藤原肇「Pさんは何がお好きですか?」 (38)


P「どうした、急に?」

肇「いえ、ただの雑談ですよ。事務所まではもうしばらく掛かりますし」

P「道路の空き具合からすると……後2時間くらいか」

肇「風景を楽しむのも悪くはありませんが、どうでしょうか」

P「断る理由も無いさ」

肇「ふふ、ありがとうございます」

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P「それで、好きな物だったか」

肇「ものでも、ことでも」

P「…………」

肇「……ふ、ふふっ! 難しく考え過ぎですよ、Pさん」

P「そうだな……甘い物は、好きだな」

肇「ケーキ、お好きですよね」

P「ツラとナリに似合わず、な」

肇「いいじゃないですか。私は可愛いと思いますよ?」

P「男に可愛さは要らない」

肇「私も、好きです。ケーキ」

P「可愛いと思うぞ」

肇「ありがとうございます……なんて」


P「楓さんはケーキ……っと」

楓「すぅ、くすぅ……」

肇「お休み中、ですね」

P「中々にタイトなスケジュールだったからな、無理も無い」

肇「タオルケット、掛けておきますね」

P「頼む。……それと」

肇「はい」

P「…………スカートの裾も直してあげてくれ。目によろしくない」

肇「…………はい」

P「……」

肇「……」

P「悪いな」

肇「いえ」

P「……」

肇「……」


肇「Pさんは」

P「ん」

肇「綺麗な女性は、お好きですか?」

P「そりゃあ、嫌いな男なんてそうは居ないだろう」

肇「楓さんは、綺麗だと思いますか?」

P「そりゃあ……そりゃあ、もう、誰が見てもとびきりの美人だろう」

肇「私は、どうでしょうか」

P「……」

肇「……」

P「肇は、とても綺麗な…………アイドル、だと。俺は思う」

肇「…………そう、ですか」

P「ああ」

肇「……」

P「……」

楓「その調子」

P「…………ん?」

楓「……くぅ」

P「……」


肇「……確か、登山もお好きなんですよね」

P「ああ」

肇「山頂というのは、やはり静謐な場所なんでしょうか」

P「そうだな。静かで澄んでいて、誰の邪魔も無い」

肇「素敵ですね」

P「ひょっとしたら、一人きりになれる場所を求めて登ってるのかもな」

肇「……」

P「肇?」

肇「今も、登りたいですか?」

P「今か? そうだな」

肇「……」

P「今は、いいさ。どうしても目の離せない奴が一人居てな」

肇「私も登山、始めてみようかな」

P「……」

肇「良い考えでしょう」

P「……悪くないかもな」

肇「一人きりではなく、二人きりかもしれませんが」

P「……悪くないかも、な」


肇「Pさん」

P「ん?」

肇「他には、ありませんか?」

P「他? そう言われてもな。多趣味な訳でもない…………あ」

肇「……」

P「……すまない、肇。大事なのを一つ、忘れていた」

肇「…………教えてください」

P「この仕事が、プロデュースが大好きだ」


肇「……」

P「夢に憧れる人をこの手で助けて、舞台に載せる手伝いが出来る」

肇「……」

P「ウチのアイドル達はみんな一生懸命で、やり甲斐は際限無しだ」

肇「……」

P「碌でもない事しかしてこなかった俺にでさえ……夢を、見せてくれる」

肇「……」

P「俺は、この仕事が大好きだよ」

肇「…………Pさん」

P「ああ」




肇「他には、ありませんか?」


P「…………え?」


肇「……」

P「……いや、今のは恥ずかしながら中々に良い台詞を吐けたと思うんだが」

肇「そうですね」

P「肇、何だか怒ってないか?」

肇「怒ってません」

P「怒ってるよな」

肇「……」

P「……あー、すまない。何かお気に召さないような」

肇「身近な」

P「ん?」

肇「とても、とても身近な。つい、忘れてしまいそうになるくらいに身近で」

P「……?」

肇「そんな、好きな何かは、ありますか?」

P「どういう意味だ、はじ……め…………」

肇「……」

P「…………あー……」

肇「……」

P「……」


肇「……」

P「…………肇」

肇「はい」

P「……」

肇「……」

P「…………肇は、何が好きなんだ?」

肇「……」

P「……」

楓「……」

肇「…………釣りが、好きです」

P「…………そうか。そうだったな」


P「どんな所が良いんだ?」

肇「そうですね、登山に通じるものがあるかもしれません」

P「そうなのか?」

肇「せせらぎに耳を澄ませて、静謐な空気を楽しんで、誰の邪魔も無くて」

P「なるほどな」

肇「……あ、でも」

P「どうした?」

肇「好ましい人と共に釣り竿を並べるのも、とても楽しかったです」

P「……そうか」

肇「はい」


肇「それからもちろん、陶芸も」

P「だろうな」

肇「土を捏ねていると、自然と集中出来て心が落ち着くんです」

P「ああ。出来上がった器を見れば分かる。肇らしいと、そう自信を持って言えるよ」

肇「まだまだお恥ずかしいばかりの出来映えで」

P「そんな事は無い。どれも大切に使わせてもらってるさ」

肇「ありがとうございます。器も、きっと喜ぶと思います」

P「いつもありがとうな、肇」

肇「いえ、好きでやっている事ですから」

P「それにしては見事な出来映えだと思うが」

肇「まだまだこれからです。陶芸の道も、アイドルの道も」

P「そうだな……ところで肇、前から気になっていたんだが」

肇「はい」

P「どうしていつも同じ物を二つくれるんだ?」

肇「好きでやっている事、ですから」

楓「ふふっ」

P「……」

肇「……」

楓「……」

P「…………そうか」

肇「はい」

『ガラスの靴』の人?


P「他には――」

肇「アイドルが、大好きです」

P「……肇」

肇「私、アイドルになれて良かったです」

P「……」

肇「応援してくれる皆さん。アイドルのお友達。個性であふれそうな人たち」

P「ああ」

肇「そして、こんな私を一生懸命にプロデュースしてくれる人」

P「……」

肇「こんなに素晴らしい経験が出来る私は、きっと世界一の幸せ者ですね」

P「…………肇」

肇「はい」

P「勘弁……してくれ。運転の、途中なのに、危ない」

肇「……ふふっ。ごめんなさい、Pさん」

>>13
Yes.
これも何だかお久しぶりだ


肇「――そろそろ都内に入りますね」

P「……」

肇「……」

P「…………肇」

肇「はい」

P「他には、あるか?」

肇「…………他、とは?」

P「好きな…………何か、だ」

肇「はい。とびっきり、大好きなのが」

P「……」

肇「何度も何度もアピールしないと伝わらないくらい鈍くて、心配になるくらい一生懸命で」

P「……」

肇「私の欲しい言葉をなかなか贈ってくれなくて、それでも、大好きなのが」

P「……」

肇「Pさん」

P「ああ」

肇「他には、ありますか?」

P「他、ってのは?」




肇「好きなものでも、好きなことでも――好きなひとでも」


P「……」

肇「……」

P「少し、待ってくれ」

肇「はい。幾らでも、待ちます」

P「……」

肇「……」

P「……」

肇「……」

そういえば肇の話のときに好きなものを知らないならそこから話をすればとか会話してたからそのときの話かな




P「肇――」 楓「――いえっ! もう一献! ドンと来いです!!」




P「……」

肇「……」

楓「――あら? ここにあったバランタイン17年は…………あっ」



P「……」

肇「……」

楓「……」

>>19
事務所で七夕会したり
岡山の実家までご挨拶に行ったり
話題のショッピングモールでのデートに凛たちが乱入して来たり
寝台列車で何故か同室を宛がわれたり
こっそりと本当の夜桜を観に行ったり

そんなうんたらかんたらがあって二人が大変に仲良くなった後のお話だよ たぶん


肇「……」

P「……」

楓「肇ちゃん」

肇「はい」

楓「ひょっとして、謝った方がいいかしら」

肇「恐らくは」

楓「ごめんなさい」

肇「…………もうっ。もう少しだったのに」

P「……ふぅ…………」


楓「次こそ成功させましょうね」

肇「はい」

P「……」

楓「どうかしましたか?」

P「……いえ」

楓「ところでこれから飲みに行きませんか?」

P「もう少しで事務所着きますから大人しくしててください」

楓「はーい」

肇「……」

P「……」

楓「~♪」


P「肇」

肇「…………え、あ、はい」

P「もう一つあった」

肇「へっ?」

P「最近、陶器が好きになったんだ」

肇「……は、はぁ」

P「だから、その……好きだから。二つ……」

肇「……?」

P「……」

肇「……」




P「…………いつか。二つだけじゃなくて……もっと、欲しくなるかもしれない」


肇「……」

P「……」

肇「…………ぁ、ぇ? えっ…………?」

P「……」

肇「…………っ!? うわ、わぁっ……!!」

P「……」

楓「プロデューサーさん」

P「……何ですか、楓さん」

楓「飲酒運転はダメですよ?」

P「飲んでませんよ」

楓「あら? でも不思議ですね。お顔が真っ赤」

P「楓さん」

楓「肇ちゃんも、未成年飲酒なんてダメよ?」

肇「……の、飲んで…………ない、です……」

楓「あら? でも不思議ですね。お顔が真っ赤」

肇「う、うぅぅ~……っ!!」


P「……」

楓「ふふふー。プロデューサーさん?」

P「…………何ですか」

楓「そのまま伝えてあげた方が、よっぽどラクだったと思いますよ?」

P「……」

楓「全くもう。プロデューサーさんもスキですねぇ♪」

P「……」

肇「……」




P「ええ。大好きです」


肇「…………ぎゃふん」


おしまい。


http://i.imgur.com/pLlSLCe.jpg
http://i.imgur.com/PXUB3YE.jpg

どうしても聞きたい言葉がある肇ちゃんと
何とかして肇ちゃんをぎゃふんと言わせたいP
そんな話。

肇ちゃんの3Dモデリングした方ほんと凄い
もうただの天女だよこの娘

前作とか
北条加蓮「Pさん、私もうダメかも……」 ( 北条加蓮「Pさん、私もうダメかも……」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1448194231/) )
456プロのアーニャちゃん ( 456プロのアーニャちゃん - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1451798553/) )


たぶん次はCuの娘のお話だと思う

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