諸注意
・このSSは、DQ10のお色気ボスキャラ・妖魔ジュリアンテがあれこれしたりされたりするものです
・描写上、18禁になります
・SSですが、9割方地の文です
・作者はDQ10未プレイです
・眠いので明日から投稿します
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1451398516
そうなるまでの話なので先は長い……! お付き合いくださると幸いです
1日遅れたけど始めます
ギルザット地方の山奥、誰も近づかないような断崖の上に、ボロボロに崩れ落ちた廃屋が建っている。
今では見る影もないが、かつてはガートラントの海を荒らしまわった海賊のアジトとして使われていた小屋である。
家具の類は腐り落ち風化し、床石の隙間からは好き勝手に雑草が伸びていた。
部屋の奥には、煤けた暖炉が設置されている。使われていたもまともな手入れがされていなかったのだろうと思えるほど汚れている――のだが、
よく観察すれば、それが本物の焦げ跡やカビではないと分かる。
カモフラージュだ。
奇特な者なら、普通の暖炉の倍ほどもある大きさの燃焼室に興味を持つかもしれない。
そうすれば、底のレンガに隙間が空いており、わずかに冷たい風が漏れていることに気付くだろう。暖炉の底は跳ね戸になっていた。
持ち上げてみれば、隠された階段が現れる。地下洞窟への入り口だった。
実は、この地下洞窟こそが海賊のアジトの本体で、地上の小屋はダミーなのだ。
暗くジメジメした洞窟内部は広く、それなりの数の荒くれ共が溜まることができただろう。地面には、古い酒瓶がいくつも転がっていた。
そして洞窟の最奥には、重苦しい雰囲気を放つ扉が構えていた。
中身は、錆びた鉄格子で仕切られた牢獄。低音高湿を地で行く洞窟内にあって、最も陰湿な空間だったろう。
昔は、海賊が連れ去ってきた人質や女が閉じ込められていたに違いない。
しかし今、牢屋の中に転がっているのは逞しい巨躯。オーガ族の兵士だ。それが3人。
いずれも、ガートランド王グロスナーに仕えるパラディン輸送隊の一員だった。
表情には生気がない。汚れている。傷ついている。
また、何らかの臭気を覆い隠すように牢獄内には香が焚かれ、不似合いな爽やかな香りが漂っていた。
ともかく、屈強な兵士を3人も捕らえるなど、只人の仕業ではない。
アジトの主は、一体どれほどの怪物だというのか。
何を目的に、彼らを幽閉しているのだろう。
――カツン、カツンと、場違いなヒールの高音が牢獄に反響する。
手足を拘束され、岩壁に磔にされたオーガの兵士、ギザックは、身体が身震いするのを止められない。
その身体には、腰布以外の一切を身に付けていない。ほとんど裸だ。他の2名も同じ有様だった。
単純に寒いというのもあるが、震えの原因は別にあった。
コツ。
靴が岩盤を叩く乾いた音が、ギザックの部屋の前で止まる。
考えないようにしていたが、今日は自分の順番だった。ああ、またか、またなのか。
「や、やめろ……やめてくれ」
弱々しい声でうめくのも、そいつを喜ばせるだけだと分かってはいたが、反射的に声が出てしまう。
そしてそれは、やはり無駄な抵抗だった。
ギイイ、と鉄の扉を開いて、白いヴェールの女が現れる。
そう、意外にも、それは女性の姿をしていた。
オーガ族の巨躯を前にしては華奢にも見えるが、たとえば人間族の女の中であれば長身の部類に入るだろうか。
「ふふ……素直じゃないわね」
顔を歪めるギザックを前にして、踝までを隠すヴェールに身を包んだ女は、胸の大きなペンダントを両手で握りしめた。
布に隠れて見えないが、その口角は邪悪に吊り上がっているのだろう。
次の瞬間、ペンダントに埋め込まれた紫色の宝石から、邪悪な力が墨を流したように解き放たれ、白いヴェールの女を包み込む。
「本当は楽しみだったんでしょ?」
黒紫の煙霧が晴れた後、そこには同じ人物とは思えない姿があった。
身長のほどは変わらないが、まさしく妖艶な美女の容を体現したような女。
纏っていたはずの白いヴェールは影もなく、一目で高級と分かるなめらかな黒革でできた、ひどく面積の小さいビスチェとガーターベルトを身に付けている。
扇情的な衣装によって曝け出された肌は病的なほど白く、いっそ青褪めているほどだ。
それでいて、ピチピチとして引き締まり、今にも弾けそうな肉感を湛えている。
3人の兵士を捕らえて以来、その肌は毎日少しずつ輝きを増しているのだった。
やはり場違いとしか言い様がない。ここは男臭い海賊のアジトだったというのに。
とても豊かな、豊かすぎるほどに伸びた菖蒲色の髪は、まるでよく手入れされた獣の尻尾のようにふわりとまとまっている。
獣――まさしくそうであることを示すように、ウサギのそれに似た耳が額の上に生えている。実際、人間やオーガなら本来耳があるべき場所には何もない。
不思議なことに前髪だけが銀色で、2本の房に束ねられ、はちきれそうなバストの下まで垂れ下がっていた。
その顔は信じられないほど小さく、目を除いた全てのパーツもまた小さく整っており、稀代の画家が、自らの思う至高の美女を描き出したかのような造形だ。
彼女の容姿に欠点があるとすれば、それは目だった。
かたちは他の部分に違わず良い。怜悧さを伺わせる切れ長で、長い睫毛が憂いを含んでいる。
ただし、その目は妖しいルビーの輝きを孕んでいた。瞳が赤いのではなく、目全体が真っ赤に染まっているのだ。
いかに美しい女の姿を取っていても、魔物の邪性は隠し切れないということか。
「やめてくれっ!」
男なら誰しも涎を垂らして抱きたがる女を目の前にしても、オーガの兵士は拒絶の意思を見せる。
何とか逃れようとして、手足に嵌められた拘束具が擦れあい、甲高い金属音を立てた。
女妖魔は、そんな彼の頬にすべらかな指を――その腕には革のグローブを付けていたが――這わせて囁く。
「暴れちゃダメ。やめてほしいなら、それなりの態度があるでしょ?」
一瞬、ギザックは女が何を言っているのか理解できなかった。それほど、この牢獄ではこの女に慈悲を期待することは許されてこなかったのだ。
しかし、この妖魔がそう言うのなら……気まぐれに、そういうこともあるのかもしれないと、己を取り戻す。
「や……やめて、ください。許してください」
「うふふ。どうしようかしら。そうね、あたしの名前を言ってみなさい」
ギザックの肩の角をいやらしく撫で回す女の口調は、本気で迷っているように聞こえた。
従う以外の選択肢はない。
「ジュリアンテ……様」
「何かしら、奴隷1号くん」
間髪入れず、白々しい返答が返ってくる。
奴隷扱いされて喜ぶ輩も確かにいるのだろうが、ギザックにとってそれは屈辱でしかなかった。
当然だが、以前はそんな呼び方をされたことはなかったし、これから先もないだろうと思っていたのだ。
この魔女の巣に捕まるまでは。
城で一兵士として働いていた時ですら、兵士長は自分の名を覚えてくれていて、それで呼んでくれたのに。
だから、彼は冷静さを少しだけ失ってしまったのだろう。
「身体が持ちません。どうか、今日のところはお許しください。何でもしますから」
「……ん?」
ねっとりと、甘い声。
「今、何でもするって言ったわよね」
言ってしまった。聞かれてしまった。もう遅い。
喜色満面の表情で、声のトーンを上げるジュリアンテ。それは無垢なようで、同時に艶のある不可思議な笑みだ。
これが同じオーガなら、どれだけ嬉しいか。
残念ながら、こいつは化け物だ。
どうせ、最初からそのつもりだったに違いない。問答は無意味。
戯れに希望を与え、予定通りに落とす。魔物の常套手段だった。
「じゃあ、始めましょうか」
言って、彼女は腰に収めていた武器を取り出す。鋭い光を放つ、暗殺用の武器――「どくばり」だ。
小さく脆いが、うまく秘孔に当てれば、いかなる種族も一撃で息の根を止めることができる死の突剣。
それを躊躇いなく、ギザックの下腹部に突き刺した。
穿たれた刺創から一筋の血が流れ落ちる。
鍛えられた筋肉が、ほとんど薄皮一枚の程度で針を止めたが、目を覆わんばかりの痛々しい光景であることに違いはない。
「あ……があっ」
顔を引きつらせるギザック。しかし、それは痛みによってでも、致死性の毒によるものでもない。
「どくばり」に元々仕込まれていた毒は取り除かれ、代わりに特製の媚薬が塗られていた。
これから自分に訪れる、歪んだ快感。それに対する嫌悪感が、ギザックを襲う。
モノトーンの色魔、ジュリアンテに捕まってより、2日毎に味わっている感覚だった。
確かに、最初は驚いた。この妖魔の抜きん出た容姿も合わさって、湿気た牢獄が楽園にも思えたのは否定しない。
だが。
「ふっ……く」
針で刺された箇所が熱を帯びる。
湯の入った缶を押し当てられたように温かい、と思えるのは一瞬で、それはすぐに爛れた熱狂に変化する。
熱は徐々に下に向かって降りていった。それがどこに辿り着くかは分かりきっているのに、ジュリアンテはそこに直接刺すことはしない。
男が必死に耐える表情も、自分の奥にある欲望を刺激してくれるからだった。
ギザックの下腹の血管が膨らみ、遠目にも分かるほど表出しているのを見て、ジュリアンテは笑う。ただ妖艶に。
「あはっ。どう? 苦しいかしら?」
「……っ!」
妖魔の問いに、ギザックは答えない。
答えないだけだ。「苦しい」と肯定したところで、それはこいつのエサになるだけだから。
しかし、下腹部から身体の中心にある肉棒へ熱狂が降りてくると、そうも行かなくなってくる。
「ううっ!」
熱を帯びたそれが膨張し、急速に天井に向かって勃ち上がる。
ドクンドクンと脈打ち、盛り上がる肉によって硬度を上げていく様は、とても自分の一部だと思えない。
実際、ギザックは興奮していないのだ。
だが既に、巻いた腰布が持ち上がるほど、彼の性器は反り返っている。
ジュリアンテは我慢できず、知らずのうちにため息をつく。
肘まである長いグローブを外すと、腿や腹と同様に、絹を濃い牛乳に浸したような、どこまでも白く滑らかな腕があらわになる。
その細い指先がギザックの腰布に絡みつき、いとおしむように丁寧にそれを取り払った。
「ああ……素敵」
オーガの体色からして、普段から目の覚めるような赤色なのだろう。
しかし今はより深く、それが赤銅の輝きを帯びているようにさえ見えた。
管の中に詰め込まれている海綿が、一気に血流を受けたことで硬く膨らみきって、はち切れんばかりに震えている。
オーガは他の種族と比べて体躯が大きいのが特徴で、当然それも他とは一線を画す巨大さだった。
この、姿だけは美しい妖魔の顔と首を足したよりも長く、彼女の長い指でも一周するに足りない太さである。
その威容を、ジュリアンテはただ食い入るように見つめる。
「……ぐぅっ」
ギザックはうめくことしかできない。
自分の意思、感情とは関係なくのたうつ巨大な肉棒から目を逸らし、ただこの時間が終わり、妖魔が牢屋から出て行くのを待つしかない。
そして、性質が悪いのはここからだった。
持ち主のコントロールを離れて猛り狂う肉棒は、決して解き放たれることがないのだ。
ひたすら寸止め。
これはそういう毒だった。周期的に何度か発作が訪れ、そのタイミングは予測できない。
今も突然、激しい勃起が全くの嘘であったかのように、赤肉が縮こまっていく。
「ふう……ふう……」
この間に、ギザックは呼吸を整える。まだ終わりではないと知っていた。
今や彼は身体中の毛穴から汗を吹き出し、気温の低いこの洞窟ではそれが湯気となって広がっている。
過激な衣装に身を包んだ女は妖しく微笑むと、そのかぐわしい臭いを思いきり吸い込んだ。
いきおい上体が反り、たわわな乳房と淫靡なへそが強調される。
その扇情的な光景から、ギザックは目を逸らした。
しかし、むせ返るような空気を肺に収め、満足した妖魔はギザックに近づいて睦言を囁くように語りかける。
「もう。我慢しなくてもいいのに」
ギザックの目と鼻の先で、いかにも残念そうにジュリアンテは唇に指を当てる。
蕾のまま萎れてしまった巨大な赤い花が、彼女の白い腹に触れるような距離である。
鎌首をもたげそうになる劣情を抑えこみ、白々しい、とギザックは吐き捨てたくなる。だが、声に出すのはまずい。彼女の嗜虐心をつつくようなものだ。
そして妖魔は、そのまま自分の指をじっと見つめて、楽しいことを思いついたというように目を細めた。
拘束された者にとっては、凶兆でしかない。
ジュリアンテは、ただ伸びやかな肢体を見せ付けるようにその場で背伸びをして、拘束されたギザックの右手指を舐めた。
「なっ……」
そのまま、細胞の継ぎ目すら存在しないような白い両手でオーガの男の大きな手を包み、その指を一本一本丹念にねぶっていく。
わざとらしく、ぴちゃぴちゃと音を立てながら。
ぬめる植物のような舌が絡みついて動き回る。あまりにも自由な動きは、人間に真似できるものではない。
小さな薔薇色の唇が指を離れる時、妖魔の長い舌から唾液が糸を引いてぽたりと落ちるのを目にして、
ギザックは今日の「責め苦」では初めてとなる劣情を覚えてしまった。
この生意気な女を、めちゃくちゃに犯してやりたいと、一瞬だけそんな考えがちらついた。
瞬間、再び彼のモノが大きくなり、硬く大きく、すぐに先程までと同じ威容にまで成長してしまう。
「うっ、あっ」
「あーらあら……そんなに気持ちよかったのね。嬉しいわ」
そんなギザックの考えを知ってか知らずか、ジュリアンテは膝を折って、猛る竿に目線を合わせた。
赤黒い肉の柱が、ダメだもう待てない我慢ができないと、怒るように不規則に脈動するのをじっくり眺める。
裏筋はぷっくりと膨らんでおり、尿道に精が溜まっているのを隠せない。
それも素晴らしいが、何より傘の大きさが彼女の目を釘付けにした。
オーガの雁首は、それこそキノコの類であるかのような直径があり、竿自体にもいくつもの出っ張りがあるのだ。
根元から垂れ下がった林檎のような玉袋は、時折引き攣ったように上下する。
すぐにでも、ここから発射された白いべたべたを腹の中に収めたいとジュリアンテは思う。
もう5000字くらいになってるじゃないか(憤怒)
この辺で一旦終わりにします
再開します
「でも、まだダメよ。イかないで」
それでも、自分に言い聞かせるように首を振った。動きに合わせて、紫苑の豊かな髪がさわさわと音を立てる。
女妖魔は膝を折って、それに目線を合わせた。
この美しい魔物には、ギザックの肉棒が得がたい宝物に見えているかのようだった。
恍惚とした表情で、ただ眺める。その様は、まさしく視姦と言っていい。
ふっ、と細い息を吹きつけられただけで、彼の陰茎は平手で引っぱたかれたかのようにうち震え、男は喘いだ。
それを何度か繰り返した後、ジュリアンテはふと、「どくばり」の柄でこれをつついたらどんな反応をするだろう、と思いついた。
だが、武器を手に取ろうとした瞬間、一際大きく肉棒が膨らんだかと思うと、空気の抜けた風船のようにいきりを収めていく。
「あっ……もう?」
妖魔の赤い目の前で、屹立していた肉が萎む。
頬をふくらませる彼女の顔は、無垢であると同時に邪悪にも見えた。
どうしてやろうかと思案するジュリアンテだったが、ここで予想外の事態が起こる。
赤い柱が完全に下がりきった時、縦に割れた口から透明な液体が流れ出て、糸を引いて垂れ落ちる。
そして、ぴたん、とかわいらしい音を立てて彼女の青白い腿に着地した。
瞬間。
「きゃっ!」
なぜか妖魔は驚いて仰け反り、ぺたんとその場に尻餅をついてしまった。
ひどく扇情的な格好からは想像できない、アンバランスな光景だった。
日毎にこんな行為をしているのだし、その手の行為には馴れているはずなのに、なぜ先走りが触れた程度で驚くことがあるのか。
その様子を見たギザックが、逆に内心ひっくり返るほどだった。
ともかく、その隙をついて、彼は冷静さを取り戻すことに成功したのだった。
毒の効果で焦点が定まりきらない目を、いまだに座り込んだままの女に向ける。
死んだ蛙のように、足をはしたなく開いたまま固まっている妖魔ジュリアンテ。
ギザックが力を込めれば折れてしまいそうなほど細いウエストと対照的に、ビスチェから零れんばかりの――実際4割ほどは収まっていないのだが――存在感を放つバストを眺める。
そして、初めて覗く彼女の内腿は、石鹸の泡のように真っ白な身体の中でも判別がつくほど殊更白く輝いていて、一目でそれが柔らかいと分かった。
長い脚の付け根に埋もれているはずの淫らな花瓶と雛先、うしろの窄まりは、V字型に刳られたいやらしい黒革のパンティによって辛うじて覆われているが、
それは布というよりも、少し幅の広い紐といった趣だ。体型に対して、サイズが小さすぎるのだろう。
相当きつく肉を縛り付けているはずだが、ぷっくりとした雌しべは隠し切れず、厚ぼったい盛り上がりを主張していた。
――ああ。
ギザックはこの時、突然に気付いた。
この牢獄にあって圧倒的優位に立っているはずの妖魔が、常に自分を見上げなければならなかったことに。
それはつまり、最初からこれまでずっと、自分はこの女を下に見ていたのだということで。
初めて、余裕を持ち直す。
DQ10未プレイなのに書いていくのか(賢者感)
「ふん、どうした妖魔。情けない格好だな」
オーガ兵の悪口に、ようやくジュリアンテもはたと気付く。
反射的に右手を股にかざし、見つめる男の視線から大切な部分を隠した。
左腕を伸ばしてさっき脱いだグローブを掴み、腿に付着した透明な汁を拭う。
なぜ自分はあれほど取り乱してしまったのだと、考えれば考えるほど分からない。
ムズムズとする羞恥心を感じて、それを悟らせまいと口を引き結んで立ち上がった。
「何よ。あんたの方がよっぽど恥ずかしいじゃないの。そんなモノで、あたしを満足させられると思っているのかしら?」
ギザックの萎えた股間のものを指差して、ジュリアンテは一気にまくし立てた。
もっとも彼も、うまく逆転した攻勢をむざむざ返すつもりはない。
「試してみるか?」
あくまで上からの態度。今となっては、なぜ自分があれほどこの女に怯えていたのか分からない。
そもそも、こいつは自分たちを殺す気などない、という大前提も忘れていた。
ならば、どのように振舞っても大きな問題はないはずではないか。
いや、あるのかもしれないが、この女に良いようにされているのが気に食わない。反抗したい。
もしかすると、長いあいだ暗闇に縛られ続けたことで、何かが振り切れたのかもしれない。だが原因はどうでもよかった。
「……ふんっ」
妖魔は明らかに苛立っていた。
ギザックの挑発に乗りこそしなかったが、興が削がれたのは間違いない。
美しいシルバーの前髪を落ち着きなく指で弄びながら、その語調は強くなっていった。
「言うじゃない。まだそんな元気が残ってるなんて嬉しいわ……それとも、あたしにオシオキされたいのかしら!」
ジュリアンテの目は血走ったような光を宿し、男性のシンボルを睨みつける。
ここに連れてこられた初日にされたように、棘がついた鞭で打たれるのだろうか。
それでも構わないとギザックは思った。確かに痛いが、痛いだけで済むのだから。
だが、妖魔の頭の片隅には冷静さが残っていた。
そのピンクの小さな唇がいやらしく蠢いたかと思うと、ぷぅっ、と泡の混じった唾液が飛び出す。
透き通った唾液の玉は、だらしなく垂れ下がったギザックの肉柱に直撃し、萎えたそれをわずかに揺らした。
甘酸っぱい匂いを散らす液体はゆっくりと這うように、大きく張り出したカリ首が形作る急峻な山を越え、亀頭へと落ちていく。
「もうちょっと楽しみたかったけど、仕方ないわね。今日は終わりよ、奴隷1号」
「ふん、三流の捨て台詞もいいところだ……」
ささやかな勝利を確信するギザックだったが、妖魔が薄く笑って、足元の籠からワイングラスを取り出したのを見るに、眉を顰める。
その古びたグラスは、確かにいつも「終わる」時に彼女が使うものだったからだ。
「おい、まさか……」
「ふふ。先に言っておくわ。ご・ち・そ・う・さ・ま」
ズル剥けの赤い亀頭にまで辿り着いた妖魔の涎は、まるで意識を持った生き物のように、陰茎を貫く尿道に這入りこむ。
それは解毒剤。媚薬によって無理矢理に押さえ込んでいた射精を解き放つためのスイッチだった。
「くお……ぬ、ふっ!」
途端に、ズザックの全身をこれまでにない痺れが襲う。
だが、それは正確ではないだろう。
実際には毎回体験しているのだが、達した後にいつも意識を失うため、感覚を覚えていないのだ。
勃起しきってもいないうちから尿道が痙攣し始め、それまで媚薬によって抑制されていたオーガズムの快感が、津波のように一斉に押し寄せた。
数瞬の間、皮膚の全て、身体の隅々が、耳の先から足指の爪に至るまでが巨大なペニス――それも、もっとも敏感な裏筋の部分――になったかのような感覚に包まれる。
冷たい空気が身体の表面を撫でるだけで、ズザックは悶え、身を捩らなければならなかった。
それがいけなかった。手足の拘束具が存在を誇示し、信じがたいほど敏感になった皮膚を刺激する。
更にはその金属音が起こす空気の振動ですら、彼の鼓膜に響き、脳を直接愛撫されるようないわく言いがたい感じを呼び起こした。
「おおおお――」
それは神経の酷使だった。とっくに麻痺しているのに、無理矢理に感覚を伝えさせられている。
屈強なオーガの戦士ですら絶叫を止められない、ある種の絶対的な苦痛だった。
使い物にならない頭で、ズザックはこれだけは理解した。
あと数回のうちに、自分は精神を壊し、廃人と化すだろう。
実際には数秒でしかないのに、永遠とも思える病んだ快楽の中で、彼は何度目かになる光景を見た。
淫らな魔女が、少女のような満面の笑みを自分に向けている。
いや、その視線の先にあるのは、あくまで暴れ狂う真っ赤な陰茎だ。
女の視線を感じ取ったように、痛いほどに腫れ上がったペニスから、暗い天井に向けて大量の精液が放たれた。
壊れた蛇口のような有様だ。いくらかは、本当に天井の岩に吸い込まれただろう。
白い奔流は、ズザックの精神を繋ぎ止めていた堰まで吹き飛ばした。
オーガの兵士の全身が痙攣する。絶叫はまともな音列を成さず、やがて彼の巨躯からあらゆる力が抜けていく。
その頭が、かくんと垂れた。
今日の投下分は以上です。お疲れ様でした
>>28
未プレイだからこそ見えてくるものもある(適当)
たとえば、ジュリアンテが序盤のわりとどうでもいい中ボスで、登場人物の誰も彼女の容姿についてコメントしてないとか、全然知らないです
再開します
ジュリアンテはもはやズザックには目もくれず、一続きの太い紐のように降ってくる彼の白精を残らずワイングラスで受け止めていた。
グラスが粘性の液体を受け入れると、水面に小石を投げ込んだような、硝子を指で弾くような、独特の音響を発した。
やや黄味がかった白濁の体液――濃厚なスキンシップによって凝縮された男性のエキス。
それは彼女にとって、至高の精酒を生み出す酵母か、それ以上の代物だった。
永遠の若さを保つ不死の神々が愛飲するネクターとでも言うべきか。
まず、恐ろしく美味。それは単なる味の問題ではなく、液を飲む行為が惹き起こす甘い疼きも含めての話。
提供者に想像を絶する負担を与えることで精製された飲み物は、彼が果てるまでに感じた情感をそのまま含んでおり、口に入れた者に伝えるのだ。
「ちょっと天井についちゃったのはもったいないけど……たくさん出たから、許してあ・げ・る」
一点の翳りもない整った白貌には、白濁をグラスに注ぐ際に跳ねた残滓が付着していた。
本来なら容姿を損なうものだが、不思議な事に、それすらも彼女の美しさを引き立てていた。
なぜならジュリアンテは淫魔であり、淫魔の肉体は精液を吸収することで若さを保っている。
精である以上、残滓とはいえどもジュリアンテの一部なのだ。
人間がつけるアクセサリーのようなものだった。
「って、聞いてないわよね」
「って、聞いてないわよね」
恍惚とした表情で長い桃色の舌を伸ばし、顔に付いた液体の残滓をきれいに舐め取ってから、
ボロ布のように地面に落ちたギザックの腰布を元の位置に戻す。その過程で萎えた赤肉に触れないよう、細心の注意を払う。
グラスを満たした濁りに満足気な笑みを向け、妖魔ジュリアンテは部屋を後にした。
――そうだ、あのグローブ、後で洗わないといけないわ。
先程のやり取りの中で、少しの間自分が劣勢に立たされたことなど、既に忘れている。
ジュリアンテは色魔なのだ。目的のものが得られれば、それ以外は重要ではない。
彼女が向かったのは、私室だった。
栄光の過去においては海賊のボスが使っていたであろう、アジトで最も大きな部屋。
長らく放置されていたその空間は、主の変化によって趣が大きく作り変えられている。
無骨なランタンは破棄され、部屋の中央にはバタフライ・イエローのみずみずしい光を放つシャンデリアが下がり、豪奢な家具を照らしだしている
滑らかな真紅の織りカーペットは王城に敷かれているような高級品で、一切の遊び毛がない。
彼女以外の誰かが――たとえ彼女の姉であっても、ここに足を踏み入れることはなく、まして今アジトにいるのは牢獄に繋がれた奴隷達のみ。
ゆえに全くその必要はないのだが、ジュリアンテは扉にかんぬきを掛けた。
慎重を期しているのではない。外の空間との繋がりを断つ儀式だった。
これから始まる秘め事は、自分だけのものだから。
以前の奴隷を使って新調した、これまた真紅のベルベットのソファに細い腰を下ろし、妖魔は羚羊のような艶めかしい脚を組んだ。
恐ろしく絵になっている。その姿を写真に収められれば、高値で取引されるに違いない。
テーブルにはグラスの他に、レモン色の液体が入った瓶が乗っている。
魔術的な効果を増幅させる、エルフの飲み薬だ。
それをグラスに注いで、硝子の棒で掻き混ぜる。
オーガの精液は濃厚すぎて、それだけでは飲みづらい。さらに、飲み薬と混ぜることで吸収しやすくなるのだ。
グラスから零れ落ちそうなほど入った粘性のジュースに、かたちの良い小さな鼻を近づけて香りを堪能する。
かぐわしい匂いを肺いっぱいに吸い込んだ女の身体が、静かに震えた。
「じゃあ……いただきまーす」
グラスの縁に小さな唇をつけ、一気にあおる。
彼女自身もったいないとは思うが、飲んでいるのは一種の劇薬で、すぐに効果が現れてくるタイプのものだ。
ちびちびと飲んでいては、身体の震えが大きくなって、何かの拍子にグラスを落としてしまうかもしれなかった。
そうなれば、もったいないでは済まされない。
ごくんごくんと喉を鳴らし、かなりの勢いで液体を飲み下していく。
口の端から液が溢れそうになるが、妖魔は器用に首を動かし、一滴も零さず腔内に収める。
もしこの場に男性が居合わせたなら、彼はジュリアンテの白く細い曲線を描く喉に劣情を覚えずにはいられなかっただろう。
最後の一滴まで残らずそれを飲み干した妖魔は、震え始めた手でなんとかグラスを置く。
精のジュースに触れた口腔が、喉の粘膜が、空の胃が、湧き出る淫靡な歓喜に包み込まれるのを感じる。
熱いべたべたが、喉に絡みついて離れない。言い知れない苦味と甘みにむせ返りそうになって、何度も唾を飲み込んだ。
意識を集中すると、オーガの体液が喉だけではなく内臓の壁にも引っかかって、淫らな熱を放っていると分かる。
腹が疼きを上げる。座っていられない。前のめりになって反動をつけ、弾くように腰を引き上げた。
「ぁっ……!」
その動きだけで感じてしまう。思わず切なさを孕んだ声が漏れて、彼女は口を左手で覆った。
だが、声は唇からではなく、つぶれるように細かく震える喉から出ているのだから、それで収まるはずもない。
「ぅんっ……いぃぃっ!」
嬌声は抑えられるどころか、どんどんそのトーンを上げていく。
全身に勢いよく血が巡り、新雪のごとく白い柔肌にうっすらと朱色が射しはじめる。
身体は言うことを聞かず、そこかしこが好き勝手に痙攣する。
まるで見えない手が中を這い回っているような感覚だ。
それに抵抗するように脚を振って、腿まである黒いブーツを脱ぎ捨てた。
その間にも右手は忙しなく動き回っていた。
腕に残ったグローブを脱ぎ捨て、ガーターベルトのホックをぱちんと外す。
激しく跳ね回る白魚の動きで、ぴっちりとした網タイツが下ろされると、光を放つように真っ白な長脚がすべて、上から下まであらわになる。
彼女のふくらはぎは筋肉質で引き締まり、細い足指と爪の形に至るまでが完璧に美しい造形である。
胸の下半分以外ほとんど覆えていない、際どい水着のようなデザインのビスチェを放り投げると、男を狂わせる魔性の果実がシャンデリアの暖光に照らし出された。
栄養が行き届きすぎたような大きさだが、しかし下品さを感じさせるほどではなく、不思議なつつましさをも備えたふたつの膨らみ。
十分にかき混ぜたクリームの柔らかさを持っているのに、毅然として球の容を保っている様は、そこだけが重力の影響を逃れているのかと錯覚する。
その先端を飾る宝石は、狂おしい色気を放つ豊満な肢体に似合わず、幼い少女のごときくすみのない桃色であった。
いまや、ジュリアンテの身体を守っているのは、いやらしく秘部を縁取る黒いパンティーのみとなっていた。
今日はここまでです。
拷問編終了、次から新展開に入ります。
姉の方がスゴイってそれ一番言われてるから(指摘)
投下します
「はっ、はっ……! ダメ、ガマンできない……!」
声色からは身を切るような切なさが消え、代わりに激しい熱が乗っていた。
ほとんど生まれた時の姿に戻った――あるいは、蛹が蝶に羽化したようでもある――彼女は、ただひとつの欲望に突き動かされていた。
足を引きずるように、部屋の隅にある天蓋つきのベッドに向かう。
そうでもしないと、美しい肢体がバラバラになってしまうかのような、ゆっくりとした動きだ。
実際、緩慢な動きに拘わらず大袈裟に揺れ、打ち震える豊満な乳房は、彼女をはかない夢のように見せていた。
ようやくベッドの前に辿り着くと、彼女は雲のようにふかふかの褥へ吸い込まれるように飛び込んだ。
「ひっぅ!」
それだけで、つんと前を向いた桃の先端が擦れ、そこに電極が取り付けられたかのような感じを覚える。
たまらず上体をびくつかせ、腰を折った。
ベッドの外に向けて、見事な丸い曲線を描く柔尻を突き出した格好のまま、ジュリアンテは息を整えた。
しばらくそのまま動かないでいると、浅かった呼吸が深いものへと戻っていく。
ベッドの上に膝立ちになって、熱っぽい腹部を抑える。
先程飲み下したものが、胃を通り過ぎて腸へと流れ着き、女に新たな快感を与えていた。
この快楽に溺れたい。左手で乳房を揉みしだき、右手の指と掌を操って自らの白い腹を撫で回し、細胞のひとつひとつに活力が漲っていくような言い知れない感覚を堪能する。
「あん、あんっ、いい、いいよぉ……っ」
硝子窓の隙間から吹き込む、わずかな風のようなか細い声で、女は喘いだ。
蕩けそうな愉悦が、小気味よく縦に割れたへその下にまで降りてくる。
そろそろと、彼女の指がそれを追った。
そして、黒革の下着の奥へと、震える指先が埋もれていく。
「は――っ」
ぬちゃ、と淫らな水音が鳴って、びくんっ、と、細い腰が跳ねる。
パンティーの裏地には、彼女の蘭花から漏れ出た蜜が大きな染みをつくっていた。
その様はもはや、小さな水たまりと言っていい。これまで外に溢れていなかったのが、不思議なくらいだった。
湯気の立つほど熱く、卑猥なぬめり。甘くかぐわしい香りが、部屋を満たしていく。
ぐっしょりと濡れたそれを見て、明日は別の下着を用意しなければならない、と呟こうとしたが、声にならないうめき声が出ただけだった。
肌の白さを強調する黒い紐に手をかけて、最後に残った理性の印を優しく下ろす。
腰部は何の抵抗もなくするりと通り過ぎたが、からだの中心にある秘部だけは、接着剤で留められているかのように粘り、外に出るのを拒むかのようにパンティーを吸い付けていた。
「こんなに、出るなんて……」
ジュリアンテは悦びに打ち震え、頬を紅潮させた。見ようによっては冷酷にも思えた小さな白面に朱が射し、その表情を柔らかくした。
少し力を入れると、ついに黒革がソコを離れた。何本もの輝く水糸が、それを惜しむように、引き止めるように続く。
「――ぁ」
ぱさり。
ぐしゃぐしゃになったパンティーが膝元に落ちる。自らのおもさに耐え切れなかった虹色の糸が千切れ、残りは伸縮性のあるゴムのように出所に戻っていく。
爛れた熱を持った秘部が冷ややかな空気に触れると、それだけで強い快感がもたらされた。
剥き出しになった花弁は、そこに走る微細な血管が表面に浮き出て、薄桃色に染まっている。
主がきわめて淫らな状態であるにも拘わらず、その部分自体は一種の品性を感じさせるほどたおやかだ。
盛り上がった丘には密林どころか、毛穴すらもないように見える。つややかな蘭の花が、そこにあった。
花弁同士はぴったりとくっついており、何者の侵入も許したことがないようだった。
まわりは満遍なく濡れており、滴った蜜にシャンデリアの光がきらきらと反射する様は、天上の蓮を連想させる。
ジュリアンテは、暗い洞窟の奥に咲き誇る魔性の花だった。――食虫花だ。
実際、この部屋に戻ってきた時よりも、確実に彼女の美貌は増していた。
彼女は人差し指を立てて、両の肉花弁の間をつうとなぞってみた。ぬるぬるした熱いものが絡みつき、すぐに指を包み込んでしまう。
そのまま、うしろへと蜜の線を引いていく。何度も往復させながら、少しずつ水路を延ばした。十分な量が、既に流れ出ていた。
やがて、白い指は目的の場所を探し当てた。
ぷっくりと膨らんだ、いやらしい窄まり。例に漏れずつやつやしているが、噴火口のように盛り上がっていた。
つんと窪みをつつくと、きゅうっと周囲の筋肉が収縮する。
だが、それは本来の機能を果たしたことがなかった。そこにはこれまで異物が入ったこともなければ、出たこともなかったのだ。
底から蜜を産み続ける、薄桃色の花壷と同様に。
だから彼女の快楽は、次にて絶頂を迎える。
「……あたしを、満足させてちょうだい」
二枚の花びらが合わさる部分に息づく、丸い蕾。
そこが、ジュリアンテの身体でもっとも感じやすいところだった。
これまでの愛撫によって、蕾は開花寸前までふくらみ、一際赤く輝いていた。
ごくり、と生唾を飲み込む音。
秘蜜に塗れた人差し指と中指とで、女はそれをそっとつまんでみる。
「――っ、う――はぁんっ」
その途端、みずみずしい弾力のあるかたまりがぴくんと反応した。
だが、それは核ではない。もっと大事な宝石が、中に隠れている。
宝石を覆うベールを取り払っていくように、ジュリアンテの指が若々しい植物のつるのように巻きつき、しなる。
「んっ、んぅうっ!」
全てはこの瞬間のため。
妖魔の呼吸が激しくなり、その股ぐらからは濃厚な雌の匂いが漂う。
どろりとした猥雑な空気がジュリアンテの肺を満たし、それによって彼女の脳芯はいよいよ悦楽の坂を昇っていく。
再び奥から溢れ出した愛液が、ちょうどよい太さに締まった白い太腿を伝い、マットに染み込んでいく。
膝立ちの姿勢が煩わしくなって、背を褥に預けることにした。
獣の尾を思わせる髪が、雲の上にばさりと広がり、もつれ合う。
「はっ――はっ――はっ、あっん、はっ」
既に、全ての呼吸は口で行っている。
元々ジメジメした洞窟内の空気に、彼女が流した玉の汗と卑猥な液が蒸気となって混ぜ合わさり、喉を乾かせないほどの湿度が実現している。
ああ、うまく股が開かないと思ったら、くしゃくしゃになったパンティーがまだ足に引っかかっていたのだった。
脚を振って、重くぬめるそれをどこかへ投げ出して、今度こそジュリアンテは一糸纏わぬ姿を曝け出した。
豪奢なシャンデリアの光よりもなお一層輝いて見える、それは女体の黄金比だった。
くっきりした凹凸が作り出す柔らかな陰影までが、彼女の肉体を完璧なものに仕立てていた。
精巧な蝋細工めいた両手の指は、蕾も花弁も、つんと硬くなった乳房の頂上も区別なく、激しく擦りあげる。
芳醇な蜜は重力に従って、甘美な曲線の上を滑り落ちていく。
そのため、妖魔の身体は隅々まで自らの愛液に塗れて光を反射し、まるで彼女の皮膚からそれが分泌されているようだった。
前後不覚の爆発する快感の中で、ついに膨らみきった蕾の中身が天を向き、包皮を押しのけて姿を見せる。
「ひぁ!」
勢い余って、その部分を爪で突いてしまった。
同時に、わずかな痛みと圧倒的な快感が下腹を内から強く叩く。びくんと身体が痙攣する。思わず愛撫を止め、股間に手をやった。
敏感な尖りは硬く腫れ上がり、親指の先ほどの大きさになっている。
妖魔ジュリアンテは自らの肢体に絶対的な自信を持っていたが、この、今にもとろけそうな大きな肉の芽だけは誰にも見られたくなかった。
だから、体格に合うよりも小さめのパンティーを履き、その部分を戒めるようにきつく締め付けているのだ。
「うっく……かふっ」
感じるための神経が集まった肉芽を弾き、弄くる時、妖魔は乙女のように鳴き声を絞る。
息が苦しくなり、胸が押しつぶされるような切なさが脳髄に染み渡った。
「気持ち、いいよお……」
勃起した男のものからは、甘美な精が撃ち出されることは知っている。
しかし、ジュリアンテがこれまで幾度となく耽ってきた自慰の中で、硬くなった自分の尖りから同じように精液が出てきたためしはなかった。
単純に、快感が足りないのだろうと思っていた。自分も男達のように、白濁したドロドロを吐き出してみたかった。
今日はたくさんそれを飲んだし、いつに増して気分がいいのだから、この先を体験できるかもしれない。
その思いが頭に浮かぶと、無意識のうちに指の動きが激しさを増した。
弾け飛びそうな赤い硬肉をめちゃくちゃに挟み、引っ張って、しごいて、こねくり回す。
「ああぁっ、やっ、ぁぁあ――」
徐々に、声の調子が高まっていく。艶やかでありながら、突き刺すように鋭い。ほとんど叫び声と化していた。
見開かれた深紅の目には透明の涙が浮かび、紅潮した頬を伝って流れ出す。
本人も気付いていないが、だらしなく開いた口の端からは涎が溢れ、細い顎と柔らかな喉を濡らしていた。
見えない何かに引っ張られるように、次第に腰が持ち上がって、悩ましい鼠蹊部がつまびらかになる。
もしこの様子を、部屋の中央にあるソファーから眺めている者がいたなら、張りつめた肉芽のシルエットが天蓋のカーテンに映りこむのを目にしただろう。
鮮やかに赤く膨張し、甘蜜を垂れ流す花弁は緩み、今にもその中心にある秘裂が口を開きそうだった。
「はー――とける、とけちゃうっ――はー、はー」
完全にたち上がった突起を、貝殻のような爪を用いて連続で弾く。その度に、うしろの穴がきゅんきゅんと反応した。
もう一方の手は、ひっくり返したお椀のかたちを描く双丘にあてがわれ、充血した頂をいじめ続ける。
広い部屋にはただ、温かく粘着質の猥音と、妖魔の短く不規則な吐息、樫のベッドが叫ぶように軋む音だけが響いている。
それらは岩壁に反響して増幅され、重厚な木の扉の外に漏れんばかりだ。
不意に、壊れそうなほどの切なさが、ジュリアンテのからだを駆け巡った。
白い濁りが発射される光景を想像して、彼女の快感はこの時最高潮に達するはずだった。
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