男「バスケ飽きたから引退しようかな」 (16)
ブス1「えぇーー、もったいないよぉぉーー」
ブス2「そうだよぉぉー、男君うまいのにもったいないじゃーーん!!!」
男「いや、そうでもないでしょ」
マネ「でも、男がいなかったらうちの中学は県大会勝てなかったよ」
男「俺だけの力じゃないし、みんな上手いじゃんウチ」
マネ「そのみんなが上手いチームで他の選手の倍の点を取り続けるポイントゲッターが何をおっしゃいますか」
ブス2「スッゴい男君!!!!」
ブス1「ね、マジスッゴい」
男「大袈裟なこと言うなよ……」
マネ「大袈裟なんかじゃないよ、男は全国でも指折りだよきっと」
事実、俺はバスケが上手い方なのだろう
県大会でも特に苦労することなく点を稼ぐことができた
続く全国大会、そこでも単身で俺と渡り合えるプレイヤーはあまりいなかった
男「でも、だからこそ」
男「もう飽きちゃったのかもしれないな」
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帰り道
男「どこの高校がいいとか正直わかんねーよな」
友「むむーー、お前が何に魅力を感じるかじゃないのか?」
男「魅力か……例えばどんなのがあるかな」
友「可愛い先輩がいるとか、保険の先生が美しいとか、校長先生が金髪メガネロリだとか!!!」
男「お前はそういう奴だったな……」
友「頼むからそんな冷めた目は止めてくれよ」
友「でも、実際高校選びなんてそんなもんだろ」
友「駅から近いとか、制服がかわいいとか、みんなそんな感じのどうでもいいことだけで選んでるって」
男「そんなもんかなぁ……」
友「てかお前バスケ特待の話とか来てないの?」
男「来てるっちゃ来てるな、4校くらい」
男「確かA高校とZZ高校と……」
友「ZZ高校って……めっちゃ強いとこじゃん、そこならお前くらいのプレイヤーもいるし、もう一回バスケ楽しめるんじゃねーの?」
男「もうバスケはいいって、やらないよ」
友「意地張ってるなぁ、まぁこの高校ガイド貸してやるからゆっくり考えろよ」
男「さんきゅ、助かるよ」
友「おう、じゃーな」
男「…………はぁ……」
段々と受験に向かって準備していく友人たち
目標もなにもなく、ただふわふわと漂っているだけの自分
なんだか置いていかれているような気分になった
いつもの帰り道、いつもとは違う感覚
ふと横を見ると通ったことのない細い道があった
ここを通れば何かが分かるような気がした
足は自然と動いていた
男「こんなとこ、あったんだな」
仄暗い通りを抜けると、鉄の柵に囲まれた半面のバスケットコートが、そこにはあった
ダムダムと、バスケットボールが地面と激しくぶつかる音が聞こえる
聞き慣れ、聞き飽きた音
もう聞かないと思っていた音がとても心地よかった
プレイしているのは高校生だろうか
端で見ている俺より年下らしき少年もいる
得体の知れない物を目前にして、知らず知らず不安を覚えていたようだ
少しだけあの頃に戻りたくなって
つい、手を伸ばしてしまった
男「誰か僕と、一対一しませんか?」
登場も提案も突然
場が静まるのは当然だ
1拍置いて、一人が口を開いた
高校生1「だってさ、どうする?」
高校生2「いいべ」
高校生3「おっしゃ、その勝負受けますよーー!!」
男「ありがとうございます!!」
高校生2「失礼だけど、君何歳?」
男「まだ中三です」
高校生1「おっ、高校生3これは負けられませんねぇ」
高校生3「負ける気はないけど伸長俺よりでかくてくやしい」
男「あっ、……なんかごめんなさい」
高校生2「君が悪い訳じゃないし、謝るのはより残酷だよ」
高校生3「挫けそう」
高校生1「高校生3の心が壊れる前に始めようぜ」
男「うっす!!」
男「ふぅ……お疲れ様でした」
高校生3「くっそ……お疲れ様……まじか……」
結果だけで言えば、俺の圧勝だった
相手の高校生が下手な訳ではない
基礎もしっかりしている上に、ディフェンスにも隙が少ないいいプレイヤーだった
高校生2「ヤバイなあいつ」
高校生1「普通に俺がやっても勝つ自信ないわ」
遠目に会話が聞こえる
本人たちが言うならば、やれば本当に俺が勝つのだろう
再び芽生えかけたバスケへの興味
高校バスケへの失望と共にそれが枯れようとしていた
男「はぁ…………」
男「突然すみませんでした、ありがとうございました」
頭を下げ、コートを立ち去ろうと振り替える
チビ「君、とってもバスケ上手だね」
そこにはさっきの年下らしき少年が仁王立ちしていた
男「え、あぁ、ありがとう」
俺はまだ知らなかった
チビ「じゃあさ……」
この出会い、この提案が
チビ「次は僕と」
俺の未来を変えることを
チビ「1on1しようよ」
ここまでになります、読みづらい等のアドバイスがございましたら指摘していただけるとありがたいです
今回はここまで、という意味でした。
少し体調が悪いので更新が遅れます
超展開になる予定はありませんがご容赦下さい
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