日向創「ronpa/extra」 (28)

fateキャラ無し
キャラ崩壊有
選択肢有
設定や世界観微妙に変更有

ロンパキャラクターでextra聖杯戦争なSSです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1456473112

  ──。

………。

………………。


夢を見ていた。
それはいつかの自分。
希望に裏切られ、絶望に裏切られた自分。
全てを放棄した自分。
何もかも投げ出して、捨て去って、楽になりたいと望んでいた自分。
そんな弱い自分を叱咤し、一歩を踏み出させてくれた存在。
その“誰か”の為に、自分は未来を求めた、その後。

 
 

「……ふわぁあ」

朝の通学路。欠伸を隠さず漏らし、太陽の光を浴びながらいつもの道を歩む。
ボリボリと頭を掻いていれば、いつもの校門が目に入ってくる。

「おはよう!」

校門をくぐろうとすると、門の前で仁王立ちをしている少年に挨拶をされた。
確か彼は……そう、石丸清多夏といったか。希望ヶ峰学園の風紀委員だ。
巷では超高校級の風紀委員だなんて呼ばれるほどに風紀においては注目されてる人物だ。

「はようっす」

適当に返事を返す。大方朝の挨拶強化月間だの、抜き打ち持ち物検査辺りだろう。
見られて困るものは持ち込んではいないし、挨拶はしっかり交わした。問題は無いはずだ。
そのまま横を通りぬけて行こうとすると、引き留められる。

石丸「ちょっと待ってくれ」
「何か?」

別に急いでるわけでもないし、何か風紀を乱すようなことはした覚えがないが。

石丸「君は自分のことを……いや、なんでもない」
「……?」

何が言いたいのかよく分からない。
石丸は一瞬何か言いたげな表情を浮かべたが、直ぐに笑顔を浮かべた。

石丸「今日も勉学に励んでくれたまえ!」

言われなくてもそのつもりだ。
僕は手をひらひらと振ってそれに応え、校舎の中へ入って行った。

教室に入ると、ざわざわとした喧騒に包まれている。
いつもこんな感じではあるのだが、今日はいつにも増して五月蠅い。
何かあったんだろうか。

「よう。お前聞いたか?」
「おはよう、何が?」

席に座ると、後ろから声をかけられる。相手は誰だか分かっているから驚きもしないが。
振り返りながら声の主と目を合わせる。声の主──左右田は紫髪をいじくりながら、秘密ごとを打ち明けるように僕に囁いた。

左右田「今日よ。転校生がくるらしいぜ」
「ふぅん」

なるほど、だから五月蠅かったのか。
僕は転校生が誰だろうと興味は無いけれど、確かに皆からしたら転校生は格好の話題だろう。
左右田和一。僕のクラスメイトで、友達……ってわけでもないな。席が近いから話す、その程度の仲だ。
放課後に遊んだこともないし、左右田について詳しく知っているわけでもない。
機械弄りが趣味で、ちゃらちゃらとした外見の割に成績はそこそこの優等生、その程度の認識だ。

左右田「ふぅん、てなんだよ!お前マジでリアクションに乏しすぎねーか?」
「別に。誰が転校しようが関係ないしね」

ああ、そういえば左右田についてもう一つ知ってた。ちょっとウザい。ツッコミ気質っていうか。
そこが嫌いになれないんだけどね。でもちょっとウザい。
左右田は僕の反応が面白くなかったのか、前の席の奴に絡みに行っていた。元気な奴だ。

朝の喧騒は担任の教師によって遮られる。
噂通り転校生がやってくるらしい。教室全体がそわそわとしている。

「それじゃあ、入ってこい」

教師に呼ばれた転校生が、教室へと入ってくる。
そわそわとした空間が、一瞬、静寂に満ちた。

「初めまして。ボクの名前は狛枝凪斗です」

教壇の横に立ち、爽やかにそう告げた転校生。
特徴的な白髪も目を引いたが、何よりも驚いたのはその格好。
希望ヶ峰学園の校則はそこまで厳しくない。だけど、それは何も無秩序なわけじゃない。
生徒は全員、当たり前のように制服を着ている。それは、校則とかそういう事ではなく、ただそれが当たり前、というだけの話だ。
なのに狛枝と名乗った転校生は、白いシャツにジーパンを履き、挙句の果てには趣味の宜しくない緑色のパーカーを着ている。

狛枝「……アレ、何かおかしいかな?」

おかしい、なんてものじゃない。なんて常識がないんだ。こんなのおかしい。
誰だってそう思うにきまって……きまって?
しかし、僕の思いとは裏腹に、教室では普段の調子を取り戻しつつあった。
皆同じ光景を見ていて、最初は確かに驚いていたはずなのに、誰も、何も、言わない。
まるで間違っているのは僕だ、といわんばかりに。

狛枝「親の都合で転校してきたんだけど、多分そこまで“長く”いるつもりはないんだ。
きっと希望溢れる皆ならすぐに会えると思うしね。だから僅かな時間だけど、仲良くしてほしいかな」

転校生はそう挨拶をして締めくくる。
教室から鳴り響く拍手。
僕はいまだに、この奇妙な世界に戸惑っている。
──一瞬、視界にノイズが入った気がした、

狛枝「……」

ふと、転校生の視線を感じた。
いや、それは僕に向けられていたものだったのだろうか。
分からない。ただ、彼の眼は、こちらを見ていたような。品定めしていたような、そんな気がする。

更新は後程

気が付けば、下校時間になっていた。
窓から外を覗けば、夕暮れが綺麗だ。

「帰ろう」

僕は鞄を持って立ち上がる。

狛枝「やぁ」

声に驚いて振り向くと、転校生がにこやかに手を振っていた。

狛枝「君は確か……」
「……?」

転校生は言葉の途中で首をひねる。

狛枝「あはは……本当に申し訳ないよね。クラスメイトの名前は覚えるようにしたつもりだったんだけど、すっかり忘れちゃってるよ」
「気にしなくていいよ」
狛枝「本当にごめんね。ボクみたいな何の取り柄のない人間が、クラスメイトの名前すらいえないなんてさ」

服装の件と言い、なんていうか、ちょっと世間よりずれているのかもしれない。
あまり関わりたくないが、名前を言うくらいは筋かもしれない。
僕は名前を言おうとして……。
僕は……。

僕は…………。


   僕  は  誰  だ  ?


狛枝「……どうかしたのかな?」
「僕は……」
狛枝「ふふ、ようやく気付いたのかな?刻限は近いけど、きっと向こうで会えることを祈ってるよ」

転校生が何を言っているのかわからない。
いや、そんなことを考える余裕すらない。
僕は。ぼくは。ボクハ。

──視界がノイズで包まれた。

朝。
いつも通り登校する。
いつも通り石丸が立っている。
いつも通り話しかけられる。
いつも通り答える。
いつも通り教室へ向かう。
いつも通り。
いつも通り。いつも通り。いつも通り。
いつも通り。いつも通り。いつも通り。いつも通り。いつも通り。いつも通り。いつも通り。いつも通り。いつも通り。いつも通り。いつも通り。いつも通り。

あの日から何度繰り返しただろう。
壊れたカセットテープが、延々と再生し続けられるような日々。
同じ日常。変わらない日常。何もかもがいつも通りの日常。/気味が悪い。

おかしいのは僕なのか。/僕じゃない。

左右田「あーくそ、なんだよこの感覚」

左右田が苛立たしげに話しかけてくる。
知らない。
知らない。僕はお前のことなんか知らない。
お前も。こいつも。あいつも。そいつも。どいつも。君も。貴方も。
誰も誰も誰も誰も誰も誰も誰も。

ノイズは日増しにひどくなっていく。
うざったい。なんだこれは。なんなんだこれは。

気持ち悪い。吐き気がする。
世界から拒絶されているような。/世界を拒絶しているような。
そんな感覚が体を支配していく。

下刻時刻になった。
帰らなくては。
早く帰って、繰り返さないと。
繰り返さないといけない。そうしなければならない。


……なぜ?


おかしい。
おかしい。この世界はおかしい。間違っている。
違う、そうじゃない。
この世界は致命的に間違ってる。誤っている。
何から間違ってるのか。どこから間違ってるか。
それは分からない。ただ、この違和感を飲み込んでこの日常を繰り返せば、終わってしまう。何かが終わってしまう。
そんな確信があった。

──探そう。
その答えは、きっとこの学園にある。
 

学校を歩き回る。
いつも通りのルーチンから外れた行動。
今までとは違う動きをするたびにノイズは激しくなっていく。

しかし、ノイズが濃くなるほどに、僕のこの行動は間違っていないんだと。
そう確信できた。

学園を歩き回る。
一瞬、誰かの視線を感じた。
僕はそれを無視して歩き続ける。
答えを探して。


狛枝「やぁ」
「……」
狛枝「酷い顔をしているね。でも答えに至ったみたいだ」
「……」
狛枝「希望の君達なら、辿り着けると思っていたよ。……実は、それだけじゃないんだけどね。
君達はボクに似ているんだ。ああ、勿論バカにしているわけじゃないよ。ボクなんかと一緒にされたくないって気持ちは分かるさ
そうじゃなくてね。なんていうんだろう。心の在り方というか、信条というか、そんなものが、似ているって。そんな風に思うんだ」
「……」

目の前の男が何を言っているのかわからない。
その視線は、ボクを見ているようで、違う誰かを見ているようで。
真意は伝わってこない。

狛枝「ボクはもう行くよ。君達の希望の踏み台くらいにはなれると願ってね。
きっと会えると信じているから」

そういって転校生は歩いていく。
分からない。何を言っているのかが分からない。
ただ、見送ってはいけない。
彼についていかないと。そうしないと。そうすれば。

僕はふらふらと、彼の後を追っていく。
しかし、少し歩いた途端、違和感を感じた。
視線の先には壁。
何もない、壁。
廊下の端。緊急用の消火器が置いてある以外、窓も階段もない。
なのに、ここへ歩いてきたアイツは、いない。

ゆっくりと、歩む。
何かを確かめるように。/何かを確信したように。
僕は、目の前の壁へ、手を伸ばす。

──ああ、そうか。
これが──。

壁の先は、存在した。
見たこともない部屋。
いや、それが部屋であるのかすら怪しい。
視界銃を埋め尽くす青。まるで海の底のようだ。
自分の周りだけを透明なドームのようなものが覆っている。
ゆっくりと、深呼吸をする。大丈夫、呼吸は出来る。
拳を痛いほどに握る。大丈夫、痛みはある。
ならばこれは現実で。

きっとこれが、自分の願いの始まりなのだろう。
自分の横には、いつの間にか、自分と同じくらいの大きさの人形が、立っていた。
何が起きているのかはわからない。しかし、理解は追いついている。

目の前を見据える。
さっきまでは、何もなかった。
ただひたすらに青が広がっていた世界。
しかし、気が付けば、自分の横にいる人形と同じ型の人形が、立ちふさがっている。

……分かっている。
もう、理解しているのだ。
自分は何者か。
何のためにこの世界は在ったのか。
何のためにここへ来たのか。
全て、すべて理解している。

だから。

人形が僕の意思に気付いたかのように動き出す。
そう、それでいい。
僕は、勝つ。勝たないといけないんだ。

僕の人形は僕の思った通りに動いてくれる。
寸分の狂いなく、僕の考えるとおりに動く。
立ちふさがる人形を、あの手この手で破壊しようと攻撃を繰り返す。
勝てる、そう思っていた……。

人形の四肢がバラバラになる。
残った胴体は、既に貫かれていた。

負けたのは──僕の人形だった。
優勢だったはずなのに。
なのに、僕の人形の攻撃はことごとく通らなかった。
まるで、初めからそう定められていたかのように。

僕は、選ばれなかったんだ。
僕は、なんのために。
僕は、ただ。
僕は──。

悔しい。
ただただ、悔しい。
あと少しだった。
もう、分かっていたのに。



「うぷぷ。キミもダメだったね」



せめて。
誰か。
まだ、“終わっていない”誰か──。
忘れないでほしい。
僕という存在を。
僕の名前を。
僕の、戦いを……。

 
 
うぷぷ。

うぷぷぷぷ。

どこぞの知らないモブクンの戦いはここで終わってしまった!
だけど、キミはどうかな?
何も為せずに絶望して死んでゆくのかな?
それとも、資格を得て絶望してゆくのかな?

なんにせよ、まだオマエの物語は始まってもいないね。
希望か、絶望か。
オマエラは何をどう選択して、どんな答えをだすのか。

ワックワクのドッキドキだね!

うぷぷぷぷ……。
だーっひゃっひゃっひゃ!

今回の更新はここまでです。
安価というわけでもなく、簡単な調査ですが。
剣を携えたアンテナの少年
品を漂わせた王族の少年
ミステリアスな雰囲気を纏った少女
どれが好みでしょうか。

「んーー……っと」

朝の通学路。太陽の光を体いっぱい浴びながら伸びをする。
全身を伸ばしながら歩いていくと、“いつもの”見慣れた校門が目に入ってくる。
俺は小さく深呼吸をして、校門をくぐっていく。

「おはよう!」

予想通り、門の前で仁王立ちをしている少年に挨拶をされた。
こいつは、石丸清多夏。希望ヶ峰学園の風紀委員だ。
巷では超高校級の風紀委員だなんて呼ばれるほどに風紀においては注目されてる人物だ。

「おはよう、石丸」

俺はこの光景を知っている。
いつもの、変わらない光景。/違和感しかない光景。

石丸「ちょっと待ってくれ」
「……何だ?」

これも知っている。
何もかも知っている、
この後、石丸が何を言うのかも知っている。
だから、俺は──。

石丸「君は自分のことを……いや、なんでもない」
「俺の事は分かってるさ。名前は日向創だ。今度は忘れるなよ」

そう、俺の名前は日向創。
希望ヶ峰学園の平凡な学生だ。

石丸「ふむ……そうか。覚えておこう!それでは今日も勉学に励んでくれたまえ!」
日向「ああ、そうさせて貰うよ」

俺はそう返すと、確かな足取りで校舎へ入っていく。
ああ、大丈夫。
この違和感だらけの空間だけど、自分の事は、理解っている。

下駄箱に着く。
緩慢な動作で上履きを取り出し、履き替える。
繰り返される毎日。
いつも通りで、いつも通り過ぎて、何かが間違っている世界。
それを理解してから、俺は何事にも意識を払ってきた。
もしかしたら、何かが変わっているかもしれない。俺の意識が変われば、何かが変わるかもしれない。
そう信じて。

狛枝「おはよう、日向クン」
日向「おう、狛枝か。おはよう」

そんなことを考えていると、ちょうど登校してきたのか、狛枝と鉢合わせになる。

日向「どうだ?学校は慣れたか」

狛枝は色々と不思議な奴だ。
こいつが転校してきたことがきっかけで、俺はこの世界の違和感を感じ取った。
だからかもしれないが、俺はこいつと話すことが多い。

狛枝「そうだね。面白いよ。今までロクな学校にいなかったから、結構新鮮だね」
日向「何かあったのか?」
狛枝「大したことじゃないよ。才能もないゴミ屑達が、嫉妬を振りまいて希望を潰す、そんなありふれた景色さ。
ボク程度のクズにも等しい才能ですら、その嫉妬の対象になるんだから笑っちゃうよね」

狛枝は、そう吐き捨てながら憎々しげな表情を浮かべる。
短い付き合いだが、たまに狛枝はよく分からないことを言う。
俺の知らない狛枝。普段の好青年な印象は消え、不気味で得体の知れない一面。
どう返していいかわからず、何も言わずに教室へと歩みを続ける。

狛枝「だからこそ、今回のゲームは楽しみなんだ。
才能を持った希望達が、それぞれの希望の為に、命を尽くして……ふふ、想像するだけで震えが止まらないよ」
日向「狛枝は相変わらずだな……」
狛枝「大丈夫さ、日向クンなら。きっと意味が分かる日が来るよ」

俺は肩をすくめると、教室の扉へ手をかけた。

「うおおおお、マジかよ!」

席に近寄ると、そんな言葉が耳に入ってきた。
声質……とかそんなこと考えなくても、まあこの声は左右田だよな。
ちらりと視線を向けると、左右田は俺の後ろの席の奴と何やら話していた。
俺の後ろの席の奴は……確か、佐藤とか、そんな感じだった気がする。あまり他人と関わるタイプの奴じゃないから、覚えてないんだよな。

「ったく、左右田の奴はいっつもうるさいわね」
日向「うお!?」

ボウと左右田と佐藤のやり取りを眺めていると、突然前から声をかけられた。
思わず変な声をあげながら振り向くと、そこには肩を竦めたクラスの委員長がいた。

日向「いきなり脅かすなよ……小泉」
小泉「それは悪かったわね。おはよう日向」
日向「ああ、おはよう」

小泉真昼。
俺の所属するクラスの委員長で、写真が大好きな女子だ。
確か写真部にも所属していて、よくカメラを片手に色んな所へ散策に行くのを見る。
男子からも女子からも人望が厚く、少しだけ男子に対する当たりが強いことを除けば理想の委員長だ。

小泉「あたしもそろそろ腹を括らないとね」
日向「……ん?どういう意味だ?」
小泉「日向みたいなNPCには分からないわよ」
日向「は?NPC?何言ってるんだ?」

NPC。
確かノン・プレイヤー・キャラクターの略で、RPGの村人とか対戦ゲームのbotみたいな、そういうプレイヤー……つまり、ただのプログラムって意味だよな。
俺がNPC……小泉は何を言ってるんだ?
小泉がまるで世間話のように放った一言に頭を捻らせていると、いつのまにか小泉はどこかへ行ってしまった。
なんなんだ?
分からない。いや、今も分からないことだらけだ。
ただ一つ分かることは、狛枝も小泉も、何かを知っているという事だけ。
それがなんなのか、俺には分からない。何かがおかしいのは分かっている。けれど何がおかしいのかは分からない。
もやもやした気持ちを抱えたまま、1限目の授業が始まった。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年03月26日 (土) 17:20:27   ID: MMCNS5dz

なんか怖いな

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