結衣「あかり、ここが徳島だよ」 (91)

もはやただの自己満足です。
結あかしながら徳島を観光するお話。
たまに京ちなします。

次から始まります。

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ー徳島空港ー


あかり「わぁ!ここが徳島空港!」


結衣「徳島飛行場とか、徳島阿波おどり空港とか言われる事もあるよ」


あかり「へぇー、呼び方がいっぱいあるんだね」


あかり「それにしても...」


ガラン...


結衣「うん...人が全くいないね」


あかり「お、落ち着いた雰囲気でいいと思うよぉ!」


結衣「空港って落ち着くような場所だっけ…」



結衣「とりあえず空港の中も見てみようよ、お土産とかあるかもしれないし」


あかり「うんっ」


ゴロゴロゴロ...


あかり「そう言えばなんで徳島に来たんだっけ?」


結衣「あかりが私と旅行したいって言ったんじゃないか」


あかり「あ、そうだったね」


結衣「でもなんで徳島に?」


あかり「京子ちゃんに頼まれたんだよぉ、なんとかって言うイベントがあるからそこに売ってるグッズ買ってきてって」


結衣「なるほど」


あかり「京子ちゃんもインフルエンザじゃなかったら一緒に来れたのにね...」



結衣「ちなつちゃんは京子の看病で付きっきりだしね」


あかり「ちなつちゃん、なんだか嬉しそうだったね」


結衣「なんだかんだ言って京子の事が好きなんじゃないかな?」


あかり「かもねぇ...ふふっ」


あかり「みてみて結衣ちゃん!飛行機だよぉ!」


結衣「大きいよね...空から見る海は綺麗だったな、あかり」


あかり「うん、いっぱい船が出てたけど何してたのかな?」


結衣「鳴門は漁業が盛んだからね、網を引いてたのかもしれないしワカメを取ってたのかも」


あかり「ワカメ?」


結衣「うん、鳴門ワカメは国産ブランドだよ」



結衣「鯛なんかも有名みたいだね、あとは...ハマチ」


あかり「お魚さんなんだねぇ、あかりも食べてみたいなぁ」


結衣「何泊かする予定だから食べられるよ」


ー徳島空港 二階ー


結衣「お土産コーナーは二階か...」


あかり「えっと...鳴門金時?」


あかり「お芋さんかなぁ...」


結衣「すだち君クッキー、すだち君チョコ...すだちなのかチョコなのか...」


あかり「みて、結衣ちゃん!」


徳島限定!

徳島の恋人


結衣「それは結構際どいラインだから戻しておいで」


あかり「はーいっ」



結衣「大体すだちか鳴門金時って言う芋を使ってるんだな...」


あかり「結衣ちゃん、結衣ちゃん」


結衣「何?あかり...」


あかり「じゃーん!どう?この帽子!」


結衣「え、あ...似合ってるよ...///」


あかり「そっかー!えへへっ」


あかり「買っちゃおうかなー」


結衣「コホン...その帽子は藍染めだね」


あかり「あいぞめ?」



結衣「うん、徳島名物だよ」


結衣「タデって言う植物の葉っぱを使って染めてるんだ」


結衣「色褪せにくいし綺麗だから着物とか手ぬぐいにもよく使われてるみたいだね」


あかり「へー...」


あかり「徳島でしかやってないの?」


結衣「そういう訳じゃ無いけど、出荷量とか染め方とか総合的に見て徳島が一番だって事じゃないかな」


あかり「結衣ちゃん物知りだね!」


結衣(パンフレット持ってきてよかった)



あかり「これも藍染め?」


結衣「うん、そうだよ」


結衣「花や人物みたいに複雑な模様も全部手作業で作ってる所もあるみたいだね」


あかり「これ全部手作業なの!?」


結衣「流石に全部じゃないと思うけどね」


結衣「さて、そろそろ空港からでよっか」


あかり「あ、ちょっとロビーで待ってて!」


結衣「いいけど...気をつけてね」


あかり「お待たせー!」


結衣「何してたの?」


あかり「はい、結衣ちゃんにプレゼント!」


スポッ


結衣「わっ...これ、さっきの帽子じゃないか?」



あかり「えへへ...あかりのワガママに付き合ってくれた結衣ちゃんにありがとうってしたくて」


結衣「あかり...ありがとう...///」


あかり「どういたしましてっ」


結衣「に、似合うかな...?///」


あかり「うんっ!とっても綺麗だよぉ!」


結衣「あ、あはは...///」


あかり「あれ、結衣ちゃんあのポスターなんて書いてるの?」


結衣「もんてこい......ああ、あれは帰っておいでって書いてるんだよ」


あかり「徳島弁?」


結衣「阿波弁って言うんだよ、関西弁に似てるけどちょっと違うんだ」


あかり「へぇー、そうなんだぁ...」



あかり「結衣ちゃん、なにか喋って!」


結衣「あかりから無茶振りが来るとは思わなかったな...」


結衣「うーん...そうだなぁ...」


結衣「あかり、いける?」


あかり「へ?どこに?」


結衣「いや、そうじゃなくてさ、いける?」


あかり「え?え?」


結衣「...ぷっ」


あかり「えー!?なんで笑うのぉ!?」


結衣「あはは、ごめんごめん...徳島ではいける、って言葉だけで会話が成立するらしいんだ」


あかり「えー?本当に?」



結衣「さぁ...私も見たわけじゃないから分からないけど...ん?」


モブA「えっとぶりじゃなー、元気しよったけ?」

モブB「ホンマえっとぶりー!こっぱ元気じゃよ!」

モブA「ほんならええんじゃ、えらぁない?」

モブB「ぼちぼちやなぁ、飛行機もえっとぶりやったし」

モブA「ほんでこれからなんじゃけんどぉ、こないだいよったんでいけるん?」

モブB「あーほうほう、ほんでいけるいける」

モブA「了解じゃー、ほんならいこー」


あかり「...」


結衣「...」


あかり「成立してたね...」


結衣「うん...」



あかり「何言ってたか分かる...?」


結衣「...分からない」


☆チーナの翻訳コーナー☆

ちなつ「結衣せんぱーい!お久しぶりですぅ、元気にしてました?」


結衣「本当に久しぶりだね、すごく元気だよ」


ちなつ「ならよかったですぅ、疲れてないですか?」


結衣「うーん、まぁまぁかな。飛行機に乗るのも久しぶりだったし」


ちなつ「そうですか...これからなんですけど、この前話した予定で大丈夫ですか?」


結衣「うん、大丈夫だよ。じゃあいこうか」


ちなつ「こんなふうになるよ」


ちなつ「以上、チーナの翻訳コーナーでした!」



あかり「と、とりあえずホテルに荷物あずけちゃおうか!」


結衣「そうだね、とりあえず鳴門ってところのホテルを予約してあるからバスで行こうか」


あかり「うんっ」


ーホテルー


結衣「まさか1時間も待たされるとは...」


あかり「場所によっては8時より遅くはバスが通らない地域もあるみたいだよぉ...」


結衣「恐るべし徳島...」



結衣「さて、せっかく鳴門に来たんだしちょっと観光してみようか」


あかり「うんっ!」


ーうずしお汽船ー


結衣「け、結構揺れるな...」


あかり「なんだか遊覧船みたいだねぇ」


ガコン!!ガコン!!


結衣「!?」


あかり「な、なんだか沈みそうだよぉ...」


出発しまーす


ゴゴゴゴゴ...


結衣「なんだよこのホラーアトラクション!」


あかり「うわあ!」


グラングラン


モブA「今日はまだおとなしなー」

モブB「ホンマじゃなー」


結衣「お、おとなしい...これで...?」


あかり「船酔いとかの以前に生きて帰れるか心配だよぉ...」



まもなくー渦潮がみえてきまーす


結衣「あ、あかり!渦潮だぞ!」


あかり「ど、どれ!?」


結衣「...見えないな」


あかり「うぅ...踏んだり蹴ったりだよぉ...」


ー昇降口ー


結衣「結局見られなかったな...」


あかり「うん...」


モブA「なぁなぁ、おまんら渦見にきたん?」


結衣「え?ま、まぁ...」


モブB「ほれやったら渦の道の方がよぉ見えるわよ」


あかり「渦の道...?」


モブA「案内したんそか?」


結衣「え、あ、お願いします!」


モブB「ええってええって...コホン、大丈夫だよ」


モブA「うっわぁ...」


モブB「なにぃさ、この子ら都会の子ぉじゃろ?」


モブA「ほなけんっていきなり変えたらびっくりせぇへんの?」


モブB「もぉ黙っときぃや、うちの好きにするわだ」


モブB「ごめんね、お待たせ。いこうか!」


結衣「は、はい」


結衣(全然話に入っていけない...)



☆チーナの翻訳コーナー☆

京子「ねえねえ、君たちは渦潮を見に来たの?」


結衣「え?ま、まぁ...」


ちなつ「それなら渦の道の方がよく見えますよぉ!」


あかり「渦の道...?」


京子「案内しようか?」


結衣「あ、お願いします!」


ちなつ「大丈夫ですよぉ!」


京子「うっわぁ...」


ちなつ「なんですか京子先輩、結衣先輩達は都会の方から来たんですよ?」


京子「だからって急に喋り方変えたらびっくりしちゃうんじゃないの?」


ちなつ「もう、京子先輩は口出さないでください。私の好きにしますから」


ちなつ「すみません、行きましょうか!」


結衣「は、はい」


ちなつ「こんな感じね」


ちなつ「余談だけど、他県で阿波弁全開で喋ってるとヤクザが話してると思われるみたいだから気を付けてね!」


ちなつ「以上、チーナの翻訳コーナーでした!またね!」



モブA「とうちゃーく」


モブB「ここからこの道を辿っていけば建物の所に繋がるから」


あかり「ありがとうございます!」


結衣「お世話になりました」


モブB「いいのいいの、それじゃあね」


あかり「ばいばーい!」


あかり「優しいお姉さん達だったねぇ」


結衣「そうだね...じゃあ行ってみようか」


あかり「うんっ!」



ー渦の道ー


あかり「すごぉい!結衣ちゃん、下がガラスだよぉ!」


結衣「確かにこれなら上から渦がよく見えるね」


あかり「でも思ったよりも小さいんだね...あ、消えちゃった」


結衣「そうだね、潮の流れが関係してるんだろうけどパンフレットに載ってるような渦は滅多に見られないんじゃないかな?」


あかり「そうだよね...あ、またできた!」


結衣「あ、見てあかり、あれなんて大きいんじゃないかな?」


あかり「どれどれ?」


ピトッ


結衣「ほら、あれだよ」


あかり「わぁ、ホントだぁ!」



あかり「すごいね、結衣ちゃん!」


結衣「そうだな...あ...///」


あかり「どうしたの?」


結衣「な、なんでもない...///」


結衣(あ、あかりに抱きつかれてる...///)


ーホテルー


あかり「今日は楽しかったね!」


結衣「そうだね、海なんかもすごい近くで見れたし」


あかり「渦って言ってあげようよ結衣ちゃん...」


シャーシンヲトルートーカーオガーカークレール


あかり「あ、電話だ」


ピッ


あかり「もしもーし、あかりだよぉ」


京子『あかり...着いた...?』


あかり「うん、もう着いてるし夕方だよ?」


京子『徳島ってこっちと時間同じなんだな...うぅ...』


あかり「徳島は日本だよぉ!?」



京子『それで...ミラクるんは...』


あかり「あ、それなんだけど、明後日みたいだよぉ?」


京子『そっか...イベントの名前は覚えてるか...?』


あかり「えーっと......うずしお...ドンドコ...」


京子『掠ってすらねえよ!ゲホッゲホッ』


あかり「ご、ごめんね...忘れちゃった」


京子『いいよ、その代わり次は忘れるなよ?』


京子『マチアソビって言って徳島市の駅前でやるみたいなんだ...』


あかり「徳島市の駅前だね、分かったよぉ」


京子『た、頼むぞ...アナコンダ...』


あかり「アナコンダ!?」



京子『やべっ、ちなっちゃんが......京子先輩!大人しく寝てて下さいよもう!!』


『私がいない間に電話なんてしないって言ったじゃないですか!いつまで経っても良くなりませんよ!ほら寝る!』


プチッ


あかり「切れちゃった...えへへ」


結衣「京子はなんだって?」


あかり「イベントの名前をあかりが忘れちゃったからまた教えてくれたんだぁ」


あかり「あと、ちなつちゃんがお嫁さんみたいだったよぉ」


結衣「はは、確かに京子は尻に敷かれそうだもんな」



お食事をお持ちしましたー


結衣「はーい」


スッ


コトッ


ごゆっくりどうぞー


トン...


結衣「さて、食べようか」


あかり「ね、ねぇ結衣ちゃん...これってすっごく高いんじゃない...?」


結衣「そんなことないよ?これで大体1500円ぐらいかな」


あかり「ええ!?こんなにお刺身や天ぷらが入っててそんなに安いの!?」


結衣「徳島では海の幸も山の幸も取れるからね、結構安く済むみたいだよ」


あかり「で、でもこのワカメだってブランドなんでしょ?」


結衣「だから味わって食べないとね、あかり」


あかり「う、うん!」



あかり「...結衣ちゃん、この緑の小さい果物は?」


結衣「ああ、それは果物じゃなくてすだちだよ」


あかり「すだちって果物じゃないんだね...お土産のお菓子にいっぱい入ってたみたいだからてっきり果物って思っちゃったよぉ」


結衣「あはは、それはお刺身とか醤油に少し絞るといいみたいだよ」


あかり「そうなんだ、よーしっ」


ギュッ


ピチョピチョッ


あかり「お刺身付けてー...頂きますっ」


あかり「んー!おいひいよぉ!」


結衣「それはよかったね、どれ私も...」


結衣「頂きます」



結衣「...ふむ」


結衣(すっぱすぎず、なのにちゃんと味がある...)


結衣(ほんのりした苦味が脂ののったハマチの甘みと最高にマッチしてる)


結衣(おいしいな...これ...)


結衣「...ごらく部にすだちを置こうか」


あかり「うーん、それはやめといた方がいいと思うよぉ」



あかり「ごちそうさまでした!」


結衣「ごちそうさまでした」


あかり「このお茶も美味しいね…ふぅ」


あかり「なんて読むんだろ…あい、せい、番茶?」


結衣「相生(あいおい)番茶って読むみたいだよ」


結衣「後ろに説明があるね…なになに」


結衣「那賀郡の相生町で作られた茶葉を使用…カフェインも少なく、便秘などにも良い…...だってさ」


あかり「へぇー、すごいお茶なんだね」


あかり「これちなつちゃんのお土産にしよっか!」


結衣「いいね、ちなつちゃんもきっと喜ぶよ」


あかり「だよねぇ...ふわぁ」



結衣「眠たい?」


あかり「うん...ちょっと疲れちゃったからね...」


結衣「じゃあお風呂入っちゃおうか、先に入っておいで」


あかり「うーん...せっかくだから結衣ちゃんと一緒がいいなぁ」


結衣「なっ!///」


あかり「だめ?」


結衣「だ、ダメじゃないけど...///」


結衣(意識しちゃうじゃないか…///)


ーバスルームー


あかり「すーきーすーきーだーいすーきーあーいーしーてるー♪」


ワシャワシャ


結衣(なんで今それを歌うんだよ!///)



あかり「痒いところはないですか~♪」


結衣「ない...よ...///」


あかり「じゃあ流すねっ」


フニッ


結衣(ああああ胸がああああああああ///)


あかり「いっくよぉ!」


ザパァ


結衣「ふぅ...つ、次はあかりだな...///」


あかり「うん、よろしくねっ」


結衣(平常心...平常心...)


結衣(そうだ、これはあかりの皮をかぶった京子だ...)


ワシャワシャ


結衣(ダメだああ!京子の髪はこんなにサラサラしてない!///)



京子「ックシュン!!」


ちなつ「ちょ、ちょっと移さないでくださいよ、京子先輩!」サスサス


京子「うぅ...大丈夫...ゲホッ」


ちなつ「もう...お粥もうできますから待っててくださいね」


京子「あーい...ありがとう...」



結衣「か、痒いところはない?///」


あかり「うん、ないよぉ」


あかり「結衣ちゃんの指、気持ちいいねっ」


結衣(平常心...っ!///)


あかり「京子ちゃんがうらやましいよぉ...えへへ」


結衣「あ、あかりだっていつでも洗ってやるよ...///」


あかり「ホント!?嬉しいなぁっ」


結衣(い、今のってプロポーズなんじゃないのか!?///)


結衣(うわあああ!!///)


あかり「ふふ、結衣ちゃんも踊っちゃうくらい楽しかったんだねぇ」



ー部屋ー


結衣「電気消すよ」


あかり「うん...」


カチッ


結衣「ふぅ...」


結衣(まだドキドキしてる...///)


結衣(よく考えてみればデートだよな、これ...///)


結衣(...あかりはどう思ってるのかな///)


モソモソ


あかり「ぅん...ゆいちゃん......」


結衣「!」



あかり「...えへへ...鯛さんだよぉ...」


結衣「...ふふっ」


ナデナデ


結衣「よしよし...」


あかり「えへへ......だぁいすき...」


結衣「...起きてる?」


結衣「いや、半目だ...寝てるな」


結衣「わ、私も...///」


結衣(大好きだよ///)


結衣「ーっ///」


ガバッ


ゴロゴロ


結衣(言えるかーっ!///)



1day~end~



ーホテルー


あかり「うーん、よく寝たよぉ...」


あかり「結衣ちゃんは...あ......」


結衣「んん......」


モソモソ


あかり「朝弱いのは昔からずぅっと同じなんだね...えへへ」


あかり「...結衣ちゃん、起きて?」


ユサユサ


結衣「あと少し......」


モゾモゾ


あかり「潜っちゃった...可愛いなぁ...」



あかり「あかりも入ろっと...よいしょ...」


モソモソ


ギュッ


あかり「えへへ...結衣ちゃんあったかぁい...」


あかり「なんだか...眠たくなってきたよぉ...」


あかり「......」


ー昼ー


結衣「ん...今何時だ...」


結衣「12時か...結構寝ちゃったな...」


結衣「んー...っ」



結衣「あかりはもう起きてるのかな...ふわぁ...」


結衣「それにしてもやけに下半身が重たいな...そんなに疲れてるのか...」


バサッ


あかり「ぐぅ...えへへ......」


結衣「......」


パサッ


結衣「ふぅ...」


結衣(疲れてるな...あかりの幻覚まで見えてるなんて...)


バサッ


あかり「んぅ......」


結衣「...」


結衣(これはどういう状況なんだ...?///)



結衣「あかり、起きて」


ユサユサ


あかり「ん...おはよぉ、結衣ちゃん......」


結衣「なんで私の布団に...?///」


あかり「ふぇ...?」


あかり「あ...そうだよぉ、結衣ちゃんを起こそうと思って揺すったのにお布団の中に潜っちゃったから、あかりも追いかけて一緒に潜ったんだぁ」


あかり「そしたら結衣ちゃんがあったかくて寝ちゃった...えへへ」


結衣「な、なるほど...///」


結衣「コホン...そろそろチェックアウトしようか、例のイベントは明日なんだろ?」


あかり「うん、駅前のマチアソビってイベントだよぉ!」



あかり「案内のチラシも京子ちゃんから貰ってるんだよぉ、ほら!」


結衣「なになに...魔女っ娘ミラクるん...ナモクエの最新作発表...」


結衣「ナモクエ最新作...!?」


あかり「結衣ちゃんが好きなゲームだよね、えへへ」


結衣「あかり!」


あかり「は、はいっ!」


結衣「絶対行こうね!!」


あかり「うんっ」


あかり(やっぱり結衣ちゃんを誘って正解だったね!)



ーフロントー


結衣「さて、どこに行きたい?」


あかり「昨日は海を見たから次は山かな?」


結衣「よし、じゃあ昨日飲んだお茶を作ってる所に行ってみようか」


あかり「はーいっ」


ー相生町ー


結衣「バス乗り継いで2時間も掛かるなんて...」


あかり「ねー...でもすっごく綺麗な場所だね!」


結衣「そうだね...市内よりも空気もおいしいし、緑がたくさんあるね」


あかり「みてみて!ここからずぅっと山だよぉ!」


結衣「ほんとだ...高い建物なんて一つもないな」


あかり「自然の中で生きてるって感じだね!」


結衣「そうだね...ほらあかり、畑だよ」



あかり「わぁ、おっきいね!」


あかり「あ、人がいる...すみませーん」


「...」


あかり「あれ...聞こえなかったのかな...すみませーん!」


「...」


あかり「あ、あれれ...」


結衣「感じ悪いな...すみません、聞きたいことが」


結衣「...あかり、これカカシだよ」


あかり「うええ!?お人形さんなの!?」


結衣「うん...ほら」


クルッ


あかり「ほんとだぁ...すごいね、このお人形さん」


結衣「でもなんでこんなにリアルなんだ...?」



「あんりゃ、おまんら昨日の子ぉらちゃうん?」


あかり「あ!昨日のお姉さん達だ!」


モブA「相生になに見に来たん?」


結衣「え、えっと...お茶ですね...」


モブB「あー番茶け、今は時季ちゃうけんしよれへんわよ」


モブA「なぁなぁ、せっかく相生まで来たんやし木頭とか平谷も見てもろたらええんちゃう?」


モブB「ほらええわ、平谷や見るとこないじゃろけんど木頭やったらよぅけあるやろし」


モブA「おまんが木頭しやけんほやって思うだけじゃろ、平谷やって見るとこあるわだ」


モブB「例えばどこよ?」


モブA「雑木林抜けたところの池とかおぎゃなぎとか...」


モブB「全部妖怪のおるところやんけ!」


あかり「妖怪!?」


モブA「妖怪やおれへんけんいてみてみ」


モブB「はぁー...とんりゃえず平谷と木頭回ってみよか」


結衣「お、お願いします」



☆チーナの翻訳コーナー☆


京子「あれ、君たち昨日の子達じゃない?」


あかり「あ!昨日のお姉さん達だ!」


ちなつ「相生になにを見に来たの?」


結衣「え、えっと...お茶ですね...」


京子「あー相生番茶な、今は季節外れだからやってないんじゃないかな?」


ちなつ「ねえねえ、せっかく相生まで来てくれたんですから木頭村や平谷も見てもらったらどうですか?」


京子「お、いいね!平谷なんて見るところないけど木頭村ならたくさんあるしね!」


ちなつ「京子先輩が木頭出身だからそう思うんです!平谷だって見るところありますよ!」


京子「例えばどこ?」


ちなつ「雑木林を抜けたところの池とか★おぎゃなぎとか...」


京子「全部妖怪の住処じゃねーか!」


あかり「妖怪!?」


ちなつ「妖怪なんていないから行ってみようよ」


京子「はぁー...とりあえず平谷と木頭を回ってみようか」


結衣「お、お願いします」


ちなつ「こんな感じになるよ!」



★おぎゃなぎってなに?

ちなつ「本当の地名は知らないんだけど、地元の人達はこう読んでる場所があるの」


ちなつ「平谷八幡神社を右に抜けて森の中を通っていくんだけど、そこの道をおぎゃなぎって言うの」


ちなつ「検索エンジンで調べても全くヒットしないちょっと不気味な場所よ」


ちなつ「言い伝えによると、昔子どもを産んだのはいいけど産みすぎちゃって育てられないって時はそこに赤ちゃんを置きに言ってたらしいわ...」


ちなつ「そんな事が何度もあるせいで、そこは赤ちゃんのおぎゃーって泣き声が絶えなかったらしいの」


ちなつ「そこで付いた名が、おぎゃなぎって訳」


ちなつ「蛍が綺麗なんだけど、ガチモノの心霊スポットだから行っちゃダメだからね」


ちなつ「以上、チーナの翻訳コーナーでした、またね」



ー平谷ー


モブB「とうちゃーく」


あかり「わあ!すっごくきれい!」


結衣「でも寒くないか...?」


結衣「心なしか息苦しい気もするし...」


モブA「ほらほうよ、ここ山の上よ?」


結衣「や、山の上?」


モブB「あっこに竹林が見えるやろ?」


あかり「あ、ホントだ...」


モブB「あそこがてっぺんみたいなもんやけんなー」


結衣「へぇ、そうなんですね...」



あかり「それにしても...ここのお家大きいね」


結衣「そう言う話題はあんまり振っちゃダメ」


モブA「ここのみじかぁい坂下りたらグランドじゃよ」


結衣「学校があったんですか?」


モブA「ほぅなんよ...分校だったんじゃけんどだれーっちゃ人がはいらぁなったけんつぶしてもたんよ」


モブB「最後の卒業生は一人やったみたいやしなぁ...」


モブA「産業文化祭もここでしよったのに今は平中やもんなぁ」


モブB「わかいしがおらんけんしょうないわだ」


モブB「...ほんなら木頭いこか」


あかり「は、はい」


結衣「なんか...寂しい話だな」



☆チーナの翻訳コーナー☆


京子「とうちゃーく」


あかり「わあ!すっごくきれい!」


結衣「でも寒くないか...?」


結衣「心なしか息苦しい気もするし...」


ちなつ「そりゃそうですよ、ここ山の上ですよ?」


結衣「や、山の上?」


京子「あそこに竹やぶが見えるだろ?」


あかり「あ、ホントだ...」


京子「あそこがこの山の頂上みたいなもんだからな!」


結衣「へぇ、そうなんですね...」



あかり「それにしても...ここのお家大きいね」


結衣「そう言う話題はあんまり振っちゃダメ」


ちなつ「ここの短い坂を下りるとグランドがあるんだよ」


結衣「学校があったんですか?」


ちなつ「そうなんですよ...分校だったんですけど、誰も入学しなくなっちゃって閉校して潰しちゃったんです...」


京子「最後の卒業生は一人ぼっちだったんだよね...」


ちなつ「産業文化祭もここで開催してたんですけど今は平谷中学校で開いてますもんね...」


京子「若い子がいないからさ、しょうがないよね...」


モブB「...じゃ、木頭に行こうか」


あかり「は、はい」


結衣「なんか...寂しい話だな」



ちなつ「こんなふうになるよ」


ちなつ「ちなみに今現在の那賀町の人口は一万人もいないの...」


ちなつ「外界と切り離されたようなド田舎だから不便が多いのね、きっと...」


ちなつ「比喩でも何でもなく、平谷は本当に昭和辺りで時間が止まってるからね」


ちなつ「ちなみにドコ〇やソフト〇ンクは圏外になったりするわ」


ちなつ「でも、田舎だからこそのいい所もあると思うの!」


ちなつ「田舎暮らしを体験してみたい!と思ったらちょっと覗いて見てね!」


ちなつ「以上、チーナの翻訳コーナーでした!またね!」



ー木頭村ー


あかり「山!」


結衣「谷!」


モブA「はっはっはっはっは!!」


モブB「おまんに笑われたらはがいたらしいわ!」


あかり「ここはどんなところなの?」


結衣「そうだなぁ...パンフレットによると、木頭ゆずや木頭杉もブランド品らしいよ」


モブA「こんなとこの杉が?」


結衣「はい、銀座の高級料亭で出されるデザートに木頭ゆずがそのまま使われていたり...」


結衣「海外に輸出してる高級家具にも木頭杉が使われてるみたいですね」



モブB「へー...ごっついなぁ、木頭...」


モブA「ホンマじゃなぁ...しらんかったわ...」


モブB「ほんなら杉の丸太に乗って川下りしよるうちらってごっつい罰当たり?」


モブA「ほんなことないんちゃうで?」


キーンココーンカーンココーン


あかり「?この音楽は...」


結衣「遠き山に日は落ちて、だね...でも何の合図なんだろう...」


モブB「こら5時のチャイムじゃよ」


モブA「やまんなかで仕事しよるしぃは時計やもってあるかんけんなぁ」


モブA「こやってチャイムならして時間おっせんといんでけえへんけんなぁ」


結衣「え、えーと...よく分からないけど分かりました...」


モブA「ほうじゃろうなぁ、はっはっは」


モブB「明日はどこいくん?」


あかり「明日はマチアソビって言うイベントに行こうと思ってます!」


モブB「あら、うちらと一緒じゃなー!」


モブA「ほんならうちらといきぃだ!ホテルやたこぉてかなわんじゃろ?」


結衣「え、でも...」


モブA「かんまんかんまん!ごはんも気にせんと食べていきぃ!」


モブB「まあお金ひろぉたとおもて...な?」


結衣「...ありがとうございます!」


あかり「助かりましたぁ!」


モブA「ほんなら車乗ってー!いくよー!」



☆チーナの翻訳コーナー☆


あかり「山!」


結衣「谷!」


ちなつ「ふっ」


京子「平谷出身のちなつちゃんに笑われるとムカつく!」


あかり「ここはどんなところなの?」


結衣「そうだなぁ...パンフレットによると、木頭ゆずや木頭杉もブランド品らしいよ」


ちなつ「こんなところの杉が?」


結衣「はい、銀座の高級料亭で出されるデザートに木頭ゆずがそのまま使われていたり...」


結衣「海外に輸出してる高級家具にも木頭杉が使われてるみたいですね」



京子「へー、すげぇな木頭」


ちなつ「ホントですねぇ...知りませんでしたよ」


京子「...もしかしてその高級な杉の丸手に乗って川下りしてる私達って罰当たり?」


ちなつ「そんな事はないんじゃないですか?」


キーンココーンカーンココーン


あかり「?この音楽は...」


結衣「遠き山に日は落ちて、だね...でも何の合図なんだろう...」


京子「これは5時の放送だよ」


ちなつ「山でお仕事してる人達は時計とかあんまり持ち歩かないんですよ」


ちなつ「だからこうやって時間が分かるように放送を入れないと、今が何時か分からなくてずっと仕事して家に帰ってこないんですよぉ」


結衣「え、えーと...よく分からないけど分かりました...」


ちなつ「でしょうね、ふふふっ」


京子「明日はどこいくのん?」


あかり「明日はマチアソビって言うイベントに行こうと思ってます!」


京子「おぉ、私達と一緒じゃん!」


ちなつ「じゃあ私達と一緒においでよ!ホテルなんて高くて大変でしょ?」


結衣「え、でも...」


ちなつ「いいんですよ、晩ご飯も遠慮しないで食べていってください!」


京子「まあ一万円拾ったんだと思って...ね?」


結衣「...ありがとうございます!」


あかり「助かりましたぁ!」


ちなつ「じゃあ車に乗ってー!いくよー!」



ちなつ「こんな感じかな」


ちなつ「モブちゃん達が言ってる川下りは、木頭村伝統のお祭りみたいなものよ」


ちなつ「本来は杉の丸太を運ぶために、丸太に乗って川を下って届ける配達方法みたいなものだったらしいの」


ちなつ「よく分からないって人は桃白〇を思い浮かべてくれたら分かりやすいと思うわ」


ちなつ「今はトラックがあるから楽に運べて、川を下る必要がなくなったからお仕事で丸太に乗る人はいないんじゃないかしら?」


ちなつ「上手な人はスイスイ動くから動画サイトなんかで1度見てみるのも面白いかもね!」


ちなつ「以上、チーナの翻訳コーナーでした!またね!」



ーさくらぎ旅館ー


モブA「あー落ち着くわぁ」


結衣「すみません、お代まで出してもらっちゃって...」


モブB「気にせられん、この子は昔っからおせっかい焼きなんじゃけん」


あかり「えへへ...とっても素敵ですよぉ?」


モブA「ほうじゃろ!?」


モブB「あんま褒めよったらうっとしいわよこいつ...」


モブA「あーまたおもっしょい事いよる!」



モブA「とりあえず腹減ったし、ごはんもらおか?」


モブB「ほうしぃ、すぐ持ってきてくれるわ」


モブA「すんません、ごはんお願いします!」


はーい


あかり「そう言えば京子ちゃん大丈夫かなぁ?」


結衣「さぁな...でもちなつちゃんも付いてるし大丈夫なんじゃないか?」


シャーシンヲトルートー


結衣「噂をすれば...」


モブA「うちらは隣の部屋におるけん、こまったらなんでも言うてなー」


あかり「あ、ありがとうございます!」


モブB「かんまんかんまん、ほんなら明日は9時ぐらいに出るけん準備しとりよ?」


結衣「はい、分かりました」


モブA「ほんならおやすみー」


カラッ


トン


あかり「本当いい人達だよねぇ」



結衣「うん、さ、京子の電話でてあげなよ」


あかり「あ、忘れてた!」


ピッ


あかり「もしもぉし、あかりだよぉ」


京子『おーっすあかり!』


あかり「わぁ、京子ちゃんすっかり良くなったね!」


京子『ちなつのおかげでね!』


京子『でも...』


ゲホッゲホッ!


ぎょうごぜんばーい!!


京子『ちなつがインフルに...てうがしてたのになぁ』


あかり「今度はちなつちゃんかぁ...お大事にね?」



京子『うん、ありがとあかり』


あかり「どういたしましてだよぉ、明日は頑張ってグッズ買ってくるからね!」


京子『おー!頼むぞあかり隊員!あとちゃんとレシート貰ってこいよ?』


あかり「うん、分かったよぉ」


京子『じゃあちょっと結衣に代わってくれる?』


あかり「うん、いいよぉ!」


あかり「結衣ちゃん、京子ちゃんが代わって欲しいって」


結衣「私に?」


結衣「もしもし、京子?」


結衣「なんだ治ったのか...それでちなつちゃんが...全く...」


結衣「移すなよな、ちなつちゃんが可哀想だろ」


結衣「...は?」


結衣「え、えっとどういう事...?」


結衣「えええええ!?」


結衣「ど、どっちから!?」


結衣「そ、そうか...良かったじゃないか...」



結衣「なっ!///」


結衣「うるさい!!早く寝ろ!!///」


ピッ


結衣「ふぅ......///」


あかり「ゆ、結衣ちゃんどうしたの?」


結衣「い、いや...なんでもない...///」フイッ


結衣(あかりの顔がまともに見れない...)


トントン


失礼します、お夕飯をお持ちしました


結衣「あ、どうぞ...」


カラッ


コトッ


それでは...


カラッ


トン


あかり「わあ!今度は山の幸がいっぱいだよぉ!」


結衣「煮物、五目ご飯、漬物、...これは、お吸物かな?」



あかり「なんだろうね...お味噌汁っぽくはないね」


結衣「調べてみよっか...なになに、そばごめ汁...って言うらしい」


あかり「そばごめ?」


結衣「うん、徳島の郷土料理って書いてあるね」


結衣「そばごめって言うのは、蕎麦の実の殻を剥いたものだってさ」


結衣「後は...ダシに鳥の皮を使うのが一般的らしいよ」


あかり「へー、なんだかヘルシーっぽいね!」


結衣「ともかく食べてみようか...頂きます」


あかり「いただきまぁす!」



ズズッ


結衣「ん...」


結衣(さっぱりしてる...脂が浮いてるにも関わらず)


結衣(鶏肉、しいたけ、ニンジン、ネギ...それからそばごめ...)


結衣(なんだろう、このお腹の底から温まってホッとする感じ...)


結衣(鶏肉も柔らかくてちょうどいい...なにより)


結衣(このそばごめが美味しい...)


結衣(麦ほど強い弾力がある訳でもない...でもお米よりはしっかりもっちりしてる...)


結衣「はむ...っ」


結衣(鳥の皮でダシを取ってるからかな、ご飯とすごく合う...!)


結衣(蕎麦の味とお米の味が喧嘩してない...これは新発見だな...)


あかり「結衣ちゃんが真剣なお顔でご飯食べてる...」



結衣「ごちそうさまでした」


あかり「ごちそうさまでしたっ」


結衣「ふぅ、昨日の魚も美味しかったけど今日のそばごめ汁の方が私は好きだな...」


あかり「すっごく真剣に食べてたもんね、えへへっ」


結衣「は、恥ずかしいな...///」

!caution!
結衣ちゃんとあかりちゃんの描写を書くにあたり、>>1のレベル不足により地の文が入ります。
ご了承ください!



風が窓枠を揺らす音が、微かに聞こえる。


その音は今の私の心境を映し出したような、か細く震えるような音だった。


(...よし)


腹を括った。

今が、その時だと思ったからだ。



「あかり、少し外に出てみようよ」


先程まで揺れていた枠に指を掛け、力を込める。

歴史ある旅館なので、少し重く感じたが難なく扉が開き、風を室内へ招き入れる。


郷土料理で温まった身体に刺すような冷たい風が吹き付けるが、今宵の風は気まぐれなようですぐに止んでしまう。



私の後に続いて彼女が跳ねる兎のように付いてくる。



「うわあ!お月様がとっても大きいね!」


感嘆の声を上げる彼女の瞳は、月光に照らされ輝きを増していた。


私の目にも、手を伸ばせば掴めてしまいそうな程月は大きく見えた。



「ねぇ、あかり」


「なぁに?結衣ちゃん」


彼女の肩を左手で抱き寄せ、右腕を闇夜に輝く満月へと伸ばす。


そして、その手の中に月を捕らえると、私は告げる。



「あかりが望むなら」


「今捕まえたこの月を」


「あかりにあげるよ」


「え...っ?」


「手を重ねて」



そう促すと、彼女の左手は私の右腕を目指し伸びてゆく。


月光に照らされた艶かしい彼女の生腕が、白蛇のようにも見えた。


そして、二つが一つとなる。



「あかり、今からこの月はあかりの物だ」


「...愛してる」



強く抱き寄せ、囁いた言霊は彼女の首筋を這い、耳元へと伝わる。


私の右手と彼女の左手で月を握りしめ。


私の左手と彼女の右手で互いに手を握りしめ。


昂る気持ちを醒まさんとするが如く、風が吹き荒れる。


しかし、繋がれた私達の手の前では、その風さえも無意味な物となった。


しばらく風に晒されていると、彼女が口を開いた。



「結衣ちゃん...あ、愛してるって...」


頬に朱を散らせた彼女。


深紫の瞳は涙で潤み、静かにその色を揺らめかせている。


「うん...私と、付き合ってくれ」


絡めていた手を離し、彼女の肩を掴む。


風に靡く彼女の紅色の髪は、いつにも増して美しかった。



「...あかりはずっと、待ってたのかもしれないね」


「胸の奥から...何かが溢れてくるの...っ」


「教えて結衣ちゃん...これは、なぁに?」



もはや言葉は不要だ。


満月が妖しく見守る中、私達は阿波の自然に祝福され、その唇を重ねた。


眼には宝石。


空にはアヤカシ。


隣には、愛を。


全てを抱擁し、私達は部屋の中の優しい闇へ消えていく。


月が微笑んだ、そんな気がした。


2day~end~



ーさくらぎ旅館ー


ピピピピッ


あかり「うーん...」


あかり「結衣ちゃん、起きて...」


ユサユサ


結衣「ん...あかり...」


ギュッ


あかり「わっ///」



あかり「もう...準備しないとイベントに遅れちゃうよ?///」


結衣「えー...」


結衣「もう少し...」


あかり「だめだよぉ、お姉さん達が待ってるよ?///」


あかり「帰ったらいくらでも抱き枕になるから...ね?///」


ナデナデ


結衣「約束だぞ...ん......」


あかり「はい、着替えだよぉ」


結衣「ありがと...」


モゾモゾ...


結衣「あかり...んー...」


あかり「ゆ、結衣ちゃん...もぅ...///」


チュ


結衣「ん...おはよう、あかり...」


あかり「もしかして毎日キスしないと起きないつもり?///」


結衣「もちろん」



ー旅館前ー


モブA「ほんなら行くでよ!」


モブB「おまんらはどこ行くん?」


あかり「えっと、ミラクるんのところとナモクエのところですね」


モブA「ほんなら広場んところじゃな」


モブB「うちらは東〇とアイドル〇スターのところじゃけんちょい離れとるなー」


結衣「ガイドがあるので大丈夫ですよ」


モブA「ほんならええんじゃけんど、きぃつけぇよ?」


モブB「妙な人らもおるけんなー...」


結衣「は、はい」



ーポッポ街ー


あかり「わあ!ミラクるんがいっぱいだよぉ!」


結衣「アーケード全部ミラクるんで埋め尽くされてるな...」


モブA「ナモクエは新町川のところでやいよるみたいじゃけん終わったらほこ行ってみないよ」


モブB「ほんなら、今度こそお別れじゃなぁ」


あかり「ありがとうございました、何から何まで...」


結衣「本当に助かりました」


モブA「気にせられん、お互い様じゃわ」


モブB「ほんなら、どちらえかー」



ー☆チーナの翻訳コーナー☆ー


ちなつ「じゃあ行くよ!」


京子「君達はどこに行くの?」


あかり「えっと、ミラクるんのところとナモクエのところですね」


ちなつ「じゃあ広場のところとポッポ街ね」


京子「私達は東〇とアイドル〇スターのところだからちょっと遠いなー」


結衣「ガイドがあるので大丈夫ですよ」


ちなつ「それならいいんですけど、気をつけてくださいね?」


京子「変な人もいるからね...」


結衣「は、はい」



ーポッポ街ー


あかり「わあ!ミラクるんがいっぱいだよぉ!」


結衣「アーケード全部ミラクるんで埋め尽くされてるな...」


ちなつ「ナモクエは新町川のところで開催してるみたいだから終わったらそこに行ってみてね」


京子「さて、今度こそお別れだな」


あかり「ありがとうございました、何から何まで...」


結衣「本当に助かりました」


ちなつ「気にしないで、お互い様よっ」


京子「じゃあ、まったねー」


バタン


ブロロロ...


ちなつ「こんな感じね」



ちなつ「マチアソビについてもチーナが詳しく教えちゃうんだから!」


ちなつ「マチアソビって言うのは早い話がアニメフェスタみたいなものよ」


ちなつ「だいたい9月の後半から10月の前半ぐらいまで開催してるよ」


ちなつ「去年のマチアソビはGOD EATERやfateが多かったイメージね」


ちなつ「イベントは...血界戦線のキャラクターとGOD EATERのキャラクターが眉山のロープーウェイの放送で観光案内してたよ」



ちなつ「あとはチャリティーオークションなんだけど、大枚が飛び交ったのよね...」


ちなつ「50万だったかしら...」


ちなつ「あとは俺ガイルの原画なんかもあったかしら」


ちなつ「全体的な印象はアイマスがブイブイ言わせてたわね」


ちなつ「中村繪里子先生監修のとくしまいちごばあむってスイーツもあったわ」


ちなつ「他にもメタルギアソリッドで有名な声優の大塚明夫先生の熱血指導とかも見所だったわよ」


ちなつ「過去にはアイマス先生勢揃いだとか、東方Project原作者ZUN先生とか...とにかく次元が違う人達も集まってきたのよ!」


ちなつ「少しは興味持ってもらえたかな?」


ちなつ「マチアソビって言葉を見かけたら思い出してくれると嬉しいな!」


ちなつ「以上、チーナの翻訳コーナーでした!ばいばいっ!」



あかり「見て見て結衣ちゃん!ミラクるんだよぉ!」


結衣「ホントだ...コスプレしてる人ばっかりでなんか私達の方が浮いてるな...」


あかり「まあまあ、京子ちゃんのお土産買っちゃおうかっ」


結衣「うん、そうだね」


ギュッ


あかり「えへへ...///」


結衣「ふふ...///」



あかり「さすがに買いすぎちゃったかな...?」


結衣「これだけあれば京子も何も言わないだろう、ナモクエの方に行ってみよう?」


あかり「うんっ」


カッコウ...カッコウ...


結衣「可愛い音だね」


あかり「信号から聞こえてくるよぉ」


結衣「ね、あ、ほらあそこだ!」


あかり「ナモクエっておっきく書いてあるね」


結衣「行こうあかり!」


あかり「あ、待ってよ結衣ちゃーん!」



あかり「ふぅ...ふぅ...えっと結衣ちゃんは...」


結衣「こっちこっち!」


あかり「すっごくはしゃいでるね...今行くよぉ!」


結衣「みてあかり!プイミスライムだよ!」


あかり「あ、あかりあの子知ってるよぉ!」


結衣「すごい!新モンスターだ!」


結衣「いいなぁ...早くやりたいなぁ...!」


あかり「えへへ、一緒にやろうね」


結衣「うん!」


あかり「あっちでナモクエのグッズも売ってるみたいだよぉ」


結衣「いこう!」


あかり「あっ、もう...今日の結衣ちゃんは困ったさんだよぉ、えへへ///」



結衣「はー買った買った」


あかり「目の色変えて漁ってたね...あはは...」


結衣「ごめんね、あかり」


結衣「疲れただろ?荷物持つよ」


あかり「大丈夫だよぉ、あとは空港に行って飛行機に乗るだけだしね」


結衣「それもそうだな...でも持つよ」


あかり「あ...えへへ...ありがとう、結衣ちゃんっ///」


結衣「どういたしまして、あかり...///」


ー機内ー


ゴオオオオオ...


あかり「うぅ...お空の上は馴れないなぁ...」


結衣「はは、大丈夫だよあかり」


ギュッ


結衣「死ぬ時も一緒だよ?」


あかり「嬉しいけど不吉だよぉ!」


「ありゃ?さっきの声は...」


~終~

お付き合い下さりありがとうございました。
マチアソビはチーナに喋らせすぎた感が否めない...。
モブちゃんのモデルは実際に出会った方で、許可をとってある程度再現してます。

また行きたいなー

という訳で依頼だしてきます。

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