美琴「はぁ、そう……」
絹旗「超興味なさそうですね。同志には超耳寄りな情報だと思ったんですが」
美琴「だって超有名なデマじゃない、それ」
絹旗「なぜデマだとわかるんですか?」
美琴「え? いや、それはほら……あれよ、あれ」
絹旗「もしかして超試したことあるんですか?」
美琴「はぁっ!? そ、そんなわけないでしょ!」
絹旗「超わかりやすい反応ですね」
美琴「うるさいわ!」
絹旗「ちなみにそれは1人で試したんですか?」
美琴「当たり前でしょ。誰かに頼めるわけないし」
絹旗「それならデマと断定するにはまだ超早いですよ」
美琴「……?」
絹旗「これが超効果を発揮するのは……他人に揉まれたときみたいです」
美琴「余計眉唾ものなんだけど」
絹旗「ですが実際にそれで超成長した人が私の知り合いに1人いるんですよ」
美琴「自分で揉むのと他人に揉まれるので違いが出るなんて科学的じゃないわ」
絹旗「それはあれじゃないですか、超気分的なものでホルモンの出方が違うとか」
美琴「胡散くさい……」
絹旗「まあ信じる信じないは御坂の超勝手ですけど、私は超試す価値があると思いますよ」
美琴「私はやめとくわ」
絹旗「そうですか。でも御坂には私の手伝いをしてもらいますよ」
美琴「え、手伝い?」
絹旗「言ったじゃないですか、他人に揉まれることで超大きくなるって。1人じゃ超意味ないんですよ」
美琴「もしかして……私がアンタのを揉むってこと?」
絹旗「決まってるじゃないですか。なんのための同志ですか」
美琴「いやいやいや! おかしいでしょ、それ!」
絹旗「いえ、超論理的だと思いますが」
美琴「アンタだって私に揉まれたくないでしょ!?」
絹旗「訳もなく揉まれるのは超御免ですが、この場合は仕方ないです」
美琴「他の人に頼みなさいよ!」
絹旗「他に頼める人がいたら頼んでますよ。これでも超恥をしのんで御坂にお願いしてるんです」
美琴「どこがしのんでるのよ! 平然としてるでしょうが!」
絹旗「別にいいじゃないですか、御坂は揉まれるわけじゃないんですから」
美琴「揉むのもイヤなのよ!」
絹旗「もしかして超潔癖症ですか?」
美琴「違うわ!」
絹旗「じゃあなにがそんなにイヤなんですか」
美琴「女同士でそんなことしたら……変でしょ」
絹旗「超大丈夫です。私にそっちの気はないんで」
美琴「アンタにその気がなくてもまわりに誤解されるでしょうが!」
絹旗「なにを言ってるんですか? 人目のつくところでするわけないじゃないですか」
美琴「いや、それはそうなんだけど……」
絹旗「御坂は超変態ですね」
美琴「ち、ちがっ」
絹旗「御坂がそういうプレイを超お望みとあれば付き合ってあげなくもないですけど」
美琴「だから違うって言ってんでしょ!」
絹旗「御坂が心配するようなことはなにもないですから」
美琴「心配とかじゃないんだけど……」
絹旗「これで私の胸が超成長したら御坂にも超有益な情報でしょう」
美琴「うーん、まあそうだけど……」
絹旗「まだ渋りますか」
美琴「大体どこでやるのよ」
絹旗「この前のホテルでいいんじゃないですか」
美琴「言っとくけど当然お金かかるのよ?」
絹旗「もちろん半分出します」
美琴(あれ? 私も出すの?)
ホテル
美琴「ここ、普通のホテルなのに……」
絹旗「別にいかがわしいことをするわけじゃないですし」
美琴「どう考えてもいかがわしいでしょ!」
絹旗「御坂は超意識しすぎです。そっちの方が超怪しいです」
美琴「アンタがサッパリしすぎなのよ……」
絹旗「目的達成のためには余計な感情は超不要なので」
美琴「なんか大事なものを失う気がするわ……」
絹旗「じゃあお願いします」
美琴「うう……服の上からでいいの?」
絹旗「……どうなんでしょうか」
美琴「どうって?」
絹旗「服の上からか、下着の上からか、直か……どれが一番効果あるんでしょうか」
美琴「私に聞かれても知らないわよ」
絹旗「とりあえず服の上から始めましょうか」
美琴「とりあえず、ね……」
美琴「じゃ、じゃあ触るわよ?」
絹旗「お願いします」
美琴「……」サワサワ
絹旗「……」
美琴「……」サワサワ
絹旗「……」
美琴「……ねぇ」
絹旗「はい?」
美琴「服の感触しかないんだけど」
絹旗「……超殺す」
美琴「でもホントのことだし」
絹旗「同志なんですからもう少し気を遣ってほしいですね」
美琴「同志だからこそハッキリ言ってあげてるのよ」
絹旗「……まあ私も揉まれてる感覚がなくて、超意味あるのかとは思いました」
美琴「どうすんのよ。やめる?」
絹旗「いえ、超続けましょう。服脱ぎますんで」
美琴「は? 本気?」
絹旗「はい、超本気です」
美琴「質問を間違えたわ。正気?」
絹旗「超殺しますよ?」
美琴「正気を疑いたくもなるわよ……ねぇ、やっぱりやめようよ」
絹旗「まだ言いますか。往生際が悪いですね、御坂は」ヌギヌギ
美琴「はぁ、なにが悲しくてこんな貧にゅ──ってなにをしとるかぁ!」
絹旗「はい? どうしました?」パサッ
美琴「な、な、なんでブラまで外してんのよっ!?」
絹旗「やはり直が一番効果ありそうなので」
美琴「だ、だからってそんな、急に……!」
絹旗「もしかして脱がせたかったんですか?」
美琴「んなわけないでしょ!」
絹旗「御坂が超ウブなのはわかりましたから、さっさとやってもらえますか?」
美琴「こっちにも心の準備ってものが……」
絹旗「女同士でなにを気構えることがあるんですか」
美琴「私……他人の胸触ったことないし」
絹旗「別に上手さとか求めてないので。痛くしなければそれでいいです」
美琴「そこは気をつけるけど……」
絹旗「いい加減寒いので、早くしてください」
美琴「服着ればいいでしょうが……」
絹旗「御坂が超揉んでくれたら着ますよ」
美琴「わかったわよ……揉めばいいんでしょ、揉めば」
美琴「イヤだったらすぐ言いなさいよ……」サワッ
絹旗「んっ……」
美琴「こ、こう?」モミモミ
絹旗「ふあっ……あっ」
美琴「ちょ、ちょっと! 変な声出さないでよ!」
絹旗「わ、わかってますよ。今のは超驚いただけです」
美琴「……続けるの?」
絹旗「当たり前です」
美琴「なんで私がこんなこと……」モミモミ
絹旗「ん、くっ……!」
美琴「今度からは他の人に頼みなさいよね」モミモミ
絹旗「はうっ、ん……!」ビクッ
美琴「ねぇ、聞いてんの?」モミモミ
絹旗「あっ……ひゃんっ!」ビクン
美琴「えっ、あ、ごめっ……痛かった?」
絹旗「い、いえ……超大丈夫、です……」
美琴「ホントに……? 辛そうな声だったけど」
絹旗(御坂ってもしや……超テクニシャン……!?)
絹旗「つかぬことを聞きますが」
美琴「ん?」
絹旗「今までにこういう経験があったりするんですか?」
美琴「さっきもないって言ったでしょうが!」
絹旗「ですが御坂は常盤台のプリンスと呼ばれていると超聞きますし」
美琴「まわりが勝手に呼んでるだけよ。私はそう呼ばれるの嫌いだし」
絹旗(一切の経験なしでこの超テクニック、ですか……)ジーッ
美琴「なによ」
絹旗「いえ、なんでもないです」
美琴「んでどうするのよ。続けるの?」
絹旗「いえ、やめておきましょう」
美琴「ほっ……よかったぁ」
絹旗(これ以上されたら私の方が超ヤバそうですし……)
美琴「じゃあもうココ出ましょ」
絹旗「そうですね」
美琴「二度とこんないかがわしい使い方はしたくないわ」
絹旗(御坂の手つきの方が超いかがわしいんですが)
絹旗「しかし超困りましたね」
美琴「なにが?」
絹旗「この方法がダメとなると別の方法を考えないといけません」
美琴「あーそういうこと……私もいろいろ試してはいるけど」
絹旗「……コレを見るかぎり期待は超できませんね」
美琴「コレ言うな! まだ効果が出てないだけかもしれないでしょ!」
絹旗「まあ超短期で大きくなるなんてありえませんしね」
美琴「そうそう。長い目で見ないとね」
絹旗「その前に御坂の成長期が終わるかもしれませんが」ボソッ
美琴「なにか言ったかなー? んー?」
絹旗「御坂の知り合いにはいないんですか? 最近胸が超成長した子は」
美琴「最近ってわけじゃないけど、1年くらいで貧乳から巨乳になったやつならいるわ」
絹旗「その人なら胸を大きくする秘訣を知ってるかもしれません。なにか聞いてますか?」
美琴「いや、なんにも」
絹旗「どうして聞かないんですか」
美琴「アイツに頼るのは気が引けるっていうか、絶対頭下げたくないっていうか……」
絹旗「そんな超くだらない理由で巨乳になるチャンスを逃すつもりですか?」
美琴「だってホントにイヤだし……」
絹旗「わかりました、この際御坂は超どうでもいいです。私だけでも話を聞くので紹介してください」
美琴「えー……」
食蜂「アナタの方から会いたいなんて珍しいじゃない」
美琴「私は会いたくないわよ。ただアンタに会いたいってやつがいるから」
食蜂「ふぅん。それがそちらの小さい子?」
絹旗「小さっ……!?」ピキッ
美琴「そうよ。アンタに聞きたいことがあるんだって」
食蜂「なんでもいいけど、手短にお願いねぇ。私も暇じゃないから」
絹旗(常盤台の心理掌握……話には聞いてましたが超ムカつく女ですね)
食蜂「胸を大きくする方法?」
絹旗「はい。なにか意識的に取り組んだことがあるなら超教えてほしいんですが」
食蜂「ふふっ、そういうことねぇ」
絹旗「なにがですか?」
食蜂「御坂さんとアナタの関係……貧乳仲間だったのねぇ」
絹旗「貧っ……!?」ビキビキ
美琴「だから言ったでしょうが。コイツには頼みたくないって」ボソッ
絹旗「今まで出会った巨乳女の中でもここまで性根が腐ってるのはいませんでしたよ」ボソッ
食蜂「ちょっとぉ? 本人の前で陰口は感心しないゾ?」
食蜂「意識的に取り組んだことねぇ……あるにはあるけどぉ」
絹旗「ホントですか? 教えてください」
食蜂「でもアナタがする必要はないと思うわよぉ?」
絹旗「どうしてですか?」
食蜂「まだ小学生でしょぉ? そのうち成長期が来るんじゃないかしら」
絹旗「小、学生……?」
美琴「ぷっ……しょ、小学生って……」
食蜂「あらぁ? もしかして中学生だった?」
絹旗(……情報聞き出したら超殺す)
絹旗「それで、結局なにをして超育ったんですか?」
食蜂「一応言っておくけど、因果関係があるかはわからないわよぉ? 遺伝的な要素もあると思うし」
絹旗「超構いません。今は猫の手も借りたいところなので」
食蜂「じゃあ教えてあげる。私が試した方法は……胸を揉むことよ」
絹旗「……はい?」
食蜂「だからぁ、胸を揉むのっ」
絹旗「そ、それだけですか?」
食蜂「そうだけどぉ?」
絹旗「そんな……」
美琴「時間の無駄だったわね。もう行きましょ」
食蜂「あら、お気に召さなかったぁ?」
美琴「それくらいのことならとっくに試したわよ」
食蜂「その努力の結果がソレなのね……」
美琴「ソレ言うな! あと同情の眼差しで見るな!」
食蜂「やっぱり持って生まれた資質はどうすることもできないのねぇ……」
美琴「ふんっ、もうアンタと話すことなんてないわ。絹旗、行くわよ」
絹旗「……待ってください」
美琴「え?」
絹旗「同じ方法でここまでの差が出るなんて超おかしいです。なにかあるはずです」
食蜂「だから遺伝的なものでしょぉ?」
絹旗「だとしても、他にも要因はあると思います。例えば揉み方とか、揉む時間帯とか」
食蜂「諦めが悪いわねぇ」
絹旗「今さらなりふり構ってられません。持ってる情報は全部吐いてもらいます」
食蜂「って言われてもねぇ……揉み方はテキトーだし、時間帯も気が向いたらって感じだったし」
絹旗「他には? 他にはなにかないんですか? 揉むときに超決めていたこととか」
食蜂「あとはぁ……御坂さんのことを考えてたかしら」
絹旗「へ?」
美琴「は?」
食蜂「そういうときに好きな人のことを考えるのは普通でしょぉ?」
美琴「それを本人の前で言うのは普通じゃないから!」
食蜂「だって教えろって言われたしぃ」
美琴「だからってアンタ……自分だって恥ずかしいでしょ!?」
食蜂「御坂さんのそういう反応を見られただけでお釣りが来るから☆」
美琴「そろそろアンタのセクハラに堪えるのも限界なんだけど……!?」
食蜂「やぁん、御坂さんってばこわぁい♪ 私になにする気ぃ?」
美琴「この変態め……」
絹旗(なるほど、御坂がイヤがってた本当の理由はコレですか……)
絹旗「とりあえず超ノロケるのはあとにしてもらえますか」
美琴「どこがノロケかぁ!」
絹旗「で、好きな人のことを考えながら揉むと超効果があるってことですか?」
食蜂「確証はないけどねぇ。私は胸を大きくしようと思ってたわけじゃないし……でもね?」
絹旗「なんですか?」
食蜂「好きな人に揉まれてるって考えた方がぁ……とってもキモチいいわよぉ♪」
絹旗「だそうですよ、御坂」
美琴「私に振るなっ!」
絹旗「でも私、好きな人とか超いないんですよね」
食蜂「それは私に言われても困るわねぇ」
絹旗「やっぱり御坂に超揉んでもらいますか」
美琴「ちょっ、また私!?」
食蜂(……また?)
美琴「1人でやりなさいよ!」
絹旗「さっきの話を聞くかぎり、キモチいいのも超重要そうなので」
美琴「なおさら無理だからっ! そ、そんなエッチなの……」
絹旗(むしろ御坂が超適任なんですよ)
食蜂「絹旗さん、だっけぇ? ちょっとこっち来なさい」
絹旗「なんか超怪しいんですが……」
美琴「食蜂、コイツに変なことしたら承知しないわよ」
食蜂「しないわよ。いいからこっち来なさい。御坂さんは来ちゃダメだからねっ」
美琴「信用ならん……気をつけんのよ、絹旗」
絹旗「わかってますよ。あんなのでも一応レベル5ですからね」
美琴「アンタってホント物怖じしないわよね……」
食蜂「アナタ、御坂さんに胸を触ってもらったことがあるの?」
絹旗「ええ、まあ」
食蜂「どういうことよ。御坂さんと付き合ってるの?」
絹旗「まさか。超ありえません」
食蜂「じゃあどうして? どうして御坂さんに胸を触ってもらえるのよっ」
絹旗「普通に頼んだだけですが」
食蜂「信じられないわぁ。なにか卑怯な手を使ったんでしょぉ」
絹旗「超誠意を持ってお願いしたら承知してくれましたよ」
食蜂「ウソぉ……」
絹旗「まあ控えめな胸を持つ者同士のシンパシーですかね」
食蜂「ただの貧乳のくせに……」ボソッ
絹旗「今、なにか言いましたか?」
食蜂「べっつにぃ? ところでぇ、アナタは胸を大きくしたいのよねぇ」
絹旗「そうですけど」
食蜂「そのために御坂さんに胸を揉んでもらうと」
絹旗「その予定です」
食蜂「いいわ、私が手伝ってあげる」
絹旗「……は?」
絹旗「超お断りします」
食蜂「遠慮しないでいいわよぉ?」
絹旗「いえ、私も一応相手は選びたいので」
食蜂「なに勘違いしてるのよ。私がアナタの胸を揉むわけないでしょぉ」
絹旗「それは超安心しました」
食蜂「そもそもアナタの胸は揉むほどないじゃない」
絹旗「超死にたいみたいですね」
絹旗「で、常盤台の女王様は私のためになにをしてくれるって言うんですか」
食蜂「アナタ、好きな人いないって言ってたでしょぉ? 私が作ってあげるわぁ」
絹旗「私の心を操るつもりですか」
食蜂「操るってほどのことじゃないわよ。ちょ~っとだけ好感度を上げるの」
絹旗「それでも超お断りです」
食蜂「でも好きな人がいた方が胸の成長も早いかもしれないわよぉ?」
絹旗「その仮説の信憑性はともかく、他人に頭を弄られるなんて超気持ち悪いので」
食蜂「猫の手も借りたいんじゃなかったのぉ?」
絹旗「むっ……」
食蜂「少しでも可能性があるなら試してみてもいいんじゃない?」
絹旗「むむっ……」
絹旗「ちなみに、誰に対しての好感度を上げるんですか?」
食蜂「えっ、御坂さんじゃないのぉ?」
絹旗「御坂なんですか」
食蜂「だって御坂さんに揉んでもらうんでしょぉ?」
絹旗「まあそうですけど……あと好感度ってどのくらい上げるんですか?」
食蜂「そうねぇ……ベタ惚れ状態にしちゃってもいいんだけど」
絹旗「やめてください超殺しますよホントやめてください」
食蜂「ま、そうなるわよねぇ。じゃあ恋の芽生えくらいにしとこうかしら」
絹旗「それくらいなら、まあ……」
食蜂「あ、そうそう。私が協力する条件を言い忘れてたわぁ」
絹旗「どうせそんなところだろうとは思ってました」
食蜂「ギブアンドテイクって大切よねぇ」
絹旗「もったいぶってないで早く言ってください」
食蜂「御坂さんに胸を揉んでもらったらぁ……その記憶を私に見せなさい」
絹旗「……なんのために?」
食蜂「もちろんアナタを私に置き換えて──ってなに言わせるのよぉ!」
絹旗(御坂……超同情します)
絹旗「御坂」
美琴「あ、絹旗! なにもされなかった!?」
絹旗「超平気です」
美琴「って記憶弄られてたら本人に聞いても意味ないのよね……」
食蜂「なにもしてないから」
美琴「アンタの言うことなんか信用できるか」
食蜂「御坂さんに冷たくされると傷つくわぁ」
美琴「知るかってのよ。絹旗、もう用事は済んだんでしょ? さっさと帰るわよ」グイッ
絹旗「あ、手……」ドキッ
美琴「本当になにもされてないのよね?」
絹旗「だからそう言ってるじゃないですか」
美琴「たしかに今のところ変わった感じはしないけど……」
絹旗「ホント、超平気ですから……そ、そろそろ手を離してください」
美琴「あ、ごめん」パッ
絹旗「はぁ……超心臓に悪いです」
美琴「なんのこと?」
絹旗「こっちの話です」
絹旗(しかし……超困りました。さすがはレベル5です)ジーッ
美琴「ん? どうしたの?」
絹旗(御坂の顔を見るだけでこんなにドキドキするなんて……心理掌握の力は超恐ろしいです)
美琴「なによ、私の顔になんか付いてる?」
絹旗「いえ、超綺麗な顔立ちだなと思いまして」
美琴「……は?」
絹旗「あっ、いえ、夕立後の空は超綺麗だなと」
美琴「今日雨なんて降ってないけど」
絹旗「そ、そうでしたっけ?」
美琴「ちょっと、しっかりしてよ。その歳でボケはじめるなんて笑えないわよ」
絹旗(超まずいです……御坂が超魅力的で頭がどうにかなりそうです)
美琴「なんかアンタ顔赤くない?」
絹旗「そ、そうですか?」
美琴「今のボケボケ発言もそうだけど、熱でもあるんじゃないの?」
絹旗「ないですから」
美琴「どれどれ……」ピトッ
絹旗「ふぇっ……」
美琴「ん~たしかに熱はなさそうね」
絹旗「い、いいから超離れてくださいっ!」
美琴「なんでそんな怒ってるのよ……」
絹旗(なんでこんなときに限って超距離感が近いんですか……!)
美琴「そろそろ解散しましょ」
絹旗「もうですか?」
美琴「だってアンタの様子おかしいし」
絹旗「私は超普通ですが」
美琴「それにやることもないし」
絹旗「やることならありますよ」
美琴「なに?」
絹旗「わ、私の胸を大きくする使命が」
美琴「まだやんの!? もういいでしょ!」
絹旗「超よくないです。私の胸はこれっぽっちも大きくなってません」
美琴「それは見ればわかるわよ」
絹旗「御坂は同志でしょう。超協力してください」
美琴「協力って言っても……また揉むの?」
絹旗「……はい」ポッ
美琴「ホントに気乗りしないんだけど……」
絹旗「そこをなんとか……超お願いします」
美琴「はぁ……わかったわよ。でも明日ね」
絹旗「は、はいっ!」
美琴(なんかやけに嬉しそうね……)
絹旗(明日もまた御坂に会える……ってなんで私は超喜んでるんですかっ)
翌日
美琴「で、今日はどうすんの?」
絹旗「昨日と同じ要領でいいんじゃないですか?」
美琴「またあのホテル? お金かかるしイヤなのよね。やることがやることだし」
絹旗「それなら……私にひとつ提案があります」
美琴「へぇ、どこ?」
絹旗「提案というか希望なんですが……御坂の部屋にお邪魔してはダメですか?」
美琴「私の部屋!?」
美琴「ダメに決まってるでしょ!」
絹旗「どうしてですか」
美琴「学生寮なのよ!? そんなところで、あ、あんなことっ……!」
絹旗「声は超抑えますから」
美琴「そういう問題じゃない!」
絹旗「じゃあどうしたら入れてくれますか?」
美琴「っていうか……アンタ、私の部屋に上がりたいだけ?」
絹旗「う……そういうわけではないんですが」
美琴「じゃあなんなのよ」
絹旗「……すみません、御坂の部屋に行ってみたいだけです」
美琴「ったく、最初からそう言いなさいよ」
絹旗「いいんですか!?」
美琴「普通に遊ぶ分にはね。ルームメイトがいるけど、たぶん今は外出中だし」
絹旗(御坂とルームメイト……超羨まし──って私はなにを考えてんですか!)
美琴「言っとくけどあんまり面白くないわよ? ゲームとか置いてないし」
絹旗「構いません。御坂がそばにいるなら……っ」
美琴「え? 私がなに?」
絹旗「な、なんでもないです! それよりも時間が惜しいので早く行きましょう!」
美琴「急がなくてもそんな遠くないわよ」
絹旗(油断するとすぐ本音が漏れそうになります……)
美琴の部屋
絹旗「ほう……ここが御坂の部屋ですか」
美琴(なんか嬉しそうね……)
絹旗「で、どっちが御坂のベッドですか?」
美琴「左だけど」
絹旗「ふむ……あんまり御坂の匂いがしないですね」クンクン
美琴「毎日洗濯されるからね。っていうか匂いなんて嗅ぐな!」
絹旗「すみません、つい癖で……」
美琴「どんな癖よ、ったく……」
絹旗(御坂の匂い超好きなんですが……)
絹旗「ベッド、腰掛けてもいいですか?」
美琴「いいわよ」
絹旗「ふう……やっとくつろげます」ヌギヌギ
美琴「ちょっ、なんで脱いでんのよ!?」
絹旗「え? 超暑いからですが」
美琴「あ、なるほどね……」
絹旗「御坂が見たいと言うならコレも脱ぎますが」
美琴「見たくないわっ!」
絹旗「ところでルームメイトはどんな子なんですか?」
美琴「うん? そうねぇ……一言で言えば、変態?」
絹旗「変態? どんな感じで?」
美琴「隙あらば私のベッドに潜り込んでこようとするし、寝込みを襲われかけたことも何度かあるし」
絹旗「なっ……超危険じゃないですか! なんでそんな人とルームメイトを続けてるんですか!」
美琴「いや、アイツもそこまで本気じゃないから……撃退できるし」
絹旗「いいえ、それはそう見せてるだけで絶対にあわよくばを狙ってます」
美琴「ないない、ないって。アイツはなんだかんだでヘタレだから」
絹旗「むっ……まるで本気で迫ってきてほしいみたいな言い方ですね」
美琴「んなわけあるか!」
絹旗「御坂はもっと強く言うべきです。このままではそのうち本当に貞操を奪われますよ」
美琴「いやいや、ありえないっつーの……」
絹旗「奪われてから後悔しても超遅いんですよ!?」
美琴「アンタの気にすることじゃないから」
絹旗「超気にします!」
美琴「なんでよ」
絹旗「な、なんでって……同じ女の子ですから。超心配なんです」
美琴「まあ……心配してくれるのは嬉しいけど」
絹旗(本当は私が御坂の貞操を貰いたいからなんですが)
美琴「とにかく大丈夫なの。それがアイツとの付き合い方だから」
絹旗「寝込みを襲われるのがですか」
美琴「いやそれはあくまで一例っていうか……」
絹旗「わかりました。御坂はそういう接し方を超望んでるんですね」
美琴「別に望んでるわけじゃないんだけど」
絹旗「では御坂、今すぐベッドに横になってください」
美琴「なんで?」
絹旗「私も御坂の寝込みを超襲います」
美琴「真顔でなに言ってんの!?」
絹旗「これが私達の付き合い方です」
美琴「今までそんなことしてこなかったでしょうが!」
絹旗「今日から超始めます」
美琴「私はしたくないから!」
絹旗「むっ……なんですか差別ですか、超差別ですか」
美琴「なんでそうなるのよ……」
絹旗「ルームメイトはいいのに私はダメということは差別じゃないですか」
美琴「絹旗……ハッキリ言って私達はそこまでの仲じゃないでしょ」
絹旗「まあ、たしかにそうですが……今までは」
美琴「やけに強調するわね……」
絹旗「これから超親睦を深めていけばいいだけの話です」
美琴「深めるにしても順番ってものがあるでしょうが!」
絹旗「例えば?」
美琴「例えばって……普通に遊んだりとかよ」
絹旗「ふむ……」
絹旗「ちなみにその次は?」
美琴「次? そうね……パジャマパーティーとか?」
絹旗「ほう……ではその次は?」
美琴「その次……なんかあるかしら」
絹旗「ではパジャマパーティーまで済ませれば御坂の寝込みを襲ってもいいわけですね」
美琴「なんでそうなんのよっ!」
絹旗「超親睦を深めて寝込みを襲うという話だったはずですが」
美琴「まず寝込みを襲うから離れろ!」
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