モバP「三題噺の2」 (26)

>>2
>>4
>>5
のお題で短編。最長10レス程度

形式的には2年ぐらい前の↓これ参照
モバP「三題噺」
モバP「三題噺」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1395919920/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1468500263

怪談

Pとゆっこ

夜食

P「なあ裕子」

裕子「ムムムーン……はい、なんでしょう?」

P「さっきから何をやってるんだ?」

裕子「見ての通り、サイキックを!」

P「いや、スプーンを手鏡代わりに髪型でも整えてるのかと思った」

裕子「なんと! なんでですか!」

P「だって曲がらないし……」

裕子「曲がりますよ!ムムーン! ハッ! とう! セイ、オリャー!」グニャー

P「今両手で持ったな?」

裕子「サイキックです!」

P「いや、まぁ特訓するのはいいことだ。止めはしない」

裕子「んしょ、んしょ……日々の鍛練がエスパーとしての力を磨く一歩ですからね!」

P「……何やってるんだ?」

裕子「スプーンを戻してました」

P「サイキックで?」

裕子「そう見えましたか!」

P「そう見えなかったから聞いたんだ」

裕子「フッフッフ、あまりのサイキックパワーによく見えなかったってことですね」

P「そうだな、あまりにサイキックすぎて手で一生懸命元に戻してるように見えたよ」

裕子「いやぁ、それほどでも……あります!」

P「褒めてないが」

P「まぁ、いいんだ。それはいいとして」

裕子「はい!」

P「……なんで裕子ってそんなにしょっちゅうスプーン握ってるんだ?」

裕子「エスパーだから……でしょうか……」

P「いや、そういうのじゃなくてだな」

裕子「いえ、本当に。そんな自覚はないんですけれど」

P「そうか……今何本ある?」

裕子「3本ですかね」

P「そうか」

裕子「あっ、非常用のを合わせると4本です!」

P「そうか」

P「咎めるわけではないが……そんなに持ってて邪魔じゃないのか?」

裕子「いえ、結構役に立ちますよ! 出先でご飯を食べる時とか……」

P「マイスプーンは使いにくくないか?」

裕子「食べるのに使った後のはしまうところに困るのが最近の悩みですね」

P「案の上じゃないか……」

裕子「あっ、それから困ったことというか、怖かったことがありました」

P「怖かったこと?」

裕子「はい。あれはある蒸し暑い夜のことでした……」

P「……」

裕子「寝苦しさを感じた私は、寮の食堂に降りました……水でも飲もうかな、と」

裕子「コップに水をあけ、飲んでいる最中にふと視線を感じました!」

P「視線?」

裕子「しかし振り返っても誰もいない。そこにあるのは冷蔵庫のみ……」

P「……」

裕子「そこでふと思い出したんです。そういえば先日のロケでいただいたプリンがあるのでは!と」

裕子「夜食はカロリーが……と思いつつ、それでも甘い誘惑が気になり……自分の行く末を占うようにスプーンを握りしめました」

P「食う気マンマンじゃないか」

裕子「いえ、その時点では悩んでいたんです……スプーンもそう、お守りのようなもので……」

P「お守りか……」

裕子「コホン。その通り……とりあえず、食べるかどうかは見てから考えようと思いました」

P「割と食う方に傾いてないか? 大丈夫か?」

裕子「そっと冷蔵庫のドアを開けると、なんと!」

P「なんと?」

裕子「一番目立つところに私のプリンが……!」

P「……それで?」

裕子「……美味しかったです」

P「……いただいたプリンって5個詰めだったと思うんだが」

裕子「美味しかったです」

P「裕子」

裕子「はい、Pさんの顔が一番怖い、ということで……サイキック、般若面!」

P「裕子」

裕子「……えへへ! どうですか、これがサイキックトーク術!」

P「思いっきり自白しただけじゃないかなぁ!」

「怪談」「Pとゆっこ」「夜食」でした

次は
>>14-16

プラネタリウム

――さて、本物の夜空を見たのはいつの日だったか。
いつ見上げても変わらない造り物の夜空を見上げたところに、キュラキュラと巡回するパトロールロボの音を私の耳が拾った。

息をひそめ、銃を構える。昔は考えられなかったことだが、今はもう離れられない相棒だ。
性能は把握している。興奮からか高鳴る心臓をおさえて、大きく深呼吸をした。息を吸う。吐く。

パトロールロボのキャタピラ音が止まる。深く息を吸う。
同時に地面を強くえぐり進む音が響く。隠れていたのが見つかったらしい。

性能は把握している。だから、こうして隠れていてもすぐに発見されることもわかっている。
銃を構えていた右側面へとロボが回り込んでくる。
機械のような――実際に機械なのだから、この称し方は間違っているとは思うが――正確さゆえに、わかりやすい。

引き金を絞ると、ロボの動きが止まった。
この銃は正確に致命の一撃を与えたようだ。

残り少なくなった食料を口へ運び、目的地の方へと目をやる。
果てしなく遠いわけではないが、このままでは届かない。
やはりリスクを背負う必要があるだろう。

覚悟を決めて踏み出したタイミングで、キュラ、とまた例の音が聞こえる。
バカな、このタイミングでなど――

反応し、銃を構え、狙いをつけて、撃つ。
それだけの動作をさせてくれるほど、ロボは甘くなかった。

弾丸が腕を、胸を、頭をとらえる。手痛い敗北の味を味わうこととなってしまった。


――――

――

「うーむ、今回はやられましたな……」

「フッフッフ、そう何度も何度もやられてはパトロールロボたちの立つ瀬がないからな!」

同僚にてかのパトロールロボ達の開発をした池袋晶葉その人が、胸を張って私の前に立った。
あちこちがペイント弾でベトベトで、大変気持ちが悪い。

何度も戦えばおのずと癖もわかる、というのはお互いさまということか。

「お互いにメタを張り合ってるんじゃ、もともとの性能テストの意味もなくなるんじゃない?」

造り物の空――疑似プラネタリウムから、泉殿の声が聞こえてくる。
なるほど、確かに一理ある。私も、晶葉殿も、お互いがお互いの癖を把握してきてしまっているのは確かだ。
しかし戦術をたてるに当たって相手の考えを利用するのは基本中の基本。
それに、このテスト開始当初ならばともかく今のロボ相手に真正面からでは勝ち目はないといってもいい。

真正面から立ち向かえない、という意味ではもはやテストをする意味もないのかもしれない。
つまりは、よほどのことがない限り対抗できない、ということだからだ。

「うーむ、じゃあテストはこれぐらいにしておこうか……私も自信をもって送り出せる出来になったしな」

「そうでありますか……」

「そうだとも。だから、次からは私も参戦するぞ!」

「へ?」

想定外の返答に間の抜けた返答をしてしまう。
晶葉殿は、へへんと笑うとメガホンのようなものを取り出した。

「これは私が趣味で……コホン。研究の一環で作ったメガホンガンだ! 秒間20連射だぞ!」

「えーっと、それはつまり……」

「テストだけじゃなくて、普通にサバゲーとして遊んでみたい、ってことだよ。あ、私もね」

天板から聞こえる声もどこか楽しそうに弾んでいる。
……少し、寂しいと思ってしまっていた。もともとはただの開発協力であったはずなのに、知恵を絞り戦うのは楽しかった。
今度は仲間と共に戦えるのだと思うと、嬉しさに胸が弾む。1人でなければ、戦術の幅も広がる。

わくわくした気持ちを深呼吸で胸の中にどうにか落ち着かせて2人へ向けて宣言する。
そうだ、仲間が一緒ならば。何がしたいかはたくさんあるが、何をすべきかはまずは決まっている。


「……よぉし、ならばまずは基礎体力をつける特訓からであります!」

「えぇっ!?」


――2人の声は若干ずれつつも、驚きの意思を返してきた。

「プラネタリウム」「コマンドライン」「亜季軍曹」でした
次は>>23-25
今日はここまで

ナターリア

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom