【艦これ】間宮食堂危機一髪!【ザ・シェフ】【ついでに後藤隊長提督】 (45)

艦これとザ・シェフのクロスSSです
【艦これ】後藤喜一「はあ……私が提督、ですか……?」【パトレイバー】
【艦これ】後藤喜一「はあ……私が提督、ですか……?」【パトレイバー】 - SSまとめ速報
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の設定を引き継いでいます
先に前作を読んで頂ければ設定がスムーズに入ってくると思います

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1434162900

~鹿屋基地 執務室~

やる夫「お久しぶりですお! 隊長!」

後藤「まあ、演習だ何だかんだで会ってはいたが、こういう形で会うのは久しぶりだね~、
   やる夫君、それと、長門」

長門「休暇でも取って会いに来れば良かったろうに……この薄情者め」

後藤「すまんね……東京湾の再開発も大詰めで忙しかったもんでね」

長門「ふん……」プイッ

やる夫「まあまあ、長門さん……隊長も、お忙しい中呼び立てるような真似をして申し訳
    ありませんでしたお」

後藤「まあ、今回の出向はあらかじめ期限付きだし、バビロンプロジェクトに出稼ぎに来て
   る労働者の皆さんも丁度田植えの時期でお休みで、環境テロリストも小休止状態だ
   からね~、多少の無理は効くさ」

やる夫「何とか隊長のいる内に「あの海域」を突破したい物ですお……」

長門「むぅ……そうだな……」

後藤「……やっぱり相当な難易度なワケ? その「第一次サーモン沖海戦」って……」

やる夫「酷いもんですお……」

長門「敵主力艦隊に辿り着くこともままならない……この為に軍部に無理を言って隊長を
   呼んだのだ。
   何とかしてみせろ」

後藤「無茶言うねぇ……」

後藤「まあ、俺も情報を調べてみたけど、サーモン沖海戦を突破できた鎮守府はごく少数
   らしいね……例によって佐鎮の老人から情報を仕入れてきたから、腰を据えて挑み
   ますかね」

やる夫「恐れ入りますお……どうもやる夫はあの老人に若輩者だと見られてるようで……
    隊長の情報が頼りですお」

後藤「謙遜しないの、俺が居なくたって西方海域は突破できたんでしょーに」

やる夫「無我夢中だっただけですお……全部艦娘達の手柄です」

長門「ていと……いや、中尉は少し謙遜が過ぎるな。
   大破進撃を命じないだけでも私達にとってはありがたいことだ」

後藤「あー……指揮系統が混乱するとマズいな……どうする?」

やる夫「やる夫は、以前の様に隊長の指揮下に入りますお」

後藤「んじゃ、俺がここに居る間はやる夫君は副提督ってことで」

長門「了解した……それでは、入速出中尉を中尉と呼称し、隊長は以前の様に隊長呼びとい
   う事でいいか?」

後藤「ん、頼んだわ」

長門「以前に比べて新しく入った艦娘も多い……彼女達も最初は戸惑うかもしれんから、で
   きるだけ目をかけてやってくれ」

後藤「りょーかい……ん?」

突然執務室の扉が激しく叩かれ、赤城が転がり込んできた。

赤城「た、大変です! 隊長!! ま、間宮さんが……間宮さんが……!!」

後藤「……間宮さんに何かあったの?」

~間宮食堂~

後藤「ぎっくり腰? そりゃまた大変だ……」

伊良湖「は、はい……寸胴を持ち上げようとしたらグキッって……」

後藤「君は間宮さんの手伝いか何かかな?」

伊良湖「は、はい、伊良湖と申します、間宮さんの助手をやらせて頂いています!」

後藤「若いのに大変だね~……んで、肝心の間宮さんの容体はどうなの?」

伊良湖「明石さんが仰るには、しばらくの間絶対安静だそうです……」

後藤「あらら……」

ザワザワ……

後藤(艦娘に動揺が伝わるとマズいな……)

後藤「あー、静粛に、間宮さんの代役はすぐに手配させるから、とにかく二、三日の間は
   自炊で我慢するように。
   軽巡以上の艦娘は駆逐艦達の面倒を見るように、以上だ」

金剛「ま、緊急事態だし仕方ないネー」

比叡「気合、入れて、自炊します!!」

榛名、霧島(アカン……)

~執務室~

長門「これは大問題だぞ、隊長」

赤城「そうです、大問題です!! 間宮さんのご飯が食べられないなんて……あぁ……」

長門「赤城、ちょっと黙ってろ……それで、どうする?」

後藤「軍部には救援要請出しておいたよ、明後日には代役を寄越すってさ」

長門「何だ……腰の重い軍部にしては早い対応だな」

後藤「まあね~、以前いろいろあったしね~、それが効いてるんでしょ」

長門「……そういえばそうだったな……」

やる夫「? 何の話ですかお?」

後藤「いや、こっちの話、な~んでもない、な~んでも」

やる夫「はあ……?」

その後、比叡の料理で何名かの犠牲者が出た後、期日通りに代役のシェフが到着する運び
となった。

~執務室~

千歳「隊長、まもなく間宮さんの代役の方が到着されます」

後藤「あ、そ、到着なさったら、間宮食堂に御案内して差し上げて……いや~、それにして
   も、比叡の手料理は危険だね、俺もちょっと食ってみたけど」

千歳「何でも、普通に作ればちゃんと美味しく料理出来るらしいですよ?」

後藤「あ、そーなの?」

千歳「気合が入りすぎて、つい、余計な一手間を加えてしまうとか……」

後藤「やれやれだな……」

後藤「んで、代役の方は何て名前の人?」

千歳「味沢匠さんと仰る方だそうです、お弟子さんと一緒に来るとか……」

後藤「……ありゃま……」

千歳「? 隊長、御存知の方なんですか?」

後藤「……まあ、ちょっとね……」

千歳「はあ……」

後藤(軍部もビビりすぎだよ……まさか伝説の「ザ・シェフ」が来るとはな……さて、どー
   すっかね……)

今日の更新はここまでです
後藤隊長が出てますが、あくまで主題は艦これとザ・シェフのクロスです

ぶっちゃけ後藤隊長でなくてもよかったんですが、面白そうなのでこうしてみました。

艦パトのスピンオフOVAみたいな感じで読んでくれると幸いです。

そんなに長くはならない予定です。

それでは次の更新をお待ちください

~執務室~

長門「隊長、代役のシェフが到着したぞ、荷物も解かずにまっすぐ厨房に向かったようだが」

千歳「どうされますか、隊長?」

後藤「ま、挨拶ぐらいはしとかにゃならんでしょ」

長門「作戦会議はその後か?」

後藤「そだね~」

~間宮食堂~

厨房の奥で、二人の男が黙々とタマネギの皮を剥いている。
一人はいかにも一本気そうな青年で、これがおそらく弟子だろう。
もう一人の男は……何というか、独特な雰囲気を身に纏っている。
いかにも気難しそうで年齢不詳だが、若々しくも見える。
その三白眼はまっすぐ食材を見つめて微動だにしない。
何とも話しかけづらい雰囲気だが、後藤は一つ咳をして語りかけた。

後藤「どうも……この基地を臨時で任されている後藤です……あなたが味沢さん?」

男は機械的に動く手を止め、こちらを向いた。

味沢「……味沢です、よろしく」

太一「俺……いえ、私が弟子の田部太一ッス。
   先生の手伝いや、身の回りのお世話をさせて頂いてます」

味沢「太一、手を止めるな」

太一「は、はいっ!」

後藤「今回は、急な要請で迷惑をかけましたな……ま、お互い雇われの身という事で仲良く
   しましょーや」

味沢「……要件はそれだけですか?」

味沢はそう言うと、再びタマネギの皮剥きの作業に戻った。

後藤「ええ、まあ……」

味沢「それなら、なるべく厨房には入らないで頂きたいものですね」

後藤「はあ……」

味沢「一言で言うと、邪魔です」

長門「何だと! 貴様!」

長門が気色ばむが、後藤はそれを手で制する。

後藤「りょーかい……食事に関しては任せます……ちなみに、今晩のメニューを聞いても良
   いですかな?」

味沢「金曜日ですからね、カレーです」

後藤「なるほど……いや、失礼しました、では私達はこれで……」

~中庭~

長門「何だあの男は! いきなり無礼な!」

間宮食堂を出た後で、長門が憤慨する。

後藤「ま、そう怒りなさんな……ああいう職人気質のタイプは、環境さえ整えてやれば文句
   の無い仕事をするもんだよ」

千歳「そうなんですか?」

後藤「榊のおやっさん……レイバーの整備なんかでも、ああいった類の人種はいるからね」

長門「むぅ……」

後藤「ま、ひとまずは安心したよ、いきなり高級フレンチを作るとか言い出さなくて」

千歳「? それの何が駄目なんですか?」

後藤「ま、いろいろとね~……んじゃ、作戦会議といこうか、主だった艦娘を集めてくれ」

長門「了解」

~間宮食堂 厨房~

味沢「君が伊良湖さんだね? 電話で頼んだものは持ってきてくれたかな?」

伊良湖「は、はい、これが間宮さんのレシピ表です」

太一(この子、カワイイな~……い、いや、イカンイカン、俺っちには心に決めた人が……)

味沢「ふむ……」

味沢はレシピ集をめくって確認する。

太一「でも、先生、レシピなんてどうするんスか? 先生ならそんなの無くったって……」

味沢「このレシピ通りに作っていく事にしよう、伊良湖さん、君も手伝ってくれ」

伊良湖「は、はい! 頑張ります!」

太一「な……せ、先生!?」

~2時間後~

太一はぐつぐつと煮える大鍋を前にしてぼんやりと物思いにふけっていた。

太一(先生、なんであんな平凡なレシピなんか使うんだよ……先生なら、本格的なインドカ
   レーだって、欧州風カレーだってお手の物なのに……)

そこで、ふと荷物の中のある物に気付く。

太一(そうだ、アレを入れればこのカレーも少しは本格的になるぜ……)

さっそく荷物から目当ての物を探し出し、カレー鍋に入れようとしたところを、いきなり凄
い力で捻り上げられた。

太一「イテテテ!! せ、先生!?」

味沢「太一、何をしている……?」

太一の手からローリエの葉がバラバラと落ちる。

太一「お、俺はただ、少しでも旨くしようと思って……!」

味沢「余計な真似はするな!!」

太一「せ、先生、だって……このままじゃホントにフツーのカレーになっちまいますよ!?」

味沢は太一の胸倉を掴み、包丁を突き付ける。

太一「ヒッ!」

味沢「いいか、太一……雇われとはいえ、今の私達は軍属だ……命令違反には、軍法を以て
   対処しなけりゃならん……」

太一は青ざめてコクコクと頷く。

味沢「分かったら、以後余計な真似はするな」

太一「は、はひっ!」

太一(ダメだ……本気の眼だ……こうなった先生はテコでも動かねぇ……)

~執務室~

長門「……では、基本的にこの戦術で行くのか?」

後藤「そうだね~……昔と違って資材は潤沢にあるからその心配はしなくていいけどね~」

やる夫「それにしても高速艦縛りですかお……頭が痛いですね」

千歳「空母系が使えないのも不安ですね……」

後藤「どうも、情報によれば空母系がいると高確率でルートから逸れるみたいなんだよね~、
   ま、制空権確保は諦めましょ」

赤城「歯がゆいですね……」

後藤「ま、空母達は演習で頑張っててよ、千歳は決戦支援艦隊で毎回出てもらうよ」

千歳「了解です」

長門「私も決戦支援に回るが……それにしても……」

後藤「ん?」

長門「どうしても駆逐艦を2隻主力艦隊に入れなければ駄目なのか? あんな危険な海域
   に……」

後藤「俺だってホントは駆逐艦を前線に出したくなんてないよ」

長門「だったら……!」

後藤「キス島の時みたいに、この海域では敵主力艦隊に辿り着くには高速、軽量の駆逐艦2
   隻による威力偵察が有効のようだ……これが無ければ高確率で敵主力前で逸れるそ
   そうだ」

長門「むぅ……」

後藤「長門の心配も分かるが、大破撤退は徹底させる、約束する」

長門「しかし、道中は夜戦だ……大破撤退は予想以上に多いと思うぞ?」

後藤「夜戦装備を戦艦に持たせるよ、それでも駄目ならダメコンだねー……」

やる夫「任務報酬などでダメコンの数は以前より増えてますお」

後藤「それでも、大型作戦とかで使うかもしれんからね~、まず最初はダメコン無しで行っ
   てみようや、大破しても何度も挑戦するつもりで、諦めずにね」

千歳「それでは、編成はこの通りでいいですか?」

後藤「うむ……旗艦金剛、ビスマルク、羽黒、利根、夕立、雪風……これで行ってみようか」

長門「では、各員に伝え……ん?」

その時、執務室の扉が開き、何かが差し込まれた。

長門「何だ……青葉の基地内新聞か……作戦会議中だというのに、まったく……」

後藤「ちょっと俺にも見せてよ」

長門「構わんが、作戦の事などは書いてないぞ?」

後藤「いいから、いいから……何々……」

青葉の新聞を流し読みしていた後藤の顔が、苦虫を噛み潰したようになる。

後藤「青葉の奴め……余計な事を……」

長門「?」

今日の更新はここまでです
それでは次回の更新をお待ちください

~基地内新報 著 青葉~

先日より、期間限定で後藤隊長が再着任した。
その手腕を知っている艦娘にとっては説明の必要が無いであろうが、新しく着任した艦娘
も多い為、周囲の艦娘にインタビューする形でその実態に迫って行こうと思う。

また、皆も知っての通りだが、間宮さんが腰痛で休養中の為、代役で来られた味沢氏につい
ても取材していきたいと思う。

まずは、後藤隊長の一番の腹心である長門氏に隊長の印象を聞いてみたところ、

「全幅の信頼を置ける方だ」

とのコメントが帰ってきた。
長門氏と隊長の私的な関係について迫ろうとしたが、記者の身に危険が迫ったのでこの話
題については謎のままである。

次に、以前後藤隊長の元で活躍した艦娘達に隊長について聞いてみた。

北上氏によれば、

「あ~、隊長? 切れ者ってカンジだよね~、艦娘には絶対セクハラしないタイプの人だし、
 大井っちも気に入ると思うよ~」

千歳氏によると、

「尊敬できる方です、艦娘の事を第一に考えてくださいますから」

赤城氏によると、

「公私にわたっていろいろ指導していただきました」

金剛、榛名両氏によれば、

「Nice guyネー!! 長門に取られたのが惜しいくらいヨー?」
「はい、榛名は(NTRにも興味があるので)大丈夫です!」

などのコメントが返ってきた。
新しく入ってきた艦娘にとっては、いきなりの提督交代で不安もあるだろうが、まず、信頼
して構わないであろう。

次に、間宮さんの代役でシェフを務める事になった味沢匠氏について取材してみた。

直撃取材を敢行したところ、取材拒否にあってしまった。
なかなか気難しい方のようである。

だが、記者が独自のネットワークで調べてみたところ、味沢氏は、なんと、あの「ホテルリ
ッツ」のシェフをしていた経験があるという事が分かった。

その後もその手腕を買われて全国各地で引っぱりだこの名シェフの様である。

これからの間宮食堂に期待したい。

~その夜、間宮食堂~

後藤が念のために食堂に顔を出すと、期待に眼を輝かせている艦娘達で溢れていた。

後藤(……いかんな~……)

天龍「おっ、隊長! 新聞見たか? 元ホテルリッツの名シェフだってな? 期待しちまう
   ぜ~」

後藤「……あ~、まあね……」

木曾「さすがに気分が高揚するな」

龍田「どんなお料理が出てくるのかしら~?」

後藤「……」

そこへ太一が大鍋の乗った台車を運び入れた。

太一「お待たせしました! 今日はポークカレーッス! 配膳するので並んでください!」

天龍「か、カレー!?」

木曾「まあ、金曜日だしな……きっと、普通じゃないカレーなんだろ」

龍田「あらあら~」

後藤「……」

配膳が終わり、カレーを口にした艦娘達が一様に妙な表情になる。

龍田「あら~?」

木曾「……普通のカレーだな」

天龍「ってゆーか、これ間宮さんの味のカレーじゃねえか?
   間宮さん、治ったんかな?」

天龍が厨房を覗く。

味沢「……何か?」ギロリ

天龍「あっ、い、いや、その、間宮さんは?」

味沢「間宮さんは自室で療養中です……厨房に勝手に入らないように」

天龍「す、すまねえ! 失礼した!」(おっかね~……)

天龍「何だか拍子抜けだぜ……姉さん方はどう思う?」

加賀「私達は」モグモグ

赤城「お腹いっぱい食べられれば」モグモグ

飛龍「それで十分」モグモグ

蒼龍「だよ~?」モグモグ

天龍「あ~……あんた達に聞いた俺が馬鹿だったよ……」

天龍「なあ、隊長、どう思う?」

後藤「ぜーたく言わないの、自炊の心配しなくていいだけでも十分じゃない?」

天龍「そりゃそうだけどよ……」

後藤「明日からサーモン沖に出撃する……遠征班にもフル稼働してもらうから食える時に
   食っておきなさい」

天龍「うーっす……」

後藤「……」

後藤(いらぬ心配だったか……この分なら大丈夫だな)

今日の更新はここまでです
火、水曜日は所用があるのでたぶん更新できないと思います
次回更新を気長にお待ちください

すみません、大鳳出るまで大型回したら資源4桁になったのでしばらくオリョクルに専念します
オリョクルに飽きたら突発的に更新するかもしれません

大鳳は出ました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年06月21日 (日) 08:35:41   ID: ewns7L41

すごいシェフがすごい料理を作ってしまうと
のちに復帰する間宮さんが大変だろうから、
シェフの人はそのあたりを考慮して
間宮さんのレシピでのカレーを作ったのかな?

後藤隊長もその辺りを危惧して、青葉の記事に
不快感を示したのかと

続き楽しみです

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