真姫「音ノ木がゾンビだらけに・・・」 Another Episode (255)

関連
真姫「音ノ木がゾンビだらけに・・・」
ことり「音ノ木がゾンビだらけに・・・」
真姫「この荒廃した世界で」
ことり「この荒廃した世界で」

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私が私自身としてやるべきこと

私がこの家庭に産まれてきた時点で負った使命

私の意志

そして、希望へと引き継ぐこと

私は伝説にならなければならない

私の全てを貴方に・・・

秋葉原

ウィーン

「秋葉原ー、秋葉原ー、お降りの方は・・・」

謎の女「・・・着いた・・・」

謎の女「10年ぶり・・・かな?ここ」

がやがやがやがや

謎の女「さて・・・」

「えー只今、線路でトラブルが発生いたしました。発車まで今しばらくお待ちください」

「はー!?なんだよ!早く行けよ」

「おい!押すなよ!」

謎の女「・・・?」

謎の女「まぁいいや。今は関係ない」

トコトコ

メイド「あっ!そこの貴方!」

謎の女「えっ?」

メイド「貴方、メイドに興味ありませんか?」

謎の女「め、メイド?」

メイド「あぁん声も可愛らしい!ぜひ、うちでアルバイトしてみませんか?」

謎の女「えぇ・・・そんな、アルバイトなんて・・・」

・・・

謎の女「この服可愛い!」

・・・

謎の女「いらっしゃいませご主人様♪」

メイド「もう完璧!文句なしだよ!」

謎の女「そうですか・・・?」

メイド「うんうん!さっそくシフトの話に入ってもいい?」

謎の女「えぇぇ・・・まだわかんないです・・・」

メイド「そうだ!貴方お名前は?」

謎の女「名前・・・う~ん名前ね・・・」

メイド「・・・?」

ミナリン「ミナリンスキー・・・ミナリンスキーです♪」

メイド「源氏名も決めちゃったの!?もう完璧すぎ!」

メイド「それじゃあ、待ってるからね~!」

ミナリン「は~い!」

バタン

ミナリン「ふぅ・・・」

ミナリン「び、びっくりしたー!まさかここに来てそうそうメイドさんにスカウトされるなんて・・・」グゥゥ

ミナリン「あっ、落ち着いたらおなか減って来ちゃった」

「まだ動かねぇのかよ!」「いつまで待たせる気だ!!」

ミナリン「まだ、電車動かないんだ・・・」

ミナリン「・・・・・・」

ピッポッパッ プルルルル

「報告しろ」

ミナリン「秋葉原駅の電車が動かないらしい。原因を調べて」

「ああ、そのことだが・・・」

「非常に不可解だ。停車から2時間ほど経っているが、こちらでも情報がない」

ミナリン「う~ん・・・人身でも脱線でも故障でもなさそうだね」

「それより、何故秋葉原に居る?」

ミナリン「いいじゃん。時間は余裕なんでしょ?」

「ああ。構わないが」

「10年ぶりの故郷はどうだ?」

ミナリン「特に感想はないよ。物心付く前からこの街とはおさらばだったしね」

「そうか。今回の任務は時間に制限はない」

「お前も疲れているかもしれないし、ゆっくり任務を遂行してくれ」

ミナリン「わかった」

ピッ

ガヤガヤ! ガヤガヤ!

ミナリン「2時間も待たされて、流石にストレスがたまってるみたいだね」

ミナリン「あのーすみません!何があったんですか?」

「いやわかんないんだ。とにかく電車が動いてないみたいで」

「こんなに待たされるんだったら歩いたほうが早いわ!俺はいくで!」

警備員「皆さん落ち着いてください!混乱を防ぐためその場で立ち止まってください!」

「ふざけんな!いつまで立ち止まってればいいんだよ!」

「説明しろよ!」

「もしもし、実は今電車が動いてないみたいで・・・すみませんすみません!」

ミナリン「2000人・・・いや、それ以上か?だいぶ混乱してるみたいだね」

ミナリン「全く持って原因不明の電車停止・・・何かあるのか・・・?」

「おい!あれ見ろ!」

誰かが言った。その言葉に、皆駅の反対側に注目する

「なんだありゃ・・・?」

「なんだ、汚ぇ連中だな」

ミナリン「・・・・・・?」

数は100以上。トボトボとした足取りでこっちに向かってくる人間達

「ゾンビだゾンビ!ありゃすげぇや!」

「すげぇ数のエキストラじゃねぇか!」

「この混乱に乗じてゾンビ騒ぎのパフォーマンスか!」

ゾンビ達「グゥゥ・・・ウウゥ・・・」

ミナリン「・・・・・・」ジーッ

エキストラ・・・?ホントに?あれが・・・?

ミナリン(いや・・・メイクじゃない・・・あれはメイクなんかじゃ作れない・・・!)

ミナリン「ねぇ・・・ヤバいよ・・・」

「はははっ!お姉ちゃんビビってるの?」

「いやでもビビるわなこれは。凄い完成度だぜ」

ゾンビ「アァァ・・・」

男「ははは!負けた負けたよ!」

一人の男が連中に近づいていく

男「こんな数のエキストラ連れて来られたんじゃどうしょうもねぇや」

男「おめぇら一人1000円ずつ出せや!チップでもくれてやれ!」

ミナリン「死ぬよ・・・あいつ・・・!」

ゾンビ「グゥゥ・・・」

男「ほらよ兄ちゃん!完敗だぜ」

男「この金で旨いもんでも食ってけ

ゾンビ「グアアアア!!!」

ガブッ!! グシャ!!

男「うおおおあああああ!!!」

ゾンビ「グゥゥ!!ガァアァア!!」

グシュ!! トシュトシュ!! ガシュ!!

「・・・・・・」

「・・・・・・」

男「ぁぁぁ・・・」

ゾンビ「グゥゥ・・・」

ゾンビ「ガァァ!!!」ギロッ

「わあああああああああああ!!!!!!!!!」

「うわあああああ!!!!ああああああああああ!!!!!!」

「きゃあああああああ!!!!わあああああああああ!!!!!!!!」

「おい!!電車を出せよ早くしろ!!!!!」

「何が!!何が起こってるんだよおい!!!」

「来る!!来る来る来る!!!」

ゾンビ「ゴォォ!!」

「ぎゃあああ!!!!」

「くんな!!来んなよ!!!放せ!!!」

ゾンビ「ガァァ!!」

「どけよ!!ここを通せ!!」ボガッ!

「神様・・・神様助けてください・・・」

ズンシャカズンシャカ♪

「んっ・・・?なんか騒いでる・・・?」振り向き

ゾンビ「グラァァ!!」

「きゃあああああ!!!!!」

「なんなんだよ!!腕を噛まれたー!」

「ぎゃあああああああ!!!!!」

「うわああああああ!!!!!!」

ミナリン「・・・!」

ゾンビ「グゥゥ・・・」

ミナリン「ねぇ・・・!落ち着いて?」

ミナリン「私なんか食べても美味しくないよ?」

ゾンビ「グワアア!!」

ミナリン「逃げよう・・・逃げなきゃ!」

ダダダダッ!

タッタッタッタッ

ミナリン「はっ・・・はっ・・・」

ミナリン「駅からちょっと離れたけど、この辺はまだ大丈夫みたい・・・」グゥゥ~

ミナリン「・・・・・・」

ピッポッパッ プルルルル

「報告しろ」

ミナリン「何が起こってるの?」

ミナリン「人が人を食ってたよ。いや、あれは人とは呼べないか・・・?」

「どうやらゾンビらしい」

「ブラジルで起こったアウトブレイク事件の話をしたか?」

「そっちでアウトブレイクが発生したらしいな」

ミナリン「電車が止まったのは感染者を隔離するためか」

「日本政府より、秋葉原近郊を完全に封鎖するとの情報が入った」

「軍事用の鉄壁を秋葉原周辺に緊急設置したそうだ」

「もうアリ一匹と秋葉原を出さない勢いだ」

ミナリン「マジか・・・」

「とんだ里帰りになってしまったな」

ミナリン「全くだよ」

「何とか秋葉原を脱出して見せるんだ」

「今回の任務は時間に制限はない。ゆっくりでいいから遂行してみせろ」

ピッ

ミナリン「あくまで任務か・・・」

ミナリン「・・・・・・」グゥゥ

ミナリン「腹が減っては戦は出来ぬってね・・・」

ミナリン「穂むら・・・」

ガラガラ

ほのママ「いらっしゃい。あら、ことりちゃん」

ミナリン「こんにちは」

ほのママ「こんな時間にどうしたの?穂乃果、まだ学校だと思うけど・・・」

ミナリン「いえ、別に・・・」

ミナリン「それよりもおなか減っちゃいました。何か作ってもらえますか?」

ほのママ「うん・・・わかったわ。待っててね」

ミナリン「は~い♪」

ミナリン「・・・・・・」

ミナリン(怪しまれてないよね・・・?)

ミナリン(この街に住んでで甘い物が好きなら、その店の店主さんと顔なじみになっててもおかしくないか)

雪穂「あっ、ことりちゃんこんにちは~」

ミナリン「あっ、こんにちは~」

雪穂「ことりちゃんどうしたの?今日は部活じゃなかったっけ?」

ミナリン「いや~、ちょっと体調を崩しちゃって」

雪穂「へぇ~珍しい」

雪穂「なんか駅のほうで騒ぎになってるみたいなんだけど、ことりちゃん何か知ってる?」

ミナリン「駅?う~ん知らないな~」

雪穂「・・・・・・」ジーッ

ミナリン「・・・どうかした?」

雪穂「ことりちゃん・・・またでかくなった・・・?」

ミナリン「えっ?」バイーン

ほのママ「はいことりちゃんお待たせ」

ミナリン「わぁ~、ありがとうございます!」

ほのママ「雪穂も、あんまりことりちゃんに迷惑かけちゃだめよ」

雪穂「迷惑じゃないも~ん」

ほのママ「ごゆっくりね」

ミナリン「う~~~ん美味しい♪♪」

雪穂「ホントに美味しそうに食べるね・・・」

雪穂「それよりもことりちゃん!どうやるの!?」

ミナリン「どうやるのって?」

雪穂「その胸!」

雪穂「なんかちょっと前に見たときよりも随分大きくなってるじゃん!」

雪穂「ぐぬぬ・・・盛ってなくてこれなんて卑怯でしょ・・・!」

ミナリン「胸を大きくする秘訣ね~」

ミナリン「雪穂ちゃんはエデンの園って知ってる?」

雪穂「エデンの園?」

ミナリン「そこに行けば大きくなるよ!」

雪穂「何そこ!?ちょっと調べてくるから待ってて!」

ミナリン「あはは。正直な子だな~」

ピリリリリ

雪穂「あっ、お姉ちゃんだ」

雪穂「もしもしお姉ちゃ~ん?」

穂乃果『雪穂!!大丈夫なの!?』

雪穂「わっ、びっくりした。なんなの急に?」

穂乃果『今どこにいるの!?』

雪穂「えっ?家だけど・・・」

穂乃果『お父さんとお母さんも無事!?』

雪穂「うん。そこにいるよ」

雪穂「っていうか、どうしたの?なんでそんなに慌てて・・・」

穂乃果『えっ・・・雪穂、知らないの!?』

雪穂「何を~?」

穂乃果『今、外が大変なことになってる!』

雪穂「大変なこと~?」

『ガンッ!ガンッ!』

穂乃果『きゃっ!』

雪穂「お、お姉ちゃん・・・?」

海未「下がってください穂乃果!」

穂乃果「う、海未ちゃん・・・」

ゾンビ「グゥゥアア!」

海未「ひ、ヒデコ・・・ヒデコなんですか・・・?」

ゾンビ「ワアア!」

穂乃果「う、海未ちゃんバリケードを作ろう!」

穂乃果「これはもうヒデコじゃないよ!私達を襲おうとしてるただの怪物だよ!」

穂乃果「雪穂!お母さんと代われる!?」

雪穂『う、うん・・・待ってて』

ほのママ『穂乃果?落ち着いて、何があったのか教えて』

穂乃果「うん。すぅぅ・・・はぁぁ・・・」

穂乃果「海未ちゃんとね・・・学校にいたんだ」

穂乃果「そしたら・・・そしたら突然・・・!悲鳴が聞こえて・・・」

穂乃果「見に行ったら・・・あの・・・ヒデコが・・・たべ、たべら・・・」

ほのママ『落ち着いて穂乃果』

穂乃果「うん・・・」

穂乃果「怖くなって・・・海未ちゃんと一緒に逃げようとしたけど、みんな変になってて・・・」

ほのママ『今どこにいるの?怪我はしてない?』

穂乃果「うん、怪我はしてない」

穂乃果「今音ノ木の弓道場にいて・・・でも周りには・・・」

海未「ほ、穂乃果・・・」

穂乃果「海未ちゃん・・・!」ヒシッ

穂乃果「私達は一応は大丈夫・・・でも、ことりちゃんが・・・」

ほのママ『ことりちゃん?ことりちゃんなら今ここに・・・』

穂乃果「ホント!?代わってお母さん!」

ミナリン「もしも・・・」

穂乃果『ことりちゃんのバカ!!』

ミナリン「えっ・・・」

穂乃果『早退するなんて言って居なくなっちゃって・・・ホントに心配したんだよ!!』

ミナリン「ご、ごめんなさい・・・」

穂乃果『うっ・・・うぅ・・・』

穂乃果『無事で・・・よかったことりちゃん・・・』

ミナリン「うん・・・心配掛けてごめんなさい」

『バリーン!』

穂乃果『きゃあ!』

海未『穂乃果・・・どうしましょう穂乃果・・・!』

ほのママ「穂乃果!」

穂乃果『お、お母さん・・・』

穂乃果『怖い・・・怖いよお母さん・・・』

穂乃果『穂乃果・・・ここで死んじゃうのかな・・・?』

穂乃果『助けてお母さん・・・穂乃果死にたくないよ・・・!』

ほのパパ「・・・・・・」トコトコ

パッ

ほのママ「・・・!」

ほのパパ「穂乃果、今音ノ木の弓道場だな?」

穂乃果『お、お父さん!』

ほのパパ「今からお前を迎えに行く。お父さんが来るまでしっかりバリケードを作ってじっとしてるんだ」

穂乃果『お父さん・・・!』

ほのパパ「出来るか?」

穂乃果『うん・・・!頑張る頑張る・・・!』

ほのパパ「よし、いい子だ」

ほのパパ「何があってもそこを動くんじゃないぞ」

ピッ

ほのママ「パパ・・・」

ほのパパ「車に乗るんだ。穂乃果を必ず助ける」

ブゥゥゥゥン

「き、来たーーー!!」

「いやあ!!いやあああああああ!!!!!」

ほのパパ「・・・!」

ほのママ「何が・・・起きてるって言うの・・・?」

雪穂「なに・・・なんなのこれ・・・」

雪穂「お母さんお父さん・・・なにが・・・どうしてこんなことに・・・」

雪穂「街が・・・なんでこんなにパニックになって・・・」

ほのママ「雪穂・・・おいで雪穂」ヒシッ

ほのママ「大丈夫よ・・・何があってもお父さんとお母さんが守ってあげるから・・・」

ほのパパ「・・・・・・!」

ほのママ「渋滞・・・?こんな時に・・・」

ほのママ「いえ、こんな時だからこそ・・・」

ピー!!ピーピー!!

「早く行けよ!!いつまで止まってんだ!」

「どけ!通せよ!」

「おいぶつけやがったなてめぇ!」

ほのママ「どうしよう・・・これじゃあ・・・」

ほのパパ「・・・・・・」

ミナリン「・・・・・・」ジーッ

ミナリン(動くはずがない・・・もう誰一人この街から出られない・・・)

雪穂「お父さん!こんなんじゃ埒が明かないよ!」

雪穂「このままじゃいつまで経っても動けないままだよ!」

雪穂「車なんか乗り捨てなきゃいつまでも・・・」

ほのパパ「雪穂!」

雪穂「っ!」ビクッ

ほのパパ「この渋滞の先頭はお前のような考えのドライバーだ」

ほのパパ「いつまで経っても動けない。だから車を乗り捨てて徒歩で移動したんだ。後ろを考えずに」

雪穂「ご、ごめんなさい・・・」

ほのパパ「いや、別に責めているわけじゃないんだ」

ほのパパ「このまま車に乗っていても、何も変わらないと伝えたかったんだ」

雪穂「・・・!」

ほのパパ「ことりちゃん。歩けるか?」

ミナリン「はい。大丈夫です」

ほのパパ「行くぞ。みんな絶対に離れるんじゃないぞ」

タッタッタッタッ

「きゃぁぁぁああああ!!!!」

「なんだよ!!なんなんだよ!!!」

雪穂「はぁ・・・はぁ・・・」

「来るなーーー!!!」

「か、火事だ!!熱い熱い!!」

雪穂「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」フラッ

ミナリン「雪穂ちゃん!?」

ほのママ「雪穂!」

雪穂「ご、ごめん・・・足元がふらついただけ・・・」

「痛い!いたーーいい!!!!」

「ママーーー!ママーーー!!!うわーーんん」

雪穂「街が・・・街が・・・」

ほのママ「諦めないで・・・穂乃果を迎えに行かなきゃ・・・!」

ほのママ「お父さん・・・」

ほのママ「これは・・・本当に現実なの・・・?」

ほのパパ「現実だ!」

ほのパパ「ママ、これを見ろ!これが現実だ!」

ほのパパ「穂乃果と雪穂を守るために、俺達はこの現実に向き合わなければならない」

ほのパパ「現実逃避なんかしたら、娘を守ることなんてできない」

ほのパパ「大人の俺達が、子供たちの見本にならないでどうする?」

ほのママ「お父さん・・・」

ほのママ「ごめんなさいお父さん・・・しっかりしなきゃね・・・」

タッタッタッタッ

ほのパパ「・・・!」

ほのパパ「止まれ!止まれ止まれ!」

ゾンビ「アアァァ・・・」

男「な、なぁエミちゃん・・・冗談だろ・・・?」

男「なぁ、落ち着いて、なぁ・・・」

ゾンビ「アアァ・・・」

男「く、来るな!それ以上近づくな!」

男「頼む、話を聞いて・・・なぁ、ゆっくり・・・」

ゾンビ「アアア!!」

ガブッ! グシュグシュ!

男「ああああ!!!」

ほのパパ「・・・!!」

ほのママ「いや!・・・いやそんな・・・!」

雪穂「」フラッ

ドサッ!

ほのパパ「雪穂!!」

ほのパパ「雪穂どうした!?しっかりしろ!」

ミナリン「しょうがないよ」

ほのパパ「・・・!」

ミナリン「普通の女の子なんだ。街がこんなになって、目の前で人が死んで、ショックを受けない子なんていない」

ほのパパ「ことりちゃんは・・・大丈夫なのか・・・」

ミナリン「うん。私は平気です」

ほのパパ「・・・雪穂は俺がおぶる。早く穂乃果を迎えに行くぞ」

ゾンビ「アァァ・・・」

ほのパパ「くっ・・・!」

ほのママ「お父さんこっちからも・・・!」

ほのパパ「くそっ・・・何故こんなことに・・・」

ミナリン「こっち!」

ミナリン「この道からなら近づける!」

ほのパパ「ことりちゃん・・・!」

タッタッタッタッ

ザザッ!

ゾンビ「グゥゥ・・・」

ほのパパ「音ノ木の生徒・・・なのか・・・?」

ミナリン「今はもう、違うよ」

ほのママ「この道を通らないと音ノ木に入れない・・・」

ほのママ「道は・・・奴らでいっぱいに・・・」

ほのママ「お父さん・・・これじゃあとても音ノ木に近づくなんて・・・」

ほのパパ「・・・・・・」

ほのパパ「俺も怖い・・・ママも怖い・・・」

ほのパパ「だが、穂乃果はもっと怖い」

ほのパパ「娘一人守れなくて何が父親だ」

ほのパパ「俺が親なら、こんな困難突破してみせなければ」

ほのママ「おとうさん・・・?」

ほのパパ「車が必要だ」

ガチャ バタン!

ほのパパ「そこに居てくれ。穂乃果を迎えに行く」

ガチャ バタン

ほのパパ「ママ・・・」

ほのママ「子供を守れなくて何が親ですか」

ほのママ「穂乃果を助ける・・・必ず・・・」

ミナリン「私も乗るよ」

ミナリン「気絶した子供を一人、置いていけないでしょ?」

ほのパパ「・・・・・・」コクッ

バタン!

キュキュキュ ブゥゥゥンン!!

ほのパパ「シートベルトを締めろ」

ほのパパ「強い衝撃になる。掴まれるものに掴まっておくんだ」

ほのママ「ええ・・・」

ほのパパ「準備はいいか・・・!」

ブゥゥゥン!!!!

ゾンビ「アア!?」

ほのパパ「どけ!!どいてくれーー!!!」

ガゴッ!ガゴン!!

ゾンビ「ブゥゥアア!!」

ほのママ「そのまま真っ直ぐよ!止まらないで!」

ガゴガゴ!ガゴン!

ほのパパ「ぐっ・・・くそっ!」

ほのパパ「馬力が足りない!このままじゃあ・・・!」

ブゥゥゥン!!ブゥゥゥン!!

ゾンビ「グラアアア!!!」

ほのママ「数が・・・!」

ほのパパ「制御・・・できない・・・!!」

ほのパパ「くそっ・・・!!ぶつかる!!!」

ガシャシャーン!!!

・・・・・・

・・・



ミナリン「はっ!」

ピー!ピー!ピー!ピー!

ミナリン「事故・・・ったんだね・・・」

ミナリン「壁に激突・・・助かったのはシートベルトのおかげか・・・」

ほのパパ「ことりちゃん」

ミナリン「お父さん・・・大丈夫ですか・・・?」

ほのパパ「いや・・・」

ほのママ「もう・・・長くはないでしょうね・・・」

ミナリン「・・・!」

ほのママ「身体が全く動かないわ・・・喋るのが・・・ゲホッ!・・・やっと・・・」

ほのパパ「ことりちゃんは?」

ミナリン「私は・・・ちょっとぶつけただけ・・・」

ほのパパ「そうか・・・」

ほのパパ「すまなかった・・・俺の無茶に巻き込んでしまって・・・」

ミナリン「そんな・・・」

ピッピッ プルルルル

穂乃果『もしもしお父さん!?』

ほのパパ「穂乃果、いい子にしてたか?」

穂乃果『うん!ちゃんとバリケードを作ってじっとしてた!』

穂乃果『穂乃果は何とか大丈夫だよ!』

ほのパパ「よし・・・流石俺の娘だ」

穂乃果『それよりも、さっき近くで凄い音が聞こえて・・・』

ほのパパ「穂乃果、いいか?よく聞くんだ」

穂乃果『何・・・?』

ほのパパ「俺は、お前が大好きだ穂乃果」

穂乃果『えっ・・・?』

ほのパパ「自分の命に替えてでも守りたいと思うほどに」

穂乃果『・・・・・・?』

ほのパパ「雪穂と、ことりちゃんと・・・そこに海未ちゃんも居るんだろ?」

ほのパパ「4人で必ず脱出するんだ」

穂乃果『4人・・・?』

穂乃果『ねぇ・・・どういうこと?どういうことお父さん!?』

ほのパパ「街を脱出したらまず、保険屋に電話しろ」

ほのパパ「伝えるんだ・・・「私の父が死にました」って」

ほのパパ「20の頃から保険に入ってるんだ・・・相当な額が貰えるはずだ」

ほのパパ「もしかしたらその金だけで一生食っていけるかもな・・・」

穂乃果『なに・・・ねぇ何言ってんの!?』

穂乃果『やだ・・・やだよ!!何でそんなこと言うの!?』

ほのママ「察しなさい穂乃果・・・」

ほのママ「迎えに行けなくてごめんなさい・・・でも、必ず一矢報いてあげるからね・・・」

穂乃果『お母さんまで!』

穂乃果『やめてよ!!そんなこと言わないでよ!!』

ほのパパ「穂乃果・・・」

ほのパパ「お父さんの事・・・好きか?」

穂乃果『そんなの・・・!』

穂乃果『好きだよ・・・好きだよ大好きに決まってる!!』

穂乃果『やだよ!大好きだよ!!大好きだからそんなこと言わないでよ!!』

穂乃果『お母さんも大好きだよ!!大好きだから生きてよ!!穂乃果を迎えに来てよ!!!』

ほのパパ「ごめんな穂乃果・・・」

ほのママ「大好きよ穂乃果・・・」

ほのパパ「大好きだ穂乃果・・・」

穂乃果『お父さんお母さん!!お願い返事し

ピッ

ほのパパ「ことりちゃん・・・」

ミナリン「・・・・・・」

ほのパパ「車を爆破する」

ほのパパ「ガソリンは満タンだ・・・凄い威力になるぞ」

ミナリン「お父さん・・・」

ほのパパ「おじさんのわがまま、聞いてもらっていいか?」

ミナリン「はい・・・」

ほのパパ「雪穂を・・・穂乃果を・・・頼む・・・」

ほのパパ「彼女達を・・・どうか安全なところへ・・・」

ミナリン「はい・・・」

ほのママ「ごめんね・・・おばさん達強くないから・・・こんなことしか出来ないけど・・・」

ミナリン「お父さん・・・お母さん・・・」

ミナリン「餡子・・・とても美味しかったです」

ほのパパ「ああ・・・喜んでくれて何よりだ・・・」

ミナリン「雪穂ちゃん・・・雪穂ちゃん・・・!」

雪穂「んっ・・・」

ミナリン「行くよ・・・雪穂ちゃん・・・」

ほのパパ「達者でな・・・」

ミナリン「はぁ・・・はぁ・・・」

ミナリン「音に反応してるのか・・・?ゾンビたちが車に近づいていく・・・」

ミナリン「あの二人は・・・もう・・・」

ミナリン「・・・・・・」

ほのママ「パパ・・・」

ほのパパ「おう、こんなところにタバコがあったぞ」

ほのパパ「吸うか?」

ほのママ「ええ・・・」

ジュポ スパッ 

ほのママ「ゲホッ!ゲホッ!」

ほのパパ「咳き込むなんて、吸い方を忘れたか?」

ジュポ スパッ

ほのパパ「ゴホゴホ!」

ほのママ「パパだってそうじゃない・・・」

ほのパパ「ああ・・・」

ほのパパ「禁煙17年目か?」

ほのママ「穂乃果がお腹の中に居る時にやめたのよね」

ほのパパ「久々のタバコは・・・旨くないもんだ・・・」

ほのママ「ふふっ・・・クスクス・・・」

ほのパパ「なんだ?」

ほのママ「あの時のパパったら・・・初めての子供だからってずっとわたわたしてて・・・」

ほのママ「自分が禁煙するからって、私まで巻き込んで・・・」

ほのパパ「だって、タバコは子供には良くないって本に書いてあったろ?」

ほのママ「育児グッズだって、これでもかというくらい買ってきて・・・」

ほのママ「覚えてる?パパがタバコ吸えなくてイライラしてて、ずっと物に当たってたわね」

ほのママ「それを見た私が、「そんなに吸いたいならこれでも吸いなさい」っておしゃぶり渡して・・・」

ほのママ「パパ凄く怒って・・・大ゲンカしたの」

ほのママ「次の日お医者さんに行ったら、穂乃果の頭が上になってて・・・」

ほのママ「喧嘩しただなんて言えないお父さんは、お医者さんに「この子は将来運動神経抜群になるぞ」って・・・」

ほのパパ「忘れたよ・・・そんな話。若気の至りさ」

ほのママ「子供の事になると凄く神経質だったんだから・・・」

ほのパパ「なぁ・・・ママ」

ほのママ「何?」

ほのパパ「俺は、父親として、どうだったかな?」

ほのパパ「良い父親に、なれたのかな・・・?」

ほのママ「当然じゃない」

ほのママ「貴方は世界で一番のお父さんよ」

ほのママ「子供を愛し、子供からも愛される。それでいて甘やかさない」

ほのママ「猛勉強したんですもんね。その分立派な父親になれてたわよ」

ほのパパ「そうか」

ほのパパ「昔は結婚なんか絶対しないと思ってたのにな」

ほのパパ「いつの間にか、俺の視界にはママと穂乃果と雪穂と、餡子しか映ってなかった」

ほのママ「ふふふ・・・」

ほのママ「パパ・・・大好きよパパ」

ほのパパ「ああ・・・俺もだよママ」

ギュッ

ほのパパ「来世でも、一緒になろう」

ほのママ「あら、珍しくロマンチックなこと言うのね」

ほのパパ「っ・・・俺には合わないな」

ほのママ「そうね。貴方はダンディーなほうが似合ってるわ」

ほのパパ「はは・・・・・・」

ほのママ「ふふ・・・・・・」

ほのパパ「・・・・・・」

ほのママ「・・・・・・」

ゾンビ「グワアアアア!!!」

ゾンビ「グゥゥ!!!グワアアア!!!」

ゾンビ「ガアアア!!!!」

ゾンビ「ブアアアア!!!グワアアア!!!」





ドガアアアアアアーーーーーー!!!!!!!!

ミナリン「・・・・・・」

ミナリン「・・・・・・」

ミナリン「・・・行こう」

ミナリン「雪穂ちゃん!」

雪穂「っ・・・いたっ!」ドタッ

ミナリン「雪穂ちゃん?」

雪穂「あ・・・足が・・・」

ミナリン「うぅん・・・酷く折れてるね。さっきの衝突のせいか・・・」

ミナリン「ほら!肩を貸すから、頑張って歩いて!」

ミナリン「頑張らないとこの街から脱出できな・・・」

ミナリン「脱出・・・できない・・・」

雪穂「ことりちゃん・・・?」

あれ・・・?そもそも・・・

何で私は彼女を助けようとしてるの?

どうして私は学校に向かってるの?

こんなことしたって・・・

意味ないじゃん

なに心を動かされてるの私?

偶然立ち寄った和菓子屋の家族のドキュメンタリーを見てきただけじゃん

私がこの街に来た理由は、人助けの為じゃない

私がこの街を脱出するのに、この足を折った少女は害でしかない

赤の他人に頼まれたことを、遂行しなくちゃいけない義務なんてない

何やってんだろう私

こんな子、ここで死んじゃっても私には関係ないじゃん

ミナリン「・・・・・・」スタスタ

雪穂「こ、ことりちゃん!待って!」

雪穂「どこに行くの!?私を置いていかないで!」

ミナリン「・・・・・・」ピタッ

雪穂「頑張って歩くから!お願い一人にしないで・・・」

ミナリン「歩けるの?」

雪穂「だ、だいじょう・・・つぅ!」

ミナリン「・・・一人じゃ歩けないみたいね」

雪穂「か、肩貸してことりちゃん・・・」

ミナリン「貴方に肩を貸したら、私はこの街から脱出できない」

雪穂「・・・えっ・・・?」

ミナリン「悪いけど、人の為に自分に枷を付けるようなこと、しない人間なんだ私」

雪穂「ことり・・・ちゃん・・・?」

ミナリン「貴方の両親は勇敢だった」

ミナリン「娘を守るために自分の命を犠牲にした」

ミナリン「貴方は両親に生かされたんだ」

ミナリン「雪穂ちゃん・・・生きていたいなら、自分で歩くんだよ!」

ミナリン「この世界には色々な困難が立ちふさがっている」

ミナリン「貴方はまさに今、困難に直面している」

ミナリン「人生にいくらでもある困難の内の、たった一つを乗り越えられなくてどうするの!?」

ミナリン「今の貴方にこの困難は大きいかもしれない。命にかかわる困難だ」

ミナリン「でも、貴方の両親は命に替えて貴方を助けた」

ミナリン「親に貰った命を、生かすか殺すかは貴方次第」

ミナリン「貴方はどうする?」

ミナリン「この苦しみを乗り切って生きていくか」

ミナリン「それとも、なにもできない・・・いや、何もしないで死ぬか」

ミナリン「貴方が決めて」

ミナリン「もしも、苦しくても頑張りたいのなら、手を貸してやってもいいよ」

ゾンビ「グアア!」

ミナリン「ほら、急がないと死んじゃうよ?」

雪穂「や、やだ・・・やだやだ!」

雪穂「助けてことりちゃん!」

ミナリン「私の手を握ってごらん?出来れば貴方を見る目を変えてあげる」

雪穂「無理だよ!私はもう動けないの!一人じゃ無理!」

雪穂「お願いだよことりちゃん!私に手を貸して!助けてよ!」

ミナリン「私は優しいつもりだよ?」

ミナリン「貴方に価値があれば・・・」

ミナリン「貴方にあの両親の意志が継げていれば、助けようと思ってたけど」

雪穂「いやあ!!いやあああ!!!」

ゾンビ「ガアアア!!」

ガブッ! ガブッ!

雪穂「きゃああああああああああ!!!!」

ミナリン「所詮・・・一般人はこんなもんか・・・」

ガブッ! グシュグシュ!

雪穂「」

ミナリン「はぁ・・・」

ミナリン「なんだろうこの気持ち」

ミナリン「赤の他人の意志でしょ?私が継ぐ必要なんかないよね?」

ミナリン「なのに、どうして・・・?」

ミナリン「このモヤモヤは、どうして収まらないの?」

ミナリン「どうしてこんなに、胸糞悪いんだろう」

ゾンビ「アァァ・・・」

ミナリン「こいつらのせいだよ」

ミナリン「私がこんな気持ちになったのは、全部こいつらのせい・・・」

ミナリン「ムカつく・・・」

ミナリン「・・・・・・」

ミナリン「別にこれは、弓道場に居る彼女達の為に少しでもゾンビを減らしておくとか、そういう理由じゃない」

ミナリン「彼らの意志を継ぐためにとか、そういうのじゃない」

ミナリン「ただただムカつくから」

ミナリン「このモヤモヤを晴らしたいから」

ミナリン「人の為じゃない。自分の為」

ゾンビ「グアア!!」

ミナリン「・・・!!」ブンッ

ミナリン「らああ!!!」

5分後・・・

ゾンビ「」

ゾンビ「」

ゾンビ「」

ミナリン「・・・・・・」

ミナリン「殴っただけじゃ、気分は簡単に晴れるもんじゃないね。学んだよ」

ミナリン「・・・・・・」

ミナリン「任務を・・・遂行しよう・・・」

ミナリン「私は任務を果たす為にここに来たんだ」

ミナリン「さぁて・・・この街から脱出しないとね」

ミナリン「・・・・・・」

ミナリン(見てみたかったな、穂乃果ちゃん、海未ちゃん)

ミナリン(いずれ会えることを、楽しみにしてるよ)

『壁』の前

ミナリン「う~ん・・・日本政府がこんなすごい壁を用意していたなんて」

ミナリン「高さは・・・15メートルくらいか」

ミナリン「余裕ね」

自動販売機「いらっしゃいませ~こんにちは~」

自動販売機「お客さん一本いかがですか?当たりが出ればもう一本貰えますよ!」

ミナリン「うるさい」ズゴッ!

自動販売機「」

ミナリン「さてっ・・・!」

ズガッ!!

ミナリン「うにゅぅぅ~~~!!」

ズガン!!ブチブチ

ミナリン「とっっっとと・・・!」

ズガアアア!!!

ミナリン「ふぅ!・・・ふぅ・・・」

ミナリン「あとはなにが必要かな?」

・・・

ブルン!!ブルルン!!

ミナリン「さてっ、行くよ!!」

ブウウウウウン!!!

壁に向かってバイクを全速力で走らせる!

ミナリン「飛べっ!」

準備したジャンプ台に乗り、壁に向かって飛び立つ!

ガコッ!ウウウウウウンン!!

ジャンプしてすぐにミナリンはバイクのハンドルの上に乗る

バイクが一番高い位置まで来たその時、5センチ下から大ジャンプ!!

ミナリン「よっ!」

ガシッ!ズガアアン!

見事壁の先端に飛び付いたミナリン

これで、壁の外へ・・・

ズダッ!!

ミナリン「・・・っ!」

がやがや がやがや

通行人「・・・・・・」チラッチラッ

「あいつ・・・今空から降ってこなかったか?」

「それよりも聞いてぇ!うちの旦那が・・・!」

「お願いしまーす!お願いしまーす!」

「そこのお嬢さんちょっと!」

ミナリン「・・・・・・」

ミナリン(この人たち・・・壁の中ではあんなことが起こってるのに・・・)

ミナリン(所詮、自分に関係なければどうでもいいことか)

ミナリン(異様だ・・・こんな光景・・・)

ミナリン(・・・まぁ、どうでもいいか)

ミナリン(さぁて、長い朝も終わったことだし、ようやく仕事に取り掛かろうか)

あれから続きは書いてません
1000目指して今作を書き溜めしていましたが、2か月経ってしまい自動でhtml化されたので、
やる気なくして約1年放置していた物語を投稿しています

コンビニ

ウィーーン

店員「いらっしゃいませー」

ミナリン「・・・・・・」

ミナリン(えっと・・・電池と・・・)カタッ

ミナリン「すみません、おトイレ借りてもいいですか?」

店員「どうぞー」

ミナリン「・・・・・・」ペコッ

ガラガラ バタン

ポタッポタッ

ポタポタシャーーーー・・・

ポタッポタッ

ミナリン「ふぅ・・・」

フキフキ

ジャアアーー

ミナリン「よっし・・・」

パカッ ウィィィィンン・・・

カタカタ

ミナリン「えっと・・・こいつで監視カメラをジャックして・・・」

ピピッ

コンビニ:ロッカールーム

女『店長やっぱキモくない?』

女『イキナリwでもなんか頭おかしいよねあの人』

ミナリン「おお、セクシーショット」

コンビニ:休憩室

店長『いちっ、にっ、』

店長『よーし、今日も一日張りきって行こう!』

店長『えっと、まずはこいつを・・・それで・・・』

ミナリン「独り言かよ」

コンビニ:地階

成金『くっそーー!!!』

オーナー『うぇーーいwww』

成金野郎『オーナー強えな』

成金『ぜってぇ負かしてやる!』

ミナリン「みっけ、ここね」

ミナリン「東京都の一角のコンビニ。違法ギャンブルや密輸にも使われているらしい」

ミナリン「さっさと摘発して帰ろ」

動くな!!

ミナリン「・・・!」

ミナリン「なんだろ?」

コンビニ:フロア

強盗『金を出せ!ありったけ全部だ!』

ミナリン「こんな昼間から包丁一本でコンビニ強盗か・・・元気な街だなここは」

・・・

強盗「騒ぐんじゃねえ早く出せ!殺すぞ!」

店員「あっあっ・・・」

強盗「早くしろ!」

店長「落ち着きなさい!!」

強盗「なんだジジイ!」

店長「君はどうしてお金が欲しいんだ?」

強盗「うるせえ早く出せ!!」

店長「とにかく落ち着きなさい。落ち着くんだ」

強盗「・・・!」

店長「君は今何歳だ?」

強盗「それがどうした!?」

店長「いいから、答えてみなさい」

強盗「・・・25だよ・・・!」

店長「25歳か・・・これからまだどんなことでも出来る時期だ」

店長「結婚はしているのか?」

強盗「・・・妻と・・・子供が二人・・・」

店長「お子さんの名前は?」

強盗「・・・そらと・・・りほ」

店長「そうか、名前からして女の子かな?」

店長「冷静に考えてみなさい。今の君の姿をそらとりほに見せることができるか?」

強盗「・・・・・・」

店長「娘さんはパパが大好きなはずだ。そんなパパがこんなことをしてると知ったらどうする?」

強盗「・・・・・・」

強盗「・・・でも・・・これしかないんだ・・・俺には・・・」

店長「ここにあるお金は、たかが10万ぽっちだけだ」

店長「高卒の新入社員の平均月給を知っているか?16万ほどだ」

店長「君は、新入社員の1か月の給料にも満たない金額を手にして、そのあとはどうするんだ?」

店長「もしそれだけで君が捕まったら、お嫁さんは、娘さんはどうする?」

店長「娘に、愛情を伝えることすらできないまま、離れ離れになってしまうかもしれないんだぞ?」

強盗「・・・そんなの・・・」

店長「いやだろう?」

店長「落ち着いて、もう一度考え直すんだ」

店長「ここにある履歴書、私が買って君に渡そう」

店長「ハローワークの案内をしてあげよう。なんなら、このコンビニでもいい」

店長「働いてみないか?」

店長「正規の方法で、お金を稼いでみないか?」

店長「そのお金で、娘さんたちを幸せにしてやれないか?」

店長「どうか、その包丁をおろしてくれないか?」

強盗「俺は・・・」

強盗「俺は・・・・・・」

強盗「おじさん・・・俺は、やり直せるのか・・・?」

店長「もちろんだ。世間が君を受け入れなくても、私が君を受け入れよう」

店長「一緒に、働いてみないか?」

強盗「おじさん・・・おれは・・・」

チャキーン 包丁落とす音

強盗「やりなお

プシュ!!

強盗「!!!!」

店長「!!?」

プシュプシュプシュ!!!

強盗「」ドサッ

店長「君!!」

オーナー「大丈夫ですか店長?」

店長「オーナー!!」

店長「あなたが・・・」

オーナー「うちの従業員が襲われていたんです。これは正当防衛だ」

店長「この方は包丁しか持っていなかった!」

店長「それに、私の説得に応じたんだ!もう殺意も何もなかった!」

店長「それなのに、どうして!?」

オーナー「なるほど、じゃあこうしましょう」

チャキ

ニギッ

オーナー「この銃はこの男が持参した銃だ」

オーナー「店長の説得に諭されたこの男は自分の惨めさに後悔し、自殺した」

オーナー「我々従業員はなにも手出ししなかった」

オーナー「どうですか?」

店長「そんなこと認められるわけ・・・!」

オーナー「いいんですか?私の指示に従わなくて」

店長「っ!!?」

オーナー「君も、私達は手出しをしなかった、完全に被害者だった。そうだろ?」

店員「は・・・はい・・・」

オーナー「店長、貴方は有能なお方だ」

オーナー「私の指示に従って貰うのが、私にとっても店長にとっても有益だ」

オーナー「わかってくれましたか?」

店長「・・・・・・」

店長「わかり・・・ました・・・」

オーナー「それでいい」

オーナー「さて、警察に通報しましょう」

・・・

ミナリン「・・・・・・」

ミナリン「腐ってる・・・」

夜:ホテル街

女「ねぇ・・・お兄さん・・・」

オーナー「ブスがっ、すり寄ってくんな!」

女「きゃっ、何よこのクソ男!」

オーナー「ちっ」

少女「・・・・・・」

オーナー「おーおー、ユリカちゃん。待っててくれた?」

少女「は、はい・・・」

オーナー「なぁにまだ緊張してんの?」

少女「そう・・・ですね・・・」

オーナー「可愛いなぁ・・・」

グイッ!

少女「やっ!」

オーナー「なぁ・・・なんだその態度は?」

オーナー「せっかくヨシノちゃんに紹介されたんだ。もっと喜べよ」

少女「やっ・・・や、やだ!!」ダダッ

オーナー「ははは、逃がさな

ガシッ!

オーナー「あっ?」

ミナリン「ねぇ・・・お兄さん・・・」

オーナー「おっ」

ミナリン「あんなガキじゃなくて、私と遊ばない?」

オーナー「やべぇ、可愛いじゃん」

オーナー「気に入った。そこのホテルでいい?」

ミナリン「早く行きましょう?」

ラブホ

オーナー「名前はなんていうの?」

ミナリン「ミナリンスキーです♪」

オーナー「はっはははは」

オーナー「ミナリンスキーか・・・キャバっぽくはねぇし、どっかのイメクラかなにか?」

ミナリン「お店はやってませんよ~」

ミナリン「お兄さんかっこ良いから、ちょっとだけサービスしちゃうかも♪」

オーナー「おぉ、マジで?」

オーナー「ミナリンちゃんも可愛いから、俺にピッタリかもな」

オーナー「何歳?」

ミナリン「音ノ木坂学院二年、16歳です♪」

オーナー「ぶふっ、マジで?あの音ノ木坂?」

オーナー「そっかその制服音ノ木だよな」

ミナリン「168cm、B98、W58、H88、Hカップです」

オーナー「マジ?ちょーナイスバディじゃん」

オーナー「じゃあさっそく、感触を確かめてみようか・・・」スッ

パシッ

ミナリン「まだだ~め♪」

ミナリン「シャワー浴びてきます。一緒に入っちゃメ、ですよ?」

シャワーーーー・・・

ミナリン「・・・・・・」

私は何故こんなことをやっているのだろう?

時折、いや、常に、自分自身がわからなくなる

私の目的はなんなんだろう

私の行動が、日本を良くするとは思わない

この腐った国を救おう、そんな考えも微塵もない

だけど、どうして?

誰か、私を教えて

私のことを、私自身に聞かせてほしい

そうすれば、私は、心から笑えるようになるのかもしれない

シャワーーーーー・・・

ミナリン「・・・・・・」

キュッ キュッ

グググ・・・ググ・・・

ミナリン「・・・・・・」

カチャン ブクッ ブクブク

カチッ カチャ カチッ・・・ ガッ!ガッ!

ミナリン「・・・・・・」

シャワーーーー・・・

ミナリン「ふぅ・・・上がりました♪」

オーナー「うぅわぁミナリンちゃんすげー色っぽい、もう我慢できなくなりそう」

ミナリン「ダメですよ?ちゃーんとお身体綺麗にしてくださいね?」

オーナー「ミナリンちゃんが洗ってよ」

ミナリン「もう・・・プレイはベッドで楽しみましょう?」

オーナー「わぁかったよ・・・」

オーナー「ミナリンちゃん、君は10年に一人の逸材だ」

ミナリン「えへへ・・・なんだか照れちゃいます」

オーナー「俺は欲しい物はなんでも手に入れるタイプなんでね」

オーナー「逃げれると思うなよ?」

ミナリン「そんなことしませんよ。ほら、早くシャワー浴びちゃってください!」

ミナリン「私だって、もう我慢できなくなりそうなんですから♪」

オーナー「ははは」

バタン

ミナリン「・・・・・・」

ガタッ ガタッ

ミナリン「そういうことか、ドアに細工しやがった、普通じゃ開けれないね・・・」

ミナリン「まあいいや、さて、お財布お財布」

ミナリン「・・・凄い・・・」

ミナリン「やったね、大金稼いじゃった」

・・・

シャワーーー・・・

オーナー「あっつ!あちあち!」

オーナー「なんだこのシャワー!?熱湯だぞこりゃ!」

キュッ キュッキュッ

オーナー「あっ?止まれよ!」

シャワーーーーー

オーナー「あっちぃあっちぃ!あああ耐えきれねぇ!」

ガタッ

オーナー「あっ?」

ガタッ!ガタッ!

オーナー「なんで・・・?開けよ、開けよ!!」

ミナリンちゃーん!

ミナリンちゃんちょっと来てくんねぇ!?

あっち!くそ!ミナリンちゃーん!!

ミナリン「は~い!」

ガチャ

オーナー「ミナリンちゃん助けて!あちぃ!」

オーナー「外からドア開けれる!?」

ミナリン「開けれませ~ん♪」

オーナー「はぁ!?」

ミナリン「明日の見出しは、『ラブホシャワールームから水死体発見。謎の故障により』」

ミナリン「あんたは存在しているだけで害だったからね。死にな」

オーナー「おい!ふざけ・・・」

オーナー「ううっ!ブクブク!」

オーナー「かはっ・・・!おい!おい・・・!」

ミナリン「バイバ~イ♪」

バタン

ミナリン「さて、逃げようかな」

ミナリン「ホテルの3階、余裕ね」

ミナリン「それっ!」

ヒューーーーン!!

ミナリン(あのワンボックスの車なら十分衝撃を緩和できる!)

ガシャーン!!!

ファンファンファンファン!!!

ミナリン「よっと!」

ミナリン「ふぅ・・・ドアだけが脱出口じゃないんだよ、バカなオーナーさん」

翌日

モニター「都内のラブホテルで、水死体が発見されました」

ミナリン「・・・・・・」

モニター「外に停めてあった車が破壊されており・・・」

モニター「速報です。親鳥製薬の社長、南氏が何者かによって殺害されました」

ミナリン「え・・・・・・?」

モニター「親鳥製薬のユニフォームを着たこの赤髪の何者かにより殺された考えが濃厚です」

モニター「速報です。DNA鑑定により犯人が特定されました」

モニター「音ノ木坂学院2年、南ことりと、同じく1年、西木野真姫」

ミナリン「・・・!?」

モニター「南ことりは社長の南氏の実の娘。西木野真姫は西木野総合病院の西木野氏の実の娘です」

モニター「二人は音ノ木坂学院に通うごく普通の高校生だったようです」

モニター「一体何があったというのでしょうか?」

ミナリン「うそ・・・でしょ・・・?」

隣に居た人「んっ・・・?」

モニター「南ことり 16歳 この顔見たら110番」

隣に居た人「・・・・・・んっ?」

ミナリン「そんな・・・」

隣に居た人「んっ・・・・・・?」

モニター「南ことり」

ミナリン「・・・・・・」

ミナリン「・・・・・・」ジッ

隣に居た人「う、うひゃあ!!?」

隣に居た人「ひゃ、110番!110番!」

ミナリン「ちっ!」

ダダダダッ・・・

・・・・・・

ことり「真姫ちゃん・・・どうして・・・?」

ことり「ことりは真姫ちゃんのこと裏切ったのに・・・なんでこんなことりを・・・?」

真姫「私はあんたに助けられた」

真姫「あの薬、なんなのかわからないけどあれのおかげで今私は生きてるんでしょ?」

真姫「っていうかあんたが居なかったら私は音ノ木で死んでた」

真姫「借りを返した。それだけよ」

真姫「さぁ消えなさい」

ことり「待って!」

真姫「喋らないで!!」

真姫「二度と見せるんじゃないわよ!!」

真姫「その憎たらしい裏切り者の顔を!!」

ことり「・・・・・・」

真姫「・・・っっ!!」

真姫「・・・・・・」トコトコ

ことり「うっ・・・うっ・・・」

ウィーーン

??「ことり」

ことり「あっ・・・・・・ぁ・・・・・・」

バタン

ブゥゥゥゥンン

ことり「・・・・・・」

理事長「・・・・・・」

ことり「・・・殺さないの・・・?」

理事長「貴方は使えるわ。だから殺さない」

理事長「西木野真姫・・・随分余計なことをしてくれたようね・・・」

ガシャシャーン!!

ドガァァァァン!!!

ことり「!!!?」

ことり「絵里ちゃん!!!真姫ちゃん!!!」

理事長「随分と・・・・・・!」ギリギリ

理事長「随分と邪魔してくれたみたいじゃない・・・!」

携帯「おかけになった電話番号は・・・ピッ

ことり「そんな・・・嘘だよ・・・」

理事長「・・・・・・」

理事長「ことり・・・」ソッ

ことり「ん・・・」

バシン!!

ことり「っ!!」

理事長「この裏切り者が!!」

ことり「・・・・・・」

理事長「貴方のせいで私達の計画が・・・」

ことり「私はお母さんを裏切ったつもりはない」

理事長「何をいまさら・・・」

ことり「私はただ、お母さんの娘ってだけだよ。アウトブレイクに賛成したつもりはない」

ことり「こんな・・・なんでこんなことしたの!!?」

ことり「絵里ちゃんが死んだ!!!もしかしたら穂乃果ちゃんも海未ちゃんも!!!」

ことり「裏切ってなんかないよ・・・!私は・・・・・・!」

理事長「・・・人生は、辛いものなのよ」

理事長「私は自分の行動に後悔するつもりはない」

理事長「人類の成長の為に、犠牲は払わざるを得ないのよ」

ことり「・・・何それ・・・」

ことり「殺したくなるよ・・・そんなこと言われても・・・」

理事長「・・・・・・」

ことり「・・・・・・」

理事長「あやりを覚えてる?」

ことり「・・・・・・」

ことり「・・・あぁ・・・」

理事長「つい最近、東京で目撃されたらしいわ」

ことり「・・・・・・」

理事長「コンビニの監視カメラに貴方の姿が映ってたの」

理事長「でもその時間、貴方もA0-01 001も、私と一緒に研究所に居た」

理事長「残された可能性は一つ」

ことり「・・・・・・」

理事長「孤児院の児童を殺して行方不明になり、いつの間にかCIAにいた」

理事長「行方不明になってから10年。今更何のために戻ってきたのかしらね?」

ことり「・・・・・・あの負け犬か・・・」

・・・・・・

親鳥製薬 社長室

ピッポッパッ プルルルル

CIA「任務成功だな。よくやった」

あやり「うん。余裕だったよ」

CIA「早くこっちに戻ってこい。次の任務がある」

あやり「いや、戻らない」

あやり「なんで私がわざわざこの場所の任務を選んだのか」

あやり「正直私にとってあんた達なんかどうでもいい」

あやり「私の気が変わるまであんた達とは縁を切る。さよなら」

CIA「何を言って

ピッ

あやり「よっし・・・」

あやり「・・・・・・」

ことり『できたー!』

あやり『ことりちゃんすごーい!』

ことり『あやりちゃんは?』

あやり『えっと・・・うんと・・・』

あやり「・・・・・・」キョロキョロ

ことり『こっちだよあやりちゃん!』

あやり『まって・・・まってよことりちゃん・・・』

あやり「・・・・・・」ギリ

あやり『えーん・・・うぇ~~ん・・・』

理事長『こらことり!どうして独り占めするの!?』

ことり『あやりちゃんが悪いんだよ!ことりに勝てないから貰えないの!』

あやり「早く会いたいよ・・・ことり・・・」

あやり「せっかくここに帰ってきたんだ・・・貴方に会うために・・・」

あやり「早く見せたいよ・・・昔とは違う私を・・・」

あやり「んっ・・・?」

防犯カメラモニター「・・・・・・」キョロキョロ

あやり「・・・明らかに怪しい・・・」

あやり「っていうかここに来る!?」サッ

ガチャ バタン

真姫「はぁ・・・!」脱ぎ脱ぎ

真姫「ああ暑苦しい!もういや!」

真姫「どうしてここの人たちはあんな宇宙人みたいな格好で仕事できるのよ」

真姫「・・・私、工場勤めなんて絶対無理ね」

真姫「さーって・・・本題に入りましょう・・・」

真姫「理事長の残した最終兵器・・・いったい・・・」

あやり「・・・・・・」

あやり(西木野真姫・・・)

あやり(どうやら幸運の女神さまは私についているみたいね)

ガサゴソ・・・ガサゴソ・・・

真姫「・・・・・・」

真姫「・・・そもそも、最終兵器とか言われても・・・」

真姫「それが物体なのか気体なのか、人なのかなんなのか・・・」

あやり「真姫ちゃん♪」

真姫「!!?」ガバッ

あやり「ふふっ♪」

真姫「こ、ことり!?」

真姫「貴方、どうしてここに・・・」

真姫「ん・・・?ことり・・・?」

あやり「・・・?」

真姫「貴方、私よりでかかったっけ?」

真姫「胸も・・・あれ?すっごい巨乳じゃない?」

真姫「ボンキュッボン・・・ん?本当にことり?」

あやり「真姫ちゃんぎゅー!」ギュー

真姫「なっ、ことり?どうしたの?」

あやり「ぎゅーーー!」

真姫「ちょ・・・色々当たって・・・」

ギチッ!

プルルルル

ことり「真姫ちゃん?テレビ電話なんて珍しいな・・・」

ことり「もしもし?」

真姫『ガボガボガボガボ!!』

ことり「真姫ちゃん!!?」

真姫『がっは!ゲホゲホ!』

ことり「どこにいる!?どこにいるの!?」

真姫『ハァハァ!ガボボボ!』

ことり「電波をジャックして・・・!」

ことり「見つけた!すぐ近くだ・・・!」

ことり「待ってて真姫ちゃん!すぐに行く!」

真姫「はぁ・・・!はぁ・・・!」

あやり「あれあれ?もう限界なの?」

あやり「その程度だったなんて、がっかりだよ」

真姫「ガボガボ!!ガボ!!」

あやり「弱い者に興味はない、そのまま死にな」

ガンッ!!ガンッ!!

あやり「おっ、来たみたいだね・・・」

ドガッ!!

ことり「真姫ちゃん!!」

あやり「はははははっ!」

あやり「やぁことり!久し振りね!私のこと覚えてる?」

あやり「10年ぶりかな?私があんたにどれだけ会いたかったことか・・・」

すっ

あやり「たの・・・えっ」

ことり「真姫ちゃん!!」

バシャ!

ことり「真姫ちゃん!!真姫ちゃん!!」

真姫「」

ことり「起きて!!どうしたの起きてよ!!」

真姫「」

ことり「手遅れになる前に・・・!」

ことり「いち!に!」トン!トン!

ことり「真姫ちゃんお願い死なないで・・・!!」

真姫「」

ことり「すぅぅぅーーー・・・」

ことり「コォォォォォォ・・・」

真姫「」

ことり「グスッ、やだ、やだよ・・・お願い・・・」トン!トン!

あやり「・・・・・・」

ことり「すぅぅぅーーー・・・」

ことり「ハァァァァァァ・・・」

真姫「」

ことり「真姫ちゃん真姫ちゃん・・・起きてよ・・・!」

あやり「そんなに大事?」

あやり「私に背を向けて、そんなことしてたら一瞬で殺されるってわかるでしょ?」

ことり「真姫ちゃん・・・!」トン!トン!

あやり「・・・・・・」

ことり「すぅぅぅーーー・・・」

あやり「ぅああ!!」

バキャ!!

ことり「あああ!!!ゲッホゲホ!ぉえっ!あは・・・!は・・・!」

あやり「ムカつくのよ!!!」

あやり「友達?絆?それがなんだって言うの!!!」

あやり「そいつは弱いから!!!だから死にかけてるんだ!!!」

あやり「自分を守るのも、人を守るのも、力が全て」

あやり「両親が私達に残したもの。これさえあれば、他に何も必要ない」

あやり「違うの!!?ことり!!!」

ことり「すぅぅ・・・!!ゲホゲホ!!」

ことり「すぅぅぅーーー・・・」

ことり「ハァァァァァァ・・・」

真姫「!!」

真姫「ん!ぶふっ!ゲホ!ゲホゲホッ!!」

ことり「真姫ちゃん!!」ギューー!

ことり「良かった・・・よかったよかったよかった・・・」

あやり「うざい!!!」

バシッ!!

ことり「らぁぁ!!!」

バキッ!!

あやり「うっふ!!」フラ

ことり「・・・・・・」

あやり「ふふ・・・ふ・・・」

あやり「やっとやる気になった?」ニヤ

ことり「・・・・・・」

あやり「ふふ・・・待ってたよ、その顔を・・・」

あやり「仲良しなんだね。西木野真姫のことになるとすぐに本気の顔が見れる」

ことり「・・・・・・」

あやり「いい表情だねぇ・・・我が妹ながら見惚れちゃうよ」

あやり「こ~んな美形な子に好かれるなんて、西木野真姫も幸せ者だね」

ことり「それがどうしたの?」

ことり「死にたいんなら、さっさとかかってきなよ」

ことり「結果は見えてるでしょ?」

ことり「昔みたいになる」

あやり「何年前の話をしてるのよ」

あやり「あの頃の私とは違う」

ことり「・・・私もさ」

ダンッ!!

ガッ!ガッ!

拳が交わりあう

可憐な二人の少女から、見た目にそぐわない殺気と攻撃が飛び交う!

ことり「ぅぅぅやあああ!!!」

ことりから放たれた右ストレートがあやりの顔面を襲う!

あやり「ふっ!!」

衝撃で倒れる!

おっぱいが揺れた

ことり「そんな余計なもの付けてるから、動きが鈍いんじゃないの?」

あやり「女としての武器は私のほうが持ってるってわけね」

ことり「ちっ」

あやり「でも、私はこの重りを付けてても十分俊敏に動けるよ」

あやり「比べて見ようか?」

ことり「・・・いいよ、やってやる」

あやり「ふふ・・・」ニヤ

あやりは拳を構え、小刻みにステップを踏み出す

おっぱいが揺れる

あやり「シュッ!シュッ!シッ!」

ことり「てっ!うぅ・・・!くっ・・・!」

激しい猛攻にことりは攻撃に手を回せない

鋭さのある拳が無数にことりを襲う!

あやり「私は過酷な生活の中で、様々な人間に出会った」

あやり「師からの教え、見よう見まね。手段は様々だけど、ありとあらゆるバトルスタイルを手に入れた」

あやり「これが、ボクサースタイル」

バキッ!!

ことり「うぶっ!!」

ガードしていたことりの両腕をぬって鼻に拳が突き刺さる!!

あやり「シッ!シッ!」

ボキッ!!バキッ!!

一度ガードを崩されると立て直しが利かない!

鼻、頬、腹、腕、徹底的に鋭い拳が襲いかかる!

ことり「あぐっ・・・!!くっ・・・!」

ことり(鼻が・・・!)

サワッ

ことり(ま、曲がって・・・)

ブババババ!!

ドバドバドバドバドバドバドバドバ!!

ボタボタッ!ボタッ!ボタッ!

異常なほどの血。これが全て、鼻から流れている

急所を突かれ、血を見たショックもありことりは戦意を失いかける

ことり「きゃ・・・」

あやり「これが、ムエタイスタイル」

ズドッ!!!

ことり「・・・!!!!」

全体重を掛けた脛蹴り

ことりは声にならない苦痛を上げる

これが一度だけだったらどれだけマシだったろうか

ズドッ!!!ズドッ!!!

バキバキバキッ!!!

堪らず膝をつく

あやり「どうしたの?それで本気?」

あやりは立ち膝状態のことりの顔面に向かって飛び膝蹴りを見舞う!

ことり「ううぅぅぅあああああああ!!!!」

ドサッ!!

あやり「これは、喧嘩スタイルかな?」

仰向けに倒れていることりの顔面に、無情なる三段追い打ちを掛ける!

あやり「だんっ!!」

あやり「はぁぁぁいいいい!!!!」

あやり「ぃぃいいいいやああああああ!!!!!」

顔面を踏み付け、既に失いかけている戦意を完全に喪失させる!

次は前髪を掴み地面に脳を叩きつける!

シメにことりの右目の横辺りをサッカーボールのように思い切り蹴り飛ばす!

そう、龍が如く5風追い打ちの極みである!!

ことり「ぁ・・・・・・か・・・・・・」

今のことりは息をするのもやっとの状態

地獄の苦しみの中でもがいている

真姫「うそ・・・・・・うそよね・・・・・・?」

真姫「あのことりが・・・・・・負ける・・・わけ・・・・・・」

真姫「夢よ・・・・・・こんなの・・・・・・」

あやり「・・・・・・」

あやり「違う・・・」

あやり「私の求めていたことりは、KONNANじゃない」

あやり「出直すよ。フェアじゃない、一発不意打ちしちゃったしね・・・」

トコトコトコトコ・・・

ことり「ぅぅ・・・・・・」

真姫「なんなの・・・・・・?」

真姫「なんなのよ・・・あいつ・・・・・・」

・・・

ことり「んっ・・・」

真姫「ことり!」

ことり「まき・・・ちゃ・・・」

真姫「よかった、もう大丈夫よ、安心して」

ことり「んっ・・・いった・・・」

真姫「鼻も全部、私達が打った薬が治してくれたみたい」

真姫「足なんかぐにゃぐにゃになってて・・・もうホントに死んじゃったのかと思ったのよ?」

ことり「・・・何時間逝ってた?」

真姫「12時間ね」

ことり「そんなに・・・」

真姫「ところで、なんなのよあいつ・・・」

真姫「すっごい強かった・・・まさかことりが負けるなんて・・・」

真姫「っていうか、あいつはことり?見た目が同じだったけど・・・」

ことり「南あやり」

ことり「私の正真正銘双子の姉」

真姫「双子だったの!?」

ことり「あいつは私と違って出来損ないだったんだ」

ことり「6歳の時、家から追い出された」

真姫「ん?ん?」

ことり「あやりは天才揃いの南の家系に泥を塗るような出来損ないだったんだ」

ことり「勉強も運動も全て妹の私に取られて、南家に不要だと認定された」

ことり「それで、孤児になったんだ」

真姫「意味わかんない」

ことり「そういう家系なんだよ、うちは」

ことり「いずれまた、あいつに出くわすときが来ると思う・・・」

ことり「その時は絶対・・・叩きのめす」

ことり「ところで真姫ちゃん。親鳥製薬で何か見つかった?」

・・・

数日後

あやり「・・・・・・」コソ

ことり「海未ちゃん・・・ナイスすぎるよ」

あやり「ことり・・・あんだけボコったのに、もう元気そうにしてる・・・」

あやり「全治3ヶ月は優に超すほどの怪我を負わせたのに・・・」

あやり「・・・なによ・・・」

あやり「これが、私と貴方の違いってこと?」ギリ

あやり「・・・ムカつく・・・」

あやり「憎い・・・憎いよ・・・」

海未『国会議事堂の側面・・・ちょうどここに秘密の入り口があります』

理事長クローン「死になさいことり!」

あやり「お母さんのクローンか・・・」

あやり「流石天才、やることが違うよ」

??「南ことり、抵抗するな」ジャキ!

あやり「おぉう、びっくりした」

軍隊「両手を後頭部で組め」

あやり「やだ」

バキャ!!

銃を構えている軍人の顔面に、その銃を捻じ込む!

あやり「甘い」

腰に隠していた二丁拳銃で他の軍人を撃ち殺す!

バタッバタッ

あやり「ふんっ」

あやり「元軍人を舐めないでよ」

国会議事堂地下研究所

理事長「ことりめ・・・必ず殺してあげる」

スッ

ガシッ!ググググ・・・

理事長「あごっ!!・・・かっ・・・はっ・・・」

バタッ

あやり「・・・・・・」

理事長「こ、ことり!?」

パァン!!

理事長「ああああ!!!」バタッ

あやり「双子だからって実の娘を間違えるなよ」

あやり「・・・凄い研究所ね・・・」

あやり「『リペア剤』・・・そうか、これでことりは・・・」

プスッ チュー

あやり「っ・・・」

あやり「ことりにできて、私に出来ないわけがない」

あやり「さぁて、ことり達が暴れてる間に私はもっと有益になるものを探そう」

・・・

衛星攻撃から8日目

海未「ただいま」

穂乃果「おかえりなさい!」

凛「おかえりー!」

花陽「おかえりなさい。調子はどう?」

海未「ええ。痛みもだいぶ引いてきました」

穂乃果「よかった・・・海未ちゃんが元気に戻ってくれて・・・」

海未「みんなには随分心配を掛けてしまいましたからね・・・すみませんでした」

海未「まだ通院は必要ですが、回復は時間の問題とお医者さんもおっしゃっていました」

海未「それより、にこは?」

穂乃果「にこちゃん・・・まだ良くならないんだよね」

海未「心配です・・・もう何日も経ってるのに・・・」

海未「やはり、もう一度お医者さんに見てもらいましょう」

ガチャ

ことり「みんな」

穂乃果「こ、こと・・・!」

ことり「シッ!」

ことり「大声出すと、居場所がバレちゃう」

海未「ことり・・・」

穂乃果「こ、ことりちゃん・・・」ヒシッ

穂乃果「ぅぅ・・・心配したんだよことりちゃん・・・」ポロポロ

ことり「穂乃果ちゃん・・・ごめんなさい、心配かけちゃって・・・」

海未「ことりどうして・・・?」

ことり「ひとつだけ、どうしてもお願いしたいことがあって」

ことり「海未ちゃん、これ、預かっててくれないかな?」

海未「DVD?」

海未「真姫ちゃんへって・・・直接渡しては?」

ことり「ううん。海未ちゃんから渡して欲しいんだ」

海未「・・・意味があって、私へ?」

ことり「・・・うん・・・」

海未「わかりました。預からせてもらいます」

ことり「こっちはどう?何も問題ない?」

穂乃果「ことりちゃんこそ・・・色々大丈夫なの・・・?」

ことり「私は何も心配いらないよ。安心して穂乃果ちゃん♪」

りんぱな「・・・・・・」ビクビク

ことり「・・・・・・」

ことり「初めまして・・・かな?」

ことり「いつも穂乃果ちゃんと海未ちゃんがお世話になってます」

ことり「わかってるよ。自分の親を殺した犯罪者が目の前にいちゃ怖いよね」

ことり「私がここにいちゃ貴方達にも危険が及ぶ。すぐに消えるから安心して」

海未「国会議事堂の事件の後、にこが病気にかかりました」

海未「彼女は何年も病気にかかってなかったのに突然・・・」

海未「医者に行っても原因不明と診断されてしまいました」

海未「今私達の問題と言えばこのくらいでしょうか」

ことり「そうなんだ・・・わかった。医者にも行って調べられる範囲で調べてみるよ」

ことり「じゃあね。また何か大きなことがあったら会いに来る」

バタン

穂乃果「ことりちゃん・・・大丈夫なのかな・・・?」

海未「ことりは強い子です。大丈夫ですよ」

凛「ねぇ・・・」

海未「凛?」

凛「・・・・・・」

海未「何か?」

凛「あ、あの・・・」

凛「ことりちゃんって・・・何者なの・・・?」

海未「・・・・・・」

凛「正直ね・・・凛、ことりちゃんが怖い」

凛「さっきも・・・威圧感っていうのかな・・・目が合って凄く怖かった」

凛「海未ちゃんと穂乃果ちゃんの幼馴染ってことは聞いたから知ってる・・・でも・・・」

凛「凛にとって・・・ことりちゃんは犯罪者なんだ・・・」

凛「海未ちゃんが・・・大怪我して家に戻ってきたことあったよね?」

凛「海未ちゃんは階段で転げ落ちたなんて言ったけど・・・」

凛「そんなわけないって・・・流石にわかってるよ!あの怪我は階段から落ちてできる怪我じゃないよ!」

凛「海未ちゃんが心配するなって言ったから・・・追及しなかったけど・・・」

凛「あれは・・・ことりちゃんが絡んでるんでしょ・・・?」

凛「少し前、海未ちゃんが外出する機会が凄く多くなった」

凛「その後すぐだよ・・・国会議事堂にビームが撃たれたの・・・」

凛「会ってたんでしょ・・・?ことりちゃんと・・・」

凛「そのあと、理由はわからないよ?本当に階段から転げ落ちたのかもしれないし・・・」

凛「ことりちゃんにカツアゲ・・・されたのかもしれないし」

凛「とにかく!あの海未ちゃんの怪我はことりちゃんが関わってたはず!」

凛「凛やだよ・・・理由はどうであれ、ことりちゃんに関わったから海未ちゃんが怪我したんだ」

凛「例えばことりちゃんに生活費をカツアゲされてたら?」

凛「例えばことりちゃんの犯罪の手伝いをさせられていたら?」

凛「そんなこと考えたら凛・・・心配で眠れないよ・・・」

凛「海未ちゃんに・・・ことりちゃんと関わってほしくない」

海未「凛・・・」

海未「心配してくれて、ありがとうございます」

海未「確かに、この怪我はことりに関連しています」

海未「貴方にとってことりは恐怖の対象でしかないと・・・わかってます」

海未「でも・・・ことりは親友なんです」

海未「確かに最初は彼女を疑いました・・・私の知らない面を、彼女は持ちすぎている」

海未「でもね、いくらことりが人殺しだろうがなんだろうが、私達は親友なんですよ」

海未「そんなことくらいじゃ、私達の絆は壊れません」

海未「それに、この怪我だって、彼女のお陰でこれだけで済んだのです」

凛「海未ちゃん・・・」

海未「凛には心配を掛けてしまうかもしれません」

海未「でも、申し訳ないですが、彼女と関わらないなんて、私には出来ないことです」

ガチャ

ことり「忘れ物しちゃった」

海未「こ、ことり?」

ことり「ふぃ~・・・疲れたよ・・・」

ことり「ソファ借りていい?」

海未「ど、どうぞ・・・?」

ことり「ふぅ・・・」ボフッ

ことり「凛ちゃんごめんね?私の事怖いかもしれないけど・・・」

凛「い、いえ・・・」

穂乃果「・・・・・・」

海未「・・・・・・」

海未「ことり、忘れ物って?」

ことり「うん。ちょっとね」

ことり「でも疲れたぁ~・・・この快適なお家でちょっと休憩させてもらえる?」

海未「・・・・・・」

ことり「ん、んん~~~~・・・はぁぁ・・・」

ことり「海未ちゃんさ、私疲れてるって言ったよね?」

海未「・・・・・・」

ことり「どうして私に銃構えてるの?」

海未「・・・・・・」

海未「確認させてください」

海未「貴方は・・・ことりではありませんね?」

ことり「・・・・・・」

ことり「ぴんぽんぴんぽーん♪正解で~す」

あやり「私はことりの姉で~す」

穂乃果「ことりちゃんに・・・お姉ちゃん・・・?」

あやり「実は、初めましてじゃないんだよ?穂乃果ちゃん」

穂乃果「えっ・・・?」

あやり「アウトブレイクが発生した直後、穂乃果ちゃんのご家族にお世話になってたんだよね」

穂乃果「えっ・・・?」

あやり「あの日ことりが早退したのは、絵里ちゃんがアウトブレイクを起こす手伝いをしてたからだよ」

あやり「あの時間、恐らくことりは絵里ちゃんと地下に潜ってたはず」

穂乃果「あの時のことりちゃんって・・・」

あやり「残念でした。人違いでした」

穂乃果「雪穂は!!?」

穂乃果「お父さんとお母さんは・・・察してる・・・二人の意志で・・・!」

穂乃果「でもお父さんは、雪穂とことりちゃんと海未ちゃんと4人でって言った!」

穂乃果「海未ちゃんはここにいる・・・!ことりちゃんも生きてた・・・!」

穂乃果「雪穂は・・・?雪穂は・・・生きてるの・・・?」

あやり「雪穂ちゃんは、意志が弱い子だったね」

あやり「立派なご両親から産まれた、ただの出来損ないだったよ」

穂乃果「どういう意味・・・!?」

あやり「助ける価値がないと思ったんだ」

あやり「死んだよ。私の目の前で」

あやり「私に助けを請いながら、泣き叫びながら、絶望した顔して」

あやり「あの子は、私が見殺しにしてやったよ」

穂乃果「うわあああああ!!!!」

あやりに襲いかかる穂乃果。だが、この二人では格が違いすぎた・・・

シュバ!グイッ!

一瞬で絞められてしまう穂乃果

穂乃果「あっ・・・!ぐぅ・・・!」

あやり「貴方は立派だと思うよ穂乃果ちゃん。ちゃんとご両親の意志が継げて、今まで生きているんだ」

海未「お願いします・・・穂乃果を離して・・・」

あやり「海未ちゃんさ、どうして私がことりじゃないってわかったの?」

海未「・・・正直、未だに信じられません・・・」

海未「貴方はことりと顔も同じ、行動も同じ、何より声まで同じ」

海未「でも唯一、体型だけ、彼女と違うように見えました」

海未「いつもより大きく感じる。それだけで疑わなくてはならなかったのです」

あやり「なるほどね・・・素晴らしいよ」

海未「貴方はどうして私達を訪ねたのですか?」

あやり「それは簡単なことだよ」

あやり「私はね、ことりの事が大っ嫌いなんだ」

あやり「それこそ、殺してやりたいくらいにね」

あやり「でもただ殺すだけじゃつまらない。殺すだけだったらいつでもできるし」

あやり「せっかくだからね、あいつを絶望の渦に落としてやりたいんだ」

あやり「自分のせいで何も悪くないみんなが死んだ」

あやり「そしたらあいつはどう思うかな?」

あやり「凄く面白いと思うんだよね」

あやり「泣いちゃうかな?叫んじゃうかな?暴走しちゃうかな?」

あやり「あいつが死ぬほど取り乱すような、それほど苦しめてやりたいんだ」

あやり「それほど奴が憎いんだ」

あやり「単純に、あの両親の娘を一目見てみたかったっていうのもあるけど」

あやり「あいつの大親友の貴方達が、無残にも殺された姿を見たら、あいつはどうなっちゃうのかな?」

穂乃果「殺しに来たの・・・?私達を・・・!」

あやり「そうだよ穂乃果ちゃん」

あやり「あぁ、可哀想な穂乃果ちゃん。貴方はことりの友達ってだけで殺されちゃうんだ」

あやり「恨むならことりを恨んでね?」

穂乃果「ことりちゃんを恨むわけないでしょ!」

穂乃果「二人の関係は知らないよ!だけど・・・貴方は勝手すぎる!」

穂乃果「貴方のわがままな欲求を満たすためにみんなを殺すなんて、そんなことさせない!」

あやり「ん~?今の穂乃果ちゃんがよくそんなこと言えるね?」

あやり「今の私なら一瞬で穂乃果ちゃんを締め落とすこともできるんだよ?」

あやり「反抗的な態度とってもいいのかな~?」

穂乃果「関係ない!」

穂乃果「貴方に屈するくらいなら・・・殺されたほうがマシだよ!」

あやり「強情だな~穂乃果ちゃん」

あやり「ところで」

あやり「私にこっそり近づいてる貴方?」

凛「!!?」ビクッ!

あやり「んふふ・・・気付かれてないと思った?」

あやり「このまま私を刺してみんなを救えると思った?」

あやり「自分がみんなの為に戦えると思った?」

あやり「クスクス・・・笑いが止まらないよ」

凛「なんで・・・」

あやり「簡単なことだよ。私にとってはね」

あやり「これだけずっと話してるんだ。声の反響を理解できるようになるのは簡単なこと」

あやり「声はこの部屋の隅々まで行き渡る」

あやり「わずかな反響の違いを感じ取れれば、物体が動いていることくらいわかるんだよ」

あやり「私にとってはね、音は十分第二の目として使えるんだよ」

凛「そんな・・・」

希「・・・・・・」

希「・・・・・・」

希(どうしょうどうしょうどないしよー!)

希(海未ちゃんが帰ってきたら押入れから急に飛び出してびっくりさせようとして、
ドラえもんが押し入れで寝てること思い出して丁度押し入れに布団が入ってるから
ちょっと横になろうかな~ってつい寝ちゃって起きてみたら修羅場になってるー!)

希(なんだか穂乃果ちゃんやばそうやし、海未ちゃん銃持ってるし、明らかにヤバい・・・)

希(ことりちゃんって穂乃果ちゃんの話だと優しい子やけど、やっぱりあれが本性ってこと?)

希(みんなを助けなきゃ!うち含めて!)

希(どうしょうどうしょう、うちに出来ることは・・・?)

あやり「さぁて、仲良くおしゃべりするのもそろそろ終わりにしようかな?」

穂乃果「・・・!」

あやり「みんなどうやって死にたい?なるべく惨たらしい死に方してほしいんだよね」

あやり「どうしよっか穂乃果ちゃん?」

あやり「指をね、一本一本折っていくのもいいし」サワサワナデナデ

穂乃果「ひぅ・・・!」

あやり「顔に針を刺していって血だらけにするのもいいし」クス

海未「やめて・・・お願いやめてください・・・」

あやり「恨むならことりをって言ったでしょ海未ちゃん」

あやり「ことりを絶望させるために、犠牲になってよ海未ちゃん」

「もしもし!」

あやり「・・・!?」

「ことりちゃんが・・・!」

ガチャ!

希「南ことりが家にいます!」

グイッ!!

希「きゃああ!!!」

携帯「その声は東條希さんですね!?」

携帯「わかりました!直ちに向かいます!落ち着いてください」

あやり「そんなところに居たんだ。失敗失敗。お喋りに夢中になって気付かなかったよ」

希「やっやっ・・・お願い命だけは・・・」

あやり「随分面倒なことしてくれたみたいね?死にたいの?おっぱいちゃん」

希「お、おっぱいはそちらのほうが大きいかと・・・」

あやり「・・・・・・」

ドスッ!!

希「うぶっ!!・・・お・・・こ・・・・・・」

希「い、き・・・・・・で・・・・・・こ・・・・・・」

ウゥゥゥゥン!ウゥゥゥゥン!

「南ことり!大人しく投降しなさい!ここは包囲されている!」

あやり「あぁあ、せっかくのお楽しみタイムが・・・」

あやり「運がよかったねみんな。でも、勘違いしないでね」

あやり「貴方達を出汁に使いたいって気持ちはなくなってないからね」

あやり「それじゃあ、ばいば~い♪」

バリーン!!

穂乃果「希ちゃん!」

海未「希!」

希「かふっ・・・か・・・・・・あ、あ・・・・・・」

穂乃果「息ができてない!」

「大丈夫ですか!」

「お怪我は!?」

海未「お医者さんはいらっしゃいますか!?けが人は彼女だけ!」

「園田さん、高坂さん」

穂乃果「刑事さん」

「やっぱり・・・ここに来たか、南ことり・・・」

「貴方達の居場所はもう彼女に把握されてます。もうここも安全ではありません」

「いつ、彼女が襲ってくるかわかりません」

「僕は貴方達が安全であることをなによりも優先したい。そこで・・・」

「新しい入居先を、紹介したいんです」

海未「入居先?」

ことりの姉を名乗る彼女が襲ってきて、家は警察で完全に包囲されました

私達が音ノ木を脱出した頃からお世話になってる刑事さんに勧められて、私達はここを出ていきます

ボルト・・・地下の巨大シェルターになっていて、核兵器の衝撃にも耐えることができる施設

私達はそこに移住することになりました

でも、この事を貴方達に伝えることができません

私達の連絡手段は限られすぎています

移住することも、支援することもできなくなってしまいますね

本当に申し訳ございません

私達はこのボルトで、必ず楽しい生活を送って見せます

だから貴方達も、どうか、幸せに生きてください

・・・このメモを、貴方達に見せる手段もありませんが

どうか、幸せに・・・ことり、真姫

数日後

あやり「・・・・・・」

あやり「何処行った・・・?」

あやり「・・・・・・」

jふぉあうぃなおをえじゃえf

上官「本当にいいのか?あやり」

あやり「はい。この程度に耐えられなかったら、私には資格がないってことです」

同僚「でもお前、こいつは爆発よりも凄い衝撃だって・・・」

あやり「成功確率0%か・・・面白いじゃん」

あやり「私は何億人に一人の逸材にならなければいけない」

あやり「そうじゃなきゃ、あいつに自分を見せられない」

あやり「本当に永遠と、負けたままで終わる」

あやり「CIAに入ったのだって、軍の最新鋭の訓練で自分を鍛え、あいつに勝つため」

あやり「丸刈りにされても、風呂に入れなくても、どんなに辛くても、あいつの為に耐えてきた」

あやり「今、私の生きる意味を証明する時だよ」

上官「・・・・・・」

あやり「念のため言っておく。上官、お世話になりました」

あやり「死んでも、生きてても、もう貴方達と会うことはないでしょう」

同僚「あやり!」

同僚「絶対死ぬんじゃねぇぞ!!」

あやり「ふふっ、任せときなよ」

fじぇをあvgんをああj90@3

あやり「・・・・・・」もみもみ

あやり「・・・・・・」バイーンバイーン

テレビ「通称衛星ウイルス。本日で1万人の死者が確認されました」

テレビ「当番組の○○キャスターが亡くなられました・・・」

あやり「・・・・・・」ジーッ

あやり「シミも出来物もない・・・完璧なお尻だね・・・」

テレビ「番組の途中ですが・・・」

テレビ「殺人ウイルスが・・・」

ピッ

あやり「・・・衛星ウイルス・・・」

あやり「私もことりも、このウイルスで死ぬのかな?」

あやり「そうだね。どうせ死んじゃうよ・・・」

あやり「手遅れになる前にもう一度、会おうよことり」

あやり「私のほうが上だってこと、しっかり証明させてよ」

・・・

衛星攻撃から50日目

子供「ママ・・・ママぁ・・・」シクシク

ママ「怖くない、大丈夫よ」

子供「でも・・・でもパパが・・・」

ママ「あれはパパじゃないわ」

子供「パパがお化けになっちゃったよ・・・」

真姫「・・・・・・」

そこらを見渡すだけで、絶望した人間の顔が見られる

どこを歩いても泣き声が聞こえ、悲鳴が聞こえ、暴徒も現れた

青年「死ねよグールが!!」

女性「グールじゃないグールじゃない!!!きゃああああああ!!!」

世界は狂いに狂ってしまった

キャアアアアアアア

真姫「・・・!」

真姫(路地裏から・・・)

ソーッ

真姫(いつでも撃てる準備をして・・・)ジャキ!

真姫(太陽を遮ってて昼間なのに暗い・・・グールの可能性が高いわね・・・)

ペチャ ペチャ

真姫(地面は泥だらけ・・・まさにグールが好む場所ね・・・)

真姫「・・・・・・」チラッ

人「」

真姫(血まみれの人が倒れてる・・・それ以外に人影はない)

ペチャペチャ

人「」

真姫「これは・・・グール?」

ガシッ!!

真姫「うむっ!!?むっ!!?」

??「久し振りだね真姫ちゃん」

ドスッ!

真姫「んんん!!?・・・ん・・・」クタッ

ことり「真姫ちゃん遅いな・・・」

ことり「なにかあったんじゃ・・・」

プルルルル

ことり「・・・・・・」

プルルルル

ことり「テレビ電話・・・」

プルルルル

ことり「・・・もしもし」

あやり『やっと出た。大丈夫?もう死んだのかと思ったよ』

ことり「真姫ちゃんをどうした!!?」

あやり『安心して。真姫ちゃんには気絶させるくらいにしか触れてないよ』

ことり「十分触れてるよ!」

あやり『今私がどこにいるかわかる?』

ことり「もったいぶってないでさっさと教えろ!」

あやり『あははは!態度でかいよことり』

あやり『UTX高校って凄いねぇ・・・こんなのお嬢様学園だよ』

ぴっ

あやり「あっ、もう切った」

あやり「切羽詰まりすぎだよ。もうちょっと落ち着いていこうよ」

あやり「そう思わない?真姫ちゃん」

真姫「・・・・・・」

UTX前

警備員「んっ?」

ことり「・・・・・・」スタスタ

警備員「ちょっと貴方、何しにここに?」

バキャ!!

警備員「うおっ!」バタッ

ことり「これで満足?」

ことり「・・・・・・」スタスタ

屋上

チーン ウィィィン

ことり「真姫ちゃん!」

真姫「ことり!」

あやり「ようことり!早かったね」

ことり「あやり・・・!」

真姫はあやりに後ろから抱きつかれてるような状態。あやりほどの能力があれば一瞬で絞め落とされるかもしれない・・・

ことり「真姫ちゃんを放して」

あやり「そうは行かないな~」

ことり「ちっ・・・何すればいいの?」

あやり「おお、どうしたの?あんたならいきなり殴りかかってくるかと思ってたのに」

ことり「・・・・・・」

あやり「そうだよね、あの時あんだけボロボロに負けたんだ」

あやり「下手に手を出せば真姫ちゃん殺されちゃうかもしれないもんね」

あやり「利口だねことり」

ことり「うるさい。さっさと放せよ」

あやり「もう・・・不機嫌なんだから」

あやり「いや~、前の時はなんだかんだ挨拶もなかったけど」

あやり「本当に久しぶりだねことり!10年ぶりだよ!」

あやり「あの頃と比べるとお互いでかくなったね~」ホロリ

あやり「昔は身長も負けてたけど今は私のほうが上かな?」

あやり「喧嘩してもいっつも負けてたけど、今の私はどう?強くなったでしょ?」

ことり「黙ってよ」

ことり「私はあんたと慣れ合うつもりなんてない。話があるならさっさと終わらせて」

ことり「私のこと殺したいんでしょ?さっさとかかって来なよ!」

あやり「・・・はぁ・・・」

あやり「ねぇ・・・ことり・・・」

あやり「つまんない。つまんないよあんた」

あやり「確かに真姫ちゃん人質に取られて焦る気持ちもわかるけど、今はゆっくりお話しようよ」

あやり「大丈夫だよ。別に真姫ちゃんを殺そうとなんて微塵も思ってないよ?」

ことり「そういう問題じゃない!」

ことり「いいから開放してよ!用事があるのは私でしょ?真姫ちゃんを巻き込まないで!」

あやり「真姫だけに?」

ことり「ちっ」

あやり「ほぉらダメよ?女の子が舌打ちなんてしちゃ」

ことり「あんたとゆっくり話してるほど暇じゃないんだよ。さっさと終わらせて」

あやり「・・・なんかムカつく~。まだ下に見られてるみたい」

あやり「そっかそっか。そうだよね、今大流行の病気を治すために必死だもんね」

あやり「学者は忙しいねぇ~・・・10年ぶりに再会した姉妹とお話する暇もないんだね~」

ことり「いい加減にしてよ、話すつもりはないって言ってるの」

ことり「あんたの為に割く時間なんて一秒たりともないんだよ」

ことり「どうせ喧嘩でしょ?さっさと終わらせてよ」

あやり「・・・はぁ・・・」

あやり「つまんない。本当につまんない」

あやり「失望したよことり。あんたはそんなんじゃないと思ってた」

ことり「あんたに失望されたってどうでもいい」

ことり「来ないの?だったら私から行くよ?」

あやり「来れないでしょ?」

あやり「だって動いたら真姫ちゃん絞め落とされちゃうかもしれないもんね~?」

ことり「・・・・・・」ジッ

真姫「・・・・・・」ジッ

真姫(伝わるわことり・・・こいつにバレないように太もものナイフで・・・)

真姫(一刺ししたらあとはことりがこいつを・・・!)

あやり「・・・ふふ・・・」

あやり「いや~それにしても感動だよね~。10年ぶりだよ10年ぶり」

あやり「あの頃はまだ小さかったのにな~」

ことまき(今だ!)

真姫「・・・!」スッ!

バシッ!

真姫「・・・!?」

ことり「っ!」

あやり「んっふふふ♪」

ボキボキッ!

真姫「あああ!!」

スルッ

ことり「真姫ちゃ・・・!」

あやり「やっと出してきたね太もものナイフ」

あやり「ねぇ真姫ちゃん。これで一本取れるつもりでいた?」

あやり「相手を見なよ。あのことりのお姉ちゃんだよ?」

真姫「ぐぅぅ・・・!くっ・・・!」

あやり「まぁ安心して。さっきも言ったとおり真姫ちゃんを殺すつもりはないから」

真姫「く、そっ・・・!」

あやり「でも、ことりの態度があんまりにも気に入らなかったら、目の前のおもちゃを壊しちゃうかもね~?」

ことり「・・・っ」

あやり「決めたよことり。あんたにやってほしいこと」

あやり「ゆっくりお話する気はないんだよね?だったら別のこと」

あやり「この間ことりをボコボコにして、でも私は何故か満たされなかったんだ」

あやり「昔からずっと負けてて、やっと勝てたのにどうして?」

あやり「私は思ったんだ。あんたに対する個人的な恨みは一度喧嘩で勝っただけじゃ解消されない」

あやり「もっと、徹底的に、あんたに、地獄に落とされるような絶望を与えて、圧勝したい」

あやり「そうすれば私は満たされるかもしれない。そう思うの」

あやり「だからこれから、あんたを徹底的に負かす」

あやり「そーだな~・・・このまま真姫ちゃんを瞬殺しても面白いと思うけど・・・」

真姫「っ・・・!」

あやり「ふふっ、怖い?私が口だけじゃないってわかってもらえた?」

あやり「太もものナイフなんて一瞬で見抜いたよ?まだ慣れてないのかな?よそよそ動いてた」

あやり「服の内側のホルスターはダメだよ、ふふ、丸っきり浮き出てるよ?」

真姫「いつの間に・・・!」

あやり「この銃、ちょっと改造されてるみたいだね?左手じゃないと撃てなかった」

あやり「こんな変なクセつけたのはことりかな?」

ことり「・・・・・・」

あやり「わかった?今の私に抵抗したらどうなるか・・・」

あやり「そうねぇ~・・・せっかくだしこの真姫ちゃんのナイフを使ってあげようか?」

ピトッ ナイフを真姫の胸に当てる

真姫「あっ・・・」

ことり「やめて!!」

あやり「動くな!」

ことり「・・・っっ」

あやり「ふふ、動いたらね、ナイフが真姫ちゃんの体内に沈みこんじゃうよ?」

あやり「刺したら鍵穴を回すようにグリッ!っと回してから抜くんだ」

あやり「真姫ちゃんはあまりのショックな光景に痛いとは微塵も感じない」

あやり「驚いた眼で、今更ながらの命乞いをするけど、それはもうたかが今更」

あやり「死ぬ寸前、一瞬だけ息ができない苦しみを感じるんだ」

あやり「でもすぐに、苦しみよりも大きな衝撃がやってくる」

あやり「目の焦点が合わず、身体が動かない。貴方は人間ではなくなってしまう」

あやり「最後に目にするのは絶望したことりの顔かな?何もできず、パタリと倒れてしまう」

あやり「私のせめてもの優しさだよ。苦しむ時間を与えない」

あやり「人間の身体の事はよ~く知ってるんだ。そのほうが殺しやすいからね」

真姫「はぁ、はぁ、かっ、はぁ」

真姫「やめて・・・やめてお願い・・・」

あやり「真姫ちゃんが殺されないために、どんなことでもしなきゃいけない。これはわかったよね?ことり」

あやり「よ~し、喋ってるうちに思いついたよ、やってほしいこと」

あやり「残虐でも良かったけど、別の視点でいこうかな」

あやり「あんたに屈辱を与える、ことり」

あやり「今ここで、土下座してよ」

あやり「ビルの屋上で、大好きな真姫ちゃんと実の姉の前で」

あやり「地に顔面擦りつけて」

あやり「今までの私への無礼を全て謝罪してもらおうか」

あやり「私さ、今まであんたに謝られたこと、一度もない気がするんだよね」

あやり「日常的に私にちゃんと謝っておけば、そもそもこんな関係にならなかったかもしれないしね」

あやり「あんたはホントの意味で殺すだけじゃなく、社会的にも殺してやろうかと思ったけど」

あやり「あんたから謝罪の言葉も聞かずに殺すにはどうも腑に落ちない気がするんだ」

あやり「まずはしっかり謝ってからね、それからいろんな意味で死んでもらおうと思う」

あやり「まずは第一歩目だよ。どう?悪くないでしょ?」

ことり「・・・・・・」

ことり「・・・一つだけ・・・」

あやり「ん・・・?」

ことり「あんたに従えば、真姫ちゃんを解放してくれる?」

あやり「もっちろん。もう付けちゃったけど、傷一つ付けるつもりはないよ」

ことり「そう・・・」

ことり「わかった。それだけ約束してくれれば、他はどうでもいい」

ことり「・・・・・・」ストッ

ペタッ・・・ペタッ・・・

あやり「ねぇねぇ真姫ちゃん、すっごく楽しみじゃない?」

あやり「あの南の家庭で愛情たっぷり育てられたことりの全力の土下座が見れるんだ」

あやり「これはハードルが上がっちゃうねぇ~?」

真姫「・・・っ」

ことり(屈辱なんか、別に感じない)

ことり(あやりは腐っても私の姉妹だ。大事なことに関して嘘はつかない)

ことり(真姫ちゃんを解放するため、私がせめてやれることをやればいい)

足の甲を地に着け、綺麗な正座を

肘は膝の隣辺りに地に着け、腕はそのまま真っ直ぐ前に

ことり「申し訳ありませんでした」

おでこは地面から1cmほど離し

何の不可もない。これぞまさに謝罪の女王の全身全霊の謝罪を

あやり「ぶふっ!・・・ぷぷ・・・」

あやり「どう真姫ちゃん?」

真姫「・・・・・・」

あやり「予想以上に綺麗な型・・・クス」

あやり「もっと近くで見てみよっか」

トコトコ

あやり「わぁ~、近いとより笑いが・・・」

あやり「ことりミニスカだからさ、膝とか思いっきり地面に付けてて汚いなぁ」

あやり「私がいいって言うまで動くなよことり?」

ことり「・・・・・・」

あやり「う~ん、あっ、パンツピンクなんだ」

あやり「今更だけど、白い服似合ってるね。汚れが目立ってより面白くなりそう」

真姫「・・・・・・」

あやり「うん、やっぱ正面から見るのが一番誠意が伝わってくるね」

ことり「・・・・・・」

あやり「さぁて、今でも十分面白いけど、もっと面白くしてあげよっか」

あやり「よっと!」

ゲシッ! ゴチン!

ことり「いうっ!・・・っっ」

あやり「あっははははは!!ちょっと地面から頭離してたからね、痛かったでしょ?」

あやり「あぁぁ~もう最高!ことりの頭ってすっごく踏み心地がいいね♪」グリグリ

ことり「いっ・・・」

あやり「私と同じことりの明るい髪が、きったないヘドロの上を歩いてきた私の足に汚されてる」

あやり「ふふ!ふふふ!あぁ面白い!」

あやり「真姫ちゃん見て!ことりの綺麗な髪の毛を泥で汚してやったよ!」

真姫「っ!」プイッ

あやり「どうしたのさ真姫ちゃん!こーんなに面白いのにどこ向いてるの?」

あやり「踏んでわかった。良い頭の形してるねことり」

あやり「ねね、真姫ちゃん肩貸して」

真姫「・・・?」

あやり「よっ!」

ことり「うぶっ・・・ぶ・・・」

あやり「乗れたー!ことりの頭の上乗れたー♪」

あやり「う~ん、なんかこう、ゴリゴリするの面白い」ゴリゴリ

ことり「ぶっ!・・・ぐっ・・・」

真姫「やめて・・・」

あやり「地面にキスする感覚はどうことり?地面さんはすっごく喜んでるよ!」

あやり「あっ、いいことおもいついた~~♪♪」

あやり「ほっ!」

あやり「出来ました!ことりの頭の上でバレエのアラベスクのポーズ!じゃじゃ~ん!」

真姫「やめて!!」

あやり「んっ?」

真姫「もう、私を殺してもいいからやめて・・・」

真姫「もう見てられない・・・ことりをいじめないで・・・」

あやり「うん・・・」ストッ

あやり「ことりにとって最優先は真姫ちゃんだよ?真姫ちゃんが殺されないためにことりはここまでやってるんだ」

あやり「それに、やり方は違えど私ってさんざんことりにいじめられてきたからね、そのお返しでもあるし」

あやり「う~ん・・・」

あやり「ねぇ真姫ちゃんさ、今度は真姫ちゃんがことりの頭踏んでよ」

あやり「どうかな?そうすればすっごく面白そうじゃない?やってほしいな~」

真姫「そんなこと出来るわけ・・・!」

ことり「真姫ちゃん」

ことり「従って」

真姫「ことり・・・!」

ことり「お願い」

あやり「わからないかな真姫ちゃん」

あやり「私は真姫ちゃんを人質にしようとしてるけどね、このままことりを人質にすることもできるんだよ?」

あやり「私が本気で踏めばことりは脳みそばら撒いて死ぬよ?」

あやり「真姫ちゃんのせいでことりが死んだら・・・どうかな?」

真姫「・・・っ」

ことり「大丈夫」

ことり「真姫ちゃんに踏んでほしいって、いつも思ってたし」

あやり「ぶふっ!何それあはは!踏んでほしかったんだことり!」

ことり「今は・・・従って、真姫ちゃん」

真姫「・・・・・・」

真姫「・・・」

真姫「ごめんなさい、ことり」

フミッ

あやり「あっっっはははは!!!!」

あやり「何この絵!さいっこう!!」

あやり「もうだめ笑いが堪えられないよぉ!」

あやり「最高ことり!あんたは地面以下!土以下!ゴミ以下!価値がないから踏まれてるんだよ!あはは♪」

ことり「ねぇ・・・あやり」

あやり「んっん~♪」

ことり「こんなことして、満足?」

あやり「・・・!」

fhのいあじぇ3@q29j

幼稚園生「今日絵の発表の日だよ!」

幼稚園生「みんなどんな絵描いたの~?」

幼稚園生「私恐竜書いたの!ブフォー!」

幼稚園生「ことりちゃんはどんな絵描いたの?」

ことり「ことりは、可愛いひよこさん書いたの!」

幼稚園生「ことりちゃんの絵上手だから楽しみ!」

ことり「えへへ~♪」

あやり「・・・・・・」

先生「はーいみなさん、発表しますよー!」

幼稚園生「わーいわーい!」

先生「それでは、どうぞー!」

幼稚園生「これお前が描いた奴だろ!だっせー!」

幼稚園生「わーこの絵上手ー!」

幼稚園生「ことりちゃんが描いた奴どれ?」

ことり「えぇーっと・・・あ、あった♪」

みなみあやり

ことり「えっ・・・?」

幼稚園生「わー!あやりちゃん絵上手!」

幼稚園生「可愛いひよこちゃんの絵だー!すごーい!」

すごいすごーい!可愛い!上手!

あやり「えへ・・・えへへ♪」

ことり「・・・・・・」

あやり「うふふ・・・みんなに褒められちゃった♪」

ことり「あやりちゃん」

あやり「あっ、こ、ことりちゃん・・・」

ことり「あやりちゃんさ、ことりの絵、どこに行ったか知ってる?」

ことり「あやりちゃんの絵と全く同じ、ひよこの可愛く描けた絵」

ことり「ことりの絵が見つからないの。どこに行ったのかな?」

あやり「あっ・・・その・・・」

ことり「それでね、この鳥さんの変な絵が名無しのごんべえだったの」

ことり「あやりちゃんのその絵、ことりが描いたような気がするんだけど、本当にあやりちゃんが描いたの?」

あやり「あのっ・・・そ・・・」

あやり「そう・・・うん・・・これ、あやりが描いた・・・絵・・・」

ことり「そっ・・・」

ことり「ねぇ、あやりちゃん」

ことり「こんなことして、満足?」

ことり「卑怯なことしてみんなに褒められて、それで嬉しいの?」

ことり「あやりちゃんはそんなんでいいの?」

ことり「そんなことするんだったら絵の練習しようと思わないの?」

ことり「あやりちゃんはそんなんだから・・・」

ことり「そんなんだから、いつもことりに負けるんだよ」

fw2おえんfじゃ2:」

あやり「何言ってるのよことり」

パッ

真姫「あっ・・・」

あやり「ごめんね真姫ちゃん」

真姫「・・・・・・」

ことり「・・・・・・」

あやり「何言ってるの?」

あやり「こんなことして満足かって?」

ことり「あんたが昔と変わらないなら、満足なんだろうね」

あやり「そうね。昔の私ならそれで満足だったろうね」

あやり「そんな質問、答えるまでもないでしょ」

あやり「こんなことしただけじゃ・・・」

そっ

ことり「・・・!」

あやり「満足なわけないじゃない」

ブンッ!

バキャアアアア!!!

あやり「憎い!」

ことり『やった♪またことりの勝ち~!』

あやり「憎い!!」

ことり『あやりちゃん遅い~!』

あやり「憎い憎い!!くそっ!!」

ことり『だから、こうじゃないって前も教えたよ?』

あやり「ムカつく!!あああ!!!」

ことり『じゃあことりはこっちのおっきいほう!』

あやり「許さない!!」

ことり『絶対こっちのほうがいいの!こっちで決定!』

あやり「超えてやる!!絶対に超えてやる!!」

ことり『そんなんで満足?』

あやり「うだあああ!!!!!」

あやり「あんたは天才かもしんないけどねぇ!!私だって南の娘だよ!?」

あやり「産まれつきか、そうじゃないか!!」

あやり「そこだけなんだよ!!私達の違いは!!!」

あやり「教えてやるよ!!今からその身体に叩きこんでやる!!!」

あやり「平和ボケしてたあんたにはわからない!!幼いころから死と隣合わせだった!!」

あやり「私の苦しみを!!!教えてやるよ!!!」

ふぇhんくぉうぃあfbはえあ

ザーーー ザーーー

理事長「ええ。もう必要ないでしょう」

あやり「・・・・・・!」

南父「ことりだけで十分だ。あの子に割く時間はない」

南父「私はまだ研究がある。すまないがもう行く」

理事長「ええ」

あやり「お、おかぁさん・・・?」

理事長「あやり・・・」

あやり「あの、ことりちゃんがね・・・?また、あやりのおやつ・・・」

理事長「あやり、よく聞いて」

理事長「私は貴方の親じゃない」

あやり「な、何言ってるの・・・?」

あやり「お母さんも、ことりちゃんも、あやりも、みんなそっくりで、みんな家族で・・・」

理事長「言葉が足りなかったわね」

理事長「今から、私はもう貴方の親じゃない」

理事長「貴方はみなしご。私達の家族とは無関係よ」

ザーーー ザーーー

それだけ、ただ、それだけしか言われなかった

当時、まだ物心も付いてない私は、この一言で家から追い出され、孤児になった

ザーーー ザーーー

あやり「はぁ・・・!はぁ・・・!」

バシャバシャ

バシャバシャ

あやり「はぁ・・・!きゃっ!」

バシャン!

あやり「ぅぅ・・・」

あやり「・・・!」

ことり「バイバーイ♪」

友達「バイバーイ!」

ことり「う~ん楽しかった~♪」

あやり「・・・・・・」

ことりは昔から、可愛い物が好きで、かっこいい物も好きで、それを自作できた

私は昔は、可愛い物も好きで、かっこいい物も好きだったけど、見るだけだった

私達の違いはそれだけだった

あやり「・・・・・・」

ぐぅぅ~~ ぐぅぅ~~

あやり「・・・はぁ・・・」

大学生1「このチキン美味しい!」

大学生2「骨付きのって食いにくいからあんま好きじゃないんだよね」

大学生1「んっ、確かに・・・食いにくい・・・」

大学生1「もういいや、捨てちゃお」

ポイッ ボトッ

あやり「・・・!」

ダダダダ!

大学生1「んっ・・・?」

あやり「はぐっ! じゅじゅ! あぐ! ごりごり・・・」

大学生1「うぅわ・・・!マジかよ・・・!」

大学生2「マジビビった、幽霊かと思った」

大学生1「・・・・・・」

あやり「んじゅっ! ガッガッ! あんっ!」

大学生2「ヤバ、マジきめぇ・・・早く行こ」

大学生1「・・・・・・」

大学生2「なぁ、関わらないほうがいいってば」

あやり「はぐはぐっ! けほっ、ゴホッゴホ! もぐ・・・」

大学生1「・・・・・・」

ボトッ

大学生1「あぁーやべー!またチキン落としちまった!」

あやり「・・・!」

大学生1「びっくりして足が滑っちゃったー!」

グシャ!!

大学生2「何やってんだよ!」

大学生1「やべぇなこりゃ、せっかく買ったチキン踏ん付けちまったよ」

大学生1「あーあ、もったいねぇ」

大学生1「まあだけど、落としちまったもんは仕方ねぇな」

大学生1「地面に落ちて踏まれてグシャグシャのチキン。こりゃ人間が食うものじゃないな」

大学生1「精々カラスのえさにでもなればいいか?ははは!」

大学生1「行こうぜ」

大学生2「やめろよお前そういうの・・・」

トコトコ・・・

あやり「・・・・・・」

水溜りに落ちて、泥だらけ

カラスでもこんなの食べないよ

あやり「・・・・・・」

あやり「あむっ! バクバクッ! じゅぅぅ! ガッ!」

ヤベぇよマジで食いやがったよww

いや、待ってマジでヤベぇよ

あやり「あんぐっ! ずずっ! ごりごり! ぼりぼり!」

人に自分の姿を見られるのは恥ずかしかった

だけど、見られるだけなら全然マシだった

おばちゃん「ヒソヒソ・・・」

おばちゃん「やだ、しんじられない・・・」

声を掛けられたら、無意識のうちに逃げていた

女性「あの、君・・・?」

あやり「・・・!」ダッ!

痛いのが一番辛かった

悪ガキ「うわーまたこいついるぜ!」

悪ガキ「お化けだお化け!お化けを退治しろー!」

悪ガキ「マスターソード召喚!行け!バーストアタックー!」

あやり「痛い!やだ、痛い痛い!放して!」

とにかく、腹が減って死にそうだった

わざわざ『餌やり』に来てくれるあのお兄さんが、私には天使に思えた

大学生1「あー、今日はハンバーガー落としちまったー!」

グシャ!!

大学生1「たった100円だしいっか。この辺は最近ゴミが落ちたらすぐ掃除してくれる虫がいるらしいし」ニヤ

あやり「べちゃ・・・べちゃ・・・あんむっ・・・」

何で、自殺しなかったんだろう

死んじゃえば楽なのにね

ここから一歩踏み出せば、間違えなく死ねる

一歩進むだけ、それだけで楽になれるんだよ?

楽になろうよ

なんて思っていたら、また次の日になっていた

理事長「凄いわことり!よくやったわね!」

ことり「やったー!気持ちいい!」

南父「ことりはうちの誇りだな!」

ねぇ・・・どうして?

顔も同じ、声も同じ、能力だって同じ

私達は天性の才能があるかないか、たったそれだけの違いなのよ?

なのに貴方は幸せそう。幸福の塊だよね

私はどうして不幸なの?

おかしいよ、こんなの・・・

憎い・・・

ことり

貴方が憎い

そんな折

女性「なぁおチビちゃん、そんなところでどうした?」

あやり「・・・!」ダッ!

女性「まぁ待てって」ガシッ!

あやり「いや!放せ!放せよ!」ガバッ

女性「おっと!」

あやり「消えろ!」ダダダ

女性「はは、追いかけっこか~?姉さん早いぞ~?」

・・・

あやり「はぁっ!はぁっ!」

女性「はぁ・・・!はぁ・・・!早ぇもんだ・・・!」

女性「楽しかったな?お前は鬼ごっこ好きか?」

あやり「・・・・・・」

女性「ちょっとねえさんについてこいよ。美味しいご飯もお風呂もあるし、お友達もいっぱいいるぞ?」

女性「私は神楽。そこの養護施設の保母をやってるんだ」

そこは、あの頃の私にとって天国のような場所だった

お風呂に入ったら、体中の汚れという汚れが落ちた

食事は美味しすぎた

このまま一生、ここで平和に暮らしていけるのかな、そんなことも考えていた

でも、世界は甘くない

世の中、何が起こるかなんてわからないんだ

子供「」

あやり「・・・・・・」

顔が、あの時私にちょっかいを出してきた悪ガキに似てた、それだけ

私は、自分が怖くなった

無意識だったんだ

小さいとしても、それは人間の命

尊い命を、無意識のうちに壊した

この時も、私の嫌いな雨が降っていた

あやり「・・・・・・」

神楽「・・・・・・」

神楽「なぁ・・・お前に何があったんだ?」

神楽「どうして殺したんだ?教えてくれ」

あやり「・・・・・・」

ガチャ

神楽「っ!」

南父「あやり・・・」

あやり「・・・っ!」

神楽「お世話になってます・・・」

南父「ああ・・・」

あやり「どうしてここに・・・」

南父「あやり」

あやり「な、何よ!来るな!」

南父「お前に話がある」

私は父親のコネでCIAに入隊した

南家の先祖が開発した革命キット、G.E.C.K.

私は所謂モルモットとして、CIAで鍛え、実験台にされる

そう、父親の『道具』として、死ぬほどつらい訓練に臨んだ

でも、私はこれをチャンスだと思った

軍隊の最新鋭の訓練。G.E.C.K.による人体の改造

これを繰り返せば、いずれ私はことりに追いつく、いや、追い抜ける

あんたに勝ちたい。ただ、それだけを思って私は耐えた

髪を刈られ、泥沼に這いつくばって、人を殺して

耐え抜いた私は、全身にG.E.C.K.を取り入れることに成功した

背も伸びた、胸も大きくなった、理想的な体系を手に入れた

そしてなにより、強大な力を手に入れた

10年掛った。今やっと、10年間の想いをぶつけられる、その時が来た

ねぇ、ことり。私は貴方に会いたくて会いたくて仕方なかったんだよ?

あの頃から、一秒たりとも貴方を忘れることはなかった

貴方に今の私を見せたかった。強くなった私を・・・あの頃とはもう違う私を・・・

jgみw3んfg@qjふぁ

ザーーー ザーーー

あやり「凄い雨だ・・・」

あやり「そういえば、あの時も、こんな雨が降ってたかな?」

あやり「あの頃は、凄く痛かった・・・」

あやり「しずくが身体に当たる度、不安と絶望で死にたくなった」

あやり「でも今は、痛くなんかない」

あやり「寧ろ、どこか清々しい」

あやり「気持ちいいなぁ・・・」

あやり「なんだか、私の中の心の闇が、洗われていく気分」

あやり「モヤモヤが飛んでいく・・・」

あやり「10年間背負い続けたコンプレックスが、今、なくなった」

あやり「超えた・・・超えたんだ・・・」

ザーーー ザーーー

あやり「超えたんだ、ことりを・・・」

ことり「」

ザーーー ザーーー

あやり「すぅぅ・・・・・・けほっ、けほっ」

ザーーー ザーーー

あやり「・・・・・・」

あやり「ねぇことり。どうして雨が止まないの?」

あやり「どうして私は、心の底から満足できてないの?」

あやり「貴方にやっと勝てたのに・・・すっきりしたと思ったのに・・・」

ザーーー ザーーー

あやり「そっか、まだ完全に死んだわけじゃないもんね」

あやり「貴方を殺せば、この雨は止んでくれるかな?」

シャキン

あやり「じゃあね、ことり」

ガバッ!

真姫「待って!」

あやり「・・・どいてよ真姫ちゃん。貴方を殺すつもりはない」

真姫「ことりを殺すなら、先に私を殺しなさいよ・・・!」

あやり「・・・どうして?」

あやり「自分が死んでもいいからことりを守りたい。どうして?」

真姫「そんなの、決まってるでしょ・・・?」

真姫「ことりを・・・愛してるから・・・!」

あやり「あい・・・してる・・・?」

あやり「自分が死んででも、人を守りたい?」

あやり「・・・・・・」

あやり「理解できないなぁ・・・」

真姫「貴方が満足してないのは、まだことりに勝ってないから」

真姫「愛を理解できないんなら、一生ことりには勝てないわよ」

あやり「・・・そう・・・」

あやり「愛か・・・わかんないなぁ・・・」

あやり「多分理解する前に、私は病気で死んじゃうんだろうね」

あやり「そっか・・・難しいなぁ・・・」

あやり「・・・バイバイ・・・」

真姫「・・・・・・」

気絶した後、何度も顔面を殴られたことりは脳震盪を起こし、本気で死にかけた

けど、ことりの生命力とリペア剤のお陰でまたしても一命を取り留めた

人の顔とは思えないほどめちゃくちゃになった顔も、リペア剤のお陰で綺麗なあの顔に戻った

ことり「えへへ・・・強いやあやり・・・手が出なかったよ・・・はは・・・」

ことりは恥ずかしそうに笑ってた

真姫「あやりさん・・・まだ満足出来てないような・・・そんな感じだった」

ことり「もぅ勘弁してほしいよ・・・同じ顔にボコボコにされるなんて心臓に良くないね、二つの意味で」

真姫「貴方が2回も負けるなんて・・・」

ことり「あいつは元軍人だしね、私とは鍛え方が違うんだよ」

ことり「いや、ただ単純にあいつのほうが限界値が上なんだろうね。流石私のお姉ちゃん」

真姫「・・・また、あやりさんと会う気がする」

ことり「私も、あいつが満足できるまで付き合っていくんだろうなって、そんな気がする」

真姫「あやりさん・・・」

私は貴方を、救ってあげたい

貴方が満足できるように、手を差し伸べてあげたい

その後、私達は研究に没頭した

私達が犯してしまった罪を償うために・・・

でも、現実は過酷だった

生きている人は、私とことりと、グールしかいなくなってしまった

私達はグールを治す。何があっても、また世界を繁栄させる

研究を進めているうち、私達は何者かに捕えられた

元アイドルの綺羅ツバサ、こいつとの物語はまた別の話

生きている人間を見つけたんだ

私、ことり、綺羅。共通点は、リペア剤

奴のお陰で、私達が死なない理由が断定できた

もしかしたら・・・

もしかしたら、あやりさんも・・・

私達は彼女の存在を一瞬でも忘れることなく、生きてきた

そして、なんとなく・・・なんとなく、感じてくる・・・

彼女の存在を・・・

衛星攻撃から200日目。物語は動き出す

真姫「・・・・・・」

ことり「・・・・・・」

ことり「・・・ねぇ、今、同じこと考えてたかな?」

真姫「・・・どうでしょうね」

真姫「なにか、なにかわかんないけど、行かなくちゃいけない気がする」

ことり「・・・・・・」

真姫「ちょっと、出てくる」

ことり「うん、いってらっしゃい」

ことり「多分後で、迎えに行く」

真姫「待ってる」

音ノ木坂学院

真姫「・・・・・・」

真姫「・・・居るんでしょ?」

真姫「隠れてなんかないで、出てきなさいよ」

あやり「・・・・・・」

真姫「・・・あやりさん」

あやり「よくわかったね」

真姫「ことりと同じ匂いがした」

あやり「おー、匂いでわかるなんて流石・・・」

真姫「・・・話は?」

あやり「ついてきて。見せたいものがあるんだ」

研究所

真姫「ここ・・・」

あやり「南家が使ってる研究所だよ。ここは主に機械開発を専門としてるね」

真姫「実は来たことあって、思い出があるんです」

あやり「ことりに撃たれたんでしょ?」

真姫「・・・監視カメラ?」

あやり「そう。暇だったからさ~」

あやり「人類は滅亡しても私達は生きてる。これって何か運命じゃない?」

真姫「恐らくリペア剤よ。貴方も打ったんでしょ?」

あやり「うん。最初の頃は嘔吐が酷かったね」

真姫「恐らく、リペア剤には衛星ウイルスを殺す成分が含まれてる」

真姫「これで4人目。もう断定でしょうね」

あやり「すごい、学者さんみたいなセリフ」

ウィーン ガシャン

あやり「私のお父さんは昔っからこの研究所に入り浸かっててね」

あやり「先代から受け継いだ機械を完成させるために研究をしてた」

あやり「そして、完成したのがこれ」

真姫「これは・・・」

あやり「トランキル・レーン」

あやり「このラウンジのポットの中身、みてごらん」

真姫「ひ、人・・・!?」

あやり「この人たちは今、現実には生きていない」

真姫「・・・?」

あやり「ポットの中に入ればわかるよ」

あやり「さっそく、れっつごー♪」

真姫「・・・・・・」

ガチャ ウゥゥゥゥンンン

トランキル・レーン

真姫「んっ・・・?」

そこに広がっているのは、あの頃の音ノ木・・・

真姫「え・・・・・・」

少女「あっ、ねーちゃーん!ボールとってー!」

真姫「わ、私?」

真姫「はい!」

少女「ありがとねーちゃーん!」

少女「あはは!あははは!」

真姫「何よこれ・・・どういうこと?」

あやり「仮想現実世界」

あやり「ポットに入ると脳波に刺激を与えて、こんな夢のような世界に入ることができるんだ」

あやり「ポットには土壌精製装置、ポータブル常温核融合炉、植物の種子諸々がワンセットになってる」

あやり「簡単にいえば、とにかく凄い機械ってこと」

あやり「ここにいる住民たちはみんなさっき見たポットの中身の人」

あやり「今の私達もそうだけど、脳やら神経やらは全部こっちに持って来てるから、現実では仮死状態になってる」

あやり「例えばことりがポットの中の真姫ちゃんを見て、救いだそうと無理矢理ポットから出すと真姫ちゃんは死ぬ」

あやり「USBに接続した機器を通信中に外すと危ないでしょ?それと同じこと」

真姫「・・・・・・」

あやり「この空間を支配してる支配者がいる」

あやり「現実に戻りたいときはその人に言って戻してもらわないと、かなりの危険が伴われるね」

あやり「ちなみにそいつは結構酷い奴でね。ここの住民みんなおもちゃにされてるんだ」

真姫「この人たちはみんな現実に戻りたくないの?」

あやり「聞いてみれば?」

真姫「あの、すみません」

女性「はい?」

真姫「こんな仮想世界、抜け出そうと考えたことは?」

女性「仮想世界?」

真姫「支配者におもちゃにされて、こんな世界嫌じゃないの?」

女性「何言ってるのかしらこの子?」

あやり「仮想世界が完璧すぎてね。ここが機械の中だと忘れてしまうのはよくあること」

あやり「もうみんなこの世界を受け入れているよ」

あやり「支配者はこのシュミレーション装置こそが完璧な世界だと考えててね」

あやり「一応住民はここが人工的な空間だと気づいてはいるんだ」

真姫「じゃあなんでさっきみたいに・・・」

あやり「正気に戻るわけにはいかないんだよ」

あやり「ここの住民は古くて5年以上前からここで過ごしてる」

あやり「ここを故郷と、現実と思いこまないとかなりのストレスになる」

あやり「だからいくらおもちゃにされようが、受け入れなくちゃならない」

あやり「それと、ポットの機能で洗脳って言うのもあるね」

あやり「支配者の都合で現実世界で動かなくちゃならない時、おもちゃにしてた住民たちを使う」

あやり「現実の身体のほうは生命維持装置で維持されてるけど、何年も身体を動かしてない人を使えるとは思えないけどね」

真姫「ここはいわゆる支配者の庭で、住民たちはペットってこと?」

あやり「その通り、綺麗に見えるけど、かなり醜い空間だよ」

真姫「そんなところに私を連れ出して、どういうつもり?」

真姫「もしかして、貴方がここの支配者?」

あやり「違う違う。支配者は別よ?」

あやり「ただ単純に、ここでやりたいことが一つあるから」

真姫「・・・ことりと、やりあうんでしょ?」

あやり「それも一つだね」

真姫「それ以外・・・」

あやり「まあとにかく!今はごはんでも食べよ?」

真姫「ごはん?」

あやり「お腹すいてきたでしょ?ここの料理はうまいって評判なんだよ?」

真姫「いや、私はそんな気分じゃ・・・」

あやり「いいじゃんいいじゃ~ん。私、真姫ちゃんとちゃ~んとお話してみたかったし!」

真姫「・・・・・・」

トランキル・レーン 高層ビルの高級レストラン

真姫「綺麗な夜景・・・」

あやり「これが仮想世界とは思えないでしょ?」

あやり「凄い機械を開発するもんだよ、うちのお父さんは・・・」

真姫「・・・まさか支配者って・・・」

あやり「お父さんよ」

真姫「っ・・・凄い家庭よね・・・」

あやり「なに注文する?」

真姫「えっと・・・なにこれ?ナルシストリトルバード?」

あやり「チキンだよ。ナルシストな小鳥を使った料理だね」

真姫「ナルシストなことり?」

真姫「とりにもナルシストとかいるの?」

あやり「そんなもんだよ」

あやり「それ、すっごくおいしいって評判なんだ」

真姫「そうなんだ・・・」

真姫「少し前に、異常に鳥が食べたくなったことがあって、でも世界はそれどころじゃなくって・・・」

あやり「今の現実世界でお店の味は食べられないよね」

あやり「私はこれにしよ。チョロまきスパゲッティ」

真姫「・・・なんかバカにされてるような」

あやり「そんなことないよ。おいしいよ?チョロまきスパゲッティ」

真姫「・・・・・・」

真姫「んんっ・・・ふぅ・・・///」

真姫「なにこれ・・・なんだか、良い意味で身体をことりに支配されてる気分・・・」

あやり「おいしいでしょ?」

真姫「決めたわ。このお店に毎日通う」

あやり「あはは、出来るの?」

真姫「簡単よ」

あやり「そっかぁ・・・」

あやり「ここは実在しないけど、大丈夫?」

真姫「はっ・・・!」

真姫「ここは・・・そうか、仮想世界・・・!」

あやり「ねっ?いつ洗脳されててもおかしくない」

真姫「っ・・・」

あやり「・・・・・・」ズズッ

真姫「・・・・・・」

食後、アイスティーを啜るあやりさんは、さながらフランスの貴族のような美しさだった

あやり「ふぅ~~・・・滲みる~~」

真姫「・・・ねぇ・・・」

あやり「んっ?」

真姫「そろそろ、本題といかない?」

あやり「・・・そうね」

あやり「ことり、元気にしてる?」

真姫「えぇ、今は研究で手がいっぱいいっぱいだけどね」

真姫「最近あんまり睡眠もとってなくて、心配になっちゃう」

あやり「そっか~・・・頑張り屋さんだもんね」

真姫「えぇ・・・」

あやり「真姫ちゃんはさ、私がまだ満足してないって知ってる?」

真姫「えぇ、あの日から何も変わってないんでしょう?」

あやり「そうなのよねぇ・・・愛する人なんて見つからないよ、グールしか相手が居ないんだもん」

あやり「どうすればさ、私は満足できるのかわかる?」

あやり「どうすれば、ことりに勝てるのかな?」

真姫「・・・貴方前、幼少期の頃の不安をことりにぶちまけてたわよね?」

あやり「あぁ、どう思ったあれ?凄かったでしょ」

真姫「確かにね、すっごく悲惨で、辛い過去なんだってことはわかった」

真姫「だけど、貴方のそれは、私にはただの不幸自慢に聞こえてしまった」

あやり「・・・・・・」

真姫「自分は辛かった、死と隣合わせだった。お前は平和だったな、平和ボケをぶち壊してやる」

真姫「貴方がことりをボコボコにしたのは、そんな子供みたいなくだらない想いがあったから」

真姫「自分の不幸をことりに押しつけた、それだけなのよ」

真姫「見てきた不幸の数で強さが決まると思った?そんなの最初から理屈にもなってない」

真姫「貴方は自分が味わった地獄に酔っていただけ。本当の強さって言うのはそんな簡単なものじゃない」

真姫「不幸な人間はごまんと居るわ。貴方は典型的な自己中、他の人間に同じ地獄を味あわせたがってるだけ」

真姫「泥を啜った、痛い思いをした。そんな体験を人に押し付けるんじゃなくて、克服しなくちゃ」

真姫「それが本当の強さってものよ」

真姫「ことりだって、裕福ではあるけど普通の家庭じゃなかった」

真姫「幼少期の頃から銃の使い方も、車の運転の仕方も教わってた」

真姫「それは、普通の少女からしたらおかしなことよ」

真姫「普通に学校に通って、友達を作って、放課後友達と遊んで。それが普通」

真姫「普通じゃない生活を送ってたことりはこう言ってたわ」

真姫「あのころの体験があったから、今、こんな満足な生活ができてるんだって」

真姫「普通じゃないっていうコンプレックスをうまく克服したのよ、あの子は」

真姫「自分の不幸をカサに着て被害者ヅラしてるようじゃ、一生あの子には勝てないわよ」

あやり「・・・・・・」

あやり「・・・へぇ、結構言うね、真姫ちゃん」

あやり「どうする?今の発言で私が機嫌悪くして、真姫ちゃんを殺そうとしたら」

真姫「・・・なんとなく、貴方ならそんなことしない気がする」

真姫「そう思ったから・・・そんな理由よ」

あやり「そっか・・・」

真姫「やっぱり、ことりと同じ匂いがする」

真姫「双子なのね」

あやり「うん・・・」

真姫「でも、強さって言うのはそれだけじゃない」

真姫「貴方もことりも持っている、『自分自身の強さ』」

真姫「それと、もう一つ・・・」

あやり「もう一つ・・・」

真姫「私とことりが持ってて、貴方が持っていない強さ」

真姫「わかる?」

あやり「予想は・・・出来る・・・」

「はぁ・・・!はぁ・・・!」

真姫「貴方は多分、これからその強さを目の当たりにする」

真姫「楽しみにしてなさい」

ことり「真姫ちゃん!」

あやり「・・・・・・」

ことり「あやり・・・」

ことり「決着を付けようよ、あやり」

高層ビル屋上

あやり「ここなら邪魔は入らない」

あやり「やりあうには絶好の場所だね」

ことり「・・・綺麗な夜景」

あやり「ここなら気持ちよく死ねるでしょ?」

あやり「覚えてることり?よく一緒に病院の屋上で夜景を見たよね」

ことり「うん・・・」

あやり「屋上は立ち入り禁止だったのにさ、よく手をひかれて一緒に来たね」

ことり「あの頃はやんちゃだったな・・・」

あやり「昔からどんなときもずっと貴方についていくだけだった」

あやり「でも今は違う。私は強い。もう貴方を超えてる」

ことり「・・・そんなに力が欲しい?力を証明したい?」

ことり「私達が南の生まれなら、受け継ぐべきは復讐や妬みなんかじゃない」

ことり「もっと大切な・・・誇り高き魂、そのための力だよ!」

ことり「その魂が叫んでる・・・」

ことり「あやりは間違った道に進もうとしてる」

ことり「私が妹として、貴方に正しい道を教えてあげる」

あやり「ふふっ・・・悪いけど私は産まれなんか気にしたこともない」

あやり「あんたに勝つ!・・・それだけでいい」

あやり「それだけのために私は人生を捧げてきた」

ことり「・・・どうしてだろうね」

ことり「双子だってのに・・・」

あやり「・・・そうね・・・」

ことり「・・・行くよ・・・!」

あやり「ああ!」

ことり「うあああああああ!!!」

あやり「はあああああああ!!!」

ゴギャアア!!

ことり「っ!!」

あやり「ぐっ!まだまだ!」

あやりの右フックがことりの腹を襲う

ことりはその腕を両手の前腕部で受け止める

ことり「ほわぁ!」

あやり「きゃっ!」

全身を回転させあやりの顔面に蹴りをかます!

回転させた衝撃でそのまま倒れ込み、腕挫十字固を掛ける!

ここまでの動き、そう、まさに完成されし華麗なる腕ひしぎコンボ!

ギチギチ・・・

あやり「いぃぃいいっっ!! くぅぅ・・・!」

ことり「一対一の場合・・・固め技が一番強い!!」

あやり「ふぅぅ・・・!! ふんぅぅ・・・!!」

ことり「ううっ! んんぐぐ・・・!!」

あやり「ぅぅぅうううあああああ・・・!!!」

ことり「ふぐっ・・・!! んん、ああ!!」

あやり「ぶるぁああ!!!」

ズザー!

力尽くで腕ひしぎから解放されるあやり

直後、ことりの右足が顔面に襲いかかる!

あやりはその足に向かって拳を構える!

ブンッ! ブンッ!

ゴギャアア!!

ボキボキ! ボキボキボキ!!

ことり「んんんっ!!」

あやり「ああっ・・・! ぐっ・・・!」

脛と拳の力比べは相討ちに終わった

あやり「やるじゃんことり・・・!」

あやり「あれだけ鍛えた私の拳が破壊されるなんて、夢にも思わなかったよ」

ことり「いいっ・・・つぅ・・・」

脛を抑え地面を転げまわることり

脛の破壊。それは、もう今後まともに歩けないことを意味する

人間の動作ができなくなる痛みをことりは思い知る

真姫「ことり!」

ことり「真姫・・・ちゃん・・・!」

ことり「手は出さないでね・・・」

ことり「これは私とあやりの戦いなんだ・・・!」

真姫「ことり・・・」

フラッ

ことり「っとと・・・」

ブルブル

あやり「よく立ち上がったね、ことり」

あやり「根性あるよ。流石私の妹」

ブンッ!ブンッ!

ガッ!ガッ!バキッ!

あやり「うるぅあ!!」

ことり「ふっ!はぁ!」

ラッシュ!!

一撃でも喰らえば骨が破壊される

ガードしても痛みが込み上げる

一瞬誤れば即死亡

決死の殴りあい!

あやり「ほぉぉ!」

ゴギャア!!

あやり「っっっっ!!!」

ことり「あぁん!」

ことり「あいやああ!!」

バッキャア!!

あやり「うぅあ!」

ことり「はぁ・・・!はぁ・・・!はぁ・・・!」

あやり「ぐっ・・・!」

あやり「んんんのやろおおおああああ!!!」

ガシッ!

あやりのタックル!ことりは身体を持ちあげられる!

ことり「ううっ!・・・っなして!」

あやり「うあああああ!!!!」

ガサッ!!

ビルの端にぶつかる!勢い余って二人は身体を投げ出す!

ヒューーン!

真姫「こ、ことり!!あやりさん!!」

ヒューーン!!

高層ビルの屋上から落下する二人!

落下中も攻撃をやめない!

ことり「はぁ・・・!くっ・・・!」

あやり「くそっ・・・!まずい・・・!」

地面が近づき、流石に危機を覚える二人

ことり「どうすんのよこのバカ!」

あやり「死なないでよことり!こんなところで!」

ことり「落とした奴が何言ってんの!」

あやり「私のコート貸す!」

あやり「ことりはこれで何とかして!」

ことり「はぁ!?コートで何ができるの!?」

あやり「ほらっ!」

ことり「ちょっ・・・!」

ことり「こんなのもらってもこれしか・・・!」

ことりは靴と靴下を脱ぎ捨てる

そして、あやりからもらった足元まであるロングコートを着込む!

コートの端を足の指で挟み、コートを広げコウモリのように滑空する!

そう、ことりが鳥になったのだ!

ことり「あやり・・・!」

あやり(地面には車が見える・・・!)

ことり「あやり!!」

あやり「こっちは余裕よ!死ぬんじゃないよことり!」

あやり(このまま車に落ちても流石に死ぬ!)

あやり(地面に着くまでに少しでも落下の衝撃を抑えないと!)

あやり「はぁ・・・!はぁ・・・!」

あやり「うあああ!!」

ビルの壁面に手を伸ばす!

バキッ!バキバキッ!

あやり「いいいっっ!!」

あやり「死ぬより・・・!死ぬよりマシだよ!!!」

バキバキバキ!!バキバキバキ!!

あやり「んんんんん!!!!」

そろそろ地面・・・!!

あやり「はあああああ!!!!」

車へ!

あの、バンタイプの車へ!!

あやり「あああああああああ!!!!」

ガシャシャシャーーーンンン!!!!

ビューーンン!!

ことり「くぅぅ・・・!!」

ことり「頑張れ・・・!頑張れ私の足の指・・・!!耐えて・・・!!」

ビューーンン!!

ガシャシャシャーーーンンン!!!!

ことり「あやり!!」

ことり「そろそろ地面だ・・・!!」

ことり「どうする・・・!?どうやって着地する!?」

ことり「考えてことり!!」

ことり(ビルの一階・・・!確かあそこは室内プール広場だった!)

ことり「覚悟を決めて・・・!」

ことり「いっくよーー!!!」

ビルに向かって飛ぶことり!!

バリーン!

ここは二階!スポーツジム広場!

床を貫通し、そのまま一階のプール広場へ!

ズガアアアンン!!!

ドッポーーンン!!!

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



あやり「はっ・・・!」

ファンファンファンファン!!

あやり「いっ・・・・・・つぅ・・・・・・」

あやり「はぁ・・・流石私だよね・・・仮想現実とは言え、ビルの屋上から落ちて生きてるんだから・・・」

あやり「ことり・・・ことりは・・・?」

ダッ!

あやり「ぅぅぅ・・・流石に来るね・・・」

あやり「ことり・・・どこ・・・?」

ヨタ・・・ヨタ・・・

バシャバシャ! バシャーン!

真姫「ことり!」

ことり「」

真姫「ことり・・・!起きて・・・!」

真姫「心肺蘇生を・・・!」

真姫「いち!に!さん!し!」

ことり「」

真姫「すぅぅぅぅ・・・」

真姫「はぁぁぁぁ・・・」

ことり「ぶふっ!」

ことり「ぶほっ!げほげほ!」

真姫「ことり!」

ことり「まき・・・ちゃ・・・」

真姫「よかった・・・まさか生きてるなんて・・・」

ことり「ふふっ・・・死ねないよ・・・まだまだ・・・」

あやり「ことり・・・!」

ことり「あやり・・・!」

あやり「流石だよ私達・・・二人とも生きてるなんて」

ことり「でも、どっちも相当ボロボロみたいだね・・・」

ことり「私なんか、真姫ちゃんがいなかったら溺死してたし」

あやり「ふふふ・・・」

あやり「まだまだ、終わらないってことだね・・・」

ことり「ええ・・・そうらしいね・・・」

真姫「もうやめましょうよ!今度こそホントに死んじゃうかもしれないのよ!?」

あやり「端から命賭けてるのよ。今更死なんて怖くない」

ことり「まだ、勝負はついてないよ・・・真姫ちゃん・・・」

真姫「二人とも・・・」

ことり「止めないで・・・」

ことり「あやりを・・・満足させなきゃ・・・なんでしょ?」

あやり「はぁ・・・はぁ・・・」

ことり「うぅ・・・はぁ・・・」

あやり「ボロボロね・・・私達・・・」

ことり「うん・・・」

ことり「でも、丁度いいや・・・」

あやり「・・・・・・?」

ことり「こっからが、本当の強さだよ・・・」

あやり「ふぅぅん・・・?」

あやり「うらあ!!」

ことり「んん!!」

ことり「てっ!!」

あやり「あっふ!!」

あやり「はぁ・・・!はぁ・・・!」

ことり「はぁ・・・!はぁ・・・!」

あやり「うだああ!!!」

取っ組み合い!

ことり「ふっ!」頭突き!

ゴグッ!!

ことり「うぁぁ・・・!」

あやり「石頭はまだ私のほうが上だね」

あやり「ふんっ!!」

ゴギャアア!!

ことり「うっ

ボフッ

ことり「」

あやり「どうしたのことり?私の胸に顔を埋めて」

ことり「」

あやり「起きて、起きてことり」ユサユサ

ことり「・・・ぁ・・・」

あやり「そーー・・・」

あやり「らっ!!!」

ゴシャアアア!!!

ことり「ううぅぅぅあああああああああ!!!!!」

ことり「っがああああ!!!! ううわあああああ!!!」

ことり「目が!!! 目があああああ!!!!」

ことり「あああああああ!!!!ああああああああ!!!!!」

真姫「き、きゃっーーー!!!」

あやりの強力な頭突きを左目で受けたことり

ことりの左目は目としての機能を失った・・・

あやり「勝負ついたね・・・ことり・・・」

ことり「ぁぁぁぁ・・・っくぅぅ! あああぁぁ!」

あやり「今度こそ、本気で殺すよ」

ことり「まだぁ! まだだよ!!」

あやり「・・・!」

ことり「まだ終わってない・・・!まだ、まだぁ!」

あやり「そっ」

スッ

ことり「くぅ・・・ん・・・?」

ことり「あやり・・・?あやりは・・・?」

真姫(失った左目の死角に!)

あやり「・・・!!」スッ

左よ!ことり!

ことり「・・・・・・!」

ダンッ!!

ことり「え・・・・・・?」

ことり(ガード・・・できた・・・?)

あやり「偶然手を出したらガードできたの?運がいいね」

ことり「真姫ちゃ・・・」

真姫「ことり・・・!」

ことり「そうか・・・やっとわかったよ・・・」

ことり「はは、ははは・・・あははは・・・」

あやり「どうして笑ってる?」

ことり「あやり、あんたはやっぱりまだ本当の強さをわかってないんだよ」

ことり「私だって今気付いたんだ・・・本当の強さ」

ズボッ!

真姫「ことり!?どうして自分の目を・・・!?」

ことり「あうっ・・・くぅ・・・!」

あやり「な、なにを・・・!?とうとう血迷ったの・・・!?」

ことり「私は両目を失った、もう何も見えない。しかも実力もあんたのほうが上」

ことり「でも、あんたは一つ、もっとも大切なものを持ってない」

あやり「・・・・・・」

真姫「ことり・・・!」

ことり「仲間が私に与える『力』だ・・・!!」

ことり「終わりだ!!あやりぃぃ!!!」

あやり「バカめ!両目の見えない奴が・・・!」

あやり「うるぅあああ!!!」

上だよ!ことりちゃん!

ことり「・・・!」

ブンッ!!

ことり「ういいいぃぃぃやああああ!!!!」

あやり「ぶあっはあああ!!!」

あやり(なに・・・!?)

あやり「がぁあ!!」

蹴りが来ます!

ことり(海未ちゃん・・・!)

バッ!

ことり「うんんんにゃああああ!!!!」

ズギャ!!!

あやり「ばっ・・・!!」

あやり(バカな・・・!どうして・・・!)

あやり(ことりは目が見えないはず・・・!!)

ことり「ぶぅぅあああ!!!」

あやり「ごあっはぁぁ!!!」

あやり(どうして私の位置が正確にわかる!?)

頭突きをかましてやりなさい!今の貴方なら勝てるわ!

ことり「うだああああ!!!!」

ゴギュアア!!

あやり「ぐぅあああ!!」

あやり(しかもなんだ・・・?この攻撃力は・・・!?)

あやり(バカな・・・これが・・・!)

あやり(絆ってやつなの・・・!?)

ことり「あんたは過酷な幼少期を過ごし、特殊部隊で成長した」

ことり「あんたが手に入れた強さは相当なもの」

ことり「私は裕福な家庭で育った」

ことり「何よりもかけがえのない仲間を手に入れた」

ことり「確かに自分自身の強さも大事。それがなきゃ生きていけない」

ことり「でも、それ以上に、何年も培ってきた絆が大事なんだ」

ことり「見せてやるよあやり!!私の絆!!私の愛!!本当の力を!!!」

あやり「ことりぃぃぃぃぃ!!!!!!」

ことり「うわああああああああああ!!!!!!」

ことり!

ことりちゃん!

ことり

ことり♪

ことりちゃん

ことりちゃん

ことり

ことりぃ

とりちゃん

ことりさん

ことりちゃーん




ことり、大好き!

ことり「うおおぉぅぅらあああああ!!!!」

あやり「はぁぁあああああ!!!!」

ズボォアアアアアア!!!!!!!

ことり「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

あやり「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

あやり「あぁ・・・ゴハッ!ゴホッ!」

ことり「ふぅ・・・ふぅ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

あやり「さ・・・すがにもう・・・」

ズボッ!

あやり「ぅぅぅ・・・!」ドサッ

ことり「はぁ・・・はぁ・・・」

あやり「ゲホッ! うぅぅ・・・くぅ・・・」

あやり「なんでだろう・・・」

あやり「なんでかな・・・今ね、すっごく清々しいの」

あやり「負けたはずなのに・・・こんなに辛いはずなのに・・・」

あやり「みるみる私の心の闇が洗われていく・・・」

あやり「なんだかすっごく・・・気持ちいい・・・」

あやり「ことりに勝つ。それが、私にとって大きな枷になってたんだ」

あやり「自分で自分を苦しめてたんだ・・・」

あやり「最初からそうだったんだよ」

あやり「私はことりには勝てない。一生ことりの下で生きていく」

あやり「神様のお告げを破って生きてきたんだね・・・」

あやり「ほら見て、私の嫌いな雨も降ってない」

あやり「代わりに、綺麗な綺麗な虹が見えるよ」

あやり「・・・ふふっ・・・」ニコ

あやり「負けて満足なんて変だよね」

あやり「だけど、これが私達の運命なんだね」

あやり「ことり」

あやり「ありがとう。私を目覚めさせてくれて」

ことり「いいよそんなの・・・姉妹なんだし♪」

あやり「うん♪」

あやり「あのね、お姉ちゃんなのに変かもしれないけど」

あやり「ことり、私は貴方に一生ついていく」

あやり「辛いことがあれば私達で分け合えばいい。楽しいことがあれば私達で増幅させればいい」

あやり「私はことりの右腕にも左腕にも目にも脳にもなれる」

あやり「それで、私に本当の強さを教えて」

あやり「私とことりが組めばもう怖いものなんてないでしょ?」

あやり「また昔みたいに、私を導いて!」

ことり「うん、そんなの・・・」

ことり「最初からそのつもりだよ、あやり♪」

高層ビルの高級レストラン

あやり「目は大丈夫。トランキル・レーンから抜け出せば、現実の身体は何も異常なしで戻れるよ」

真姫「よかった・・・ことりに目がなくなったらと思うと・・・」

あやり「その時は私がことりの目になればいい」

真姫「むっ・・・私もことりの目になれるわ」

あやり「私とことりは双子だよ?私のほうが適任よ」

真姫「でも、身長とか体型とかは私のほうが近いから私のほうが・・・」

ことり「ほらほら、そんなことで喧嘩しないで」

ことり「お料理食べようよ♪」

真姫「そうね」

あやり「いただきまーす!」

真姫「ことり、口あけて、あーん」

ことり「あーん」

あやり「あじゅ! あんむ! ぐちゅぐちゅ!」

あやり「ずぶぶ! ずぞぞ! くちゃぐちゃ」

真姫「」ドン引き

ことり「あやり、音でわかる、食べ方が汚い」

あやり「別にいいよ。ことりより優れてなきゃいけない理由はもうないんだし」

あやり「ずずっ! あんちゅ! ずちゅ! レロレロ」

真姫「ねぇ・・・本当に気持ち悪いからやめて」

あやり「なぁんだようっせーなもぅー!」

真姫「ヴぇぇ・・・食べカス飛ばさないで・・・」

真姫「ここから抜け出せれば・・・」

真姫「そういえばどうやって?支配者にお願いするとか言ってましたっけ?」

真姫「ことりの目も治してあげたいし、現実でもあんまり暇している時間はないから・・・」

あやり「あぁ・・・それなんだよね」

あやり「実は今一番の問題はそこかな?」

真姫「・・・?」

あやり「お父さんが素直に私達を逃がすか」

あやり「ことりどころか私もいる。そう簡単には起こしてくれないと思うよ」

あやり「ねぇお父さん」

少女「うん!だって10年ぶりの再会だよ!楽しみたいよ!」

真姫「えっ・・・こ、この子・・・」

あやり「悪趣味だよね。私達の幼少期の姿をしてやがる」

あやり「どうも最初から私達の事付け回してたみたいだからね」

少女「成長したねあやり。いい洞察力だよ」

真姫「貴方が・・・」

南父「もちろん、これは仮の姿だけどね」

真姫「その・・・えっと、西木野真姫です」

南父「知ってるよ真姫ちゃん。知らないわけがない」

南父「君の活躍はよ~く知ってるから」

南父「ママを殺し、研究所に衛星攻撃を放った。有能だよね」

南父「それに、西木野家の子供としての役割もしっかり守っているみたいだし」

真姫「西木野家の子供としての役割?」

南父「知らないか、うん、知らなくて当然だよ」

真姫「・・・は?」

南父「そうか、真姫ちゃんも、ことりもあやりも、まだまだ知らないことばかりなんだよ」

南父「せっかくだし、ゆっくり長話をしようじゃない」

南父「結論から言おう。ことりと真姫ちゃんの出会いは必然だった」

南父「家族のよしみ?住所が近いから?違う」

南父「どんなに違う環境で育ったとしても、いずれは必ず二人は出会っていた」

南父「なぜかって?ずーっと前から決まっているんだよ」

南父「南家と西木野家の血筋、共同財産」

南父「君はことりとの間に南家の跡取りとなる双子を産むんだ。君の使命はそれだけ」

真姫「ちょっとまて」

真姫「あんたは一体、何の話をしているの・・・!?」

南父「何って、プロジェクトの話だよ」

南父「先祖代々、南の家庭は西木野の家庭との間に子を宿し、南の跡取りを育てる」

南父「君はいわばそのための布石だ」

南父「ことりを愛し、ことりとの間に子を設け、出産をすることができれば君は用済み」

真姫「・・・?・・・・・・??」

南父「そしてことりは子供を育てる。自分がされてきたように。境遇の違う双子を作りだす」

南父「昔は遺伝子組み換えや操作の技術はなかったからね」

南父「双子プロジェクトを実行するため、第一子が必ず双子で産まれてきた西木野家の血筋を利用したんだ」

ことり「双子プロジェクト・・・?」

南父「そう、ここからが本題だよ」

南父「頭脳と力、強いのはどちらか」

南父「かたや多くの知識を分け与えられる環境で育ち、かたや過酷な人生に身を置く。そして力比べ」

南父「今まで、全ての戦いにおいて頭脳が勝っていた。力を抑えるだけの頭脳はいくらでも存在した」

南父「でも、G.E.C.K.の開発により、お前達の代で革命が起ころうとした」

南父「二代に一代、G.E.C.K.を体内に取り入れる実験をしていたが、今までは失敗に終わっていた」

南父「研究が進み、ついにG.E.C.K.の取り込みに成功する見込みが立てられた」

南父「それがお前だよ。あやり」

あやり「・・・っっ」

南父「事実、実験は成功。G.E.C.K.の取り込みに成功し、ついに期待されたんだ」

南父「力が頭脳に勝つ、革命が実現する予定だった」

南父「G.E.C.K.は肉体強化だけでなく、脳に様々な情報も与える。頭脳と力を同時に持つことができる最強の機体だ」

南父「だが、勝率100%を予想された力はまだ勝てなかった。研究の見直しが余儀なくされたよ」

南父「頭脳と力、どちらも取り入れたあやりに勝ったことりのレベルが高かったのか」

南父「G.E.C.K.を取り入れたにも関わらず、あやりの放漫な注意力のせいで負けただけなのか」

南父「それとも、頭脳とも力とも取れない第三の力が存在したのか、この結果は予想外だった」

あやり「・・・・・・」

あやり「・・・・・・は?」

あやり「双子・・・実験・・・?」

南父「お前は出来損ないのバカだからな、理解に苦しむか?」

南父「南の双子の戦いは先祖代々ずっと行われてきた」

南父「ママだってそうだ。ママは培ってきた頭脳で、自分の片割れを触れることなく殺害した」

南父「ママは頭脳に関しては本当に優秀だ。彼女の代でクローン製造、ナノ細胞の組み換え等様々な人類革命が行われた」

南父「真姫ちゃん、さっきの話、ことりとの間に子供を作るのになぜ同姓なのかと思わなかった?」

南父「あえてだよ。ママの遺伝子組み換えの技術により同姓間、いや、個人だけで性別関係なく出産が可能になった」

南父「本来君は男として産まれる予定だったんだけどね」

南父「遺伝子組み換えによる性転換で女として産ませ、技術の確認を行う予定だった」

南父「君はそのために『作られた』人間だったんだよ」

真姫「・・・っっ・・・・・・っっ」

ことり「西木野の血筋の第一子が必ず双子・・・」

ことり「だったら真姫ちゃんは?西木野の血筋で産まれて、真姫ちゃんは一人っ子のはず」

南父「そう。そうなんだよ。よく気づいたことり」

南父「おかしくないか?先祖代々の産まれの掟が君の代で突然消えたのか?」

南父「君にも今だ存在すら知らない双子が居たのか?それも違う」

南父「答えを教えてあげよう」

南父「これが私の本当の姿だ」

スゥゥゥゥ

仮だったことりとあやりの少女時代の姿が消え、彼の本当の姿が・・・

ことり「お父さん・・・」

あやり「お父さん・・・」

真姫「パパ・・・」

ことあやまき「!!!?」

南父「わかったか?私は君達の親の代の、西木野家の一人息子。君達の父親だ」

南父「西木野の血筋は必ず第一子が双子で生まれた。それは腹も種も関係なく」

南父「南の血筋の娘、ことりとあやりのお母さんとは幼いころから交流があった」

南父「私達は普通に恋に落ち、普通に子を産んだ。双子の元気な泣き声を」

南父「その時、知らされたのだ。双子プロジェクト、西木野の血筋の利用」

南父「私達に、愛という関係は次第に薄れていった」

南父「産まれたときからの使命。それを知った時は流石に気が滅入った」

南父「だが、私にはまだやらなくてはいけないことがある。次の、私に代わる立場の子を作らなくてはならない」

真姫「ママ・・・」

南父「ああ。彼女は西木野の血筋でも南の血筋でもない。私の母方の親、西木野ではない親も同じだ」

南父「彼女は知らず、西木野家の使命を果たすために子を宿した」

南父「それが真姫。お前だよ」

真姫「・・・・・・っ、、・・・ll・・・」

真姫「じゃあ・・・・・・ことりは、あやりさんは・・・・・・」

真姫「私の・・・腹違いの・・・・・・姉って、、こと、、、?」

南父「三人とも、母親似だが、多少は私の面影も残ってるな」

南父「輪郭、口元はそっくりだ」

真姫「・・・・・・はぁはぁ・・・っっ」ガタッ

真姫「・・・いみ・・・わかんない・・・・・・」

南父「そして私も同じだ。腹違いの姉との間に宿した子供がお前らだった、あやり、ことり」

南父「脱線したね。優秀なママから産まれた子供にはさぞ大きな期待がされた」

南父「確かに優秀だった。けどね、相当の悪ガキだった」

南父「親の言うことを聞けない、反抗ばかり、しまいには親を殺した」

南父「素晴らしいよことり。お前は本当に素晴らしい」

南父「今までのデータにはない様々な動きをしてくれたよお前は」

南父「私は期待してたんだ。お前は世界を救うか、世界を滅ぼすか、どの道人類史に名前を載せることができる人間だと」

南父「結果は、悪ガキなのは変わらなかったね。お前のせいで人類は滅亡し、ママの技術も大多数破壊された」

南父「日本のアウトブレイク計画も、お前の手まわしで被害は音ノ木だけで収まってしまい、資金集めは失敗した」

南父「お前の動きを見て私はもう笑うしかできなかったよ。先祖代々受け継いできたものをお前は破壊し続けた」

ことり「キモいと思ったからね。あんたたちの野望」

ことり「世界征服、宇宙征服、危うくそのトップに立たされるところだったし」

ことり「私は私の道を行く。お母さんを見て、あやりを見て・・・幼心にそう誓った」

あやり「ことり・・・」

ことり「気付かないわけないでしょ。大好きだったあやりちゃんが突然いなくなって、路上で寝てたんだ」

南父「その結果が人類滅亡か。本当に素晴らしいよ」

ことり「私は悪くないと思ってるよ?一矢報いることができて、気分が晴れたよ」

南父「もしお前があやりのようにバカだったらなと考えたことがあるよ」

南父「あやり、お前はいい子だよ。私達の計画に則った行動をしてくれた」

あやり「あ・・・?」

南父「お前の嫉妬も、生命力も、行動も、お前は全て私達の想像通りに動いてくれた」

南父「お前は良くできた子だよ。物語を正しく進めようとしたんだ」

南父「昔からずっとお前を見てた。常に死んだ目をし、泥まみれの生ごみを貪り」

南父「ことりへの嫉妬という、間違った矛先の恨みも」

あやり「っっ・・・っっっ・・・!」

南父「ことりの優秀さを引き出す踏み台になったんだ」

南父「良い駒だったよ。お前」

あやり「だあああああああああああああ!!!!!!」

ボキャアアア!!!グシャアアアアア!!!

あやり「はっ・・・はっ・・・はっ・・・」

真姫「あやりさん!」

南父「」

あやり「は、はは・・・」

あやり「すっきりしたよ、あんな嫌いな親父、ぶん殴れて・・・」

少女「あやり」

少女「そんなんで、満足?」

あやり「・・・!」

青年「どうして進歩しようとしないの?」

老人「そんなんだからいつもことりに負けるんだよ」

南父「ふぅ・・・」スクッ

南父「弱い犬ほどよく吠えるってね。運転が下手な奴ほどクラクションを鳴らすってね」

南父「やっぱり出来損ないは、その程度か」

あやり「ぅぅぅやああああ!!!」

グシャ!!!ゴシャアア!!!ボグッ!!

あやり「はぁ・・・!はぁ・・・!」

南父「無駄なんだよ。どうしてわからない?」

あやり「らあああ!!!」

ゴギャアアア!!!

少女「学ばないなぁ・・・G.E.C.K.は失敗作だったのか?」

あやり「ふぅぅ!!!」

ズゴォッッ!!!バタバタ!

南父「無駄」

少女「無駄」

CIA「無駄」

自動販売機「無駄」

大学生「無駄」

悪ガキ「無駄」

神楽「無駄」

理事長「無駄」

ことり「無駄」

真姫「無駄」

無駄無駄無駄無駄無駄無駄

あやり「あああああああああ!!!!!!!!!!」

ことり「あやり!!」

あやり「はっ!・・・こ、こと・・・」

ことり「あやり・・・!」ギュッ

あやり「こと・・・り・・・?」

ことり「惑わされないで、私はここにいる!」

あやり「ことり・・・ことり・・・」

ことり「あやり・・・」

ことり「ごめん・・・ごめんねあやり・・・」ポロポロ

ことり「辛かったよね・・・苦しかったよね・・・痛かったよね・・・寂しかったよね・・・」

ことり「私はあやりを、助けてあげることができなかった」

ことり「双子なのに、大好きなのに・・・手を差し伸べてあげられなかった」

ことり「今までの事、許してとは言わない」

ことり「私は誓うよ。あやりのこと、大好きだから」

ことり「私だけを見て!奴の思惑に乗らないで!」

ことり「私とあやりと真姫ちゃん、みんなでいれば怖い物なんてないでしょ?」

真姫「そうよ、あやりさん」

真姫「どこか気が合うと思ってたのよ。そしたら、まさか腹違いの姉妹だったなんてね」

真姫「なんか、荷が降りたわ。今は前よりも、すっきり出来た気がする」

あやり「真姫ちゃん・・・」

ことり「さて、もう怪我する覚悟はできた?」

ことり「私達に足りないものはない」

ことり「潰してやろうじゃない。奴の思惑も、気持ち悪い思想も全部!」

ことり「変えてやるんだ、誰でもない私達が!」

南父「ははははは!」

南父「とうとうことりも真姫も、あやりのバカが移ったか?」

南父「ここが私の作ったトランキル・レーンだということは覚えているか?」

南父「お前達は一般用のポットに座った。もうその時点でお前達の負けなんだよ」

南父「何が起ころうと監督官である私を殺すことは出来ない」

南父「くくっ、楽しみだよ、お前達はどういう抵抗をしてくれるかな?」

南父「今までの住民も全てそうだ。出たいが出れない。とうとう諦めるしかなかった」

南父「非常に愉快だったよ。絶望に染まり、次第にこの世界を受け入れるしかないと悟った目は」

南父「お前達は頭が良いからな。私の想像もつかないような抵抗を見せてくれるかもしれない」

南父「さぁ楽しませてくれ!今までで一番面白くなりそうだ」

南父「私の最高の退屈しのぎになってくれ、娘達よ!」

あやり「おいクソ親父」

あやり「お前の想像が崩れるような現実を・・・」

あやり「突き立ててヤロウ」

南父「はははっ!何をしてくれるんだ?」

ことり「あやり、待ってる」

あやり「うん、頼りにして」

あやり「すぅぅ・・・」

ブブッ ブツブツ・・・

南父「なっ・・・」

南父「あやり!どこに行った!?」

ことり「お前は舐めすぎだよ。あやりの力を」

ことり「あやりが本当に何の考えもなしにここに入ったと思ってる?」

南父「舐めるな。私の技術があの出来損ないに破れるわけがない」

南父「かくれんぼなんかしないで出てこいあやり!もっとお前の精神を削ってやろう!」

ガッ!ブツン!

ブブブブブブブブブブブブ!!!!!!!!!!!!!

真姫「ぁぁっ・・・!」

南父「なんだ・・・この音は・・・!」

はぁ・・・!はぁ・・・!はぁ・・・!

あははは!!ようみんな!聞こえてる?

真姫「あやりさん!?」

南父「何をした!?」

おらっ!これでどうだ!?

ブブブ!!ブチブチン!

南父「がっほっ!ああっ!あやりぃ!!」ギチギチ ゴギッ

はははは!!

心臓貫く衝撃と骨の軋みをずっと味わってろ!

ことり「あやり!」

やってやったよことり!成功したんだ!

真姫「どういうことなの?」

ことり「あやりは体内にG.E.C.K.を取り入れてる」

ことり「このトランキル・レーンはG.E.C.K.の技術を活用した機械」

ことり「あやりの中のG.E.C.K.を使用してG.E.C.K.の回線を掻い潜ったんだ」

ことり「あやりは今現実世界で親元の回線をジャックしてるんだと思う。だから声が聞こえるし、お父さんに攻撃出来てる」

ことり「監督官に攻撃出来てるんだ。私達を解放するのはもうあやりにとって造作もないことだと思う」

真姫「出れるのね!」

その前にやってほしいことがある!

ことり「何!」

解放してやるんだみんなを!

このままだとここの住民はみんなクソ親父のおもちゃだよ!

私達が解放してやろう!

真姫「あやりさん!貴方がみんなのポットを開けてあげることが出来るんじゃないの!?」

ダメよ!みんなの現実の身体はもう5年以上生命維持装置に繋がれただけなんだ!

ポットを開けても動くことが出来ずに死ぬだけなんだ!

だったらせめて・・・私達の力で楽にしてやろう!

ことまき「うん!」

ことり「でも容易じゃないよ!トランキル・レーン内は秋葉原全域が舞台だ!広すぎる!」

任せて!ちょっと弄ってやる!

ズォォォォォォ!!!

真姫「きゃぁ!何が起こってるの!?」

ぁぁ・・・・・・

真姫「あやりさん!?」

あっ、ああ・・・!なんでもない!

ことり「あやり・・・?」

各ポットに洗脳プログラムを流した!住民はすぐにレストランに向かってくる!

使って!

真姫「銃・・・!」

みんなを殺して・・・いや、解放してあげるんだ!クソ親父の魔の手から!

げほっ!!ぅぅぅああああ・・・!

ことり「あやり・・・ねぇあやり!無理してない!?」

こ・・・んなのへっちゃらだよ!クソ親父を潰すためならこんくらい!

「ああああ・・・」

真姫「あれ・・・!」

ここの住民の本当の姿だよ!抑制のリミッターを外してやった!

「もうやだ・・・もういやなのよ・・・」

「やめてくれ・・・もう殺してくれ・・・」

お願い二人とも!

「お願いします!私を殺してぇ!」ガシッ

真姫「っ・・・!」

これは殺戮じゃない!救いだよ!

ことり「真姫ちゃん・・・!」

真姫「・・・っ!」コクッ

ダァン!!

「」ドサッ!

「殺して・・・殺してくれ・・・」

真姫「永遠に生きるってことは、永遠に苦しむことと同じ・・・ね」

真姫「終わらせてやるわ・・・全部!」

ダァンダァン!!ダァンダァン!!

真姫「はぁ・・・はぁ・・・」

真姫「終わらせてやったわ・・・!」

ことり「あやり!用は済んだ!出してもらえる!?」

うん!すぐに!

南父「ことりぃぃぃ!!!あやりぃぃぃ!!!真姫ぃぃぃ!!!」

南父「私に逆らって!ただで済むと思うなよ!!」

まだ足りねぇか!!?

南父「ぐぉぉぉぉ!!」グギギギ!

躾全てにもっと喰い込めばいい!

南父「あごごごご・・・!!!おごご・・・!!!」

震えが止まらねぇか!?

いくらでもハイになれよ!燃やしつくしてやる!

真姫「パパ・・・」

バキィ!

南父「うぐっ!」

真姫「私なら心配しなくて大丈夫よ」

真姫「掟なんかに縛られない、自分の意志で生きていくから」

ことり「私も同じ」

ことり「掟に縛られてた南の血筋を、私が変えてあげる」

ことり「私達は、支配者にならなくていいんだよ」

南父「待てっ・・・!くぅぅ・・・!」

ブブッ ブツブツ・・・

ウゥゥゥゥン

現実世界

真姫「はっ!戻ってきたのね」

ガチャ ダッ

真姫「っとと・・・」

ことり「真姫ちゃん!」

真姫「ことり!」ギュッ

真姫「良かった・・・目も、足も大丈夫?」

ことり「うん。何も異常はないよ」

真姫「良かった、本当に」

真姫「あやりさんは?」

ガシャン!!!ゴロゴロゴロゴロ!!

真姫「なに!?」

ことり「建物が崩れる!」

ことり「早くあやりを連れて逃げよう!」

ことり「あやり!どこ!?」

真姫「あやりさん!」

バチバチバチ!!ビリビリ!!

ことり「監督室のほうだ!」

監督室

ドガッ!

ことり「あやり!」

あやり「ことりぃぃぃ・・・・・・」

ことり「あっ、あやり・・・」

あやりは身体中にトランキル・レーン主電源のケーブルを巻き付けていた

あやり「ははっ・・・!こんくらいしてやれば十分だったでしょ!?」

ことり「こんなにして!死んじゃうよあやり!」

バチバチバチバチ!!!

真姫「きゃああ!!」

あやり「へへ、へへへ、上等よ!」

あやり「これも私が南の産まれであるが故の試練!」

あやり「クソ親父を殺す!それに比べりゃこんな苦難鼻くそ同然!こんなところでつま

ジャーン!!バチバチバチ!!!

あやり「あああああああ!!!!」

真姫「あやりさん!!」

ウィィィン ガチャ

南父「あやりぃぃ・・・!!!」

あやり「クソ親父!まだ生きてたのか!」

南父「許さないぞぉ・・・!絶対に・・・!」

真姫「あいつ!ナイフを持ってる!」

ことり「あやり!」

あやり「近づくな!感電するよ!!」

ことり「っっ・・・!」

あやり「お前は来いよクソ親父!私を殺したいんだろ!?」

南父「あぁ・・・!!お前だけでも殺してやるぅ・・・!!」

ことり「あやり!!おいクソ親父やめろ!!」

南父「死ねぇぇ!!!」

グサッ!!

あやり「ぶああああああ!!!」

真姫「あやりさん!!」

南父「ははは!!痛いか!?苦しいかバカ娘よ!!」

あやり「ふふっ・・・」

バチバチバチバチ!!!!!

南父「ぐぅぅぅおおおおお!!!!!」

あやり「痛みなんかもう慣れてんだよ!てめぇを殺すくらい造作もないこと!!」

南父「ぐっ・・・ははは!いつまでやせ我慢できるかな!?」

グリッ!!

あやり「ぐぅぅ!!!」

南父「肺に穴を開けてやった!お前は死ぬ!!」

あやり「てめぇもだよ!」

ゴギィ!!

あやりは両手の拳で南父の側頭部を挟み込む!

あやり「地獄のぐりぐりだよクソ親父!!」

グリグリグリ!!バチバチバチ!!

南父「ああああああおえいじゃえおfっじゃbのq」

あやり「ああああああああっ!!!!!」

グシャアアア!!!バタッ!!

あやり「はっ・・・!はっ・・・!」

真姫「あやりさん!」

あやり「来ちゃダメ真姫ちゃん!」

真姫「でも!」

あやり「私はもうどの道助からない!二人で早く逃げて!」

真姫「まだ助かるわ!早くケーブルを離して!」

あやり「もう・・・無理だよ・・・!」

あやり「感電で身体が動かないんだ・・・もう息も・・・・・・かほっ・・・」

真姫「あやりさん・・・!」

ことり「あやり・・・」

ことり「あやりぃぃーーーー!!!!」

あやり「・・・!」

あやい~

あやちゃん

あやりちゃん

あやりちゃん♪

あやりちゃん・・・

あやりちゃん

あやり・・・!

あやり

あやり!!

あやり♪

あやり!

あやりぃぃーーーー!!!!

ことり「・・・っっ」ポロポロ

ことり・・・

ことり・・・!!!

あやり「なによ・・・」

あやり「何泣いてんのよことり!」

あやり「私の妹なら、泣くのは嬉しい時だけにしな!」ポロポロ

ことり「あやり・・・」

あやり「ことり・・・」

ありがとう

ことり「逃げるよ、真姫ちゃん」

真姫「でも、あやりさんが!」

ことり「逃げるの!」

ことり「あやりの為に・・・!」

真姫「・・・!」

ダダダダ!

あやり「・・・・・・」

あやり「うん。これでいい」

あやり「さて、私もことりを見習わなくっちゃね」

あやり「クソ親父の遺品なんていらない。何もかも全部ぶっ壊してやる」

・・・・・・

ガシャーン!ドシャーン!

真姫「おっと!」

ことり「止まらないで!」

ことり「出口が見えた!急いで!」

ダダダダ!






ドガアアーーーーン!!!!!

バラバラ・・・ガラッ・・・

ことり「・・・・・・」

真姫「危なかった・・・」

ことり「・・・・・・ぐっ」

真姫「ことり・・・」

真姫「私の胸、貸すから・・・」

真姫「泣きたいときは泣いたほうがいいわよ」

ことり「真姫ちゃん・・・」

ギュッ

ことり「あやり・・・あやりはね、凄いんだよ」

ことり「昔は本当に何もできなかったの」

ことり「でもね、私を見ているうちにだんだん成長してきて・・・」

ことり「私達を・・・守ってくれた・・・」ポロポロ

真姫「えぇ・・・彼女は・・・お姉ちゃんは、勇敢だった」

ことり「あやり・・・」

あやりは、誰よりも輝いてるよ



ことり「・・・・・・」

真姫「・・・・・・」

真姫「・・・知ってたのね」

真姫「私達の産まれの事・・・」

ことり「・・・・・・」

ことり「・・・・・・」コクッ

真姫「あの時は焦りすぎて考えもしなかったけど、確かにおかしいわよね」

真姫「どうしてことりは私を助けてくれたのか」

真姫「こんな優秀なことりがどうして絵里とはぐれて学校を彷徨ってたのか」

真姫「どうして幼馴染を置いて私だけを助けたのか」

真姫「どうして私が死なないように薬打ったのか」

真姫「どうして脱出の計画書を残したのか」

ことり「全てを知ったのは、真姫ちゃんが音ノ木に入学してきた頃」

ことり「昔遊んだあの子に似てる。気になってお母さんに聞いてみたんだ」

ことり「そしたら・・・想像以上の答えが返ってきた」

ことり「・・・お父さんは昔から研究に没頭していて、あまり構った事はなかった」

ことり「けど、私の大切な家族だって知った」

ことり「だけど、赤の他人から急に貴方は私の妹ですって言われたらどうかな?」

ことり「私達の関係は語られなくていい」

ことり「貴方を見守っていればいいって思ってた」

ことり「ずっと・・・ずぅっと・・・」

jふぇくぉいj3

花陽「あっ、南先輩だ」

凛「あぁ~、理事長の娘さん?」

花陽「はぁ~かわいい人だな~~」

凛「アイドルを見てる時の眼だにゃ~」

スゥ

真姫「あっ・・・」

凛「に、にゃ~・・・」

真姫「・・・・・・」プイッ

スタスタ

凛「西木野さんちょっと怖いにゃ~・・・」

ことり「・・・・・・」チラッ

ずっと

先生「西木野ー!まだ走れるだろー!」

真姫「はいぃ!」

ことり「・・・・・・」

先生「南さん?ここの答えは」

ずっと

真姫「・・・・・・」ペラペラ

真姫「何よこれ・・・参考書の答えが間違ってるじゃない・・・」

ことり「・・・・・・」

ことり(あっ、この服可愛い)

ずっと

真姫「いってきまーす」

穂乃果「ことりちゃん行くよ~?」

ずっと

真姫「愛してるばんざ~い♪」

ことり「・・・♪」

ずっと

fhんqw3おえいんくぉp

ことり「見守ってただけだけどね、真姫ちゃんの事がわかってきた」

ことり「南の掟にも西木野の掟にも縛られない、ピュアな子」

ことり「私の中で、真姫ちゃんの存在はどんどん大きくなっていった」

ことり「そんな折だよ。音ノ木のアウトブレイク計画が発案された」

ことり「もちろん穂乃果ちゃんも海未ちゃんも、学校のみんなも救いたかった」

ことり「出来るわけ・・・なかった・・・」

ことり「せめて、真姫ちゃんだけは救いたかった」

ことり「最初はどう接すればいいかわからなかったんだ」

ことり「真姫ちゃんの中では私は昔親絡みで遊んだことがある幼馴染ってだけ」

ことり「姉妹として接すればいいのか、幼馴染として接すればいいのかわからなかった」

ことり「実際に会ったら、真姫ちゃんは予想外の反応をした」

真姫「断片的な記憶喪失・・・私はことりと遊んでた記憶をなくしていた」

ことり「ちょっと寂しかったけどね、よかったと思ったよ」

ことり「中途半端な関係よりも、1からの関係のほうが絆を作りやすい」

ことり「初対面の人間として、真姫ちゃんと関係を築いていった」

ことり「次第に私は私達の本当の関係を忘れていった」

ことり「真姫ちゃん・・・」

ことり「私の事・・・嫌い?」

ことり「嘘ついて、隠し事ばかりして、裏切って、傷つけて」

ことり「姉としてじゃなく、一人の人間として・・・」

ことり「私は真姫ちゃんと一緒に居てもいいのかな?」

真姫「その・・・そんなの・・・」

真姫「ことり!」

ぎゅっ

真姫「言葉にするのは・・・その、うまく言えない」

真姫「これで伝わる?私の想い・・・」

ことり「・・・・・・うん・・・グスッ・・・」

ことり「真姫ちゃん・・・」ポロポロ

真姫「ことり・・・」ポロポロ

抱き合って、泣き合って

私達の想いは投合した

姉妹だとか、幼馴染だとか、同姓だとかそんなのどうでもいい

私達は愛し合う

それ以上言葉は必要ない

心で全部伝わるから

そして、今

ことり「グールは死滅させる」

真姫「グールを治す薬を開発する」

ことり「・・・・・・」

真姫「・・・・・・」

ことり「どうしてだろうね?」

ことり「どうして私達は戦う運命なのかな?」

真姫「アウトブレイクの時からよね」

真姫「初めて会ったときから・・・こうなる運命だったのかも」

ことり「たぶん・・・これが最後になるね・・・」

ことり「私が勝ったら、世界中にグールを死滅させる薬をばら撒く」

ことり「それで・・・自殺する」

真姫「じゃあ私は、グールを治す薬を開発して見せる」

真姫「それと、まだ世界のどこかに生存者がいるかもしれないから、見つけ出して見せる」

ことり「悪くないね」

真姫「ことりの選択も、悪くないと思う」

私達は、殺し合う

それは、憎しみじゃない

互いを愛してるからこそ、殺し合う

人類の為に、彼女の為に、私達の為に

ケリを付けなければならないんだ

真姫「音ノ木がゾンビだらけに・・・」 Another Episode THE END

THE END
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