魔王「震えろ人間!! 地上はこの魔王の物となる!!」(216)


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女騎士「私が守ってやる!!」
女騎士「私が守ってやる!!」 - SSまとめ速報
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の続き。

取り敢えずスレは立てましたが、書き始めるのはもうちょい掛かりますm(__)m


最近書いたの
おとこ「はい、ボクは幼馴染みさんの下僕です」
おとこ「はい、ボクは幼馴染みさんの下僕です」 - SSまとめ速報
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 魔王城 玉座の魔



白騎士「魔王様、『天空のホルン』の修復が完了致しました。どうぞ、お受け取りくださいませ」

魔王「うむ……」ガシッ


魔王「それで、どのぐらい保てるのだ?」チラッ

黒騎士「はっ!! 魔王様の魔力で有れば、50秒程かと」



魔王「50秒? 短いな……しかし、そろそろ動かねばなるまい」

白騎士「はい。魔王様のお言葉こそ、人間達へ恐怖を与える最大のダメ押しとなるでしょう」コクリ


黒騎士「魔力をホルンへ込めれば、すぐに50秒のカウントダウンが始まり」

黒騎士「その間、ホルンを通して魔王様が発した声は、地上に居る全ての者へと響き渡ります」



魔王「……」

魔王「そうか」


魔王(魔力を、天空のホルンへ込めるっ)ピカァァッ

魔王「ふぅっ……」



魔王「では、始めるとしようか?」ニヤリ

魔王「……」


魔王「グハハハハハハハッ!!!」

魔王「聞けよ人間!! 我が名は魔王!!!」



魔王「どうだ? 地上に散らばっている、黄泉の国より呼び寄せた我が軍勢は、目にして頂けたかな?」

魔王「既にッ、最大の城壁都市エジンベアは落ちた!! 貴様らに逃げ場は無いと知れ!!」


魔王「人間も、亜人も、獣人も、下等生物も!! エルフも、ドワーフも、リザードマンも、精霊も!!」

魔王「皆殺しだッ!!! 地上に住まう生物全てを、この手で葬り去ってくれる!! さぁ……」



魔王「震えろ人間!! 地上はこの魔王の物となる!!」

魔王「勇者を返り討ちにしたら、即座に本格的な進行を始めるぞ?」


魔王「それまでは精々身を寄せ合い、抵抗してみせろ。我を楽しませられれば……気が変わるかも知れんからなぁ?」ニヤリ

魔王「フッ、フハハハハハハハハハハハッ!!!」



魔王「ハハハハハハッ」バリーーン

黒騎士(ホルンが壊れた。時間ギリギリだったな……)



魔王「ゲホッゲホッ!! うぅっ、ノド痛い……大声だし過ぎたかな?」

白騎士「魔王様、うがい薬です。どうぞ」スッ



魔王「うん、ありがとシロ」ニコリ

白騎士「いえ。それに、素晴らしいお言葉だったと思いますよ?」


魔王「そうかな? 上手くやれた?」

黒騎士「ああ、最高の魔王だったぜ?」ニヤリ



魔王「……」

魔王「そっか。そうだと、嬉しいな……」クスッ


魔王「……」

魔王「……」




魔王「モシャス」シュン

少年「っと。魔王に変身すると弱くなっちゃうからね」スタッ


少年「これから先はこの姿で居るよ。どんな姿をしてたって、魔王はボクだし」

少年「それに、ここへはもう……三人しか居ないんだからさ」





  ── 最終局面 ──



 地上に住まう全ての生命対魔王軍。

 最早、対立の構図はハッキリと浮き彫りになった。

 人間同士で、果ては他種族同士で、争っている暇など有りはしないのだ。


 今や孤高にして神位の存在だった竜や精霊までも、人々の前へ姿を現して協力し、魔王軍と戦っている。


 そして皆が皆、一人の勇者に希望を託すのだった……

 魔王対勇者。闘いは、最終局面へ。



第九話

魔王「震えろ人間!! 地上はこの魔王の物となる!!」




 最西の地 廬山の大滝



 ザザァーッ

女騎士「……」

女騎士(勝機は、有る)


女騎士(例え相手がアイツだとしても、勇者の魔法を使えたとしても)

女騎士(ただ一つ。私が使えてアイツが使えない、勇者の究極奥義)



女騎士(その奥義ならば、アイツにも勝つ事が出来る!!)ギリッ

女騎士(だが……その奥義を、アイツに放てるのか?)


女騎士(私はアイツを、殺せるのか!?)

女騎士「……」



女騎士(こうして滝に打たれても答えは出ず)バシャバシャバシャッ

女騎士(つまりは……)


女騎士(出来ないって事なんだな。結局はアイツを、殺すなんて出来ない。私では、殺せない)

女騎士(しかし、地上に響いたアイツの言葉……止めるんだ、この私がッ!!)



女騎士(弟は、私が止めるッ!!!)カッ

女騎士「……」バシャバシャバシャッ


女騎士「くしゅん!!」

武闘家「魚が焼けたぞ!! そろそろ上がって来い!!」




 大滝の側 川沿い



武闘家「ほらよタオルだ、さっさと体を拭いて服を着ろ」

女騎士「すまんな……」ゴシゴシ


武闘家「……」

女騎士「ふむ」フキフキ



女騎士「セックスするか?」チラッ

武闘家「しねぇよバカ!!」


女騎士「せっかく裸なんだぞ?」

武闘家「だから服を着ろっつってんだろが!!」



女騎士「何をそんなに怖がっている?」

武闘家「チッ」


女騎士「いつまで待っても、私の気持ちはお前の方へ向かないぞ?」

武闘家「……」



女騎士「どうしてもな、昔お前にイジメられていた頃を思い出すんだ」

女騎士「だから、一人の男としては愛せない」


武闘家「わぁーってるよ……」

女騎士「……」



女騎士「でもだぞ?」

女騎士「それよりもずっと、ずっと……人として、仲間として、尊敬もしてるし、感謝もしてる」


武闘家「……」

女騎士「武闘家、体で繋がるだけじゃダメなのか? お前が望むなら、お前の子を身籠っても良い」



武闘家「ばか、言うなよ……」プイッ

女騎士「そんなに、私とはシたくないか? それとも、他に好きな奴が出来たのか?」


武闘家「っ……」ギリッ

武闘家「んな訳ねぇだろっ!! 俺はずっとテメェが好きだったし、これからだってずっと好きだ!!」



女騎士「だったら……」

武闘家「いいんだよコレで!!」


女騎士「……」

武闘家「安心しな。魔王の野郎をブッ殺すまで、テメェの事は俺が命懸けで守ってやっから」



女騎士「ふふっ」クスッ

女騎士「惜しいな武闘家? そのセリフ……もっと昔に言われてたら、間違いなく私は落ちていたぞ?」ニコリ


武闘家「チッ」

女騎士「ありがとう武闘家。今ので私も決心が着いた……」



女騎士「例え誰だろうと……魔王を倒すッ!!」

武闘家「はぁ? ったりめぇだろ?」


女騎士「それでな武闘家?」

武闘家「どうした?」



女騎士「ケジメと決意だ。私はこれから、自らを勇者と名乗る!!」

武闘家「好きにしろよ」


女騎士「仲間もだ。これからは私を勇者と呼べ!!」

武闘家「僧侶も賢者も、既に呼んでんだろ?」



女騎士「お前もだよ」

武闘家「あん?」


女騎士「お前やテメェでは無く、勇者……きちんとそう呼べ」

武闘家「……」




武闘家「分かった……勇者、必ず魔王を倒すぜ!!」

女騎士「うむ。無論だ!!」


女騎士「そしてもう一つ……近くに寄れ」クイックイッ

武闘家「なんだよ?」スッ



女騎士「よし、掴まえた」ガシッ

武闘家「おい、一体なにを……」



女騎士「んっ」チュッ

武闘家「っ!!?」ビクッ




女騎士「……」ギュッ

武闘家「……」


女騎士「っ、はぁぁっ……許せ武闘家。私の、人間としての最後のキスだ」

勇者「これで心置き無く、私は魔王を倒す為だけの勇者になれる」ニコリ

書いてる途中で、これまでの設定を全部ぶん投げて、少年の重婚エンドにしようとも思ったけど、
やはり最初に考えてたラストにするよ。

おやすみなさい



勇者(そう。勇者としての役割を果たす……)

勇者(それだけだっ!!)


勇者「……」

武闘家「……」



勇者「それはそうと、ムラムラして来たのだが?」

武闘家「おい……」


勇者「頼む武闘家!! 後生だ!!」ペコリ

武闘家「知らねぇよ!! 自分で何とかしろや淫乱ビッチ!!」



勇者「あぁっ……罵られても感じるぞ私は?」ブルッ

武闘家「相変わらず終わってんな?」


勇者「前にも言ったが、お前の股ぐらで口を開けて待ってるから、自分で扱いて……」

武闘家「だから俺も、前にやらねぇって言ったろうが!!」



勇者「しかしな……これではベストコンディションで戦えない」

武闘家「チッ」プイッ


武闘家「本当にダメだって時は考えてたやっから、それまでは我慢して僧侶達を待ってろ」

勇者「ふむ……むっ? それで、その僧侶と賢者はまだ戻らないのか?」キョロキョロ



武闘家「賢者はさっき戻って来て……」チラッ

武闘家「あっちの木陰で休んでるぜ?」


賢者「くー。くー」

勇者「僧侶は?」



武闘家「まだ戻らねぇ所を見ると、どうやら僧侶がヒットだったらしいな」

勇者「ふぅっ……天空城へ向かう虹の橋」


勇者「その虹の橋を架ける為の重要なアイテムを、管理人がどこへ隠したか忘れるとは」

武闘家「まぁ、定期的に隠し場所を変えてって言うし、最近はモンスターが彷徨いてゴタゴタしてっしな」

>>31
× 武闘家「まぁ、定期的に隠し場所を変えてって言うし、最近はモンスターが彷徨いてゴタゴタしてっしな」
○ 武闘家「まぁ、定期的に隠し場所を変えてたって言うし、最近はモンスターが彷徨いてゴタゴタしてっしな」



勇者「……」

勇者(管理人が定期的に隠し場所を変えていたと言うのは)


勇者(私が調べた、滝の裏の洞窟……)

勇者(武闘家が調べた、離れ小島の社)



勇者(賢者が調べた、地下火山の内部)

勇者(そして僧侶が調べている、沼地の洞窟)


勇者「……」

勇者「僧侶……」ボソッ



武闘家「なんだ? 僧侶が心配か?」

勇者「あ、いや……そうだな。そんな所だ」


武闘家「この辺りのモンスターは倒しちまったんだ、危険はねぇよ」

勇者「ああ、分かっているよ……」コクリ



僧侶「はぁ、はぁ、はぁ!! みなさーーん!!」タタッ

武闘家「おっ? ちょうど戻って来たじゃねぇか?」


武闘家「何か手に持ってるな? 杖か? もしかするとアレが……」

勇者「……」



勇者「……」

僧侶「お待たせ致しましたっ!! これが虹の橋を架ける……」ニコリ


勇者「止まれ僧侶ッ!!!」ギロッ

僧侶「っ!?」ビクッ




賢者「ん?」パチッ

武闘家「勇者?」


僧侶「ど、どうしたのでしょうか勇者さま? 突然大声を……」アセアセ

勇者「僧侶、どこへ行っていた?」



僧侶「どこへ、とは? わたくしには申している意味が……」

勇者「そのままの意味だよ。どこへ、行っていたんだ?」


僧侶「……」

武闘家「……」



僧侶「勇者さまも知っているでは有りませんか? わたくしは洞窟に……」

勇者「僧侶も知っている筈だ。私は、鼻が利くんだよ」


勇者「なぁ僧侶? お前から、ドロの匂いは一切しないぞ?」

僧侶「っ……」



勇者「それにだ。洞窟には、何も無かったよ」

僧侶「……」


勇者「僧侶から少し遅れて、実は私も洞窟へ向かったんだ」

勇者「けど、何も無かったし、お前とも会わなかった」



勇者「ぬかるんだ地面には、私の足跡しか無かった……」

勇者「なぁ、なぁ、僧侶? そのアイテムを、どこから持って来たんだ?」


賢者「ん? ん? どうしたんだ二人とも?」キョロキョロ

武闘家「いいから、黙って見とけ」

たぶん、ここから先はラストまでエロが無いかも


おやすみなさい



僧侶「……」

勇者「……」


勇者「気にするな。残念では有るが、この展開を考えていなかった訳では無い」

勇者「いつだったか……私が新しく勇者に選ばれ、その翌日には私のもとへ訪ねて来た」



勇者「前勇者の仲間で、今度こそ魔王を倒したいと言い……」

勇者「何をすべきかも、どこへ向かうべきかも、全てをナビゲートしてくれたな?」


僧侶「……」

勇者「話が出来過ぎなんだよ。上手く行き過ぎだ」



勇者「夜な夜などこかへ抜け出し、翌日にどうしたのかと聞けばシラを切る」

勇者「しかしそれでも、僧侶を信じていたかった」


僧侶「……」

勇者「疑いを向ける決定打になったのは、ダークエルフの森だな」



勇者「ただ立っているだけでも息苦しくなる程の邪悪が、すぐ傍らに居たんだ」

勇者「共に長年暮らしていた賢者はまだしも、その凄まじい邪気を、私と武闘家が感じていたのに」


勇者「僧侶、お前が感じない筈は無いだろ?」

僧侶「……」



勇者「しかしお前は、プレッシャーで緊張するどころか、綺麗な音色の歌まで奏でてみせた」

勇者「その時に悟ったよ……」


勇者「僧侶? お前があの程度の悪では何も感じないほど」

勇者「もっと巨大な悪の近くに居て、悪に……慣れているんだとな!!」



賢者「……」

武闘家「……」


勇者「ならば誰か!? あれほど悪を上回る悪となれば、それはもう……」

勇者「魔王しか居ない!!」キッ



僧侶「……」

勇者「どうだ、間違ってるか? 間違っているなら謝罪するが」


僧侶「……」

僧侶「その必要は、ございません」ニコリ



賢者「えっ、僧侶!?」ビクッ

僧侶「お見事です勇者さま」


僧侶「確かにわたくしは、使命を受けて皆さんをここまでご案内いたしました」

勇者「やはりか……」



僧侶「そしてこの『虹の杖』は、天空城……いえ、魔王城に安置していた物」

僧侶「万が一にも、誰かに取られては大変ですからね」クスッ


武闘家「そんで? それを使って魔王のとこへ行く。そこまではいいさ」

武闘家「そしたらよ? 僧侶? オメェは、こっちと、あっち。どっちの方へ着くんだ?」



僧侶「……」

僧侶「勇者さまと……」


僧侶「共闘し、魔王を討ちます!!」

武闘家「だってよ? どうすんだ勇者?」チラッ



勇者「一緒に行こう。それに僧侶を置いて行ったとしても、自由に魔王城へ行き来するんだったら意味が無い」

僧侶「はい……」ニコリ


僧侶「手順を踏んで虹の杖を用意しましたが、わたくしのルーラでも飛べますから」

勇者「だと思ったよ……」ニコリ



賢者「うぅっ……僧侶は、仲間って事で良いんだよね?」

武闘家「ああそうだ。取り敢えずは、今まで通りでいいってよ」コクリ


賢者「えへへっ。そっか……友達とは戦いたくないもんなっ」

僧侶「賢者……」



僧侶「……」

僧侶(わたくしはっ!!)ギリッ


僧侶「勇者さま!! 今こそ全てをお話……」

勇者「いや、いい」



僧侶「へっ?」

勇者「誰が相手だろうと、勇者のすべき事は一つ!! 魔王を倒す……それだけだ。だろ?」チラッ


僧侶「勇者、さま?」

勇者「よし!! 今から町へ戻ってぐっすり寝るぞ!!」



賢者「おーっ!!」ピョン

勇者「美味い物もたくさん喰おう!!」


賢者「おーっ!! おーっ!!」ピョンピョン

武闘家「もう、体を絞る必要もねぇ……久々に脂身たっぷりの肉でも喰うか」ニヤリ



勇者「そうだそうだ、たくさん喰え。僧侶と私は後から合流する」

僧侶「えっ?」


勇者「私も、おいしーい肉体を、味見してから行くよ♪」ペロリ

僧侶「ひぃぃっ!?」ビクッ




 その夜 町の肉料理店



賢者「あぐあぐっ」パクパク ガツガツ

武闘家「逃げねぇから、もっとゆっくり喰え。ノドに詰まらせるぜ?」


賢者「うむっ!!? み、みじゅぅ……」ピクピク

武闘家「ああ、言わんこっちゃねぇ!! ほら飲めっ」スッ



賢者「んぐっ、んぐっ、んぐっ……ぷはぁぁっ、助かったぞ。ありがとね武闘家っ」ニコリ

武闘家「あいよ」


勇者「おっ、なんだ……仲良くやっているじゃないか?」タッ

武闘家「チッ、遅いっつんだよ。僧侶はとっくに来てんぜ? ご覧の通り、テーブルに突っ伏して寝てるがな」



勇者「なんだ、一口しか食べてないじゃないか。勿体ないから私が食べよう」

勇者「こら僧侶、フォークとナイフを放せ。私が食べられないだろっ」グイッ


武闘家「……」

武闘家「そんで?」



勇者「私か? 私は骨董品の買い物だ」

武闘家「買ったブツは部屋に置いて来たのかよ?」


勇者「ふっ。私の左手を見ろ」キラキラ

武闘家「あ? なんだそりゃ? 指輪?」ジィーッ



勇者「素晴らしいセンスだろ?」

武闘家「んなもん買いに行ってたのかよ……」


勇者「おい、引くな」

勇者「無論これは、普通の指輪じゃない」



勇者「……」

勇者「魔王の声が、世界中に響き渡った時が有るだろ?」


勇者「それはどうやら、天空の城に存在する『天空のホルン』と言う秘宝の力らしい」

勇者「そして天空のホルンは、一度使うと砕けるんだ」



賢者「あぐあぐっ♪」パクパク モグモグ

僧侶「すぅーっ。すぅーっ……」


武闘家「……」

勇者「つまり、次に使う時は、修復してからでないと使えないと言う訳だな」



勇者「そして……」

勇者「勇者ロトとの戦いで、前魔王は天空のホルンを使用している」


勇者「だから今の魔王は、修復してからホルンを使ったのだ」

武闘家「悪りぃ、長話は嫌いでよ……で、なんなんだ? 結論だけ教えてくれ」



勇者「結論か?」

勇者「ふむ……」


勇者「……」

武闘家「……」



勇者「今の魔王が使った天空のホルンは欠陥品だ」

勇者「何故なら、以前に砕けた時、その破片の一部が地上に落ちたからだ」


武闘家「ほぉ……するってぇと、その指輪は?」チラッ

勇者「うむ。破片を加工して作られた物だ。天空のホルンと同じ力を有しているぞ?」ニヤリ



勇者「フフッ」

武闘家「……」


武闘家「で?」

勇者「で、とは?」



武闘家「天空のホルンと同じ能力を使えるとして、それを勇者はどうすんだ?」

勇者「どうすんだ? 秘密だ」


武闘家「……」

勇者「もしかすると使わないかも知れない。そんなに気にするな」



勇者「それよりも肉を喰え肉を!! さっきから手が止まってるじゃないか?」

勇者「それとも……」


勇者「私が、『あーん』でもしてやろうか?」ニヤニヤ

武闘家「ああ?」ジロッ



武闘家「……」

武闘家「いや、頼むよ」


勇者「は? ホントにするぞ?」ピクッ

武闘家「しろよ」



勇者「ふっ、この甘ったれめ」クスッ

勇者「ほらっ、口を開けろ……あーーん」


武闘家「あ、あーーーっ……」

武闘家「んっ」パクッ



勇者「……」

勇者「どうだ? 美味いか?」


武闘家「ああ、ぐすっ。死ぬほどうめぇ……」ポロポロッ

勇者「ふふっ、泣くな泣くな。もう一回……あーーん」スッ




 一時間後 町の中央広場 噴水近く



賢者「それで、話ってなんだ? 食後の散歩をした訳じゃないよね?」

勇者「ああ。明日の作戦について話をして置こうと思ってな」


賢者「作戦? 魔王との戦いのか?」

勇者「そうだ……」コクリ



賢者「おおっ!! それで自分は何をすればいいんだ勇者ぁ?」ワクワク

勇者「簡単だ。魔王とは私が戦うから、賢者はその配下を押さえていてくれればいい」


賢者「うんっ、わかったぞ!! 自分に任せてくれ!!」

勇者「……」



勇者「ただ……」

賢者「ん?」


勇者「マホカンタ、マホターン。その他、魔法防御に関わる類の魔法は、使わないで欲しいんだ」

勇者「もちろん、ここを出発する時に、前以て掛けて行くのも無しだぞ?」



賢者「……」

賢者「それは、いいけど……」コクリ


勇者「すまんな。今は言えないが、スゴい作戦を思い付いたんだ」ナデナデ

賢者「うん。信じる……信じるしかないもんねっ!! 明日は勝とうね勇者!?」グッ




 深夜 町の宿 勇者の部屋



勇者「……」

勇者「……」


勇者(寝て、目覚めれば、後は魔王との戦いか)

勇者(出来る事は全てやったと思うが……どうだろうな?)



勇者「なぁ、どう思う?」ボソッ

勇者(『アイツ』も、魔王と戦う前夜は、こうして体が震えたんだろうか?)ブルッ


勇者(武者震いだと強がりたいが……怖い、辞めたいっ、逃げ出したいッ!!)ブルブルッ

勇者「くっ……」



勇者(だが……)

勇者(僅かな間とは言え、ロトと一体化したからだろうな)


勇者(ロトの記憶。そのほんの一部が、私の中に残されていた)

勇者(だから天空のホルンの情報も知っていたし、だから……あんな作戦も思い付けた)



勇者(そう。私に流れる勇者の血が、私に逃げるなと、戦えと言っているのだ!!)

勇者(人々を救い、必ず世界を平和にせよと、それが勇者の使命だと、言っているのだ!!!)


勇者(負けはしない。負けは、許されない……必ず、勝つ!!)

勇者(例え、この命と引き換えになろうとも)




 翌日 魔王城 玉座の間



少年「……」

少年「……」ピクッ


少年「来た?」チラッ

僧侶「いえ、わたくし一人です」タッ



白騎士「勇者と一緒に来るのではないのですか?」

僧侶「その、つもりだったのですが……破門されてしまいまして」


黒騎士「破門だぁ!? 何でまた?」

僧侶「魔王を相手に、本気で戦えないんだろ……と」



黒騎士「あちゃー、何もかもバレちまったって訳か?」

白騎士「それなら、どうするんですの? 私たち側で?」


僧侶「……」

僧侶「卑怯だと思いますが、わたくしは戦わないで居ようかと」



僧侶「誰とも戦いません。どちらにも加担致しません」

僧侶「戦いの成り行きを、皆さんの戦いを、ただ、ただ。最後まで見守ります……」


僧侶「それでは、駄目でしょうか? で有れば出て行きますが?」

少年「……」



黒騎士「俺は構わないが……」チラッ

白騎士「私は、どちらでも……」チラッ


少年「……」

少年「うん。いいんじゃないかな?」ニコッ



僧侶「あ、ありがとうございます!!」ペコリ

少年「長旅お疲れ様。こっちこそ、今までありがとね僧侶っ」


少年「勇者達はすぐに来るの? まだ時間が掛かるようなら、部屋で休ん……」

少年「……」ピクッ



黒騎士「……」

白騎士「……」


少年「……」

少年「来た、ね……」チラッ





勇者「なんだ、この城は出迎えも無しか?」スタッ

賢者「観念しろまおー!!」ビシッ


武闘家「っ……」

武闘家「よぉ、久し振りじゃねぇか?」ギロッ



少年「……」

少年「ああ、誰かと思ったら」


少年「ふふっ、少しは……強くなりました?」クスッ

武闘家「ぐっ!? テメェ!!!」



勇者「よせっ!! アイツとは私が戦う!!」ガシッ

武闘家「ぐっ、ぐうっ……」プルプル


武闘家「チッ」

武闘家「そんじゃあ俺は、黒騎士って奴にしてやっか」



勇者「賢者は、白い鎧の騎士を……」

賢者「うんっ!!」コクリ


勇者「……」

勇者(そして私は……)



勇者「……」ザッ

少年「……」


勇者「お前が魔王か?」

少年「貴女が、勇者ですか?」



勇者「弱そうだな?」

少年「弱そうですね?」


勇者「何か喋るか?」

少年「喋る事なんて、何も無いです」



勇者「そうか……」

勇者「ならば、もはや語るまい!!」ジャキッ


勇者「魔王、お前も剣を抜け!!」

少年「必要だと思ったら、抜きますよ」クスッ



勇者「……」

少年「……」


勇者「あ」

少年「あ」




勇者「先に言って置く」

少年「言い忘れてました」



勇者「私は、強いぞ?」

少年「ボク、強いんで」



勇者「ふっ、あははははははっ!!」

少年「なんですか?」



勇者「いやいや。いいぞ、弟くん……」

少年「っ……」ピクッ



勇者「お姉ちゃんが胸を貸してやろう。さぁ、遠慮せずに掛かって来い」ニヤリ

少年「くっ、今さらっ……」ギリッ



少年「ボクを」

少年「弟って言うなッ!!」



僧侶「……」

僧侶(ついに……勇者と魔王、その戦いが始まってしまいました)


僧侶(ですが、どっちつかずの半端なわたくしには、戦いの行く末を見守る事しか出来ません)

僧侶(どちらとも関わっているのに、どちらの考えも深くは知らない……)



僧侶(そんなわたくしが、戦って良い訳が無いのです!!)

僧侶(ただ、願わくば……皆が無事でありますように)


僧侶(ああ、神よ。神よどうか……)

僧侶(哀れな姉弟を、お救いくださいませ)

おしまい


短いですが、今回はこれで終わりです。

続きは、このスレが残ってればここに、もし落ちてたら別スレ立てます

次で一応最後になる予定です。今まで読んでくれた人は、もう少しだけ付き合ってね

みんなホモだったんだね…(驚愕)

了解。安価部分は、何もかも終わった最後のオマケで。



続きはここへ書きます





 ── 魔王と勇者 ──



 魔王が誰よりも上に立ち見下すのなら、勇者は誰しもと同じ目線に立って共に空を見上げる。

 魔王が絶望を与えるのなら勇者は希望を与え、魔王が世界を破壊するのなら勇者は世界の平和を守る。

 魔王が破れれば新たな魔王が現れ、勇者が破れれば新たな勇者が現れ、それを何度も繰り返して世界は歴史を築く。


 つまりは、魔王と、勇者の歴史。


 その歴史を終わらせる事が出来るとするのなら、それは……魔王か、勇者、どちらかが、自らの役割を変えた時。



最終話

勇者「世界を救うのは、この私だ!!」




 魔王城 玉座の間



黒騎士「っ!?」チラッ

黒騎士(アイツがあんなにも感情を剥き出しにするなんて……どうしたんだ!?)


武闘家「カッ、よそ見すんじゃねぇぜ? まっくろくろすけの大将よさんぉ!!」ダッ

武闘家「風陣脚ッ!!」ブォン



黒騎士「ぐっ……」ジャキッ

黒騎士「フンッ!!」ガキィィン


武闘家「……」

武闘家「チッ。首を狙ったんだが……流石に弾き返すか」

>>85
ださい間違いあった

×武闘家「カッ、よそ見すんじゃねぇぜ? まっくろくろすけの大将よさんぉ!!」
○武闘家「カッ、よそ見すんじゃねぇぜ? まっくろくろすけの大将さんよぉ!!」ダッ



武闘家(だが、受けには回れねぇ。攻め込むんだ!! 零距離まで詰めて、奴の剣を封じる!!)

武闘家「であぁァッ!!!」ダンッ


黒騎士「ほぉ、飛び込んで来るか?」ニヤリ

黒騎士「しかし、勢いだけではなッ!!」



武闘家(剣の攻撃は主に三種類。縦への斬撃か、横への凪ぎ払いか、突きか……)

武闘家(それさえ見切れれば!!)


黒騎士「遅いッ!!」ブォン

武闘家(縦への降り下ろし!?)



武闘家(狙うのは、降り下ろされる剣の側面。横へ弾き跳ばすように、そこへ拳を……叩き込む!!)

武闘家「ハァッ!!!」ガキィッ


黒騎士「ぐっ……」グラッ

武闘家(バランスを崩した!? 今ならどうやったって、俺の攻撃の方が早い!!)



武闘家「今度こそ、その首を貰うぜ大将!!」

武闘家「風陣脚ッ!!」バッ


黒騎士「……」

黒騎士「ハヤブサ斬り!!」ブォン



武闘家「あ」

武闘家「ヤベっ……」


賢者「イオッ!!」バッ

武闘家「っ!? ぐああァッ!?」ドゴォォン



賢者「ごめんな武闘家? 何となく危なそうだったから、吹っ飛ばしちゃったぞ」

武闘家「いや、助かった……あんがとよ」フラフラッ


武闘家(ハヤブサ斬り。確か、一瞬の間に二度の斬撃を繰り出す技だったな?)

武闘家(ヘタしたら、一撃目で風陣脚が弾かれ、二撃目でお陀仏だったか……危ねぇ危ねぇ)



黒騎士「……」

黒騎士「白騎士」チラッ


白騎士「……」コクリ

白騎士「では、私は魔法対決にしましょう」



白騎士「賢者さんも、そちらの方がよろしいですよね?」ニコリ

賢者「ん?」


賢者「……」

賢者「そうだな。そうしてくれた方が、こっちも嬉しいぞ」ニコリ



白騎士「とは、言いましたが……」

白騎士「小技で競い合って、戦いを長引かせるつもりは有りません」ダッ


白騎士「すぐに貴女を倒し、仲間の援護に回らせて貰いますわ!!」

賢者「それはこっちのセリフだからねっ!!」キッ



白騎士(どうやら、防御魔法は掛けていないみたいですわね)

白騎士(ならば、有言実行っ!!)


白騎士「フィンガー、フレアボムズ!!!」バッ

賢者「ッ!?」



賢者(マホカンタは使うなって言ってたよね? だったらっ!!)

白騎士「このメラゾーマの連続投擲!! 避け切れるものなら避け切ってみなさ……」


賢者「レミーラッ!!」ピカァァッ

白騎士「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!?」ビクッ



白騎士「ぐっ、うぅっ、目がっ……こんな、目眩ましの魔法なんかにっ」フラフラッ

賢者「幾ら頑丈な兜を被ってたって、視界は遮れないでしょ?」ニヤリ


黒騎士「なにやってんだ!? 相手を見くびるな!!」

白騎士「問題、ありませんわ……マホターン!!」



白騎士「ふぅっ、ふぅっ……」

賢者(動かない? 視力が戻るまで待つつもり?)


賢者「いいよ。そっちの防御魔法が切れた瞬間に、自分の最強魔法をお見舞いしてやるぞ!!」

賢者(みんなっ、にぃにぃ……力を貸してくれぇ!!)ギリッ



武闘家「……」チラッ

武闘家(んだよ、思ったよりよっぽどやるじゃねぇか)


武闘家(俺の方が、数段ヤバいか……)

黒騎士「……」ギロッ



勇者「……」

少年「……」


勇者「行くぞ?」

少年「どうぞ」



勇者「……」ジリッ

少年「……」


勇者「イオラッ!!」バッ

少年「イオラッ!!」バッ

おやすみなさい

戦闘シーンは、そんなに長くならない予定




 ドゴォォン!!


勇者(相殺ッ!! 同じ魔法なら、威力負けしていない!!)

勇者(大丈夫だ、私は……強くなってる!!)


勇者「ピオリムッ!!」

勇者「そしてっ、剣の腕は更に強くなっているんだっ!!」ダッ



少年「っ……」ジャキッ

勇者「剣を抜いたな? それでいい!!」


勇者「でぇぇぇぇぇい!!」ブォン

少年「はっ!!」ガキィィン



少年「確かに、強くなったね……」

勇者「ああ。お前がバラ撒いてくれたモンスターを、倒しまくったからな?」


勇者「だいぶ、レベルアップしたよ!!」ブォン

少年「フッ!!」ガキィィン



勇者(それでも、ピオリムも使ってようやく互角……)

少年「ボクの予想以上だよ、勇者ぁっ!!」ニヤリ


少年「ギガッ、スラァァァッシュ!!」

勇者「くっ、ギガスラッシュ!!」



僧侶「ああっ……」ブルブルッ

僧侶(背を向けたい、目を覆いたい、耳を塞ぎたいっ)


僧侶(どちらかを応援すると言う事は、どちらかの敗北を祈ると言う事)

僧侶「弱いのです、わたくしは……弱いのですっ!!」フルフル



僧侶(戦ってすらいないのに、安全な所で眺めているだけなのに)

僧侶(わたくしの体は誰よりも震え……歯を噛み締めて耐えなければ、恐らく真っ先に逃げ出してしまうでしょう)


僧侶(神よ、おお神よ、わたくしにこの戦いを見届ける勇気をっ!!)

僧侶「勇気を、くださいませっ!!」ギリッ



勇者「イオ、イオ、イオッ、イオッ、イオッ!! そらそらそらそらそらぁっ!!!」ドドドドドドドドッ

少年「何発うったって、ふぅぅっ……当たらないよそんなの!!」ダッ


勇者「そうか? その割りには、息が上がって来てるように見えるがな!!」

勇者「イオラッ!!」バッ



少年「っ!?」

少年「うあああああああああぁッ!!?」ドゴォォン


勇者「……」

少年「うぅっ……」ガクンッ



勇者「……」

勇者「くっ……」プルプル


少年「はぁっ、はぁっ、はぁっ」フラフラッ

勇者「フザケるな!! 私は何重にも補助魔法を掛けているんだぞ? 何故お前は使わない!?」



勇者「それに、どうして低級魔法をわざわざ避ける!?」

勇者「マホカンタは? マホターンは!? 最初のイオラ以外、どうして魔法を使わない!?」


少年「……」

少年「別に、意味なんて無いんで……」



白騎士「あはははははっ、先ほどまでの勢いはどうしましたの!!」ブォン

賢者「ひぃっ、剣を使うなんてズルいぞ!?」サッ


白騎士「これが街の武術大会のようなものでしたら、幾らでも男らしく……いいえ、女らしく、潔くもなりましょう!!」

白騎士「敗けを認め、貴女を讃えもしましょう!! ですがっ!!!」キッ



白騎士「この戦いは私の全て!! 絶対に負けられません!!」

白騎士「フィンガーフレアボムズ!!」バッ


賢者「っ!? マホ……」

賢者「だめだっ、メラゾーマ!!」バッ



武闘家「っ、賢者!?」チラッ

武闘家(早くッ、加勢に行かなぇとマズイ!!)


黒騎士「イオラッ!!」バッ

武闘家「イオラッ!!」バッ




 ドゴォォン

武闘家「チィィィィィィィッ!!」ギリッ

黒騎士「ふっ……」ニヤリ


黒騎士「……」

黒騎士「ん?」ピクッ



少年「魔人斬りっ!!」ブォン

勇者「……」


勇者「みかわしきゃく!! ハァッ!!」シュッ

少年「ぐあぁっ!!?」ズドォッ



少年「う、ぐぅ、うぅっ……」フラフラッ

勇者(もう、明らかじゃないか!!)


勇者(私が強くなり過ぎたんじゃない……)

勇者(コイツが、弱くなったんだ……)ギリッ



黒騎士「……」

白騎士「……」


黒騎士「もう、見てらんねぇよな?」

白騎士「そう、ですわね……」



黒騎士「武闘家よ、リベンジマッチに最後まで付き合ってやれなくてスマンな」

武闘家「あ?」


白騎士「賢者さん、どっちみち……この勝負は私の負けでしたわ」

賢者「はぁっ、はぁっ、はぁっ」フラフラッ



白騎士「この鎧も……」

黒騎士「お役ゴメンだな」


白騎士「オープン!!」バリバリッ

黒騎士「オープン!!」バリバリッ



勇者「なんだ? 鎧が、砕けて、剥がれ落ちて行く?」チラッ

少年「あっ、だ、駄目だよっ!!」ビクッ




 バリィィィン!!

剣士「駄目だよ、じゃないだろ勇者?」

姫「そうですわ勇者様。全ては、貴方と同じ夢の為」



賢者「……」

武闘家「どう、言うこった?」


剣士「簡単さ……」

剣士「俺たちは、一度死んでいる」



姫「そして、世界樹の力で甦った……」

賢者「世界樹で!?」


剣士「しかし、その世界樹は……知ってるだろ賢者よ?」

姫「ですから、何もしなければ、三日と保たずに体は消えていたでしょう」



武闘家「じゃあ、なんで生きてやがる?」

剣士「……」


剣士「俺たちの体を現世に繋ぎ止めているのは、勇者の魔力だ」

姫「日々失われて行く生命力を、勇者様の魔力を流して貰う事で補い生き永らえているのです……」



勇者「お前は、だからそんなに弱く」チラッ

少年「うぅっ……」


剣士「だが、どうやらここまでのようだな」

姫「ええ。後は、頼みますわ勇者様」コクリ



剣士「安心しな。姫さんは、俺が代わりに守ってやるさ」ニコリ

姫「ふふっ、ナイトには少し、頼りないですわね」クスッ


剣士「それと、お前の仲間になれて幸せだったぜ勇者? 好きだって言っとくよ」

姫「私も、こんなに外の世界を見て歩けるなんて、思いもしませんでした。愛しています、勇者様」



少年「ダメっ、だよ……」フラフラッ

少年「二人はボクの、とも、だち……」


剣士「……」

姫「……」



姫「我ら、住まう地は違えども……」

剣士「その魂は、常に一つ!!」


剣士「行くぜ姫さん?」スッ

姫「私も、行きますわよ?」スッ




剣士「ニフラムッ!!」

姫「ニフラムッ!!」




少年「だめっ!!」ビクッ

少年「だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

休憩



武闘家「体が……」

賢者「消えてってる……」




剣士「またな勇者っ」シュゥゥッ

姫「産まれ変わったら、また会えますわ勇者様」シュゥゥッ




少年「うぅっ……」ガクッ

少年「二人に、勇者の加護がっ、ありますようにぃっ」



僧侶「っ……」

僧侶「汝らの魂に、救済を……ヒカリアレ」



少年「……」

少年「あはっ、涙も出ないや。もう、渇れちゃった」


勇者「……」

勇者「そうか」



少年「でも……」ゴソゴソ

勇者「ん?」


武闘家「アイツ、服の中から何か出しやがったぞ?」

賢者「あっ、アレは!?」ピクッ



少年「んくっ、んくっ……」ゴクゴクッ

賢者「『エルフの飲み薬』!!」


少年「っ、ぷはぁぁっ」

少年「ふふっ、あはははははははははははッ!!!」




少年「本気、出すよ?」

少年「はああああああああああああ!!!」ゴゴゴゴゴゴッ



勇者「ぐっ!?」ビクッ

武闘家「なんだよ、この地鳴りみてぇな音はっ!?」



賢者「おっ、音だけじゃないぞ!! 実際に城が揺れてるんだ!!」

僧侶「今、全ての力が戻られたのですね……」ボソッ


勇者「……」

勇者(やっぱり、私一人じゃどうしようも無いぐらい、強いんだなお前は?)クスッ



勇者「お陰でこっちも……」

勇者「決心が着いたよ」ギロッ



勇者「武闘家!! 賢者!! 僧侶も!!」

勇者「私の近くへ来い!! 集合だっ!!」



少年「……」

少年「待っててあげるよ。何するか分からないけど」


勇者「助かる」

勇者「ほらっ、早くしろ!! 勇者チーム集合だ集合!!」



賢者「来たぞっ」タタッ

武闘家「作戦でもあんのかよ?」


僧侶「わたくしまで呼ばれた理由は……」

勇者「まぁ、取り敢えず」



勇者「耳を塞げ」

賢者「耳を? なんでだ?」


勇者「理由はすぐに分かる」

武闘家「チッ。手で塞いだぞ。何かすんだろ? 早くしやがれ」



僧侶「わたくしも、塞ぎました」ペタッ

賢者「自分もっ」ペタッ



勇者「ふむ」

勇者「マホトラ……」ボソッ



勇者「マホトラ、マホトラ、マホトラ、マホトラマホトラマホトラ」ボソボソッ

武闘家「っ!? テメェ、何やってやがる!!」ガシッ


勇者「わっ、バカ!! 耳は塞いでろと言ったろ!!」

勇者「マホトラマホトラマホトラマホトラマホトラ!!」



武闘家「ぐっ、ソイツをヤメろっつってんだよ!!」キッ

僧侶「武闘家、さん?」


賢者「へっ? どうしたんだ?」

勇者「マホトラ、マホトラ、マホ……」ピタッ



僧侶「おや? おやおやっ!?」

僧侶「この感覚……もしや、わたくしの魔力は!?」ビクッ


賢者「じっ、自分の魔力もすっからかんになっちゃったぞ!!」ビクッ

武闘家「俺もだよチクショウ。さて……納得の行く説明をして貰おうか?」




勇者「そんなの、一つしか無いだろう? 安心して、私に任せろ」

武闘家「あん?」




勇者「みんなありがとう……そして、さよならだっ」ニコリ


勇者「バシルーラッ!!」バッ



少年「っ……」ピクッ

少年「……」


少年「一人で、戦うの?」

勇者「私しか、居ないよ……」チラッ



勇者(ふぅ。マホカンタは使ってなかったようだな。賢者に念押しして置いて良かった)

勇者(それに、魔力が尽きては……ここへ瞬時に復帰も不可能だろう)



勇者(安心しろ。安心しろ。武闘家、賢者、僧侶)

勇者「私が、私が弟を止めるッ!!」キッ



少年「止める? ボクを? どうやって?」クスッ

勇者「すぐに、分かるさっ!!」ジャキッ


少年「昔から変わらないね? 考えが、甘いよ?」

勇者「お前だって、甘いだろうに……」



少年「……」

勇者「……」


少年「聖なる雷ギガデインと、魔界の雷ジゴスパーク」

少年「勇者の最強魔法と魔王の最強魔法!! その両方を扱うボクに、一体どうやって勝つって言うの!!?」バチバチィィッ


おやすみなさい



少年「そしてっ!! この二つを掛け合わせたボクの究極魔法……ジゴデインは」

少年「マホカンタなんかじゃ防げないよっ!?」バチバチッ バチバチバチッ


勇者「……」

勇者「茶番だな。もう、終わりにしよう……」



勇者「確かにお前は強い。私一人では、まず勝てない」

少年「仲間が居たって勝てないよ。その仲間も……遠ざけた、ううん。逃がしたのかな?」クスッ


勇者「ああ、そうだ」

勇者「これで、お前と同じく、独りぼっちだ……」



勇者「……」

少年「……」


勇者「この場ではな?」

少年「は?」



勇者「お前は魔王。配下は数多く居ようが、友と呼べる者はどれだけ居た?」

少年「っ……」ギリッ


少年「そんなのっ、そんなのっ!! お姉ちゃんだって同じでしょ!!?」

少年「武闘家に、賢者に、僧侶を入れたって、三人しか居ないじゃないか!!?」



少年「だいたいっ、ボクに勝とうとしたら、それはもうメガンテしか無いんだ!!」ギロッ

少年「至近距離まで近付いて、自爆するしか無いんだよ!! アンタにはぁぁぁぁぁぁっ!!!」バチバチバチィッ


勇者「っ……」

勇者「メガンテは、使う……」



勇者「だがその前に、やれる事をやってからな?」ニヤリ

少年「ふふっ」クスッ


少年「だからないよ、そんなの……」

勇者(頼むホルンの指輪……今こそ、私の声を世界中に届けてくれっ!!)ピカァァッ



勇者「……」ジャキッ

少年(剣を頭上に掲げた?)


勇者「すぅーっ……」

勇者「……」



勇者「地上に住まう、全ての生命達よ!! 我が名は勇者!! どうか、私の言葉を聞いて欲しい」

少年「うそっ……」ビクッ


勇者「戦いの終結はもうそこまで来ている!! 後は魔王に正義の鉄槌を下すのみだ!!」

勇者「だが、それでは足りない。私だけの力では、魔王に勝てない!!」



勇者「しかし!! 皆の力を一つに合わせれば、必ずや魔王を倒す事が出来る!!」

勇者「私は勇者だが……誰かを守りたい、何かを守りたい、平和を守りたい」


勇者「友を、家族を、自分を、愛する者を、プライドを、未来を、夢を、何でもいい!!」

勇者「魔王に支配されれば世界は閉じる。閉じた世界に将来は無いんだ!!」



勇者「だから、だからっ!! 誰かを、何かを、自分を、平和を!! 守りたいと想う全ての勇気有る者達よ!!」

勇者「お前達も勇者だ!! 私は、その代弁者に過ぎない!!!」


勇者「だから、だから、だからっ!! 皆の力を私に貸してくれっ!! 私の名を呼べ、私の名を叫べっ!!」

勇者「その声援こそが力になる!! 皆の力で、魔王を倒すぞッ!!!」



勇者「頭に浮かんでいる筈だ、魔王を倒す力の名が!! 私に続け勇者達よ!!」

勇者「魔王を倒す、その力の名こそッ!!」


勇者「勇者最大の奥義……」

勇者「ミナデインッ!!!」バキィィン



勇者(くっ、指輪が壊れたか)

少年「……」


少年「なに? だからどうしたの?」

少年「剣を掲げたまま立ってるだけ。どこも変わってないよ?」クスッ



勇者「……」

少年「諦めれば?」


少年「さっきも言ったけど、ボクを倒すならメガンテしか無いんだ」

少年「早く、メガンテを使う準備しなよ……」



勇者「……」

勇者「感じるんだ」


少年「えっ?」

勇者「聞こえるんだ……」



勇者「皆の声が、皆の願いが、皆の想いがっ……」

少年「っ!?」ピクッ


勇者「その、一つ一つがッ!! 私の力になるッ!!!」

勇者「はあああああああああああアアァッ!!!」ズドォォォォッ




少年「この力はっ!?」

少年(凄く強い魔力の波動が、お姉ちゃんを中心に渦巻いてる)


少年(確かにこれなら、メガンテは必要ないね)

少年(これなら……)クスッ



少年(きっと、門が開くッ!!)

少年「はああああああああああアアァッ!!!」ズドォォォォッ


勇者「ぐっ……」

勇者(どこまで力を上げるんだコイツは!?)



少年「さぁ!!」

少年「最終決戦だよお姉ちゃん!!」バチバチィィッ


勇者「そうだな弟……私が勝つか」

少年「ボクが勝つか……」

休憩



勇者「……」

少年「……」


勇者「いい加減にしたらどうだ? 茶番だと言ったぞ? 何を企んでいる?」

少年「たくらむ?」




 グラグラグラッ!!!!


勇者「くっ、なんだこの激しい揺れは!? お前の力か弟!!」フラッ

少年「ぐっ、違うよっ……ううん、違うくもないね」フラッ


少年「ボクと、お姉ちゃんの力だよ」

少年「ここに、『門』が開くんだ」ニヤリ



勇者「門?」

少年「そうだよ」


少年「この世界と」

少年「魔界を繋ぐ、巨大な転送ゲート……それが開くんだ」



勇者「開くと、どうなる?」

少年「言わなくても、分かるでしょ?」


少年「魔界のモンスターがゲートを通って現れ、世界を荒らし回るだろうね」

勇者「っ……そうか」ギリッ



勇者「しかし、今の地上に住まう者達は強い。そう易々と……」

少年「駄目だよ」


少年「これまで地上にバラ撒いたモンスターは、この城に在った特殊な宝石を媒介にして」

少年「魔王の力を持つ、ボクが造ったモンスターだからね」



少年「命令を聞くだけの、お人形さんだよ……」

少年「建物は壊しても、出来るだけ人々を殺さないように戦わせてたし」


少年「強襲したエジンベアだってそう。壁や城は破壊したけど、逃げ出した人を追う事はしなかった」

少年「今だって、力を合わせれば撃退できる……そんなレベルで襲わせているんだ」



少年「だけど、門を通って出てくるモンスターは『本物』だよ?」

少年「まだ、魔王で在るボクの命令を聞く奴も居るかも知れないけど……」


少年「こんな魔王じゃ、不信感を募らせて大半は出て行くだろうね」

少年「そして幾らボクでも、何千、何万とモンスターに出て来られたら捌き切れない」



少年「結局、地上はモンスターで溢れ返るよ」

勇者「……」


勇者「ふむ。なるほどな……」

勇者「茶番の正体はそれか?」



少年「……」

少年「魔界との門が開くって、知ってたの?」


勇者「いや、知らなかった」フルフル

勇者「お前に聞かされて驚いてるよ。内心はガクブルだ」



勇者「しかし、何故お前が魔王になったのかは理解している」

少年「……」


勇者「お前の行動を見て、お前の過去を覗いて、お前の考えを知りたくて、お前の思いを知りたくて、ずっと、ずっと……」

勇者「お前の真似ばかりしていたんだからな」クスッ



少年「……」

少年「どうして?」


勇者「どうして?」

勇者「そんなの、一つしか無いだろ?」




勇者「お前の事が、好きだからだよっ!!」

少年「っ……」ピクッ


少年「嘘だ」ボソッ

勇者「嘘じゃない。と言うかな? 惚れさせたのはお前だろ!? 責任を取れバカっ」



少年「じゃあ!!」

少年「じゃあ、なんであの時、弟だって認めてくれなかったの!!?」キッ


勇者「私は……な?」

勇者「ウェディングを着て!! お前と結婚して!! その先のラブラブ新婚生活まで想像しちゃってたんだぞ!?」



勇者「それなのになんだ!! 相手は弟だって!? そんなの認められる訳ないだろ!!」

勇者「お前を弟だと認めてしまったら……結婚、できないじゃないかっ!!」キッ



少年「っ!? だったらそう言ってよバカバカバカっ!!」

勇者「うるさいバカバカバカバカバカっ!! 乙女心は複雑なんだ!!!」




 グラグラグラグラッ!!!!


勇者「くっ、揺れが一層に強く!?」フラッ

少年「……」


少年「うん」

少年「うんうんっ」



少年「あはっ」

少年「あはははははははははっ♪」クスクスッ


少年「うん。これで、未練なし、かな……」ニコリ

勇者「は?」



少年「もう、地上に戻って? ここからはボクの仕事だから」

少年「お姉ちゃんは、魔王を倒した勇者として……王様に報告すればいいよ」


勇者「えっ……」

少年「大丈夫。憎い憎い魔王は死ぬんだ。その為に、皆が力を合わせて協力したんだ」



少年「きっと、これからの世界はみんな仲良く……みんな平和に、続いて行くんだろうなぁ」クスッ

勇者「だっ、だから待て!! 何を言ってるんだ!?」アセアセ


少年「……」

少年「正真正銘、最後の仕事……ボクが、魔界へのゲートを閉じるッ!!!」

>>143
×勇者「ウェディングを着て!! お前と結婚して!! その先のラブラブ新婚生活まで想像しちゃってたんだぞ!?」

○勇者「ウェディングドレスを着て!! お前と結婚して!! その先のラブラブ新婚生活まで想像しちゃってたんだぞ!?」



勇者「……」

勇者「二人でやろう。そして、お前も地上へ帰るんだ」


少年「駄目なんだ……」フルフル

勇者「そうやって、すぐに諦めるなっ!!」キッ



勇者「お前が魔王を演じていたとしても、それを知る者は居ないんだろ?」

勇者「だったら問題ない!! これを片付けたら、今度こそ二人で暮らすぞ!!」


少年「だから、駄目なんだってばっ!!!」キッ

勇者「何が駄目なんだっ!!?」



勇者「お前は、誰よりも人間を信用しているんだろ?」

勇者「誰よりも人間を、信用したかったんだ……」


少年「……」

勇者「裏切られそうだと分かっていても信じて、実際に裏切られても、それでも人間を信じたかった!!」



少年「勝手に、決め付けないでよ……」

勇者「真実だろ? お前は誰よりも人間を愛していたから、その人間が誰かを、何かを傷付ける事を許せなかったのさ」


勇者「愛を知らずに育てられたから、余計に愛情や友情を嬉しく感じてしまう」

勇者「そして、愛情や友情を与えてくれるのは、同じ人間だけだからな。だからお前は、誰よりも人間を愛し、信用したがっているんだ」



少年「……」

少年「そう、だとしても……」


勇者「私が愛してやるっ!!」

少年「っ!?」ピクッ



勇者「私が一生!! お前を幸せにしてやるっ!!」

少年「結婚、できないよ?」


勇者「構うものか……世間に後ろ指を差されようと、知ったこっちゃない!!」

勇者「私が孕むまで、毎日子作りセックスするぞ!!」



少年「……」

少年「あはっ」ポロポロッ


勇者「ん?」

少年「うぅっ。涙、渇れたと思ったのに、さっきだって、流れなかったのにぃ……なんでぇ」ポロポロポロポロッ



勇者「ふふっ。それはもしかして……嬉し泣きか?」クスッ

勇者「嬉しいから、泣いてくれてるのか?」ニヤニヤ


勇者「悲しい涙は渇れても、まだ泣けるじゃないか弟……」ニコリ

少年「ぐすっ。うんっ、うんっ」ポロポロッ



勇者「だから、なっ?」

勇者「二人で帰ろ?」


少年「……」

少年「ありがとう、お姉ちゃん。好きだよ」ニコリ




 グラグラグラッ!!!!


勇者「っ!? 揺れがどんどん大きくなってる!? ゲートを閉じるぞっ、どうすればいいんだ!!!」

少年「けどね、やっぱり駄目……」


少年「何人も人を殺してるんだよ? ボクの両手は、見えない血で真っ赤なんだ」

勇者「それはっ、そうしなければ、もっと被害者が出ていたからだろっ!?」



少年「……」

少年「そうかな? 他に方法が有ったかも知れないし」


少年「それに、魔王になってからだって、ボクの造ったモンスターが人を殺してる」

少年「数こそ少ないけど、戦って死んだ兵士や冒険者は居るんだよ?」



勇者「くっ……」

勇者「それならっ、これからの地上で、誰かの為になる事をして償えばいい!! 私も手伝う!!」


少年「強情だねお姉ちゃん」クスッ

少年「でも、やっぱり。やっぱり駄目……」



勇者「これ以上、何が必要だ!? 言ってみろ!!」

少年「もっと根本的な事だよ……」


少年「もうすぐ現れる魔界のゲートは、魔界側からでないと破壊できないんだ」

勇者「っ……」ビクッ



少年「だから、これがボクの償い。これがボクの、最後の仕事」ニコリ

少年「開いたらすぐにゲートへ飛び込んで、魔界側から……ゲートを破壊する!!」


勇者「そっ、そうしたら、お前はどうなるんだ!?」

少年「さぁ? 戻って来れるかも知れないし、戻って来れないかも知れない」

おやすみなさい

心が淫夢で汚れててごめんなさい

>>155
書き込み終わってから気付いたよ…
でも大胆な告白は女の子の特権だからね、仕方ないね



勇者「駄目だ駄目だ駄目だっ!!」フルフルッ

勇者「だいたい、ゲート? それはどうして現れる!?」


少年「うーーん……現れるって言うより、見えるようになる。かな?」

少年「ゲートはずっと存在していて、魔王と同等かそれ以上の力を持つ者……つまり、勇者がここへ現れた時」



少年「ゲートは大きく拡がり、そして見えるようになるんだ」

少年「次の魔王が、出て来れるように……」


勇者「私にメガンテを使わせようとしていたのは?」

少年「メガンテは前準備として、自らの命を削って魔力に換えるでしょ? だからそうすれば、ボクと同じぐらいの強さになると思ったんだ」



少年「そこから実際に、メガンテを使うかどうかは別としてね……」

勇者「……」


少年「ボクが前魔王と戦っている時も、たくさんの魔物が出て来た」

少年「知らなくて殆ど逃がしちゃったけど、それでも魔王候補になりそうな奴はみんな倒したよ?」



勇者「だったら、また倒せばいい!! お前と私の二人なら出来る!! そうだろ!?」

少年「お姉ちゃん……」


少年「何ヵ月?」

勇者「は?」



少年「ううん。何年……戦い続けるつもりなの?」クスッ

勇者「っ!?」ビクッ


少年「前魔王は、何十年も何百年もこの城に留まって、人間同士で潰し合うのを高見してたみたいだけど」

少年「次に出て来る魔王もそうとは限らない。それに、ボクもお姉ちゃんも、これから現れるどんな奴よりも強いよきっと?」



少年「と、言う事は……ゲートはずっと開きっぱなしって事」

少年「ボク達が、やがて力尽きるまでね」


少年「これで分かったでしょ? 破壊する以外に、道は無いって」

勇者「いや、だがっ、二人で考えれば他に道が……」




 ゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!


勇者「これはっ!?」フラフラッ

少年「残念だけど、それも無し。時間切れだよ……魔界への門が、実体化する!!」ギリッ




 グオオオオオオオオッ!!!!


勇者「なっ、なんだ!? 床に穴のようなモノが開いたぞ!?」サッ

少年「……」チラッ


少年「この、底の見えない真っ暗で巨大な穴……これが、魔界へと通じる門」

少年「らしいよ? 前魔王の話ではね」



勇者「っ……」ゴクリ

勇者「ここを落ちれば、魔界? ははっ、まるで地獄だ」


少年「うん。この先はきっと地獄だよ……」

少年「だからっ!! そんな地獄と、この世界はっ、繋げちゃイケないんだ!!」キッ



勇者「弟くん……」

少年「お姉ちゃん。早く、地上へ帰って」


勇者「それは」

少年「お願いだからっ!! 本当に、お願いだから……」



勇者「……」

少年「……」


勇者「わかった。それがお前の望みなら」コクリ

少年「ありがとう。大好きだよっ」ニコリ



勇者「最後に……お前を、抱き締めてもいいか?」

少年「うん……」


勇者「ありがとう」ギュムッ

勇者「私も、愛しているぞ?」ギュウゥッ



少年「……」ギュウッ

勇者「……」


少年「お姉ちゃん、そろそろ」

勇者「ああ、そうだな」



勇者「お前は、身を隠しながら機を伺っていて。現勇者と協力して魔王を倒した」

少年「へっ?」


勇者「しかし、現勇者は魔王との戦いで惜しくも命を落とした……」ギュウッ

少年「なに、言ってるの?」



勇者「なにって?」

少年「うん」コクリ


勇者「……」

少年「……」




勇者「ラリホー」

少年「んんっ!?」ビクッ


勇者「お前の人生は、これから始まるんだ……」

勇者「勇者として、さっきは償えなんて言ったが、姉としてはどうでもいいと思ってる」



勇者「お前が、幸せな人生を送れるのなら、それでいい」ニコリ

少年「うぅっ、おねぇ、ちゃ……」フラフラッ


勇者「それと、探していた両親の日記なら僧侶に預けてある」

勇者「目が覚めたら会うと良い……」



少年「っ、う……」ドサァァッ

勇者「さよなら、私の弟。後は、お姉ちゃんに任せろ!!」


勇者「……」チラッ

勇者「さて……」



勇者(ミナデインを放つ為に集まった力は、まだ私の中に溜まっている)

勇者(果たして……この一発で、壊せるのか?)


勇者(いや、壊せる!! 壊すんだっ!! 魔王の力すら越えるこの奥義。これで壊せなかったら、それこそ嘘だ!!)

勇者「武闘家、僧侶、賢者……」




 グオオオオオオオオッ!!!!


勇者「くっ……」ブルブルッ

勇者(震えているのか、私が? 今さらっ!?)


勇者(無事にゲートを壊せたとして、その後はどうなる? 力尽きるまで暴れたらモンスターに殺されるか?)

勇者(それとも……捕まって、死ぬまで化け物どもの慰み者にされてしまうのか?)ガクガクッ



勇者「どちらにせよ、退却は無い」

勇者「私は勇者だ!!」


勇者「世界を救うのは……」

勇者「この私だ!!」キッ




 グオオオオオオオオッ!!!!


勇者「……」

勇者「行くぞ……」ゴクリ


勇者「ゲートへ」

勇者「飛び込むッ!!!」ダッ




 アレフガルド 学園の校庭



賢者「痛たっ、自分たち……どこまで飛ばされちゃったんだ?」

僧侶「ここは?」キョロキョロ


武闘家「……」

武闘家「アレフガルド。勇者の、産まれ故郷だよ」



賢者「んー、ゴメン。しばらく待たないと、魔法は使えそうにないぞ」

武闘家(俺たちだけここへ送ってどうするよ? 王には、何て説明すりゃいいんだバカヤロウ!!)ギリッ


僧侶「武闘家、さん?」

武闘家「鍛えたこの拳も、ここ一番で……役立たずだったか。帰って、来いよ勇者?」




 魔界へと通じる大穴




 グオオオオオオオオッ!!!!


勇者「……」

勇者(落ちている……)


勇者(何秒も、何十秒も、ただただ、下へ、下へ、落下している)

勇者(暗い穴の中を、ずっと、ずっと……)



勇者(だからだろうな、余りにも穴が長いから、悟れてしまった。きっと地上へは、戻れない)

勇者(でも良い。この穴を抜けたら、すぐに門を壊す)


勇者(それで、終わりだ……)

勇者(何もかも、それで終わり)



少年「おねえちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

勇者「っッ!!?」ビクッ


勇者「うそっ……」

勇者「この、声、は」



少年「えへへっ、追い付いた」ニコリ

勇者「どっ、どうやって!? 私の方が早く……」


少年「気を抜いてたから魔法を食らっちゃったけど、元々ボクに状態異常は効かないんだ。すぐに目覚めたよ」

少年「そして、穴の中はアストロンを唱えて落ちて来たからね」



勇者「くっ……」

勇者「なぜ追って来たんだバカ者!! 私はな、お前を想って!!」


少年「……」

少年「寂しいよ……」



少年「ボク達は家族なんだよ? 姉弟なんだよっ!?」

勇者「だからと言って、お前まで地獄に落ちる事は……」


少年「一緒だよ、お姉ちゃん」ギュウッ

少年「二人で落ちる地獄なら、きっと怖くない」ニコリ



少年「二人なら……」

少年「どこに落ちたって、きっと楽しいよ」ギュウゥッ


勇者「っ、あ、そのっ、だな」ドキドキ

勇者「ぐぅっ……」ドキドキドキドキッ



少年「お姉ちゃんの胸の鼓動、おっきいね?」クスッ

勇者「うるさいバカっ」プイッ


勇者「……」

勇者「私も、弟くんが一緒だと、凄く心強いよ」ニコリ



勇者「行き着く先が地獄なら」

勇者「姉と弟が愛し合ったって、誰にも非難されない。誰にも文句を言われない」


勇者「だって、地獄だからな?」クスッ

少年「ふふっ。そうだねっ」クスッ



勇者「……」

少年「ん……」ピクッ


少年「聞こえる?」

勇者「ああ、そろそろ穴の出口……どこへ出るかは知れないが、魔界のどこかだろう」コクリ



少年「そして……」

勇者「大量のモンスター達が、ゲートの前へ集まって来ているな」


少年「穴の中が少し明るくなって来たし」

勇者「それに、モンスターの鳴き声が聞こえ始めている!!」



少年「……」

少年「どうするの、お姉ちゃん?」


勇者「ふっ、決まっているだろう?」

勇者「度肝を抜いてやるっ!!」ニヤリ



勇者「まぁ……」

勇者「門を破壊する時に邪魔になりそうだしな。すでに集まっているモンスーンに限っては一掃して置きたい」


少年「なら、二人の勇者の登場を……」

少年「派手にアピールしちゃおっか?」バチバチバチィッ



勇者「そうだな……」

勇者「やるかっ!!」バチバチバチィッ


勇者「よし、出口が見えて来たぞっ!!」

少年「タイミングを合わせてねっ!!」




少年「あ」

勇者「せーーーのっ!!」



少年「ダブルッ!!」バッ

勇者「ギガデインッ!!!」バッ






おわり

取り敢えずこれで本編は終了です。ひとまずお疲れ様でした。

後は後日談と、更にその後日談のオマケ。もうちょっと付き合ってね


本当は、ダークエルフの森から魔王の城へ向かう前にもう一話有って、城へ向かう時に賢者は死ぬ予定だったけど、間延びしちゃいそうなんで止めた。

おやすみなさい


後日談と、更にその後日談のオマケは、スレが残ってればここに書きますm(__)m




 砂漠の国 千年夜桜の横 勇者の石碑



武闘家「……」

武闘家「死体でもありゃ、両親と同じ墓地に……とも考えたんだがよ」


僧侶「はい。まだ生きていると、我々は信じておりますからね」

僧侶「建前としての石碑を、ここへ置かせてくれた女王イシスに感謝せねば」ニコリ



賢者「そうだな……」

賢者「取り敢えずは、これで一段落さ」ニコリ


賢者「……」

賢者「武闘家と賢者は、これからどうするんだ?」



武闘家「モンスターの残党を狩りながら、もうちょい旅を続けようと思ってる」

武闘家「んでよ? 気に入った土地が見つかったら、そこでガキどもに武術を教えようかってな?」ニヤリ


僧侶「わたくしも、そのお手伝いをさせて頂こうかと」

僧侶「ケガを治療するのに、回復手は必要となりましょうし」ニコリ



賢者「そっか……」

武闘家「賢者はどうすんだよ?」


賢者「自分は、やっぱりダークエルフの森に戻ろうと思うんだ」

賢者「少しずつでも、森を復活させたいから……」ニコリ



賢者「それに、ダークエルフの子孫も残したいしなー」

賢者「本当は武闘家を連れて行こうとしたんだけど……」チラッ


武闘家「悪りぃな……子孫を残すっての以外なら、幾らでも協力するが」

賢者「勇者、一筋なんだな? カッコいいと思うぞ? ちょっと残念だけど」クスッ



賢者「でもな。最近知り合った人間で、自分と一緒に森へ行っても良いって人が出来たんだ」

賢者「だから近々、その人と森へ行く予定さー」


僧侶「おや」クスッ

僧侶「住居は、以前と同じ家を?」



賢者「うん、そうだぞっ」コクリ

賢者「自分の家、森でも端っこだったからな……」


武闘家「……」

僧侶「……」



賢者「絶対、遊びに来てよねっ!!」

賢者「子供をたくさん産んで待ってるぞ!!」


武闘家「ああ、行くよ。絶対な」コクリ

僧侶「はい。必ずお伺い致します」コクリ



賢者「……」

賢者「うん。また、ね」


武闘家「……」

武闘家「こっちは一足早く、出発させて貰うよ」



賢者「最初は、どこへ行くんだ?」

僧侶「ジパング、ですね」


武闘家「なんかまた、ヤマタノオロチが復活しそうだとか何とかよ」

僧侶「その調査も兼ねて、わたくし達はそちらへ」



賢者「そっか……」

賢者「っ、がんばるんだぞー!!」フリフリ


武闘家「応よッ!!」

僧侶「我らは、掛け替えのない友で在り仲間。例え離れて居ようとも、その魂は繋がっております」



賢者「お互いの危機には必ず……」

武闘家「駆け付けるぜ」コクリ


僧侶「それが……」

僧侶「我らの誓いです」ニコリ



賢者「……」

僧侶「では……」タタッ


僧侶「お元気で居てくださいましーーっ!!」フリフリ

武闘家「またなっ!!」タタッ





賢者「うぅっ……」ポロポロッ

賢者「ぐすっ。僧侶、武闘家ぁ」


賢者「またねっ!!」

賢者「またねーーーーーーっ!!!」フリフリフリフリ





  ── 五十年後 ──



 武闘家と僧侶は約十年ほど旅を続けると、それからは自然の多い街に住居を構え、武闘家はそこで道場を開いて武術を教え、僧侶は街の治療医として共に暮らし始める。

 しかし、同じ家で生活をしていても結婚する事も無く、ただただ、仲の良い友として過ごす二人……

 武闘家にも僧侶にも、言い寄る相手は居たがそれには応えず、武闘家にいたっては、最後まで愛する者への想いを貫き、童貞のままこの世を去った。

 そして僧侶も、武闘家が亡くなって数ヵ月後……独りぼっちの家のベッドで、静かに息を引き取ったのだった。




 それから、更に五十年後

 ダークエルフの森 賢者の家 夜



賢者「……」

賢者(やっぱり、ダークエルフの血を引いてるんだな……ずいぶん、生きたもんな)


賢者(見た目だって、昔から殆ど変わってないし)クスッ

賢者(でも、分かるんだ。自分もそろそろだって……)



賢者(こうやってさ? ベッドで寝てるだけなのに、息苦しいって思うようになったんだぞ?)

賢者(武闘家、僧侶……もう、良いよね? 自分、頑張ったよね?)



賢者(子供や孫達に囲まれて幸せだけど)

賢者(そっちに、行きたいぞ……また、会いたいよっ)ポロポロッ




 ガチャッ

賢者(あれっ、誰か来た? お医者さんの検診……じゃないよね?)チラッ

賢者「……」



勇者「久し振りだな、賢者」ニコリ

少年「お久し振りです」ペコリ



賢者「っ……」

賢者「ぁ、ぁ、あっ……」ピクピクッ


勇者「喋らなくていい。もう、言葉を発するのすらツラいんだろ?」ナデナデ

賢者「ん……」



勇者「しかし驚いたな。すっかりシワくちゃのお婆ちゃんになってるとばかり思っていたが、外見は殆ど昔のままか?」

勇者「私の若い姿を見せて、悔しがらせようとしたんだがなっ?」クスッ


賢者「……」

勇者「ただいま。遅くなってすまないな賢者」ナデナデ



賢者「お、かっ、え……」ピクピクッ

勇者「おい、だから喋るなと」ビクッ


賢者「り」

賢者「おか、えり。ゆう、しゃ……」プルプル



勇者「……」

勇者「ああ、ありがとうっ」ニコリ


勇者「実は私もビックリしているんだ。私はこの地上の、百分の一でしか刻が流れない場所に居たらしくてな」

勇者「一年で帰って来たつもりだったんだが……」ギリッ



賢者「ふふっ」クスッ

勇者「……」


勇者「武闘家と僧侶のお墓は見て来たよ。この森の湖の側……風通しが良くて素晴らしい場所だ」

勇者「それと離れの家を覗いたが、孫やひ孫が、お婆ちゃんが元気になりますようにって、願いを込めてたくさん折り鶴を作っていたぞ?」



勇者「愛されてるな?」

賢者「……」コクリ


勇者「幸せ者だな?」

賢者「……」コクリ



勇者「……」チラッ

少年「……」コクリ



勇者「モシャス」

僧侶「賢者……」シュン



少年「モシャス」

武闘家「よっ、と」シュン



賢者「っ!?」ピクッ

賢者「そう、りょ。ぶとう、か……」



武闘家「今まで、よく一人で頑張ったな」ナデナデ

僧侶「大変でしたね?」ナデナデ


賢者「うんっ!!」コクリ

賢者「うんっ!! うんっ!!」ポロポロッ



武闘家「ほらっ、ゆっくり、目を閉じな」

賢者「っ……」


僧侶「そうしたら、気持ちを静めてくださいまし」

賢者「……」



僧侶「……」

賢者「……」


僧侶「すると、どうですか? 遠くに、光が見えて来ませんか?」

賢者「……」



賢者「……」コクリ

賢者(目をつむってるのに、真っ白な光が、輝いてる)



武闘家「なら、振り返らず、その光を辿って進むんだ」ギュッ

僧侶「手は握っておりますから怖がらずに……ただ前へ、進んでくださいまし」ギュッ



賢者「……」

賢者「なんか、あったかいぞ……」


僧侶「次に産まれる時も、また友達になりましょう?」

武闘家「賢者に、勇者の加護があらん事を……」



僧侶「んっ」チュッ

武闘家「ん」チュッ



賢者「あっ……」ピクッ

賢者「えへへっ♪」ニコリ



賢者「……」

僧侶「……」


賢者「……」

武闘家「……」



賢者「……」

賢者「……」ガクッ


僧侶「くっ」

武闘家「本当に、ギリギリだったんだな」



僧侶「再び会うまで……ずっとギリギリで、持ち堪えていてくれたのでしょう」

武闘家「最高の、友達だな……」


武闘家「そろそろ出よう。家族に見付かってもマズいだろ?」チラッ

僧侶「日記は、如何いたしましょう。在るとすればこの部屋かと」




武闘家「……」

少年「もう、いいんだ。もし在っても風化しちゃってるだろうし、それにこの部屋は荒らせないよ」シュン



僧侶「……」

勇者「そうか。それなら、私が口頭で教えるか?」シュン



少年「ううん。まだ、聞く勇気が無いから……」フルフル

勇者「なんだ? あれだけ知りたがっていたのに」


少年「今は、お姉ちゃんと二人で、静かに暮らしたい、かな?」ニコリ

勇者「ふふっ、そうか」ニコリ



少年「では、賢者さん。さようなら」ペコリ

勇者「賢者、武闘家、僧侶……私は死んでも地獄へ落ちるだろうからもう会えないが」



勇者「お前達は天国で仲良くやってくれ。それだけが私の、心からの願いだ」


勇者「我が友に、我が仲間に、二人の勇者の加護が、あらん事を……」





 数ヶ月後 とある国の繁華街 夜



男「くそっ、何が「他に好きな人ができた」だ!! フザケやがって!!」トコトコ

男「こうなったら、今日は高い酒を飲みまくってヤケ酒……」


少年「おにぃー、さんっ♪」チョンチョン

男「ん? 子ども?」クルッ



女騎士「だけでは無いぞ?」スタッ

男「はぁ? あのっ、何か用でしょうか?」


女騎士「女にフラれてヤケ酒など、体に良くはないな」ニヤリ

男「っ……別に、勝手でしょう!?」ビクッ



女騎士「いやいや……それよりも」ピトッ

少年「すっきりした方が、いいんじゃないかなぁって」ピトッ


男「んぐっ!?」ドキッ

男「す、すっきりって、何ですか!?」キョロキョロ



女騎士「うふふっ」クスッ

女騎士「一晩で、お前の中にタップリ溜まってる鬱憤を、ぜーーんぶ、吸い出してやるぞ?」ナデナデ


少年「ボクたち二人で……おにぃさんのココの中、空っぽにしてあげるっ」サスリサスリ

男「っ……」ゴクリ



女騎士「どうするんだ? 酒に逃げるか?」

男「っ、買いますっ!!」


女騎士「よしっ、そう来ないとな」ニコリ

少年「心配しないで? 絶対に、満足させちゃうからっ」ニコリ



男「……」

男「それはそうと、あの……」


女騎士「ん、どうかしたか?」

男「二人は、いつから体を売って稼いでるんですか?」



女騎士「数ヶ月前だな。と言うより……この時代にまだ馴れなくて、他の稼ぎ方がわからん」

男「はい?」


少年「気にしないで。早く宿屋へ行きましょ?」グイッ

女騎士「そうだそうだ。時間は有限……朝までの時間が、短くなってしまうぞ?」グイッ



男「で、ですよねっ!! 近くの店まで案内します、行きましょう!!」タタッ

女騎士「ふふっ」


少年「……」

女騎士「……」



少年「お姉ちゃん」

女騎士「んっ?」


少年「いま、しあわせ?」

女騎士「当然だ。目標金額まで後少し……そうしたら、田舎に家を立ててそこで暮らすぞ?」



少年「うん。一緒に、暮らそうねっ」ニコリ

女騎士「それも当前だ。お前と私は、姉弟で、家族なんだからな」ニコリ



少年「お姉ちゃん……」

少年「家族って、いいねっ♪」


後日談もおしまい。


後は、更にその後日談(オマケ)です。
地の文でのほぼエロのみ。

こちらはしばらくしてから。このスレが残ってたらここへ書きます。

取り敢えずここまでお疲れ様でしたm(__)m

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