堀裕子「サイキック・アワーグラス」 (15)



もしも時間が止められたなら
あなたは何に使いますか?




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「むむ…むむむーん!」

私はなんと!数秒間だけ時間を止めることができるようになったんです!
だけど今のところ、それを理解してくれるのは…

「今日もサイキックに磨きがかかってるわね、裕子」

「あ、ヘレンさん!」

ヘレンさんは私が時間を止めても普段通りに動けるんです
流石世界レベル!
間違いなくサイキッカーですね!

なんでも、『普通は時間が止まっていることを認識できない』から、皆には伝わらないのだとか
…うーん、難しいです

「ところで裕子、あなたは彼に渡すのかしら?」

「へ?」

「チョコレートよ」

………ああっ!


わ、忘れていたわけではないです!
ちゃんと作り方だって調べましたし
…ただ…

「どうやって渡そうか思いつかない…といったところかしら」

「…は、はい、ドンピシャです…あわわわ」

「チョコレートに限りない想いを乗せて託す。それは自分の世界を託すようなもの。…つまり」

「つまり……?」

「策を考える必要はない、ということよ。答えは裕子自身が一番理解しているはずよ」

「…えぇ…?」

これは完全にバレています…
私がプロデューサーをどう思っているかも、多分…


「不安?」

「……」

「策は…って言ったけれど、別にサイキックを使うなとは言っていないわ」

「…!」

「存分にぶつけなさい。裕子の世界を!」

「…はいっ!」

そうでした!
私はエスパーユッコ、こんな時こそのサイキック!

「ヘレンさん!ありがとうございました!」

「フッ、あまり彼の事を考え過ぎると…またミラクルテレパシーに引き寄せられるわよ?」

「だーかーらっ!あれはちがうんですってばーっ!」

時間止めの有効利用法、思いつきました!
これなら…!


「むむむーん…!日本中のみんな!ユッコに女子力を分けてください!」

日本、いや世界、宇宙からも!
まるごとみんなのパワーを借ります!

「…やっ…ちゃっ…たあ…」

ちょっぴり焦げちゃった…
…あ、味は大丈夫です、多分!
これくらいなら、見逃してくれますよね?
これ以上のさいきっくチョコレートは、作れる気がしませんっ!

「…よしっ!」

…覚悟は決めました!


「プロデューサー!」

「おう裕子、どうした」

「実はですね…」

世界の砂時計よ!五秒…いえ、三秒だけ

私に時間を下さい!





プロデューサー!大好きです!




「…お?」

「ふっふっふっ、ついに完成です!ユッコのサイキックパワーを集結させて作ったチョコです!さぁどうぞ!」

止めた時間は、まだあなたと共有できませんけれど
私を今まで見てくれていたあなたなら
いずれきっと、私の世界に入ってきてくれる
そう、信じていますから!

「…ありがとう、裕子。それから…」

「はい、なんでしょうか!」

「お前の気持ちは伝わってきたよ。今はまだアレだがな」

「…え?え?…えっ?」

えーっ?!?!


「…な、何のことやらー?」

「思いっきり聞こえたんだがな」

「えっ、だってちゃんと時間止めて渡し…て…」

「テレパシーでだだ漏れだったんだろうな?裕子だし」

「えええーっ!?!」

や、や、やだああああっ!
やらかしたあああっ!
うわあああああっ!

「あーもー泣くな泣くな…」

「あ、あ、…うわ…あ…っ…恥ずかし…っ」

良かったのか悪かったのか…凄く複雑です…うわあ…


「落ち着いたか?」

「………うう」

「まあ制御きかない方が裕子らしいというかなんというか…」

「あまり言わないでぐだざい…まだ恥ずかしいんですからあ…」

プロデューサー、あったかい…
ずっとこうしてるのも悪いですが
せっかくだし…

「こうしてるとホントかわいいんだがなあ…」

「ふえ?」

「ん、何でもない」

…聞こえてしまいました!
かわいい…かわいいって!
あわわわ…
こ、これはもっと女子力を上げなければ行けませんね!
サイキック女子力強化!頑張るぞ!

おしまい
劇場からバレンタインまでに何とかやろうと思ってましたが
ひさびさにやるとなかなか骨が折れますな
ではお疲れ様でした

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