キャラ崩壊注意
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いろは「……」ハァ
八幡「なんだよ?」
いろは「……先輩に気付けってほうが無理でしょうし、別に気にしてませんよ」
八幡「……そういうことか」
いろは「なんです? 期待はしてませんけど、一応聞いてあげますよ」
八幡「手袋忘れたのか。それでさっきからあざとく手を擦ってたわけか」
いろは「せ、先輩……」ドキドキ
八幡「カイロ代わりに温かい飲み物奢ってほしいんだろ?」
いろは「……」
八幡「まぁ、たまには奢ってやっても……」
いろは「この唐変木!」ベシッ
八幡「な、なにすんだよ!」
八幡「ほれ」ポイッ
いろは「ありがとうございますー」
八幡「ったく、俺の推察は合ってたんじゃねえか。なんで、叩かれなきゃいけなかったわけ?」
いろは「いえ、見当違いもいいとこでしたよ。少女漫画でも読んで女心を勉強してください」
八幡「……なら、なんで奢らせたの?」
いろは「もらえるものはもらっておこうと思って」
八幡「お前って本当にいい根性してるよな」
八幡「それで、今日はなに買うの?」
いろは「部活で着るジャージを買おうかなって」
八幡「そうか……」
いろは「なんで、ちょっと安堵してるんですか?」
八幡「今回はまともな買い物なんだなって思ってよ。この間はとんでもないとこ連れて行かれたからな」
いろは「この間だって普通のお店でしたけど?」
八幡「……男からすれば、まともじゃないんだよ」
いろは「えー? なんでですかー?」
八幡「女物の下着屋だからだよ」
いろは「別に男の人は入店禁止されてるわけじゃありませんけど」
八幡「それでも、男が入る店ではねえだろ」
いろは「まぁ、男性だけで来てる人は見たことないですけど、カップルで来てる人達ならよく見かけますよ 。仲睦まじく選んだりしてるのを見ると、殺意がわ、羨ましいなって思いますけど」
八幡「おい、本音が隠しきれてねえぞ」
八幡「なんでリア充ってのは人前でイチャつこうとすんのかね。どんだけ自己顕示欲が強いんだよ」
いろは「……先輩は人前で手繋いだり、腕組んだりするのは嫌ですか?」
八幡「当たり前だろ。なんなら、どんな状況下でも他人と接触するのが苦痛まである」
いろは「……そうですよね」
八幡「どうした?」
いろは「いえ、朴念仁で唐変木な先輩ですもん。そう考えてなきゃおかしいっていうか、そうじゃなきゃ気持ち悪いし。むしろ、普通にしてても目が気持ち悪いし……」
八幡「なぁ、なんで貶されてんの、俺?」
千葉 パルコ
いろは「これ可愛くないですかー!」
八幡「……おい」
いろは「あれもいいなー! 先輩はどっちがいいと思いますかー?」
八幡「なんでもいいよ……」
いろは「その適当な答えはなんですか! もっと真剣に考えて下さいよ!」
八幡「そうだな。ここが女物のアパレルショップじゃなくて、スポーツ用品店なら真剣に吟味してやるんだがな」
いろは「寄り道は買い物の醍醐味じゃないですか」
八幡「そうか? いかに用件を早く済ませるか計算するのも楽しいけどな」
いろは「先輩はいつも一人で買い物してるから、そう思うんですよ」
八幡「いや、複数で買い物してるときもそうだぞ。早く帰りたいし」
いろは「だから、先輩は友達が少ないんですよ」
八幡「俺には、妹さえいればいいんだよ」
いろは「その目でシスコンとか犯罪の匂いが……」
八幡「目は関係ねえだろうが。それに俺は悪くない。小町が美少女なのが悪い」
いろは「……そんなに可愛いんですか?」
八幡「そうだなー。血の繋がりがなければ告白してるレベル」
いろは「それでフラれるわけですね?」
八幡「なに決めつけてんだよ。まぁ、否定はしないが」
いろは「そこは否定しましょうよ……」
スポーツ用品店
八幡「ジャージっていい値段するんだな」
いろは「そうですか? ここに置いてあるのは比較的安いほうですよ。まぁ、先輩はスポーツから遠く離れた存在ですから、ジャージの相場なんてわからないでしょうけど」
八幡「そんなスポーツとは縁のなさそうな男をなぜ呼んだ。それこそ、葉山と来れば良かったじゃねえか」
いろは「葉山先輩はいつも忙しそうなんですもん」
八幡「なら同じ部活の奴と行けばいいだろ。戸部なんて毎日暇そうだぞ」
いろは「酷いこと言いますね。戸部先輩だって受験の準備やら大変なんじゃないんですかね? 興味ないんでよくわかりませんけど」
八幡「お前も大概だけどな」
いろは「先輩、これとかどうですかねー?」
八幡「まぁ、いいんじゃねえの」
いろは「……似合ってますかね?」
八幡「その上目遣いやめろ。あざといぞ」
いろは「……だったんですけどね」
八幡「え?」
いろは「なんでもないですよ」
いろは「このジャージにしようかな」
八幡「おい、こっちに色違いのやつがあるぞ」
いろは「先輩ってピンクが好きなんですか? 前もピンクを勧めてきましたよね?」
八幡「そういうわけじゃないが、あざといお前にはピッタリかなって」
いろは「似合ってるってことですか?」
八幡「……性格がな」
いろは「なんですかそれ……。全然参考にならないんですけど……」
いろは「それじゃ、会計行ってきまーす」
八幡「結局、ピンクにするのかよ。一回着てみたほうがいいんじゃないか?」
いろは「いいですよ。時間掛かっちゃいますし」
八幡「もう少しだけなら付き合ってやるぞ?」
いろは「先輩はほんとに鈍感だなぁ……」
八幡「は?」
いろは「じゃあ、行ってきますね。そこら辺で待ってて下さい」
いろは「先輩、どこ行ってたんですか?」
八幡「悪い、少し買い物してた。これ、お前にやるよ」
いろは「へ?」
八幡「この間、万年筆もらったお礼だよ」
いろは「別にそんな……」
八幡「いいから、受け取ってくれ」
いろは「……ありがとうございます」
いろは「空けてみてもいいですか……?」
八幡「おう」
いろは「……これは」
八幡「悪いな。金がなくて、そんな物しか買えなかった」
いろは「嬉しいです!」
八幡「え?」
いろは「……どうですかね? 似合いますか?」
八幡「……お前、いいのか?」
いろは「なにがです?」
八幡「そんな、どこにでもある手袋もらっても……」
いろは「先輩はわたしをなんだと思ってるんですかね……。嬉しいに決まってるじゃないですか」
八幡「で、でも……」
いろは「大丈夫です。先輩の気持ちは伝わってますよ」
八幡「……なんの話だ」プイッ
いろは「さあ、なんでしょうね」クスッ
帰り道
八幡「外に出ると寒いな」
いろは「ですねー」ギュ
八幡「……」
いろは「先輩?」
八幡「……なんで手繋いでんの?」
いろは「だって寒いんですよね?」
八幡「それと、なにが関係あるんだよ」
いろは「先輩、手袋着けてないから温めてあげようと思って」
八幡「……あざといぞ」
いろは「失礼ですね。わたしが誰とでも手を繋ぐって思いますか?」
いろは「こんなことするのは……」
いろは「先輩にだけですよ」ニコッ
end
以上です。
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