のび太「ドラえもん!お願いだよ!」 (77)
ドラえもん「諦めな、そんな道具ないね」
のび太「彼女が欲しいんだよ!僕だって青春したいんだ」
ドラえもん「しずかちゃんはどうしたのさ?」
のび太「…記憶から消した」
ドラえもん「またドタキャンされたのか」
のび太「僕の事、嫌ってるよ。」
ドラえもん「そりゃ気の毒に」
のび太「最近まったく道具を出してくれないじゃないか!これが最後のお願いだから!頼むよ!」
ドラえもん「その最後ってセリフ何回目だよ」
ドラえもん「もうすぐ六年生になるんだろ?そんな事ばかり言ってないで、少しは真面目に勉強でもしたらどうだい?」
のび太「勉強すればモテるのかい?」
ドラえもん「そりゃそうさ。例えイケメンでも学歴がなかったら女は寄ってこない。それが現実だ」
のび太「…現実はくだらないな」
ドラえもん「6年になるんだから生徒会長でも目指せばいい、今ならまだ5時間目の授業に間に合うよ?」
のび太「生徒会長ね…」
-学校-
先生「まもなく春休み、春休みが終わればみんなは6年生だ。是非このクラスから一人、生徒会長に立候補してもらいたい」
トンガリ「やっぱ立候補できるのは出来杉君しかいないでしょう」
しずか「わたしもそう思うわ」
キテレツ「……。」
先生「意見は一致しているようだな。出来杉、どうだね?」
出来杉「みんなの期待に答えられるように頑張りたいと思います。」
先生「出来杉、例の物を皆に」
出来杉「はい」
しずか「それは?ボールペン?」
出来杉「オートマチック消しゴム、手を動かさなくても自動で文字を消してくれる」
トンガリ「すげえや!試しに使ってみてもいいかい?」
出来杉「もちろん、まだ試作品ですが、さらに改良を重ね小型化の予定です。特許も出願中だ」
ウィーン
トンガリ「こいつはいいや!」
出来杉「僕が生徒会長になれば、このような便利な道具を経費で生産し、全校生徒に配布します。より勉強に力が入るでしょう」
先生「ふむ」
ウィィィ……
トンガリ「あれ?と、止まらないぞ」
ガガガガガ…
しずか「…なんか焦げ臭くない?」
ボンッ!
しずか「きゃあああ!」
トンガリ「うぎゃああ!!僕の指が…指がふっ飛んだあああ!」
生徒「救急車だー!火をけせー!」
出来杉「……」
先生「……」
先生「…出来杉、君には失望した。」
出来杉「…たいした事じゃありません、ちょっとしたミスです。すぐに改良します」
先生「たいした事じゃないだと!?」
生徒「出血が酷いな…」
トンガリ「あああぁ…」
先生「生徒会長が決まるのは2ヶ月後だ、今から改良していてはとても発表に間に合わん」
出来杉「…間に合わせてみせますよ」
先生「お前に目をかけていた私の立場はどうなる?」
出来杉「……」
先生「私の顔に泥をぬりおって!」
キテレツ「先生!生徒会長の立候補、このキテレツにお任せいただけないでしょうか!」
先生「キテレツ君、君は発明家になるのが夢だそうだな?」
キテレツ「すでに特許を取った発明品も存在します、一度ご覧になっていただけませんか?」
出来杉「君が生徒会長に?悪い事は言わない、やめとけ、荷が重い。この程度の失敗は僕の想定内さ。」
先生「出来杉は黙ってろ!」
出来杉「!」
先生「…キテレツ君、前から君の才能には一目置いていたんだよ、10分後に職員室まで来てくれ」
キテレツ「わかりました!」
出来杉「……」
-繁華街-
のび太「僕が生徒会長?なれるわけないじゃないか、うちのクラスには生徒会長候補の出来杉とキテレツがいるんだ、きっと今頃、どちらかに決まってるさ」
低学年「うぎゃああ!ゆ、許してくださいー!」
スネ夫「このバカタレが!」
ドガッ!
のび太「な、なんだ?ひでえ!スネ夫が低学年にヤキ入れてるぞ?」
低学年「ゴホッゴホッ!塾に遅刻しそうで急いでたんです…!わざとスネ夫さんの靴に泥を跳ねさせようとしたわけじゃ…!」
スネ夫「やかましい!」
ボコッ!
のび太「は、歯が抜けてる…!酷い事を…!」
スネ夫「この靴はな、イタリア製で日本じゃ手に入らねーんだ!慰謝料含めて5万!明日までにきっちり用意しろ」
低学年「ま、待ってもらえるなら、お、お金なら…、だからもう殴らないでください…!うぅ…」
スネ夫「金払えば済む話じゃねーだろ?俺の心の傷、オマエの歯の一、二本じゃすまねーぞ?」
のび太「……!」
スネ夫「この石を口の中につめな」
低学年「おごご…!」
スネ夫「総入れ歯で勘弁してやるぜ!」
のび太「やめろー!!!」
スネ夫「あん?」
のび太「マジかよスネ夫!そこまでやる事ないだろ!?」
スネ夫「のび太あ!誰に説教こいてんだテメエ!」
のび太「う…!」
スネ夫「最近お前、学校に顔出さねーな?もうすぐドラえもんが未来に帰っちまうんで、ショックで引きこもりかよ?」
のび太「な…?」
スネ夫「うちの親が言ってたぜ?オマエの母親から聞いたってな。もう四次元ポケットも不能らしいじゃねーか?」
のび太「で、でたらめ言うな!」
スネ夫「だ、誰の胸ぐら掴んでんだよテメー!ぐわっ!」
ドカッ!
のび太「エイプリルフールにはまだ早いぞ?スネ夫」
バキッ!
スネ夫「ゲホッ!ほ、本当だよ!お前何も聞いてないのか!?」
のび太(まさか…だからドラえもん最近道具を出してくれないんじゃ…)
のび太「オマエのようなハイエナの言うことが信じられるかー!」
スネ夫「やめろ!もう殴らないで~!!」
ジャイアン「ほーう、だったら俺はライオンかよ?」
のび太「!!」
ボゴォ…!!!
のび太「ぐぅぅおぉ…!」
ドサッ…
スネ夫「ジャ、ジャイアン!」
ジャイアン「情けねーぞスネ夫!何をのび太相手に飲まれてんだ!」
スネ夫「ご、ごめんジャイアン…!ドラえもんの事になったらこいつ急に突っかかってきやがってさ…!ちょっと油断しちまっただけだよ…!」
ジャイアン「…」
スネ夫「タ、タバコは勘弁して…!」
ジャイアン「今回の落とし前は腕じゃすまねーな」
ジューッ!
スネ夫「あぢゃぢゃー!ま、眉毛がー…!」
のび太(ぐぐ…!一発くらっただけなのに…立ち上がれない…!!)
ジャイアン「どうした、のび太ぁ?ドラえもん無しじゃ、起きる事もできねーかよ?」
グリグリ(のび太の頭を踏みつけるジャイアン)
のび太「……!」
ジャイアン「ドラえもんの話、俺も聞いてるぜ?オマエ知らなかったのか?そんな大事な話を隠すなんてよ、あいつも冷てーよなあ?」
のび太「ドラえもん…!」
ドカッ!
のび太「ふぎぃ!」
ジャイアン「さあ!呼べよ!ドラえもんに「助けて」って叫んでみな!」
ゴスッ!バキッ!
ジャイアン「うはは!とっくに見捨てられてんだテメーは!」
ドカッ!ドカッ!
のび太「ぐうう…!」
ジャイアン「へっ!どーしたよ?かかって来ねーのか?」
ジャイアン「オメーは俺の犬だ!俺から自由になりたきゃ、俺を殺るしかねえ!」
のび太「…クズ野郎…」
ジャイアン「へっ!おうスネ夫!」
スネ夫「あいよ」
ジャイアン「オメーにもうさばらしさせてやるよ」
スネ夫「待ってましたあー!」
のび太「う…」
スネ夫「オラ!オラ!ムカつくんだよテメーは!」
ドスッ!ドス!
スネ夫「ハハハハハ!ジャイアン、こいつ、涙流してるよ」
のび太「………」
スネ夫「さっきのガキ逃げやがった、よお、のび太!財布出せよ」
のび太「……」
スネ夫「あいつの慰謝料代わりに払ってもらうぜ」
ジャイアン「2千だあ?これっぽっちかよ(笑)」
のび太「……(涙)」
ジャイアン「のび太ぁ!オマエはそうやって地面にへばりついてんのがお似合いだぜ!行くぞスネ夫」
スネ夫「ハハハ!お休みのびちゃん(笑)」
のび太「…。。。」
-校門-
コロ助「いよいよキテレツの時代なりね!」
キテレツ「フフフ…出来杉はやらかした、もうお終いだよ」
コロ助「でも気を付けるなりよ、出来杉は裏じゃそーとーヤバイ事やってるって噂なり」
キテレツ「あの秀才野郎が?」
出来杉「随分と楽しそうな話をしているじゃないか」
コロ助「!!!」
キテレツ「!!!」
出来杉「おめでとうキテレツ君。生徒会長に立候補するんだって?」
キテレツ「あ、ああ…」
出来杉「…まさか僕に勝ったなんて思ってないよな?」
キテレツ「……」
出来杉「あんなミスは時間さえあれば、どうにでも揉み消せたんだ!!」
キテレツ「…トンガリが重傷を負ったんだぞ?」
出来杉「彼は実に運が悪かった。そしてオマエも本当に運がない」
キテレツ「……」
出来杉「なぜだかわかるか?…オマエはとんでもない相手を怒らせちまったんだ」
コロ助「キ、キテレツから手を離せ!許さないなりよ…!」
キテレツ「…本性現しやがったな」
出来杉「覚えておけ、僕は君を絶対に許しはしない…絶対にだ」
キテレツ「あんたはもう終わったんだ…!諦めな…これからは俺の時代さ」
出来杉「フ…せいぜいわずかな時を楽しむんだな…」
キテレツ「…どうかしてるよあんた…手を離してくれ…」
出来杉「……」
キテレツ「…行こう、コロ助」
出来杉「………」ギリギリギリ
しずか「出来杉さん…」
出来杉「!」
しずか「残念だったわね…生徒会長。元気だしてね」
出来杉「やあ、しずか君」ニコッ
出来杉「僕は平気だよ、生徒会長にはなれなくても…今までどうり生徒会で頑張っていくつもりさ」
しずか「応援してるわ」
出来杉「そうだ、これから図書館に寄るつもりなんだけど一緒にどう?」
しずか「ごめんなさい、これからのび太さんの家に行く予定なの」
出来杉「のび太君の?」
┌~┐ ┌~┐
C ΩC⌒⌒ヽC
└z((ノノ))))┘
ノ乂リ゚ヮ゚ノ乂 これは期待
[と}凹{つ
レ<{_}>
しソ
しずか「彼、もう2週間も学校に来てないのよ、さすがに心配で…」
出来杉「そっか…」
しずか「たけしさんやスネ夫さんも…みんな変わってしまって…」
出来杉「……」
しずか「昔みたいに、みんな仲良しだった頃に戻れたら良いのにって…最近、よく思うの」
出来杉「…人は変わるものだね」
出来杉「君は…のび太君の事を…」
しずか「……また明日ね」
出来杉「………」
出来杉「…邪魔だな…どいつもこいつも」
‐のび太家‐
ドラえもん「ええ?今日のび太君、学校に行ってないの?」
しずか「ええ…」
ドラえもん「5時間目の授業には間に合うって言ってたのに…どこほっつき歩いてるんだ」
しずか「…ドラちゃん、本当に未来に帰っちゃうの?」
ドラえもん「…!」
しずか「人伝に聞いたの」
ドラえもん「そっか…ママに話すんじゃなかった…なんでも不用意なタイムトラベルは未来に悪影響を及ぼすとか…」
しずか「…」
ドラえもん「一週間後には強制的にオサラバだよ」
しずか「その様子だと、のび太さんにも言ってないのね?」
ドラえもん「…じきに伝えるつもりだよ…もう少し黙ってて」
しずか「…わかったわ、それじゃあ」
ドラえもん「君が来た事のび太くんに伝えるよ。きっと喜ぶ」
しずか「…いいの、何も言わないで。…変に期待させちゃ悪いから」
ドラえもん「……」
しずか「じゃあねドラちゃん、…さみしくなるわ」
パタン…
ドラえもん(…のび太くん…僕がいなくなったら、君は本当に一人ぼっちだ…)
┌~┐ ┌~┐
C ΩC⌒⌒ヽC
└z((ノノ))))┘
ノ乂リ゚ヮ゚ノ乂 見てるのん
[と}凹{つ
レ<{_}>
しソ
ドラえもん…
僕…君がいないと…
駄目なんだよ…。。。
ドラえもん「のび太!!!」
のび太「…!!!」
ドラえもん「良かった…!気がついた!!」
のび太「ここは…僕の部屋…」
ドラえもん「繁華街でボロボロになって倒れてた君を、キテレツ君とコロ助君が見つけて運んでくれたんだ」
キテレツ「大丈夫かい?一体誰にやられたの?」
のび太「そ、そうか…僕はジャイアン達にリンチされて……」
ドラえもん「やっぱりあいつらの仕業か!」
キテレツ「あいつら鬼畜は、まさに腐ったミカンだよ。僕が生徒会長になったら野放しにはしない」
のび太「君が生徒会長に立候補するの…?出来杉は…?」
コロ助「あいつは失脚なり」
キテレツ「そうゆう事で僕は選挙活動で色々忙しいんだ、失礼するよ、お大事に」
のび太「…二人ともありがとう」
‐路地‐
コロ助「なんであんな奴をわざわざ家まで運んでやったなりか?」
キテレツ「演出さ、選挙にはあいつの一票も無駄にできないからね。イメージアップにもなった」
コロ助「あの駄目人間、しずかちゃんに告白してフラれたらしいなりよ(笑)」
キテレツ「ハッまさに腐ったミカンだな(笑)、僕が生徒会長になったら真っ先に潰す予定さ。これからが本番だぞコロ助、忙しくなりそうだ」
コロ助「キテレツの時代なりー!」
-のび家-
のび太「どこに行くんだい?」
ドラえもん「…どら焼きでも買ってこようと思ってね」
のび太「そんな恐ろしい顔してかい?」
ドラえもん「…!」
のび太「ジャイアン達の所へ行く気か…」
のび太「やめといた方がいい…奴らイカれてる」
ドラえもん「……」
のび太「マジで殺されるぞ」
ドラえもん「…僕には四次元ポケットがある」
のび太「もう…それはただのポケットなんだろ…?」
ドラえもん「!」
のび太「どこにも行くなよ…ドラえもん…。」
ドラえもん(…もう君は知っているのか…)
‐しずか家‐
しずか「…いろんな事が変わってゆく…」
過去の写真を眺める
しずか「変わらないでよ…みんな、この写真の頃のままでいてほしかった…」
しずか「……のび太さん、どうして告白なんか…」
しずか「……。」
‐のび太家‐
ドラえもん「僕はジャイアン達の所になんか行くつもりはないよ」
のび太「……」
ドラえもん(…僕がいなくなったら…君はこんな世界で、一人で強く生きていかなければならない…甘やかしちゃ駄目だ…!)
のび太「ドラえもん…」
ドラえもん「本当の事を言うよ。どら焼を買いにいくだけだ」
のび太「…」
ドラえもん「さらに一週間後には未来にオサラバさ!二度と会うこともない、これも本当さ」
のび太「……」
ドラえもん「君の言う通りだ!このポケットはもうただのポケット!未来の道具はもう何ひとつ入ってない!」
ドラえもん「僕が君の為にジャイアン達をどうにかするとでも思ったのかい?仕返しをしたかったら自分でするんだね」
パタン!
のび太「……」
のび太「……」
その夜
-キテレツ家-
キテレツ「あ、もしもし?僕だけど、生徒会長の選挙ポスターなんだけどさ、写真部の君にお願いしようかと思ってさー」
ピンポーン
ピンポーン
キテレツ「おいおい~生徒会長って呼ぶのはやめてくれよ~、まだ決まったわけじゃないんだからさ~」
ピンポーン
ピンポーン
キテレツ「ちっ、うるせえな…。おーい!コロ助ー!客だぞ!出てくれー!」
ピンポーン
ピンポーン
キテレツ「そうか…あいつコンビニ行くとか言って出てったきり帰ってきてないな…悪い、誰か来たみたいだ、また後でかけるよ」
ピッ
ピンポーン
ピンポーン
キテレツ「あー、うっせえな、今行くっての!」
ガチャッ
キテレツ「なんの用ですかー?こんな夜遅くに…」
キテレツ「うっ…!!」
ジャイアン「お邪魔するぜ!」
キテレツ「何のようだ…!ぐふっ!」
ドカッ!!
ドサーッ
ジャイアン「……」
キテレツ「な、な、何のつもりだ…!?ぐわっ!」
バキッ!!
キテレツ「う…僕を誰だと思ってる…!生徒会が黙ってないぞ…!」
ジャイアン「……」
ナイフを取り出すジャイアン
キテレツ「ちょ……」
キテレツ「や、やめろぉーー!やめてください!欲しいものは何でもやるから!た…助けて…!」
出来杉「やあ、気分はどうだい?」
キテレツ「で、出来杉…!!!」
出来杉「非常に残念だよキテレツ君、ガッカリだなあ。君とは良き友になれたかもしれない、心が痛む」
キテレツ「お、お前らいったい…?これはなんの真似だ…?!」
出来杉「…来年建設予定の第二体育館の敷地が裏山にある」
キテレツ「…な…なんだって?」
出来杉「これからはそこが君の寝床だ、安心したまえ誰にも起こされることはない。ゆっくり休んでくれ」
キテレツ「な…な…」
出来杉「束の間の優越感、楽しめたかい?」
キテレツ「世の中クズばかりだがクソッたれもいる!出来杉!お前は最低のクソだ!!」
出来杉「遺言はそれだけかな?」
キテレツ「…!!」
出来杉「剛田君、後は頼むよ」
ジャイアン「おう」
出来杉「お別れだキテレツ、次の人生を楽しみたまえ」
キテレツ「うわああああああああああ!!!!!!!」
……。。。
寝ます
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