陸奥「ええ。どうやら今日着任したその子、戦艦に憧れているみたいなの」
長門「陸奥よ……この長門がそんな見え見えの罠に掛かると思うか?」
陸奥「あなたを罠に掛けて私になんの得があるのよ」
長門「戦艦に憧れる駆逐艦?笑わせてくれる。じゃあなにか?ダンボールで手法や走行を作って戦艦ごっこでもしてると言うんだな?」
陸奥「そこまでバカな子だなんて言ってないでしょ」
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長門「バカバカしい。いくら親しい仲でも言って良い冗談と悪い冗談があるだろ」
陸奥「まあ信じないなら別に良いけど」
長門「それより私のカメラをしらないか?」
陸奥「知らないわよ。どうせまた駆逐艦を盗撮するきなんでしょ」
長門「盗撮ではない。風景を撮っていたら偶然写り込んでしまうだけだ!」
陸奥「お願いだから私を犯罪者の妹にしないでよ」
長門「まったく、陸奥は失礼な奴だ。あれではまるで私が駆逐艦を盗撮している変態みたいではないか」
清霜「いっけぇ~!どかーん!」
長門「なんだ随分賑やかだな。子供達が遊んでいるのか?」ワクワク
清霜「戦艦パーンチ!がいーん!きゃー、装甲が!バリバリバリ」
清霜「戦艦清霜さん、大丈夫ですか!?うん、大丈夫!ちょっと装甲をやられちゃったけ……でも戦艦じゃなかったら大破だったかもね!」
清霜「よぉーし!だったら51㎝砲の出番ってわけね!みんなは下がってて!撃てぇー!どかーん!ドーン!」
清霜「てーれってれー♪完全勝利S!戦艦清霜帰投します!」
清霜「……ふう♪」
長門「なななわわ……!」
長門「落ち着け私、あれはごっこ遊び。まだそうと決まったわけでは」
清霜「あっ!武蔵さん!」
武蔵「ん?どうした?」
清霜「かーっこいいなぁ。いいなぁいいなぁ、私も戦艦になりたいなぁー」
武蔵「フッ」
清霜「ねぇねぇ、何を食べたらそんなに立派な戦艦になれたの?」
武蔵「食べ物か。カステラは好きでよく食べたな」
清霜「カステラ……それが戦艦になるための近道なんだね!」
武蔵「いくらカステラを食っても駆逐艦は戦艦になれんぞ」
清霜「もう!なれるもん!」
長門「ハァッ、ハァッ……!」悶絶
清霜「カステラカステラー♪」
清霜「ええ!?カステラってこんなに高いの!?」
長門「……」コソコソ
清霜「アイスクリームより全然高いし……こんなの買えないよぉ」
長門「あー、ごほんっ。あー、あー」
清霜「ぐすん…………」
長門「何を泣いているのだ?」
清霜「ふぇ……?うわぁっ、戦艦さんだ!」
長門「私は長門。第一艦隊旗艦、戦艦長門だ!人は私をビッグセブンと呼ぶ」
清霜「ビッグ……セブン……?」
長門「まあ簡単に言うとだな。この世界を支配する7人の神の1人だ」
清霜「かっ……かっこいい!!」
長門「おっと、もうこんな時間か。そろそろカステラを食べなくては」
清霜「やっぱり戦艦はカステラを食べるんですか!?」
長門「まあ戦艦としては当然だな。私も昔からカステラを食べてビッグセブンの1人になれたのだから」
清霜「やっぱりカステラなんだ!」
長門「では失礼する」
清霜「あれ?間宮さんでカステラ食べないんですか?」
長門「私くらいになると部屋にマイカステラがあるんだ。いついかなる時でもカステラを食えるようにな」
清霜「すごい……!」
長門「お前はさっきからカステラに興味があるようだな」
清霜「はい!あっ、清霜です!ついさっき着任しました!」
長門「そうか。よかったら清霜もカステラを食べてみるか?」
清霜「でも駆逐艦のお小遣いじゃちょっと……」
長門「も、もし良かったら私の部屋に来ないか?カステラならあるし、お茶もあるぞ?」
清霜「でも……」
長門「別にやましい気持ちがあるわけじゃないからな?ただ単に私の部屋に来てカステラを食べるだけだ。別に何も悪い事はしないさ」
清霜「いいんですか?カステラ高いのに……」
長門「そんな事を気にしていたのか。安心しろ、ビッグセブンには毎日カステラが支給されるんだ」
清霜「いいなぁ……私もビッグセブンになりたい」
長門「もちろんなれるさ。清霜にはその可能性を感じる。ちょうど妹の陸奥がビッグセブンを抜ける予定だったんだ」
清霜「じゃあ私もビッグセブンになれる?」
長門「それはまだ分からんぞ。ビッグセブンを目指すライバルは多いからな」
長門「その為にも早く私の部屋に来てビッグセブンカステラを食べた方が良いかもしれない」
清霜「ビッグセブンカステラ?」
長門「ビッグセブンだけに許された特別なカステラだ」
清霜「おじゃましまーす」
長門「あ、ああ。遠慮せず上がってくれ」キョロキョロ
陸奥「あら、お客さん?」
長門「陸奥!」
陸奥「あら?あらあら、この子って確か……えっ、長門、大丈夫?法的にまずい事してないわよね?」
清霜「もしかして妹の陸奥さんですか?」
陸奥「ええそうよ。よろしくね♪」
清霜「はい!陸奥さんが抜けた後はこの清霜が責任を持ってビッグセブンを勤め上げます!」
陸奥「はい?」
長門「よーし、その意気だ!」
陸奥「長門、なんの話?」
長門「良いからお前はコレでカステラを買ってきてくれ。急ぎでな」
陸奥「カステラ?どうして?」
長門「どうしてもこうしてもあるか!早く行け!一番良いカステラを買うんだぞ!」
陸奥「ちょっと、押さないでよ」
バタン
長門「やれやれ」
清霜「長門さん、カステラは?」
長門「カステラか?それなら今陸奥が取りに行った。そろそろ支給される時間だからな」
清霜「ねぇねぇ、お部屋の中探検してもいい?」
長門「いいとも。好きなだけ探検すると良い」
清霜「よぉーし!探検開始ー!」
長門「よーし、私も探検しちゃうぞー」
清霜「わぁー、やっぱり戦艦のベッドは大きいー」
長門「横になっても構わんぞ」
清霜「わぁーい♪」ボフッ
長門(あそこに顔を埋めたな。今日は良い夢が見れそうだ)
長門「さて、私はお茶の用意をしておくか」
清霜「長門さん、ミルクありますか?」
長門「ミルクか……今なら出そうな気はするが」
清霜「カステラには牛乳があいますよね!ね?」
長門「そうだな。すぐに用意しよう(陸奥が)」
陸奥「ただいまー。カステラと牛乳買っ」
長門「おお、ご苦労だったな!ではコレで2時間ばかりコーヒーでも飲んで来い!じゃあな!」
バタン
残り半分ほど書けたらまたまとめて投下します
清霜「これがビッグセブンカステラかぁ……!ねぇ、早く切って食べましょ!」
長門「フッ、ビッグセブンともなるとカステラは一斤丸かじりだ」ガブッ
清霜「丸かじり!?……ごくり。じゃあ私も!いただきます!」
清霜「もふもふ……んんー、おいひぃー♪」
長門「はあぁっ、はぁっ、はぁっ……!」
長門(目の前でカステラを頬張る駆逐艦……くうぅっ!)
清霜「ふぁー、もう食べられないよぉ」
長門「まだまだビッグセブンへの道は険しそうだな」
清霜「うわぁー、すごーい!長門さん全部食べちゃったの?私なんて三分の一も残しちゃったのに」
長門「最初はそんなものだ。焦らず何度でも繰り返し食べる事が大切だ。何度でもな」
清霜「うん!」
長門「というわけでその食べかけのカステラは私がいただこう」
清霜「そうだ!さっき探検してた時に見つけたんだけど」
長門「ん?」
清霜「どうして駆逐艦の写真をたくさん持ってるんですか?」
長門「お……んん」
清霜「暁ちゃん達のが特に多いけど」
長門「見られてしまったものは仕方ない。正直に話そう」
長門「実は私はな、陸奥の代わりとなるビッグセブン候補を集めていたのだ」
清霜「ビッグセブン候補……?私以外にこんなにも沢山?」
長門「言ったはずだビッグセブンを目指すにはライバルが多いと」
清霜「そっか……でもここに私の写真がないって事は、私はまだ候補に上がってすらなかったのか……」
長門「いや、清霜はまだ着任したばかりだからな。これから撮りに行く所だったんだ」
清霜「ほんと!?清霜、ビッグセブンになれる?」
長門「それは自分次第だ。では撮影会を始めようか」
長門「では撮るぞ」
清霜「はーい」
長門「……なぜこちらを見ない?カメラはこっちだぞ?」
清霜「へ?でも他の子の写真もみんなカメラの方を向いてないから……」
長門「それは盗さ……自然体を撮ったものであってあれがあれなんだが、今はカメラ目線で撮ろう」
清霜「えーっと、じゃあ……ピース♪」
長門「いいぞ、いいぞ。もっとだ!」パシャパシャ
長門「もっと自分をさらけ出してみろ!」
清霜「さらけ、だす?えっと、えっと」
長門「少し大人っぽく!しかし子供である事も忘れるな!」
清霜「大人っぽく?大人っぽく……夕雲姉様みたいに……」
清霜「お姉様たちには内緒よ……?」ハラリ
長門「よ、よし、いいぞ。そのまま両手をカメラに向けて若干開きつつ伸ばす!抱きつくようにだ!」
清霜「こ、こうかな?」
長門「そこで一言、大好き!」
清霜「だ、だいすき!」
長門「ふうぅぅ……」
長門「素晴らしい成果を得てしまった」
清霜「うーん……」
長門「どうした?」
清霜「あのね、清霜カステラ食べて強くなった気がする!力こぶもできるかも!ふーん!」
長門「フッ、どうだ?」
清霜「ううぅ~!じ、自分じゃ分からないから長門さん触ってみて!」
長門「よ、よよ、よし、任せろ。上腕二頭筋を揉めば良いんだな」
清霜「うにゅにゅにゅにゅ、はやくぅ~!」
長門「どれどれ……ああ、なんと華奢な……!た、たまらん!」
清霜「ええー、華奢じゃないもん!ムキムキなんだから!」
長門「あ、ああ、すまん」
清霜「うわぁ、長門さんの腹筋すごい」
長門(しまった。興奮のあまり腹筋に力が)
清霜「ちょっとだけ触ってみても良いですか!?」
長門「それは、かまわんが……」
清霜「すごいすごい、カチカチだー!清霜もこれくらい筋肉が付けば戦艦になれるのかなぁ」ペタペタ
長門「あっ、ああ……!」ビクンッ
清霜「私のお腹なんてこんなだし」ペロン
長門「なんと……!」
長門(これは幼女によく見られる太鼓腹のようなお腹から、確実に少女のお腹に変化しつつあるが)
長門(どことなく幼さを残したくびれもまだ無い美しいウェスト)
長門(そして何にも汚されていない透き通るような肌!)
清霜「なんかプニプニしててカッコ悪い」
長門(これが……少女の完成系……!まさにピーク!)
長門「どうやら私も決断せねばならないようだな」
清霜「決断?」
長門「私は常々思っていたのだ。昨今の戦艦事情……」
長門「かつて我々長門型は最強の戦艦として君臨していた。だが今はどうだ」
長門「火力では大和型に劣り、扶桑伊勢達は航空戦艦と言う意味不明な改装を行い」
長門「新たに加わったイタリア艦により更に存在価値は薄れ、雷撃までするドイツ艦、そして高速が売りの人気4姉妹……」
長門「気付けば私達長門型姉妹は微妙な立ち位置、特徴のない戦艦になってしまっていた」
長門「私は大本営に直訴した。私達も改装してくれと」
長門「気づけば私は若返りの改装を行われヤング長門などと呼ばれていた」
長門「さらなる改装が厳しい今、それでも私は自分をアピールしていかねばならない」
長門「そんな時気がついたのだ。戦艦に3姉妹はいないと」
長門「清霜……もし良かったらなってみないか?長門型戦艦3番艦に」
清霜「私が長門型戦艦に!?で、でも私は夕雲型のラストだし……」
長門「兼任という形で構わない。食事やお風呂、就寝の時だけ一緒にいてくれれば。あとピクニックとかな」
清霜「それなら……」
長門「決まりだな。長門型戦艦3番艦……私の愛する妹よ」
清霜「うん!よろしくね、長門お姉様!」
長門「長門お姉様?」
長門お姉様……長門お姉様、長門お姉様、長門お姉様…………
長門「と言う夢を見たのだが。どうだ陸奥、ビッグセブンの名を返上してはくれないか?」
陸奥「そうね、あなたの妹と言う事実を返上したいわ」
おわり。
このSSまとめへのコメント
安定のながもん
なんだかんだ最後まで話を聞いてくれるむっちゃんが大好きだ