鼠「憧れのスーパーラットに!」(60)

鼠「やぁ!僕、鼠!」トットット

鼠「屋根裏に住んでる正真正銘の鼠だよ!」トットットットット

鼠「…もっとも、今は庭を走り回ってるんだけど…」トットットットトトトトトトト

鼠「あいつら…超しつこい…」トトトトトトトトトトトト

猫a「ニギャギャギャギャ」ドドドドド

猫b「ムナフゥ~!ムナフゥ~!」ドドドドド

猫c「ヴァーーーオゥウ!」ドドドドド

鼠「屋根裏に帰ろうにも…」チラッ

烏a「アーー!アーー!」バッサバッサ

烏b「グッグッグッグッ…ガー!」バッサバッサ

鼠「…」トトトトトトトトト

鼠「窮鼠!まじ窮鼠!!」トトトトトトトトト

鼠「なんでそんなに?!5当分なんてしたら微々たるモノだよ!?恨み?恨みなの?!末代まで祟る的な!?」トトトトト

猫a「ニギャギャギャギャ」ドドドドド

猫b「ムナフゥ~!ムナフゥ~!」ドドドドド

猫c「ヴァーーーオゥウ!」ドドドドド

烏a「アーー!アーー!」バッサバッサ

烏b「グッグッグッグッ…ガー!」バッサバッサ

鼠「は、鼻息が!風圧が全身に!」トトトトトト

鼠「だが…勝った!排水管に間に合う!!」ズザァ

猫s「「フギュギュ」」ガタガタ

烏s「「ガー!ガー!」」ガンガン

鼠「…テーテレッテー…テーテテー…テーテレッテー…テーテテーテーテー…と、歌ってる場合じゃない…屋根裏に戻ろう」グラグラヨジヨジ

鼠「あいつら飼い猫だよな…?排水管壊れるぞ…」ヨジヨジ

猫s「「フギュー!」」メキッ

猫s「「…」」

猫s「「…」」オマエガ…オマエダロ…

鼠「あ…壊した」ヨジヨジ

家主「ぅおい!騒がしいと思ったら!…ちょっ排水管メッコメコじゃねぇか!あぁ…上の方まで…」

猫s「「…」」ウエハチガウヨ…ウエハカラスガ…

猫s「「…」」

猫s「「…」」ピュー

家主「あっ!こいつら!…隣人!隣人!!…てめぇんとこの猫が…」

鼠「グッジョブ家主!」ヨジヨジ


ーー
老鼠「お前に話すときが来たか…」フム

鼠「…」ゴクリ

老鼠「お前の先祖は海を渡って来たそうじゃ」

鼠「へぇ」

老鼠「前の住みかではやりたい放題での…飼い猫をからかい、詰り、馬鹿にし…果ては飼い犬や使用人、親戚の鼠を利用し飼い猫にストレスを与え続けたそうじゃ」

鼠「すげぇな」

老鼠「飼い猫は勿論、飼い主にやくたたず扱い…悲惨な最後を遂げたそうじゃ…」

鼠「まさか…」

老鼠「だから…まあ…何じゃ…」

老鼠「…祟られとる」

鼠「…」

老鼠「どうすることも出来ん」

鼠「…」

老鼠「もう無理」

鼠「わかったよ!」

老鼠「屋根裏の安息の為に食われろ」

鼠「辛辣!」

老鼠「出てって孤独に対処しろ」

鼠「ヒント!ヒント頂戴!」

老鼠「希望となるかは知らんが、都会にはスーパーラットと呼ばれる奴等がおるらしい…名前から察するに猫くらいはワンパンじゃろう…それに成ることが出来れば…」

鼠「なるほど…きっと先祖もそれだったんだな!…ありがとう!生きる方法を探してみるよ!」トットット

老鼠「…」

老鼠「スーパーラットは生まれつきじゃ」ボソ

老鼠「薬品耐性があるだけじゃし…」ボソボソ


ーー
猫b「…」ポカポカ

家主「おい!郵便受けで寝てんじゃねぇよ!」

猫b「ナーゥ」バーカ

家主「退きなさいっての」

猫b「ナーゥ…ナーゥ」バーカバーカ

家主「なんか腹立つな!…無理矢理退けてやる」グイグイ

猫b「ウヌヌ」グググ

家主「ウヌヌじゃねぇよ!おらぁ…グイグイ…あ!変なところが柔らかい…力加減が…ちくしょう…隣人!隣人!!」

鼠「…」

鼠「…気付かれてはいない…か…」コソコソ

鼠「さてと、スーパーラットになるには…都会に行くには遠すぎるし…よし、先祖の動きを真似てみるか…」

鼠「step1.猫を馬鹿にする」

鼠「無理無理無理無理無理!!」

鼠「…これやんなきゃ、スーパーラットに成れないの?…」

鼠「…仕方ない」グッ


ーー
鼠「ほーらね!ほーらね!」グラグラヨジヨジ

猫s「「ムギャー」」ガツンガツン…バキャ

鼠「…」ヨジヨジ

猫s「「…」」イマノハオマエダ…マァオチツケ…

鼠「…無理!おっす!おら、ここで生きる!」フゥ

老鼠「まじ、疫病神」

鼠「だって~!都会行く手段も無いし!」ジタバタ

老鼠「いっそ、隣人の家に住んでみたらどうじゃ?」

鼠「え?馬鹿なの?…老いるって、そういう事かい?」キョトン

老鼠「イラッ…スーパーラットになるには、ある程度、自分を追い詰める必要もあるはずじゃ!」

鼠「さっき、これ以上無いくらい追い詰められたけど…」

老鼠「もっとじゃ!先祖と同じ環境でスーパーラットに目覚めるのじゃ!」

鼠「うぅ…しょうがねぇ…やってみるか…駄目だったら…戻ってくりゃいいんだし…」ハァ

老鼠「…大概受け継いどる様に思えるんじゃが…」

鼠「…」トットット

老鼠「…」

老鼠「次はしくじるなよ…猫共」ボソ

老鼠「念のため、バリでも作るか…」イソイソ


ーー
猫c「マーォ」カミカミ

家主「さぁて、ガーデニングの手入れでもウォォオオーーー!!」

猫c「マウマウ」カミカミ

家主「離れろやぁ!ワシのハーブに手をだすんじゃない!」グググ

猫c「マォマ」ハゲガ

家主「口を!口をハーブから離せ!…根本から噛むのはおかしいだろ!ウッホウ根っこごと持っていかれちゃう!…隣人!隣人!!」グニグニ

鼠「…」

鼠「祟られてんの俺じゃなくて、家主じゃ無いのか?」コソコソ

鼠「さて、この壁をどう越えるか…ん?」

雀a「…」ジー

鼠「あいつはなんでこっちを見てるんだ?」

雀a「…」ジー

鼠「お前は襲われる側だろ?逃げなさいよ…さあ!逃げろ!」

雀a「チュンチュンジーチュンチュンチュンジーチュンチュンチュンジー」

鼠「雲雀みたいに騒ぎ出した!?」

雀a「チュンチュンチュンジーチュンチュンチュチュチュチュチュチュチュ…」

鼠「ウルセェー!!…はっ」クル

猫s「「…」」


ーー
鼠「外には敵が多すぎる…」グラグラヨジヨジ

猫s「「フン!フン!フン!」」ガツンガツンガツン

鼠「あいつらもう、遠慮してねぇな」ヨジヨジ

猫s「「フン!フ…」」ガツン…バキャ

鼠「…」ヨジヨジ

猫s「「フン!フン!フン!」」ガツンガツンガツン

鼠「止める事すらしなくなった…」ヨジヨジ

家主「ゴラァアア!」ダダダ

鼠「…?…あれ、先に進めない?何だ!何だこの壁!?」ヨジ…バンバン

猫s「「…」」ピュー

鼠「くそっ!負けるものかぁああ!!」ガリガリ


ーー
鼠「諦めない…これ大事!」ドヤッ

老鼠「バリを食い破るとは…」チッ

鼠「次からは食い物以外で壁を作るんだな!!」ゲップ

老鼠「そうする」

鼠「でもあれ変わった味だね…始めて食べた」

老鼠「ホウ酸団子って言う、ゴキブリさん用の食事じゃよ」ホッホ

鼠「ふぅん」

老鼠「あれ?お前スーパーラットじゃね?」

鼠「何言ってんの?猫殴り倒した事無いんだけど…」

老鼠「…仕方ない、背に腹は変えられん…付いてこい…」

鼠「どこいくの?」トットット


ーー
老鼠「外が駄目なら地下からじゃ、さあ、排水口から隣へ向かうのじゃ」

鼠「常に老鼠の後ろにいる大量の鼠達が一言も喋らない…怖い」

老鼠「気にするな!」

鼠「そういえば、一度も言葉を聞いたことがない…『…』すら無い…怖い」

老鼠「皆、シャイなんじゃ!いいから…」

鼠「提案は嬉しいんだけど、水分って駄目なんだよね…埃なら気にしないんだけどさ…ベタベタすんじゃん?」

老鼠「はよ行け」ドンッ

鼠「ですヨネ」ヒュー

老鼠「ワシも、こいつらの声は聞いた事ないわ…」ボソ

老鼠「水流しとこ」クルクルジョボボ


ーー
鼠「ベタベタする」ドロドロ

鼠「水垢の匂いも好きじゃ無いんだよね…」ジャババ

鼠「そうそう…泳ぎも得意じゃ…って水?」 ザバァ

鼠「…」ブクブク

鼠「プハッ」ザバァ

鼠「まさか身内にも敵が居るとは…バリは小粋なジョークじゃ無かったのか…」プルプル

鼠「まさに四面楚歌!」キリッ

鼠「…行こ」トットット


ーー
猫a「~~!…」ムリムリ

家主「何やってんのこの猫?」

猫a「~~!…」ジョロロロ

家主「サドルの上に何やってんのこの猫?」

猫a「ムファサ!」ピョン…ピュー

家主「…こ、こら…あっ…」

家主「…」フキフキ

家主「…違う!隣人!隣人!!」

鼠「すげぇなあいつら…」コソコソ

鼠「それにしても、こんな簡単に壁の反対に出られるとは…」

鼠「そいじゃ、お邪魔しますよっと」コソコソ

犬a「…」ジー


ーー
鼠「…」キョロキョロ

鼠「…」コソコソ

鼠「…わ~明るい!小綺麗!」

鼠「しかし」チラッ

鼠「玄関の磨りガラスに数匹の犬のシルエットが…」ドキドキ

犬s「「グルル…」」ウロウロ

鼠「…入った所を見られたに3000点」

鼠「グルグル言ってるし…」ヒョイ

鼠「あれ?…俺浮いてるよ?」

隣人(姉)「あれ?新しい子?」ナデナデ

鼠「くすぐったい」

姉「大人しい…」ナデナデ

鼠「ふむ、喰われる事は無さそうだ…」

隣人(妹)「ただいま~」ガチャ

犬s「…」ゾロゾロ

鼠「入ってきた!」

犬a「グルル…」ヒタヒタ

犬b「うぅ~…」ヒタヒタ

鼠「まずい、動けない」

姉「隣のおじさん何だって?」

妹「飴くれた」コロコロ

姉「怒った感じで呼ばれるのに、いつも何かくれるんだよね…うちの子も相手してくれてるみたいだし」

妹「優しい」コロコロ

姉「ね」

犬a「グルル…」クンクンジリジリ

犬b「ウゥ~…」ハッハッジリジリ

鼠「近づいてくる…」ガクガク

妹「あ!めっ!」

犬s「「クゥン」」ピタッ

妹「ちょっと外に行っててね」グイグイ

犬s「「わふぅ」」テッテッ

鼠「まじ、女神」

姉「どうしたの?」

妹「その手にいる子、怯えてた」

姉「あぁこの子?」チラ

鼠「ども」

姉「どこから連れてきたの?」

妹「知らない、私じゃないよ」フルフル

姉「?」チラ

妹「?」チラ

鼠「?」

隣人(母)「あら?何その子?」パタパタ

姉「?」フルフル

妹「?」フルフル

鼠「何?」

母「勝手に入っては来ないわよね…」

姉「あの動物包囲網を越えて?」

母「またあんた達が拾って来たんでしょ…」

妹「ぅう~、お母さんこの子…」ウルウル

母「はぁ、取り合えずお風呂で洗ったげなさい…」

妹「わーい!私が洗ったげる!」ヒョイ

鼠「何?…何!?」


ーー
妹「物凄い暴れた」ビショビショ

姉「急遽手伝わされた」グショグショ

鼠「溺れ死ぬかと思った」プルプル

鼠「ただ、すげぇさっぱりした…」

鼠「足のベタベタも無くなった」サラサラ

妹「いまは全然逃げない」ナデナデ

姉「ただ、水が苦手なんだろうね」ツンツン

鼠「くすぐったい」

妹「床に置く」ペタ

鼠「?」ゴロン

姉「抵抗しないねぇ」

妹「かご、いる?」

姉「要らないかもね」ツンツン

鼠「そこ弱いから止めて…」ウネウネ


ーー
鼠「て、事がありました」

老鼠「ねぇ、なんで戻って来たの?」

鼠「抜け道を見つけたので…」

老鼠「違うよ?そうじゃないよ?」

鼠「いつでも行き来可能です」ドヤッ

老鼠「お前、やっぱ子孫だわ」

鼠「あのクッサイ排水口から行かなくても良いし…」

老鼠「そりゃ良かったね…」

鼠「あっ、思い出した!」

老鼠「何を?」

鼠「…水攻め」

老鼠「ドロン…ボヒュ」

鼠「…」
老鼠「…」

鼠「口で言っても意味無いですよ?」

老鼠「すみません、冗談でした」

鼠「冗談なのに『すみません』?」

老鼠「まぁまぁお詫びにこれでも食ってよ」スッ

鼠「何これ、見たことある」パクパク

老鼠「ホウ酸団子」

鼠「うめぇ、うめぇ」パクパク

老鼠「まじ、スーパーラット」

鼠「それだ!忘れてた!」

鼠「進化して見せる…憧れのスーパーラットに!」

老鼠「ガンバレヨ」

鼠「ヒ・ン・ト!ヒ・ン・ト!」

老鼠「…先祖と同じ事やれば?」

鼠「…」


ーー
鼠「結局それか…」

鼠「step2.犬をどうにかする」

鼠「ザックリしてるな…」コソコソ

鼠「…隣に行く為の道に猫aが!」

鼠「いやあれは猫bか?」

猫c「マーフ…」ペロペロ

鼠「猫cだ…鳴き声以外に区別無いの?」コソコソ

鼠「犬をどうにかする前に猫をどうにかする羽目になるとは!」キリッ

鼠「…」

鼠「上手くは無いな…ん?」クル

猫a「…」

鼠「…山田くん全部没収して」


ーー
鼠「日が悪い時もある」グラグラヨジヨジ

猫s「「フン!フン!フン!」」メキョメキャバキン

鼠「もう配水管としての機能は死んだな」ヨジヨジ

猫s「「フン!フン!フン!」」ドカッグシャパキン

家主「オラァアア!!」ドスドスドス

鼠「…」ヨジヨジ

猫s「「…」」

猫s「「フン!フン!フン!」」バキッメコッパカッ

家主「せめて逃げろ」

鼠「…不憫だ」ホロリ


ーー
鼠「もう一回、挑戦しようと思う」

老鼠「一々戻ってくんな」

鼠「言うほど、俺いて変化なくね」

老鼠「ワシの心労が思いの外、違う」

鼠「じゃあ、しょうがないね」

老鼠「皆の不満そうな顔を見ろ!」

鼠「むしろ、無表情なのが怖い…不満げな顔ならどんなに良いか…」

老鼠「そうじゃろ?ワシも怖くて直視できん…常に後ろにいてもらう」

鼠「指示は聞くんだ…」

老鼠「でもそれ以外は何もしないよ」

鼠「俺の後ろに付け!」

鼠「…」

老鼠「怖っ!」

鼠「怖っ!老鼠の後ろに付け!」

老鼠「ワシの命令じゃなくても良いのか…」ショボン

鼠「老鼠を慰めておやり…」

老鼠「慰めは結構…あれ?」

鼠「微動だにしない」


ーー
鼠「そんな訳でもう一度、挑戦するよ!」

老鼠「犬は無理ゲー」

鼠「そういえば、人間には何もされなかったよ?対象外なの?」

老鼠「元々、疎まれとるからな…」

鼠「あぁ…そうね」

老鼠「基本的には生きとし生ける全ての生命に嫌われる呪いじゃ」

鼠「鼠と人間以外…か…」

老鼠「人間だけじゃろ?」

鼠「!?」


ーー
鼠「今度は問題なく入れた…」コソコソ

鼠「では改めて…」

鼠「step2.犬をどうにかする」

鼠「…」コソコソ

妹「あ!いた!」ヒョイ

鼠「捕まった」

妹「何やってたの?」

鼠「また水攻めですか?」

妹「可愛いね」ナデナデ

鼠「くすぐったい」

妹「お姉ちゃん!いた!」トテトテ

鼠「あぁ…犬が遠ざかっていく…」

姉「どこにいたの?」

妹「玄関の横」ポテ

鼠「…」ゴロン

姉「家の外に出たかったのかな?」

鼠「犬に会わせてよ」

妹「かな?」

鼠「聞いてる?犬に会わせてよ!」

姉「ま、戻る所があるのかもね」

妹「お友達、いるの?」

鼠「アポは無いよ…駄目?」

姉「かもね…」

妹「じゃあ、会いたいのかな」

鼠「ワンワン!ワンワン!上手くない?」

妹「会わせてあげないと!」ヒョイ

鼠「あ、運んでくれるの?」


ーー
妹「はい、友達にあっておいで…」ナデナデ

鼠「くすぐったいから」

妹「へへ、連れてきても良いよ?」

鼠「あっちに居るみたいだな…」トットット

妹「あれ?犬aの方に行っちゃった…」トテトテ

鼠「寝とる寝とる」コソコソ

犬a「グルル」zzz

妹「寝てる寝てる」コソコソ

鼠「なんで付いて来てんの?」

鼠「ま、いいや…さて、どうにかするってどうしよう…」

鼠「…」

鼠「鼻に石でも詰めるか…」コソコソ

妹「石持って走ってる…鼠さんって立って走るんだ!知らなかった!」

犬a「グル…」クンクン

鼠「薄目を開けた!?匂いか?俺の匂いなのか!?」コソコソ

犬a「ワフ?」クンクン

鼠「このままでは起きちまう…そうだ!鼻が詰まったら匂わないはず…いっけ~!」ザクッ

犬a「グワァアアア!?」バシッ

鼠「反射的に捕まった!」ジタジタ

犬a「…」プンッ…コロコロ

鼠「石が!」

犬a「グルル」コロス

鼠「まずいまずいまずいまずい」

妹「…」ジー

犬a「…」

妹「仲良し?」

犬a「…」

鼠「…」ジタジタ

妹「喧嘩?」ウルウル

犬a「…」ソッ

鼠「…動ける!」サッ

犬a「…」ガッ

鼠「爪が!…尻尾に爪が!」ジタジタ

犬a「…」ニッコリ

鼠「?…?…」

犬a「クゥン」チラ

妹「…」ハラハラ

鼠「…なるほど」

鼠「…」ニッコリ

犬a「クフゥン…クゥン」ペロペロチラッ

鼠「ははは、こいつめぇ~」ツンツンチラッ

妹「良かった!お友達って犬aだったんだ!」ニパッ

犬a「…」ホッ

鼠「人間に弱いのか…」フムフム

妹「じゃあ、遊んでていいからね!」トテトテ

犬a「…」

鼠「あれ?目付きが鋭い?」

犬a「チッ…」クルッスタスタ

鼠「襲われるかと思った…はっ!これって…」

鼠「犬をどうにかしたのでは?」


ーー
鼠「どうにかしたのでは無かろうか?」

老鼠「わかった。しつこい。うざい」

鼠「酷い」

老鼠「ねぇ?なんで戻って来んの?」

鼠「老鼠に会いに」ガガガ

老鼠「嬉しくねぇ~…人に好かれ、犬に許される存在がこんなワシに会いに来てくれる…嬉しくねぇ~」ガガガガ

鼠「卑屈だなぁ」ガガガガガ

老鼠「なんの音じゃ?うるさいよ?」ガガガガガガ

鼠「なんだろうね?」ガガガガガガ…

烏s「ガガガァーー!!」バリーン

老鼠「ギャアアアア!!」

家主「屋根がぁあああ!…鳥にぃぃいい!…ギャアアアア!!」

鼠「外の声がよく通る様になった」トットット


ーー
鼠「と言う夢を見ました」

老鼠「夢にすんな」ボロボロ

鼠「さすが!生きてる!凄い!」

老鼠「…キューブリックの介入を見た」

鼠「泣いたり笑ったり出来なくなったの?ヒッチコックじゃない?」

老鼠「?」

鼠「…」

老鼠「…!」///

老鼠「そんなことより!見ろ!襲われたじゃないか!」

鼠「まぁまぁ…怪我人も無かったんだし」

老鼠「やつら、お前しか見えてなかったしな…」

鼠「びっくりした」

老鼠「外だとあんな感じなの?」

鼠「もっと酷いよ?」

老鼠「出てけ」

老鼠「また襲われたら、ワシの心臓は爆発する」

鼠「凄い爆発?」

老鼠「爆発しない自信が無い」

鼠「ねぇねぇ凄い爆発?」

老鼠「線香花火クラス」

鼠「影響無いなら良いや」

老鼠「ワシに!影響が!ある!」


ーー
鼠「追い立てられた」

家主「郵便受けに猫がぎっちぎちに詰まってる」

猫b「マオゥウ」マブシイ

家主「郵便物はどこへ?」

猫b「マゥマオ」ウルサイ…カリカリグググ

家主「閉めようとするな!郵便物は!?」グググ

猫b「ウヌヌ」グググ

家主「お前何なんだよ!郵便物を返してぇぇええ!!」

鼠「…取り合えず隣に行こう」トットット

鼠「…あれ?壁にこんな穴空いてたっけ?」

鼠「…」ジー

猫a「…」ヒョイ

鼠「…」

猫a「…」

猫a「…」キョロキョロ…ニヤッ

猫a「ニャオウ」ハロウ

鼠「…キューブリックの介入を見た」


ーー
鼠「老鼠が正しかった。シャイニングクローの餌食になるところだった」

老鼠「そうじゃろ、そうじゃろ」

鼠「配水管もベコベコで使えないし」

老鼠「そういえば、ここまでどうやって来たんじゃ?」

鼠「玄関から」

老鼠「家主のやつ、ザルじゃのう」

鼠「屋根の事ブツブツ言ってた」

老鼠「はよ直してくれんと、気が気じゃない」

鼠「たしかに」

老鼠「それと、あれじゃ」

鼠「あれ?」

老鼠「戻ってくんな」

鼠「…」


ーー
鼠「結局、こっちに来るんだな」トットット

鼠「やぁやぁ!諸君!」

犬s「…」チッ

鼠「襲われないけど、顔が怖い」トットット

妹「じゃあ、洗ってくるね」トテトテ

母「先に、ちゃんと水抜くのよ?」

妹「はーい…あっ!」

鼠「…」

妹「ぅう…遊びたいけど、お風呂洗わなきゃ…」ウズウズ

鼠「なんか怖い」

妹「すぐ終わらせるから待っててね!」トテテー

鼠「あっちは水攻めした部屋…」

鼠「…」

鼠「まさか、今度こそ息の根を止めるつもりでは?」ガクガク

鼠「させるかぁ!先手必勝じゃい!」トットット


ーー
妹「…汚れを落としてから水を抜けばすぐ終わるはず」キュキュキュ

妹「急げ急げ」キュキュ

妹「向こう側が手がたわない」アブアブ

妹「もうちょっと…」グググ…ツルッ

妹「あっ!」ザブン…ガボガボ

鼠「もう水の準備を始めてる!」トットット

鼠「しかし!」

妹「…ダッ…ガハッ!」ガボガボ

鼠「水を抜いちまえばこっちのもんよ!」キリッ

妹「…カ…ガハッ」ガボガボ

鼠「…あった!この鎖だ!」ガポッ…ギュルギュル

妹「ケポッ…パァ」ジャバジャバダンダン

鼠「水が抜けて行くわ」ホッホッホ

姉「…大丈夫?凄い音してるけど?」ガチャ

鼠「援軍は一足遅かったな」ドヤァ

姉「ちょっと大変…妹!妹!!」ヒョイペチペチ

妹「コホッ…ケンッ、ケンッ…あ、おでぇぢゃん」ウルウル

姉「溺れたの!?」

妹「ヒック…ヒック…ビェェエエエ!!」

鼠「そんなに悔しがらなくても…」

鼠「凄い罪悪感」


ーー
妹「鼠さんが水抜いてくれた」スンスン

姉「鼠って頭いいのね…」ナデナデ

鼠「くすぐったいってば」

母「先に、水抜きなさいって言ったでしょう?」ヨシヨシ

妹「ぅう…ごめんなさい」スンスン

母「大事にならなくて良かった」ヨシヨシ

妹「うん…鼠さん…ありがと」ナデナデ

鼠「くすぐったい…仕返しはやめませんか?」フルフル

母「鼠さんにお礼しなきゃね」スタスタ

鼠「ふむ、もしやとは思ったが」

姉「リボン付けたげよう」クルクル

鼠「コミュニケーションが取れてないのでは?」キュ


ーー
鼠「エサ貰った」ポンポン

鼠「有り得ないほど旨かった」

鼠「もうホウ酸団子には戻れない…」ブロロ…バタン

?「家主さーん?いらっしゃいますか?」

鼠「…」

鼠「隣が騒がしいな…」トットット…ヒョイ

妹「窓から外見てる…」

母「この子の行動は知性が感じられるのよね…」

鼠「家主の家になんか来てる…」

母「じゃあ、おやつ取ってくるわね」スック

鼠「補修業者か…な…!?」

姉「私も手伝うよ」スタスタ

鼠「あ…あの車…あの白服は…」

白服「じゃあ、見積もりとりますんで」

家主「よろしく」

鼠「見積もりから作業までが迅速な対応のダ●キン…ネズミ駆除サービス…!!」ガクガク

妹「あれ?震えてる…」ナデナデ

鼠「老…鼠…」

鼠「老鼠ーーーっ!!」

妹「プルプルしてる」ナデナデ

姉「おやつだよ~」カチャカチャ

鼠「あ、いい匂い!」クルッ

母「鼠さんのもあるわよ」スッ

鼠「食べていいの?ワーイ!」パクパク

鼠「…」モグモグ

鼠「老鼠…」モグモグ


ーー
老鼠「酷い目にあった…」ゾロゾロ

老鼠「お前たちは大丈夫かの?」

老鼠「…」チラ

老鼠「息一つ切らしてない」

老鼠「遂にワシらもドブ暮らしか…」

鼠「やっぱり生きてた!凄い!」

老鼠「なんでいるの?」

鼠「老鼠いないとつまんないし」

老鼠「隣人に気に入られてんじゃろ?」

鼠「じゃあ、一緒にいく?」

老鼠「え?ワシも大丈夫なの?」

鼠「あの家なら問題ないよ?きっとだけど」

老鼠「キャー!一匹増えてる!ブチャ…とかならない?」

鼠「擬音が生々しい」

老鼠「でも…こいつら…」チラッ

鼠「…あれ?」キョロキョロ

老鼠「…いなくなってる…」

鼠「…」

老鼠「…あいつら」ホロリ

鼠「…行こう老鼠」


ーー
ドブネズミa「ねぇ、増えてない?」

ドブネズミb「気にするな!」

ドブネズミa「倍以上の規模になってんだけど…」チラ

ドブネズミb「振り向くな!」

ドブネズミa「君達はどっからきたの?」

ドブネズミb「馬鹿!話し掛けるな!」

ドブネズミa「聴こえてる?ねぇ…ちょ…何?囲まれると怖いんだけど…」

ドブネズミa「ちょ…ちょまっ…たすっ!」

ドブネズミa「…」

ドブネズミa「」



ドブネズミb「…また取り込まれた」ブルブル


ーー
老鼠「…ワシは」

老鼠「お前に言わねばならん事がある…」

鼠「何?」

老鼠「スーパーラットって実は…カクカクシカジカ」ゴニョゴニョ

鼠「マジで!?」

老鼠「スマン!」

鼠「じゃあ、スーパーラットにはなれないのか…」シュン

老鼠「…いや、お前スーパーラットだから」

鼠「!?」

二匹は往々に狙われる事もありましたが、犬sによる牽制もあり、隣人宅でそれなりに幸せに暮らしましたとさ…
猫sの鼠を襲えなくなった事へのフラストレーションは家主にぶつけられましたとさ…

めでたし、めでたし

終わりです

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