輝子「11月は夕焼け色」 (35)


・秋も終わろうとしてますが松永涼さんと星輝子ちゃんと高森藍子ちゃんのSSです

・プロデューサーが女性です



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カタカタカタ

涼「秋か」

輝子「秋……秋といえば……涼さんならなにが浮かぶ……?」

涼「そうだな。ありきたりだけど食欲の秋とか、読書の秋とか」

輝子「フヒ……食欲の秋……キノコの、秋……」

涼「まぁ、キノコは秋が旬だからな」


輝子「そ、そうなんだ。ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富なのにローカロリー……それに種類がいっぱいあるから、自分の足りない栄養素がわかればそれにあったキノコを選択すれば……フフ……ボッチの私とは違って、選び放題……」

涼「突然ネガるなって……反応しにくいよ」

輝子「ご、ごめん……」

涼「少なくともいまここにはアタシとPサンがいるからボッチじゃないだろ?」

輝子「り、涼さんも……私をトモダチって、言ってくれる……のか……?」

涼「当たり前。なに言ってんだよ今更」

輝子「フヒヒ……そうか……トモダチ……う、うれしいな」

涼「な、Pサン」

カタカタカタ


モバP(※以下P表記)「んー……ちょっと待って」

輝子「な、なんだ……? ど、どうしたんだ親友」

P「もうちょっとでできそうだからさ。もうちょっと」

涼「うん」

P「……」カタカタカタ

輝子「いつも忙しそうだ……」

P「んー……まぁねー」


涼「いつも難しい顔してパソコンに向かって」

P「あー、そうそう。最近眉間にしわが寄っちゃって……って違う」

涼「自分でツッコんでどうなのさ」

P「まぁ、私も若くないし……」

涼「だからなんでいきなりネガるの……」

P「うーん……」

輝子「仕事モード……だな」

涼「邪魔しちゃ悪いから、輝子こっちおいで」

輝子「う、うん」ゴソゴソ


輝子「涼さんの……ヒザ……」

涼「ん? どうかしたか?」

輝子「な、なんでもない……うん……フヒ」

涼「小梅とかよく乗ってくるから気にすんなって、ほら」

輝子「な、なんか……照れくさいな」ポスッ

涼「輝子も軽いなー」

輝子「ボッチは、軽い……」


輝子「う、うん……?」

涼「どうした?」

輝子「なんでもない……うん」

涼「そっか」

輝子(せ、背中にすごく柔らかいものが……なんだかいいにおいも……するな……)ポヨン

涼「小梅もそうだったけど、背が低いとおさまりがいいよな。なんか妹ができたみたいで」

輝子「い、妹か……涼さんがお姉さんなら……みんなに自慢できる」

涼「アタシも輝子みたいな妹がいたら自慢するよ!」ギュゥゥ

輝子「ヒャァ!」


輝子(マ、マママ、マシュマロ……ヤバイ……)

P「ふぅー……」

涼「お、終わったのか」

P「んーにゃ。キリがいいからちょっと休憩。疲れたー……」

涼「お疲れサマ。肩でも揉もうか?」

P「あー……お願いしたいかも、って……なにやってんの」

輝子「な、なに……とは……?」

P「私も輝子をヒザに乗せたい」

輝子「え、え?」


P「うらやましい。涼ちゃん、変わって」

涼「肩揉むしな。ほら、輝子、Pサンのとこ行って」

輝子「う、うん」

P「ほらほら、おいでおいで」ポンポン

輝子「おじゃまします……」

P「うふふ。つーかまえたー」ギュゥゥ

輝子「フ、フヒ……」

涼「Pサン、だいぶひどいな。ガッチガチじゃん」

P「デスクワークしてたらねー。あー、そこそこ。涼ちゃんうまいわー」


輝子(プロデューサーは……柔らかくない……)

輝子(硬いってわけじゃなくて……む、胸が……うん、やめよう。これ以上言うのは……)

P「輝子? どした?」

輝子「な、なんでもないぞ……うん……」

P「?」

輝子(私も……人のこと、言えないからな……)ペタペタ

輝子「うぅ……」ペタ-ン


輝子(納豆……納豆食べてるから……きっともう少ししたら……)

P「そういえばお菓子あるよ」

涼「珍しいね。Pサンがお菓子って。いっつもお酒のツマミみたいなの置いてるのに」

P「人を飲んだくれみたいに言うのやめてよ。私だって女の子なんだからお菓子くらい常備してるよ?」

涼「ツッコまないからな」

P「減るものじゃないのに。まぁ、貰い物なんだけどねー。輝子、そこ引き出し開けてみて」

輝子「こ、ここか?」ガラッ


涼「こ、これは」

P「茨城名物なっとう味スナック からしマヨネーズ味 12本入りよ!」

輝子「なっとう味スナック……?」

P「同期からのお土産。なんかロケで茨城に行ったんだって」

涼「なっとう味でからしマヨネーズ味ってどういうことだよ」

P「さぁ? まだ食べてないから私もよくわからないんだけど、どうもうまい棒みたいなものらしいよ」

輝子「な、なるほど……?」


P「せっかくだしみんなで食べようかなって」

涼「本音は?」

P「どんなものかわかったものじゃないから全員道連れ」

涼「およそプロデューサーのセリフとはおもえない」

P「いいじゃない! 怖いんだもの! ジンギスカンキャラメルと一緒!」

輝子「い、意外とイケるぞ、これ……」サクサク

P「……においはうまい棒ね」

涼「うん。普通にうまいな」サクサク

P「え、えぇ……なんでそんな恐れることなく食べられるの……」

涼「恐れるもなにもスナック菓子だよ?」


P「これが若さか……」

輝子「わ、若さってなんだ……?」

P「振り向かないことよ」

涼「へぇ、カッコいいこと言うじゃん」

P「……やっぱり菜々ちゃんじゃないとダメか」ボソッ

涼「ん? なんか言った?」

P「なんでもないよ、なんでも……」


* 


菜々「ぶえっくしゅん!」 

加蓮「うわっ、菜々ちゃん風邪?」 

菜々「うー……冷えないように腹巻きとかちゃんとつけてるんですけどねー。梅昆布茶とか飲んだりして。この歳になると年々寒さがきつくてきつくて……」 

加蓮「この歳って、私とほとんど変わらないじゃん」

菜々「そそそそそうでした! じゃなくて、菜々は17歳ですからね! 生足だって出しちゃいますよ! おしゃれはガマンですっ!」

加蓮「おしゃれはガマンっていつの時代ー? でも私も季節の変わり目に体調崩しちゃうからなー。体調管理もアイドルの仕事のひとつ、よね?」

菜々「さすが加蓮ちゃん! ババシャツとももひき履いてあったかくしましょうね!」

加蓮「ババシャツ……? インナーのこと?」

菜々「そ、それ! それです! ウサミン星ではそう言うんですよ!」


* 


P「うん……うまい棒だこれ」サクサク

輝子「ちょっと、ねばり気がある……」サクサク

涼「納豆特有のねばりと旨味をぜひ、みなさまお揃いでお楽しみください。だってさ」

P「普通にイケるのがなんか腹立つ」

涼「貰っておいてひどい言い方だな」

P「サクサクのコーンに和からしの程よい辛みとマヨネーズのまろやかさの納豆パウダーをからめてるんだよ? 本物の納豆をフリーズドライ加工したパウダーを使ってるから、納豆菌がちゃんと入ってるって! ちょっと!」

輝子「すごい……せ、宣伝口調だ……」

涼「からしマヨネーズってことは他にもあるってことかな」


ガチャッ

藍子「お疲れさまですー」

輝子「お、お疲れ……藍子ちゃん……」

涼「お疲れー遅かったな」

藍子「そこで楓さんと少しお話してて。あ、お土産貰ったんですよ」

P「通販売上No.1!?」

藍子「プ、プロデューサーはどうしたんですか?」

涼「あー、無視してていいよ」

輝子「お、お土産……キノコかな? 秋だし……」

涼「さすがにキノコを土産として渡してくる人はいないとおもう」


藍子「ロケで茨城に行ったみたいで」

涼「すごい聞き覚えのあるフレーズが」

輝子「大体……なにが出てくるか、わかるな……」

藍子「茨城名物なっとう味スナック うめ味 12本入りです」

輝子「ヒャッハーーー!!! 同じものだァーーー!!! あっ……味が違うのか……」

P「うめ味!? まさかからしマヨネーズ味とうめ味があるなんて……やるわね、株式会社メーコウ」

涼「いよいよPサンはおかしくなったか?」

藍子「あ、あはは……」


輝子「こ、こっちもイケる……うまい……」サクサク

涼「酸味があっていいな」サクサク

藍子「本当にうまい棒みたい。でも納豆っぽい後味があるのがおもしろいです」サクサク

P「サクサクのコーンに梅の程よい酸味の納豆パウダーをからめてあるだと……」サクサク

涼「だからなんでさっきから宣伝口調なんだよ」

藍子「においも納豆みたいな香りがありますね」クンクン

輝子「どっちかというと……私はからしマヨネーズ……かな……」

涼「うめもいいけどアタシもそっちだな」

藍子「むむむ、甲乙つけがたい……」


涼「あっ、輝子。ボロボロこぼしてるって」

輝子「あ……い、いつの間に……」

涼「口の周りもいっぱいつけて。ホラ、拭いてあげるから」

輝子「フ、フヒヒ……ありがとう……」フキフキ

藍子「ふふ。まるで涼さんがお姉さんみたいですね」

P「涼ちゃん、面倒見いいよね。子供にも懐かれるし」

輝子「み、みんなのお姉さん……」

涼「さ、さすがに照れるな。そう言われると」

P「じゃあ私も妹になっちゃお」

涼「そんなデカい妹がいる覚えはないよ」

P「身長同じくらいじゃん!」


涼「そういえば納豆で思い出したんだけどさ」

P「うん」

涼「納豆って胸の発育にいいって言われてんだってな」

P「……へぇ」

輝子(フ、フフフ……知ってるぞ……実践済み……)

涼「北海道や東北の人のバストサイズ平均値が高いのは乳製品とか豚肉とか豆類の消費が多いからだとかどうとか」

P「ふぅん……」

藍子「そう、なんですか……」ガサゴソ

涼「……藍子、腹減ってるのか? そんなにお菓子持って」

藍子「えっ!? そ、そうなんですよ。来るまでにお散歩してましたし。しょ、食欲! 食欲の秋なんです、私!」

涼「まぁ、ほどほどにな。アタシたちは一応アイドルなんだしさ」

藍子「そ、そうですね。あはは……」


P「……涼ちゃん」

涼「ん?」

P「ケンカ売ってる?」

涼「なんでだよ」

P「自分の胸に聞いてみれば?」

涼「は、はぁ?」

P「あーもうキレた、マジギレだわ。年甲斐もなくキレちゃったよ。誰が年増やねん」

涼「だからなんで自分でツッコむんだって」

P「それが最近のトレンドよ。アイドルは常に最新の情報を持ってないと」

涼「アイドルじゃないだろ」


P「あーいーこー慰めてー、涼ちゃんがいじめるぅ」ダキッ

藍子「わ、わわっ」

P「Oh……Fragrance……smells good……」クンカクンカ

藍子「くっ、くすぐったいですよ~」

涼「輝子をヒザに乗せたり、藍子のにおいかいだり忙しい人だな……」

藍子「た、助けてください~」

輝子「た、確かに……藍子ちゃんはいいにおい……するな……抗えない……あれには」

涼「うん。それはわかる」

藍子「納得しないでくださいよぉ!」


10分後

P「満足した」ツヤツヤ

藍子「うぅ……なんだか汚された気分ですぅ……」

涼「アタシたちなんの話してたんだっけな」

輝子「秋……最初はキノコの秋って……」

涼「あぁ、そういえばそうだったっけ」

P「秋、秋ねぇ」

涼「アタシは芸術の秋で映画鑑賞ってとこかな」

P「ホラー映画だっけ? 私、無理。死ぬ」

輝子「し、死ぬのか……」

涼「大げさだよ。ちょっと暗闇からバァーって出てきて、ワァーって驚かすだけだって」

藍子「私もそういうのはちょっと苦手かも……」


涼「この前見たのは恋人がゾンビになるってやつでさ」

P「あ、続けちゃう感じ?」

藍子「ゾンビ映画……ですか」

輝子「多分、小梅ちゃんのとこで……見たやつだな……」

涼「簡単に言うとギャグだったんだけどね。なにが気になったって主演の生え際だよ。本人の表情が終止シリアスだから余計おかしくって」

P「ゾンビ映画でおもしろおかしいってどういうことよ」

涼「そのまんまの意味だけど、ゾンビってなんか意味わからないかわいさみたいなのないかな?」

P「えぇ……なにそれ……」

輝子「小梅ちゃんも言ってたけど……私もわからない……」

藍子「か、かわいい、ですか……うーん……」

P「レベル高すぎでしょ。どこまで行ったらそのレベルに到達できるのよ」

涼「有名漫画家もゾンビ映画は癒しって言ってるよ」

P「感性が違うよ。マイノリティの方だって、それ」





奏「ハッ……どこかで誰かが映画の話をしている気がする……」

伊吹「奏ー、それアタシも観なきゃダメなの?」

奏「前は伊吹の選んだ映画を観たんだから、次は私の番でしょ?」

伊吹「いや、そうだけどさ、奏が選ぶやつって……ね?」

奏「最近は正統派を選んでるつもりだけど」

伊吹「えびボクサーが、正統派……?」

奏「意外とキチンとした社会派なドラマだったでしょ?」

伊吹「キチンとした……? 社会派……? ちょっと日本語なのに理解できないわ……あんまり聞きたくないんだけど、今日はなに観るのさ」

奏「インド・オブ・ザ・デッドよ」

伊吹「タイトルの時点でもうアレじゃん……」




藍子「プロデューサーは秋といえばなんですか?」

P「仕事の秋」

涼「はやっ」

P「仕事の秋」

輝子「二度も……」

P「大事なことよ。だからもう一度言うけど、仕事の秋」


涼「なんか、ゴメン……」

P「いや、いいんだよ。みんながアイドルとして輝ける舞台を作るのが私の仕事だから……楽しいよ……うふふ……」

輝子「ト、トモダチが頑張ってるんだから……私も頑張る……テンション上がらないと……ステージはキツイけど……」

藍子「プロデューサーから貰った幸せをファンの皆さんにも届けられるように頑張りますっ。いつもありがとうございます」

涼「Pサンがいるから、今のアタシたちがいる。火をつけたのはPサンなんだから頑張ってもらわないとな!」

P「みんな……」

藍子「改めて言葉にするとこっちまでくすぐったくなりますね。ふふっ♪」

P「天使か……においかがして……さきっちょだけでいいから……」

涼「最後の最後で台無しだよ」

輝子「フヒヒ……親友らしい……」




楓「あら、沙紀ちゃん。ちょうどいいところに」

沙紀「楓さん、どうしたんすか?」

楓「これ、ロケで茨城行ってきたお土産なんだけど、受け取ってくれるかしら?」

沙紀「わざわざありがとうございます。へぇ、茨城っすか。やっぱり納豆とか?」

楓「うふふ。それは見てからのお楽しみで♪ でも一言だけ添えるなら、とってもウメぇものよ」

沙紀「食べものってことっすか、気になるっすね~楓さんのことだからお土産もエンターテイメントにしちゃうんでしょうね! アタシも今度どこかに行ったらお土産買ってくるっす」

楓「あら、そんなマメにならなくていいのよ。豆だけに」

沙紀「開けるのがめっちゃ楽しみっす!」



この日、事務所に茨城名物なっとう味スナック うめ味 12本入りと茨城名物なっとう味スナック からしマヨネーズ味 12本入りがばらまかれたとさ。



おわり

高垣楓は納豆の女神だったのだ

本文となにも関係ないですけど4周年&ちひろさんお誕生日おめでとうございます!
これからも納豆でアイドルをねばねばにさせていただきますので、なにとぞよろしくお願いします

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