妹「に、兄ちゃん!?」 (41)
妹「……今は着替え中だから出てってくれない」
兄「……すまん」
バタン
妹「……」
妹「……もういいよ」ガチャ
兄「お、おう」
妹「……」
兄「……」
妹「……どこまで見た?」
兄「え…………と」
兄「正直言うと、全部……かな」
妹「――――っ!?」
妹「忘れて忘れて忘れて忘れて忘れて忘れてー!!」ブンブン
兄「悪かった悪かった!! 次からちゃんとノックするから許してくれ!」ガクガク
……
妹「はぁ……」
兄「悪かったって」
妹「うー……事故だってのはわかってるし、見られたのは兄ちゃんだし、もういいやって思おうとしてるんだけどさー」
妹「なんか……もやもやするよ」
兄「……まぁ、お前も年頃だし、家族とはいえ男に裸見られたら気分悪いわな」
妹「そう……いうんじゃないと思うをだけど」
妹「兄ちゃん、ちょっとこっちきて」
兄「ん?」
妹「となり、座ってよ」ポンポン
兄「あ、ああ」
ギシッ
兄「……」
妹「……」
妹「ね、兄ちゃん」
兄「なんだ」
妹「あたしの、その……裸、見てどう思った?」
兄「え!?」
妹「答えて」
兄「えと……その……」
妹「……」
兄「その……一番最初に思ったのは、な…………昔と全然違うなって。びっくりした」
妹「びっくり?」
兄「その……女らしくなってて、さ」
妹「……どのへんが?」
兄「ぅ…………と、その……」
妹「兄ちゃん」
兄「………………」
兄「胸、とか」
妹「……っ」
妹「……ど、どんなだった?」
兄「な、何がだよ」
妹「あたしの……胸」
兄「……」
兄「も、もう勘弁してくれ!」ダッ
妹「あ……」
ガチャッ バタンッ
妹「兄ちゃん……」
……
兄「妹のやつ、一体どうしたんだ。自分の裸の感想を聞くなんて……」
兄「いつもみたいに俺をからかってるのか? だとすれば納得……」
兄「……できるわけないよなぁ」
『兄ちゃん』
兄「……あいつも女だったんだな」
コンコン
「兄ちゃん、入っていい?」
兄「! あ、ああ」
ガチャ
妹「さっきはごめんね。あたしがゲームしよって誘ったのに、変な感じになっちゃって」
兄「あ、いや、俺の方こそ……」
妹「ううん」
兄「……」
妹「……」
兄「なんか、今日はしおらしいな」
妹「そ……かな」
兄「ああ。いつもよりかわいらしいぞ」ナデナデ
妹「ん……なにそれ。いつもはかわいくないの?」
兄「いや、いつもかわいいけどさ。今はいつもよりちょっとだけかわいいな」ナデナデ
妹「……そか」
妹「そう、なんだ」
妹「あのさ、兄ちゃん」
兄「なんだ?」ナデナデ
妹「…………一回撫でるのとめて」
兄「お、悪い」
妹「ん……あのさ、さっきの続きというか、なんだけど」
兄「さっきのって……裸がどうって話か?」
妹「そう……なんだけど、その前に聞いて欲しい話があるんだ」
妹「相談、になるのかな」
兄「相談か……胸をでかくする方法とかには乗れないぞ。なんてな」
妹「ちがうよ!」
兄「!」
妹「兄ちゃん、あたし、変なんだ」
妹「さっきからドキドキが強くなるばかりなんだ」
妹「さっき、兄ちゃんに着替えを見られてから、ずっと……」
兄「……」
妹「気になって仕方ないんだ。あたしの裸、変じゃなかったかなとか、兄ちゃんの目にどう映ったのかが……」
妹「兄ちゃん、あたし、どうしちゃったんだろう……」
妹「なんだろう……この気持ち」
兄「……」
妹の気持ち。
多分、それは恋心だろう。
ただ、
兄妹であるが故に自覚できない、
実を結ぶことのない徒花の芽
妹「兄ちゃん……」
妹の瞳は揺れていた。
「兄に対する恋心」という、有り得ない気持ちに胸を痛め、俺に救いを求めていた。
そう、見えた。
だが、俺は「それは恋心だ」と告げるわけにはいかず、
しかし、救いを求める妹に背を向ける事もできず、
ただ、妹を抱き締め誤魔化した。
妹「兄……ちゃん?」
兄「……」ギュ
妹「…………」
妹「兄ちゃん……」
妹「なんかこれ、すごく安心するよ……」ギュ
兄「……」
………………
……
妹「兄ちゃん、電気消すよー」カチッ
兄「……自分の布団で寝ろよ」
妹「いいじゃんいいじゃん。昔はこうして寝てたんだし」
兄「狭くて布団からはみ出そうなんだけど」
妹「じゃあくっつこう!」ギュー
兄「おっと!?」
妹「えへへー」
妹「ねぇねぇ、兄ちゃん」
兄「……なんだ」
妹「えっとねー」
妹「あたし、兄ちゃんのこと、好きかもしんない」
兄「!」
妹「それだけ! おやすみ!」バサッ
おやすみなさーい
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