美城「シンデレラガールズ、プロジェクト」 (64)

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このssは武内P「シンデレラ…プロジェクト…」 - SSまとめ速報
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武内P「…シンデレラ…プロジェクト…」の続きです
アニメ準拠は少しだけあります
不快に感じた方がいらっしゃったら申し訳ありません

美嘉「…」

瑞樹「…」

美嘉「…雪、止むかなあ…」

瑞樹「どうかしらね。まだまだ寒波は来るらしいから」

美嘉「寒いのヤなんだよねぇ…」

瑞樹「ならその露出を少しは控えなさい。風邪引いたら仕事にならないわよ」

美嘉「…」

瑞樹「…」

美嘉「…楓さん、まだ風邪?」

瑞樹「ええ」

美嘉「…珍しいね。ああ見えて結構タフなのに」

瑞樹「無理し過ぎたのよ。貴方も気をつけなさい」

美嘉「…ん」

瑞樹「…」

美嘉「…」

瑞樹「…」

美嘉「…ねえ、何かあったの?」

瑞樹「…そう見えるかしら?」

美嘉「…機嫌、凄い悪そうだから…」

瑞樹「あら、分かってるじゃない。寒いから肩に力が入って痛いのよ」

美嘉「あー…」

瑞樹「顔に出てたなら気をつけるわ。貴方も無理しちゃダメよ」

美嘉「…はーい」

卯月「あの、ちひろさん…」

ちひろ「はい、何でしょう?」

卯月「…プロデューサーさんは…?」

ちひろ「プロデューサーさんですか?…あれ?いらっしゃらなかったんですか?」

卯月「はい。どこにいるか…知りません…よね?」

ちひろ「そうですね…何か御用があるようでしたら、連絡してみてはどうでしょうか?」

卯月「…連絡しても、未読のままなんです」

ちひろ「…それは…」

卯月「…ちひろさんは、何か知りませんか?」

ちひろ「…」

卯月「…」

ちひろ「…も、申し訳ありません。私も…」

卯月「…」

ちひろ「…」

卯月「…そう…ですか」

ちひろ「…は、はい」

早苗「…」

早苗「…」




楓『…おはようございます…』

瑞樹『あら、遅刻したのに呑気な挨拶ね』

早苗『それにその帽子どうしたの?変装なんてするようなタマじゃないでしょ』

楓『…申し訳ありません…』

瑞樹『何に目覚めt…』

友紀『…え?』

瑞樹『…』

早苗『…』

友紀『…楓さんが…』

菜々『謝った…?』

瑞樹『…何かあったの?』

早苗『…』

楓『…』

早苗『…帽子、取りなさい』

友紀『…』

菜々『…』

楓『…』

早苗『取りなさい』

楓『…』スッ

友紀『…あ…』

菜々『か、楓さん…その傷は…?』

瑞樹『…』

楓『…』

早苗『…マスクも取りなさい』

楓『…』

瑞樹『早くしなさい』

楓『…』スッ

友紀『…うわぁ…』

早苗『…』

瑞樹『…』

菜々『…』

楓『…』

瑞樹『…転びました』

楓『…』

瑞樹『…だなんて言わせないわよ』

早苗『…』

菜々『…』

瑞樹『…』

早苗「…はぁ…」

菜々「気分、そんなに良さそうではないですね」

早苗「…やっぱ、そう見える?」

菜々「そう見てくださいって、言ってるようなものですよ」

早苗「…アンタに言われちゃあ、ね…」

菜々「…」

早苗「…」

菜々「…何があったかは、教えてくれないんですか?」

早苗「…」

菜々「…ナナと早苗さん達は、そこまで付き合いは長くありません」

早苗「…」

菜々「どれだけ多く見ても、半年…弱ですね」

早苗「…」

菜々「…それでも、ナナにとってはこれまでにないくらい密度の濃い半年でしたよ」

早苗「…」

菜々「…」

早苗「…誰にだってさ…」

菜々「はい」

早苗「…知られたくない事って、あるじゃない?」

菜々「なら、どうしてそんな顔をしているんですか?」

早苗「…」

菜々「他人に話すような事じゃないなら、そんな助けてほしそうな顔、しませんよね?」

早苗「…」

菜々「…」

菜々「アンタに話して、どうなるの?」

早苗「え?」

菜々「…そう、思ってますね?」

早苗「…よく分かってんじゃない」

菜々「そうですね…。ナナでは確かに、頼りにはなりませんね」

早苗「…」

菜々「…」

早苗「…でも、ありがとう」

菜々「…」

早苗「…その気持ちは、凄く嬉しいわよ」

菜々「分かりました」

早苗「え?」

菜々「『ナナ』では、言いづらいんですね?」

早苗「…」

菜々「なら……私は、今から…」スッ

早苗「…」

菜々「…少しの間だけ…」シュルッ

早苗「…」

菜々「…みんなの、お姉さんになります」ファサ

早苗「…」

菜々「『終わったら』、いつものナナになりますから」

早苗「…」

菜々「…だから、話して下さい」

早苗「…」

菜々「…」

早苗「…フフッ」

菜々「おかしかったですか?」

早苗「んーん。…アンタにコーヒー奢るんじゃなかったなーって…」

菜々「だって…」

早苗「…」

菜々「…友達は、放っておけませんから、ね?」

早苗「…」

菜々「…」

早苗「…そうね…」

菜々「…」

早苗「…ちょっとだけ、アタシらの昔話に付き合って頂戴。菜々ちゃん」

菜々「はい」

武内P「…」

部長「…おや、またここに?」

武内P「…」

部長「…」

武内P「…」

部長「…どうやら、相当のようだね」

武内P「…」

部長「…」

武内P「…そんなに」

部長「…」

武内P「…そんなに、信用出来ないのでしょうか…?」

部長「…君が嘘を言ったのは見たことがないがね?」

武内P「いいえ」

部長「…」

武内P「…」

部長「…信用は、していないわけではないよ。むしろ、彼女達も嘘は言わない」

武内P「…なら」

部長「だからこそ、だよ」

武内P「…」

部長「だからこそ、彼女達は君から離れなくてはならない」

武内P「…会社の、為でしょうか…」

部長「…会社、というよりは…」

武内P「…」

部長「…社員の為、だね」

武内P「…」

部長「…」

武内P「…貴方が、本当に守りたいのは…」

部長「…」

武内P「私でもなく、社員でも、ないのではないですか?」

部長「…」

武内P「…彼女の、為ですか?」


部長「…」

武内P「…」

部長「…ふむ」

武内P「…」

部長「…吸っても良いかね?」

武内P「…ここは、喫煙所ですよ」

部長「おや、そうだったね。…君がいると、どうにも申し訳なくてね」

武内P「…」

部長「…誤解のないように言っておくが…特別な感情がある、というわけではないんだよ」

武内P「…ええ」

部長「本当に分かってるかねぇ?」

武内P「…ええ」

部長「…彼女と初めて会ったのは、君が入る少し前だったかな…?」

武内P「…」

部長「私も驚いたよ。まだ今の君とさほど変わらない年齢の、それも女性がだよ?私と同じ役職に任命されたんだ」

武内P「ええ。そう、聞いています」

部長「…その時は、色んな輩がいたものだよ。…本当に、不届きな、ね」

武内P「…」

部長「彼らは彼女に取り入ろうとあれこれ手を尽くし、時には婚約の話まで持ち込んだ輩もいた」

武内P「…」

部長「だが彼女はそんな者達には目もくれず、ひたすら仕事を覚えようと日夜努力に励んでいた」

武内P「…」

部長「分からないことは何度でも、自分の部下にさえ敬語を使って質問していた」

武内P「…」

部長「しかしその不届きな者達は自分の手中に収められないと分かった途端、態度を変え掌を返したように彼女をやっかみ始めた」

武内P「…」

部長「それでも彼女は努力し続けた。どのような仕打ちを受けようと」

武内P「…」

部長「ひたすら、目標に向かって一直線にね」

武内P「…」

部長「それからいつしか、彼女は次第に無口になっていった」

武内P「…」

部長「入ってきた当初は、もう少し柔らかい表情を見せる事もあったが」

武内P「…」

部長「だがそれは、辟易ではない」

武内P「…」

部長「見切りをつけたのだよ。当時の、ここにね」

武内P「…」

部長「それもそうだ。売上は伸び悩む一方で社内では何が起こっているか…」

武内P「…」

部長「そしていつしか彼女は日本という狭い国から、世界へと目を向け始めた」

武内P「…」

部長「…こう言うのは妙な感じになるがね、彼女が何かをする時、必ず私の元に来ていた」

武内P「…今西部長に?」

部長「うむ。…まあ、大した助言も出来なかったがね」

武内P「…そんな事は…」

部長「…そして、彼女はニューヨークへの転勤を自身で決めた。…その時も、私の元へと話してきたのだがね」

武内P「…」

部長「持ちかけられたんだよ。共にニューヨークへと学びにいかないか、とね」

武内P「!」

部長「…しかし、私を見たまえ。もう体力も底を突きだした老齢の男だ。そんな体力は私には残っていない」

武内P「…」

部長「だが、後悔しているよ。思えばこの時、着いていくか、止めておけば良かった」

武内P「…」

部長「…彼女は、変わってしまった。以前の彼女とは、全くもって別の人間に」

武内P「…」

部長「…以前の彼女は、アイドルの為に日夜車を走らせ、革靴を擦り減らし、雨の中も傘もささずに走っていたような、まるでプロデューサーの鑑のような人間だった」

武内P「…彼女が…」

部長「だがどうだろう。戻ってきた彼女は、アイドルを金銭の、会社の利益の為の商品として扱うようになってしまっていた」

武内P「…」

部長「自身は動かず、部下やスタッフに任せるような…そんな人間になってしまった」

武内P「…」

部長「…だが、本当は違う」

武内P「…」

部長「私は、今も昔も、彼女ほどアイドルという者達の事を大事にしていたような人間は見たことがない」

武内P「…」

部長「…そして、今、だ」

武内P「…今?」

部長「…彼女は、再び変わりつつある」

武内P「…」

部長「…いや、違うな。…これは、元通りというのだろうか」

武内P「…」

部長「誰の影響かは知らないが、自身でプロジェクトを立ち上げ、現場にも少なからず足を運ぶようになり…」

武内P「…」

部長「最近では、以前とはいかずとも…笑顔を見せるようにもなった」

武内P「…」

部長「あの時のような、アイドルを愛する美城君へと、ね。…君は見なかったのかな?」

武内P「…そのような、経験が…」

部長「…以前の彼女の口癖」

武内P「?」

部長「…心からの、笑顔」

武内P「!?」

部長「…だったかな?」

武内P「…専務が…」

部長「…そう。そっくりなんだよ。昔の美城君と、君はね」

武内P「…」

武内P「…専務が、そのような事を…」

部長「意外だろう?彼女が、だよ?」

武内P「…」

部長「だがね、本当の美城君は、そういう人間なんだよ」

武内P「…」

部長「私はね、嬉しいんだよ。彼女がまた以前のようにアイドルや社員を大事にするプロデューサーになり始めてくれたことが」

武内P「…」

部長「…壊したく、ないんだよ」

武内P「…」

部長「…彼女が再び持ち出した、希望を」

武内P「…」

部長「人生を投げ売ろうとしてでも掴もうとしている、それを」

武内P「…」

部長「…だからといって、君を犠牲にするなどというのは、言語道断だがね」

武内P「…」

部長「…私には、もうここで働く資格は無い」

武内P「…」

部長「…もう退職願は出しておいた。………無責任な男で、すまないね」

武内P「…」

部長「最後の最後で、私はまた君を裏切り、そして…また美城君に嘘をついた」

武内P「…」

部長「…君を評価していると、だからこそ君のような人材を増やすべきだなどと言ってね」

武内P「…」

部長「…異例の昇進。言ってしまえば簡単だ」

武内P「…」

部長「…他の役員達は、アイドルはおろか、君や、美城君すら信用出来ていない」

武内P「…」

部長「…そして、私は天秤にかけてしまった。君と…彼女を」

武内P「…」

部長「許してくれなどと言うつもりはない。…恨んでくれ、この老害を」

武内P「…」

部長「だが心配はしなくて良い。彼女は君を心から評価している」

武内P「…」

部長「…この特別に設けた課は、さほど長くは続かないはずだ。そう待たずとも彼女は君を現場に戻すだろう」

武内P「…もし…」

部長「…?」

武内P「…もしも、彼女が本当にそうなっているのなら」

部長「…」

武内P「…一つだけ、頼み事があります」

部長「…何かね?」

武内P「…」

『何で?何で貴方が今更…』

楓『…その…』

『…何?』

楓『…誤解を解きたくて…』

『…誤解?』

楓『…違うの。私は…プロデューサーとは…』

『…』

楓『その…』

『誤解ですって?』

楓『…その…あの時は…』

『それを解きにくるのに、何年も待たせたの?』

楓『…』

『よほど準備万端なのかしら?それともカンニングペーパーでも暗記してきた?』

楓『ち、違うの…あの時は…貴方の気持ちも、全然考えてなくt』パァン!

『…それ、今もよ』

楓『…』

『どれだけ人をおちょくれば気が済むの?』

楓『…』

『貴方達が私の世界を奪ったのよ。それを今更何?』

楓『…』

『…帰って』

楓『…』

『…帰って!!』

楓『…私は…ただあn」パリィン!

『…二度と現れないで。今度は何するか分からないわよ』

楓『…』

『…』

楓『…ごめんなさい』

「…」

「…私、あの時…」

「あの人を…」

「叩いて、投げつけて…」

「…」

「…違う。悪いのはあの人達…」

「…」

楓『…ごめんなさい』

「…でも…そんな…」

「…楓さんが、謝るなんて…」

『ピンポーン』

「…?こんな休日に…」

『すいませーん…こちら服部さんの、服部瞳子さんのお宅でしょうか…?』

瞳子「…えっ…は、はい」

『少し、お時間を頂けないでしょうか?大事なお話があります』

瞳子「…お話って…どなたですか?」

『346プロダクション所属のアイドル、安部 菜々と申します』

瞳子「…えっ…?」

菜々『このままでも構いません。話をさせてもらえるなら』

瞳子「…何で?楓さんの差し金?」

菜々『いえ、ただのお節介です』

瞳子「なら、帰って。そんなので私が…」

菜々『貴方へのではありません。楓ちゃんへのお節介です』

瞳子「…」

菜々『楓ちゃんは、人をからかったり、冗談を言ったり。確かにおふざけが多い方です』

瞳子「…」

菜々『けれど、本当に人を傷つけるような事は絶対にしません』

瞳子「…貴方に、何が分かるの…」

菜々『分かりません。だから話を聞かなければ気が済まないんです。…それに』

瞳子「…」

菜々『貴方はその楓ちゃんを傷つけた手の感触を一生刻み続けるつもりですか?』

瞳子「…」

菜々『…へくちっ』

瞳子「・・・」

菜々『・・・』

瞳子「…2、3分待って。片付けるから」

菜々『…ありがとうございへくちっ』

未央「…」

卯月「…」

ちひろ「全員、集まってくれましたね?」

凛「…」

ちひろ「本日は、プロデューサーさんから、重大なお話があります」

李衣菜「…」

みく「…」

ちひろ「…皆さんには、今まで諸事情により話す事が出来ませんでした」

智絵里「…」

かな子「…」

杏「…」

ちひろ「…それではプロデューサーさん…どうぞ」

莉嘉「…」

みりあ「…」

きらり「…」

武内P「はい」

美波「…」

アーニャ「…」

蘭子「…」

武内P「本日は、お忙しい中集まっていただき、ありがとうございます」

未央「…」

武内P「私は、今月末をもって、シンデレラプロジェクトから…」

莉嘉「やだ!!!」

武内P「!」

ちひろ「…」

莉嘉「やだ!!Pクンじゃないとやだあ!!」

武内P「…」

みりあ「…みりあも、やだ」

武内P「…城ヶ崎さん、赤城さん…」

莉嘉「…何で?ずっと…見てくれる…って、約束、した…のに…」

武内P「…」

ちひろ「…大丈夫ですよ」

莉嘉「…」

ちひろ「…プロデューサーさんは…」

杏「何が?」

ちひろ「えっ…」

杏「何が大丈夫なの?」

きらり「杏ちゃん…」

杏「何も言わずに、勝手に誘って、勝手に出てって。何が大丈夫なの?」

ちひろ「…」

武内P「…」

杏「プロデューサーが大丈夫でも、杏達はちっとも大丈夫じゃないよ」

卯月「…」

武内P「…私は…」

卯月「プロデューサーさん」

武内P「…」

卯月「…あれから、私、色々考えました」

武内P「…あれ…?」

未央「見ちゃったんだ。プロデューサーの昇進の紙。…ごめんね」

武内P「…」

卯月「…あれから、何を話そうって、きらりちゃんも、みんなも考えてて」

武内P「…」

卯月「…結局、見つかりませんでした」

武内P「…島村さん」

卯月「…だから、かっこ悪くしか言えません」

武内P「…」

卯月「行かないで下さい。ずっと私達と一緒にいて下さい」

武内P「…」

卯月「…」

未央「…」

武内P「…それは、出来ません…」

卯月「ッ…」

凛「!」

未央「…」

卯月「…」

武内P「…ですが、戻ってきます」

卯月「…?」

武内P「私は必ず、もう一度貴方達のもとへ帰ってきます」

卯月「…」

武内P「…約束、しましたから」

卯月「…」

武内P「…」

卯月「…それは…あの時の…」

武内P「ですから、大丈夫です」

未央「…」

凛「…なら、お別れの言葉なんていらないよね?」

武内P「…ええ」

凛「…そっか」

未央「…」

凛「…良かったぁ…」

未央「…しぶりん…」

杏「…本当だね?」

武内P「…ええ」

みく「なら、なるべく早くに帰ってくるにゃ」

武内P「…?」

みく「早めに帰ってこないと…うりゃっ!」

李衣菜「うひゃっ!」

みく「りーなチャンが猫一色に染められちゃうにゃ」

李衣菜「ちょっ!!私はロックなんだってば!!」

かな子「…なら、予定通りで良いんだよね?未央ちゃん!」

未央「…うん!…プロデューサー昇進祝い…」

智絵里「あ…で、でも…ケーキが…」

未央「今すぐじゃなくたっていいよ。…こんな顔じゃ、出来ないもん」

莉嘉「うえぇ…」

蘭子「…宴は、力の満ちた時に…」

みりあ「…みんな、泣いちゃってるもんね…」

ちひろ「…プロデューサーさん」

武内P「…は、はい…」

ちひろ「ええと…それで、ですが…」

武内P「…しばらくの間、後任を頼みたい方がいらっしゃいます」

未央「こ、後任?」

武内P「…ええ」

きらり「…それって?」

武内P「…お待たせして、申し訳ありません。…どうぞ」

卯月「!」

未央「!」

凛「!」

瞳子「…」

菜々「…」

瞳子「…コーヒー、どうぞ」

菜々「ありがとうございます」

瞳子「…」

菜々「…」

瞳子「…楓さんの誤解?」

菜々「楓ちゃんだけではありません。瑞樹さんや、早苗さん」

瞳子「…」

菜々「そして、彼も」

瞳子「…その様子だと、話、知ってるみたいね」

菜々「ええ。聞かせてもらいました」

瞳子「…なんか貴方、テレビで観るのと大違い」

菜々「そうですか?…ちょっとマトモにし過ぎたかな…」

瞳子「…」

菜々「…」

瞳子「…」

菜々「昔、貴方はアイドルだったそうですね?」

瞳子「…ええ」

菜々「そこで初めて出逢ったのが…」

瞳子「…ええ。彼よ」

菜々「貴方は、彼が初めてプロデュースしたアイドル。服部瞳子さん」

瞳子「…ええ」

菜々「そこに、あの御三方がいらっしゃったんですね?」

瞳子「そうよ。といってもそんなに時期は変わらないから同期といった方が良いわね」

菜々「…」

瞳子「…」

菜々「私が聞いてきた話は、一方的なものかもしれません」

瞳子「…」

菜々「ですから、貴方のお話も聞かせてください」

瞳子「…私の話も、一方的かもしれないわよ」

菜々「貴方が感じたこと、思ったこと。それで構いません。私は黙って聞いています」

瞳子「…」

菜々「…」

瞳子「私が楓さんと会ったのは、アイドルデビューする前」

菜々「はい」

瞳子「その当時は、彼女は何というか…とっつきにくい感じだったわ。喋らないし、どことなく暗いというか…」

菜々「…私も、正直信じられません」

瞳子「でも彼女はとある男性に会って、変わり始めた」

菜々「…」

瞳子「…それが、彼よ。…いまだに年齢も住まいも分からないけど」

菜々「…」

瞳子「それでも分かることがあったわ」

菜々「…」

瞳子「…彼は、アイドルを心の底から応援してくれていた。そこに私も楓さんも、瑞樹さんも早苗さんも関係ない」

菜々「はい」

瞳子「そんな彼に、楓さんは次第に心を許していったわ」

菜々「…」

瞳子「…でもね、それは彼女だけではなかった」

菜々「…」

瞳子「…私もよ」

菜々「…」

瞳子「…正直に言うわ。私はアイドルでありながら、彼の事が好きになっていた」

菜々「…」

瞳子「…勿論、彼女も」

菜々「…」

瞳子「…彼女の彼に対する好意を確信したのは、丁度アイドルデビューした時くらいかしら」

菜々「…」

瞳子「笑ってたのよ。幸せそうな笑顔で。…彼だけには」

菜々「…」

瞳子「そこからかしら。私と楓さんの仲が変わり始めたのは」

瞳子「その時、私は色々悩んでいたのよ。アイドルと、一人の男性に好意を抱いた事による葛藤で」

菜々「…」

瞳子「でも楓さんは違ったわ」

菜々「…」

瞳子「全然、悩まないの。アイドルは二の次。一番は彼が喜ぶだろう事をすること」

菜々「…」

瞳子「その為に彼女は、アイドルを手段としていたわ。彼の為に」

菜々「…」

瞳子「そして、彼もまた…」

菜々「…」

瞳子「…恐らくだけど、無自覚な好意。彼はそれを楓さんに向け始めていたわ」

菜々「…」

瞳子「あんなに固かった表情が、柔らかくなっていくの。楓さんの前でだけは」

菜々「…」

瞳子「私には向けない、自然な笑顔」

菜々「…」

瞳子「やがて彼女は私の前でも平気な顔で彼に近づいていった」

瞳子『プロデューサー!』

武内P『服部さん。お疲れ様でした』

瞳子『あー!プロデューサーまた怖い顔してるー!笑顔笑顔!』

武内P『あ…も、申し訳、ありません…』

瞳子『もー…あ…」

楓『プロデューサー』

武内P『高垣さん。お疲れ様でした』

楓『どうです?ちゃんと笑顔出来てます?』

武内P『…笑顔は、作るものでは…』

楓『ダメですか?』

武内P『…』

楓『アイドルの笑顔ですよ?ちゃんと笑えてます』

瞳子『楓さん。目が笑ってないですよ?』

楓『ダメなんですか?誰かの為だけに笑ったら』

武内P『…』

瞳子『…』

瞳子「その時、分かったのよ。彼女が私に対して対抗心を持っているって」

菜々「…」

瞳子「…それが、私の悩みを一層増やしていったわ」

菜々「…」

瞳子「…そして、私は遂に、選択することになったの」

菜々「…」

瞳子「楓さんにね、本心を言ったのよ」

菜々「…」

瞳子「プロデューサーが好きだって。その気持ちを吐露したわ」

菜々「…楓ちゃんは、何と?」

瞳子「少し黙って、「そうだったんですか」って」

菜々「…」

瞳子「よく言うわよ。あれだけ私に挑発しておいて」

菜々「…」

瞳子「…それでね」

菜々「…」

瞳子「…私が選んだ道は…」

瞳子『プロデューサー、私ね…?』

武内P『…』

瞳子『…』

武内P『…申し訳、ありません』

瞳子『…そっか』

武内P『…』

瞳子『き、気にしないで!…ね?』

武内P『…』

瞳子『…私も忘れるから。貴方も忘れて?』

武内P『…はい』

瞳子「…今思えば、子供だったなあって思うわ」

菜々「…」

瞳子「あり得ないでしょ?担当アイドルと付き合うプロデューサーとか」

菜々「…どうでしょうね…」

瞳子「…本当に、後悔してるわ」

菜々「…」

瞳子「…あんな事言わなければ、今みたいにならなくて済んだのに」

菜々「…何が、あったんですか?」

瞳子「…」

菜々「…」

瞳子「バレたのよ。私がプロデューサーに告白したって」

菜々「…」

瞳子「何処から?……信じられないでしょうけど、楓さんよ」

菜々「…」

瞳子「そんなことない。あるわけがない。…それは重々承知してるわよ」

菜々「…」

瞳子「でも、これが事実」

菜々「…」

瞳子「瑞樹さんも、早苗さんも。楓さんを応援する為に私の事を社内にバラしたのよ」

菜々「…」

瞳子「だって、そうじゃない。私の感情を知ってるのは、あの3人だけ。そう考えれば辻褄も合う…他に誰が…って」

菜々「…」

瞳子「…」

菜々「…大変辛い思いを、してきたんですね」

瞳子「…」

菜々「…私が聞いてきた、「事実」というものを、今からお話します」

瞳子「…」

菜々「もし、不快な気分になったら仰って下さい」

瞳子「…いえ。聞くわ」

菜々「ありがとうございます」

菜々「…ほとんどの部分は、貴方の話と同じです」

瞳子「…」

菜々「…違うのは、バラした方」

瞳子「…誰が…」

菜々「プロデューサーさんです」

瞳子「…えっ…」

菜々「…いえ、正確には…バレてしまった、というのが正解です」

瞳子「…どういう、こと?」

菜々「彼は嘘をつくのがとても下手です。それは知っていますね?」

瞳子「…ええ」

菜々「…貴方に告白された彼は、それを隠し通そうと努力しました。…けれど」

瞳子「…」

菜々「出来なかったんです。一人の役員の方が、彼の身に何があったのかすぐに察して…」

瞳子「…」

菜々「彼を問いただし、しかしそれでも彼は隠し通そうとはしましたが…それでも…」

瞳子「…」

菜々「やがてその方は貴方達を引き離しました。バラバラに」

瞳子「…」

菜々「彼もまた、自分から手を引くよう強制されました」

瞳子「…彼が、自分から別れたんじゃ…」

菜々「いいえ。…少しは、あったのかもしれませんが」

瞳子「…」

菜々「プロデューサーさんのお気持ちまでは、私にも分かりません」

瞳子「…」

菜々「私も、彼と会ってそう長い訳ではありませんから」

瞳子「…今でも、プロデューサーをやってるそうね…彼…」

菜々「ええ…それで、ここからは私の意見です。何の関係も無い」

瞳子「…」

菜々「短い間ですが、彼と接して分かった事があります」

瞳子「…」

菜々「彼は、アイドルを差別したりはしません。皆平等に、優しく接する方です」

瞳子「…」

菜々「アイドルの、心からの笑顔を大事にする。その為に自分の身を犠牲にして日夜頑張っています」

瞳子「…」

菜々「彼は楓ちゃんにも、貴方にも…ましてや今のプロジェクトの子達にも、そんな感情を抱いたりはしません」

瞳子「…」

菜々「…貴方自身も、分かっているはずです」

瞳子「…」

菜々「そしてもう一つ、あります」

瞳子「…」

菜々「楓ちゃんは、今では立派なアイドルです」

瞳子「…」

菜々「後輩の方々の見本になる、素晴らしいアイドルです」

瞳子「…」

菜々「彼女の影響で、日々の辛い仕事に希望を見出した方々もいらっしゃいます」

武内P『…』

瞳子『…ごめんね、プロデューサー。あれから色々悩んだんだけど…もう耐えられない』

武内P『…』

瞳子『貴方と離されて、みんなともギクシャクして…』

武内P『…それは…』

瞳子『…私…もう無理だよ』

武内P『違います!私が…私がもっとしっかり…!』

瞳子『…違うよ』

武内P『…』

瞳子『悪いのは、私達』

武内P『…』

瞳子『…ごめんね?…アイドル失格だよね』

武内P『…待ってください!考え直して…』

瞳子『考えたよ!!…考えたよ…たくさん』

武内P『…』

瞳子『…だから、これが…一番なのよ』

武内P『…服部さん…』

瞳子『…もう、会わないから…絶対に』

武内P『…』

瞳子『…さよなら』

瞳子「…」

菜々「…まだ、解決していない事もあります。解決しきれない事も、あります」

瞳子「…」

菜々「…でも、それは…」

瞳子「…」

菜々「若かった、で良いんじゃないですか?」

瞳子「…そんな、簡単な…」

菜々「簡単ですよ」

瞳子「…」

菜々「とても、簡単です」

瞳子「…」

菜々「若かったんです。貴方も、みんなも」

瞳子「…」

菜々「…そして」

瞳子「…」

菜々「…時計の針が進んでいないのは、貴方だけではありません」

瞳子「…」

菜々「時計は自分の力では針を動かす事は出来ません。電池を入れて、動かしてもらわないと」

瞳子「…」

菜々「それから、やっと進めるんです。誰かの力がないと」

瞳子「…私は…」

菜々「…」

瞳子「…やり直せるの?」

菜々「…遅過ぎる事なんてありませんよ。人生に」

瞳子「…」

菜々「まだ、時計の針が進んでいない方達が大勢います」

瞳子「…」

菜々「その時計は、誰でも動かせるものではありません」

瞳子「…楓さん…」

菜々「ええ。今の貴方なら、彼女の止まった時間を、動かせるはずです」

瞳子「…」

菜々「進みましょう?一緒に進む為にも」

瞳子「…」

菜々「…」

瞳子「…ええ」

早苗『その子の名前は、服部瞳子』

菜々『…』

早苗『私達と一緒にデビューした、アイドル』

菜々『…』

早苗『知ってるわけないわよね。ド新人の内に辞めちゃったんだもん』

菜々『…』

早苗『それも、最悪の形で、ね…』

菜々『…』

早苗『…彼女は、昔はとても明るかったわ』

菜々『…それが…』

早苗『そう。この事件で真逆な性格になっちゃったのよ』

菜々『…』

早苗『プロデューサー君は必死で彼女を守ろうとしたわ。それでも…』

菜々『…』

早苗『今西部長には、信じてもらえなかった。…いえ、信じてはもらえたけど…』

菜々『…』

早苗『あの人の力じゃ、周囲に合わせて、最小限の被害で抑える程度が限界だったわね』

菜々『…』

早苗『…他の役員は、プロデューサー君に論旨退職をさせようとしたけど、ギリギリで今西部長が何とかしてくれた。だから明るみにはならずに、上の方にも行くことはなかった』

菜々『…』

早苗『…でも、それを瞳子ちゃんが聞くことはなかったわ』

菜々『…』

早苗『…聞こうとしなかったってのが正解ね。あまりのショックに私達を恨む事で精神を保とうとしたのよ』

菜々『…』

早苗『酷な話よ。自分の居場所も、自分の好きな人も、仲間も一度に失ったんだから』

菜々『…』

早苗『…私の意見だけど』

菜々『はい』

菜々『…』

早苗『…変わってないわ。彼は』

菜々『…』

早苗『あの時のまま。何も変わってない』

菜々『…』

早苗『また、あの時の悲しみを繰り返すかもしれないなんて…』

菜々『…そうでしょうか?』

早苗『え?』

菜々『…変わってない、ではなく、戻ったのでも、ありません』

早苗『…』

菜々『彼はきっと、戻したんです』

早苗『…』

菜々『いえ、きっと、取り戻したんです』

早苗『…でも…』

菜々『彼にもまた、自分を動かしてくれる存在が出来た』

早苗『…』

菜々『ある時は、彼と対立し、ある時は、彼を評価し、互いに切磋琢磨していった存在』

早苗『…』

菜々『もう、彼は一人ではありません。本当に彼を見てくれる強い理解者がいます』

早苗『…』

菜々『それに…彼は、皆さんのような時計ではないんです』

早苗『…なら、なんだってのよ』

菜々『言うなれば、手巻き時計なんです』

早苗『…』

菜々『人の波に揉まれながら、彼のゼンマイは少しずつ、少しずつ巻かれていきました』

早苗『…それを放したのは…』

菜々『…』

早苗『…』

菜々『…勿論…』

早苗『…』

菜々『…貴方も、ね?』

早苗『…』

菜々『…』

早苗『…安部さん』

菜々『名前でお願いします』

美城「…ふむ」

莉嘉「こ、後任って…せ、専務?」

アーニャ「Это - ложь? Мне не верят.」

美波「アーニャちゃん」

美城「少しの間だけだ。しかしクローネと同じように、徹底した管理を行っていく」

莉嘉「えー!?」

美城「まずはこの散らかった空間だ」

みりあ「散らかってないですよー!」

美城「…なんだこのふざけた壁掛けは。片付けなさい」

蘭子「ふえええええ!!」

武内P「…美城専務。どうか、よろしくお願いします」

美城「…まさか、あの君がよもや私に自身のプロジェクトを…一時的にとはいえ、任せるとはな…」

武内P「…専務も、引き受けてくださいました」

美城「…彼女らの功績も、346へ多大な利益をもたらした」

武内P「…果たして、本当にそうでしょうか?」

美城「…君が冗談を言うのは、珍しいな」

武内P「…いえ」

美城「…今西部長から、何か聞いたのかね?」

武内P「…」

美城「…隠し事は、出来ない質のようだな…」

武内P「…申し訳、ありません…」

美城「…ふ…」

李衣菜「…あ」

みく「…あ」

莉嘉「?……あ!専務が笑ったー!」

美城「…む?」

みりあ「ほんとだー!!」

凛「…ふふっ」

未央「えへへっ」

美城「…」

武内P「…」

未央「…良い、笑顔です」

凛「未央、それプロデューサーの」

美城「…そうか」

武内P「…」

美城「…」ピ ゴトン

武内P「…」

美城「…すまないが、勤務中なのでな」スッ

武内P「…ご馳走様です」

美城「うむ」

武内P「…」

美城「…君の育てたアイドル達は、相変わらず個性が豊かだ」

武内P「…それは、クローネにも言える事ではないでしょうか?」

美城「…どうかな」

武内P「…改めて…どうか、よろしくお願いします」

美城「…」

武内P「私は、見つめ直さなければならないんです。今一度、自分を」

美城「…ふむ」

武内P「…その…」

美城「…過去のことか?」

武内P「!」

美城「何を驚いている?君の事も、プロジェクトの人間も、調べなどとうの昔に済んでいる」

武内P「それは…」

美城「…もし、君が本当に、何かしたというのなら、その時はきっちり処罰を与える」

武内P「…」

美城「…今の私に言えるのは、それくらいだ」

武内P「…専務…」

美城「…」

武内P「…貴方は…本当は…」

美城「…君のやり方は…今の私には出来ない」

武内P「…」

美城「今の346プロダクションの経営方針は、利益優先だ」

武内P「…」

美城「賭けや時間をかけるやり方は、方針にそぐわない」

武内P「…社長、ですか…」

美城「…上に行くには、上の方針に従うしかない」

武内P「…その為に…」

美城「今更、と言われるかもしれないが…私は君の人事には少々難を示した」

武内P「…」

美城「今西部長以外の役員…あの時のことを知っている者達が君をどう思っているか、分かっているつもりだ」

武内P「…」

美城「上に行くには自分一人の力では難しい。役員達の力も借りなければならない」

武内P「…」

美城「だからこそ、合わせる必要があった」

武内P「…」

美城「少しの間、待っていなさい。休暇のようなものと…」

武内P「いえ」

美城「…」

武内P「私は、この346プロダクションの会社員です」

美城「…」

武内P「任された仕事は、全力でこなします」

美城「…そうか」

武内P「…」

美城「…雪が、止んだようだ」

武内P「…」

美城「…今日はもう、快晴だな」

武内P「…花道を、用意してくれたのでしょう」

美城「…」

楓「…」


楓「…傷、治った…」


楓「…お仕事、行かなきゃ…」


楓「…」


楓「…」


『…』ピンポーン


楓「…はい、高垣です…」


『…服部です』

楓「!」

『…開けて、もらえませんか…?』

楓「…」ガチャ

瞳子「…」

楓「…瞳子…さん…」

瞳子「…さんじゃ、なくていいですよ…」

楓「…」

瞳子「…申し訳、ありません…」

楓「…」

瞳子「…お怪我の事も…前の、事も…」

楓「…」

瞳子「…許してもらえるだなんて、思いません…ただ…」

楓「…ううん」

瞳子「…」

楓「…私の方こそ、ごめんなさい」

瞳子「…謝らないで下さい。…だって…」

楓「…」

瞳子「…楓さんらしく、ないじゃないですか」

楓「…瞳子ちゃん…」

武内P「未来は、明るいものです」

美城「…」

武内P「空は、常に私達の道筋を照らします」

美城「…」

武内P「進みましょう。私達の道を」

美城「…未来という階段に終わりはない」

武内P「…ええ」

美城「それぞれの者が、それぞれの階段を歩み始めた」

武内P「…」

美城「…私も、進むとしよう」

武内P「…私も」

美城「…」

武内P「私も、必ず追いつきます」

美城「…そう、だな…」

卯月「…」

杏「…」

きらり「…」

未央「…」

凛「…」

未央「…大丈夫、そうだね」

凛「…うん」

きらり「次に一緒にお仕事する時はぁ、もっと、もーっと!レベルアーップ!するにぃ!」

杏「…」

卯月「これからも、たくさん一緒にお仕事出来ますね!」

未央「…まだまだ、終わりには出来ないね」

杏「…終わり、ねえ…」

未央「ん?」

杏「杏達のゴールって、そういうこと?」

未央「へあっ!?ち、違うよ!!」

凛「ちょっ!声大きい!」

未央「…あ」

美城「…」

武内P「…」

未央「…」

凛「…ほらー…」

杏「…」

きらり「…」

卯月「…」

美城「…君が戻るまでの間に、最低限の礼儀は、教えておくことにしよう」

武内P「…」

部長「…」

瞳子「…」

楓「…」

部長「…」

瞳子「…そう、でしたか…」

部長「ああ。彼はこの人事を受け入れたよ。だが…」

楓「…」

部長「…また、再出発だ」

瞳子「…」

部長「それに、今度は美城君がいる」

楓「…心配しなくて、良いんですね?」

部長「ああ。…それと…服部君」

瞳子「…はい」

部長「…これは私の提案なんだが…」

瞳子「…」

部長「…君の時計の針は、また動き出した」

瞳子「…」

部長「…もう一度、あの頃をやり直さないか?」

瞳子「…」

楓「…」

部長「…」

瞳子「…私は」

楓「…」

瞳子「私は、この数年間、まるで死んだように生きていました」

部長「…」

瞳子「…罪の無い皆を勝手に憎み、もう心は疲れ果てました」

楓「…」

瞳子「…また、戻れるでしょうか?」

部長「…」

楓「…」

瞳子「…また私は、迎え入れてもらえるでしょうか」

楓「…」

部長「…」

瞳子「…」

瑞樹「そんなの、貴方次第よ」

瞳子「!」

早苗「アンタ、アタシらが気遣ってくれるとでも思ってんの?」

瞳子「…早苗、さん…」

瑞樹「気遣うわけないでしょ。もう良い大人なんだから」

瞳子「…」

瑞樹「自分の力でここまで来なさい。それが出来なきゃ気楽に話すどころじゃないでしょ」

瞳子「…瑞樹さん…」

早苗「それにアンタはこれまでもこれからもド新人アイドルよ。そこら辺は理解しておきなさい」

瞳子「…え…」

瑞樹「ド新人、再出発アイドルね。良い個性じゃない」

瞳子「…私…また…」

早苗「…」

瑞樹「…」

瞳子「…戻っても、良いんですか?」

早苗「その代わり、助けてあげないわよ。それが楓ちゃん傷つけたアンタの罪滅ぼし」

楓「…私は、そんなもの…」

瑞樹「貴方に無くてもこっちにはあるの。可愛くないけれど大事な後輩だからね」

早苗「可愛くないけどね」

楓「アイドルなんですけど」

部長「…ふむ。どうやら決まりのようだね」

美城「いえ、まだです」

部長「おや」

瞳子「…」

美城「君か。話は大体だが聞いている」

瞳子「…?」

部長「…ああ、君は知らなかったね。彼女は美城専務。君がいた時はまだここには来ていなかったよ」

瞳子「えっ!?美、美城…専務!?」

美城「一族経営などと思うな。私は私だ」

早苗「減点1だって」

瞳子「え…あっ…も、申し訳ありません!」

美城「…君が戻ってくるというのなら、私が受け入れてやらないこともない」

瞳子「え…」

美城「が、勿論新人からだ。弱音など吐かせん」

瞳子「…」

楓「…」

美城「さて、どうする?」

瞳子「…」

瑞樹「…」

早苗「…」

瞳子「…そんなの、決まっています」

部長「…」

瞳子「…また、ここから。ここからが私の、服部瞳子の再スタートです!」

楓「…瞳子ちゃぁん…!」

瞳子「…楓さん…!」

瑞樹「…これは、うかうかしてられないわね」

早苗「そうねぇ。でも本当に、良かったわ」

美城「…それと、今西部長」

部長「む?」

美城「…貴方にはまだやらなければならない仕事が山ほどあります。それを投げ出して退職など、許される事ではありません」

部長「…」

美城「…というわけで、この退職願は受理出来ません。…最も、貴方がどうしてもと言うのなら考えますが…」

部長「…」

瑞樹「…」

美城「…」

部長「…そうか」

早苗「…」

部長「…私にも、針を動かしてくれる存在が、いるのか…」

瞳子「…」

部長「…そうだね。許されるのであれば…」

楓「…」

部長「…もう少し、見届けるとしようか…」

瑞樹「今回人肌脱いだらしいじゃない。…ありがとね」

菜々「そうでしたっけ?」

瑞樹「あらあらこの子は…」

菜々「ナナはただ、みんなの笑った顔が見たいだけなんです」

瑞樹「…」

菜々「だってそれが、ナナの夢見たアイドルなんですから」

瑞樹「…」

菜々「ナナ、知ってたんですよ。瞳子さんの事」

瑞樹「あら」

菜々「だって、貴方達に憧れたんですから」

瑞樹「…」

菜々「ナナの一番辛いことは、その憧れた方達が悲しい顔をすることです」

瑞樹「…」

菜々「…」

瑞樹「…そう」ガタッ

菜々「?どうされたんですか?」

瑞樹「…雪解けね。顔にかかっちゃった」

菜々「…そうですか」

瑞樹「…」

菜々「…そうですよね」

瑞樹「…」

菜々「…ね、瑞樹さん」

瑞樹「…」

菜々「…ナナ、幸せですよ」

瑞樹「…」

菜々「だからいつか、結婚して、子供が出来たら、自慢してあげるんです」

瑞樹「…」

菜々「アイドルって、本当に素晴らしいですよ」

瑞樹「…」

菜々「…ってね?」

http://youtu.be/ni6ul9_4wIE

終わります
拙い文章だと思いますので生温かい目で見てください

>>1のは気にしないで下さい

乙!

おつ
よかった

はぁ~すばら
はぁ(感嘆)

乙!

それにしても役員達腐敗しすぎぃッ!
焼却しなきゃ(使命感)

乙乙

おつ
続き待てってるぞ
俺たちは登り始めたばかりだからな
この果てしなく長い武内坂をよ


たいへん素晴らしい
ところで5人組とかの話はこれからも見られるのかね?

1ヶ月後、そこにはいつものメンバーと一緒にケツをシバかれる瞳子さんの姿が!

シリアスなのに人肌脱いだせいでうさみんが謎の生命体になった

皮被ってたのか……

これは菜々さんですわ

泣いたぜ

服部タイキック

メインに服部さんが入っているSSはじめてみた気がする。乙。次も待ってるよ

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