女「えー、いいじゃん。ヒマだし」
男「俺の心の傷を抉って、お前は何を得るの?」
女「だってもうサービス・エリア止まんないでしょ?私が眠らないように喋っててよ」
男「運転してるの俺なんだけど・・・勝手に眠ればいいじゃん」
女「私が眠ったら、話し相手がいなくなって男が居眠り運転するかもしんないでしょ」
男「なんだよその理屈」
女「いいから話しなさい」
男「えー」
女「少しは緊張ほぐれるかもしんないでしょ?」
男「はー・・・まあいいや。俺ってあんまり友達いなかったんだけどさ」
女「知ってる」
男「おい・・・必要以上に俺を攻撃しないでくれ。話す気なくす」
女「あはは、ゴメンゴメン」
男「はぁ・・・でさ、俺が母子家庭なのは前話してたよな」
女「うん」
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おとうさんとおかあさんは、僕が小学校に上がる前にりこんした。
だから僕は、おとうさんの顔をよく覚えていない。
おかあさんは、僕のために朝早くから、夜遅くまで働いた。
だから僕は、おかあさんの料理の味をあまり覚えていない。
僕にはきょうだいは居なかった。
僕の家は、小学校から5分程度の海のにおいのする団地の一室だった。
僕は家の鍵を首から下げて、毎日小学校に行った。
家事は、だいたい出来るようになったけど、友達はできなかった。
たぶん僕は、なんか違う。
他のみんなと何かが違う。
話が合わない。
放課後、遊ばない。
だからみんなの中に入っていけないのは当然だった。
みんなが僕のことを無視するのもしょうがなかった。
小学一年生の一学期、お楽しみ会の時間だったと思う。
みんなで“一年生になったら”をうたった。
端っこにいた僕の手を、となりの女の子がつかんで元気いっぱい歌っていた。
僕は初めて友達と手をつないだと思った。
おかあさんと最後に手をつないだのもよく覚えていない僕は、そのあたたかさを心地いいと感じた。
2年生になって、僕が本格的にクラスで浮き始めたころ、その女の子と隣の席になった。
女の子は露骨に嫌な顔をした。
僕は少し安心した。
よかった。
また、いつも通り、僕は、僕だけだ。
その子にも悪いから、僕は出来るだけ話しかけないようにした。
おかげで僕は、割と簡単に人間関係というものをあきらめることができた。
それから僕はたくさん本を読んで、たくさん勉強することにした。
3年生になって、クラス替えがあった。
僕は誰よりも早く九九を覚えていたし、漢字の試験はいつも満点だったと思う。
僕は先生に頼まれてクラス委員になった。
クラス委員と言うのは、リーダーの素質のある子供がやるのではない。
勉強だけができる、友達の少ない、ひまな子が押し付けられるものだ。
僕は、みんなが友達と遊ぶのが忙しいということを知っていた。
だから僕は変に揉めるのは時間の無駄だと思って引き受けた。
クラスのみんなは、感情のない拍手を僕に送ってくれた。
家が近い僕は、誰よりも早く教室に来て、メダカにエサをやる。
黒板をきれいにして、日直の名前を書く。
教室にゴミが落ちていたら、拾ってごみ箱に捨てる。
たぶんいくつかは、僕の仕事じゃなかったと思うけど、別に僕はどうでもよかった。
みんなは僕にやってほしいと思っていたし、僕もそれくらいやってもいいと思っていたし。
ただ先生が、分からないことがあったら僕に聞けと言ったせいで、勉強ができない子に教えることになったのはちょっと面倒だった。
となりの席の子はスポーツができるけど、勉強はできないみたいで、僕の時間はその子にずいぶんと取られた。
少女「ねえ、漢字ってこんなに覚えなきゃいけないの?」
僕「そうだよ」
少女「2年生の時はもっとずっと少なかったのに!」
僕「・・・」
少女「どうやって覚えたらいいかな?」
僕「いらない紙の裏とかに何回も書けばいいんじゃない?」
少女「ええー・・めんどくさい」
僕「がんばるしかないよ」
少女「わたしずっとイス座ってるのきらいなんだよ」
僕「それでもがまんしてやらないと」
少女「ねえ、宿題とかさ、一緒にやろうよ」
僕「・・・」
僕(そっか・・この子、1・2年生の時僕と違うクラスだったから知らないんだな・・)
僕「・・・とりあえず自分でやってみたら?」
少女「ええー?!」
僕(時間が経てば、この子も気づいて、僕の事無視してくれるよね)
少女「・・・やっぱりダメ!イスに座ってらんない!」
僕「え?何の話?」
少女「宿題!」
僕「・・・」
少女「今日も宿題出たら一緒にやって!」
僕「えー・・・」
少女「いーじゃん!勉強できるんだから!」
僕「はぁ・・・じゃあ図書館でやる?(教室で僕といっしょに勉強してるの
他の子に見られたらこの子が可哀想だな)」
少女「わたし図書館って喋っちゃいけないから嫌い。だからうちでやろうよ」
僕「・・・え?」
少女「あ、僕の家のがいい?」
僕「あ・・えっと・・うちはダメ」
少女「そーなんだ。じゃあうちでいいよね」
僕「・・・」
少女「じゃあ今日はいっしょに帰ろう!あ、クラス委員のしごと終わるまで待ってるね!」
僕「お・・・おじゃまします」
少女「ただいまー!」
少女母「おかえりー、アラお友達?」
少女「うん!宿題教えてもらうの!」
僕「あ・・えっと・・すいません」
少女母「あら、そうなの?ありがとね!お名前は?」
僕「・・・僕です」
少女母「あ、僕くんってクラス委員の子ね?うちの子が話してくれるから知ってるよ。いつもこの子のお勉強見てくれてありがとうね」
僕「あ・・いえ」
少女「おかーさん!もうそういうのいいから!」
少女母「ハイハイ。じゃあおやつ作ってあげるからお勉強見てもらいなさい。僕くん、よろしくね」
僕「は・・はい」
***
僕「・・・えっと、計算は何回も繰り返した方がいいよ。忘れちゃうから」
少女「むり!わかないもん」
僕「何時間もやらないでいいから、毎日ちょっとだけ・・5分でいいから毎日やるの」
少女「うーん・・5分なら」
少女母「おやつ持ってきたよー」
僕「あ・・・すいません」
少女母「僕くんのおうちに電話しておこうかな?おやつ出しましたよーって」
僕「あ・・えっと、大丈夫です。僕の家今誰も居ないし。それにいつもおやつって食べてないから」
少女母「アラそうなの?僕くんちょっとやせてるから、おやつも食べた方がいいかもよ」
僕「あ、はい・・ありがとうございます」
少女「いただきまーす」
少女母「こら、宿題終わったんなら手を洗ってから食べなさい。手のひらに鉛筆の色ついてるよ」
少女「はーい」
僕「あ、僕も水道かります」
少女母「うん」
***
僕「・・・」もぐもぐ
少女「おいしい?」もぐもぐ
僕「うん」
少女母「よかった!この子ドーナツ好きだからよく作るの」
僕(・・・ドーナツってつくれるんだ)
少女「?」
少女「ねえ、この後遊ぼうよ」
僕「え・・えっと・・何して?」
少女「いつも何してるの?」
僕「・・・」
少女「?」
僕(・・・帰ったら宿題と勉強をする。スーパーで買い物をして夕ご飯を作る。食器洗っておふろ沸かして、おふろ出たら少しテレビ見て、本を読んで、8時になったら寝る)
僕「・・・本読んだり」
少女「えー外で遊ぼうよ!」
僕「・・・何して?」
少女「木に登ったりとか!」
少女母「ママ病院行ってくるから、遊びに行くついでにリリーの散歩お願いしてもいい?」
少女「はーい。いこっ!」
僕「う、うん」
リリー「わんっ」
僕「うわっ!」
少女「あはは!大丈夫だよ!リリーって知らない人の事も大好きだから」
リリー「わんっわんっ」
僕「う・・うん」
***
僕「リリーって女の子?」
少女「うん、そうだよ!私よりとしうえなの!」
僕「そうなんだ」
少女「かわいいでしょ?」
僕「・・・うん」
少女「リリーはいい子だよ?」
僕「・・そうだね」
リリー「ヘッヘッヘ・・・」
少女「今日はありがとね!また勉強教えてね!」
僕「・・・うん」
リリー「オンッ」
僕「わっ!」
少女「あははっ!じゃあまた明日ね!」
僕「・・うん。また明日」
・・・
ガチャッ
僕「・・・あ・・買い物・・まあいっか。あるものでいいや」
今日はここまででー
つづきいきます
***
少女「わり算がぜんぜんわからない!」
僕「・・・さっきの授業、聞いてた?」
少女「聞いてたけど分からなかったの!」
僕「・・・」
少女「今日教えて!」
僕「・・えー」
少女「ちゃんと僕に言われたように毎日5分算数やってるのに!」
僕「もう・・・わかったよ」
少女「ありがと!」
「ねえ少女、校庭であそぼ。みんな鬼ごっこやるって」
少女「行く!僕は?」
「・・・」
僕「行かない。本読んでるから」
少女「ふーん・・まあいいや」
タッタッタ・・・
ぺら
僕(・・・なんであの子はみんなと一緒に遊ぶのに僕とも話せるんだろう)
ぺら
僕「・・・」
「あ、少女ちゃんきた!少女ちゃんオニね!」
少女「いくよっ!まてーっ!!」
「うわっ!少女ちゃん早いよー!!」
僕「・・・(足早いなぁ)」
少女「ねえねえ!」
僕「うん」
少女「わり算が、かけ算と逆ってどういうこと??」
僕「えっと、こっちから計算していくと掛け算になるでしょ?」
少女「??」
僕「・・・とりあえずは深く考えないで、教科書の通りにやればいいと思うよ」
少女「うーん・・・」
ガチャ
少女母「ただいまー」
少女「おかーさんお帰りー」
僕「あ・・おじゃましてます」
少女「あら、僕君いらっしゃい。今飲みもの出してあげるからね」
僕「あ・・えっと、すいません」
僕(あれ?)
少女「おかーさん、赤ちゃんどう?」
少女母「うん、順調よ」
僕「あ、えっと、お腹に赤ちゃんいるんですか?」
少女「そうだよ!来年は私、おねえちゃんになるの」
少女母「ふふ」
少女母「僕くんは兄弟とかいるの?」
僕「いません」
少女母「そうなんだ。なんか妹さんか弟さんいるかと思ってた。とっても落ち着いてるし」
僕「・・・」
少女母「フフフ・・なんかうちの子、僕君の妹みたいだね」
少女「えー!私のがちょっとだけ年上なんだよ!」
少女母「はいはい、1か月だけね。でも少女ちゃん勉強のことは全部僕くんに教わってるじゃない」
少女「でも、走るのは私のが早いもん!」
少女母「もう、僕くん、いつもありがとうね。こんなわがままな子の勉強見てもらって」
僕「い・・いえ」
少女「もー!」
***
僕「あ・・・」
しんしん・・・
僕(雪だ)
少女「おはよっ!」
僕「・・おはよう。早いね」
少女「雪降ってるよ!」
僕「うん」
少女「積もったら雪合戦しよ!」
僕「そんなに積もらないよ」
少女「えーそうかなー」
僕「うん、たぶんね。僕朝の仕事あるから先学校行くよ」
少女「待って!いっしょに行こうよ」
僕「・・うん」
少女「あ、あのさ」
僕「?」
少女「はい、これあげる!」
僕「え?何これ?」
少女「今日たんじょうびでしょ?誕生日おめでとう!」
僕「・・・え?」
少女「あれ?もしかして今日じゃなかった?」
僕「あ・・・えっとそうだけど」
少女「よかった!これ、おかあさんに教えてもらって作ったお菓子だよ!」
僕「・・・・」
少女「あれ?お菓子すきだよね?」
僕「うん・・・・・ありがとう」
少女「?」
先生「おはようございまーす」
「おはようございます!」
先生「今日は雪ですねー5年ぶりらしいですよー」
「へー」
先生「一時間目は体育ですけど、校庭使えないし、体育館は他のクラスが使ってるので道徳の時間にしまーす」
「はーい」
先生「先生うっかりしてたんだけど、もうずいぶん席替えしてないよね。今日はまず席替えをしようか」
「はーい」
僕「・・・」
先生「じゃあくじ引きボックスあるから、クラス委員の僕くん、みんなにくじ引かせてあげて」
僕「・・はい」
僕「・・・先生」
先生「?」
僕「・・もう1月ですし、三学期もこのままの席でもいいんじゃないですか?」
先生「?僕くんは席替え嫌?」
僕「・・いえ、ただちょっと面倒くさいなって思っただけです・・くじ配ります」
先生「?うん、よろしくね」
キーンコーンカーンコーン・・・
「きりーつ、礼!」
僕(・・・本読もう)ぺら
とたとた
少女「ね!」
僕「わっ・・なに?」
少女「なんか席遠くなったね」
僕「・・うん」
少女「あれ、開けた?」
僕「え?・・・ああ。学校で開けたら先生に怒られそうだから家で開けるよ」
少女「うん。どんなだったか教えてね!」
僕「うん・・・えっと・・ごめん」
少女「?なにが?」
僕「少女ちゃんの時、何もあげてない」
少女「いいよ!いつも宿題とか教えてもらってるし!」
僕「えっと、来年は用意するから」
少女「うん!」
キーンコーンーカーンコーン・・
少女「あ、席もどるね!」
僕「うん」
少女「帰り、いっしょに帰ろうね」
僕「え?」
少女「雪合戦、出来そうだよ!」
僕「・・・」
少女「じゃあ後で!」
たったった・・
僕「・・・」
隣の席の子「・・・・」
「先生さようなら!」
僕「・・・?」
「あんたってさ、僕の事好きなの?」
少女「え?」
「前から思ってたけど仲良いよねー」
少女「宿題教えてくれるし」
「好きなんでしょー」
少女「そ、そういう訳じゃないよ」
「えーうそだー僕のどこがいいの?」
少女「うそじゃない!」
僕(・・・一人で帰った方がいいな)
ざっく・・ざっく・・ざっく
僕「・・・」
ざっざっざっざ・・
少女「僕!」
僕「・・・」
少女「なんで先帰っちゃったの?!」
僕「えっと・・なんか話してたし」
少女「あ・・えっと」
僕「・・・あんまり無理して僕と話さなくてもいいと思う」
少女「・・・え?」
僕「なんか、他の人に勘違いされちゃうし」
少女「・・・」
僕「・・・でもこのお菓子、嬉しかった。ありがとう」
少女「・・うん」
僕「じゃあね」
少女「・・・うん」
僕の生まれた日は、今日みたいに雪が降ってたんだろうか。
その週の土曜日、お母さんはいつもより少し早く帰って来て僕に誕生日プレゼントとケーキを買ってきてくれた。
誕生日プレゼントは確か図書券だったと思う。
お母さんは、あなたが何が好きなのか分からないからこれで好きな本を買って、と言った。
僕も、それでいいと思った。
お母さんには僕の欲しいものは分からないだろうし、僕も自分が何が欲しいのかよく分からなかったから。
お母さんが買ってきてくれたケーキはたぶん有名なお店のものだったんだと思う。
でも僕は、友達だったかもしれない子がくれた、包みに入ったクッキーのが美味しかった
4年生になって、僕はその子とほとんど喋らなくなった。
隣の席になることも、それ以来一度もなかった。
4月に弟が生まれたことを聞いたときは“おめでとう”と言った気がする。
そして5年生のクラス替えの時、その子とは違うクラスになった。
『5㎞以上、道なりです』
男「・・・おい、お前まさか寝てるのか?」
女「起きてるよ」
男「・・・」
女「なんで、そんなに嫌われてたの?頭は良かったでしょ?」
男「知らねーよ・・・まあ運動とか全然だったし」
女「小学校って足早い子とかが無条件にもてるからねー」
男「まあ、そんな理由だろうな。俺コミュニケーション苦手だし」
女「知ってる」
男「はぁ・・喋ってて悲しくなってきたわ」
女「で、やっぱりその時すでに好きだったの?」
男「・・・いや、正直言うと別に恋愛的な意味で好きではなかった」
女「えー?!完全にフラグなのに」
男「小学生に“フラグ”なんて理解できるかよ・・・なんていうか親も含めて人間関係稀薄すぎて、好きとかそういう感情あんまりなかったんだよ」
女「なんか・・・さすがに悲惨だね」
男「悲惨でも事実は事実だからしょうがない」
女「ていうか、それじゃ初恋の話じゃないじゃん、これ」
男「まだ続きがあるんだよ」
女「うん、知ってる。続けて」
男「何様だよ」
ここまでにします
乙
>>1は「僕と従姉」の人?
>>32
現行スレではないですよね?
よく分からないので、たぶん違います
あまり他の方のssを確認してないので、似た内容になっていたらごめんなさい
続きです
先生「みなさんこれから1年間よろしくお願いします。さて、5年生からは委員会活動が始まります。みなさん何かしらの委員会に入らなければいけません」
僕「・・・」
先生「まずは児童会委員から決めましょうか」
「児童会って何ですか?」
先生「他の委員会活動の管理や学校行事の内容を決めていく委員会です」
先生「立候補する人、いませんか?児童会は1人ですよ」
「・・・」
先生「じゃあ推薦でもいいですよ」
「・・・」
「・・僕、やれば?」
「あ、それがいいんじゃない?」
僕「・・・」
先生「僕君、やってくれる?」
僕「・・・いいですよ」
先生「じゃあ児童会は僕君ね。じゃあ次は・・」
先生「あ、僕君」
僕「なんですか?」
先生「児童会は5、6年生の各クラスから一人ずつ選ばれて全部で6人で運営してるの。今週の土曜日の放課後にみんなで集まるんだけど、僕君は大丈夫?」
僕「土曜日は塾ないから大丈夫です」
先生「良かった。じゃあよろしくね。お昼までには終わるから」
僕「はい」
***
ガラガラ
僕「・・・!」
先生「あ、僕君来たね。それじゃあ今日は自己紹介しましょうか」
「児童会長の6年1組○○です」
「6年2組の●●です。書記です」
「6年3組の△△です」
少女「5年1組の少女です」
僕「5年2組、僕です」
「5年3組の▲▲です」
先生「はい、私が児童会顧問です。これからよろしくね。今日は5年生の中から副会長ともう一人の書記を決めるんだけど・・・」
先生「それじゃあこれから1年間よろしくね」
「はーい」
先生「じゃあ今日は遅くまでお疲れ様でした」
少女「僕副会長」
僕「・・・」
少女「いっしょに帰ろう」
僕「うん」
てくてく・・
少女「・・・」
てくてく・・
僕「・・・」
少女「・・今日、お昼ご飯食べた後、遊ぼう」
僕「・・・どこで?」
少女「えっと・・とりあえず私の家」
僕「うん」
ピンポーン
『はーい』
がちゃ
少女母「あら?・・僕君?久しぶりね!」
僕「あ・・えっと。こんにちは」
少女母「うふふ。少女、僕君来たわよー」
少女「あ、うん、今行く」
「ふぎゃーーーっ!」
少女母「アラ、ごめんなさいね」
たったった・・
少女「お待たせ」
僕「えっと・・・泣き声したけど大丈夫?」
少女「うん、弟がミルク飲みたいって泣いたの。大丈夫だよ」
僕「・・・」
ガチャン
少女「自転車できたの?」
僕「うん」
少女「じゃあ私も自転車で行こう」
僕「どこ行くの?」
少女「海」
僕「・・・」
***
キキー・・キッ
少女「ここに自転車おいて砂浜歩こうよ」
僕「・・別にいいけど」
少女「うん」
『浜木綿海岸海水浴場』
ざっ ざっ ざっ・・
僕「・・・」
少女「・・・」
僕「海、よく来るの?」
少女「うん。だって、うちからだと歩いても10分くらいだし」
僕「・・泳ぐ・・訳じゃないでしょ?まだ春だし」
少女「最近ね、砂浜に落ちてる貝とかガラスとか拾うのがマイ・ブームなの」
僕「ガラス?」
少女「えっとね・・・あった」
僕「?この緑の・・ガラス?」
少女「お父さんに聞いたらね、海に捨てられたビンとかがで削られてこういうスベスベの石みたいになるんだって」
僕「そうなんだ」
少女「いっしょに拾おうよ」
僕「・・・いいよ」
ボオーッツ・・ボオーッツ・・ボオーッツ・・・
少女「・・今の汽笛はね、自分の船が通りますよって合図なんだって」
僕「・・・よく知ってるね」
少女「お父さんに教えてもらったの。お父さん船に乗ってるから」
僕「そうなんだ」
少女「僕・・君のお父さんは何してるの?」
僕「お父さんはいないよ」
少女「え・・あ・・・ゴメン」
僕「べつに気にしないで」
少女「・・・・それと・・」
僕「?」
少女「ゴメン・・その・・・あんまり話しかけなくなって・・友達なのに」
僕「・・・・え?」
少女「これからは・・その・・・前みたいにいっしょに遊ぼ。それに勉強も教えて!・・・クラス違うけど」
僕「・・・・うん」
***
少女「ね、僕君」
僕「ん?」
少女「今日の昼休みさ、ちょっと遊ぼう?」
僕「何して?」
少女「ふっふっふ・・ヒミツ」
僕「?」
少女「よし、じゃあ行こうか?」
僕「行くってどこ?校庭?」
少女「裏門から出るよ」
僕「えっ?学校の外出るの?!」
少女「そう!見つかったら怒られるから早く!」
僕「えー・・・」
少女「まず、家に行こう」
僕「ちょっと待って・・説明して。何をするの?」
少女「海に行くの!今日しか見られないものがあるの!まずうちに行って自転車をとってこよう!」
僕「海?!本気?」
少女「ほんき!」
僕「・・・じゃあうちに行こう。うちのが近いし、僕の自転車後ろ乗れるから」
少女「うん!」
僕「じゃあちゃんとつかまっててよ」
ギィーコ・・・ギィーコ・・・
少女「お・・重くない?大丈夫?」
僕「大丈夫。海って浜木綿海岸でいいの?」
少女「うん!」
『浜木綿海岸海水浴場』
ガシャン
僕「砂浜でいいの?」
少女「うん。急ごう!」
タッタッタ
僕「うん」
タッタッタ
ボオ――――ッツ!
ボオ――――ッツ!
ボオ――――ッツ!
僕「・・・・」
少女「間に合った!」
僕「すごく・・・おっきい船だね」
少女「豪華客船だよ。今日、この時間にここの近くを通る予定だったから」
僕「・・・」
少女「・・・」
まるで大きなマンションをそのまま海に浮かべたようだった。
遥か沖を通っているはずのその船は、手を伸ばせば届きそうな気がした。
ふと横を見ると、少女の大きな瞳にもその船が映っていた。
僕に気付いた少女はこちらを見ると、何も言わずにふふっと笑った。
初めて時間が過ぎるのを忘れた。
時間を忘れた僕らは、昼休み終了のチャイムに間に合わず、先生に怒られた。
でも学校の外に出たことはばれなかった。
だからそれは僕らの秘密になった。
ルールを破ったことに、不思議と罪悪感は無かった。
少女と初めて海にった日、少女は僕のことを確かに友達と言った。
その日から僕の中に生まれた可笑しな気持ちは、それが何なのか分からないまま、その後もずっと燻りつづけていた。
すいません最後のとこ誤字ありました
少女と初めて海に行った日
です
今日はここまでです
つづきです
***
先生「じゃあ今日の委員会活動は終わりです。みんな気を付けて帰ってくださいね」
「はーい」
がたっ
少女「・・・」
ガラガラ・・
僕「?」
タッタッタ
僕(・・・もう居ない)
僕「・・・ねえ」
少女「・・・え?」
僕「・・なにかあったの?」
少女「え・・・どうして?」
僕「最近いつも急いで帰ってるみたいだし・・・それに、元気ないよ」
少女「・・・」
少女「・・・リリーがね・・病気なの」
僕「・・・そうなんだ」
少女「僕君は・・リリーが元気になる方法知らない?」
僕「・・・お医者さんに診せれば?」
少女「・・・うん、みてもらってる」
僕「・・・なら、そのうち良くなるよ」
少女「・・・そうだね」
少女「ありがとう」
僕「うん」
少女「リリーが良くなったら、また一緒に散歩しよう」
僕「・・うん」
少女「大丈夫だよ。リリーは噛んだりしないから!」
僕「うん」
少女「・・・良くなるよね?」
僕「・・・うん」
先生「今日は少女さんはお休みなので、▲▲さん書記をお願いしますね」
「はーい」
僕「・・・」
先生「それじゃあ今日は終わりです。卒業式は5年生中心で動いてもらうことになりますのでよろしくね」
僕「はい」
先生「あ、僕君は次の委員長だからこの後ちょっと残ってもらってもいい?」
僕「先生」
先生「ん?」
僕「明日させてください」
先生「え・・・うん。いいわよ。じゃあ明日の放課後ね」
僕「はい、すみません。それじゃ僕帰ります」
ガラガラ
タッタッタッタ・・・
先生(珍しいわね・・僕君何かあったのかな?)
タッタッタッタッタ・・
僕「はあっ・・・はあっ・・・はあっ・・」
ピンポーン
僕「・・こんにちはっ」
・・・
ガチャ
少女母「・・はい・・あ、僕君」
僕「・・少女ちゃんはっ・・その・・」
少女母「いるよ・・・上がって」
僕「はい、おじゃまします」
リリー「・・・」
少女「・・・あ」
僕「少女ちゃん」
リリー「・・・」
少女「・・ぼ・・僕君」
僕「・・・少女ちゃん」
リリー「・・・」
少女「・・・うっ・・」
少女「うわああああああああんんん!!!」
僕「・・・」
***
キーンコーンカーンコーン・・・
ガラガラ
少女「・・・僕君」ひょいひょい
僕「あ・・うん」
タッタッタ
少女「・・・」
僕「・・・」
少女「・・この間は、ごめん」
僕「べつに、謝ることないと思う」
少女「・・うん」
僕「僕の方こそ、ごめん」
少女「えっ?」
僕「僕・・・少女ちゃんのために何も出来なかった」
少女「・・・そんなことないよ」
僕「・・・」
少女「・・・リリーは」
僕「うん」
少女「人間で言えば80歳くらいだったんだって」
僕「うん」
少女「だから・・寿命だったんだとおもうから」
僕「うん」
少女「・・・来てくれて、ありがとう」
僕「・・・」
少女「・・・もうすぐ卒業式だね」
僕「うん」
少女「もう6年生かぁ」
僕「うん」
少女「6年生はクラス替え無いんだよね」
僕「そうだったと思う」
少女「・・・」
僕「・・・」
少女「僕君はさぁ・・中学受験するんだよね?」
僕「え・・分かんない」
少女「でも、塾行ってるでしょ?」
僕「そうだけど」
少女「浜木綿中学校には行かないんだよね?」
僕「・・・」
先生「あ、僕君と少女ちゃん。委員会始まるよー」
少女「あ、はーい」
僕「はい」
***
ガイドさん「こちらが有名な“眠り猫”です。なぜ眠っているかというのはいくつかの説があり・・・」
少女「・・・」ちらっ
僕「?」
少女「・・」にこっ
僕「??」
先生「それじゃあみんなでいただきますしよう。いただきます!」
「いただきまーす」
「このぺらぺらしなのなに?」
「“ゆば”だって」
「なにそれー」
「豆腐のなかまだって」
少女「・・よいしょ」
僕「?」
少女「いっしょに食べよ」
僕「え・・班の人と食べないと怒られるんじゃない?」
少女「そうかなぁ」
僕「うん」
少女「そっかぁ」
班員たち「・・・」
先生「それじゃあここで自由行動にしまーす。1時間後に集合ね」
「はーい」
タッタッタッタ
少女「僕君!」
僕「わっ!」
少女「お土産屋さん行こう!」
僕「えっ・・班行動じゃないの?」
少女「みんな結構バラバラに動いてるよ」
僕「でも・・僕1班の班長だし」
班員「・・・いや、オレも班行動とか面倒だし」
班員「そうそう。夫婦で行きゃあいいじゃん」
班員「私も××ちゃんと一緒がいいし」
僕「・・・じゃあ40分に一回集まってから集合場所行こう」
班員たち「「はいはい」」
バラバラ・・
僕「・・・」
少女「えへへっ」
僕「・・・どこ行くの?」
少女「えっと・・まずあのお店!」
僕「うん」
少女「あはは、見てみて。このキーホルダー私の名前入ってる」
僕「買うの?」
少女「僕君の名前はある?」
僕「・・・ないみたい」
少女「そっか。じゃあ買わない」
僕「?」
少女「あ、見てこの縫いぐるみ、ボタン押すと目が光るよ!」
僕「・・ねえ」
少女「なに?」
僕「あのさ・・あんまり・・こうやってると、また昔みたいに他の人に変に言われちゃうから」
少女「べつに気にしない」
僕「・・・」
先生「消灯だぞー電気消せー」
「はーい」
・・・
もぞもぞ
ごそごそ
僕「・・・みんな、どこ行くの?」
「さっきさ、先生の部屋のぞいたらお菓子置いてあったから行ってくる!」
「オレも!」
僕「・・見つかったら正座だって言ってたよ」
「だいじょぶだよ。ばれないって」
「僕も行く?」
僕「行かない」
「いいこちゃんめ」
「先生来たらトイレとか言っておいて」
僕「知らないよ・・捕まっても」
ギー・・ガチャン
僕(・・・みんな行っちゃった・・)
・・・
先生「コラッ!お前ら!!」
僕(あ・・やっぱり見つかったな)
ギー・・・カチャン
僕(もう解放されたのかな?)
少女「・・・僕君、いる?」
僕「・・え?」
少女「いた!あ、やっぱり一人か」
僕「・・・何しに来たの?」
少女「遊びに来たの!」
僕「見つかったら怒られるよ」
少女「見つからなければいいの」
僕(そういってみんな捕まったんだけどなぁ)
少女「よいしょ」
もぞもぞ
僕「え?・・・ここで寝るの?」
少女「違うよ!布団入ってれば先生が突然来てもばれないでしょ」
僕「・・・」
少女「ね」
僕「・・うん」
少女「楽しかったね」
僕「修学旅行?」
少女「うん」
僕「そうだね」
少女「・・」
僕「・・」
少女「えっと」
僕「?」
少女「もうすぐ夏だね」
僕「うん」
少女「えっと・・うちの近くにね、広場があるんだけど」
僕「6丁目広場?」
少女「うん」
僕「野球クラブの人が野球してるよね」
少女「うん」
少女「あそこでね、夏休みの終わりの頃にお祭りがあるんだけど、知ってる?」
僕「知ってるけど、あれって6丁目のお祭りでしょ?」
少女「そうだけど・・来たことない?」
僕「無いよ」
少女「そっか・・3丁目もお祭りあるの?」
僕「うん。行ったこと無いけど」
少女「そっか」
僕「うん」
少女「・・・」
僕「・・・」
少女「3丁目のお祭り行かないなら・・一緒に6丁目のお祭り行かない?」
僕「3丁目の人が行っていいの?」
少女「大丈夫だと思う」
僕「そうなんだ」
少女「・・行こうよ」
ガラガラ
僕「!」
少女「!」ささっ
先生「ん・・僕起きてるのか?」
僕「あ・・先生・・」
少女「・・」ぎゅううう
先生「あ、すまん起こしちゃったか」
僕「あ、いえ」
少女「・・」ぎゅううう
先生「あ、ごめんな。みんないるかチェックして回ってたんだ」
僕「えっと・・うちの部屋の人みんなどっか行っちゃったみたいで・・」
少女「・・」ぎゅっ
先生「ああ、先生の部屋で正座してる。僕は先寝てな」
僕「はい、おやすみなさい」
少女「・・」ぎゅっ
先生「おやすみ」
ガラガラ・・
・・・
ばさっ
少女「はぁっ・・はぁっ・・危なかった」
僕「もう帰った方がいいよ。ばれちゃうよ」
少女「・・まだ、答え聞いてないもん」
僕「え?」
少女「お祭り、行こ」
僕「あ、うん。いいよ」
少女「よし、聞いたよ!」
僕「うん」
少女「帰るね」
僕「・・おやすみ」
少女「おやすみ!」
ぎぃー・・・タッタッタ・・
今日はここまでにします
明日はおそらく更新できません
休憩時間に更新です
***
少女「お待たせ!」
僕「うん・・・浴衣着たんだ」
少女「うん!似合ってる?」
僕「そうだね」
少女「うん!ありがと!」
僕「・・・行こっか」
少女「うん・・ひゃっ!」
僕「わっ!」がし
僕「大丈夫?」
少女「ゴメン、ありがと。ゲタって歩きづらいね」
僕「気を付けてね」
少女「・・・手、つないで?」
僕「・・・うん」
ぎゅっ
つーきーがぁー
でたでぇたー・・
僕「ここの広場って大きいね」
少女「うん。来たことないの?」
僕「うん。だってちょっと遠いし、遊ぶものないから」
少女「公園じゃないしね」
僕「グラウンドでもないし・・ここなんで空き地になってるんだろうね」
少女「うん・・・あ!お菓子配ってるよ!」
僕「ほんとだ・・でも僕6丁目じゃないからもらっていいのかな?」
少女「6丁目の家には引換券が配られるんだよ」
僕「そうなんだ」
少女「私もらってくるから半分こしよ!」
僕「・・・」
少女「次はボールすくいやる!」
僕「うん。僕見てるね」
少女「僕君もやりなよー」
僕「えー・・たぶんうまくできないよ」
少女「だいじょうぶ。ほらここの流れの遅い所でとるの!」
僕「うーん・・じゃあやってみるね」
べりっ
僕「あっ」
少女「あー」
僕「やっぱり難しいね」
少女「じゃあ私が僕君の分もとる!」
僕「・・・40個もとったね」
少女「あはは!すごいでしょ!」
僕「うん」
店のおじさん「はっはっは!ぼうや、彼女のがよっぽどうまいなぁ!」
少女「えへへ・・//」
僕「・・・」
アナウンス「それでは盆踊りは20分休憩です」
少女「ね、僕君。次の盆踊り踊ろうよ」
僕「え・・無理だよ。踊ったことないし」
少女「うーん・・・じゃあさ、ついてきて」
僕「?」
少女「こっち」
僕「やぐらの下?」
少女「やぐらの下って赤白の幕かかってるでしょ。この下って入れるんだよ」
僕「え・・入っていいの?」
少女「見つかると怒られちゃうから、踊りが止まってる今がチャンス!」
僕「えー」
少女「ほら、さっと入るよ!」
僕「うーん・・」
ぴらっ
少女「はやく!」
僕「・・うん」
ぴらっ
アナウンス「では盆踊り再開しまーす」
ハァ~
踊り踊るぅ~ならぁ~・・・
少女「ほら、上の舞台でタイコ叩いてるのがすごく響くでしょ」
僕「そうだね。音大きくてあんまり良く聞こえない」
少女「じゃあ隣行く」
さっ
僕「あ、うん」
少女「・・・」
僕「・・・」
少女「・・今日は来てくれてありがとう」
僕「え?・・いや、誘ってくれてありがとう。僕、友達とお祭り来たの初めてかもしれない」
少女「えっ?お祭り初めて?!」
僕「あ、えっと。すごく小さいころに親と来たことがあるような気もするけどよく覚えてないから」
少女「そうなんだ」
僕「うん・・あ、でも花火は見たよ」
少女「え?海であげるやつ?」
僕「そう」
少女「わ、私はお母さんと、弟と見てたんだけど会わなかったね」
僕「あ、僕一人で散歩しながら見てたから」
少女「・・・そっか」
僕「?」
少女「・・来年はさ」
僕「?」
少女「花火もいっしょに見ようよ」
僕「・・花火も?」
少女「お祭りも!」
僕「・・・ありがとう」
少女「うん!」
僕「・・・・あのさ」
少女「?」
僕「僕、一人でも大丈夫だよ」
少女「え?」
僕「少女ちゃんが、僕の事心配してくれてるの分かるよ。でも僕、前からずっと一人だし、別に一人でも寂しくないから」
少女「そ・・・そういうつもりじゃないよ・・」
僕「少女ちゃんが優しくしてくれるの、嬉しいよ。たぶん僕が今まで会った人の中でいちばん優しいと思う」
少女「・・ちがう」
僕「でも、少女ちゃんは友達もいっぱいいるし、もっと自分のために時間を使っていいと思う・・・あ、でも何か勉強とかで分からないことあったらいつでも教えるよ」
少女「そうじゃない!!」
僕「えっ!?」
少女「そんなつもりじゃない!私は、僕君と一緒にいたいの!!」
僕「え?・・どういう事?」
少女「バカッ!!」
おじさん「あっなんか声がすると思ったらやっぱり入ってたか!出ろ!やぐらの下、あぶねえから!」
少女「・・・」
ダッ・・・タッタッタ!
おじさん「うわっと!・・・ほら、ぼうやも出ろ」
僕「・・・・はい・・すいません」
『2㎞先、はまゆうバイパス出口です』
女「一言良いですか?」
男「はい、どうぞ」
女「サイテー」
男「・・・知ってる」
女「でも最低な割には、ちゃんと覚えてるね」
男「まあ・・なんていうか深く後悔したからな」
女「はいはい。それじゃ深く後悔するまでのいきさつを語りなさいな」
男「・・・はぁ」
女「あ、もう高速降りるし、マキで頼む」
男「容赦ねぇなぁ・・」
ここまでにします。
次回の更新で終わりです。
更新します
***
先生「みなさん卒業おめでとう!卒業式も終わって、この帰りの会も終われば、皆さんは本当の意味で卒業です。でも、先生はいつまでも皆さんの先生です。困ったことがあったらいつでも相談してください。そして、ずっと一緒に過ごしてきた、お友達の事を一生大切にしてください・・うっうっ・・」
「先生泣かないで」
「うっ・・うっ・・」
「オレたちほとんど浜木綿中だし、いつでも会えるよ」
先生「ごめんなさい、先生カッコ悪いとこ見せちゃいましたね」
先生「・・・それじゃあ、帰りの会を終わります・・・日直さん!」
「きりーつ!」
「れい!」
「ありがとうございました!!」
少女「・・・」
ぐいっ
僕「えっ?」
少女「この後、お話したい」
僕「・・・」
少女「時間ある?」
僕「うん」
少女「じゃあ、いったん帰って着替えたら・・・海で待ってる」
僕「・・・うん」
ボーッ・・ボーッ・・ボーッ・・
ざっ・・ざっ・・
僕「・・・少女ちゃん」
少女「あ・・うん」
僕「・・」
少女「・・あのさ」
僕「うん」
少女「やっぱり、浜中にはいかないんだよね?」
僕「・・うん」
少女「・・・・」
僕「・・・・」
少女「どこ、行くの?」
僕「**中学校」
少女「あはは・・全然聞いたことないや」
僕「男子校だしね」
少女「・・・遠いんだよね?」
僕「うん・・寮のある学校だよ」
少女「・・・夏休みとかには・・帰ってくるの?」
僕「うん、たぶん」
少女「そっか・・・・うん」
僕「?」
少女「・・・聞きたいことがあるの」
僕「なに?」
少女「僕君にとって、私って何?」
僕「・・・少女ちゃんは、前、僕の事“友達”って言ってくれた・・・だから、僕も少女ちゃんの事、友達って言えるなら嬉しい」
少女「うん・・・そうだね。友達だと思う。・・・それだけ?」
僕「それだけじゃないけど・・・こんな事言われたら嫌な気持ちにさせちゃうかもしれないから・・・」
少女「ならない!言ってほしい!」
僕「・・・」
少女「・・・」
僕「少女ちゃんは・・・優しいお母さんがいて、色んな事を教えてくれるお父さんがいて、かわいい弟がいて、友達がたくさんいて、僕みたいな変な人とも仲良くしてくれる」
僕「僕は・・少女ちゃんみたいになりたかった。少女ちゃんは僕の憧れだと思う」
少女「・・・」
僕「ごめん」
少女「・・・あはは」
僕「?」
少女「謝ることないよ・・嬉しいよ・・・なんだろ・・よくわかんないや」ポロポロ・・
僕「えっ?!なんで泣いてるの?ゴメン、僕のせい?!」
少女「違うの・・お祭りのとき、怒って帰っちゃって・・嫌われたのかと思ってたの」
僕「そんな事ないよ!」
少女「よかった・・嫌われてないんだね、私」
僕「嫌いなんかじゃないよ」
少女「・・・うんっ」
ザザーッ・・・
ザザーッ・・・
少女「・・・お祭りの日の約束、覚えてる?」
僕「え?えっと来年・・あ、今年のお祭り?」
少女「うん、それと花火も」
僕「うん」
少女「私、待ってる。6丁目広場で待ってるから。だから浜木綿町に帰ってきたら、ちゃんと来てね」
僕「うん」
少女「約束だよ」
桜の花が咲くころ、僕は生まれた町から遠く離れた学校で新しい生活を始めた。
男子寮の仲間たちは皆個性的で、僕は特段変わった奴ではなくなった。
僕は、新たな環境でたくさんの友達を作ることができた。
とても居心地がいい3年間が過ぎ、そのまま付属高校でさらに3年の時間を過ごした。
でも、たくさんの友達ができて初めて気づいた。
あの時の僕の気持ちは、友達への気持ちとは少し違うということに。
僕は季節が巡る度に、少女のことを思い出した。
少女と最後に交わした言葉が燻りつづけた。
寮のベッドで目をつぶると、目まぐるしく変わる少女の表情が浮かんだ。
僕が、笑った顔も泣いてる顔も怒った顔も知ってるのは、たぶん少女だけだ。
僕が寮のある中学に進んだ年の6月、母は実家を東京に移した。
だから僕の実家は、あの町には無くなった。
だから僕は、6年間あの町に帰ることは無かった。
***
教師「じゃあ次は・・僕か」
ガチャ
僕「失礼します」
教師「えっと・・ああ、お前のところは親は来れないんだったな」
僕「すみません」
教師「ああ、別にいいよ。そういう奴多いしな。まあ二者面談で行くか」
僕「はい」
教師「えっと・・希望進路は・・・は?なんだこれふざけてるのか?」
僕「いや、ふざけてないです」
教師「航海士と獣医って・・接点無さすぎだろ」
僕「でも、いくら考えてもそれしか浮かばないんです」
教師「まぁ・・お前の成績なら医学部でも大丈夫だと思うから特に何もいう事は無いんだがな・・」
僕「そうですか」
教師「とりあえず獣医学部と海洋系大学のパンフ探しといてやるよ」
僕「ありがとうございます」
高校3年になって、進路を考える必要になったとき気づいた。
僕に『将来の夢』は無かった。
何になりたいか、ではなかった。
6年前に故郷に忘れてきたものを取りにいかなければいけないと思った。
やっと分かった。
6年前、少女が何を言いたかったのかを。
6年間、自分がどれだけ愚かだったのかを。
何も手に持たず、少女に会う事なんてできないと思った。
会えるかは分からないが、次会うときは、少女に誇れるものを持っていかなければいけないと思った。
僕は、幼いころ見た少女の涙を、拭うことができるかもしれない可能性を求めて大学に進学した。
大学一年の前期の授業が終わった夏、僕はアルバイトで貯めたお金を持って、海のにおいのする故郷に向かった。
時間は残酷だ。
でも、時間が惨酷になるのはいつだって僕に責任がある。
子供たちに6丁目広場と言われていた空き地は、高速道路の高架下となっていた。
8月の終わりの祭りは無かった。
6丁目と言う番地も無くなっていた。
高架下には遊歩道ができて、この町の人が行き交っていた。
彼らはボクを見るたびに怪訝な表情で通りすぎていった。
どんなに頑張っても涙は止まらなかった。
余りに遅すぎた。
僕は、やっと僕の初恋に気付いた。
そして、同時にそれを失った。
ブロロロロ・・・キッ
男「はぁ・・ちょっと休憩していい?」
女「休憩って、もうあと5分で着くのに」
男「・・・緊張してるんだよ」
女「もう何回も会ってるのに今更?」
男「そういうもんだよ。いままでおじさん、おばさんて呼んでたのに、今日突然お義父さんお義母さんて呼ぶのはキツイ」
女「挨拶するだけだし、べつにそんなの気にする必要ないと思うけどなぁ」
男「はぁ・・・ちょっと遊歩道歩く」
女「なに、またここでぼろぼろ泣いてみる?」
男「泣きません」
女「じゃあ、あなたの緊張ほぐすために、今度は私の初恋の話をしてあげるよ」
男「え」
女「私の初恋の人はね、頭いいんだけど、全然友達がいない、ちょっと変わった子でね」
男「うるせぇ」
女「あははっ」
おわり
じゃあもうちょっとだけ書きますね
でも時間かかるかもですが・・
では、蛇足かもしれませんがもうすこしだけ
***
***
ヒューーーーー・・・・ドーン
女の子「あーあ、花火はじまっちゃったね」
母「うん」
女の子「おとーさん、またまにあわなかったね」
母「そうだね」
女の子「おとーさんもいっしょに見たかったのに」
母「ふふふっ」
女の子「?どうしたの、おかーさん」
母「ううん。お母さんも同じこと考えてたの。お父さん、花火一緒に見ようって約束した時はいっつも遅刻するからね」
女の子「やくそくやぶっちゃいけないのにねー」
母「そうだねー。でも、お父さんは病気のワンちゃんやネコちゃんを一生懸命治してるの。だからわがまま言っちゃダメなんだよ」
女の子「うーん・・」
ヒューーーー・・・・ドーン・・
女の子「ねえ、おかーさん」
母「ん?」
女の子「おかーさんは、いつもおとーさんといっしょに花火見てたの?」
母「え?うーん・・・初めていっしょに見たのは大学1年生のときかな」
女の子「だいがく?」
母「うん、18歳のときかな」
女の子「その時のおはなしきかせて!」
母「ふふ・・いいよ」
***
***
女「ちょっと散歩してくるね」
女母「どこ行くの?」
女「ポンの散歩がてら、海岸沿いを歩いてくる」
女母「ああ、そういえば散歩まだだったね。今日はずいぶん遅くに行くんだね」
女「うん・・・なんとなくね」
女母「気を付けて、行ってらっしゃい」
女「行ってきます。行くよ、ポン」
ポン「わんっ!」
バタン
ザザーン・・
ザザーン・・
女「・・・船の明かりがキレイ」
ポン「わんっ!」
女「もうポン、もうちょっとゆっくり歩こうよ」
女「・・・この海岸も砂浜ほとんどなくなっちゃったな・・・昔は海水浴場だったのに」
ブロロロロ・・・ゴーーーーッ・・・
女「・・・」
女「・・・6年・・いや7年かぁ・・・あはは。私バカだなぁ」
ボーーーッ・・・
ボッ・・
ボッ・・
女「ねえポン、今のはね左から追い越すよって合図なんだよ」
ポン「オン」
女「あんたは、そういうの興味ないか」
ポン「オン?」
女「あははっ・・・もう帰ろうかな」
ポン「わんっ」
女「今日はどっちから帰りたい?このまま海岸沿い?」
ポン「わんわんっ!」
ぐいっ
女「えっ?遊歩道行きたいの?」
ポン「わんっ」
ぐいぐい
女「うん、わかったから。そんなに引っ張らないで」
女「・・・ココもずいぶんきれいになったなぁ」
ゴーーッ・・
ゴーーッ・・
女「・・・昔は広場だったんだよ」
ポン「?」
女「あんたは広場の方が良かったのかもね。走り回れるし」
ポン「・・・」
女「今日はね、お祭りだったんだよ」
ポン「?」
女「あはは・・あんたには関係ないか」
女「・・・さ、行こうか」
ポン「わん」
ポン「・・」
ぐいぐい
女「もうっ・・・もうちょっとゆっくり歩こうよ」
ポン「・・・わんっ!」
しゅる
タッタッタッタ!
女「あ、コラ!」
・・・タッタッタッタ
ポン「ワォン!!」
男「うわっ!」
タッタッタ!
女「ごっごめんなさい!うちの犬が・・・」
男「あ、大丈・・・」
女「・・・」
男「・・・」
女「・・・人・・違いだったら・・・ごめんなさい・・・もしかして・・昔この辺に住んでたこと、ありますか?」
男「・・・・・・はい」
女「・・・・私の事・・知ってますか?」
男「・・・・・・」
女「・・・・僕君・・ですか?」
男「・・・・少女・・ちゃん?」
女「・・・・遅すぎるよ」
男「・・・・ごめん」
女「・・・・お祭りはね、高速道路ができた3年前に無くなったの」
男「・・・・ごめん」
女「・・・・私ね、お祭りがなくなった後も、この日だけは、ずっとこの場所来てたの」
男「・・・・ごめん」
女「・・・・僕君も・・泣くんだね」
男「・・・・ごめん」
女「ううん、謝ることじゃないよ。私だって、泣いてるんだから」
男「・・・・ごめん・・本当にごめん」
女「あはは・・・・・諦めないで良かった・・・でも・・当分、許してあげないんだから」
ぎゅっ
女「東京の大学行ってるんだね」
男「・・うん」
女「あはは・・私も都内の大学なんだよ。でもなんで獣医学部?動物そんなに好きだったっけ?」
男「えっと・・・」
女「?」
男「べ・・別にいいじゃん」
女「ふーん・・よく分からないけど頑張ったんだね」
男「・・・」
女「じゃあさ、この子、ポンって言うんだけど悪いとこないか診てよ」
ポン「わんっ」
男「えっと・・ごめん。まだ一年生だしよく分からない」
女「あははっ・・そう言えばそうだね」
男「・・・」
女「もうすぐ家だよ」
男「あ・・・やっぱり引っ越したんだ」
女「うん。弟が大きくなってきてあの家じゃ狭くなったから」
男「そっか」
女「あれ?どうしたの?」
男「え?だってこんな時間におじゃまするわけにいかないし」
女「べつに大丈夫だよ」
男「いや、さすがに」
女「・・私の事、これだけ待たせたんだから、いう事聞きなさい」
男「・・・」
ガチャ
女「ただいま!」
女母「お帰り・・・あら」
男「あ・・えっと。こんばんは」
女母「えっと・・・どなたでしたっけ?」
男「えっと・・少女さんと同じ小学校だった僕です」
女母「あっ!僕君!久しぶりねー!大きくなったわねー!」
男「お、お久しぶりです」
女母「あら、じゃあ今日どうするつもり?」
僕「えっと、ビジネスホテル行くので」
女母「この辺ホテル無いわよ。泊まっていけば?」
僕「いや、でもさすがにそれは」
女母「べつにいいよね?」
女「うん」
女母「ほら、この子もいいって言ってるんだし」
僕「・・・すいません」
女母「じゃあお風呂沸かすわね」
女「あ、お母さん。私ちょっと出かけてくる」
女母「あらまた?」
女「うん、ちょっと僕君と散歩」
僕「え?」
女「じゃあちょっと準備するから待っててね」
僕「???」
弟「ね、ねーちゃん、カレシか?」
女「あんたは寝てろ」
女「さ、行こうか」
男「どこ行くの?」
女「海」
男「?」
女「約束、守ってもらうから」
男「??」
ザザーン・・
男「・・昔はもっと砂浜あったよね?」
女「うん。今はここで泳ぐ人はあんまりいないかな」
男「・・・」
女「さ、バケツにお水汲んで」
男「え?何するの?」
女「花火。打ち上げじゃなくて手に持つやつだけど・・・約束したじゃない。一緒に見るって」
男「・・うん」
女「・・・**中学出たあとはどこの高校行ったの?」
男「そのまま同じ高校。中高一貫校だったから」
女「そっか・・・友達出来た?」
男「うん」
女「よかった」
男「ありがとう」
女「・・・」
男「・・・少女ちゃんはどこの高校行ったの?」
女「市内の県立##女子」
男「・・結構難しいとこじゃなかったっけ?」
女「なぁに・・ちょっとバカにしてる?」
男「そんなことないよ。少女ちゃんも頑張ったんだね」
女「あ、上から目線だな」
男「はは・・・」
女「・・・あ、もう線香花火しかないや」
男「やっていいよ」
女「何本かあるし、いっしょにやろう」
男「うん」
ジジッ・・・パチ・・・パチパチパチ・・・
女「・・・いっぱい話そうね」
男「え?」
女「大学、二人とも都内なんだしさ。講義のあととか、どこかで会って、今までの事、いっぱい話そう」
男「・・・うん」
女「約束破って・・・私のこと傷つけたんだから、あなたに拒否権は無いんだからね」
男「うん。行くよ。いつでも」
女「・・・・あなたの大学に押し掛けたりとかするからね」
男「うん。あ、でも俺の大学駅から遠いし、少女ちゃんの楽なとこでいいよ」
女「うん」
パチッ・・・パチッ・・・
・・・
女「・・・花火終わったね」
男「うん」
ボーッ・・・ボーッ・・・ボーッ
女「僕君」
男「うん」
女「・・・・」
男「・・・・」
女「えっとね・・・私、あなたに言いたいことがあるの」
男「・・・」
女「小学校の時、ちゃんと言えなかったから・・私、」
男「待って」
女「え?」
男「俺も言いたいことがある」
女「・・・僕君」
男「俺、バカだから、6年も自分の気持ちが分からなかった。でも、やっと分かったから。もう遅すぎるのかもしれないけど、嫌じゃなければ、聞いてほしい」
女「・・・うん。嫌じゃないよ。聞くよ」
俺さ、――――――――――――――
***
***
女の子「えー?じゃあ、おかーさん、おとーさんとおなじ小学校だったの?」
母「そうだよ」
女の子「小学校のときの、おとーさんってどんな子だったの?」
母「えーっとね、それはお父さんから直接聞いた方がいいよ」
女の子「えー」
父「ゴメンゴメン!やっと終わったよ!」
女の子「もー!おとーさん、遅い!」
父「ゴメンね。でも、もうお仕事終わったからね。花火まだ途中だよね?」
母「お疲れ様。まだ、半分くらいだよ」
父「良かった」
女の子「おとーさん、肩車して」
父「うん、よいしょー!」
女の子「わーい!よく見える!」
父「うん、それは良かった」
女の子「ねー、おとーさん」
父「ん?」
女の子「・・・おとーさんて小学生だったときどんな子だったの?」
父「え・・・おい、何喋ったの?」
母「あははっ」
おわり
これにて、本当に終わりです。
また別のssでお会いできると嬉しいです。
あー痛恨のミスです
121と122の間に次の入れて脳内保管してください・・・
ホントスイマセン
シュボッ・・シューーーーー・・
女「・・・この花火もけっこうキレイだよね」
男「うん」
女「・・私の昔の家、行ったの?」
男「うん・・一回6丁目広場行って、お祭り無いの分かった後にね。表札変わってたからもう浜木綿町に居ないんだと思ってた」
女「・・それで、また遊歩道行って泣いてたの?アハハ・・カッコ悪いんだ」
男「・・・そうだね」
女「・・・ホント言うとね、今年はもう諦めて、行かないつもりだったの」
男「え?」
女「遊歩道・・6丁目広場。でもね、ポンがそっち行きたいからって言うからしょうがなく行ったの」
男「・・・そっか」
女「あはは・・明日は肉缶あげなきゃ」
ホントに終わりです
すみませんでした
このSSまとめへのコメント
ええな
良かった