[授業中]
教師「こんな感じで日本というか先進国が高翌齢化してきてるんですよ」
教師「それで日本は遠くないうちに、ひとりのおじいちゃんおばあちゃんを、だいたいふたりで支えなくちゃいけないくなるんだよね。それに生涯未婚率も年々上がってて……」
川崎(はぁー。結婚しないで大志たちを大学まで入れきれるかなぁ)
川崎(今の社会じゃ、大学出てても正社員になれないこともあるし、やっぱり結婚して共働きしないとやってけないのかもしれない)
川崎(でも男子どころか女子ともろくに話したこともないあたしじゃ結婚なんてとても……)
川崎「うーん…………」
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[下校・校舎裏]
川崎(これまで誰とも付き合ったことないってかなりやばい気がする……)
川崎(ちょっとだけ練習しよう!)
喉「ん゛っん゛ん!」
川崎(ここならあんま人通らないし大丈夫だよね……(キョロキョロ))
川崎(まずは目を閉じて……相手をイメージする……)
川崎(…………なんであいつ(八幡)のイメージが……(ムスッ///))
川崎(まぁ練習相手にはちょうどいいか。どうせただのイメトレだし)
川崎「ねぇ、ちょっと(ボソッ)」
八幡「……? えーっと、か、かわ…………川崎か(汗)。どうした?」
川崎(ただの妄想なのにやけに声が鮮明な気がする…………なんでだろ……ううっ……)
川崎(……あまり深く考えないでおこう)
川崎「あんたってさ、彼女とかいんの?(ボソッ)」
八幡「はあ? なんでそんな」
川崎「(威圧)」
八幡「い、いません……(汗)」
川崎「……じゃあ好きな人とかは?(ボソッ)」
八幡「そりゃ………………、べつに居ない、けど………………」
川崎「…………なら、さ、その…………あ、あたしと付き合ってくんない?///(ボソッ)」
八幡「!?!?!!!???」
川崎「…………あ、返事は今じゃなくてもいいから」
八幡「………………な、なあ、それって何かの罰ゲームで言わされてんのか?」
川崎「は? んなわけないじゃん(イライラ)」
川崎(こいつイメージでも卑屈……)
八幡「ほんとか? (超思考)……まあお前が中学生がするような悪質な外道行為をするとは思えないけどさ……」
川崎(どこまでも卑屈だなぁ……。ていうかこの反応ってNOってこと?)
川崎「それ、断ってんの?(威圧)」
八幡「いっ、いや、そういうわけじゃねえんだけど……」
八幡「そうだな、じゃ、じゃあよろしく……」
川崎「……よろしく」
川崎(ふぅ……こんな感じかぁ)
川崎(まあこれじゃほとんど妄想だし、あたしに都合よく話が進んじゃってるんだろうけど)
八幡「……なあ川崎、気になってたんだが……」
川崎「なに?」
八幡「なんで目つぶってんの?」
川崎(なんでってあんたをイメージするために決まっ(ぱちっ))
川崎「んん!!??!?!?」
八幡「な、なんだよそんな顔して……」
川崎「えっ、あんた、……ん? え???」
八幡「?? マジでどうしたんだよ。俺がOK出すと思ってなっ、ちょ、なっ、なんだっ(ペタペタ)」
川崎「ほ、本物!?(ペタペタ)」
八幡「な、なんだよお前……」
八幡「(超思考)………………さっきの告白って結局嘘なの?」
川崎(え、ええええ?? どどどど、どうしよう……)
川崎(つまり私が脳内のこいつと話してるつもりが、たまたま現実にこいつが居て、うまく話が進んじゃったってことでしょ?)
川崎(どうすれば……)
川崎(でもこれはチャンス。OKを出してくれたわけだからもうこのまま勢いでいくべきなのかもしれない)
川崎「…………いや、嘘じゃない。ほんと。ただ、OK出してもらえるとは思わなかったからちょっと驚いて……」
八幡「そっ、そうか……よかった」
八幡「んじゃ…………改めて、よろしく(ペコッ)」
川崎「……う、うん///(ペコッ)」
[比企谷家・ソファ]
ニュースキャスター『あの大進行からはや10年が経とうとしております。私たちはあの惨劇から……』
八幡(ヤバい……。なにがヤバいって脳味噌が事態を処理しきれなくてあらゆる物事を「ヤバい」の一言でしか抽出できないところがヤバい)
八幡「あ゛あ゛あぁぁ…………(バタバタ)」
小町「ただいまー………………なに? どしたの?」
八幡「とにかくヤバい……」
小町「へぇー……(暗黒微笑)」
八幡「はぁぁぁあ…………(バタバタ)」
小町「ねえねえ、なにあったの? 自慢の妹である小町ちゃんに教えてくれてもいいんじゃない?」
八幡「…………(ピタッ……)。うーん…………」
小町「ねえねえねえねえ(ちょんちょん)」
八幡「我が愛しの妹でもダメだ。てか、どうせそのうちお前んとこに情報いくと思うぞ」
八幡(川崎→大志→小町って感じでな)
小町「えー! お兄ちゃんのくせにもったいぶるのー?」
八幡「なんだお兄ちゃんのくせにとは!」
携帯「ピピッ!」
八幡「ん……(チラッ)」
小町「…………(ジッ)」
八幡「すまん。ちょっと出る」
小町「…………」
小町「うん。いってらっしゃい」
八幡「おう…………」
八幡(これは……いつか終わりがくるんだろうか……)
[川崎家・リビング]
衣服「ぱた……ぱた……」
川崎「はあ………………」
ニュースキャスター『これまでにも世界各地で小規模な進行がありましたが、それが日本で起こったことはいまだなく国民の危機管理の……』
川崎(うわあああああ………………)
川崎(告白してしまった…………)
川崎(明日もまた学校なのに……)
川崎(……あっ。明日はあたしバイト休みだったか……)
川崎(京華たちを大志にお願いして、もしあいつの部活ないなら………………)
川崎「ん゛~~…………(シュー)」
大志「姉ちゃん」
川崎「あぁ………………、ん? どうしたの大志」
大志「いや、洗濯たたみながらでいいよ」
大志「今日なんか嬉しいことでもあった?」
川崎「はっはあ? なんでそんな……」
大志「うちに帰ってからずっとうめき声っていうかため息ついてるから……」
川崎「………………………………じ、実は」
undefined
[学校・朝のSHR前]
八幡(うっわ。教室入りづれえ)
八幡(しかし行くしかない……)
八幡「(ガラガラ)。(スタスタ)……」
川崎「(チラッ……)」
八幡(や、やべ。目が合った……)
(超思考)
八幡(挨拶すべきか? 本来はすべきなんだろう。しかし俺がその「本来」のことをしてしまうと、無駄に周囲が反応してしまう)
八幡(リア充「なんであの底辺が一端の人間みたく朝の挨拶してんの?」ってなふうにな)
八幡(由比ヶ浜ならまあ普段話しかけてくれるから、ちょっとした挨拶くらいどうともない)
八幡(だが川……川端? え、えーっと……か、か……川崎は孤高の存在だ。カーストに組み込むかどうかは微妙ではあるが、俺よりもクラス内での立場は上になるだろう)
八幡(俺と川……川崎は滅多に会話をしない。そんな奴らがある朝突然挨拶しあってたら、周囲は疑問に思うはずだ)
八幡(その周囲が戸部みたいなのばかりならなんら問題はないがこの場には由比ヶ浜がいる)
八幡(いつもの葉山グループが固まって会話をしていて、由比ヶ浜の声がその辺りから聞こえてくるが、いま川崎と目が合った状況であちらを伺うのは、要らぬ誤解を招く要因となる)
八幡(由比ヶ浜はアホだが察しのいい子だ。俺と川崎がいつもより親しげにしていればすぐにそれを察知するだろうし、最悪俺らの関係が暴かれる)
八幡(あいつならすぐに雪ノ下のところへ情報が飛び、部室で2対1の尋問を受ける羽目にあうのは明白)
八幡(しかしながら川崎のことを考えると、付き合い始めて1日も経たないうちに、「目が合ったのに挨拶もしない」なんて冷めた態度を取ると問題がある)
八幡(…………そうか。人は言葉などなくても意思の疎通をすることが可能だ。ジェスチャー、手振り、パントマイムという手がある)
八幡(目配せというのもあるにはあるけれど……それは悪手か。ただのチラ見は印象がいいとは思えない)
八幡(声であれば確実に由比ヶ浜に感知されてしまうだろうが、身振り手振りならば……)
八幡(いや待てよ。普通に軽い会釈というか、頭をコクッと少しだけ下げるだけで良くね?)
八幡(無駄な思考時間だった……)
八幡(人は動きの大きいもの、動作が素早いものに反応し、目で追ってしまう)
八幡(だから、由比ヶ浜が俺のことを視界に捉えているか否か不明だが、もし見られていたとしても気づかれないように、最小限の動きで、早くない動作を心がけなければ)
八幡「(コクッ……)///」
川崎「ッ……(コクッ……)///」
八幡(やっべーめちゃくちゃ顔が熱い。川崎も顔が若干赤くなってるし俺も同じように赤面してしまっているのかもしれない……)
八幡(これ見られたらぜってーバレる)
八幡(もし、リア充どもが同じことをしていたら俺でも確実に察してるもん……)
八幡(でもまあ由比ヶ浜にさえ見られてなければどうにでも……(チラッ)」
由比ヶ浜「(ジッ……)」
八幡(めっちゃ見てるぅぅううう!?!!?(スッ……))
八幡「(すわっ……)」
椅子「ガタッ」
八幡(ヤバい。完全に見られてた……。とっさに視線を切ったがこれは……(チラッ))
由比ヶ浜「(ジッ……)」
八幡(う、うわああああああ…………)
八幡(なんでまだ見てんだよあいつ……)
八幡(ば、バレてるのか!? マジでこれだけのアクションですべてを見通したのか?)
八幡「(チラッ)」
由比ヶ浜「(ジッ……)」
八幡(……よかった。今度は俺を見てないな……。でもどこ見てるんだ?(スーッ)」
川崎「…………///」
八幡(かっ、川崎!!?? しかもなんであいつまだ赤面してんだよ……)
八幡(昨日俺に告った時ずっと目瞑ってボソボソ喋ってたし、あいつはこういう感じのが極度に苦手ってことなんだろうか……)
由比ヶ浜「(チラッ)(ジーッ)」
八幡「!!!!(スッ)」
八幡(ま、またこっち見てきやがった! しかもあいつがあまりしない無表情……)
八幡(これって…………マジでバレちまったのか……?)
[学校・帰りのSHR]
由比ヶ浜「ねぇヒッキー、今日部活行く?」
八幡「今日は………………ちょっと用事があるから……」
由比ヶ浜「……わかった。アレ?」
八幡(人は鏡だ。大抵の場合こちらが清く出れば清く返す。そして相手へのわずかな不信から含みが漏れれば、相手は不信を返す)
八幡(なるべく素直に話す。でも情報は最小限)
八幡「……それとは別件。じゃな」
由比ヶ浜「うん。またね」
[校舎裏]
八幡「よう」
川崎「(コクッ)」
八幡「あー…………今日時間ある?」
川崎「うん」
八幡「どっか行く?」
川崎「う、うん」
八幡「じゃ、じゃあ行こうか」
[移動中]
八幡「…………なぁ川崎」
八幡「これだけは言わせて欲しいんだが、俺、これまでの人生で彼女できたことが一度もなくてどうすりゃいいのかいまいちわからん」
川崎(か、かか、か、彼女……彼女……)
川崎(あたし……こいつと付き合ってるんだよね…………)
川崎「…………あ、あたしも……」
八幡「? それって……これまで誰かと付き合ったことないってこと? お前が?」
川崎「それどういう意味?(威圧)」
八幡「あっ、いや……(ガクブル)」
八幡「だって……お前……けっこう美人だしモテそうだから……」
川崎(……び、美人? あたしが?///)
川崎(こいつなりのお世辞言ってくれてるんだろうなぁ……)
川崎「別に……そういうのいいから」
川崎「それで……、あたしは誰かと付き合ったことは……ない……けど……」
川崎「…………告られたこともないし」
八幡「マジか」
川崎「…………」
八幡「…………」
川崎(間が持たない……。今までそんなに人と関わりを持たなかったから会話の繋ぎ方がわからない……)
川崎(こいつもあんまり会話とか得意そうじゃないのに自分から話振ってくれたし、次はあたしから話さなきゃ……)
川崎「そ、そう言えばさ、あんた部活は大丈夫なの?」
八幡「ん? あー、依頼があるまではほとんど菓子食ってお茶飲んでってくらいだし」
川崎「ああそっか。受動的な部活だからね」
川崎「……ゆ、結衣のこと気にしてたけどさ、付き合ってるの知られるのは……まずい?」
八幡「まずくはねぇな……たぶん……」
八幡「(超思考)……いや、まずいな。かなりまずい」
川崎「…………なんで?」
八幡「まず由比ヶ浜は変に気を遣ってくるだろうからやりづらい」
川崎「あー……。それはあるかも」
八幡「それに海老名さん。あの人に知られると俺もお前もしんどいことになる」
川崎「……うん。想像できる……」
八幡「他の奴らは別に俺らに絡んでこないから問題ないが、もっともヤバいのは戸部だ」
八幡「あいつは何でもかんでもでかい声で喋っちゃうから俺たちのクラス内での居心地が最悪だ」
八幡「それに俺らが付き合ってることに関して変に絡んできそう」
川崎「それは…………うん。避けたいかも」
八幡「でもそのうちバレるだろうな」
川崎「……そっか。どこでクラスメイトと鉢合わせするかわからないのか」
川崎「わざわざ避けて会うのもアレだし……」
川崎「うぅ……姫名の絡み避けられないじゃん……」
八幡「……あんまやりたくはねぇけど、葉山にひとこと言えば収められる……。というか、あいつが勝手に察してどうにかしてくれそうだな」
川崎「なにその信頼」
八幡「そんな奴だろ?」
川崎「まあ……そう、かな?」
川崎(映画館……)
八幡「映画館あるけど、無難に映画観るか?
川崎「んー。そうだね」
[劇場前]
八幡「(ジーッ)」
川崎(あいつ、なぜかプ◯キュアの劇場版の広告を凝視してる……)
川崎「観たいの?」
八幡「え、ん? な、なにが?(汗)」
川崎「…………(ジッ)」
八幡「……ほ、ほかにおもしろそうなもんは……」
川崎「…………別に妹たちも観てるしこれでいいよ?」
八幡「え、マジ?」
八幡「……いや、でもデートで見るもんじゃないわ」
八幡「ありがとな」
川崎「そ……」
川崎「じゃあ……」
[フードコート]
八幡「(パクモグ)……」
川崎「(パクモグ)……」
川崎(黙って食事しちゃってる)
川崎(なにか話さないと)
川崎「…………映画、よかった……」
八幡「(モグモグ)……ああ。予想してた展開と全然違くてけっこう驚いたわ」
川崎「あーわかる。途中から一気に流れが変わってったよね……」
八幡「そうそう。やっぱ主人公の──」
川崎(ふ、普通に話せてる……)
川崎(こいつ、意外と話せるんだ)
川崎(ちょっと違うか。もともとこいつは話せるんだけど、話す機会があんまなかったんだ)
川崎(こいつ……いつも本読んでるからか、物語のいろいろなところに気づいてて、話聞くのおもしろい……)
川崎(楽しい……)
[川崎家前]
川崎「わざわざありがと……」
八幡「いいよ。さすがに……夜道を女子ひとり歩かせるわけにはいかないだろ」
川崎「そ……だね」
川崎「…………今日はほんとに楽しかった」
川崎「あ、ありがと///」
八幡「あ、ああ。お、俺も楽しかったぞ……///」
川崎「……うん。よかった……」
八幡「……」
川崎「……」
八幡(てか空気やべーよ俺が何か言わないとだな)
八幡(こ、こういう時はまたデ、デートしよう的なことを言うんだろうか……)
八幡(今日は実際テンプレなデートだったけど楽しかったわ……)
八幡(リア充どもがデートしてんのほんっと目障りでしかなかったけど、やってみたらやってみたでめっちゃ楽しいし……)
八幡(本心でこいつとまた遊びたいと思う)
八幡「なぁ、また都合が合えば……遊びに行こう」
川崎「…………うん」
八幡「…………メアド、交換しねぇか?」
川崎「……あ、うん。(トコトコ)」
川崎「携帯……貸して」
八幡「あ、ああ。……はい(スッ)」
川崎「……」
携帯「ポチポチ、ポチ。ポチポチ」
川崎「はい」
八幡「サンキュー」
八幡(登録名は沙希か)
八幡(いつかは下の名前で呼ばなきゃだよなぁ……)
八幡(ハードルたっけぇ…………)
川崎「…………それじゃ、明日」
八幡「ああ。明日」
川崎「気をつけて……」
八幡「おう。じゃあな」
[比企谷家]
八幡「……ただいまー」
小町「おかえりー。初めてのデートはどうだった?」
八幡「いや情報伝わるの早すぎじゃない?」
八幡(あいつのシスコンぶりを忘れていた……)
小町「まさかお兄ちゃんが人と同じように誰かと付き合えるとは……小町感激すぎて涙が……」
八幡「言い過ぎだろ酷ぇよ(スタスタ)」
ソファ「ギシッ」
小町「でもお兄ちゃんが大志のお姉ちゃんと付き合えるとはねー?」
小町「はぁ……あんな美人なお姉ちゃん憧れるぅ」
八幡「なにお姉ちゃんって。話が飛躍し過ぎじゃない?」
小町「ねぇお兄ちゃん。ちょっと真面目な話になるんだけど」
八幡「なんだよ」
小町「お兄ちゃんが今後沙希さん以外の人と付き合えると思う?」
八幡ハート「グサッッッッ!」
八幡「うっ………………それは……………………」
小町「これがラストチャンスになる可能性はすっごーーーーーーーーーーーっく、高いんじゃない?」
八幡「まぁ……だろうな……」
小町「このチャンスを逃したらお兄ちゃんは生涯未婚の社畜まっしぐらだよ」
八幡「なっ、なんだと! それはダメだ。それだけは避けたい……」
八幡「俺は……ヒモになりたい……」
小町「それはちょっと……」
小町「沙希さんは家事だいたいできるらしいし、ちょー美人さんだしお嫁にするなら文句ないよ」
小町「小町が沙希さんとの結婚を許可してしんぜよう……」
八幡「許可いただいても相手がその気じゃなかったらどうしようもねぇよ」
小町「でも沙希さんから告白したんでしょ?」
八幡(こいつどこまで知ってんだ……)
八幡「……だとしても結婚は話が違う」
八幡「今の時代、結婚したがらない奴も少なくないらしいしな」
小町「な、なにそれ! なんでなの?」
八幡「俺が知るかよ」
小町「お兄ちゃんが今後沙希さん以外の人と付き合えると思う?」
八幡ハート「グサッッッッ!」
八幡「うっ………………それは……………………」
小町「これがラストチャンスになる可能性はすっごーーーーーーーーーーーっく、高いんじゃない?」
八幡「まぁ……だろうな……」
小町「このチャンスを逃したらお兄ちゃんは生涯未婚の社畜まっしぐらだよ」
八幡「なっ、なんだと! それはダメだ。それだけは避けたい……」
八幡「俺は……ヒモになりたい……」
小町「それはちょっと……」
小町「沙希さんは家事だいたいできるらしいし、ちょー美人さんだしお嫁にするなら文句ないよ」
小町「小町が沙希さんとの結婚を許可してしんぜよう……」
八幡「許可いただいても相手がその気じゃなかったらどうしようもねぇよ」
小町「でも沙希さんから告白したんでしょ?」
八幡(こいつどこまで知ってんだ……)
八幡「……だとしても結婚は話が違う」
八幡「今の時代、結婚したがらない奴も少なくないらしいしな」
小町「な、なにそれ! なんでなの?」
八幡「俺が知るかよ」
小町「お兄ちゃんが今後沙希さん以外の人と付き合えると思う?」
八幡ハート「グサッッッッ!」
八幡「うっ………………それは……………………」
小町「これがラストチャンスになる可能性はすっごーーーーーーーーーーーっく、高いんじゃない?」
八幡「まぁ……だろうな……」
小町「このチャンスを逃したらお兄ちゃんは生涯未婚の社畜まっしぐらだよ」
八幡「なっ、なんだと! それはダメだ。それだけは避けたい……」
八幡「俺は……ヒモになりたい……」
小町「それはちょっと……」
投稿できてるのかできてないのかわからぬ……
>>8
ここ抜けてる
>>30
文字数多すぎて投稿できなかったから分割して投稿し直したよ
(前文:八幡「俺が知るかよ」)
小町「うーん……。とりあえずその辺はこっちで探ってみるよ」
小町「小町が全力でバックアップするから背中は任せて!」
八幡(気を許したら後ろから刺されそう……)
八幡「……まぁ、頼む」
小町「まっかせて!」
八幡(不安だ……)
八幡(小町の考える策に不備があるとかじゃなく、どこかで嵌められて、躊躇いなく後戻りできない袋小路に蹴り落としそう)
八幡(不安だ…………)
携帯「ピピッ!」
八幡「!?」
八幡(嘘だろまたか……)
小町「(ジッ……)」
小町「…………また出るの?」
八幡「ああ。悪りぃ」
[川崎家]
川崎(お、おやすみってメール……送っても変じゃないかな……)
携帯「ポチポチポチポチ」
川崎(……………………送信!)
[???]
八幡「はぁ…………はぁ………………」
八幡(2日連続はけっこうくるな)
八幡(……メール。小町か?)
八幡「川崎……」
八幡(もう深夜2時か……。さすがに起きてないだろうな)
八幡(いちおう返信はしておこう」
携帯「ポチ…………ポチ……ポチポチ……ポチ」
八幡『すまん寝てた。おやすみ』
八幡(こんなんでいいんだろうか……。一度内容を小町に見てもらうべきか?)
八幡(それは違うか……。よし)
八幡「……………………送信(ボソッ)」
ほな、また……
[奉仕部部室]
八幡(あれから何回かデートしたが……)
八幡(ヤバいな川崎超可愛い……)
八幡(今更ながらパンツを見てしまったことが申しわけなくて発狂しそうになる……)
八幡「あ゛あ゛ぁ……」
雪ノ下「……その死にかけた鳥のような声を出すのはやめてくれないかしら。腐敗した空気が充満するのだけれど」
八幡「……はいはい」
由比ヶ浜「……そういえばヒッキー。最近部活来る頻度減ったよね。何かあった?」
八幡「まぁ…………」
八幡(変に隠すと勘繰られそうだ)
八幡「……あった」
雪ノ下「(ジッ)」
由比ヶ浜「(ジーッ)」
八幡「……なんだよ」
雪ノ下「会話の流れから、あなたにあったその『何か』を話すっていうのがわからないのかしら?」
雪ノ下「それだからコミュ障と呼ばれるのよ」
八幡「お前にだけは言われたくねぇなそれ……」
由比ヶ浜「それで、なにがあったの?」
由比ヶ浜「話したくないならいいんだけどさ……」
八幡(絶対に話したくねぇけど話さないと空気が悪くなる空気になってんじゃん)
八幡「…………」
八幡(心拍数がっ……。プレッシャーが大きすぎる)
八幡(話すべきなんだろうか……いやしかし……)
八幡(う…………)
扉「ガラガラッ!」
平塚「失礼」
雪ノ下「先生、入る前にノックを……」
平塚「あー悪い。次からは気をつけよう」
八幡「それで何の用ですか……」
平塚「進行についてさ」
八幡「……」
雪ノ下「……」
由比ヶ浜「……」
平塚「どうやら、この頃様子がおかしい」
八幡「ですね。そのせいでこっちは2連勤っすよ」
雪ノ下「そうですよ先生。これでは学業に支障が……」
平塚「……冗談はいい。比企谷、お前はどう考えている」
八幡「……また、来るんじゃないですかね。あれが」
八幡「というか、そっちである程度予測できてるんじゃないですか?」
平塚「ああ」
平塚「昨日はフランスで5等級が出現した」
由比ヶ浜「えっ、そんな……また……」
雪ノ下「それは……予兆なんでしょうか」
平塚「おそらくな。上もそう考えている」
八幡「…………俺らは学校を続けてても大丈夫なんですか?」
由比ヶ浜「先生……」
平塚「問題ないさ」
平塚「……………………今の所はな」
由比ヶ浜「…………そうですか」
平塚「また何かあれば報告に来る。ではな」
[廊下]
平塚「(スタスタ)」
平塚「……盗み聞きはよくないぞ」
平塚「…………川崎」
川崎「(ビクッ)」
川崎(物音も立ててないし、こっちも見てないのになんで……)
川崎(部室の外から聞いてたけどさっきの会話って一体……)
[デパート]
川崎「これ、似合う……かな」
八幡「……そうだな、それの白なら似合いそう」
川崎「こっち?」
八幡「うん。そっちの方がいい」
川崎「じゃこれにする……」
八幡「おう」
川崎(……服選び真面目にやってくれてる……」
川崎(なんだろ……ただ買い物してるだけなのに楽しい……)
川崎「服はこのくらいでいいかな。会計してくる」
八幡「ああ俺が出すよ」
川崎「いっ、いいよ。これくらいは……」
八幡「遠慮しなくていいぞ。ブラックな代わりに高給なバイトしてるから」
川崎「いや、でも……」
八幡「俺の金の使い道なんて本とか日用品くらいだし、勝手に溜まってくんだよ」
八幡「どうせ金使うなら有意義に使いたいからさ」
川崎「ありがと……///」
川崎(あたしの家計を考えてくれてるんだよね……)
川崎(申し訳ない気もするけどそれ以上に嬉しい……)
川崎「次は……書店?」
八幡「ああ。行こうか」
川崎「うん」
八幡「うわマジか」
川崎「なに?」
八幡「あれ……」
川崎(あれは……クラスメイトの葉山と……その囲い。こっちに向かって歩いてきてる)
川崎(それなりに離れてるのに戸部がうるさくてここまで声が聞こえる……)
八幡「戸部の声でかすぎだろ……」
川崎「確かに……」
八幡「どうするここは一本道だから引き返すか……? いや、逆を向いても後ろ姿でバレるな……」
川崎(後ろ姿でバレる?)
川崎(ああそっか。あたしくらい髪長い子ってそんないないし、髪色も特徴あるから……)
川崎「それなら道戻った方がマシなんじゃない?」
八幡「…………いや、俺に考えがある。そのまま進むぞ」
川崎「……わかった」
八幡「(ジーッ)」
川崎(葉山をガン見してる。どういう意図?)
八幡「(ジーッ)」
川崎(どんどん近づいてくる……。道幅もそんなにないからすれ違ったら確実に見られる……)
八幡「(ジーッ)」
川崎(なにを狙ってるの……?)
八幡「(ジーッ)」
葉山「(チラッ)。(ジッ…………)」
川崎(葉山が気づいた……。めっちゃ見てる)
川崎(あれ、葉山が戸部たちに声をかけて引き返してく……)
川崎(???)
八幡「さすが葉山だぜ……」
川崎「今のは?」
八幡「葉山に察させたんだよ」
八幡「あいつなら俺たちの状況を見て、引き返してくれると思った」
川崎「それは……戸部たちがあたしたちに絡むことを避けて?」
八幡「ああ。俺らと戸部たちが接触することで起こりうる諸々の問題を導き出して、それを回避したんだ」
川崎「そんなことわかるの?」
八幡「あの葉山だぞ?」
川崎「すごい信頼だね……」
川崎(本当にすごい信頼……)
川崎(葉山とこいつ、ほとんど接点がないと思ってたんだけど)
川崎(………………あの信頼関係、羨ましい……かも……)
[学校・トイレ]
八幡「(ジャー)」
葉山「ヒキ谷くん。となり失礼するね」
八幡「俺が奥のトイレ使ってんのになんでわざわざ隣に来て、さらに失礼するんだよ」
八幡「失礼だって自覚してんならあと2個は開けてやれよ。ここ以外空いてるだろ」
葉山「…………比企谷。君は川崎さんにあのことを話しているのかい?」
チャック「ジッ」
葉山「(ジャー)」
八幡「………………なんの話だ」
チャック「ジッ」
八幡「(スタスタ)」
蛇口「ジャババ」
葉山「……まさか、俺が気づいてないなんて思ってないだろ」
葉山「………………奉仕部、ね」
葉山「部活というより……部隊、じゃないかい?」
八幡「お前ッ!」
葉山「別にそのことについて口出しするつもりはないし、口外もしない」
チャック「ジッ」
葉山「(スタスタ)……、君は選べるかい?」
葉山「民衆の命と、川崎さんのどちらかを」
水道「ジャバジャバ」
八幡「……葉山……どういうつもりだ………………」
葉山「学校でそんな殺気出さないでくれよ。俺は一般人なんだよ?」
八幡「答えろ。どういうつもりだ」
葉山「…………」
葉山「このまま続けるのなら、川崎さんと別れるべきだ」
葉山「川崎さんをとるなら、辞めるしかない」
葉山「そう言ってるんだよ」
八幡「なんでだよ。そんなのどっちも……」
葉山「……君の……いや、人の手はそこまで大きくない。それだけは覚えておいたほうがいい」
葉山「いつもの君なら、よく見えていたはずなんだけど(スタスタスタ)」
葉山「…………選択を強いられた時、もし君が彼女を選ばなかったら、きっと君が持っているその感情は──」
八幡「……………………」
[水族館]
八幡「うわこの魚、目が死んでる」
川崎「ちょっとあんたに似てるかも」
八幡「どこがだよ」
川崎「目」
八幡「……」
川崎「お土産とか買う?」
八幡「そうだな。記念に買ってくか」
携帯「ピピッ!」
八幡「!!」
川崎「ッ」
川崎(なに……めっちゃ怖い顔してる……)
八幡「………………」
八幡「川崎」
川崎「どっ、どうしたの?」
八幡「マジで悪い。急用が入った……」
川崎「……そうなの?」
八幡「本当にすまん。ちょっと行ってくる」
川崎「今すぐなの?」
八幡「ああ……」
川崎(かなり深刻そう……。デートの途中だけどこれは仕方ない……か……)
川崎「じゃあ今度埋め合わせよろしく」
八幡「助かる。もう日が沈んでると思うから帰りは気をつけてな」
川崎「……ん。じゃ」
八幡「おう」
[比企谷家・八幡の部屋]
川崎「……」
八幡「……」
小町「おにーちゃーん! 行って来まーす!」
八幡「お、おーう!」
川崎(…………どうしよう…………。ついに家来ちゃった……)
川崎(しかも小町ちゃんは今日友達のお家にお泊まり……)
川崎(親が帰宅するかどうなのかわかんないけど……)
川崎(うぅ…………)
川崎(緊張しすぎて頭まわんない……)
八幡「……お茶入れてくる」
川崎「…………うん」
ドア「ガチャ」
川崎(も、もしいくとこまでいっちゃったらどうしよう…………)
川崎(最近は手を繋げるようになったけど……キ、キスもまだだし…………)
川崎(あ、あぁ……)
川崎(心臓がバクバクしてる……ん~~…………)
八幡「どういうことなんだよ!(ボソッ)」
川崎(電話してるのかな? めちゃくちゃ怒ってるみたいだけど……)
八幡「さすがに生活に支障がですぎだ」
川崎「……」
八幡「俺なしで繋げな……」
八幡「5等っ……んな、国内にか!?」
八幡「………………ああ。……わかってる」
携帯「パタッ」
八幡「………………………………」
八幡「くそっ……………………………………」
川崎「……」
八幡「(スタスタスタ)」
ドア「ガチャ」
八幡「……………………川崎」
川崎「…………どうしたの?」
八幡「親が帰ってくるっぽい……」
川崎「あ……。……じゃ出たほうがいい、よね」
八幡「ああ。マジですまん……(バッ)」
川崎「あっ、頭下げなくても……!」
八幡「ほんとに……最近こんなことばっかで…………すまん」
川崎「……いいよそんなの気にしなくても」
八幡「……ありがとう」
八幡「送るわ」
川崎「うん……」
[夕方・公園]
川崎「すごい……」
川崎(夕日が海と空を赤く染めながら水平線に
沈んでいってる。ほんとに絶景って感じ)
川崎(休みの日に遠出した価値はある)
川崎(時間がゆっくり進んでる……)
八幡「人も全然いなくてよかった。ベンチもちょうど西向きだし」
川崎「そだね……」
八幡「…………」
川崎(すごくいいムード……)
川崎「(ワクワク……)」
八幡「…………川崎」
川崎「……ッ。なに?///」
八幡「……お前には話さなくちゃいけないことがある」
川崎(……そんな感じじゃないみたい。とってもシリアスな声……)
川崎「……なに?」
八幡「…………大進行って、知ってるよな」
川崎(いきなり!?)
川崎「……うん。知ってる」
川崎「…………たしか、ちょうど10年前ぐらいに起きた侵略のこと……で合ってる?」
八幡「そうだ。合ってる。」
八幡「約10年前に、世界各地で謎の生命体が発見されたんだ」
八幡「仮に奴らのことをメンシュハイトって名で呼んでる」
八幡「メンシュハイトは有機物だろうが無機物だろうが関係なく、無差別に周囲を破壊する」
八幡「あいつらは10年のあの日以来、日本では観測されていない……ことになってる」
川崎「海に囲まれてるからって話だったね。オーストラリアには出てるんだけどね……」
八幡「そうなんだ。でも、海で囲まれてるからメンシュハイトが現れないなんてことはない」
川崎「日本にもそいつらが出てるってこと?」
八幡「…………そういうことだ」
八幡「あの日以来、人類は奴らと戦い続けてる」
八幡「もちろん日本も例外じゃない。あの日から奴らの侵略が止まったことなんて一度もない」
八幡「毎日必ず、世界のどこかに現れている」
川崎「なんであんたがそんなことを……」
八幡「メンシュハイトは祈って消えてくれるもんじゃない。話し合いで破壊をやめてくれはしない」
八幡「武力で圧するしかないんだ」
川崎「………………もしかして」
八幡「……俺は防衛軍に所属してる」
八幡「国民にバレることなく、秘密裏に奴らを始末しているんだ」
川崎(これは本当の話? まさかこいつがこんな嘘をつくとは思えないし……)
川崎(でもにわかには信じきれない……)
八幡「信じられないのもわかる。俺だって唐突にこんなこと話されたら何言ってんだって思う」
八幡「最近、メンシュハイトの出現率が上がってきて、さすがに国も誤魔化しきれないレベルだ」
八幡「近いうちに少しずつ情報が解禁されるだろうな」
八幡「だからそれを直接自分の目で見るまではこんな突飛な話は信じなくてもいい」
川崎「…………うん。でもなんであんたが? 高校生なんかより………………きちんと訓練された軍人の方がいいんじゃないの?」
八幡「…………奴らに対抗する手段としてもっとも有効なのが、奴ら自身を素材にして造られた専用の武器だ」
八幡「それは……まあ平たく言えば使用者のエネルギーを消費して力を増す」
八幡「そのエネルギーってやつはゼイレって呼ばれてるんだが、若ければ若いほどゼイレの貯蓄量は高い。だけど、若すぎるとコントロールができずに暴発する」
八幡「でもそのゼイレってのは、大抵の人間が20歳を迎える前あたりから、目に見えて減少していくんだ」
八幡「そこで、若すぎず、衰えすぎずの年代の『中学校後半から大学生前半』が主力として集められてる」
八幡「もちろんガキよりプロの手腕って思うだろうが、そんなテクニックを軽く超越しちまうパワーがある」
八幡「とまあこんな理由だ……。俺以外にも学校に数人防衛軍のやつがいる」
川崎「えっ、そうなの?」
八幡「ああ。今の時代、誰が防衛軍になってもおかしくない」
八幡「……そんなことより」
八幡「俺が今までデートすっぽかしたのはほとんどこれのせいだ」
八幡「だから許してくれなんて言わないけど、それを伝えておきたかった」
八幡「ほんとにごめん」
川崎「……いいよ。けどさ、その話聞く感じ、あたしたちの会う時間はどんどんなくなってくってことだよね?」
八幡「そうなる……」
川崎「…………そっか」
[川崎家]
川崎「ただいまー……」
大志「姉ちゃん! ヤバいよ! マジでヤバい!」
川崎「? どうしたの?」
大志「メンシュハイトが日本にも出るかもしれないんだって!」
川崎「えっ!?」
大志「日本には10年前の大進行のときに一回出たきり現れたことねえのに……」
大志「国が、突然街中にメンシュハイトが出たときに、逃げこめる施設とか作ってくらしい」
川崎(あいつ…………本当に…………)
[学校・放課後]
八幡「川崎」
川崎「(コクッ……)」
川崎(ここ数週間はデートする回数が一気に減ったなぁ)
川崎(こいつも気にしてるみたいで、下校だけはほぼ毎回一緒に帰ってくれてる)
川崎「時間ある?」
八幡「今のところは。またいつ呼び出されるかわからん」
川崎「そっか……じゃあアイスクリーム屋に寄るだけなら大丈夫、かな?」
八幡「それくらいなら全然余裕だろ」
川崎「良かった///」
川崎「じゃああっちの方にあるから行こっ」
八幡「おう」
八幡「その店ってどんなアイス売って──」
携帯「ピピッ!」
──ズドン!
──ドン!
川崎(爆発!? 地面が揺れてる……)
八幡「大丈夫か!(ガバッ)」
川崎「あ、ありがと……///」
八幡「やっべぇ…………」
川崎「…………もしかして……」
八幡「……メンシュハイトだ」
[商店街近く]
八幡「おら!(シュッ)」
メンシュハイト「がっ!」
八幡(メンシュハイトは人型だ。初めて見る人間にはあまり殺している場面を見られたくはないが……)
八幡「どんだけ湧いて出るんだっ」
川崎「こ、こいつらがメンシュハイト……。生で初めて見た……」
八幡「見てて気持ちいもんじゃねぇからあんま見ないようにしろよ」
川崎「うん……」
八幡(緊急用の組み立て式簡易装備で戦ってるが、正直これがどのくらい持つのかわからない)
八幡(銃があれば川崎を安全に守れたんだが、あいにく剣タイプのものしか持ってない)
八幡(そこまでしっかり作られたものじゃないから、早めに支部に行って装備の交換と川崎の安全を確保しないと……)
八幡(しかし……)
八幡「ふっ!」
メンシュ「ぐぅっ……!」
八幡(もともとこいつらは日が沈んでから出てくるもんだ)
八幡(でも今日はなぜか日があるのに出てくる)
八幡(それどころかいつもの数十倍近くが出現している……)
八幡(明らかに異常だ)
八幡(いつ5等級以上が現れてもおかしくない……。早く川崎を退避させないと……)
八幡「川崎、今から防衛軍の支部に向かう」
川崎「わ、わかった」
八幡「ここからだとけっこうあるから……すこし辛抱してくれ」
川崎「(コクッ……)」
メンシュ「(バッ!)」
八幡「またかっ!(ザッ!)」
メンシュ「ぐっ……く…………」
八幡(こんな数じゃ死体の処理もまともにできねぇ……)
八幡(国中が……パニックになる)
[防衛軍基地支部前]
八幡「はぁ………………はぁ………………」
八幡(ろくな装備無しに戦ったせいでボロボロだ……)
八幡「(チラッ)」
川崎「すーっ…………すーっ…………」
八幡(怪我と疲労とストレスでもう寝てるみたいだな)
八幡(川崎に怪我させちまった…………。彼氏失格だ…………)
八幡(…………不謹慎だが…………川崎のおっぱいめっちゃくちゃでかいしやわらけぇ……。確かめたことはないが由比ヶ浜並みにあるんじゃねぇのか)
八幡「……はぁ…………はぁ…………着いた………………」
[防衛軍基地支部内部]
隊員「ひ、比企谷くん!? まさかその装備で戦ってたの……?」
八幡「……はい。……平塚隊長も近くにいなかったので武器の補充ができませんでした」
隊員「そうでしたか……。その方は?」
八幡「身内です。すみませんこいつの保護をお願いします」
隊員「了解しました。比企谷くんは休まれますか?」
八幡「いえ、装備を整えてすぐに戦線に戻ります」
隊員「そうですか。助かります」
八幡「そいつのこと、頼みます」
隊員「任せてください! ちょっと、手伝って」
隊員B「うっす」
川崎「…………んっ………………」
八幡「川崎!(ダッ)」
八幡「お、おい。支部に着いたぞ、もう大丈夫だ」
川崎「比企谷……」
川崎「へ……? あ…………ここがそうなんだ…………」
八幡「お前はしばらくここで休め。怪我の治療も一緒にしてもらう」
川崎「…………ん。わかった」
川崎「………………あんたは?」
八幡「俺は戻らなくちゃいけない。そもそも戦闘員がすくねぇからな。こんだけの数処理しきれない」
川崎「………………ねぇ…………」
八幡「なんだ」
川崎「…………………………行か、ないで………………」
八幡「……っ!」
八幡「それは……」
隊員「(チラッ)」
隊員B「……(ジッ……)」
川崎「……………………ごめん。なんでもない………………」
隊員「比企谷くん……(ボソッ)」
八幡「……………………」
──
『君は選べるかい? 民衆の命と、川崎さんのどちらかを』
『…………選択を強いられた時、もし君が彼女を選ばなかったら、きっと君が持っているその感情は──』
──
葉山『……欺瞞だ』
八幡「……欺瞞、か」
八幡(葉山はこういう状況になる可能性を考え言っていたんだろうか)
八幡(俺は…………)
八幡(この気持ちは、偽りなんかじゃねぇ)
八幡(……たとえそうだとしても、俺には使命がある)
八幡「悪い」
川崎「………………」
八幡「行かなきゃ……」
川崎「………………うん…………」
八幡「(スタスタ……)」
川崎「……気をつけて…………(涙)」
八幡「…………っ」
八幡「(タッタッタッタッタッ)」
八幡「(グッ……)」
八幡(彼氏失格だっ! それどころか、俺は人としても終わってる!)
八幡「くそっ!」
続きは明日の夜ごろに…… ほな、また……
色々気になることはあるけど
進行じゃなくて侵攻なんじゃ?
乗っ取り?
HACHIMANを書きたかったんや……
>>73
こいつら攻めに来てる訳じゃない(っていう設定)だから侵攻じゃないかなと思って
>>75 違うで けっこう冒頭から進行進行言ってるよ
[医務室]
川崎(最低だ……あたし……)
川崎(あいつが戦場にいるかどうかで生存者の数は大きく変わるはず……)
川崎(それなのにあたしは身勝手な理由で引きとめようとした……!)
川崎(彼女として……人として失格だ…………)
川崎(あいつは今、命をかけて人を救ってるのに……あたしはただベッドで横になってるだけ……)
川崎(大志たちもどうなってるかわからない。あたしじゃ、この状況で探しに行くこともできない)
川崎「なんでっ、こんな……っ!」
川崎「………………(しゅん)」
川崎「……………………比企谷…………(ボソッ)」
[避難所]
京華「はーちゃん!」
八幡「よう。久しぶりだなけーちゃん」
京華「さーちゃんはこっち!(グッ)」
京華「(とことこ)」
八幡「おおっ」
八幡(第二次大進行で川崎の家は崩壊してしまった。しかし俺の家は無事)
八幡(あの大進行から一週間が経ったが、いまだ学校が再開されるという兆しはない)
八幡(大進行の影響か、メンシュハイトは不定期に大量発生し、俺ら防衛軍は家に帰ることすらままならない状況だ)
八幡(けど無理やり休みを取って来た。数時間だけだが)
八幡(それと、同時に世界中で行方不明者が数え切れないほど出ている。今では第一次大進行と呼ぶ10年前の大進行でも、同じように行方不明者は続出した)
八幡(俺の家は、父親が行方不明。母親、小町に怪我はない。カマクラは無事)
八幡(川崎の様子と、彼女の家の状況の確認もしたいがために俺はここに来た)
京華「さーちゃん!」
川崎「……ん、あんた……………………」
八幡「……久しぶり」
なかなか辛辣やな……
[避難所付近]
八幡「ちょうどベンチがあるし座ろう」
川崎「……うん」
八幡「…………」
川崎「…………なんであたしがここにいるってわかったの?」
八幡「家に行ったら……その…………」
八幡「……近くの避難場所調べて、家から近いのはここかなと思って」
川崎「そっか……。あんたの家は大丈夫だったの?」
八幡「大丈夫だった。ただ、父親が行方不明だ」
八幡「母親は会社のストレスと、父親のことでショックを受けたせいか病んじまって引きこもってる」
八幡「小町も両親がこれで俺も家にいないから帰るたんびに泣いてる」
八幡「…………大丈夫なのは家だけだったよ」
川崎「…………ごめん(ボソッ)」
八幡「…………まあ、これから頑張って立ち直るさ」
八幡「………………………………どれどけ時間がかかってもな(ボソッ)」
八幡「お前のとこは?」
川崎「あたしの家族は大丈夫だった。大志が怪我しちゃったけどそれくらい」
八幡「そっか……」
八幡(それは良かった、なんて言えない)
八幡(川崎は家を失っている。家族が健在ならばどうにでもなりはするのだろうが、人生設計は大きく狂い、軌道を戻すにしてもロスは大きい)
八幡(元から歩いていた道は随分と遠ざかってしまったのだ)
八幡「大学……行けんのかな」
川崎「わかんない……」
八幡「……だよな」
──超思考──
八幡(現在、全世界の学校が休校中だ。なにせ下手に外を歩かせてメンシュハイトに襲われようものなら責任を問われてしまう)
八幡(教師たちは教師たちで、公務員として復興のため色々やらされていて授業どころではない)
八幡(人類には今、被害者しか存在していない)
八幡(だからこそ誰もが団結し、助け合い、抗おうとしている)
八幡(いつか助けられたから、今助ける。いつか助けられるため、今助ける)
八幡(助け合いが連鎖して、互いが強く結びつき、誰もが協力し、共生しながら強く生きている)
八幡(皮肉なことに平和が終わってしまってやっと、人々が求める社会が訪れた)
八幡(しかし、やはり影はあるものだ)
八幡(助け合いの輪が広がるのと比例するように、犯罪は増えていく。政府の腐敗も露呈していく)
八幡(人の清い光が強くなるほどに、醜い影もまた色を濃くする)
八幡「世の中、うまくいかないもんだな……」
川崎「そう…………だね…………。…………世の中のことを高校生のあんたが語るにはまだ早いと思うけど」
八幡「まぁな」
川崎「…………………………」
川崎「あの…………さ…………」
八幡「なんだ?」
八幡(思いつめたような表情だな。相談事だろうか)
川崎「あたしたち……もう、別れよう」
八幡「……ッ!? は、なんでだ?」
八幡(んな、なんでいきなり……)
八幡(………………いや、いきなりなんかじゃないのかもしれないな)
八幡(……思い返せば思い当たる節はいくつもあるんだ……)
八幡(だけど…………俺は…………)
八幡(俺は、川崎のことが好きだ)
八幡(初めはそんな意識などなかった。誰かと付き会えれば彼女いない歴史=年齢というレッテルを剥がしとることができるから、なんてくだらない思いがあった)
八幡(だけど今は違う。本当に好きだ。ありえないくらい好きだ)
八幡(誰よりも好きだ。これまでの人生でこんだけ人を好きになったことがないってくらい好きなんだ)
八幡(……だからこそ、選ばなくてはいけない)
八幡(だからこそ、俺は……)
川崎(心臓がうるさい。プレッシャーがすごすぎる……でも、言わなきゃ……)
川崎「あたしたち……もう、別れよう」
八幡「……ッ!? は、なんでだ?」
川崎(すごく驚いてる……。いきなりだったし仕方ないか……)
八幡「…………」
川崎(…………悩んでる……みたい)
八幡「…………」
川崎(あぁ……心臓がうるさい……。答えなんて最初っからわかってるのになんで緊張してるんだろ……)
八幡「……そうだな」
川崎「(ビクッ)」
八幡「………………………………その方がいいのかもしれない………………」
川崎「…………………………うん」
川崎「………………じゃ、戻る」
八幡「…………ああ」
川崎「(スタスタスタ)」
川崎「………………ッ」
川崎「(スタスタスタ)」
京華「さーちゃん……?」
川崎「……けーちゃん…………」
京華「…………どうして泣いてるの?」
川崎「えっ……?(ポロポロ)」
川崎「(フキフキ)」
川崎「……なんでもない。暇なの? なんかして遊ぼっか」
京華「んー、はーちゃんと遊んであげる! はーちゃんは?」
川崎「……まだ、外にいるかも」
京華「行ってくる!」
川崎「気をつけてね」
京華「うん!」
川崎(そっか……)
川崎「(ポロポロ)」
川崎「う…………」
川崎(そっか……あたし…………)
川崎「うっ…………うぅ……ひぐっ…………」
川崎(あいつに、「別れたくない」って、言って欲しかったんだ……)
川崎「……えほっ…………うっ………………」
川崎(あたし、あいつのこと……)
川崎(……本気で好きだったんだ)
[防衛軍基地支部]
平塚「比企谷、昇進おめでとう」
八幡「どうも。ありがとうございます」
平塚「最近はずいぶんと熱心にメンシュハイトを討伐をしているな」
八幡「……そういう仕事ですから」
八幡「それにメンシュハイトの出現も異様に増えてますし、狩れるだけ狩らないと」
平塚「そうだな。だが他の隊員たちもメンシュハイト狩りには精を出しているんだよ。お前だけがずば抜けてメンシュハイトを[ピーーー]ことに執心している」
八幡「何か問題でも?」
平塚「いや、メンシュハイトが減り、世界が平和に近づくのはいいことだ」
平塚「だが無理をしているように見えるぞ」
八幡「無理なんてしてませんよ」
平塚「そうか……」
平塚「…………なにか」
八幡「……」
平塚「忘れたいことでもあるのか?」
八幡「…………」
八幡「……そうかも、しれないです」
◇
[防衛軍基地支部・小会議室]
平塚「…………昨夜日の暮れから、オーストラリアにメンシュハイトが大量発生した」
由比ヶ浜「また大量発生ですか……」
雪ノ下「……」
八幡「……」
平塚「ああ、また、だ。だが、今回はこれまでよりも規模が大きい。そして……」
平塚「特異な個体が目撃されている」
雪ノ下「5等級以上は確定なんでしょうか」
八幡「そのレベルならアメリカが軽々始末してくれてそうだけど」
雪ノ下「確かにそうね。……そもそもあの大進行から5等級なんてあちこちで目撃・撃破されているはず。ただ5等級が出ただけで騒いだりはしない…………」
由比ヶ浜「…………もしかして……4等級越えだったり……?」
平塚「今の所詳細は不明なんだ。しかし、その可能性は大いにあるだろう……」
八幡(等級とはメンシュハイトにつけられたランクだ。種類は6等級から1等級まで用意されており、数が小さくなればなるほどにヤバい)
八幡(普段みるメンシュハイトは6等級。ごく稀に5等級が現れる)
八幡(6から5にかわっただけだが、たった1等級の幅はかなり大きい。マグニチュードとかそのレベルだ)
八幡(人類史で最も手強かったメンシュハイトの等級は3等級。第一次大進行の際に出現したとされる)
八幡(各国が総力を挙げて討ち倒し、世界滅亡は免れた)
八幡(なんでそんな強い奴が1等級じゃないのか。それは、「最悪の事態」を想定しているからだろう)
八幡(テストの返却時に「どうせ低い点数だろうなぁ」なんて予防線を張っておくことで、実際に点数が低かった時のダメージを緩和するあの心理と一緒だろう。知らないけど)
八幡「……もしかして援軍っすか」
平塚「そうだ」
由比ヶ浜「えー……。4等級がいるかもしれないとこに行くとか……うわぁ…………」
雪ノ下「はぁ……」
平塚「そういうことだ」
八幡「……」
[オーストラリア北部・森林]
八幡(くそ暑い……。雨降ってないのはいいけど流石にきついぜ……)
八幡(視界は悪いし蒸し暑い。もう装備捨ててぇよ)
八幡(今進んでんのは……150名くらいか。顔合わせの時には200名近くいたから残りは後ろか)
八幡(まず平塚隊の人員が奉仕部だけってなかなか問題だよなぁ。あいつら2人ともバックアップ専門だし、戦闘員とかほぼ俺だけでやってるぞ)
八幡(まあでもあいつらの増幅回路と支援がなきゃろくに立ち回れないんだけどな。マジで三位一体。三人寄れば文殊の知恵)
八幡「なぁ、そっちのバックアップが集まってるとこってどうなってんの?」
雪ノ下『ほとんど本部の管制室ね。緊張感がすごくて呼吸が苦しいくらいだわ』
由比ヶ浜『ほんとだよー。てか外国の人、歳同じくらいなはずなんじゃないの? 大人ばっかだよ』
八幡「それが世界の基準だ。日本人は童顔なんだよ」
雪ノ下『メキシコサラマンダー…………いわゆるウーパールーパーに見られる幼形成熟ね」
由比ヶ浜『え?? どういうこと?』
八幡「外人が老けてんじゃなくて、日本人の見た目が若いってことだ」
由比ヶ浜『あー、なるほどー』
雪ノ下「言ってること始めと同じじゃない……」
女性の声『────────────!!』
八幡「うわっ!」
八幡(なんだ外国語?)
八幡「どうした!」
由比ヶ浜『あはは、なんかヒッキーの心拍数が安定しすぎてて、緊張感が欠けすぎてるって注意されたっぽい』
八幡「あーなんかモニターをまとめ監視してる人とかか」
八幡「てかなんで言葉わかったんだ?」
雪ノ下『こっちのディスプレイに日本語で送られてきたわ』
八幡「なるほどねぇ……」
八幡「じゃ、気ぃ引き締めて行くか」
由比ヶ浜『うんっ!』
雪ノ下『ええ』
八幡(あれから何時間経ったんだ……)
雪ノ下『比企谷くん、後方は他の隊員が始末したわ』
八幡「了解! おら!(ザシュッ!)」
メンシュ「ガァァ……!」
メンシュ「ぐっ……うっ!」
由比ヶ浜『やっぱその武器強いねー』
八幡「だよな。全然壊れそうにないし好き放題振れる」
八幡(前に5等級を始末した際に、もっとも貢献した俺の部隊に、報酬でそのメンシュハイトの死体が贈与されたが、マジでラッキーだったわ)
八幡(まぁまず死体を研究してからこっちに渡すって話だったから、しばらくしてようやく届き、そして加工されたのがこの刀)
八幡(他の国でも5等級となると弾丸にして消費するのはもったいないからと、ダガーとか装備の一部に組み込んだりとかしてるらしいしな)
八幡(でもよりによって刀とは……開発部はわかってるぜ……)
八幡(刀をぶん回して無双するのは男のロマンだからなぁ)
雪ノ下『2時の方向から一体。銃で大丈夫』
八幡「おう。(パンッ)」
メンシュ「ガッ……!(パタッ)」
由比ヶ浜『そろそろ減ったかな』
雪ノ下『前衛部隊はまだ交戦中みたいだけれど、しばらくは落ち着けそうね』
八幡「発生源の中心部には後どのくらいで着くんだ」
由比ヶ浜『今の進軍ペースなら1時間くらいかな』
八幡「了解」
雪ノ下『ん、もう少し進んだ場所に川があるからそこで数分の休憩をとるそうよ』
八幡「あー、川あるわあそこか」
八幡「ふぅ……」
八幡(やっと休憩か……)
八幡(ここに来るまで交戦ばっかりだったけど、他の国の奴ら強すぎて全然ペースが落ちない)
八幡(俺もだが、みんなほとんど疲労はないみたいだな。これなら異常発生が収まるまで殲滅し尽くせそうだ)
八幡(しかしこいつら、本当に俺と同じくらいの歳かよ……。髭生やしてるやつなんて30代のおっさんにしか見えねぇよ)
由比ヶ浜『ヒッキー!』
雪ノ下『比企谷くん!』
八幡「どうした」
八幡(他の奴らにも連絡が入ったみたいだな。みんな耳に装着した無線の指示を聞いてる」
雪ノ下『ありえないほどのゼイレを保有する個体が観測されたわ! おまけにそちらに接近中』
八幡「なっ!」
由比ヶ浜『これ、平塚隊長の言ってたやつっぽい。……今度はちゃんと観測できてる』
由比ヶ浜『……推定等級は………………2等級……………………』
雪ノ下『………………』
八幡「んなっ……馬鹿な…………」
雪ノ下『…………いま審議が行われているわ。おそらく、すぐに撤退の指示が出されるでしょうね』
由比ヶ浜『だからもう動けるように準備してて!』
八幡「オーケー……」
八幡(重装備ではないから、2、3個装備を付け直してポーチを装着して……これでいいか)
八幡(ほかの隊員たちも動けるように準備してる。それにさっきまで静かだったのにざわめきが大きい)
八幡(マジで2等級なんてのが来るのか……? 観測機の故障を祈るばかりだ)
影「サーーッ」
八幡「!?」
八幡(今、地面を滑るように影が動いていった……)
八幡「(バッ)」
八幡「……なッ」
八幡「雪ノ下……由比ヶ浜、空に……なにか居る……」
雪ノ下『そんな…………』
由比ヶ浜『うそ………………』
八幡「おい!」
八幡(周りもざわめき出した。ん!? 空の にいた奴が降下してる)
???「(スタッ……)」
八幡「謎の個体、河原の岩に着地した。戦闘態勢に入る……」
八幡(真っ白な……メンシュハイト? ここからじゃちょっと遠くてやっきり見えない)
八幡(ほかの隊員たちもすでに戦闘態勢に入っている)
八幡(……すげぇ緊張感だ。この場にいる全員が白いメンシュハイトの一挙手一投足を監視している)
雪ノ下『比企谷くん…………こちらのレーダーで追っていた件のメンシュハイトの反応が消失したわ…………』
雪ノ下『……そして、その場所への出現が確認された。推定2等級のメンシュハイト…………』
八幡「……指示は」
雪ノ下『……待機、だそうよ』
由比ヶ浜『……いきなりのことで審議が止まっちゃったみたい……。とりあえず指示が出るまではなるべく動かずその個体を刺激しないようにって』
八幡「了解……」
八幡(全員が銃を向け、息を飲んでいる。ヤバい。鳥の声もしねぇし、風も起きねない。静かすぎで鼓膜の裏から心臓の音が聞こえてくる)
八幡(くっそ……。なるべく動かないようにって、こんな緊張状態何分も続けられねぇよ。早く指示を…………)
男性隊員「はぁッ……はぁッ……」
八幡(なんだあいつ……。わりと近くの男の隊員がめちゃくちゃ震えてる)
男性隊員「はぁッ……はぁッ(ガチャ)」
八幡(銃を構えなおした……。あいつ呼吸が乱れまくってるが大丈夫か……? 周りにいる同じ部隊は白いメンシュハイトに釘付けで男の体調が悪いことに気づいてない……)
男性隊員「はぁッ……はぁはぁはぁ(ギッ……)」
八幡(人差し指が動いてる……まさか引き金を……!?)
八幡「おい! やめ──」
銃声「パァン!」
八幡「(バッ)」
八幡(着弾……したのか?)
八幡(出血したのかどうかも確認できねぇな)
白メンシュハイト「(チラッ)」
レーザー「ビィィンッ!」
──バキバキバキィッ!
八幡(極大レーザーの攻撃!? ……隣の部隊が森の一部とともに消滅しちまった…………。なんて破壊力だ)
男性の声「うおおおおおお!」
男性の声「ファイァァアアアア!!」
八幡(待機って指示だろうが!)
八幡(巻き込まれないように伏せておくか(バッ))
──ドドドドドンッ!!
──ビィンッ!!
雪ノ下『比企谷くん!!』
由比ヶ浜『ヒッキー!!』
──バキバキバキバキ!!
──ドドドドドンッ!!
──ビィィィンッ!!
…………
八幡(銃声が減っていく……戦力がジリ貧だ……)
八幡(早く! 早く収まれ!)
レーザー「ビィィン!」
八幡「うおお」
八幡(あ、頭の上をレーザーが横切った……。あっぶねぇ……)
──ドンッ!
八幡「爆発っ!?」
由比ヶ浜『今の(ブチッ)』
──ヒュー
八幡(よりにもよってメンシュハイトの方に飛ばされてる!)
八幡「(ドサッ!)」
八幡「痛っ……!」
八幡(ああ、これ、ダメな奴だ……。爆発と落下のせいで怪我が……)
八幡「………………あ?(チラッ)」
白メンシュ「(チラッ)」
八幡(女の子……? ほとんど人間と同じ姿じゃないか…………)
八幡(…………こんな女の子を……。場違いな感情なのかもしれないが…………可哀想……だろ…………)
白メンシュ「(スッ……)」
八幡(なんで……そんな………………悲しそうな顔、するんだ……………………(ガクッ))
続きは明日の夜に……
ほな、また……
[病院]
川崎「はぁ……はぁ……(ダダダッ)」
川崎「はぁ……ここ、か…………」
扉「ガラガラ」
川崎「失礼……します……」
──ピッ……ピッ……ピッ……
八幡「………………」
川崎「あ……あぁ……………………(ポロポロ)(フラフラ)」
八幡「………………」
川崎「ごめんなさい…………(ガクッ)」
川崎「比企谷…………(ぎゅっ)」
川崎(1週間ずっと昏睡状態って聞いたけど……)
川崎(絶対に目を覚ます……よね)
川崎(このままずっと起きないなんてことはないはず)
扉「ガラガラ」
小町「……あ、沙希さん。来てたんですね」
川崎(こいつの妹の……)
川崎「う、うん」
小町「……わざわざありがとうございます(ペコッ)」
川崎「いや、別にそんな……」
小町「…………唐突なんですけど沙希さん」
川崎「な、なに」
小町「結婚とか考えてます?」
川崎(けけけけけけ、結婚?)
川崎(結婚って婚姻のこと……だよね……)
川崎(結婚……なぜ結婚……)
川崎「ま、まぁ一応は……」
小町「そうですか……」
川崎「ど、どうして?」
小町「いえ、なんとなく気になったので」
川崎「そ、そう……」
川崎「(チラッ)」
八幡「………………」
──ピッ……ピッ……ピッ……
川崎(結婚……か……)
小町「(ジッ……)」
川崎「(クルッ)」
小町「(スッ……)」
川崎「お花とか持って来た方がいいよね。あたし急いでたから何も持って来てなくて……」
小町「気にしなくて大丈夫ですよ。お兄ちゃんは交友関係がミジンコの全長より狭いので人が来てくれただけで喜びます」
川崎「そ、そう……」
川崎(言い過ぎじゃない? でもこんな冗談が言い合えるくらい仲がいいってことかな)
川崎(人にはブラコンブラコン言うくせに……)
川崎(というかこいつの話ではちょっと病んでるみたいな感じだったけど……けっこう普通に見える。取り繕ってるだけ……かも知んないけど)
川崎「……いつ頃に目が覚めるかとか……わかんないかな」
小町「それがまったく。体の怪我の方はあと2、3ヶ月はかかるそうですけど」
川崎「そんなに……」
川崎(前線で戦ってるから常に命の危険があるんだ……命があっただけマシなのかもしれない)
小町「じゃ、小町は帰ります。沙希さん、またお兄ちゃんに会いに来てくださいね!」
扉「ガラガラ」
川崎「……うん。また来るよ」
小町「ありがとうございます! それでは!」
扉「ガラガラバタン」
川崎「次来るときは……お花、持って来るから」
八幡「………………」
──ピッ……ピッ……ピッ……
[病院]
八幡「………………」
──ピッ……ピッ……ピッ……
川崎(もうすこしで2週間か……。こいつが戦地で倒れてから3週間になるのかな)
川崎(毎日通ってるけど、一向に目を覚まさない……)
川崎「ねぇ、いつになったら目を覚ますの?」
八幡「………………」
川崎「…………」
川崎「……そういえば今朝はあんたのお母さんが来てたよ」
川崎「すっごく疲れてた。……それに泣いてたよ」
川崎「あんたが早く起きないと、あんたのお母さんも小町ちゃんもつらいよ」
川崎「…………あたしも、つらいんだから……」
八幡「………………」
川崎「……この先、何日も、何週間も、何か月も、何年もこのままなんて…………嫌だよ………………」
川崎「……またいっしょに……デートしたいよ………………」
川崎「もっとたくさんお話ししたいよ…………(ポロポロ)」
川崎「ねぇ…………」
八幡「………………」
──ピッ……ピッ……ピッ……
[川崎家]
川崎「……ただいま」
大志「姉ちゃん!」
川崎「……ん?」
大志「ニュース見た!?」
川崎「いや……」
大志「なんか、インドで1等級のメンシュハイトが出たらしいんだよ!」
川崎「いっ、1等級?」
川崎(最近オーストラリアで、初の2等級が出たって話だったのに……)
川崎(人が勝てる相手なの……?)
[奉仕部部室]
雪ノ下「どうぞ」
紅茶「コトっ」
由比ヶ浜「ありがとゆきのん」
雪ノ下「先生もどうぞ」
紅茶「コトっ」
平塚「悪い」
雪ノ下「(スゥ……)それで、どうして比企谷くんを一般の病院へ? 軍の方で様子を見た方が良かったのではないですか?」
平塚「あいつの家族の状態を考えるとなぁ。あの家族から比企谷まで取り上げてしまったら、もう元どおりにはならないだろうからなぁ」
由比ヶ浜「……ヒッキーのお家でなにか……?」
平塚「………………。父親が行方不。母親は日常生活に支障が出るほど精神を病み、妹も若干病んでしまっている」
平塚「比企谷がいてどうにか形をとどめている」
平塚「寝たきりになってしまって、すこし不安定になっているかもしれないがな……」
由比ヶ浜「そうだったんですか……」
雪ノ下「病室であった時にはそのような素振りはありませんでしたが……」
平塚「比企谷がお前たちに自分の傷を晒したことがあったか?」
雪ノ下「…………」
由比ヶ浜「…………」
平塚「そういう兄弟なんだよ、彼らは」
平塚「それよりも……あいつが欠けてしまって私らの部隊は休暇か……」
由比ヶ浜「いつも使ってる小会議室すら使わせてもらえませんしね……」
雪ノ下「他の機能しない部隊も、無理やり休暇を取らされたようだし……一体なんなのかしら」
由比ヶ浜「他の部隊と統合とかはないんですか? さすがに人手が足りてないのに隊員を休ませるって効率が悪い気がするんですけど……」
平塚「まぁ……上が、防衛軍のブラック化を防ぐために尽力してるんじゃないか?」
平塚「適当に違う環境に放り込んだり、精神をすり減らしているやつの精神をさらに削ったりして、簡単に人を使い潰せないのさ」
平塚「なかなか替えのない仕事だからなぁ」
由比ヶ浜「日本企業の闇が垣間見えちゃった……」
雪ノ下「しかしこれからどうしましょうか……」
由比ヶ浜「なんも仕事させてくれないしねー(ぐだー)」
平塚「そうだな……」
平塚「他の休暇中の部隊は……慰安旅行、鍛錬、復興の手伝いなんかをしているな」
由比ヶ浜「ヒッキーがいないのに慰安旅行はちょっとね」
雪ノ下「鍛錬といっても私たちは戦闘員ではないから適切ではないわね」
平塚「なら、……復興の手伝いだな」
平塚「念のために装備やらは持って行こう」
[テレビ]
ニュースキャスター「インドで出現した推定1等級のメンシュハイトですが、依然として東北東に進み続けています」
ニュースキャスター「このメンシュハイト、ときおり姿を完全に観測できなくなるそうですが、どういったことが起きているのでしょうか」
防衛軍幹部「彼らは異次元からやって来ていると言われています。ですので、元の世界とこちらの世界を彷徨っているのだと考えられます」
防衛軍幹部「他には瞬間移動だとかゼイレ化しているだとか、様々な予想がされています」
防衛軍幹部「しかしながら、決定的な証拠がなく憶測の域を出られません」
ニュースキャスター「そうなんですか……」
ニュースキャスター「それと、このメンシュハイトの進路についてですけれども、もしかすると日本へ到達するのでは、と言われています」
ニュースキャスター「メンシュハイトが海をまたいでやってくることはありえるのでしょうか」
防衛軍幹部「少なくともこれまでの記録で海を越えたということはないです」
防衛軍幹部「ですが、今回出現した推定1等級のメンシュハイトに、私たちの常識がどれだけ通用するのかはわからないです」
防衛軍幹部「メンシュハイトが我が国へ来ることはないなどと無責任に断言することはできません」
防衛軍幹部「国民の皆様は、『もしも』を想定し、近くの避難所や避難経路の確認、そして備蓄もしっかりとしましょう」
ニュースキャスター「はい。といことで、続いてはメンシュハイト襲来の際の対応と、非常食の──」
[テレビ・中国からの中継]
リポーター「な、なんということでしょう!」
リポーター「インドに出現後、ネパールを横断し中国に突入したメンシュハイトですが、中露合同の部隊が壊滅状態に陥りました!」
リポーター「危険区域ギリギリの場所でカメラを回していますが! すぐ近くまでメンシュハイトが来ているのか、轟音と揺れが大きくなっています!」
リポーター「ッ!? あっ、あれは! メン──(ブチッ)」
[テレビ・中国からの中継]
ニュースキャスター「えー、推定1等級のメンシュハイトは中国国土を東へ横断し、日本海へと近づいている状況です」
ニュースキャスター「中国からの応援要請により、各国の防衛軍が中国へ向け──」
[マンション]
平塚『……緊急の召集がかかった。ただちに支部へ来るように』
雪ノ下「…………はい」
[病院]
八幡「………………」
──ピッ……ピッ……ピッ……
由比ヶ浜「……はい。わかりました。すぐに行きます」
川崎「…………結衣、あんた………………」
由比ヶ浜「………………」
由比ヶ浜「…………このトランクケース、ヒッキーの装備が入ってるの(チラッ)」
由比ヶ浜「………………いちおう置いてく。もし……、もしヒッキーの身が危なくなったら……」
川崎「…………あたしが守る」
由比ヶ浜「…………うん」
由比ヶ浜「……それの中に入ってる銃は無理だと思うけど、剣なら使えると思う」
由比ヶ浜「でも、危なくなったらまず逃げて」
由比ヶ浜「……ヒッキーを…………お願い(バッ)」
川崎(あ、頭下げなくても……)
川崎「…………うん」
川崎「…………………………命に代えてもあたしが守る」
由比ヶ浜「………………それじゃっ(ダッダッダッダッ)」
川崎(……結衣、泣いてた……)
川崎(もしかして…………(チラッ)」
八幡「………………」
──ピッ……ピッ……ピッ……
川崎(……そっか………………)
川崎「…………絶対に守るよ」
川崎「あんたがあたしを守り抜いたみたいに……」
川崎「…………今度はあたしの番……だね(ぎゅっ)」
八幡「………………」
川崎「……好きだよ………………八幡……………………」
八幡「………………」
[ ]
八幡(……………………………………)
八幡「………………………………声……………………………………?」
[防衛軍基地本部]
──ガヤガヤガヤガヤ
観測員「メ、メンシュハイトの反応消えました!」
司令官「またか!?」
司令官「……アメリカの軍は捉えていないのか」
観測員B「……どの国の観測機も捉えられていないようです」
海老名「……ヤバいですよーこれかなりヤバいです!」
司令官「どうした!」
海老名「対象のゼイレと思わしき波長がですね…………」
司令官「まさか…………」
──ガヤガヤガヤピタッ……
海老名「……韓国にて……観測されました………………」
海老名「…………数秒後に実体化すると思われます」
司令官「………………いよいよまずい状況になってきたなぁ……(グッ……)」
[病院]
──ビーーーーッビーーーーッ
川崎「な、なに?」
川崎(外から聞こえるけど何かの警報?)
窓「ガラガラッ」
──ビーーーーッビーーーーッ
アナウンス『推定1等級のメンシュハイトが日本に出現しました』
アナウンス『場所は、中国地方、鳥取』
アナウンス『繰り返しお伝えします──』
川崎「あ、ああ……嘘…………」
八幡「………………」
[比企谷家・リビング]
小町「…………(ジーッ)」
アナウンサー『ええ、メンシュハイトは上陸後北上を続け、現在は岐阜県に突入したところです(焦)』
アナウンサー『凄まじい速度で移動を続けています(焦)』
アナウンサー『このまま都心部へ進行する恐れがあり、国は──』
小町「…………(ジーッ)」
[ゲームセンター]
──ガンガンガンガン♪
戸部「っべー! 隼人くん今の警報聞いたっしょ!? アイツ静岡まで来てんだって! これマジで千葉来ちゃうんじゃね!?」
大和「そんな縁起でもないこと言うなよ……」
葉山(姫菜からメール……?)
葉山(ポチポチ……ポチ……)
葉山(「今すぐ避難して!」…………か)
大岡「これって避難とかした方がいいんじゃね?」
戸部「それな!」
大和「さすがに千葉には来ないと思うんだけどなぁ……」
大岡「念のためだって!」
戸部「………………海老名さん今どこいんだろ……(ボソッ)」
葉山「…………」
[防衛軍基地支部]
平塚「まっずいなぁ…………」
雪ノ下「どうされたんですか?」
平塚「静岡の東端でメンシュハイトの反応が消えたそうだ」
由比ヶ浜「ま、まさか………………」
平塚「…………千葉にやって来る可能性がおおいにある」
由比ヶ浜「そ、そんな……」
雪ノ下「わ、私たちはどうしたら……」
平塚「ゼイレの供給要員……くらいだな。比企谷がいないのではそのくらいしかできないだろう……」
由比ヶ浜「ヒッキー…………」
雪ノ下「……比企谷くん……」
[病院]
──ビーーーーッビーーーーッ
アナウンス『推定1等級のメンシュハイトが千葉県に出現しました』
アナウンス『県民の皆様は、落ち着いて、速やかに──』
川崎「そっそんな………………」
川崎「(チラッ)」
八幡「………………」
──ピッ……ピッ……ピッ……
書き溜めてた分は全部投稿したから次から更新の量は少なくなると思う
また明日の夜に…… ほな、また……
おつ
なぜオリジナルでやらないの?
>>135
ありがとう!
>>136
HACHIMANを書きたかったのと、八幡川崎も書きたかったから一緒に書いたンゴ……
[ ]
醜い。目に映る景色はどこを見ても異様で吐き気を誘う。
空は血を啜(すす)ったような深紅。建造物は内蔵で形作られたかのようで脈動(みゃくどう)している。
私は……何を…………。
脳の奥に霧がかかり、記憶を探ろうとすれば頭痛がした。
ああ、気持ちが悪い。
呼吸すらままならないほど空気が汚い。
私を取り囲む何もかもが、汚い。
──こんな醜悪(しゅうあく)なものは壊してしまえ。
私が腕を振るうと、周囲に立ち並ぶさながら臓器のようや建造物が弾け、飛び散った。
世界からすこし、汚物が減った。
私は世界を浄化させたのだ。
もっと、もっとこの世界から醜さを奪い、美しさを取り戻さなければならない。
私は必死に腕を振るう。
刻一刻と、穢(けが)れた空気は私の肺を蝕(むしば)む。
滾(たぎ)る魂の熱が冷めぬうちに、わずかでも目に映る不浄なすべてを取り除きたい。
その一心で私は進む。
つまめるほどの小さな輝く玉が、流星群のように私の体を捉(とら)えた。
この輝き……懐かしい。
そして、美しい。
暗く醜い世界でただこれだけが煌めいて、清々しい。
そしてまた光の群れは、数え切れぬほどに私へと吸い込まれる。
光の出所を見遣れば、人の形をとった異形の生き物が立っていた。
“それ”の構える何かから光は発生しているらしい。
なぜだろうか。もう体が動かない。
ただ、孤独な私の中には暖かな懐かしさがあった。
倒れる。気持ちの悪い地面へ体が打ち付けられる。
──いや、気持ち悪くなどない。これは……。
……これは、アスファルト、だ。
弱り、自己が薄れゆく中、異形な生き物を見上げる。
銃を手にした若い少女が立っていた。
もちろん、人の子だ。
朧(おぼろ)げな視界で空を見た。
白い瞬(またた)きが散らされた濃紺の空には、大きく輝く銀の月が浮かんでいた。
その空に違和を覚える。
私はもう眠ろう。
閉じた瞼はもう開くことがなかった。
↑俺ガイルに関係ない人物だから書き方変えたけど気にしないでええで
[病院]
──ドゴォォォン!
川崎「!?」
川崎(もしかして近くに来てるの!?)
川崎(ど、どうしよう……)
──ドタドタドタ!
女性「キャァァァァアアア!!」
女性「皆さん押さないように!」
男性「さっさと行け!(怒)」
子供「お゛母゛さ゛ぁ゛ぁぁぁん(号泣)」
川崎(え、もしかして避難してる?)
川崎(でも下手に動いたらどうなるか……)
川崎(それにピンポイントでこの病院の近くを通るとは思えないしじっとしておくべきじゃないかな……)
八幡「………………」
──ピッ……ピッ……ピッ……
──ドゴンッ!!
川崎(揺れ!? かなり大きい!)
川崎(もしかしてこの病院にめちゃくちゃ接近してる……?)
川崎「…………ッ」
──ゴン! ドン!
川崎(揺れが大きくて立ってられない…………。仕方ない)
川崎「(スタタッ)」
八幡「………………」
──ピッ……ピッ……ピッ……
川崎「ごめんっ!(ブチブチッ)」
川崎(点滴とか勝手に取るのはまずいのかもしれないけど、これがあると逃げられない!)
川崎「……ッ、よっこいしょ…………重…………」
八幡「………………」
川崎(ていうか筋肉すご…………(照)。防衛軍だから鍛えてるのか…………)
川崎(そんなことより! トランクケース!(ガッ)」
川崎(これも重い…………)
川崎(でも持って行かなきゃ…………(ズッズッズッ))
扉「ガラガラ」
川崎「(ズッズッズッ)」
男性「(ドカッ!)」
川崎「痛っ」
八幡「(ドサッ)」
トランクケース「ゴトンッ」
男性「邪魔だクソ女!」
川崎「……(憤怒)」
男性「ひっ(ダダダッ)」
川崎「ごめん…………」
八幡「………………」
川崎「よいしょ……」
川崎(背負い直すのも体力使うなぁ……。そうだトランクケースも……(ガッ))
川崎「…………(ズッズッズッ)」
[病院玄関]
川崎「はぁ……はぁ……」
川崎(どうにか外に出れた……)
川崎(いろんなとこで煙が上がってる……)
川崎(どこに逃げ──」
──ドガンッッ!!!
川崎「(グラッ!)」
川崎(やばっ、倒れそう!)
川崎「(バッ!)」
川崎(う、嘘……病院が崩壊して瓦礫が……(チラッ))
八幡「………………」
川崎「ごめんっ!(ひょい!)」
八幡「(ドサッ!)」
瓦礫「ドガァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!! …………」
[防衛軍基地支部]
由比ヶ浜「あ…………そんな………………」
雪ノ下「……………………ッ」
平塚「なぜよりにもよってあの病院を……ッ」
平塚「くそっ!」
由比ヶ浜「どうしよう…………ヒッキーも……沙希も……………………あぁ………………(ガクッ)」
由比ヶ浜「あの場に残さずに…………無理にでも基地に連れて来るべきだったんだ…………」
雪ノ下「……………………」
雪ノ下「…………そんな簡単に諦めてはいけないわ」
雪ノ下「2等級メンシュハイトに誰よりも接近したのにも関わらず死ななかった男なのよ…………」
雪ノ下「こんな簡単に死ぬはずない……」
平塚「…………」
雪ノ下「私は比企谷くんと川崎さんを信じるわ」
雪ノ下「私たちは今やるべきことをやりましょう」
由比ヶ浜「………………」
由比ヶ浜「…………………………うん」
平塚「…………私が行こう」
由比ヶ浜「えっ」
平塚「私ではゼイレの貯蔵は底が知れる。それに、現在指揮を執っているのは本部の奴らだ」
平塚「若者に混ざり微々たるゼイレを供給する人間がひとりいなくなったところで、戦況は変わらない」
雪ノ下「な、なら私たちもっ」
平塚「お前たちは残れ」
平塚「ではな…………(カッカッカッカッ)」
[ゼームセンター前]
大和「おっ、おい、すぐ近くに来てるみたいだぞ!(ダッダッダッダッ)
大岡「ほ、ほら! やっぱさっさと避難しとくべきだったんだ!(ダッダッダッダッ)
葉山「そんなことより走れ!(焦)(ダッダッダッダッ)」
戸部「んなわかってるべー!(ダッダッダッダッ)」
瓦礫「ドガァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!! …………」
大岡「なんだっ!?」
葉山「病院が……」
戸部「そんな……粉々に…………」
大和「……病院ってことは…………病人が………………」
大岡「そんなの気にすんな! 自分の命優先だ!」
大和「…………ッ」
戸部「…………ッ」
葉山「…………ああ、そうだ。まずは自分の命を最優先で守らなくちゃいけない(……グッ)」
葉山「だから今は走れ。人を助けるのは自分が助かった後だ……」
戸部「ああ」
大和「おう」
大岡「お、おう! それが正しい!」
[防衛軍基地本部]
観測員「対象、現在千葉で暴れまわってます!」
司令官「くっ……どうにかここで東京への進行を食い止めなければ…………」
司令官「もし東京にこの規模の被害があれば…………日本は機能しなくなるぞ…………」
──シーン……
海老名「あっ優美子?(ボソッ)」
三浦『なに?』
海老名「今何中?(ボソッ)」
三浦『……ゼイレの回復待ちだけど』
海老名「今千葉にメンシュハイトが来てるんだけど、メンシュハイトのそばに……」
三浦『……………………もしかして隼人?』
海老名「……うん。戸部くんたちと走ってる」
三浦『ちょっとその映像こっちに寄越して』
海老名「りょーかい」
[住宅街]
戸塚「えほっえほっ……」
戸塚(復興のお手伝いに来たのに……なにこれ………………)
戸塚(メンシュハイトが近くを通ったせいで通り道にあった大きな病院が………………)
戸塚(病院には怪我した人たちがたくさん………………助けに行かなきゃ……!)
[病院玄関・瓦礫下]
川崎「んっ…………」
川崎「いったぁ…………」
川崎(全身がズキズキする……)
川崎(比企谷は……!)
八幡「………………」
川崎「……よかったぁ…………」
川崎(背負ったままだと庇えないからとっさに地面に投げちゃったけど……なんとか生きてるみたい……)
川崎(あれ、瓦礫に埋もれてるはずなのにそんなに重くない……それに光も…………)
──ガバッ!
川崎「うっ……まぶしっ……」
戸塚「川崎さん!?」
川崎「あ、とっ戸塚?」
戸塚「うわぁ傷だらけ……。今出してあげるからもう少し頑張って! よいしょっ!(ドカッ)」
川崎「う、うん……」
川崎(そういえば体が動かない…………瓦礫に挟まって動けるスペースがないんだ……)
川崎(戸塚が来てくれてなかったらどうなってたか……)
戸塚「よ……っ(ドカッ)。……出られる?」
右手「スッ」
川崎「……ん(コクッ)(ガシッ)」
川崎(んしょ……っ。出られた!)
川崎「ね、ねぇ、下に比企谷が!」
戸塚「えっ(バッ)」
戸塚「はっ、八幡!」
八幡「………………」
川崎(八幡…………)
戸塚「川崎さん、僕じゃ力不足だから一緒に引っ張り出して欲しい」
川崎「わかった!」
川崎・戸塚「「よいしょ……っ、よいしょ……っ、よい……しょっ!」」
八幡「(ズズズ……)」
川崎「け、怪我はない……よね。良かったぁ……(ぐだっ)」
戸塚「でも川崎さん……川崎さんの体……」
川崎「…………いいよ。あたしは」
川崎(破片で身体中切っちゃったけどこのくらい……)
川崎(アドレナリンだっけ。それのおかげであんま痛くないし)
川崎「あれ(グラッ)」
戸塚「あっ、危ない!(ガッ)」
川崎「……あ、ありがと…………」
戸塚「無理しちゃダメだよ……。メンシュハイトはまだ近くにいるけどもう戻ってくるとは思えないからここで八幡と休んでて」
川崎「うん……」
戸塚「それじゃ(タッタッタッ)」
川崎(他の人を助けに行っちゃった……)
川崎(それにしても……よく潰されて死ななかったなぁ……(チラッ)」
川崎(ああ、病院、完全に崩壊したんじゃなくて上の方が崩れちゃっただけか……)
川崎(不幸中の幸い、か)
平塚「川崎!」
川崎「平塚先生!? どうしてここに?」
平塚「お前……その傷…………」
川崎「あたしは大丈夫です」
平塚「そうか……比企谷は?」
川崎「大きな怪我はしていないですね……」
平塚「はぁ……心配かけさせて……」
──ピピピピピ
平塚「失礼」
川崎「いえ」
平塚「はい。こちら平塚。…………な……っ! では近隣の…………いや、しかし……………………………………」
平塚「………………了解しました」
川崎「…………どうかしました?」
平塚「………………奴の進路上に大規模避難所がある…………」
平塚「……避難所は最高でも2等級までを想定して作られた建造物だ」
平塚「…………」
川崎「じ、自衛軍の人は!?」
平塚「…………あのメンシュハイトを追って、衝突のたびに壊滅させられている…………」
平塚「あのメンシュハイトが大規模避難所へたどり着く前に駆けつけられる隊員は……私と……」
平塚「…………比企谷しかいない」
続きは明日の夜に…… ほな、また……
サンクス!
>>155
自衛軍ちゃうくて防衛軍ンゴ……
川崎「で、でも……比企谷は…………」
川崎「先生じゃどうにかできないんですか!」
平塚「……ゼイレが衰え始めた私では到底戦力になり得ない」
平塚「…………だが、行かない理由にはならないな」
平塚「できないからやらないなど、そんな無様な姿は晒さない」
川崎「それなら行っちゃダメです……! そんな命を無駄にするような……」
平塚「……無駄ではないさ」
平塚「仮に私が死んだとしても、それは意義あるものだ」
平塚「ちょうど装備もあるようだし……(チラッ)」
平塚「借りるぞ、比企谷(ガチャガチャ)」
川崎「あ…………」
平塚「こいつは……なかなか食うな。数分持つか……?(シュッ)」
平塚「ではな」
川崎「待ってください!(ガバッ)」
平塚「…………待てないさ。私はあいつを止めなければならない(バッ)」
川崎「ッ」
平塚「……(ダッダッダッダッ……)」
川崎「嫌だ……どうして…………」
[防衛軍基地本部]
観測員「だ、誰だ!」
司令官「……。なぜ大人が単身で向かっているんだ……あれでは………………」
海老名「…………先生……なんで…………」
司令官「たしか付近にあとひとり学生がいただろう!」
海老名「彼は2等級のメンシュハイトとの交戦で昏睡状態にあります……戦えるような体じゃ…………」
観測員B「くっ、援軍はまだか……これでは間に合わない…………ッ」
すまんちょっと忙しくて書けなかった
あしたまた続き書くで
二次創作に文句て
信じられないくらいバカか
>>161
どうしてもサキサキの人には見劣りするんで・・
言い訳なんだがSS初投稿だからすこし大目に見てや……
>>166
参考までにその作品教えてクレメンス
あの人後半くどくなるから読まなくなったな
八幡「初詣?」小町「うん!」
八幡「三つの謎?」
あと「しっぽ?」「見た?」ってやつはまだ続いてるんじゃないかな
八幡「なんだ、かわ……川越?」沙希「川崎なんだけど、ぶつよ?」
八幡「クリスマスイベントが中止?」
この2つでアドリア海のエースになった人
結局好みが別れるから好きなのだけ読んどけっつーことだね
[病院玄関]
川崎「ぁぁ………………」
川崎(どうしたら……………………)
川崎(………………)
川崎(………………ああ、そうだ。あまりのことで忘れてた)
川崎(あたしはこいつのことを守らなきゃいけない)
川崎(大人数の命をどうこうしようなんてあたし程度が考えたところでどうにもできないんだ)
川崎(……とにかく安全な場所へ…………)
川崎「……っ、よいしょ…………」
川崎(……………………遠くへ…………)
[千葉大規模避難所]
──ゴォォォオオオン!
民衆「うわあっ」
民衆「きゃー」
大志(やっぱ姉ちゃん携帯とらねぇ…………(チラッ))
大志(姉ちゃん以外は家族みんな避難できたのに……)
大志(どこかに避難できてたらいいけど……)
[商店街]
川崎「(ズキンッ)痛…………っ」
川崎「はぁ……はぁ……」
川崎(身体中が痛い……。さっきまでは気にならなかったけど、結構きつい……)
川崎(人気(ひとけ)がないし、2割くらいの建物が崩壊してる。心細くて気力もどんどん削がれる……)
川崎(足も頭も痛い。全身がズキズキして一歩踏み出すのが辛い)
川崎「はぁ……はぁ……はぁ……」
川崎(それでも歩かないと…………こいつは、あたしが守るんだ…………)
八幡「…………か…………わ……さき………………」
川崎「!?」
八幡「…………下ろして……くれ……」
川崎「だっダメ! 今はとにかく逃げなきゃ……」
八幡「…………とりあえず、俺を置いて……携帯を見ろ…………」
川崎「…………なんで?」
八幡「……ずっと鳴ってたぞ。家族からじゃねぇのか」
川崎「っ!!」
川崎「…………一旦下ろすね」
八幡「ああ……(ドサ)」
携帯「ポチポチ……」
川崎「っ…………」
川崎(本当だ……何回も家族から電話が…………)
川崎(大志の留守電がある……聞いてみよう(ポチ)」
大志『もしもし姉ちゃん? 俺ら商店街の奥にある大規模避難所に来てる。もしこの留守電聞いたら折り返──』
川崎「嘘………………」
八幡「(ジッ……)」
川崎「嘘…………嘘……………………」
川崎「(クルッ)」
川崎(大志たちが…………あそこに…………?)
八幡「どうしたんだ川崎」
川崎「………………」
川崎「大志たちが…………あそこの大規模避難所にいる…………」
八幡「………………」
川崎「大志も京華も……家族が……みんな…………」
川崎「そこに……1等級のメンシュハイトが…………向かってる……。でも、あの施設は………………最高でも2等級までを想定してるって…………だから……………………」
川崎「だから…………………………」
川崎「あああぁぁぁぁああああ……………………(ペタン)」
川崎(もう……何も考えられない…………)
川崎(大志が…………みんなが…………死んじゃう……………………)
川崎(終わりだ…………なにもかも………………終わりだ…………………………)
川崎(なんで…………どうしてあたしはこんなにも無力なの………………)
川崎「なんでっ……………………(ポロポロ)」
八幡「………………」
川崎「うっ………………うぅ………………(ポロポロ)」
八幡「………………」
川崎「みんなぁ…………あぁ……ひぐっ…………(ポロポロ)」
八幡「………………」
川崎「ごめん……えほっ……うぅ……………………ごめんなさい…………(ポロポロ)」
八幡「…………ッ」
八幡「………………(グググッ)」
川崎「んふっ、えほっえほっ…………うっ、あぁ…………(ポロポロ)」
八幡「……(スタ……スタ……)」
川崎「……ひぐっ…………うぅ…………うっ(ポロポロ)」
八幡「(ピタッ)」
八幡「川崎(ポンポン)」
川崎「うぐ…………んっ……?(ポロポロ)」
八幡「心配しなくていい……」
八幡「しばらくここにいてくれ」
八幡「……俺があいつを…………ぶっ倒す」
[病院前]
戸塚「あれっ、八幡!? 動いて大丈夫なの?」
八幡(瓦礫の下敷きになったぽい人が広い場所に座らされてる……。この全員を戸塚が……?)
八幡「ああ。なぁこのあたりでトランクケース見なかったか?」
戸塚「あれじゃないかな。落ちてた荷物はあそこに集めてあるから、あっちに置いてなかったらわからないな」
八幡「助かるぜ戸塚」
戸塚「いいよいいよ。それよりどうしてトランクケース?」
八幡「ちょっとな」
八幡(あった……!)
八幡(平塚隊長がなんかガチャガチャやってたが俺の刀だけ持ってったのか……)
八幡(先生のゼイレを考えると、武器と同時に装備の機能まで使えないからな……)
八幡(とりあえずこれを装着してっ(ズババッ)」
戸塚「えっ……」
八幡「よし!」
八幡(システム起動)
八幡(…………よし、ゼイレはある程度吸っただろうから補助を作動させて……)
八幡「待ってろ……!(ダダダダダダダダッ!)」
戸塚「えっ? えっ!? 八幡!?」
[千葉大規模避難所付近]
平塚「くっ…………」
メンシュハイト「…………」
八幡「隊長!(ダダダッ)」
八幡(一帯が瓦礫の海だ……。
平塚「比企谷!?」
八幡(あれが例のメンシュハイト……)
八幡(……ただの子供にしか見えねぇ)
八幡(……とりあえずは隊長を回収だっ(バッ))
平塚「うおっ、な、なにを!」
八幡「安全な場所へ(ダダダッ))
平塚「お前っ、まさかアレと戦うつもりか!」
八幡「…………(ダダダッ)」
平塚「…………ふっ、そうか。…………私はもう限界が近くてな。替わりが欲しかったところだ」
八幡「間に合ってよかったです…………」
平塚「ああ本当にだ。あと数分もすれば判断力が完全に鈍ってやられていたな」
八幡「戦闘員を引退したのに無理するからですよ」
平塚「……その通りだ」
八幡「(スタッ)。隊長はここにいてください。武器は持って行きます」
平塚「……ああ」
平塚「…………ひとつ、いいか。奴の行動パターンだが」
平塚「『読みやすい動き』の一言だ。けれども、勝てない。次にどうくるかわかっていても、力の差がありすぎて対応しきれない」
平塚「こちらで相手の動きをコントロールしようとも、避けるのに精一杯でどうにもできなかった……」
八幡「……わかりました。それじゃ、休んでいてください」
平塚「ああ……任せたよ」
八幡「はい(ダッ)」
しばらく忙しくて続き書けなさそう……
すまん
助かる
──
「昇進、本当におめでとう。だが、適度に体を休めるように。無理して好転することは何もないからな」
「…………休みたい気分じゃないんで」
「……………………」
「…………メンシュハイトとはどこから来るのか、ゼイレとは何か、考えたことはあるだろう?」
「まあ、そうですね。…………質問の焦点は……判明していない部分、であってますか?」
「そうだ。正確には……」
「判明してるんですよね」
「…………ああ」
「もう10年も経ってます。サンプルが不足しているようなことはないはず」
「いつまでも自分の敵も武器も知らないままでいられないでしょ」
「人間は臆病だからな……。恐怖を前に目を閉じるか、怯えぬよう根を暴くか、あるいは己を欺くか……。そうして安らぎを得る」
「…………此度の人類は、真実を求めた」
「…………まぁ、みんなうすうす気づいてますよ。その真実ってのに」
「…………」
「あんな間近で死体を見て、メンシュハイトがいかなる生物なのかわからないはずがない」
「……人から生まれる強大なエネルギーのありかを察せないはずもない」
「…………おそらく、私は還暦どころか中老にすら届かないかもしれない」
「……」
「……歳を重ねるごとにわかってしまうんだよ。もうすぐそこまで終わりが迫っていることが」
「そして君は……このままなら、今の私の歳と並ぶことなく尽きる」
「…………」
「……休息は必要だ」
「………………ではな」
「………………もう、人類に休んでる暇はないですよ」
「…………」
──
時間はかかるけどしっかり完結させるで
ほな、また……
すま上げるわ
[千葉大規模避難所前]
海老名『リンクできた。ゼイレ供給開始します』
海老名『15分後に日本防衛軍が駆けつけるからそれまではなんとか持ちこたえて!』
八幡「了解」
八幡「……戦闘、開始する(ダッ)」
海老名『…………なんか私がサポート頼まれたから詳細話すね』
海老名『対象の身長は140センチ程度。小柄。歩行速度は日本人平均以下だけど、だいたい1時間おきに数キロから数百キロ転移する』
八幡「なんだよそれやべぇな……。運良く避難所に着く前に転移しねえの?」
海老名『これまでのパターンから次の転移は30分から40分後。残り時間と進行方向から……確実に避難所は通過する』
八幡「…………」
海老名『攻撃方法は、接触した物質の爆破。物体と接触した部分だけが爆破してるみたい。自身に対する爆破のダメージはおそらくないかな』
八幡「普通に歩いてるように見えるけど足裏は攻撃通るのか?」
海老名『うーん………………。足裏への攻撃はまだ確認されてないから試す価値はあるかも』
八幡「了解」
八幡「平塚先せ……隊長の話だと普通に戦って勝てるとは思えないんだが。何か対抗策は立ってないのか?」
海老名『研究チームが検証中。今がってる案で一番現実的なのは……ゼイレ枯渇を狙う、とか』
海老名『正直それ以外の案は、検証のしようがなくてね…………』
八幡「じゃあそれで行くわ。ついでに今俺が検証出来そうな案を伝えてくれ」
海老名「わかった。それじゃ……」
[比企谷家]
リポーター『先ほどの青年が戻ってきました! 女性隊員から受け取った刀状の武器を持って駆けていきます!』
ニュースキャスター『彼ひとりで大丈夫なんでしょうか……』
ニュースキャスター『……あ、はい。はい。…………大規模避難所から、住民がでてきたとの報せがありました』
ニュースキャスター『避難所の出入り口は小さいですので全員が退避するまでかなりの時間が……』
小町「え…………」
小町「…………(ダダダッ)」
小町「……お兄…………ちゃん…………?」
[大規模避難所]
男「さっさと行け!」
女「はやくして!」
男「テメェ押すんじゃねぇ!」
女「子供が!」
男「黙れ!」
女「みなさん落ち着いて!」
男「止まるんじゃねえぞ…………」
大志(くっ、自己中なやつらばっかりだ! 自分を優先する人間が多すぎて施設外への排出が非効率的になってる)
大志(こんな圧迫されちゃ、小さい子供じゃなくても圧死する!)
大志「……ッ」
大志(姉ちゃんはいないんだ……)
大志(俺が……家族を守らなきゃ……)
[防衛軍基地支部・休憩室]
由比ヶ浜「疲れた……。休憩室に来るのも一苦労だね…………」
雪ノ下「ええ……」
由比ヶ浜「どうしよう……。ヒッキー無事かな……」
雪ノ下「隊長が向かったのだから……きっと、大丈夫よ。それに、川崎さんもいるのでしょ?」
由比ヶ浜「うん……だけど……」
三浦「ちょっ、ふたりとも!」
由比ヶ浜「あっ優美子」
雪ノ下「私もかしら」
三浦「あのモニター!(ずびしっ)」
雪ノ下「……………………ッ」
由比ヶ浜「……………………どうして、ヒッキーが……」
ほな、また……
[大規模避難所前]
1等級メンシュハイト「……(てくてく)」
八幡「対象に最接近……第一撃、仕掛ける(ダダダッ)」
海老名『……んっ!』
八幡(左足を地面から離した瞬間に、地面すれすれから斬り上げる)
八幡(…………ッ! 今!(シュッ)」
──キン……ッ!
海老名『避け──!』
──ドンッ!!!
海老名『……比企谷くん!!』
八幡「…………」
八幡「(ガバッ)…………回避成功した。俺は大丈夫。しっかし硬え……」
八幡「それに爆発の威力やべえし……。もろに食らったら体の5、6割は持ってかれそうだ」
八幡「……」
1等級「……」
八幡「……メンシュハイト、ノーダメージっぽいわ」
海老名『……そうだね……。比企谷くん、相手が臨戦態勢に入る。気をつけて』
1等級「(クルッ……)」
八幡「……おう」
八幡(次は顔面に……!(シッ!))
──ドンッ!!!!
八幡「っぶね(ゴロン)」
1等級「……(スッ)」
海老名『離れて!』
八幡「(ザッザッザッ)」
──ドドドドンッ!
八幡(……! 爆風に押される……)
八幡(立て直して……攻撃再開だ)
八幡(次は眼球!(ダダダッ)(ザンッ!)」
メンシュハイト「…………」
八幡「……ッ」
八幡(サイドステップで回避!(ササッ))
──ドンッ!!!!
八幡(次は首筋!(シュッ!))
──ドンッ!!!!
八幡(次は……、……ッ! 爆風で舞った粉塵の向こうから手が……反撃か)
八幡(傍を走り抜けて回避っと)
八幡(今度はアキレス腱!(シュッ!)同時に攻撃範囲から離脱(サササッ)」
──ドンッ!!!!
八幡(攻撃の強弱で爆発の大きさが変わってるわけじゃないな)
八幡(次は側頭部だ(シッ!))
──ドンッ!!!!
八幡(攻撃箇所でも爆発の大きさに影響なし……)
八幡(ゼイレを込めたらその分大きくなったりしないのか?)
八幡(一度退避しよう(シュシュシュシュッ))
1等級「…………」
八幡(追っては来ない……か)
八幡「海老名さん」
海老名『……』
八幡「海老名さん!」
海老名『……あっ、はいはい。ごめんね。……ちょっと戦闘のレベルが高くて呆然としてた……』
八幡「…………。いま打ち込んでみた感じ、攻撃の強弱で爆発の大きさに変化はなし。次はゼイレの出力変えて攻撃してみる」
海老名『了解。もしゼイレの量を増やしてありえないくらいの大爆発とかすると危険だから慎重に』
八幡「ああ(ダダダダダッ)」
八幡(こいつ、平塚隊長の言った通り読みやすい攻撃だ(シュッ)」
──ドンッ!!!!
八幡((ゴロンッ)だけど一撃でももらえば最悪戦闘不能になる)
八幡(爆風で飛び散る瓦礫も洒落にならない威力だ。デカイのが直撃すれば痛手を負うかもしれない(ザシュッ))
──ドンッ!!!!!
八幡(攻撃を当てること自体は容易。そのかわり、攻めきれない)
八幡(こいつが反撃のペースを上げるようなことがあれば、致命傷は避けられても手傷は増え続けコンディションは悪化し続ける)
八幡(そして……対応しきれなくなる)
八幡「……ッ(ヒュッ)」
──ドンッ!!!!!!
八幡(一度離脱しよう(ザッザッザッザッ))
海老名『……ゼイレの出力と爆発の規模、比例してる』
八幡「みたいだな」
海老名『そういえば、検証できそうな案なんだけど……』
海老名『鞭か輪っか状の武器持ってる?』
八幡「いや」
海老名『うーん、そっか』
八幡「それってどういうのに使うんだ?」
海老名『メンシュハイトを縛るか、体の一部にはめて、武器の耐久値が尽きるまで半永久的に爆発させ続ける……っての』
海老名『これまで比企谷くんほど接近した兵がいなかったから試すなら今がチャンスかなって』
八幡「……無理だろ」
海老名『……やるだけやってみたいじゃん?』
八幡「てかそんなハメ技みたいな案の立案者誰だよ絶対ゲーマーだろ」
海老名「えー……立案者は………………小田くん、だね」
八幡「モンハン野郎…………」
八幡「次は」
海老名『えー、まず、落とし穴に落とす。落下して地面にぶつかる時にメンシュハイトは爆発。それで穴が広がって、また落ちる。地面に衝突した瞬間に爆発。穴がまた広がって……って、爆発の連鎖を使ってエンドレス採掘地獄……とか』
海老名『これは一度試そうとしたんだけど、メンシュハイトが落とし穴にたどり着く前に転移しちゃって…………』
八幡「……また似た手の案だけど…………」
海老名『うん…………これは田原くん…………』
八幡「モンハンコンビいい加減にしろよ。それよりあいつらも防衛軍だったのかよ」
八幡「でもまあ……どっちも悪くはねえけど。……実現は難しいな」
八幡「小田の案は手持ちがなくて無理。田原の案は地震を引き起こしそうでリスクが高い。こっちも無理だ」
海老名『じゃあ……口の中を直接攻撃するってのは?』
八幡「あー、やってみる」
海老名『ほかに目、鼻、耳、肛門、とか』
八幡「目はやったけど他と変わらなかったぞ。多分粘膜への攻撃はそんな関係ないかもしれないな」
海老名『そーかもだね……』
八幡「まあ試すだけ試すしかねえな(ダダダダダッ)」
ほな、また……
[防衛軍基地本部]
八幡『ダメだわ。やっぱ攻撃通らねえ』
八幡『ほかに試せそうなのは?』
海老名「ごめんほかにはもう……」
八幡『……了解』
海老名「こっちでもっと調べてみるね」
八幡『このペースだと……』
海老名「……わかってる」
八幡『それじゃ(プツッ)』
司令官「……海老名隊員……彼が、君の言っていた『昏睡状態にあった隊員』、で間違いない……のか……?」
海老名「…………はい。1か月近く目を覚まさなかったはずなんですけど……」
観測員「……寝起きにしては動きがよすぎる」
観測員B「あっ、彼が比企谷くんか!?」
観測員C「比企谷?」
伝達員「最近昇進しまくってたあの……」
観測員C「オーストラリアの生き残りってこの子だったのか……」
司令官「…………今日までの期間で、あの時受けた傷が完全に癒えたとは思えない。それでこの実力か……」
観測員「彼のおかげで足止めはできていますが、このままだと…………転移前に…………」
司令官「……ああ。…………援軍が来るまでは彼に耐えてもらわなければならない……」
海老名「比企谷くん……」
あ
↑なぜか書き込めなかったからテストで送信した
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira147085.jpg
ほな、また……
乙
絵もいけるじゃん!待ってるぜ!!
まてや、絵もいけるんならRきて挿絵込みのハチサキ書いてくれ
>>220
サンクス!
>>221
エロ絵描かないから描けないねん……すまんな……
すまんまだかかりそう
相手の動作は単純だ。ゲームで言うなればイージーモードだろう。
つまりはそれほどに、容易い戦闘だ。だが、勝つことができないのだ。
デザートイーグルを乱れ撃つ子供に、殺傷能力を欠いたおもちゃの剣で挑んでいるようにさえ思えた。
回避をわずかでも誤れば、身体は欠ける。折悪しく命を落とすこともあり得るだろう。
それでも、こちらは相手に同等の被害を与えることはできないのだ。
一方的な戦いは切り立った崖の淵で踊っているようなもので、俺はそれを必死になって先延ばしにしている。それが現状だ。
「比企谷くん! 対象のメンシュハイト、進み始めた」
メンシュハイトの攻撃をかいくぐっていると、通信機から海老名さんの言葉が聞こえた。
その声に返すことはない。彼女の話したことは、この場にいる俺が誰よりもわかっている。
対象のメンシュハイトは、はじめこそ忌々しげに俺を相手取っていた。
つい数分前、なにかの区切りでも迎えたように変化は訪れた。
時が経つにつれて動きはおざなりになり、俺に対する興味を失い始めていたのだ。
メンシュハイト一体とこれほどの時間戦闘したことがなかったために、対象の変化を予測できなかった。
海老名さんの様子から、それは指示を出す本部も同じようだった。
まだ進路上の退避が終わっていない。引くことはできない。だからといって頼んで止まってくれるような相手ではなかった。
なにかしらの被害を承知で他の案を試すしかないのだろうか。
案のひとつにあったエンドレス採掘地獄が可能ならば、足止めになるだろう。
この案のリスクでもっとも大きなものは地震の誘発。次に爆発の衝撃による周辺の建造物崩壊。
もしかすると後者も前者と肩を並べるほどに危険性がある。
避難所は衝撃に耐えうるとしても、周辺の民家は再起不能な損害を受けてしまうかもしれない。加えて、地形が変わってしまい、町が致命的な損害を被る。
そうなったとき、俺は責任を取りきれない。何千人、何万人の生活を保障するなど到底できない。
ここで対象を地下深くへ誘えば、多くの県民の帰る場所は奪われる。そしてその数の何倍もの人は被害なく救われるだろう。
ここで避難の方を促し対象を見逃せば、この地域の損害は抑えられる。そして転移先のどこかの誰かが大勢死に、帰る場所を失う。
俺には選べない。誰かに責任を押し付けたとしても、心の奥深くに杭となって残り続ける。果ては責任を負いきれずに自ら命を絶つことになるだろう。
防衛軍に身置いたときにはすでに、この末路が彼方で待ち構えていたのだろうか。
俺は初めからまちがっていたのだろうか。
「はぁぁぁあああっ!!」
剣先が鈍る。それでも結果は変わらない。相手に傷はなく、爆発が起き、俺はそれを避ける。
着々と歩みは進み、まだ避難の終わらない大規模避難所が迫る。
何度もなんども斬り込み、爆発を交わし、また斬り込んで、交わす。
歩みは止まらない。
攻撃と回避の回転数を限界まで上げる。意識が飛びそうになるほどの集中のなか、斬ることと避けることのみを頭に浮かべ動き続ける。
「焦らないで比企谷くん!」
思考を捨てた。いや、考えられなくなった。
己が原因で多くの人が死に至る。その事実が恐ろしく、身を押し潰そうとする重圧を打ち砕くべく無心で剣を振るっていた。
俺が対象の正面に斬りかかったときだった。
不意に、メンシュハイトの口元がほんの僅か緩む。
咄嗟に後方へ飛ぶが、メンシュハイトは踏み込んできた。
「──テメェ……謀ったな!!」
待っていたのだろう。俺を確実に仕留められる「その時」を。
注意力を欠いた俺はついにその時を現実にしてしまった。
無邪気な笑顔が近づいてくる。
鬱陶しい蝿をようやく仕留められるというような、悪意のない笑顔。
でも、これでいいのかもしれない。
俺は頑張った。本当に、これまでにないくらいに頑張った。誰も責めることはないだろう。
殉職した数多くの仲間と同じように、数ある死のひとつとしてひっそりとどこかに記され、それで終わる。
そんなものだ。
諦観の念にも似た卑屈な言葉を並べていると、それは見えた。
「────」
駆けてくる女性と、なにかを叫ぶ少女。
どちらの影も遠く精彩な輪郭は見てとれない。
でも、俺にはわかる。
なにを思い駆けているのか。
なにを思い声を上げるのか。
わかる。わかるから、わかってしまったから、俺は歯を食いしばり、身をよじった。
ふたりの悲痛な顔は、俺自身に身を裂くような痛みを生じさせた。
だから、避けられない攻撃から逃れるべく、全身全霊で右へ踏み込んだ。
メンシュハイトが俺の胸をめがけての伸ばした手は、すんでのところで軌道を外れ、俺の左肘に触れる。
下半身はいまだその場に残っている。このままではメンシュハイトが直撃し、下半身は吹き飛ぶ。
そのとき、俺の左腕は弾けた。
爆発の衝撃は、体をよじったために不安定な体勢だった俺の体を、軽々吹き飛ばした。
不幸中の幸いだな。腕を失ったおかげで、両足は健在。
うつ伏せになった体を起こしながら、剣を握ったままの右手の甲を左腕の肩口へと当てる。
ゼイレにより瞬時に熱せられた手袋は肉を焼き、無理やり傷を塞いだ。煙とともに顔を背けたくなる悪臭が鼻をつく。激痛にも顔をしかめるが、どうにも笑みがこぼれてしまう。
「…………決まったと思ったか? ……残念。あいにく、俺はまだ立てる。そして、もうお前に隙を見せる気はない」
なぜだか、俺は清々しいほどにすべてがどうでも良くなった。
先ほどの諦観とはまるで違う。後先を考えずにことを成せる、いわば勇気のようななにか。
「……」
「彼女にかっこ悪いところは見せられねえんだ。…………だから俺は死なない。そしてお前はここで[ピーーー]」
こっちの方が伝えやすいから書き方変えたで 読みづらいなら書き方戻すから言ってクレメンス
まだしばらく忙しいから次の投稿も時間が空きそう
ほな、また……
了解やで
気付いたら来てたわ!乙!
地の文も読みやすいし俺はあったほうわかりやすくていいと思うぞ
[大規模避難所付近]
──ドン!!!!!
海老名「比企谷くんその調子!」
八幡「何がその調子だよ片腕持ってかれたんだぞ!」
──ドン!!!!!
海老名「あはは、いやぁ……。圧倒してるからさ、つい……」
八幡(圧倒と呼ぶのはいささか大袈裟すぎるが、優勢であるのは事実だ)
八幡(優勢といっても、相手は被害をほぼ受けていないだろう)
八幡(足を止められているわけだからいいのか?)
海老名「でも、どうしてメンシュハイトはいきなりやる気出したんだろ」
──ドン!!!!!
八幡(なんで戦闘中にこんな会話してんだよ……)
八幡「怒ってるんじゃねぇのか? 目障りな虫を『絶対に仕留められる』って状況で逃しちまったんだからな」
海老名「虫って……」
──ドン!!!!!
八幡「そんなことより応援はまだか? 相手が気変わりしなけりゃ、俺が動けなくなるまではここでやり合ってくれそうだが……」
──ドン!!!!!
八幡「やっぱ片腕はきついな。体力の消耗が思ってた以上にくる」
海老名「そうだった! えーっと…………」
海老名「……はい、わかりました(ボソッ)」
──ドン!!!!!
海老名「比企谷くん、あと5分。どうにかそれだけはどうにか持ちこたえて……!」
海老名「5分後には、応援部隊が到着する」
八幡「…………。わかった」
平塚「比企谷!」
八幡「はい!」
八幡(もう追いついたのか……)
平塚「私が補助に回る。手袋を寄越せ!(ダダダッ)」
八幡「わかりました」
八幡(隊長もかなり疲労しているはずだが、さすがにこの怪我でひとりは厳しい)
──ドン!!!!!
八幡(装備は手だけでも独立して機能する。硬化や温度調節の機能で、攻防のサポートがが可能だろう)
八幡(あくまで俺がメインか)
八幡(よし、これで……(ヌギヌギ)」
八幡「隊長!(ポイッ)」
平塚「よし、受け取った! 行くぞ比企谷!」
八幡(ん? どういうことだ。なぜ平塚の両手に手装備が?)
八幡(俺の吹っ飛んだ腕から回収したのか)
八幡(相変わらず仕事が早ぇ……)
八幡「わかりました! とにかく5分耐えれば応援が来ます」
──ドン!!!!!
平塚「私も聞いている。……なんとしてでも、奴をここにとどめるぞ」
[大規模避難所出入口]
──逃げ惑う民衆のざわめき
戸部「っべーっ! せっかく避難したのにまた避難とかマジしんどいわ! てか人多すぎだべ(ダッダッダッダッ)」
大岡「メンシュハイト? がすぐそこまで来てんだ! 喋ってる暇なんてないぞ! とにかく走れ!(ダッダッダッダッ)」
葉山「(チラッ)……ッ(ダッダッダッダッ)」
葉山「なっ!?」
葉山(…………馬鹿な。…………今、向こうで戦っているのは………………)
葉山「………………比企谷……なのか? それに、先生…………(ボソッ)」
大和「どうした!?(ダッダッダッダッ)」
葉山(そうか、ふたりとも防衛軍だ。戦っていてもおかしくはない)
葉山(だけどあれは……1等級のメンシュハイトだろう)
葉山(人類は2等級にも及ばないというに勝てるわけがない)
葉山(それを、たったふたりだけでどうにかしようなんて………………)
戸部「葉山くん?(ダッダッダッダッ)」
葉山「…………」
葉山「…………」
葉山(………………俺は…………)
文体ころころ変えるとあれだし後はこのまま書くわ
>>238 サンクスやで!
[比企谷家・リビング]
小町「いやああっ!! 嘘っ…………」
小町「腕が…………お兄ちゃんの……腕が………………」
小町「あああぁぁぁぁ………………」
ニュースキャスター『青年が果敢に立ち向かっていきます! 信じられない……腕を失ってもまだ戦えるんですか…………』
防衛軍幹部『なんという精神力だ……』
小町「嫌っ……嫌っ…………」
小町「お兄ちゃんが死んじゃう………………」
小町「……だめ…………死んじゃ嫌っ…………(フラフラ)」
小町「小町が…………止めないと…………(パタッ……パタッ……)」
小町「お兄ちゃん…………」
ほな、また……
[住宅街]
相模「助けて……誰か…………」
相模(建物に逃げ込むようにって、テレビで言ってたから家に逃げたのに……)
相模(家が崩れるなんて……聞いてない……)
相模「誰か…………」
相模((バタバタ)……やっぱり動けない……。暗い…………怖いよ…………。嫌だ……死にたくない……)
相模「誰かっ……あああぁぁぁ……………………助けてよっ…………」
相模(よりによって家に誰もいない時に…………。もうだめだ…………このまま死ぬんだ…………)
相模「…………死にたくない…………」
──ガチャ……ガチャ……
相模(人?)
???「声がしたような…………」
相模(人だ! 誰かが近くにいる!)
相模「……った、助けて! ここ! ここに居る!」
???「!!」
???「ここか……(ドカッ、ドサッ)」
相模(ああ……あぁ…………)
???「はあ、はあ……やはり、日頃の運動不足が…………」
???「弱音は言ってられないでござる……!」
相模(………………ござる?)
???「ふん…………っ!(ドカッ)」
???「はぁぁあっ……はぁぁあっ……はぁぁあっ……」
相模(……なんか、息切れすぎじゃない? あ、そうか……確実に家は半壊……それだけの量の瓦礫が私を覆ってる)
相模(聞こえる限りだと彼はひとりだけ……。彼だけで瓦礫に埋もれたうちを助け出せるの……?)
???「はぁぁぁぁあああ……はぁぁぁぁあああ…………これで………………」
相模「あっ…………」
相模(光が………………)
???「いた…………!」
相模「あ、あんた…………」
???「!?」
相模(名前なんだっけ……顔はわかるんだけど……)
材木座「細かいことはいいでござる! さぁ、我の手を掴んで……(スッ)」
相模「…………」
相模(仕方ない……)
相模「(コクッ)……。(ガシッ)」
そういや材木座ってござるとか言わんなミスったわ
[大規模避難所出入口]
葉山「押さないで! 無理に出ようとすればそれだけ詰まります!」
葉山「スムーズに出られるようになるべく整列してください!」
葉山(すでに圧死で十数名が命を落としている。みんなが自分を優先しているせいだ)
葉山(もっとも先に逃すべき、力の弱い高翌齢者や子供が力負けして出られない状況になっている)
葉山(そういう俺も人を押しのけて外に出たんだ…………)
大和「なにしてんだよ!?(ダッダッダッダッ)」
葉山「戻ってきたのか……」
葉山「誘導をしてるんだよ」
大和「なんでそんなことを? 急いで逃げないとどうなるか……」
葉山「……この場が荒れればそれだけ関係のない人が死んでしまう」
葉山「俺たちも見ただろ。出口にたどり着く前に倒れてた人。まだ生きてたかもしれないのに、みんなが自分を優先するあまり、彼の体を加減もしないで踏みつけていった」
大和「…………でも、まずは自分の身の安全を確保しないと……」
葉山「ああ、そうだ。俺が3人にそう伝えた」
葉山「……でも気が変わったんだ」
葉山「俺は、俺がやれることをやる」
大和「……」
葉山「俺の身勝手な行動だから、みんなを巻き込みたくはない。だから3人だけで逃げてくれ」
戸部「葉山くん!(ダッダッダッダッ)」
大岡「おい! なんで戻ってんだよ!」
大和「…………そうか。わかった」
葉山「(ニコッ)…………ありがとう。それじゃ…………」
大和「…………すぅ……」
大和「体の弱い方や子供を優先してください! みなさんが並んで順番を守ればそれだけ早く外に出られます!」
戸部「!?」
大岡「!?」
葉山「なっ……なにを…………」
大和「やれることをやるんだろ?」
葉山「そう言ったけど……」
戸部「…………っしゃ!」
戸部「はいはいはい! ここ無理やり出ようとしないでー! こう、こう並んで! そうそう。とりま焦らないで!」
葉山「…………」
大岡「…………ああもう! 俺だけ逃げられるかよ」
大岡「……足元気をつけてください! 前の人を押さないように!」
葉山「…………ふっ」
葉山「………………みなさん! 俺らが誘導するように並んでください!」
[住宅街]
材木座「我はもういくので。それではドロンッ」
相模「……待って(ギュッ)」
材木座「あの、ちょっと、服を掴まないでいただきたい……」
相模「だから待ってって」
材木座「……それはできない。我はもっと多くの人を助けなければ」
材木座「とりあえず近くの避難所へ逃げるべきだろう」
材木座「1等級のメンシュハイトばかりが注目されているのだが、普通のメンシュハイトも跋扈(ばっこ)している様子」
材木座「まだ外を出歩くのは危険であろう」
相模(ごちょごにょ喋ってて2割くらい聞き取れないけど、つまり危険だから避難所へ行けってことでしょ?)
相模「…………うちも…………その、あんたに付いて行って……いい?」
材木座「えっ、ん? それは……」
相模「…………すこしは手伝うから……」
材木座「いや、先も我が言ったように外は危険ゆえ……」
相模「なら、あんたがうちのこと守ってよ」
材木座「えっ!???」
相模「早く。まだ埋まってる人がいるかもしれないじゃない」
材木座「たしかにそうでござるが……」
相模「……ていうか、なんであんたみたいなのが人助けとかしてるわけ?」
材木座「……ふっ、それを問うか……」
相模「キモっ(ボソッ)」
材木座「………………」
材木座「…………友の勇ましい姿を見てな。我も倣っただけのこと」
相模「友……友達?」
相模(いるの……?)
相模「誰?」
材木座「……我らが高校でもっとも悪名高い男のことよ」
ほな、また……
[大規模避難所出入口]
大志(ようやく出られた……)
大志(出入口で誘導していた高校生のおかげで、一気に動きが良くなった)
大志(お姉ちゃんの高校と同じ制服だった気がするけど……)
大志(というか、戦闘の余波がここにまで届いてる。いったいどんなことになってるんだろう。人混みで全然見えない)
大志(とりあえず、ここから近い別の避難所に──)
──ダダダダダダダダダ…………
大志「……なんの音だ?」
[一色家]
ニュースキャスター『青年と女性の隊員は未だ──』
一色「先輩やっば……無双しすぎ……」
一色「防衛軍だったのにも驚きだけど……」
一色「…………」
一色「…………(スタスタ)(ガラッ)」
一色「先輩、向こうの方で戦ってるんだよなぁ……。見に行きたいなー…………だめか…………」
一色「……あれ」
一色(こんな時に人が歩いてる。しかも女の子。外は危ないのになー……)
一色「……ん? あの方向って……大規模避難所くらいしか………………」
一色「まさか野次馬!? まーた馬鹿なことを…………。ま、私には関係ないんだけど(スタスタ)」
ソファ「ドサッ」
ニュースキャスター『前方の大規模避難所からはすでに6割近くに市民が脱出しているようです。なんでも地元の高校生が人々を誘導して効率化を図っているみたいですね。』
一色「…………」
一色「…………はぁぁぁぁ…………っ(ガバッ)」
一色「ちょっと外に出るー!(バタバタ)(ガチャ)」
──ダダダダダダダダダ……!
一色「うるさっ……何?」
[住宅街]
相模「……大丈夫?」
材木座「はぁあ……はぁあ……この程度、はぁあ……なんとも…………ない!!」
相模「……そ。……休む? もう何人も助けたし、うちも疲れた」
材木座「そう……だな…………。そこの低い塀にでも座ろう……(ドカッ)」
相模「うん(スッ)」
材木座「はぁあ……はぁあ……はぁあ……はぁあ……」
相模「…………」
相模(…………疲れすぎでしょ)
相模「…………なんか、うちらがやってるのって、まさに偽善って感じだよね」
材木座「はぁあ……えぇ……?(チラッ)」
相模「こんなことしても内申に書かれないだろうし、友達が周りに言ってくれるわけでもないし」
相模「なんか無駄だよね」
材木座「……はぁあ…………我は、そうは思わない」
材木座「現に……、お主は我の隣に座り、こうして話している」
材木座「……はぁあ……、お主を助けたのは…………無駄であったか……?」
相模「…………」
相模「…………まぁ、少なくとも、うちにとっては無駄じゃなかった……かな……」
材木座「フッ…………。ならば……、我も無理した甲斐があった……」
材木座「はぁあ…………救いは、救われたものだけがその意味を知る……。だが……その恩はそのまま返すことはできない……」
材木座「……どれだけのことをしても……、救われた者が報いれたと思える日はこない……」
相模「…………」
相模(何を……)
材木座「我はいくどもある男に救われた。その男は今……おそろしく困難なことをしている……我の力では、その男を救えない」
材木座「我では……ッ、我では! ただ妄想を弄ぶだけの矮小なこの身では、何も成せない……!」
相模「そんなこと──」
相模(……今、咄嗟に思ってもいないことを口にしようとしてしまった)
相模(自分の意見でもなんでもないものを話すことに慣れてしまって、うちはとんでもないことを言おうとした……)
相模(でもうちは、たしかにあんたに…………)
材木座「我を救ってくれ男に……、我は……恩を返しきれていない……」
材木座「我は今日……、その男の勇姿に背中を押された……。怯えるのをやめ、家を飛び出した……」
材木座「できないことはできない……。だから、己の手に収まることをしようと……我は考えたのだ……」
材木座「体力も、意地もない……運動もできない我でも……瓦礫を掻き分けて、人を引きずり出すぐらい……きっとできる……」
材木座「そう思って街を歩いた……そして、お主を見つけた……」
相模「うん……」
材木座「救出に成功し……我らはともに、ほかの市民を助けた。……お主と同じように……瓦礫なんかで身動きが取れない人を救い出した……」
相模「…………」
材木座「彼らが……本当の意味で助かったのかどうかは……わからない」
材木座「だが…………我の、我らの行いは無駄ではないはずだ……」
相模「……かも…………」
材木座「……前の真偽は関係ないのだ……。救われるのならどちらでもいい」
材木座「たとえお主が自分の行いを偽善と呼ぼうと、たしかに救われ……、命を拾った者はいる」
相模「……うん。…………そうだね」
相模「…………」
相模「軽く無駄だとか言って…………」
相模「………………ごめん」
材木座「……我は怒っているわけではない」
──ダダダダダダダダダ……
材木座「……なんだ」
──ダダダダダダダダダ……!
相模「……っ、どんどん近づいてくる……!」
材木座「一体どこから……」
──ダダダダダダダダダ!
相模「……あ、あれ(ずびし)」
相模(大量の武装したヘリ……?)
材木座「お、おお…………待っていた…………待っていたぞ…………!」
材木座「…………応援部隊……!!」
[大規模避難所付近]
──ダダダダダダダダダ!
海老名『キタキタキタキタキターー!!』
八幡「うるせえ!!」
平塚「うるさい!!」
──ドン!!!!!!
海老名『え? ……あー、ごめん。マイク切るの忘れてた』
八幡「マイク切れば職場で叫んでいいと思ってんのか?」
──ドン!!!!!!
海老名『いやいや思ってはないけどさぁ……』
平塚「それより、ようやくか……」
海老名『……はい。ようやく、応援部隊接近しました』
──ドン!!!!!!
八幡「早く入れ替わってくれまじで。疲れすぎて手足がもげそうなんだよ」
平塚「もうすでにもげているだろう。1本や2本たいして変わらん」
八幡「変わりますよ」
八幡(というか、戦闘中だってのに楽しく会話しすぎなんだよ)
八幡(みんな麻痺しすぎだろ……)
──ドン!!!!!
海老名『え、あっ、……わかりました!』
平塚「なんだ?」
海老名『メンシュハイトを援軍側に引かせつつ、戦線から離脱せよとのことです』
八幡「俺らが抜けてそのまま入れ替わりでやる気か」
──ドン!!!!!!
平塚「そのようだな。すでにヘリから隊員が降りてきている」
平塚「比企谷、行くぞ(ダッ!)」
八幡「はい!(ダッ)」
八幡(さて、メンシュハイトは俺らに付いてくるか……)
海老名『対象、追ってきます』
平塚「よし」
八幡「このまま!!」
──ドン!!!!!
──ドン!!!!!!!!
平塚「はぁぁああああああああ!!(ダダダダダダダッ)」
八幡「うぉぉぉおおおおおおおお!!(ダダダダダダダッ)」
海老名『そのまま、そのまま……!』
海老名『5秒後、応援部隊と接触します!』
──ドン!!!!!!
──ドン!!!!!!!
八幡「うぉぉぉおおおおおおおおおお!」
海老名『4』
八幡(完全武装の部隊が見える……)
八幡(きっと俺らよりも手練れの連中だろう)
──ドン!!!!!!!!
八幡(爆風で倒れそうだ。でも、まだ……!)
海老名『3』
海老名『2』
──ドン!!!!!!!!
──ドン!!!!!!!!
──ドドドドドドン!!!!!!!!!
八幡(まだ!)
海老名『1』
八幡「……ッ!」
平塚「……ッ!」
隊員「お疲れ様」
隊員b「お疲れー!」
隊員c「よく耐えきった!!」
隊員d「あとは俺らに任せろ」
八幡(2000人近い多国籍部隊……彼らなら……)
八幡「………………ああ」
八幡「…………頼む!!」
[仮設基地・治療室]
玉縄「想像を絶するタイトなミッションだっただろう。僕からは賞賛の言葉しかないよ。君のようなインフルエンサーが今後──」
八幡(なんでルー玉縄さんがいるんですかね……)
八幡(まじで何言ってるかわかんねーし、応急処置を終えた人間に対してさらにストレスを与えるってなんなんだ……)
八幡「そうか。で、なんでお前が?」
折本「比企谷!(ギュッ)」
八幡「え、ちょ、痛ッ!!!」
折本「おぉっ、ごめんごめん……」
八幡「あ、はは……いいよいいよ」
八幡(痛みで意識飛ぶかと思ったわ……)
折本「じゃ改めて(ぎゅー)」
八幡「いやソフトにハグされてもな……」
八幡(あれ、いま海浜語になってた?)
玉縄「ん゙ん゙っ」
折本「(バッ)いやぁ比企谷は本当にすごいねー。見直したよ! 惚れそう!」
八幡「!?」
玉縄「!?!???!!!????!????!???」
八幡「でもまぁ俺彼女いるし……」
折本「えっ、まじ?(ズイッ)」
八幡「あ、ああ」
折本「そっかー。残念……」
玉縄「えほん! とりあえず、僕たち海浜高校の部隊が君の世話をせよという命をアサインした」
八幡「ええ、折本だけにしてくれよ……」
八幡(こんなル◯大柴もどきが周りにいたら気が狂うわ)
折本「ご指名? 全然いいよー。まぁ比企谷の考えてることはなんとなくわかるし」
玉縄「!?」
折本「冗談はこれくらいにして、今から本部にある治療室に連れてくね。数時間は出られないから、連絡したい人がいるなら今のうちに」
八幡「……会いたい人がいるんだが、会えるか」
折本「んー……近くにいるなら大丈夫」
八幡「そうか。それなら……」
ほな、また……
またしばらく更新遅れるで
全部の感想には答えてないけど目を通してるし励みになってるで ありがとナス
週末には書けるからもうちょっと待ってや
川崎「………………比企谷」
八幡「川崎!」
川崎「………………」
小町「お兄ちゃん!(ダッダッダッ)」
川崎「(サッ)」
小町「う…………(ギュッ)」
八幡(痛ッッッ……!!!!!!)
一色「先輩!」
八幡「いや俺が呼んだの川崎だけなんだけど……」
一色「それ妹さんの時点で言ってくれません!? わたしだけ来ないで欲しかったみたいじゃないですか!」
八幡「んなことは言ってねえよ……」
八幡(言ってはないがなんでここにいるんだよ)
八幡「あの、まじでなんでふたりがここにいるんだ?」
川崎「外で会って……」
八幡「……おい」
小町「……?」
一色「……な、何ですか」
八幡「こんな危ない時に外をうろつくな。ただでさえ強力なメンシュハイトが出て危険だってのに……」
八幡「小町、一色、お前たちはもうちょっと危機管理をしろ。こんな場合にどう行動すればリスクを減らせるか、考えればわかるはずだ」
小町「…………」
一色「…………」
一色「…………どの口で危機管理とか言ってるんですか」
一色「妹さんをこんなに心配させて、今更そんなこと……。先輩はどれだけの人を心配させてるかわかってるんですか?」
八幡「俺とお前たちとじゃ話が違う。俺は最悪の場合を容認してこの場にいる」
一色「そんなこと知るわけないじゃないですか! 妹さんだって先輩が防衛軍だったなんて聞いてないみたいですし!」
一色「勝手すぎるんですよ…………先輩は…………」
八幡「そんなことわかってる……。でも他の誰かがやってくれるのを待つのか? 俺にできることがあったからやったまでだ」
八幡「俺のことを心配してくれる人が居るのは感じている。だからこそ後悔はない」
八幡「確かに俺は、みんなを守っていたんだ」
一色「……そういうことじゃないんです…………。そんなことはわかってるんです………………」
小町「それで納得できるわけないじゃん……」
小町「お兄ちゃんの腕……もう元に戻らないんだよ……?」
小町「……もしかしたら………………次は……………………死んじゃうかもしれない………………」
八幡「…………(ナデナデ)」
八幡「…………大丈夫」
小町「うっ…………うう…………(ギュッ)」
八幡(痛い……)
川崎「比企谷…………」
八幡「…………」
川崎「ありがと…………本当に………………」
川崎「……それと…………(スッ……)」
八幡「お、おい…………」
八幡「川崎……、やめろ……」
川崎「……」
八幡「川崎!!」
一色「…………うそ……。土下座……」
八幡「おい!!!」
川崎「(バッ)(ゴツン)…………あたしのせいで一生治らない傷を残してしまって、本当に申し訳ありません……」
川崎「一生かけて償います……! あたしの命で足りないなら、妹にも弟にも、いつかできるその子供たちにも償わせます」
川崎「本当に……! 申し訳ありません…………」
八幡「ふざけんなッ!(ガタッ)」
小町「お兄ちゃん!」
一色「………………」
八幡「(ガタッ)おい!!」
川崎「…………」
八幡「(スッ……)頭あげろよ……何やってんだ…………」
八幡「川崎!!」
川崎「……全部あたしのせいだから」
八幡「そんなわけない!(ガシッ)」
川崎「(グイッ)…………だ、だって…………あたしが……大志たちがあそこにいるって……言わなかったら…………あんたは………………」
八幡「俺の腕ごときとお前の家族を秤にかけるな!」
八幡「立て!」
川崎「嫌だ! …………今回はたまたま腕だけで済んだの………………死んでもおかしくなかった!」
八幡「…………俺は別に、お前の家族だけを助けたんじゃねえよ。あの避難所にいる人たちを守って戦った」
八幡「そのせいで俺の腕がどうのって話なら、大規模避難所にいた人間総出で償えばいい」
八幡「今ここでお前だけが頭を下げるなんてことはまちがっている」
川崎「違う…………違うじゃん…………」
川崎「あたしのためにそんな言い訳しないでよ……。自分が一番わかってる…………」
八幡「なんもわかってねえよ!(ガッ)」
八幡「立て川崎!(グググググ……)」
八幡「俺は……ッ、お前に傷ついて欲しくないから、これ以上誰も死んで欲しくないから! 体をはってあいつの足止めをしていたんだ!」
八幡「それなのに……なんで、自分で自分を傷つけるようなことをするんだよ……」
八幡「俺はそんなことして欲しくて命賭けたわけじゃないんだ……」
川崎「……あんたは………………」
川崎「人のことばっかり…………」
川崎「自分のことなんか全然見てない。戦って死んじゃっても、それはそれでいいとか思ってるんじゃないの」
八幡「みんなを守って[ピーーー]るならそれで──」
川崎「……いいわけないじゃん。あんたが死んだら元も子もないんだよ……」
川崎「あたしは……あんたに死んで欲しくないの…………」
川崎「家族と同じくらい……もしかしたらそれ以上に…………」
川崎「そんな人を危険な場所に送ったんだよ……。あたしは、あんたを殺そうとしたも同然のことを…………」
八幡「川崎、お前にそんなつもりがないってことはわかってる。自分を悪者にしようとするな(ぎゅー)」
一色「えっ、え? 先輩……?」
八幡「俺はお前が好きなんだ。だから、死んで欲しくないし、傷ついて欲しくない」
川崎「……そんなの、あたしも同じだよ……。……あんたが好きだから、もうこれ以上傷つかないでほしい。…………死んで欲しくない………………」
折本「(ザッ)水を差すようで悪いんだけど緊急の報告」
小町「水を差すどころかホースの先端を潰してものすごい水圧でぶっ放してますよ」
折本「あはは、それある……」
折本「とにかく報告。対象のメンシュハイト、連合軍を半壊させ、数分前に転移した」
八幡「あれだけの人材を……半壊だと……」
一色「そ、それより……ここから転移って、もしかして次は…………」
川崎「…………」
折本「…………(コクッ)」
折本「さきほど対象の出現が確認された場所は……」
八幡(ついに……日本の中枢に…………)
折本「東京──」
八幡(やはり……)
折本「──デ◯ズニ◯ラ◯ド」
一色「いや千葉じゃん!」
saga忘れほんとすまん
ほな、また……
折本「『東京』って銘打ってるんだから東京だよ」
八幡「はぁ? 東京つっても千葉にあるんだから千葉だろ!」
八幡「じゃあお前東京ディズニー◯◯◯ランドの住所知ってんのかおい」
折本「知ってるけどそれよりモザイクのタイミング避けて言わないでランドさんはマジだから法的に制裁受けちゃうからやめて」
一色「えっ知ってるんですか」
折本「郵便番号279の0031。千葉県浦安市舞浜1の1」
川崎「えぇ…………(汗)」
折本「……誘致当時の経緯から東京ディ◯ニ◯シーと共に米国ディ◯ニーグループによる直営ではなく日本企業のオリエン◯ルラ◯ドが米国◯ィズニーからのフランチャイズ契約より運営をおこなっている。なお東京ディズ◯ーリゾートで販売されているキャラクターの著作権や版権ビジネスは全てウォ◯ト・◯◯ズニー・◯◯パンが」
八幡「だっ、誰か折本を止めろ!」
折本「アトラクションやショーの企画に関しては米国W◯lt Dis◯ey Parks and Res◯rts W◯rldwide, Inc.及び米国ディズ◯ーの子会社であるWa◯t Disn◯y Attracti◯ns ◯◯panが担当している」
折本「『Wikipedia』より」
八幡「ウィキペディアかよ!!」
折本「……ふざけてる場合じゃない」
小町「あなたから始めたんじゃないですか……(ジトー)」
折本「とにかく、なんとか大規模避難所での被害は防げたんだけど、もし東京にあれが現れれば日本は甚大な損害を受けることになる」
折本「日本は、それを是が非でも止めたいの」
折本「……次に言うのが、本題。これは報告じゃなくて命令。もちろん、比企谷へのもの」
一色「……えっ、そんなっ、冗談……ですよね?」
折本「…………」
一色「こんなボロボロな人をさらに戦わせようなんて言わないですよね!?」
折本「……比企谷八幡隊員。ただちに連合軍に合流し、対象のメンシュハイトから首都東京を防衛せよ…………」
八幡「…………」
川崎「そんな……そんなことってあるの?(キッ)もう比企谷はこれ以上ないくらい頑張った! 片腕も無くなって横になってるだけでも全身が痛いはずでしょ!?(ガッ)」
壁「ドン!」
小町「……ッ! …………沙希さん……血が……!」
川崎「ロボットじゃないんだから怖いし痛いんだよ! そんなこともわかんないの!!? 防衛軍だからって、民間人を守るからって、人を使い潰していいはずないじゃん!!」
折本「…………」
折本「……それはみんな理解してるよ」
折本「理解した上で、軍はこう決断したの。私たちは逆らえない。入隊する時に契約しているから」
一色「契約したからってそんなことがまかり通るんですか……」
折本「それだけじゃない。さっきの報告を受けて、みんな理解してるはず。比企谷があれだけ持ち堪えた敵に、駆けつけた連合軍はほとんど突破されたと言っていい」
折本「運良く次の転移のタイミングだったから避難所へ大きな被害はなかったけど」
折本「……あいつがユーラシア大陸を横断した時に、各国の主戦力が次々投入されてことごとく敗れていったから、もうこれ以上の戦力は用意できない」
折本「いま居る人間だけでやらないといけないんだよ」
折本「…………」
折本「……ごめんね、比企谷」
八幡「……お前が決めたことじゃないんだから謝んなよ」
折本「……そだね」
八幡「………………まぁ、そういうことだ」
小町「…………」
一色「…………」
川崎「…………(フルフル)」
八幡「……悪い」
[攻撃ヘリコプター内]
玉縄「僕らはともかく、君にしてはオーバーワークにもほどがあるなぁ……」
八幡「日本らしいだろ」
折本「卑屈だねぇ」
八幡「日本がな」
玉縄「日本になんの恨みがあるんだ」
八幡「……おい、あそこか」
八幡(すげぇ煙が上がってる。あいつが爆破して回ってる跡だろうな)
玉縄「…………そうみたいだ」
折本「緊張する……」
八幡「ああ……」
玉縄「……比企谷くん。いけそうかな」
八幡「……いけそうじゃなくてもやるしかないだろ」
玉縄「ふっ……そうだね」
八幡「……ふぅう………………」
八幡(おそらく、これが俺の最後の戦いになる)
ほな、また……
サンクスやで
[大規模避難所付近簡易基地]
一色「なんか無力だなぁ……」
小町「…………ですね」
川崎「…………」
川崎「……あたし、比企谷のとこに行ってくる」
一色「な……何言ってるんですか! 今はどこを歩いてもあの怪物がうじゃうじゃいるんですよ?」
一色「ここにいた方が安全です」
一色「それに……(チラチラ)、そもそもここの方がわたしたちを外に出してくれるとは思いませんし……」
川崎「……それでも見届けなきゃ」
小町「…………さっきお兄ちゃんが『絶対にこの簡易基地の外へ出るな』って言ってたじゃないですか」
小町「小町だって……お兄ちゃんのそばにいたいですよ……」
小町「……小町たちのことを思ってるからこそ、小町たちを危険の少ない場所に置いて……、自分は身を投げ出してるじゃないですか」
小町「お兄ちゃんが望んでるのは小町たちの声援じゃないです……小町たちの安全のためにお兄ちゃんはこんなことをしてるんです」
川崎「…………わかってる。……でも、あたしらに危険が及ばないようにって……あたしもあいつが危ない目にあうの嫌に決まってるじゃん」
川崎「勝手だよそんなの…………」
一色「……なんかエゴの押し付け合いみたいですね。お互いのことを尊重してるはずなのに」
小町「…………お兄ちゃんなんていつもそうですよ……ずっとから回ってるし…………」
一色「あー……たまにそんな感じ……」
小町「……沙希さんも頑固だし…………」
一色「うんうん…………」
川崎「(キッ)」
一色「(ビクッ)…………ッ! (フッ……)」
川崎(……やっぱり、あたしは無力だ……)
[東京◯ィ◯◯ー◯ン◯]
折本『あー、あー……聞こえてる?』
八幡「ああ。はっきり聞こえる」
折本『おっけー。それじゃあ、連合軍からの報告なんだけど』
──ジジッ
海老名『ちょっと待ったー! 私が比企谷くん担当でしょ!? あなた誰?』
折本『えっ……折本、だけど……』
海老名『ナビって親しい人が抜擢されるじゃん! あなた私よりも比企谷くんと親しいわけ!?』
折本『たぶん……中学が一緒だったし……』
海老名『はああ?? 昔の比企谷くんを知ってるだけでナビをしようとかしゃしゃり出てきたの!?』
折本『いや、まぁ今でもたまーに話すし……』
海老名『たまーに話すだけの女が現在進行形で同じクラスの私を出し抜いてだしぬけると思った!?』
折本『いや……』
海老名『ほらしっしっ。接続切って』
折本『ひ、比企谷~』
八幡「…………」
八幡「……まぁ、なんだ。これまでサポートしてくれたのは彼女だから、そのまま続行してもらった方がこっちも安心できるし」
折本『彼女? さっきの川崎って人が彼女なんじゃないの?』
八幡「おい……」
海老名『えっ、ちょ、比企谷くん、さきさきと付き合ってるの!!?? 葉山くんは!?』
折本『葉山? 比企谷何股かけてるの……?』
海老名『他にも付き合ってるの!?』
八幡「うるせぇよ仕事しろ!!」
折本『ふふっ、はーい。やっぱ比企谷はおもしろいねー』
折本『……それじゃ』
折本『………………比企谷、よろしく』
八幡「……おう」
──プツッ
八幡「……で、なんで繋げて早々キレてたんだ」
海老名『腐女子を見てこそこそ笑ってる女子っぽい声だったから……』
八幡「……あいつがイケイケな声なのはわかる…………」
八幡(なんか材木座が自作小説でリア充に対してのヘイトを顕(あらわ)にしてたのに近しいものを感じる……)
海老名『っはい! 任務任務』
八幡「そうだな」
海老名『でもあとでさきさきのことは根掘り葉掘り聞くからそのつもりで』
八幡「ですよね……」
海老名『それじゃ、そのまま北北西に走って。その先に簡易基地が設置されてる』
八幡「わかった(ダダダダダッ)」
海老名『連合部隊からのデータなんだけど……』
海老名『……あのメンシュハイトの弱点、というか攻撃手段が見つかった』
八幡「マジか……」
海老名『うん。簡潔に話すと、間髪入れずに同じ箇所に連続攻撃をするの。もちろん2回より3回、3回より4回やった方が攻撃が通りやすい』
海老名『それで、ゼイレも込めれば込めるだけ良いの』
八幡「それってさ……爆発で死なね?」
海老名『……うん』
八幡「単数より複数の方がいいのか? はじめの方がすぐに戦線離脱して後に続けばより早く攻撃できるしな……」
八幡「いや、それだと後半が確実にやられるな……。まさかそれでやったのか?」
海老名『……そう。ひとりじゃやっぱりラグがあって……』
八幡「……あの多国籍部隊って各国の寄せ集めだろ? 連携できたのか」
海老名『死ぬ気でね……』
ほな、また……
受験で忙しくなるからしばらく書けないすまんの
ちょくちょく様子は見にくるで
八幡「……なら、その犠牲に応えないとだな」
海老名『そうだね……』
海老名『……ん、……えっ………………』
八幡「どうしたッ」
海老名『平塚せ……隊員と合流せよ、って』
八幡「んなっ…………もう戦えねえだろ」
海老名『それは…………うん……』
八幡「すぐに引き返させろ! ただ適当に戦力かき集めて倒せる敵じゃないぞ!」
海老名『それはできない……。東京へたどり着く前に、どうしても止めなきゃって…………』
海老名『がむしゃらにでも、ここで叩かないと日本がどうなるか…………』
八幡「んなこと言ったってなあ…………」
海老名『……一度平塚隊員と合流するからそのあたりで待機お願い』
八幡「…………(ザッ)」
八幡(こんなもので良いのか……。これで勝てるのか……)
[東京◯◯◯◯ーランド付近]
海老名『対象まで500メートル』
平塚「次に飛ぶのはいつ頃だ(ダッダッダッ)」
海老名『交戦してるから…………、7、8分くらいです』
八幡「突破されたらそれよりも早まるよな?(ダッダッダッ)」
海老名『うん……』
八幡(急がないと……)
平塚「比企谷……」
八幡「……はい」
平塚「もう私は嫁に行くことなく生を終えるようだ」
八幡「!? そんなことは……まだ死なないでくださいよ!」
平塚「別に私も死にたいわけじゃない。でも死ぬだろう。仕方がないことだ」
平塚「だから…………そう、私という人間が居たことを忘れないで居て欲しいんだ。それだけで私は救われる」
八幡「救われる……? 何が! 先生の死を背負いたくなんかない!」
八幡「まだまだ生きろ! そうすれば、先生なら、必ず結婚できるから!」
平塚「………………」
平塚「…………お前は本当に………………」
平塚「そうだな、それなら…………私がお前の言葉通りに行きそうになかったら……お前がその言葉を体現してくれるか?」
八幡「えっ……」
八幡(俺かなりストレートにプロポーズされてる……?)
平塚「なんだ、『えっ……』とは……」
八幡「ああ、いや、別に特に深い意味はなく出た声で…………そうですね…………」
八幡「前向きに考えます」
平塚「言ったな?」
八幡「ええ……はい」
平塚「海老名、お前も聞いただろう?」
海老名『えっ! え、まー、はい……。キキマシタ……』
海老名『比企谷くんマジ……? いや先生綺麗だけども……いいの?』
八幡「…………この話は後でしよう」
海老名『その方がいいね…………』
海老名『ふたりとも、もうすぐそこだよ』
平塚「気を引き締めろ」
八幡「はいっ」
海老名『はい!』
平塚「海老名、なるべく遭遇直後、死角から不意を突いて大打撃を与えたい」
海老名『わかりました。あちらに、そのように伝達させます……』
海老名『……すこし返事を待ちます』
海老名『視線は…………あちらが誘導してくれるそうです。そのまま直進して大丈夫です』
平塚「了解」
八幡「ふぅ……」
海老名『あの、なんか多国籍部隊から謝罪の言葉がいくつか送られてきてるんですけどこれは……』
平塚「私らから継いだ仕事を、彼らの意思とは関係ないが、前任者にもう一度やらせるわけだからな」
平塚「申し訳なくも思うだろう」
八幡「長時間足止めするだけでも、相当すごいことなんだけどな……」
海老名『そうだよね…………』
海老名『……もうすぐ。視線誘導は……完璧。あっちの部隊もこちらを認識してる』
平塚「私がお前に合わせる。離脱の合図は無し。各自で敵の攻撃を避ける」
八幡「……わかりました。……じゃあッ!(ダッ)」
──超思考
八幡(よく見ると全身傷だらけだ……)
八幡(攻撃場所はなるべく急所付近。この絶好の機会はそうそうない。だから可能な限りの被害を与えなくてはいけない)
八幡(だが俺と平塚先生……隊員の連携がろくに取れなければ傷もクソもない)
八幡(なるべく攻撃体制の俺と平塚先生の肩に近い高さで、なおかつ急所に近い……)
八幡(背中側から心臓へ向けて斬るか?)
八幡(奴らも例外はあれど背骨を損傷したら体が動かないことが多い)
八幡(しかしこの敵の機動力を奪うことが吉か凶か……)
八幡(まだ急所は狙わずに片足を切断する方がいいだろうか?)
八幡(その方が胴を裂くよりも確実に動きを奪え、追加攻撃がしやすくなる)
八幡(だが足を奪われたせいで瞬間移動を何度も使用されるかもしれない……)
八幡(ならば腕を落とすのはどうだろう)
八幡(……ダメだ。片手だけ奪ったところで大きな戦力の低下はない)
八幡(それで戦意が喪失してくれるのなら助かるが、そうはならないだろう)
八幡(海老名さんの話だと、奴の欠損は両手の指数本と、片耳、あと左足のくるぶしだけ)
八幡(すでに片腕を落としてくれていたらよかったんだが……)
八幡(彼らも腕や足を斬り落とそうと試みたらしいが難しかったらしいし……不意を突いたからといって上手くいく保証はない)
八幡(胴に対して突きならば……ダメだな。無駄な動作が多くて連携が繋がらない)
八幡(切断するほどのダメージは叶わないだろうから……背骨の損傷を狙おう)
八幡(相手は子供ほどの身長なので、狙うならば首が狙いやすいではある)
八幡(けれども斬撃が視界に入りやすくなるので、もっと下……)
八幡(攻撃範囲をなるべく狭めなければ、連携できる時間がない。だから起伏が少なく剣筋が無駄に物を斬らないような……)
八幡(肩甲骨の真下。ここにしよう)
八幡「(チラッ)」
平塚「(チラッ)」
八幡「……ッ!(ダンッ)」
八幡「……らッ!」
(ザッ!)
(ヒュッ!)
(ズッ!)
(ザッ!)
(ザンッ!)
八幡「(ゴロッ)」
平塚「(ゴロッ)」
──ドンッッ!!!!!!!!
──超思考
八幡(上手く爆発を避けられた)
八幡(敵は……まだ怯んでる! もう一度いける!(チラッ)」
平塚「(チラッ)」
八幡「(ダッ!)」
平塚「(ダッ!)」
八幡「はあッ!(ダンッ)」
平塚「ふッ(ダッ)」
(ガッ)
(ガ)(ガ)(ザ)(ガ)(ザ)(ザッ!)
(ザッ!)
(ザンッ!)
八幡(離脱っ(ゴロッ)」
平塚「(ゴロッ)」
──ドンッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!
八幡(くっ……揺れで態勢がっ(グラッ))
八幡(もう一度いけるか……(チラッ))
八幡(振り向いてる。完全にこっちを認識したな(チラッ))
平塚「(コクッ)(サッ)」
八幡(俺も早く離れよう(サッ))
八幡「海老名さん、どう?」
海老名『粉塵で詳細不明。ただ、ダメージを受けたあと、少しして活発に動き出すからそれに備えてふたりとも構えて』
八幡「おう」
八幡(砂煙が晴れてきた)
八幡(敵は……)
八幡(俺の方向いてやがる……)
海老名『はい。はい。わかりました』
海老名『比企谷くん、平塚隊員から傷の状況確認できた』
海老名『深くまで斬れてるみたい』
メンシュハイト「…………」
メンシュハイト「(ダッ!)」
八幡「動いた!(ザッ)」
だらだらとすまんな……ほな、また……
俺ガイルの皮を被った何かだし、最初からオリジナルでやればよかったんじゃね?
そうすると誰も見てくれないからって?そりゃそうだ。面白くないもん
まあまあ、少なくとも導入のラブコメは面白かったわけで。
次回作を追うために張り付いてる俺とかもいるんですよ
導入部が面白そうだったし、レス数も多いから期待していたのに、俺の気持ちを裏切ったな!
俺ガイルSSによく湧く荒らしすら荒らさないという時点でお察しなんだよなあ
私は俺がいるって見たこと無いので全部オリジナルssとして読んでるから何の違和感もない
固定観念ないってこういう時役に立つ
>>334
すまんかった!どっかに明記しとくべきだったンゴ……
次から事前に察してこういうSSは回避せんとな
>>335
作品にオリ設定ぶち込むっていうクソジャンルのSSやからほぼキャラクター借りただけや
俺ガイルはかなり有名なラノベの格付けで三冠取るくらい原作おもろいからぜひ読んでみてな
週末にでも書くわ
無理して書かなくてもいいよ
>>338
それならお言葉に甘えて……落ち着くまでは休むで
八幡「デスノート……?」
すでに我が家の屋根は見えていた。玄関をくぐれば生ぬるい空気が体を包むだろう。
晩冬の寒さに肩をすくませつつ歩いていると、道端に黒々としたノートが落ちていることに気がつく。
「デスノート……?」
黒い表紙に、細く白い文字が記されている。それは確かに英語でデスノートと書いてあった。
疑う余地もなくいたずらだろう。
俺は鞄(かばん)開け筆箱を掴み取る。すぐさま愛用のシャーペンをノックし、くだんのノートを拾い上げた。
パラパラっと最後から数ページめを開く。
「今夜10時にすべてのリア充が爆発して死亡……っと」
俺はデスノートをぽいっと投げ捨てて帰宅した。夜には、そんなくだらないイベントのことはまるっきり忘れていた。
◇
「えーっと……なんだっけこれ」
バイトの帰り道。暗い歩道を照らす街灯の下、真っ黒なノートが光に当てられていた。
こんなノート、映画かドラマで見た覚えがあるんだけど……。
「ん? デス、ノート……かな?」
ああ、そうだ! デスノート! 名前を書いた人が死んじゃうやつ!
なんでこんなところに落ちるの……? ていうか本物?
黒いノートを拾い上げてみる。
「んー……」
確か、ここに名前を書かれた人は、死ぬ前の行動も操作されちゃうんだよね……。
「………………」
あたしは黙ってボールペンを取り出し、拾ったノートにその場で文字を書き込んでいく。
「比企谷八幡は川崎沙希と結婚し幸せを感じながら寿命で死亡……っと。…………って何やってんのあたしは!?」
正気に戻ったあたしは手にしたノートを、ボールペンごとそばの茂みに投げ捨てた。
「はぁ……はぁ……はぁ……バイトで疲れてんのかな」
妙に体が熱く疲れた。変な気分だ。
さっさと帰って明日の分のお米洗おっと。
◇
──午後10時──
世界の各地で、数億から数十億の爆発があった。
八幡と沙希は爆発して死んだ。
次回予告(今回の担当:死に掛け神)
どうもー!駄文メーカーにして、
本作の作者、死に掛け神ですっ!
八幡が大罪のバハムートと呼ばれ由比ヶ浜ることになった理由と、空白の一ヶ月(少しも明かされてないとは言ってない。)の出来事が遂に明らかに!
そして遂に動き出す黒幕!
行け!八幡!お前はもっと強くなれる!
何故なら俺がそういう展開がすきだから!
次回!
「八幡が『大罪のバハムート』と呼ばれる理由」
見てくれると嬉しいな!
八幡「メタ発言とネタバレ止めろ!」
あとがき
葉山への復讐の第一回目が終わりました。
葉山にはまだまだ地獄を見せるので
まだまだ終わりません!
今回も読んで下さってありがとうございました!
川崎「あたしが魔法少女!?」
[教室]
──キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン
川崎(はあ……やっと学校終わった。バイトのシフト早めに入ってるからさっさと行かなきゃ)タッタッタッ
[玄関]
川崎(ん? なんかへんな感じがする……)
川崎(!? 空が真っ赤……雲も黒一色……)
川崎「なにこれ……」
川崎(他の人たちは……)キョロキョロ
──他の人たちのざわめき
川崎(誰も気にしてない……? 見るからにおかしいのに)
川崎(バイトに行って大丈夫なの?)
──ドゴォォォオオオン!!
川崎「!?」
──ザワザワ
「なんだ?」
「うわっ」
「今めっちゃすごい音した」
「やばーい! 事故じゃない?」
「爆発?」
「でかいトラックでも事故ったのか?」
──ドゴォォォオオオンッ!!!!
「うわああっ」
「またか!?」
「やっぱり事故なんじゃね?」
「見に行こうぜ!」
「撮りに行かない?」
川崎(な、なんなの……みんなにはすぐ近くのすごく大きなアレが見えてないの……?)
アレ「……」ヒュン
──ドゴォォォオオオンッ!!!!
川崎(あいつが腕を振っただけで、瓦礫が巻き上がってる)
川崎(姿が真っ黒で、シルエットが若干人っぽい。……色が単色で遠近感がわからない。どのくらい近くてどのくらいの大きさ……?)
「──」
「──」
川崎「悲鳴……」
川崎(アレは明らかにヤバイでしょ……。早く逃げなきゃ……)
ピス『ッッピ!』ボフンッ!
川崎「!?」
ピス『キミ! そこの青っぽい髪の!』
川崎「あたし!?」
川崎(なにこのよくわからないカラフルな可愛い生き物……)
川崎「なんで喋ってんの?」ゴゴゴ
ピス『ピ、ピスはこの世界の生き物じゃないからっピ! とりあえずキミ! あいつをどうにかしなくちゃならなっピー!』
ピス『ボクの力で魔法少女に変身して、あの化け物をグッチャグチャにブチ[ピーーー]っピー!』
川崎「あたしが魔法少女!?」
川崎(ないないないないない……というかブチ[ピーーー]とかこの生き物なんて言葉遣いしてんの)
ピス『はやくするっピ! もう30人近く死んでしまってるっピ!』
川崎「えっ、魔法少女の世界で人が死ぬの?」
ピス『ピ? あんなの暴れまくってたら普通に死ぬっピ』
川崎「え、えぇ……。じゃ、じゃあ、あいつを倒したら、人とか建物とかが全部元どおりになる……みたいなのは?」
ピス『一度死んだ者は蘇らないし、壊れた物は元どおりにはならないっピ。そんなことはわかってるはずっピ』
川崎「…………」
ピス『急ぐっピ。周囲の顔面偏差値を見たところキミぐらいしか魔法少女の適性がないっピ!』
川崎「え、ちょっとあんた、顔で魔法少女を選んでるの?」
川崎(……待って。京華なら可愛いし魔法少女になれるんじゃない? 京華のフリフリで可愛い魔法少女姿……)鼻血ドバドバ
川崎(絶対携帯の容量いっぱい写真撮ってやる……)
ピス『世の中顔っピ』
川崎「…………いや、そうとは限らな」
ピス『いいっピか。今こうして話している間にも、あの怪物は人を殺し、街を壊してるっピ』
ピス『今すぐ戦ってあいつを倒せば、被害は最小限にとどめられるっピ』
ピス『しかし、キミがここで戦わなければ、他に魔法少女に適性のある女の子を探さなくちゃいけないっピ』
ピス『次の子を探すのは数分しかかからないかも知れないし、1時間かかるかも知れないっピー。その間、いったい何人が死んでしまうんだろうねっピ』
川崎「…………」
ピス『べつに断ったって誰もキミを責めたりしないっピ。ただ人が死ぬだけっピ』
ピス『選ぶっピ』
川崎「わ、わかった。あたしがやるよ……!」
ピス『っピー! それじゃあ、マジカル・ラブ・フルドレスって言うっピ』
川崎「変身アイテムみたいなのはないの?」
ピス『ないっピ』
川崎「じゃ、じゃあ……まじかる……ふるどれす……」
──キラ-ン! ポンッポンッ! パッパッ! キュルルン! ピカ-ン!
川崎「うわこれダメ。小中学生が着るやつじゃん! う、やだみんな見てるし…………恥ずかしい…………」カァアア
川崎(胸と腰回りのサイズ合わなさすぎて痛い……)ギチギチ……
ピス『しゃがむなっピ』
川崎「なっ、なんか記憶消す機能とかないの!?」
ピス『んぅ~。頭殴れば記憶障害でどうになからないっピ?』
川崎「あんた正気!?」
ピス『正気っピ。魔法の国からきたからすこし価値観が違うっピ』
川崎(にしても思考が過激でしょ……)
この短編はただの箸休め的な感じや
本編は今の書き終わったら書くで
これまで擬音はだいたいその音を起こした本人のカッコ内で全角カナでやってたんやけど、これからっちゅうか残りは「」の外で半角にするわ
大学落ちたンゴ草はない
ピス『そんなことは置いとくっピ! とにかくラブパワーを溜めるっピ!』
川崎「あ? ラブパワーってなに?」
ピス『なんで怒ってるっピ……』
ピスラブパワーっていうのは文字通り愛の力っピ。うーん、例えば……キミ彼氏はいるっピ?』
川崎「いないけど……」
ピス『じゃあ好きな人はいるっピな? その好きな人を思い浮かべるっピ』
ピス『これ持つっピ』スッ
川崎「なにこのステッキ」
川崎(ってか好きな人? そんなのいないいない……)
──八幡フワッ……
川崎「…………」
川崎(別にあたしはあいつのことなんか……)
──八幡フワッ
川崎「ぐぬぬ…………!」
──八幡ジッ……
川崎「ウワァァアアアアアア!! なんで! なんであいつの顔ばっか!」ドスッドスッ
ピス『ラブパワー順調にたまってるっピ。その調子で、今思い浮かべている相手が好きっていう気持ちを、もっと強く念じるっピ!』
川崎「う、うるさい! 別にあたしは比企谷のことなんか──」
八幡「えっ」
川崎「えっ」グルッ
八幡「」
川崎「」カァァアア///
ピス『あっ、すごいっピ! 見たことない速度でラブパワーが溜まってるっぴ!』
八幡「えっ、お前なにやってんの? 逃げないと……」
川崎(嘘見られた? あいつに見られてる? しゃ、しゃがんで少しでも見られないようにしないと!)バッ
川崎(あーうそうそうそ! どうしよこんな格好見られちゃった……。なんて言い訳すれば納得してくれるの? いやそもそも納得もなにも……)
川崎(はあー最悪だこんな話に乗ったばっかりにぃいいい!!)
川崎(死にたい……)
ピス『お、おお! 戦闘してもいないのにラブパワーが基準値に届きそうっピ! どんだけそいつのこと好きっピか?』
川崎「」ドスッ!
ピス『』ゲボッ
八幡「……川崎、お前マジまで早く逃げるぞなにやってんだよ」チョン
川崎「ひゃあああ! ちょと!」ダダダダダダッ
ピス(あれが好きな相手か……ラブパワーの増え方が尋常じゃないっピ……)
ピス(この男死人のような目をしてるっピ……)
八幡「え、なんで逃げんの……」
川崎「てか見ないで! 恥ずかしい!」
八幡「えっ、いや……可愛いだろ」
八幡(プ◯キュアみたいで)
川崎「!?」
ピス『!?』
ピス『や、ヤバイっピ! ラブパワーが基準値上回ってるっピ!』
ピス(これなら敵を一撃で葬れるっピ!)
ピス(そうだ!)ピュ-ン
八幡「なんだ!? ぬいぐるみ?」
ピス『大勢の命がかかった重要な使命を与えるっピ。ボクのいう通りに、彼女に言葉をかけるっピ』ヒソヒソ
八幡「はあ?」
ピス『いいからっピ! 人命がかかってるっピ!』
八幡「……ま、まあそれなら…………」
ピス『八幡「お、お前めっちゃ可愛いぞ! なんか、えー、フリフリの服似合ってるし! 脚がきれい!」』
川崎「」ボフッ///
ピス(おほ^~。ラブパワーが見たことない桁まで上がってるっピ!)
ピス『八幡「スタイルめっちゃいいし美人だし好き! 結婚しようっピ!」』
八幡「うわミスっ──」
川崎「お前かいッ!」ダッ
地面「ビシィイイ!」
ピス『ちょ、ちょっと待つっピ! 殴りかかって来ないでっピ!』
ピス(ラブパワーがカンストした状態でもし何かに攻撃を加えたりしたら……)
川崎「フッ」ビュォオオ
ピス(終わった)
──ドゴォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!
敵は死んだ。
全千葉市民も死んだ。
完
大学進学失敗したワイは晴れて6か月更新の契約社員になったで
あと小説書くのやめることにしたから、小説のくくりかは微妙やけどこのSSが最後や
明日から少しずつでも一日一回は更新するようにする
よろしくやで
何一つまともにならんかったか。
次回作だけ気になってたが、書かないというならしようがない
まあ頑張れ。俺は消える
支離滅裂な文章の垂れ流しを小説とは呼ばんぞ
こういうアホはいくらでも消えてくれて大歓迎なんだけどまともな書き手で更新止まってる人達なにしてるんだろなー
>>356
すまんな……じゃあの!
>>357
ニュアンスでわかるやろ?
>>358
ニートじゃない限り学校仕事で時間とられるし、人付き合いもあってそのうえで書くんやから……
しかも2次創作なんてなんの利益にもならんもの相当にモチベが維持できんと書けんししゃーない
思ってたより時間なかったから明日から書くで……ほな、また……
>>356 書き忘れてたわありがとう!
誰もこいつのことなんか聞いてないんじゃ…
>>362 せやなぁ……ワイも思ったけどもし気になってる人がいたら何も言わないのは申し訳ないやん
今更で申し訳ないんやけどこういうタイプのSSってハーメルンとかが主流らしいな 各サイトの風土とかちゃんと調べるべきやったわすまんな
ここで風土とか気にして書く奴いないだろ
最後の最後まで空気読めてないあたりお察しだ
>>365 風土はどこにでもあるもんやハーメルン行ってみたらわかるで
接近するメンシュハイトにこちらから駆けて距離を詰める。
俺には見えている。息を殺し、粉塵に潜む平塚隊長の姿が。
猫のように低く、なおかつ素早くメンシュハイトの背後へ向かっている。
動きは愚直で単調。気を緩めるな。
一度のミスも許されない。
メンシュハイトを見る。
表情も体のモーションも、どちらも決して見逃すまいと目を見開く。
これまでの敵の行動パターンを鑑みて、平塚隊長の思考を読み取って、これから取るべき行動を予測する。
メンシュハイトが迫る。
俺の動きを悟られてはいけない。俺自身の足の向き、視線、表情で敵に俺の次の動作を誤認させる。
これまでこいつとの戦いで、俺も平塚隊長もフェイントは使っていない。同じく相手も高度な駆け引きなどまるでしていない。
圧倒的な力があり、技術を必要としないのだ。
その慢心を突く。
お前が人類を舐めている間に終わらせる。
「ッ!」
踏み込み、翻る。隙のないフェイント。対人戦に慣れた者を相手にしても、これほど鋭く切り返せばわずかの間が生まれるだろう。
紙一重でメンシュハイトの体を交わし、付かず離れずの距離で背後に回り込む。
「──フッ」
態勢を立て直した瞬間に平塚隊長が一閃。
メンシュハイトの脇を抜けた勢いをそのままに斬撃を重ねる。そしてまた隊長の鋭い攻撃が同じ場所を斬りつける。
脳が焼けるような集中。
全身全霊で、ちぎれそうになる腕を回す。
寸分たがわず同じ箇所へ刃を当て、極限までふたり呼吸を合わせた絶え間ない剣戟。
これまで幾度となく爆破を間近で見たため、すぐに離脱しなくてはならないと警告するように全身が熱くなる。
ほぼ同時に、平塚隊長とそれぞれ反対の場所に離脱した。
爆風と飛んでくる瓦礫に備えて構えるが、爆発は起きない。
「……ッ」
──ドォォオオオオオオオオオン!!!!!!
これまでに経験したことがないような爆発と鼓膜を引き裂くような轟音。
低く構え飛ばされまいとしていたが、やすやすと吹き飛ばさた。
大小さまざまな瓦礫に全身を打ち付け、打ち身や切り傷に苦悶の声が漏れる。
転がりまわって平衡感覚を失っているがすぐに立ち、俺を吹き飛ばしたメンシュハイトの方を見据える。
土煙で視界が悪いが、メンシュハイトの方から不定期に小さな爆発が起きる。その様子は寿命の近い電球を思わせた。
小さな断続的な小規模爆発が収まる。
『比企谷くん! 先生??』
耳元の大声にビクッと身体が反応する。声がでかすぎる。
文章もう変えん言うたけどめんどいから普通に書くで
「俺の方は大丈夫だ。それより今の爆発のパターンはなんだ」
『良かったー! ……うーん、わからない。初めてのパターンらしくてこっちでも状況が掴めてないの』
HP減少で別モーション解放って感じか。めんどくさいな。
せっかく相手の動きを把握して来たってのに、行動パターンが複雑化するとリスクが高くて仕掛けにくくなる。
『平塚隊長!』
うるさっ……。
海老名さんの声から察するに、平塚隊長も無事のようだ。
視界が晴れずまるで様子がわからない。
『比企谷くん、平塚隊長無事だったよ』
「ああ。良かった。海老名さん、もっと敵から離れたほうがいいか?」
『そーだね……、あっ、はい。比企谷くん、平塚隊長がすぐに視界の晴れた場所に移動しろって』
「オーケー」
背後を警戒しながら、やや遅めの歩調で遠ざかる。
足元は瓦礫ばかりなので、なかなか思ったようには進めないが、身を隠しながら動けるのでこれはこれでいい。
20秒ほどで視界が開けた場所へ着いた。
背後に向き直り、ゆっくりと後ずさる。
上げ忘れや
『…………動かないね』
もう10秒は動きがない。
今の攻撃、もしかすると致命傷に至ったのか……?
どちらにしろ煙が薄まってから直接目にするしかないだろう。
しばらく待つのは覚悟しよう。
敵がいつ襲いかかってもいいようにと、静かに剣を構え直した時だった。
「……ッ」
嘘だろ!?
急激な煙の盛り上がり。
目で終えないほどの速さで、湧き出る水のように煙が幾重にも膨張する。
このSSまとめへのコメント
なんでこんな話になってしまったんだろう。普通の八沙で良かったのに
中二病なんだろ
スレタイ詐欺に近いが書き手がHACHIMAN書きたかったって言っとるんやからしゃーない
変な設定入ってきて読む気失せた
つまんね
てめぇら、いい加減にしろや。
自分で賭けもしないくせに人の作品にイチャモンつけんなや。
べつにどんな作品が混ざろうとも、作者が頑張って書いてるのを邪魔するなら見るなや。
俺は、見たいから見てるんじゃ。
お前らみたいなやつがいるから、途中で終わる作品が増えるのわからんのか。
誤字脱字の指摘だけにしてけや、
パグぞー誤字把握www
でも正しい事言ってるからよしとするwww
面白かったから最後まで読みたかった……
うんち
コメントは好評も批判も自由だよ。
どの作品も批判のないものはないし、その覚悟もなく潰れるようならそれまで。
途中で作品が終わるのは投稿主の問題