【安価】娘「またアイドルの話を聞きに来たよ」モバP「そうか」 (97)

モバP(以下、P)「どうせ、お前も書斎に逃げて来たんだろう?」

娘「うん。ママと凛ねぇがキューバ危機になってきたからね。そろそろ全面核戦争になるんじゃない?」

P「あれは長引きそうだからな。暇つぶしにアイドルの話でもするか」

娘「やったー!じゃあ、>>4の人なんだけど」



前作
【安価】娘「みんな父さんがプロデュースしたアイドル?」モバP「ああ。そうだよ」

前作の設定を引き継いでいます。
安価で既にやったアイドルが出た場合は安価下で。

前作で話したアイドル
松本沙理奈、上条春菜、及川雫、堀裕子、椎名法子、櫻井桃華、渋谷凛


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1449371729

みちる

P「みちるだな。大原みちる。こいつは――」

娘「なんとなく分かるよ。とにかくパンが好きでパンLOVEでパンを愛するあまりパンへの愛を世界に振りまいたアイドルでしょ」

P「どうして分かった」

娘「どうしてって……集合写真なのに齧りかけのフランスパンを握ってたら誰だって分かるよ」

P「あぁ……まぁな。イースト菌・酵母菌中毒って揶揄されるぐらいあいつはパンが大好きだったからな」

娘「メガネ、ドーナツ、パン、超能力、凛ねぇ。どうして父さんのプロデュースしたアイドルはそんなに愛が偏っちゃってるの?」

P「さり気なく、そのメンツに凛を入れるのか」

娘「で、このみちるさんって、今なにやってるの?パン屋?」

P「いや、それがよく分からないんだ」

娘「え?」

P「1年前から、みちるの行方が分からなくなったんだ。『私はパンを愛するあまり、パンを侮辱してしまった』ってメールを残して」

P「みちるはパンが大好きでな。そこから、パンを作るのに欠かせない酵母菌やイースト菌に興味を持つようになったんだ」

P「それで、あいつはアイドルを引退した後、大学に進んでその分野の教授にまでなった」

娘「へぇ~。凄いね」

P「ああ。あの時のみちるはアイドルとは別の意味で輝いていたな。『誰もがもっと美味しく食べられるパンを作れるようにします!』フゴフゴって言いながら」

娘「その時もパン食ってたんかい!!」

P「でも、1年前だ。あいつから『パンを侮辱してしまった』ってメールが来た。勿論、俺は不安を感じて、あいつの大学の研究室まで行ったんだ。そしたら、あいつは姿を消していた。研究室の学生に聞いても行方は分からなかった」

P「大事になる前に解決できればと思って、俺は学生たちから事情を聴いたり、みちるの研究室で色々と調べ物をした。それで分かったことが4つ」

1.学生たちはみちるの研究内容について一切知らされていなかった。
2.みちるの失踪と共に彼女の研究データが全て失われていた。
3.みちるが失踪した後、黒服の男たちが研究室にやって来た。
4.みちるの部屋で飼われていた数匹のマウスもいなくなっていた。

娘「マウスと駆け落ち?」

P「馬鹿を言うな。みちるはパンと駆け落ちすることはあっても、自分のパンを勝手に齧るネズミと駆け落ちなんてしない」

娘「パンとはするんだ……」

娘「あ、そういえば、父さんのアイドルの中にミステリー大好きとか、探偵アイドルとかいなかったの?あとは情報収集に長けたアイドルとか」

P「お前はアイドルを何だと思ってるんだ?まぁ、いるけど」

娘「いるんだ」

P「結局調べて分かったのは、みちるは何かヤバい研究をしていて、黒服の男たちに狙われそうになったから、データや実験動物と一緒に失踪したってことぐらいだった。これ以上は分からなかったし、警察から続報もなかった」

娘「そうなんだ」

P「ただ、あいつがこの世界のどこかで生きていて、元気でいてくれているのは分かるんだ」

娘「え?どうして?」

P「毎年、あいつの誕生日になるとパンが送られてくるからな。直筆のサイン入りで」

P「だから、これ以上余計な心配はしないで、みちるの無事を信じることにしたよ」

行方が分からなくなったの1年前じゃないの?

みちる「ん~!地中海の潮風を感じながら食べるパンは格別ですね!」フゴフゴ

prrrrr!

みちる「ふぁ、ふぁい!大原み――じゃなかった、え~っと」フゴフゴ

マキノ『私が与えた偽名、まだ覚えていないのね。それと食べながら電話に出ないでちょうだい』

みちる「すみません。でも地中海で食べるパンが美味しくて」フゴフゴ

マキノ『貴方の場合、どこで食べてもパンは美味しいでしょう。って、それどころじゃなかったわ。誰かが私の情報操作を掻い潜って、貴方の居場所を突き止めたみたいなの。すぐに移動する準備をしてちょうだい。逃走ルートは確保してあるわ』

みちる「仕方ないですね。地中海で食べるパンはしばらくお預けにしましょう」

大原みちる編 おわり

娘「じゃあ、気を取り直して>>13なんだけど……」

志希

>>8 こ、細けぇことは……(震え声)



娘「ってか、この人、一ノ瀬志希だよね?」

P「さすがにお前も知っていたか。そうだよ。世界的に有名なお騒がせ大スターの一ノ瀬志希だよ」

娘「日本でアイドルやってたって話は聞いたことあるけど、父さんがプロデュースしてたんだ。すげぇ」

P「ああ。一度はトップにまで導いたからな」

娘「父さん……その……」

P「どうした?尊敬したか?」

娘「苦労したんだね」(遠い目)

P「ああ……。色んな意味でぶっ飛んでいて、一番苦労したアイドルだからな」(遠い目)

お騒がせ大スター 一ノ瀬志希の伝説!

・初対面の人への挨拶は「貴方の匂いを嗅がせて」
・仕事前の失踪はよくあること。日本とアメリカでは失踪対策として彼女の影武者を用意している。
・チャーターした飛行機の機内の匂いが気に入らないという理由で離陸を1時間遅らせる。
・酔った勢いで映画監督からブーツと靴下を強奪。その場で匂いを堪能する。
・たまに常人には理解できないぶっ飛んだセンスの服を着ることがある。
・下着+白衣でステージに立ったことがある。
・ライブのパフォーマンス中に観客から使用済みの靴下や下着をよく投げつけられる。
・しかも投げつけられた物の匂いを一つ一つパフォーマンスしながら堪能。気に入らない匂いのものはシャウトしながら観客席に投げ返す。
・奇行伝説で忘れられがちだが、実は大手製薬会社の研究員。
・気まぐれで会社のロビーに惚れ薬をぶちまける。アイドル時代に事務所でも同じことをやった模様。

・アイドル時代の担当プロデューサーの匂いは特別気に入っており、彼の使用済み衣類を厳重に保管している。←重要


娘「最後の伝説については、ママに報告するね」

P「やめてぇ!!」

P「あ、そういえば、昨日、しきにゃんから贈り物があったんだ。段ボール一箱分」

娘「しきにゃんって……。なんか碌な贈り物じゃなさそうだけど」

P「まぁ、開けてみないと分からないだろ。あいつだって大人になって少しは落ち着いたかもしれないだろ」

娘「奇行伝説を聞いた後で彼女を『落ち着いた』と評価できる父さんの神経がヤバいよ」

P「お、高級そうな箱だな。封もしっかりしてある」

娘「どれどれ中身は……なにこれ?靴下?」

P「こっちは男物のパンツだな………………。全部、俺のじゃねーか!!」

娘「メッセージカードがあるよ。『飽きたから返すね』って」

P「相変わらずフリーダムな奴だな」

娘「この人、天才じゃなかったら、下着を集めまくって警察に捕まる変態になってそうだよね」

P「なってそうというか、俺が通報しないだけで変態だからな」

P「はぁ~。とりあえず洗濯するか。ちょっとこいつら洗濯機に放り込んでくる」

娘「いってらっしゃい」



娘「あ、メッセージカードの裏にも何か書いてある」



『ワイシャツは凛ちゃんとまゆちゃんにあげちゃった。ゴメンね♪』



娘「」

P「ふぅ。まだママと凛の戦争は終わらないみたいだな」

娘「じゃあ、アイドルの話の続きでもしようよ。あ、この写真の人>>24なんだけど」

亜季

娘「大和亜季さんだよね?猛獣ハンターの。あとサバゲ―大好き姉さん」

P「一応、今は職業:タレントなんだけどな」

娘「アイドル時代ってどうだったの?」

P「どうもこうも今とそんなに変わらないぞ。変わったのは年齢だけって言えるぐらい何も変わってない」

娘「十数年も変わらない人って珍しいよね」


P「お、そろそろ亜季が出る番組が始まるな」ピッ


幸子「みなさーん!どうもー!いつもカワイイ輿水幸子でーす!!」

幸子「今日はヨーロピアンバカンスの定番!南イタリアに来ていまーす!」

幸子「いつもはスカイダイビングとかドッキリ企画とか、心臓に悪い仕事ばかりでしたが、今回は南イタリアの観光地や美味しい料理を味わう旅企画!」

久々に女性らしい企画に呼ばれてすっかりテンションが高い輿水。


勿論!今回はそんな悠々自適な旅企画ではない!



幸子「え?あれ?向こうから誰か近づいてくるんですけど……」

幸子「凄く不穏な空気がするんですけど!いかにも戦場を渡り歩いてきた女傭兵みたいな人がこっちに来始めたんですけど!」

幸子「うわっ!来た!来ました!こないでー!ボクはリゾート地の素敵な観光スポットや美味しい食べ物を満喫するんですからー!!」

走る!幸子走る!村上組の黒服100人に追いかけられるドッキリの時よりも走る!

幸子「ぜぇ……はぁ……。ここまで来れば大丈――」

ガシッ

亜季「逃げるなんて水臭いであります!」

幸子「」

猛獣ハンターAKI with 幸子!

地中海に眠る大海獣 ピニャを狙え!

幸子「で、どうやってそのピニャを探すんですか?」

亜季「ノープランであります!材料も情報もすべて現地調達!これがサバイバルであります!」

亜季「とりあえず、あそこでパンを食べている女性に聞いているみるであります!」

幸子「パンといえばみちるさんを思い出しますね」

亜季「そこの方ー!ピニャについて聞きたいことがあるであります!」

???「え!?亜季さ――いえ、なんでもありません」

亜季「実はこの辺りに生息するピニャって動物について調べているのですが、何か知っているでありますか?」

???「さ、さぁ。ごめんなさい。動物については詳しくないです」

亜季「そうでありますか。では、これにて失礼するであります」(敬礼)ビシッ

幸子(どこかで会ったことがあるような気がするんですよね。この人)




P・娘「みちる(さん)いたああああああああああああああああああああああああああ!!!」


この衝撃で、番組の内容は頭から抜けました。


娘「ねぇ。この人>>32について教えてよ」

ウサミン

娘「この30年ぐらい前のアニメのキャラクターみたいな人って誰?」

P「彼女は安部奈々。自称永遠の17歳。ウサミン星からやってきた歌って踊れる声優アイドル」

娘「なんか聞くだけで鳥肌がたつほど痛々しいんだけど」

P「俺もよくこの痛い設定のアイドルを最後までプロデュースし続けたなって思うよ。認めたくないものだな。若さ故の過ちというものは」


菜々「過ちを気に病むことはありません。ただ認めて、次の糧にすればいい。それが、大人の特権ってやつですよ。キャハ☆」




P「」

娘「」





娘「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!ご本人登場!!」

P「(キャラが)痛いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」

菜々「痛いとは何ですか!痛いとは!それがプロデュースした本人の言うセリフですか!?」

P「しかも全然変わってないいいいいいいいいいいいいい!!だって、もし本当にあの時17歳だとしたら、今はもう40近いのに!」

菜々「ウ、ウサミン星人は歳を取らないんです!だから永遠の17歳なんです!」

娘「マジで!?ねぇ!細胞を採取して志希さんに調べてもらおうよ!」

菜々「え?……あの、それはちょっと……」

P「ってか、どうやってここに入ってきたんだ?」

菜々「普通に玄関から入って、Pさんに会いに来ましたって言ったら、奥さんがそのまま通してくれました」

菜々「あ、そういえば凛ちゃんにも会いましたよ。結婚式の時に渡せなかったお祝いの品も渡してきました」

P「そうなのか。で、俺に用って何なんだ?」

菜々「あー。実はですね。またウサミン星で内戦とか色々ありまして、また地球に戻ってきました。なので、またアイドルプロデュースよろしくお願いしますす♪」

P「また、その痛いキャラでやるの?」

菜々「痛くありません!これが菜々のスタイルです!」

P「……」

菜々「……」

P「……」

菜々「……」

P「良いですよ」

菜々「ヤッター!!」ピョンピョン

娘(飛び跳ねてる姿かわいい。あとおっぱい凄く揺れてる)

菜々「あとでママにも報告しなきゃ!」

P「え?ママ」

菜々「あ」

背の低いかわいいおばちゃん「イタズラはその辺りにしておきましょう」

P「だ、誰ですか?」

菜々(?)「ママ!」

娘「え!?ママ!?」

背の低いかわいいおばちゃん「お久しぶりですね。プロデューサーさん。安部菜々です。こちらは私の娘の菜々子」

P「」

菜々子「菜々子です☆」

P「」

菜々「菜々子が墓穴を掘るまで気づかないなんて、ウサミン星人は歳を取らないとか、本気で信じていたんですか?」

P「あ……いや、本当に気づかなかった。若い頃の菜々に瓜二つだから」

菜々「そんなに似ていますか?」

P「ああ。似ているよ。きっと母親に似てトップアイドルに立つ素質もあるんだろうな」

菜々「プロデューサーさん。それって……」

P「娘さん。私にプロデュースさせてもらってもいいですか?」

菜々「元々、そのお願いのために来たんですから」


今日はここまで 続きは明日やります。

その後、菜々さんと菜々子ちゃんは家に帰りました。

P「まさか娘さんだったなんて気づかなかった」

娘「本当に仕事しねぇな。父親の遺伝子」

娘「――っと、気を取り直して、また別のアイドルの話でも聞こうかな」

P「じゃあ、>>42の話でもしようか」

比奈

P「なぁ、お前、この人が誰だか分かる?」

娘「アイドル」

P「いや、そうだけど……。多分、こいつの名前を聞いたらお前もはっとすると思うぞ」

娘「もったいぶらずに教えてよ~」

P「荒木比奈」

娘「!?」

娘「ちょっと待ってて。部屋から持ってくるから」

P「あ、ああ」

ドダダダダダダダ・・・・・・

ちなみにこのキャラが出たら終了とかあるのか?

娘「え?もしかしてだけど、もしかしてだけど、この漫画の作者と同一人物!?」ドスン

P「随分とたくさん持ってきたな」

・蒼天の剣 アイオライトブルー
 帝国の騎士リィンは皇帝より北の大地に眠る聖剣アイオライトブルーを持ち帰る任務を与えられる。
 案内役の魔導士プロデュルス、偶然助けた自称天使のウヅキエル、そして同じく聖剣を狙う盗賊ミィオと共に北へと向かう。
 元アイドル荒木比奈が描くファンタジー巨編。全7巻。

・ナポレオン on the stage!
 アイドルユニット「ブルーナポレオン」の結成と解散ライブまでの活躍を描いた自叙伝。全3巻。

・俺は車輪に恋をした
 荒木比奈がアイドル時代の盟友のために描いた異色のBL作品。
 その繊細な心理描写から腐女子界では傑作と名高く、続編を望む声が多い。全1巻

・Zwei Vögel
 その二人は似ていて、異なっていて、だからこそ惹かれ合った。
 暗黒街に生きる殺し屋のアスカは、大富豪ミスターPの依頼により、ある男の暗殺に向かう。
 しかし、彼女は現場で黒いドレスを身に纏ったもう一人の殺し屋ランコと遭遇する。
 依頼主に裏切られた2人は窮地に立たされるが、協力してピンチを切り抜ける。
 そして、二人は共にミスターPを撃つことを誓って、ペアを組むことになる。
 美しく可憐でどこか儚いハードボイルドガンアクション 全18巻。


P「ああ。勿論、全部俺がプロデュースしたアイドル。荒木比奈の作品だよ」

娘「じゃあ、この魔導士プロデュルスのモデルって父さんなの?」

P「本人から直接聞いたわけじゃないが、俺がモデルだろうな」

娘「アイオライトブルーのリィンって凛さんだよね?」

P「ああ。あいつの漫画の登場人物はほとんど身近な人間をモデルにしているからな」

娘「じゃあ、この新連載の主人公も父さんがモデルなのかな?」

P「え?今週のジャ○プ?」





巻頭カラー 荒木比奈新連載



“プロデューサーだけどアイドルに手を出しそうでヤバい”



P「」

娘「ワァオ。第一話からト○ブる並のえっちぃ過激描写が」

P「だだだだだだだだだだだ断じてちちちちちちちち違うからな!」

娘「あと、ごめん。これママに見せちゃった」







P「」



P「」




娘「おーい。そろそろ起きてよー。他のアイドルの話してよー。まだママと凛さん戦争中なんだからー」

P「はっ!閃いた!名案だ!凛との戦争を激化させよう!そうすることで漫画のことを忘れるように仕向けよう!」

娘「自分の元担当アイドルを売ったよ。このド屑」

娘「そんなことより、他のアイドルも教えてよ~」

P「そうだな。今日のところは>>51-52で終わりにしよう」

蘭子

>>45特に誰ってのは決めてないよ。


娘「この人、誰だか分かるよ。めっちゃ分かる。凄く分かる。間違えようがない」

P「おう。そんなに自身があるなら言ってみろ」

娘「神崎蘭子さんだよね?Zwei Vögelのランコのモデルになった」

P「正解」

娘「で、父さん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」

P「何だ?」

娘「蘭子さんって本当にこんな痛い発言を連発する人だったの?それともそういう設定で売り出したアイドル?」

P「知りたいか?」

娘「うん。知りたい」

P「じゃあ、実際に確かめに行くか」

娘「え?」

P「近くに蘭子のアンティークショップがあるからさ。実際に本人に会って聞けばいい」

娘「世間って意外と狭いんだね」

娘「というわけで着きました!蘭子さんのアンティークショップ!」

P「娘よ。ここから先はお前一人で行くんだ」

娘「え?どうして?」

P「ここから先は乙女にのみ許された冥界への入口。漆黒の華衣が飾られたあの空間は紳士の立ち入りを許さない禁断の空間!(このお店は女性向けなんだ。悪魔や死神をモチーフにデザインされた際どいランジェリーとかも売っていて、男の俺にはとても居づらい)」

娘「創生の主よ!ここで我を見捨てようと言うのか!禁断の門を開けずして何が“導く者”か!(父さん!私一人で行かせるの!?プロデューサーなんだから女性用下着とか平気でしょ!)」


蘭子「よくぞ来た!我が冥界へ!此処は漆黒の華衣を飾る地であれど、訪れる者の性は問わぬ!何人たりとも受け入れん!(いらっしゃいませ!神崎アンティークへ!当店は女性用のランジェリーも置いていますが、入店される方の性別は問いません!どんどん来てください!)」



娘「」

P「」


蘭子(決まった…………はっ!)


P「」ニヤニヤ

娘「」ニヤニヤ

蘭子「はわわわわわわわわわわわ///」

P「これで分かっただろ?我が娘よ」

娘「さすが父さんが担当したアイドル。まともじゃないね」

娘「ほほーぅ。ここが神崎さんのお店なんですかー。凄く雰囲気があって良いですねー。まさに冥界?」チラッ

蘭子「あううううう///」

P「こらこら。もう蘭子をいじめるな」

P「久し振りだな。元気にしていたか?あれ、少し痩せた?」

娘「心なしか、着ている服も写真の時より地味というか、ユ○クロで売ってそうな服なんだけど……」

蘭子「あの……その……実は……お店の経営、けっこうギリギリで……生活費を切り詰めて何とかお店を保っている状態なんです」

P「え?」

娘「あ、普通に喋れるんだ」

P「けっこう真剣な話をしているから黙ってろ」

蘭子「これがお店の収益」

P「」

娘「」

P「な、なんだ……この額は」

娘「馬鹿だけど私にも分かるよ。これってけっこうギリギリだよね」

P「どうやって生活しているんだ?」

蘭子「実家から少しお金を借りて……」グスッ

P「これがお店の売り上げ履歴か。定期的に買いに来るリピーターはいるみたいだな。そのリピーターのお陰で何とか維持できているのか」

蘭子「うん……」

P「蘭子。もしかしての話で聞くけど、そのリピーターって?」

蘭子「美波さん、アナスタシアさん、のあさん、飛鳥ちゃん」

P「ほとんど内縁じゃねーか!」

娘「崖っぷちの売れないホステスじゃあるまいし!」

P「あ、でもここで売り上げが一気に伸びているな」

蘭子「あ、それは未央さんがドラマの小道具で欲しいからって――。普通はレンタルなんですけど、そのまま自費で全部買ってくれて……」

P「マジかよ。ちゃんみおマジ天使」

娘「慈悲でアンティークを自費で買う。ふふっ」

P「ダジャレはやめろ。アイドルが湧くぞ」

娘「アイドルって何なの……」









楓「ふふっ」

娘「え?何?今、何か聞こえたんだけど」

P「気にするな。全部妖怪の仕業だと思えばいいんだ」

娘「逆に気になるよ!」



P「それにしてもこれは深刻だよなぁ…………………………ん?」

娘「どうしたの?」

P「蘭子。聞きたいことがあるんだけど、いいか?」

蘭子「う、うん」

P「お前、接客の時は熊本弁を使ってるか?」

蘭子「つ、使ってない。普通の言葉しゃべってる」

P「じゃあ、普通にお客さんが来た時のセリフ、言ってみろ」

蘭子「う……うん」


蘭子「いらっしゃいませー!神崎アンティークへようこそ!どうぞ!ゆっくり見て行ってください!」(営業スマイル)

娘「か、可愛い」

P「けど違うな。可愛いが、魅力的じゃない」




蘭子「」



P「蘭子。どうしていつもの熊本弁を使わないんだ」

娘(え?あれ熊本弁なの?)

蘭子「だって、恥ずかしいじゃん」





パシィン!!



蘭子「ぷ、プロデューサー?」



P「蘭子。お前は忘れたのか。俺と一緒にトップアイドルを目指した日々を。その頂点に立った光景を」

蘭子「忘れるわけない……。忘れるわけない!!」

P「だったら、どうして熊本弁を封印したんだ!お前の世界観を隠そうとするんだ!」

蘭子「だって……あれは若気の至りだから。大人になって、あんなの……恥ずかしいじゃん!」

P「恥ずかしくない!!!!」

蘭子「」ビクッ

娘「」ビクッ

P「確かにお前は痛い奴だった。見ているこっちが恥ずかしさで悶え苦しんだ!けどなぁ、お前はそれを最後まで貫き通したんだ!」

P「最後まで貫き通した中二は恥ずかしい黒歴史なんかじゃない!生き様だ!お前に付いて行った数万人のファンは、お前の生き様に惚れこんだんだ!」

P「自分を否定するな!自分を恥ずかしがるな!お前を信じて付いてきたファンを踏みにじるな!お前に敗北したアイドル達の想いを踏みにじるな!お前を信じてトップアイドルに導いた俺の心を踏みにじるな!」

P「お前は神崎蘭子なんだ!アイドルを辞めて、芸能界の表舞台から去った今でも神崎蘭子なんだ!」

蘭子「ぷ、プロデューサー」

P「辛いことなら全部吐き出せばいい。俺は一生お前のプロデューサーだ」

蘭子「……」

娘「蘭子さん?」

蘭子「ふふふ……ふはははははははははははははははは!!」

蘭子「我は堕天使!神崎蘭子!プロヴァンスの風よ!我を永い眠りから目覚めさせたその功績!如何にして讃えようか!(ありがとうございます!プロデューサーさん!どう感謝すればいいんでしょうか?)」

P「我が堕天使の降臨。その事実だけが私めの幸福にございます。どうか、その栄光が永遠のものであるよう願っております(お礼なんかいらないよ。蘭子が自分を取り戻してくれただけで嬉しいんだ。ずっと、自分を見失わないでくれ)」

娘「創生の主と同じく!(父さんと同じく)」


その後、熊本弁のおかげか神崎アンティークは繁盛した。
それに関係してか、地元の小学生が熊本弁を真似するようになり、それを問題視したPTAの会議に蘭子が呼び出されて、
小学生のママさん達に問い詰められて涙目になったのはまたまた別の話である。

娘「いやー。それにしても父さんの演説は凄かったよ。私も蘭子さんと一緒に涙目になってたもん」

P「誉めるなよ。恥ずかしい」

娘「うっ……。そう純粋にほめ言葉を受け取られるとその後の対応に困るなぁ…………あれ?」

P「どうした?」

娘「いや、あそこの公園のベンチに誰かいるみたいなんだけど。女のひとが」

P「もう夜遅いぞ。危ないなぁ。ちょっと声をかけてやるか」






P「あの~大丈夫ですか」

娘(パジャマ姿でサンダル履き。けっこう大人だよね?夢遊病かな?)

P「もしも~し。大丈夫ですか~?」



こずえ「プロデューサー?」



P「こずえっ!?」

娘「あー。またアイドルですか。そうですか」

続きはまた明日。

P「お前!こんなところで何をしているんだ!?しかもこんな無防備な格好で!」

こずえ「ちょっと星が綺麗だったから、星がよく見える場所に来たの。それに――」

P「それに?」

こずえ「ここに来たら、良いことがありそうな気がしたから。うん。良いことあった。プロデューサーに会えた」

娘「父さん。ちょっとこっちに」

P「あ。ああ。ちょっと待っててな。こずえ」









娘「もしもし父さん。あのゆるふわロング・パジャマ姿のナイスバディでミステリアスで眠そうな顔をしつつも無自覚に男を勘違いさせる雰囲気を持った魔性を持った男の欲望の権化みたいな女性もやっぱり父さんのアイドルなんですか?」

P「言ってることが滅茶苦茶だが、元担当アイドルだったことは肯定する」

こずえ「内緒話?」ズイッ

娘「うわっ!」

P「お、驚かせるなよぉ。悪かったな。待たせて」

こずえ「そういえば、そっちの女の子は誰?」

P「あれ?そういえば、会うのって初めてだったか?俺の娘だよ」

こずえ「娘さんなんだ。初めまして。私は遊佐こずえ。小さい頃は貴方のお父さんのお世話になりました」

娘「あっ。はい。どうも!P子です!」

こずえ「あ~。あの人の娘さんなのね……」

P「最近、元気でやっているか?しばらく連絡がつかなかったから、心配してたんだぞ」

こずえ「うん。ちょっと色々あったからね。心配かけてごめんなさい」

P「それにしても雰囲気変わったよな。前はもっとこう……眠そうというか、半分寝ているというか……」

こずえ「うふふふふ……。プロデューサー。それもう10年以上前の私だよ」

P「おっ。もうそんなに経つのか。時の流れが早く感じるな」

こずえ「それに雰囲気が変わったのは分かるよ。だって――」







こずえ「私は“人形”じゃなくなったから」

P「こずえ……」

娘「?」

こずえ「今だから話せる。いや、今だからこそ話さないといけないのかな」

こずえ「プロデューサーにスカウトされた時、私には意思が無かったの。私はお人形さんのように可愛がられていて、何をやってもそれが“正解”として誉められた。怒られることなんて無かったし、欲しいものは何でも与えられた。何をしても“正解”ならそもそも“選択”という過程は必要ない。選択が不必要になると、その選択を行う“意思”は役割を失くしてしまう。そして、役割を失った意思はお荷物として思考からオミットされる。プロデューサーにスカウトされた頃の私はちょうどそこ頃だった。知ってた?プロデューサー。私がアイドルになったのはそうなることを選んだんじゃなくて、プロデューサーが手を引っ張ってくれたからなんだよ」

こずえ「アイドルになって色んな仕事をして、色んなものを覚えて、色んな人に出会った。その中には正解もあったけど、間違いもたくさんあった。だから、私は選ぶようになって、私の中から無くなっていた意思が再び生まれた。私は人形から人間になろうとしていた。だけど、今度は変わっていく自分が自分じゃなくなっていく感覚が怖くなっていったの。『お人形さんのままでいい』そう思っていた頃もあった。だけど、私は人間に戻った。アヤのお陰でね」

こずえ「アヤには感謝してもしきれないよ。人形であり続けようとした私を引っ叩いてまで人間に戻そうとしてくれた。今でも少しお世話になってるから、いつかお礼をしないとね」

P「こずえ……」

こずえ「どうしたの?」

P「今、楽しいか?」

こずえ「――――――――――うん」

こずえ「そろそろ帰らないと。アヤも心配しているし」

P「アヤの家に居候しているのか?」

こずえ「うん。ちょっと色々とあって実家には帰れないし、お金もないからね。そろそろ稼いでいかないと。いつまでもアヤに迷惑はかけられないし」

P「あいつのことなら迷惑とか思ってないだろ」

こずえ「それに甘えていたいけど、ずっとって訳にはいかないよ。アヤにはアヤの人生があるし、いつまでもお服を着せてもらうお人形さんってわけにもいかないしね」

P「そうか――。こずえ、もしお前がアイドルに戻りたいのなら、俺はいつだって協力する。ステージも衣装もすぐに用意するさ」

こずえ「もうアラサーだけど?」

P「志乃さんや礼子さんだってデビューはそれくらいだったじゃないか。大丈夫大丈夫」

こずえ「アイドルかぁ……。きっと今だったら全然違う光景が見えるんだろうね」

P「ああ。こずえが変わったんだ。きっと世界だって変わって見えるはずだ。もしその気になったら、ここに連絡してくれ」つ名刺

こずえ「ありがとう。じゃあ、そろそろ帰るね」












娘「こずえさんこずえさん。ちょっと良いですか?」

こずえ「どうしたの?」

娘「次世代ヒト行動特性記述ワーキンググループという組織に覚えは?」

こずえ「無いよ」

娘「ですよねー」

P「何の話をしているんだ?」

続きは土曜日になります。
>>72-73で今回は最後にします。

加蓮

翌日

P「さて、嫁姑戦争も終わったところで今日もアイドルの話をしよう」

娘「結局やること変わってないね」

娘「じゃあ、この凛ねぇの隣の人なんだけど……」

P「加蓮か……」

娘「ど、どうしたの?暗い顔して。もしかして雫さんパターン?」

P「いや、違うよ。加蓮は輝いていた。最後のその瞬間まで……。もうその先が見れないと思ってしまうのは辛いけどな」

娘「え?え?」

P「すまない。しばらく一人にしてくれないか。とての話せる精神状態じゃない」グスッ

娘「う、うん。分かった」

バタン

娘(けっこうヤバいこと聞いちゃったのかぁ……。あ~でも知りたい!加蓮さんに何があったのか知りたい!気になる!)

娘(あ、凛ねぇに聞けば分かるんじゃね?写真の時も隣で仲良さそうだったし。今、ちょうどウチに居るわけだし)




娘「――――ってことで、凛ねぇ!加蓮さんについて教えて!」

凛「!?」

娘「どしたの?凛ねぇ」

凛「ごめんね。加蓮のことは、辛い思いでもあるから……」

娘(物憂げな顔をした凛ねぇの色気。プライスレス。――――って、冗談言ってる場合じゃなかった!)

娘「え?何?加蓮さんと何かあったの?え、あの、もしかして私とんでもない地雷踏んじゃったんですか?」

凛「いや、ごめん。ちょっと取り乱しちゃって。良いよ。加蓮について教えてあげる」

凛「名前は北条加蓮。当時は私と加蓮、奈緒の3人でアイドルユニットを組んでいたの。名前はトライアドプリズム。聞いたことある?」

娘「ごめん。ない」




凛「」


凛(ジェネレーションギャップってこわい)

凛「加蓮は病弱でね。レッスンじゃすぐに息が上がるし、仕事を病欠することもしばしばあった。私と奈緒はそんな加蓮が心配でね。本人に過保護って怒られても心配で仕方がないくらいだった」

凛「だけど、加蓮はそれでも頑張って、私たちと一緒に同じステージに上がることが出来た。それからは色々と吹っ切れたのか、加蓮も含めて私達3人はアイドルという枠組みに囚われないで、色んな仕事に挑戦してきた。

凛「『もう加蓮の心配をする必要なんてない。私達は同じ場所に立っているんだ。これからもずっと』って、そう思っていたよ」

娘「そう“思っていた”って……」

凛「思い通りにはならなかったってことだよ。加蓮がいなくなったことで、トライアドプリズムは解散になった」

娘「い、いなくなったって……まさか……」

凛「ごめん。この先はまだ話せそうにない。まだ私も踏ん切りがついていないからね」

凛「ちょっとお手洗い行ってくる」

娘「は、はい」

トライアドプリズムってネタ?

娘「あー今回はガチなのか~。ガチで暗い話なのか~。聞かなきゃ良かった」





<●><●>


娘「!?」ビクッ



娘(え!?何!?今の!)


テク……テク……


娘(足音?でもこんな歩調の人、ウチにはいない。お客さんが来る予定もないし……)


娘「も、もしかしてママ~?」

娘「!?」




??「」ニヤリ




娘(顔がよく見えなかったけど、知らない女の人が階段の上にいた!)

娘「ま、待って!誰ですか!?」

娘(確か、2階のあっち側って、父さんの書斎が!)


バタン!


娘「父さん!」




P「」

??「……」ニヤリ


娘「ひっ!」


>>78
ごめん。ミスった。


娘「と、父さん!!」

??「ウラヤマシイ・・・・・・」

娘「え?」

??「イキテ、ジンセイヲオウカシテイルアナタタチガウラヤマシイ・・・・・・」

??「カラダ・・・・・・ホシイ。オマエノカラダ、ワカイ」

娘「こ、来ないで!」

娘(逃げなきゃ……!ごめん!父さん!骨は後で拾うから!)ダッ




娘(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!よく分からないけど、あれに捕まったらヤバい!)ドダダダダダダダ!!

凛「あれ?どうしたの?」

娘「凛ねぇ!助けて!!幽霊に体を乗っ取られるぅ!!」

凛「何おかしなこと言ってるの?幽霊なんているわけないじゃん」

娘「いや、でも!実際にいたんだって!父さんがもうやられちゃって!それで、必死に、逃げて!」

凛「ねぇ。P子。もしかして、その幽霊ってのは、あれのこと?」

??「ミツケタ」

娘「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

凛「逃がさないよ」ガシッ

娘「り、凛ねぇ!?離して!!」

凛「離さないよ。だって――」






















凛「加蓮の復活には貴方の身体が必要だもの」

凛「ようやく、これで一緒になれる。またあの時の3人に、トライアドプリムスになれる」

加蓮(?)「ナオ……ハ?」

凛「仕事で遅くなるってさ。薄情だよね。加蓮の再誕より仕事を優先だなんて」

娘「嫌!離して!私の身体なんだから!!」

凛「駄目だよ。加蓮が復活できなくなっちゃう。じゃあ、そろそろ始めようか。黄泉帰りを」

加蓮(?)「フフフ・・・・・・。コレデ、モウイチドアイドルニ、ナレル」

娘「嫌ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」













娘「あれ?」



娘「え?無事?どういうこと?」


凛「どういうことって?」

加蓮「こういうこと」




<ドッキリ大成功!>

娘「」

加蓮「いやぁ~。まさかここまで良いリアクションを取ってくれるとは思わなかったよ。奈緒レベルの弄り甲斐だった」

凛「ちょっとやり過ぎだったかな。加蓮も気合入り過ぎ。まさか特殊メイクまでしてくるとは思わなかったよ」

加蓮「このドッキリをやる時に小梅ちゃんに頼んだんだよね」

凛「今、特殊メイクアーティストだったっけ?あと、リアル過ぎて怖いから、そろそろそのメイク外そうよ」

加蓮「うん。ちょっと待ってて…………あれ?」

凛「どうしたの?」

加蓮「これ取れない。ってか、取り方教えてもらってない!!凛!手伝って!」

凛「無理やりだけど、剥がすよ。せーのっ!」

加蓮「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!顔が剥がれるよ!!」

ベリベリブチッ

凛・加蓮(顔面血まみれ)「「剥がれちゃいました」」

※血まみれの顔面も特殊メイクです。




娘「」ジョワァ・・・




その後、凛ねぇと加蓮さんは土下座で謝ってくれました。
ちなみに加蓮さんは今、芸能人御用達のネイルアーティストらしいです。





P(あれ?俺いつまで死んだふりしていればいいんだ?)

更に翌日 リビング

P「あれ?もうアイドルの話は聞かないのか?」

娘「父さんのアイドルにまともな人間はいないって分かったからね」

P「加蓮のことは謝るって。ほら。加蓮の店の無料サービス券あげるから」

娘「マジで!やったあ!」

P(ウチの娘がチョロ過ぎてパパ心配)

娘「でさぁ」

P「どうしたんだ?」

娘「どうして父さん。甲子園見てるの?野球好きだったっけ?」



実況『おおっと!ここで痛恨のエラー!ランナーのホームインを許してしまいました!』

実況『これで3-4の逆転!宮崎美城高校ピンチ!』

解説『いやぁ、ここからが面白いところですよ。あ、美城高校のベンチ映してください』

??『ゴルァ!!君島ァ!今のは取れただろうがぁ!!』

選手『お、落ち着いてください!監督!』



娘「うわぁ~。すっごい荒れてるね。宮崎美城高校の監督。あ、そういえば美しすぎる野球監督とかでバラエティで取り上げられていたね。名前なんだっけ?」

P「姫川友紀」

娘「あ、そう!それそれ!――って、どうして父さんが知ってんの?」

P「プロデューサーなんだから、メディアのトレンドぐらいは把握しているし、それに……あれ、俺が担当したアイドル」

娘「うわあ。ついに自分のアイドルを“あれ”呼ばわりですか」

P「まぁ、テレビで見ての通り、あいつは大の野球好きで野球アイドルとして売り出した。それで大成功。始球式やチアガールとして引っ張りダコだった」

娘「へぇ~。それで今は引退後に高校野球の監督。なんか野球好きとして理想的な人生を歩んでいるよね」



実況『ここで君島選手!挽回のサヨナラ満塁ホームラン!ここでゲームセット!』

実況『宮崎美城高校の勝利です!』

解説『いやぁ~。最後までどちらが勝つか分からない戦いでしたね』

友紀『うおおおおおおおお!!よくやった!君島!!』ダキッ

君島『あ、ありがとうございます!』

友紀『他のみんなもよく頑張った』ダキッ

選手たち『ありがとうございます!!』

キャプテン『お前らぁ!次も勝つために特訓だ!勝って兜の緒を締めよ!!』

選手『はい!!』



娘「…………父さん」

P「どうした?」

娘「これ、絶対におっ○いバレー理論で勝利に導いているよね」

P「ああ。だが恐ろしいのは、友紀がそれに気づいていないところだ」

娘「マジですか。天然すぎでしょ。純粋すぎでしょ」

P「ちなみに、負けた場合はお通夜ムードになるらしい」



とある選手の証言

選手『負けた時、監督は真っ白に燃え尽きます。ベンチから一切動きませんし、生きているのか死んでいるのか分からない状態になります』

選手『マネージャーが抱えてあげないと自分で立って歩けないぐらいの極限の脱力状態です』

記者『どうやったら元気になるんですか?』

選手『キャッツが勝てば……いつものテンションに戻ります』




娘「落差激しすぎでしょ!!」

P「ちなみにあいつの好きな球団はキャッツで、今は『キャッツのエースを私のチームから出す!』って野望で燃えているらしい」



姫川友紀は知る由もなかった。
今年の甲子園で注目された宮崎美城高校のエースが、別のリーグの鷹のチームに持っていかてしまうという未来が待ち受けていることに。




居酒屋

友紀「つ、次こそは!キャッツを!キャッツのエースを育てるんだ!うぅぅぅぅぅ……」

友紀「おっちゃん!生追加!」

おまけ

娘「父さん」ガクブル

P「どうした?そんなに震えて」

娘「この写真のこの人なんだけど……」

P「この人って……。別に俺に聞くまでもないじゃないか」

娘「ですよねー。まゆねぇだよねー」

P「そうだぞ。お前がさんざん世話になったまゆお姉ちゃんだよ」

娘「アイドルだったんだ。父さんが元々担当していた」

P「え?知らなかったのか?お前、今までまゆのことをなんだと思っていたんだ?」

娘「近所のお姉さんとか遠い親戚とか……」

P「お前……少しは疑問に思えよ。俺に聞けば一発で分かったのに」

娘「でも今こうして父さんの担当したアイドルって分かると色々と納得できるんだよね」

P「色々と納得って?」

娘「愛情が偏っているし、その上、愛情の注ぎ方がまともじゃない部分とか」

P「お前はアイドルを何だと思っているんだ?まゆに関しては反論できないけど」

娘「反論できないんだ……」

P「ああ。出来ないな……」




娘「……」




P「……」





娘「あの人、早く結婚しないかなぁ……」

P「どうして、そう思うんだ?」

娘「いや、だって――


ピンポーン!


娘「ひっ!!」

P「いや、宅配便かもしれないだろ。まゆと決まったわけじゃ」

娘「あわわわわわわわわ」ガクブル

玄関

P「はーい。どちらさんですか」

まゆ「まゆですよ。プロデューサーさん」

P「」

P(インターホンの音だけでまゆを察知したのかよ。P子のアンテナヤバい)

P「も、もしかしてP子に会いに来たのか?」

まゆ「はい。実はクッキーを焼き過ぎてしまいまして、これP子ちゃんと一緒にどうぞ」

P「ありがとな。今、P子いるから上がっていかないか?お茶も淹れるぞ」

まゆ「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて」




P「それにしても、まゆも変わったなぁ」

まゆ「はい?」

P「いや、今ちょっと娘に昔担当していたアイドル達の話をしていたんでな。つい昔のことを思い出したんだ」

P「昔のまゆは俺にべったりで、事ある毎に『プロデューサーさん』『プロデューサーさん』って言っていたのに」

まゆ「もう昔の話じゃないですか。さすがに今はそんなこと言えませんよ。奥さんに悪いですし」

P「少し寂しい気もするけどな」

まゆ「あ、それ奥さんに報告しますね」

P「やめてぇ!!お小遣い更に減っちゃう!」

娘「お、お久しぶり。まゆねぇ」ガクブル

P「まゆがクッキー作ってくれたぞ。今から3人で食べよう」

まゆ「P子ちゃん!」ガバッ

娘「うひゃあ!!」






まゆ「70時間ぶりですね。元気にしてましたか?あ、またお父さんと同じ安物のシャンプー使いましたね?若いからって女の子は身体のケアをちゃんとしないと駄目ですよ?今度まゆが使っているシャンプーとリンスを教えてあげますから、次からはそれを使ってください。天然由来の素材で作られた髪の毛に優しいものですよ。ついでにボディソープとボディタオルもまゆとお揃いにしましょう。身体のケアをちゃんとすればP子ちゃんもすぐにモテモテになりますよ。だってこんなにも可愛いんですから。モテモテになると、まゆのP子ちゃんじゃなくなってしまうのは少し寂しい気もありますけど、P子ちゃんの幸せのためならまゆは我慢します。愛する人を失った経験は一度ありますから、大丈夫です」

娘(お、重い!父さん!助けて!)

P「クッキーうめえ」

娘(クッキーで娘を売りやがった!!)

まゆ「P子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃんP子ちゃん」

まゆ「ああ、もしP子ちゃんがもっと可愛くなってモテモテになってしまったら――」

娘「?」

まゆ「いっそのこと、まゆだけのものにして、まゆしか愛せないようにしてしまいましょうか。プロデューサーさんでは失敗してしまいましたが」

娘「」ガクガクブルブル

まゆ「冗談ですよぉ」ニコッ

娘「冗談に聞こえねーよ!!」




おわり

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