前作の続きとなります。
【艦これ】初月「長10cmを返してくれ」
【艦これ】初月「長10cmを返してくれ」 - SSまとめ速報
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バレンタインと関係のないお話ですが……
もしよろしければ、ごゆっくりどうぞです。
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長10「……」コクッ
初月「ど、どうしたんだっ」オロオロ
初月「菓子が食べたかったら行ってもいいんだぞっ」
長10「……」ブンブン
バサッ
初月「……これは虫歯の絵本か」
初月「虫歯になりたくないから、菓子は食べない」
初月「そ、そういうことだな……」
長10「」コクコク
初月(……至極正論だ)
初月(なにも、言い返すことはできない)ガクッ
初月(…………まったく情けない話だ)
初月(長10㎝と質素な生活を心がけてきた僕が……)
初月(……僕が、昨日の菓子の味を……)
初月(忘れられなくなるなんて……)シュン
初月(僕ごときが菓子をまた食べたいなんて……っ)
初月(卑しすぎる、言っていいはずが……ない)
初月(何よりこれ以上は、姉さん達に申し訳が立たない……!)
初月(が、我慢するんだ……)
初月(我慢だ……!)
提督「いらっしゃい!」
提督「今日は一人?」
初月「あ、あぁ……そ、そうだ……」
初月(あーもうっ!)
初月(何をやっているんだ僕はっ)
初月(無意識にここに来てしまうなんて……!)
初月(長10cmが来てないのに、僕が来るなど不自然だ……)
初月(とにかく、なにか話をして誤魔化そう……!)
初月「な、なぁ、提督……」
提督「ん?」
初月「は、腹……」
初月「……減ったな」
提督「お腹かぁ」
初月(……しまった!これじゃあ……)ガーン
初月(暗に何か食べたいと言ってるようなものじゃないか……!)
初月(お、おしまいだ……)ガクッ
初月(提督にも姉さんにも、僕は……)
初月(もう卑しい奴だとしか思われなくなってしまう……)ガタガタ
オヨヨ…
提督「え、どうしたのっ」
提督「急に地べたに膝なんかついて」
初月「…………」ジワ…
初月「ていとく……」
提督「wwwwwwwwwww」
初月「……」シュン
提督「だからこの間も言ったじゃん」
提督「こういう事には正直になってもいいんだって」
初月「だ、だが……」
初月「ここは内地じゃなくて、外洋の泊地だ」
初月「僕には、菓子を手に入れる手段がないじゃないか……」
提督「え、酒保で売ってるじゃん」
初月「えっ」
提督「えっ」
初月「し、知らなかった」
初月「今まで、酒保を利用することがなかったから……」
提督「…………」
提督「むしろ今までのお給料、何に使ってたの?」
初月「報酬は……全て貯金している」
提督「貯金?」
初月「あぁ」
初月「戦争が終わっても……」
初月「姉さん達が少しでも楽できるように」
提督(え、なにこの子すごい健気なんだけど)
初月「だが、僕は菓子の魔力に取りつかれてしまった……」ガクッ
初月「提督、僕はどうすればいいんだ?」
初月「どうすれば、この気持ちを落ち着けることができる?」
初月「教えてくれ……」
提督(たかだかお菓子で、ここまで頭を抱える子を見たことないんだよなぁ)
提督「……まぁ、事情は分かったよ」
提督「ちょっと公平じゃないけど、力を貸そう」
初月「どういうことだ?」
提督「君が滞りなく貯金ができる程度には報酬に“色を付けよう”ってことだよ」
初月「そんな!僕はそんなつもりで言ったわけじゃない!」バッ
提督「分かってるよ」
提督「ただ僕も……君の前いた艦隊の悪い噂を、ちょくちょく耳にしてるんだ」
初月「!」
提督「あそこは消耗率の高い、最前線任務をすすんで引き受けているらしいね」
提督「でも、その戦闘に伴う莫大な予算を計上しておきながら……」
提督「その実、割り当てられた資金のほとんどが、艦隊の上の連中の懐に入っていたとか」
提督「……そうだね?」
初月「…………」コクッ
提督「君を救助したときも、艤装の発砲の痕跡すらわずかだった」
提督「弾薬なんかほとんど無い状態で、殿を務めさせられたんだろ?」
初月「……殿を務めたことは僕の意志だ」
提督「そうか、それは失礼したね」
提督「まぁそんな所に、君の姉さん達は今いるんだ」
提督「そりゃ、お菓子一つで頭を抱えるのも無理はないよね」
初月「……」シュン
提督「だから、君にはもっと働いてもらうことにしたんだ」
提督「それなら、色のついた分もまっとうなお金でしょ」
初月「?」
初月「……要領を得ないな」
初月「つまり……?」
提督「つまり……」
提督「初月、君は今日から僕の秘書官だ」
初月「秘書官……?」
提督「よそじゃ“秘書艦”って言うらしいけどね」
初月「僕がかっ!?」
提督「そう、君」
初月「し、しかし……っ」オロオロ
初月「僕にそんなノウハウはないぞっ」
提督「へーきへーき、今までうちに秘書なんていなかったんだから」
提督「それに、君は見ていて面白いからなぁ」
初月「な……!」ムカッ
初月「それはどういうこっ」
提督「初月」
初月「……っ」
初月「な、なんだ……」
提督「秘書としての初仕事だよ」
提督「お茶と菓子を出してくれ」
提督「二人分ね」ニコ
初月「……わかった」
すこしはなれますね
すみません
どうしていつも他の提督は悪者にされるん?
お待たせ(迫真)
再開しますん
>>21
顔が見えないキャラなんでこういのに使いやs(ry
ぶっちゃけそんな絡まんしお気になさらず
その日から、僕はこの泊地における提督の秘書となった。
もちろん、着任間もない艦娘が秘書艦になるなど、異例のことだ。
右も左も分からないそんな状況で、提督の秘書としての生活が始まった。
初月「報告書か……」
提督「ここ、今日の戦闘は二回だから」
提督「派遣した艦隊の概要を二回書くんだ」
提督「時間は報告にあったのを正確に記入してね」
初月「分かった」カキカキ
提督「与えた損害は、たぶん報告も正確じゃないから……」
提督「まぁ、この中の一番高い数字にしておいて」
初月「そんな適当でいいのか……」
提督「現場判断だよ」
提督「小競り合いだったし、上もそんなに気にしないさ」
初月「提督、こっちは終わったぞ」
提督「お疲れ様ー、ありがとね」ジュー…
提督「こっちももうすぐ出来上がるから……」ジュゥー…
提督「長たん、起こしてきて」カチャッ
初月「あぁ、分かったよ」
初月(良いにおい……)
初月(何を作っているんだろう)ワクワク
提督「さぁ、めしあがれ!」
初月「こ、これは……!」
長10「」パクパク
提督「エッヘン」
初月「これは、一枚肉じゃないかっ!」
提督(そっちかぁ)ガクッ
提督「これはカツレツっていうんだ」
初月「かつれつ……っ」ジー…
提督「さ、食べて食べて」
「「いただきます」」
初月「ハムッ……」サクッ
初月「……」モグモグ…
初月「…………おいし……グスッ……なぁ……」ポロ…ポロ…
初月「生きて……て……」
初月「……よかっ……た……ぁ……!」ポロ…ポロ…
提督「それはよかったよ」ホッ
提督(やっぱこういうの食べられなかったのかな)
長10「」ガツガツ
「「ごちそうさまでした」」
提督「ホントはとんかつ食べさせてあげたかったけど……」
提督「残りのサラダ油が少なくてね」
初月「いや……美味しかった」グスッ
初月「はーっ……」
初月「…………」ゴシゴシ
初月「提督は料理上手……だったんだな」
提督「いや、褒められたのははじめてだよ」
初月「今度からは、僕も手伝うぞ」
提督「はは、麦飯もたまにはいいかもね」
初月「むぅ」
初月「麦飯を炊く以外のことだって……できるようになるさ」
初月「提督、美味しい食事をありがとう!」ペコッ
初月「洗い物は僕に任せてくれ……」
提督「じゃあ、お願いしようかな」
初月「その間に、シャワーでも浴びてくるといい」
初月「あとは僕に、全部任せてくれ」フフッ
提督「うん、ありがとう」
ジャージャー…
キュッ
初月「洗い物は終わりだな……」
長10「」スースー
初月「あはは、こんなところで寝たら牛になるぞ」
初月「……ん、書類の片付けをしていなかったか」
初月「机の上は綺麗にしておかねばな……」
ガラッ
初月「!!」
初月「こ、これは……!」カァー…
初月(あいつは何故、こんなところに成人雑誌を……!)
初月(わざわざ内地から取り寄せてるというのかっ)
初月(ふ、不埒な……!)カァー…
初月(……いや、僕はっ)ブンブン
初月(僕は……女らしさなんて、とっくに捨ててきたんだ……)
初月(それに、こういうのは誰もが持っているものなのだろう……)
初月(別に……おかしいことじゃな……)
初月(…………)チラッ
初月「こ、こんな……凄い」カァー…
初月「……」ペラッ
初月「提督は……こ……」
初月「こんな…………」ドキドキ
ガラッ
提督「さっぱりしたぁー」
初月「ひゃっ!!」ビクッ
またしてもすこし抜けます
すみませんゆるしてください
ゆるしてもらってもなんでもしません
今から再開します
提督「ん?」
提督「どうしたの……ゴキブリでも出た?」
初月「なんでもないっ!」ドキドキ
提督「でも、手になんか……」
初月「な……」ドキドキドキドキ
初月「なんでもないと言っている!!」キッ
提督「え……」
提督「なんでそんなに怒るの……」シュン
初月(あ、あれっ)
提督「……ごめん、そろそろ寝るよ……」
提督「明日、マルロクマルマルにここでね……」
初月「あ、あぁ……」
トボトボ…
初月(ど、どうしよう)
初月(提督を傷つけてしまった……)
初月(どうしてこんなことに……)
ゴロン
提督(なんで怒ってたんだろ……)
提督(エロ本がばれたのかなぁ……)
提督(だとしたら気まずいなぁ……)
ガチャン
初月「提督……」
提督「!」
初月「隣……いいか?」
ゴソゴソ…
初月「………………」
初月「……すまない」
初月「何かの誤解だと思うが、お前を傷つけてしまった」
初月「……今では猛省している」
提督「……………」
提督(あれ、エロ本バレてない?)
提督「僕の方こそ……何か不快な思いさせたかな」
初月「いや……そんなことはない」
提督「そっか」ホッ
提督(やっぱりバレてないみたいだ)
提督「じゃあ、よく分からないまま」
提督「こんな気まずい空気になってたのか」
初月「どうやら、そうらしいな」
提督「あははは……」
初月「……はははは」
初月(冷静になったら……)
初月(この同じ布団に入っている状況)
初月(これこそ気まずいじゃないか……っ)カァー…
初月(先ほど、あんな本を見てしまった後だ)
初月(そう考えると……)
初月(……提督も……男なんだよ……な)
初月(……だとしたら……)ドキドキ
提督「……初月ぃ」
初月「ひぁっ!」ビクッ
提督「……ひぁ?」
初月「い……いきなり呼ぶからだっ」
提督「本当、ごめん」
初月「な、なんだ、改まって」
提督「……今から」
提督「提督命令、使っていい?」
初月「!」ドキドキ
初月(く、来るのかっ!?)カァー…
提督「腕枕……されたい」
初月「…………ん?」
初月「…………」
提督「……凄いよね」
初月「……何がだ」
提督「何も文句言わずに腕枕してくれるんだもん」
提督「あー……」ゴロリ
提督「安心するなぁ……」
初月(…………)
初月(……なぜなんだ)
初月(何故か半分残念な気持ちで……)
初月(でも、少し……嬉しいぞ)
初月「……なぁ」
提督「……」スースー…
初月「……寝てしまったか」フフッ
初月「安心するなぁ、か」
初月「……それはこっちのセリフだ」
初月「お前が僕に図ってくれた便宜……」
初月「そして、その気持ち」
初月「この恩は絶対わすれないぞ」
ギュ
初月「お前は最後まで僕が……」
初月「守るからな」
初月はこの後長きに渡り
立派に秘書を務めあげることとなる
その誓いを新たにした夜
それは、ただのはじまりでしかなかったのだ
―――――――――――fin―――――――――――
この話は、これで以上となります。
初月のSSは今後も書いてみたいですね。
ここまで読んでくださった方、楽しく書かせていただきありがとうございました。
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