理樹「小毬さんにセクハラするとナルコレプシなくなった」恭介「なに言ってんだお前」 (57)

理樹(ナルコレプシー…僕があるきっかけから発症してしまった眠り病だ。この病は、時間を問わず突然寝てしまうという日常生活の上で非常に厄介な問題である)

理樹(しかし幸いにもある日にその病を小毬さんにセクハラを行うことで症状を抑えることを発見をしたのだ。早速このことを恭介に報告した。これは学会で今後の睡眠障害に関する脳医学において重要な発見であると報告出来るんじゃないだろうか?しかし恭介からの対応は冷たいものだった)

理樹「僕もよく分からないんだ。ただ気付いたのも最近で、小毬さんにセクハラしてからあまり起きなくなってきたんだ」

恭介「………理樹、お前はきっと疲れているんだ。今日はもう休んだほうがいい。幸いここはお前の部屋だ。すぐ隣にベッドがあるぞ」

理樹「………人の話聞いてる?眠くならなくなったって事なんだけど」

恭介「ダメだこいつ早くなんとかしねえと」

理樹(恭介は理由もよく説明しないまま部屋を出て行ってしまった。まだ彼には理解が及ばない話だったかもしれない。まあ無理もない。実際他の事で抑えられているのかもしれないし、『はいこうです』と即刻実証出来るものでもないからだ)

理樹(だけど実際に効いているのは効いているのだからそうする他あるまい。これは仕方のないことなんだ)

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理樹「さて…」

理樹(時計をちらりと見た。そろそろ『時間』だ。僕はこれまで、その発作をどのくらいの周期でセクハラすれば常に抑えられるのかを毎分ごとにデータに残しつつ度重なる実験でとうとう特定することが出来た。ずばり『4時間に1回のセクハラ』で問題ないらしい)

理樹(もちろん普通に寝ている間は発症しないしわざわざ起きてセクハラしにいかなくてもいい。つまり朝起きてまずはブレイクファーストセクハラ。昼休みにランチセクハラ。夕方にティータイムセクハラし、夜にはディナーセクハラ。1日に計4回のセクハラで僕は病の心配をする必要がなくなるのだ)

理樹(そして今は2度目のセクハラ。小毬さんはきっといつものように屋上でいるだろう)


…………………………………



屋上

理樹(屋上に侵入すると小毬さんは貯水槽にもたれ掛かかり、足をぶらぶらさせながらホットケーキを頬張っていた。少し計算外だった。いつもなら昼寝タイムに入っているからセクハラもしやすかったものを)

理樹(しかし贅沢を言う身分でないことは知っている。紳士に、そして謙虚にセクハラしなければ)

理樹「やあ、小毬さん」

小毬「ぴゃっ!?」

小毬「あ、え…り、理樹くん…こんにちは…」

理樹(小毬さんの声は掠れて顔も引きつっている。最近僕を見るたびにこれだ。他の人にはあの太陽のような笑顔を見せているというのに)

理樹「隣、いいかな?」

小毬「……うん……」

理樹(明らかに声のトーンがいつもよりダウンしている。もしかすると具合でも悪いのだろうか)

理樹「大丈夫?お腹でも痛い?」

理樹(この流れなら今日はすぐに済みそうだ)

小毬「だっ、大丈夫だよ~!」

理樹「そんなこと言ったって現に声がうわずっているじゃないか」

小毬「…だ、だって……それは理樹くんが…いつも……」

理樹「うん?」

理樹(よく聞こえなかった。まあ、今はそんなことどうでもいいんだけど)

理樹「どれ、さすってあげるよ!」

小毬「!!」

小毬「ほ、本当に大丈夫だからっ!」

理樹「いやいやいやそういう訳にもいかないよ」

理樹(あくまでエレガントにセクハラするのみだ。僕は酒の場でどこぞのOLに絡む上司とは違う)

サワサワ

小毬「ひやぁっ!?」

理樹「こうしてお腹を右側に円を描くよう回せばいいんだってさ」

理樹(小毬さんのお腹はフニフニだった。ホットケーキも食べていた直後だから少し膨れているかな?)

小毬「あ…あう……」

理樹(身体全体がぽっと熱くなる気がした。これでミッションコンプリートだ!)

理樹「じゃ、そういう事だからまたね小毬さん」

小毬「う…うん!」

理樹部屋

理樹(時は飛んで夕方。そろそろ小毬さんの元へ行かなければ)

理樹「うーんと…」

理樹(大前提として僕は小毬さんの位置を知っていなければセクハラすることさえもかなわない。だから例の星形の髪飾りにつけちゃいました。GPS)

理樹「なるほど、街か…」

理樹(流石に街の真ん中で触る気にはならない。見つかってしまってはただのど変態だからだ)

理樹「おっ、もうすぐ帰るところだな…よしっ」

理樹(財布から電車賃を取り出した。片道切符だけでいい)

真人「おっ、どこ行くんだ理樹?」

理樹(寝そべりながら漫画を読んでいた真人に言った。そう、決行は…)

理樹「電車の中だよ」

真人「………は?」

まともな小毬SS期待してたらすまんな
時間を見て更新するが本格的な続きは夜だ!

電車内

理樹(発車から一度も移動していなきゃ4号車に乗っているはずだ)

プシューッ

小毬「~~~~」

鈴「~~~」

理樹(なんてこった!今日は鈴と一緒に行っていたのか。いや、少し考えれば分かる事だ。そうさ、今時の女の子が1人で出かけたりするものか)

理樹「…考えろ直枝理樹…」

理樹(落ち着け、別に近くに知り合いがいた所でなんて事はない。ちょっとセクハラしてそれから談笑しながら帰るだけさ)

理樹「………ようしっ」




…………………………

………………



小毬「そうなんですよ~っ」

鈴「そうなのかー」

理樹「やあやあ偶然だね2人とも」

鈴「おっ、理樹か」

小毬「っ!?」

理樹「うん。ちょっと用があったんだ」

理樹(他の乗客はあまりいなかった。時間帯もあり、一つのシートに2、3人と言った具合だ。もちろん僕らの事なんか見向きもしない)

理樹「今日は鈴達はどこへ行ってたの?」

鈴「そーだなー。まず昼に駄菓子屋さんに寄ったんだ。それから…」

理樹(鈴には適当な質問を投げかけてそちらに集中するよう仕向けた。そしてその間にさりげなく僕の左側が小毬さんの陰で見えなくなるようなポジションに移った)

小毬「えぁ……り、理樹くん…?」

理樹「ふふっ」

理樹(本人は様子がおかしいことに気付いたらしい。しかし小毬さんに行動を考える隙は与えなかった)

理樹(フェーズ1。実はここが正念場であり、最大の集中力を注ぐべきポイントである。まず小毬さんへ急に接触するのはいけない。例えるならトランプタワーの成功間近のように慎重に迫ろう)

スッ

小毬「あうっ……」

理樹(腰に手を滑らせた。少し声を漏らされたが、それに対する鈴の反応は見受けられなかった。概ね成功だ)

鈴「~で、帰ろうってなった」

理樹「ふーん、そっかぁ」

理樹(逆に、ここまで来れば成功したも同然である。押しの弱い小毬さんはここからはなし崩しになんでも許してしまうのである)

理樹「あっ、そういえば鈴。この間って猫の日だったよね」

鈴「知ってたのか理樹?そうだ、そうなんだ。実は猫の日はな、いつものモンプチの店が50%オフで…」

理樹(だけど鈴に会話を途切れさせることなくセクハラするというのは案外難しい。ここはとっとと終わらせよう)

理樹(腰に当てていた手をどんどん臀部に滑り込ませた)

小毬「あ……あ……ひゃうっ」

理樹(そして撫で回す。ごめん小毬さん…これも仕方がないことなんだ)

小毬「やっ………んっ!」

鈴「うん?」

理樹「おっと…」

理樹(流石に気付かれたか。まあここまでやれば大丈夫だろう…騒ぎが大きくならないうちに手を引っ込めた)

鈴「どうしたんだ小毬ちゃん?」

小毬「あ……ううん、なんでもないよ」

鈴「そーか?ならいいが…」



………………………………………………


………………………




食堂

真人「ふぃ~今日も食ったなっ!」

謙吾「はぁ…お前も腹八分を実行してみたらどうだ?」

真人「は、腹を無視しろってか…!?んなもん死ぬに決まってんじゃねえか!」

来ヶ谷「今のはもしかして腹を村八分するとか変なボケをかまそうとしたのか?分かりにくい上にくだらないぞ」

真人「別にウケを狙った訳じゃねーよ!ごめんなさいでしたぁぁー!!」

理樹(今日最後のセクハラだ。僕の1日はセクハラに始まりセクハラに終わる…なんとも哲学的だ)

小毬「……………」

理樹(小毬がこちらを不審に見ていることを横目で確認した。やれやれ、まだこの治療法を始めて1日と経っていないのに今からこんな警戒心を持たれていたら先が思いやられてしまうな…なんとか打開策を思いつかないと)

葉留佳「それじゃーそろそろ帰ろっかクド公」

クド「はいなのです!」

恭介「よし、じゃあ俺たちも戻るとしよう」

理樹(やはり1日の中でセクハラを一番実行しやすいのは食堂から立ち去る夜だ。いつも僕らは全員で集まってから食べるので食堂に残っている人間は少ない。ともなれば比例して寮への帰り道に誰かがいる可能性も少ないという算段だ)



廊下

理樹(とはいえ流石にこのメンバーのど真ん中でセクハラをする訳にもいかない。しかし幸いにも寮までの廊下は全体的に薄暗い。そこが狙い目だ)

恭介「明日からまた日にちを開けるんだが…」

謙吾「またどこか行くのか?」

西園「確か一つの街の人々が宇宙人に乗っ取られるという話だったような…」

来ヶ谷「ああ、それなら私も読んだことがある。タイトルは…」

理樹(みんなは会話に集中している。このタイミングを逃す手はない。僕は小毬さんの位置でないと聞き取りにくい場所へペンを投げた。無論、みんなから自然に遠ざけるため、その『場所』が校舎に続く階段になるまで待ってからだけど)

カツンッ

小毬「ほぁ?」

理樹(投げたところが見つからないようあらかじめみんなと離れて行動していたが、どうやら正解だったようだ。小毬さんはキョロキョロ辺りを見回してから階段の方へ向かった。そのことを誰も気付いていない)

階段手前

理樹(階段の手前まで来るともはや辺りは暗闇でしかなかった)

小毬「えーっと……」

理樹(小毬さんはペンが落ちた場所まで来るとものの数秒で落ちた物を見つけた。僕にとってはその数秒で充分だった)

小毬「ペンかぁ…誰が落としたのかな…夜だし見回りの人?」

理樹(あまり心臓の心拍数は上がらなかった。闇をすり抜け小毬さんの後ろにあっという間にたどり着くと素早く小毬さんの後ろをとった。今回はボディタッチに気を使なくてもいいだろう)

理樹「…………………」

小毬「んむ!?」

理樹(まず安定の腰に手を伸ばした。そのあと叫ばれないよう、もう一方の手で口を塞いだ。小毬さんの目線で今の状況だと誰に触られているか分からないからだ)

理樹「はぁ……はぁ……」

理樹(辺りが静か過ぎるために僕の興奮した吐息が小毬さんの耳に吹きかけられた)

小毬「ん…んんっ……!!」

理樹(僕としても出来ればこんな小毬さんをいじめるような真似はしたくない。早く終わらせるために早速腰に当てた手を上へ上へと上昇させていく)

理樹(一度発射した手は推進力を増し、とうとう障害物にぶつかる。恐らく隣には同じ形の物が存在するであろう半球のドームだ)

理樹(僕は遂にその肉に手を這わすと、優しくほぐした。すると小毬さんの息は更に荒くなってしまった)

小毬「んーっ!んーっ!」

理樹(不審者に自分の身体をいいようにされてしまってはそうなるのも当然だ。ストレスを感じさせてしまうのも悪いので、自分にまとわりつく影のを明かしてしまうことにした)

理樹「小毬さん…僕だよ…ごめん……」

理樹(そう言って初めて小毬さんは震えながらも首をこちらに向けた)

小毬「ふーっ…ふーっ……」

理樹(小毬さんは信じられないといった顔で僕の目を見つめた。ちょうど月が昇り、僕らを照らしたのだ)

理樹(小毬さんは、恐怖で眉を硬く潜めて涙を流していた。しかし僕だと分かってからはその涙も涙腺に溜まる程度に収まり、なにも言わなくなった)

小毬「…………………」

理樹「ごめん……本当にごめんね…」

理樹(しかし僕も辛い。辛いのは辛いがやらなければならない。もはや口から手を離し、両方の手を小毬さんの身体に使った)

理樹(舐め回すように小毬さんの身体を揉みしだく。小毬さんは相変わらず小刻みに身体を揺らしているが黙ったまま僕の行為が終わるまでそこで立っていてくれた)

理樹(毎日丁寧に手入れしているんであろう柔らかく、滑らかな肌を僕は歪んだ感情で弄んだ。それは今まで体験したことがないほど優しい感触だった。人の体温とはこうも温かいものだったのだろうか)

理樹(次第に布越しの触り心地では満足出来なくなってしまった。僕はセーターの下に腕を潜り込ませた。すると小毬さんは反射的にその二の腕を掴んだ。しかし、それは余りにも弱い抵抗の意思だった)

理樹(一瞬、動きは止まりはしたが、手が懐まで到達するのまで食い止めることは出来なかった。その堤防は、欲望という波によって強引に押されると簡単に脆く、崩れ去ってしまったのだ)

小毬「…………んぅ!」

理樹(礼儀を知らないその登山者は、山頂にある小さな突起に触れた。決して安易に踏み入れてはならない領域へ土足で上がってしまったのだ)

理樹(ああ、小毬さん。君が愛しい!ここまで狂っていると自分でも分かりつつも抑えられない衝動に出会った試しがない。もはやその対象の気持ちなど全く考えず、自分のエゴだけで気がすむまで行為を続けた)


………………………………………

……………………

理樹(しばらくして己の感情で体をコントロール出来るほど頭が冷え、僕は手を離した)

小毬「……………っ」

理樹(すると小毬さんは両手で散々辱められた自分の体を守るよう交差させた。しかし、その効果はもうとっくに意味がなかった)

理樹「……………」

理樹(気まずい沈黙の中で僕がやれたことはうなだれるように目線を自分の上履きに落とすことくらいだった。小毬さんは今の僕を見つめてどんな表情をしているんだろう。怒った顔、悲しい顔、今にも泣きそうな顔。どちらにしろ、あのいつも浮かべている太陽のような笑顔はしばらく目に出来そうになかった)

理樹(それからまた数分して、小毬さんはヒタヒタとゆっくり女子寮の方へ歩いて行った。今度こそ誰かにこの事を告げられるだろうか?そうなったらいっそ一生獄中に潜んでいたい。そこなら、僕の知り合いとは会わずに過ごせそうだから……)








食堂

理樹(朝。小毬さんはバスターズのみんなとの組み合わせで一番僕とは遠い席に座って食事をとった。僕も彼女もそうなるよう気を付けていたからだ)

真人「なあ理樹!そろそろ昼休み辺りに筋肉しねえか!?」

理樹「やんないよ…」

西園「……小毬さん、具合でも悪いのでしょうか?」

小毬「う、ううん……大丈夫だから…気にしないで………えへへ…」

来ヶ谷「…………本当にか?なにか困ったことがあれば私達を頼ってもいいんだからな」

小毬「本当に大丈夫だよっ…」

理樹(やはり小毬さんはあんな事があっても何も言わなかった。小毬さんにとっては自分がどうなろうとも僕や、みんなのこの大切な空間が守られることを優先しているのだ)

理樹「……………」

理樹(だが、僕の手は緩められない。もうこのまでやってしまっているんだ。今更後戻りなんて出来るはずもない)

小毬「じゃあ鈴ちゃんっ、先に教室に行っておくから…」

鈴「分かった」

理樹(流石に小毬さんもどういった時に狙われるか分かってきた様なので食事の片付けを手早く済ませると、すぐに教室の方へ上がっていった)

理樹「……………」

理樹(こうなってしまえば難易度は確実に上がる。しかし、こういう時こそあせってはいけない。じっとチャンスが来るのを待つんだ)

タッタッタッ

小毬「ほっほっ…」

理樹(小毬さんにバレないよう尾行を続けた。もはや前のような陽動作戦は取れないだろう)

(∵)続く
本当はもっとコミカルにしようと思ったのにどうしてこうなった

理樹「じゃあ僕もご馳走様」

真人「なんだよもう行っちまうのか?」

理樹「うん、ちょっと予定があってね…」

来ヶ谷「……………」





…………………………………

…………………




理樹(今度は気付かれずに尾行する事にした。4時間に一回と言ってもそれは発作が発動するタイミングを確率化して割り出したものだから少しくらい過ぎても余程運が悪くない限りは倒れないだろう)

小毬『~~~』

理樹「……………」

理樹(小毬さんはクラスの中で他の女子と談笑している。これじゃ近付けない…このままHRの時間が来たら流石にゲームオーバーだ)

理樹(人通りも騒がしくなってきたしそろそろ曲がり角で身を隠しながら教室を監視するのも限界かと思ったちょうどその時だった)

小毬『~………』

理樹(小毬さんが何かを言い残して席を立った)

理樹「………!」

理樹(シメた!小毬さんはトイレに向かったぞ!)

理樹(幸い僕らのクラスは端にあり、トイレも死角とは言え近くにある。他のクラスはそこよりも中心にある大きめのトイレを使うため、ほぼ僕らの組専用と化していた。つまり、邪魔が入る余地はほぼ無いと言ってもいい)


…………………………………



理樹(小毬さんが個室に入るのを確認した後、まずは隣の男子トイレに入った。他に誰かが入っていないかを聴きとるためだ。もし見つかれば、いわれのない罪で生徒全員から変態扱いされてしまうだろう)

理樹「……………」

理樹(注意深く全ての音に神経を研ぎ澄ましたが、聞こえたのは同じ場所から…つまり小毬さんの所からだけだった)

理樹「………よし」

理樹(満を持して女子トイレに向かった)

女子トイレ

理樹(扉を閉めると、とある一角から妙な音楽が流れ出した。これが噂に聴く音姫という奴なんだろうか?しかし今回はそれが仇をなし、僕に捜索の手間を省かせてしまった)

理樹(そのメロディが終わりを迎え、今度は服を着直す音が響いた。正直こちらの方が僕にとっては心地いい)

理樹(そしてやっとドアのロックが外れた音が聞こえた。すぐさまドアを開け、小毬さんを中に押し込み、再びロックをかける。この一連の動作は小毬さんが叫ぶ前に終わらせなくてはならなかった)

小毬「あっ…え…えぇ……」

理樹(突然入って来た僕に向けてぽかんと開いていた口が、驚きで声を張り上げかけた。しかしもう手で抑えるには遅すぎる。かくなる上は……)

小毬「あっ……んむぅっ!?」

理樹「んっ……」

理樹(目には目を口には口を、だ)

小毬「んんーー!!んーんっ!んーんっ!」

理樹(小毬さんはその口を退かそうと両手を使って僕を突き放そうとした。しかしこちらも両手で小毬さんの背中と頭を押さえ、抱きしめるように身体を固定させて動かないようにした。なおも僕の背中を掴んで制服を引っ張ったが、流石に小毬さんのような女の子を逃がさないようにするのは容易だった)

小毬「ん、んん…ぅ……」

理樹(そのままバレエのダンスのように身体を反らせると小毬さんは遂に観念したのか僕に何もかも委ねた)

理樹(もう口の方も解放していいだろうと放すと、小毬さんはだらしなく口を開けたままにして、ヨダレを垂らしてしまった。また目からは涙が溜まっている)

小毬「はぁ……はぁ……」

理樹「ふぅ……」

理樹(とにかく場は収まった。セクハラはここからだ)

理樹「…………」

小毬「…………」

理樹(それは静かに行われた。小毬さんを優しく抱き抱えるとまず便座のフタに僕がのしかかり、その上に小毬さんを座らせた)

理樹(そしてまた服の下に手を忍ばせた。ただし、今回は昨日とは違って下半身の方だけど)

小毬「あっ…」

理樹(しかし案外スカートと言うのは隙間がない。仕方がないので下から捲り上げて直接パンツの中へ潜入する)

理樹(『それ』は完全に未知の領域だった。しかし、それも僕はこれから未知”だった”に変えるのだ)

理樹(腰をどんどん前へ滑らせて、終いには秘部の近くに到着する。でもここでやはり躊躇った。僕がこれからしようとしていることはもう後戻り出来ないことだ。何の罪もない小毬さんに対して僕になんの権利がある?なにもない。あるのはどうしようもなく醜い欲情だ)

理樹「…………」

小毬「…………?」

理樹(だけど、それを否定するということは今までの行為も否定するということになる。1969年7月アポロ11号のアームストロングが人類初めて月面に立った歴史的事件… 僕は今までそれのどこが偉いのかよくわからなかった。だってロケットという物は科学者とか技術者が飛ばすものだからね)

理樹(だけど僕が今、何億回と人間が繰り返したであろう行為を始めようとしてその意味がわかったんだ…月面に立ったのは人間の「精神」なんだと! 人間はあの時、地球を越えて成長したんだッ! 価値のあるものは「精神の成長」なんだッ!)

理樹(僕はアポロ11号なんだ!!)

小毬「あ、ああっ!」

理樹(遠慮なく小毬さんのそれに指を入れた。思いの外、一本だけならすんなり入ってくれた。トイレの後だからか少し湿ってはいるけど問題ない)

ガチャッ

女生徒「それでさ~知ってる?」

女生徒「えーなになに?」

小毬・理樹「「!」」

理樹(と、ここで鏡を見に来た女子が2人トイレに入って来た)

小毬「ん……ふっ…ふぅっ……!」

理樹(実施に声を抑えようとする小毬さん。そんな彼女を見て僕は更に情熱に火をつけた)

理樹(お留守だった反対の方の手をまた胸に当て、以前より激しく揉みしだいた。もはや相手に対する礼儀など頭に入っていない)

小毬「んん~~っ!」

理樹(これには耐え切れなかったのか咄嗟にセーターを噛み締めて声を殺した。効果があった様で2人は気にせず会話を続けている)

「ホントホント。もう凄く感動しちゃったんだよ」

「へぇ、そこまで言うなら今度貸してよ」

小毬「ひィ……ううっ……グスッ」

理樹(指は上下に、機械的に動いて止まることはなかった。普段の小毬さんと、あられもない今の小毬さん。そのギャップで興奮は止まるところを知らず、心臓は今にも出口を探して飛び出しそうだった)

理樹(すると小毬さんの中から少しずつ液が漏れ始めた。もしやこれは俗に言う……)

小毬「………っ!」

理樹(自分でも初めての経験だったのか小毬さんは自分の身に何が起こっているのかまったく理解出来ていない様子だ。そんな表情もまた可愛くて口を塞ぎたくなった)


理解「ん……」

小毬「あ……はうっ……」

理樹(2人が出て行ってくれたのは丁度その時だった)

理樹(結局クラスに戻ったのはHRギリギリだった。小毬さんと同時に席に着いたけど怪しまれなかっただろうか…)

小毬「ほぁ…………」

来ヶ谷「………………」

理樹(あのあと、絶頂に達する前に便座を上げておいて良かった。両太ももを抱き抱えあげられて溢れ出たものを便器に流すのは小毬さんからすれば相当恥ずかしい格好だったろうけど服がそのために汚れてしまうよりかはマシだったはず……だと思いたい)

謙吾「理樹、どこへ行っていたんだ?」

理樹「いや、まあ…トイレだよ」

謙吾「ふむ、そうか…」

理樹(さて、次はどうするか…)

昼休み

理樹(いつものように真人と昼ご飯を食べている間に名案が浮かんだ。神がかり的なものだった)

理樹「そうだよ……ははっ、そうすれば…!」

真人「あ?なんか言ったか理樹」

理樹「フフフ…なんでもないよ…」

真人「うっ…なんか最近理樹が怖えな……」

謙吾「あ、ああ…確かにな……」




女子寮前

理樹(僕の思いついた案。それは小毬さんを彼女にしてしまう事だ。そうすればわざわざ回りくどく、罪悪感を感じながら行為に及ぶ事もない!)

理樹(しかしながら、それを考えつくには少し遅かったみたいだ。なんと小毬さんは今度は部屋に篭って昼休みを過ごしているのだ)

理樹(告白しようにもこれじゃラチが明かない。という訳で科学部から借りてきちゃいました。ガスバーナー)

ゴォォォオ

理樹(匍匐前進で裏口に回り込み、監視の目は逃れた。そしておよそ40cm程の丈のガラスをバーナーで炙り、熱の温度によってガラスを割った。これは焼き割りと言って音を小さくしてガラスを処理する方法だ。悪用は禁物だ)

理樹「ふっ…………!」

理樹(そして女子寮に潜り込んだ。あとは小毬さんの部屋に入るだけだ!)

続く(∵)

理樹(昼休みと言っても寮には結構人はいた。避けられる視線は基本避け、どうしても鉢合わせしてしまう際は顔を見られる前に当身で無力化する他なかった。当てる時に少し衝撃を与えてしまうけどこれも必要な犠牲だ)





理樹(そうしてなんとか小毬さんのいる部屋の前に着いた。もちろん辺りの女性はみんな安らかに眠ってもらっている。あとは科学部の試作品である万能鍵を使えば…)

ガチャ

理樹(ミッションクリアだ)

理樹「さあ、小毬さんはどこかな?」

理樹(ドアを開くと探すまでも無い事を悟った。小毬さんは椅子で行儀よく座っていたのだ。部屋はあまり物を置かない性格なのか2人部屋ということもありとても広く感じた。そして小毬さんが僕の方を振り返った)

ガタッ…

小毬「うっ………」

理樹(座ったまま後ろの机に両手をつき、後ずさりする小毬さん。何故か今日はその顔に恐怖心は見られなかった)

理樹「大丈夫…安心しなよ小毬さん…なに、抵抗しなきゃ数分で終わるからさ……」

理樹(もはやド変態の台詞だった。もしかすればこういう行動を取る男は自然とこういった台詞を喋ってしまうのかもしれない。もはや告白する事は頭から吹っ飛んでいた)

小毬「……っ」

理樹(遂に立ち上がって後ろを向き直す小毬さん。しかしそこには壁しかない)

理樹「観念した方がいいよ小毬さ…」

ゴンッ!!

理樹(鈍い音がした。いったいどこから発せられたんだろう…後ろか?)

理樹(そう思って体勢を変えようとしたが思うように身体が動かない。足が力をなくして膝がガクンと落ちた)

理樹「あ………え……っ?」

理樹(そこでやっと音の原因が分かった。僕自身が後ろから殴られたのだ)

理樹(それでも残された気力を振り絞って首を後ろに回した。そこで見えた光景はドアの後ろで待ち伏せていたであろう来ヶ谷さんが猫の置物を持っている姿だった)

理樹(そして、回りから中心に向かってどんどん背景が黒くなっていく……そして意識は………)






バシャッ

理樹「………!!」

理樹(次に目が覚めたのは水ぶっかけられてからだ)

理樹「ハァッ…ハァッ……!!こ、ここは!?」

来ヶ谷「私の部屋だよ理樹君。人払いは済ませているから思う存分助けを呼ぶといい」

小毬「……………」

理樹(確かに部屋が1人用になっていた。私物がほとんどない質素な部屋だった。そう語る来ヶ谷さんの横には小毬さんもいた。まさかとうとう喋ったのか!)

来ヶ谷「小毬君は君がここに来るまで君のことについてなにも語っていなかったよ。ただ私の勘というのは悪い事ばかりよく当たるものなんだ。試しに小毬君の部屋でネズミがかかるのを待ち伏せていたら見事網にかかった」

理樹「くっ……!」

理樹(もはやこうなってしまってはなりふり構っていられない。すぐさま立ち上がって小毬さんを襲おうと思ったが、流石に甘かった。椅子に両手両足が拘束されて完全に身動きが取れなかった)

理樹「こ、これは…!!」

来ヶ谷「残念だ少年。何があったか知らないが君がこんな事をしでかすとはな……一応本人の要望でこの事は口外しないことになっている。ラッキーボーイだ」

理樹「うっ…は、離してよ……ああっ!」

理樹(高速を解こうと激しく悶えたのでバランスを崩し、無様に椅子とともに横へ倒れた。当然立ち上がるための術を持ち合わせていないので倒れたまま2人を見上げる形になる)

理樹「うぐっ……」

来ヶ谷「訳を話してもらおうか」

理樹(思わず僕の元へ駆け寄ろうとする小毬さんを片手で来ヶ谷さんが引き留めた。そうさ、僕みたいな人間に歩み寄る情などない)

理樹「訳…訳か…確かに最初はあったかもしれない。だけど途中から、そんなものはただの自分を納得させるための免罪符に過ぎなかった……多分、その理由が消えたとしてもやはり僕は小毬さんに……甘えていたかもしれない」

来ヶ谷「ふむ……」

小毬「………」

理樹(もはや情けなくて2人の顔なんて見ることも出来なかった。本当の理由なんて言えるはずがない。結局は僕のだけの問題なんだから…)

理樹「………分かったんだ…今やっと…」

来ヶ谷「?」

理樹「僕はみんなに手を差し伸べ続けて以来ずっと誤魔化し続けてきた…みんなが笑顔になればそれでいい。それさえ出来れば、僕のことなんかは関係無いと…」

理樹「だけど違う…!僕は飢えている!渇いている!自分で押し殺し続けていた感情に!君の懐にある幸せを奪い取ってでも僕はぁっ!!」

理樹(もう、あんな暗闇に2度と戻りたくない。前触れもなく唐突に訪れる孤独の世界…あんなところに……)

理樹(しかし、時間からしてそろそろいつ来てもおかしくないだろう。だけどもはやこの状況じゃ覆る事はない。それが悔しくて…遂に涙が溢れてしまった)

理樹「……だ…」

理樹「ううっ……嫌だ……僕はもう倒れたくない……っ!!」

来ヶ谷「!」

小毬「………!」

理樹(もはや床に滴っているのが浴びせられた水なのか僕の涙なのは分からなくなってしまった。そして散々言いたい事を叫んで吹っ切れたのか、とうとう僕は眠りに落ちてしまった…ただ、その眠りが例の発作なのか、疲れ切った末に失神しただけなのかは分からない)










理樹(今度は風が切る音で目覚めた。目は出来ればあまり開けたくなかったけど)

理樹「………………」

理樹(寝ぼけ眼で辺りの視線が全てぼやけている。まるでインスタントカメラが背景を写す一歩手前のように。そして何故か後頭部が暖かい)

「………………」

理樹(誰かがこちらを見下ろしていた。そして初めて暖かいものの正体が人の身体のどこかだと気付いた。僕はきっと、おそらく膝枕をされているかもしれない)

理樹(そこまで考えてからやっと拘束されていないことも分かった)

理樹「う…ん……」

小毬「理樹くん…起きた?」

理樹「………な…」

理樹(狼狽して口を馬鹿みたいに開けることしか出来なかった)

小毬「理樹くんが倒れてからゆいちゃんが屋上まで運んでくれたんだよ」

理樹(確かにここは天井がなかった。周りを取り囲む壁も)

理樹「こ、こ、小毬さん……」

小毬「私ね…理樹くんが色んなことしてきたこと、別に怒ってないよ」

小毬「理樹くんのことなんだもん。きっとそうしなくちゃいけない理由があったんだよね」

小毬「だから、理樹くんのためなら私、我慢するよ。ちょっと恥ずかしいけどね…へへ…」

理樹(ここまで聞いて僕は後悔の念がどっと押し寄せてきた。反省はしつつも後悔なんてもうしないと決めていたのに…)

理樹「くそぅ……」

小毬「?」

理樹「そんなこと言われちゃもう2度と出来ないじゃないか」

小毬「………いいよ。理樹くん」

理樹(元々小毬さんには他のみんなとは違うなにか特別なものがあった。いや、あったのではなくそれが最も表に出てたんだ)

理樹(それがなんなのか今やっと分かった。それは母性だった)

理樹(なんでも親身に聞いてくれ、なんでも優しく受け止めてくれる彼女に、この病の起因となったものを感じ取った。無意識に彼女は母となっていてくれた女性だった)

理樹「やっぱりもう大丈夫だよ小毬さん。僕はもう1人立ちしないと」

理樹「そういう事なら子は親から離れなくちゃね」

小毬「ほえ?」

【ED曲:雨のち晴れ】

理樹「そうさ、これからは小毬さんを正々堂々とセクハラするよ!男らしくセクハラしないでなにがセクハラかっ!」

小毬「え、ええぇーー!!」

理樹(そう考えると小毬さんがますます愛しくなった。となると次にとる行為は決まっていた)

理樹「小毬さーん!」

ガバッ

小毬「い、いやぁー!」

理樹(ルパンダイブをかまして小毬さんに飛び込んだ)

理樹(まだ僕らの青春は始まったばかりだ。僕らの未来は輝いている!)





終わり

次回は回想になるけど旅のssを書くぜ!乞うご期待!

すまん誰かリトルバスターズの中で適当に好きなキャラを言ってみてくれ

統一感が全くもってねえ…
とりあえずこの順で行くぜ!

理樹「西園さんにドッキリを仕掛けたらあっさり信じ込んだ」
理樹「西園さんにドッキリを仕掛けたらあっさり信じ込んだ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1456492596/)

次回作

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