提督「……キン肉マンおもしろいなぁ」ペラ
提督「……キン肉バスターか……」
提督「相手が大股を開いてでんぐり返りの姿勢になるから」ペラ
提督「もし、スカートをはいた女の子なんかにこれをかけたら……」
提督「すごいことになるなぁ」ペラ
提督「……」ピキュリィィィン!
提督「ん?」
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ガチャ
鹿島「提督さん、鹿島ですっ」ニコッ
鹿島「うふふっ、なんだかお暇そうでしたので、よければ鹿島がお話でも……」
提督「…………」ゴゴゴゴゴゴゴ
鹿島「……提督さん?」
提督「ッ!」クワッ
閃く提督の頭脳。
年季の入ったドアノブを握ったまま、鹿島は執務室……否、提督の放つ異様な雰囲気を即座に察した。
だが、なにもかもがすでに遅かった。
修羅と化した提督の形相、それは鹿島のあらゆる行動を沈黙させ、委縮に追い込む。
それを好機と見た彼は、足下の赤い絨毯を蹴飛ばし、一気に駆けた。
推定相対距離5m――非戦闘艦である鹿島をその手に捕らえるには、容易い距離だった。
「きゃあ!」
悲鳴も意に介さない。
提督は彼女のボディを一瞬でリフトし、その幼さの残る顔……及び頭を右肩に。
その大木のように鍛え上げられた両腕を以て彼女の両足をクラッチし、提督自身の頭の上に持ち上げ……
飛び上がったッ!
――――ズドンッ
その刹那、すべてが終わった。
「できた……これが……」
「……キン肉バスター……」グッ…
執務室の古くくすんだ床板をマットに見立て、尻から着地を果たした提督の肩の上……
そこには、白目をむいて気を失った鹿島の姿があった。
大股を開き、でんぐり返りを仕損じた子供のように転がったままの彼女を、提督はゆっくりと降ろしてやった。
戦いを終えた相手には、相応の敬意を――
強者の教えを、彼はしっかりと守ったのだ。
誇らしげに立ち上がる提督。
マットに沈んだ鹿島の股ぐらに目線をくべ、一言漏らす。
「白か……」
その瞬間、まるで柑橘飲料のような爽やかな風が、執務室を吹き抜ける。
提督はそのまま眠りに入った鹿島をやさしくソファに寝かせてやり、毛布を掛けた。
すこしぬけます
ご安心なさい……彼女は死んでません(迫真)
?「じゃーん、マグネットパワープラスよ」
?「マグネットパワーマイナスなのです」
提督「これだ……私は……ッ!」
提督「私は……古鷹にこの技をかける……ッ!!」
それは愛ゆえの歪んだ想いから生まれた、彼の覇道の始まりにすぎなかった。
提督「しかし……」
提督「古鷹の部屋に赴くのは、私もはじめてだなぁ」
提督「たしか、二階だったと思うんだけど……」
提督「行ってみよう」
提督「二階に来たはいいけど……」
提督「しまったなぁ、ここは駆逐艦の部屋の並びだった」
提督「やれやれ、別の階を改めて探……」
??「イッチバーン!」
提督「ぬ!?」
提督「その声は……白露!」
白露「ふふふ!」
白露「上の方から、提督がマットを打つ刺激的な音を聞いたんです!」
白露「こないだ、提督の部屋で漫画も読んだ所だし……」
白露「今度はアタシが提督の覇道を止めるよ!」
提督「よーし、提督やっちゃうぞぉ」
時雨「な、なんか始まったみたいだね……」
時雨「とりあえず……春雨、ゴングを……」
春雨「ひゃっ、は、はい!」カーンッ
先に仕掛けたのは、提督だった。
廊下の特性を利用し、直線で大きくスピードを稼ぐことで、勝負をすぐさま終わらせる腹積もりだ。
先ほどのように、その脚力を以て全身をバネとし、突貫する。
シュタッ
だが、白露はその心の内を読んだかの如く、大きく宙を舞った。
これには、提督も驚きを隠せない!
狼狽える提督の背後に、ストンと舞い降りた小柄な少女。
余裕綽々といったところか、彼女は勝気な笑みを上げ、こう言い放った。
「甘いよ提督!」
「アタシ達だって、伊達に鍛えられてないんだからッ!」
その細い両の腕が提督の胴体をきつく締め上げる。
内臓の収縮する苦痛、柔らかい何かを背中に感じる幸福感の狭間で、提督はただ呻くだけ。
「えいっ!」
その姿勢から、白露はその柔らかい体を大きく背中にそらせる。
白露のフェイバリットホールド、ダブルアームスープレックスの完成だッ!
ズドンッ
マットという名の板張り床に沈む提督の後頭部。
会場にいた誰もが、白露の勝利を確信した。
「チッチッチッ……」
「え……!?」
「ガール……大人を……」
「からかっちゃいけない……よ……」
しかし……提督はよろめきながらも、立ち上がった。
その雄姿に、鎮守府中が涙する。
何故だと言わんばかりの白露の歯軋りに応える形で、提督は言った。
「君の身長は一般的な駆逐艦のそれだ……」
「!?」
「そうかーっ!」
口を開いたのは、時雨だった。
「白露の身長が低すぎて、高い打点が稼げなかったんだーっ」
(春雨……意味が分かりません……)グスッ
キラーン!
白露に生まれた一瞬の隙を、提督のもつ野獣の眼光が見逃すことはしない。
即座に彼女の両肩に後ろから飛び乗り、勢いを殺すことなくそれを前倒しにする。
受け身を取れない白露は、されるがままだった。
ドシッと音を立て、白露の頭は提督の腰の下へ納められる。
「ムーッ!グムムッ!」
苦しいのも無理はない、しかし提督は手を休めない。
仰向けとなった彼女の両ももを自身の胴体に力一杯寄せ上げる。
その先に見えたもの、それは――
またしても白だった。
ガクッ……
「時雨姉さん……これはいったい?」
「勝ったんだよ、提督が……」フフッ
「メキシカンローリングクラッチホールドで」
カーンカーンカーンッ
提督の上げた二戦目の白星。
彼は勇ましい左腕を天に掲げ、ハルクホーガンよろしく白露のお株を奪う。
「イッチバーンッ!」
……そして、彼は去った。
気を失った白露の身体を妹たちの手に任せ、その漢の背中を見せつけるように……。
………………
…………
……
??「待つのじゃ、提督」
提督「ん、この声は……!」
初春「貴様の悪しき気配を感じたのじゃ……」
初春「今度はわらわが相手じゃ」
初春「その“きんにくまんごっこ”とやら……」
初春「ここで終わりにしようぞ!」クスッ
提督「やっぱ(キン肉マン)好きなんすねぇ」
カーンッ
第三試合……提督は学習した。
素早い駆逐艦相手に、先手の大技は厳禁だ。
様子を見ることも兼ね、熾烈だが基本技の応酬である初春のラッシュを次々と捌く。
だが、恐ろしいことに、それすらも初春の手の中で踊らされているに過ぎなかったのだ。
提督のガードが開いた一瞬の隙を突き、彼女は手に持っていた柄杓(?)を提督のみぞおちに突き付けた。
ドスッ!
「グウゥッ!」
「ほっほ……苦しかろう、提督?」ニタァ
「初春お前……カハッ!」
「凶器(?)攻撃だと……!?」ハァ…ハァ…
「どんな手を使っても勝つ……」
「それがわらわのやり方じゃ」クスッ
妖艶な笑みを浮かべ、みぞおちを抑え震える提督に容赦なく飛びかかる。
顔面を覆われ、提督は状況の把握ができない。
「おわーっ、前が見えないよーっ」
それこそ、初春の計算通り……
勢いに負け、身が投げ出される。
パリィィン!!
瞬間、鎮守府の廊下の硝子が吹き飛んだ。
身体が重力によって、下へ下へと矢のように落ちるのを感じる。
その先は――――――
バシャーーン!
ゴボゴボ……
「グボボッボ……!?(海……だと……!?)」
「海はわらわ達の“ほぉむぐらうんど”ぞ……」クスクス
「さぁ……食らうがよいわ!」
気泡が次々と登るのに逆らい、初春は提督の両足をクラッチしてその身を底に沈める。
彼女のフェイバリット、ハツハルドライバーを決めるための準備はこれにて完了だ!
提督はそれを振り切るため、その身を必死によじる。
だが、水に濡れて今にも透けそうな彼女のワンピースの胸元が気になり、力が入らない!
ここまでか……!
「……バレ……!」
「!」
「私タチガ……ツイテル……!」
「ゴ、ゴババベベ(お、お前たちは)……!」
その姿ははっきりと見えないが、提督は確かに感じた。
(全身に力がみなぎってくる……)
(これなら……いけるかもしれんッ!)
真の友情パワーの発動を……!
「ゴボォ(とぉう)!」
「ぬっ!?」
それはクラッチの緩んだ一瞬のこと……!
残された力を振り絞り、右足を思い切り蹴り上げる。
目論見通りにそれは初春の手を離れ、彼女の身体を弓なりに弾き飛ばした。
「し、しまっ……」
「ゴブブババビボ(こんどは私の番だ)!」
初春の右腕と右足を提督自身の両腕に固め、大技ボー・バックブリーカーに捕らえた。
苦悶の表情を浮かべる初春。
「あなや!」
そして提督の持てる脚力を駆使し、バタ足の要領を以てその体を海面に向かって急上昇させ――
ザパァァン!
燦々と照りつける太陽を背に、スピンダブルアームで初春の身体を大きく宙に跳ね上げる。
気のせいだろうか、陸の上に初春がもう一人居るように見えたが……気にしない!
「そこだッ!」
逆さまに落ちる初春の両腕を提督の両足が抑え、逆に小さく開いた初春の両足を提督の両手がクラッチする。
そのまま重力に身を任せ、落下衝撃に備えた。
これこそ驚異のドライバー返し、キン肉ドライバーの完成だ!
「紫か……よく見えるぞ」
「今度からはお前も白を履くんだ……」
「そうすれば、お前も正義超人のような艦娘になれる」
初春は今までの行為を悔いて涙を流し、そのまま気を失った……。
………………
…………
……
イ級「提督、ヨカッタノカ?」
提督「ん?」
イ級「トドメハササナクテ」
提督「ははは……ここは地面がコンクリートだからね」
提督「ドライバーになんかかけたら……」
提督「……彼女が死んでしまうだろ?」キラッ
イ級「ソッカ」
イ級「……行クノカ?」
提督「あぁ……」ヨロッ
ガチャ…
提督「ふる……たか……」ガクガク
古鷹「はぁい……!?」ビクッ
古鷹「あ、え……て、提督っ!?」
提督「わ……私は……」プルプル…
提督「君を……キン肉バス……ターに……」
古鷹「え、えと……んん??」
古鷹「……古鷹にはよく分かりませんけど、いいですよ」フフッ
提督「……え……?」
古鷹「今まで何があったか、分かりませんけど……」
古鷹「そんな姿になってまで……古鷹を頼りに来てくれたこと……」
古鷹「……すごく……」
古鷹「……すごく、うれしいんです!」ニコッ
提督「ふるたかぁ……!」ポロ…ポロ…
春色広がる古鷹のベッド――
そこに提督は腰を深く沈めた。
両手を上げ、その後ろで微笑みを浮かべる古鷹に指で合図を送る。
すると、彼女はその可愛らしい頭を自分から提督の肩へ預けた。
首元のキャンドルのような心地の良い香りが、提督の荒んだこころをきれいにする。
極力、彼女に苦痛のないようその両足をゆっくりと持ち上げ……
そして、提督は問うた。
「本当にいいのか」
「はいっ」
提督の流した涙は悦び故か、また恥ずべき自身の行為故か、知る由もない。
古鷹の両足が開かれたその瞬間を以て、幸せにつつまれた優しいキン肉バスターは完成を見た。
パンツは黒だった。
―――――――――――fin――――――――――――――
ゆでたまご先生!お許しください!
ここまで読んでくださった方、楽しく書かせていただきありがとうございました。
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