忍野「阿良々木くん、きみはまだ気づかないのかい…」暦「?」(140)


忍野「忍ちゃん、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードがこの町に偶然、偶々、気の向くままに来たと本当に思っているワケじゃないだろう」

暦「それは死に場所を求めて以前の眷族の生まれ故郷、日本に来たんじゃないのか」

忍野「それは忍ちゃんの言っていたことだろう」

忍野「本当に信じているのかい」

忍野「僕は君ほどじゃないが忍ちゃんのことは知っている」

忍野「僕らみたいな専門家には忍ちゃんのことは重要事項でね」


忍野「君たちにとってのいわば聖徳太子みたいなものだ」

忍野「まぁ、聖徳太子については未だ未知の部分は多くてね」

忍野「良く教科書にのっている肖像画の脇にいる子が誰なのか、性別さえ不明だと言われているらしい」

忍野「ぶっちゃけあの肖像画さえも一部の人達が言うには聖徳太子じゃないと言われているんだけどね」

忍野「まぁ、そんなことはおいといて」

忍野「阿良々木君と話しているどうも話がそれてしまって」

忍野「ついつい余計なことまで話しちゃうんだよね」

忍野「阿良々木君は聞き上手だからね」

暦「僕はまだ40文字も話してねーよ」

暦「忍野、お前がただのお喋りなだけだ」

忍野「確かに阿良々木くん、僕は君の前ではお喋りだよ」

忍野「だが君の前だけだよ阿良々木君」

忍野「どんな相手に対してもこれほど饒舌には話せないよ」

暦「それは、何と言うか…光栄だな」

忍野「ツンデレちゃんや委員長ちゃん相手ではこうはいかないよ」

忍野「彼女達には何と言うか、警戒されてるようだからね」

暦「そりゃぁ忍野、30過ぎのおっさんが年中アロハシャツ着て放浪してれば年頃の女の子が警戒するのは当たり前だろ」

忍野「僕が学生の頃は流行っていたんだけどね」

忍野「時代の流れってのは恐ろしいものだ」

忍野「お洒落には気を使っているものだと思っていたんだけど」

暦「いまさら気にすることでもないと思うけどな」

暦「それより忍野、まさかそんな話をするためにこの町に戻って来たわけじゃないだろ」

暦「娘に好かれたいためにお洒落になろうとしているお父さん気分でこの町に、僕に会いに来たわけじゃないんだろ」

忍野「いや、その通りだよ阿良々木くん」

暦「」

忍野「阿良々木ハーレムの筆頭を司っていた僕だけど、僕もほら、もう歳だからね」

忍野「そろそろ身を固めようと思ってね」

忍野「阿良々木ハーレムから一人分けてもらおうと思って」

暦「」

忍野「大学の同期の奴がどうやら中学生をたらしめたみたいだね」

忍野「僕もうかうかしてられないと思って、中学生は流石に良心が痛むから高校生で妥協しようと思ってこの町に戻ってきたんだよ」

暦「」

忍野「なーんて冗談だよ」

忍野「僕は女の子には興味ないんだよ」

暦「」

忍野「変な勘違いはやめてくれよ」

忍野「僕は阿良々木くんみたいに少女性愛がないだけだよ」

忍野「もちろん腐った淑女達のオカズになるような真似もしない」

暦「だったら今日は一体全体どうしてこの町に」

忍野「仕事だよ」

暦「この町にまた怪異が出たのか」

忍野「いや、そろそろ潮時と思って」

忍野「いろいろ阿良々木くんに伝えときたいことがあってね」

忍野「僕なりにこの物語に終止符をつけに来たんだよ」

忍野「ケジメってやつかな」

暦「はっきりしないな忍野、一体何をそんなに言い渋ってるんだ」

忍野「そうだね、ちゃんと話そう」

忍野「えーと、どこまで話をしたっけな」

忍野「そうそう忍ちゃんだ」

忍野「僕たちはいろいろ調べていたんだ」

忍野「彼女について、熱血にして鉄血にして冷血なバンパイア、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード、忍野忍についてね」

忍野「彼女の眷族についても」

忍野「彼のことについても」

暦「それがどうしたんだ」

忍野「阿良々木くん、良く考えてごらんよ」

忍野「彼女が何故、ここで死のうと思ったか」

暦「そりゃあ忍野、さっきも言った通り前の眷族の故郷だからじゃないのか」

忍野「忍ちゃんはそれほど眷族が好きではなかったのに何故眷族の故郷で死のうと思ったんだい」

暦「そりゃあ思い出とかあったんじゃないのか」

暦「今でもその眷族の骨を持ち歩いてるほどなんだから」

暦「好きではないのしろ忍は前の眷族のことを認めていた」

暦「特別な存在だったと思っていたと思うよ」

忍野「それじゃあ、何故すぐに死のうと思わなかったんだい」

暦「それは心の整理とかいろいろあったんじゃないか」

忍野「そして心の整理が終わり、死にに来たと」

暦「そうなんじゃないのか」

忍野「おかしいとは思わないか阿良々木くん」

忍野「普通、死ぬために心の整理をするかい」

忍野「後追い自殺をしないほど冷静な判断ができた者が死ぬために心の整理をすると思うかい」

暦「いや忍野、心の整理をした結果、死ぬという結果になったんじゃないのか」

忍野「僕も最初はそう思ってた」

忍野「だが変だと思わないか」

忍野「怪異が自ら消える選択をとるのは」

暦「どういうことだ忍野」

忍野「怪異というのは認知されて初めて存在する」

忍野「いわば人が願い想い乞いて初めて産まれ存在するものだ」

忍野「忘れ去られて消えることはあれど自ら消えようとするはずがない」

忍野「忍ちゃんは決して忘れ去られたワケじゃない」

忍野「それどころかバンパイアハンターに追われていた」

暦「だから自ら消える選択を取ったんじゃないのか」

忍野「怪異は忘れ去られる限り消えたりしないんだよ」

忍野「自ら消える選択を取るなんてナンセンスだ」

忍野「仮にも怪異の王と揶揄されるほど願われ想われ乞われていたんだよ」

忍野「あまりに乞われてしまったが故に壊れてしまったなんてそんな馬鹿げた話があるかい」

忍野「自ら消えたからと言って忘れ去られるワケでもないしね」

暦「それじゃあどうして」

忍野「恐らく忍ちゃんは死ぬためにこの町に来たわけじゃない」

忍野「忍ちゃんは惹き付けられたんだよ」

暦「惹き付けられた?」

忍野「いや、呼ばれたのかな怪異に」

暦「!?」


暦「一体、今度の怪異は何なんだ忍野」

暦「僕に話すということは何か僕に協力して欲しいことがあるからなんだろ」

忍野「察しがいいなぁ、阿良々木くんは」

忍野「ただいかんせん、正直な話、まだ良くわかってなくてね」

忍野「まだ怪異かどうかすらはっきりしていないんだよ」

暦「どうゆうことだ忍野」

忍野「前例がないんだよ」

忍野「対処法が正しいかどうか僕には自信がない」

暦「忍野、お前がはっきりさせないんじゃ僕にはどうしようもない」

暦「怪異が何なのか僕にわからない以上、アドバイスできないぞ」

暦「一体、今回の怪異は何なんだ」

忍野「まったく阿良々木くんは」

忍野「相変わらず元気がいいんだから」

忍野「何かいいことでもあったのかな」

忍野「そうだね、実はね阿良々木くん」

忍野「今回の怪異は怪異と呼べないほどあやふや何だよ」

暦「?」

忍野「なんせ怪異だと思っているのが僕だけだからね」


暦「怪異だと思っているのが忍野だけってことか」

暦「どういうことだ忍野、もっとわかりやすく教えてくれ」

忍野「阿良々木くん、少しは自分で考えようとは思わないのかい」

忍野「それじゃあ蝸牛の時と一緒だよ」

忍野「なんでも人に指摘されないと気づけないなんてえっちなゲームの主人公じゃあるまいし」

忍野「幼なじみに愛想を尽かされちゃうよ阿良々木くん」

暦「忍野、僕に幼なじみと言える子なんていない」

忍野「あ、そっか」

忍野「そうだったね、阿良々木くんには友達がいないんだっけ」

暦「」


忍野「悪い事は言わない」

忍野「高校生のうちに心から信頼できる友達を作っておいた方がいいよ」

忍野「大人になったら皆下心ありきで人と付き合うからね」

忍野「まぁ、僕が言っても説得力がないんだけどね」

忍野「あ、異性の友達はよしといた方がいいよ阿良々木くん」

忍野「女はすぐに化けるからね」

忍野「まさか女友達しかいないなんてないよね」

忍野「さっき阿良々木くんには友達がいないなんて断言したけどまさかそんなワケないだろうからさ」

忍野「そういえば『人間強度が落ちるから』なんて言ってクラスで孤立してる男の子がいたっけ」

暦「」

忍野「人間強度ってなんだろね」

忍野「防犯ガラスじゃあるまいし強度って」

忍野「極めると机の上で寝てもベッドて寝てるように感じるのかね」

暦「」

忍野「えーと、また話がそれちゃったね」

忍野「阿良々木くんが委員長ちゃんに愛想を尽かされそうなんだっけ」

暦「忍野、僕に幼なじみがいないからって無理矢理委員長にして話を戻すな」

暦「そんな無駄話をしに来たわけじゃないだろ」

暦「僕は羽川に愛想を尽かされたら生きていけないよ」

忍野「阿良々木くんは愛想を憑かされたいんだろうね」

暦「それより蝸牛の怪異ってのは八九寺のことか」

暦「確かにあの時、僕の振る舞いのせいで幼い八九寺に恋心を抱かせてしまったけどそれが今回のと何か関係があるのか」

忍野「阿良々木くん、君は何を言ってるんだい」

忍野「世界線でも移動してきたのかい」

忍野「僕が言っているのはツンデレちゃんの方だよ」

暦「」

忍野「あの時君は自分に見えている者が、同じ様にツンデレちゃんに見えている思ってた」

忍野「僕はその事を言ってるんだ」

忍野「まぁ、ツンデレちゃんにも恋心を抱かせちゃったようだけど」

暦「」

忍野「まったくすけこましだよ君は」

忍野「阿良々木ハーレムの話は他所でやって欲しいよ」

忍野「それで阿良々木くん、君は同じ様な事を僕がいなくなってから体験したんじゃないのかい」

暦「忍野がいなくなってから…」

忍野「不死鳥のことだよ、さしずめフェニックスと言ったところかな」

暦「あ、そういうことか」

暦「そこにいると思っていた女の子(八九寺)はほんと怪異で」

暦「妹だと思っていたのが実は妹じゃなかった」

暦「そ、それじゃあ忍野、今回は一体誰が怪異なんだ」


~スコシジカンヲモドシテアサダヨ~


暦「」シンブンガサッ

暦「『北白蛇神社付近の通り魔捕まる』」

暦「『犯人は女子中学生!?』」

暦「はぁー、物騒な世の中になったものだなぁ」

暦「まさか、千石のやつじゃないだろな」

暦「いやいや、千石はあの後(詳しくは恋物語を読んでね)貧血で倒れて入院中なんだっけ」

暦「でも犯人は僕の後輩かぁ」

暦「あの中学校は問題児が多いなぁ」

暦「妹達が行かなくてよかったよ」

暦「ファイヤーシスターズが行てったらこれだけじゃ済まなかっただろうしな」

暦「えーと『犯人の女子中学生は中学生の間で流行っている不吉なおまじないを流行らせた被害者を恨んでおり、そのおまじないを流行らせた被害者を白蛇神社付近でバットで襲ったと供述している』」

暦「『被害者は昨日未明に意識を取り戻した』」

暦「この被害者って貝木のことだよな」

暦「そういえば僕が白蛇神社に着いた時に貝木がいてその後千石を病院に連れていって」

暦「ってことは僕が千石を病院に連れていってる時に貝木は襲われたのか」

暦「そういえば何でアイツはあの場所にいたんだ」

暦「ちょっと会いに行ってみるか」

暦「貝木との約束なんて今さらだしな」


暦「えーと入院先は…」

………
……


暦「おっかしいな、忍の奴どこに行ったんだ」

暦「影の中にはいないようだけど」

暦「少し行動する制限がなくなったからって何も言わずに出かけられると心配だな」


【説明しよう】
猫物語にあったように忍と阿良々木くんは別行動ができるのだ(たぶん)
まぁ、忍野がいる間は学習塾に居たわけだし阿良々木くんとの思い出がある所(学習塾跡、阿良々木ハウスなど)ならば別行動が可能なのだ!!
ちなみに時間軸は恋物語の(1週間くらい)後だと考えていただきたい


暦「まぁ、呼べば飛んでくるからいっか」

暦「それに貝木にはあまり会わせたくないしな」


【説明しよう】
貝木は恋物語で株価急上昇したが>>1の中ではロリコン(願望)疑惑がかけられているのだ
貝木のために言っておくが貝木は決してロリコンではなく純粋で真っ直ぐな子が好みなんだぞ


暦「さてと」ドアガチャ

?「久しぶりだな阿良々木暦」
暦「お前は!?」


暦「ドラマツルギー」

暦「どうしてまたこの町に来たんだ」

ド「そう邪険にするな阿良々木」

ド「今日は闘いに来たわけじゃない」

ド「たまたま仕事がこの町の近くでな」

ド「ついでに寄っただけだ」

暦「仕事って、バンパイアハンターのか」

ド「いや、バンパイアのハントってのはそう頻繁には起きない」

ド「お前達と闘った時も五年振りくらいだったからな」

ド「それより阿良々木、今日寄ったのは頼みがあるんだ」

暦「バンパイアハンターにはならないぜ」

ド「それもあるが、今日は道を聞きに来た」

ド「ここいらの知り合いはお前くらいしかいなくてな」

暦「まさかお前、道を聞きたいが故に玄関の前でずっと待ってたっていうのか」

ド「今日は曇りだからな」

ド「そこまで陽射しが辛くない」

暦「待ってたのかよッ!!」

ド「いきなり押しかけるのも悪い気がしてな」

ド「日影に移動しながら待ってたところだ」

暦「日影って、この辺に日影ができるようなものなんて…」

暦「まさか、電柱の影に身を預けていたワケじゃないだろうな」

ド「ほう、この石の柱は電柱と言うのか」

ド「これのお陰でずいぶんと楽ができたものだ」

暦「」

暦「ところでドラマツルギー、お前は一体どこに案内して欲しいんだ」

ド「そうだ、阿良々木」

ド「叡考塾という建物を知っているか」

………
……


暦「ここを左に曲がればちょっと広い更地が見えてくるから」

暦「そこが叡考塾のあった場所だよ」

ド「助かったよ阿良々木」

暦「いや、たまたま通りかかったから」

暦「じゃあ、僕はこれで」

ド「阿良々木」

暦「ん」

ド「バンパイアハンターになる気はないのか」

暦「アンタも結構しつこいね」

暦「僕はもうバンパイアの力を持ってないし手にいれるつもりもないよ」

ド「人とは同じ時間を生きられないぞ」

ド「バンパイアハンターにはお前に似た体質の奴もいる」

ド「まぁ、正反対の奴もいるがな」

暦「僕には忍が、キスショットがいる」

ド「そうか、また誘いに来る」

ド「お前なら良いバンパイアハンターになれる」

暦「余計なお世話だよ」

………
……



暦「さてと」ジテンシャニノル

暦「貝木の入院先の病院は」

暦「」ジテンシャ シャー、ガシャン ニダイニナニカノル

暦「ん!?」キキッー

猫「にゃおーん」

暦「お前は!、ブラック羽川!!」

猫「ごろにゃー」

暦「なぜお前がいる」

猫「ごろごろ」

暦「答えろ」

暦「忍野を探しに外国に行ってたんじゃないのか」

猫「そうだにゃ」

暦「それじゃあ、なんで日本にいるんだ」

猫「ご主人は外国に行くついでにアロハを探しにいっていたわけじゃにゃいにゃ」

猫「誤解するにゃよ人間、現在のご主人の最優先の目的はアイツを探し、見つけることだにゃ」

猫「外国に行くのはついでだにゃ」

猫「そしてそれを人間に教えることだにゃ」

暦「そうか、でも猫せっかく見つけてくれたのに悪いんだがもう忍野にやってもらうことはなさそうなんだ」

暦「千石のことは別の人が解決してくれた」

暦「それにそのことは羽川にちゃんと伝えたはずだ」

猫「知ってるにゃ」

暦「?」

猫「にゃはははは」

暦「どういうことだ猫、ちゃんと僕に解るように説明しろ」

猫「元気がいいにゃ人間」

猫「にゃにかいいことでもあったのかにゃ」

暦「それはお前の芸当じゃなーい」

猫「にゃはははは」

猫「簡単なことだにゃ」

猫「アロハを見つけ、居場所を教えに来たら人間から連絡があったということにゃ」

暦「すれ違いってことか」

猫「そういうことだにゃ」

暦「それじゃあ、一つ聞くが猫」

暦「どうしてお前が出てきてるんだ」

特にテクニックはなかったが、
ふたりエッチの主人公の兄が「女に入れてくださいって頼まれるような前戯をしろ」って言葉と、
何巻だったかわすれたが・・・
真さんがとにかく愛撫しまくって優良さんをじらしまくるシーンを思い出してその通り実践した




やはり克亜樹は偉大だった

猫「それはだにゃ人間、虎の一件(猫物語をよんでくれにゃ)以来、ご主人はある程度オレ達と話せるようににゃってにゃ」

猫「オレ達が暴走しにゃいようにコントロールしてるんだにゃ」

猫「ご主人は相も変わらずストレスを解消することがうまく出来にゃいからこうしてオレが定期的に出てきてストレスを解消するんだにゃ」

猫「オレが外に出てるそれだけでご主人のストレスは解消するからにゃ」

猫「外国じゃオレ達がにゃにするかわからにゃいから日本に戻ってきた時にちょこちょこ出してもらうんだにゃ」

暦「なるほどな」

猫「にゃっはは、これが本当の猫にもなれば虎にもなる状況ってやつだにゃ」

暦「」

猫「にゃっひっひ」

暦「そうだよなぁ、外国じゃ飯とか当たり前のことがストレスになるもんな」

猫「何を言ってるんだにゃ人間」

暦「だって日本以上に生活水準の高い国なんてほとんどないだろ」

猫「生活するにあたってはそれほどストレスは感じにゃいにゃ」

暦「?」

猫「以前の方がメンタル的にご主人には辛いようだったからにゃ」

暦「…」

暦「それじゃあ、どうして」

暦「羽川にとっては楽しいはずだろ」

暦「今まで知らなかったこと知れて」

暦「今まで知っていたことを肌で感じて」

猫「ご主人はえっちにゃことはしてにゃいにゃ」

暦「肌で感じてって直接的な意味じゃねーよ」

暦「はっ、それじゃあ、まさか羽川はえっちなことが出来なくて」

暦「それがストレスになっていたと言うのか」

暦「なんてことだ、僕が日本にいるばっかりに羽川を飢えさせていたなんて」

暦「望んでいたと言うのか」

暦「羽川は僕のセクハラをッ!!」

閑話休題

猫「ご主人がたまってるかたまってないかはおいといてにゃ」

暦「僕としてはおおいに気になる問題だが」

猫「ご主人が最近参加してる」

猫「えーと、えぬじーえるだっけにゃ?」

暦「まさか猫、ngoのことを行っているのか?」

暦「羽川のやつ国際的ボランティアしているのか」

猫「それだにゃ、そこでの活動が思っていたより知っていたより凄惨でにゃ」

猫「なかなか慣れにゃいものにゃんだにゃ」

猫「オレからみれば人間の本当の姿だからそれほど気にすることじゃにゃいとおもうんだがにゃ」

猫「来年から本格的に活動するらしいから今はこっちでいろいろと調べたり準備したりしてるんだにゃ」

暦「ふーん」

暦「でも猫、お前他人事のように言っているけど当事者だろ」

暦「こんな所で僕と一緒に時間潰していていいのかよ」

猫「にゃ」

暦「お前にはやることがあるんじゃないのか」

猫「そうだったにゃ」

猫「ちょと直江津病院に暇つぶしに行くんだったんだにゃ」

暦「おい猫」

暦「お前はともかく、羽川にはいろいろとやることがあるんじゃないのか」

暦「お前が暇をつぶす時間なんてないんじゃないのか」

猫「まぁ、暇をつぶしと言う名の情報収集にゃ」

猫「ご主人にはにゃい知恵を持つ奴が直江津病院にいて、そいつと少し話をしに行くだけだにゃ」

暦「へー羽川にはない知恵ね」

暦(貝木の入院先は確か栂の木病院だっけ)

暦(約束したわけじゃないし貝木の方は後でもいっか)

暦(それよりコイツが病院で何するか心配だな)

暦「おい猫」

猫「にゃ?」

暦「僕も一緒にいっても構わないか」

>>38
ごめん誤爆した
みなかったことにしてくれたらうれしいです

~直江津病院病室~

貝木「ほぅ、コイツは珍しい客が来たものだ」

暦「貝木!!」

暦「お前、栂の木病院に入院してるんじゃなかったのか」

暦「今朝の新聞にはそう書いてあったぞ」

貝木「いつの話をしているのだ阿良々木」

貝木「俺は5日ほど前に栂の木病院から直江津病院に移された」

暦「でも、意識が回復したのは昨日って」

貝木「時間軸でも移動してきたのか阿良々木」

貝木「俺は事件の翌日には意識を取り戻していた」

貝木「お前はいつの新聞を読んできたんだ」

貝木「今回の件から阿良々木が得るべき教訓は新聞をあまり読んでいない時は先ず日付を確認するということだ」

暦「くっ、僕がたまにしか新聞を読まないということを二・三回言葉を交わしただけでわかるとは」

暦「流石は貝木、並の詐欺師ではない」

貝木「それはともかく阿良々木、一体何しに来たんだ」

貝木「お前が好き好んで俺のお見舞いに来るわけがない」

暦「お前の所に来るとは思わなかったんだよ」

暦「まぁ、知ってればミスタードーナツの一つや二つ買ってきたのにさ」

暦「あの日、白蛇神社で千石に何があったのか聞きに来た」

暦「お前は一体何をしたんだ」

貝木「教えてやる、ただし金を払え」

暦「以前、影縫さんに僕と忍のことを売ったよな、お前」

貝木「」

貝木「ふっ、しょうがないな」

貝木「何もしていないが、強いて言うなれば御百度参りの途中だったと言うことだけだ」

暦「御百度参り?」

貝木「知り合いの陰陽師の連れがここら辺で御百度参りをするなら白蛇神社が一番効果があると言うからな」

貝木「まぁ、俺は神なんて信じてないが、今なら前年度20%増しというからやってみたんだが、このざまだ」

貝木「あの日は境内にあの女の子が倒れていたのを見つけ、その後お前が来た、それだけだ」

暦「ふぅん」

貝木「信じるのか」

暦「詐欺師の言うことなんか信じてないけどお前がそう答える以上、真実を語る気はないんだろ」

暦「それが真実かもしれないけど」

貝木「そういうことだ」

貝木「珍しく物わかりに良いお前にいいものをやろう」ポイッ

暦「ん?」パシッ

貝木「超神水だ」

暦「超神水?カリン塔に登ると飲ませてくれる」

暦「あの超神水か?」

貝木「飲んでみればわかる」

暦「ふぅん」

暦(後で忍にあげるか)

暦「それより貝木」

貝木「なんだまだ何かようか」

暦「お前、漫画家にでもなるのか」ビシッ ベットノシタニアルチラバッタマンガノゲンコウヲユビサス

貝木「」

………
……


猫「にゃ、人間もう帰るのか」

暦「ああ、当初の目的は達成したし」

暦「お前の相手が貝木なのは不安だけど何かあったらお前なら対抗できるだろうし」

暦「それに貝木に迷惑かけるようなら構わないし」

暦「この病院に入院している千石の顔でも見て帰るよ」

猫「お前ずいぶん変わったにゃ」

暦「最後に会ったのは文化祭の前の日だしな」

暦「男子三日会わずは刮目せよって言うしな」

猫「三日前は会ってにゃいにゃ、誰かと間違ってるんじゃにゃいんじゃにゃいか」

暦「物の例えだ」

暦「それより猫、お前はいつ貝木と知り合ったんだ?」

猫「にゃ?」

暦「お前と貝木の接点なんて火憐ちゃんの時しかないだろ」

猫「アロハを探している間にアイツに会ったにゃ」

猫「あれは確か沖縄の空港だったけにゃ」

猫「アロハを着た怪しい奴を探してたらアイツがいたんだにゃ」

暦「貝木がアロハシャツ!?」

暦「アイツ修学旅行で木刀とか買っちゃうタイプなのかな」

猫「それで話してみたらにゃかにゃかいろいろにゃ話を知ってるから聞かせてもらってるにゃ」

暦「ふーん、なるほどね」

暦「じゃあ、僕は千石の所に行くから」

猫「にゃ」

暦「またな」

………
……


しかし千石には会えなかった
一度神様の力を手にいれた人間はもとの体には戻れない
神様の力を失った千石はもう

なんてことはなく2日前に退院していたのだった

~ビョウインカラノカエリミチ~


暦「」ジテンシャ キーコキーコ

暦「ん?あの白学ランはもしかして…」

暦「おい、エピソードじゃないか」

エ「あ゛」

エ「んだよ、誰かと思ったらたたら場じゃねーか、超ウケる」

暦「人をシシガミの森にある製鉄所みたいな名前で呼ぶな、僕の名前は阿良々木だ」

エ「名前を間違えたくらいでそんなにかみつくんじゃねーよ、マジウケる」

暦「それもお前の芸当じゃなーい」

暦「それよりエピソードお前、こんなところで何してやがる」

エ「何で、てめーに教えなきゃならねーんだよ」

暦「ずいぶん珍しい奴がいるから気になってな」

暦「今朝、ドラマツルギーにも会ったんだよ」

エ「さっきまで旦那と一緒だったからなぁ」

エ「仕事、つーか頼まれ事」

暦「ドラマツルギーとお前にか」

暦「そりゃあ、ずいぶんと大事じゃねーか」

エ「そうでもねーよ、保険で呼ばれたようなもんだからな」

暦「保険?」

エ「現状なら必要なさそうだし」

エ「予想より成長してるが、あの野郎ならなんとかなるだろ」

暦「ふーん」

暦「それにしてもお前、また大きくなったな」

エ「てめーほどじゃねーがそういう体質だしな」

暦「何言ってんだ」

暦「僕は髪が伸びたくらいで何も変わってねーよ

暦「背なんて中2からほとんど伸びてねーし」

エ「中2からとか超ウケる」

暦「人が気にしていることを」

エ「ま、あれだ、お前は少なからずキスショットの眷族なんだから成長が遅れてしまうのはしょうがねーよ」

暦「お前には励まされたくなかったよ」

暦「嫌みにしか聞こえねー」

エ「規則正しい生活を心がけるんだな」

暦「バンパイアハーフに規則正しい生活を説かれるとは」

エ「んじゃあな、早く帰らねぇと夕飯に間に合わなくなる」

暦「お前が夕飯を気にしてるなんて意外だな」

エ「母ちゃんはバンパイアだからな」

エ「逆らうと殺される」

暦「どこの家庭でも母強しってことか」

【補足】
原作ではエピソードの両親のどちらかがバンパイアであって母親とは限りません
都合上、エピソードのお茶目な一面を取り入れるために母親をバンパイアという設定にしたから悪しからず

~エピソードトワカレタアト~

暦(そういえばドラマツルギーはちゃんと帰れたのか)

暦(ちょっと学習塾跡に寄ってみるか)

暦「」キーコキーコ ガクシュウジュクアトヘ

暦「!?」キキッー ガクシュウジュクアトニツイタ

「ずいぶん待ったよ阿良々木くん」

「おや、阿良々木くんが女の子と一緒にいないなんて珍しいね」

暦「忍野、お前は僕が女の子と一緒にいないと気が済まないらしいな」

忍野「阿良々木くんは元気がいいなぁ、何か良いことでもあったのかい」

忍野「長年夢みた委員長ちゃんの私服姿が見られたとか」

暦「お決まりの口癖に具体的な推測を付け加えるなッー」

~ソシテトキハゲンザイヘ~

コヨミ「ソ、ソレジャオシノ、コンカイハイッタイダレガカイイナンダ」

忍野「阿良々木くん、話の腰を折って悪いんだけど」

暦「なんだ忍野」

忍野「本題に入る前に一つお願いがあるんだけどいいかな」

暦「僕に出来ることがあれば何でもいいぞ、お前には少なからず恩があるからな」

忍野「それは良かった、阿良々木くんできれば上着を一枚貸してくれないか」

暦「」

………
……


忍野「いやぁ、助かったよ」

忍野「3月の半ばといえども、シャツ一枚じゃしのびないからね」

忍野「さっきまで焚火をしていたんだけどね」

忍野「燃やす物がなくなってしまってね」

忍野「阿良々木くんが早く来ないからだよまったく」

暦「僕のせいにするな忍野」

忍野「そもそも僕以外のキャラには夏用冬用の服装があるってのは些か理不尽だとは思わないかい」

忍野「作者の勝手なイメージ操作のせいで僕はアロハに縛りつけられちゃうんだよ」

忍野「忍ちゃんに関しては自由自在に服を作れちゃうみたいだし」

忍野「はぁ、やってられないよね」

暦「メタ発言をするな忍野」

暦「それもお前の芸当じゃないだろ」

暦「それじゃあまさか忍野、お前はアロハを着ているから文化祭(10月)以降出てこなくなったのか」

忍野「その通りだよ阿良々木くん」

忍野「真冬にアロハを着た中年お兄さんかいたら都条例にひっかかちゃうからね」

暦「そんなことで都条例には引っ掛からない」

忍野「ハハッ冗談だよ」

忍野「前にも言った通り、僕はバランサーだからね」

忍野「一ヵ所に留まり続けるワケにはいかないんだよ」

忍野「今回の件も春になる前にどうにかしないと大変な事になるからね」

忍野「春になったら阿良々木くんも忙しくなるだろうし」

暦「へぇ、僕の事を気遣ってくれるのか」

忍野「春になったら阿良々木くんは女の子をとっかえひっかえしてると思うからね」

暦「余計なお世話だッ」

暦「それに僕は戦場ヶ原一筋だ」

忍野「何を言ってるんだ阿良々木くん」

忍野「二つも筋がある女の子なんていないよ」

暦「都条例に引っ掛かっても知らねぇぞ忍野」

忍野「ハハッ、まぁ発情してる阿良々木くんはともかく春はアララギだからね」

暦「それを言うなら忍野、春はあけぼのだろ」

忍野「おや、阿良々木くんは四君子を知らないのか」

暦「四君子?」

忍野「君子に例えられた四種類の植物のことだよ阿良々木くん」

忍野「夏は竹、寒い冬にも葉を落とさず曲がらない姿から真っ直ぐな意志を持つ君子を表す」

忍野「秋は菊、晩秋の寒さの中で鮮やかに咲く姿から気品を持つ君子を表す」

忍野「冬は梅、早春の雪の中で最初に花を咲かせる姿から強靭な身体を持つ君子を表す」

忍野「そして春は蘭[アララギ]、ほのかな香りを放つ姿から優しさを持つ君子を表す」

忍野「ハハッ、まさにお人好しの阿良々木くんにはぴったりだね」

忍野「まぁ、阿良々木くん放つ匂いはスルメだけどね」

暦「おい忍野、今日はずいぶんと毒舌だな」

暦「何かいいことでもあったのかよ」

忍野「そりゃあ出番が二年ぶりだからね」

忍野「活字で現したら五年ぶりだよ」

忍野「嬉しくないわけないだろ」

暦「その…あれだ、悪かったよ忍野」

忍野「いやいやいいんだよ阿良々木くん」

忍野「某ujの漫画では主人公が5巻分くらいでないのがあったからね」

忍野「それに比べたら二年なんて短い短い」

暦「それより忍野、そろそろ本題に戻ろうぜ」

忍野「まぁまぁ阿良々木くん」

忍野「そう焦るなよ、物事には順序ってものがある」

忍野「あんまりがめついてるとツンデレちゃんに嫌われちゃうよ」

暦「余計なお世話だ忍野」

暦「それに僕はがめついてなんかいない」

忍野「おや、まさか阿良々木くん、ツンデレちゃんにリードしてもらってるのかい」

忍野「キスくらいは阿良々木くんの方からしたしたんだろ」

暦「それは…」

忍野「まだキスもしてないのかい」

忍野「はぁー、甲斐性がないね阿良々木くんは」

暦「キスくらいはしたさ」

忍野「した?」

暦「されました」

忍野「告白もキスも女の子からさせるなんて」

忍野「阿良々木くん、君は本当にへたれだね」

暦「それは、戦場ヶ原には昔いろいろあったし」

忍野「それは言い訳だよ阿良々木くん」

忍野「阿良々木くんはツンデレちゃんからしてもらって嬉しくなかったのかい」

暦「それは嬉しかったけれども」

忍野「阿良々木くんからしてあげたかい」

暦「…してないです」

忍野「それじゃあダメだよ」

忍野「ツンデレちゃんからしてくれたんだから阿良々木くんからしてあげても大丈夫だろ」

忍野「阿良々木くんからしてあげなきゃツンデレちゃんは不安になっちゃうよ」

忍野「恋愛ってのは相手を不安にさせ合うものじゃないよ」

忍野「安心させ合うものなんだよ阿良々木くん」

暦「」

忍野「はぁー、初々しい若者を見ていたら熱くなっちゃったよ」

忍野「ごめんごめん」

忍野「人の恋路に首を突っ込むなんてナンセンスだったね阿良々木くん」

忍野「今のは忘れてくれ」

暦「いや、参考になったよ忍野、ありがとう」

忍野「はぁ、まったく今夜は月が綺麗だよ」

原作読むかな…

高いよね(´・ω・`)

>>76
結構、人を選ぶよ
エロゲ好きなら大丈夫だと思う
逆に化物語が好きならエロゲにもハマると思う

今さらだけどこの先ネタバレ注意

あと地の文がちょこちょこ入るから苦手な人がいたらごめん

暦「あと2日もすれば満月だからな」

忍野「ん、え゛そうなのかい?」

暦「こうみえて僕は天文学には詳しいのさ」

暦「月齢を読むくらい御茶の子さいさいさ」

忍野「へぇ、阿良々木くんはまるで月読みたいだね」

暦「月読?」

暦「天照とスサノオに並ぶ神様のことか」

忍野「その通りだよ阿良々木くん、毎晩月を見て月齢を数えていたためそう呼ばれるようになったそうだよ」

暦「へー、まるでかぐや姫みたいだな」

忍野「ハハッ、阿良々木くんにしては鋭いね」

暦「?」

忍野「月読とかぐや姫は同一人物なんだよ」

暦「いや忍野、月読は男じゃないのか」

暦「月読の尊って呼ばれてるくらいなんだから」

忍野「それは男になった後だからだよ阿良々木くん」

暦「男になった?」

忍野「正確には月読は女なんだけどね」

暦「どういうことだ忍野、男になったり女になったり」

忍野「月読は性別不詳だったんだよ」

忍野「神様ならばよくあることさ」

忍野「男でもあり女でもあり、その顔立ちは天照、スサノオに比べ素晴らしく整っていた」

忍野「そのため月読を妬んだ天照は神の力を手に入れた後、月読の女の部分を月に追いやってしまった」

暦「神の力を手に入れたあと?」

忍野「ん、ああそうだよ」

忍野「スサノオは暴れていて神の力を手に入れるなんて出来ないし」

忍野「月読も月ばかり見ていて何もやってないからね」

忍野「地上を照らし続けた天照は人々に信じられ敬わられ奉られ願われ、そして神の力を手に入れたんだよ」

忍野「そして天照のせいで月には女の月読が、地上には男の月読ができてしまった」

忍野「まぁ、今の人たちから見れば皆神様なんだけどね」

忍野「でも名前の力は絶大でね」

忍野「大御神の名を手に入れた天照は今でもなお、この地で多くの人に敬われているんだよ」

暦「今でも?」

忍野「天皇陛下の祖は天照と言われているだろ」

暦「あっ」

忍野「天皇家の家紋が菊であるのもそれに関係があるんだよ」

忍野「秋になると農作物が収穫されるだろ」

忍野「人々は作物を育ててくれた天照に感謝する」

忍野「人に信じられ敬わられ奉られ願われるほど神の力は大きくなる」

忍野「それ故、秋は天照の季節であり、秋を象徴する菊は天皇家の家紋になったんだよ」

忍野「菊の天照だね」

暦「それじゃあ忍野、他の季節も同じなのか」

暦「となると夏は竹のスサノオか」

忍野「その通り」

忍野「葉を落とさず、曲げても折れない竹の姿は強さの象徴、夏はスサノオの季節さ」

忍野「竹のスサノオだけでなく『武のスサノオ』とも呼ばれてるけどね」

暦「それじゃあ、春と冬はどうなんだよ」

暦「男の月読、女の月読がそれぞれ担うのか」

暦「確か冬に咲く梅は強靭な身体を持つ君子を表し、春にさく蘭はほのかな香りを放つ姿から優しさを持つ君子を表す」

暦「と言うことは冬は男の月読で春が女の月読ってことか」

忍野「ハハッ、なかなかいい考えだね阿良々木くん」

忍野「でも残念、逆だよ」

忍野「確かに冬に咲く梅は強靭な身体を持つ君子を表し、春にさく蘭はほのかな香りを放つ姿から優しさを持つ君子を表す」

忍野「だけどね阿良々木くん」

忍野「ここでの強靭な身体ってのは体だけじゃないんだよ阿良々木くん」

忍野「心もなんだ」

忍野「女性には出産という困難がある」

忍野「それに打ち克つために強靭な体と心を持つ事が求められていたんだよ」

忍野「現代とは違い昔は医療なんて発達していないからね」

忍野「産まれた子供がすぐに死んでしまったら母親の身体が弱かったからってことにされちゃうからね」

忍野「昔は冬は困難を表していた」

忍野「出産という困難は女性にしかないだろ」

忍野「だから冬は女の月読のほうなんだよ」

忍野「男は冬を越した女を春の様に優しく包み込まなくちゃならない」

忍野「だから春は男の月読なんだよ阿良々木くん」

暦「なるほどな」

暦「でも忍野、一つだった神様に二つも統べる季節を持たせてもいいのか」

暦「月読が一つになったりしたら月読だけ信仰される期間が長くなって神の力が大きくなっちゃうんじゃないのか」

忍野「よく気がついたね、その通りだよ阿良々木くん」

忍野「だから天照は男の月読に別の名をあたえたんだよ」

忍野「女の月読と完全にわけるためにね」

暦「一体どんな名前なんだ」

忍野「月読って名前は月齢を読んでいたからついただろ」

忍野「毎日月齢を読んでいるって言うのは裏を返せば日にちを数えてるってことなんだ」

暦「それで何て名前なんだよ」

暦「もったいぶらないで教えてくれよ忍野」

忍野「日にちを数えるってことは日にちを読むってことだ」

忍野「男の月読は日読[こよみ]って名をつけられたんだよ」

暦「へぇ、僕と同じ名前なのか奇遇だな」

忍野「阿良々木くん、きみはまだ気づかないのかい…」

暦「?」

忍野「今回僕がこの町に来たのは阿良々木くん」

忍野「きみを、『阿良々木暦』を殺し『蘭の日読』を天界に戻すためなんだよ」

暦「!?」

暦「待て忍野、話がさっぱり見えないぞ」

暦「名前が一緒なだけでどうして僕が殺されなきゃならないんだ」

忍野「名前ってのはとても重要なことだよ阿良々木くん」

忍野「大御神と言う名前をつけることで天照の力はおおきくなった」

忍野「そして名前をつけることは怪異が現れる第一条件でもあるんだよ」

忍野「阿良々木くんが暦と名前をつけられたと同時に『蘭の日読』が産まれた、いや現れた」

忍野「何事も起きなければ阿良々木くんは阿良々木くんのままだったはずだ」

忍野「しかし、阿良々木くんは障ってしまい会ってしまった」

忍野「怪異に」

忍野「そして呼んでしまった」

忍野「怪異の王を、熱血にして鉄血にして冷血なバンパイア、キスショット・アセロラオリオン・アンダーハートを」

暦「でも、どうして今なんだ」

忍野「それは阿良々木くんが妙齢に至ったからだよ」

忍野「竹取物語のかぐや姫は妙齢になった時、月から使者が降りてきて月に帰ってしまった」

忍野「使者はかぐや姫の罰が終わったからと言っていたけどそれは違う」

忍野「かぐや姫が月読としての力を取り戻す前に月に連れて帰りたかったからなんだよ」

忍野「月読の力を取り戻す前に月読としての力を祓いたかったからなんだよ」

忍野「月の使者はかぐや姫に月に帰る前に薬を与えただろ」

忍野「あの薬は神としての力を、格を落とす薬なんだ」

忍野「一舐めしたかぐや姫は残った薬を天皇に授けた」

忍野「まぁ、でも天皇は富士山の頂上で燃やしちゃったんだけどね」

忍野「そのお陰で天照の力を失わずにすんだ天皇家は今もなお、在り続けているからね」

暦「でも忍野、何で使者は月読の力を奪ったんだ」

忍野「かぐや姫は地上に戻って来る前は月で傲慢に豪勢に過ごしていてね」

忍野「それを見かねた月の者達が一度全ての力を奪い、竹の中に転生させたんだよ」

忍野「月読自身にはカリスマ性があったから地上で謙虚な気持を育ませたかったんだろうね」

忍野「竹に転生させたのは竹がしなやかで丈夫なため赤子に戻った月読じゃ自力で出れなかったからね」

暦「なるほどな」

暦「だがしかし忍野、僕が初めて怪異に会ったのは忍の時だ」

暦「怪異に出会い、そして忍を呼んだんじゃつじつまが合わないぞ」

忍野「いや、阿良々木は出逢って、共に過ごして来たはずだ」

暦「まさか、月火ちゃんのことか」

忍野「ん、いや違うよ阿良々木くん」

忍野「フェニックスの子じゃないよ」

忍野「その時は誰も知らなかったからね」

忍野「いただろ阿良々木くん」

忍野「怪異に憑かれ悩まされ諦めていた少女が」

忍野「阿良々木くんが二年間過ごした高校生活のクラスに」

暦「まさか忍野」

暦「戦場ヶ原なのか」

忍野「御名答」

忍野「阿良々木くんが重し蟹、思いし神と共に過ごしていたことで日読の神としての力が高まった」

忍野「そして阿良々木くんが妙齢となった春にその力は大きくなり、忍ちゃんを引き寄せ呼びつけた」

忍野「そして日読はバンパイアの力を手に入れた」

忍野「半人半神だった阿良々木くんに鬼の力が加わったんだよ」

忍野「日読は何度も地上に降りて来ているけどこれは前代未聞なんだよ」

暦「ちょっと待て忍野」

暦「何度もって一体どういうことだよ」

忍野「ん、ああその時は全く違う名だからね」

忍野「例えばほら」

忍野「人のために世を治め、国を仏教興隆につとめ、中央集権を築き、神話化された要素が多い人物がいただろ」

暦「まさか忍野」

暦「聖徳太子のことか」

忍野「その通りだよ阿良々木くん」

忍野「聖徳太子は日読だ」

忍野「聖徳太子を描いたと言われている肖像画」

忍野「あの肖像画の聖徳太子に並ぶ二人の皇子は日読の使者だよ」

忍野「神様が現代に転生するためには二人の使者を伴わなければなあらにい」

忍野「それがあの肖像画に写る子達だ」

暦「しかし忍野、月読はかぐや姫には使者はいなかったぞ」

忍野「それは神といえども罪人だからね」

忍野「月から来た使者、彼らがきっと月読のかぐや姫の使者だったんだよ」

忍野「そして阿良々木くん」

忍野「きみにもいるだろ、二人の使者が」

暦「…火憐ちゃんと月火ちゃん」

忍野「そう、日憐ちゃんと月日ちゃんだよ阿良々木くん」

暦「…」

暦「でも忍野、何で日読は地上に降りて来たんだ」

忍野「日読が地上に降りて来たのは月読と力を合わせ、天照を倒すことだよ」

忍野「聖徳太子のやり方では間に合わなかったんだよ」

忍野「だから何度も地上に降りてきた日読は鬼の力を手に入れることを企てたんだ」

忍野「何度も失敗した」

忍野「日本の史実に幾度も名を連ねることはできたが鬼の力は手に入らなかった」

忍野「しかし今、日読は鬼の力を得て神の力を戻しつつある」

忍野「阿良々木くんが怪異に遇いやすいんじゃないんだ」

忍野「日読が怪異を引き寄せる」

忍野「そして春になったら阿良々木くんは昨年より多くの怪異に出逢うだろう」

忍野「その度に怪異に関わった人達を助け、日読の力を大きくする」

忍野「大学生なんて一番欲が深く悩みやすく怪異が集まる時期だからね」

忍野「そして巨大化した日読の力は阿良々木くんと忍ちゃんを食い尽くし究極な力を手に入れ、月読と手を取り天照と天界大戦争を起こす」

忍野「それを未然に防ぐために僕は阿良々木くんを殺し、日読を天界に帰さなければならない」

忍野「阿良々木くん、生きる事を諦めてくれないかい」

忍野「僕も色々と手を尽くしたんだけどもうこれしか方法が残っていないんだ」

忍野「ごめんね」パサ-ッ

忍野がそう言うと共に僕が貸したコートが地面落ち、目に写るものが、世界がぶれた

暦「!?」

その音を聞く前に僕の腹に激痛が走った

気付いた時には体はくの字に曲がり宙に浮き

忍野に腹を蹴られたと思った時には背骨が悲鳴をあげていた

次に意識を戻した時には視界には星空が写り、胸を空に突き出し空に浮いていた

舐めていた―

忍野が油断していたとはいえ万全の状態の忍の心臓を抜いたことは知っていたがここまでとは

人類最強にして最凶は影縫さんだとばかり思っていたが、影縫さんは最強ではなかった

空中で止まり落下が始まろうとした刹那

忍野が現れた

嘘だろ―

地上から20メートルはある

忍野が振り上げたのかかとが胸に突き刺さる

字面通りの意味で

いや、突きささっただけじゃない

それじゃあ僕が受けたのが胸骨が肺に突き刺ささり、心臓が潰れ穴が空いた程度のダメージであるかのように伝わってしまうじゃあないか

嘘、小袈裟、紛らわしい

正しくは忍野は右足のかかとで僕の胸を目掛けてダイレクトに蹴りを繰り出し

そのまま蹴りの威力だけで僕の胸部の内臓物を僕の体から抜き出したのだ

そして蹴りの威力を直接受けた内臓物は体より先に地面に叩きつけられ消滅し、内臓物のあったであろうと思われるばしょに僕の体も納まるように叩きつけられた

暦「がっ……っ!」

痛みよりも、驚きの感情が先行する

いや、痛みの感情が一切感じられなかった

痛すぎて、逆に痛くない

痛覚の領域を遥かに超えたダメージは、脳神経が受け取ることを拒否した

「―もっとも、誰より優秀やったんは言うまでもなく忍野くんや」

誤解していた

影縫さんの言っていたことは頭の回転のことだと思っていた

忍野は貝木よりも頭の回転が速く

忍野は影縫さんよりも武術が優れていた

全てにおいて二人より優秀で勝っていたのだ

忍野「やっぱり死んでないね」

忍野「殺すつもりだったんだけど」

消えたはずの心臓の音が鳴っていた

首を持ち上げ胸元に目をやる

そこには辛うじて心臓が復元されていた

―おかしい

僕は忍に血を吸わせたわけじゃない

忍ほどの回復力はないが、どう見ても人間の回復力じゃない

忍野「日読の力だよ阿良々木くん」

忍野「僕の話を聞いた阿良々木くんは認識しちゃったからね」

忍野「日読の力が阿良々木くんの体を回復させてるんだよ」

忍野「さすがに忍ちゃんほどの力はないけどね」

忍野「阿良々木くんを慕う人は今日は全員この町から出ているから、今の日読の力はほとんどないはずなんだけどね」

―だからか

誰とも会わなかったのは

―だからか

ドラマツルギーやエピソード、貝木のような連中ばかりに会っていたのは

あれ

でも、羽川…

そっか、だからブラック羽川だったのか

怪異は人とは違う

忍野「心配するなよ阿良々木くん」

忍野「今日、阿良々木くんが男(ブラック羽川は雄だと>>1は信じているよ、ブラック羽川になると羽川の体にはトゲトゲちんk…ウワッ、ナニヲスル)ばかりに会ってたのは決して>>1がホモ√を書こうとしていたワケじゃないんだよ」

忍野「『男物語 おしのカラー』なんて需要がないからね」

―だから、メタ発言をするな忍野

ブラック羽川が男の娘なんてサイコーじゃないか

~・~・~・~・~・~・~・~・

猫「ニャッ!?」ゾクッ

~・~・~・~・~・~・~・~・

忍野「ここまで大きく成長してるとは思わなかったけどね」

―?

ああ、そう言うことか

『猫「お前ずいぶん変わったにゃ」』

『暦「それにしてもお前、また大きくなったな」

エ「てめーほどじゃねーがそういう体質だしな」』

ブラック羽川とエピソードは怪異としての僕のことを言っていたのか

しかしドラマツルギーは?

昼間だから見定める余裕がなかったのか?

忍野「さてと阿良々木くん」

忍野「辞世の句はよんだかい」

忍野は僕の襟首を掴み、軽々と持ち上げる

忍野「僕は手技はあまり好きじゃないんだよ」

忍野「人が人に手を下すなんて滑稽だからね」

忍野「でも、阿良々木くんは特別だ」

忍野「一人の人とこんなに話しをしたのなんて初めてだったよ」

忍野「別れの言葉は苦手なんだけどね」

忍野は両手で僕の頭を包み込んだ

怪異は思い続けることで力を持つ

考えを失えば、頭を脳味噌を残さず捻り潰せば僕の中の怪異は全て消える

蘭の日読は天界に帰る

そして忍野は天に僕の頭を捧げるように腕を伸ばす

―戦場ヶ原は

僕がいなくなったら

忍野を殺して自分も死ぬのかな

それはダメだ

戦場ヶ原、それだけはしちゃいけない

神原、戦場ヶ原を任せたぞ

千石、人生あんまり舐めんなよ、可愛いからって調子にのるなよ

羽川、恩返しまだしてねぇな…悪い

八九寺、もうすぐお前の所に行けそうだ

そっちに着いたらよろしくな

火憐、月火はどうなるんだろ

使者の部分だけ消えるのかな

そう言えば

忍はどうなるんだろう

僕がいなくなったら忍の力は全部、忍に戻るのかな

ごめんな忍、あの時お前を殺さなくて

僕が先に死んじゃいそうだよ

………
……


忍野「…それじゃあ」

忍野「ばいばい」

忍野「阿良々木くん」コロッ


―そして

僕の記憶は途切れた

僕が語ることはもう、ないのである


終劇


落物語
こよみゴッド

えっ、僕が話すのかい?

うわー、やめてくれよ忍ちゃん
刀をしまってくれ

ツンデレちゃんも鋏とホッチキスを構えるのはやめてくれないかな

委員長ちゃんも何か言ってくれないか

…可哀想な物を見る目でみないでくれよ委員長ちゃん

忍ちゃんやツンデレちゃんにならともかく、委員長ちゃんにそんな目で見られちゃうと僕としてもさすがに堪えるよ

わかった、やるよやるからちょっと待ってくれ

ゴホンッ、えーと

後日談というか、今回のオチ。

僕、今回のことで色々気づいちゃったけど全部はなしてもいいのかい

カッシャン、ポロッ

ひぃぃ、止めてくれよツンデレちゃん

全部話すから威嚇しないでくれ

はぁ、まったく阿良々木くんも大変だね

こんな三人に囲まれるなんて

まぁ、今はそんなことはおいといて

結果から言えば阿良々木くんは死ななかった

死なずにすんだ

あの後、僕の張った結界が壊れ忍ちゃんが現れたから

なんてことはなく

僕の張った結界が壊れブラック委員長ちゃんが現れたから

でもなく

愛の力で駆けつけたツンデレちゃんがこれまた愛の力で阿良々木くんの中の日読を撃退したから

なーんてことももちろんない

現実は残酷だ

現実はそんなドラマチックにできていない

あの後、僕が持ち上げた阿良々木くんのポケットから何かがこぼれ落ちた

超神水だ

ドラゴンボ○ルに出てくるカリン塔を登ると飲むことのできる水ではないこと先に言っておこう

阿良々木くんが変な事を言ってると思うからね

超神水は僕と貝木くん、それとオカルト研究会の先輩と三人で作ったんだけどね

作った時に貝木くんがぼそっと「…超神水だな」って

貝木くん当時はドラゴンボー○にハマっててね

それでその名になったんだよ

貝木くんもああ見えて結構熱い男でね

よく僕と目が合うと腕を組んで右手の人差し指と中指をそろえて挨拶してくるんだよ

ハハッ、きみはベジータか(笑)って

ん?

ツンデレちゃん、どうしたんだい

髪が逆立ってるよ

ああ、貝木くんのことか

それならちゃんと説明するからちょっと待ってくれよ

ツンデレちゃんだってホントは貝木くんのこと本気で憎んでるってワケじゃないんだろ

憎まないとやっていけないんだよね

まぁ、そんなことはおいといて

この超神水ってのは『神を超えるための水』ってことなんだ

神としての力を奪い、神の格を落とす

そうだよ

かぐや姫が天皇に与えた薬

その薬のおかげで超神水は作られたんだよ

あの時富士の山の頂上で燃やしたあの薬は煙となって富士の山に咲く植物に注がれた

その事を知った僕達は神を倒そうなどふざけた好奇心と共にその薬を用いて超神水を作った

結果は成功

そして軽はずみな気持である神様を落とした

その結果、僕達は大切な者を失った

まぁ、それはまた別のお話

そして僕達三人はそれを償うために大学を辞めた

先輩は四年生で卒業

僕達は自主退学だね

僕達が退学した後、オカルト研究会は潰れたようだけどね

超神水をつくるのは禁止した

その超神水が何故、あるのかだって?

そりゃあ、作ったからに決まってるじゃないか

委員長ちゃん、阿良々木くんは貝木くんからこれをもらったって言ってたよね

そうだよ、貝木くんが作ったんだよ

何のためかって?

ここからはツンデレちゃんにはちょっと酷な話になるけどいいのかい

うん、そうか

そうだったね

ちゃんと話すさ

まず、今回の件

いや、今回の件に関わらずこの町で起こった全てのことに貝木くんは関わっている

そして貝木くんは知っていた

全ての解決策を

あ、でも照れ屋ちゃんに関わることは全て想定外だったと思うよ

まさか蛇切縄を本当に発動させるとは思わなかっただろうね

完全にイレギュラーだった

貝木くんが教えたおまじないにはそんな効果はないからね

人を妬み呪おうとしている子なんて騙されて当然

御灸を据えてやるつもりだったんだよ

だから照れ屋ちゃんが神格化した時に、ツンデレちゃんの依頼を受けたんだよ

尻拭いをするためにね

そのために超神水を作ったのかって?

いや、違うよ

照れ屋ちゃんが神格化したのは10月以降だろ

僕はその時にちょうど超神水を作りに行った

でも、なかった

材料が、根こそぎ、まったくと言っていいほど

僕は超神水の生成方法が漏れたと思っていたんだけど違ったんだね

僕と貝木くんと先輩しか知らないのに漏れるはずかないんだ

三人共、これに関しては懲りてるからね

関わりたくないんだよ

と言うことはだ、三人のうち誰かが作った

三人とも懲りたのに関わろうとした奴がいた

そう、僕だよ

しかし、作れなかった

と言うことはだ、僕より先に作ろうとした奴がいた

貝木くんだよ

そして先輩はそのことを知っていた

先輩は何でも知っているかからね

何で、貝木くんが作ろうとしたかって

わからないのかい

照れ屋ちゃんより先に神様の厄介になっていた子がいただろ

そうだよ

ツンデレちゃんだよ

僕より先にこの町に来た貝木くんは神様に悩まされるツンデレちゃんを見つけた

そしてツンデレちゃんが悩まされてる神様を貝木くんは落とそうとした超神水でね

でもすぐには落とさなかった

ツンデレちゃんには言った通り、重し蟹は障るような神様じゃないからね

貝木くんは重みを気安く重し蟹に持たせてしまうツンデレちゃんに御灸を据えてやろうとしたんだよ

自分で持つのが嫌だから他人にすがるツンデレちゃんを当時の貝木くんは凄く嫌だったんだよ

貝木くんのことだからツンデレちゃんに会い、ツンデレちゃんを助けようと決めた時には解っていただろう

阿良々木くんがいることを

そして貝木くん全てを悟った

ツンデレちゃんに会い

重し蟹に遇った日読が力を増し

忍ちゃんを呼びつける

それと共に僕がこの町にやってくる

そして阿良々木くんが忍ちゃんを助け、ツンデレちゃんに関わり、僕がツンデレちゃんを助けることを

そして怪異による事件が起こることも

ハハッ、こいつは一本とられたね

僕達は貝木くんの掌の上で踊らされていたんだよ

貝木くんは偽者なんじゃないのかって?

ハハッ、そうだよ貝木くんは偽者

自分でも良くそう言っていたよ

貝木くんは僕達に良くこうも言っていた

『本物と、それとまったく同じ、区別もつかないような偽者と。どっちのほうが価値があると思う?』

天然ダイヤと人工ダイヤ

原子構造まで同じでも─区別される

区別がつかなくとも、区別をつけられる

偽者というだけで─否定される

削除される

本物と─偽者

これに対する同期の子の答は当然本物のほうが価値がある、だった

僕は等価値だと思っていた

だけど出題者によれば、それは両方間違いなんだよ

貝木くんはこんなことを言ってたよ

『偽者のほうが圧倒的に価値がある』って

『そこに本物になろうという意志があるだけ、偽者のほうが本物より本物だ』って

ハハッ、貝木くんは誰より熱いからね

それが今回の件から僕達が売るべき教訓っていうことだね

全く、あれだね

「そうね、あれだわ」

ツンデレちゃんも言った

「あれだよね、実際」

委員長ちゃんも続ける

「うむ、あやつは、あれに違いない」

忍ちゃんも同意した

そして全員が、声を揃えて異口同音



「「「「お人好し」」」」

<jbbs fontcolor=#000000>

追劇

拾遺物語
おしのトーク&かいきハンド

おしまい
<jbbs fontcolor=#000000>
真宵「阿良々木さんはまだですかね」wktk


これでホントに終わりです

ここまで読んでいただきありがとうございます

私のオナニーにつきあっていただき感謝感激感無量です

最後はちょっと無理がありましたね

最初は結果的には怪異になった阿良々木くんを忍野が受け入れてホモエンドにしようと思っていましたがいろいろ考えてたらこっちの方がいいのかなってこっちに落ち着きました

支援してくれた方、本当にありがとうございました

最後、改行しようとしたら変になっちゃいました
初めてのスレ立てなので悪しからず

それにしてもアニメの忍の声
まーやで良かった本当に
あーやじゃなくて良かった

貝木のイメージか全然違ったのが少し気になる

またスレを立てたらよろしくお願いしますm(_ _)m

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