八幡「秘密」 (72)
こっちは不定期更新です。
なんかいいなと思うネタがあったので。
地の文あり、シリアス。
折本と戸塚と小町が多分メインです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1437885575
儚さは日本の美の象徴である、と言われる、桜。
が、矛盾はないだろうか。
散花は葉を呼び、茂り枯れる。
その後半年以上力を貯め、次の年、再びリベンジに来る。
そして、繰り返す。
多くの人がさも当然のように、恒例行事として刷り込まれているその事象は、美と表顕するには余りに早計なのではないだろうか。
一方竹。
花は不吉の予兆とされる。
個体差はあるが、周期は60年に一度。
誰もが思いがけないタイミングでの開花であり、しかも花弁は余りに地味である。
誰からも期待されず、それでも噂は先行する。
美という点に関して言えば、確かに桜が象徴なのだろう。
だが……。
つまりである。
桜はリア充、爆発しろ。
ーーーーーーーーーーー
見慣れた天井。
初めて親から与えられてから、この部屋にいる時間は大体合法ぼっちだ。
改めて部屋を見渡すと、なんつーか殺風景だな、この部屋……。
「おはよ、比企谷」
「……あぁ、折本か。小町は……」
見慣れたワカメがそこにいた。
直接ワカメと言うと、俺自身が絶対運命黙示録になるから、心の中限定でのニックネームだ。
「学校行ったよ」
「そうか」
「……」
沈黙を破ったのはやはり、折本だった。
「今日は学校来るの?比企谷、入院してたから結構出席ヤバいんじゃないの?」
「……調子もいいしな。行ける時に行って損はないだろうな。卒業はしておきたい」
「そっか。じゃ、下で待ってるから」
「へいへい」
キッチンに行くと卓上の盛り上がりが目に付く、親が置いていった朝食だろう。
一応無理して食べなくてもいい、とは言われているが余程でない限り完食する。
どれどれ……トースト、卵、レタスにワカメスープ、トマトはない、よし。
「まだ、誰にも話してないの。その、あれを」
「ああ。誰にも言うつもりはない。お前が知っちまったのは偶然というか……タイミングが悪かっただけだろ」
「ま、そうだけどさ」
折本はそれ以上踏み込んではこない。
俺も然り、ここがお互いの線引きなのだ。
「じゃ、行きますか」
ーーーーーーーーーーー
「でもあれだよねー。比企谷と一瞬に登校って、ウケる」
「本当にな、友達多いんだから、そのまま海浜行けばよかったんじゃねーの」
「別になんとなく。比企谷ほっておくのもなんか後味悪いじゃん」
「へいへい、ありがたいことですよ」
返事が少し不満だったのだろう。
折本にしては珍しく頬を膨らませている。
俺としては、そんな同情で同じ進路を選択されるのは複雑なのだが。
でも、適度なぶーたんが可愛いから許す。
「……そいえばさ」
「比企谷、大学はどこにすんの?それまでには治ってるんだよね」
「……そうだなぁ。私立文系としか決めてない」
そりゃあ三年にもなって同じクラス(私立文系)だもんなぁ、当たり前だよなぁ。
「まだ決めてないんだ、ウケる。いい加減、やばいんじゃない?」
そうなんだよなぁ……担任からもそれは言われていることなんだよなぁ。
「また今度決めるわ」
「テキトーすぎ」
⑦
ーーーーーーーーーーー
「かおりー、おはよ!」
「おいっすー」
教室に入って早々、女子から熱く歓迎される、折本が。
以前立場を自分に置き換えて、妄想を膨らませてみた。
が、虚しさと切なさ乱れ打ちなので、二度としない。
「おはよう、八幡!」
そう、折本になるとこれがないのだ。
結局、いくらクラスの女子(ハリボテ)で妄想しようが、俺の嫁(本物?)には勝てないということである。
この戸塚の、なんと可愛いことよ。
「おう、結婚しよう。戸塚」
「え?も、もう。からかわないでよ。僕は男の子だよ」
取っちまえよ、そんな物。
俺と戸塚のあいだには邪魔なだけなんだしさ。
と、本題。
「週末、頼めるか。一応夕方には戻る予定でいる」
「あ……うん。空けとく」
「悪いな。親も出てるみたいで、小町も……アレだしな」
小町には俺の現状を教えてはいない。
教えてどうにかなるのならそうしているが、結果として今の方が楽だと思う。
正確な事は折本も知らない。
両親と戸塚、俺だけの秘密だ。
もうじき時計の短針が12を指す。
チャイムは少しずれて、5秒後。
わずかのロスタイム、である。
来週位に更新できたらします。
光陰矢の如し、なんて。
何てことはない、週末になっただけだ。
折本には戸塚と帰ると断りを入れて、教室を出る。
道中、戸塚がぽつりと一言。
「やっぱり、小町さんには話した方がいいと思う。その、妹だし。このままだとばれた時が大変だよ」
全くもってその通りだ。
なんだが……
「小町、受験がおわったばっかだろ?落ち着いたら、な。親とも話を付けてるから、時期を見て話す事にしてる」
「前は小町さんの受験が終わるまではって言ってた気がするけど……ううん、やっぱり悩むよね、こういうの」
そうなんだよなぁ、どうもこの手の話は伝えづらくてなぁ……
それに、小町の目的を潰すことにもなりかねないし、全くお兄ちゃんも楽じゃないわ、ほんと。
「悪いな」
「折本さんに言わないのはなんでなの?」
「あいつはほら、態度に出やすいというかなんというか、思った事をぽろっといくだろ?よく家にきてるから、経由して小町に話がいくとなると、な」
「あー、あはは……」
曖昧に笑って濁す戸塚、可愛いと思います。
戸塚には悪いが、まだ喋るわけにはいかない。
5年続けてきた事だからな。
せめて一人暮らしを始めたら……その時考える。
今は、それでいいと思う。
・
「ダイエット中なもんで、こう見えても食事と体調管理には気をつけてるんですよ」
「それだけ皮肉が言えりゃ大丈夫そうだな」
先生はまぁ、一言で言えば優しい、ハゲだけど。
干支があと三週程すれば、俺もこんな見た目になるんだろうか。
やめよ……考えただけで怖気が走る。
「今日は薬だけ処方しておくから、何かあったらすぐに来なさい」
「はい、どもです」
ーーーーーーーーーーー
総武線から数回の乗り継ぎを経て、少し歩くと目的地へと着く。
戸塚と時間を決めて、落ち合う約束をして中に入る。
受け付けはすぐ左手側にある。
「ども、比企谷です。今日来る予定だったんですが……」
軽い挨拶を済ませて奥の部屋へと入る。
中には小太りのおっさんがいた。
「こんにちは、少し痩せたかね」
付き合わせた戸塚には悪いが処方せんで終わるならありがたい。
健康第一って事ですわ。
診察が予定より早く終わった事もあり、まるまる時間が空いた。
両親が帰宅を待つにしても少し時間があるので、その辺ぶらぶらするかね、戸塚と。
「あ、八幡。早かったね」
戸塚の声は気持ち高い、そりゃそうだよなぁ。
俺を引きずって帰るなんて、戸塚からしたらバツゲームみたいなもんだし。
「今日は処方せんもらっただけだった。悪かったな、ぴんぴんしてて。今日は筋トレは無しみたいだぞ」
「茶化さないでよ。僕、これでも喜んでるんだから」
それからは無言で並木道を歩いた。
戸塚が時折、何かを言いたげに俺の方を向いていたが、あえて受け流す。
次第に歩く速度に差が出てきた。
俺は早く、戸塚はゆっくりと。
道の半ばまで差掛かると、備え付けてあるベンチが見える。
お互いが腰掛けたタイミングで、呟く。
「来年」
「え?」
「来年には小町と折本も連れて花見に来たいと思う。……その時は、お互い別々の大学だとは思うが」
約束とは若干違うニュアンスが含まれるが、これが俺の、精一杯。
「うん!その時は何時でも飛んでいくよ」
戸塚は少し、寂しそうに微笑む。
・
「まぁ、なんだ。少し時間がある、公園でも寄ってくか」
ーーーーーーーーーーー
旬こそ過ぎたが、桜はまだ花の体を保っていた。
5年前から毎年通っているが、その都度翌年の事を考えてきた。
「綺麗だね」
お前の方が綺麗だぜ!なんて、茶化した方がウケはいいんだろう、が。
生憎、八幡は硬派である。
逆にクールな一言で悩殺かます事くらいは余裕なんだ。
「戸塚程じゃあないがな!」
「えっ?……もう、またそうやってからかう!」
それから暫く、無言で並木道を歩いた。
戸塚が時折、何かを言いたげに俺の方を向いていたが、あえて受け流す。
次第に歩く速度に差が出てきた。
俺は早く、戸塚はゆっくりと。
道の半ばまで差掛かると、備え付けてあるベンチが見える。
お互いが腰掛けたタイミングで、呟く。
「来年」
「え?」
「来年には小町と折本も連れて花見に来たいと思う。……その時は、お互い別々の大学だとは思うが」
約束とは若干違うニュアンスが含まれるが、これが俺の、精一杯。
「うん!その時は何時でも飛んでいくよ」
戸塚は少し、寂しそうに微笑む。
ここまでです
>>20で酉がぬけてますが、私です
ごめんなさい
>>19
修正します。
ーーーーーーーーーーー
総武線から数回の乗り継ぎを経て、少し歩くと目的地へと着く。
戸塚と時間を決めて、落ち合う約束をして中に入る。
受け付けはすぐ左手側にある。
「ども、比企谷です。今日来る予定だったんですが……」
軽い挨拶を済ませて奥の部屋へと入る。
中には小太りのおっさんがいた。
「こんにちは、少し痩せたかね」
「ダイエット中なもんで、こう見えても食事と体調管理には気をつけてるんですよ」
「それだけ皮肉が言えりゃ大丈夫そうだな」
先生はまぁ、一言で言えば優しい、ハゲだけど。
干支があと三週程すれば、俺もこんな見た目になるんだろうか。
やめよ……考えただけで怖気が走る。
「今日は薬だけ処方しておくから、何かあったらすぐに来なさい」
「はい、どもです」
付き合わせた戸塚には悪いが処方せんで終わるならありがたい。
健康第一って事ですわ。
「邪魔、うざい、消えて?」
帰宅後開口一番、小町に言われたセリフだ。
結構心に来るが、卒業まで待ってくれ。
その時にはもうお引越ししてますんでね。
「あー、すまん……どこか行くのか」
「関係ないじゃん。……ちょっとプリン買いに行くだけ」
晩飯前にプリンかよ……
ま、いいけど。
「冷蔵庫に買い置きなかったか?俺の分食っても別に……」
「気持ち悪いからいらない」
「……」
思春期少女真っ盛りの小町を見送ってリビングに入る。
中には親父とお袋がいた。
「あら、お帰り。今日は元気なのね」
「まぁな、だから肉とか全然平気。出来れば国産な」
最も薬飲むまで、だが。
恐らく、そんなもん食ったら迸るパトスを抑えきれず吐くオチが見える。
毎回思うが、出るとこ間違ってんだよ、そこ入るとこ。
……なんか卑猥だ。
親父が何か言いたそうにこっちを見ている。
断る一択の選択肢、だが俺は仏の八幡である。
具体的にはいくら拝んでも救われない、まるで置物、室内にこもりがち、そっくりでしょう?
神は駄目だ、俺は神を信じない、神に誓って信じない。
「どうした親父」
「八幡……お前が……!」
「お前が小町に嫌われているお陰で、小町はお父さんらぶまっしぐらだ。常日頃からの感謝を込めてありがとうの言葉を送る!」
以上、比企谷家の俺の扱い。
こいつは少し、静かにしてくれていい、黙れ。
「お父さんったら、すっかり小町のパトロンだものね。それだけに可哀想。昨日だってお風呂入った後で栓を抜かれて入れなおされてたし」
「えっ?」
同じ穴のなんとやらか、要は金持ってるかもってないかの差でしかないんだよなぁ。
比企谷家の男は平等、等しく底辺である。
小町ちょろ出し更新です。
もいっこの方は仕事後の深夜になると思います。
帰ってきた小町を交えて、食事が始まる。
半分程食べて箸を置き、薬を飲もうとすると、お袋と目があった。
「もういいの?」
半ば氷の溶けたグラスを、小さく音を出して置き、意識した返事を返す。
「……ああ、少し抑えとくわ。腹減ったら、適当に降りて食べる」
「……八幡、もし腹減ったら降りてこい。ラーメンでも行くか」
今度は親父か。
「その時はな、だが小町と行った方が良いんじゃないか。俺は多分降りてこん」
ーーーーーーーーーーー
部屋に戻り、携帯の電源をきる。
ベッドにうつ伏せになり、毛布を顔まで被って目を瞑る。
ーーやがて強烈な睡魔が襲って来る。
眠気が先に来る分今日はマシな方で、先に嘔吐感を覚えた日は、そのままオールする事も多い。
寝ゲロだけは気をつけないとなぁ……どうにもならんが。
ーー薄れる意識の中、ふと。
中2の頃。
以前から身体に覚えていた違和感が、痛みを帯び始めた。
親は、それを成長痛だと言った。
なるほどそうなのか、だが痛いもんは痛い。
言葉と気合でどうにかなるなら、先週振られたショックからですら俺は立ち直っている筈だろ?
痛み止め位は貰えないもんかと、近所の病院へ行った。
確かーー
ーーーーーーーーーーー
んぁ、朝か。
ギャルゲーの主人公ばりの回想タイムだったなぁ……少しセンチメンタル、もう恋なんてしない、絶対。
身体は……相変わらず怠いが、このくらいは仕方ない、ハンデだ。
まずは動ける事に感謝だよなぁ……
よし、とりあえず飯。
食ったら散歩。
ーーーーーーーーーーー
リビングは無人だった。
世間は土日。
学校、公務員は基本的に休みではある。
比企谷ファミリーの親共に関して言えば、今日も朝一、社畜乙。
金のかかる男が身内にいると、マジで大変だなぁ……
ふと、テーブルの上に簡単な朝食が置いてあるのに気づいた。
親が作ったにしては野菜が萎れてないな。
時間的には、俺とほぼ入れ違いでここを出た、誰かが作っていったのだろう。
「いただきます……誰もいないし、俺のだよな?」
なんとなくレンジには入れない。
暖かいとはいえないが、冷めきっているわけでもない。
なんだかんだで、世話を焼いてくれる誰かさんには感謝しないとなぁ……
更新です。
文才ほしい
髪の話はあまり気にしないで読んでくださいな。
禿幡でも、八本でも、あるいはフッサフサでも読者さんの読んで納得行く方でおなしゃすー
ーーーーーーーーーーー
「おはよ……って、顔ひどすぎ、ウケる」
登校して、机に腰掛けた矢先にこれだ、酷いこと言う奴だなぁ……
「顔が酷いのは今に始まったことじゃないから問題ない。小町にも嫌われてるし」
「普段はまだマシだと思うけど……顔も、小町ちゃんの事も」
慰めてくれるのは嬉しくない事もないが、そんな事しかないと思うぞ。
現に、昨日も罵詈雑言の雨あられだったしな。
やっぱり八幡的には飴がいいです。
「今日さ、放課後付き合ってくんない?海浜の人達に遊びに誘われたんだけど、断る理由が欲しくてさー」
お前が海浜の奴らと遊ぶのを断るのと、俺が無駄な労力を割かれる事の等号が意味わからん。
やっぱ女ってくそだよね。
「最初は比企谷だと断られそうだから、戸塚君にも頼もうかと思ったんだよねー。だったら彼も誘われたみたいで……」
「よし、お前帰れ。俺が代わりに参加すればいいだろ、なんなら今すぐ現地入りするまである」
成る程、流石は奥ゆかしさに定評のある日本女性である。
最初の前振りは前座、後半の俺と戸塚のコンパが本命って事か。
いや、信じてましたよかおりん!
「私邪魔なんだ、ウケる。戸塚君も断りたいらしくて、話し合いの結果、比企谷を隠れ蓑にしようかなっーて結論」
「そういう事か……そういうのは先に言ってくれ。血圧が上がるところだった」
一瞬尊敬したじゃないか。
八幡的に結構稼いでいたポイントは半減しました。
「で、さ。良かったら小町ちゃんも誘おうかなーって……」
……小町、か。
「俺は構わんが、もし小町が嫌がったら、ちゃんと先輩らしく引き下がるんだぞ」
結局、海浜の野郎共が比企谷兄妹に置き換えられただけのような気もするが、聞くと怖そうだ。
少し更新です。
ずっとシリアスなのも波がないかなと思ったので、ちょくちょく軽く行こうと思います
「それじゃ放課後一年生の教室でね」
予想に反して、小町は来るらしい。
折本的には当然らしいが、さっぱりわからん。
「八幡、その……大丈夫?」
心配そうな戸塚の可愛い顔を見る度に、辛くなる。
もっと困らせてやりたい的な意味だが。
「ま、多分は……最悪途中で抜けるかもだが」
体調は薬を飲んだ後ということもあり、正直芳しくはない。
だが……
ーーーーーーーーーーー
「あ、かおり先輩、戸塚先輩!迎えに来てくれたなんて小町、感激です……って」
「……なんでこの人が?」
小町の余りに露骨な変化に、2人は若干引いている。
だが、こんな兄妹関係なんざ今更だろ……
俺を誘わない、或いは小町に俺が来る旨を伝える事で、回避できたはずなんだが……
「えっとね、二人共。まずは黙っててごめんね」
「俺は構わないが……」
「別に……小町もいいですけど。……こんなのどうでも」
戸塚と折本は、悪い奴じゃない。
だから一概に責めることはできない。
だが、今の関係は、必ずしも俺が望んでないものではないとしたら……
きっかけを与えない事は、俺なりの良心の表現だったとしたら……
ピロティまで差掛かった所で、チャイムがなる。
人影は既にまばらで、彼らも若干足早である。
ただ影だけが、校門に向いている。
切り取られた空間から俺達を急かすように、自己を主張していた。
こっちも牛歩更新ですみません。
もちっと書いてるんですが、キリのいいところで
ーーーーーーーーーーー
とりあえず何処か落ち着いて話ができる場所ということで移動する。
隣にいた折本は、あれが食べたい、
何処へ行きたいだの、しきりに会話のネタを投げてきた。
恐らく、折本なりの気遣いなのだろう。
尤もボールは虚しく空を切っていたが。
前を歩いてる戸塚と小町の声が、耳へと飛び込んで来た。
「……ずっとこのままでいいの?」
「いきなりですね……主語が抜けててよくわかんないです」
恐らく、俺絡みだろう。
戸塚の心遣い自体は悪い気はしない。
だが、当事者同士がそれで良いと納得し、そこに線引きしていた場合はどうなのだろうか。
ーーーーーーーーーーー
入院して間もなく、仕事の合間、或いは上がりに一度は病室に寄ることが、両親の日課になっていた。
当時の俺は、病状を知らされておらず、徒然と、外を見て物思いに耽っていた。
まず、自分の病状の事。
フラれた後も決して話し掛けて来ることをやめなかった折本の事。
……以来、日常の大半を一人で過ごすことになった小町の事。
骨折や麻痺になった訳ではないので、直に退院できるだろう。
小町には寂しい思いをさせている、柄にもなく頭を下げるのも有りだと、当時は考えていた。
少しだけ。
ゆっくり、少しづつ
このSSまとめへのコメント
話が見えぬ