男「おう、少女じゃん」
少女「どうしたんですか?自販機とにらめっこなんかして」
男「あー……なんでもない」
少女「えーっ。じゃあ私になにか奢ってくださいよぅ!」
男「じゃあってなんだ、じゃあって。……まぁいいよ、何がいい?」
少女「私のようにアツいサイダーで」
男「少女はともかくサイダーってアツいか?」
少女「ほら、夏っぽいじゃないですか」
男「関係あるかそれ?それにまだ春先だぞ?」
ピッ
ガコンガコンッ
ピッ
ガコンガコンッ
少女「男さんはコーヒーですか。大人ですねぇ」
男「その価値観が子供っぽくないか?」
少女「まぁM○Xコーヒーとか雪○のコーヒーとか、むしろ子供の飲み物ですもんね!」
男「それらを飲んでる大人の方々に怒られるぞ……」
少女「私も飲んでるので大丈夫です」
男「少女は大人のほうを満たしていないな」
少女「むむっ。子供扱いですか……まぁいいです。大人なのでつっかかりません
男「それ声に出してる時点でダメじゃない?」
少女「……ちなみに男さんのベストフェイバリットドリンクはなんです?」
男「ドク○」
少女「ド○ペ」
少女「○クペって大人ですかね……子供ですかね……」
男「……めちゃくちゃどうでもいいな」
少女「いやいや大変重要です。男さんはどう思います?」
男「……子供じゃねぇの?炭酸だし甘いし。コーラとかサイダーとたいして変わらんだろ」
少女「今サイダーを飲んでる私のこと子供って言いましたね?」
男「そこは気にしなくていいだろ……流せる大人なんだろ……?」
少女「ふふん。まぁいいです。しかし、しかしですよ男さん。私はすごいことに思い当たりました。心して聞いてください」
男「お、おう」
少女「ド○ペを飲んでる子供を見たことが……ありますか!?」ドヤァ
男「それは……ないな……」
男「いやそもそもドク○って飲んでる人間に会うことって少なくないか?」
少女「男さんにとっては趣味が"合うこと"が少ないわけですね」
男「うまくないから」
少女「○クペがですか?」
男「それはうまい」
少女「ちなみに私のベストフェイバリットドリンクはいちごミルクです」
男「子供一直線じゃねぇか」
少女「"そーだ"なー」
男「うまくないから」
少女「でもまぁ、男さんが○クペ好きの方とあまり会わないのは母数の少なさもあるにはあるのでしょうが、たんなる偶然ですよ偶然」
男「ははー、偶然ですか」
少女「偶然です。事実私の周りにも数人……二、三人くらいですかね?……○クペ愛飲家、いますよ?」
男「それくらいなら俺もいるわ。……でも類は友を呼ぶっていうのになぁ」
少女「ちなみに私はアンチド○ペです」
男「サイダー返せ」
少女「昔小児科で貰った薬の味しません?あれ」
男「サイダーかけるぞ」
少女「よーし、せんそーだー」
男「サイダーかけあうとベタベタになるからやめろ。あとうまくないから」
少女「しかし、偶然というのは重なるものですね」
男「……どういうことだ?」
少女「このベンチ、自販機の横にありますし、学校に近いんでよく下校中の生徒に使われてるんですよ。このように誰もいないというのは珍しさの到りです」
男「あー、なるほどな。少女は今、学校帰りなのか?」
少女「えぇ、部活の帰りです。あっ。制服姿に見とれちゃわないでくださいよ?照れますから」
男「今最高にサイダーかけたい」
少女「よーし、せ」
男「もういい」
男「そういえばこっちの自販機は喋らないんだな」
少女「男さんの地元の自販機は喋るんですか?」
男「地元っていうか俺の家からちょっと歩いたとこにある自販機は喋るな」
少女「へぇ……喋る自販機を見たことはあるにはありますが、このあたりには少ないので見かけるとちょっとテンションが上がりますね」
男「そうか……?俺は接客がないのが自販機のいいとこだと思ってるのになんで余計な機能をつけるんだ、と常々思ってるが」
少女「機械にすらコミュ障発揮してどうするんですか……」
少女「しかし最近はいろいろな自販機がありますよねぇ、大きなショッピングモールにはタッチパネル式の自販機がありましたよ」
男「どこだか知らないがカップラーメンを作ってくれる自販機やトーストを作ってくれる自販機もあるらしいしな」
少女「うどんやハンバーガーも聞いたことあります。ファストフードここに極まれりといった感じがしますよね」
男「身近なものだとキット○ットやカ○リーメイトの入ってる自販機ならたまに見かけるし、もういっそ探せばなんでも自販機で売ってそうだな」
少女「エロ本とかもあるらしいですしね」
男「見たことないけどな。どこにあるんだろうな……いやしかしほんとなんでも売ってそうだな」
少女「そのうち自販機を売る自販機なんかが現れたりするかもしれませんね」
男「そのマトリョーシカは誰が得するんだ……?」
少女「自販機、自宅に欲しくないですか?」
少女「袖振り合うも多生の縁とはいいますが、こうやって男さんと出会ったのも偶然の一言で済むものではなく、何かしらの縁が引き寄せた結果なのかもしれませんね」
男「運命の赤い糸ってやつかね?」
少女「やだなぁ、もう。殴りますよ?」バシッ
男「その台詞は殴る前に言ってくれないか?」
少女「照れ隠しです」
男「おう、それなら」
少女「隠したのは殺意ですが」
男「よくないな」
少女「そもそもこちらに来るのは珍しいですね?」
男「今日も友達の家に遊びに行ってたんだよ」
少女「あぁ、カメラ好きのお友達さんですか」
男「そうそう。なんか最近彼女ができたらしい」
少女「おやおやぁ?先を越されちゃいましたね男さん?」
男「まぁ、いいんじゃねぇの?あいつも楽しそうだったし、何よりだよ」
少女「むぅ。面白くないですね」
男「結婚だの交際だのはめんどくさいことも多いからなぁ」
少女「あっ今のサイダーとかけました?」
男「サイダーをかけるぞ」
男「まぁ偶然というのならそもそも恋愛ってのは偶然の塊だと思うけどな。偶然出会って、偶然仲良くなって、偶然付き合う。全部そういう偶然の積み重ねなんじゃないか?」
少女「ふむふむ、じゃあ男さんもこうやって 私との偶然の会話を積み重ねて攻略している最中、と」
男「徘徊系の恋愛ゲームみたいな言い方はやめてくれないか?」
少女「一回曲がり角でぶつかってみます?私はトラックに乗りますが」
男「殺意まだ抑えきれてなくない?大丈夫?」
少女「照れ隠しです」
男「猛アピールだわ」
少女「デレ隠しです」
男「そこはアピールしてほしい」
少女「隠すデレがありませんでした」
男「救いがない……!」
少女「んーっ。しかし今日はいい一日です」セノビー
男「こうして俺と会えたしな」
少女「それはマイナスですが、このサイダーとプラスマイナスで若干マイナスです」
男「せめてプラマイゼロにしない?」
少女「ふふっ。嘘です。ちゃんと楽しませてもらってます。……部活の方でも先輩に褒めてもらえたので、今日は気分がいいのです。ラッキーガールな一日ですね」
男「そうか。まぁ春だし晴れだしな。暖かいからサイダー飲むにも気持ちいい気温だな」
少女「まぁ、雨も嫌いじゃないですけどね!」
男「おっそうか、偶然だな、俺もだ」
少女「んー……。それはきっと偶然じゃなくて必然です」
男「そんなラッキーガールなら、自販機の下とか覗いたら五百円玉が落ちてたりしてな」
少女「ははっそんなわけないですよ。……しかし五百円玉ってやけにテンション上がりますよね?なんででしょう?」
男「硬貨で一番高価だからじゃないか?」
少女「それ面白いと思って言ってます?後悔してます?」
男「少女にだけは言われたくねぇ……」
少女「ここが笑○ならベンチ撤去ですよ男さん」
男「座布団の代わりが重すぎない?」
ガサゴソ
少女「……500円玉、ほんとにありましたよ男さん」
男「スカートの中見えかけてたぞもっと恥じらいを持て」
少女「男さんを通報する心の準備はいつでもできてるので大丈夫です」
男「そこはためらいを持て」
少女「見えかけてる程度でよかったですね。見えていたらセクハラでお縄ですよ」
男「脅迫でお縄にするぞ」
少女「しかし、まぁ。流石にこれはわかりますよ。偶然じゃなくて必然です」
男「……なんのことだ?」
少女「この五百円、自販機の下に落としたの、男さんでしょう?だから私と出会ったとき、にらめっこしていたのでは?」
男「はっはっは。そんなことはないさ。少女がラッキーガールだっただけだよ」
少女「……むぅ。じゃあそんなラッキーガールがジュースを奢って差し上げます。なにがいいですか?」
男「えー……じゃあホットココア」
少女「ふっふっふ、子供ですねぇ」
男「じゃあ少女は何飲むんだよ」
少女「ここはクールにサイダーですかね」
男「サイダー万能だなおい」
男「……なんでわかったんだ?」
少女「話しかける前に十五分くらい男さんのことを見ていたのですが、ずっとなにか悩んでる様子で自販機とにらめっこしていたからですよ」
男「十五分も……?」
少女「話しかけるのがどこかためらわれまして」
男「コミュ障かよ……」
少女「お互い様です。……ところでココア、一口いただいてもいですか?」
男「ん?……まぁいいが」
少女「サイダーも流石に二本は飽きますね」
男「おい」
というわけで毒にも薬にも小児科で貰う薬のような味のドクペにもならない雑談四コマSSでした。
少女「雨宿りですか?」の後日談なのですが、なんせ内容が無いようなので知らなくても問題ないかなと思います。
少女「雨宿りですか?」も含めカクヨムに今までの作品載せ始めたのですが、全く誰も読んでくれないのでよかったら読んであげてください。
https://kakuyomu.jp/users/yukiny
ゆきの(Twitter:@429_snowdrop)からのお届けでした。
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