雪乃「どういうことかしら?」
八幡「言葉の裏というかだな、そういうのを考えようぜって言ってるんだよ」
雪乃「友達のいないあなたがその手の機微に通じているとはとても思えないのだけれど」
八幡「うるせえよ、そんなのお前も似たようなもんだろうが」
平塚「まあまあ二人とも」
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平塚「それで比企谷、なぜそう思う?」
八幡「なんでって先生が持ってきた依頼ですからね。単に調理指導の勝負だったら俺に勝てる要素全く無いでしょ。勝負させるって言ってる先生がそんな案件持ってくるとは思えませんから」
雪乃「何の勝負だったとしてもあなたが勝つという事はあり得ないのだけれど」
八幡「うるせえよ」
八幡「大体クッキーなんて簡単な料理なんだろ。教えるだけなら普通は家庭科の教師や料理部を紹介するだろうが」
雪乃「確かにそのとおりね。まあ、平塚先生だから単に私たち以外に頼むのが面倒だからというのもあり得るかもしれないけれど。」
平塚「そそそ、そんなことある訳が、な、ないだろう。お、同じ学年でもあるし、そうだ比企谷、お前は同じクラスでもあるからな。教師が対応するよりも良い対応ができると思ったからだ。う、うん」
雪乃「・・・、どうやらあたりですか」
八幡「ちょっと先生」
平塚「ま、まあ君達が対処した方がいいと思ったのは本当だ」
八幡「いや、俺クラスに知り合いいませんし、そもそもあいつの名前どころか同じクラスだって事すら知らなかったんですが」
平塚「比企谷」
雪乃「はあ、それはそれで問題があると思うのだけれど。まあ良いわ。では、やはりただ料理を教えてほしいというだけではないという事ですか?」
平塚「まあそうだな。だが私自身直接詳しい相談を受けたわけではないのでな。君たち自身が判断して行動すればいい。もちろん本人が話してくれるのならそれが一番だと思うがな」
八幡「まあでも俺の読みが当たってたって事だな。ふふん、どうだ雪ノ下」
雪乃「まだ解決どころか何の進展もないのに勝ち誇った顔をしないでもらえるかしら。それに以前にも何度かあなたの見当違いの深読みのおかげで無用のトラブルもあった訳だけど?」
八幡「ぐ。そ、それは置いといてだな、どうするんだ?マジでまだクッキー教えるのか?」
雪乃「それは仕方がないでしょう。本来彼女の依頼はそれだもの。依頼に裏の面があったとしてもそれをないがしろにはできないわ」
八幡「面倒くせえな。大体昨日のアレ見る限り、あいつにゃ相当難しいんじゃねえの?」
雪乃「ええ、全く。まさかたかがクッキーをあんなふうにしてしまう人がいるとは思わなかったわ」
雪乃「まあいいわ。それでその裏というのは?あなたの推理を聞かせてもらえるかしら」
八幡「ああ、今日一日クラスであいつら観察してみて解ったんだがな」
雪乃「良く通報されなかったものね。あなたはただいるだけでさえ不審なのだから不審な行動をとるのはやめた方が良いわよ」
平塚「まあまて雪ノ下。それで比企谷、何がわかったんだ?」
雪乃「そうですね。何がわかったのかしら?」
八幡「お前も葉山隼人って知ってるだろ。昨日の由比ヶ浜って言ったか?あいつは葉山の取り巻きだな」
平塚「え?」
雪乃「取り巻き?」
八幡「ああ、葉山を中心とした男4人女3人のグループの中の一人だ」
雪乃「へえ、あの葉山君のね」
八幡「ああ。それで他の男子三人はデカいのとか小さいのとかバラエティ豊かなの揃っちゃいるがどいつも葉山に比べると二枚も三枚も落ちるって感じだな。俺が言うのもなんだがモテるタイプには見えんな」
平塚「おい、比企谷」
雪乃「確かにあなたが言えた事じゃないわね。でも、まああの葉山君と比較するのは酷でしょうけども」
八幡「うるせえな。まあいい。ここまで言えば大体わかるだろ」
雪乃「なるほど、わかりやすいわね」
八幡「だな。つまりあのグループの女子、由比ヶ浜たち3人は葉山狙いの女子の集まりって事だ」
平塚「え?」
八幡「そこで手作りのクッキーだ。料理あのレベルの由比ヶ浜がだぞ」
雪乃「つまり由比ヶ浜さんは手作りのクッキーをプレゼントして葉山君に告白したいと思っているわけね」
八幡「ああ、間違いないな」
平塚「え?え?」
平塚「チョ、チョットまて。それだけの材料で決めつけるのは早計というものではないか」
八幡「平塚先生うるさいですよ。俺らで考えて行動しろと言ったのは先生でしょ」
平塚「そ、それはそうだが」
雪乃「ええ、そうね。平塚先生、少し黙っていていて頂けますか」
平塚「う、うう(ど、どうしようコレ)」
雪乃「ではあなたはクッキーの作り方を教える以外にも由比ヶ浜さんの告白を手伝うべきだと考えているのかしら?」
八幡「いやそうじゃなくてだな、」
雪乃「そうよね。さすがに奉仕部の活動の範疇としてはどうかと思うし、相手があの葉山君みたいなのであればなおさら、その手の依頼を受けていたらきりがないと思うわ」
八幡「確かにその通りなんだけどよ」
雪乃「そうでしょう。クッキーの出来はもちろん彼女の努力次第だけれど、彼女の告白が受け入れられるかどうかもまた彼女次第ではない?」
八幡「そりゃあそうだがな、ことはそんなに簡単じゃないと思うんだよな」
雪乃「どういう事かしら?」
八幡「うーーんそうだな、なら雪ノ下、お前由比ヶ浜が告白したら葉山と付き合う事になると思うか?」
雪乃「無理ね」
八幡「おい、即答すぎんだろ。チョットは考えろよ。顔で言ったらあいつは結構かわいい方だと思うぞ」
雪乃 ピクッ
雪乃「別に彼女の容姿がどうだからと言っているわけじゃないわ。葉山君が誰かと交際するという事がとても想像できないからよ」
八幡「そうか?」
雪乃「ええ。大体手作りのお菓子どころか、バレンタインデーにチョコレートも受け取らないわね。あなたはもらったことすらないんだろうけど」
八幡「うるせえ。俺だってなあ、ゴニョゴニョからもらった事ゴニョゴニョ」
雪乃「え、えっと、その、よく聞こえなかったのだけど」
八幡「ど、どうでもいいじゃねえか。そんなことよりやたら詳しくねえか?お前も葉山に、なんだ、その」
雪乃「そ、そんな訳ないでしょう。な、なんというか、いわゆる幼馴染というやつね。親同士がゴニョゴニョ」
八幡「そ、そうか」
雪乃「そ、そうよ」
八幡「・・・」
雪乃「・・・」
平塚「・・・(なんだこれ?)」
雪乃「コホン。だから私の知る限りでは葉山君がそういったものを受け取った事は無いと思うわ」
八幡「まつたく、なんでそんなつまんねえ事に頑ななんだよ。あれか?あれだけモテたら手作りのお菓子程度じゃうれしくないってか、けっ!」
雪乃「・・・、その、やっぱりそういうものをもらうのはうれしいものなのかしら?」
八幡「ま、まあなんだ。あくまで一般論だがな、多少デキが悪くても手作りってなら悪い気はしないもんじゃねえの」
雪乃「そ、そう」
八幡「あ、ああ。まあでも炭みたいなクッキーはさすがにごめんだけどな、ハハハ」
雪乃「そ、そうよね。やっぱりおいしい方が・・・、よね」
八幡「あー、き、昨日お前が手本で作ったのほど旨くなくても十分じゃないのか」
雪乃「そ、そう。昨日のはおいしかったのね・・・」
八幡「・・・」
雪乃「・・・」
平塚「・・・・・・」
雪乃「は、話がそれてしまったわね。だからおそらくは告白についても同じでしょう」
八幡「な、なるほど」
雪乃「ええ、OKとは言わないでしょうね」
八幡「なら尚更面倒だな。うまいことくっついてくれりゃあまだいいんだが」
平塚「え?」
雪乃「?」
八幡「いや、そんな不思議そうな顔されてもだな。ほら、女子ってあれじゃねえの?こういう場合は抜け駆けしないとか協定結んでたり、暗黙のルールが有ったりすんじゃねえの?」
雪乃「ああそういうこと。ええ、確かにそういうものはありがちね」
八幡「それでひどい場合だといじめに発展したりとか、よく聞くんじゃねえか?」
雪乃「・・・。ええ、確かにそういったことはあるわね。でもあなた?なぜそんなに女子高生の生態に詳しいのかしら?」
八幡「少女漫画とかだとそういう展開多いだろうが」
雪乃「ソースは漫画というわけね。それにあなた少女漫画なんて読むの?」
八幡「い、妹がいろいろ持ってんだよ」
雪乃「それについては深く追及はしないでおいてあげるわ。それであなたは由比ヶ浜さんが抜け駆けをすることでグループでいじめを受ける可能性があると思っているわけね」」
八幡「あくまで可能性だけどな。ただこれも観察してわかったんだが、あいつらのグループ葉山の事は全員名前呼びで、端から見たら良好な関係のように見えるんだが」
雪乃「それで?」
八幡「女子のリーダー格というかグループでもナンバー2みたいな女がちょっとおっかなそうなやつだったな。普通に話してるようでも良く見てると他のメンバーに発言を促すっていうより、無理に言わせてるって感じることがあったからな。協定とかそんなものがあるならあいつが仕切ってるんじゃねえかな?」
八幡「それにそいつはクラスの他の女子からもちょっと怖がられてるっぽい。葉山グループの中にいるってわけじゃなくても葉山と同じクラスってことでの他の女子同士の牽制みたいなのはあるように思うな」
雪乃「驚いたわね。私の時も、いえ、それはいいわ。確かに想像がつくわね。それであなたは由比ヶ浜さんをどうしたいというの」
八幡「どうも何もねえよ。まだ何も起こってないんだから何もしようがないだろ。俺はただ由比ヶ浜が告白することにそういったリスクがあるってことを理解してるのかなって思ったんだよ」
雪乃「確かに、こういうことは盲目なんて言われるくらいだから。思い至ってないってこともあるかもしれないわね」
八幡「というかまず間違いなく考えてないと思うんだよな。あいつバカっぽいしな。ビッチは言い過ぎたかもだが、恋愛脳が過ぎるってのは間違いなさそうだしな」
雪乃「なるほど。確かにあまり深く考えてはいない様に感じるわね。彼女のような社交的な人ならいじめられただとか、そういう経験はなさそうだしね」
八幡「そういう事だ。それでどうするんだ雪ノ下、この依頼。下手にかかわらん方がいいんじゃねえのか?」
雪乃「もう受けてしまったわけだしやるしかないでしょう。ただ、方法は少し考えた方がよさそうね」
八幡「めんどくせえ」
平塚「お、おい。な、なあ、二人共・・・」
雪乃「そうすると・・・、ああ、なるほど。あなたがくっついたほうが簡単と行った理由が解ったわ。一つの方法では有るわね。難しいとは思うけれど」
八幡「だろ」
平塚「(?、?、どうしてこうなった?)」
雪乃「ただ、もし付き合ったとしても根本的な解決にはならないわね」
八幡「?」
雪乃「そんな不思議そうな顔をしないでもらえるかしら」
八幡「いや、だってよ」
雪乃「いい?そういう嫉妬からくるいじめなんていうものは二人が付き合う事になったとしても簡単になくなるものでは無いの。むしろエスカレートする場合すらあるわね」
八幡「マジかよ。女子怖すぎだろ」
雪乃「別に。普通はそんなものよ」
八幡「でもよ、相手が葉山クラスならまた違うんじゃねえのか?」
雪乃「どうしてそう思うのかしら?」
八幡「あれくらいの高スペックの奴なら他の女子も、一回彼女が出来たぐらいで簡単にあきらめないだろうし、まだチャンスあるんじゃないかとか、嫌な面見せたくないとか考えて多少遠慮するんじゃねー?」
雪乃「甘いわね。葉山君の目の前ではそうでしょうけれど、見えていないところでより陰湿化していくだけよ」
八幡「だからリアルすぎて怖えーよ」
八幡「でもな、こういう事ってのは完璧な解決って現実的には難しいだろ。ほどほどと言うか」
雪乃「駄目ね。一人の人間を正当な理由もなくよってたかって貶める、あれは人として最低最悪の行為よ。徹底的に滅ぼ、排除すべきなの」
八幡「まだ起こってない事なんだからな。いきなり物騒すぎるだろうが。大体言い直してもあんまり意味変わってねえぞ」
平塚「な、なあ二人とも。これは由比ヶ浜の相談の話のはずだ。いつの間にか由比ヶ浜がいじめを受ける事が前提になってないか?そうではなくて」
八幡「いえ、俺もそれは切り離して考えられない事だとは思ってますが」
平塚「え?」
雪乃「ええそうね。平塚先生、本来こういった事は未然に防がなければいけないはずです。そしてそれを考えるのは本来教師でなくてはならないと思うのですが?」
平塚「え?」
八幡「だな。微妙な問題なのは解りますけどね。でもああいうのって後になってもうちょっと早く対処しとけばっていうのがパターンでしょ」
平塚「い、いじめについては確かにそうだが、今回はそういう話では・・・、うう」」
雪乃「でも最近では教師にとっても放置するのというのはリスクが高いはずだけれども?」
八幡「まああれだ。下手に首突っ込んで何もなかったり大事にならなかった時のリスクってのもあるんだろうさ。なにしろ大人だから、けっ」
平塚「い、いや」
雪乃「嫌な考え方ではあるけレド・・・、確かにそうね。なるほど、だから私たちの方が適任と言うわけですね、先生」
平塚「え?え?いや、だから違・・・、うう」
八幡「ま、お前ほど強けりゃ周りが群がって何したところで意味ねえんだろうが、由比ヶ浜はそうは見えんしな」
雪乃「そうね。あるいは比企谷君みたいに度を越して周りに無関心なら。無関心?無神経?無・・・、いえ、むしろ無かしら?」
八幡「おい、俺、何も無いのかよ」
雪乃「ふふ」
八幡「しかたねえな。んじゃ、やりますか」
雪乃「ふふ、そうね」
平塚「(い、いや、やる気出されても・・・)」
このSSまとめへのコメント
ガハマが暗黒面に堕ちるぞ…
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