モバP「加蓮ン!結婚しろオォ!!」バァン (220)

加蓮「プロ、デューサー…」

P「だから…だから……!!」

加蓮「……うん、待ってて。すぐ、帰ってくるから」

P「…っ!!」

加蓮「大丈夫、貴方が育てたアイドルを信じて…?」

P「加蓮ーーーーーッ!!!!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1460462810





P「よもや恥骨を骨折とかいう恥ずかしい事態になるとはな……ムスコにパイプを挿れられ、看護婦の方々に弄ばれる日々も今日で最後と思うとなんとなく感慨深いな…まぁ今となってはこの調子なわけだけど」スタスタ

『出てってよ!』

P「よっこいしょっと。向かいの病室うるせーな……こちとら明日からプロデュース業に復帰だぞコノヤロー。今日まで静かに過ごさせてくれよ…」



ガラッ

『じゃあ…また明日来るわね』

『もう来なくていい!』

P(親子かなー。親は大変だなぁ)

prrrrr

P「はい俺です」

ちひろ『退院おめでとうございます』

P「いやまだですけど」

ちひろ『あれ?』

P「………」

ちひろ『あ、あはは…間違い電話でしたー』

プツッ、ツー、ツー

P「そういえばちひろさんだけ俺の見舞いに来てくれなかったな……あのアマ…いや忙しいんだろうね、俺が抜けて事務仕事1人でしてるんだもん。きっとそうだよね!」

P(……………)

P「……MAX珈琲買ってくるか…」ハァ

ピッ、ガコン

P「………」

テーレッテレッテレー、ガコン

P「ん?なんだ1本当たりか?」

【昆布茶】

P「……………」




P(美味いのかなこれ……)スタスタ

「………」グスッ

P「おや?」

P(女の子が泣いている。……やれやれ、紳士の俺が声をかけるしかないか)

P「もしもしそこなお嬢さn」



加蓮「……ほっといて」



P「」ティーーン

加蓮「…なに?」ジロッ

P「アイドルに興味無い?」

加蓮「……………はぁ?」





P「……渋い…」ゴクゴク

加蓮「…」ゴクッ

P「なぁ、マッ缶ってやっぱり美味しい?今からでもコレ(昆布茶)と交換しない?」

加蓮「ぷは……アンタがどっちかくれるっていったんじゃん」

P「そうだけど…」

加蓮「…ナンパか何かかと思った」

P「まぁそうだよな。警察呼ばれることなんてしょっちゅうよ」ドヤァ

加蓮「ぷっ…なにそれ」クスッ

P「……マジでアイドルやらない?俺、今までに無いくらいティンときちゃったんだよ」

加蓮「んー、…………そこまで言うなら、考えとこうかな?」

P「えっマジで?」

加蓮「その代わりさ、話し相手になってよ。アンタが退院した後もさ…アタシ、暇なんだー」

P「そんな事でいいのか。アイドルスカウトする為ならスカイツリーまで追いかける男だよ俺は」

加蓮「ふふっ。じゃあ待ってるね、退院おめでと」スタスタ



P「いや、明日なんだけど……」


P「おはよーございまーす」

凛「おかえり。プロデューサー」

奈緒「もうち…恥骨?は大丈夫なのか?」

P「おう。なんなら触ってみるか。硬いぞー?」

奈緒「いいの?どこの骨だ?」

P「ここの」

凛「フンッ」

P「エ゛ンッ!」メコッ

凛「………」ジト

P「マジすんませんっした…」

ちひろ「あら。プロデューサーさん、退院おめでとうございます!」

P「えぇ。”今日”退院したのでそのまま来ました」

ちひろ「そ、そうですかー…」ダラダラ

P「あ、そういえば昨日は」

ちひろ「うっ」

P「わざわざありがとうございます」ニコッ

ちひろ「……え?」

凛「何かあったの?」

P「親切にも電話をくれたんだよ」

凛「へぇ…そうなんだ」

ちひろ「……」ホッ


P「あぁ。快気祝いにスタドリ10ダースもプレゼントしてくれるんだってさ」


ちひろ「!?」

凛「またドリンク…?ちゃんとご飯も食べないとダメだよ?」

P「あとエナドリもな。働き甲斐があるだろ?」

ちひろ「あの…」

P「あぁ、そうそう。もちろん栄養管理には気をつけるとも。アイドルと自分の健康管理ができないなんて、同僚が退院する日を間違えて電話することくらいありえないだろ?」ハハッ

ちひろ「」ドキィッ

P「そうですよね、ちひろさん!」ニコッ

ちひろ「……そ、そうですねー…体には気をつけてください…」

P「じゃあ、早速出るか!」

奈緒「おいおい、来たばっかりだろ?どこに行くんだよ」

P「どこって…俺はプロデューサーさんだぜ?」バッ

凛「…?」

P「アイドルの原石をスカウトしてくるんだよ。行ってきまーす!」

ちひろ「……」

P(流石俺、ちひろさんからたんまり巻き上げてやったぜ)



ちひろ(…たった2ダース分のドリンクだけで済むなんて…)クスクス



P「おっす」

加蓮「あ、遅いよ?罰としてあそこのお店のハンバーガー買ってきて」

P「……蒲焼きさん次郎でいい?」

加蓮「…なにそれ」

P「駄菓子」




加蓮「結構美味しいね、これ」

P「つーか俺の向かいの病室だったんだな。この前親御さんと喧嘩してただろ」

加蓮「げっ…聞いてたの?ヘンタイ」

P「盗み聞きしたんじゃないですー聞こえたんですー!」

加蓮「それで?」

P「うん?」

加蓮「スカウトしに来たんでしょ?話だけ聞いてあげるからアタシの話し相手になってよね」

P「聞くだけなのね。ちゃんと考えてくれよー」

加蓮「はいはい」

P「えーっと…北条加蓮、だっけ?」

加蓮「うん」

P「出身は東京で9月5日生まれの16歳…あ、俺と誕生日一緒じゃん乙女座か。あれ、3サイズは?」

加蓮「………」ジトッ

P「……はいごめんなさい。後でプロフもっかい渡すから書いといてね。勿論俺は見ないで回収するから」

P(凛に似たものを感じたなぁ…怖かった)

P「ネイルが趣味……へぇー」

加蓮「あのさ」

P「うん?」

加蓮「仮にアタシがその気になったら、アンタがアイドルにしてくれるの?」

P「まぁプロデューサーだし」

加蓮「でもアタシ特訓とか練習とか下積みとか努力とか気合いとか根性とか、なんかそーゆーキャラじゃないんだよね。体力無いし。……それでもなれるの?」

P「まぁ体力なんて後々考えるさ。大事なのは熱意とやる気だ」

加蓮「……そっか」

P「おっ?さては乗り気だな?」

加蓮「ちっ、違うから!ちょっと、どんなのかなーって考えてみただけ!」カァァ

P「興味を持つ事が第一歩だからな。逆に俺は相手に興味を抱かせたらそこからスカウト成立まで絶対に持っていけると確信してる」

加蓮「ふーん…アタシ、こう見えて手強いよ?」

P「ククク、俺にかかれば『木刀振り回して喧嘩三昧の元レディース』ですらエロ可愛いふわふわもこもこのコスプレでイベントに出させるからな。生半可じゃ無いぞ俺のプロデュースは」




拓海「へっくしょい!!」

P「というわけで、だ。これを持ってきた」ズラッ

加蓮「これは…DVDプレーヤー?小さいね」

P「中には俺がプロデュースしてるアイドル達の日頃の練習とLIVE本番の映像が入ってる。社外秘の資料だからな、お前以外の誰にも見せるんじゃ無いぞ」

加蓮「えぇ…アタシ完全に部外者だけど、いいの?」

P「そのうち部外者じゃなくなるし」

加蓮「…言うじゃん」

P「まぁ気が向いた時にでも見てくれ。気分転換がてらでもいい。お前がどう感じるかは俺にもわからん」

加蓮「……」

P「よし、俺のスカウトはこれで終わりだ」

加蓮「なーんだ、諦めちゃうの?」

P「違う違う、俺からは何も言わないって事だ。あとは加蓮が『私、アイドルをやりたいですぅ!ファンに夢を与えられるようなキラキラ輝くアイドルになりたいですぅっ』……って言うのを気長に待つさ」

加蓮「そんな事言わないってば!」

P「さぁ……どうだろうな?」ニヤニヤ

加蓮「っ…!」

P「じゃあ、何を話そうか?」

加蓮「へ?」

P「今日はスカウトもだけど、話し相手になる為にも来たからな。俺はこう見えて聞き上手語り上手だぞ?」

加蓮「…じゃあ、何か面白い話して」

P「いいとも。これはウチにNG…ニュージェネレーションってユニットができたばかりの話なんだが…」



P「それで…」

加蓮「っくく…嘘でしょ…?ふふっ…」

P「いや、その凛って女の子はまた面白いやつでな。実際にイヌミミをつけて事務所の壁を」


コンコン

「北条さん、検査の時間です」

加蓮「あ……はーい」

P「おう。じゃあまたな」

加蓮「帰っちゃうの?」

P「寂しいの?」

加蓮「違うって…はぁ…明日も来るんだよね?」

P「来るのは明後日からかなぁ。明日は母親の命日なんだ、墓に行かなきゃならん」

加蓮「…お母さん…亡くなってたんだ」

P「あー…俺が加蓮と同じ歳くらいの頃かな。つっても9年ちょっと前か、早いなぁ」

加蓮「…ごめん」

P「いや、大丈夫。…加蓮も早く良くなれよ?アイドルになってもらわないと俺が困るんだから」

加蓮「………うん」

P「じゃあ明後日な」

加蓮「うん…バイバイ」



P『明日は母親の命日なんだ』

加蓮(…命、日………)

加蓮「う……うぅぅ…っ…」


「北条さーん、検査ですよー」

加蓮「…はーい…」



.

「お疲れ様。ゆっくり休んでね」

加蓮「あの」

「ん?」

加蓮「良くなってる…んですか?」

「当たり前でしょう?だから北条さんも気持ちで負けたらダメよ?」

加蓮「……はい」



加蓮(…………)

加蓮「……っ!…う…うぅぅ…っ……!」グスッ


『辛い事ですが…娘さんは長く生きられないかもしれません。移植手術をしようにも…時期も時間も……』

『そんな…』


加蓮「っ、嫌だな……やりたい事、いっぱいあるのに…」

加蓮(学校に行きたい、放課後に友達とハンバーガーも食べたい、恋もしたい、それから……)


P『アイドルに興味無い?』


加蓮「………アイドル、かぁ。そういえば小さい頃はテレビで見てたっけ…」

コツン

加蓮「ん…?」

【社外秘・シンデレラプロジェクト vol.1】

加蓮「……変な人。字が汚いし」

加蓮(…………シンデレラプロジェクトって何…)

加蓮「き、気分転換に見るだけだから!そんな、気になってるとかじゃないし…!そう、気分転換なだけ…」

ピッ

加蓮「わぁ。これ、LIVEかな。ファンもいっぱい…あっ、始まった…」

『お願い!シンデレラ 夢は夢で終われない』

加蓮「……」

『動き始めてる 輝く日の為に』

加蓮「………」




北条加蓮は思った。
アイドルってすごい。
アイドルってきれい。
アイドルってかっこいい。
アタシにもなれるかな……あの、舞台の上で歌って踊る、シンデレラのように…
これが、北条加蓮のアイドルを目指すきっかけになっt


加蓮「ってなにこのナレーション!」

P『はっはっはー。やーっぱり見始めたか』

加蓮「うわ…」

P『実はこれは社外秘の資料なんかじゃなく、俺が彼女達の許可を得て資料用に作成した、北条加蓮、つまりお前をスカウトする為の』

加蓮「早送り」ピッ

『ありがとにゃー!』

加蓮「ふぅ。LIVEの映像はここまで、か。こっちのディスクはなんだろ…?練習の映像だっけ?」

「北条さーん、消灯の時間ですよ」

加蓮「えぇっ、!?」

加蓮(見入ってて気付かなかった……)

加蓮「アイドルかぁ……」



加蓮(………すごいなぁ)





.




「加蓮、……入るわね」

加蓮「……」

「ごめんね。加蓮の気持ちも考えないで…お母さん、少しでも加蓮に良くなって……加蓮?」

加蓮「………」

「なにを見てるの?」ポンッ

加蓮「わぁ!?」ビクッ

「それ、何の…映像?」

加蓮「あ……その、アイドル…の」

「……そういえば、加蓮は小さい頃から好きだったわよね。将来の夢はアイドルになるんだって…」

加蓮「そうだっけ…」

「…綺麗ね」

加蓮「え…?」

「その…ライブっていうのかしら。ダンスを踊ったり、歌を歌ったりしてるんでしょう?」

加蓮「……うん。凄く、綺麗」

「………」

加蓮「アタシ…ね。今、体がどんな状態なのか知ってるんだ」

「加蓮…」

加蓮「…えへへ、お母さんと先生が話してるの聞いちゃった」

「……そう」

加蓮「最初は、もうだめだって思ってたんだ。あれもしたいこれもしたい、でも死んじゃうんだって…」

「……」

加蓮「でもね…ある人が、こんなアタシを、今アイドルに誘ってくれてるんだ」

「アイドル…」

加蓮「凄いよね。アイドルだよ?……アタシも、こんなキラキラした舞台に立ってみたいと思っちゃった」

「………」

加蓮「うん。だからお母さん。もし、アタシの体が良くなったら……」

「………っ」

加蓮「やってみても、いいかなぁ…?」

「……えぇ、えぇ!応援してるわ。加蓮、アイドル頑張ってね…っ!」

加蓮「も、もう…お母さん気が早いよー」




.



P「よう。良い子にしてたか?」

加蓮「いらっしゃい。りんごあるけど、食べる?」

P「もらうもらう。林檎大好きなんだよ」

加蓮「おばあちゃんがウチにいっぱい林檎送ってくれるんだ。今度あげるよ」

P「やった。……ところで、DVD見てくれたか?」シャクシャク

加蓮「DVD?……あー…それ?」

P「皿の下ぁ!?ちょっ、せめて大事に扱ってくれ。そのプレーヤー俺の私物なんだよ」

加蓮「ふふっごめんごめん。最近検査とか多くてさ、まだ見れてないんだ」

P「そいつぁ残念。まだ貸しとくから時間を見つけたら見てみてくれよな」

加蓮「うん。善処する」

P「それは後々絶対しないヤツが使う言葉だ。ちなみに俺が良く使う」

加蓮「自分で言っちゃう?」クスクス

P「ん…」

加蓮「どうしたの?」

P「ちょっとリトルベンしてくる」

加蓮「リトルベン…?」

P「あぁ、リトル(小)なベン(便)だ。ジュース飲みたかったらついでに買ってやるぞ」

加蓮「じゃあ…アンタと同じものでいいや」

P「了解。俺のセンスに期待しとけ」




P(純真無垢に見えるけど~腰膝傷める年頃~)

P「あっ李衣菜の送迎忘れてた。……ちひろさんに連絡入れとくか」

「昨日から北条さん機嫌がいいのよ」

「そうなの?」

P「ん?」

「昨日も消灯時間までご家族と何か見ていたみたいだけど…」

P(………ほーう)



P「ほらよっと」

加蓮「ありがと………昆布茶?」

P「俺と同じものでいいんだろ?死なば諸共だ」

加蓮「何でわざわざ…」

P「………」

加蓮(あっ意外と悪くない)ゴクゴク

P「…お前は可愛いやつだなぁ」

加蓮(!?)

加蓮「ブーーーーッ」

P「………」ビッショリ

加蓮「あっごめ……って、急に何言ってるの!」

P「いや、その…可愛いやつだなぁって」

加蓮「な…な……!?」カァァ

P「おっと、そろそろ時間だ。流石に事務所に戻らなくちゃまずい」

加蓮「そ、そうなんだ…」

P「じゃあ……あー…うん」

加蓮「?」

P「そうだ、ひとついいことを教えておいてやろう」

加蓮「良いこと?」

P「シンデレラって童話は知ってるよな?」

加蓮「うん」

P「童話のシンデレラに助けてくれる魔法使いが出てくるけどな、346の事務所にも魔法使いがいるんだ」

加蓮「…そうなの?」

P「多分な」

加蓮「多分って…」

P「見えないけど、きっといるんだろうよ。ウチのシンデレラ達がどうしようもなく困った時、奇跡で助けてくれるんだぜ」

加蓮「………へぇー」

P「おっと信じてないな。まぁ端的に言えば輝く事を諦めないやつの所に奇跡はやってくるって事だ。これは俺のプロデューサーとしての経験が保証する」

加蓮「奇跡…」

P「じゃあ、今度来る時はウチのCD持ってくる」

加蓮「あ、うん!」

P「また明日……は、無理か。明後日……明々後日な!」

加蓮「ふふ、待ってるね」

P「そろそろアイドルの事も考えといてくれよなー」

加蓮「善処…する!」

P「こいつめ」




.

離席します
おやすみなさいでち

P「実は俺は恥骨を折った上に尋常じゃないストレスで胃潰瘍とかだったから内科に居たんだ。きっとそうだ。そういう事にしておいてくれ」

凛「ふーん。だからうなじの近くに10円ハゲがあるんだ?」

P「…………嘘だろ?」

凛「本当だよ。ほら、ココ」グイッ

P「」ガーン

ちひろ「プロデューサーさん、こちらの…スタドリの受取票に名前ください」

P「……あっ、あはは!いやいやすみませんねぇ本当に。わるいなぁ」スラスラ

【…スタミナドリンク】

ちひろ「じゃあ、ここに置いときますね。エナドリの在庫がなかったので…スタドリ2ダースでいいですか?」

P「勿論ですとも!贅沢言いませんよ!」

ちひろ「よかった。じゃあ外回り行ってきますねー」

P「やったぜ」

【…スタミナドリンク】

P「さてさて、景気付けに1本………ん?」

【…スタミナドリンク】

P「…………んん?」

【マイスタミナドリンク】

P「………あ……あぁぁ…」バッ

【マイスタミナドリンク受取票】

P「は、ハメやがったあのアマ…1度ならず2度までも……!!!」ドサッ

凛「何か違うの?」

P「ばかやろう!なんて月とスッポンだ!マイスタドリなんて赤ロムのiPhoneと同じくらい使い物にならんよ…」

凛「ふーん?」



奈緒「おーっす」

P「おっ、奈緒は今日もいい匂いだな」クンクン

凛「プロデューサー程じゃないよ」クンクン

奈緒「うわー!?」バキッ

P「痛っ…」

奈緒「い、いきなり何すんだよ!凛も止めろ!」

凛「え……?」

奈緒「そんな『何か変?』みたいな顔をすんなよおかしいだろ?!」

P(…………………)ティーン

凛「プロデューサー?」

P「お前たちを見て閃いたわ。これは…売れる!」

奈緒「はぁ…?」



P「ちーっす」

加蓮「あっ、遅いよ…、……」

凛「?」

奈緒「何であたしまで………………あ、え?」

P「紹介する。こっちは俺が今スカウトに四苦八苦してる子でな。スカウトした暁にはクール部門の北じょ」

奈緒「…北条加蓮、だろ?」

P「なんだ、知り合い?」

奈緒「知り合いも何も、なぁ?」

加蓮「えへへ、久しぶり…」

奈緒「最近見ないと思ったら入院までしてたのかよ。大丈夫なのか?」

加蓮「まぁ、ぼちぼち。かな?」

P「まぁそれなら話は早い。こっちは渋谷凛」

加蓮「うん。知ってるよ、中学が同じだったし」

凛「え…そうなの?」



加蓮「あはは…違うクラスだったし、アタシよく休みがちだったから」

P「なんだ、こっちも顔見知りか」

加蓮「一方的だけどね。奈緒もアイドルやってたんだ?」

奈緒「あたしは最近からだけどな。プロデューサーに騙されたんだ」

P「可愛い服とか着たいんだろ?」

奈緒「か、可愛いカッコとか、興味ねぇーし…!」

加蓮「奈緒はそーいうの好きだったもんね」ニコニコ

奈緒「は、はァ!?興味ねぇからな!ホントだからな!!」

P「ふむ。なかなか不思議な巡り合わせだな…俺もそこそこプロデュース業してるけどなかなか無いぞこんな経験」

加蓮「ところで、どうして2人を連れてきたの?」

P「あぁ。ゆくゆくは2人とユニット組んでデビューしてもらおうかなって」

凛「え?そんなの聞いてないよ私」

奈緒「あたしも聞いてないぞ?!」

P「今言ったし?」

奈緒「ま、毎度毎度…!!」

加蓮「やっぱりいつもこんなテンションなんだ…」

凛「…私はもう、卯月と未央とユニット組んでるよね」

P「ん?あぁ、解散し」

パァーン!!

凛「……珍しく最っ低な考えだよプロデューサー」ダッ


P「………どうしてこうも人の話を聞かないアイドルばかりなんだろう。俺自信無くしてきた…」

奈緒「いや、今のはプロデューサーが悪いぞ多分。突然解散なんて…」

P「……『解散しろなんて言わん』って言おうとしたんだよ。凛のポテンシャルとセンスならユニット2つに組み込んでも劣ることは無いと思ったからな」

奈緒「………ちょっと探してくる」ハァ

P「頼む。俺が行ったらめんどくさい事になりそう」

奈緒「…そうだな」



加蓮「アンタも大変だね」クスクス

P「アイドルにもよるがこんな事は日常茶飯事だからな。200人もアイドル見てりゃそんくらいはある」

加蓮「1人で見てるの?すごいね」

P「だろ?俺結構凄い人なんだよ。ところでアイドルの件はどうなった?」

加蓮「うーん保留かなぁ」

P「そういうなよ、あと四ヶ月後くらい先だけど毎年やってるサマーライブまでにはデビューさせたいんだ。レッスンなり事務手続きなりするとなると早いほうがいい」

加蓮「まだ先の話じゃん」

P「芸能経験でもあるの?ダンスとかボーカルレッスンとか豊富なら一ヶ月もあれば俺がなんとかするけど」

加蓮「う………無いけどさ」

P「さぁ、さぁ!」

加蓮「………保留」

P「は無しだ」

加蓮「……じゃあ、無理だよ」

P「なんでさ!!!!!!!!」

加蓮「うるさい。…アタシ、病気で入院してるの」

P「知ってるけど」

加蓮「……そこそこ重い病気なんだ。治すのにもどれくらいかかるか…」

P「……」

加蓮「ね?だから、アタシは…」




P「それで?」



加蓮「……は?」

P「重いのは知らなかったけど。それだけだろ?俺はお前の気持ちを聞きたい」

加蓮「それだけって………アタシ、死ぬかもしれないんだよ!?」

P「怖いか?」

加蓮「怖いよ…怖いに決まってるじゃん!」

P「やりたい事は無いのか?」

加蓮「あるよ!学校に行きたい、放課後に友達とご飯行きたい、恋もしたい、それから………」

P「………」

加蓮「……今日は帰って。お願い」

P「…分かった」スクッ

加蓮「…………」

P「………この前、俺は魔法使いの話をしたな」

加蓮「……」

P「信じろ。それだけだ」

ガラッ

奈緒「凛連れてきたぞー」

凛「ごめんねプロデューサー、私の事を大切に思ってるが故に厳しい言い方をしてくれようとしてたなんて。私、まだまだだね。プロデューサーの言いたい事、分かってるつもりだったのに。これからはいつも側にいてそんな事がないように」

奈緒「あれ?プロデューサーは?」

加蓮「…帰ったよ」

奈緒「んがー!あのマイペースプロデューサーは…!!」カチーン

凛「何してるの奈緒。急いで帰るよ」

奈緒「早すぎだろおい!」

加蓮「…ねぇ。あの人って、言う事メチャクチャだよね」

奈緒「んあ?……まぁ、そうだな」

加蓮「……」

奈緒「…でも、あたし等を大切に思ってくれてるのは事実だからなぁ。間違った事は言わねーよ」

加蓮「……そっか」

奈緒「まぁ初めて会った時から無茶苦茶言う奴だったけど本当に悪い奴じゃないっていうかさ」

加蓮「凛だけじゃなくて、奈緒もあの人の事好きなんだね」クスッ

入院してるけど部屋が向かいなら怒鳴り声なら楽勝だよ

奈緒「は………はァァァァァァ!!?!?ちっ、違ぇし!あたしはそんなのじゃなくてアイドルとプロデューサーとの関係としてだな!!」カァァ

加蓮「そっか…間違った事は言わない、か」

奈緒「…まぁ、なんだ。早く良くなれよ。あたし等も時々見舞いにくるからさ」

加蓮「うん。またね」

奈緒「おう」




「消灯の時間ですよー」

加蓮「………」

P『……この前、俺は魔法使いの話をしたな』

加蓮「……」

P『信じろ。それだけだ』

>>58
お大事に
ご自愛ください







加蓮「……もし、本当に魔法使いがいるなら。アタシの夢を叶えてください。その為なら、どれだけ辛い思いをしても構いません。あのキラキラしたステージに、アタシも立ちたい。あの人が伸ばしてくれた手を、取れるように助けてください…」




.





P「……ここ3週間くらい行ってないな」

凛「加蓮のとこ?」

P「あぁ。ちょっと怒らせちゃったからな……」

奈緒「そうなのか?この前行ってきたけど元気そうだったぞ」

P「ほとぼりが冷めた頃合いかな。俺ちょっと我慢できずにアイドルにならないかって誘ったんだよなぁ…俺からはこれ以上言わないって言ったのに。それが鬱陶しかったのかな…」

奈緒「よく分かんねーけど、言ってみたらいいじゃん」

P「……せやな。そろそろ行ってみっか」

ガラッ

P「かーれーんっ」

凛「…あれ?」

奈緒「いないな。というか。こざっぱりしてんな」

P「……?」


加蓮『アタシ、死ぬかもしれないんだよ!?』


P「」ドサッ

奈緒「ぷっ、プロデューサー!?」

P「奈緒…俺を殴ってくれ。俺はあんな軽率な事を言って…ひぐぅぅぅぅ…ごめんなぁ加蓮……!!」グスッ

奈緒「くっ、くっつくなぁっ!」

凛「奈緒、そこ代わって」ジリジリ

奈緒「あたしに言うなよー!!」



加蓮「3人とも、何してるの?」


P「!」バッ

奈緒「よう加蓮、元気か?」

加蓮「元気どころか、アタシ今日で退い」

P「加蓮ーーーッ!!!」ギュッ

加蓮「わひゃあっ!ちょっ、な、何!?」

P「ごめんなぁ。俺、よく考えたらひでぇ事言ってたよな!体は大丈夫か!?」

加蓮「あぁもう!アンタも人の話を聞く!……アタシ、今日で退院なんだ」

P「……………へ?」

加蓮「退・院。なんかね、3週間くらい前から急に良くなってきたんだって。そして今日で退院なのでしたー」

P「…そうか。よかった、よかったなぁ」

凛「………」ゴゴゴゴゴ

加蓮「……うん、その、ね?一旦離れよっか?」

P「お、おぉ、すまん」

加蓮「それで、さ。お願いがあるんだけど」

P「ん?」





加蓮「今日から新人アイドルとしてお世話になります。北条加蓮です。よろしくお願いします」

ちひろ「はい、よろしくお願いします。プロデューサーさんが長々とスカウトを諦めなかった子ですね、話は聞いてますよ」

加蓮「あはは…」

P「いや、スカウトして損はないと思います。なんかここ最近で1番ティンときましたからね、トップアイドルも夢じゃないですよ」

ちひろ「なるほど。これからの方針は、もう?」

P「えぇ。一ヶ月ほど前から考えてますんで」

ちひろ「本気ですね」

P「おいおい俺を一体誰だと思ってるんです?プロデューサーさんだぜ?いつだって本気ですとも」

加蓮「えっと…アタシはこれからどうすれば?」

P「とりあえず事務所の色んなとこ見学してこい。この関係者バッジつけとけば大抵覗かせてもらえるから」

加蓮「じゃあさ、アンタが案内してよ」

P「いや、俺もちょっと忙しくて…」

加蓮「あっ、もう『アンタ』なんて呼び方はダメだね。……プロデューサーさんっ♪」

P「………はは」

ちょっとだけ離席ます
夜中に戻りM@GIC

加蓮「ねぇ、あっちは何?」

P「あっちはテラス」

加蓮「じゃあアッチは何?」

P「あっちカフェだ」

加蓮「アレは何?」

P「アレは買ったばかりの高いギターで覚えたてのコードを弾いてみるけど中々上手くいかない多田李衣菜だ」

加蓮「じゃあ…アレは?」

P「真向かいに座って見せつけるようにメチャクチャ上手くギターを、しかも同じコードを弾いてる木村夏樹だ」

加蓮「ふぅん……あっ、アレは?」

P「アレは俺のパンツ………何で!?何で更衣室の前に落ちてるの!?」

加蓮「ひよこ柄…」

P「いや、違うんだ。普段はいつ見られてもいいようにBurberrynaとかちょっといい感じのボクサーとか履いてるんだけどちょっと冒険してみたくなったというか……つーか何でこんな所に」

ガチャッ

ズテーン

凛「わわっ」バッ

P「おう凛、大丈夫か」

凛「うん平気。こっちの更衣室じゃなかったね、間違えちゃった」

P「おいおいアイドルの更衣室はあっちだって何度も言ってるだろ?」

凛「そうだった。じゃあね」

P「まったく……あれ?俺のパンツが無い」

加蓮「……」

P「…結構気に入ってたのに…」

加蓮「気に入ってたんだ…」

P「可愛いじゃん、なんか」

加蓮「そう、かな…?」

P「さて、一通り案内したけどどうだ。ウチは結構大きいだろう?」

加蓮「うん。ところで、アタシは何から始めるの?やっぱりレッスン?」

P「うん。一旦ライブ出てみようか」

加蓮「うん……ライブ!?」

P「おう。ソロで最後に1曲だけ」

加蓮「1人で、しかも最後に…!?い、いつ!?」

P「えーと……4日後にゲリラ?」

加蓮「早すぎるよ!」

P「たまにやるんだよ(俺の一存で)。まぁゲリラつっても前日の22:00に予告するし、メンバーは6人で2、3ユニットしか出ないから1時間ちょいくらいか、契約してる劇場が」

加蓮「そういう事じゃなくてさ…」

P「あぁ、大丈夫大丈夫。ちゃんと最後にねじ込むから」

加蓮「あーもう!」

P「衣装の採寸だけ測ろうか」





加蓮「どういう事なの…」ズーン

凛「そっか、加蓮もそんな時期だね」

奈緒「本当無茶言うよなぁ」

加蓮「え?」

凛「プロデューサーって、デビューしたての新人アイドルには1番早い日のライブに出すんだよ。しかもレッスン無し+ライブのトリで」

奈緒「4日もあるならいい方だぜ。あたしなんか2日後だったぞ」

凛「私は翌日だったよ。美嘉のライブの最後に出た」

奈緒「うっわ翌日とかきついな。いや、どうなんだろ…日がある方がきついのか…?」

凛「まぁ、そういうわけでウチではいつもの事だよ。頑張ってね」

加蓮「………何かアドバイスとか、ある?」

奈緒「あー…」

凛「……やけくそ、かな」

奈緒「うん。あたしもそうかなって」

加蓮「やけくそかぁ…」

すみません諸事情により離席します
また明日…

>P「えーと……4日後にゲリラ?」
「ゲリラ」を「ゴリラ」と見間違えて争いはSTOP ITするのかと





P「お疲れ。よかったぞ」

加蓮「………」

P「ステージの上で気絶するまではな」

加蓮「アタシの初めてがこんな…プロデューサー責任とってよね…」シクシク

ヒソヒソ

P「…誤解を招くような言い方はやめろ」

加蓮「なんとか自己紹介とアピールはできたし……宣伝は、できたよね?」

P「まぁ、うん、インパクトはあったんじゃないか?……完全に《病弱アイドル》の名をほしいままにしてしまっただろうが、それも個性か」

加蓮「だってプロデューサーがいきなり(出演者一覧の)中に(名前を)出すんだもん!(ライブが始まってから)ずっと出さなかったから今日はしなくてもいいんだって安心してたのに…!」

ザワッ

P「だから誤解を招く言い方はやめろって!!!!」

加蓮「(自分の非だって)認めてくれないの!?ひどいよ!」

ザワザワ

P「もおぉぉぉぉぉ!!!!!」

トントン

P「誰だよ!今それどころじゃ」

ちひろ「……」ニッコリ

P「ヒェッ」



ベキボコバキメキッ



P「…」

加蓮「…」

P「…加蓮」

加蓮「えっと、何か、ごめんなさい…?」

P「いやもうそれはいいんだけどさ。ぶっ倒れる前…歌ってる時は、どうだった?」

加蓮「どうって、何が?」

P「世界がどう見えた、とか。こんな気持ちだった、とか。それを聞いておきたい」

加蓮「そうだなぁ…」

P「……」

加蓮「キラキラーって輝いてたよ。あと、『アタシ、本当にステージに立ったんだ』って思った」

P「楽しかったか?」

加蓮「うん!」

P「ならいい。帰ったら速攻レッスンだな」

加蓮「…ようやく始まるんだね」

P「あぁ。お前を3ヶ月後のサマーライブまでに人前に出せるようなアイドルにする。そして1年以内に立派なアイドルになってもらう」

加蓮「……」

P「何か?」

加蓮「あ、うん。1年で立派なアイドルになるだけでいいの?」

P「…Hum?」

加蓮「ふふっ、どうせ目指すならトップアイドルでしょ!」

P「……その心意気気に入った。最初は優しめのレッスンでお願いしとこうと思ったが初っ端からフルスロットルで俺も指導を行う事にする」

加蓮「あ、あれ?」

P「1年でトップアイドルか……ふふふ、とんでもねぇハードルに腕がなるぜ」

加蓮「………やっぱりアタシ体が強い方じゃないから優しめの」

P「そうと決まれば今日から特訓しようぜ!特訓!!」グイッ

加蓮「ま、待って、もう少し休ませ…あぁぁぁぁ……」






.


加蓮「最近凄くしんどい」ゼハー

凛「最近凄くプロデューサーと会えない」ゼハー

奈緒「最近凄くツッコミが追いつかない」ゼハー

凛「…プロデューサー、最近加蓮に構い過ぎじゃない?」

加蓮「なんか、ごめんね」

奈緒「確かに加蓮は最近ハードスケジュールだよな。レッスン入れ過ぎじゃないか?申告制だろ」

加蓮「アタシの決めた事じゃないというか…元を辿ればアタシのせいというか」

奈緒「プロデューサーのやつが強制してるのか!?」

加蓮「違う違う。……でも必要な事だし」

凛「……何を目標にしてるのか分からないけど、レッスンを沢山こなせばいいってもんじゃないよ」

奈緒「おっ。大物アイドルは言う事が違うなぁ」

凛「ちょっ、やめてよ。私なんてまだまだ2流だよ」

奈緒「んで、今日は休みなんだろ?放課後にこうやってダベってるって事はさ。マックにでも行こうぜ」

加蓮「……ううん、あと10分後に」


P「加蓮。送迎に来たぞー」

加蓮「…レッスンだよ…」

P「………」

凛「……」

奈緒「……」

P「あの、どうして俺は店内で正座させられているんでしょうか……?周囲の目とかあるよ?」

凛「ふーん。分からないの?」ジロッ

P「…自分、不器用なんで」

凛「奈緒。ポンデリング4個追加」

奈緒「すいませんこれください」

P「今月苦しいんだよぉぉ勘弁してよおぉぉ」

凛「どの口がそんな事言うわけ?」

P「す、すみません…?」

凛「言うのが遅いよね?」

P「すみません…」

凛「年収いくらくらい?」

P「実はこのくらい貰ってます…」

凛「好きな異性の特」

奈緒「待て待て待て」

P「何でお前らそんなにキレてんの…加蓮迎えに来ただけなのに…」

奈緒「それが問題なんだよ」

P「ふぁ?」

奈緒「凛、さっきの名言をどうぞ」

凛「何を目標にしてるのか分からないけど、レッスンを沢山こなせばいいってもんじゃないよ」ビシッ

P「な、なんだってーーー………、確かにその通りだな、うん」

奈緒「やけに納得が早いな」

P「いや正直最近加蓮のレッスン多すぎだなって思ってたからさ」

凛「たまには加蓮に息抜きの時間とか必要だと思うよ。あとプロデューサーは私に構う時間とか必要だと思うな」

P「そっか……ちょっと数日休みをいれようか。ごめんな、疲れてただろ?」

加蓮「…ちょっとだけだから、大丈夫」

P「何かしたい事とかあるか?」

加蓮「したい事…………」






P「…」

加蓮「忙しいのに私のワガママ聞いてくれてありがと。ずっと放課後デートって憧れてたんだ」

P「…そ、そうか」

加蓮「今日だけ、ね。ふふっ」



凛「…………………………………………………………」

奈緒「まぁ、しゃーないだろ今回はさ」

凛「……」

奈緒「へへ、胸なら貸してやるぜ」

凛「あ、髪に芋けんぴついてた」ファサッ

奈緒「…」


加蓮「ねぇプロデューサー」

P「ん?」

加蓮「本当に……ありがと」

P「何が?」

加蓮「ふふっ。なんでもないよ」

P「へんなやつだな…」

加蓮「ところで、アタシ達ってちゃんとカップルに見えてるのかな」

P「おいおい洒落にならんぞ。今や加蓮と俺はアイドルとプロデューサーだからな」

加蓮「えー?今日は放課後デートのつもりなのに……えいっ」ギュッ

P「ちょーーーーい!!?」

加蓮「あれっ、意外な反応。プロデューサーなんて仕事やってるんだから女慣れしてると思ったよ」

P「お、俺は自慢じゃないが童貞だからな!」

加蓮「そんな事言ったらアタシだって処……って、何言わせるの!!」パァン!

P「理不尽ヌ!?」

加蓮「まったく…本当にデリカシーがないよね。そんなプロデューサーに付き合ってくれる女の子ってアタシぐらいしかいないんじゃない?」

P「…………………ん?」

加蓮「あ……」カァァ

P「え…っと、加蓮、さん?」

加蓮「ちょ、ちょっとお手洗い!」ダッ

P「」ポカーン




加蓮「あー私のバカ…何言ってんだろ」

加蓮(……顔、熱いなぁ。もしかしてアタシ本当に…)

加蓮「」ピピッ

加蓮「あ……」カァァ

P「え…っと、加蓮、さん?」

加蓮「ちょ、ちょっとお手洗い!」ダッ

P「」ポカーン




加蓮「あー私のバカ…何言ってんだろ」

加蓮(……顔、熱いなぁ。もしかしてアタシ本当に…)

加蓮「……んっ、!…けほっ、けほっ!」ピピッ

加蓮(………?)



加蓮「………」

P「加蓮、上着どうしたんだ?まだ暗いと冷えるぞ」

加蓮「あ、その…汚れちゃって」

P「仕方のないやつだな…ほれ」パサ

加蓮「…ありがと」

P「…プロデューサーとして当然だ」

加蓮「……………鈍感」

P「………、こんな俺に付き合ってくれてる子に風邪なんか引かせられハックショイ!!」

加蓮「……プロデューサーはカッコつかないなぁ」

P「うるへー……」

加蓮「ふふっ…でも嬉しいな。だからってプロデューサーが風邪ひかないでね?」

P「じゃあ、あー……その、だな」

加蓮「うん?」

P「…外は寒いし、どこか寄っていかないか?」

加蓮「!」

P「……や、やっぱりやめ」

加蓮「ううん!……じゃあ、行こ?」ギュッ



ちひろ「それで、レッスンをすっぽかした挙句にアイドルを自宅に連れ込んだんですか」

P「いやっそのっあのっ…」

ちひろ「それで身体の弱い加蓮ちゃんにプロデューサーさんの欲望を突き立てて中にブチまけたんですか」

P「て、手は出してないです!俺ん家でご飯作ってもらってそれ食って朝まで語り明かしただけっていうか」

ちひろ「でも泊めたんですよね?」

P「はい……」

ちひろ「今回こそ週刊誌に出なかったから良いものの、今後スキャンダル沙汰になってみてください。この千川ちひろ直々に去勢して日本海に沈めます」コキッポキッ

P「肝に銘じます!!!」

ちひろ「よろしい」

P「ははーっ」


ちひろ「ところで。プロデューサーさんは加蓮ちゃんに対して”その気”という事ですか?」

P「……………」

ちひろ「返答次第で……わかりますね?」ニッコリ

P「そ、その…」

ちひろ「……」

P「………っ」

ちひろ「……」

P「……はい。加蓮が、好きです…」カァッ

ちひろ「…」バンッ

P「ひぃ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」ビクッ

ちひろ「…もしそのつもりがあったら、ちゃんと使ってくださいね」

P「へ?」

【0.02mm】

P「うわーーー!!な、なんてもん出してんですか!?」

ちひろ「まったく、私に言って照れてどうするんですか。あーあ、まったくもう。まったくもうですよまったくもう」

P「す、すみまそん…」

ちひろ「あーイライラする。ちょっと外回り行ってきます!」

P「あ、ちひろさん!」

ちひろ「はい?」

P「その…ありがとうございます」

ちひろ「………プロデューサー業に支障がでないように。それだけです」

P「はい!!」







ちひろ「あーあ、やっぱり事務員じゃ遠いのかしら……」ハァ

ちひろ(…あんな人に泣かされるなんて)

ちひろ「………きっつい冗談」グスッ


瑞樹「あら?」

早苗「おっ、ちひろちゃん。どしたのこんなとこで」

菜々「え…ちひろさん、泣いてるんですか?一体どうし」

ちひろ「………………みなさん、私が奢りますから今夜は飲みましょうか」

菜々「えっ」

瑞樹「…そういえばちひろちゃんとは飲んだ事なかったわね」

早苗「よーし、じゃあちひろちゃんの奢りでお酒買って菜々ちゃん家で飲むか!」

菜々「ウチですかー!?」

瑞樹「そうね…もう1人くらい誰か呼ぼうかしら」

楓「楓がいた方がええで…なんて、ふふっ」

早苗「おっといいタイミングぅ!じゃあ早速買い出し行くわよー!」

菜々「まっ、まだ昼過ぎですし、仕事も終わってないような気が…」

ちひろ「……」

菜々「き、キャハッ…?」

ちひろ「う…」

菜々「う?」

ちひろ「うえぇぇぇぇん……」シクシク

菜々「えぇぇぇぇぇ!?」


早苗「あー菜々ちゃん泣かせたー」

菜々「ナナですか!?」

瑞樹「これはもう菜々ちゃんに美味しいおつまみを作ってもらうしかないわね、わかるわ」

菜々「うー…分かりましたよぉ…」


楓「泣かせるcryなら観念して……………………、」

楓(……スランプ…)フッ






.





凛「加蓮、次が私達の出番だよ」

加蓮「あ…ちょっと待って」ゴクッ

奈緒「薬?風邪でも引いたのか?」

加蓮「うーん、そんなとこかな」

P「おーい」

凛「プロデューサー」

P「今日のサマーフェスがトライアドプリムスとしての初デビューだからな。ビシッとキメてこい!」

奈緒「任せろよな」

加蓮「うん、今日までのレッスンの成果を精一杯出してくるよ」

凛「じゃあ、行こう」

「「おー!」」



志希「疲れたー」

P「志希。お疲れ様」

志希「もーこのまま寝るー。いいよねー?」

P「あぁ、凛達も頑張ってるし次の出番までは休んでていいぞ」

志希「今日が新しいユニットのデビューだっけ~…ふぁ」

P「おう。じゃあ俺は見てくるから」

志希「おやすみ~」



志希「ふにゃ……」

志希(………んむ?)クンクン

志希「………このお薬かなー、誰のかわかんないけどごめんねー」ガサゴソ

【北条 加蓮 様】

志希(………………へぇー?)

志希「頑張るねぇー……でもちょっと嫌な感じってゆー」







.





加蓮「………え?」

志希「だからさー、アイドル辞めないかなー?」

加蓮「…な…?」

凛「志希。…どういうつもり、怒るよ?」

志希「どういうも何もー、メイワクってゆーかー?って、凛ちゃんもう怒ってんじゃーん。にゃはは~」

P「お、おいおい、何事だ!?」

奈緒「あたしもわっかんねーよ!いきなりこいつが…」

志希「あっ、ねぇねぇプロデューサー」

P「一体全体どうし」

志希「んむっ」チュッ

P「!?!!?!?!??!?」

加蓮「!?」

凛「」

奈緒「はぁっ!?」


志希「ぷはっ…ファーストキッスは甘い味だね~。ミルクティーでも飲んでたー?」

P「な…っ、お、お前…いきなり何…!?」ハッ

加蓮「……………」

パァン!!

志希「いった…」

凛「志希……アンタさ、さっきから何のつもり?」

志希「何って…そーゆーつもりだけどー。加蓮ちゃんにはアイドル辞めて欲しいしープロデューサーにキスしたのもそのつもりだしー♪」

凛「……ッ!」

奈緒「お、おいおいやめろよ!」ガシッ

凛「離して奈緒、もう一発引っ叩いてやらないと気が済まない」

志希「…それで気が済むなら叩いてもいいよー。あたしの考えは変わらないけど」

凛「この…っ!!」

P「……そこまでだ」

凛「プロデューサー…」

P「見世物じゃないぞ、レッスンに行く奴はレッスン。用がない奴は早々に帰れ。……志希は今から俺んとこに来い」

志希「はーい♪」

P「お前達も……今日のところは帰るといい。頭が冷えたら明日、改めて話を聞く」

凛「っ……わかった」

加蓮「…………」

P「奈緒は後で俺んとこに来い」

奈緒「わかった…………、えっ?」




P「で、どうしてあんな事になったんだ?」

志希「あんな事ってー?」

P「加蓮に『辞めろ』って言ったり、俺にき、きき、キス↑したりとか!…事情があったんだろ?」

志希「ないよー?」

P「無いの!?いや、嘘だろ?お前が事情もナシにあんな事するような奴じゃ無いのは俺がよく知ってる」

志希「まるであたしの事は何でも分かるって言ってるみたいだね♪」

P「おう。俺はお前達の事は何でも分かるぞ?」


志希「嘘つき」


P「……ん?」

志希「表面ではあたし達のコトを分かってるつもりでも…感情とか、心の中は、流石のプロデューサーでも……わからない」ギシッ

P「いや、そんな事は……って、近い。近いぞ志希」

志希「んふふー…プロデューサーに好意を持ってるのはあたしだけじゃないよ。本当にラヴィンユーなんだからさー」クイッ

P「う………き、気持ちは嬉しいが…その、ごめん。お前の気持ちには、応えられない」

志希「うん。わかった」コロッ

P「あれ?」

志希「ん?」

P「いや、え?」

志希「もしかして食い下がると思ったー?志希ちゃんはそんなに未練がましいオンナノコじゃないよー」

P「そ、そうか」

志希「じゃあ、最後にお願い…きいてくれるかなー?そしたら、プロデューサーのコト諦めるから♪」

P「…わかった。何をすればいい?」

志希「もー1回キスしよ?」

P「……は!?」

志希「じゃないと諦めないから」

P「………」

志希「お願い聞いてくれないなら…もしかしたらアイドル辞めちゃうかも」

P「…………1回だけ、だ」

志希「わーい♪」チュッ


パシャッ


P「!?」

志希「ぷは…プロデューサーは1回嘘ついたし、あたしも1回だけ嘘つく事にしたんだ。ごめんね~」

P「…その写真を消せ、外に漏れたりしたらマズいだろ」

志希「加蓮ちゃんとはこーゆーことしてるのにー」

P「な…」

志希「知らないと思った?志希ちゃんはこの手の匂いには敏感なんだよー♪」

P「………っ」

志希「じゃっ!また明日ね、プロデューサー♪」




奈緒「お、おーい…プロデューサー?いるのかー?」

P「あ、あぁ、奈緒。どうした?」

奈緒「いやいや!プロデューサーが呼んだんだろ!」

P「そ、そうだっけ…はは…」

奈緒「何かあったのか…?」

P「……あぁ、まぁ…どうしような?…ははは、はぁ」

凛「……」ゴッゴッ

奈緒「ちょおっ、壁にヒビ入ってる、ヒビ入ってるってば!」


加蓮「………っ」

加蓮(どうしてこんなことに…)グスッ



P「……………」

P(辞表書いとこうかな…)ハァ



志希「どーなるのかなー?なーんて、未来なんて誰にもわからないからイイんだよねー」

全国の志希にゃんPにお詫び申し上げます
離席します




加蓮「おはようございます」

P「あ、加蓮、おはよう…」

加蓮「…おはよ」

P「……」

加蓮「……」ソワソワ

P(ど、どうしよう…気まずい。やましい事なんて無い……いや、ありますね、はい…)

P「ち、違うからな」キョドッ

加蓮「な…なにが?」

P「だから、志希とは何もないし、俺は加蓮しか見てないっていうか……その、ごめん」

加蓮「…」

P「………ごめん」

加蓮「……うん。いいよ、許したげる」ニコッ

P「…」ホッ

加蓮「なんて、別に怒ってたわけじゃないよ。ただ、ちょっと拗ねてただけだから」

P「えっと…それは、嫉妬してくれたって事?」

加蓮「……ちょっとだけだもん」プイッ

P「正直辛抱たまらないっていうか。抱き締めていい?」

加蓮「ここ事務所だよ?」

P「いや!今誰もいないし!ちょっとだけ、ちょっとだけ!!」

加蓮「…………この後デートしてくれるなら」

P「やっほう!!」

加蓮「えへへ…プロデューサーはあったかいね」ギュッ

P「爆発しそう」

パシャッ

P「!」

加蓮「!?」



志希「いーけないんだー事務所でそんな事しちゃー」


.

P「志希…!」

志希「んっふっふー♪”ソレ”ってー、勿論あたしにもしてくれるんだよねー?」チラチラ

P「………」

志希「早く早くー。志希ちゃんのココ、空いてますよー」

P「………」ギュッ

加蓮「プロデューサー…」

志希「言うほどあったかくなくなくなーい?」

P「…ほら、これでいいだろ」

志希「えー、志希ちゃんとハグする権利をあげてもその態度~?」

P「……」

志希「仕方ないなぁー。じゃー、今からデート行こーよ。志希ちゃんにメロメロになってもらわないとね~♪♪」

P「……悪いが予定がある」

加蓮「…」ホッ

志希「んー…あたしの言うこと聞いてくれないとー、色んな写真がネットに出ちゃうかもしれないよー?」

P「な…っ!」


加蓮「いい加減にしてよ…!」

志希「ん?」

加蓮「プロデューサーは今からアタシと」

志希「あっれー?まだアイドルやってたのー?」

加蓮「え…」

志希「いっけませんなぁ~、早くアイドルの仕事辞めて体は大事にした方がいいんじゃない?」

加蓮「……アタシが病弱だっていいたいの?」

志希「それもだけどー……自分で分かってるよねぇ?」

加蓮「?」

志希「ふふん♪精々、『死んじゃわないように』体に気をつけてね?」ニッコリ

加蓮「!!!」

P「どういう…」

志希「ほらほら行く行く~♪」グイグイ

P「あ…加蓮…」





加蓮「………」

P「……志希」

志希「んー?」

P「どういう事だ?加蓮は何かあるのか?」

志希「どーしよっかなー。あっ、あのパフェ!奢ってくれたら話してあげてもいいって気持ちになるかも~」

P「……」ハァ




志希「いっただきまーす」

P「さぁ、奢ってやったぞ。話してくれ」

志希「モノを食べてる時にお話ししちゃお行儀悪いよ?」

P「………」

志希「♪」

P「……」

志希「プロデューサー、ごちそーさまー」

P「…そろそろ話してくれてもいいだろ?」

志希「やっぱりやめた~。あたしの気分が悪くなるもーん」

P「志希…」

志希「そ・れ・に。そのうち分かるよ、多分次の大っきなライブが終わった後くらいに」

P「次の大っきなライブ……あと2ヶ月も先じゃないか」

志希「なーんだ。あと2ヶ月しかないんだねー、カワイソーな加蓮ちゃん」

P「……」

志希「本人に聞いてもいいけどー、どーせ教えてくれないだろうしね~。その時までお楽しみって事で!」

P「………」

志希「…ノリ悪いな~。その時になったら分かるよ、きっと。加蓮ちゃんより、あたしと一緒にいる方が未来があるって」

P「未来…?」

志希「事務所でお話しするくらいならいいけどー、お家に連れ込んだり過度な接触をしたら写真撒いちゃうから♪それじゃーねー」タッタッタッ

P「…………」




P「……」

加蓮「あ…お帰り…」

P「加蓮。正直に話してくれ」

加蓮「え…」

P「お前は、俺に何を隠してる?」

加蓮「……隠してなんか」

P「…………………」

加蓮「……ごめん。言えないよ」

P「なんでだよ…!」

加蓮「本当に、ごめん。……でも、プロデューサーを想ってる気持ちと、アイドル頑張りたいって気持ちはホンモノだから!」

P「……」

加蓮「信じろ、なんて言える立場じゃないのは分かってるけど……アタシからプロデューサーにする最後のお願い。アタシの気持ちを、最後まで信じてくれないかな」

P「……分かった」

加蓮「!」

P「でも危ない真似はするなよ?体調と身体を第一に考えろ、じゃないと俺が辛い」

加蓮「うん。勿論だよ、今じゃこんなに元気なんだし…っ!?」ツルッ



P「加蓮!」ガシッ

加蓮「プロデューサー…」

P「あー左手じゃ無理だった」グラッ

加蓮「えぇぇぇぇ…ーっ!」グイーッ


ドテーン



チュッ

P「………!!」

加蓮「…!!!」


P「………っ」

加蓮「…ぷは……」


P「……ごめん」

加蓮「……えへへ」

P「加蓮?」

加蓮「……ね、もう一回しよ?何だか、勇気が湧いてきたんだ」

P「…………喜んで」







加蓮「送ってくれてありがと」

P「あぁ。さっきも言ったけど、身体を第一に考えるんだぞ。体調が悪くなったりしたら言えよ?じゃないと…」

加蓮「はいはい、プロデューサーが辛いんでしょ?おやすみー」タッタッタッ

P「お、おい!……まったく…」

加蓮「…プロデューサー!」

P「ん?」クルッ

チュッ

P「……!」

加蓮「……ふふっ、おやすみ」ダッ

P「……あぁ、おやすみ…」






加蓮「………」

「加蓮?…お帰りなさい」

加蓮「……ただい、ま」ゲホッ

「!!」

加蓮「…あーあ、また服汚しちゃった」

「ねぇ、やっぱり…」

加蓮「ううん、まだ、私は大丈夫。あと、ちょっとだけなの。それまでは…」

「……わかったわ。でも、本当に無理な時は…いいわね?」

加蓮「うん。ママ、ごめんね」



prrrrr

凛『もしもし。どうしたの、こんな時間に』

加蓮「凛?…少し、話があるんだけど」

お腹減ったので離席M@S




加蓮「…おはよ。ごめんね、急に呼び出して」

奈緒「いや、あたしはいいけどさ」

加蓮「あ。ポテト食べる?多めに頼んじゃって」

奈緒「大事な話があるんだろ?」

凛「……」

加蓮「…………あのね」




奈緒「は…………はあぁぁぁぁぁあぁぁ!?!?」

ザワザワ

凛「奈緒、声大きい」

奈緒「いやっ、そんな…凛は知ってたのか!?」

凛「…昨日の夜聞いた」

奈緒「………あたしは反対だ。プロデューサーだって何て言うか…!」

加蓮「うん、だから2人に協力して欲しいんだ」

奈緒「協力って…なんだよ」

加蓮「…ウチの事務所っていいとこだよね。あんまり喋った事がない人でも、きっと心配してくれると思うんだ」

奈緒「そりゃ…そうだろ」

加蓮「だからね。誰にも気付かれたくないんだ、特にプロデューサーには」

奈緒「………」

加蓮「あと…2ヶ月はもつ。ううん、保たせてみせる。だから、それまで、アタシに夢を見させてくれないかな」

奈緒「……………」

加蓮「迷惑をかけるのは申し訳ないと思ってるよ。でも……今ここでアイドルを中断しちゃったら、身体的にも気持ち的にもいつ帰って来れるかわからない。アタシはアタシの夢を…やっと掴んだこの夢を諦めたくないんだ」

奈緒「……………………………」

加蓮「だから…………お願いします。2人とも、私に協力してください」


奈緒「嫌だ」

加蓮「…」

奈緒「……なんて言える訳ないだろ。友達がこんなに頼み込んでるんだ、断れるもんか」

加蓮「奈緒…!」

奈緒「でも、もし加蓮の身体に何かあったらソッコーでプロデューサーに言うからな」

加蓮「ありがとう…」ホッ

奈緒「凛は?」

凛「私も条件があるよ」

加蓮「うん」

凛「まず1つ、」

加蓮「えっ」

凛「一つだけだと思った?残念、そんな虫の良い話は無いよ」

加蓮「う、うん…」

凛「まず1つ、奈緒も言ったけど何かあったらすぐにプロデューサーに言うから」

加蓮「…うん」

凛「2つ目、今後ジャンクフードは多くて週1」

加蓮「えぇ…」

凛「身体に良い訳じゃ無いから。少ない時には月1にするよ」

加蓮「うぅ…はーい」

凛「3つ目、野菜中心の食生活にする事」

加蓮「…はーい」

凛「4つ目、食生活が乱れてないか私達が適当なタイミングで調査するから」

奈緒「…達?え、あたしも入ってるのか?」

加蓮「……はーい」

凛「5つ目、適度な運動もする事」

加蓮「…………はーい」

凛「6つ目」

加蓮「ま、まだあるの…?」

凛「考えてきただけでも32個あるよ」

加蓮「そんなぁ…」

凛「私達に協力してもらいたいならこれくらいして。……私だって本当は、アイドルよりも加蓮の身体を第一にしたいんだよ」

加蓮「凛…」

凛「31個目、半身浴も……って、聞いてる?」

加蓮「……うん」ゲッソリ

奈緒「……」グッタリ

凛「じゃあ最後、32個目」

加蓮「………」

凛「アイドルをやり抜くこと」

加蓮「やりぬく…」

凛「途中で何かあったら、プロデューサーに言う。身体は大事にできるけど、きっとその時点で加蓮はアイドルとしての人生は終わる。でも…そこで加蓮に止まって欲しくないんだ。勿論、加蓮の身体を第一に考えてるけど……うん、どっちも本音だよ」

加蓮「……」

凛「私が加蓮の立場でもすると思う。……あと2ヶ月を多少無理してでも、命懸けでアイドルをやりきって」

加蓮「………凛、ありがと。大好き!」ギュッ

奈緒「それってプロデューサーに言う、ってのと矛盾してねーか?」

凛「ごちゃごちゃうるさいよ奈緒」

奈緒「なんでだよ!?」

凛「さすがに絶対無理って思ったらプロデューサーに言うよ」

加蓮「うん」

奈緒「よし、そうと決まれば」

加蓮「最後にハンバーガーをいっぱい食べとかないとね!」

奈緒「いやいやいや!!」

凛「加蓮…?」

加蓮「じょっ、冗談だよ!………半分」シュン

奈緒「ったく…しかし、凛はよく協力する気になったな。あたしは絶対反対だと思ったけど」

凛「加蓮がアイドルにどれだけ本気でうち込んでるか分かったからね。……負けないよ?」

加蓮「アタシだって!」

凛「……プロデューサーの事もね」ボソッ

加蓮「!」

凛「…もし気を抜いたり倒れたりしたら、私が貰っちゃうからね」ニヤ

加蓮「…負けるつもりは無いよ?」

凛「さぁ、どうだろうね」

加蓮「……」

凛「……」

加蓮「……ふふっ」

凛「……ぷっ」

加蓮「あはははははっ!」

凛「ふふふっ!」

奈緒「なんだ?なんでおまえら笑ってんだ?」

加蓮「ふふ、なんでもないよ。……凛、奈緒。ホントにありがとうね」

奈緒「な、なんだよ急に改まって。友達なんだから当たり前だろ?」

凛「そうだね…友達で、ライバルで、仲間だから。私と奈緒はここにいるんだろうね」

加蓮「2人とも…!」






志希「……うんうん、まるでドラマだねぇ~」

志希(となるとあたしは必ず最後にフラれる悪女キャラってとこかー)

志希「まぁ。悪くない悪くなーい♪」

志希(……悪くなんか、ない)ズキッ


志希「ふんふーん♪」

P「……」ハァ

志希「おっ、プロデューサーじゃーん♪」

P「な、なんだ?」ビクッ

志希(あ……)

P「……何だ?」

志希「…なんでもなーい」

志希(……こんなつもりじゃー、なかったんだけどなー)






麗「北条!そうじゃないと言っただろう!!」

加蓮「…っ、もう一度お願いします!」

奈緒「加蓮のやつ、張り切ってるな」

凛「私達も負けてられないよ」

奈緒「……そうだな。あたし達が最高のステージで送り出してやらなきゃ」

凛「……」

奈緒「…なぁ」

凛「ちゃんと帰ってくるよ」

奈緒「……」

凛「何週間、何ヶ月、何年かかっても、絶対。加蓮は帰ってくる。私はそう信じてる」

奈緒「…そーだな。あたしも信じるよ」

加蓮「2人とも、合わせようよ!」

凛「わかった!…ほら、行くよ奈緒」

奈緒「やれやれ…」

ちひろ「最近、加蓮ちゃん調子がいいみたいですね」

P「えぇ。ライブやレッスンにも積極的に参加して……ただ、」

ちひろ「何か?」

P「…積極的過ぎるというか、何か焦ってるような気がして」

ちひろ「それこそプロデューサーさんが聞けばいい話じゃないですか。もう、”そういう”関係なんでしょう?」

P「…どういう関係かは知りませんがね、ここ最近手を繋いですらいないですよ辛い事に」

ちひろ「ヤリ捨てですか最低です」

P「どうしてあんたはそんな風に……や、ヤってとか…」カァ

ちひろ「あっDTでしたか」

P「触れないでくださいよ。つーか女としてどうなんですソレ」

ちひろ「ケケケ、もう遠慮するつもりはなくなったんです覚悟してください」


志希「プロデューサーがDTと聞いてー♪」


P「」


志希「ねぇプロデューサーのDT、あたしが貰ったげよーか♪」

P「い、いや…いいから…近いって」

志希「あっ、安心していーよ?あたしも処女だから~」

P「ちょぉっ、せめてオブラート的なもんに包め!!」

ちひろ「プロデューサーさん………まさか」

P「違う!断じて違いますから!!」

志希「あたしの処女ぷれぜんとふぉーゆー♪」

P「いらんっての。女の子が軽々しくそんな事言うんじゃない」

志希「プロデューサーならいーのにー」

P「…気持ちは嬉しいがな、俺はお前に対してそんな感情は持ち合わせてないんだ。悪い」

志希「いーもん。いつの間にか志希ちゃんにメロメロになってたりするんだからね~」

P「……」

志希「…ところでさ、加蓮ちゃんはプロデューサーに秘密を教えてくれたのかな~?」

P「……いや」

志希「……気にならない?」

P「気にはなるけどな。加蓮が『信じて』って言ったんだ」

志希「……まぁ、あたしとしてはそっちの方が意外といい結果になるかもだけど~♪」

P「……」

志希「『どういうことだ』って聞かないのー?」

P「……俺は加蓮の気持ちと覚悟を信じるだけだ」

志希「…つまんないのー」




.

ちひろ「…あえて何があったのかは聞きませんよ」

P「よかった、ちひろさんでも空気を読む事はできるんですね」

ちひろ「殺しますよ」

P「はいごめんなさい」

ちひろ「まったく…本当に罪な人ですね」

P「そんな自覚は無いんですけどね…」

ちひろ「……ムカつく」


ガチャッ

加蓮「プロデューサー、ただいま!」

P「おう。おかえり!」

凛「ただいま」

奈緒「ただいまー」

P「おう。お前らもおかえり」

加蓮「あのね、今日のレッスンで…」

P「なんだどうした」

凛「違うよ、元を辿れば奈緒が」

奈緒「どうしてあたしになるんだよ!?」

P「おっ、おいおい…話に入れてくれよ」

加蓮「だーかーらー、」


ワイワイ




志希「…………」

志希(……ホントに[ピーーー]じゃえばいいのに…)

志希「なーんて、今のはアイドルとしてナンセンスだね~。フィルターでもかかっちゃうかなー」スタスタ

志希(……)

志希「……一体何をムキになってるんだろーねー。楽しければいいのに、って。そっか、………楽しくないんだ、コレ」ギリッ

という訳でまた午後くらいまでおやすみなさい
(そんな事ないよ)


ガヤガヤ


P(………)

P「………もう2ヶ月経ったのか、あっという間だったな…」

ちひろ「プロデューサーさん、ミーティングしますよ!ライブ開始まであと1時間もないんですからね!」

P「あっ、今行きます!」

P(………加蓮…)




P「よし、ミーティングをするぞ。全員いるな?」

「「「「「はい!!」」」」」

P「まずは順番の確認だ。ほぼノータイムでステージに上がってもらう。トップバッターは」

友紀「あたし!」

P「…じゃなくて、ニュージェネ」

未央「きたきたきたー!待ってましたっ!」

卯月「頑張りましょうね!」

凛「……うん」

P「凛にはニュージェネとして出てもらった後にトライアドプリムスとしても出てもらう事になる。今回ソロはないけど……キツいとは思う、やれるな?」

凛「当たり前じゃん、私を誰だと思ってるの?」

P「だよな、超杞憂だった。次は美嘉と莉嘉が2人で登場、TOKIMEKIとDOKIDOKIの二曲。美嘉が退場してきらりとみりあが出て凸レーションのステージ。その間に美嘉はおねシンの衣装に着替える。ここまでに質問は?」

美嘉「もちろん、大丈夫★……多分」

きらり「頭がぐるぐるすゆ…」

莉嘉「だ、大丈夫だよー☆ガンバロー!」

みりあ「うんっ!」

P「次、ソロで……加蓮」

加蓮「はい!」

P(………)

P「そのまま奈緒、アーニャ、小梅と川島さんもソロで歌って貰ってオルゴールで〆。5人が舞台袖に引っ込んだのを確認したらアタポンのイントロが始まる。リハ通り、卯月達はダッシュで所定の位置に付け」

杏「うげ…誰かおぶってくれない?菜々ちゃんでもいいから」

菜々「むっ、無理ですよぉ!」

みく「今日はアスタリスクが無いからそこそこ負担は無いって事は…、余裕にゃ!」

美穂「うぅ…緊張してきた」

卯月「あの、私は…」

P「卯月もニュージェネ出たら凛と一緒に着替えに行け。んですぐ帰って来い」

卯月「はいっ!」





P「次、ルルルルァンコォが引っ込んだら会場暗転。最後にトライアドプリムスでライブの〆だ。お前達がトリだからな、気張れ」

凛奈緒加蓮「「「はい!」」」

P「以上!各自準備をしろ、あと30分でスタートだぞ!!」

「「「「「はい!!!」」」」」




奈緒「さっきチラッと見てきたけど、すげぇ数のファンが来てたぜ。いつもより多いかも」

凛「なら、いつも以上に頑張るしかないね」

加蓮「今日が最後だと思ってやろう、悔いを残さないように」

凛「約束、覚えてるよね?」

加蓮「……うん、今日が約束の2ヶ月。このライブが終わったら…」

凛「……」

加蓮「……」

奈緒「……あー、当然の事を聞くけど…今日で終わるつもりはねーよな?」ニヤリ

加蓮「…っ当たり前じゃん」

凛「………じゃあ、先に行ってくるね」

奈緒「おう、頑張れ!」

加蓮「凛 頑張って!」

凛「……」グッ

コンコン

加蓮「はーい」

P『俺だ、入ってもいいか?』

加蓮「どーぞー」

P「お前達だけか?」

奈緒「他の奴らは皆、モニターじゃなくて直接見たいって舞台袖に行ってる」

P「…そうか」

奈緒「……ちょっと邪魔になってねーか見てくる。プロデューサー、加蓮をよろしくな」ガチャッ

P「えっ、あ、あぁ」

加蓮「………」

P「………」

「「あの」」

P「な、何だ?」

加蓮「ぷ、プロデューサーから話して」

P「あーいや、そのな?体とか大丈夫かなーって…」

加蓮「……うん」

P「……そっか」

『346のプロデューサーさん、お客様です』

P「あっ…はい!今行きます!……もう少ししたら、ソロで出るよな」

加蓮「う、うん」

P「……頑張れ」

加蓮「…うん」




P「……客って…」

志希「志希ちゃんでした~」

P「お前……今日は」

志希「オフだからお客さんって事で来ちゃったー♪」

P「……」ハァ

志希「えへへー、ちょっとセクシーな服で来ちゃったんだ~。舞台衣装みたいでしょー」

P「上から白衣着てんじゃねーか」

志希「あっ、無いほうがよかったー?」

P「あーもう、俺は戻るぞ。志希もウチのアイドルだから入れるはずだから裏に入ってもいい」

志希「大事なお話で来たのに~」

P「…大事な話?」

志希「……………加蓮ちゃんのことー」




加蓮(……あと二曲で、アタシの出番)

加蓮「頑張らなきゃ…っ、ゔっ…!?」ゲホッ

加蓮(あぁ…)

加蓮「そんな…………………………」ドロッ

志希「端的に言うと、加蓮ちゃん。真面目に死んじゃうよ」

P「ふざけるなら帰ってくれ」

志希「ふざけてると思う?」

P「……」

志希「身体中ボロボロだよ、なんとかお薬で踏ん張ってるみたいだけど」

P「……そんな」

志希「2、3ヶ月くらい前かな。加蓮ちゃんのバッグの中にお薬見つけちゃったんだ~。で、様子を見てたら今日のライブが終わったらアメリカで手術をするとか」

P「………」

志希「そうだよね、凛ちゃん♪」

P「!?」バッ

凛「………志希」

志希「ごめんね、3人が話してるとこ聞いちゃった~」

卯月「えっと…あのー……?」

凛「……」

P「お前、知ってたのか…?」

凛「…加蓮に相談されたよ」

P「そんな、だって、俺は…俺が……」

凛「プロデューサーに、心配かけたくなかった」

P「それは」

凛「それに、プロデューサーに言ったら…加蓮は無茶してまでアイドルを続けられなかった。絶対、アイドルを休ませるだろうって」

P「ふざけるな!そんな事当たり前だ、身体が良くないと元も子もないだろ!アイドルなんてするより、身体を大事にするべきだ!」


パァンッ!!


P「………え…?、」ヒリヒリ

凛「アイドル”なんて”…?そっちこそふざけないでよ、プロデューサー…!!」

P「な…」

凛「私達がアイドルって夢を、命と人生をかけて夢を叶えようとする事の何が悪いの?」

P「……」

凛「たとえ死んじゃうかもしれなくても、加蓮には叶えたい夢ができたの。加蓮だけじゃない…私達にそのきっかけを作ったのはプロデューサー、アンタだよ」

P「………」

凛「たとえどんな事になっても……プロデューサーは私達の結末を受け入れる義務がある」

P「だが、俺は、プロデューサーだ。お前達の健康やアイドル業をサポートする事だって義務だ」

凛「…私達がどんな夢をもってどれだけ頑張るかは私達の絶対特権。たとえプロデューサーにも邪魔はさせないよ」

P「そんなの、身勝手だ…」

凛「身勝手なのはそっち。加蓮に、勝手に夢を見せておいて…勝手に夢を取り上げるつもりなの?」

P「……っ」

凛「もう一度言うよ。私達がアイドルって夢を、命と人生をかけて夢を叶えようと頑張る事って…そんなに悪い事?」

P「……悪くなんか、ない」

凛「じゃあ加蓮を信じてあげなよ、加蓮の覚悟をさ。……それだけ」スタスタ

P「………………」

志希「だってさー?勝手だよね~、プロデューサーだって知る権利も心配する権利もあるもんねー?」

P「………………」

志希「だからさ……」

P「あはははははははははははは!!!!」

志希「!?」

P「卯月ィ!」

卯月「えっ!?は、はいっ!?」

P「俺を思いっっっっきり、ビンタしてくれ!!」

卯月「えぇっ!?そ、そんな無理です!」

P「頼む!!!!」

卯月「う…うぅっ、し、失礼しますっ!!」

バキィッ!!!

P「ぐっは……!?」

卯月「あ、あれ…?」

P(めっちゃ強い…これビンタ…?嘘だろ…?)ビクンビクン

志希「えっと…だいじょーぶ?」

P「はは……俺はプロデューサー失格だな」

志希「へ?」

P「加蓮がそんな事になってる事も気付かなかったが……加蓮の覚悟の大きさにも気付いてなかったんだなぁ…」

志希「……」

P「俺は、今日もこれからも、加蓮を全力でサポートしよう。加蓮が『信じて』って言った言葉の重みを、ようやく実感した」

志希「え……」

P「よし!!加蓮、今行くぞオォーーー!!!!」


志希「待って!!!!」

P「?」

志希「…怒ら、ないの?」

P「何に?」

志希「だって、加蓮ちゃん達、プロデューサーにこんな大事な事黙ってたんだよー?フツー怒るよねー?」

P「あぁ、怒ってるよ」

志希「じゃあ…!」

P「あぁ。正直最初はあいつらにブチ切れたけど凛にビンタされてからは自分の不甲斐なさにブチ切れてる。こんな馬鹿なプロデューサーを気遣って無理してたとか、俺が無理させてたのと同義だからな。まだまだ俺は未熟なんだなって」

志希「そうじゃなくてさー!!!!!」

P「おおぅ?」ビクッ

志希「もー、わっかんないかなー!?」

P「……」

志希「ねぇ、あたしならプロデューサーに迷惑かけないよ~?加蓮ちゃんみたいにプロデューサーに大切な事を隠したりしないしー、プロデューサーが望むんならこの心だって身体だって…」

P「すまない」

志希「……っ!」

P「俺は、加蓮のところに行く」

志希「………」

P「せっかくだ、見ていってくれ」ダッ

志希「………………」

卯月(ええぇぇー…ど、どういう状況なんですかこれ…)

志希「ふふーん♪派手にフラれちゃったー」クルッ

卯月「志希ちゃん…」

志希「あーあ…」


P『アイドルやらない?』



加蓮『今日から新人アイドルとしてお世話になります。北条加蓮です。よろしくお願いします』

ちひろ『はい、よろしくお願いします。プロデューサーさんが長々とスカウトを諦めなかった子ですね、話は聞いてますよ』

加蓮『あはは…』




P『…外は寒いし、どこか寄っていかないか?』

加蓮『!』



志希「いつだって…見てたのになー……何であたしじゃダメなんだろー?何で、あたしじゃなくて、加蓮ちゃんなんだろーね?天才のあたしにもわかんないや~!」

卯月「……」

志希「……あたしの方がプロデューサーといた時期は長いのに、うぅー!おっぱいだってあたしの方があるのにー!」プンスカ

卯月「……あの」


志希「はは…おっかしーなー。急に涙腺から、弱アルカリ性の液体が出てきちゃった……どーしてだろー…♪」ポロポロ

卯月「……っ」ギュッ

志希「あっ卯月ちゃーん、ちょっとだけ、胸、貸してー」

卯月「…はい」

志希「優しー♪プロデューサーとは大違い……」

卯月「……」

志希「…ふぐっ…うぅっ……プロデューサーのばかー…!!」






.


ザワザワ

P「おい、どうしたんだ?」

奈緒「ぷっ、ぷぷ、プロデューサー!!」

P「あん?」

奈緒「が、楽屋に、ち、ちち、ち、ちちちちち…!」

P「乳?」

凛「違う、”血”だよ」

P「は?誰の?」

凛「多分………………加蓮」

P「っ!!加蓮はどこだ!!」

奈緒「それが、見当たらなくて…!」

prrrrr

【北条加蓮】

P「加蓮!俺だ!!」

加蓮『あー、もしもし…?』


卯月「……」

志希「あー泣いた泣いた~。ひっさしぶりだよこんなに泣いたのー。スッキリしたー♪」

卯月「それは、よかったです…」

志希「よくないよー…」ドヨーン

卯月「あわわわ!ご、ごめんなさいっ!」

志希「えへへー、じょーだんじょーだん♪」

卯月「もう…」

ザワザワ

卯月「あれ…楽屋前、何の騒ぎでしょうか?」

P『っ!!加蓮はどこだ!!』

志希「!!」ダッ

卯月「えっ!?し、志希ちゃーん!」

P「今どこにいる!?」

加蓮『その前に…奈緒か凛に変わってくれるかな』

P「え…」

バッ

凛「加蓮?私」

加蓮『あ…ごめんね、凛。ちょっとだけ、我慢が利かなかったみたい』

凛「…………まだ、演れる?」

加蓮『ちょっとだけ、時間をちょうだい。最後の、3人と出る時までには元気になるから』

凛「うん。わかった、今どこにいるの?」

加蓮『2階の……』



pi


P「な、何て言ってた!?無事なのか!?」

凛「加蓮のところに行ってくる。加蓮は、最後のトライアドプリムスまで出られない。でも必ず私たちは3人で出るから」

P「はい!?」

凛「ゴメン、何とかしておいて。行くよ奈緒!」

奈緒「お、おう!」

P「なんとかって…あーちくしょう!ライブ始まってからまだ30分くらいしか経ってないよ!?」

未央「歌の後のトークをちょっとだけ長くするとか…」

P「そういうわけにもいかん、客には曲の順番じゃなくて出演キャストの一覧を記載してるパンフを渡してるとはいえ加蓮がいない4人でオルゴールを歌う事になる。今更歌う箇所の調整は無理だ、間に合わない」

未央「そんな…」

P「あぁぁぁぁぁぁどうすれば……!」

卯月「あ、あの!」

未央「おっ、しまむー!今大変な事に」

卯月「さっき志希ちゃんが舞台の方に向かって走って行っちゃって…」

P「……え?」




ちひろ「どうしましょうどうしましょう…」

「音響さん、このCDかけて~。うんうん、オフボだからよろしくー」

ちひろ「え…!」

「ちひろさんちょっと前通るよー♪」ダッ

ちひろ「し、志希ちゃん…!?」



~♪♪♪

P「このサイケデリックに心地いいイントロは…」

未央「ぷっ、プロデューサー!テレビ見てテレビぃ!」


【LIVE】
志希『My secret eau de toilette...』


P「……志希……!?」






.

志希『恋は化学式 君にはきっとcrazy thing』

志希『My secret eau de toilette...』

パチパチパチパチ

志希『ファンのみんながあまりにも楽しそーだったからー、今だけ加蓮ちゃんに無理言って飛び入りで代わって貰っちゃったー♪あっ、安心して?今日の最後はちゃーんとTPの3人で〆るから~』

ザワザワ

志希『あーネタバレしちゃったー。まっ、今は楽しいからいっかなー?ところで、次の次の次の次の次くらいにオルゴールの小箱をみんなで歌っちゃうけどー、そこも加蓮ちゃんのパートやらせてもらいまーす!加蓮ちゃんファンはごめんなさーい、でも楽しーからやるね~』

ワイワイ

志希『とゆーわけでー、次は小梅ちゃん!カモーン!!』

小梅『はーい』




P「志希…あいつ……」

未央「よかったー!もうダメかと思ったよー!」

卯月「……志希ちゃん…」

未央「えっ…なんで2人ともしんみり…?」



コンコン

凛「加蓮、いる?」

加蓮「ごめんね、わざわざ…」

奈緒「よく一個上の階のトイレまでこれたな…ポカリ飲むか?」

加蓮「ちょっと貰おうかな…」

凛「……衣装」

加蓮「うん、汚れちゃった…ライブはどうなってる?」

凛「……志希が、どうにか繋いでくれたよ」

加蓮「…!……そっか」

凛「一応聞くけど…どうする?無理なら」

加蓮「うん、さっき言ったとおり……演れるよ。あと1回くらい」

凛「…わかった。トライアドの衣装持ってきたから着替えて?汚れたのはこっちのビニールに入れて。奈緒」

奈緒「あたしかよ!いいけどさ…」

加蓮「えへへ、ごめんね…」

凛「……プロデューサー、心配してたよ」

加蓮「……うん」

凛「終わったら、ちゃんと謝ること。私たちも謝ってあげるから」

加蓮「2人とも……ほんとにありがとう」

奈緒「もうツッコまねーからな」

凛「………」ハァ

加蓮「……」フゥ

奈緒「なんだよその『やれやれ』みたいな顔!?」


志希「あー疲れたー」

P「志希!ありが」

志希「あたし帰るね~」

P「えぇっ!?」

志希「今日はもー疲れたー、バイバーイ」スタスタ



P「………ありがとう」





.


志希「あー疲れたー」

P「志希!ありが」

志希「あたし帰るね~」

P「えぇっ!?」

志希「今日はもー疲れたー、バイバーイ」



P「さっきはごめん………あと、本当に、ありがとう。助かったよ」



志希「……それはよかったねー♪」スタスタ

志希(………えへへ)クスッ





凛「………そろそろ、だね」

奈緒「よっし…ちょっと急ぎ足で行くか」

加蓮「うん、行」


志希「あ」バッタリ


加蓮「あっ」

凛「……」

奈緒「……」

志希「………」

加蓮「………」

志希「……さっきまで観てたけど、あたし帰るから~。あとは頑張ってねー」スタスタ

加蓮(……あ…)

加蓮「あの!ありがとう!!」

志希「……加蓮ちゃんに言われても嬉しくないよーだ」ベー

加蓮「な…」

志希「……じゃあね~♪」スタスタ




加蓮「……」

凛「……加蓮」

加蓮「…行こう。折角、志希がアタシ達に繋いでくれたんだもん」


P「加蓮加蓮加蓮加蓮……」ソワソワ

加蓮「プロデューサー!」

P「か、加蓮!」ギュッ

加蓮「わぁ…っ!」

ヒューヒュー

プロデューサー…

P「お前、心配させやがって…!!」

加蓮「ごめんね…あと、ここまで信じてくれてありがとう。プロデューサー」

P「あぁ…」

加蓮「終わったら、伝えたい事があるんだ」

P「あぁ…!」

加蓮「だから、もう一度だけ。背中を押してくれる?」

P「おう!行ってこい!」ポンッ

加蓮「うん!行ってくるよ!」

凛「プロデューサー、私も」ポンッ

P「お、おう。行ってこい」

奈緒「ったく…」


P「ほら、奈緒」

奈緒「ん?」クルッ

P「も………、…!?!?」ムニュッ

奈緒「ひぁ……っ…!?」ビクッ

凛「」

加蓮「」

P「あ、その、……ごめんなさい」

奈緒「こ、こここ、こんの……ヘンタイプロデューサー!!」

バチーンッ!!

P「ぐふぅ…」

奈緒「ったく!!行くぞ2人とも!!!」プンスカ

凛「そうだね、早く行こっか」

加蓮「うん。ほっとこ」

P「が…がんばへひょー……」




凛「じゃあ、トライアドプリムスっ」

奈緒「ファイトッ」

加蓮「オー!」

ワァァァ

~♪♪♪


『鮮やかな色纏う波紋は 風受けて飛び立った』

『キラキラと光る 眩しい空へと』


P「……」ダバー

未央「うんうん、よかったねぇ無事に回って。未央ちゃん感動したよー」

卯月「そうですね。凛ちゃんも、あんなに楽しそう…」




志希「………おっ。どこからか風に乗っていい香りが~…」スンスン

志希(…あー)

志希「なーんだ、ゆーじょーの匂いか。どうりであっちの方から匂ってくるわけだ~」ハスハス



.





パチパチパチパチ

P「モーイ!モーーイ!!」

未央「おっ、オランダ語…!?」

卯月「分かるんですか!?」

未央「いや、適当に言っただけ。ところでプロデューサー」

P「ん?」

未央「終わったけど。3人を迎えに行かなくていいのー?」ニヤリ

P「い、行ってきます!!」

未央「いってらっしゃーい」


凛「…よかった、やりきれたね」

奈緒「あぁ、よかった」

加蓮「……う、ん。2人の、おかげ…だよ」ハァハァ

凛「……加蓮?」

P「おーーい」

加蓮「あ……プロデュ…サ…」

ドサッ

凛「っ!」

奈緒「!!」

P「……加、蓮?」

加蓮「…」グッタリ


P「加蓮!!!」


凛「奈緒、救急車呼んで。私はちひろさんとみんなに話してくる」

奈緒「わ、分かった!」



ピーポーピーポー


P「……」

凛「プロデューサー、加蓮は?」

P「今からアメリカに移送。そのまま緊急手術だそうだ」

奈緒「…そっか」

P「……なぁ、俺は。俺は加蓮を舞台に立たせて本当によかったんだろうか」

奈緒「…」

P「俺は加蓮を信じて演らせたが……いざこうなると、どうしようもないくらい不安になる。やっぱり休ませた方がよかったんじゃないかって…」

凛「間違ってないよ」

奈緒「凛…」

凛「間違ってない。それは私達が保証する」

奈緒「……そうだな、その通りだよ。あたし達はそう思ってるよ」

P「お前たち…」


「北条加蓮さんを移送します。最後の面会のお時間です」

P「は、はい!」

凛「奈緒」

奈緒「あぁ…」




加蓮「………あ…来てくれたんだ…」

P「当たり前だろ…!」

凛「そうだよ。来ないわけない」

奈緒「あぁ。……大丈夫か?」

加蓮「今は、なんとか……」

凛「そっか…」

加蓮「……あのね」

奈緒「うん?」

加蓮「今までに、何度も何度も言ってきたけど……アタシに協力してくれて、助けてくれて、本当に…ありがと…」スッ

奈緒「みっ、水くせーこと言うなよ…!あたし達、友達じゃんか…!!」ギュッ

凛「私達の方こそ、ありがとう。加蓮と一緒の舞台に立てて、最高だったよ」

加蓮「えへへ……そんな事言ってもらえる、なんて。嬉しい、な…けほっ、けほっ…!!」

ピーピーピー

「呼吸器繋いで!」


奈緒「か、加蓮…!」

加蓮「ごめん、ね…また心配かけちゃったかな……」

「もう、移動しましょうか」

加蓮「もう少し…だけ、お願いします」

「………」

加蓮「アタシね、絶対…もう一度2人と舞台に立ちたい」

凛「……うん。絶対だよ、ずっと待ってるからね」

奈緒「むぁっ、負けんじゃねーぞ!」グスッ

加蓮「アタシ……本当に良い親友を持ったんだ。夢がまた1つ叶ってたよ…」

凛「……奈緒」

奈緒「……っ、加゛蓮!まだな゛っ!!」ズビッ

加蓮「うん……また、ね…」

ガラッ

P「………加蓮」

加蓮「プロデューサー…ごめんね」

P「いいんだ、もう、いいんだ。俺の方こそ、お前の覚悟に気付いてやれなくてすまなかった…」

加蓮「ううん……アタシの無茶に…付き合ってくれて…ありがと…」

P「あぁ、本当に無茶苦茶だったよ…まったく。俺には『信じて』ってひと言だけしか言ってくれないし、どんだけ心配した事か……!」

加蓮「ふふっ…それでも、付き合ってくれたよね……プロデューサーの…そんなとこが、初めて会った時から、大好きだったよ…」

P「奇遇だな。俺も、お前の無茶苦茶なトコが最初っから好きだったよ…」ギュッ

加蓮「えへへ…プロデューサーは、あったかいなぁ…」

P「………帰ってこい。俺のトコに」

加蓮「…うん」

P「どれだけかかってもいい。ちゃんと帰ってこい。まだお前のプロデュースは終わってない、トップアイドルになるんだからな」

加蓮「うん…!」

P「それから……」


「もう時間です。行きますよ北条さん」

加蓮「あ……」

P「……加蓮!!」グイッ

加蓮「プロ……んむっ」

チュッ

P「帰ってきたら、結婚しろ!!」

加蓮「プロ、デューサー…」

P「だから…だから……!!」

加蓮「……うん、待ってて。すぐ、帰ってくるから」

P「…っ!!」

加蓮「大丈夫、貴方が育てたアイドルを信じて…?」

P「加蓮ーーーーーッ!!!!」





.





【3年の治療を経て難病から復活を果たした奇跡のアイドル帰国】

【トライアドプリムス再結成 記念ライブは2ヶ月後】

【話題のあのアイドル、ニューシングル 売切れ続出】

【アイドル業復帰によりファン歓喜の裸踊り 猥褻物陳列罪で検挙か】

【トライアドプリムス感動秘話ドラマ化決定】

【同僚アイドルが語る 3人の友情の物語】




.



P「…おうおう、今朝の朝刊すごい事になってんなぁ」

加蓮「そうだねー」

P「興味ない?どこもお前の記事だらけだぞ、アイドル冥利に尽きるんじゃないか」

加蓮「気になるけど。アタシはほら、そんな記事よりプロデューサーとの時間の方が大事だから」

P「………昔も言ったけどさ、お前は可愛い奴だなぁ」

加蓮「と、突然何?」

P「俺は加蓮のそういう所も全部大好きだ。今改めてそう思った」

加蓮「ちょっ………もー。お見舞いに来るたびそんな事言うんだから言葉が軽く感じちゃうなー」

P「えー……じゃあ、その…愛してるよ」

加蓮「……」

P「……どう?」

加蓮「…えへへ、合格」チュッ

P「はは……おっ、そろそろ2人が来る頃かな」

加蓮「本当?」

P「あぁ。噂をすればだ」

ガチャッ

凛「加蓮、久しぶり!」

奈緒「加蓮んんん!久しぶりだなーーこのやろー!」ギュッ

加蓮「わっ……ふふっ、久しぶり、2人とも」

奈緒「つっても3ヶ月ぶりだけどな。プロデューサーがなかなか行かせてくれなかったからなー」

P「当たり前だ。仕事が山積みの売れっ子アイドル達をひょいひょい外国に何度も行かせられるか」

凛「自分は行ってたくせに」

P「まぁね?多少はね?」

奈緒「はぁ……また日本で会えてよかったよぉ…」

加蓮「もう…大袈裟だよ」

奈緒「大袈裟じゃねーよ、やっと親友が帰って来たんだ。もう一度あたし達3人で再スタートできるのが嬉しくてさ」

加蓮「奈緒…」

凛「加蓮、まず行くところは決まってるよね?」

加蓮「うん、事務所だよね!変わったかなぁ…楽しみ」

P「何も変わってないぞ。強いて言うなら建物が3倍くらいの規模になったくらいか」

加蓮「すごく変わってる!?」

P「じゃあ、行くか」

加蓮「うん、行こ」

凛「プロデューサー、車出して」

P「分かってるよー」

奈緒「お菓子か何か買っていくか」

加蓮「あっ、ハンバーガーはどうかな」

凛奈緒「「ダメ!!」」

加蓮「な、なんでー…もう大丈夫だよ?あっちでも食べたりしたし…」

凛「身体に悪いから」

奈緒「おう。日本にいる間は加蓮の主食はお粥だ、お粥にしろ」

加蓮「そんなー!」

凛「……ふふっ」

奈緒「……くくっ」

加蓮「……あははっ」

P「…お前らは変わらないなぁ」

加蓮「うん、何となく嬉しい。2人とも…また、よろしくね」

凛「うん、こっちこそ」

奈緒「頑張ろうな!」

加蓮「そして……プロデューサー」

P「あぁ、約束通り、結婚しよう」



加蓮「うん。イヤ」



P「あぁ……………アイエェェェェェェェェェ!!!?!?!?!?」

凛「」

奈緒「や、約束…!?でも断って…えぇ!?」

P「な、ナンデドウシテ!キスまでする仲なのに!!」

加蓮「ちょっと、声が大きいよ」

P「だっ、だっでえぇぇぇぇ!!」エグッエグッ

奈緒「うわ…大人のガチ泣きってこんなんなんだ…」

加蓮「もー!アタシは今からアイドルに戻るのに、結婚なんてできるわけないでしょ?」

P「え……?お、俺が嫌いになったとかじゃなく…?」

加蓮「そんなわけないじゃん。大好きだよ。でも、結婚は……すぐには無理、って意味。言い方が悪かったね、ゴメン」

P「じゃ、じゃあ……」

加蓮「何年先になるかは分からないけど……もう少しだけ、待ってくれる?トップアイドルになるその日まで…ね」

P「あ、あぁ!今までずっと想って来たんだ、あと何年経とうが心変わりなんかしないさ!!」

加蓮「ふふっ……よかった」チュッ

P「おっふ…」

凛「プロデューサー、私も」

奈緒「いやいやいやいや!2人とも何やってんの!?そんな関係……えぇ!?あたし全然気付かなかった…」

加蓮「……ふふっ、奈緒も本当に変わらないね」

P「あぁ。ウチ自慢の永遠のツッコミ職人だからな」

奈緒「芸人みたいにいうな!あーたーしーは、アイドルだー!」


加蓮「プロデューサー」

P「ん?」

加蓮「大好きだよ」

P「おう。知ってる」

加蓮「だから、アタシが早くトップアイドルになれるように導いてね」

P「あぁ、俺はお前のプロデューサーだからな」

凛「お前”達”のでしょ?加蓮、私負けないからね」

加蓮「ふふーん、アタシは手強いよー?」

凛「それでこそ親友で、ライバルだよね」

奈緒「えっ……何だよ、何だよこの空気…!?」





.

終焉

今回のCu限定ガチャで幸子がダブりました略してダブ子
ジュエルください

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