P「キュートじゃないっ!!???」 (108)

モバマスss
短いです

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P「なあ志希……」

志希「ん?なあに?ハスハス♪」

P「cuteってさ…………本当にcuteなのか?」

志希「スタドリのやり過ぎ?」

P「いや違うんだ聞いてくれ」

志希「いいよー」

P「俺この前ベガス行ったじゃん?」

志希「うんうん」

P「そこで目に付いた娘にどんどん声かけていったんだよ」

志希「"Excus me!" って?」

P「…………………………」

志希「………………………」

P「そうそう」

志希「嘘だね」

P「まぁ、日本語だったけどさ」

志希「それでそれで?」

P「それで、まぁ、ほらそこからは拙い英語を使って必死に説得を試みたんだが…………」

志希「ダメだったと………」

P「『あー、もっと英語が出来ればなー!!』って叫びそうになったわけ」

志希「叫んだんだ」

P「……………………」

志希「……………………」

P「ちょっとだけだぞ」

志希「職質されたり?」

P「…………ちょっとだけだぞ」

志希「アウトだね」

P「現地のコーディネーターさんに迷惑は掛けたかな」

志希「それで乗り切ったと」

P「そうなんだけど、そうじゃなくて……」

志希「うん」

P「その後、コーディネーターさんにスカウトするならどんなセリフが良いか聞いたらさ」

志希「ふんふん」

P「どうも "cute" って連呼してたのがダメだったらしいんだよね」

志希「あーー」

P「分かるか」

志希「………まぁ、そうだね」

P「そのときは理由をきいて覚えてたんだけどなんでダメだったか忘れちゃったんだよね」

志希「ダメじゃん」

P「んで、お前らは "cute" で良いのかって事なんだよ」

志希「……………………………………」

P「……………………………」

志希「まあ、結論から言うと本当はあんまり良くないよね」

P「やっぱりかっ!?」

志希「というか、これはもう人によるよね」

P「えっ?」

志希「可愛いって英語で "cute" だけど……」

P「うん」

志希「実はもっといっぱい可愛いって単語があるじゃん」

P「ああっ!!」

志希「思い出した?」

P「確か……コーディネーターさんは "pretty" って言ってたな」

志希「一つはそれだね」

P「どう違うんだ?」

志希「うーん、"cute" ってさ、女の子がちっちゃくて可愛い感じのものを指していうニュアンスなんだよねー」

P「でも志希達も女の子だろ」

志希「いや、そうじゃなくてさ……」

P「おう」

志希「歳の頃なら良いとこ10歳くらいまでしか使わないんだよ」

P「な、なんだってーーー」

志希「美嘉ちゃんが『ふひひ、みりあちゃんかわいいよー★』とかきらりが『うきゃー、杏ちゃんかわいいにぃ☆」みたいなさ」

志希「結可愛らしい小物を愛でる女の子が使う言葉なんだよね」

P「うわあ、分かるけどなんか分かりたくない」

志希「キミなら『あ〜ら、アナタ可愛いわねん♪』みたいな感じだね」

P「オカマやんっ!!」

志希「ホモなのにね」

P「ホモじゃないです」

志希「で、 "pretty" の方はねー」

P「うん」

志希「『別嬪さんだねー』ってニュアンスだよ」

P「可愛いじゃないのか」

志希「うーん、ちょっと違うかなー。なんていうか、『キミの美貌は希少だね』とかそういう感じ」

P「ナンテコッタイ!!なら、せくちーとぷりちーじゃ全然違うのじゃん!」

志希「というか同じ顔でぷりちー担当分けられないよね」

P「しー、よく見れば違う顔してるから」

志希「で、あえて言うならアイドルやるくらいなら当然それなりに"pretty"だし小学生のちっちゃい子達はみんな"cute"なんだよね」

P「じゃあ所属部署に難癖つけて好きな娘を俺の担当にする作戦は………」

志希「ダメだねーー」

P「うおおおおおおおおおおおおぉぉ!!!!」

志希「血涙流してるところ悪いけど話を戻すよ」

P「うん」

志希「"cute" のニュアンスからいえば菜々さんとか若葉さんとか杏ちゃんみたいな年齢不詳組はある意味ちゃんと"cute"なアイドルなんだけど……」

P「うん」

志希「ちょっと違うかなって娘もいるよね」

P「いるの?」

志希「うん」

P「もしかしてレn」

志希「心さん直伝!!ていやーーっ♪」

P「痛いっ!!」

志希「まぁ、確かにあの人こそせくちー担当って言えるけど……」

P「まだいるの?」

志希「うん」

P「じゃあやっぱり姉ヶ崎?」

志希「あれは"sluty"かなぁ」

P「どういう意味?」

志希「ヤリマンだね」

P「姉ヶ崎は処女です。本当にありがとうございました。」

志希「まぁ冗談は程々にして」

P「お前、美嘉のことキライなの?」

志希「だってビアンでロリコンだし……」

P「胸にしまっておきます」

志希「共演NGってほどでもないよ」

P「俺が嫌なの」

志希「ふーん」

P「で、もう一人って誰なのよ?」

志希「嫌いな人?」

P「"cute" じゃないって娘」

志希「幸子ちゃんだね」

P「ウソだろ………、幸子が………、カワイイじゃない?」

志希「カワイイが可愛いと同じじゃなかったんだね」

P「じゃあ俺は幸子をこれからなんて呼べば良いんだ…………」

志希「カワイイ!で良いんじゃないかな」

志希「で、まぁあれは "charming" って感じ」

P「"charming" は他とどう違うんだ?」

志希「例えばさ、年齢を外したら"cute"は使えないよね?」

P「そうだな」

志希「顔も大して良くなかったら……」

P「"pretty" も使えないな」

志希「でも何かしら誉める言葉を探してる時に、『ええっと、"charming" だね』って言葉を濁す感じ」

P「お前、結構毒吐くよな」

志希「天才は孤独だから仕方ないよー♪」

P「まぁ、お前の人間関係は後で整理するとして……………」

志希「まぁ、ホラ!年配のおばあちゃんなんかが可愛げのある雰囲気だと"charming" だねなんて使うよ」

P「それフォローになってねえからな」

志希「他にはさー」

P「ラブリーチカはどうなんだ?」

志希「にゃははー、愛くるしいって意味だからまぁ、人によっては"Lovely" でも十分通ると思うよ」

P「そうか」

志希「うん」

P「しかし、そうなると所属選びって割となあなあだよなぁ」

志希「ロックじゃないロックアイドルとかね」

P「サイキックじゃないポンコツアイドルとかな」

志希「あっ、そういえば一番"cool" じゃないアイドルがいた!」

P「誰だ?」

志希「礼子さん!あれは"cool" じゃなくて"hot" だよねー♪」

P「意味は?」

志希「やりてぇ程にいいオンナ」

瑞樹「……………わかるわ」

P「おい」

ーーーー別の日

P「挫折しそう……」

志希「どうしたの?」

P「実は俺、アーニャを迎えるためにロシア語を勉強しようと思って」

志希「懲りないなぁ」

P「でも独力で学ぶのは諦めた」

志希「早すぎない?もうちょっと頑張ってみるとか」

P「俺にそんな甲斐性はない」

志希「なんだかなー」

P「まあ志希にゃんくらいが俺には丁度いいよ」

志希「その言い方もなんだかなー」

P「てな訳でロシア語教えて」

志希「やだよ面倒いしー♪」

P「そこをなんとか」

志希「キミに外国語教えるのは亀に芸を仕込むくらい絶望的だからね」

P「僕は深く傷つきました」

志希「キミの毛根と同じくらい?」

P「ハゲてねーよ」

志希「M型進行ですね」

P「このMは制作会社への敬意の表れだから。断じてハゲじゃない」

志希「まぁパッションの人達に比べたらフサフサだけどね〜〜♪」

P「やめて差し上げろ。アイツらいつもニコニコしてるけど心で泣いてるんだからな」

志希「切なくなるねー」

志希「ま、それはともかくとして、本人に教わればいいじゃん」

P「それはできん」

志希「なんで?」

P「アーニャが登場してもロシア語って字面がウルサイじゃん」

志希「本家みたいにカタカナでいいじゃん」

P「それでも面倒い」

志希「ダメ人間だね」

P「まぁ否定はしない」

志希「にゃははー、生まれ変わった方が早いかなー♪ZAPZAPZAP」

P「次の私はもう少しうまくやるでしょう」

P・志希「「hahaha!!」」

P「まあ俺も少しは頑張ったんだよ」

志希「どこまでやったの?」

P「アルファベット覚えるまで……」

P「あとはダーとかニェットとか簡単な単語を」

志希「ハラショーとかスパシーバとか?」

ケイト「あとはズヴィズダーとかネ!?」

志希「そうそう!喫煙者は?」

ケイト「ウセロ!マダ命ガアルコトヲ運命ニ感謝シテナ!」

P「いや、それはケイト違いだろ。……あっ、行っちゃった」

志希「あの娘も稼働初期からいるのに不憫な娘だよね」

P「ていうか前回の方が出番なんじゃないのか…………」

志希「で、ロシア語どうなの?」

P「どうもこうも、発音に引きづられて文字が変わるとか、特殊な読み方とか、性と格の変化がどうのとかサッパリ」

志希「あーそりゃもう、何も分かってないねー」

P「だからおせーてよーどらえモーン」

志希「仕方ないなあ」

P「よっしゃ♪」

志希「まずロシア語ってあるじゃん?」

P「うん」

志希「あれはもっと広い地域のスラブ語の仲間でね」

P「ん?」

志希「旧ソビエト連邦とか周辺国で使われてた言葉なんだけど分かれちゃったから……」

P「ほお」

志希「国や地域ごとに色々な決まりや規則が出来ちゃってて、そのうちロシア連邦の中で使われる様式が便宜的にロシア語なんだよね」

P「中国語に北京語とか広東語があるようなものか?」

志希「語学的分類は別にして大まかなイメージではそんな感じ」

P「周辺国とどんな違いがあるんだ?」

志希「例えば歴史あるブルガリアなんかはロシア語でつかう文字数よりも何種類か多いよ」

P「なんでそんなことになるんだ?同じの使ってる方が楽そうなのに」

志希「言葉っていうのは地理的な作用が大きいからね。日本だって長い目で見れば漢字から平仮名やカタカナを作った訳だし触れ合う文化の影響をどうしても受けるよねー」

P「そういやそうだな」

志希「あとロシア語に使う文字はキリル文字って呼ばれてるよ」

P「あの独特な形はなんかロマンがあるよな」

志希「あの形はねー、元はケルトや流浪の民ジプシーたちが使ってたルーン文字から派生したとも考えられているんだけど」

P「ルーン?朋あたりが詳しいあれか?」

志希「占いの意味づけはともかく、言語的にはルーンの解読は未だはっきりしてないんだよね」

P「まあ神秘的な物なら仕方ないな」

志希「逆だね」

P「逆?」

志希「あれは神秘ってよりも海洋商人たちが荷受けに使ってた番札だったっていうのが有力だよ」

P「つまり神秘とは真逆の実用から出た文字なのか」

志希「そそ」

P「でもよく分かってない」

志希「さっき言った通り番札だからさー、木の板切れに直線刻んだだけの物は端から腐っちゃって言語体系を解明するのに十分な標本が残ってないんだよね」

P「紙にインクは大発明なんだな」

志希「civでもコストが高いテックなだけあるよ」

P「ケルトとかジプシー?の人は絶滅したのか?」

志希「末裔はいるけど独自文化はかなり大国に併合されちゃってるよ」

P「それは残念だな」

志希「まあヨーロッパなんて民族対立でいつでも戦争やってるんだからそんなに都合よくはいかないよね」

P「平和なのは現代だけか」

志希「現代もウクライナ空爆あったしとか平和って表現するのは無関心じゃない?」

P「ちょっと無神経だったか」

志希「それにロシア語を勉強したからって親ロシアになるのはそれはそれで違うよね」

P「そうなのか」

P「しかし、お前は少し思い違いをしているぞ志希」

志希「どゆこと?」

P「俺は可愛い子とお話ししたいだけで別にロシアに思い入れがあるわけではないんだ」

P「日本語しか喋れないから日本でしか暮らせないし、『離れて分かった……、ワタシ、日本大好き♪』だぞ」

志希「そういえばキミはそういう男だったね」

P「それにハーフのアーニャはまだ日本国籍になるかもしれないんだし、アーニャ好き=ロシアっ娘好きとはならんだろ」

志希「それはさすがにどうなのかなー。好きでしょ?ロシアっ娘………」

志希「机の上えりちとかサーニャとか蘇芳とかザンギエフとかのフィギュアばっかじゃん」

志希「正直、女の子に混じってザンギ置いとくのはどうかと思うよ」

P「ほっといてくれよっ!ハイスコアガール見てたら欲しくなって買っちまったんだ……」

P「ま、まあとにかく今回の話題はロシア語!ロシア語講座してくれ」

志希「いやー、それがさ。結構考えたんだけど全ボツにしちゃったんだよね」

P「なんで!なんでだよ!妖怪の仕業か!?」

志希「妖怪は関係ないけど、あんまり真面目に講座っぽいことやっても面白くないんだよね」

P「じゃあ豆知識っぽいことだけでも」

志希「んー、それならいいかな」

P「お願いします」

志希「えっと、ロシア語の単語ってほとんどが伸ばしてる部分あるじゃん?ダーとかハラショーとかさ」

P「それが?」

志希「あれってアクセントなんだよね」

P「普通、アクセントって強く発音するもんじゃないのか」

志希「ロシア語では長音強勢という方式をとってるから疑問文なら長音を上げ調子、肯定文や命令文なら下げ調子でよめば」

P「ダー(↑)」

志希「いいですか?」

P「ダー(↓)」

志希「はい」

P「マジで!?」

志希「マジだよ」

P「なんだよ、簡単じゃんロシア語」

志希「まぁほら、そこは雰囲気だけ楽しんでよ。あんまりクドクドやっても単語の変化だけで諦める人多いだろうし」

P「ドイツ語とかよりも難しいのか?」

志希「名詞の格変化と形容詞の性変化と動詞の人称変化との組み合わせを真面目に覚える気あるならやるよ」

P「おーけー、分かった。負けを認めよう」

志希「そうしてくれると助かるかなー♪」

P「そろそろ飯でも行くか……」

志希「サイゼでいいよー」

P「お優しいことで涙が出らあ」

志希「タバスコいっぱいかけていい?」

P「チーズも良いぞ」

志希「やったー」

志希「そういえばタバスコとマスタードって調理思想が同じなんだよね」

P「そうなの?」

志希「洋芥子か唐辛子かの違いはあるけど、どっちもカラシに塩と酢で味付けした調味料だよ」

P「じゃあ和芥子使った同じやつないの?」

志希「んー、それは聞いたことないなぁ」

P「こんど響子に作らせてかな子に食わせようぜ」

志希「あとはみくにゃんとさとみんにも食べさせたいなー」

P「志希にゃん天才じゃね?」

志希「んふふー♪ よく言われる」

志希「そういえばさらに余談だけどサイゼ流資本投下方式とかも有名だよねー♪」

P「何それ興味ある。だがまぁ、その話は食べながらだな」

志希「りょうかーい、クルマよろしくー」

…………………………
………………

ーーーー別の日

P「ちょっと前に原子の命名権の話題あったじゃん」

志希「あったねー」

P「あれってどれくらいすごいの?」

志希「んー」

P「んー?」

志希「キュートのアイドルが総選挙一位になるくらいかな」

P「俺が悪かったよチクショウッ!」

志希「まあアメリカ・ロシアが競争相手だったからね〜。パワーバランス的にも大変って感じ」

P「え?そうなの」

志希「だから前々回・前回と来てこの話題だったんじゃないの?」

P「いや、そんなつもりはないが………」

志希「……………」

P「えっ、おこなの?」

志希「んー、いやー、そーだねー」

P「マジか……」

志希「何話そうかなーって」

P「いつも通り当たり障りのないことでいいぞ」

志希「ま、じゃあ、まずこういう先端科学技術ってさー、先行研究からこうすれば出来そうみたいな発想は転がってるんだよねー」

P「ふーん」

志希「ただその研究者が明らかにした研究は今やってる応用研究にフォーカスした過去のものだから、他所の研究者が好きに予算使って研究させてもらえないんだよ」

P「えっ、心狭くない?」

志希「既に2馬身も離された研究にはお金も時間も投下したくないよね」

P「そんな離れるのか」

志希「どうしてもそれやりたいなら、そこの研究者の下につくのが普通かなぁ」

P「なんかやな感じだな」

志希「あれ?なんかアカデミアに幻想持ってた?」

P「研究者って先駆者になりたいもんじゃないの?俺がやるならそうだけど」

志希「その辺もっとドライだね。結果が同じなら邪魔な矜持は胸しまって黙々とデータと向き合ってくれる研究者の方がいい仕事するんだよね」

P「そういうもんか」

志希「自己顕示欲が先立つとあまり良い結果にならないのが学術研究だもん」

P「俺は向いてなさそうだな」

志希「先鋭研究を除けばそこまで素質 は必要ないよ」

P「そんなもんか」

志希「逆にそういうのは基礎研究もまだ途上だから本当のいばらの道になるねー」

P「うわー、考えただけで胃が痛くなるな」

志希「科学的研究って大抵はあの手この手で目的物Xを合成するじゃん?」

P「できるまでが大変なんじゃないの」

志希「そういうのもあるけど、"目的物Xが出来たかどうか確認する"のが大変なんだよね。これを同定というんだけど」

P「科学にもドーテーが溢れてるわけね」

志希「変なシンパシー感じて欲しくないなぁ」

P「どどど童貞ちゃうわっ!! ………続けて」

志希「えーっと、話を戻すと……」

志希「今回の論旨は安定的に存在する最も重い金属のビスマスに加速器で亜鉛をぶつけて極小の核融合を起こし113番の元素が発現したことをその崩壊物質から同定した、かな」

P「核融合って聴くとにわかに胸がときめくのは何なんだろうな」

志希「飛鳥ちゃんと同じビョーキなんじゃない?」

P「ビョーキじゃねーよ!個性だ個性っ!!」


志希「最も重要なのは既知の崩壊プロセスから単に重量が同じ放射性同位体ではなく113番目の元素として同定されることが確実になったのが大きいんだよね」

P「え?単純に同じ重さの原子なら作れるの?」

志希「作れるというか出来ちゃうらしいよー。まあ化学なんて副生成物の方が多いなんてことはゴマンとあるからね」

P「志希のやってたこともそうなのか」

志希「目的物作るのに生成から分離・抽出・同定、化学構造の決定まで1ヶ月くらいかなあ」

P「そんなに掛かるのか」

志希「重い分子ならこれかなり早い方だよ」

P「え?」

志希「え?」

P「なんでそんな掛かるの」

志希「天然化合物の働きを検証して目的物Xをまず見つけます」

P「はい」

志希「目的物の化学的組成を同定します」

P「はい」

志希「そこから特徴的な部分を見つけて原料を調達します」

P「はい」

志希「目的物が生成されそうな条件をなんやかんや見つけ出します」

P「なんやかんやとは何ですか」

志希「なんやかんやはなんやかんやです」

P「詳しくお願いします」

志希「置換反応・分子修飾・カップリング・前駆体の形成・ラセミ化その他諸々です」

P「んーと、もろもろ? ……諸星きらり?」

志希「きらりん呼んでるよ〜♪」

きらり「おっすおっす♪ ばっちし!きらりんぱわー☆」

P「あががががががが」

志希「なんやかんやとはきらりんぱわー☆だったねー♪」

P「両手に亜鉛とビスマス持たせようぜ」

志希「その発想はなかったなー」

P「匂い作るのも大変なんだなぁ」

志希「匂いだけじゃないけどね」

P「他には何があるんだ」

志希「化学調味料とか食品添加物は多いね」

P「旨み成分とかいう奴だな」

志希「グルタミン酸とイノシン酸はねー、功罪あって難しいなぁ」

P「功は分かるけど罪ってなんだ?」

志希「風味が要らないことかな」

P「風味っていらないの?」

志希「化学調味料はゲームでいうならチートコードだからね」

P「無敵じゃん」

志希「そうじゃなくて、何食べても旨いって感じさせる物質入れたらそれでよくなっちゃう感じ」

P「それはなんか寂しいな」

志希「お袋の味より袋の味っていう揶揄もされてたし、便利も善し悪し」

P「そういやわさびダメなのにグルメなの?」

志希「いやー、戻ってきてだいぶ経つからね。さすがに克服したよ」

P「ファミレスいく娘がグルメかぁ」

志希「高いところ連れてってくれるの?」

P「この口めが生意気を申しまして、いやはや」

志希「あー恵比寿のお城みたいなところ行きたいなぁ」

P「は?お城行くのは晴ちゃんだろ?」

志希「ロブショ●ていうんだけど」

P「無理無理無理無理。2人で俺の生活費2ヶ月飛んじゃう」

志希「甲斐性ないなぁ」

P「ボーナスの額面みてから考えるわ」

志希「どんな話してたんだっけ」

P「たしか原子の命名権だったかな。何が凄いのかって……」

志希「本当に必要とされているのはこういう先鋭研究なんだよ」

P「原子の合成でもそうなのか」

志希「広い意味ではそうだね。技術的な不可能性の排除とか合成元素の崩壊プロセスの確認とかを通して」

志希「宇宙物理の複雑系に対する理解が深まってるわけだけど、それもより大きな枠組みを考える一つの道なんだよね」

P「話が壮大すぎて分からなくなってきた」

志希「んー、例えば重すぎる原子って原子核の中の陽子や電子雲自体の反発で安定的に存在できないんだよね。いるのはほんの一瞬」

P「それで出来た出来ないの話するのか」

志希「でもアイドル活動もあるイミおんなじだよねー。長い人類史の一瞬だけで夢とか希望とか熱気みたいなモノを共感する」

志希「そこにあったモノの大事さをキミなら分かるんじゃない?」

P「ああ、それはすごーく分かるぞ。その言葉が聞けただけでもよかったよ」

P「志希にとってアイドル活動もなかなか楽しくなってきたようだし」

志希「ん〜、今はなんで楽しいのかを究明してる最中かにゃ〜♪」

P「総選挙で1位とったら●ブション連れてってやるよ」

志希「にゃはは♪それはキミの頑張り次第じゃないかな」

P「あっ、チャンネル変えないで」

志希「なんで」

P「そのニュース見てる」

志希「意味ある?」

P「なくはない。羽振りのいい業種が分かればスポンサー探すのが楽になるからな」

志希「これで分かるの?」

P「春闘って知らんか?」

志希「んーん、あれって何するものなの?」

P「労働組合が経営側に翌年度の給与体系の賃上げを要求する催しだ」

志希「ウチって労働組合あるのかにゃ?」

P「あー、どうなってんだろ。たぶん事務職にはあるんじゃないか。俺は入ってないと思うけど」

志希「アイドルも入ってないよね」

P「お前らはほとんど完全歩合制に近いテーブルだから基本給チマチマあげてもしょうがないぞ」

志希「あれ?にゃんでアイドルの給与体系知ってるの?」

P「親御さんに契約の説明してるの誰だと思ってるんだ?」

志希「そうだったね♪ それでキミはなんで労組はいってないの?」

P「俺は年俸 歩合制だから入ろうと思えば入れるけど契約更改が自由だし必要性がないな」

志希「じゃあ盛り上がらないね」

P「テレビ観てみろ。凄い盛り上がりだろう?」

志希「あれはなんで盛り上がってるの?」

P「まず大手企業労組は早めの交渉でその年の賃上げの趨勢を決めるんだ。遅く始めた下請け中小企業労組はそれに倣うことになるわけ」

P「あそこは金属労協いわゆるJCMって呼ばれてる組織は重厚長大産業の労組のもとじめみたいなもんだな。そこのホワイトボードに金額書いてくのがニュースの場面だな」

志希「だから大手の数字があんなに取り上げられてるんだ」

P「これで羽振りの良さそうな所が分かるだろ。まあほとんど1500になっちゃってるけど」

志希「確かにそうだね」

P「あら、T●YOTAは満額からだいぶ落としたな。T●SHIBAとSHA●Pは別出しか…。再建中だし仕方ないわな」

志希「満額って?」

P「あぁ、T●YOTAは最初、労組の要求通りにニ●サンと同じ3000円までアップするって言われてたんだけど、……ずいぶん落としてるなって」

志希「半分じゃん」

P「他もT●YOTAに足並みを揃えた格好だな」

志希「やっぱり影響大きいね〜」

P「官製で軒並みベアとはいえ今年から来年に掛けては荒れるだろうな」

志希「なんで」

P「消費増税が来年4月に控えてるから予定通りなら今年いっぱいで底冷えだよ。今のうちにどこかからイベント予算上積みしておかないと足りなくなるかもな」

志希「それは大変そうだね」

P「まぁ、いつもの事だ。お前らが余計な心配しなくていいように先倒しで働くだけさ」

志希「プロデューサーってアイドルの売り出し方決めてるだけだと思ってたよ」

P「合ってるよ。ただ大人には電話3本で片付かないこともあるの。カネの話は特になぁ」

志希「電話3本はどこにかけるの?」

P「地方のイベント企画会社、衣装協力、スポンサーだよ」

志希「デパートとかのイベントは?」

P「あれは個別訪問だからもっと簡単。商流もクレジットも単線だからある程度裁量も貰えてるし」

志希「ふーん」

P「納得したか?」

志希「あー、聞きにくい事聞いていい?」

P「答えられるものならいいけど……」

志希「プロデューサーって結構ブラック?」

P「労働時間は別にして見合った報酬があればブラックとは呼ばないと俺は思ってるよ」

志希「でも残業代出てないんでしょ?」

P「年俸制だから出ないわけじゃない。ただ管理職の肩書きがあると会社側も出し渋れるだけで……」

志希「出てないんだ」

P「……そうだな」

志希「労組入ってるとその辺は改善されたりしないの?」

P「ま、そこは社風によるよ。酷いところはお抱え労組っていって経営側のイエスマンで固められてる所もあるからな」

志希「うにゃ〜、やっばー。それって違法じゃないの?」

P「んー、労組人事が人事部の管轄になってる企業は割と業界基準がそうだったりするんだよなー」

P「手続き上はキチンと協定通りに選出してます、みたいな体面は整えてあるし、役員ポストへの梯子だったりもするから社員側も利用してたりしてなー」

P「法律の条文通りになんでも解決できない点が難しい問題なんだよ」

志希「オトナって汚いねー」

P「世の中不誠実だらけだよ」

志希「そんなだと『ニッポンシネ』って言いたくもなるのかな」

P「個人的な意見だけどあれはいきすぎ」

志希「そうなの?」

P「そうだよ。俺の従姉妹なんか都内だけど入園で揉めないように産む時期逆算して仕込んだって言ってたぜ」

志希「そりゃー徹底してるね〜」

P「どこの保育園も小さ過ぎる乳幼児なんて怖くて預かれないからな」

P「『0歳児連れてきたぞ!オラッ預かれや』ってのは新手の揺すりか何かだろ」

P「入園時期まである程度大きく育てる事を考えてもらえないと皆が不幸だ」

志希「そんな時代かー」

P「そもそも少子化自体は対策するような社会問題でもないしな」

P「それと共働きってあんまり良い家計じゃないことも大事だな」

志希「家計?」

P「インカムがふたつあると一つの世帯なのに課税機会が増えるし、社会保険料の控除分も減るんだ」

志希「同じじゃないんだ」

P「民間で勤めてると仮定すると夫が600万稼ぐだけの世帯と300万ずつ夫婦で稼ぐ世帯とでは下手すると万単位で変わってくるから、育児も貯金も大変でいい事なんてほとんどない」

志希「民間じゃない場合は?」

P「公務員は幾つか抜け道もあるな。まぁ、産休・育休の待遇も民間とは大違いだし、下手したら職場にでて働かなくても周期的に子供産んで育ててるだけで年収200万以上貰えたりする」

志希「なにそれ、ほとんど税金ドロボーじゃん」

P「ま、納税側のキモチとしてはそうなるよな。だがこれも時代の流れだし、いってしまえばどっちもさじ加減だ」

志希「アイドルとプロデューサーが結婚するのは?」

P「さっき言った誠実さからみてアウトだろーなあ。アイドルはイベントで夢を売る仕事だから、他の女優に転向するなりなんなりするのがスジだろう」

志希「プロデューサー的にはNGか〜」

P「ままゆはあれが許されるんだから特殊な例だよな。まあ、うちの部署もままゆとまゆPは隔離しているわけだが」

志希「猛烈アタックといえばクールの娘たちもなかなかチャレンジャーだけどね」

P「一部、“クールの娘”ってつかったら語弊がありそうなんだが」

留美「あら、何か言ったかしら」

P「ひぃっ!?」

P「ごほん、あー、アイドルとプロデューサーをもっと現実的な視点で語れば………」

P「質素な生活ならアーリーリタイアで仕事辞めても楽勝なんだろうなあ」

楓「ふふふ、アーリーリタイアでタイに行く」

P「余生を海外で、なんて合う合わないの話ですし」

楓「.........」ショボーン

志希「プロデューサーには絶望的に気質に合わないんだろうねー♪」

P「日本語が世界の公用語になればなにも問題はないんだがなぁ」

志希「(そんなことありえ)ないです」

P「公用語じゃないけど、韓国とかインドネシアのジャワ島とか日本人多くてそれなりに生きていけるみたいだぞ」

志希「へー」

P「まー、リタイアしてみないとその辺は分からん。将来どうなってるかも読めないし」

志希「資産運用とかしてないの?」

P「高いレバレッジ掛けて博打うつなんてどこかのナスでない限りやらん方がいい」

志希「そうなの?アメリカでファンドでも建てて売り逃げすれば余生もウハウハじゃない?」

P「人の恨みを買ってビクビクしながら余生を過ごす趣味はないよ」

P「そんな不毛なこと仕事にしたくもないしなぁ」

志希「でも、金融系とかそういう人達がウチでも一番のいいお客さんなんだよね」

P「哀しいかな、それが現状ではある」

志希「理想と現実は違うからねー」

P「理想と言えば、アイドルはウ●コなんかしないんだろ。しないよね?」

志希「にゃははー、理想と現実は違うねー」

P「嘘だぁ……失望しました。みくにゃんのファン辞めます」

みく「なんでにゃああああああ!!?」

prrrrrrrrrrrr

P「はい、こちらPです。……あ〜っと、ご無沙汰しております。お元気そうで……、はい、ええ?」

P「ウチの娘ですか〜、ハハハ、いや〜、有り難い話ですが、今ちょっと条件に合う娘は……、ええ、ええ、はい……」

P「申し訳ないです。お力になれず…。はい、はい、……ええ、それでは失礼します」

志希「どったの?」

P「ん?ああ、いや……」

志希「仕事の電話?」

P「まぁ、断ったんだけどな」

志希「ほえ〜、珍しいね」

P「あんまり付き合いたくない製作元なんだよ」

志希「何かあったの?」

P「まえに成年組の引率してたら『大した牧場主ですな〜!!いや〜、あやかりたい限りだ!わっはっは』なんて言われてな……」

P「それ聞いた時子様とか川島さんとかもうブチ切れ……。凄い剣幕で仕事にならんってんで全部ひっくり返ってそれ以来音沙汰なしだったんだが…」

P「今回は穴が空いたからなんとかならないかってさ。まあそれでも断ったんだけどな」

志希「よく時子ちゃん止められたね」

P「いや、八つ当たりもされたし、事務所着くなり仕事取ってきた担当Pが拷問されてたり、破談の後処理したりイロイロ大変だったぞ」

志希「んで、なんでそんなに怒ったの?」

P「え?」

志希「へ?」

P「"牧場主"って知らんか」

志希「うん、ぜーんぜん♪」

P「あー、セクハラなんだよ。意味はニュアンスから察してくれると助かるが」

志希「種付けクソ野郎ってこと?」

P「ひどい言い草だな。しかも、それだとちょっと理解も足りない」

P「いいか、皮肉が男にしか向いてないなら川島さん達はあんなに怒ったりしないよ」

志希「んー。あ〜、そっかそっか。なるほど♪」

P「『女を囲いこんで養畜してるんだろ』って傲慢な物言いだから家畜に家畜扱いされたって時子様もブチ切れたわけ」

P「おまけに事実無根だしな…」

志希「大惨事だね」

P「大惨事だよ」

志希「で、キミは牧場主じゃないの?」

P「ねーよ」

志希「スカウト失敗した娘とどこか遊びに行ったりしないの?」

P「無理無理。時間ないもん。仕事仕事でプライベートの欠片もないわ」

志希「にゃははー♪月月火水木金金なんてプロデューサー様々だねー」

P「実際の牧場経営だって休みなんか多くないだろ。生き物相手だぞ」

P「何度か遊びに行ったことあるけど及川さんところも普通に忙しそうにしてたぞ」

志希「そんな所から一人娘の雫ちゃんを攫ってきて、ヒドいプロダクションだ」

P「全くだ。あんないい子を……」

志希「ヒトゴトかっ、なんつって♪」

志希「へー、あっ、シマウマ脱走だってよ」

P「んー、あらら、最後は溺死したっぽいな」

志希「あわれシマウマちゃんだねー」

P「これはサバンナシマウマかチャップマンシマウマじゃないか」

志希「シマウマにも種類あるんだ」

P「あるよ。グレービーシマウマなんか絶滅危惧種だから他国で死んだらこの程度の騒ぎじゃすまないよ」

志希「仁奈ちゃんには着せられないねー。どこで見分けるてるの?」

P「お尻の辺りの縞模様だな。慣れれば顔とかサイズでもわかると言うが」

志希「ふーん、あ、乗馬クラブから脱走だって」

P「移動動物園用の客寄せパンダだったのか」

志希「シマウマだけどね」

P「白と黒でどっちも似たようなもんじゃん」

志希「雑だなぁ」

P「うーん、しかし馬かぁ……」

志希「さっきの気にしてる?」

P「いや別件だ」

P「実はウチの爺さんが競走馬好きでさー、地方に出してたんだけど結局勝てなくて最後はサクラになったわ」

P「以来、あんまりいい思い出なくてさあ」

志希「サクラ?」

P「馬肉だよ。馬ってなんの用途で飼われてても最後はだいたい屠畜されるわけよ」

志希「そんなもんなの?」

P「まぁ、いくら悲しくてもこればっかりはなぁ」

P「天寿を全うするのなんてシンジケート組まれた種牡馬(しゅぼば)とか神事・祭事に使われる馬くらいか」

志希「そういうのは流石に卸さないんだ」

P「一説によると国内で生産される馬の9割以上が肉にされるらしい」

P「サラブレッドも育成中に5割がドナドナ、レースに出ても産駒を残せるのはほんの一握りだけだ」

志希「にゃはは、アイドルより厳しいセカイかもね♪」

P「肉にされても馬刺しとか人の口に入る部位だけ値がついて、それ以外はペットフードとかソーセージの合挽きにされたりする」

志希「詳しいね」

P「幼心に調べた時は愕然としたもんだ」

志希「ふーん」

志希「ところで馬刺しって美味しいの?」

P「早苗さんとか飲んだら確実に頼むぞ」

志希「あー、うん。想像できるな〜」

志希「あれー?キミは馬肉食べるの?」

P「出されれば食べるよ。生前を見るから情が湧くんで、肉で出されりゃ食材だよ」

志希「意外とドライだね」

P「……そうかもな」

P「食育なんつって『豚がいた教室』とかいろいろな実話を基にした映像作品があるけど」

志希「『豚がいた教室』?」

P「小学生達が豚を飼育するんだ、食う為って言って。でも情が移っちゃって最後卒業の時に豚の処遇が論争になるんだ」

P「愛玩動物として飼い続けるとか肉にしてみんなで食べるとか色々案があって………」

P「結局、議論の結論は出ずに屠畜場に送りはするが、本人達は食べないで終わるわけだが……」

志希「よく食肉加工に送れたね」

P「いや、最後はその教師の一存だよ。それがケジメだってさ」

志希「にゃはは♪ だったら食べれば良いのに」

P「だが俺は食べられなくてよかったと安堵したものだ」

志希「なんで?」

P「その豚の名前、"Pちゃん"て言うんだ」

志希「…………………」

P「…………………」

杏「(´・ω・`)豚のPちゃんは出荷よー」

P「(´・ω・`)そんなー」

P「って、出荷はお前だ。ギリギリまで居座りやがって……。みく、連れてけ!」

みく「はーいっ!行くよ杏チャンっ」

杏「横暴だー!断固抗議するぞー」

P「ま、ブリッツェンに心配はないがフィンランドなんかではトナカイも食用にするし何に生まれても人の社会で生きてたら食われるもんだ」

志希「ウチの事務所では食育しないの?」

P「んー、稟議出しても良いけどどうかなー。女所帯だから食べませんってなってもなぁ」

志希「じゃあ、あたしがアイドルに諮るとか?」

P「そうしたいならそれでも良いけど、俺には教えてくれ。あと大人組を巻き込むことと参加者はある程度絞ったほうが良いな」

志希「なんで?」

P「だって、なあ?200人から豚一匹なんて大して肉食えないぞ」

P「一匹から肉50キロなら大したもんだがバラ肉、スジ肉除いて食いでのあるロースはみんなに行き渡るほど多くはないだろ」

志希「じゃあ牛にするとか」

P「ま、そこはおいおいだな。最近は縁日でヒヨコ買ってきてロクって埋めてなんて時代じゃないし……」

P「逆にひとりでやったらそのほうが良いかもな。豚のハンドリングは大変だけど」

志希「にゅっふっふ〜、食べきれるかな〜♪」

P「そん時は手伝ってやるよ」

志希「ズルいなぁ………」

ーーーー別の日

志希「すんすん すんすん」

P「どうした?」

志希「キミ…、タバコ吸った?」

P「昼に付き合いで2本だけな」

志希「ウィンストンキャビンの8ミリだ」

P「なんで銘柄分かるんだよ」

志希「フランスの学会行った時にブランドの調香室にいっぱいそんなサンプルあったよ」

P「未成年になんちゅー……。感心しないな」

志希「んーやっぱり臭うねー」

P「マジかー念入りに歯を磨いたり、消臭スプレーもしたんだけどな」

志希「服……は結構薄いから、これは……手だね」

P「手?」

志希「うん、手から臭ってきてるよ」

P「うぇ、マジか。あー確かになんか……。ちょっと洗ってくるわ」

志希「いてらー」

P「ただいま」

志希「おかえりー♪」

プシュ

P「なん……?あっ、森の匂いがする」

志希「にゅふふ〜♪あたし特性ヒノキフレグランスなのだー」

P「なんでヒノキ」

志希「芽衣子ちゃんに頼まれて作ってみたー」

P「簡単に言うな。そんなんどうやって作るの?」

志希「ヒノキの角材を蒸して作るよ」

P「え?試験管フリフリして作るんじゃないの?」

志希「そんな面倒なことしないよー。花も木も水や油に匂い移す方が簡単♪」

P「意外とアナログなんだな」

志希「そだねー。まぁ分子量の違いとか両親媒性とか利用して抽出するのもあるけど、基本はアナログで十分だよ」

志希「あっ、イケナイ香り足すなら試験管つかうねー♪コレとか……」

P「それはしまっておきなさい」

志希「そういえば試験管で作れるヒノキチオールって芳香成分があるんだけど……」

P「ヒノキチオール?」

志希「うん。でも日本のヒノキからは検出されなくて、ヒバからは出るんだよねー」

P「んなアホな」

志希「本当だよー?」

P「ならヒバチオールで良いじゃん」

志希「海外産のヒノキから出てきたからヒノキチオールなんだって」

P「へー」

志希「ヒノキって防虫性が良くって木目もキレイだから杉なんか斬っていっぱい植えようって話が昔出たんだけど」

P「花粉症減るし、いい話じゃん」

志希「水害を起こすからダメってことになったんだよね」

P「はい?えっなんで水害になるの?」

志希「ヒノキの葉っぱはねー、虫も食べないから腐りにくいんだ」

P「それで?」

志希「それで何十センチもヒノキの葉っぱが山に積もるとさー」

志希「雨が降るたびに斜面をだばーっと水が勢いつけて流れ落ちていくことになるよねー」

P「ヤバいじゃん。鉄砲水みたいなもんか」

志希「鉄砲水?は分からないけどまぁそんな感じ」

P「過ぎたるは及ばざるが如しってことだな」

志希「そうそう。一つの種だけ植えてもあんまり森には良くないねー」

P「森単位か……」

志希「森は生き物だからねー」

P「志希がそんなに森が好きとは知らなかったが」

志希「んー、森がっていうか結局のところ自然は試料の宝庫だから大事にしたらいいんじゃないかにゃ」

P「えっとー、アレだなっ!絶滅危惧種とか保全すればいいんだろ?」

志希「またそんな適当なことを……」

志希「遺伝子プールを広く保つのは大事だけど適者生存とか収斂進化の過程である程度は似たような生き物が出てくるから何が何でもって事でもないかなー」

P「マンモスの代わりに象が出てきたみたいな?」

志希「マンモスも人間が絶滅させた説があって割と有力だねー」

紗南「上手に焼けました〜〜♪」

P「食べちゃったのか……」

志希「そのおかげで人類が種を繋いだのかも知れないし、結局、多種の生殺与奪について語るのはエゴイズムだと思うけどね」

P「殺すな、食べるななんて自己都合だもんな」

志希「ただ、そうは言っても好き勝手な事されると後の人は困るよね」

P「困ることなんかあるか?」

志希「うん。例えば林業なんてその典型だよね。自分の不始末は子々孫々だよ」

P「あー、なんかもう辛そう」

志希「戦時中の燃料にしたりとか所得倍増計画の時に大伐採して輸出したりとか結構無茶苦茶したらしーよ」

P「あっ(察し)」

志希「その時に真っ直ぐ・大きく育つ木から輸出したもんだから、優良な遺伝子の大部分が森から消えたんだよね」

P「何かしら対策とかは……」

志希「ないね。杉植えただけ」

マキノ「度し難い……」

志希「まぁだから、根絶やしにするのは良くないってことだねー♪」

P「面倒を押し付けられた側からの非難もエゴイズムと一蹴されんのかな」

志希「社会和の問題じゃない?」

志希「得られた利益以上の不利益を相手に押し付ける囚人のジレンマみたいなモデルなら改善のしようがないよーな」

P「人間は自由の刑に処されているって案外本当かもな」

志希「J・P・サルトルだね。なつかしい〜♪でも、自己責任論というよりは単に市場の失敗のような……」

P「じゃあやっぱり経済成長論が悪なわけだ」

志希「個人的には経済成長の指標が金銭額面でしか表せていない資本主義の失敗だと思う」

P「新しい経済制度できると思う?」

志希「あと百年のうちには出来るんじゃないかな」

P「行動経済学から『入り口無料』とか『ガチャ』とか搾取方法ばっかり発明されるのになぁ」

ちひろ「それこそ"自由の刑"ですよ。自己都合、自己責任ってことで♪」

P「泣けるぜ……」ガチャガチャ

ーーー別の日

P「あ、いたいた」

志希「はにゃ?どったの?」

P「その格好かわいいな」

志希「んふふ〜♪」

P「実は隣からお菓子ガメてきたんだ。一緒に食べようぜ」

志希「おー!おー?和菓子だ」

P「ほら、去年は周子がシンデレラガール獲ったじゃん?」

志希「そだねー」

P「今、総選挙の投票やってますよーって言ったら」

P「塩見さんちから大量に送られてきてさー」

志希「どのくらい?」

P「季節の菓子5個詰め合わせが50箱」

志希「ワーオ♪うまくやったね」

P「そう褒めるな」

P「あー、こういうのは生菓子もあるから早く食べちゃわないとな」

志希「お茶淹れよーか?」

P「水出し煎茶が冷蔵庫にあるはず」

志希「玉露じゃなくていいの?」

P「押物とか入ってる詰め合わせだから煎茶のが良いな」

P「それに、あんまりまじめにやるとお抹茶だぞ。大変だろ?」

志希「そだね〜」

P「まぁ俺も似たようなことは言ったことあるんだけどね」

志希「塩見さんちで?」

P「そうそう。そしたらさっきの言葉が飛んできて…。去年は5月に京都寄ったらもう暑くてさー」

志希「こっちはそうでもないもんね」

P「ついでに寺社めぐりしてたんだが街中でもどうも通りが臭ってビックリしたよ」

志希「異臭?」

P「そうそう。鼻につく塩素みたいな匂いでさ」

志希「なんだろうね」

P「草いきれって言うんだろうか、流石に葬式はなかったけどな」

志希「どういうこと?」

P「知らないか?『草いきれ人死に居ると札の立つ』って句があるんだが」

志希「んーん、全然」

P「与謝蕪村なんか今時やらんか」

P「あー、ほら。暑い日の川辺の緑からむわあっとむせるような熱気があがるわけだ」

志希「ふんふん」

P「その青々とした様子に生命の力強さを感じる一方で、熱に当てられて誰かご高翌齢の方が亡くなる家も出てくる」

志希「あー、なるほどね」

P「人死にを知らせる札を見て人の命の儚さを想うわけだ」

志希「命題と反命題だね」

P「渾然一体をなす無常観こそが俳句だよなぁ」

志希「そういえば俳句詠むアイドルとかいないね」

P「みうさぎが昔、ドヤってたくらいか」

志希「珠美ちゃんとか詠ませてみれば?」

P「辞世ばっかり詠みそうじゃない?」

志希「鳴かぬなら?」

P「フンフンフフーン♪」

P・志希「フンフフーン♪」

P「迷句だな」

志希「季語がないじゃん」

P「そういや英語の俳句とか最早、俳句の面影もないのはなんなんだろうな」

志希「サウスパークで韻の欠片もないしアホみたいとは言われてたね」

P「意図的に排除してある部分もあるわけだが、そういう意味では短歌の方が技巧的で良かったんだろうけど」

志希「うーん、そりゃHAIKUは小学生のちっちゃい子供達に音節を意識させるためだけに使われた教材だからねー」

志希「意味内容とか文化的な成り立ちなんてクドクド教えても分かんないんだよね」

P「それってわざわざ俳句使わなくて良くない?」

志希「ところがそうでもなくてさー」

P「ほう」

志希「向こうでは民族的な中立を満たす要請があるんだよね」

P「んんん?」

志希「例えば黒人は歴史的に白人と対立してるし、職業文化的には韓国系と対立してるからさー」

P「そうなの?」

志希「そうそう。ちょっと前までは人種で就ける職業も割とはっきり分かれてたんだよね」

P「まじかー」

志希「ユダヤ人が金融系に就くのは教義的に他宗派が高翌利貸しを禁じていたからとか」

P「まじ?」

志希「まじまじ、アイリッシュは役人とかジャーマンは鍛冶屋とかインド系はモーテル経営が多いとかそういうのがあったんだよねー」

P「それで成り立つって逆にすげーな」

志希「まー、そういうのもあって教材は民族的な中立性が必要だったんだよね。日本て宗教的にも割とファジーだし」

P「日系ってそんなに少ないの?」

志希「西海岸の方にはそこそこいるみたいだけど、まー、顔見ても日系かどうかなんて分かんないよ。チャイニーズの方がよっぽど多いし」

P「そっかー。観光地ばっかり回ってたから分かんなかったけどそんなもんか」

志希「確かに観光地には多いかもねー」

P「ところで俺、モナカ貰っていい?」

志希「にゅふふ〜、じゃあ志希ちゃんは桜餅貰っちゃおうかな〜♪」

P「あ〜、道明寺食べちゃうか〜」

志希「ん?歌鈴ちゃんがどうしたの?」

P「違う違う。桜餅には長命寺と道明寺の二つの形があってさ」

志希「ふんふん」

P「本日は50道明寺がこのビル内で食べられてしまうのだ」

志希「なんだって〜」

P「さあ、ほら、いただきますか」

志希「いただきま〜す」

P「やっぱり餡子美味いな」

志希「ねー」

P「………道明寺も道明寺食べるのかな」

志希「ん〜?道明寺は道明寺食べないんじゃない?」

P「逆に道明寺が道明寺に食べられたらどうしよう」

志希「道明寺どうしよう上司」

P「道明寺、早口言葉みたいになっちゃったな」

志希「歌鈴ちゃんは絶対噛むよね」

P「そりゃもう意識しないでも嚙める娘だからな」

志希「隣の客はよく柿食う客だ」

P「桃栗三年柿八年」

志希「それは違うなー」

P「違うかー」

志希「あっ、そっか」

P「んんん?」

志希「さっきの京都の異臭って栗の花かも」

P「栗の花ってどんな匂いなんだ?」

志希「ん〜、巷では精液の臭いなんて俗説があるけど、百合の甘い匂いに酒臭い人の呼吸を合わせてたような刺激臭ってかんじかにゃ」

P「あ〜、いや、そうか。そんなだったかも」

志希「この香りの正体はスペルミンかスペルミジンだっていう俗説があってさー」

P「何それスペルマ的な何かってこと?スゲー明け透けな名前つけたりするんだな」

志希「他にもスカトールとかヴァギノールとかクリトリンとか変なのいっぱいあるけどねー♪」

P「姉さん、世界はエロで出来ているわけで……」

志希「でも一々、構造式読んでられないからさー。分かりやすい通名って結構大事だよ」

志希「2-(4-ヒドロキシフェニル)-3-[2-O,6-O-ビス(α-L-ラムノピラノシル)-β-D-グルコピラノシルオキシ]-5,7-ジヒドロキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オン、なんて呼ばれてもピンとこないでしょ?」

P「もう一回言って?」

志希「クリトリン」

P「そっちじゃないけど、それでもオッケー!!」

志希「それで栗花の芳香主成分はスペルミンあんまり関係なくてフェニルアミン系とか不飽和アルデヒド系が多かったんだよねー」

P「スペルミンじゃなくて?でも、なんでそんな嘘吐いたんだろうな」

P「案外、学者ってセクハラだけが目的なんじゃねーか?」

志希「まあ成長ホルモンとして実生の時期に分泌自体はされてるらしいから、ちょっとした誤謬ですまされてるね」

P「早とちりかぁ」

志希「真実、早とちりだったかは疑いの余地が残るけど、出典も明らかじゃないから検証するだけ時間のムダー♪」

P「すっきりしない話だなぁ」

志希「あんこの甘さはすっきりしてるけどね」

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