行っちゃうから探したヨー」

エレナも病室へ入ってくる

恵美「ごめんごめん」

琴葉「ごめんなさい、私の不注意で…」

琴葉が固定された腕と足を見る

その瞳は激しい後悔と罪悪感に満ちていた

だから俺は

P「琴葉は、怪我はなかったか?」

琴葉「え?私は…Pくんが守ってくれたから…」

P「それなら良かった」

その言葉を聞いて安心した

左手で琴葉の頭を撫でる

P「怪我がなくて良かったよ」

すると琴葉は目から涙を溢れさせた

恵美「でも、その状態って結構不便じゃない?」

見舞品のバナナを頬張りながら聞いてくる

P「んー、まあ不便だな」

気のせいかそれを聞いた琴葉が僅かに反応した気がした

エレナ「早く治ると良いネ!」

エレナが林檎を剝きながら言う

P「まあ治るまでは片手で何とかするさ」

琴葉「だったら…」

琴葉が顔を上げると

P「ん?」

琴葉「だったら、私がPくんの身の回りのお世話をするわ!」

P「…はい?」

とんでもないことを言いだした

一旦ここまで
階段で肩から落ちるとマジで受け見とれないよね

二三日の検査入院を終え、退院する日がやって来た

このみ姉さんに支えられて、エントランスに降りる

するとこちらを見つけた琴葉がすごい速度で走り寄ってきた

琴葉「このみ先生、後は私が」

このみ「それじゃあお願いね」

このみ姉さんの手が離れ、琴葉が脇へ入り込む

琴葉「それじゃあPくん、生きましょう」

P「あ、ああ…」

俺達は停めてあったタクシーに乗り、双海病院を後にした

昨日からちょっと誤字が多いから気を付けますん

タクシーに揺られて数十分、我が家の前でタクシーは停まった

琴葉は料金を支払うと、少しかがみ込んで俺が肩に手を回しやすいようにしてくれた

琴葉の支えを借りてタクシーから降り、運転手から松葉杖を受け取ると俺達は家に入った

桃子「…お帰り」

玄関に入るとものすごく不機嫌な桃子が待っていた

P「ただいま…桃子、すごく不機嫌じゃないか?」

桃子「別に、桃子はお兄ちゃんに対して不機嫌な訳じゃないから」

P「そうか…?」

よく見ると桃子の目は俺を見ていなかった

見ているのは…琴葉?

桃子「…」

桃子の瞳に激しい怒りが渦巻いているのがわかる

桃子「お姉ちゃんにお願いされたから仕方ないけど、桃子は琴葉さんのこと、許してないから」

桃子「不注意で自分が怪我したりするのは勝手だよ、だって自分が悪いんだから」

桃子「だけどそれにお兄ちゃんを巻き込むなんて許せない」

P「桃子!」

桃子「お兄ちゃんは黙ってて」

琴葉「…」

琴葉が黙り込んでいる

桃子「…とにかく、お兄ちゃんが琴葉さんのせいで怪我をしたのは間違いないから、責任を持ってちゃんとお兄ちゃんの世話をしてね」

琴葉「ええ、それが私の役目だから」

桃子「口より態度で示してよ」

桃子はそう言い捨てるとリビングへ歩いて行った

P「ごめん琴葉、妹が」

琴葉「ううん、桃子ちゃんの言うとおりだから」

琴葉「だから私はPくんを支えるから、絶対に」

琴葉にじっと見つめられて気恥ずかしくなって視線を逸らした

琴葉は宣言通り、俺の世話を始めた

正直申し訳なくなるくらい琴葉は献身的だった

俺が喉渇いたと思ったらどこからともなくお茶を持ってきたり

手洗いに行こうとすると気が付いたら体が支えられたりしていた

正直足の方はひびこそ入っているものの、松葉杖があるので歩けないことはない

そのことをさりげなく琴葉に伝えたのだが聞いては貰えなかった

そんな俺は今、風呂で琴葉に背中を流して貰っていた

琴葉は水着を着ているが一緒に風呂に入ってるのに変わりはない

何度も断ったのだが、片手で体は洗えないと言われて押し切られてしまった

その琴葉は今、真剣に背中を洗っていた

俺はと言うと好きな子と一緒に風呂に入ってるという事実にドギマギしていた

慰安旅行でも一緒に温泉に入ったが、あの時とはこちらの気持ちが違う

気持ちを自覚している以上、今この瞬間は天国と地獄が融合していた

琴葉「あ、あの、Pくん」

悶々としていると琴葉が声をかけてきた

P「な、なに?」

上擦りそうな声を上げる

琴葉「ま、前は…どうする?」

一旦ここまで

P「え?あ、とりあえずお願いします」

琴葉の言葉はするりと耳に入ってきた

そのため特に考えずに言ったのだが、これは間違いだった

琴葉「そ、それじゃあ…」

琴葉の手が俺の脇の下を通して手を伸ばしてくる

最初はおそるおそるといった感じで、あまり力が入っていなかった

もしくは力が入らなかったのだろう

琴葉「…よし」

何やら覚悟を決めたような声が聞こえ、それと共に

何やら柔らかい物が背中へ押し付けられる感触があった

P「!?」

突然の感触に混乱する

琴葉「Pくん、あんまり暴れると体が」

P「うっ…」

あまり暴れて治るのが遅くなるのも困る

だから俺は抵抗をやめた

琴葉「んしょ…んしょ」

琴葉が胸を押し付けながら俺の体を洗う

洗われているうちに俺のpがPになりそうになっているがなんとか抑え込む

P「ぐぬぬ…」

軽く了承した数分前の自分を殴りたい

琴葉の腕が首から胸に流れ、そして腹を洗った辺りで手が止まった

琴葉「…」

流石の琴葉もこれ以上はマズいと思っているのか、下に行っては戻り下に行っては戻りを繰り返し、俺の腹をさすっているような感じだ

P「あー、し、下は良いよ」

というか下まで洗われると俺のPがリミットブレイクしてストライドジェネレーションしてしまう

琴葉「そ、そう…」

琴葉の声に残念な感情があった気がするが気にしないことにした

風呂を出て部屋に戻ると布団が敷いてあった

ベッドから起きたときなどを考慮してあるのだろうか

P「琴葉、後は大丈夫だ」

夜も遅いが、琴葉を帰らせようとすると

琴葉「大丈夫、私、しばらく泊まることになってるから」

とんでもないことを言いだした

P「えっ」

少し短いけど一旦ここまで
新ガシャを見たとき、√FWのアフターのシナリオが確定した
あの恵美は卑怯

ベッドに入り、しばらく目を瞑っていたが眠気は襲ってこない

琴葉は布団の中で寝息をたてていた

P「…意識しすぎかな」

琴葉は俺の怪我が治るまで泊まり込むそうだ

琴葉の両親も了承しているらしい

うちの家族は背が低いし学年も違うので、このみ姉さん的には琴葉に泊まって俺の面倒を見て貰えるのはありがたいそうだ

P「さっさと治さないとな」

購買でスパドリでも買うか…

怪我を考慮し、いつもより早く家を出る

真っ赤になりながら着替えを手伝ってくれる琴葉が可愛かった

学園に着くと冬馬達が声をかけてきた

冬馬「よう、大丈夫だったか」

P「見ての通りだよ」

冬馬「元気そうだな」

海美「ね、ね、琴葉も色々と忙しいと思うからPのお世話は私に任せて良いよ!」

琴葉「でも私のせいで怪我したわけだし」

海美「大丈夫!私の方がPのことよく知ってるし!」

琴葉「大丈夫、私はこのみ先生に直々に頼まれてるから」

海美「うん、でもどうしても手が離せないときとかあるよね?だから私に任せてよ!」

琴葉「大丈夫、Pくんを優先するから」

海美「…」

琴葉「…」

一旦ここまで

海美「でも琴葉は席離れてるし、それなら隣の席の私の方が都合良いよね!」

琴葉「それなら先生に申請して一ヶ月だけPくんの隣の席に移動させてもらうわ」

琴葉「だから海美、私の席と変わってくれないかしら?」

海美「…」

琴葉「…」

ぎくっ

まあおまけの後のおまけ程度だけど、一応√UUは入れるつもり

>担当増えて困る
正直この感想が一番嬉しい
元は担当の魅力を紹介したいから書き始めたので一番モチベーションアップに繋がりました

√UUについて
別スレは立てずこのスレ内で書きます
短めなのであくまでおまけ程度に楽しんでいただけたらと

私の担当は海美、百合子、恵美です

恵美「愛されてるね~」

P「あんまり喧嘩はしないで欲しいけどな」

P「とりあえずトイレに行きたい」

冬馬「しゃあねえ、ついて行ってやるよ」

P「助かる」

冬馬の手を借りて立ち上がった瞬間、冬馬が壁際まで吹き飛ばされる

海美「P!トイレ行くなら私が連れて行ってあげる!」

琴葉「大丈夫よPくん、私がちゃんと連れて行くから」

琴葉と海美が押しかけてきた

P「い、いや、さすがに男子トイレまでは!」

海美「非常事態!非常事態だから大丈夫!」

琴葉「そう、非常事態だからやむを得ないの」

P「ええ…」

海美「それより早くトイレ行かないと時間がなくなっちゃうよ!」

P「いや、だから」

琴葉「海美、そっちをお願い」

海美「わかった!」

海美は俺の腕を首にかける

海美に譲ったのだろうか

琴葉「Pくん、少し不安定だけど我慢してね」

P「はい?」

すると琴葉も俺の腕を首にかけ、二人で俺を持ち上げた

P「ちょっ」

海美「それじゃ早足で行こ!」

琴葉「そうね、急ぎましょう」

P「お、おろへー!」

海美「おろへまへん!」

半ば拉致のようにトイレへ連行された

個室に入ることで最後の一線は死守した

その後も何かと世話を焼きたがる二人にある程度妥協しながら付き合った

特に大変だったのは昼食だ

海美と琴葉に挟まれ、利き手が使えないのを良いことに我先にと食べさせようとしてきた

流石に同時には食べられないので交互に食べたが腕が治るまでは昼食はパンが良いか

そして放課後、765プロへ顔を出すために事務所へ向かう

海美は部活があるため、渋々俺を琴葉に任せたようだ

P「1週間も顔出せなかったから仕事溜まってるんじゃないか?」

琴葉「それは大丈夫、だからPくんは安心して?」

P「ふーん?」

琴葉が事務所の扉を開けると他のメンバーは既に事務所に来ていた

みんながこっちを向く

可憐「Pさん!」

ぱあっと可憐が笑顔になる

亜利沙「Pさん、無事でしたか!ありさ心配しちゃいました!」

亜利沙も俺が無事だとわかって喜んでくれた

茜「Pちゃん?Pちゃん!駄目じゃないか!死んだ奴が出て来ちゃあ!」

茜はテンションがおかしかった

P「死んでねーよ」

琴葉「そうよ茜ちゃん」

茜「なーんちゃって!茜ちゃんジョークだよ!」

琴葉「うん、Pくんは死んでないから、ね?だから、ね?」

茜「あ、はい」

琴葉が笑顔で茜に注意していた

気のせいか目が笑っていないように見える

P「みんな、心配かけて済まなかった」

P「だけどこうして怪我だけで済んだし今日からまた一緒にやっていこう」

みんなは頷いてくれた

P「ところで琴葉、文化祭実行委員会はどうなったんだ?このみ姉さんは決まったって言ってたけど」

琴葉「うん、文化祭の方針は決まったから、後は各委員毎に進めて、必要になったらまた会議をする…って感じになったの」

P「そうなのか」

茜「PちゃんPちゃん」

茜が手招きしていたので茜の口元に耳を寄せる

茜「ふーっ」

P「ほわ!?」

耳に息を吹きかけられゾクッとした

…琴葉の目が少し濁った気がした

P「何しやがる」

右腕が使えないので左腕でアイアンクローをかける

茜「あ、Pちゃん左腕でも普通に力つよあいたたたたた」

P「まったく」

茜「ちょっとした茜ちゃんジョークだよ!今度こそ真面目にやるから」

もう一度耳を寄せる

茜「Pちゃんが階段から落ちた次の日、茜ちゃんがPちゃんの代わりに会議に出たんだけど琴葉ちゃん滅茶苦茶怖くてさ」

茜「まるで背中に修羅を背負ってるかのような迫力で…今にも俺達が地獄だって言いそうなくらい気迫が凄かった」

茜「だからみんなびびっちゃって琴葉ちゃんの言うことに従ったからあんなに苦労した方針決めもあっという間に終わったよ!」

P「…なるほどな」

琴葉が随分頑張ってくれたらしい、近いうちに何かお礼しよう

P「わかった、教えてくれてありがとうな、茜」

茜「お礼はコレでいいよPちゃん!」

茜が指で銭の形を作る

もう一度茜にアイアンクローをお見舞いし、静香になったので琴葉に指示を仰ぐ

琴葉「風紀委員長の真さんと当日の学内警備の打ち合わせがあるの」

琴葉「もうすぐ事務所に来るはずだから真さんと一緒に配置を相談してほしいかな」

P「わかった」

琴葉「私は有志の人達と打ち合わせがあるからしばらく席を外してしまうけど…何かあったらすぐに電話してね?何を差し置いても駆け付けるから」

P「ん、わかった」

しばらく待っていると高山さんを連れて真が事務所へやってきた

真「ごめん、待たせちゃった?」

P「いや、気にしないでくれ、本来ならこっちが出向かなきゃならないのに」

真「Pは足怪我してるんだから、それなら動けるボクたちが動く、当たり前のことだよ」

P「ありがとな」

真「それじゃ、本題に入ろうか」

P「ああ」

俺達は学園の見取り図を広げ、どの場所に配置するかを話し合った

俺は風紀委員に詳しい訳じゃないし、真は言っちゃ何だが脳筋の気がある

だからこそ風紀委員を把握している高山さんのアドバイスは非常に助かった

真「それじゃあ当日はこの配置で行くよ」

真「配置表が完成したら持ってくるから」

P「わかった、ありがとう」

真との打ち合わせを終え、俺は片手で出来る作業を開始した

静香ちゃんの馬鹿!
一旦ここまで

ザビーネネタを使った翌日にクロスボーンがスパロボ参戦発表とか読めるかこんなもん

すべての業務が終わり、帰り支度をしているとLINNEの通知があった

確認すると、海美からのメッセージだった

海美:ねえ今どこ?

P:地球ん中 既読

海美:そういうのいいから

ばっさりと切り捨てられた

つまらん奴め…

P:プロダクションの事務所だよ、今帰り支度してる 既読

…既読はついたが反応がなくなった

茜「それじゃあPちゃん!茜ちゃん達は帰るぞい!」

P「おお、お疲れさま」

可憐「お、お先に失礼します」

亜利沙「また明日!」

三人は並んで帰って行った

琴葉「それじゃあPくん、私達も戸締まりして帰りましょう」

琴葉の言葉に頷き、琴葉の帰り支度を待っていると突然事務所の扉が開いた

海美「P!一緒に帰ろ!」

海美、急襲

海美「ほらほら、掴まって!」

海美が手を差し伸べてくる

琴葉「海美、戸締まりするから事務所から出てくれる?」

海美「戸締まりするならPも私も外にいた方が良いよね?」

琴葉「Pくんは私がちゃんと連れて行くから大丈夫よ」

海美「役割分担だよ役割分担!私がちゃんとPを支えてるから、琴葉は気にせず戸締まりして良いよ!」

琴葉「…」

海美「…」

結局三人一緒に戸締まりをし、三人一緒に校門を出た

海美「それじゃあ琴葉、私達は一緒に帰るね!また明日!」

琴葉「私もしばらくの間こっちなの」

海美「そうなんだ!」

二人に支えられながら帰路を歩く

歩くとは言ったものの俺の足は浮いていた

やがて家が見えてきた

海美「じゃあ琴葉、家も見えてきたし後は私だけで大丈夫だよ」

海美が少し引っ張る

琴葉「私、実は今Pくんの家に泊まってるの、だから私に任せて?」

海美「…へえ」

少しだけ海美の目が細くなる

琴葉「さあPくん、帰りましょう」

海美「…」

琴葉「それじゃあ海美、また明日」

部屋に戻ると窓が開いており、俺の部屋には来客があった

海美「…」

P「海美、どうしたんだ?」

海美「あ、うん、私決めたよ!」

P「何を」

海美「私も今日からしばらくPの家に泊まるから!」

P「えっ」

琴葉「えっ」

…また一波乱起こりそうだ

一旦ここまで
ちあきの部屋

…どうしてこうなった

夕食を終え、風呂に入った俺は内心頭を抱えていた

海美「琴葉のやり方だと綺麗にならないよ!」

琴葉「海美のやり方だとPくんの傷に影響が出るわ」

海美「…」

琴葉「…」

この二人、張り合うのだ

どちらも俺への好意からくるものだと理解はしている

ただ争っている姿は見たくないのでそれとなく言ってみたが効果はなかった

琴葉「じゃあ私は右を」

海美「私は左!」

何だかんだと言い合っていたが結局は俺の体を半分ずつ洗うことで解決したようだ

ちなみに二人はバスタオルではなくタオル一枚だった

何度も水着を着るか服を着てくれと言ったのだが二人揃って風呂に水着で入るのはおかしいと反対され、結局タオル一枚でということになった

P「…」

ちらりと海美を見た

琴葉より大きかった

風呂から上がり、ベッドに倒れ込む

いつもより疲れた気がする

琴葉と海美はそれぞれ布団を敷いていた

流石にスペースがないのでベッドに沿ってL字になるように敷かれている

海美は足下側なので踏んでしまう可能性を伝えると

海美「Pになら踏まれても良いよ!」

と笑顔で言われてしまった

ベッドに横たわり少し考え込む

琴葉は俺に好意を抱いてくれている

今まで確信は持てなかったが今ならわかる

俺自身も琴葉に対して恋愛感情を抱いているのでこれは琴葉の好意は嬉しかった

もし何もなければ告白していただろう

しかしこのタイミングで海美が全力の好意をぶつけてきた

いや、今までもぶつけていたんだろう

俺がそれを受け流していただけだ

恋を知ったからこそわかる

海美がどれだけ想いをぶつけていたか

そして俺がどれだけその想いを踏みにじってきたか

だから俺は向き合わなければならない

琴葉の気持ちにも、海美の気持ちにも、自分自身の気持ちにも

この1ヶ月で、答えを出そう

それから2週間ほど経った

とうとう文化祭を迎え、学園には熱気があった

しかし…

P「…退屈だ」

冬馬「仕方ねーだろ」

俺は事務所の中で本を読んでいた

人混みの中へ怪我をした状態で行かせるわけにはいかないという琴葉と海美の判断だった

このみ姉さんもそれに賛成したため、俺は事務所で退屈な時間を過ごしている

何故か冬馬も一緒にいる、理由を聞いたところ、特に見たいモノもないからだそうだ

本を読むのも飽きたため、冬馬とオンラインゲームで遊んでいると海美が戻ってきた

海美「お待たせ!色々買ってきたよ!」

海美が屋台で買ったであろう食べ物を置いていく

冬馬「相変わらず食い物の出来は良いな」

冬馬はフランクフルトを食べていた

海美「でも結構良い場所だよね、事務所」

冷暖房完備なうえに冷蔵庫やテレビも備え付けてあるので確かに外よりは快適かもしれない

P「まあ下手に外に出るよりはな」

うどんを啜りながら手元に目を落とす

採取をしていた俺のキャラは冬馬のキャラにMPKされていた

冬馬「そういやお前利き腕じゃないのに良く箸が使えるな」

P「色々あったんだよ」

怪我をしてから二人を喧嘩させないために必死で箸の練習をした結果、左腕でも問題なく箸を扱えるようになった

P「ずっと甘えっぱなしってのもな…」

冬馬「ああ…苦労してるんだな」

冬馬は何かを察したかのように頷いていた

…正直琴葉の…俺達の作り上げた文化祭を楽しみたかった、だけど俺は怪我をしてしまった

こんなに悔しいことはない

今まで学内イベントなんて適当に過ごしていた

だけど運営する側に回った時、俺はその苦労をしった

イベントを楽しんで貰うために、色々と錯誤をし、ようやく完成させたもの

人が楽しんでくれることを想像しながら企画をたてた

もっとも大切なのは、色んな人が楽しんでくれるということ、しかしそれは自分が一番最初に楽しいと思わなければ成立しない

自分が楽しいと思えないものが他の人を楽しませるなんて出来るはずがない

だから今回の文化祭は、俺にとって苦いものとなってしまった

P「…」

海美「…」

海美が何かを言いたげにこちらを見ていた

しかし俺は海美から目を逸らした

こうして、文化祭は終わりを告げた

文化祭から2週間

大分足も治った気がするが、未だ二人は家に泊まり込んでいる

桃子の琴葉に対する態度も幾分か柔らかくなった

ただ二人が俺に引っ付くのは許容出来ないのか、夕食時に無表情に片手で箸をへし折るのは辞めて欲しい

そして文化祭に続くイベント、クリスマスパーティーの時期がやって来た

P「クリパか…」

可憐「…」

ちっひ「可憐ちゃんから頂いたアロマ、予約がいっぱいで馬鹿売れですよ、私が奢りますしクリスマスは飲みに行きましょう、二人で」

茜「さっすがちひろちゃん!話がわかるぅ!」

亜利沙「」

P「亜利沙はどうしたんだ?」

琴葉「追い掛けていたアイドルの熱愛が発覚したそうよ」

P「なるほど」

P「クリパが始まる頃には包帯も取れるし、今回は楽しむぞ」

琴葉「そのためにはまずクリパの方針を決めないとね」

P「方針か、どうしたもんかな」

琴葉「文化祭と違って完全に学内限定イベントだから文化祭みたいに屋台はあまり出せないし有志も絞らないといけないわね」

P「有志は文化祭の時みたいにステージに限定しても良いかもしれない」

琴葉「ステージ…そうね、ジュリアからまたやらせてくれって言われてるしそれも良いかも」

P「となると屋台のほうか、こっちはどうしようかな…」

その後も屍と化した亜利沙を放置して話し合いを進めた

この日、結論は出なかった

クリパの企画を考えている琴葉と海美を見ながら、俺はベッドの上で考え事をしていた

…俺の中で答えが決まりつつある

ただその答えは今を壊すものだ

俺を取り合いつつも仲良くしている二人を見ていると本当に答えを出すべきなのか尻込みしてしまう

だけどいつまでもどっちつかずでいるわけにはいかない

クリパの当日、俺は二人に自分の気持ちを伝えよう

例えそれが泣かせる結果になったとしても

一旦ここまで

心地良い関係に甘えていてはいけない
人が人であるために答えを出して前に進まなきゃ駄目なんだよって育さんが言ってた

とうとう包帯が取れた

P「…よし」

腕と足の調子を確かめたが問題はないようだ

エントランスで待っていた琴葉と海美と合流する

琴葉「良かった、包帯取れたのね」

P「ああ、予想よりも治りが早かったみたいだ」

海美「スパドリのおかげだね!」

切り傷やかすり傷くらいなら一緒で治るけど、骨折にも効くなんて一体何で出来てるんだろうか

俺が快復したので琴葉と海美が泊まる理由がなくなった

今、二人を見送るために玄関まで来ている

琴葉は家が離れているので家まで送ろうかと思ったが

足が治ったばかりなのにそんなことはさせられないと断られてしまった

P「それじゃあ二人とも、本当に助かった、ありがとう」

琴葉「私の方こそ…私を庇って怪我をしたのに家まで押しかけてお世話になってしまったから…」

海美「久しぶりにPと一緒に寝れて楽しかったよ!」

と言ってくれた

P「それじゃあ二人とも、また明日」

琴葉「また明日、お休みなさい」

海美「お休み!」

琴葉の姿が見えなくなるまで見送った後、部屋に戻る

三人だと少し狭かった部屋が、今は広く感じた

クリスマスパーティー当日、俺は765プロの一員として見廻りをしていた

冬馬「やっぱり文化祭よりは盛り上がらねえな」

P「規模が規模だからな、仕方ない」

校庭の真ん中に設置されたツリーに悪戯がされていないか確認しながら時計を見る

17時か…道理で暗いはずだ

P「冬馬、そろそろ戻ろう」

冬馬「ああ」

そして冬馬と教室の前で別れる

その後施錠を確認していくと、普段は空いていない屋上の鍵が開いていることに気が付いた

P「誰かいますか-?」

扉を開け、声をかける

返事は帰ってこなかったが、念の為、屋上に出ると

空を見上げる海美がいた

P「海美、何してるんだ?」

誰かが屋上に来たことは気付いているだろう

それでも空を見続ける海美に、俺は声をかけた

俺の声が聞こえた海美は、ゆっくりとこちらを振り向いた

海美は無言でこちらを見ていた

俺も海美へ視線を向けているため、そのまま見つめ合う形になる

先に動いたのは海美だった

海美「月が綺麗だね!」

P「そうだな」

今日は良く晴れているので星も月も綺麗に出ている

海美「…」

P「?」

なにやら海美が複雑そうな顔をしている

海美「やっぱり人の言葉を借りるんじゃなくて…私らしく行こう」

海美が何かを呟き、拳を握った

次の瞬間、海美は俺との距離を詰めた

そして海美の顔が間近に迫ったと思ったときには

海美に唇を奪われていた

世界の時間が止まったような感覚だった

全ての音が消え、世界に俺と海美しかいないような

そんな一瞬だった

しばしの静寂の後、海美が唇を離した

P「…海美」

海美は俺の胸に顔を埋めたまま動かない

俺は海美を抱きしめることも出来ず、ただ手を少し広げて固まっていた

やがて海美が顔を上げる

海美「…好き、あの日からずっと」

海美「ずっと好きだった、1ヶ月一緒に生活して、もっと好きになった」

海美「でもPの隣には琴葉がいて、琴葉と仲良くしてて、Pが琴葉に取られちゃうんじゃないかって思ったら気持ちが溢れてきて…」

海美が俺の服の胸元を握る

海美「負けたくないって思った」

海美「だからPの家に泊まった」

海美「Pと琴葉が二人でいるのが嫌で、邪魔するために泊まった」

海美「そしたら一緒に暮らすうちに琴葉のことも良くわかってきて、琴葉が本当にPのことが好きなんだってわかって」

海美「…私が入り込む隙間なんてなかったんだって思った」

P「海美…」

海美「私女子力低いからさ、こんなことでしか自分の気持ちを伝えられなかった」

海美「…返事はしなくて良いよ」

海美は俺から体を離すと後ろを向いてしまった

その表情は見えない

海美「…ごめん、ちょっとだけ一人にして欲しいかな」

P「…わかった」

俺は海美を置いて、屋上から出ていった





クリスマスパーティーが終わり、琴葉を家まで送っている間、ずっと海美の事を考えていた

海美は返事はしなくて良いと言った

だけどその顔は泣きそうだった

P「…」

琴葉「Pくん、どうしたの?」

難しい顔をしていたのか、琴葉が心配そうに声をかけてくる

P「ああ、いや、なんでもない…」

適当に誤魔化すと、琴葉はまた前を向いて歩き出した

俺の気持ちは琴葉に向いている

だけどその事が海美を傷付けてしまった

俺がもっと早く答えを出していれば、海美があんなに傷付くことはなかったのかもしれない

そんなことを考えながら歩いていると、琴葉はある橋の前で足を止めた

琴葉「…ねえ、Pくん」

P「…何?」

琴葉「聞いて欲しいことがあるの」

琴葉はこちらを振り返り、正面から見つめ合う

琴葉「私はこの1年ずっとあなたに助けられてきた」

琴葉「あなたがいてくれたから私も頑張ろうって思えた」

琴葉「あなたの優しさに何度も心が暖かくなれた」

琴葉「だから」

琴葉「あなたが好きです、私の側にいてください」

一旦ここまで
√HW終了間近
残り二三日くらいの予定

琴葉の言葉に心臓が跳ねた

待ち望んだ言葉、待ち望んだ気持ち

それが彼女から俺へ向けて発せられている

だから

だから俺は

P「…俺も」

P「俺も琴葉が好きだ」

自分の気持ちを素直に伝える

P「琴葉が隣にいて笑ってくれる、それだけで俺は頑張れた」

P「琴葉がいたから、変われたんだ」

P「だから、俺の側にいてください」

琴葉に手を差し出す

琴葉「…はい!」

琴葉が俺の手を握る

そして俺は琴葉を抱き寄せた

進路を変更し、俺の家へ琴葉を招いた

幸い明日は休みなので多少遅くなっても問題はないだろう

琴葉は今、俺のベッドに腰掛けている

帰ってきた時このみ姉さんにはからかわれ、桃子には呆れられた

このみ「あら、やっとくっついたのね」

このみ「ヤるのは良いけどちゃんと避妊はしなさいよ~」

と言うとビールを片手に部屋に戻った

桃子「はあ…結局こうなるんだね」

桃子「別にヤるのは良いけど桃子たちに迷惑かけないでよね」

と言うとリビングでふて腐れていた

二人がヤるヤる言うので二人して真っ赤になってしまった

それを見たこのみ姉さんはにんまりと笑い、桃子は舌打ちをした

そんな状態で部屋にいるため、お互い意識をしまくっていた

しかし付き合って初日に事に及ぶなんて…と思ったがよくよく考えると可憐のアロマの事を思い出した

思い出してしまった

P「…」

琴葉「Pくんの部屋…1ヶ月一緒に暮らしてたのに、改めて来ると何だか緊張するね」

琴葉も頬を染めていた

琴葉の隣に座ると琴葉は僅かにこちらへ身を寄せた

俺は琴葉の肩を抱くと、琴葉は俺の肩へ頭を預けた

しばらくそうしていると、気持ちが昂ぶり、プロデュース棒もエネルギーを充填し始めた

P「…」

このままではまずい、そう思った俺は立ち上がろうとして…

P「ほ?」

琴葉に袖を引かれ、ベッドに押し倒された

琴葉が俺に覆い被さっている

P「…琴葉」

琴葉はしばらく俺を見つめた後

俺に口付けをした

P「!」

口内に琴葉の舌が入り込む

琴葉は俺の口内を蹂躙した後、口を離す

二人の間に、唾液の線が引かれた

琴葉はそれを舐め取り、口元に妖艶な笑みを浮かべた

琴葉「いつか見た夢が、私の目の前にあるの」

琴葉「だから私は、もう我慢できない」

救性主なんだよ、僕は

朝、雀の鳴き声で目を覚ます

隣には琴葉が安心した顔で眠っていた

これが世に言う朝チュンというやつだろうか

昨日は琴葉と心も体も結ばれた

心も肉体も繋がった時間は人生で最高のものだった

昨日のことを思い出すと朝から幸せになれた

思い出すと同時に誇り高きバベルの塔が自己主張していた

いや、斜めを向いているからピサの斜塔か

などと考えていると右腕が抱き締められる感覚があった

隣を見ると琴葉が右腕を抱き締めている

P「…おはよう、琴葉」

琴葉「おはよう、Pくん」

琴葉が微笑む

琴葉「昨日は、凄かったね」

琴葉「私、まだふわふわしてる」

琴葉が顔を赤らめながら感想を述べる

琴葉「でも、私は欲張りでいたいから」

P「ほわ!?」

突然琴葉にPスティックを握られた

琴葉「Pくんの美味しいトコ、残さず食べるまで満足しないよ?」

体力がデリートデリートされた

一旦ここまで
これこの程度ならR板に移動させられたりしないよね?

海美 攻
恵美 受
琴葉 攻
翼 攻
エレナ 攻
ジュリア受

静香 受
志保 両
このみ 両
朋花 攻
百合子 受
美奈子 両

一応攻守はこんな予定

休日を二人でデリシャスに過ごした

泊まっていた琴葉と一緒に家を出たとき、同じく家から出てきた海美と鉢合わせた

海美「あっ…」

琴葉「海美…」

海美と琴葉の間に気まずい空気が流れる

琴葉「あの…」

海美「Pと琴葉、付き合ってる?」

P「…ああ、付き合ってる」

海美「そっか…」

海美は少し顔を伏せた後

海美「おめでとう!」

明らかに無理をしているとわかる笑顔で祝福してくれた

海美「うん、二人はお似合いだね!」

海美「これなら私も諦められる」

P「海美…」

海美「あんまり二人の邪魔をするのも悪いから私先行くよ!それじゃ!」

琴葉「あ!」

海美は走って行ってしまった

P「海美とは時間をかけて分かり合うしかないな…」

琴葉「私も、海美とは友達でいたいから、また気楽に話せるようになりたいな」

P「ああ」





教室に着くと恵美に話があると廊下に連れて行かれた

P「それで、話って?」

恵美「琴葉と付き合ってる…んだよね?」

P「ああ」

恵美「そっか…」

恵美「それじゃあアタシからのお願い」

恵美「琴葉のこと、支えてあげてね」

恵美「琴葉はすぐに無理するから、誰かが隣にいてくれないとすぐに壊れちゃうし」

恵美「それがPなら安心かな」

P「もちろんだ、俺は琴葉を支え続けるよ、何があっても」

恵美「ん、期待通り」

恵美は満足そうに微笑んだ

恵美「じゃあ戻ろっか」

P「ああ」

恵美「----------」

恵美が何かを呟いたが、聞き取れなかった

教室に戻ると琴葉が恵美と何を話したのか聞いてきたが、適当にはぐらかした

すこし不満そうだったが特に追求はされなかった




放課後に事務所へ行くと、亜利沙達からは本当に付き合っているのかと聞かれた

亜利沙「それじゃあ、お二人は本当にお付き合いしはじめたんですね!」

可憐「お、おめでとうございます…」

亜利沙は興奮し、可憐は何故か少し沈んでいた

茜「二人が付き合ってるならさしずめここは愛の巣だね!」

琴葉「あ、愛の巣…」

何故そこで愛?そして琴葉さんは何故顔を赤らめていらっしゃるのか

琴葉が顔を赤らめているとあの時のことを思いだしてこっちも顔が赤くなりそうだ

茜「まさか茜ちゃんとPちゃんの愛の巣が琴葉ちゃんにPちゃんごと奪われるなんて…しくしく」

茜が泣いた振りをしている

P「俺とお前の間にそんな事実は何一つないだろ」

茜「そんな!Pちゃんはあんなに激しく(アイアンクローで)茜ちゃんを責め立てたのに!」

P「人聞きの悪いことを…」

琴葉「Pくん…どういうこと?」

P「えっ、ちょっと琴葉さん、目が怖いんですが」

問答無用で琴葉に引き摺られ、外に連れ出される

P「こ、琴葉!ここ学校!ちょ、ちょっと琴葉!」

亜利沙「お二人は仲良いですねー」

プライベートレッスンでSR保健体育が覚醒した

業務を終え、帰路につく

暗くなった道を二人で歩く

琴葉「ねえ、Pくん」

P「ん?」

琴葉「私、Pくんへの想いが時間が経つ毎に強くなってくる」

琴葉「私は最初に付き合った人と結婚するってずっと思っていたから」

琴葉「最初に付き合ったのが、Pくんで本当によかった」

P「俺も、初めての大切な人が琴葉でよかったよ」

琴葉「嬉しい」

琴葉「二人で見る未来はどんな未来になるかな」

P「良い未来に決まってる」

琴葉「叶えたい想いに純粋なままでいられたら、きっと叶えられるよね?」

P「ああ」

琴葉「二人なら叶えられる、歩いて行ける」

琴葉「Pくんには私の手を握っていて欲しい、私も、Pくんの手は絶対に離さないから」

琴葉と手を握り合う

繋いだ手から琴葉の暖かさが伝わってくる

二人で寄り添いながら道を歩く

この先の未来なんてわからない

それでも、今隣にいる彼女となら、どんな困難も乗り越える

それを確信していた

少し強く手を握る、すると握り返される感覚があった

俺はこの暖かい手を、俺はずっと守っていきたい

俺はそう思った

尾張

√HW、本筋はこれにて終了
海美との関係は√HW Aまでお待ちを
正直落とし所を見失った感があるので精進したい

おまけ √UU

>>608から分岐

琴葉の言葉に心臓が跳ねた

待ち望んだ言葉、待ち望んだ気持ち

それが彼女から俺へ向けて発せられている

なのに

なのに俺の中で、あの時の海美の表情が、声が焼き付いていた

P「…少し、考える時間をくれないか」

琴葉「…うん、待ってる」

俺は返事を先延ばしにした

本当は今すぐ返事をしたいのに

海美のことを思うと踏み出すことが出来なかった

琴葉を家まで送った後、俺は一人夜道を歩きながら二人のことを考えていた

琴葉を想う気持ちに変わりはない

けれども、海美に対する愛情も大きくなっていた

今まで海美を意識したことはなかったのに

この1ヶ月一緒に暮らして、ふとした拍子に意識させられることが何度もあった

ずっと一緒にいたのに、海美の知らない表情を沢山見た

だからこそ、二度とあんな顔はさせたくなかった

P「…」

二人も好きになるなんて…

想いを一人に絞れない俺はあの二人を好きなる資格なんてないのかもしれない

琴葉からの告白の返事を保留してから2週間、もう間もなく年が変わるころだ

あの日から悩み続けているが、未だ答えはでない

いや、本当は答えは出ている

だけど踏み出すことが出来ない

怪我をする前なら迷わなかった

だけど今、海美の献身と告白を受けて俺の心は揺れ動いている

我ながら流されやすいと思う

それでも琴葉と海美、どちらの涙も見たくはなかった

自分勝手で自己満足な願いだ

二人の気持ちを無視しているのだから

二人の俺に対する気持ちを利用して、今の状態を引き延ばしている

それも長くは続かないだろう

いや、続けてはいけない

年度が変わるまでに、決着をつけなくては

そんなことを思いながら目を瞑る

遠のく意識の中、今年に終わりを告げる鐘の音に混じって、窓が開く音がした気がした

P「…ん?」

体に違和感を覚える

まるで何かが体に乗っているような…

うっすら目を開けると、誰かが顔を覗き込んでいた

それも一人ではなく二人も

P「っ!」

咄嗟に寝返りを打ち、布団をはね除け距離を取ろうとするが

手首に違和感が生じた

そして手首から伝わってくる冷たい金属の輪の感覚

どうやら手錠で拘束されているようだ

海美「あっ、起きた?」

海美が声をかけてくる

P「海美?これは一体なんなんだ」

手錠を鳴らす

すると別の方向から声が聞こえた

琴葉「ごめんなさい、Pくんが暴れないようにと手錠をかけたの」

P「琴葉!こんなもの一体どこから!」

琴葉「私の私物よ」

手錠が私物って…

琴葉「海美から聞いたの、色々と」

海美「私も、琴葉から色々聞いたよ」

琴葉「Pくんは優しいから、海美が好きになったんだろうなって思ってた」

海美「私も、Pが琴葉の事好きだって知ってたから」

琴葉「私達二人を好きになってPくんが苦しんでるんじゃないかと思って」

海美「だから琴葉と相談して決めた!」

「私達でPを共有しようって」

P「きょ、共有…?一体何を言って…」

海美「ねえ、P」

海美の顔が目と鼻の先まで近づく

琴葉「私達はPくんを愛するわ」

琴葉の顔も目と鼻の先まで近づいてきた

海美「だからPも私達を愛してよ」

P「だ、駄目だ、二股なんて不誠実だ!」

琴葉「大丈夫、二股は相手が知らないから成り立つもの」

海美「私達が納得してるから二股じゃなくて二人を愛するだけだよ」

P「むぐっ」

海美のキスで口を塞がれる

琴葉「じゃあ私達はPくんが逃げられないようにするわ」

そう言いながら琴葉が服を脱ぎ、全裸になる

P「!」

こんな状況なのに思わず反応してしまう

海美「…Pの一番大事な好きだけ、私達が頂いちゃうね」

P「ま、待て!こんなの絶対におかしいって!」

暴れようとするが琴葉が足の間に入ってきたので動きを止めてしまう

その間に海美も服を脱ぎ捨ててしまった

琴葉「Pくん、今の主導権は私達にあるの、understand?」

P「あ…ああ…」

琴葉と海美がPマイクでデュエットして何度もアンコールした

一旦ここまで
√UUのために年末年始とバレンタイン削ったけど許してチョボマキ

P「はっ!」

ふいに目を覚ます

海美と琴葉に拘束され、文字通り好き勝手される夢を見ていた

しかし実際には手錠もかかっていないしあれが夢であるということを証明していた

P「ふーっ…」

あんな夢を見るなんて…あれじゃまるで俺に犯され願望があるみたいじゃないか

しかし布団の上に寝転がっていたはずなのにいつの間に布団を…と思い、布団をめくると

裸になって俺に寄り添いながら眠る琴葉と海美の姿があった

P「」

裸になって同じ布団で眠る二人の姿は、俺が手錠で拘束され、好き勝手されたことの動かぬ証拠だった

P「なんてこった…」

二人と関係を持ってしまった

一人に絞れず、なあなあにしといたが故に、俺は二人の少女と肉体関係を持ってしまった

これは俺が優柔不断だったから起きてしまったことだ

だから俺には責任を取る必要がある

諦めにも似た感情で、俺は決意した

朝、二人が目を覚ます

裸のままでは風邪を引きかねないので、俺のシャツを渡した

しかしよかれと思って渡したシャツは、裸ワイシャツとなり目の毒だった

琴葉「Pくんのシャツ…」スンスン

海美「Pのシャツ!」

本人達は喜んでいた

愛故に

P「二人に話があるんだ」

琴葉と海美がこちらに向き直る

気持ちを口にしようとすると緊張する

P「…俺は琴葉が好きだ」

琴葉「!」

P「琴葉がいたから俺は頑張れた、琴葉がいたから見えたものがあった」

P「…琴葉がいたから、俺は琴葉を好きになれた」

P「だから琴葉、俺と付き合ってほしい」

琴葉「Pくん…」

海美「…」

P「だけど」

俺は言葉を切らなかった

P「俺は海美も好きだ」

海美「!」

P「海美はいつも笑顔で、俺が落ち込んだときとか、挫けそうなときはいつも元気をくれた」

P「俺はそんな海美を好きだ」

P「だから二人とも」

P「…俺と付き合ってください」

二人の返事を待つ

緊張して冷や汗を噴き、心臓がバクバクいっている

二人はどんな返事をするのだろうか

この最低な告白を受け入れるのだろうか

P「…」

琴葉「Pくん、覚えてる?昨日のこと」

P「あ、ああ…」

琴葉と海美の裸体を思い出す

海美「私達、あの時Pを共有するって言ったよね」

P「…」

琴葉「だから私達の答えは最初から決まってるの」

二人は俺の手を取り、笑顔を見せた

「喜んで!」

尾張名古屋

√UU終了!終了!
続きは√UU-Aで!

チェシャ猫のお誘い うみみがエロいよう…
あんなとこにファスナーついてるなんてずるいよう…
あんな恰好で「お誘い」されて平常心を保てるはずがない

2、3日休憩を挟んでから√BMCを再開します

Yes
内容もあの続きから

自作したものスレ立ててもええんやで

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