幼女「クズでヘタレのヘンタイロリコン野郎!!」男「は?」 (38)




男「……」

幼女「……」

男(……気のせい、か?)

幼女「トイレありがと」

男「あ、あぁ」

幼女「いやーもうダメかと思った。もうぜったいもれると思った」

男「あぁ、ドアがんがん叩きながら『おしっこぉおおおおお!!』って絶叫連呼されたときは、こっちももうダメかと思った」

幼女「いやーほんと良かった」



幼女「親切なロリコン野郎がいて」

男「おい」




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男「なに言ってんのお前」

幼女「?」

男「可愛らしく小首かしげんな」

幼女「だっておっさんロリコンクソ野郎でしょ」

男「」


男「おっさんじゃなくてお兄さんな」

幼女「えぇ?」

男「まだ二十歳だぞ」

幼女「おっさんじゃん」

男「あとロリコンでもないからな」

幼女「おっさんロリコンの上にうそつきか」

男「」




幼女「ロリコンでもないのにいきなりトイレかしてくれるわけない」

男「いや俺だって普通はかさねーよ。お前がうちの前でおしっこ絶叫連呼しやがるから」

幼女「つれこんでえっちなことする気なんでしょ」

男「しねーよ」

幼女「なんだそのたいど幼女を前にして!!」


幼女「それでもロリコンか!!!!」

男「違ぇよ」




幼女「ケーサツ呼ぶぞこら!」

男「呼べよ。んでとっとと家に送ってもらえ」

幼女「……いいのかな」

男「なに?」

幼女「今ケーサツを呼べば困るのはおっさんだぞ」

男「お兄さんな」

幼女「わたしは今パンツをはいていない!!!」

男「!?」

幼女「トイレでぬいだままだ」

男「いや……はやくはけよ」

幼女「わたしがパンツをはいていない状態で、ケーサツが来たら……どーなる?」

男「……!」

幼女「……」



幼女「……どーなる?」

男「知らねぇよ」




幼女「わたしが、おっさんにえっちなことされたって言ったら、どーなる?」

男「俺はお兄さんだから関係ないな」

幼女「おっさんはつかまる」

男「……」

幼女「そうなりたくなかったら」



幼女「……わたしを飼って」

男「…………は?」




幼女「幼女飼育とかサイコーだろゴミクズウンコロリコン野郎」

男「俺はロリコンじゃねぇしサイテーだなおしっこ幼女」

幼女「まぁとにかくおっさんは、わたしの言いなりになるしかない」

男「んなわけねぇだろ。さっさと帰れ」

幼女「ちかんは女の子の言うことがほとんど絶対信じられる」

男「……」

幼女「まして、こんな小さな女の子が、ウソをつくわけがない。そうせけんは思う」

男「……」

幼女「だから」

男「しろよ」

幼女「!」

男「通報、していいぞ」

幼女「……」


男「しないなら俺が通報してやる。家出した女の子が不法侵入して騒いでるってな」

幼女「っ……やめて!!!」ガバッ

男「うおっ!? なにすんだっ」

幼女「おねがいっ! おねがいだからっおねがい……!」

男「……なんだよ、ったく」





……

男「とりあえず話だけは聞いてやる」

幼女「……うん」

男「家出かなんかだろ。なにがあった?」

幼女「えっと…………」

男「……」

幼女「…………ぶたれるの」

男「……親にか」

幼女「……」コクン

男「……じゃあ、それこそ警察に通報だ。それから児童相談所に」

幼女「前に家出したとき」

男「ん?」

幼女「ケーサツを呼ばれて、家につれかえられた」

男「……」

幼女「もっといっぱいぶたれた。はじをかかすな、って」

男「…………児童相談所は」

幼女「きてくれた。ほごしますって。でも……」

男「……親が追い返したのか?」

幼女「……」コクン




男「……虐待するくせに世間体気にして、手放そうともしないのか。……そりゃ確かに厄介だ」

幼女「せんせーやともだちにも、言ったの」

男「……そうか」

幼女「でもっ、でもそしたらも、もっと、ぶつ、の」

男「分かったもういい。もういいから」

幼女「ぅぐ、っ、う」

男「……」


男「とりあえず、俺は仕事に行かなきゃならん」

幼女「おっさんしごとあったのか!!」

男「ある。だから今日は、……今日だけは、ここにいていい」

幼女「わーい!」

男「今日だけだぞ。こっちだって余計なことで捕まりたくはねぇんだ。……だから、絶対、おとなしくしてろ」

幼女「はーい」

男「誰か来ても居留守しろ」

幼女「幼女がおしっこってさけびながらドアがんがん叩いても?」

男「そうだ。そんなやつにドアを絶っ対にあけちゃならん。無茶苦茶厄介なことに巻き込まれるからな」

幼女「はーい」

男「冷蔵庫にあるものは好きに飲み食いしていい。テレビも好きに見ろ。ただし外には絶対出るな」

幼女「はいはいはーい」

男「よろしい。んじゃ行ってくる」

幼女「はいはいはいはーい」


幼女「へっ」


幼女「ちょろっ」

男「おい」




……


男「えぇ、そうです今すぐでないと間に合わなくて。はいすぐに。でないと刑事事件として起訴することになりますのではい。はい一時までに。はいではお願いします」

ピッ


男「……っと、次は」

同僚1「俺がここに息子でかけるから」

男「んじゃあ上司役を」

同僚2「あ、ちょい待ち」

男「ん?」

同僚2「マジモンの上司が」


コンコン

上司「よぅ、調子どう」

男「お疲れ様です!」

同僚1、2「「お疲れ様です!!」」

男「今日は二件、受け渡し済み。今一件完了で、受け子からの連絡待ちです」

上司「いいね。じゃんじゃん頼むよ。でさ、キミ」

男「私ですか」

上司「なんか、最近変わったことない」

男「……?」


男「特には」

上司「そう?」

男「はい」

上司「……」ジー

男「……」

上司「なら、いんだけどね」

上司「でも」



上司「幼女が押しかけてきたら良くしてやんなよ」

男「」



男「はい? ……なせ突然幼女」

上司「つい最近、俺のとこに押しかけてきたやつがいてさ」

男「……幼女がですか?」

上司「そ。んでそいつ、殺して欲しいやつがいる、って、俺に頼んで来たわけ」

男「は、はは……命知らずですね」

上司「ん。そんだけ命知らずな度胸と根性があっても、親から逃げられんのだから、生まれってのは残酷なもんよな」

男「……」

上司「母親が新しい彼氏を連れ込んでから、らしい。それで」

男「その彼氏を」

上司「そ。こちとら殺し屋じゃないっつうにな」

男「まぁ見た目だけならどう見ても二、三十人やってますもんね」

上司「はっはっはっは!!」



上司「もっと多いよ」

男「はは……」




上司「こっちもヨソと揉めて忙しい時期にねぇ」

男「そうですね」

上司「だからよ」



上司「俺の部下にロリコンクソ野郎がいるからそいつのことに行けって」

男「ちょっと」



上司「そういうわけだから、幼女が来たら適当に遊んでやってよ」

男「カンベンして下さいよ……」

上司「いいじゃねぇか。ロリコンだろお前」

男「違います」

上司「うそつきだね、お前」

男「でなけりゃこんな仕事、やってませんよ」

上司「そりゃあそうだ。んじゃ、またな」

男「はい。では」




……


ガチャッ

男「ただいま、っと」


男「……」



男「おーい」


男「いない」



男「トイレにも風呂場にも台所にもいない」

男「……帰ったか。まぁそれならそれで」カシュッ

ゴクッ



幼女「ばぁっ!!」

男「!?!?」ブフッ




男「あぁあビールが」

幼女「おかえり」

男「なにしてくれてんのお前」

幼女「かくれんぼ」

男「いやそうじゃなくて」

幼女「クローゼットに入ってたの」

男「……」

幼女「おかえり」

男「ただいま」




幼女「ビールだ」

男「ティッシュティッシュ」ガサゴソ

幼女「……」


ペロッ


男「あ、こら!」

幼女「にがっ」


男「お前にはこっちな」

幼女「ぎゅうにゅうだ」

男「ミルクだ」

幼女「お前幼女を子猫かなんかと思ってんのか」

男「いや」

幼女「ミルメーク入れろよ」

男「は?」


幼女「ミロでもいい」

男「うるせぇな。贅沢言わず飲め」


ゴクッゴク

幼女「ぷはぁ」

男「はぁ~」




幼女「ごはんにする? おふろにする? それとも~?」

男「とりあえず風呂な」

幼女「ノリわるいなお前」

男「風呂というか、シャワーで済ませるけど。先入れ」

幼女「ロリコンのくせに」

男「なにがだよ」


幼女「おっさんが先入れ」

男「お兄さん。……まぁいいけど」




ジャー

男「ったく、なんで俺がこんな」

男「……はぁ」

男「どっか預かってくれるとこ……いやそれこそ猫じゃねぇんだから」

幼女「にゃーん」

男「!?」ビクッ

幼女「かみ洗ってよ」

男「おま、なに入って来てんだお前」

幼女「いやーん」

男「……」

幼女「じろじろみるな」


男「じゃあ、目つぶっとけ」

幼女「はーい」

ワシャワシャ


男(……ガリガリだし、アザだらけじゃねぇか……なんだよ、これ)

幼女「ううー」

男(これはヤケドか? くそ……よくもまぁ服で見えないとこにだけ、こんなに)

幼女「目ぇしみるぅうう!!!」

男「つぶっとけっつったろうが!」ジャー




……


幼女「ぶかぶかだ」

男「俺の服だからな」

幼女「ノーパンだぞほれほれ」ピラッ

男「着替えぐらい持って家出しろっての」

幼女「おなかへった」

男「めし食ってはよ寝ろ」




……


幼女「ぐぅ……」

男「もう寝たのか……」

幼女「……すやぁ」

男「しかもベッドを占領して」

幼女「ぐごご……」

男「……仕方ない。ソファーか」


ガシッ

男「手を離せ」

幼女「…………いっしょ」

男「寝てたんじゃなかったのかこら」

幼女「……いっしょがいい」

男「……」


ボフッ

男「これでいいか?」

幼女「……うでまくらしろよ」

男「ほらよ」

幼女「へんなことするなよ……ロリコン」ギュッ

男「しねぇよ。はよ寝ろ」

幼女「…………ぅん」






幼女「あさだ!!」

男「……zzZ」

幼女「あさだぁああああ!!」

男「うるせぇよ!!」ガバッ


男「騒いで近所に通報されたら、お前だって困るだろうに」

幼女「そういやそうだ」

男「朝飯くっておはスタ見てろ」

幼女「山ちゃんのいないおはスタなんて」

男「お前の年齢で言うことか。レイモンドも知らんくせに」

幼女「レイモンドって誰?」

男「レイモンドはドンファン使う人だろ」

幼女「?」

男「オーハー! レイモンドダヨー」

幼女「似てる!!」

男「知らないんじゃなかったのか」




……


男「はい。必ず得をする仕組みになっておりまして。はい絶対です。えぇ、それが今日限りということで、偶然空きが出たので、そのキャンセルされたお客様からの推薦で、お電話させていただいておりますー。はい、はい」

男「それは個人情報になりますので。えぇ、もちろん断っていただいても構いません。他の方にチャンスが回るというだけですので。え? はい、そうですか。分かりました。ではまず振り込みの方を……」




……


ガチャッ

男「ただいま」

幼女「ばぁっ!」

男「もう驚かねぇよ」

幼女「ちぇっ」


男「ほらパンツ」パサッ

幼女「!?」


幼女「どっからとってきたこのヘンタイロリコン下着ドロ!!」

男「違う。買ってきたんだ」

幼女「……パンツを?」

男「パンツを」

幼女「女の子のパンツを」

男「替えも含めて何枚もな」

幼女「つまり」


幼女「しゅうちプレイってやつだ」

男「お前のせいだからな」




幼女「……!!」パサッ


幼女「な……なんだこれ!!」

男「だからパンツだろ」

幼女「なんか、なんかすごいぞ!」

幼女「てかてかのドピンクだったり、黒くてスケスケだったり!!」

男「言うほどじゃないだろ」

幼女「えっろ!!!」


幼女「ロリコンのくせにひどい」

男「なにが」

幼女「パンツのしゅみ」

男「趣味とかでなく、さすがに女児用を買ったら不審すぎるからな。彼女とかに買うていで買ったんだ。そのために大人用なわけ」

幼女「と見せかけて?」

男「見せかけない」

幼女「わたしにえっちなパンツはかせたかっただけ」

男「違うっつの」

幼女「ヘンタイロリコン野郎が大人パンツはかせて『へへへなかみも大人にしてやるぜへへへ』とか言ってくるよぉおお!!」

男「やめろってんだよそうやって騒ぐのぉおおお!!」




……


男(そうして、やかましい居候が住みついて、一週間)



幼女「まだ手を出さないとか、それでもロリコンか!!」

男「違うって言ってん」

幼女「ホモか!!!」

男「」


幼女「ホモなんだな」

男「なぜそうなる」

幼女「男はみんなロリコンかホモ」

男「は?」

幼女「ってせんせーが言ってた」

男「その先生やばいな。近づかんようにしろよ」

幼女「そのせんせー女の人だよ」

男「なに……?」

幼女「男はみんなロリコンかホモだーだからわたしに彼氏ができないんだー」

幼女「って」

男「違う意味でやばいな」




……


同僚2「ほい、今日のぶん」

男「了解」

同僚2「それと、頼まれてたやつ」

男「ありがとう。しかし早いな」

同僚2「まぁお前の頼みだし。でもこんなやつ調べてどーすんの。たいして金持ってねーよ?」

男「まぁな。ちょっと」

同僚2「変なとっから足つくようなこと、すんなよ」

男「分かってる。すぐに片付けるから」



男(この仕事は、早さが命、留まらないことが大事)

男(とにかく全てを迅速に。対象を急がせ、部下を急がせ、俺達自身も急ぐ)

男(そして素早く繋がりを断つ)

男(一定の期間で、場所も、番号も変え、手口も変える)

男(留まる水は濁る)


男(一刻も早く、新しく生じた繋がりを)

男(断ち切りたかった)




男「えぇ、そうです。必ず当たる方法を、あなただけにお教え致します。いえ、それが実は、言葉通りの出来レースってやつなんですよ。そのあらかじめ決まっている結果を、会員様にだけお知らせしているんです。儲けている人のほとんどが、実は会員なんですよ」

男「会員になって一定額……詳しくは申し上げられませんが、億の単位とだけ。……その一定額を稼ぐと、自動で会員から外され、次に当選した方が、会員に選ばれます。そうして、当たっている人がいると見せることで、全体の参加人数を維持しているわけです。そのための会員システムでして」

男「こちらとしては、早く決めなくてはいけないので、今日じゅうに……お客様が断った場合、他の方に。そうですか? では、……あー、いえ」

男「それでしたら、こちらの指定する機関から借りて頂いて。えぇ大丈夫です。すぐに取り戻せますので。はい。では今から指定する……」





……


幼女「すぅ……すぅ」

男「……もうすぐ、朝に腕がしびれる生活とも、おさらば、だな」

幼女「むにゃ……」

男「…………もうすぐ、だからな」

幼女「……この…………ろりこん……むにゃ……」

男「……そうだよ」

男「だから、見捨てられなかった。こんな仕事やってて、余計な面倒、起こすわけにいかないってのに」

男「正々堂々、お前の親と対面する気もない」

男「広く訴えかけて、事を大きくして保護機関を動かす気もない」


男「やってることはただの犯罪。クズでヘタレの、ロリコンだよ」



男「…………それでも、一人くらい、救えたら」


男「仏さんは、蜘蛛の糸でも垂らしてくれるかね……」





……


男(それから、一ヵ月)

男(思ったより、かなり手早く事が運んでくれたらしい)


幼女「え……」

男「聞こえなかったか? 今言った通り、お前はもう帰れるんだよ」

幼女「なんで……」

男「それも言ったろ。お前の親の、彼氏さん。借金まみれになって、どっか消えちまったとよ」


男(マグロ漁船だとか、コンクリ詰めで東京湾だとか、溶かして道路だとか、危険な発電所の作業員だとか)

男(どうなったかは、俺は知らない)

男(けどとにかく、上司に無理矢理頼み込んで、そいつが女売るような真似せず、そいつ自身に落とし前つけさせた)


男「だから、もう帰れるんだ」

幼女「っ…………ぅ」

男「もう大丈夫なんだ。……自分の家で、暮らしていける」

幼女「……っん、ぅんっ……ぉかあさん、もとに、もどっ」

男「あぁ、お母さんのもとに帰れるんだ」

幼女「うぅう、うあああ」

男「泣くな。泣かれると、俺が通報される。それは困る」

幼女「うんっ……。ありがと……ロリコンクソ野郎」

男「なにもしてねぇよ、おしっこ幼女」




男「じゃあな、元気でやれよ」

幼女「ばいばいっ……! またね!!」

男「また、は、なしにしてくれ」

幼女「えー?」

男「それから、誘拐されてたとか言うのもなしな」

幼女「どーしよっかなー」

男「おいおい……」


幼女「また、会ってくれるなら」

幼女「誘拐されたなんて言わないよ」

男「…………」

男「分かった。いつか、また会おう」

幼女「やった! 約束ね」

男「へいへい」

幼女「指切りげんまんうそついたらハリセンボンのーます! 指きった!!」

男「……」

幼女「じゃーね!!!!」

男「あぁ、じゃーな」





……


男(……朝か)


男(隣には誰もいない)

男(ただ少しだけ、あの子の残り香がする)

男(あと、あんな小さな子には似合わない、大人用のパンツもいくつか)

男(……これだけが、俺の収穫か)


男「ま、悪くない、な」











『……続いてのニュースです。市内の小学○年生の少女が、自宅の浴槽で溺死しているところを発見されました。警察は虐待の疑いがあるとして、少女の母親を……』







おわり



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