モバP「独身のまま三十歳を過ぎてしまった」 (272)


~社長室~

モバP「確かに、今の仕事を続けたまま婚活を行う事も考えました」

モバP「しかしアイドルに恋人を作るなと言っておきながら、自分は違うというのは誠実でない」

モバP「自分の幸せを求めるのならこの仕事は続けるべきじゃない。そう思ったんです」

モバP「後輩たちへの引き継ぎが完了次第、退社して大阪に帰ります」

モバP「必要なら今後は芸能界に関わらないと誓約書も書きます」

モバP「社長、今までありがとうございました。失礼します」キィ...パタン

社長「...ふぅむ、まずい事になったねぇ」ピッピッ プルルルル

社長「あぁ千川くん 私だ。CoP、CuP、PaPが事務所に戻るのは何時ごろかね?」

社長「ふんふん、ではその時間になったら社長室で緊急会議を行うと連絡してくれ」

社長「あと君とマストレくん達も出席してくれ。それとモバP君には内密で。ああ、よろしく頼む」ガチャン

社長「まさか経緯は違えど、あの事務所と似た状況になるとはね」バサッ

スポーツ新聞「国民的アイドルグループ分裂!?」 「育ての親退社!創業者一族と対立か!?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1453140837


~会議室~

千川ちひろ「社長、全員集まりました」

社長「うむ、それでは緊急会議を始める。まず君たちを集めた経緯から―」


社長説明中


CoP「婚活のために退社とか嘘でしょう?」

CuP「表向きの理由がそれだった。かもですよ?親が病気になったとか色々理由が重なったのかも」

PaP「つまりモバPさん本人以外に理由があるけど、それをそのまま理由にしたくなかったと」

マストレ「推測をしても仕方なかろう。彼への引き止めをどうするかが議題ですか?」

社長「いや。彼の本心が分からない以上そこを話し合っても結論が出せん」

社長「しかしマストレくんの言う通り、今回の議題は引き止めだ」

ベテトレ「彼以外に退社を希望している者が居るんですか?」

社長「いや。現時点では恐らくそうなるだろうという私の予想だ」


ルキトレ「恐らくそうなる…?あっ」

トレーナー「なるほど、そういう事ですか」

社長「うむ、現在 事務所の所属アイドルはCoPくん達3人のいずれかが担当しており」

社長「モバPくんはCoPくん達3人を監督する立場、上司になる訳だが」

CoP「俺たち3人が分担して担当するようになったのは最近の話で」

CuP「殆どのアイドルにとって導いてくれた存在はモバPさん」

PaP「そして現在も一部のアイドルに関してはモバPさんが担当している」

社長「その通り。彼が辞めるとなると彼女達も辞めるかもしれないと私は危惧している」

ちひろ「事務所内では公然の秘密ですが、モバPさんに好意を抱いてる娘は居ますからね」


社長「特に彼が現在も担当している渋谷凛くん、高垣楓くん、佐久間まゆくん、双葉杏くん、城ヶ崎美嘉くんの5人は要注意だ」

CoP「辞めるとなった場合、影響が特別大きいのは渋谷凛と高垣楓でしょうか」

CuP「渋谷凛は事務所の看板ユニット掛け持ちですからね」

マストレ「ニュージェネ、トライアドは少数ユニットだから一人抜けて人気が維持できるかというとな」

PaP「高垣楓はアイドルからの女優タレント路線で事務所の筆頭。佐久間まゆはアイドル女優としてやはり事務所の筆頭」

ちひろ「杏ちゃんもCM出演数が多くバラエティ番組の視聴率も高いので抜けるとなったらキツいです」

社長「ウチで10代の女性人気を獲得できているトップが美嘉くんだ、彼女が抜けるのも非常に痛い」

ルキトレ「つまり誰が抜けても影響は大きいんですね...」

ちひろ「今の体制になってもモバPさんが直でプロデュースしている娘達ですからね」


CoP「うーん、そうは言っても渋谷凛は続けてくれるんじゃないですか?」

CuP「確かに。根は真面目ですからユニット2つを捨ててアイドル辞めるとは言わないと思います」

PaP「佐久間まゆは事務所内に親しくしているアイドルが居るようですし、双葉杏も彼女に理解がある居場所となると」

マストレ「アイドルを辞める、とはならんでしょうな。城ヶ崎美嘉も妹の芸能界入りを後押しした手前辞めんでしょう」

ルキトレ「となると残るのは楓さんですね」

ちひろ「楓さんは次年度公開予定の映画撮影が既に決まっていますから、仮にそうだとしても説得する時間はあるかと」

トレーナー「ん?つまり誰も辞めない?」

ベテトレ「我々の願望込みの予想では だがな」

社長「辞めないのが理想だがそれを確実なものにしたい。何か策はないものかね」


CoP「…社長、モバPさんの承諾が必要になりますが業務引き継ぎ期間中、退社の事をアイドルに伏せませんか?」

社長「ふむ、どういう事かね?」

CoP「彼女達5人はモバPさんが我々の上司になっても担当アイドルのままでいた、つまり贔屓された立場とも言えます」

CuP「なるほど話が見えたぞ。外部から見て贔屓に見える現状を改めたい、という建前で担当者を我々にするのか」

PaP「つまり彼女達5人が我々の下で仕事をするのに慣れた頃に退社を伝えると」

マストレ「退社するから引き継ぎます。よりは良いでしょうね」

ベテトレ「そうなると引き継ぎ期間はどうなります?通常 会社員が退社する際は最長で一ヶ月程度らしいですが」

トレーナー「建て前に真実味を持たせるとなると一ヶ月はまずいですね」

ちひろ「そこは社長の説得に期待しましょう。ですよね?」

社長「え?いや、うん。確かにそれは私の仕事だ。それでは会議は終わりだ。皆遅くまですまなかったね」


~社長宅~


社長(しかし30歳、か)

社長(思い返せばあの頃からだったか、たまに会う親の老いが顕著に感じられた)

社長(私の場合その後息子が生まれ、幸い出世も出来たおかげで金にも困らず老いた親の面倒を最期まで看る事ができた)

社長(つまり親孝行をする事ができたのだ。しかし)

社長(国営放送のドキュメント番組では親の介護がキッカケで破産に追い込まれた中高年が少なくないとあった)

社長(彼も親の老いを見て思うところがあったのだろうか)

社長(私は恵まれている。親に孫を見せ、私も孫の顔を見る事が出来ている)

社長(やはり会長に評価されたのが大きかったな。アイドル事務所の立ち上げも任され社長にもなれたのだし)

社長「ん?評価、社長、立ち上げ…これだっ!ひらめいたぞぉ!」


~翌日・社長室~

モバP「大阪支社を立ち上げる、ですか?」

社長「私は君を手放したくない。ならばこの機会に大阪へ進出しようと考えた。どうだね?」

モバP「そんな、そこまでしてもらう訳には」

社長「そこまで?大阪支社を軌道に乗せるのは君の仕事だが」

モバP「それは確かにそうですが」

社長「かつて私もアイドル事務所の立ち上げを任され ここまで来た。今度は君の番だ、そうだろう?」

モバP「……」

社長「昨日、私も自分が30歳だった頃を振り返ってみたんだ。たまに会う親の老いに焦燥感を覚えた事を思い出したよ」

モバP「……」

社長「結婚をしたい、子供が欲しい、親に孫を見せたい。当然の感情だと思う。しかし君の実家は大阪で、ここは東京だ」

社長「東京で結婚をし子育ては出来ても、親の面倒は見れない。それは親孝行と言えるのか、そう思ったんじゃないか?」

モバP「……確かに。思わなかったと言えば嘘になります」

社長「私も人の親だ。孫も居る。だからこそ言える。それで充分親孝行だ」


モバP「……」

社長「まぁ今の私が言っても無理やり引き止めようとしか見えんか」

社長「改めて本題だ、東京であれば君に他の仕事を紹介する事ができるが」

社長「申し訳ない私は大阪方面のツテが弱い。大阪での仕事は紹介できない」

社長「だから君に我が社の人間として大阪で働く場所を用意しようと思う」

社長「大阪支社長、それが君の肩書だ」

モバP「支社長……」

社長「畑違いの業界でこれから働くよりは良い話だと思う。どうだろうか」

モバP「……分かりました。これからもお世話になります」

社長「…うむ、ありがとう」

社長「さて、まずは千川くん達を集めて今後に向けての会議といくか。これからもよろしく頼むよ?」

モバP「…はいっ!よろしくお願いしますっ!」


~引き継ぎ期間終了、モバP帰阪後~

カンパーイ

CoP「さすが社長、大阪支社の立ち上げを考えるとは」

CuP「アイドル達を東京に留める理由も完璧でしたね」

PaP「『君たちが大阪に行くとする。すると東京での売り上げは当然落ちる』」

CoP「『今モバPくんは東京での実績を武器に大阪へ乗り込んだんだ』」

CuP「『その武器が弱くなったらモバPくんはどうなると思う?』」

PaP「大阪行きがモバPさんへの迷惑になると繋げるあたり恐れ入りました」

社長「うむ、まぁ彼の婚活が終わったら彼女達も落ち着いて大阪への転属希望は言わんだろう」

ちひろ(…落ち着きますかね?)

社長「若い頃を振り返ってみると私は上から評価された事、結果を出せた事が嬉しかった」

社長「彼にも同じ経験を、そう思っただけだよ。君たちもそうだな札幌とか福岡とか候補地はまだあるぞ?」

CoCuPa「実家じゃないので遠慮します」

社長「何だつまらん。しかしこれからはモバPくんが居ないんだ。私も気を引き締めんとな」ハッハッハッ


CoP達への引き継ぎを終え帰阪したモバP、しかし彼の営業と結婚活動は苦戦する事となる


モバP(全く仕事が取れん。収録時だけ東京から来ます、は駄目なのか?)

モバP(やはり大阪所属のアイドルが居た方が…)

モバP(いや、アイドルじゃ駄目だ。既に浪速興業がUMD48を抱えている。時間と金の無駄になりかねん)

モバP(タレントを揃えないと。それも浪速興業とは重複しないキャラクターで)

モバP(しかし関西ローカルのギャラでは、既に知名度のある娘は呼べない)

モバP(それに仕事も獲得できてないし寮も無い。大阪配属だと実家から通勤してもらうしか)

モバP(東京の寮に居て、まだ売れていない関西出身の子を呼ぶか?)

モバP(あれも無いしこれも無い…東京での実績が役に立つかと思ったら、そんな事ないんだな。甘かった)

モバP(今のままじゃ婚活なんて……ちくしょう)

志乃「」
礼子「」


そして東京では火種が静かに、着実に大きくなっていた


前川みく(大阪出身のみくなら役に立てる。猫キャラだって新○劇でネタに出来るかも。)

みく(事務所との契約は今年度末、大阪転属が無理なら更新しなきゃ良い。Pちゃん待っててにゃ)


橘ありす(義務教育期間中の児童が実家からの通学を希望、理由としては充分)

ありす(今はまだ大阪支社の体制が整ってないらしいので行っても迷惑、耐える時期ですね)


佐城雪美(Pと私…つながってる……大丈夫……すぐに行くから……)

雪美(だから…待ってて……)


神谷奈緒(凛と加蓮のメンタルが…Pさぁん、帰ってきてくれよぉ)グスン

本田未央(しまむーのメンタルもだよ…電話は、まだ迷惑かなぁ)ハァ


高垣楓(映画の公開が終わったら大阪に行こうかい…フフッ)

モバPが営業に苦戦して早一ヶ月、シンデレラ事務所に最初の転機が訪れていた

~社長室~


??「関東には関東の、関西には関西のルールというものがありますわ」

社長(まさか、まさか…)

??「シンデレラ事務所が関西での成功を望むのなら」


櫻井桃華「通すべき筋があると思いません?」

CoP(モバPさん、櫻井の実家が関西政財界の超大物なんて聞いてませんよ…)

社長(彼から結果が出せず申し訳ないと連絡があったが、まさか原因が彼女の実家とは…)

ちひろ(彼女の実家、関西で鉄道、不動産、プロ野球、映画に歌劇団まで擁して、テレビ局の株主でもあるみたいです…)

CoP(そりゃモバPさん仕事とれんわ。ていうか社長、関西方面に疎すぎません?)

CuP(あ、そういや男性アイドル櫻井某の親も大物官僚…)

社長(おいバカやめろ。偶然苗字が同じなだけだ…偶然だよな…?)

PaP(でもスマ○プの失脚でトップに立つのって)

社長(やめろぉぉぉ!)

ちひろ(…辞表書いた方が良いかしら?)


第一部 完

あとがき

書くキッカケは作中でも触れた国民的アイドルの解散騒動です。しかしモバマスだとアイドルが全員若い。

最年長でも30代前半です。モバPと一緒に辞めても駆け落ちにしか見えません。

その為、社長と対立せずアイドルと一緒に辞めようとしない代わりに帰郷先で苦労してもらいました。

架空の名前にしましたが関西では馴染みのある会社やグループがモチーフです。

しかしスマ○プでも独立は無理ですか。芸能界って凄い。

今回が処女作となりますが如何だったでしょうか。関西を舞台にしたため桃華の登場を予想されしまいましたが、

続きを見たい、という方がもし居ましたらスレタイを改めて第二部を後日書いていきたいと思います。

>>24
第二部は当然希望だな
ただ西軍の総大将のちゃまが強すぎる気も
東軍に対抗できるアイドルはいるのか?

>>25

現時点の構想では、第二部で東軍のアイドルが桃華に対抗する展開は考えてないです。申し訳ない。
あと次回用にトリップを付けてみます。

第二部できた…誤字脱字の確認おわったら投下します


通勤途中で考えたあらすじを昼休憩の自分が否定し、帰宅途中に考えたあらすじを家に着いた自分が否定する。

自炊中に考えたあらすじを食事中の自分が否定する。小説家ってどうやってストーリーまとめてるんでしょうね。


・ちょっと変更します。第二部以降は台詞の中でモバPが出る場合はPで書く事にします。

例)
ちひろ「モバPさん、いま時間ありますか?」
ちひろ「Pさん、いま時間ありますか?」


それでは第二部はじめます。


大阪での営業活動が妨害される原因が社長室で明らかになった丁度その頃、

モバPは京橋のワイテレビに営業をかけていたが やはり失敗していた


~大阪城公園・ベンチ~

モバP(はぁ…今日も駄目だったか)

モバP(どうやら関西の芸能界全体が俺、いやシンデレラ事務所と関わらない方針のようだ)

モバP(理由は幾つか推測できる。アイドルグループUMD48を持つ浪速興業は煙たがるだろうし)

モバP(関西のマスコミは阪久グループの息がかかってる。阪久に嫌われてもアウトだ)

モバP(しかし社長が浪速興業をはじめ、関西の芸能関係に話は通しておくと言っていた。警戒されるのはおかしい)

モバP(阪久グループとシンデレラ事務所には特に関わりも無いから嫌われた、とは考えにくい)

モバP(どこだ…どこで間違えた…ちくしょう…)

??「Pくん?」


モバP「…瑞樹!?」


~東京・社長室~


CoP「つまりウチの社長は浪速興業をはじめ関西の芸能関係者に話はしていたが」

CuP「阪久グループのトップである櫻井氏には話が届いておらず」

PaP「孫の桃華が所属しているにも関わらずふざけているのかとお怒りになり」

ちひろ「今日まで、というか今も制裁が続いていると」

桃華「簡単に言えばそうなりますわ」

CoCuPaちひろ(お爺ちゃん短気すぎません…?)

社長(あれ?じゃあさっき桃華くんがヤ○ザのあれな感じだったのは一体…)

桃華「さっきのは私を大阪配属にしなかったお礼です。受け取ってくださいな」

社長「やだこの子こわい」

桃華「さて 私にはPちゃまに素性を明かさなかった負い目があります。これから神戸に帰り お祖父様を説得してきますわ」


社長「うむ、我々の立場では今日会いたいと言って会えるものではない。桃華くんだけが頼りだ」

桃華「ええ、頼られた分しっかり説得しますわ。Pちゃまにお痛をしたお祖父様は私も許せませんし」

CoP(なぁ これの原因って桃華じゃね?)ヒソヒソ

CuP(言うな。これ以上こじれたらPさんがヤバい)ヒソヒソ

PaP(確かに)ヒソヒソ

ちひろ「何こそこそしてるんですか。桃華ちゃん帰りましたよ?」

社長「何はともあれ解決しそうで良かったよ。まずは彼に状況の説明をしないと」ピッピッ

CoP「今日まで大変だったしPさんには休んでもらいたいすねー」

CuP「そういえば護衛の黒服さん会釈だけして喋らんかったな」

PaP「あの人見るたびにマトリ○クス見直そうか悩むわー」


~大阪城公園・ベンチ~


モバP「はい、はい…そうですか桃華が…いえ、ありがとうございました。失礼します」ピッ

川島瑞樹「相変わらず忙しそうね」

モバP「まさか たったいま暇になったよ。しばらく休みだ」

瑞樹「あら 丁度良いじゃない。私も暇よ?」

モバP「そうなのか?」

瑞樹「フリーで人気の無いアナウンサーなんて毎日が日曜日よ。ニートと変わらないかも」

モバP「お前ならもっと…いや俺が言う事じゃないか。しかし元気そうで良かった」

瑞樹「…あなたも、やっと元気になった」

モバP「え?」

瑞樹「さっきの電話がくるまで、ずっと苦しそうだった」

瑞樹「今は3個あった頭の中のモヤモヤが1個減った?そんな感じ」

モバP「参った。相変わらず瑞樹に隠し事は無理か」

瑞樹「ふふっ、ずっと見てたもの。あなただけよ私が愛した人は。今までも これからも―」

モバP「瑞樹…」


~新大阪行き新幹線~


カタンカタン

桃華(お祖父様にも困ったものですわ。またアイドルを辞めて帰ってこいと言われるでしょうね)

桃華(今までなら断りますがPちゃまが大阪となると話は別ですわ)

桃華(孫のアイドル活動に断固反対。ただし目の届く大阪なら可。まぁ無難ですわね)

桃華(あとPちゃまのお嫁さんもこちらでセッティングしましょうか)

桃華(私の願いを邪魔しないお嫁さん…フフッ 素敵ですわぁ)


カタンカタン


黒服(………)ポチポチ

黒服(P氏が元恋人と再会…報告すべきか?)チラッ

桃華「フフッ フフフフフ ウフフフフフ」

黒服(やめておくか)


~梅田・個室居酒屋~


モバP「それじゃあ久々の」

瑞樹「再会に」

「「乾杯」」


~アラサー飲食中~


瑞樹「それで、結局なんで帰ってきたのよ」

モバP「…瑞樹ならいいか。去年 親父が癌の手術をしてさ」

瑞樹「知ってる。胃が三分の一になったから食べられる献立考えるの大変って おばさん言ってた」

モバP「…へ?」

瑞樹「あと胃が殆んど無いから凄く痩せちゃって、それを見たPくんが泣きそうな顔してた。ってのも聞いた」

モバP「」

瑞樹「あとあと初詣に珍しく縁結びで有名な神社に行ってたっておばさんがムギュ」

モバP「お前ぜんぶ知ってんじゃん!?そうだよそうですよ!親が元気なうちに孫の顔見せたいじゃん!?」ジタバタ ゴロンゴロン

モバP「親父の体力考えたら東京よりこっちじゃん!?何だよ全部つつぬけかよぉ!」ラッパノミー

瑞樹(何か珍しいもの見ちゃった。動画録っとこ)スマホポチー


~2時間後~


居酒屋「アリガトゴザシターッ」

モバP「」チーン

瑞樹「ほらっ自分の足で歩いて」ペチペチ

モバP「ゴベン…ノビズビダ…」

瑞樹「もうっ歩くの無理?」

モバP「ヴン…ヨゴニナビダイ」

瑞樹「横に?そんな事いわれても、タクシーに乗ってる時に戻したらマズいし…あ」

モバP「」



┏━━━━━┓
┃ H O T E L┃
┗━━━━━┛


丁度その頃、櫻井桃華は祖父の説得が終わり、黒服の運転する車で帰路につこうとしていた


~梅田~

桃華「まったく、今日は新幹線とお祖父様のお説教でクタクタですわ」

黒服「お疲れ様です桃華様」

桃華「フフフ 事務所への制裁は明日以降解ける、そして私は来月から大阪配属」

桃華「あとはPちゃまとお話しして お嫁さんをセッティングすれば完璧ですわ!」

桃華「ああ、Pちゃま待っていてくださいまし。もう少し もう少しで私とPちゃまの望む形が出来上がりますわ」

桃華「フフ フフフフフ フフフ…ん?黒服 止まりなさい」


キキーッ


桃華「Pちゃまと…黒服、横に居るのは?知っていること全て答えなさい」

黒服「はっ 横に居るのは川島瑞樹 28歳 職業フリーアナウンサー」

黒服「P氏との関係は幼馴染。川島瑞樹の大学進学を機に交際を開始」

黒服「川島瑞樹の大学卒業と同時に互いの住居が遠距離となり交際を解消」

黒服「本日6年ぶりに再会のようです。先ほど二人が入った建物はホテルですね」


桃華「フフ フフフフフ フフフ フフフフフ 川島瑞樹さん おぼえましたわ」

桃華「Pちゃま お嫁さんを用意できたのですね。さすがPちゃまですわ」

桃華「ああ 川島さん。陰に日向にPちゃまを支えてくださいまし」

桃華「時に叱咤、時に激励し、良き夫婦であってくださいまし」

桃華「互いに支え、困難に立ち向かう夫婦であってくださいまし!」

桃華「これからの十余年 誰もがうらやむ夫婦であってくださいまし!」





桃華「私とPちゃまが交わるその日まで」





桃華「よろしくお願いしますわ」






第二部 完

あとがき

今回のテーマは第一部で苦労の多かったモバPにハッピーを。

最大の懸念だった阪久グループの妨害が無くなり、第三部からは営業活動ができます。

元恋人で現在も両想いな川島瑞樹と会った事で、恐らくもしかするときっと婚活も終わるでしょう。

残すは親に孫の顔を見せるミッションだけです。これもホテルに行ったし大丈夫かな?

明日明後日は残業確定なので土日に第三部を作れたら良いなぁ、と今は思ってます。

第一部と比べて短かったですが、全体的にハートウォーミングな回にできたと思います。

やっと出来た。誤字脱字の確認したら投下します。

まえがき

モバPが30歳以上の設定なため、一部アイドルの呼び方を変えてます。

それでは第三部、はじめます


モバPが川島瑞樹と共に梅田のホテルに入り それを櫻井桃華が目撃した頃、東京では会議が開かれていた


~会議室~


社長「先ほど桃華くんの祖父で、阪久グループのトップである櫻井氏から制裁を解くと連絡があったよ」

社長「来週までには関係者に周知されるだろうとの事だ」

ちひろ「良かった。桃華ちゃん説得に成功したんですね」

社長「しかし ただで解除とはいかなくてね。制裁解除の条件として桃華くんを大阪に転属させる事を要求されたよ」

CuP「それで済むなら安いんじゃないですか?」

ちひろ「制裁を解いてもらう対価としては破格というか、ただ同然ですね」

PaP「本当に孫かわいさだけで制裁してたんすね…それで いつ転属で?」

社長「来月だ。桃華くんは現在 こっちの学校に通っているが、転属は本人の希望でもあるとの事だ」

CoP「つまり祖父 櫻井氏は孫が帰ってきて嬉しい」

ちひろ「孫の桃華ちゃんはPさんが担当になるから嬉しい」

CuP「ウチの事務所は大阪で営業できるから嬉しい」

社長「うむ。これで大阪の問題は終息したと思って言って良いはずだ」

社長「皆ご苦労だったね、今日はこれで解散だ」


オツカレサマデース ウィーッス


社長「さて、私もPくんに連絡し終わったら帰るかね」ピッピッ


~梅田のホテル~


モバP「――そうですか。来週には、周知されるんですね」

社長『ただ桃華くんをそっちに戻す事が条件でね。来月から彼女は大阪配属だ』

モバP「承知、しました。改めて、こっちで、頑張ります」

ンンッ

社長『ああ、期待しているよ。大阪を東京に負けないくらいにしてくれよ?』ハッハッハッ

モバP「その、つもりで、頑張ります、よっ」

アアッ

モバP「―では、失礼します」ピッ

瑞樹「はぁ、はぁ………ふふ、さっきまでが嘘みたい。あなた明るい顔しているわ」

モバP「ああ、さっきの電話で」

瑞樹「頭の中に残ってた最後のモヤモヤが無くなった、かしら?」

モバP「――ほんと、お前って、やつはっ」パンッ!パンッ!パンッ!

瑞樹「ああっ!」

モバP「俺のことは、何でも、お見通しだなっ!」


  ・

  ・

  ・

  ・


~翌朝・ホテルから梅田までの道中~


瑞樹「6年ぶりに彼氏に食べられちゃったなう」ポチポチ

モバP「おい何つぶやいてんの。やめろくださいお願いします」

瑞樹「嘘よ。母さんからのメールに返信しただけ」

モバP「おばさんから?」

瑞樹「ええ、ほら」

モバP「ええと…?」

瑞樹母『Pくん元気ー?あっ言うまでもないか!(笑)そうそう押し入れに瑞樹の制服と体操服まだしまってるけど―』

モバP「ちょっと!?瑞樹さん!?」

瑞樹「なに?私は帰りが遅くなった理由を送っただけよ?」ニヤニヤ

モバP「うおおおお何だこの羞恥プレイ!?勘弁してくれ」

Prrr Prrr

モバP「…ん?知らん番号だ。もしもし――母さん?え、何この番号――は?瑞樹の親父さん!?」

モバP「――あ、もしもし、お久しぶりですモバPです。いえいえこちらこそ。はい、はい、いやそんな――」

モバP「若いからもっと出来るだろ?ちょっと何言ってるかわかんないですね」



~モバP 両親、義両親(予定)と通話中~



モバP「」チーン

瑞樹(はしゃぎすぎたかしら?)

モバP「……瑞樹」

瑞樹「なに?」

モバP「母さんやおばさん達にいじられた直後に言うのもなんだけどさ」

瑞樹「………」

モバP「俺、大阪に帰ってきたばかりなんだ。だから―――」







黒服「――大阪支社を軌道に乗せてからプロポーズをするようです」


東京行き新幹線の車内に櫻井桃華と護衛の姿があった。

現在の通学先である東京の学校に通うため寮に向かう途中である。


桃華「そう…もういいですわ。引き上げさせてくださいまし。今日までご苦労様ですわ」

黒服「かしこまりました」

桃華(結婚を焦っていたのに仕事で結果を出してから…男の子の意地?かしら)

桃華(ああ、そんなPちゃまも素敵ですわ)フフッ

桃華(だけど その選択は間違いかもしれませんわよ?阪久の妨害なくとも 関西には―)


~翌日・シンデレラ事務所 社長室~


和久井留美「――私をシンデレラ事務所のスタッフに?」

ちひろ「はい、私と一緒に働いてもらえないかと。もちろん正社員として、です」

留美「理由を聞いてもいいかしら」

社長「それは私が説明しよう。目的はCoPくん達プロデューサーの事務作業を減らし、事務所の収益を強化する事だ」




多くの芸能事務所は一部の人気タレントが稼ぎ、他のタレント・事務所スタッフを支えている

シンデレラ事務所もその例に漏れず 200にせまるアイドルを抱えながら、

収益の大半をモバPが最後まで担当していた5人を含む、約20人が稼ぎ出す構造になっていた。




社長「CoPくん達は、Pくんの業務を引き継いだ事もあり負担が大きい状態だ」

社長「彼らの事務作業時間を減らして、プロデュースと営業に集中できる環境を作り」

社長「いずれ来る現トップアイドル達の落日にそなえたい。どうか、受けてもらえないだろうか」


留美(――Pさんが大阪に行ってから、確かに彼らは多忙が続いている)

留美(結果、今までPさんがしていた 私のような人気があるとはいえないアイドルへのフォローが届かなくなった)

留美(社長達が知っているか分からないけど、売れていない子達の中には引退を考えている子も居るらしい)

留美(私もこれ以上は難しいと自覚しているし、正直 引退後の不安もあるけど)

留美(Pさん、あなたに言ってほしかった)

留美(私をこの世界に導いたあなたに、夢の終わりを告げてほしかった――)



留美「――分かりました。今後はスタッフとしてお世話になります」

社長「ありがとう、本当にありがとう!」

ちひろ「留美さん、これからもお願いしますね!」


それからしばらく経ち、モバPの大阪営業も一筋の光が見えていた


~シンデレラ事務所 社長室~


社長「――アイドルとして営業するのは当面やめる?」

モバP『はい。以前にも報告しましたが やはり浪速興業が強すぎます』

社長「元々お笑いタレント・芸人を多数抱えているからアイドル以外が弱いうちでは厳しい だったね」

モバP『芸人とアイドルのセット売りが向こうの強みですからね。現状ウチが戦える相手じゃないです』

社長「ならどうするのかね?」

モバP『関西のテレビ局が制作するドラマに、ウチのアイドルを女優として売り込んでいこうかと』

社長「ほう。そこまで具体的という事は まとまりかけの話がありそうだね」

モバP『ええ、橘ありすの起用で話がまとまったドラマが一本あります』

社長「さすがだね。浪速興業が強すぎるのがネックだが取っ掛かりが出来たのは喜ばしい」

社長「ちなみに橘くんはどんな役を?」


~シンデレラ事務所・コミュニケーションフロア~


橘ありす「え?私がテレビドラマに、ですか?」

社長「そうだ。橘くん おめでとう!」


オー スゴーイ オメデトー


ありす「そんな私が…あの、どんな役ですか」

社長「まず あらすじを説明するとだね、探偵を勤める主人公の元に姉の子供・姪が家庭の事情でころがりこむ」

社長「姪役が橘くん、君だ。その姪なんだが どうにも現代っ子というべきか、ネットの情報で物事を判断する癖がついているんだ」

ありす「…ん?」

社長「そして主人公にもネットの情報を見せて反論したりと、生意気な態度をとる」

ありす「あの、それ」

社長「しかし主人公と共に過ごすうちに、ネットが全てじゃないと知り成長していく役だ」

ありす「」

社長「君にぴったりだと思…痛い。橘くんローキックはやめてくれ。痛い」ゲシゲシ

ありす「まぁ良いです。そのドラマは私の実家、兵庫でも放送されるんですか」

社長「もちろん。あとドラマの舞台が関西で、神戸での撮影が多くなる予定だそうだ」

ありす「…神戸?」

社長「ああ。確か君の実家は西宮だったね。ホテルに宿泊せず実家で過ごすと良い」

ありす「いえ、そうじゃなくて撮影が神戸なら私の担当は」

社長「撮影期間中は大阪のPくんが君を担当するよ。この仕事もPくんが取ってきた」

ありす「!」パァァ



オー イイナー Pゲンキシテルカナー?



??「社長、その話もっと詳しく教えてよ」


~梅田・阪久グループ本社 社長室~


桃華祖父「――この後は?」

秘書「展望会議室にて第3期梅田開発会議です。その後 北大阪銀行頭取との会食になります」

桃華祖父「ああ、今日だったか」


コンコン


??「会長、お時間よろしいでしょうか」

桃華祖父「秘書」

秘書「失礼いたします」


ガチャ … パタン


桃華祖父「で、何の用だ息子よ」

桃華父「日中でも報告しろって言ったの父さんですけど?」

桃華祖父「知らん。それで?」

桃華父「調子良いなぁ。それはそれとして、Pさんが動き出しました」

桃華祖父「……ほう?浪速の網をすり抜けたか。やりおる」

桃華父「正直驚きました。東京での活躍もありますし、もしかしたら彼が」

桃華祖父「ばかもん。判断するにはまだ早い」

桃華父「しかし、しかしですよ?もし彼がそうであれば――」







桃華父「父さん、ようやく貴方の悲願が叶います」







第三部 完


あとがき

作中でも触れてますが芸能事務所を見ると、売れている人は事務所内の10%も居ません。

これをモバマスに持ち込もうとしたら留美さんが引退して事務員になりました。どうしてこうなった。

ありすの実家は兵庫→西宮にしました。関西の人なら共感してもらえるかも。

第四部では東京組をもう少し動かせたら良いな。

あと、レスしてくれた皆さんありがとうございます。SS制作の励みにしています。

世界観の説明が分かりづらいくて申し訳ないです。この世界には架空の企業・団体しか登場しません。

そのため、阪○グループではなく阪久グループが、吉○興業ではなく浪速興業が代わりに存在する世界です。

あと、阪久グループの簡単な概要は >>21 になります。

感想をレスしていただけると作中で補完したり、今みたいに補足のレスが出来るので、今後もレスしてもらえると嬉しいです。

第四部あらかた出来た…誤字脱字の確認終わったら投下します

まえがき

エンディングは決めているんです。そこへ至るまでに必要なボリュームが見えない。脚本家って凄いや。

真○丸よりは先に終わらせたい(願望)

第四部、はじめます。


~シンデレラ事務所・コミュニケーションフロア~


渋谷凛「社長、その話もっと詳しく教えてよ」

橘ありす「渋谷さん…」

社長「すまないが私も今話した内容くらいしか知らないんだ。Pくんから報告があったから、それを伝えに来ただけだよ」

凛「そうなんだ。それにしても珍しいね」

社長「珍しい?何がだね?」

凛「こっちに居た頃のプロデューサーって、まずアイドルにしてからドラマやバラエティの仕事だったから」

凛「候補生の子に アイドルデビューより先に、別の仕事が来るのは初めてじゃないかな」

社長「…言われてみれば確かにそうだね。ただ これには理由があってね――」



凛「―へぇ、関西だと浪速興業がそんなに強いんだ」

ありす「確かに関西ローカルで浪速興業のタレントが出ない番組、すぐには思いつかないですね」

社長「うむ、そこでPくんはアイドル以外の枠を狙って営業中という訳だ」

凛「だけどアイドルデビュー済みの子を使わない理由にはならないよね?」

社長「デビュー済みの子はCoPくん達が担当だからね、起用するとしたらCoPくん達と事前に調整したりと手間がかかる」

社長「しばらくはスケジュールの都合がつきやすい候補生で営業をしていくと思うよ」

社長「渋谷くんがドラマ出演に興味があるなら担当のCoPくんに相談するといい。今の君なら問題ないだろう」

凛「そっか、ありがと。それじゃレッスン行ってきます」スタスタ

社長「ああ、いってらっしゃい」

ありす「社長、今の話だとプロデューサーが私たち候補生の担当という事ですか?」

社長「そんな事は無い。君たち候補生の場合Pくん含めた4人全員が担当だ」

社長「ただ最近までCoPくん達が忙しくて手がまわっていなかったから、そこはすまないと思っている」

社長「しかし和久井くんがスタッフになってくれた。今後は今まで通り4人で候補生を見る予定だ」

社長「とはいえPくんは大阪だからね、普段はCoPくん達3人で君たちを見る事になるかな」

ありす「そうですか、ちなみに櫻井さんが大阪に転属されましたが」

社長「…彼女の場合はご実家の意向で引退となりかけたが、休止扱いで籍だけ置いてもらっている」

社長「事務所内の掲示板にも、そう張り出していたと思うよ。あとで見てくると良い」

ありす「いえ結構です。同じ県出身という事で気になっただけなので」

社長「そうかい……さて、私もこの辺で戻ろうか。橘くんドラマ頑張ってくれよ?」

ありす「はい、頑張ります」ペコリ

ありす「……Pさんが大阪で最初に取った仕事だもの。頑張らなきゃ」ボソッ


~シンデレラ事務所提携先レッスンスタジオ・女子更衣室~


北条加蓮「Pさんの担当は実質 候補生だけ!?」

島村卯月「凛ちゃん、その話 本当なんですか?」

凛「うん、社長に聞いたから間違いない」

卯月「…そうですか」シュン

加蓮「Pさん、なんで候補生だけなの…」グスン


神谷奈緒・本田未央((話す相手は選ぼうよ社長…))


奈緒「加蓮おちつけ。凛が言ったろ、浪速興業のUMD48と競合するから仕事とれないって」

加蓮「そうだけど、そうだけどさぁ」ウワーン

卯月「もうプロデューサーさんと一緒に、お仕事できないかもしれないんですね」グスン

凛「うん、そこは事情が事情だし良いんだけどさ」

未央「およ?しぶりん意外と冷静じゃん。それで何が気になるん?」

凛「プロデューサーって、うちの事務所が事業拡大するために大阪へ行ったんだよね?」

卯月「確か社長はそう言ってましたね」

加蓮「CoPさん達に聞いても同じだった」

凛「私もさ、最初はプロデューサーが大阪支社を大きくしたら重役?になって東京に戻ると思ってたんだ」

未央「今の肩書も大阪支社長らしいし、こっちに戻るとなったら重役ですな」

凛「だけど浪速興業が居るから、アイドル事務所なのにアイドルの営業できないじゃん」

奈緒「だから今回の橘みたいにアイドルとしては営業しないって話だろ?」

凛「うん、プロデューサーの事だからそれでも営業できちゃうと思うんだけど」

卯月「だけど、どうしたんですか?」

凛「多分それだけだと、何て言えば良いんだろう。支社というより営業所?だよね」

奈緒・未央「?」

加蓮「…あ、そうか。Pさん、つまり大阪支社が今後やる仕事の内容は支社長というより営業マン」

加蓮「何年経っても大阪支社は大きくならないから、Pさんを重役にして東京に戻す理由ができない…?」

卯月「ええっ私達プロデューサーさんと会えないままなんですか!?」

凛「うん、だから皆で考えようよ。プロデューサーをこっちに戻す方法を―」


~後日、シンデレラ事務所・社長室~


社長「――Pくんから報告があってね、台本をもらったから取りに来てほしいそうだ」

ありす「ついに台本が…分かりました。いつ取りにいけば良いでしょうか」

社長「早いに越した事は無いが、ええと同行するCuPくんのスケジュールが―」

ありす「CuPさんが同行するんですか?」

社長「ああ、Pくんが大阪で最初に取った仕事だから事務所も応援しようと考えてね」





佐久間まゆ「友情出演で私が出演するんですよ、ありすちゃん」





ありす「佐久間…さん」

CuP「遅くなってすいません、ただいま到着しました」

社長「お疲れ。どこまで話したか、そうだCuPくんが同行できるスケジュールなんだが」

CuP「少しお待ちください、ええと」ペラペラ

CuP「しまった、この日は赤坂テレビとの打ち合わせが入ってしまいまして―」

まゆ「あら、その日なら私が空いてますよ社長」

社長「そうかい、なら二人で行ってもらおうかね」

CuP「そうですね、取りに行くのも台本ですし。その後を考えたら佐久間の方が良いですね」

ありす「そのあと?」

CuP「Pさんが橘の役作りに役立てようと撮影予定場所を聞いていてね、当日は幾つか巡る予定なんだ」

まゆ「あら、普段のドラマだとそんな事ないのにPさん張り切ってますね」フフッ

社長「うむ、Pくんの頑張りに報いるためにも二人とも期待しているぞ!」ハッハッハ

まゆ「ええ勿論。ありすちゃんも、これからよろしくお願いしますね?」ニコォ

ありす「…はい、よろしくお願いします」ペコリ


CuP「それでは、私は次の現場へ行ってきます」

社長「よろしく頼むよ。佐久間くんは今日の仕事はもう終りかい?」

まゆ「ええ、今日は終わりです。せっかくですから寮で ありすちゃんとお茶にしようかと」フフッ

ありす「え?」

社長「それは良い。佐久間くんはドラマ出演の経験が事務所内でも上位だからね」

まゆ「私で良ければ幾らでもアドバイスしますよぉ?」

ありす「…ありがとうございます」



~シンデレラ事務所女子寮・佐久間まゆの部屋~



まゆ「さて、橘さん」

ありす「橘でs…え?」

まゆ「親しくない方に名前で呼ばれるのは好きじゃないと聞きましたから」

ありす「え、それならさっき―」

まゆ「社長の前ですよ、お互い良く見えた方が得じゃないですかぁ?」

ありす「―っ、それで私に何の用ですか」

まゆ「橘さんは、今回の仕事をどう感じてますか?」

ありす「…?」

まゆ「例えば頑張ろう、面倒くさい、もっと良い役が良かった。何でも良いですよぉ」

ありす「そんなの、私にとっては初めてもらった大きな仕事です。頑張るに決まっているじゃないですか」

まゆ「それだけですかぁ?」

ありす「何が言いたいんですか」

まゆ「本当にそれだけ?他に頑張る理由はありませんか?」

ありす「他に…」

まゆ「ええ、これから仕事仲間になるんです。本音をぶつけてください」

   ・

   ・

   ・

   ・


ありす「…プロデューサーが大阪で初めて取った仕事と聞きました」

まゆ「……」

ありす「たった一人で大阪に行ってから一ヶ月以上も経つのにですよ?」

ありす「…それに以前、友情出演ってギャラが安いか場合によっては無いと聞きました」

まゆ「ええ、その通りです」

ありす「事務所でトップクラスの佐久間さんがですよ!?」

ありす「失敗するわけにはいかないじゃないですか!」

ありす「だけど私が出来る事って無いじゃないですか!頑張るしかないじゃないですか!」

まゆ「……」

ありす「怖いんですよ!失敗する事が!プロデューサーに迷惑をかける事が!事務所に迷惑をかける事が!」

ありす「……あの人に嫌われる事が、怖いんです」グスッ

まゆ「ふふっ私も同じですよぉ」

ありす「…え?」

まゆ「何度 撮影をこなしても、失敗したらPさんに迷惑をかけてしまう、嫌われてしまう。そう思ってしまうんですよ?」

ありす「そうなんですか…」

まゆ「ええ、何度やっても不安になる。もしかしたら私達、似た者同士かもしれないですよ?」

ありす「似た者同士…」

まゆ「さて、橘さん本題に―はい?」

ありす「名字じゃなくて名前で良いです。その、何ていうか、似た者同士、ですから…」

まゆ「…ふふっ、ありがとう。では、ありすちゃん。これから時間のある時は一緒に特訓しませんか?」

ありす「特訓、ですか?」

まゆ「ええ。失敗しない為に、Pさんに嫌われない為に、似た者同士で演技の特訓をしましょう?」


~シンデレラ事務所・会議室~


凛「うちの事務所を潰すのってどうすれば良いかな」


奈緒 未央「「…………は?」」


未央(かみやん大変だ!しぶりんがおかしくなっちゃった!いわゆるPロス症候群!?)ヒソヒソ

奈緒(勝手に新しい病気をつくるな!いやおかしくなってんのはそうなんだけど!)ヒソヒソ

未央「…えーと、しぶりん?何で事務所を潰したいのかな?」

卯月「そうですよ何か理由があっても、今日までお世話になったんだし潰すのはあんまりです!」

加蓮「凛、プロデューサーの実家は大阪だよ。潰れたら東京に来る理由無くなるよ?」

凛「あ、別に潰したい訳じゃないよ。事務所が潰れそうな状況にしたいだけ」

奈緒「いやいや、どっちも大差無いよ…何でそう思ったんだ」

凛「だってプロデューサーが東京に戻ってくるじゃん」


奈緒 未央(意味がわからん)


卯月「え、プロデューサーさん戻ってくるんですか?じゃあ潰しても―」

未央「良くないよ!?かれんも言ったけどプロデューサーの実家は大阪だからね!?」

奈緒「……凛、何で事務所が潰れそうになったらPさんが東京に戻ってくるんだ?」

凛「何でって、うちの事務所を立て直そうと思ったらプロデューサーを東京に戻すしかないじゃん」

奈緒 未央「」





凛「具体的な方法が思いつかなくてさ、何か無いかな?」





第四部 完


あとがき

ようやく東京組を少し動かせました。ところで最近、急に寒くなりましたね。

まゆとありすの先輩後輩スポ根?トークと、ニュージェネ・トラプリの賑やかなトークで心を温めてください。

あと、第五部の投下は次の土日まで難しいかもです。申し訳ない。

そしてレスしてくれた皆さんありがとうございます。SS制作の励みにしています。

感想をレスしていただけると作中で補完したり補足のレスが出来るので、今後もよろしくお願いします。

一週間ぶりですいません。誤字脱字の確認終わったら投下します。

まえがき

職場のベテランさんが去り新人さんが入りました。そして迫る年度末。

第五部、はじめます。


城ヶ崎美嘉「ふざけんな!あんた自分が何言ってるか分かってんの!?」



未央(私達じゃ凛を止められないから美嘉ねぇを呼んだけど)ヒソヒソ

奈緒(かなり怒ってんな。収拾つくのかこれ…ていうか杏は?美嘉と一緒に来てただろ?)ヒソヒソ

未央(『他の人に聞かれたらマズいっしょ?』って会議室の外に居るよ)ヒソヒソ

奈緒(そうか人払いか。あいつ常に冷静だな)



美嘉「アタシは絶対に反対だから!」

美嘉「他の事務所から人気のアイドルが出てきて弱くなったなら仕方ない。だけどね!」

美嘉「わざと傾かせようなんて許せない!事務所が傾いたら候補生がデビュー出来なくなるかもしれないんだよ!?」

美嘉「妹の莉嘉をこの世界に誘った以上アイドルデビューするまで応援するって決めてるの!」

美嘉「もし何かするつもりなら本気で怒るからね!?」

凛「じゃあどうしたらプロデューサーは戻ってくるの?いつまで待てば良いの!?」

美嘉「そんなの知るか!そもそもアタシ達はアイドルで、あの人はプロデューサーなの!」

美嘉「それ以上近づいたら迷惑かけるの!プロデューサーにも!事務所や色んな人にも!」

本当は分かってるんでしょう!?」

美嘉「凛「っ―!」

美嘉「…………今すぐ諦めろなんて言わないから」

美嘉「だけど少しずつ切り替えて、気持ちの整理をしていこう?ね?」

    ・

    ・

    ・

    ・

>>167 訂正

城ヶ崎美嘉「ふざけんな!あんた自分が何言ってるか分かってんの!?」



未央(私達じゃ凛を止められないから美嘉ねぇを呼んだけど)ヒソヒソ

奈緒(かなり怒ってんな。収拾つくのかこれ…ていうか杏は?美嘉と一緒に来てただろ?)ヒソヒソ

未央(『他の人に聞かれたらマズいっしょ?』って会議室の外に居るよ)ヒソヒソ

奈緒(そうか人払いか。あいつ常に冷静だな)



美嘉「アタシは絶対に反対だから!」

美嘉「他の事務所から人気のアイドルが出てきて弱くなったなら仕方ない。だけどね!」

美嘉「わざと傾かせようなんて許せない!事務所が傾いたら候補生がデビュー出来なくなるかもしれないんだよ!?」

美嘉「妹の莉嘉をこの世界に誘った以上アイドルデビューするまで応援するって決めてるの!」

美嘉「もし何かするつもりなら本気で怒るからね!?」

凛「じゃあどうしたらプロデューサーは戻ってくるの?いつまで待てば良いの!?」

美嘉「そんなの知るか!そもそもアタシ達はアイドルで、あの人はプロデューサーなの!」

美嘉「それ以上近づいたら迷惑かけるの!プロデューサーにも!事務所や色んな人にも!」

美嘉「本当は分かってるんでしょう!?」

凛「っ―!」

美嘉「…………今すぐ諦めろなんて言わないから」

美嘉「だけど少しずつ切り替えて、気持ちの整理をしていこう?ね?」

    ・

    ・

    ・

    ・


杏「とりあえず今日は終わりで良いよね?」

美嘉「ごめんね、あと任せちゃって」

卯月「そんな、本当は私達ユニットのメンバーが止めるべきだったのに」

加蓮「私達もPさんに戻ってきてほしくて凛の考えに賛成しちゃった。ごめん」

奈緒「凛が落ち着いたら改めて皆で話し合うよ。ほんと今日は助かった。ありがとう」

未央「こうしてニュージェネ・トラプリの結束は更に深まった。めでたしめでたし!」

美嘉「それはこれからでしょうが。とにかくしっかり話し合ってよね?それじゃあね」

杏「私も帰るよ。またね」

    ・

    ・

    ・

凛「皆、今回の事は本当にごめん。ちょっとどうかしてた」

凛「プロデューサーの事は全然気持ちの整理がついてないけど、前を向いていこうと思う」

凛「こんな私だけど、これからも宜しくお願いします」ペコリ

卯月「凛ちゃん…!」ダキッ

加蓮「凛…!」ダキッ

奈緒(良かった、凛も落ち着いたみたいだ)

未央「うむ、終わりよければ全て良し!」

凛「皆ありがとう。ちゃんと前を向いてアイドルの仕事して、事務所や他の皆に迷惑をかけずに」

凛「プロデューサーを東京に戻せる方法が無いか考えるよ」

未央 奈緒(あれ!?気持ちの整理は!?)

卯月「凛ちゃん…!」ダキッ

加蓮「凛…!」ダキッ

未央 奈緒(今の感動するとこ!?)


~城ヶ崎邸・美嘉の部屋~


美嘉「凛達の予想通りだとプロデューサーが東京に戻る可能性は低い」

美嘉「そして戻るとしてもいつになるか分からない。やっぱりアタシが大阪に行かないと」

美嘉「問題は事務所とプロデューサーの迷惑にならず大阪に行く理由……」ウーン

美嘉「あ、櫻井桃華ちゃんが確か神戸だっけ。大阪と神戸って近いのかな?」スマホ ポチポチ

美嘉「駅の名前……大阪駅と神戸駅?でいっか」ケンサクー

美嘉「快速なら30分くらい…そっか、大阪じゃなくて神戸でも良いんだ」

美嘉「いやいやそうじゃなくて、その前に大阪や神戸に行ってもおかしくない理由…」ウーン


莉嘉「お姉ちゃーん!晩御飯できたってー!」


美嘉「今行くー!」


莉嘉「いただきまーす☆」

美嘉「いただきます」


パクパク モグモグ


テレビ『今日の特集は「そうだ!西へ行こう!」京都・大阪・神戸の三都物語――』

莉嘉「あ、大阪だって。お姉ちゃんPくん映るかな!?」

美嘉「プロデューサーは裏方なんだから映ったら変でしょーが」

テレビ『まず最初に訪れたのは、オシャレな港町 神戸』

美嘉「ん?」

テレビ『オシャレスポットとして非常に人気の高い――』

美嘉「……これだー!」

莉嘉「何が!?」


~PaPが運転する営業車中~


PaP「――イメチェン?」

美嘉「そ、一年くらいかけてギャル路線からアダルト路線?にイメチェン」

PaP「アダルト?何でまた」

美嘉「何でって、今のアタシはカリスマ・ギャル・JKが主なイメージじゃん?」

美嘉「だけどJK、女子高生のままで居られるわけないんだから次を考えないと」

PaP(めっちゃ正論。ていうか今の仕事が手一杯で『次』を考える余裕なかったわ)

美嘉「高校を卒業しちゃうとアタシのイメージから、まずJKが取れるでしょ」

JK『3年間ありがとうございました』

美嘉「JKが取れるって事は、ギャルもキツくなるからギャルも取れちゃう」

ギャル『ギャル≒JK 異論は聞き流す』

美嘉「ギャルが無くなるって事はカリスマも無くなっちゃう」

カリスマ『ぶっちゃけ芸能言葉のカリスマって死語(ry』

美嘉「ね?アタシ今のまま高校を卒業したら『アイドル城ヶ崎美嘉』は結構ヤバイの」

PaP(結構どころじゃない。事務所としても今の城ヶ崎をカバーできる奴なんて居らんぞ)

PaP(何で今まで気づかなかった俺ぇ)

PaP「……それで、俺に話すって事は解決策が既にあるのか?」

美嘉「もちろん★ アタシなりにカリスマ・ギャル・JKの代わりになる物を考えたんだけど――」


~シンデレラ事務所・会議室~


社長「ふむ、城ヶ崎くんが神戸の大学に進学ねぇ」

PaP「今からなら卒業までイメージ転換に向けた行動もとれます」

PaP「また横浜でなく神戸を選んだ理由ですが、メインのマーケットである首都圏の女性から見て」

PaP「近場の横浜より遠方の神戸がオシャレなイメージ作りとしてプラスに働くのではと」

社長「すごいねぇ、城ヶ崎くんはそこまで考えているのか」

CoP「自分も一年後二年後を考えて仕事しないとですね」

CuP「いや全く、特に我々は候補生を育てる立場でもあるから尚更です」

社長「それでPくん、君から意見は無いかね?」

モバP『特に無いですね。美嘉の言う通り高校を卒業してからの事は私も懸念していましたし』

モバP『いま聞いた内容では特に反対するような物も無いですから』

社長「その言い方だと君なりの案はあるようだね?」

モバP『卒業後はモデルの営業がメインで女優として売り出せないか、とは考えてましたね』

社長「なるほど、どのみち卒業後はカリスマアイドルを続けるのは難しいし丁度良い」

社長「城ヶ崎くんはこれから、PaPくんとPくん二人で連携して担当してくれ」

社長「アイドルのイメージ転換は中々難しいが、今回のは比較的やりやすいと思う」

社長「くれぐれもダブルブッキングには気を付けてくれよ?」

モバP『分かりました』

PaP「了解です。あと城ヶ崎の大学進学ですが、落ちたら格好悪いから合格まで秘密にしてほしいとの事です」

CoP「イメージ戦略にも関わる部分ですし受験の事は我々だけで黙っておくべきですね」

CuP「確かに」

社長「よし、君たち3人は改めて担当アイドル、候補生を中長期的な視点でプロデュースするように」

社長「Pくんはこれから佐久間くん橘くんを迎えに新大阪だったね、宜しく頼むよ」


新大阪で佐久間まゆ、橘ありすと合流したモバPはそのまま二人を連れて車で移動。

幾つか撮影場所を巡った後、二人を東京に戻すため再び新大阪に来ていた。


~新大阪駅・新幹線改札口前~


モバP「それじゃ、二人とも今日はお疲れ。セリフしっかり覚えろよ?」

ありす「はい!」

まゆ「ふふ、頑張りますよぉ」

モバP(まゆとありすの仲も良いみたいだし、上手くいきそうだな)

まゆ「ところで、一つ質問しても?」

モバP「何だ?」

まゆ「今日の移動で使った車、事務所の営業車ですか?」

モバP「いや、俺の車だ。自家用車兼営業車ってとこだな」

まゆ「そうですか、ふふっ格好良い車でしたよぉ」

モバP「よせやい。最近買った新車だけど普通だよ普通」

ありす「あの、いいですか?まゆさん有名人ですし、そろそろ改札前から移動した方が…」

モバP「おっと、久々に会えて気が緩んでた。ありすの言う通りだ」

まゆ「そうですね、私達はこれで」

ありす「ありがとうございました」

モバP「おう、またな」


~東京行き新幹線車中~


ありす「」スゥスゥ

まゆ(慣れていても日帰りで東京と大阪の往復はしんどいですねぇ…)

まゆ(今日Pさんの車で見つけた茶色の長髪…誰の物なんでしょう)

まゆ(大阪で買った新車だから私達アイドルではないし、当然ちひろさん達でもない)

まゆ(色からして大阪配属で活動休止中の櫻井桃華さんでも無い)

まゆ(Pさんに姉妹が居るとは聞いていませんし)

まゆ(以前にPさんが見せてくれたご両親との写真だと、お義母様の髪色は黒だった…)

まゆ(仕事でそういうサービスをしている方の物かしら?Pさんも男の人ですし)

まゆ(それとも、Pさんにとって特別な人の物。もしそうだとしたら……)




まゆ(ふふ、どうしましょう?)




第五部 完


あとがき(言い訳)

今回の下書き、まゆとありすの撮影場所巡りを延々書いててコレは駄目だ終わらないと気付いて すっ飛ばしました。

書く前に気付けって話ですね、すいません。

さて、直接担当組4人の立ち位置がようやく出せました。あとは楓さんですが結構後になりそうです。

そしてレスしてくれた皆さんありがとうございます。SS制作の励みにしています。

感想をレスしていただけると作中で補完したり補足のレスが出来るので、今後もよろしくお願いします。

美嘉「そんなの知るか!そもそもアタシ達はアイドルで、あの人はプロデューサーなの!」
美嘉「それ以上近づいたら迷惑かけるの!プロデューサーにも!事務所や色んな人にも!」



美嘉「凛達の予想通りだとプロデューサーが東京に戻る可能性は低い」
美嘉「そして戻るとしてもいつになるか分からない。やっぱりアタシが大阪に行かないと」



こんだけ凛に言っといて速攻で大阪行こうとしてるのは草

まえがき

今さらですけど第○部とか要らない事に気付きました。

「第○部 完」ではなく「続く」でその日の投下分は締めます。

それでは投下します。


橘ありすが出演するドラマの撮影が始まった。

初日こそ緊張が見られたが佐久間まゆとモバPのフォローもあり、幾つかNGを出したものの順調にスケジュールを消化。

友情出演で登場シーンが少ない佐久間まゆは早々に撮影が終了し、ありすは一人で東京―新大阪間を移動していた。


~撮影からの帰路・モバPが運転する車内~


モバP「今日は俺も東京に向かうから、車は大阪支社の駐車場に止めてタクシーで新大阪だ」

ありす「本当ですか!?」

モバP「ああ、しばらく営業に苦戦してたけど幾つか取れそうでな」

モバP「報告やスケジュール調整と色々やらなきゃだから、東京で会議だよ」

モバP(それにドラマの放送が始まれば、今まで通り一人で新幹線移動をしてもらう訳にはいかない)

モバP(しかし今のままだと人手が足りない。同行するスタッフを確保しなければ)

モバP「そういえば新幹線には慣れたか?」

ありす「はい。どれに乗れば良いか分からないなんて事は無いです」

ありす「ただ到着するまで座ったままなのが慣れませんね」

モバP「確かに。あれは地味にキツいよなぁ」

ありす「なのでグリーン車にしましょう」

モバP「おっ言うようになったな。いつかグリーン車に乗れるくらいになってくれよ?」


~梅田・シンデレラ事務所 大阪支社~


モバP「持っていく資料に抜けは無いな、と」ゴソゴソ

ありす「………」キョロキョロ

モバP「どうした?何か気になったのか?」

ありす「いえ、初めて来たので」

モバP「ああ新大阪と撮影場所の往復ばかりで、大阪支社は初めてか」

ありす「はい」

モバP「狭いだろ?そのかわり立地が良くて安いんだけどな」

ありす「確かに梅田から近いですけど。寮の二人部屋より少し広いくらいですか」

モバP「そうだな。ま、一人の事務所だしこんなもんだ」

ありす「昔は東京も小さかったんですか?」

モバP「ああ、社長と俺とちひろさんの3人だけ。所属している子も10人くらいだったかな」

ありす「そんな時代があったんですか」

モバP「嘘みたいだろ?しばらくは社長が社長になる前に勤めてた会社の偉い人がお金を出してくれて」

モバP「それで俺とちひろさんの給料が出てた状態だった。10年くらい前の話だけどな」

ありす「何て言うか……人に歴史あり、ですね」

モバP「そんな大層なもんじゃないよ。さて、忘れ物ないか?」

ありす「大丈夫です」

モバP「よし、それじゃ電気を消して戸締りして行くか――」


~東京行き新幹線車内~


モバP「」Zzz

ありす(寝てますね。今のうちに――)タブレット ポチポチ

ありす(シンデレラ事務所のホームページを開いて、と)

ありす(10年前から現在も所属している人って居るんでしょうか)

ありす(女優・タレント路線の筆頭である高垣楓さんは……数年前からの所属ですか)ポチポチ

ありす(高垣さんの場合、前事務所からの移籍ですから年数が分かりますけど)

ありす(他の方達はいつからの所属か載ってませんね)

ありす(高垣さんの他にも女優・タレント路線の人は居ますけど)ポチポチ

ありす(プロフィールを見る限り、10年前からの所属では無いですね)

ありす(アイドル路線の人たちも10年から所属とは思えませんし)

ありす(あまり売れなかった人は進学や就職を機に引退すると聞きますが、初期のメンバーは引退済み?)ウーン

ありす(気になりますけど、情報が出てこないなら仕方ないですね)

ありす(私も撮影で疲れましたし、着くまで寝ますか――)


~東京・シンデレラ事務所 会議室~


社長「――分かった。すぐは難しいが同行スタッフを手配しよう」

モバP「お願いします。それまでは私が同行する形で対応します」

社長「すまないが頼むよ。さて、次は佐城くんがドラマ出演か」

モバP「はい。これまでの子役とは少し異なり、素で無口な個性と演じる役でも無口のキャラクターを活かし」

モバP「ドラマで興味を持った人たちを、そのまま雪美のファンにスライドできないかと」

社長「あらすじを聞いた限りだと佐城くんがはまり役だが、よく取れたね?」

モバP「素でも無口で無表情なところが今までの子役に無いと、向こうが気に入ってくれまして」

モバP「今回の抜擢につながりました。撮影場所が主に首都圏なのでCoPに引き継ぎます」

社長「ん?ああそうか。制作が関西のテレビ局でも撮影場所がそうじゃないか」

モバP「ですね。ウチもそうですが基本的に東京が拠点の事務所がほとんどですから」

モバP「続いて城ヶ崎美嘉のイメージチェンジですが、新規と獲得済み案件の修正報告です」

社長「もう何か取ってきたのかね?さすがだねぇ」

PaP「城ヶ崎の出演内容変更については私から報告します」

PaP「毎年、東京と神戸で行われる10代~20代女性向けファッションショーの出演が決まっていたのですが」

PaP「衣装を現在のイメージを踏まえた物から、イメチェン後を意識した物に変更してもらいました」

PaP「このショーは会場のお客さんの他、ショー主催元の公式サイトでも視聴が可能で」

PaP「昨年のPV実績を踏まえると、イメージチェンジをファン層に印象付ける良い機会になると思われます」

PaP「城ヶ崎のイメージチェンジ展開はこれを第一弾とする予定です」

社長「そうなるとショー以降の展開は気を付けないといけないね」

モバP「それについてはPaPと調整して対応を進めていきます」

社長「分かった。よろしく頼むよ。さて次の議題は――」


~シンデレラ事務所・オフィスフロア~


千川ちひろ「あら、ありすちゃん。お疲れ様です」

ありす「お疲れ様です。次回撮影用の新幹線チケットをお願いします」

ちひろ「ちょっと待ってくださいね、ええと」ゴソゴソ カキカキ

ちひろ「はい、どうぞ」

ありす「ありがとうございます。それと一つ聞いても良いですか?」

ちひろ「何ですか?」

ありす「プロデューサーが昔の事務所は小さくて、スタッフは自分と社長とちひろさんの三人で」

ありす「所属しているアイドルも10人ほどだったと言っていました」

ちひろ「懐かしいですね。私が短大を出てここに就職した時ですから、もう10年くらい前の話ですよ」

ありす「それで気になったんですが、今もアイドルやタレントとして所属している方っているんですか?」

ちひろ「今も、ですか。残念ながら居ないですね。マストレさんがスタッフとして残ってますけど」

ありす「え?マストレさんってアイドルだったんですか!?」

ちひろ「ええ、といっても今でいう候補生ですが。当時のメンバーでデビューできたのは――」

マストレ「残念ながら居ないな」

ありす「マストレさん……」

ちひろ「お疲れ様ですマストレさん」

マストレ「お疲れ様です」


マストレ「さて、橘」

ありす「は、はいっ」

マストレ「そう身構えるな。説教をしたい訳じゃない」

ありす「?」

マストレ「私や私の同期も君達と同じく芸能界デビューを目指していた」

マストレ「ただ、今とは事務所を取り巻く状況が違ったり巡りあわせが悪かったりで」

マストレ「残念ながらその夢は叶わず、各々が他の道を選んで事務所を去った」

マストレ「私は今もスタッフとして事務所に居るがな」

マストレ「しかし、お前はその若さでチャンスを掴んだんだ。逃がすなよ、いいな?」

ありす「は、はいっ!」

マストレ「よし。それならこんな所で時間を潰してないで、すべき事があるんじゃないか?」

ありす「え…えぇと、寮で宿題を終わらせて台本を読んできます!失礼します!」ペコリッ

マストレ「睡眠時間はしっかりとれよ!」

ありす「わかりました!」タタタッ

マストレ「――ふぅ」

ちひろ「珍しいですね、Pさんが昔の話をするなんて」

マストレ「おおかた狭い大阪支社に居てノスタルジックな気分になったんでしょう」

ちひろ「ありそうですね。どうでしょう?私達も今夜はノスタルジックに」

マストレ「それなら会議が終わるのを待って社長とPも連れて行きましょう」

ちひろ「そうですね、初期のメンバーを集められるだけ集めちゃいましょう」ピッピッ


~都内某所~


高橋礼子「それで皆で押しかけてきたわけ?」

ちひろ「すいません急に押しかけちゃって」ニコニコ

礼子「謝ってる顔じゃないわね」

柊志乃「良いじゃない皆で飲むお酒は美味しいわ」ワイングビー

礼子「貴女と私は接客する側なの、お酒飲むのやめなさい」パシッ

志乃「ああっ」

兵藤レナ「今日は許してあげたら?社長の奢りだそうよ?」

社長「え?」

片桐早苗「やった社長愛してる!おかわり!」

モバP「乾杯前に呑んでる!?」

礼子「貴女 今日は非番でも明日は仕事でしょう?」

早苗「美味しいから大丈夫よ!」

モバP「理由になってない!?」

篠原礼「婦警、二日酔い……ちょっと思いつかないわね」グビグビ

マストレ「アルコールのせいでは?」

社長「……うん、最初からグダグダだがとりあえず乾杯」


カンパーイ! ヤンヤ ヤンヤ

   ・

   ・

   ・


礼子「ふぅん、スタッフの増員ねぇ」

志乃「私達が居た頃と比べたら信じられないわね」

礼「P君の他に3人プロデューサーが居るみたいだし」

早苗「しかも大阪支社長?出世したわねー」

レナ「つまり今日は社長の奢りじゃなくてPさんの奢りね」

モバP「!?」

礼子「あら、それなら山○開けちゃおうかしら」

モバP「へ?○崎?……礼子さん、それ何年?」

礼子「」ニッコリ

モバP「」ニッコリ

礼子「25年」

モバP「やめてぇ!」

早苗「私ハイボールで!」

ちひろ「私も!」

マストレ「私もハイボールでお願いします」

モバP「ちょっと!?皆さん!?」

志乃「私はロックで」

礼子「だから貴女は手伝いなさい」

社長「私もロックでもらおうかな」

モバP「社長!?」

ちひろ「社長のGOがでましたー!」

モバP「鬼!悪魔!ちひろ!」

ちひろ「何で私だけ!?」

カーンパーイ! イェーイ!

イヤァァァ!


   ・

   ・

   ・


モバP「良かった…社長が出してくれて本当に良かった…」

社長「何を本気でビビっとるかね、ああカードで頼む」

礼子「一回で?」

社長「一回で」

社長「さて、みんな今日はありがとう。楽しかったよ」

礼子「こちらこそ。Pくんも東京に来た時はまた来てね」

モバP「はい、その時は是非」

レナ「今度こそP大阪支社長の奢りね?」

モバP「えっ」

礼「あら、だったら○崎くらいなら何本も開けちゃおうかしら」

モバP「やめて!?」

マストレ「面白いくらい顔色変わってますね」

ちひろ「表情も変わってますよ」

早苗「………あっ!」

志乃「急にどうしたのよ?」

レナ「帰りの電車賃が無いとか?」

早苗「電車賃くらいはあるわよ。そうじゃなくて社長が言ってた同行スタッフの件、すぐ解決するかも」

モバP「本当ですか?」

早苗「多分だけどね。この前の非番に偶然だけど会ったのよ」

ちひろ「誰にですか?」



早苗「美優ちゃん。三船美優」



続く


あとがき

脳内設定の説明回になりましたがヒロインが揃いました。

そしてレスしてくれた皆さんありがとうございます。SS制作の励みにしています。

質問や感想を作中で補完したり補足のレスが出来るので、現状 週に一度の更新ですが今後もよろしくお願いします。

長らくレスが無くすいません。土日中に何とか投下できるよう現在作成中です。


まえがき

更新遅くなりすいません。待っていてくれた皆さんに感謝です。

それでは投下します。


片桐早苗が、三船美優の採用を提案してから一週間が経った。

その間に他の採用候補者を見つけられなかった為、社長は本意ではなかったが三船美優に声をかける事にした。



~シンデレラ事務所 社長室~


社長「………」

三船美優「………」

ちひろ「お茶はいりました」コトッ

社長「うむ」

美優「ありがとうございます」ペコリ

ちひろ「それでは、失礼します」


キィ…パタン


社長「さて。千川くんから今回の件について聞いていると思うが、改めて説明を」

美優「いりません」

社長「そうか。今回こうして来てくれたという事は、良い返事を期待しても?」

美優「その前に確認したい事があります」

社長「何だね?」

美優「Pさんが大阪に異動した理由です」

社長「それは、いわゆる事業拡大で―」

美優「嘘ですよね。社長の意思で決めた事なら中途採用で私に声をかけないはずです」

社長「……」

美優「もう一度聞きます。何故Pさんは大阪に異動したんですか?」



~8年前~


美優「契約を更新しない…?」

社長「すまないが、三船くんとの契約は年内までだ」

美優「そんな…何で…」

社長「何で?君がPくんに思いを寄せている。それが理由だ」

美優「っ!」

社長「現状ウチは弱小事務所。それなのにアイドルと事務所の人間が男女の関係だと知られたら終わりだ」

美優「待ってください!私とPさんはそんな関係じゃないです!」

社長「疑われる時点で駄目なんだよ。君も他の事務所で起きたスキャンダルくらい耳に入ってるだろう」

美優「でも、でも……Pさんは私の思いに応えないはずですよ?だってPさんには恋人が―」

社長「なおさら問題だ。君は恋人がいる男性に思いを寄せている事になる」

美優「それは……」

社長「まあ、君の場合Pくんが初めてスカウトに成功した娘だからね。他の娘よりもプロデュースに熱が入ったんだろう」

社長「しかし。さっきも言ったがウチは弱小事務所。軌道に乗せるためにも、今が正念場でスキャンダルは絶対に避けたい」

社長「だから君との契約は更新しない。分かってくれるね?」

―――――

――――

―――

――




美優「親や自身の事で思う事があり退職するところを引き止めた、ですか」

社長「そうだ。彼は優秀な人材だからね。ただ、結果として大阪支社を急に立ち上げる事となった」

社長「そのせいで色々と足りない部分が出てきて、それを埋めるため君に声をかけたわけだ」

美優「……つまりPさんが東京に戻る可能性は低いんですね」

社長「たまに会議などで来ることはあるが、再び東京に異動となると望み薄だ」

社長「私がそれを言えば、その時は本当に退職してしまう。だから君がここで働いても、会う機会は殆んど無い」

社長「Pくんの現況に関してはそんなところだ。他に聞きたい事は?」

美優「聞きたい事は特に無いです。雇用の内容などはちひろさんから聞いてますから」

美優「ただ、ひとつだけ条件があります」

社長「何だね?」

美優「今後、大阪支社の規模が大きくなって人員が必要になった場合は最初に私を異動させる事」

美優「それが条件です」

社長「……分かった。約束する」

社長(まさかとは思ったが、8年経っても彼への思いが変わらないのか……)

社長(あの時に契約を切った事は間違いだとは思わない。しかし今回はどうだ?私は大きな過ちをおかしてしまったんじゃないか?)

社長(……いや、もう決めた事だ。他に採用するアテが無いのも変わらない)

社長「君も退職の手続きや引き継ぎで時間が要るだろう。3ヶ月後からで良いかね」

美優「ちょうど今月末で派遣の契約が切れるので、来月からで構いません」

社長「派遣?」

美優「ちひろさんから聞いてませんか。私、今は派遣のOLですよ」

社長「そうなのか。今月末で切れるなら丁度良い。来月からよろしく頼むよ」

   ・

   ・

   ・


~三船美優の部屋~


美優「ふふ、Pさん。また貴方のそばに居られるかもしれません」


ベッドの横に置いた写真立てを見つめながらつぶやく。

そこには当時のシンデレラ事務所を背景に、若き日のモバPが写っていた。

アイドルとしてデビューする事も無く、己の意に反して契約を切られるという苦い経験をした場所であったが、

彼と過ごした日々は今も彼女の中で一番の宝物となっている。



美優「大阪支社、きっとすぐに大きくなって私を呼んでくれますよね…」


契約を切られたのは高校3年の冬。

もうすぐ受験という時期だった為、両親とモバPには学業専念を理由にシンデレラ事務所をやめると伝えた。

親の反対は全く無かった。むしろ娘が普通の学生に戻った事を安堵していたように思う。

モバPからは大学生活と並行してみる気は無いかと言われたが断った。

何と言って断ったのか思い出せないが、彼が悲しい笑顔で私を見送った事は覚えている。


美優「いつの間にか8年も経ってます」


机の上にある雑誌に手を伸ばす。モバPのインタビュー記事が掲載されていた。

TKY48グループやイブニング娘のプロデューサーほどではないが、彼もヒットメーカーとして雑誌に登場していた。

そのインタビュー記事で度々登場するのが自分だった。名前は伏せられているが、

『この仕事を続ける限り、初めてスカウトした娘や、初期メンバーをデビューさせてあげられなかった事を忘れちゃいけないと思ってる』

事務所を去ってからモバPとは一度も会っていない。しかし彼は私を思い続けてくれていた。

8年も離れれていた男女が互いを思い続けていたのだ。何と運命的な事だろう。


美優「だけど、きっと貴方の横には誰か居るんですよね」

貴方の事を異性として今も想い続けている。しかし彼は私の事を異性として想い続けているわけじゃない。

そんな事は分かっている。8年間、モバPの事を過去の事だと割り切る機会は幾らでもあった。

大学生活での4年間、社会人になってからの4年間。

声をかけてくれる男性だって居た。しかし全て断ってしまった。


美優「私を馬鹿な女だと笑いますか?だけど良いんです」


片桐早苗から連絡をもらうまで、過去に縛られた愚かな女と自嘲しながら生きてきたが間違いだった。

再び彼のそばで生きる事が出来るのだ。今まで他の誰かを受け入れなかったのは正しかったのだ。

だから、彼にとっての一番が私で無い事など些細な事だ。

だけど、もし貴方が許してくれるなら、受け入れてくれるなら、



美優「私を二番にしてくださいね?」




続く


あとがき

遅くなりすいません。次回更新は一ヶ月も空かないよう頑張ります。

なかなか投稿できなかった美優さん登場回ですが、8年間会えないまま想い続けたヒロインを何とか書けたと思います。

そしてレスしてくれた皆さんありがとうございます。SS制作の励みにしています。

質問や感想を作中で補完したり補足のレスが出来るので、今後もよろしくお願いします。


三船美優がシンデレラ事務所に入社してしばらく経った。

その間、橘ありすが出演するドラマの視聴率はそれなりに推移。

佐城雪美が出演した単発ドラマも同様で、視聴率は及第点と言えた。

その結果を受け、ありす・雪美に別のドラマ出演依頼が舞い込む事となった。

しかし、その後が続かない。

同行スタッフとして大阪と東京を往復するはずだった美優だが、現在は東京近郊のロケ地送迎が主な業務となっていた。


~事務所 会議室~


社長「思った以上に状況が良くない?」

モバP『はい。浪速興業がUMD48を展開しているため、アイドル営業ではなく女優方面で営業していましたが』

モバP『浪速興業側も同様に女優方面の営業を強めたため太刀打ちできません』

社長「ううむ、同業他社が強すぎたか・・・」

社長(どうする。彼が大阪に異動した経緯を考えたら、東京に戻ってこいと言えば退職してしまう)

社長(彼を慕うアイドル達を留めるためにも退職だけは避けねばならん)

社長(しかし大阪営業が行き詰っているのも事実。何かしら援護が無いと責任を感じて退職しかねん)

社長「状況は分かった。こっちも手を考えるから、もうしばらく頑張ってくれ」

モバP『分かりました。失礼します』

ピッ

社長「・・・考えるとは言ったが、どうしたものかね」


~櫻井邸~


黒服「――以上がモバP氏の現況になります」

桃華「ありがとう。下がって良いですわ」

黒服「はっ」


ガチャ バタンッ


桃華「さて、お祖父様。せっかくの機会だと思いません?」

桃華祖父「ほう?何がだね?」

桃華「Pちゃまをシンデレラ事務所から引き抜く機会が、ですわ」

桃華祖父「桃華、若造ひとり引き抜いて何だと言うのだ。お前が奴に入れ込んでいるのは知っているが――」

桃華「あら、お祖父様も実はPちゃまを買ってらっしゃるでしょう?お父様から聞きましたわ」

桃華祖父「・・・」キッ

桃華父「黙っていろと言われた記憶はありませんが?」

桃華祖父「・・・まぁ良い。桃華、奴を引き抜いてどうするつもりだ」

桃華「もちろん決まってますわ。お祖父様の夢を叶えるため」

桃華「他にありまして?」


~大阪 モバP宅~


川島瑞樹「――浪速興業って、そんなに強いのね」

モバP「ああ。ここから好転する未来が想像できん」

瑞樹「うーん、だったら辞めちゃえば?」

モバP「え?」

瑞樹「だって どうしようも無いんでしょ?」

モバP「いや、しかし・・・」

瑞樹「辞めて 一旦リセットして、二人で新しい人生を始めましょ?」

モバP「瑞樹・・・そうだな、それもありかもな。だけど」

瑞樹「だけど?」

モバP「社長が何か手を考えると言ってたから、それの結果が出るまでは今の仕事を続けるよ」

瑞樹「――そう、無理だけはしないでね?」

モバP「ああ、分かった」

瑞樹(――プロポーズは まだ言ってくれそうに無いわねぇ)

瑞樹(焦らしても仕方ないし晩御飯つくりますか)


ガチャ


瑞樹「豚肉、豆腐に生姜・・・豚の生姜焼きと冷奴ね」

モバP「あと味噌汁のみたい」

瑞樹「はいはい、味噌汁の具に出来そうなのは――」


~シンデレラ事務所 事務フロア~


CoP「あれ?社長は出張でしたっけ?」

千川ちひろ「急に決まった出張ですよ。なので今日スケジュールボードに書き足しました」

CoP「了解です。へぇ、行き先は大阪ですか」

和久井留美「ポジティブに考えたら、大きな商談があって社長も出席する為の出張かしら」

CuP「それ良いですね。商談成立が確定ではないから我々には黙ってる感じですね」

三船美優「そうなると、帰ってきた社長の様子で結果が分かっちゃいますね」

PaP「そこはまぁ、明るい様子で帰ってくるのを祈りましょう」

ちひろ「ですね。それで、お三方は大きな商談をお持ちで?」

CoCuPaP「「「うっ」」」

留美「あら、千川ちひろ時期社長が直々に発破をかけてるわね」

ちひろ「社長の椅子なんて狙ってませんよ!?」

美優「そうですよ。次期会長ですよね?」

ちひろ「そっちも狙ってないですからね!?」






~大阪・阪久グループ本社 応接室~


社長「・・・・」

桃華父「浪速興業が強すぎて、これ以上の成果を大阪で出す事は難しい」

桃華父「しかし彼を東京に戻す事は出来ない。何故なら本人がそれを望んでいないから」

桃華父「かといって退職してしまうと、彼を慕う多くのアイドルが離脱し経営が成り立たない」

桃華父「貴方にとって今のP氏は爆弾に等しい。違いますか?」

社長「――いえ、違いません」

桃華父「良かった。そこで提案なのですが、大阪支社の活動は休止して」



桃華父「彼を我が阪久グループに出向、というのはいかがでしょう?」

本日分の投下終了です。かなり更新が遅くなってしまったのですが、読者さんまだ居ますでしょうか?


~シンデレラ事務所 掲示板~


支社閉鎖のお知らせ

このたび弊社では組織体制を見直し、

より効率的な組織運営を目的とし平成○年×月△日付をもって大阪支社を閉鎖する事にいたしました。

今後の業務は東京本社が引き継ぎます。

以上




辞令

モバP殿

平成○年×月△日付をもって大阪支社長の任を解き、同日付けをもって阪久グループへの出向を命じます。

以上







渋谷凛「・・・・・・は?」


~シンデレラ事務所 会議室~


コンコン

ガチャ

ちひろ「失礼します」


渋谷凛「・・・」

島村卯月「・・・」

本田未央「・・・」

北条加蓮「・・・」

神谷奈緒「・・・」

高垣楓「・・・」

城ヶ崎美嘉「・・・」

佐久間まゆ「・・・」

双葉杏「・・・」


ちひろ「全員揃ってますね。社長を呼んできます」


バタン


ちひろ(帰りたい・・・空気が重い・・・)

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年01月23日 (土) 14:50:25   ID: DRbqPDZq

なかなか、おもろいです。
続き頑張って書いて下さい
各章ちょっと短い気がしますが、読みやすいので良いと思います(^_^)

2 :  SS好きの774さん   2017年05月01日 (月) 01:01:57   ID: GMDPXwCY

クソ

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