※ このスレは【金田一少年の事件簿】と【咲】のクロスオーバーとなります
※ 京太郎が主人公であり、咲キャラの死亡・殺人描写アリ (一段落したら全員蘇生して別次元で再開?)
※ 金田一特有のクッソ重い動機、外道化などがありますが咲キャラはみんな好きです
※ 不定期更新(筆が進まなかったらごめんよー)
※ 作者はミステリー初心者なので過度な期待は禁物
※ 問題編・解答編の二つを書く予定
【進行中に答えられない質問例】
「○○が犯人でしょ?」「○○を使ったんじゃない?」「○○で、○○すれば犯行可能じゃね?」「○○は死にますか?」
※核心に迫る質問や、自分が分かったからといって解答するのはなるべくご遠慮ください
全ての事件終了後に考察・推理するパートを設けるので、そこで自分なりの答えを書けばOK
【答える質問例】
「死体の状況を詳しく教えて欲しい」「凶器の特徴をもっと詳しく」
※一応本文だけで解けるようにはしてる筈ですが
分かりづらい場合や、もっと詳細な情報が知りたい時に質問してください。
前スレ 【雀姫伝説殺人事件】
【咲×金田一】京太郎「君にこの謎が解けるか!?」咲「問題編」【リメイク】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1405349447/)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1459941313
【長野 某所】
?「万事、抜かりは無いよ」
月の明かりが窓から差し込む深夜零時
携帯電話を片手に、その少女は不敵な笑みを浮かべている
?「ボクの考えた最高のショーなんだから。きっと、みんな喜んでくれるよ」
背中にゾクゾクと走る高揚感
?「あの探偵坊やに勝って、証明してあげる」
復讐がきっかけ? いいや違う
彼女はただ、愉しみたいだけなのだ
?「ボクこそが、あの人の後継者なんだってね」ピッ
!?
己が知略を張り巡らし、悪に濡れた計画を遂行すること
そう、憧れである彼のように――
あの、悲しい事件から一週間以上が経った
清澄高校麻雀部を襲った悲劇は、週刊誌やテレビで大きく取り上げられ
今でも学校に記者逹が押し寄せてくる始末だ
部員を多く失った清澄麻雀部は事実上の活動停止
俺と咲、そして優希は新しく部員を集めようと奮闘している
勿論、毎日のようにあの三人の墓参りも欠かしていない
気持ちが晴れることはなくても
何かしたいと、しなければいけないと思っている自分がいる
それが、残された者の使命だと俺は思うから
【12月22日 長野 須賀家前】
咲「京ちゃん! おはよう!」パァ
京太郎「おはよう。昨日は眠れたか?」
,. : : : ¨¨¨: : : .、
/: : : : : : : : : : : : `: 、
,:': : : : : : : : : :,: : : : : : : : .、
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{ {: : : :/-、{イ : / ,ィ斧ミ' /: ,' :/ : |
八 : : 、 |: /{ 〈ソ /: イ: / \{
}: :イ八 }/ :.:. ( {:/イ `
r―く_/ 、 、_ ノ `
_/ --- 、`ヽ、 /_>-- ´
「 / ̄::`ヽ Ⅵ、ヽ-、
| /l::::::::::::::::::∨ヽ}` { ∧
| ハ::Ⅵ::::::::::::::::::∨、_{ ∧
Ⅵ|::::::、::::::____〉::|!:l「:::::::.
`'|:::::::{:∧ ' :::|!:∧_:〉
|::::::::: ̄:. Ⅵ!:{:::} |'
|::::::::::::::::::. マ::::::| |
京太郎「そっか……三ヶ所も回ったもんな」
咲「……優希ちゃんがまだ、元気出てないみたいだけど」ウツムキ
京太郎「無理もないさ」
大の親友である和、頼りにしていた先輩二人
それを同時に失った上に、そのことを覚えていなかった優希
最後に過ごした思い出が消えてしまっただなんて、そう簡単に受け入れられるわけがない
咲「だけど、せっかく龍門渕さんが私逹を誘ってくれたのに」
京太郎「……」
そう、実は今回俺達は龍門渕透華さんから遊びに誘われている
なんでも、今度オープンする娯楽施設の体験モニターを引き受けて欲しいそうだ
あの事件を聞きつけた龍門渕さんなりの、俺達への気遣いなのだろう
京太郎「優希を慰める前に、俺達も息抜きしなきゃ」
咲「でも」グスッ
京太郎「ああもう、泣くなっての。アイツはまた今度誘えばいいさ」オロオロ
咲「……うん」
もちろん、優希も誘ったんだが、アイツは遊ぶ気になんてなれないと断ってきた
泣き腫らした瞳で、虚ろな顔のアイツを元気づけられる日がいつか来るんだろうか……
咲「じゃあ行こっか。約束の時間に遅れちゃうよ!」
京太郎「おう!」タタッ
今は悩んでいても仕方ない
優希だけじゃなく、咲だって傷ついているんだ
俺が、しっかりと慰めてやらないとな
【12月22日 長野 龍門渕】
l´ ,'::\ヽ∨//_ ヘ:l:. ',
l !| ̄  ̄/' ´ ',ト:: ',
. ,' Ⅵ /' l!∨ ',
/ :,'_!|__.{( _≦千‐<へヽ
. //レ//「 ',l -- ´ \ ‐‐ / ',iヽヘ`ト、
//ノヘ // -ヽ_‐ | , ====ミ !|:: :: `\
// :::i! ! '´ ̄ ̄` / ` jレi::: :::. ', \
. /// :::|ヘ.', ' /!´ !:::: ∧ `',
// { ::::| ト ー-....‐:::丶l ,' }::: ノ i!
. l ! ヽ :::\.ヘ ',::::::::::::::::,' -'/::: /ヘ. j!
ヾ / \ ::ヽ人 ヽ:::::; -'-‐っ /「/::: ::: ∧
. ∨ ::\ ∨!> . /, ィ≦ イ /: ∧:: ヘ
/ ::/ ヽ :∨::_レ ´ ヽ _.,ィl }┤ ::|::: / ∨ \
. / / !_ |/ \ ヽ'‐ヘ」つ、:!:: :{ ::\ :::\
/ --‐‐ フ::::::ヽ /´__ l ├──-ヽ _ ::\
. / / \ イ::::::::::::::::::::ト r‐‐ {/ / ヽ::: \ | `.i \ ト、
. / ! イ⌒ヽ:::::::::::::::::∧ヽ __ 、イト 、 / \ ヽ l \ \
/ /` 彡' ∨:::::::::::::::∧ク ̄ // .!', `ヾ /、 Y: i ! |、 \ \
. / /イ ∨:::::::::::::イ. /イ | ヘ `i } ノj/ i ,' ,┐、 ヽ
___./_/´ ∨::/ ヾ//i !. !|ヽ\ /,' / :::i / ' ::| \ ∧ 、ヽ
京太郎「うわぁ……すっげぇ広さだなー」
電車とバスを使い、訪れた龍門渕高校はとても広く
俺達の清澄高校とはまるで比べ物にならないほどの豪華さだった
咲「凄いね京ちゃん!」
京太郎「ああ、それに……っと! むむむ!」ピコーン
この感覚……いる! 近くにあの方が!
宥「うぅ……寒いよぉ」ブルブル
/: : : : : : : : : : : : : : : : : :\ ヾ
. /: /: : : : /: /: : : : : : : : : :ヽ : ヽ
.: : : : :/::::::/: /i::::::::::::::i:::::::::ハ: : :. : ハ {{
. {{. / /::::::::::: /1::| {::::::::::::: |::::::::::::;:::::';::::i:i }}
}} ′:′::::i::斗-|::ト |:::::::::::: |―- 、 ::::::i:: :::
|:|:::|::::::{八:{ 斗:、 \{\} \|:::::i::::|:| }}
. {{ |:|:::|:::::::| ,ィ芹:ミ 芹ミx .|:::::i::::|::. {{
}} .|:|:::|::::从《.乂ツ ............ 乂ツ 》 :::::i::::|:::i
{:|:::i::::::ハ 〃 :::::::::: , ::::::::: 〃 ィ:::::i::::|:::| {{
リ:八::::{_ i i从::i::::|::リ }}
{{ .{: : :::}:::|:∧ c _っ ノ/: : i::::|/
. }} |: : 从::ゞ-=> 、 , <V: : ::/::/ {{
|: : : :{ヽ: : { `^ー==≪ /:/: ::八
人: : ::i \ /: : :::/ ハ
/::::ハ: 八 7:::::::/_彡ヘ\ ヾ
. : ::::/ :: :::::.>--r――n――/:::::::/ ^ヽ::ヽ
/: : : :{ \::::::ヽ 〈 .八 /::::: / / .}:: : :ヽ
/:/::::::∧ ヽ::::} >- ' 7 「 Y:::::/:{ / /:::: : : ハ
京太郎「ゆ、宥さぁぁぁん!」ダダダダ
校門の前で震えて立っている宥さんを見つけ、俺はすかさずダッシュ
おもち、おもちぃぃぃい! うぉぉぉぉお!
玄「おっと、阻止するのです」ボイーン
京太郎「!?」ムニ
宥さんに突撃しようとしたところを、何かに阻まれた
こ、この感触は!? まさか……!
玄「えへへっ、久しぶりだね須賀君!」
__
´:::::::::::::::::::::` 、
/:::::::::::/::::::::::::::::::::::::::\
/::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::、:::ヽヘ
/::::::::::::::/::::::/:::::::::::::::::::::::|::::::ヘ:ヽ
ィ ,. -――-j::::/::::::/l::::::/:::::::::: /::|::::::::l::::_:λヽ:.
{:( /" ̄ ̄ ̄ ̄/::/::::::/::|:::::!__/;イ::/l:::斗!|:{ |:| l:「!i:}
\.、 /´ /::/:::::/彡|::´|::///ノ/:::ムリ.lλ|| |j |リ
` `ー――- __ , イ/::/::::/:,. 、::l:::::l伝丁` ム '乏灯ハn /.ハ
`二ニ=‐-::::::::::::::::::::/:/:: {⌒゚l :::代ツ ゞ' ハ::〈イ ヾ {
, -‐:::二_____:::::::::__//::::::::人___l:::::|"" ` ".::l::::::ヽ_ У`ー-
. __ \、 // ̄ , ィ´:::::::::::::::::::::::::ア::://__ イ l:::::| ( ̄ア イ:::|:::::::|入 ̄ `ヽ
_ヽ\マ、 `ー//===テ´:::::::::::::::::::::,、::::>-‐´ ̄ ̄ 八 l:::::ト` x _´ .イ .l::::|:::::ⅰ `ト \
.\` `>==イ`ー┴' ̄`´ ̄`ー….  ̄ - _ \ | ヽlλ|/Yヽ_レ、 人/イ::ハ ` 、 }
.r- ` /ミ ` ー _ - _ \ .| ヾ「 ̄`r{:.:.:.:.{ { 彡イ::::::ヽ_ ヘ __ノ
. `  ̄└- _ ― ` / 入:.:.:水\__ト |  ̄ ヽ:::::ヾ、  ̄ ̄ ̄ ̄¨¨ ̄
アァ―ァ‐‐ァ‐-‐ァ…'ー―‐-- ____/ ー、:.`:./ λ:.:/ :. }::::::|ヽ.
// {::::/_ イ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::/ `ヽ、. ヽ∧/ ´ | l:j::::| リ
`ー=ニ二二__::::::::::::イ:::::::::::::::/_r‐く ` o 丿 ノイ:::ノ
`ー―一'::::::::::::::/| ̄`>‐  ̄ ヽ、 ィ __ ´ ー‐ '
` ー―一「 ̄ ̄:.:/ くヽ ー一o /
マ:.:.:.:.:./ \\ o r´
}:.:.:.:ハ ー` -―一 ´ r'ーf
rー ´:.:.:.ヽ \ o __ィ /__:.:|
ヽ:.:.:.:.:.:.:/\__ ` 大o /:.:.:.:`ヽ
\:.:/:./:.:.:.:.:.:`ヽ /{:.:|ヽ/:.:.ヽ:.:.:./
`У:.:.:.:.:.:.:.:ハ`´:.:.:.:ヾ、:.:.:.:.:.:.:.:〉´|
ィ'`ー、:.:.:.:.:{:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:\_/ λ
{三三三天 ̄ ̄|:.:.:.:.:.:._イト----一 /|
` ̄` <_入  ̄ ̄_ハ|////////|
`マ ̄ ̄///ハ.////////|
V//////∧///////
∨/////.∧//////’
京太郎「玄さん!」
玄「もぉ、おねえちゃんのおもちが素晴らしいのは認めるけど、いきなりはダメだよ?」
京太郎「い、いきなりじゃなきゃいいんですかね?」ワキワキ
玄「ひゃっ!」ビクン
京太郎「あっ」
むにむにと手のひらに伝わる感触
そうか、俺は今……玄さんのおもちを揉んでいるのか
京太郎「……」ムニムニ
玄「はわわわっ!」カァァ
,. : : :¨¨¨¨: : .、
/: :,: : : : : : : : : :ヽ
.': /:/:.,: {: :|: |:|: : !: :
/:イ: {:-{、从{ ィ七、|: : |
{从l芯ォ 芯ォ}-:/
ム 八" "人'
: > _^ _イ
/:{_,/::`\
∧::::| /::::::イ∧
咲「……京ちゃぁん?」ゴゴゴゴ
京太郎「はっ!? これは事故だ! 事故なんだ!」ビクッ
玄「……//」モジモジ
宥「玄ちゃんがあったかそう……」
咲「京ちゃんのばか! えっち! すけべ! へんたい!」ポカポカポカ
京太郎「いててて! やめろって咲!」
ポツーン
透華「……」
一「完全に蚊帳の外だね、透華」
純「まぁ、アイツ等を元気づけるのが目的だったんだろ?」
智紀「なら、無理に目立たなくても」
透華「いいえ! 私が元気づけることが重要ですのよ! そうでしょうハギヨシ!」バッ
ハギヨシ「はい。その通りですよ、透華お嬢様」ニッコリ
咲「むむむむぅぅぅ!」プクー
京太郎「いや、だからな! これは事故であって!」
玄「おもち、揉まれちゃったのです……//」テレテレ
宥「あったかい? それってあったかいの?」
咲「京ちゃん!」ポカポカポカポカ
京太郎「だからなんでだよ!」
殴ってくる咲から逃げようと、俺が後ろを振り向くと
そこには見知った顔がいて、俺達を呆れた顔で見つめていた
この人逹は……
華菜「……何を騒いでるんだし」ジトー
/. : /. : : : : : : : : : .\: : : : .\
/. : : :/ ://∧: :∧: : : : : .\: : : : .\
/. : : :// |/ ∨ノヽ: : : : : : .\: : : : .ヽ
,' \/ ヽ: : : : : : .ヽ : : : .ヽ
| \/、 >、: : : : : ',: : : : .',
,': : / > 、_ _, <__∧ : : : : ',: : : : .',
/: :/: . /丁厂卜 ヽ 彳丁厂|| \',: : : : :',: : : : .',
/: :/ : ハ | : : l| | : : l| ∧: : '⌒; : : : : .',
/: :/. : l: :l │し'リ | し'リ ′ ∨ ノ.: : : : : .',
,': /. : : :l: :|⊂⊃ , ⊂⊃ 丿: : |: : : : : : .',
l:/∧: :从人 /`´:∧ : l: :/∨\:',
′ ∨_/\ へ /|/\_∨ /
/「| `丶 、 イ /  ̄//\
人 | | |`¨´ | / // 人
. / ,. . . : :/ . . . : :./>ミx彡ヘ: : :_:_:_:_V. :ハ
' / . :./:_:_:_:_:_:/ ∨ V. ノ:.
|77. : :/ ____/ ∨ ̄ ̄:\: }
|i_i:i_i:/´ . : / \ : .:\\
|i i: / . : :/____ ,.. ー-==、 : : \:` ー‐:ノ
、_|iノ/ . : 7:厂 ̄´ヽ ,二ニ \ : : : :ー=彡ノ
__フ . : : :.:/ァ==ミ、 イ{::::::::::i`ヽハト==≠-‐'′
`ー==≦彡'〃 _):::::::::i^ r'.:::::ノ /ノ:リ: 爪
ー≠爪 : :{ ヽゝ--‐'  ̄` 「イ:ノ i |ヽ
| i . :`トゝ ::::::::.:.:: , :::::.:.:: し'ノ : i.:|
| i : : :ヽ.__ 爪 . : :i |
| i : i : : : : ヽ ー ' イ | i : : :i |
| i : i: : : : : :个 .. .イ: :|.:| i : : :i |
| i : i : i : : i_:}´{ > . .イ ト、!:_:|.:| i : : :从
八 : :i : i : //} `丶、 ` ´ ノ Vハノノ. : //
ヽ : : :X'/∧ ` ーv‐く ∨ハー=ニ二.. _____
_ ....-==ニ\: Xヽ'∧ /ー一へ. /∧////////////ハ
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京太郎「あっ! 加治木さんに、池林さん!」
華菜「池田だしぃぃぃ! いい加減に覚えろ!!」ムキィィ
ゆみ「ふふっ」
透華「この私を差し置いて、盛り上がらないで欲しいですわね!」グヌヌ
一「諦めようよ透華。そういう立ち回りなんだよ、ボク達は」ハァ
透華「そうはいきませんわ! 私が! 私が主人公ですのよ!!」ジタバタ
ハギヨシ「あはは……」
純「萩原さんも苦笑してるぞ」ヒソヒソ
智紀「レアかも……」ヒソヒソ
京太郎「って、龍門渕さん逹を放置しちゃまずいよな」
ハギヨシ「いえいえ。本日はよくいらしてくれましたね、須賀君」
京太郎「あっ、ハギヨシさん! お久しぶりです!」
ハギヨシ「料理の腕は上がりましたか?」クスクス
京太郎「はい! おかげさまで!」
咲「あれ? 京ちゃんってハギヨシさんと知り合いだったの?」
京太郎「ああ、前に色々とな」
凄く親身になってタコス作りを教えてくれたり……
懐かしいな、あの頃……
まだ部長と染谷先輩、そして……和がいた頃の日々が
透華「話し込むのもいいですけれど。ハギヨシ、純逹と一緒に例の準備を」
ハギヨシ「かしこまりました。では須賀君、また後ほど」スタスタ
京太郎「あ、はい! また後で!」
玄「例の準備?」
透華「ええ。私たちがこれから向かう先で、遊ぶ為の準備でしてよ」
華菜「なんだかよくわからないけど、凄そうだし」ワクワク
一「期待していていいよ思うよー。すっごい楽しいショーになるからさー」クスッ
純「おーい、さっさと行くぞー」
一「はいはーい! じゃあねー」タタタ
ハギヨシさんを含め、井上さんと沢村さん、そして国広さんが車に乗り込んでどこかへ去っていく
そしてこの場に残された俺達は、透華さんから今回の説明を受けることになった
透華「まずは集まって頂いたことに感謝しますわ」
ゆみ「構わんさ。こちらこそ、気を遣って貰ってすまない」ペコリ
咲「でも、どうしてわざわざ私逹の為に……?」
透華「決勝をともにしたライバル校逹に、早く立ち直ってもらいたいだけですわ」プイッ
京太郎「……優しいんですね」
透華「べ、べちゅにそんなことありませんわ! ただ、清澄や鶴賀、風越がいない県大会なんてつまらないだけで……」
宥「いい人だねー」
玄「いい人なのです」
透華「……//」カァァ
その後、龍門渕さんからは色々と話を聞いた
宮守のメンバーも誘ったが、エイスリンさんの裁判がある為に中々こちらに来られないと断られたこと
たまたま交流でこちらに来ている、永水の神代小蒔さんも参加するということ
神代小蒔……そう、あの神代小蒔さんである
京太郎「神代さん!」パァァァ
透華「ええ、衣と一緒に現地で待っていますわ」フフフ
京太郎「おもち巫女……」フヒヒ
玄「た、堪らないねぇ……」フヒヒ
咲「……」ジトー
京太郎「こ、こほん。ところで、これから行く娯楽施設ってのはどんな場所なんですか?」アセアセ
透華「よくぞ聞いてくれましたわ! ええと……須賀、京介さん?」
京太郎「京太郎です」
透華「まぁ、なんでもいいですけれど」
京太郎「」ガビーン
透華「ここから数十キロ先にある山奥に、龍門渕家の所有する別荘がありますのよ」
京太郎「はぇー、すごいっすね」
透華「そこが余りにも殺風景極まりないので、お父様に頼み込んで娯楽施設を新設することになりまして」
玄「ふむふむ! それが今回の行き先ってわけだね!」
宥「さすが玄ちゃん、名推理だねー」パチパチ
玄「えへへっ」テレテレ
ゆみ「(誰でも分かると思うが……)」
華菜「(コイツ、本当にDDSの生徒なんだし?)」
透華「ええ。麻雀の合宿は勿論、様々な精神トレーニング用の施設から……」
咲「例えばどんな施設なんですか?」
透華「気になりまして? ふふっ、ですがそれは到着してからのお楽しみですわ!」
この龍門渕さんの口ぶりからして、かなり面白い何かを作ったのだろう
冬休みも利用した一週間の旅行だもんなぁ、何か娯楽が無いとすぐに飽きちゃいそうだし
というか旅費も全部、龍門渕さん持ちだし……ありがてぇ
京太郎「本当にありがとうございます」
透華「いいんですのよ。こちらとしてもモニターを頼むわけですもの」
ゆみ「少しずれたが、最高の誕生日プレゼントになりそうだ」
華菜「旅行、か……」ズキッ
咲「池田さん……大丈夫ですか?」
華菜「……べ、べつに! 決勝でお前や天江衣と打った時に比べれば、屁でもないし!」
ゆみ「県大会の決勝には私もいたんだがな」
華菜「印象薄いし」ペッ
ゆみ「なんだと!?」
京太郎「あははっ」
咲「ふふっ」クスクス
池田さんや加治木さんも……前を向こうとしている
大切な人の死、信じていた後輩の犯罪
辛くて、苦しくて、逃げ出しそうになってもおかしくないのに
なんて、気丈な人逹なんだろうか
京太郎「……」
玄「ふふ、すーがくんっ!」
京太郎「え? ど、どうしたんですか玄さん」
玄「今日は12月22日、そして明後日は24日。名探偵の須賀君は、この意味が分かるかなぁ?」クスクス
京太郎「そりゃ……この旅行中にクリスマスを迎えることになりますけど」
玄「ということは須賀君は今……彼女がいないってことだよね?」キラーン
京太郎「うぐぁっ」グサッ
咲「っ!」ピクッ
ええ、そりゃいませんよ
いたらデートの約束でもしておりますとも
京太郎「……」シクシク
玄「フリーなんだ。そっかー、ふふふ」ニマニマ
咲「む、むむむむっ!」メラメラメラ
宥「わー、あったかぁーい!」
透華「……何をやっていますの?」
ゆみ「アイツもああ見えてモテるということさ」
透華「え? あの冴えない男が……モテて?」キョトン
ゆみ「そうか。まだ話していなかったか……」
透華「?」
ゆみ「私逹がこうして集まるきっかけになったあの事件……」
透華「ええ。痛ましい事件でしたわ」
華菜「その謎を解き明かし、犯人を追い詰めたのが……あの男なんだし」
透華「!?」
ゆみ「信じられないか?」
透華「失礼ですけど、にわかには……」ジトー
玄「むぎゅー」
京太郎「ほわっ!? わっつ!?」カァァ
咲「京ちゃん!!! 近すぎ!!!」
京太郎「俺に言うなよ!!」
咲「だって鼻の下が伸びてるもん!」
京太郎「仕方ないだろ! 男の子なんだから!」バーン
/ \_/\-―‐-y'´ \
/-‐y'" ,ヘ ヽ / ∧ \
/ ! \ヽ/ //i ヽ
,:!. |'"´`゙ y''"´ ´| i
| | i | /′ | i .|
. i | ハ| 〈.! | | |
!/ / |! ヾ、 |ハ |
/ 廾ー-_、__, )!、_,._-‐┤ .゙、
/ /./ fr、)) /′ fr、i) ゙、 `、
/.イ ∧| ゛'" `゙'" ト、 丶
. /// ハ._ヾ⊂⊃ ⊂⊃ !人 ヾ、、
i/ i ,i 〈 `,! / .リ ) i、 ヽ!
. /リ 、ソ Y´;/i\. ∠ニゝ ,..イ / |ノ ノ
/ >、 ヽ! `ー---イ´|:.:.:`ヽ/ / \
/ /:Y´:.:.:\ \ / |:.:.:.:/ イ、 \
ゆみ「……アイツは、あの有名な名探偵。金田一耕助の……」
透華「金田一耕助の!?」
ゆみ「娘の夫の妹の子供なんだそうだ」
透華「!? 名探偵金田一耕助の娘の夫の妹の子供……!?」ゾクッ
ゆみ「只者じゃないんだ。彼の推理には……私も脱帽したよ」
透華「……須賀、京太郎」
咲「京ちゃぁぁん!」ギュウウ
京太郎「あいたたたぁー! 耳がちぎれるってば!」
透華「もし、彼の推理力が本物なら……面白くなりそうですわ」クスッ
華菜「? どういう意味だし」キョトン
透華「……赤月兎ゲーム」
ゆみ「せきげっと?」
透華「着けば分かりますわ。さぁ、皆さん移動用の車にお乗りなさいな」
宥「行こう、玄ちゃん」
玄「うん!」
咲「ほら、京ちゃん! 行くよ!」
京太郎「あ、ああ……」ズタボロ
透華「……」
こうして、俺達は豪華な送迎車に乗り込み……暗い山奥にそびえる別荘を目指した
あの忌まわしい事件の傷も癒えていない俺達を待つ、新たな事件の予感
この時の俺達はまだ気付いてすらいなかった
今回の旅行の裏に隠されている
冥界からの使者の手招きに――
【FILE1 赤月兎殺人事件】
OP
https://www.youtube.com/watch?v=pw86oy4LFoc
容疑者リスト
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org810225.jpg
一段落したので一時中断
続きを作ると宣言してから、なんだかんだでお久しぶりです
二年ぶりくらいなので、ブランク大アリですが
ぼちぼち頑張って、この事件を解決まで持っていきたいと思います
前回のスレを見ていてくれた人は大丈夫でしょうが、前スレのネタバレ要素がこのスレにはあります
まだ読んでいない方は、是非とも前スレを読んで頂きたかったーり
前スレ見てくれていた人がいると嬉しいですね
なんやかんややってたら再開が遅くなりました
今夜の投下で最初の事件くらいまで行きたくないすか? じゃけん、頑張りましょうねー
【12月22日 長野 とある山奥にある別荘】
京太郎「……これが、別荘?」
透華「ええ。狭くて申し訳ありませんわ」フフ
咲「ふわぁ……すっごぉい」
送迎車に揺られること、数十分
俺達がたどり着いたのは、予想を遥かに上回るほどの大豪邸だった
京太郎「普通は別荘って、コテージみたいなものじゃ?」
玄「まるでお城みたいだねー」
宥「早く中に入りたい……」ブルブル
華菜「中に入るしー!」ダダダ
透華「この私を差し置くことは許しませんわ! 運転手!」
黒服「はっ」ザッ
透華「それでは、一週間後に迎えをお願いしますわよ」
京太郎「?」
黒服「かしこまりました。万が一の際には、非常用の……」
透華「言われずとも分かっていますわ」
黒服「はっ! それでは……」スタタ
バタン ブロロロロ
京太郎「あ、行っちゃった」
透華「せっかくの息抜きの旅行ですもの、黒服がいては楽しめませんわ」
京太郎「そりゃそうでしょうけど……」
別荘の中に管理人さんとかいるのか?
もしも、何があった時……車がないと
透華「問題ありませんわ。ハギヨシ逹もいますのよ」
京太郎「あ、そりゃ安全だ」ポン
万能執事であるハギヨシさんがいれば、問題なんて起きようがない
仮に何か起きようと、すぐに解決してくれる筈だ
咲「京ちゃんと違って、頼りになるもんねー」クスクス
京太郎「お前なー!」ウリウリ
咲「いひゃいよー」
玄「……」ムゥー
ゆみ「いい加減、荷物を降ろしたいんだが?」
透華「それもそうですわね。さぁ、行きますわよ」
【龍門渕 別荘 中央フロア】
華菜「ぎゃー! シャンデリアだしー!」
ゆみ「これは、すごいな……」ホゥ
宥「綺麗な絵……」
玄「高そうなツボなのです」ツンツン
透華「ああ、それはたった一億ほどのツボですわ」
玄「い、いちおくっ!?」ガビィーン
咲「はわわわっ!」
京太郎「別荘のツボ一つに一億って……」ゴクッ
おいおい、お金持ちとは聞いていたけどこれほどとは……
俺、落ち着いて一週間も過ごせるのかな?
ハギヨシ「おや、いらっしゃいましたか」シュタッ
玄関を開けて、ホールを闊歩する俺達の足音を聞きつけたのか
足早にハギヨシさんが奥からやってきた
相変わらず仕事が早いな、この人
透華「ハギヨシ! 一逹はどこですの?」
ハギヨシ「今は皆さんのお部屋の準備を行っていますよ」
透華「衣と神代さんは?」
ハギヨシ「談話室におられます。お連れしましょうか?」
京太郎「神代さん!」クワッ
玄「おもちっ!」キラキラ
ハギヨシ「では、すぐにお連れしましょう」シュタタッ
ハギヨシさんがいなくなって、俺達はホールでそのまま周囲を観察していた
こんなにも広くて、豪勢な屋敷が山奥にあるなんて……どこか不気味だな
咲「ねぇねぇ、京ちゃん」ツンツン
京太郎「うん?」
咲「あの、さ。もし、よければ……なんだけど」モジモジ
京太郎「おう?」
咲「明後日の夜……一緒に……」ゴニョゴニョ
明後日の夜? 咲は何を……
京太郎「ごめん、よく聞こえ……」
?「さきー!」
/:::〉
/:::::::/
'´::::::::::/
/::::::::::_/
/::::::厂 -‐―…――- 、___
j/:::/ /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
〈:::::{ /::::/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
´>∨<`丶、 二二
/ ´  ̄ ̄` ヽ ノ
/ / -八 -\. } \ ─
{八 { /、{\{ヽ、jヽ人\\  ̄厂
∨ヽ{ ┃ ┃}∧ 、 \ ー―-
/ 人 、 , .ィヘ \ \ テ
/ / >y‐rz‐<_八 \ \ 丶 \}
/ / /\∨ハ∨/\丶 \ \ \ |
′{厶イ トニ∧二>ト、{>\ \ ',∨
{ 八 ∨{{ //) \\ \i\ }\|
\{\ /`ー'¨⌒`ー }V\ノ ヽ
\ /
`ーャ┬=ァ一 (^';
マヘ~_} ('"'; ';J
\_) ;'^)
咲「衣ちゃん!」パァッ
衣「延頸挙踵! 久しぶりだ」ダキッ
ゆみ「相変わらず可愛いな」
華菜「子供みたいな奴だし」ボソッ
衣「……」ギロリ
華菜「あひぃっ!」ブルッ
衣「ふんっ!」
咲「あははっ……」
京太郎「(天江さんが来たってことは……!?)」シュババッ
??「待ってください天江さーん」タユンタユン
京太郎「来た!!」
玄「来たぁぁぁ!!」ワクワク
??「はぁ、はぁっ……あっ!」
... -―━―- ...
/:::::::::::::::::::::::::::::::::\
/::/:/:::::/:::::::::::l:::::::::::::::::.
/::/:/:::::::|:::::::::::::|l:::::l:::::::::l::.
|:::l:::|::l:::八i:::::::l::八::ハ:::: l::|
|:::|八芹坏\:ノ芹坏ノ}::::::::|
|从::::{ ヒソ ヒソ 厶イ:::|
八::::}∧ ''' ' '''' _'ノ::::八
\::::::.、 V__フ ..::::::/
`Y^介ト - 个ミ=<
/:://} /\'::::\
/::/:/ { ∧/ / |::::l::|_
/{:::{:::{ i / / |::::l八\
/八八:| ∨ / |::/ \
/ {ノ / / ノ' } ∧
〈__/ / / ∨_rv'__
〈人_{ / / |―┴'´人
/ 从 /\/ 从 ∧
. _/ \{ { _, 、__ / ――、∧
/ __ }二二二二二≧==≦{ // ̄ ̄ \
ノ ̄ ̄ ̄\ {二二二二二二二二{_______ \
/ ∨二/{二二}二\ニニ{。 ゚ _。_。-‐o 0ヽ }
/ __, -‐。ニ ̄{ニ/ニ/ニ/⌒∨-‐ o ̄。 ̄ 〈〉 。 <> ゚。
/_ 斗'"0o―――=ニ ̄ ̄ ̄ 。 o 0 o。 。.∧
八{ / 。 <> <> o 〈〉 <> <> <> o ゚ /ノノ
. \{ () o <> <> <> ()<> <> <> o_。oくくし'´
. /\ 。 _ o <> <> 。o __,.. -┬━v: : /}: //´
. └しククぅr┬―┬┬‐―┬‐=ニ二二|二ニlニニ | ∨ |//{
∨ : : ::| /ニ|二ニニ|ニニニ|ニニニ|二ニlニニ | ∨// {
. /∨ :/ |ニニ|二ニニ|ニニニ|ニニニ|二ニlニニ l\ ∨ \
. / - ' /|ニニ|二ニニ|ニニニ|ニニニ|二ニlニニ |ニ|\ \
. / / :|ニニ|二ニニ|ニニニ|ニニニ|二ニlニニ |ニ| \ \
京太郎「きたぁぁぁぁって、えええええっ!? うきわぁぁぁぁ!?」
玄「!?」
小蒔「はい! うきわです!」
はいって……なんで山奥でうきわ?
しかも巫女服……いや、そんなことはどうでもいい!
問題はおもちだ! おもちなのだ!
京太郎「……」ニッコリ
小蒔「?」キョトン
玄「これは眼福なのです」ウヒヒ
咲「……」ギリッ
透華「なんだか無性に腹が立ちますわね」ギロッ
ゆみ「あれが永水の……」
華菜「強いってもっぱらの噂だし!」
小蒔「神代小蒔です。短い間ですが、よろしくお願いします」ペコリ
ゆみ「こちらこそよろしく。加治木ゆみだ」
華菜「池田華菜だし!」
初対面の人逹は自己紹介をし合っている
俺もちゃんと話しておこう、今後の為にも!
小蒔「あの、あなたは……?」
京太郎「須賀京太郎です」キラーン
咲「スケベでえっちなので、近づかない方がいいですよ」ボソッ
小蒔「っ!」ビクッ
京太郎「おぉぉぉい! 咲ぃぃぃ!」
咲「本当のことでしょ?」フーンダ
小蒔「須賀、京太郎……さん?」
京太郎「はい?」
小蒔「あ、あの! もしかして、三年前に……」
リーンゴーン リーンゴーン
京太郎「……?」
宥「なんの音だろう?」
透華「ああ、これは正午の鐘の音ですわ」
京太郎「すごい音ですね……館中に響いてるみたいだ」
衣「衣も、夜寝ている時に起こされることがあるぞ……」
玄「十二時には寝るんだ……健康的な生活なのに、おもちは」トオイメ
衣「それとこれとは関係無い!」
京太郎「というかもうお昼なのか。どうりでお腹が……」ゴーキュルル
咲「もう、はしたないよ京ちゃん!」
透華「確かに、お腹が空く頃ですわね」
全員が顔を見合わせ、うんうんと頷く
みんな同じ気持ちなのだと確認し、透華さんが何か口を開こうとした瞬間……
??「みなざん、よぐぞ、おごじぐだざいまじだ」ヌッ
!?
咲「きゃ、きゃああああっ!!」
ゆみ「!?」
京太郎「咲っ!!」
突如として、咲の後ろに現れた長身の男
その男の声はヒキガエルのようにしわがれていて、しかも……
??「……ごれば、じづれいをじまじだ」
しかも、顔には白い仮面を付けていた
京太郎「誰だ!」
??「……」
京太郎「答えろ!」
透華「落ち着きなさい、須賀京太郎」
京太郎「え?」
透華「この男は、ここの管理人の遠野ですわ」
京太郎「管理、人?」
周囲を包む、張り詰めていた空気が一気に霧散する
え? 管理人って……この怪しさ満点の男の人が?
遠野「……」
京太郎「で、でもなんで仮面なんて?」
透華「それには深い理由がありまして……」
龍門渕さんの話を要約すると、こういうことだ
この山の近くにある、悲恋湖という場所で遠野さんは重傷を負って倒れていたらしい
怪我のせいか記憶も無く、顔には酷い火傷の痕……が残っているんだとか
そして覚えていたのが自分の苗字である……遠野
それと、S・Kのイニシャルだけだという
咲「そんな辛い目に……それなのに、叫んでしまって」オロオロ
遠野「いえ、いいんでずよ。おぎになざらず」
透華「見た目や声はともかく、仕事ぶりは優秀ですのよ」
衣「……」
京太郎「それは凄いですね!」
透華「ええ。ハギヨシにも勝るとも劣らないと評判で」クスクス
遠野「ぞんな……」
名前があれなのはワザとか?
蝶のあの人は別人説があるからなぁ……
>>33
このスレにおいては別人設定です
というか個人的にはそうであって欲しいと思ってたり
京太郎「そうとは知らず、さっきは失礼なことを言ってすみません」ペコリ
遠野「いえいえ」フリフリ
透華「遠野。昼食の準備は出来ていますの?」
遠野「ばい。メイドのみなざんが……」
ゆみ「そういえばいい香りがするな」クンクン
華菜「お腹空いたしー!」
玄「楽しみだね、おねえちゃん」
宥「うん。どんなお料理かなぁ?」
遠野「でばお嬢ざま……ぼぐば、じごどにもどりまず」ペコッ
透華「ええ、例の装置の動作はアナタにしか任せられませんもの」
そそくさと仕事場に戻っていく遠野さん
例の装置ってなんのことだろうか?
透華「では、案内しますわ」スタスタ
咲「京ちゃん、おいてくよ!」
京太郎「あ、ああ」
小蒔「あっ……須賀、さん」ボソボソ
玄「?」
小蒔「……」シュン
【別荘 食堂】
京太郎「すげえーご馳走!」
華菜「み、見たこともないような料理の山だし!」
食堂には大きなテーブルがあり、その上には山盛りの料理が陳列されていた
これらを全て、あの国広さん逹だけで作ったんだろうか?
純「ふぃー、すげー頑張ったぜー」
一「純くんは運んだだけじゃん」
智紀「作ったのは私逹……」
純「そうだっけか?」アハハ
配膳を終えたテーブルの前で、談笑している龍門渕の三人
相変わらず仲がよさそうで何よりだ
京太郎「それにしても井上さんはおおらかだなー」ハハハ
透華「歩! 皆さんの席の用意を」パンパン
歩「はい! 透華お嬢様!」ニコッ
京太郎「? あの人はあまり見覚えが無いな」
髪を二つ結びにしたメイドさん
あの人も龍門渕の生徒なのかな?
咲「あの人は杉乃歩さんだよ」
京太郎「よく知ってるなぁ」
咲「合宿の時とか、全国の後にも色々とね」
京太郎「俺は結構ハブられたたからなー、部長めー」グニニニ
玄「須賀君、ここが空いてるよ!」
京太郎「あ、どうも」
咲「む! 京ちゃん、こっち側に座ろうよ!」サッ
玄「むっ!」ジッ
咲「むむ!」ジジ-
バチバチバチバチ
京太郎「うわー、火花が散ってらぁー」
宥「あの火花、あったかいかな?」ワクワク
京太郎「……うーん」
咲の隣か、玄さんの隣か
どっちにしようか迷うぜ……
ルート分岐
※本筋には関わりませんが、今回のメインヒロインポジがどちらになるか決まります
※今回選ばれたからといって、ラストでくっつくとか、そういうわけじゃありません
↓1~3 で多い方
1 咲の隣
2 玄の隣
京太郎「玄さんの隣にしようかな」
咲「!?」ガビィーン
玄「よっし!」ガッツポ
____
,. : :´: : : : : : : : : :` : : 、
, : ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : \
/: : : : : : :,: : : : : : : : : : 、: : : : : : .
/: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : ヽ: : : : : ::ヽ
:': : : : : /: /: /: :|: : : |: : : : : : : : ∨: : : : : .
/: : :,.:: :|:_:|__|:_ノ| : ||: |、|: |: : :|: | : : : | : : : : : |
/: ィ/|: : |: :|从:{∧: :|}/|:ゝ、_:/:.:| : : : | : : : : : |
l' |: : :V:,イて雫ミ:{ 从{/:_イ: :/|: : : :, : : : : l: |
|: : ,:从{cVり \ イて雫V}: : :/-、: : /}/
|: :ハ: { "" , Vzりつ': :/ }) }: /
|/ }:人 ムイ- く:/
' ヽ::っ イ: :/{∨
` . __ . ´ |/}'
/} /⌒\
/.../ /..................\
咲「きょ、きょうちゃぁん」ズビィィ
京太郎「お前とはいつも一緒に食べてるだろ?」
咲「そうだけどぉ」グスッ
京太郎「じゃ、また後でな」
咲「あっ」
玄「んへへっ! こっちこっち!」クイクイ
京太郎「引っ張らないでくださいってば!」
咲「……」
ゆみ「どうした宮永?」
咲「京ちゃんの……ばか」ボソリ
ハギヨシ「おや、皆さんもう食堂にお越しでしたか」スタスタ
透華「遅いですわよハギヨシ。もう始めていますわ」
ハギヨシ「例の機械の操作マニュアルを……」
透華「ああ。あれなら遠野に……」
各々が席に着いて、食事を進める中
遅れて食堂にやってきたハギヨシさんと、龍門渕さんが話している
玄「それでね、DDSの授業で!」ペラペラ
京太郎「(玄さんって、食事中は楽しそうに話すんだなー)」
一「ボク逹も普通に食べちゃってるけどいいのかな?」
純「いいだろ別に」
智紀「みんなで食べた方が美味しいから」
一「ふーん? そういうもんかな」パクッ
歩「えへへ、私も食べちゃいますね」パクパク
一「……ま、もうすぐこういうご馳走も食べられなくなるしね」ボソッ
純「何か言ったか?」
一「ううん! なんでもないよ」ニコニコ
ゆみ「美味しいな」
咲「……」ムシャムシャムシャムシャムシャ
宥「のど、つまらせちゃうよ?」
華菜「やけぐいだし……」ブルブル
小蒔「……」ハァ
衣「……」
遠野さんを除く俺逹十四人は食事を済ませると、端に寄せていた荷物を各自の部屋に運ぶことになった
部屋は二階に沢山あって、豪華にも一人に付き一部屋を与えてくれるとか
京太郎「料理も美味しかったし、部屋も豪華」
咲「言うことなんて何も無いね」
個室の内装に大満足し、俺と咲は二階の廊下を歩きながら一階の談話室へと向かう
その際に、窓の外に変なものを発見した俺は思わず立ち止まった
京太郎「……? なんだ、あのロッジ」
咲「ロッジ?」
京太郎「ほら、屋敷から少し離れた先に……凄い数のロッジがあるだろ?」
咲「あ、ほんとだ! キャンプ場みたいだね」
京太郎「……後で龍門渕さんに聞いてみるか」
咲「うん!」
一階に降りると、広いホールから談話室へ入る
そこには、お茶を用意しているハギヨシさんと、すでにくつろいでいるみんなの姿があった
京太郎「ほら咲、みんなと話してこいよ」
咲「分かった。後でね」
京太郎「おーう」フリフリ
ハギヨシ「ふふ、須賀君。紅茶をどうぞ」コトッ
京太郎「ハギヨシさん、すみません」
ハギヨシ「いえいえ。これくらい気にしないでください」
京太郎「あの、そういえば遠野さんは?」
ハギヨシ「彼なら浴場の準備をしていますよ」
京太郎「そうですか……普段から一人でこの別荘の管理を?」
ハギヨシ「ええ。彼はとても優秀な方なので、一人でも十分に働かれるんです」
京太郎「……すげぇ」
俺なら個室を掃除するのに一日かかっちまいそうだけどなぁ
談話室に入ってから、どれほどが経っただろうか
近況の報告や、他愛の無い麻雀の話を続けていたみんなだったけど
流石に一時間近くも話していると疲れてきたのか……
みんなの勢いが段々と弱まってきた頃
透華「ふぅ。それにしてもこう人数がいると疲れますわ」
京太郎「書く方も……いえ、龍門渕さんでも疲れるんですね」
話が一段落したのか、カップを片手にこちらに歩いてくる龍門渕さん
ちなみに俺は女子逹がキャッキャウフフしているのを遠巻きに観察していた
なんで混ざらないのかって?
清澄での生活が身にしみついてるんだろうな、多分
透華「透華、でいいですわ。苗字で呼ばれるとむず痒いんですの」
京太郎「じゃあ、透華さんで」
透華「ええ、構いませんわ京太郎」
京太郎「……呼び捨てなんですね」
透華「あら? 文句がありますの?」ニコッ
京太郎「ありません」ブンブン
この人に逆らうと色々と危ない
そう、俺の本能が告げていた
京太郎「と、ところで」アセアセ
透華「はい?」
京太郎「別荘の近くにロッジがありましたよね? あれ、なんですか?」
透華「……見ましたのね?」
京太郎「す、すみません!」ドゲザ!
透華「どうして謝りますの? 別に責めてませんわ」ハァ
京太郎「へ? そうなんですか?」
透華「あれは明日遊ぶゲームに使う施設ですのよ」
京太郎「ゲーム?」
透華「ええ。夕食後にマニュアルをお配りしますわ」
京太郎「へぇ、それがモニターをやって欲しいって奴ですか?」
透華「そのとおり。さぁ、分かりましたらアナタも会話に参加なさいな」
京太郎「え?」
透華「さっきからジッと見られていては集中できませんの」グイグイ
京太郎「ちょ、まっ!」
咲「あ、京ちゃん! 聞いてよ!」
ゆみ「ふふ、面白い話が聞けるぞ」
玄「や、やめてぇー! 聞かないで須賀くん!」アセアセアセ
京太郎「あはは……やっぱ女子は元気だな」
小蒔「……うぅ」
衣「……」プラプラ
一「どうしたの? 足をプラプラさせて」
衣「……なんでもない」
純「そうは見えねぇけどな」
智紀「元気無い?」
衣「気息奄奄。最近、嫌な夢を見る」ウツムキ
一「夢?」
衣「衣たちがばらばらになって……みんな、元通りの関係ではいられなくなる」
!?
一「……へぇ」
純「なんだそりゃ?」
衣「いや、衣としたことが意気阻喪していたようだ。忘れてくれ」ピョイン
智紀「大丈夫?」
衣「……」コクッ
【夕食後 別荘 ホール前】
京太郎「ふわぁ……お腹いっぱい食べた後は眠くなるな」ポンポン
夕食を取った後、咲と加治木さん、池田さん、玄さん、宥さんは入浴に行ってしまった
ああ、出来ることなら俺も混浴したい……したい!
京太郎「覗くか? いや、そんなはじめ兄みたいなことは……」スタスタ
ドン
京太郎「おわっと!?」
遠野「あっ」
京太郎「うぉわぁっ! 遠野さん!?」ビクッ
び、びっくりした
ぶつかった相手がよりにもよって遠野さんだったなんて
遠野「……」ペコリ
京太郎「いえ、こちらこそ」ペコリ
遠野「……」スタスタ
京太郎「あ、遠野さん!」
頭を下げて歩き去る遠野さんを呼び止める
京太郎「ハギヨシさんを見てないですか? ちょっと聞きたいことがあって」
遠野「いえ……みでまぜんね」フルフル
京太郎「そうですか。ありがとうございます」
後で探してみるか……
純「あ、遠野さん! ちょっといいですか?」
遠野「ばい」
純「今さ、智紀と歩が食器の片付け中に……」
遠野「……」
京太郎「(遠野さんも忙しそうだな……)」スタスタ
京太郎「男子風呂の時間までまだあるし、外でも散歩しようかな」ウーン
一「やめておいた方がいいよ。迷子になっちゃうから」ジャラッ
京太郎「ん? 国広さん!」
廊下の角からやってきた国広さんが、ニヤニヤと笑みを浮かべて近づいてくる
一「一でいいよ。とは言っても、それは抵抗あるかな?」クスッ
京太郎「え?」
一「あはは、こう見えてボク……ミステリーが好きでさ」
京太郎「……もしかして、はじめ兄のことを?」
一「うん、知ってるよ。君があの金田一一の従兄弟だってことはさ」クスクス
京太郎「どこでそんなことを……」
一「どこだっていいじゃん。それより、さ」
京太郎「?」
一「完全犯罪って、どう思う?」
京太郎「へ?」
完全犯罪? それって、あれだよな?
絶対にバレない犯罪ってことか?
京太郎「どう思うって、そんなのありえないと思いますけど」
一「どうして? 犯罪を犯して捕まっていない人はごまんといるよ?」
京太郎「……それが、どうかしたんですか?」
イマイチ要領を得ない国広さんの言葉に、少しイラつく
一体なんの話をしてるんだ?
一「ごめんごめん、ボクが言いたかったのはそういうことじゃないんだ」
京太郎「えっ?」
/:::::〈 ,__二{ { ´ー─一 イ:::::::::::::::::::ヽ::ヽ::::\:::::::::::
/:ィ:::::/ ア ̄ < ──- 、 ハ::::::::::::::::::::::ハ::::'.:::::::\:::::
/::/|:::::l / イ::::::::|:i:::::::ト、___/::::'.::::::::::::::::::::::l:::::|::::::::::::ト、
lr' l:::::|__{__...ィ:::/」L::::::|:|:::::::|ァ|::|‐|:::L.|:::::}:::、::::::::::::::::|:::::|:::::::::ハ
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|| |:::::{:::ヘ:::|_|:::l_|| ∨::从::::::'.-ヾ─‐-レ'/::/::::::::::::::::l:::/::::::::::|:::|
|| |:::::∨::ヘ| rf爪抔ミ、:ト、ヽ:∧f灯示ミト、イハ::::::::::::::::Ⅵ:::::::::::|:::|
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'| |::i:::::::\|ヾV辷:り ` 込ィツ '′ |:::::::i:::::::::|:::;:イ::::ハ:/
|::|:::::::::i:::\  ̄ ̄  ̄ ̄ ∧_ |:::::::|:::::::::|/ /::/ /
|::|:::::::::|::::::.""" ′ """7::::イ 人:::::|:::::::::| /::/
|::|:::::::::|:::::::ヽ、 マ_ア ⌒イ::::;::::ハ::::::::l.:::/
|::ト、:::: ト、:::::ヽ> 、 ´ |::/::://::::::イレ′
l:{ ∨:l \::::}\-- 、ァ┬‐ '' / ̄ ̄lイ:://}::::/ノ
ヾ、 ',:| {ヽト、 \入rァ´_, /イ//:::/.,_
うっとりとした顔で、国広さんは自分の腕の手枷に頬ずりをする
えっと……これは、どういうフェチなんでしょうか?
一「……ふふっ、おやすみ」クスクス
京太郎「おやすみ、なさい」
なんだったんだ……?
ああいうキャラだったっけ? 国広さんって
【浴場前】
京太郎「ふぅー、さっぱりした」
まさか風呂まであんなに豪勢だとは
一人で入るとますます広く感じたぞ……
ハギヨシさんや遠野さんも一緒に入ればよかったのに
京太郎「でも、お陰で美少女の残り湯を独り占め……」フフ
ハギヨシ「こほん。あまり感心できる独り言ではありませんね」
京太郎「げぇ!? ハギヨシさん!?」
い、いつのまにここに!?
ハギヨシ「実は入浴を終えた皆様に、明日行うゲームのルールガイドをお配りしているんです」
京太郎「あ、透華さんが言っていたやつですね」
ハギヨシ「須賀君も一冊、どうぞ」
京太郎「うぉ! 結構な厚みですね」
国語の教科書くらいの厚みがあるぞ
たかがゲームの解説に、こんなに量がいるのか?
ハギヨシ「申し訳ありません。それには、機械の操作方法なども記されているんです」
京太郎「機械?」
ハギヨシ「ええ。このゲームには機械の操作が必要でして、その手順も載せてありますので」
京太郎「そういうことだったのか。なになに……赤月兎ゲーム?」
表紙に書かれた文字を読み上げる
面白そうなタイトルだけど、ルールは難しいのかな
ハギヨシ「須賀君は人狼、というゲームをご存知ですか?」
京太郎「人狼、ですか?」
聞いたことがある
村人と人狼、二つの陣営に分かれて騙し合いをするゲームだとかなんとか
ハギヨシ「今回のゲームは、それをモチーフにした物なんですよ」
京太郎「へぇ? でもなんでそんなものを?」
ハギヨシ「透華様曰く、麻雀での読み合いに活かす為だそうです」クスクス
京太郎「心理戦を鍛えるってことですね」フムフム
ハギヨシ「まぁ、明日は軽い肩慣らしだと思いますので……まずは役職と最低限のルールだけでも」
京太郎「そうですね。一通り目を通してから寝ます」
ハギヨシ「是非そうしてください」ニッコリ
京太郎「では、おやすみなさい!」
ハギヨシ「ええ」
,..-/:.:.:::.:/.::::..:!:..:.:..:.:\
//.::.:::/:/:::::::::::::::::::::..::..:.ヽ
〃//:/:/::/::i::|::::::::i::l:::|::::::::::::..:i
〃/:/::i:::i::ィ:::/!.:!:::::::|::|:::|:::..i::..:. ..|
〃/イ./::::|::i:/!::ハ::|::::::|:::!ハ::::|::::::::::|
!| |i レ:::::::|i::!‐廾‐|:::!、::!:/---、|::リ::::::|
| !ノi::::::i::!:|.ャ伝テ、:けメ、迂テァ∧|::::|
|::!::|:::!ハ iハj iイ /|:::!:!
. |ハ|::|:ト、! ; !ノ::|::ハ:!
| !ハ!ハ丶 ′ /::::/レ' リ
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. |:::::i:::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::|::::::::::::::.、/ ::::::::::::::|:::::::::::[|:::/::::::::::::::::/:::::|
ハギヨシ「……」
俺は受け取った冊子を丸めると、それで手を振るようにしてその場を去る
背後でハギヨシさんが何かを言いかけた気もするけど、呼び止める声はなかった
【深夜 京太郎の個室】
京太郎「……」ペラッ
ふむ……これが赤月兎ゲームか
中々、難しそうだな
俺に出来るかどうか……
京太郎「ま、悩んだって仕方ない。ぶっつけ本番で上手くなるしかないか」
ふかふかのベッドでゴロリと寝返りを打ち、明かりを消そうとした瞬間
京太郎「!?」
リーンゴーン リーンゴーン!!
京太郎「おわっ! びっくりしたー」
館に十二時を知らせる鐘の音が鳴り響く
いや、これマジで心臓に悪いな
京太郎「……ん?」
ズリ ズリ
京太郎「なんの音だ?」
廊下から聞こえてくる……?
ズリズリ……ズリリッ
京太郎「俺の部屋の前で……止まった?」
何かを引きずる音
一体外には何が……?
京太郎「だ、誰ですか?」
扉越しに尋ねるが返事は無い
京太郎「ええい! ままよ!」
怯えていても仕方がない
そう思い立って、俺は勢いよく部屋の扉を開いた
そして、その先にいたのは――!!
京太郎「なっ!?」
?「……」ギュッ
深夜零時に訪れた謎の客
その来訪に驚く俺は、まだ知らない
皆が寝静まるこの時間……闇夜に紛れながら
??「はぁっ、はぁっ……くくっ」カチャカチャ
刻一刻と、邪悪な計画が進行しているということに――
【File1 終】
ED
https://www.youtube.com/watch?v=V3LfGUZMQI8
容疑者リスト
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org810225.jpg
最初の事件まで行けましたか……? 行けませんでした(小声)
作中でも出てますが、人狼に近いゲームが事件に密接に関わります
人狼をよく知らないという人がいれば、解説を丁寧にしますので
もしも分からないことがあれば、途中でも構いませんのでご質問ください
これから事件が始まって面白くなると思うんですがね……
楽しんで貰えるよう、精進します
それではまた後日
こんな時間になったけど、少しずつ再開
さっさと事件を起こしたい……起こしたくない?
凄惨な事件の傷跡が癒えぬ俺達を、気分転換の旅行に誘ってくれた龍門渕透華さん
早速打ち解け合うみんなを迎えてくれたのは、仮面の男……遠野さん
彼は何らかの事故に巻き込まれ、記憶喪失なのだそうだ
人柄もよく、誠実そのものな彼との出会いにはどこか胸騒ぎを覚える
一体、この旅行の裏で……どんなことが起きようとしているのか
【FILE2 赤月兎殺人事件】
OP
https://www.youtube.com/watch?v=pw86oy4LFoc
容疑者リスト
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org810225.jpg
【12月23日 0時2分 京太郎の個室】
京太郎「なっ!?」
?「……」
深夜零時を過ぎたばかりの俺の個室
そこに訪れた人物は意外にも……
京太郎「あ、天江さん?」
|:::::::::::::::::::::::::/ / '´ | ` ハ ∨::::::::::::::::::::::::::|
|::::::::::::::::::::::/ ./ | | | ! | | | i i ', ∨::::::::::::::::::::::::!
|:::::::::::::::::::/| | | | l i! ハ i! /! ! |i! | i ∨:::::::::::::::::::/
|::::::::::::::::/ ! ! ! .i! ! ハ | || _// | /! ,イハ | i | ! ∨::::::::::::::/
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|::::::::::/| .| ∧ !xァ乞テ卞 / ,イ/'ア乞ぅ卞ュ_| //,イ /|./ ∨::::::/
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|:::::/ l / i i! ト. 込zz:ツ/ ´ 込zz:ツ 'イ '/' |' i! ∨
|::/ i! ./ .! | |ハ i イ ハ !
|/ i / ! | |.人 /.! | | |
〃 | i! ! > . ^ . イ .i! ! | i!
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浮かない表情で、大きなぬいぐるみを右手に握り締めて引きずっている天江さん
そして、もう片方の手には例のゲームの解説書を持っていた
京太郎「あの、えっと?」
衣「……起きていたか、清澄の有象無象」
京太郎「えっ?」
衣「気配を感じた。微弱ながらも……どこか安心する、そんな力を」
京太郎「???」
気配? 力? 天江さんは何を言ってるんだろうか?
京太郎「とりあえず……入ります?」
衣「……」コクッ
京太郎「どうかしたんですか? こんな夜更けに」
衣「……」
確か、天江さんは零時には寝ると言っていた筈だ
それがわざわざこんな時間に誰かの部屋を訪れるなんて……
衣「……嫌な、夢を見る」ブルッ
京太郎「夢?」
腰掛けたベッドの上でぬいぐるみを抱き締めながら……天江さんは呟く
衣「父様と母様を失う前にも……似たような夢を見た」
京太郎「!」
衣「大切な人が……遠くに、消えていく。そんな、夢」ジワッ
京太郎「(怖い夢を見て……寝られなくなっちゃったのかな?)」
衣「だから……」
京太郎「でもなんで俺のところに? 透華さんやハギヨシさんの方が……」
衣「……衣は、子供扱いされでばかりだ」ムギュウ
京太郎「そりゃまぁ……」
衣「いつもトーカは衣を心配していて、ハギヨシは気にかけてくれている」
京太郎「……それは、天江さんのことを大切に想っているからですよ」
衣「……」
京太郎「でもまぁ、天江さんの気持ちは……俺も、少しだけわかります」
衣「え?」
京太郎「俺も……知ってのとおり、麻雀が激弱でして」ポリポリ
衣「……」コクッ
京太郎「強い部員である咲逹の足でまといなんじゃないかって、常に不安でした」
俺がいることで、清澄高校麻雀部に泥を塗るんじゃないか
俺の存在がみんなの邪魔なんじゃないか
そう、思っていた
京太郎「でも、染谷先輩は俺を鍛えようとしてくれた。和は俺を認めてくれた」
衣「あの、ノノカが……?」
京太郎「はい。だから、俺が……清澄を復活させるんです」
部長を失い、優希は心が折れてしまった
それでも、咲と協力して、いつかは……きっと
京太郎「こんな俺ですら、想いを託されたんです」
衣「想いを……」
京太郎「いつかきっと、天江さんにもそんな日が来ますよ」
衣「……そうか」
天江さんはぬいぐるみをずっと見つめ続け、何か考え込んでいるようだったが
すぐに顔を上げると、朗らかな笑顔を見せてくれた
衣「うん、衣も頑張るぞ!」
京太郎「元気が出たならよかったです」
衣「須賀京太郎……サキから聞いていたが、奇々怪々な男だな」ボソリ
京太郎「え?」
衣「なんでもない。それよりも、衣はもう眠たい……」ウトウト
京太郎「もう結構な時間ですからね。部屋まで送りますよ」
衣「うー……でも、まだこれを」スッ
そう言って持ち上げたのは例の解説書だ
もしかして、ルールをまだ覚えてないのかな?
京太郎「別に覚えなくてもいいと思いますよ?」
衣「按図索駿なれど、中身は覚えた……でも」
京太郎「でも?」
衣「……絵が怖い」
京太郎「え?」
絵が怖い? それって……この解説書の中の挿絵のことか?
衣「特に……この狼が」ブルブル
そう言って、最後のページに描かれた狼を指す天江さん
確かに、ちょっとリアルで怖いかも
京太郎「……ぷっ」
衣「なっ!? 笑ったな!」ポカッ
京太郎「ご、ごめんなさい……でも、本当に怖いなって」クスッ
衣「あっ……」
京太郎「よし。じゃあこうしちゃいましょう!」
京太郎「これを、こうして」
俺は鞄からマジックを取り出すと、狼の挿絵に落書きを始める
横に吹き出しを入れて、がおー! 食べちゃうぞー!
なんて書いたり、狼の頭にリボンを付けたりもした
衣「なっ」
京太郎「ふふふ、どうですか?」
衣「……ダサイ」バッサリ
京太郎「」
衣「でも……もう怖くない」
衣さんはそう笑うと、俺からペンを受け取って一緒に落書きを始める
衣「こいつめ! こいつめ!」カキカキ
京太郎「おぉーう……豪快な」
俺は天江さんが落書きするところを、取り出した携帯で録画する
この可愛い姿を、明日他のみんなにも見せてあげよう
衣「む?」
京太郎「そのまま笑ってくださーい」REC
衣「……」ニッ
/ \ \ ヽ
/ / i ヽ ヽ ヘ ヽ ゙:,
/ / / / ,′ リ ! _」⊥..,,_ ', ゙:, ':,
,′ ,′ ,′ ,' i i ト、 i´ ii | ' `i | ::, ::,
. ′ ,′ '' i i i -‐ i i \i -i | ', i }│ ::, ::、
. { i ! | /i i _j八 :、 \ ノ _」 ノノノ从 ::, ::、
. { i ! | iハ{\| \ ヽ .ィ==ミッ | l ::、
i, i, ', ', 、 ト、ヽ _.. `''ー- '゙ | | 、
八 ヽ\\N ッ==ミ :.:::::::.: リ ' | 、
. \ト、\`ー 〃 / ' | \ \
リハ :.:::::::.: ノ / / | \ \
/ j ー--‐ ''" / / 人 \ \
. / ノ八 //¨ ̄ ̄ ̄¨''く \ 丶 \
/ / `i‐- ..__ / ̄ ̄ ー--- \ \ 丶 \
/ ' / i │  ̄仄 ヽ \ \
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京太郎「(俺はロリコンじゃないぞ、断じてロリコンじゃない)」ドキッ
衣「? どうした有象無象?」
京太郎「その有象無象ってやめてください。俺には須賀京太郎という、名前がですね」
衣「そう、ならキョータロー」
京太郎「はい」
衣「衣のことも、衣と呼んでいい」
京太郎「……衣さん」
衣「うん」パァッ
この人、天使かもしれんな
衣「うゆ……うにゅ」コクッコクッ
京太郎「衣さん?」
衣「……」コテン
その後、ベッドの上で足をバタバタとさせながら落書きに夢中になった衣さんは
緊張が抜けたのか……スヤスヤと眠りこけてしまった
京太郎「えーっと? 自室に運んであげればいいのかな?」
衣「すぴー」スヤスヤ
京太郎「いやでも、場所なんてわからないし……」
仕方ない。このままベッドは衣さんに譲るとしよう
この豪華なソファなら、少なくとも俺の家のベッド以上には安眠できそうだし
衣「……むにゃ」
京太郎「おやすみなさい」ファサッ
俺は衣さんに布団を被せてあげると、部屋の電灯を消した
さっき撮った映像を咲逹に見せてあげるのが楽しみだ
京太郎「……」スピー
衣「……ありが、とう」スースー
【12月23日 早朝 京太郎の個室】
京太郎「ふわぁ……」
あれ? なんで俺はソファで……
衣「……」スピー
京太郎「ああ、そっか。衣さんが来てたんだっけ」
気持ち良さそうに寝ているし、起こすのは後でいいかな?
衣「んぅ……?」パチッ
京太郎「あ、起こしちゃいました?」
衣「……?」パチパチ
京太郎「衣さん?」
寝ぼけているのか、ふらふらとこちらに歩いてくる衣さん
えっと? どうすればいいんだろう?
衣「……父様」スッ
京太郎「ほぇ?」
ムギュッ
衣「……」ギュゥゥ
京太郎「え? えーっと……抱きつかれちゃった?」
衣「……」スゥスゥ
寝ぼけていたから、俺をお父さんと勘違いしちゃったのか?
同じ金髪だし、もしかして衣さんのお父さんと俺って似てるのかも?
京太郎「なんて冷静に分析してる場合じゃないよな……」
こういう場合って、大抵は……
玄「須賀くーん! 起こしに来たよー!」コンコン
京太郎「はい!?」
玄「入るねー」ガチャッ
京太郎「しまった!? 鍵を閉めてなかったぞ!」
玄「お邪魔しまーす……え?」
京太郎「……え、えっと?」
衣「むにゃ……」ギュゥゥ
玄「」
【12月23日 談話室】
透華「つまり、そういう事情でしたのね?」
京太郎「ひゃい」ボロボロ
玄「ごめんね! 私が悲鳴をあげちゃったから」
玄さんが俺の部屋を訪れた後
ショックの大声を聞きつけた数人が急いで俺の個室にやってきた
井上さん、沢村さん、歩さんの三人にまず見つかり
続いて咲と透華さんがやってきた
俺の胸にしがみついている衣さんを見てからの、井上さんの動きは早かった
目にも止まらぬアッパーカット
俺でなければ見逃しちゃうね……あいたた
衣「早合点するとは……トーカ逹もそそっかしいな」
透華「衣も衣ですわ! 夜中に殿方の部屋に行き、無防備にも眠るだなんて!」
すでに衣さんが起きたことで誤解は溶けており
今はこうして談話室で話している
この場にいないのは朝食の準備をしているらしいハギヨシさんと歩さん
それと、遠野さんと国広さんの姿が見えないな
咲「もう! あの動画が無ければ信じなかったよ?」
京太郎「そんなに信用無いか? 俺」シクシク
宥「でも、可愛かったねー」ホクホク
俺が携帯に録画していた衣さんのお絵かき動画
あれが無ければ今頃どうなっていたことか……
ゆみ「男前が台無しだな、須賀」フフ
華菜「アンパンマンみたいだし」
玄「すぐに手当してあげる」スッ
京太郎「ど、どうも」
玄「ごめんね? 一生かけてでも償うから」ウルウル
京太郎「い、いやいやそんな!」デレデレ
咲「……むー」プクー
コンコン ガチャッ
ハギヨシ「皆さん、お食事のご用意ができましたよ」
華菜「! 待ってたし!」バッ
純「もうそんな時間か」
智紀「……配膳の手伝いに」
ハギヨシ「すでに終わらせてあるので、ごゆっくりで構いませんよ」
透華「流石ですわね。さぁ、行きますわよ」
透華さんの声に従い、みんなが揃って談話室を出て行った
俺も玄さんと連れ立って、一緒に廊下へと歩いていく
京太郎「あの、ハギヨシさん?」
ハギヨシ「はい? って、どうしたんですかその怪我は?」ビックリ
京太郎「いえ、いろいろありまして……」アハハ
玄「……//」
ハギヨシ「?」
京太郎「それより、遠野さんと国広さんの姿が見えないんですけど?」
ハギヨシ「お二人ですか? 遠野さんなら、裏庭で薪割りをしていましたが」
京太郎「薪割り?」
ハギヨシ「ええ。暖炉用の薪ですよ」
京太郎「そうですか……」
あの仮面を付けて斧を持っていたら……凄く怖いな
うん、間違いなく犯罪者だよ
京太郎「国広さんはわからないんですか?」
ハギヨシ「あまり女性の所在を気にするのはよくありませんよ?」
京太郎「あっ……」
玄「ふーん(察し)」
ハギヨシ「では、失礼します」
京太郎「はい。俺達も行きましょう」
玄「うん!」
咲「……」
【12月23日 食堂】
相変わらずの豪華な朝食を終え、一同に会するみんな
この場にいないのはやはり遠野さんだけ
朝食も取らずに、今もずっと薪割りをしているのだろうか?
透華「美味しい食事でしたわ」
歩「ありがとうございます!」
ハギヨシ「では、食器をお下げしましょうか」
一「手伝いますよ」
純「おう、片付けくらいはやるぜ!」
智紀「準備も手伝うべき……」
衣「もぐもぐ」
透華「衣がまだ食べてる最中でしてよ?」
衣「ぷはっ! もう食べ終わったぞ!」エッヘン
玄「美味しかったね、おねぇちゃん」
宥「松実館でも取り入れられないかな?」ウムム
華菜「夢みたいな生活だし」ポワーン
ゆみ「これが一週間も続くのは、確かに凄いな」
小蒔「須賀さん。あの?」
京太郎「どうしたよ咲? 機嫌悪くないか?」
咲「別に」プイッ
京太郎「おいおい……勘弁してくれってば」
小蒔「……」シュン
美味しい食事に舌鼓を打ち、満足していた俺達
しかし、その異変は……不意に、訪れた
ハギヨシ「うっ?!」フラッ
ガシャァァァァン!!
京太郎「!?」ビクッ
唐突に響く、食器の割れる音
振り返ると、ハギヨシさんが胸元を抑えて片膝を付いている
京太郎「え? ハギヨシさん!?」
透華「どうしましたのハギヨ……うっ」フラァ
バタリ
純「透華! 一体どうし……ぐっ」フラフラ
一「純く……あっ」バタリ
次々と、席を立とうとして倒れていくみんな
これは……?
京太郎「ぐっ!?」ズキン
俺も、かよ……
歩「うぁ……ぐっ」バタン
衣「ぁ……ぅ」ズシャッ
智紀「み、んな……」ガタン
咲「京ちゃん……私、も」バタッ
ゆみ「ぐぅ……」バタリ
華菜「にゃー」バタン
小蒔「これは、まさか……」ガクッ
玄「これは、もしかして、睡眠、や……く?」ガシャン
宥「玄ちゃ……」ガターン
京太郎「く、そ……」
強烈な眠気で頭がグラグラと揺れる
ちくしょう……何が、どうなって……
京太郎「さ、き……」
ぐるぐると回っていく世界
俺の意識はそこで……完全に途絶えてしまった
?「……くくっ」ムクリ
??「……」ムクッ
!?
?「油断したねー名探偵君」クスクス
??「……」
?「名演技だったよ。役者も向いてるんじゃないかな?」
??「……」クイッ
?「ごめんごめん、すぐに運ぼうか」
グイッ
?「地獄の入口まで、ね」フフフフ
京太郎「……ここは?」ハッ
一体どれぐらい眠っていたんだ?
確か最後は……食堂で
京太郎「っつぅ」ズキン
分からない
まさか、食事に何か盛られていた……?
そんな馬鹿な
一体何の為に?
京太郎「……」キョロキョロ
俺が寝かされていたのはベッドの上だった
部屋自体はアパートの一室のような形で、ベッドの他にはソファもある
それだけながらただの部屋なのだが、唯一変わっているところといえば
京太郎「……モニター?」
壁一面に二十個近いモニターが埋め込まれている
何も映ってはいないが、その数には不気味さを感じた
そして、モニターの下には謎のスイッチのようなものが幾つかある
これって……もしかしてあのゲームの?
京太郎「いや、それよりもまずは」
ここがどこなのかよりも、ここを脱出する方が先決だ
みんながどうなったのかも、確かめないといけない
京太郎「……部屋を出るには、あそこしかないか」
この部屋には窓も無く、あるのは出口と思われる扉が一つだけだ
出口への廊下の途中には浴槽とトイレ、冷蔵庫に調理台もあった
ここだけ見れば、本当にアパートの一室と同じなんだが……
京太郎「……やっぱり開かないか」ガチャガチャ
ドアノブを回すが、扉は開かない
内鍵は外せるのだが、どうやら外側から何かで塞がれているらしい
京太郎「くそっ! どうなってるんだよ!」ガンッ
何が何だか分からない
咲は、みんなは無事なのか……?
京太郎「……」
俺は一度、モニターがあった部屋まで戻ると
何か使えるものが無いかと物色を始める
時計に、一枚の紙切れ……紙?
京太郎「共有者……?」
共有者
この単語が指し示すものは……やっぱり、アレだよな?
ここで一度中断して確認
これから人狼ゲームの用語や単語が頻発しますが、ルールがよく分からない方などいらっしゃいますか?
時間も時間ですし、そもそも読んでいる方がいるかも不安ですが……一応、確認しておきます
では作中内で説明しながら進行していこうかと思います
すでにご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ご了承を
京太郎「赤月兎ゲーム……」
昨晩渡されたマニュアルに書いてあったルール
そこに出てきた単語が、なぜ……?
京太郎「!?」
ジジジッ ボーンッ! ボーンッ!
京太郎「なんだ……?」
突然、室内に大音量で響き渡る古時計の音
その余りのうるささに、俺は思わず耳を塞いだ
京太郎「……くっ!?」
そして、数分が経ったのち……音は止んだ
今のは……?
京太郎「!?」
ブゥゥンと、突如としてモニターに映像が映る
映し出された映像の数は14……俺を含めて、遠野さん以外の全員がそこにいた
俺も映っている? ということは、どこかにカメラが!?
京太郎「咲! みんな!」
モニター越しで、狼狽えているみんなの姿が映し出されている
カメラの位置を確認する者や、泣き出す者逹
ハギヨシさんは必死に逃げ道を探そうと、壁を叩いているようだった
京太郎「音は聞こえないのか……!」
俺もモニターに近寄り、みんなの様子をまじまじと観察する
すると、突然モニターから音が出てきた
???『クククッ、ようやく全員がお目覚めのようですね』
京太郎「!」
電子音で加工されたような不快な声
この口ぶりからして、コイツが犯人の声であることはすぐに分かる
京太郎「誰だお前!」
???『私の正体が気になるでしょう? ふふ、そうですねぇ』
京太郎「……」
この声は俺だけじゃなく、他の部屋にも聞こえているらしく
みんな、立ち止まって声に耳を傾けているようだった
???『冥界の従者、とでも名乗っておきましょうか』
京太郎「冥界の、従者……?」
冥界の従者『ククッ。では次に、ルールをご説明しましょう』
冥界の従者、だと?
ふざけやがって……!
冥界の従者『昨晩、皆さんにはとあるゲームの解説書をお配りしましたね?』
京太郎「! 赤月兎ゲームのことか」
冥界の従者『そう。赤月兎ゲームのことですよ』
やっぱり、この環境はそのゲームの為の……
冥界の従者『皆さんの部屋に置いてあった紙は、それぞれの役職を表します。おっと、モニターに近づけてはいけませんよ?』
京太郎「!」
冥界の従者『もし自分の役職を公開するような真似をすれば……皆さんどうなることか』ククク
京太郎「……」
冥界の従者『ズルはいけません。やるなら、ルールに則って行ってくださいね』ジジジ
京太郎「(つまり、これから俺達にゲームをやらせようってことか?)」
冥界の従者『では、ルール解説をいたします。皆さんには既に、役職を割り振ってあります』
京太郎「俺は、共有者……」
冥界の従者『皆さんにはその役職としてゲームに参加。自分陣営の勝利を目指して頂きます』
京太郎「陣営の勝利……」
冥界の従者『おっと、ゲームのルールに不慣れな方もいるようですね』
冥界の従者『残念ですが、説明する暇はありません。昨日お配りしたマニュアルがお手元にあります』
京太郎「あ、これか!?」
確かに昨日もらったマニュアルと同じものがモニターの前に置いてある
冥界の従者『では、続けましょう』
京太郎「(一応、確認しておくか……)」ペラッ
【基本ルール】
通常の人狼ゲーム同様、参加者は大きく分けて二つの陣営に分かれます
村人陣営と、人狼陣営です
人狼は毎晩、村人陣営の人間を一人襲うことが出来ます
襲われた者は死亡し、翌朝に死体となって発見されます
村人は誰が人狼陣営なのかを特定する為に議論し、一日に一人だけ処刑する事が出来ます
処刑された人間は村人、人狼を問わずに死亡
村人は全滅する前に人狼を根絶すれば勝利
人狼は村人逹を騙し、生き残れば勝利となります
【進行手順】
1 人狼陣営の噛み→村人陣営が一人死亡
2 死体発見
3 議論 → 誰が人狼であるかを考える
4 投票 → 一番多く票を集めた者が処刑
5 夜時間 → 役職を持つ物は能力を使用する
6 1に戻る
【役職 村人陣営】
『共有者』
・夜時間に会話することが出来る村人二人→最初から村人確定なので、実質村人陣営のリーダー
『占い師』
・一日に一度だけ村人を一人、人狼かを判定することが出来る
『霊能師』
・処刑された人間が村人か、人狼であったかを確認出来る
『狩人』
・一日に一度、護衛先を指定。護衛された人間が襲撃された場合、守ることが出来るが……自分を護衛することは不可能
『村人』
・なんの能力も持たない村人
【役職 人狼陣営】
『人狼』
・一日に一度、村人を襲撃することが可能 人狼が人狼を噛むことは不可能
【役職 第三陣営】
『赤月兎』
・人狼に噛まれても死ぬことは無く、勝利条件は村人陣営の生存
・人狼に一度でも噛まれた場合、自身の勝利条件が人狼陣営の生存になる
・人狼に噛まれたかどうかは自分にも不明
・占い師に占われた場合、どちらの陣営であっても死亡する
※妖狐ポジションのようにお考えください
冥界の従者『自分の陣営の勝利こそが生き残る道』
京太郎「生き残る……?」
なんだよ、その言い方じゃ
まるで、俺達が殺されるみたいな……
冥界の従者『そうそう。負けた陣営には当然……死んで頂きますからね』
京太郎「!?」
冥界の従者『面白いでしょう? どちらが勝つか負けるか……生死を賭けた戦いですよ』ククク
京太郎「く、狂ってやがる!」ガンッ
冥界の従者『そして、このゲーム中に誰かが死亡するケースが三つあります』
京太郎「三つ?」
冥界の従者『人狼の噛み。村人による処刑。占いによる兎の呪殺ですね』
京太郎「……」
冥界の従者『村人の処刑は……特別サービス。処刑されてもゲームからのリタイアだけにしましょう』
京太郎「リタイア?」
冥界の従者『つまり、ゲーム上は死亡でも……現実では生きているというわけです。ただし、最終的に自陣営が破れた場合は……』
殺されるってわけか?
意味がわからねぇ! どうしてそんなゲームを俺達が!?
冥界の従者『人狼の噛みと呪殺は、リアルでも死亡ですのでご注意を』
京太郎「ふざけるなよ! 誰がそんなゲーム!」
冥界の従者『では、まもなくゲームを開始しますが……ご不満な方もいらっしゃるでしょう?』
京太郎「!?」
冥界の従者『これがドッキリの類だと、疑っている方もいるようだ。ならば……お見せしましょう』
ブゥゥゥゥーン
京太郎「えっ?」
これまで、ずっと消えたままだった右端のモニター
そこに……ある映像が映し出された
京太郎「あ、あ……」
――そこは『血』と『死肉』の臭いに満ちていた……
喉笛をかき切られて大量の血液を噴き出した死体の有り様は――
遠野「」ポタッ ポタッ
京太郎「う、うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
『人狼』の牙と爪に襲われた
哀れな生贄の末路を思わす凄惨さだった……
冥界の従者『ギャハハハハハハッ! 最初の犠牲者だ! 人狼に喰われた村人!』ゲラゲラ
京太郎「っ」ギリッ
冥界の従者『さぁ、ゲームのスタートだ! 生き残りたくば疑え! 騙し合え!!』
これが、俺達を襲う――悲惨なゲームの始まり
冥界の従者『醜くも己が内の獣を曝け出せ! それが貴様達の本性なんだ!!』
京太郎「上等だ。やってみろよ……冥界の従者」ギリッ
こんなイカレたゲーム……許しておけるか
京太郎「俺が、みんなを救ってみせる」
名探偵と言われたジッチャン……そして
京太郎「はじめ兄の、名にかけて!」グッ
【File2 終】
ED
https://www.youtube.com/watch?v=V3LfGUZMQI8
容疑者リスト
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org812009.jpg
やっと第一の被害者が出ましたね(咲キャラとは言ってない)
次からは人狼パートとなります
人狼もミステリーも初心者なので穴だらけのガバガバ展開になるかもですが
寛容な目で見て下さい! なんでもしますから!
それでは、また次の更新でお会いしましょう
>>73で
冥界の従者『もし自分の役職を公開するような真似をすれば……皆さんどうなることか』ククク
この部分で自分の役職について決して口外してはいけないルールなのかなって思ったんだけどそうじゃないのか。人狼ゲーム詳しくないから調べたんだけど、自分の役職を詐称して相手を引っ掛けるゲームなのな。
とにかくこっちの赤月兎ルールと本来の人狼ルールとの差異が良くわかんないから次の更新期待するしかないんだけど
>>102
これは説明不足でしたが、自分の役職が書かれた紙で役職証明(ルール外の行動)を取るなってことです。
騙りや、COは勿論オーケーです
(CO=カミングアウト 人狼における自分の役職を明かすこと)
致命的なトリックの穴を見付けたので、人狼パートの構成を若干修正しました
犯人は変わっておらず、以前投下した文の伏線に影響ないようにもしてある筈……です?
もしもまだ穴があった場合は申し訳ないです
では、ぼちぼち再開
凄惨な事件の傷跡を癒やそうと、訪れた龍門渕さんの別荘
一夜が明け、朝食を取っていた俺達は突然の睡魔に襲われ……気絶
目覚めた俺達は、見たことも無い部屋の中で監禁されていた
そして、室内に響き渡る謎の声
冥界の従者と名乗る犯人は、俺たちを再び凄惨な事件へと導こうとする
赤月兎ゲーム
この裏に隠された真実とは一体……!?
【FILE3 赤月兎殺人事件】
OP
https://www.youtube.com/watch?v=pw86oy4LFoc
容疑者リスト
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org810225.jpg
このSSまとめへのコメント
2年くらいしたらリメイクかなって書いたの俺だわ
そんで2年たったけどダメだったわ
いや、めっちゃ続き気になるんですけど